説明

排水処理装置

【課題】装置全体が大掛かりになることがなく、汚泥発生率を低くでき、硫化水素等の腐敗臭がほとんど発生しない排水処理装置を提供する。
【解決手段】排水処理装置1は、排水が流入する調整槽5と、調整槽5からの排水が流入し腐植物質および珪酸塩が投入される第1反応槽6とを備える。また装置1は、第1反応槽6からの排水が流入する第2反応槽7と、第2反応槽7からの排水が流入しこの排水を汚泥と上澄処理水とに分離する沈殿槽8とを備える。さらに装置1は、調整槽5内の排水、第1反応槽6内の排水および第2反応槽7内の排水に対して間欠曝気を行う間欠曝気手段22と、沈殿槽8内で沈殿した汚泥を調整槽5および第1反応槽6に返送する汚泥返送手段23とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置全体が大掛かりになることがなく、汚泥発生率を低くでき、無酸素状態が長期間続いても硫化水素等の腐敗臭がほとんど発生しない排水処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、排水中の有機物を好気性微生物(活性汚泥)によって酸化分解して排水処理する活性汚泥法が広く利用されている。しかし、この処理過程において発生する余剰汚泥は、清掃業者によって定期的に搬出処分されるが、この余剰汚泥処分費が年々高騰しており、維持管理コストが高くなる傾向にある。また、維持管理コストの問題だけでなく、地球環境に与える影響からも、余剰汚泥が極力発生しないような排水処理装置が望まれている。
【0003】
そこで、従来より、余剰汚泥の発生を抑えようと、汚泥の可溶化のために次亜塩素酸、オゾン、アルカリ等を利用した排水処理装置がある(例えば特許文献1〜3参照)。
【特許文献1】特開2007−209889号公報
【特許文献2】特開2006−314911号公報
【特許文献3】特開2005−246346号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の排水処理装置では、例えば装置全体が大掛かりになってしまう問題や、例えば工場の長期休暇等で排水が発生しない場合に、曝気を続けていると、好気性微生物が栄養分を食い尽くして問題を起こすため、曝気を制限することがあるが、曝気量が不足した場合、嫌気性微生物の働きによって硫化水素等の腐敗臭が発生する問題もある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、装置全体が大掛かりになることがなく、汚泥発生率を低くでき、無酸素状態が長期間続いても硫化水素等の腐敗臭がほとんど発生しない排水処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の排水処理装置は、排水が流入する調整槽と、この調整槽からの排水が流入し、腐植物質および珪酸塩が投入される第1反応槽と、この第1反応槽からの排水が流入する第2反応槽と、この第2反応槽からの排水が流入し、この流入した排水を汚泥と上澄処理水とに分離する沈殿槽と、前記調整槽内の排水、前記第1反応槽内の排水および前記第2反応槽内の排水に対して間欠曝気を行う間欠曝気手段と、前記沈殿槽内で沈殿した汚泥を前記調整槽および前記第1反応槽に返送する汚泥返送手段とを備えるものである。
【0007】
請求項2記載の排水処理装置は、請求項1記載の排水処理装置において、調整槽に流入する排水流入量に対する汚泥返送量の割合である汚泥返送率が150%〜320%であるものである。
【0008】
請求項3記載の排水処理装置は、請求項1または2記載の排水処理装置において、間欠曝気手段は、少なくとも第1反応槽内の排水に対する間欠曝気と第2反応槽内の排水に対する間欠曝気とを同時に行うものである。
【0009】
