説明

掘削機構および掘進機

【課題】設計や取扱いが容易なモジュール化され、トンネル合流部の掘削に好適な、立坑の構築を不要とした、掘進能率および止水性の良い掘進機を得る。
【解決手段】掘進機3000は本掘削部3900と、これに同期して掘進する溝状の副掘削坑を形成する副掘削部3200とを有する。副掘削部3200では、本体910内を運搬された掘削ブロック200が順次連結されて、止水外筒962を経由して側方に押し出される。止水外筒962には止水板63a、63bおよび掘削ブロック200が水密的に摺動するから、本体910に水等が浸入しない。また、掘削ブロック100の前面に設置された副掘削手段20は、本体910内に設置された副モータ30によって回転駆動される。また、掘削ブロック100は、掘削ブロック相互の着脱が自在になっており、掘削手段の駆動力の伝達を自在にする駆動力連結手段を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地山、地盤等の被掘進対象(以下、まとめて「土壌」という)にトンネルや下水道等(以下「掘削坑」と総称する)を構築する際に使用される掘削機構および掘進機に関する。本発明に係る掘削機構および掘進機は、筒状の本掘削坑と該筒状の本掘削坑に沿って溝状の副掘削坑を同時に形成するのに好適であり、トンネル掘削の補助工法の一つである先受工におけるアーチシェルの構築にも適しているが、これらの用途に限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
道路トンネルや地下鉄トンネル等(以下「トンネル」と総称する)は、シールド掘進機によって形成されるものが大半を占め、その断面形状は略円形を呈している。
そのため、複数のトンネルの合流部(本発明において、複数のトンネルへの合流部や分岐部、あるいは複数のトンネルの交差部を「トンネル合流部」と総称する)おいて、略円形の掘削坑同士の間の一対の略楔状範囲はシールド掘進機では掘削することができないため、未掘削部が発生し、該未掘削部を掘削する必要があった。また、地下鉄トンネルにおいて乗客昇降用プラットホーム等を形成する場合、断面略円形の側方に向かって所定の空間を形成するために、シールド掘進機とは別個の掘削手段を必要としていた。
そして、かかる掘削に際し、掘削範囲の少なくとも上方に覆工材(断面アーチ状のシェル等)を形成する発明が開示されている。たとえば、
【0003】
(あ)シールド掘進機の内部から側方に向かって、地中にアーチ状部材を順次貫入し、所定の距離の貫入が終了した後、アーチ状部材の幅相当分だけシールド掘進機を掘進し、再度、同様にアーチ状部材を順次貫入し、かかる工程を繰り返すことによってアーチ部材による所定長さの曲面壁を形成し、さらに、該曲面壁の内部の地盤を掘削する地下空間の施工法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
(い)また、前記貫入を容易にするため、函状のアーチ状部材の最先端に回転カッタを設置し、貫入終了後に函状の内部を経由して回転カッタを回収する地下空間の施工法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
(う)さらに、地中にあらかじめ作業坑を設け、該作業坑に掘進機本体を設置し、掘進機本体によって駆動されるアーチ掘進機により、所定幅のアーチ状空間を形成した後、該アーチ状空間からアーチ掘進機を引き戻し、そして、アーチ状空間にコンクリートを打設して所定幅のアーチシェルを形成し、さらに、アーチシェルの幅相当分だけ掘進機本体を移動し、再度、同様にかかる工程を繰り返した後、該アーチシェルの下方を掘削するアーチシェルの構築方法が開示されている。
