説明

排気ガス浄化装置

【課題】
触媒に投入された熱エネルギーを有効に活用することができるようにした、排気ガス浄化装置を提供する。
【解決手段】
排気ガス浄化装置7であって、エンジン2からの排気ガスが流れる排気管4中に設けられたケーシング8と、ケーシング8内に配置され、触媒層を担持し、ケーシング8の径方向内側に向かうにつれて単位体積あたりに供給される熱量に対し温度上昇が大きくなるように形成されている担体11とを備えて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンからの排気ガスを浄化する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンから排出される有害物質(例えば、一酸化炭素(CO),炭化水素(HC),窒素酸化物(NOx)等)を酸化又は還元して、より無害な物質に変換する触媒が、エンジンの排気通路に設けられているものがある。
例えば、特許文献1には、複数のハニカム構造体から成る触媒を形成し、個々の構造体の中で単位体積あたりの熱容量に差異を設けることで、ハニカム構造体の温度上昇を抑える技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−10616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、触媒全体として均一的に温度上昇を抑制しているため、触媒が活性になる性能を向上させることができず、触媒に投入された熱エネルギーを効率よく活用することができないという課題がある。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、触媒に投入された熱エネルギーを有効に活用することができるようにした排気ガス浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の排気ガス浄化装置は、エンジンからの排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置であって、該排気ガスが流れる排気通路中に設けられたケーシングと、該ケーシング内に配置され、触媒層を担持する担体とを備え、該担体は、該ケーシングの径方向内側に向かうにつれて単位体積あたりに供給される熱量に対し温度上昇が大きくなるように形成されていることを特徴としている。
【0006】
また、本発明の排気ガス浄化装置は、該担体は、少なくとも第1担体と該第1担体の径方向外側に位置する第2担体とを有し、該第1担体の単位体積あたりに供給される熱量に対する温度上昇は、該第2担体の単位体積あたりに供給される熱量に対する温度上昇より大きく、排気ガス流方向視において、該第1担体における該排気ガス流方向の直交断面である第1直交断面は、該排気通路における該排気ガス流方向の直交断面である通路直交断面と一致または該通路直交断面を内包するように設けられることを特徴としている。
【0007】
また、本発明の排気ガス浄化装置は、該担体は、該ケーシングの径方向内側に向かうにつれて単位体積あたりの熱容量が小さくなるように形成されていることを特徴としている。
また、本発明の排気ガス浄化装置は、該担体は、ケーシングの径方向外側に向かうにつれて熱伝導率が小さくなるように形成されていることを特徴としている。
【0008】
また、本発明の排気ガス浄化装置は、該担体は、該ケーシングの上流側に向かうにつれて単位体積あたりに供給される熱量に対し温度上昇が大きくなるように形成されていることを特徴としている。
また、本発明の排気ガス浄化装置は、該担体は、排気ガス流方向に開放された複数のセルを有するセル構造であり、該担体は、該セル間の壁部に穴加工を施すことにより、その単位体積あたりに供給される熱量に対する温度上昇量が増減されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の排気ガス浄化装置によれば、触媒に投入された熱エネルギーを有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態に係る排気ガス浄化装置が適用された車両に搭載されたエンジン及び排気系を主に示す模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態における排気ガス浄化装置の構造を示す模式図であって、(A)は側面、(B)は断面を示す。なお、(B)は(A)のa−a断面である。