請求項4記載の排水処理装置は、請求項1ないし3のいずれか一記載の排水処理装置において、調整槽に返送される汚泥返送量と第1反応槽に返送される汚泥返送量との割合が2対8であるものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、腐植物質および珪酸塩の投入と間欠曝気手段による間欠曝気とによって腐植化反応を安定して起こすことができるため、装置全体が大掛かりになることがなく、汚泥発生率を低くでき、無酸素状態が長期間続いても硫化水素等の腐敗臭がほとんど発生しない。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、汚泥返送率が150%〜320%であるため、排水中の窒素を効果的に低減できるとともに、沈殿槽内での汚泥の沈殿性を向上できる。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、間欠曝気手段は、第1反応槽内の排水に対する間欠曝気と第2反応槽内の排水に対する間欠曝気とを同時に行うため、排水流入量・濃度が変化して第1反応槽の微生物群の生態系バランスが崩れたとしても、これに対応して第2反応槽の微生物群の生態系バランスが変化し、装置全体としては生態系バランスが保たれるため、安定した排水処理を行うことができる。
【0013】
請求項4に係る発明によれば、調整槽に返送される汚泥返送量と第1反応槽に返送される汚泥返送量との割合を2対8にすることで、上澄処理水中のリンを効果的に低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の排水処理装置の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図1において、1は排水処理装置で、この排水処理装置1は、例えば食品工場等から排出される有機物等を含む有機性排水を浄化処理するものである。
【0016】
排水処理装置1は、例えば食品工場等の排水設備2の排水管3からの排水(原水)が流入する調整槽5を備えている。調整槽5には、排水管3を流れてきた水質等が不安定な排水が一時的に貯留され、下流側における排水の水質等の安定化が図られる。
【0017】
また、排水処理装置1は、調整槽5の下流側に3つの槽、すなわち調整槽5からの排水が流入し腐植物質および珪酸塩が投入される第1反応槽(例えば培養反応槽)6と、この第1反応槽6からの排水が流入する第2反応槽(例えば培養促進槽)7と、この第2反応槽7からの排水が流入しこの流入した排水を沈殿分離により汚泥と上澄処理水とに分離する沈殿槽8とを備えている。
【0018】
調整槽5と第1反応槽6とが第1接続管11にて接続され、第1反応槽6と第2反応槽7とが第2接続管12にて接続され、第2反応槽7と沈殿槽8とが第3接続管13にて接続されている。沈殿槽8には、沈殿槽8内の上澄処理水を装置外部に放流する放流管14が接続されている。
【0019】
第1接続管11の途中には圧送手段である定量ポンプ(図示せず)が設けられ、この定量ポンプの作動によって調整槽5内の排水が一定量ずつ第1反応槽6に送られる。また、第2接続管12および第3接続管13はオーバーフロー管であり、第1反応槽6内の排水はオーバーフローによって第2接続管12を通って第2反応槽7内に送られ、第2反応槽7内の排水はオーバーフローによって第3接続管13を通って沈殿槽8内に送られる。
【0020】
また、第1反応槽6内には、腐植物質および珪酸塩が入れられた投入ユニット21が配設され、この投入ユニット21は例えば第1反応槽6内の上部に浸漬配置されている。投入ユニット21は、例えば腐植物質および珪酸塩が入れられた網状袋や金網かご等である。
【0021】
なお、腐植物質は、例えば陸生(森林)土壌、海底堆積物等から抽出されたもので、その構造式はタンニンやリグニンに類似した高分子有機物である。腐植物質は、糸状菌やバクテリア等によって分解され、植物の成長に必要な栄養素(アミノ酸、核酸、ビタミン、ホルモン)を作り出し、最終的にはCO2、水、NH3、硝酸塩、リン酸等の無機物に変換される。
【0022】
さらに、排水処理装置1は、調整槽5内の排水、第1反応槽6内の排水および第2反応槽7内の排水に対して間欠曝気を同時に行う間欠曝気手段22と、沈殿槽8内で沈殿した汚泥(活性汚泥)を上流側の調整槽5および第1反応槽6に配分返送する汚泥返送手段23とを備えている。
【0023】