このとき、アーチ掘進機は、先端でカッタを支持している円弧状ロッドを、継接しながら、作業坑の方向に対して垂直の面内で斜め下方に押し進めながら掘削するものである(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
(え)また、前記(う)における円弧状ロッドとその先端に支持されているカッタ(アーチ状の軌跡を描いて移動する)とに替えて、アーチ掘進機を、地中において構築された円弧状のアーチシェルと、該アーチシェルに列設された前記作業坑に平行した回転軸を有する複数の回転掘削材とによって構成したアーチシェルの構築方法が開示されている。
このとき、複数の回転掘削材によって同時にアーチ状空間を形成し、該アーチ状空間にコンクリートを打設してアーチシェルを形成し、該アーチシェルを反力支点とし掘進機本体とアーチ掘進機とを掘進させ、掘進終了後にアーチ掘削するものである(例えば、特許文献4参照)。
【0006】
(お)掘進方向に平行した回転軸を有する複数のカッタディスクと、該カッタディスク同士の間の楔状の未掘削部分を掘削する補助掘削手段とを具備した硬岩用弓形トンネル掘進機が開示されている。このとき、掘進機本体の正面視形状は、掘削しようとする弓形トンネルの断面に略同じ大きさの弓状に形成されている(例えば、特許文献5参照)。
【0007】
(か)掘削しようとするアーチ型断面に対応したスキンプレートを具備するアーチ掘削装置が開示されている。このとき、平行配置された一対のスキンプレートの間に回転カッタが配置され、該一対のスキンプレートに案内されて回転カッタがアーチ状の軌跡を描いて往復することで掘進するものである(例えば、特許文献6参照)。
(き)掘削しようとするトンネルの断面形状に略適合する正面視円弧状に形成されたカッタスポークを具備する地中掘進機が開示されている。このとき、カッタスポークに複数のカッタを固定してカッタスポークを掘進方向に垂直の面内で揺動したり、カッタスポークを固定して、カッタスポークに設置された掘進方向に平行した回転軸を有する複数の回転カッタを回転したりして掘進するものである(例えば、特許文献7参照)。
【0008】
【特許文献1】特開平4−24398号公報(2〜3頁、図1)
【特許文献2】特開平4−24398号公報(4頁、図5)
【特許文献3】特開平5−18194号公報(2頁、図1)
【特許文献4】特開平5−25993号公報(2頁、図1)
【特許文献5】特許第3386197号公報(3〜4頁、図1)
【特許文献6】特開平8−260875号公報(2〜3頁、図4)
【特許文献7】特開2000−120398号公報(3〜4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記特許文献1〜7に開示された発明には以下のような問題があった。すなわち、特許文献1に開示された発明は、
(あ−1)地中にアーチ状部材を貫入するため、貫入速度に限界があり掘進能率(シールド掘進機の平均的な前進速度に同じ)が悪い。
(あ−2)地中にアーチ状部材を貫入するため、貫入位置の土の性状によっては貫入不能になる。
(あ−3)地中にアーチ状部材を貫入する間、シールド掘進機の掘進を停止するため、間欠的の掘進となって掘進能率が悪い。
(あ−4)アーチ状部材の貫入方向にバラツキが生じ易く、アーチ状部材同士(貫入方向に平行する面同士)を当接して摺動させながらの貫入が困難、あるいは、水密的に当接することが困難になる。
(あ−5)貫入可能なアーチ状部材を必要とするため、アーチ状部材を選定する自由度が低い。特に、セメントを注入する工法を併用することができない。
【0010】
また、特許文献2に開示された発明は、前記(あ−1)〜(あ−4)に加え、
(い−1)回転カッタを回収するため、回収可能な函状のアーチ状部材を必要とするから、アーチ状部材を選定する自由度がさらに低くなる。
(い−2)回転カッタには、所望の掘削能力および回収機能が要求されるために、機構が複雑になるおそれがある。
