説明

排気ガス中の塩素系溶剤の無害化処理装置

【課題】第1に、大流量の排気ガスから小流量の排気ガスまで1台で処理でき、第2に、塩素系溶剤を確実に除去でき、排気ガスが十分にクリーン化され、第3に、有害生成物質も無害化され、第4に、吸脱着槽の吸着材(活性炭)の破過進行状況を把握でき、第5に、ランニングコストも低減可能な、排気ガス中の塩素系溶剤の無害化装置を提案する。
【解決手段】この無害化装置1では、塩素系溶剤を含有した大流量の排気ガスAを、吸脱着槽3に供給して、塩素系溶剤を吸着材9に吸着させた後、熱風供給部4からの熱風Cにより、吸着材9に吸着された塩素系溶剤を脱着する。プラズマリアクター5は、塩素系溶剤を含有した小流量の排気ガスAが供給されるか、又は、吸脱着槽3から脱着された塩素系溶剤を含有した小流量の2次的な排気ガスが供給され、もって、塩素系溶剤をプラズマ放電により分解する。そして、酸化触媒部6や捕集中和槽7も付設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス中の塩素系溶剤の無害化処理装置に関する。すなわち、排気ガス中に含有された塩素系溶剤を無害化する処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
《技術的背景》
塩素系溶剤を含有した排気ガスは、各種の工業的,化学的処理工程から排出され、そのまま大気中に放出すると、人体や環境に有害であり、浮遊粒子状物質PMや光化学スモッグの原因物質ともなる。
そこで、この塩素系溶剤を含有した排気ガスの排出口には、環境対策用に蓄熱燃焼装置その他の無害化処理装置が、取付けられている。
【0003】
《従来技術》
この種の無害化処理装置の代表例である蓄熱燃焼装置は、例えば、次の方式よりなっていた。
すなわち蓄熱燃焼装置では、塩素系溶剤を含有した排気ガスを、ハニカム構造でセラミック製の蓄熱体に供給して通過させる。そしてまず、種火で引火させて、その燃焼熱を蓄熱体に蓄熱しておき、事後に供給される排気ガスを、この蓄熱体の各セル壁との接触に基づき発火させる、方式よりなる。
もって、このような循環方式により、排気ガス中に含有されていた塩素系溶剤を燃焼,除去し、もって排気ガスを大気へと放出していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような従来例については、次の問題が指摘されていた。
《第1の問題点について》
第1に、この種の無害化処理装置の代表例である蓄熱燃焼装置については、排気ガスの流量に見合った装置が必要となる、という問題が指摘されていた。
すなわち蓄熱燃焼装置では、前述したように、排気ガスを蓄熱体との接触に基づいて発火,燃焼させる方式よりなるので、排気ガスと蓄熱体との接触時間が重要となる。そこで、排気ガスの流量に見合ったサイズの蓄熱体が要請されており、100m/hr程度の小流量の排気ガスの場合は、小サイズの蓄熱体を備えた小型装置が、専用的に使用されている。又、1,000m/hr程度の大流量の排気ガスの場合は、大サイズの蓄熱体を備えた大型装置が、専用的に使用されている。
このように、排気ガスの流量により、大型,小型の蓄熱燃焼装置を使い分けることを要し、設備コスト面や作業効率面に問題が指摘されていた。
【0005】
《第2の問題点について》
第2に、蓄熱燃焼装置その他のこの種の無害化処理装置については、排気ガス中の塩素系溶剤の除去,クリーン化が不十分,不確実である、という問題が指摘されていた。
例えば蓄熱燃焼装置では、排気ガスと蓄熱体との接触時間がマッチせず、処理時間が不足することが多々あり、又、排気ガス中の塩素系溶剤が高密度であることが、処理上必須的に要求される等により、処理不足が発生し易く、未燃焼の塩素系溶剤を含有した排気ガスが、大気に放出されてしまうことが、多々あった。
【0006】
《本発明について》
本発明の排気ガス中の塩素系溶剤の無害化処理装置は、このような実情に鑑み、上記従来例の課題を解決すべくなされたものである。
そして、熱風供給部付の吸脱着槽とプラズマリアクターとを、直列,並列の2段構えで組み合わせて採用すると共に、酸化触媒部や捕集中和槽も備えていること、を特徴とする。更に、吸脱着槽の各高さレベルに温度検出手段を設けたり、夜間電力帯において熱風供給部やプラズマリアクターを駆動させること、を特徴とする。
もって本発明は、第1に、大流量の排気ガスから小流量の排気ガスまで、1台で対応,処理でき、第2に、塩素系溶剤を確実に除去でき、排気ガスが十分にクリーン化され、第3に、途中の有害生成物質も無害化され、第4に、吸脱着槽の吸着材(活性炭)の破過進行状況を把握でき、第5に、夜間電力利用により、ランニングコストも低減可能な、排気ガス中の塩素系溶剤の無害化処理装置を提案すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
《各請求項について》
