説明

排ガス浄化用触媒

【課題】触媒金属の合金化による触媒劣化を抑制することにより、浄化性能に優れた排ガス浄化用触媒を提供する。
【解決手段】ここで開示される排ガス浄化用触媒はロジウム触媒層と白金触媒層を備えており、該ロジウム触媒層に含まれる元素のうち、白金族元素と酸素を除く元素について算出されるポーリングの電気陰性度のモル平均値(X)と、該白金触媒層に含まれる元素のうち、白金族元素と酸素とを除く元素について算出されるポーリングの電気陰性度のモル平均値(Y)と、の関係が、1.30≦X≦1.45、かつ、1.47≦Y≦2.0であることを特徴とする。かかる排ガス浄化用触媒によると、触媒使用時において白金及び/又はロジウムの層間移動、及び合金化が抑制され、高い排ガス浄化性能を発揮することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス浄化用触媒に関するものである。詳しくは、浄化性能に優れる排ガス浄化用触媒の担体に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関から排出される一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)などを効率的に浄化するための排ガス浄化用触媒として、三元触媒が広く使用されている。三元触媒の代表的な構成としては、高耐熱性を有する酸化物から成る多孔質担体の表面に、白金族元素である白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)などから選択される一種、又は複数種の触媒金属を担持させたものが挙げられる。
【0003】
上記排ガス浄化用触媒において、用いられる触媒金属と多孔質担体との間には、いわば相性の良し悪しがあり、触媒性能向上や製造効率向上など、種々の目的に応じて適した組合せが存在する。例えば、従来、ある種の触媒金属を採用する場合において、該触媒金属の高温条件下におけるシンタリング(粒成長)を、効果的に抑制することができる多孔質担体の組成、などが研究されている。また、上述するような好適な触媒金属、及び担体組成の組合せを系統的に制御、及び理解するための一つの指標として、上記触媒金属元素、または上記担体を構成する元素に係る電気陰性度に着目し、これにより好適な組合せの範囲を規定する試みがなされている(例えば特許文献1〜3)。
【0004】
ところで、上記触媒金属として二種以上の触媒金属を用いる場合、触媒の高温条件下(例えば800〜1000℃)での使用過程において、該触媒金属のシンタリングによる比表面積の低下、または複数種の触媒金属による合金化などにより、触媒活性が低下することが起こり得る。そこで、これらの現象を抑制するために、上記二種以上の触媒金属を空間的に分離して別の担体に担持させ、触媒構成を多層型(典型的には二層型の積層構造)にすることが提案されている。例えば、特許文献4には、基材の表面上に白金(Pt)を担持させた第一触媒層があり、該第一触媒層上にロジウム(Rh)を担持させた第二触媒層をもつ排ガス浄化用触媒が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−281192号公報
【特許文献2】特開2006−43634号公報
【特許文献3】特開2004−195327号公報
【特許文献4】特開2010−51847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術において、上記特許文献4に記載されるような、少なくとも二種以上の触媒層を有する排ガス浄化用触媒(例えば、ロジウム触媒層と白金触媒層を有する排ガス浄化用触媒)では、主に個々の触媒層内における触媒金属と担体組成との組合せについて独立して最適化が行われたうえで、それぞれの触媒層が積層されることにより形成されていることが多い。具体的には、例えば、ロジウムの担体としてはロジウムのシンタリングを抑制する観点から、ジルコニアやアルミナが採用され、また、白金の担体としては、白金のシンタリングを抑制することを目的として、セリアなど、比較的塩基性が高い酸化物が採用される傾向があった。
即ち、従来は、各触媒層の層内における触媒劣化要因(例えば、触媒金属のシンタリングなど)については多く検討されているものの、各層の層間において生じ得る現象による触媒劣化要因についてはあまり考慮されてこなかった。しかしながら、実際の多層型触媒の使用過程においては、各触媒層において担持されていたはずの触媒金属が層間を移動して他層の触媒金属と接触し、両者が合金化することにより触媒活性が低下するという問題が生じていた。
本発明は、かかる課題を解決すべく創出されたものであり、ロジウム触媒層と白金触媒層とを有する排ガス浄化用触媒において、触媒金属である白金及び/又はロジウムの層間移動を抑制することにより、該触媒金属の合金化を抑制し、これにより浄化性能が向上した排ガス浄化用触媒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、様々な角度から検討を加え、上記目的を実現することのできる本発明を創出するに至った。