(い−3)特に、シールド掘進機と回収可能な回転カッタの駆動軸との間、およびシールド掘進機と回転カッタの駆動軸を収容したアーチ状部材との間の止水機構が複雑になるおそれがある。
【0011】
さらに、特許文献3に開示された発明は、
(う−1)先端でカッタを支持している円弧状ロッドを、継接しながら押し進めてアーチ状に掘削するため、掘削能率が悪い。
(う−2)地中に円弧状ロッドを押し進めるため、押し進め位置の土の性状によっては押し進め不能、あるいは押し進め方向にバラツキが生じる。
(う−3)アーチ状空間およびアーチシェルを形成する間、掘進機本体は前進しないから、掘進能率(掘進機本体の平均的な前進速度に同じ)が悪い。
(う−4)アーチシェルがコンクリートによって形成されるものに限定され、セグメント工法を併用することができない。
【0012】
さらに、特許文献4に開示された発明は、アーチ掘進機が、円弧状のアーチシェルと、複数の回転掘削材とを具備するため、前記(う−1)〜(う−3)を解消するものであるものの、
(え−1)アーチシェルがコンクリートによって形成されるものに限定され、セグメント工法を併用することができない。
(え−2)複数の回転掘削材が前記作業坑に平行した回転軸を有するため、回転掘削材同士の間に楔状の未掘削部が形成され、アーチシェルが断面「数珠状」になる。このため、アーチシェルの厚さが不均一になって、薄い部分が掘削方向に平行して複数箇所形成されるため、止水性の低下や強度低下のおそれがある。
【0013】
さらに、特許文献5に開示された発明は、カッタディスク同士の間の楔状の未掘削部分を掘削する補助掘削手段とを具備するから、前記(え−2)を解消し、かつ、掘進機本体の内部でセグメントの組み立てが可能であるから前記(え−1)も解消している。しかしながら
(お−1)掘進機本体が相当の大きさ、すなわち、トンネル合流部を掘削する場合、一対のトンネルを跨ぐ「幅(掘進方向に垂直方向)」と所定の「長さ(掘進方向)」を有するため、かかる大きさの掘進機本体を、トンネル合流部の始端部に設置するための立坑と、トンネル合流部の終端部から撤去するための立坑が必要になる。このため、特に都市部において、地上構造物や地中埋設物との干渉によって前記立坑の構築位置が制限される。このとき、トンネル合流部の位置選定の自由度が低下したり、トンネル合流部から離れた位置に立坑を構築して、余計な掘削を余儀なくされたりしている。
【0014】
さらに、特許文献6に開示された発明は、回転カッタがアーチ状の軌跡を描いて往復するため、前記楔状の未掘削部分が形成されることがないものの、掘削しようとするアーチ型断面、すなわち、トンネル合流部を掘削する場合、一対のトンネルを跨ぐ「幅(掘進方向に垂直方向)」に対応した断面を有するスキンプレートを必要とするから、前記(お−1)が解消されない。また、
(か−1)回転カッタの往復に所定の時間を有するため、掘進能率(アーチ掘削装置の平均的な前進速度に同じ)が悪い。
【0015】
さらに、特許文献7に開示された発明は、複数のカッタが固定されたカッタスポークを掘進方向に垂直の面内で揺動するため、前記楔状の未掘削部分の形成がなく、所定の掘進能率を有するものの、相当の大きさのカッタスポーク、すなわち、トンネル合流部を掘削する場合、一対のトンネルを跨ぐ「幅(掘進方向に垂直方向)」に対応した幅を有するカッタスポークを必要とするから、前記(お−1)が解消されない。
【0016】
他方、前記特許文献1〜7に開示された掘削機構、即ち掘削に必要な駆動力が印加され、直に掘削を行う装置部分またはその内部の仕組みには、各様の特徴がある。すなわち、
(き)特許文献1および2に開示された掘削機構は、アーチ部材の先端に取り付けられた掘削機である。この掘削機は、2段の回転軸のそれぞれに回転自在に支持された掘削羽根と回転軸を回転させる掘削駆動部を備え、順次供給されるアーチ部材とともに土中に貫入され、アーチ部材の内部を通して掘削機が回収される。2段の掘削羽根の列を支持する回転軸を掘削駆動部が回転駆動させる詳細は明らかではないが、アーチ部材の土中への圧入が完了する前に掘削羽根の保守・管理等が必要になる場合には、掘削羽根をアーチ部材の内部を通して一旦回収した後必要な保守・管理等を施し、再度掘削に供するものと推察される。