このような課題を解決する本発明の技術的手段は、次のとおりである。まず、請求項1については次のとおり。
請求項1の排気ガス中の塩素系溶剤の無害化処理装置は、排気ガス中に含有された塩素系溶剤の無害化処理装置であって、供給口,吸脱着槽,熱風供給部,プラズマリアクター等を、備えている。
そして該吸脱着槽は、吸着材が充填されており、該供給口から塩素系溶剤を含有した大流量の排気ガスが供給されて、塩素系溶剤を該吸着材に吸着し、もって無害化された排気ガスを、その排出口から大気へと放出可能である。
該熱風供給部は、熱風を該吸脱着槽に供給可能で、その熱風が、該吸脱着槽の吸着材に吸着された塩素系溶剤を、脱着可能となっている。
該プラズマリアクターは、該供給口から塩素系溶剤を含有した小流量の排気ガスが供給されるか、又は、該吸脱着槽の吸着材から脱着された塩素系溶剤を含有した熱風ガス、つまり小流量の2次的な排気ガスが供給される。そして、それらの排気ガスの塩素系溶剤をプラズマ放電により分解し、もって無害化された排気ガスを大気へと放出可能であること、を特徴とする。
【0008】
請求項2については次のとおり。請求項2の排気ガス中の塩素系溶剤の無害化処理装置は、請求項1において、更に、酸化触媒部,捕集中和槽を備えている。
そして該酸化触媒部は、該プラズマリアクターを通過した排気ガスが供給され、酸化触媒により、残存していた塩素系溶剤を分解可能である。
該捕集中和槽は、該酸化触媒部から排気ガスが供給され、捕集中和溶液により、分解に伴う有害生成物質を中和や捕集し、もって無害化された排気ガスを、その排出口から大気へと放出可能であること、を特徴とする。
請求項3については次のとおり。請求項3の排気ガス中の塩素系溶剤の無害化処理装置は、請求項1又は2において、該吸脱着槽は、下端部に設けられた排気ガスの入口と、上端部に設けられた排気ガスの該排出口と、該吸着材として内部に充填された活性炭と、温度検出手段と、を備えている。
そして該温度検出手段は、該活性炭の充填高さレベルに応じて複数設けられており、該活性炭について、塩素系溶剤の吸着そして破過が下から上へと徐々に進行して行くのに伴い、下から上へと徐々に進行して行く発熱そして発熱解除の温度変化を検出する。もって、検出された温度変化に基づき、該活性炭の破過進行状況を常時確認可能となっていること、を特徴とする。
【0009】
請求項4については次のとおり。請求項4の排気ガス中の塩素系溶剤の無害化処理装置は、請求項1において、小流量の排気ガスであっても、日中においては請求項1の記載にかかわらず、該供給口から、該プラズマリアクターではなく該吸脱着槽に供給される。
これと共に、夜間電力帯において、該熱風供給部から該吸脱着槽に熱風が供給されると共に、該吸脱着槽から供給された2次的な排気ガスについて、該プラズマリアクターにてプラズマ放電による塩素系溶剤の分解が行われ、もって無害化された排気ガスを大気へと放出可能となっていること、を特徴とする、排気ガス中の塩素系溶剤の無害化処理装置。
請求項5については次のとおり。請求項5の排気ガス中の塩素系溶剤の無害化処理装置は、請求項1において、該熱風供給部は、塩素系溶剤の沸点の1.88倍程度以上の温度の熱風を、小流量にて該吸脱着槽に供給可能となっていること、を特徴とする。
【0010】
《作用について》
本発明の排気ガス中の塩素系溶剤の無害化処理装置は、このようになっているので、次のようになる。
(1)供給された排気ガスは、大流量の場合は、吸脱着槽に供給され、小流量の場合は、プラズマリアクターに供給される。
(2)吸脱着槽に供給された排気ガスは、塩素系溶剤が吸脱着槽に吸着,除去されて、大気放出される。吸着が完了すると、熱風供給部から塩素系溶剤の沸点の1.88倍程度以上の温度の熱風が、小流量にて吸脱着槽に供給され、吸着されていた塩素系溶剤が脱着されて、塩素系溶剤を含有した2次的な排気ガスが、プラズマリアクターに供給される。 (3)プラズマリアクターには、小流量の排気ガス、又は2次的な排気ガスが供給され、もって塩素系溶剤が、プラズマ放電により分解,除去される。
(4)それから排気ガスは、酸化触媒部に供給され、残存していた塩素系溶剤が分解,除去される。
(5)最後に排気ガスは、捕集中和槽に供給され、分解に伴う有害生成物質が中和や捕集されて、大気放出される。
【0011】
(6)無害化処理装置は、このようようになっている。そして上述したように、まず、大流量の排気ガスは、吸脱着槽の吸脱着を利用して小流量に流量調整してから、プラズマリアクターに供給され、小流量の排気ガスは、直接プラズマリアクターに供給される。吸脱着槽は、大流量の排気ガスを処理可能であり、プラズマリアクターは、小流量の排気ガスの処理に適しており、それぞれにマッチした処理が実施される。
そこで、この無害化処理装置は1台で、塩素系溶剤を含有した大流量の排気ガスも小流量の排気ガスも、処理可能である。