【図3】本発明の第1実施形態および比較例における排気ガス浄化装置から大気中に排出される排気ガス中のHC,COおよびNOxの量を示す模式図である。
【図4】本発明の第2実施形態における排気ガス浄化装置の構造を示す模式図であって、(A)は側面、(B)は断面を示す。なお、(B)は(A)のe−e断面である。
【図5】本発明の第3実施形態における排気ガス浄化装置の構造を示す模式図であって、(A)は側面、(B)および(C)は断面を示す。なお、(B)は(A)のb−b断面であり、(C)は(A)のc−c断面である。
【図6】比較例における排気ガス浄化装置の構造を示す模式図であって、(A)は側面、(B)は断面を示す。なお、(B)は(A)のd−d断面である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
図1に示すように、本実施形態の排気ガス浄化装置7は、車両1に適用されている。この車両1に搭載されたエンジン2の吸気ポート(図示略)には、吸気通路6が接続されている。また、エンジン2の排気ポート(図示略)には、排気マニホールド3の一端が接続されるとともに、排気マニホールド3の他端には排気管4が接続されている。そして、これら排気マニホールド3及び排気管4により、エンジン2からの排気ガスが流れる排気通路5が構成されている。
【0012】
また、図2(A)および(B)に示すように、排気管4には、ケーシング8内に触媒9を備えた排気ガス浄化装置7が設けられている。
ケーシング8は、排気管4と接続される上流側接続部14Aおよび下流側14Bと、触媒9を内部に配置する円筒状の円筒部15とを備えている。また、排気管4の外径は、円筒部15の外径よりも小さくなるように形成されている。
【0013】
そして、円筒部15の上流側に形成された上流側接続部14Aは、排気ガス流下流に向けてその径が拡がるように形成されている。また、円筒部15の下流側に形成された下流側接続部14Bは、排気ガス流下流に向けてその径が窄まるように形成されている。つまり、これらの上流側接続部14Aおよび下流側接続部14Bによって、外径の異なる排気管4と円筒部15とを連続的に接続することができるようになっている。
【0014】
また、触媒9は、ステンレス製の担体11と、この担体11の表面に塗布されている触媒層(図示略)とから主に構成されている。この触媒9は三元触媒であり、エンジン2から排出された排気ガスに含まれる一酸化炭素(CO),炭化水素(HC)および窒素化合物(NOx)を、窒素(N),二酸化炭素(CO)および水(HO)へ化学変化させることで、排気ガスを浄化するようになっている。なお、触媒層には、例えば、触媒主成分である白金、パラジウムやロジウムといった貴金属や、排気ガスの空燃比変動の影響を抑制する助触媒(いわゆる、OSC剤(Oxygen Storage Component))としてセリウム酸化物などが含有されている。
【0015】
また、担体11は、ステンレス製の耐熱合金を用いた厚み数十μmの平箔(図示略)の上に波箔(図示略)を接着したものを円筒形に巻くことにより形成され、これにより排気ガス流方向に開放された複数のセルを有するセル構造が形成されるようになっている。つまり、平箔と波箔とがセル間を仕切る壁部として形成されるようになっている。
そして、この担体11は、中心部に位置する第1担体部(第1担体)12と、この第1担体部の外周を包むように形成される第2担体部(第2担体)13とで構成され、第1担体部12と第2担体部13は単位体積あたりに供給される熱量に対して温度上昇が異なるように設定されている。具体的には、第1担体部12の単位体積あたりの熱容量である第1熱容量Cc1は、第2担体部13の単位体積あたりの熱容量である第2熱容量Cc2よりも小さくなるように、第1担体部12に穴加工を行なうことで単位体積あたりの熱容量を小さくしている。
【0016】
また、図2(A)に示すように、第1担体部12および第2担体部13は、ケーシング8の円筒部15に配置されている。