【0017】
(く)特許文献3に開示された掘削機構は、円弧状地下連続壁掘削機であり、円弧状のロッド先端に支持されたカッタ部によりアーチシェル部の掘削を行い、最終的に解体撤去される。この掘削機構では、掘削機にどのように掘削の駆動力が伝達されるかは明らかではない。
(け)特許文献4に開示された掘削機構は、トンネル軸と平行な回転軸に装架された回転掘削部材を列設されており、特許文献3に開示されている地下連続壁掘削機を水平方向の掘削に応用したものと略同じ構成をしている。この掘進機の推進は、既設のアーチシェルのコンクリート部に反力を支持して推進ジャッキにより行うが、最終的に解体撤去される。この掘削機構においても、特許文献3のそれと同様に、掘削機にどのように掘削の駆動力が伝達されるかは明らかではない。
(こ)特許文献5に開示された掘削機構は、複数個が弓形に配置され、これを以って弓形トンネルの掘進を可能にするものである。個々の掘削手段は、円筒状シールドとその先端にカッタディスクとを備え、内部にカッタディスクの駆動モータと、カッタディスクの回転軸方向に円筒状シールドを伸縮駆動させるシールドジャックとを備える。従って、隣接する掘削手段間で掘削の駆動力の伝達は予定されていない。また、保守・管理等が必要な場合には、個々の掘削手段に対してこれを行うものと推察される。
【0018】
(た)特許文献6に開示された掘削機構は、カッタ駆動用油圧モータの主軸先端に取り付けられた内堀用カッタヘッドと、当該主軸の回転を伝達する機構により従動的に回転する外堀用カッタヘッドを備える。この掘削機構はアーチ状のスキンプレートに沿って走行することから、保守・管理等が必要な場合には、スキンプレートに沿って移動させて所定位置まで移動させて、これを行うものと推察される。
(ち)特許文献7に開示された掘削機構は、全体として弧状断面の坑を掘削するように、複数個が平行リング運動を行うものである。個々の掘削機構は、シールドカッタとこれを回転駆動させるカッタ駆動部を備えているので、特許文献5に開示された掘削機構と同様に、隣接する掘削手段間で掘削の駆動力の伝達は予定されていない。また、保守・管理等が必要な場合には、個々の掘削手段に対してこれを行うものと推察される。
【0019】
すると、従来のいずれの掘削機構も、少なくとも、掘削機能を有する構造単位要素を複数個備える構成ではなく、そのような構成であっても、各構造単位要素が着脱可能とはいえず、着脱可能であるとしても、掘削の駆動力が隣接する構造単位要素間で伝達可能に連結されてはいないことが分かる。掘削機能を有する構造単位要素毎の取扱いが可能であると、着脱、運搬その他の取扱いが容易であり、保守・管理も容易になる。また、構造単位要素間のインターフェイス部分(連結部の構造や連結メカニズムなど)を各構造単位要素において共通化すれば、インターフェイス部分以外について構造単位要素の設計の自由度は増えるという利点があり、土壌条件、施工条件等の掘削環境・条件に応じて掘削手段の種類を適宜選択して、または掘削手段が異なる構造単位要素を組み合わせて掘削機構を選択的に構成するも可能になる。
【0020】
本発明は、以上の問題意識および観点からなされたものであり、着脱、運搬、保守・管理その他の取扱いが容易で、設計の自由度が高い掘削機構及びこれを用いる掘進機、並びにトンネル合流部の掘削に際し、トンネル本体とトンネル本体に付設される覆工材の形成に好適で、立坑の構築を不要とした、掘進能率および止水性の良い掘進機を得ることを目的とする。