即ち、ここに開示される排ガス浄化用触媒は、基材と、該基材の表面に形成された触媒層と、を備える。また上記触媒層は第1担体と該第1担体に担持されたロジウムとを備えるロジウム触媒層、及び第2担体と該第2担体に担持された白金とを備える白金触媒層を備える。さらに、上記ロジウム触媒層に含まれる元素のうち、白金族元素と酸素を除く元素について算出されるポーリングの電気陰性度のモル平均値(X)と、上記白金触媒層に含まれる元素のうち、白金族元素と酸素とを除く元素について算出されるポーリングの電気陰性度のモル平均値(Y)と、の関係が、
1.30≦X≦1.45 かつ 1.47≦Y≦2.0
であることを特徴とする。
【0008】
ここで、本明細書において「ポーリングの電気陰性度」または「電気陰性度」とは、ライナス・ポーリング著書の「The Nature of the Chemical Bond」第3版、コーネル大学出版局(1960年)において提唱された電気陰性度を意味し、その具体的な数値は上記著書に記載された電気陰性度の値であると定義する。
【0009】
上記ロジウム触媒層に係るXの値、及び上記白金触媒層に係るYの値がそれぞれ上記範囲内である排ガス浄化用触媒によると、たとえ高温条件下(例えば800〜1000℃)において該触媒を使用した場合であっても、上記白金触媒層に担持された白金が、ロジウム触媒層へと層間移動することが抑制される。その結果、白金とロジウムの合金化が抑制され、上記排ガス浄化用触媒の浄化性能向上(典型的にはNOx浄化性能の向上)、耐熱性向上、及び長寿命化を図ることができる。
また、上記ロジウム触媒層におけるXの値が上記範囲内である排ガス浄化用触媒によると、高温条件下(例えば800〜1000℃)における触媒使用過程において、上記ロジウム触媒層におけるロジウムの粒成長(シンタリング)が抑制される。このため、かかる排ガス浄化用触媒では、特に高温条件下におけるNOxの還元性能が向上する。
【0010】
なお一般的に、酸化物における酸素を除く元素の電気陰性度は、該酸化物の酸性度、または塩基性度と相関を有する傾向がある。具体的に、本発明に係る排ガス浄化用触媒の担体として採用され得る酸化物である、セリア(CeO)、アルミナ(Al)、及びシリカ(SiO)を例に挙げて説明する。比較的塩基性度が高い酸化物であるセリアは、該酸化物における酸素を除く元素(セリウム)の電気陰性度が比較的小さい(セリウムの電気陰性度:1.1)。一方、比較的酸性度が高い酸化物であるアルミナやシリカは、該酸化物における酸素を除く元素(アルミニウム、およびケイ素)の電気陰性度が比較的大きい(アルミニウムの電気陰性度:1.5、ケイ素の電気陰性度:1.8)。即ち、元素の電気陰性度が大きいほど、該元素と酸素により構成された酸化物の酸性度は、概して高くなる傾向がある。
ここで、上記ロジウム触媒層に係るXの値、及び上記白金触媒層に係るYの値がそれぞれ本明細書に開示される上記範囲内である場合、必然的にX<Yの関係が成り立つ。よって、上記X及び上記Yが上記範囲内である場合では、上記白金触媒層に係る第2担体は、上記ロジウム触媒層に係る第1担体よりも酸性度が高い酸化物により構成されている傾向がある。
上述した通り、従来技術では、白金触媒層における担体には塩基性度が高い酸化物が採用される傾向があるため、本発明に係る技術的思想は、これら従来技術に係る技術的思想と相反するものであると言える。
【0011】
ここに開示される排ガス浄化用触媒の好ましい一態様では、上記触媒層において、上記白金触媒層が上記基材の表面に形成され、かつ、上記ロジウム触媒層が上記白金触媒層の基材と接触していない方の表面に形成されることにより、上記触媒層が積層構造に形成されている。
かかる排ガス浄化用触媒によると、浄化すべき有害成分を多く含む排ガスが最初に接する触媒層は上記ロジウム触媒層であるため、上記ロジウム触媒層の浄化性能を最大限活用することができ、かかる排ガス浄化用触媒は高いNOx浄化性能を発揮することができる。また、排ガスが次に接する触媒層である上記白金触媒層においては、白金のシンタリング、および白金の触媒被毒が抑制されることにより、触媒使用過程における白金触媒層の劣化を抑制することができ、かかる排ガス浄化用触媒は触媒全体として優れた三元触媒機能を発揮することができる。
【0012】
ここに開示される排ガス浄化用触媒の他の好ましい一態様では、上記ロジウム触媒層における上記第1担体が、CeO、ZrO、及びAlのうち少なくとも一種を含むことを特徴とする。
かかる排ガス浄化用触媒によると、高い耐熱性と優れた浄化性能を両立して発揮することができる。
【0013】
また、ここに開示される排ガス浄化用触媒の他の好ましい一態様では、上記白金触媒層における上記第2担体が、Al及びSiOのうち少なくとも一種を含むことを特徴とする。
かかる排ガス浄化用触媒によると、一層、高い耐熱性と優れた浄化性能を両立して発揮することができる。
【0014】