間欠曝気手段22は、3つの曝気槽である槽5,6,7に対して同時に曝気およびその停止を行うものである。この間欠曝気手段22は、調整槽5内の下部に配置され調整槽5内の排水に空気を間欠供給する第1曝気部31と、第1反応槽6内の下部に配置され第1反応槽6内の排水に空気を間欠供給する第2曝気部32と、第1反応槽6内の投入ユニット21の下方近傍に配置され投入ユニット21内の腐植物質および珪酸塩等を攪拌する第3曝気部33と、第2反応槽7内の下部に配置され第2反応槽7内の排水に空気を間欠供給する第4曝気部34とを有している。各曝気部31,32,33,34は、例えば複数の孔が形成された散気管等である。
【0024】
また、これら第1曝気部ないし第4曝気部31,32,33,34は、分岐配管36,37,38,39および共通配管40を介して1つのブロワ41に接続され、各分岐配管36,37,38,39の途中には分岐配管36,37,38,39を流れる空気量を調整する空気量調整用のバルブ42,43,44,45がそれぞれ設けられている。
【0025】
そして、間欠曝気手段22の1つのブロワ41によって、調整槽5内の排水に対する間欠曝気と、第1反応槽6内の排水に対する間欠曝気と、第2反応槽7内の排水に対する間欠曝気とが同時に行われる。すなわち、3つの槽5,6,7について曝気用のブロワ41の作動と停止のタイミングが同じで、例えば曝気用のブロワ41は15分経過する毎にオン・オフするように設定される。
【0026】
汚泥返送手段23は、一端側が沈殿槽8に接続されかつ他端側が調整槽5および第1反応槽6に接続された汚泥返送管51を有し、この汚泥返送管51の途中には、沈殿槽8内で沈殿した汚泥を汚泥返送管51を通して調整槽5および第1反応槽6に配分返送するポンプ52が設けられている。
【0027】
なお、ブロワ41およびポンプ52には、これらブロワ41およびポンプ52等を制御する制御手段(図示せず)が接続されている。そして、制御手段の制御に基づき、調整槽5に流入する排水流入量に対する汚泥返送量の割合である汚泥返送率が150%〜320%の範囲内のある値に設定される。また、調整槽5に返送される汚泥返送量と第1反応槽6に返送される汚泥返送量との割合は2対8に設定される。
【0028】
次に、排水処理装置1の作用等を説明する。
【0029】
食品工場等の排水設備2からの排水は、排水管3を通って調整槽5に流入し、調整槽5内で一時的に貯留される。
【0030】
そして、調整槽5内の排水は定量ポンプの作動によって第1接続管11を通って第1反応槽6に流入し、第1反応槽6内の排水はオーバーフローによって第2接続管12を通って第2反応槽7内に流入し、第2反応槽7内の排水はオーバーフローによって第3接続管13を通って沈殿槽8内に流入する。
【0031】
沈殿槽8内に流入した排水は、沈殿分離によって排水が汚泥と上澄処理水とに固液分離され、上澄処理水は放流管14を通って装置外部に放流され、汚泥は汚泥返送管51を通って調整槽5および第1反応槽6に返送される。
【0032】
そして、調整槽5、第1反応槽6および第2反応槽7では、間欠曝気手段22のブロワ41の作動により曝気が行われている好気状態下では、排水中の有機物等が活性汚泥の好気性微生物によって酸化分解され、排水が浄化処理される。
【0033】
また、第1反応槽6では、間欠曝気手段22のブロワ41の停止により一時的な嫌気状態が作り出され、腐植物質と珪酸塩との働きにより腐植化反応が発生する。この腐植化反応は、腐植物質に含まれる独立栄養細菌(通性嫌気性細菌)群が珪酸塩をエネルギーとして増殖して有機物を生成するものであり、さらにその有機物を栄養源として微生物が増殖して排水の浄化処理が進行する。
【0034】
第2反応槽7からの排水は、沈殿槽8において汚泥と上澄処理水とに分離されるが、このとき、沈殿した汚泥は、嫌気状態下で保持されているため、この保持時間が長くなるほど汚泥に取り込まれているリンが排水中に多く放出され、沈殿槽8内の上澄処理水のリン濃度が上昇してしまう。
【0035】
そこで、汚泥返送を繰り返すことで、リンが沈殿槽8の上澄処理水である放流水に放出されることを防いでいる。これは、汚泥返送率がリンの再溶出に大きく関係していることを意味しているが、汚泥がリンを取り込むことは沈殿槽8に至る前段階でいかに好気状態に曝されていたかが問題となる。これに対し、好気状態を強めるために、間欠曝気でのブロワ41の作動時間の割合を増やす方法も考えられるが、排水処理装置1では、排水変動に対する処理の安定性に重点を置いており、3つの槽5,6,7(少なくとも第1反応槽6および第2反応槽7)の曝気条件を統一して管理しているため、第1反応槽6の腐植物質に含まれる独立栄養細菌群が嫌気状態に曝される時間が減少し、その働きを弱めてしまう。そこで、返送汚泥を第1反応槽6だけでなく調整槽5にまで戻すことにより、好気状態と嫌気状態とのバランスを崩すことなく、好気状態に曝される時間を長くすることで汚泥がリンを取り込むことを促進できる。