なお、上述の「掘削機能を有する構造単位要素」については、種々の称呼があり得るが、特定の機能を有し、構造的に画定できるモジュール、ユニット、ブロック又はカセットであると言える。本発明ではこれを「掘削ブロック」と統一的に呼ぶことにする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
(1)本発明に係る掘削機構の第1の態様は、複数の掘削ブロックのそれぞれが掘削手段を備える掘削機構であって、前記複数の掘削ブロックが互いに着脱可能で、各掘削ブロックが備える掘削手段の駆動力が隣接する掘削ブロック間で伝達自在であること、または互いに着脱可能な複数の掘削ブロックと、各掘削手段が備える掘削手段と、隣接する掘削ブロックのそれぞれが備える掘削手段の駆動力を伝達自在にする駆動力連結手段とを備えることを特徴とする。
(2)本発明に係る掘進機の第2の態様は、第1の態様の掘削機構において、掘削ブロックの着脱を可能にする機構及び隣接する掘削ブロック間で掘削手段の駆動力を伝達可能にする手段が複数の掘削ブロックにおいて共通であることを特徴とする。
(3)本発明に係る掘進機の第3の態様は、第1の態様の掘削機構を一対備えることを特徴とする。
(4)本発明に係る掘進機の第4の態様は、第1の態様の掘削機構を一対備える掘進機であって、各掘進機構が掘進方向に沿って離隔して設置されていることを特徴とする。
(5)本発明に係る掘進機の第5の態様は、第1の態様の掘削機構を複数備え、各掘進機構が掘進方向に沿った同一軌道上を移動可能に設置されていることを特徴とする。
(6)本発明に係る掘進機の第6の態様は、第1の態様の掘削機構を備え、且つその設置位置が変更可能であることを特徴とする。
【0022】
(7)本発明に係る掘進機の第7の態様は、土中に筒状の本掘削坑を形成する本掘削部と、該本掘削部に設置され、前記筒状の本掘削坑に沿って溝状の副掘削坑を形成する副掘削部とを備える掘進機であって、前記本掘削部が、スキンプレートによって筒状に形成された本体と、掘進方向側に設置された地山を掘削する本掘削手段と、筒状に組み立てられたセグメント筒状体を掘進方向と反対の方向に押圧して前記本体を掘進方向側に移動させる本ジャッキ手段とを具備し、前記副掘削部が、相互に着脱可能に連結された複数の掘削ブロックによって構成され、該掘削ブロックが、掘進方向に略平行する連結面を具備する枠体と、掘進方向側に設置された地山を掘削する副掘削手段と、覆工材を掘進方向と反対の方向に押圧して前記掘削ブロックを掘進方向側に移動させる副ジャッキ手段とを具備し、前記副掘削手段を駆動する副掘削手段駆動源および前記副ジャッキ手段を駆動する副ジャッキ駆動源が前記本体の内部にそれぞれ設置され、前記掘削ブロックが前記セグメント筒状体の内部を運搬自在ないし運搬可能(以下「運搬自在ないし可能」と記載する)であることを特徴とする。
(8)本発明に係る掘進機の第8の態様は、第7の態様において、前記本体のスキンプレートに、前記掘削ブロックが水密的に貫通自在ないし貫通可能(以下「貫通自在ないし可能」と記載する)な掘削ブロック貫通部が設けられ、該掘削ブロック貫通部を貫通して前記掘削ブロックを押し出しかつ引き戻す掘削ブロック進退手段が前記本体の内部に設置されてなることを特徴とする。
(9)本発明に係る掘進機の第9の態様は、第7又は第8の態様において、前記覆工材がモルタルであって、モルタルを輸送するモルタル輸送手段が前記本体の内部に設置され、前記掘削ブロックが、前記副掘削手段に略平行して配置されたモルタル輸送管と、前記副ジャッキ手段によって進退されるモルタル押出板と、前記モルタル輸送管と前記モルタル押出板とを近接および離間自在ないし離間可能(以下「離間自在ないし可能」と記載する)に連結し、モルタルを前記モルタル輸送管から前記モルタル押出板の掘削方向の反対側に供給するモルタル供給管とを具備し、前記掘削ブロックのうち第一の掘削ブロックと第二の掘削ブロックとが連結された際、該第一の掘削ブロックの前記モルタル輸送管と該第二の掘削ブロックの前記モルタル輸送管とが連結され、前記掘削ブロックのうち前記本体に最も近い位置に配置された掘削ブロックの前記モルタル輸送管が前記モルタル輸送手段に連結されてなることを特徴とする。