(7)この無害化処理装置では、大流量の排気ガスは、塩素系溶剤が吸脱着槽にて確実に吸着,除去されて、大気放出される。小流量の排気ガスや、吸脱着槽を経由した2次的な排気ガスは、塩素系溶剤がプラズマリアクターと酸化触媒部にて確実に分解,除去されて、大気放出される。このように、この無害化処理装置は、塩素系溶剤を確実に除去可能である。
(8)更に、この無害化処理装置では、塩素系溶剤の分解に伴う有害生成物質も、捕集中和槽にて中和や捕集されてから、大気放出される。このように、有害生成物質も除去される。
【0012】
(9)ところで、この無害化処理装置の吸脱着槽では、吸着材である活性炭について、塩素系溶剤の吸着と破過、これに伴う発熱と発熱解除が、下から上へと進行して行く。そこで、各高さレベルに温度検出手段を設けて、温度変化をモニターすることにより、破過進行状況をタイムリーに把握でき全体的破過を予測できるので、例えば、塩素系溶剤の吸着不能事故も防止される。
(10)なお、この無害化処理装置は、前述に拘わらず次の処理も可能である。すなわち、小流量の排気ガスであっても、日中は吸脱着槽に供給して塩素系溶剤を吸着しておき、夜間に熱風供給部やプラズマリアクターを駆動して、脱着された塩素系溶剤を分解,除去する。この場合は、熱風供給部やプラズマリアクターが、夜間電力帯特に深夜電力帯に駆動されるので、電気代が軽減される。
勿論、大流量の排気ガスの場合も、このように、日中に吸脱着槽に供給して、夜間に熱風供給部やプラズマリアクターを駆動することにより、電気代を軽減可能である。
【発明の効果】
【0013】
《本発明の特徴》
本発明に係る排気ガス中の塩素系溶剤の無害化処理装置は、このように、熱風供給部付の吸脱着槽とプラズマリアクターとを、直列,並列の2段構えで組み合わせて採用すると共に、酸化触媒部や捕集中和槽も備えていること、を特徴とする。更に、吸脱着槽の各高さレベルに温度検出手段を設けたり、夜間電力帯において熱風供給部やプラズマリアクターを駆動させること、を特徴とする。
そこで本発明は、次の効果を発揮する。
【0014】
《第1の効果》
まず第1に、大流量の排気ガスから小流量の排気ガスまで、1台で対応,処理可能である。
すなわち、本発明の無害化処理装置では、大流量の排気ガスは、吸脱着槽により小流量化してプラズマリアクターに供給し、小流量の排気ガスは、直接プラズマリアクターに供給する。そこで1台で、塩素系溶剤を含有した大流量の排気ガスも小流量の排気ガスも、処理可能である。つまり、塩素系溶剤を含有した各種風量の排気ガスに、1台で対応可能である。
前述したこの種従来例のように、大流量の排気ガス専用の大型装置と、小流量の排気ガス専用の小型装置とを、常置して使い分ける必要はない。もって、設備コスト面や作業効率面に優れている。
【0015】
《第2の効果》
そして第2に、塩素系溶剤を確実に除去でき、排気ガスが十分にクリーン化されて大気放出される。
すなわち、本発明の無害化処理装置では、大流量の排気ガス中に含有されていた塩素系溶剤は、吸脱着槽の吸着材にて吸着,除去され、もってクリーン化された排気ガスが大気放出される。又、小流量の排気ガス中に含有されていた塩素系溶剤や、吸脱着槽から脱着された塩素系溶剤は、プラズマリアクターにて分解,除去され、更に念のため酸化触媒部で分解,除去され、もってクリーン化された排気ガスが大気放出される。
前述したこの種従来例のように、塩素系溶剤を含有した排気ガスが大気放出されてしまうことは、確実に防止される。勿論、揮発性有機化合物VOCの排出規制も、十分満足することができる。
【0016】
《第3の効果》
第3に、途中の有害生成物質も無害化される。すなわち、本発明の無害化処理装置は捕集中和槽を備えており、塩素系溶剤の分解に伴う有害生成物質を中和や捕集する。もって、この面からも無害化され十分にクリーン化された排気ガスが、大気放出される。
【0017】
《第4の効果》
第4に、吸脱着槽の活性炭の破過進行状況を常時把握可能である。すなわち、本発明の無害化処理装置では、吸脱着槽の各高さレベルに温度検出手段を備えており、塩素系溶剤の吸着時における吸着材である活性炭の破過進行状況を常時確認できる。
もって、活性炭の全体的破過を事前に予測可能であり、吸脱着槽を常時正常に機能させることができると共に、活性炭を無駄なく効率的に使用可能である。
【0018】
《第5の効果》
第5に、夜間電力利用により、ランニングコストも低減可能である。すなわち、本発明の無害化処理装置では、小流量の排気ガスを、日中は、吸脱着槽に供給して塩素系溶剤を吸着,除去させておいて、夜間に、熱風供給部やプラズマリアクターにて、脱着された塩素系溶剤を分解,除去させる方式も、実施可能である。勿論、大流量の排気ガスの場合も、同様に日中に吸着して夜間に分解する方式を、容易に実施可能である。
そして、これらの場合は、夜間電力特に深夜電力を利用するので、電気代が軽減される等、ランニングコスト面に優れるようになる。