また、図2(B)に示すように、第1担体部12は、その排気ガス流方向の直交断面である第1直交断面CSc1が円形になるように形成されている。また、第2担体部13は、その排気ガス流方向の直交断面である第2直交断面CSc2が第1担体部12とケーシング8の円筒部15との間に管状になるように形成されている。つまり、第1担体部12は、担体11において、ケーシング8の径方向(即ち、排気ガス流方向に対して直交方向)内側に設けられた部分として形成され、他方、単位体積あたりの熱容量が第1担体部12よりも大きい第2担体部13は、ケーシング8の径方向(即ち、排気ガス流方向に対して直交方向)外側に設けられた部分として形成されている。換言すれば、担体11は、ケーシング8の径方向外側の単位体積あたりの熱容量が、径方向内側の単位体積あたりの熱容量よりも大きくなるように形成されている。
【0017】
また、第1直交断面CSc1の断面積は、排気管4における排気ガス流方向直交断面である通路直交断面CSgpの断面積以上になるように設定されている。換言すれば、第1担体部12の直径dc1は、排気管4の内径dgp以上になるように設定されている。つまり、第1担体部12の直径dc1及び排気管4の内径dgpとの関係は、以下の式(1)を満たすように設定されている。
【0018】
【数1】

【0019】
さらに、図2(B)に示すように、排気ガス流方向視において、第1直交断面CSc1は、通路直交断面CSgpを内包するように設けられている。
また、第1担体部12の直径dc1は、第2担体部13の直径dc2の2分の1よりも大きく、かつ、第2担体部13の直径dc2の10分の9よりも小さく形成されている。つまり、第1担体部12の直径dc1と第2担体部13の直径dc2との関係は、以下の式(2)を満たすように設定されている。
【0020】
【数2】

【0021】
本発明の第1実施形態にかかる排気ガス浄化装置7は上述のように構成されているので、以下のような作用・効果を奏する。
本実施形態の排気ガス浄化装置7によれば、担体11は、上式(2)を満たし、かつ、ケーシング8の径方向外側の第2熱容量Cc2が、径方向内側の第1熱容量Cc1よりも大きくなるように形成されている。そのため、排気ガスが第1担体部12および第2担体部13を通過し始める初期段階において、第1担体部12および第2担体部13に排気ガスが与える熱エネルギーが同一であっても、第1担体部12の温度を、第2担体部13の温度よりも短時間で上昇させることができる。これにより、触媒反応の活性化を促進させることができる。
【0022】
また、第1担体部12と第2担体部13の温度が昇温し触媒反応が活性化された後は、第2担体部の熱容量が大きいため、第2担体部が外気温により冷却されても放熱に伴う温度低下を抑制することができる。したがって、排気ガス浄化装置7によれば、触媒9に投入された熱エネルギーの有効活用が可能となり、排気ガスの浄化性能を向上させることができる。
【0023】
また、本実施形態の排気ガス浄化装置7によれば、上式(1)を満たし、かつ、排気ガス流方向視において、第1直交断面CSc1は、通路直交断面CSgpを内包するように配置されている。そのため、排気ガスは、流れに対する抵抗の小さい第1担体部12内を主に通過させることが可能となり、また、排気ガスの流れが阻害されることを抑制することができる。そのため、第1担体部12を通過する排気ガスの流量を、第2担体部13を通過する排気ガスの流量より多くすることができる。そのため、第2担体部13と排気ガスとの熱交換よりも、第1担体部12と排気ガスとの熱交換を有効に行なうことができる。これにより、排気ガスの主流が流れる第1担体部12において、排気ガスにより与えられる熱エネルギーを有効に活用することが可能となり、触媒反応の活性化を促進させることができる。
【0024】
さらに、第1担体部12の熱容量を小さくするために、隣り合うセル同士が連通するように穴加工が施されていることにより、セル間の排気ガスの流通が活発になり触媒反応の活性化の促進が期待できる。
ここで、本実施形態の排気ガス浄化装置7との比較例である排気ガス浄化装置107について、図6を用いて説明する。なお、本実施形態の排気ガス浄化装置7と同じ構成要素については、図1および図2において用いている符号と同じ符号を図6において用いている。
【0025】
図6(A)および(B)に示すように、この排気ガス浄化装置107は、第1担体部12と単位体積あたりの熱容量が同じである担体111を用いた触媒109を使用しており、その他の構成は本実施形態の排気ガス浄化装置7と同様である。つまり、この排気ガス浄化装置107では、本実施形態の排気ガス浄化装置7の如く、熱容量が大きい第2担体部13を設けていない。このため、触媒の早期活性化と活性後の担体111の熱エネルギーがケーシング8の外へ放出されることに伴う温度低下を抑制することができない。換言すれば、図1および図2に示す本実施形態の排気ガス浄化装置7は、図6に示す比較例の排気ガス浄化装置107と比べて、排気ガスによって担体11に投入された熱エネルギーを有効に活用することができる。