【0023】
(10)本発明に係る掘進機の第10の態様は、第7又は第8の態様において、前記覆工材がセグメントであって、前記本体のスキンプレートに、前記セグメントが水密的に貫通自在ないし可能なセグメント貫通部が設けられ、該セグメント貫通部を貫通して副掘削坑内に前記セグメントを押し出すセグメント押出手段が前記本体の内部に設置されてなることを特徴とする。
(11)本発明に係る掘進機の第11の態様は、第7又は第8の態様において、前記覆工材がセグメントであって、該セグメントが、前記本体の内部に設置されたセグメント押出手段によって前記掘削ブロック内に供給され、該供給された掘削ブロックが前記副ジャッキ手段によって水密的に前記副掘削坑内に押し出されてなることを特徴とする。なお、第10および第11の態様において、セグメントは断面略矩形状または断面略円弧状とするものであるが、これらの断面形状に限るものではない。
(12)本発明に係る掘進機の第12の態様は、第7乃至第11の何れかの態様において、前記掘削ブロックが姿勢制御手段を具備し、該姿勢制御手段が、前記副掘削手段と前記本体の軸心とが形成する面に略垂直方向で進退する姿勢制御ソリと、該姿勢制御ソリを駆動するソリ駆動機構とを具備してなることを特徴とする。
(13)本発明に係る掘進機の第13の態様は、第7乃至第11の何れかの態様において、前記本掘削部の本ジャッキ手段の進退タイミングおよび進退量と、前記副掘削部が具備する前記掘削ブロックの副ジャッキ手段の進退タイミングおよび進退量とを制御して、前記本掘削部と前記副掘削部との掘進速度を略同期させる掘進制御手段を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
よって、本発明は以下の効果を奏する。すなわち、
(イ)複数の掘削ブロックが互いに着脱可能で、各掘削ブロックが備える掘削手段の駆動力が、隣接する掘削ブロック間で伝達自在な掘削機構であるので、掘削ブロックの着脱、運搬その他の取扱いや保守・管理が容易になる。
(ロ)上記の掘削機構において、掘削ブロックの着脱を可能にする構造及び各掘削ブロックにおける掘削の駆動力が隣接する掘削ブロック間で伝達可能にする手段といった隣接する掘削ブロック間のインターフェイス部分を共通にすれば、掘削ブロックの製造、着脱、保守・管理は容易になり、地盤条件、施工条件などの掘削環境・条件に応じて掘削手段の種類を適宜選択して、または掘削手段が異なる構造単位要素を組み合わせて掘削機構を選択的に構成することが可能になる。共通規格のインターフェイス部分を採用する場合、その他の部分を設計する際の自由度も増加する。
(ハ)上記掘削機構を一対備える掘進機によれば、一対の掘削孔を同時に構築することができる。
(ニ)上記掘削機構を一対備え、各掘進機構が掘進方向に沿って離隔して設置されている掘進機によれば、各掘削機構の保守・管理等に必要な作業空間が確保でき、掘削ブロック単位の着脱、運搬その他の取扱いや保守・管理もより容易になる。
(ホ)上記掘削機構を複数備え、各掘削機構が掘進方向に沿った同一軌道上を移動可能に設置されている掘進機によれば、一対の掘削孔を連続して一個ずつ構築することができ、例えば一方の掘削機構の保守・管理等に必要な作業空間をより広くした場合、他方の掘削機構を掘進方向に沿って離隔して設置することで、これを実現することができる。
(ヘ)上記掘削機構の設置位置が変更可能な掘進機によれば、複数の掘削孔を同一の掘進機により構築することができる。また、地下空間の目標領域内の任意位置に掘削孔を構築でき、また地下空間の目標領域内に複数の掘削孔を構築できるので、当該目標領域の強度を低下させ、その領域への事後の掘進を容易にすることができる。