このように、この種従来例に存した課題がすべて解決される等、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるものがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
《図面について》
以下、本発明の排気ガス中の塩素系溶剤の無害化処理装置を、図面に示した発明を実施するための最良の形態に基づいて、詳細に説明する。
そして図1は、全体構成の正面説明図である。図2は、プラズマリアクターを示し、(1)図は側面図、(2)図は斜視図である。
【0020】
《無害化処理装置1の概要について》
この無害化処理装置1は、排気ガスA中に含有された塩素系溶剤を無害化処理する。そして図1に示したように、供給口2,吸脱着槽3,熱風供給部4,プラズマリアクター5,酸化触媒部6,捕集中和槽7,ブロア8等を、備えている。
そして、これらの各構成は、図1中に示されたような相互位置関係、上下関係のもとに配設されている。又、排気ガスA中に気化,ガス化して含有されている塩素系溶剤(気化,ガス化した塩素系溶剤を、以下単に塩素系溶剤と言う)としては、トリクロロエチレンCHCl(通称TCE)やジクロロメタンCHClが代表的であるが、その他の塩素系溶剤も考えられる。以下、これらについて順次説明する。
【0021】
《吸脱着槽3について》
まず、吸脱着槽3について述べる。無害化処理装置1の吸脱着槽3は、吸着材9が充填されており、無害化処理装置1の供給口2から、塩素系溶剤を含有した大流量の排気ガスAが供給され、もって、含有されていた塩素系溶剤を吸着材9に吸着して、無害化された排気ガスAを、その排出口10から大気Bへと放出可能である。大流量の排気ガスAとは、例えば、100m/hrを超える流量のことを言う。
そして吸脱着槽3は、下端部側部に設けられた排気ガスAの入口11と、上端部上に設けられた排気ガスAの排出口10と、吸着材9として内部に充填された炭素物質よりなる活性炭12と、活性炭12を保持する金網14と、温度検出手段13と、を備えている。
【0022】
温度検出手段13は、活性炭12の充填高さレベルに応じて、複数設けられている。そして、充填された活性炭12について、塩素系溶剤の吸着そして破過が下から上へと段階的に徐々に進行して行くのに伴い、下から上へと段階的に徐々に進行して行く発熱そして発熱解除の温度変化を検出する。もって、検出された温度変化に基づき、活性炭12の破過進行状況を常時確認可能となっている。
図示例では、温度検出手段13として熱電体が使用されており、吸脱着槽3について、上部,中央部,下部にそれぞれ設けられ、もって計3本設けられている。
そして塩素系溶剤は、活性炭12に吸着される時に発熱し、活性炭12も共に発熱する。そして活性炭12は、塩素系溶剤の吸着により吸着容量が飽和して、吸着困難となって破過すると、吸着が止まると共に、吸着された塩素系溶剤そして活性炭12の発熱も止まる。
各高さレベルの温度検出手段13は、それぞれの高さレベルの活性炭12について、このような温度変化を検出して表示部に表示する。つまり、吸着前は低く、吸着時に高く、破過により再び低くなる温度変化が、活性炭12の下部,中央部,上部の各高さレベルについて順に発生し、温度検出手段13が順次これを検出,表示する。作業者は、この表示を見ることにより、活性炭12の破過進行状況を常時確認可能となる。
吸脱着槽3は、このようになっている。
【0023】
《熱風供給部4について》
次に、熱風供給部4について述べる。無害化処理装置1の熱風供給部4は、熱風Cを吸脱着槽3に供給可能であり、この熱風Cが、吸脱着槽3の吸着材9に吸着された塩素系溶剤を、脱着可能となっている。
すなわち、吸脱着槽3には熱風供給部4が付設されており、熱風供給部4は、ヒーターや送風機を備え、吸気した大気Bを、流量100m/hr程度の小流量で熱風C化して、吸脱着槽3へと供給可能である。
供給される熱風Cの温度は、吸着された塩素系溶剤の脱着用に使用されることに鑑み、塩素系溶剤の沸点の1.88倍程度以上に設定される。例えば、トリクロロエチレンの沸点は87℃であり、熱風Cは、164℃以上に設定される。因に、塩素系溶剤は一般的に100℃未満の低沸点よりなる。
熱風供給部4は、このようになっている。
【0024】
《プラズマリアクター5について》
次に、プラズマリアクター5について述べる。無害化処理装置1のプラズマリアクター5は、無害化処理装置1の供給口2から塩素系溶剤を含有した小流量の排気ガスAが供給されるか、又は、上述した吸脱着槽3の吸着材9から脱着された塩素系溶剤を含有した熱風Cガス、つまり小流量の2次的な排気ガスAが供給される。
そして、それらの排気ガスAの塩素系溶剤をプラズマ放電により分解し、もって無害化された排気ガスAを大気Bへと放出可能である。
【0025】
このようなプラズマリアクター5について、更に詳述する。まずプラズマリアクター5には、例えば流量100m/hr以下の小流量の排気ガスAが、供給口2から直接供給される。又、例えば流量100m/hr超の大流量の排気ガスAが、吸脱着槽3を経由し熱風供給部4からの熱風Cに基づき、流量100m/hrの小流量に調整されて、供給される。