ここに開示される排ガス浄化用触媒の他の好ましい一態様では、上記白金触媒層における上記第2担体を100質量%としたとき、上記第2担体に占めるCeOの含有率が10質量%以下であることを特徴とする。
かかる排ガス浄化用触媒によると、上記白金触媒層に係るYの値が高くなり(あるいは上記第2担体における塩基点が減少し)、上記白金触媒層に担持された白金の層間移動が一層抑制され得る。その結果、かかる排ガス浄化用触媒は高い浄化性能(特にNOx浄化性能)を示す。
【0015】
ここに開示される排ガス浄化用触媒の他の好ましい一態様では、上記白金触媒層における上記第2担体が、CeOを実質的に含有していないことを特徴とする。
かかる排ガス浄化用触媒によると、上記白金触媒層に係るYの値が一層高くなり(あるいは上記第2担体における塩基点が一層減少し)、上記白金触媒層に担持された白金の層間移動が一層抑制され得る。その結果、かかる排ガス浄化用触媒は高い浄化性能(特にNOx浄化性能)を示す。
【0016】
ここに開示される排ガス浄化用触媒の他の好ましい一態様では、上記白金触媒層における上記第2担体が、ZrOを実質的に含有していないことを特徴とする。
かかる排ガス浄化用触媒によると、上記白金触媒層に係るYの値が一層高くなり(あるいは上記第2担体の塩基点が一層減少し)、上記白金触媒層に担持された白金の層間移動が一層抑制され得る。その結果、かかる排ガス浄化用触媒は高い浄化性能を示す。
なお、本明細書において「CeO(あるいはZrO)を実質的に含有していない」とは、触媒の作製にあたって人為的な(意図的な)CeO(あるいはZrO)の混入を行わないことを意味しており、触媒作製時若しくは触媒使用段階における他方の層からの意図しない及び/又は不可避的な僅かな量の混入を許容する用語である。
【0017】
ここに開示される排ガス浄化用触媒の他の好ましい一態様では、上記白金触媒層における上記第2担体を100質量%としたとき、上記第2担体に占める上記Alの含有率が20〜70質量%であり、上記SiOの含有率が30〜80質量%であることを特徴とする。
かかる排ガス浄化用触媒によると、上記白金触媒層に係るYの値が比較的高くなる(あるいは、上記第2担体の酸性度が比較的高くなる)傾向があるため、上記白金触媒層に担持された白金の層間移動が抑制され、上記ロジウムと上記白金との合金化による触媒劣化が抑制される。またAl、またはSiOは高耐熱性、及び高比表面積を有するため、かかる排ガス浄化用触媒は高温条件下(例えば800〜1000℃)における触媒使用においても高い浄化性能を発揮する。
【0018】
ここに開示される排ガス浄化用触媒の他の好ましい一態様では、上記ロジウム触媒層における上記第1担体を100質量%としたとき、上記第1担体に占める上記CeOの含有率が10〜40質量%、上記ZrOの含有率が20〜40質量%、上記Alの含有率が20〜60質量%であることを特徴とする。
かかる排ガス浄化用触媒によると、触媒床温度が高温(例えば800〜1000℃)となった場合であっても、上記ロジウム触媒層に担持されたロジウムのシンタリングが抑制され、該触媒の劣化が抑制される。
【0019】
ここに開示される排ガス浄化用触媒の他の好ましい一態様では、自動車用アンダーフロア触媒として用いられる排ガス浄化用触媒であることを特徴とする。
ここに開示される排ガス浄化用触媒は三元浄化性能により、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、及び窒素酸化物(NOx)に対して高い浄化性能を示す。特に上記ロジウム触媒層の働きによりNOxの還元性能に優れ、また特に上記白金触媒層の働きにより難燃性の炭化水素(メタンやパラフィン等)の酸化性能にも優れている。このため、かかる排ガス浄化用触媒は自動車用アンダーフロア触媒として特に適している。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】一実施形態に係る排ガス浄化用触媒の全体図である。
【図2】図1の排ガス浄化用触媒におけるリブ壁部分の構成を示す図であり、一実施形態に係る排ガス浄化用触媒の触媒構成を模式的に説明する図である。
【図3】白金触媒層に係るYの値を1.47とした場合における、ロジウム触媒層に係るXの値とNOx浄化性能の関係を示した図である(縦軸:NOx50%浄化温度(℃)、横軸:X)。
【図4】ロジウム触媒層に係るXの値を1.37とした場合における、白金触媒層触媒層に係るYの値とNOx浄化性能の関係を示した図である(縦軸:NOx50%浄化温度(℃)、横軸:Y)。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、本発明の排ガス浄化用触媒は、下記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
【0022】