【0036】
また、間欠曝気手段22のブロワ41の作動および停止のタイミングが3つの槽5,6,7で同じであるが、各槽5,6,7に対応する空気量調整用のバルブ42,43,44,45の開度の調整により、各槽5,6,7における反応に最適なDO(溶存酸素)を設定する必要がある。
【0037】
例えば第1反応槽6のDOを第2反応槽7のDOに比べて小さい0.3〜0.7、第2反応槽7のDOを2.0程度に設定する。特に、第1反応槽6では、ブロワ41が停止している間に、少なくとも部分的にDO(溶存酸素)が0まで低下する必要がある。
【0038】
このように排水処理装置1によれば、腐植物質および珪酸塩の投入と間欠曝気手段22による間欠曝気とによって腐植化反応を安定して起こすことができるため、装置全体が大掛かりになることがなく、汚泥発生率を低くでき、無酸素状態が長期間続いても硫化水素等の腐敗臭がほとんど発生しない。
【0039】
また、汚泥返送率が150%〜320%であるため、排水中の窒素を効果的に低減できるとともに、沈殿槽8内での汚泥の沈殿性を向上できる。これは汚泥返送率が低すぎるとT−N(全窒素)を十分に低減することができず、逆に汚泥返送率が高すぎると、沈殿槽8からの汚泥吸い込み力が大きすぎて、沈殿槽8の汚泥を巻き上げてしまい、上澄処理水を効率よく排出できなくなるからである。さらに汚泥返送率が高すぎると、各槽5,6,7の環境の均一化に向ってしまう、つまり各槽5,6,7の差異がなくなり、各々が果たしていた排水処理の役割が崩れて、水質がかえって悪化してしまう。
【0040】
さらに、間欠曝気手段22は、第1反応槽6内の排水に対する間欠曝気と第2反応槽7内の排水に対する間欠曝気とを同時に行うため、排水流入量・濃度が変化して第1反応槽6の微生物群の生態系バランスが崩れたとしても、これに対応して第2反応槽7の微生物群の生態系バランスが変化し、装置全体としては生態系バランスが保たれるため、安定した排水処理を行うことができる。また1つのブロワ41で各5,6,7を簡単に制御でき、製造コストを抑えることができ、維持管理も容易である。
【0041】
また、調整槽5に返送される汚泥返送量と第1反応槽6に返送される汚泥返送量との割合を2対8にすることで、上澄処理水中のリンを効果的に低減できる。すなわち、十分な好気状態では汚泥がリンを保持した状態となり、嫌気状態が続くと汚泥がリンを放出するため、第2反応槽7での曝気時間を長くして好気状態を促進し、第1反応槽6での曝気時間を短くして嫌気状態を促進しても、上澄処理水中のリン濃度が低減する。しかし、この場合、排水設備2からの排水の濃度や量が変化したときに、装置全体のバランスが大きく崩れてしまうリスクが高い。これに対し、調整槽5に返送される汚泥返送量と第1反応槽6に返送される汚泥返送量との割合が2対8となるように汚泥返送を行えば、総内滞留時間が長くなり、好気状態を促進できるので、上記リスクを軽減でき、上澄処理水中のリンを効果的に低減できる。
【実施例】
【0042】
調整槽5に返送される汚泥返送量と第1反応槽6に返送される汚泥返送量との割合を2対8にし、また曝気時間を15分、オン・オフにし、さらに沈殿槽側面に汚泥を巻上げることを予防するため汚泥返送量を320%にして、試験を行った。試験条件を表1に示す。
【0043】
【表1】

【0044】
12月1日の調整槽5および反応槽6,7の平均MLSS=4900mg/Lから、22日経過後には、平均MLSS=6367mg/Lまで上昇した。また22日間の流入BOD平均値は1034mg/Lとなった。
【0045】
22日間の合計BOD量を次式で表した場合
合計BOD量=日間原水流入量×22日間×BOD平均値
=1.0m3/日×22日×1034g/m3=22748gとなる。
【0046】