プラズマリアクター5は、例えば図2に示したように、断面円形の一次側の中心電極15の外側に、間隔Dを存しつつ、同心円状にガラス管等の誘電体16を介し、2次側の外側電極17が配された構造よりなり、図示例では外径300mm、長さ200mmである。図示例では、このようなプラズマリアクター5が、4連2列で計8個配設されている。
そして、一次側電源の50Hの交流100Vを、例えば15kVのトランスにて6kV,3mAの高電圧に変換して、通電される。
【0026】
プラズマリアクター5は通電されて、中心電極15と外側電極17間に電圧が印加されることにより、プラズマ放電する。もって、中心電極15と外側電極17間の間隔Dに発生したプラズマ領域中を、排気ガスAが滞留,通過することにより、含有された塩素系溶剤が分解される。
すなわちプラズマ放電により、加速された高速電子が塩素系溶剤に衝突して、その化学結合を切断され易くする。これと共にプラズマ放電により、生成されたオゾンOや、オゾンOが自然分解した酸素Oラジカル等の活性酸素種が、塩素系溶剤と反応して、炭酸ガスCOや塩化水素HCl等に分解する。
例えば、塩素系溶剤がトリクロロエチレンCHClの場合は、次の化1の化学式により分解される。
【0027】
【化1】

【0028】
なお、図示例のプラズマリアクター5全体では、例えば、小流量100m/hrの排気ガスAを供給した場合、排気ガスAは、流速0.2m/秒で滞留時間4秒となった。トリクロロンエチレンCHClの分解に要する時間は、通常3秒程度とされている。
プラズマリアクター5は、このようになっている。
【0029】
《酸化触媒部6について》
次に、酸化触媒部6について述べる。無害化処理装置1の酸化触媒部6は、プラズマリアクター5を通過した排気ガスAが供給され、酸化触媒18により、残存していた塩素系溶剤を分解可能となっている。
すなわち酸化触媒部6は、ハニカム構造の金属製の担体に、白金,その他の酸化触媒18が担持された構造よりなる。そして、通過する排気ガスA中に残存していた塩素系溶剤を、触媒作用により酸化させ、もって水HOや炭酸ガスCO等に分解する。
酸化触媒部6は、このようになっている。
【0030】
《捕集中和槽7について》
次に、捕集中和槽7について述べる。無害化処理装置1の捕集中和槽7は、酸化触媒部6から排気ガスAが供給され、捕集中和溶液19により、分解に伴う有害生成物質を中和や捕集し、もって無害化された排気ガスAを、その排出口20から大気Bへと放出可能である。
捕集中和槽7には、例えば水酸化ナトリウムNaOHの水溶液が、捕集中和溶液19として満たされている。そして捕集中和溶液19は、まず第1に、前工程のプラズマリアクター5において塩素系溶剤を分解した結果、生成された有害生成物質を中和する。
すなわち、捕集中和槽7に供給された排気ガスA中に含まれていた有害生成物質、例えば塩化水素HCl(前記化1の化学式を参照)を、捕集中和溶液19である水酸化ナトリウムNaOHの水溶液にて、次の化2の化学式により中和する。つまり捕集中和槽7中では、捕集中和溶液19により塩酸HClが塩化ナトリウムNaClと水HOに分解される。
【0031】
【化2】

【0032】
これと共に捕集中和溶液19は、第2に、前工程のプラズマリアクター5において塩素系溶剤の分解のために生成された活性酸素種のうち、消費しきれず残存した有害生成物質であるオゾンOを、捕集する。すなわち、供給された排気ガスA中に残存していたオゾンOを、捕集中和溶液19の水HOにて捕集する。
これについて更に詳述すると、まず、濃度1%のガス状のオゾンOの半減期は、16時間程度であり、又、オゾンOの水HOに対する溶解度は、0.017kg/100kgである。そして、水に溶けた3ppmのオゾンOの半減期は30分程度と、大幅に短縮される。これに加え、オゾンOと水酸化ナトリウムNaOHとの反応や、捕集中和槽7に供給された排気ガスA中に前述により含有された塩化水素HClと、水酸化ナトリウムNaOHとの中和熱により、捕集中和溶液19の温度が上昇し、もって、オゾンOの半減期は更に短縮される。
このようにして、有害生成物質であるオゾンOは、捕集中和槽7の捕集中和溶液19により、捕集され酸素Oに分解されて消滅する。このようにして、無害化された排気ガスAが、大気Bに向け放出されることになる。
捕集中和槽7は、このようになっている。
【0033】
《その他》
なお第1に、図中、21は流量計であり、供給口2近くの下流に付設されており、無害化処理装置1に供給された排気ガスAについて、その流量を測定する。
第2に、前述した例では、大流量とは100m/hr超、小流量とは100m/hr以下としたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、大流量は90m/hr超〜150m/hrの間で設定し、小流量を90m/hr〜150m/hr以下の間に設定するようにしてもよい。