ここで開示される排ガス浄化用触媒は、基材と、該基材の表面に形成された触媒層とを備える。ここで上記基材としては、従来この種の用途に用いられる種々の素材及び形態のものが使用可能である。例えば、高熱衝撃性を有するコージェライト、炭化ケイ素等のセラミックスまたは合金(ステンレス等)から形成されたハニカム構造を備えるハニカム基材などを好適に採用することができる。一例として外形が円筒形状であるハニカム基材であって、その筒軸方向に排ガス通路としての貫通孔(セル)が設けられ、各セルを仕切る隔壁(リブ壁)に排ガスが接触可能となっているものが挙げられる。基材全体の外形については、上記円筒形に代えて、楕円筒形、多角筒形を採用してもよい。
図1はここに開示される排ガス浄化用触媒の一典型例の模式図である。即ち、本形態の排ガス浄化用触媒10は、複数の規則的に配列されたセル14と、該セル14を構成するリブ壁16を有するハニカム基材12を備える。
【0023】
また、ここに開示される排ガス浄化用触媒10を構成する上記触媒層は、ロジウム触媒層と白金触媒層とを備える。
ここで、上記ロジウム触媒層と上記白金触媒層の配置に関しては、特に限定されず種々の構成をとることができる。例えば、基材上に、排ガスの流れ方向に沿って上記ロジウム触媒層及び上記白金触媒層が順不同で連なるように形成された構成をとることができる。また、例えば、基材の表面に上記白金触媒層(あるいは上記ロジウム触媒層)が形成され、該白金触媒層(あるいは該ロジウム触媒層)の表面に上記ロジウム触媒層(あるいは上記白金触媒層)が形成されることにより、上下層を有する積層構造に形成された構成とすることもできる。
図2は、ここに開示される排ガス浄化用触媒10の一形態について説明する図である。なお、図2は、図1に示す排ガス浄化用触媒10におけるハニカム基材12のリブ壁(以下「基材」ともいう。)16の表面部分を拡大し、その構成を模式的に示した図でもある。
図2に示す通り、ここに開示される排ガス浄化用触媒10の一実施形態では、基材16表面に上記白金触媒層20が形成され、上記白金触媒層20の表面に上記ロジウム触媒層22が形成されることにより触媒層32が形成されている。上記白金触媒層20は、第2担体24と該第2担体24に担持された白金(Pt粒子)26とを備えている。また上記白金触媒層20の表面に形成された上記ロジウム触媒層22は、第1担体28と該第1担体28に担持されたロジウム(Rh粒子)30とを備えている。
【0024】
また、ここに開示される排ガス浄化用触媒10を構成する上記触媒層32において、上記ロジウム触媒層22に含まれる元素のうち、白金族元素と酸素を除く元素について算出されるポーリングの電気陰性度のモル平均値(X)と、上記白金触媒層20に含まれる元素のうち、白金族元素と酸素とを除く元素について算出されるポーリングの電気陰性度のモル平均値(Y)と、の関係が、1.30≦X≦1.45(より好ましくは1.35≦X≦1.40)、かつ、1.47≦Y≦2.0(より好ましくはY≧1.60、さらに好ましくはY≧1.70)であることを特徴とする。
ここで、本明細書で採用する「ポーリングの電気陰性度」の具体的な数値は、上述した通り、ポーリング著書の「The Nature of the Chemical Bond」第3版(1960年)に記載された電気陰性度の値である。表1に上記ポーリング著書に記載された各種元素の電気陰性度の値を抜粋して示す。
【0025】
【表1】

【0026】
ここで上記電気陰性度のモル平均値とは、対象とする元素の含有率(モル濃度)により重み付けされた電気陰性度の平均値を指す。具体的には、ある元素の電気陰性度と、原料の混合量もしくは供試料の元素分析により算出された該元素の含有率(モル濃度)と、を乗じた値を得て、対象とするそれぞれの元素についての該値の総和をとることにより得られる値である。
【0027】
上記ロジウム触媒層22に係るXが1.30より小さすぎる場合、担持されたロジウム30が酸化状態となり浄化活性が低下しがちである。また、上記Xが1.45より大きすぎる場合、上記ロジウム30のシンタリングが促進される虞があり好ましくない。上記白金触媒層20に係るYが1.47より小さすぎる場合、白金26が層間移動してロジウム30と合金化する虞がある。また上記Yが2.0より大きすぎる場合、白金26のシンタリングが促進される虞がある。
【0028】
ここに開示される排ガス浄化用触媒10を構成する上記ロジウム触媒層22に係る第1担体28は、好適には、CeO、ZrO、Alのうち少なくとも一種を主体として構成される。また他の構成化合物として例えば、BaO、Pr11、Nd、La、Y、SiO、MgO、SrO、Pなどを含み得る。上記第1担体28を構成する酸化物は単独、あるいは混合物として用いることができる他、2種以上の酸化物が複合酸化物化(あるいは固溶化)したものも用いることができる。
上記酸化物の中で、高い耐熱性、および高い比表面積を有する観点からAl及びZrOは好適に用いられる。また酸素吸蔵放出能を有する観点からCeO、CeO−ZrO複合酸化物(あるいは固溶体)、またはCeOを含有するその他の複合酸化物(例えばCeO−ZrO−Al複合酸化物など)が好適に用いられる。また、焼結抑制効果を有する観点からPr11、Nd、La、Yなどの希土類酸化物が好適に用いられる。さらに、上記担体に塩基性を付与できることや、NOx吸蔵能を有する観点からBaOが好適に用いられる。