(ト)掘進機が、本掘削部と副掘削部とを有し、副掘削部が相互に着脱可能に連結された複数の掘削ブロックによって構成され、しかも、掘削ブロックがセグメント筒状体の内部を運搬自在であるから、上記掘削機構に係る発明の効果を奏するとともに、トンネル合流部の掘削に際し、立坑の構築を必要としない。また、トンネル合流部の始端部および終端部の土中に、所定の作業スペースを設けるだけで、掘削ブロックが連結できる。
(チ)それぞれの掘削ブロックが、掘進方向側を掘削する副掘削手段と覆工材を押圧する副ジャッキ手段とを具備し、本掘削部と副掘削部とが、それぞれ並行して掘削および前進するから、掘進効率が向上する。
(リ)また、副掘削手段を駆動する副掘削手段駆動源および副ジャッキ手段を駆動する副ジャッキ駆動源が本体の内部にそれぞれ設置されるから、掘削ブロックが小型・軽量になる。このため、掘削ブロックの運搬および掘削ブロック同士の連結等の各種ハンドリングが容易かつ迅速になる。
(ヌ)また、掘削ブロックの構造が簡素であるから、覆工材選定の自由度が高い。すなわち、所望の特性を具備するモルタル、あるいは所望の断面形状のセグメント等を選定することができる。特に覆工材がモルタルの場合は、掘削ブロックの構造が簡素であるため、モルタルの輸送や供給に必要な配管等をその掘削ブロック内に設けることができる。
(ル)上記掘進機の本体の内部に掘削ブロック進退手段を設置した場合には、本体の内部で掘削ブロックが連結でき、これを側方に押し出すことができるから、立坑および前記所定の作業スペースが不要になる。また、掘削ブロックに、掘削方向に平行する回転軸を有する回転カッタを設置した場合であっても、掘削ブロックを、掘削ブロック進退手段によって小ストロークで押し出しおよび引き戻せば、回転カッタ同士の間の略楔状部分を掘削することが可能になる。よって、打設されるモルタルの厚さが均一になり、あるいはセグメントの設置が容易になる。
(ヲ)本体のスキンプレートに、掘削ブロックが水密的に貫通自在ないし可能な掘削ブロック貫通部、あるいはセグメントが水密的に貫通自在ないし可能なセグメント貫通部が設けられた場合には、本体の止水性が維持される。
(ワ)また、掘削ブロック内に供給されたセグメントが、水密的に副掘削坑内に押し出される場合は、掘削ブロック内および本体内の止水性が維持される。
(カ)姿勢制御ソリを駆動するソリ駆動機構や、本掘削部と副掘削部との掘進速度を略同期させる掘進制御手段を設けた場合には、覆工材の形成位置が正確になると共に、掘進機の故障を回避することができ、また掘進効率をさらに高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明に係る掘進機は、本掘削部と副掘削部とを有し、副掘削部が相互に着脱可能に連結された掘削ブロックによって形成され、覆工材としてモルタルとセグメンテトが採用されるものである。
したがって、本掘削部と副掘削部との関係においては、
(I)副掘削部が本掘削部の外部で形成され、該副掘削部が本掘削部に固定される、
(II)副掘削部が本掘削部の外部で形成され、副掘削部が本掘削部に対して小ストロークで移動自在に設置される、
(III)副掘削部が本掘削部の内部で形成されて、本掘削部から押し出されるもの、
また、掘削ブロックと覆工材との関係においては、
(i)覆工材がモルタルであって、掘削ブロックから副掘削坑に打設される、
(ii)覆工材がセグメントであって、掘削ブロックの外部に供給される、
(iii)覆工材がセグメントであって、掘削ブロックの内部に収納されるものである。
【0026】
すなわち、前記(I)または(II)または(III)と、前記(i)または(ii)または(iii)との全ての組み合わせができるものである。以下、かかる組み合わせのうち、
(I)副掘削部固定で(i)モルタル打設を、便宜上実施形態1として、