第3に、ブロア8は供給口2に付設されており、供給された排気ガスAの圧力が不足している場合に、駆動される。
第4に、介装,接続される配管22については、次のとおり。まず、供給口2からの配管22は、途中で吸脱着槽3とプラズマリアクター5とに向け、途中で分岐されると共に、それぞれにバルブV1,V2が付設されている。
又、プラズマリアクター5への配管22の途中に、吸脱着槽3からプラズマリアクター5への配管22が接続されており、接続直前位置にそれぞれバルブV3,V4が付設されている。更に、プラズマリアクター5,酸化触媒部6,捕集中和槽7間を直列に接続すべく、配管22が介装されている。
又、熱風供給部4と吸脱着槽3、吸脱着槽3とその排出口10、捕集中和槽7とその排出口20間にも、それぞれ配管22が介装されており、前者2つには、バルブV5,V6がそれぞれ付設されている。
無害化処理装置1は、このようになっている。
【0034】
《作用等》
本発明の排気ガスA中の塩素系溶剤の無害化処理装置1は、以上説明したように構成されている。そこで、以下のようになる。
(1)各種の工業的,化学的処理工程から排出され、もって気化,ガス化した塩素系溶剤を含有した排気ガスAは、この無害化処理装置1に供給される。
そして、無害化処理装置1に供給された排気ガスAは、例えば流量100m/hrを超える大流量の場合は、供給口2から、まず吸脱着槽3に供給される。これに対し、例えば流量100m/hr以下の小流量の場合は、供給口2から、まずプラズマリアクター5に供給される。
【0035】
(2)そして大流量の場合は、バルブVが、V1閉,バルブV2開,バルブV3閉,バルブV4閉,バルブV5閉,バルブV6開に切換えられる。
もって、吸脱着槽3の下部に供給された大流量の排気ガスAは、吸脱着槽3内を上昇しつつ、含有されていた塩素系溶剤が、吸脱着槽3に充填された吸着材9である活性炭12に、吸着,除去され、もって無害化された排気ガスAとなって、上端部の排出口10から大気Bへと放出される。
そして、吸脱着槽3における吸着が完了すると、バルブVが、V1閉,V2閉,V3閉,V4開,V5開,V6閉に切換えられる。
もって熱風供給部4から、塩素系溶剤の沸点の1.88倍程度以上の温度の熱風Cが、小流量にて吸脱着槽3の下部に供給される。そこで吸脱着槽3では、吸着材9の活性炭12に吸着されていた塩素系溶剤が、この熱風Cにて離脱,脱着され、もって、脱着され濃縮された塩素系溶剤を含有した熱風Cガス、つまり小流量の2次的な排気ガスAが、上位に配設されたプラズマリアクター5へと供給される。
【0036】
なお、具体例については次のとおり。すなわち、塩素系溶剤としてガス状のトリクロロエチレンCHClを50ppm含有した大流量1,000m/hrの排気ガスAを、8時間(9.00〜17.00)にわたり吸脱着槽3に供給した場合、供給されたトリクロロエチレンCHClの量については、まず次のとおり。すなわち、1,000m/hr×8hr×50ppm=0.4mとなる。
そして次に、吸脱着槽3から脱着され濃縮されたガス状のトリクロロエチレンCHClを500ppm含有した小流量100m/hrの2次的な排気ガスAを、8時間(23.00〜7.00)にわたりプラズマリアクター5に供給した場合、供給されるトリクロロエチレンCHClの量は、次のとおりとなり、前記と同量供給されることになる。すなわち、100m/hr×8hr×500ppm=0.4mとなる。
【0037】
(3)プラズマリアクター5には、前述した供給口2から直接供給された小流量の排気ガスA、又は上述した吸脱着槽3を経由した小流量の2次的な排気ガスAが、それぞれ供給される。前者の場合、バルブVは、V1開,V2閉,V3開,V4閉,V5閉,V6閉に切換えられる。
そして、プラズマリアクター5を通過する排気ガスAは、含有された塩素系溶剤が、電圧印可により発生したプラズマにより、その化学結合が切断され易くなると共に、生成されたオゾンOや酸素Oラジカル等の活性酸素種と反応して分解される。
このように、プラズマリアクター5に供給された排気ガスAは、含有されていた塩素系溶剤が、プラズマ放電により分解,除去され、もって無害化された排気ガスAとなる。
【0038】
(4)プラズマリアクター5を通過した排気ガスAは、次に、酸化触媒部6に供給される。そして排気ガスAは、プラズマリアクター5にて分解,除去されずに残存していた塩素系溶剤が、酸化触媒部6の白金等の酸化触媒18により酸化されて、分解,除去され、もって確実に無害化された排気ガスAとなる。
【0039】
(5)酸化触媒部6を通過した排気ガスAは、最後に、捕集中和槽7に供給される。そして排気ガスAは、捕集中和槽7の捕集中和溶液19により、分解に伴う有害生成物質が中和や捕集される。