該担体は、表面に担持されたロジウム30を高分散状態で保持することができる観点から、比表面積(BET法により測定される比表面積、以下同じ。)が十分に大きいことが望ましい。第1担体28の比表面積としては、10〜500m/g(より好ましくは20〜300m/g、さらに好ましくは50〜200m/g)であることが好ましい。上記第1担体28の比表面積が10m/gより小さすぎる場合は、該担体に担持されたロジウム30がシンタリングを生じる虞があり、該担体の比表面積が500m/gより大きすぎる場合は、該担体自体の耐熱性が低下する虞がある。
【0029】
上記ロジウム触媒層22に係る上記第1担体28を100質量%としたとき、上記第1担体28に占める上記CeOの含有率は10〜40質量%(より好ましくは20〜40質量%、さらに好ましくは25〜35質量%)、上記ZrOの含有率は20〜40質量%(より好ましくは25〜35質量%)、上記Alの含有率は20〜60質量%(より好ましくは20〜50質量%、さらに好ましくは20〜40質量%、さらに好ましくは25〜35質量%)であることが好ましい。上記第1担体28に占めるCeOの含有率が10質量%より少なすぎる場合、上記ロジウム触媒層22におけるXの値が大きくなりすぎる(あるいは上記第1担体28の塩基性度が不足する)虞があり、また酸素吸蔵放出能(OSC)の効果が得られにくい。また上記CeOの含有率が40質量%より多すぎる場合は、該排ガス浄化用触媒10の耐熱性が低下し、高温使用時においてロジウム30のシンタリングが生じる虞がある。上記第1担体28に占めるAlの含有率が20質量%より少なすぎる場合は、上記第1担体28の比表面積が小さくなる傾向があるため、担持されたロジウム30がシンタリングを起こす虞がある。また、上記Alの含有率が60質量%より多すぎる場合、上記ロジウム触媒層22におけるXの値が大きくなりすぎる(あるいは、上記第1担体28の酸性度が高くなりすぎる)傾向があり、該担体に担持されたロジウム30のシンタリングを促進する虞がある。
【0030】
ここに開示される排ガス浄化用触媒10を構成する上記白金触媒層20に係る第2担体24は、好適には、Al及び/又はSiOを主体に構成される。また他の構成化合物として、例えば、BaO、Pr11、Nd、La、Y、CeO、ZrO、MgO、SrO及びPなどを含み得る。上記酸化物は単独、あるいは混合物として用いることができる他、2種以上の酸化物が複合酸化物化(あるいは固溶化)したものを用いることができる。上記第2担体24を構成する化合物の中で、酸素を除く構成元素が比較的大きい電気陰性度を有し、かつ耐熱性に優れている観点から、Al、およびSiOが好適に用いられる。また、焼結抑制効果を有する観点からPr11、Nd、La、Yなどの希土類酸化物が好適に用いられる。
【0031】
該担体は、表面に担持された白金26を高分散状態で保持することができる観点から、比表面積が十分に大きいことが望ましい。第2担体24の比表面積としては、10〜500m/g(より好ましくは20〜300m/g、さらに好ましくは50〜200m/g)であることが好ましい。上記第2担体24の比表面積が10m/gより小さすぎる場合は、該担体に担持された白金26がシンタリングを生じる虞があり、該担体の比表面積が500m/gより大きすぎる場合は、該担体自体の耐熱性が低下する虞がある。
【0032】
上記白金触媒層20における上記第2担体24を100質量%としたとき、上記第2担体24に占める上記Alの含有率は20〜70質量%(より好ましくは20〜50質量%)であり、上記SiOの含有率が30〜80質量%(より好ましくは50〜80質量%)であることが好ましい。また、上記CeOの含有率が10質量%以下(より好ましくは5質量%以下、さらには3質量%以下、さらには1質量%以下、さらに好ましくは上記第2担体24が実質的にCeOを含有していないこと)であることが好ましい。また、上記ZrOの含有率が10質量%以下(より好ましくは5質量%以下、さらには3質量%以下、さらには1質量%以下、さらに好ましくは上記第2担体24が実質的にZrOを含有していないこと)であることが好ましい。
【0033】
上記第2担体24に占めるAlの含有率が20質量%より少なすぎる場合、該担体の比表面積が低下する傾向があり、さらに触媒自体の耐熱性も低下する虞がある。また、上記第2担体24に占めるSiOの含有率が80質量%より多すぎる場合、該担体の比表面積が不足する傾向があるため、該担体に担持された白金26のシンタリングが生じる虞がある。上記第2担体24に占めるCeOの含有率が10質量%より多すぎる場合、上記白金触媒層20におけるYの値が小さくなる(あるいは上記第2担体24の塩基性度が高くなりすぎる)傾向があり、かかる排ガス浄化用触媒10においては白金26の層間移動が生じる虞があるため、好ましくない。上記第2担体24に占めるZrOの含有率が10質量%より多すぎる場合についても、上記CeOの場合と同様に、上記白金触媒層20におけるYの値が小さくなる傾向があり、白金26の層間移動が生じる虞があるため、好ましくない。