【0026】
したがって、図3に示すように、本実施形態の排気ガス浄化装置7によれば、比較例の排気ガス浄化装置107と比べて、エンジン2から排出される有害物質である一酸化炭素(CO),炭化水素(HC),窒素酸化物(NOx)のいずれも低減することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態の排気ガス浄化装置17と同じ構成要素については、図1および図2において用いている符号と同じ符号を用いている。したがって、本実施形態の排気ガス浄化装置17は、図1および図2を用いて前述した第1実施形態の排気ガス浄化装置7と重複する部品や特徴については、ここでの説明を省略する。
【0027】
本実施形態の排気ガス浄化装置17においては、担体11に設けられる、第1担体部12と第2担体部13とは熱伝導率が異なるように設定されている点が特徴である。担体11はステンレス製であることは第1実施形態でも述べたが、ステンレス鋼は鉄を主成分とし、これに約12%以上のクロム(Cr)を含み更に必要に応じてニッケル(Ni)やその他の元素を配合添加して作られる合金鋼である。そのため、これら各元素の配合率を適宜変更することにより熱伝導率を調整することができる。具体的には、第1担体部12の熱伝導率である第1熱伝導率Tc1は、第2担体部13の熱伝導率である第2熱伝導率Tc2よりも大きくなっている。つまり、熱伝導率が高ければ熱エネルギーの伝達効率が良いため、担体の内部において熱エネルギーがより拡散されて、所定の熱エネルギーが与えられた場合に担体全体に渡っての昇温がし易くなる。一方、熱伝導率が低ければ径方向内側から径方向外側へ熱エネルギーが伝達し難くなり、担体の外部へ放出される単位時間当たりの熱エネルギーが抑制されることとなる。
【0028】
したがって、排気ガスが第1担体部12および第2担体部13を通過し始める初期段階において、第1担体部12および第2担体部13に排気ガスが与える熱エネルギーが同一であっても、第1担体部12の全体の温度を、第2担体部13の全体の温度よりも短時間で上昇させることができる。さらに、第2担体部13の熱伝導率が小さいことで第1担体部12から第2担体部に伝達される熱エネルギーを抑制することもできる。これにより、第1担体部12の触媒反応の活性化を促進させることができる。
【0029】
また、第1担体部12と第2担体部13の温度が昇温し触媒反応が活性化された後は、第2担体部の熱伝導率が小さいため、第2担体部が外気温により冷却されても外部への放熱が抑制され、ひいては温度低下を抑制することができる。さらに第1担体部12は熱伝導率の低い第2担体部13に包み込まれているため、第1担体部12の温度低下も抑制できる。したがって、排気ガス浄化装置7によれば、触媒9に投入された熱エネルギーの有効活用が可能となり、排気ガスの浄化性能を向上させることができる。
【0030】
なお、熱量量及び熱伝導率の双方の条件が成立するように設定すれば更に排気ガスの浄化性能を向上させることができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について、図5を用いて説明する。なお、本実施形態の排気ガス浄化装置17と同じ構成要素については、図1および図2において用いている符号と同じ符号を図5において用いている。したがって、本実施形態の排気ガス浄化装置17は、図1および図2を用いて前述した第1又は第2実施形態の排気ガス浄化装置7と重複する部品や特徴については、ここでの説明を省略する。
【0031】
本実施形態の排気ガス浄化装置17においては、担体11には、第1担体部12および第2担体部13に加え、さらに、第3担体部10が設けられている点が特徴である。
つまり、図5(A)に示すように、本実施形態では、第1担体部12、第2担体部13および第3担体部10は、ケーシング8の円筒部15内に配置されている。また、第3担体部10は、第1担体部12および第2担体部13の下流側に設けられている。また、図5(C)に示すように、排気ガス流方向の直交断面視において、第3担体部10は、その断面が円形になるように形成されている。また、この第3担体部10の単位体積あたりの熱容量である第3熱容量Cc3は、第1熱容量Cc1よりも大きく、第2熱容量Cc2と同等以上になるように形成されている。つまり、担体11は、ケーシング8の下流側の単位体積あたりの熱容量が、上流側の単位体積あたりの熱容量よりも大きくなるように形成されている。