すなわち、まず第1に、プラズマリアクター5での塩素系溶剤の分解により生成された塩化水素HCl等の有害生成物質が、水酸化ナトリウムNaOHの水溶液等の捕集中和溶液19により、中和される。これと共に第2に、プラズマリアクター5において生成され残存していたオゾンO等の活性酸素種・有害生成物質が、捕集中和溶液19により捕集される。もって排気ガスAは、この面からも、無害化された排気ガスAとなって、排出口20から大気Bへと放出される。
【0040】
本発明の排気ガスA中の塩素系溶剤の無害化処理装置1は、このようようになっている。そこで、次のようになる。
(6)まず上述したように、塩素系溶剤を含有した例えば1,000m/hrの大流量の排気ガスAは、吸脱着槽3を経由させ吸着材9による塩素系溶剤の吸脱着を利用して、例えば100m/hrの小流量に流量調整してから、プラズマリアクター5に供給される。これに対し、小流量の排気ガスAは直接、プラズマリアクター5に供給される。
吸脱着槽3は、吸着材9に吸着させる方式なので、長時間にわたり供給された大流量の排気ガスAを、処理可能である。これに対しプラズマリアクター5は、プラズマ放電にて分解させる方式なので、秒単位で通過する小流量の排気ガスAの処理に適している。そして、それぞれの処理態様にマッチした処理が、実施される。
このようにして、この無害化処理装置1は1台で、塩素系溶剤を含有した大流量の排気ガスAも小流量の排気ガスAも、共に処理可能である。
【0041】
(7)そして、本発明の無害化処理装置1では、大流量の排気ガスAは、含有されていた塩素系溶剤が吸脱着槽3にて確実に吸着,除去され、もって十分にクリーン化された排気ガスAとなって、大気Bへと放出される。
又、小流量の排気ガスAや、吸脱着槽3を経由した小流量の2次的な排気ガスAは、含有された塩素系溶剤が、プラズマリアクター5にて分解,除去され、更に残存していた塩素系溶剤が、酸化触媒部6にて分解,除去され、もって十分にクリーン化された排気ガスAとなって、大気Bへと放出される。
このようにして、排気ガスAに含有されていた塩素系溶剤が、確実に除去され、クリーン化された排気ガスAが大気Bへと放出される。
【0042】
(8)更に、本発明の無害化処理装置1では、プラズマリアクター5の後に、捕集中和槽7が設けられている。
そして、プラズマリアクター5における塩素系溶剤の分解に伴い生成された有害生成物質が、捕集中和槽7にて中和や捕集されるので、この面からも、十分にクリーン化された排気ガスAが、大気Bへと放出される。
【0043】
(9)ところで、本発明の無害化処理装置1の吸脱着槽3では、排気ガスA中に含有されていた塩素系溶剤は、まず下部の吸着材9である活性炭12に吸着され、下部の活性炭12が破過するとその上の活性炭12に吸着され、事後も順次、吸着そして破過が下から上へと進行して行く。
このような吸着と破過、そしてこれに伴う発熱と発熱解除が、(つまり吸着による発熱と破過による発熱解除とが、)下から上へと順次進行して行くので、この吸脱着槽3では、各高さレベル毎に温度検出手段13を設けて、その温度変化を検出,モニターするようにしたことにより、活性炭12の破過進行状況をタイムリーに把握可能となっている。
そこで例えば、吸脱着槽3の活性炭12の全体的破過を事前に予測でき、全体的破過の看過による塩素系溶剤の吸着不能事故を、防止可能となる。
又、途中の部分的高さレベルの破過に止まっていることが確認された場合は、次の使用時において、活性炭12を全体的破過に至るまで、無駄なく使い切ることが可能となる。更に、全体的破過の場合は、熱風Cの供給によって塩素系溶剤を脱着させることにより、活性炭12を再生して再使用するか、又は活性炭12を交換したりすることになる。
【0044】
(10)なお、本発明の無害化処理装置1は、以上説明した処理方式,運転方式によらず、次のような処理方式,運転方式も可能である。
すなわち、小流量の排気ガスAであっても、日中においては、供給口2からプラズマリアクター5ではなく吸脱着槽3に供給して、塩素系溶剤を吸着,除去させ、もって排気ガスAをクリーン化して大気Bへと放出する。
そして、事後の夜間電力帯特に深夜電力帯において、熱風供給部4を駆動して吸脱着槽3に熱風Cを供給して、塩素系溶剤を脱着させると共に、吸脱着槽3から供給された2次的な排気ガスA中の脱着された塩素系溶剤を、プラズマリアクター5を駆動してプラズマ放電により分解,除去させ、もって排気ガスAをクリーン化して大気Bへと放出する。
このような処理方式,運転方式を実施した場合は、熱風供給部4やプラズマリアクター5が、夜間電力帯特に深夜電力帯に駆動されるので、その分、電気代を軽減可能である。
勿論、大流量の排気ガスAの場合も、このように、日中に大流量の排気ガスAを吸脱着槽3に供給して、吸着を実施しておき、電気料金の安い夜間電力帯特に深夜電力帯に、熱風供給部4やプラズマリアクター5を駆動して、脱着,分解を実施する処理方式,運転方式により、電気代を軽減可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る排気ガス中の塩素系溶剤の無害化処理装置について、発明を実施するための最良の形態の説明に供し、全体構成の正面説明図である。