【0034】
ここに開示される排ガス浄化用触媒10を構成する上記ロジウム触媒層22には、Rh粒子30が含まれる。また、ここに開示される排ガス浄化用触媒10を構成する上記白金触媒層20には、Pt粒子26が含まれる。かかる触媒金属(典型的にはRh粒子30、及びPt粒子26)は、排ガスとの接触面積を十分に確保する観点から、十分に小さい粒径を有することが好ましい。上記貴金属の平均粒径(TEM観測により求められる粒径の平均値、以下同じ。)は1〜20nm(より好ましくは15nm以下、さらに好ましくは10nm以下、さらに好ましくは5nm以下)であることが好ましい。
上記ロジウム触媒層22におけるRh粒子30、及び上記白金触媒層20におけるPt粒子26の担持量は特に制限されないが、それぞれの層における担体に対して、それぞれ0.05〜3質量%(好ましくは0.1〜2質量%、より好ましくは0.1〜1.5質量%)とすることが適当である。上記ロジウム触媒層22におけるRh粒子30、又は上記白金触媒層20におけるPt粒子26の担持量が上記範囲より少なすぎると、触媒金属による十分な触媒活性が得られにくいため好ましくない。また、上記範囲より触媒金属を多く担持させると、触媒の高温使用時に該触媒金属の粒成長が起こりがちであり、さらにコスト面でも不利である。
【0035】
上記ロジウム触媒層22における第1担体28にRh粒子30を担持させる方法、または上記白金触媒層20における第2担体24にPt粒子26を担持させる方法としては、特に制限されず、例えば含浸法や吸着法を用いることができる。典型的な含浸法による触媒金属の担持法では、ロジウム塩、又は白金塩を含有する水溶液に担体粉末を含浸させた後、乾燥、焼成することにより調製することができる。このときの焼成温度は300〜700℃程度が適当である。焼成温度が700℃より高すぎると担体に担持された触媒金属の粒成長が進行する虞があるため好ましくない。また、焼成温度が300℃より低すぎると、焼成時間が長引く傾向があり製造効率が低下するため好ましくない。
【0036】
上記ロジウム触媒層22、及び上記白金触媒層20は、触媒金属として上記ロジウム30及び上記白金26の他に、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)等を備えていてもよい。
【0037】
ここに開示される排ガス浄化用触媒10の一実施形態である、触媒層32が上下層を有する積層構造である排ガス浄化用触媒10を製造する方法としては、特に限定されず、従来用いられている手法を用いることができる。例えば、スラリーを用いたウォッシュコート法による製造方法では、まず、上述した基材(典型的にはハニカム基材12)の表面に下層である上記白金触媒層20の構成成分を含むスラリーをウォッシュコートし、乾燥、焼成させる。次に該下層の表面に上層である上記ロジウム触媒層22の構成成分を含むスラリーをウォッシュコートし、乾燥、焼成することにより、上下層を有する上記排ガス浄化用触媒10を製造することができる。このときのスラリーの乾燥、および焼成条件は、基材または担体の形状及び寸法に左右されるが、典型的には80〜120℃程度(例えば100〜110℃)で1〜10時間程度乾燥させることが好ましく、さらに400〜900℃程度(例えば500〜700℃)で2〜4時間程度焼成させることが好ましい。
上記下層用、あるいは上層用のスラリーには、スラリーの密着性を向上させるため、適量のバインダー(例えばアルミナゾルやシリカゾルなど)を含有させることができる。また、該スラリーの粘度はスラリーが基材のセル14内へ容易に流入しうるものとすべきである。
【0038】
上記触媒層32の成形量は特に制限されないが、例えば、上記ロジウム触媒層22と上記白金触媒層20の合計量がハニカム基材12の体積1L当たり10〜500g(より好ましくは50〜300g、さらに好ましくは100〜200g)であることが好ましい。基材1L当たりの触媒層32の量が10gより少なすぎる場合は、触媒担体としての機能が弱く担持されている触媒金属のシンタリングを招く虞がある。また上記触媒層32の量が500gを超えると、ハニカム基材12のセル14内を排ガスが通過する際の圧力損失の上昇を招く虞がある。
【0039】
以下、本発明に関するいくつかの実施例につき説明するが、本発明をかかる具体例に示
すものに限定することを意図したものではない。
【0040】
<排ガス浄化用触媒の製造例>
(実施例1)
まず、下層(Pt層)用の白金粒子が担持された第2担体粉末を調製した。具体的には、基材1L当たり、セリア(CeO)粉末5g、ジルコニア(ZrO)粉末5g、およびアルミナ(Al)粉末40gを秤量し、これらを適当量の蒸留水に分散させた溶液を用意した。次に、適当な濃度を有するジニトロジアンミン白金硝酸塩溶液を用意し、上記分散液と混合した。このとき混合したジニトロジアンミン白金硝酸塩溶液中の白金原子換算量が、上記分散液中の各種酸化物の合計量に対して1.1質量%となるようにした(基材1L当たりの白金質量に換算すると1.0g)。得られた混合液を2時間撹拌した後、130℃で3時間乾燥し、その後500℃で1時間焼成することによりPt粒子担持粉末を調製した。