【0032】
また、図5(A)に示すように、第1担体部12の長さtc1は、担体11の長さtc0の3分の1よりも大きく、かつ、担体11の長さtc0の10分の9よりも小さく形成されている。つまり、第1担体部12の長さtc1と担体11の長さtc0との関係は、以下の式(3)を満たすように設定されている。
【0033】
【数3】

【0034】
本発明の第3実施形態にかかる排気ガス浄化装置16は上述のように構成されているので、以下のような作用・効果を奏する。
本実施形態の排気ガス浄化装置16によれば、担体11は、上式(3)を満たし、かつ、ケーシング8の下流側の単位体積あたりの熱容量が上流側の単位体積あたりの熱容量よりも大きくなるように形成されているため、ケーシング8内の触媒9の温度を高く保つことができ、触媒反応の活性化を促進させることができる。さらに、本実施形態の排気ガス浄化装置16によれば、第1実施形態と同様、担体11は、排気ガス流方向に対して直交方向(ケーシングの径方向)での熱容量を考慮すると共に、排気ガス流方向(ケーシングの下流方向)での熱容量を考慮しているため、触媒9に投入された熱エネルギーをより有効に活用することができると共に、触媒反応の活性化をより促進させることができる。
【0035】
なお、熱伝導率についても第2実施形態と同様に、排気ガス流方向での熱伝導率を考慮することにより、触媒9に投入された熱エネルギーをより有効に活用することができると共に、触媒反応の活性化をより促進させることができる。
[その他]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0036】
上述の実施形態では、触媒層が三元触媒として機能する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、触媒層が、排気ガス中のHCをトラップするHCトラップ触媒として機能する成分を含有するものとしてもよいし、排気ガス中のNOxをトラップするNOxトラップ触媒として機能する成分を含有するものとしてもよい。
また、上述の実施形態では、第1担体部12がケーシング8の内径側に配置され、単位体積あたりの熱容量が第1担体部12よりも大きい第2担体部13がケーシング8の外径側に配置されるようになっている構成としたが、径方向の単位体積あたりの熱容量の変化は2段階に限るものではない。つまり、単位体積あたりの熱量の変化は多段階に変化させてもよく、また、グラデーション的に、徐々に且つ連続的に変化させてもよい。
【0037】
また、上述の実施形態では、第1担体部12の単位体積あたりの熱容量は、第2担体部13の単位体積あたりの熱容量よりも小さくなるように、第1担体部12に穴加工を行なうことで単位体積あたりの熱容量を小さくしたが、これに限定されるものではない。例えば、第1担体部12における単位断面積あたりのセル数を、第2担体部13における単位断面積あたりのセル数よりも少なくなるようにしてもよい。また、第1担体部12の壁厚を、第2担体部13の壁厚よりも小さくなるようにしてもよい。この場合、低熱容量とするほどセル数は減少また壁厚は薄くなり、第1担体部12を通過する排気ガスの圧力損失は低下することとなり、排気ガスが流れに対する抵抗の小さい第1担体部12内を主に通過することが可能となり、排気ガスの流れが阻害されることを抑制することができる。また、これらを組み合わせることによって、第1担体部12の単位体積あたりの熱容量を、第2担体部13の単位体積あたりの熱容量よりも小さくなるようにしてもよい。
【0038】
また、上述の実施形態では、第2担体部13がケーシング8内における上流側に配置され、単位体積あたりの熱容量が第2担体部13と同等以上の第3担体部10がケーシング8の下流側に配置されるようになっている構成としたが、排気ガス流方向の単位体積あたりの熱容量の変化は2段階に限るものではない。つまり、単位体積あたりの熱容量の変化は多段階に変化させてもよく、また、グラデーション的に、徐々に且つ連続的に変化させてもよい。
【0039】