【図2】プラズマリアクターを示し、(1)図は、側面図であり、(2)図は、斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1 無害化処理装置
2 供給口
3 吸脱着槽
4 熱風供給部
5 プラズマリアクター
6 酸化触媒部
7 捕集中和槽
8 ブロア
9 吸着材
10 排出口
11 入口
12 活性炭
13 温度検出手段
14 金網
15 中心電極
16 誘電体
17 外側電極
18 酸化触媒
19 捕集中和溶液
20 排出口
21 流量計
22 配管
A 排気ガス
B 大気
C 熱風
D 間隔
V バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガス中に含有された塩素系溶剤の無害化処理装置であって、供給口,吸脱着槽,熱風供給部,プラズマリアクター等を備えており、
該吸脱着槽は、吸着材が充填されており、該供給口から塩素系溶剤を含有した大流量の排気ガスが供給されて、塩素系溶剤を該吸着材に吸着し、もって無害化された排気ガスを、その排出口から大気へと放出可能であり、
該熱風供給部は、熱風を該吸脱着槽に供給可能で、その熱風が、該吸脱着槽の吸着材に吸着された塩素系溶剤を脱着可能となっており、
該プラズマリアクターは、該供給口から塩素系溶剤を含有した小流量の排気ガスが供給されるか、又は、該吸脱着槽の吸着材から脱着された塩素系溶剤を含有した熱風ガス、つまり小流量の2次的な排気ガスが供給され、それらの排気ガスの塩素系溶剤をプラズマ放電により分解し、もって無害化された排気ガスを大気へと放出可能であること、を特徴とする、排気ガス中の塩素系溶剤の無害化処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載した排気ガス中の塩素系溶剤の無害化処理装置において、更に、酸化触媒部,捕集中和槽を備えており、
該酸化触媒部は、該プラズマリアクターを通過した排気ガスが供給され、酸化触媒により、残存していた塩素系溶剤を分解可能であり、
該捕集中和槽は、該酸化触媒部から排気ガスが供給され、捕集中和溶液により、分解に伴う有害生成物質を中和や捕集し、もって無害化された排気ガスを、その排出口から大気へと放出可能であること、を特徴とする、排気ガス中の塩素系溶剤の無害化処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載した排気ガス中の塩素系溶剤の無害化処理装置において、該吸脱着槽は、下端部に設けられた排気ガスの入口と、上端部に設けられた排気ガスの該排出口と、該吸着材として内部に充填された活性炭と、温度検出手段と、を備えており、
該温度検出手段は、該活性炭の充填高さレベルに応じて複数設けられており、該活性炭について、塩素系溶剤の吸着そして破過が下から上へと徐々に進行して行くのに伴い、下から上へと徐々に進行して行く発熱そして発熱解除の温度変化を検出し、もって検出された温度変化に基づき、該活性炭の破過進行状況を常時確認可能となっていること、を特徴とする、排気ガス中の塩素系溶剤の無害化処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載した排気ガス中の塩素系溶剤の無害化処理装置において、小流量の排気ガスであっても、日中においては請求項1の記載にかかわらず、該供給口から、該プラズマリアクターではなく該吸脱着槽に供給されると共に、
夜間電力帯において、該熱風供給部から該吸脱着槽に熱風が供給されると共に、該吸脱着槽から供給された2次的な排気ガスについて、該プラズマリアクターにてプラズマ放電による塩素系溶剤の分解が行われ、もって無害化された排気ガスを大気へと放出可能となっていること、を特徴とする、排気ガス中の塩素系溶剤の無害化処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載した排気ガス中の塩素系溶剤の無害化処理装置において、該熱風供給部は、塩素系溶剤の沸点の1.88倍程度以上の温度の熱風を、小流量にて該吸脱着槽に供給可能となっていること、を特徴とする、排気ガス中の塩素系溶剤の無害化処理装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−122774(P2006−122774A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−312053(P2004−312053)
【出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【出願人】(000187208)昭和飛行機工業株式会社 (72)
【Fターム(参考)】