次に、上層(Rh層)用のロジウム粒子が担持された第1担体粉末を調製した。具体的には、基材1L当たり、セリア粉末30g、ジルコニア粉末30g、及びアルミナ粉末30gを秤量し、これらを適当量の蒸留水に分散させた分散液を用意した。次に、適当な濃度を有する硝酸ロジウム溶液を用意し、上記分散液と混合した。このとき混合した硝酸ロジウム溶液中のロジウム原子換算量が、上記分散液中の各種酸化物の合計量に対して0.4質量%となるようにした(基材1L当たりのロジウム質量に換算すると0.2g)。得られた混合液を2時間撹拌した後、130℃で3時間乾燥し、その後500℃で1時間焼成することによりRh粒子担持粉末を調製した。
【0041】
上記下層(Pt層)用のPt粒子担持粉末に適量の蒸留水を混合することにより下層用スラリーを調製した。また、上記上層(Rh層)用のRh粒子担持粉末に適量の蒸留水を混合することにより上層用スラリーを調製した。
【0042】
基材として、四角セルを有するセラミックハニカム(3.5mil/600cpsi、φ103mm×L105mm)を用意した。該ハニカム基材の表面に上記下層用スラリーをウォッシュコートし、100℃で1時間乾燥させた後、500℃で1時間焼成することにより、排ガス浄化用触媒の下層(Pt層)を形成した。
続いて、上記上層用スラリーを、上記下層の表面にウォッシュコートし、100℃で1時間乾燥させた後、500℃で1時間焼成することにより、排ガス浄化用触媒の上層(Rh層)を形成した。
上記の一連のプロセスにより製造された排ガス浄化用触媒を実施例1に係る排ガス浄化用触媒とする。
【0043】
(実施例2〜7、比較例1〜4)
上記実施例1に係る排ガス浄化用触媒の製造プロセスに倣って、実施例2〜7及び比較例1〜4に係る排ガス浄化用触媒を製造した。上記排ガス浄化用触媒における各触媒層の担体を製造するときの基材1L当たりの各種酸化物の混合量(g/基材−L)は、表2に示す通りである。このとき全ての実施例、及び比較例に係る排ガス浄化用触媒において、下層(Pt層)における白金担持量は1.0g/基材−Lとし、上層(Rh層)におけるロジウム担持量は0.2g/基材−Lとした。
【0044】
【表2】

【0045】
<電気陰性度のモル平均値の算出>
得られた排ガス浄化用触媒について、各触媒層における担体の組成比(質量%)は表3に示す通りである。このとき各触媒層に含まれる元素のうち、白金族元素と酸素とを除く元素について算出されるポーリングの電気陰性度のモル平均値(XまたはY)を表3に示す。上記X(またはY)の算出は、具体的には以下の通りに行った。
(算出方法の具体例:実施例1に係るXについて)
実施例1に係る排ガス浄化用触媒のロジウム触媒層において、セリア、ジルコニア、アルミナの含有モル%は、表2に示す各酸化物の混合量と、各酸化物の分子量から24.48mol%(CeO)、34.20mol%(ZrO)、41.31mol%(Al)と算出される。
このとき、Xは(各元素の電気陰性度とモル濃度の積)の総和により求められるため、具体的に実施例1に係るXは、表1に示す電気陰性度の値を用いて以下の様に算出される。
X=(1.1×24.48(mol%)+1.4×34.20(mol%)+1.5×41.31(mol%))/100
=1.37 (有効数字3ケタ)
【0046】
【表3】

【0047】
<耐久処理>
得られた実施例1〜7、および比較例1〜4に係る排ガス浄化用触媒について、耐久処理を施した。具体的には、上記排ガス浄化用触媒を電気炉に入れ、空気中において950℃で50時間加熱した。
【0048】
<浄化性能の評価>
上記耐久処理後の排ガス浄化用触媒について、窒素酸化物(NOx)に対する浄化性能評価を行った。具体的には、上記排ガス浄化用触媒を評価装置に設置し、昇温速度10℃/minで昇温させながら、空燃比(A/F)が14.6であるガスを、15L/minのガス流量で流入させ、出口におけるNOxの濃度を測定した。このとき、ガス投入時のNOxのうち、その50mol%が排ガス浄化用触媒による浄化により減少した時の温度(NOx50%浄化温度(℃))を算出した。
得られたNOx50%浄化温度の結果を表3に示す。ここで、NOx50%浄化温度は低温であるほど、NOx浄化性能が良好であることを意味する。
【0049】
実施例及び比較例に係る排ガス浄化用触媒について、上記ロジウム触媒層に係る電気陰性度モル平均値(X)とNOx浄化性能との関係を調べるために、図3に、上記白金触媒層に係る電気陰性度モル平均値(Y)が1.47で一定の条件であり、上記ロジウム触媒層に係るXを1.24〜1.48まで変化させたときの、NOx50%浄化温度について示す。