また、上述の実施形態では、第1担体部12および第2担体部13は、ともにステンレス製としたが、ステンレス製に限定するものではなく、例えば、コージライト製としてもよいし、ゼオライト製としてもよい。
また、第1担体部12と第2担体部13とを、それぞれ別々の材質で形成し、第1担体部12の熱伝導率を、第2担体部13の熱伝導率よりも高くなるようにしてもよい。これにより、第2担体部13の温度に比して、排気ガスの主流が通過する第1担体部12全体の温度を短時間で上昇させることが可能となり、その結果、触媒反応の活性化を促進させることができる。また、第2担体部13からケーシング8への放熱が抑制されることで第2担体部13の温度低下が抑制されるため、第1担体部12及び第2担体部13の温度を更に高く保つことができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、車両の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 車両
2 エンジン
3 排気マニホールド
4 排気管(排気通路)
5 排気通路(排気通路)
6 吸気通路
7 排気ガス浄化装置
8 ケーシング
9 触媒
10 第3担体部
11 担体
12 第1担体(第1担体部)
13 第2担体(第2担体部)
14A 上流側接続部
14B 下流側接続部
15 円筒部
16 排気ガス浄化装置
17 排気ガス浄化装置
c1 第1熱容量
c2 第2熱容量
c3 第3熱容量
CSgp 通路直交断面
CSc1 第1直交断面
CSc2 第2直交断面
gp 排気管4の内径
c1 第1担体部12の直径
c2 第2担体部13の直径
c0 担体11の長さ
c1 第1担体部12の長さ
c1 第1熱伝導率
c2 第2熱伝導率

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンからの排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置であって、
該排気ガスが流れる排気通路中に設けられたケーシングと、
該ケーシング内に配置され、触媒層を担持する担体とを備え、
該担体は、該ケーシングの径方向内側に向かうにつれて単位体積あたりに供給される熱量に対し温度上昇が大きくなるように形成されている
ことを特徴とする、排気ガス浄化装置。
【請求項2】
該担体は、少なくとも第1担体と該第1担体の径方向外側に位置する第2担体とを有し、
該第1担体の単位体積あたりに供給される熱量に対する温度上昇は、該第2担体の単位体積あたりに供給される熱量に対する温度上昇より大きく、
排気ガス流方向視において、
該第1担体における該排気ガス流方向の直交断面である第1直交断面は、該排気通路における該排気ガス流方向の直交断面である通路直交断面と一致または該通路直交断面を内包するように設けられる
ことを特徴とする、請求項1の排気ガス浄化装置。
【請求項3】
該担体は、該ケーシングの径方向内側に向かうにつれて単位体積あたりの熱容量が小さくなるように形成されている
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項4】
該担体は、ケーシングの径方向外側に向かうにつれて熱伝導率が小さくなるように形成されている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項5】
該担体は、該ケーシングの上流側に向かうにつれて単位体積あたりに供給される熱量に対し温度上昇が大きくなるように形成されている
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項6】
該担体は、排気ガス流方向に開放された複数のセルを有するセル構造であり、
該担体は、該セル間の壁部に穴加工を施すことにより、その単位体積あたりに供給される熱量に対する温度上昇量が増減される
ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の排気ガス浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−50924(P2011−50924A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204621(P2009−204621)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】