一方、22日経過後の槽内汚泥の上昇量△MLSSは槽容量を2.4m3として、(6367−4900g/m3)×2.4m3=3521gと算出できる。
【0047】
よって、合計BOD量22748gが3521gの汚泥に転換されたことになるため、汚泥発生率は15.5%となる。
【0048】
また、MLSSが6000mg/Lまで上昇していること、水温が22→10℃に低下したこと、実施設の曝気槽内汚泥濃度を5000mg/Lとした場合、SV30=98以上となることが経験的に確かめられていることから、高MLSS時にも汚泥沈降性の維持が期待できる結果となった。この時のBOD容積負荷は、日間原水流入量×BOD平均値割/生物槽(3槽×0.8m3)=1m3/日×1034g/m3/1000/2.4m3=0.43kg/m3
調整槽分を差し引くと、2つの反応槽合計で0.65kg/m3日となった。
【0049】
次に、表2および表3に、試験条件安定後(12月15日、22日)の採水結果を示す。また、表4および図2に、処理水におけるT−N濃度およびT−P濃度の採水結果を示す。
【0050】
【表2】

【0051】
【表3】

【0052】
【表4】

【0053】
試験期間中、処理水におけるT−N濃度は2.5〜3.4mg/L、T−P濃度は1.4〜6.0mg/Lであった。また、微生物槽内水温10℃未満の状態でBOD,SSだけでなく窒素除去まで効果があり、活性汚泥法に代表される好気性生物法では処理困難な水温条件でも安定した処理が継続できた。
【0054】
好気性生物処理法に代表される活性汚泥法は、好気性微生物群により有機物を酸化分解して、炭酸ガス、水および余剰汚泥に転換する。処理工程ではブロワを24時間運転するため、その動力費が負担となり、省エネルギー化の問題が顕在化する。今回の試験法は、腐植物質と珪酸塩を活性汚泥中に投入することで、細菌、原生動物および後生動物群の有機物酸化ではなく、腐植合成と複合微生物群の有機物酸化を兼ね備えた手法であることが広く適用されている活性汚泥法とは異なり、ブロワを間欠運転することでその動力費も50%程度削減可能となる。
【0055】
また、汚泥発生率も20%未満となり、活性汚泥法との比較では50〜60%程度まで発生率を抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施の形態に係る排水処理装置の構成図である。
【図2】処理水におけるT−N濃度およびT−P濃度の採水結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0057】
1 排水処理装置
5 調整槽
6 第1反応槽
7 第2反応槽
8 沈殿槽
22 間欠曝気手段
23 汚泥返送手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水が流入する調整槽と、
この調整槽からの排水が流入し、腐植物質および珪酸塩が投入される第1反応槽と、
この第1反応槽からの排水が流入する第2反応槽と、
この第2反応槽からの排水が流入し、この流入した排水を汚泥と上澄処理水とに分離する沈殿槽と、
前記調整槽内の排水、前記第1反応槽内の排水および前記第2反応槽内の排水に対して間欠曝気を行う間欠曝気手段と、
前記沈殿槽内で沈殿した汚泥を前記調整槽および前記第1反応槽に返送する汚泥返送手段と
を備えることを特徴とする排水処理装置。
【請求項2】
調整槽に流入する排水流入量に対する汚泥返送量の割合である汚泥返送率が150%〜320%である
ことを特徴とする請求項1記載の排水処理装置。
【請求項3】
間欠曝気手段は、少なくとも第1反応槽内の排水に対する間欠曝気と第2反応槽内の排水に対する間欠曝気とを同時に行う
ことを特徴とする請求項1または2記載の排水処理装置。
【請求項4】
調整槽に返送される汚泥返送量と第1反応槽に返送される汚泥返送量との割合が2対8である
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の排水処理装置。

【図1】
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【図2】
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