図3に示す結果から明らかなように、Yの値を1.47にした場合、Xが1.35〜1.40である範囲内でNOx50%浄化温度が極小値をもつことが確認された。具体的には、1.30≦X≦1.45の範囲でNOx50%浄化温度は概ね373℃以下を示し、さらに1.35≦X≦1.40の範囲では該温度は概ね367℃以下を示した。即ち、Xの好適な範囲は1.30≦X≦1.45(より好適には1.35≦X≦1.40)であることが確認された。Xが上記範囲内である場合に排ガス浄化用触媒のNOx浄化性能が向上した理由は、上記範囲内ではロジウム触媒層においてロジウムのシンタリングが効果的に抑制されたためである。
【0050】
次に、上記白金触媒層に係る電気陰性度モル平均値YとNOx浄化性能との関係を調べるため、図4に、上記ロジウム触媒層に係るXが1.37で一定であり、上記白金触媒層に係るYを1.36〜1.74まで変化させたときのNOx50%浄化温度を示す。
図4に示す結果から明らかなように、Xの値を1.37にした場合、Yの値が1.36から大きくなるほどNOx50%浄化温度が低下し、浄化性能が向上する傾向であることが確認された。具体的には、Y≧1.43の範囲でNOx50%浄化温度は概ね372℃以下を示し、Y≧1.47の範囲で該温度は概ね365℃以下を示し、Y≧1.60の範囲で該温度は概ね350℃以下を示し、さらにY≧1.70の範囲では該温度は概ね346℃以下を示した。即ち、Yの好適な範囲はY≧1.43(より好適にはY≧1.47、さらにはY≧1.60、さらにはY≧1.70)であることが確認された。Yが上記範囲内であるとき排ガス浄化用触媒が高いNOx浄化性能を発揮したのは、上記範囲内では白金及び/又はロジウムの層間移動が抑制され、両者の合金化が抑制されたためである。
【符号の説明】
【0051】
10 排ガス浄化用触媒
12 ハニカム基材
14 セル
16 リブ壁(基材)
20 白金触媒層
22 ロジウム触媒層
24 第2担体
26 白金(Pt粒子)
28 第1担体
30 ロジウム(Rh粒子)
32 触媒層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、該基材の表面に形成された触媒層と、を備える排ガス浄化用触媒であって、
前記触媒層が、第1担体と該第1担体に担持されたロジウムとを備えるロジウム触媒層、及び、第2担体と該第2担体に担持された白金とを備える白金触媒層を備え、
前記ロジウム触媒層に含まれる元素のうち、白金族元素と酸素を除く元素について算出されるポーリングの電気陰性度のモル平均値(X)と、
前記白金触媒層に含まれる元素のうち、白金族元素と酸素とを除く元素について算出されるポーリングの電気陰性度のモル平均値(Y)と、の関係が、
1.30≦X≦1.45 かつ 1.47≦Y≦2.0 である、排ガス浄化用触媒。
【請求項2】
前記触媒層において、前記白金触媒層が前記基材の表面に形成され、かつ、前記ロジウム触媒層が前記白金触媒層の基材と接触していない方の表面に形成されることにより、前記触媒層が積層構造に形成されている、請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。
【請求項3】
前記ロジウム触媒層における前記第1担体が、CeO、ZrO、及びAlのうち少なくとも一種を含み、
前記白金触媒層における前記第2担体が、Al及びSiOのうち少なくとも一種を含む、請求項1または2に記載の排ガス浄化用触媒。
【請求項4】
前記白金触媒層における前記第2担体を100質量%としたとき、前記第2担体に占めるCeOの含有率が10質量%以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒。
【請求項5】
前記白金触媒層における前記第2担体が、CeOを実質的に含有していない、請求項1〜3のいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒。
【請求項6】
前記白金触媒層における前記第2担体が、ZrOを実質的に含有していない、請求項1〜5のいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒。
【請求項7】
前記白金触媒層における前記第2担体を100質量%としたとき、前記第2担体に占めるAlの含有率が20〜70質量%であり、SiOの含有率が30〜80質量%であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒。
【請求項8】
前記ロジウム触媒層における前記第1担体を100質量%としたとき、前記第1担体に占めるCeOの含有率が10〜40質量%、ZrOの含有率が20〜40質量%、Alの含有率が20〜60質量%である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−6147(P2013−6147A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140237(P2011−140237)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】