(II)小ストローク移動自在で(i)モルタル打設を、便宜上実施形態2として、
(III)本掘削部内形成で(i)モルタル打設を、便宜上実施形態3として、
(II)小ストローク移動自在で(ii)セグメント設置を、便宜上実施形態4として、(II)小ストローク移動自在で(iii)セグメント内部収納を、便宜上実施形態5として、
さらに、実施形態1〜5に共通する副掘削手段を便宜上実施形態6として、それぞれ説明する。
本発明に係る掘削機構は、本発明の実施形態に係る掘進機の副掘削部において採用されるものであるが、これに限定されるものではない。そこで、より一般的に実施形態7として説明する。本発明に係る掘進機において採用される掘進制御手段については、実施形態8においてその内容を説明する。
なお、各図において同じ部分または相当する部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
【0027】
[実施形態1]
(掘進機その1)
図1および図2は、本発明の実施形態1に係る掘進機の全体構成を概説するための断面図であって、図1は側面視、図2は正面視である。
図1および図2において、掘進機1000は、土壌に筒状の掘削坑(以下「主掘削坑」と称する)を形成する本掘削部1900、本掘削部1900に設置され、前記本掘削坑に沿って溝状の掘削坑(以下「副掘削坑」と称する)を形成する副掘削部1100とを有する。なお、一対の副掘削部1100が図示されているが、本発明はその数量や設置位置を限定するもではない。
【0028】
なお、以下の説明において、掘進機1000が掘削しながら進む方向(図1において左側)を「前」、「前方」または「前側」と、これと反対の方向(図1において右側)を「後」、「後方」または「後側」と、前後方向の距離を「長さ」と称呼し、前後方向を「長さ方向」と称呼する場合がある。
また、副掘削部1100の本掘削部1900に近い方向(図2において左側)を「本体側」または「本体寄り」と、これと反対の方向(図2において右側)を「先端側」または「先端寄り」と、本体側から先端側にかけての距離を「幅」と称呼し、本体側から先端側への方向を「幅方向」と称呼する場合がある。
さらに、長さ方向と幅方向とが形成する面に略垂直の方向(図2において上下方向)を「厚さ方向」と称呼する。
【0029】
(本掘削部)
図1において、本掘削部1900は、スキンプレート911によって筒状に形成された本体910と、本体910の前方の端部に土壌を掘削して筒状の主掘削坑を創成する主掘削手段920(以下「カッタヘッド920」と称す)と、カッタヘッド920を回転駆動する主モータ930と、セグメント組み立て手段940(以下「セグメントエレクタ940」と称す)によって筒状に組み立てられたセグメント筒状体900Sを後方に押圧して本体910を前方に移動させる本ジャッキ手段950(以下「シールドジャッキ950」と称す)と、本体910の後方に筒状のテールシールプレート912が延設され、テールシールプレート912と押し出されたセグメント筒状体900Sとの隙間を止水する主止水手段960(以下「テールシール960」と称する場合がある)とを有している。
また、主掘削坑(図示しない)とセグメント筒状体900Sとの隙間に裏込材を注入する図示しない裏込材注入手段、掘削された土砂を排出するための図示しない主排土手段(以下「スクリューコンベア」と称する場合がある)が設置されている。
【0030】
(副掘削部)
図2において、副掘削部1100は正面視で略円弧状を呈し、相互に当接する連結面Zにおいて着脱可能に連結された複数の掘削ブロック100a、100b、100c・・・100hによって形成されている。掘削ブロック間の連結については、隣接する掘削ブロックの枠体110(後述)同士を接続または分離することにより、例えば、隣接する枠体間に設けたボルト−ナットの螺合機構を利用することにより、あるいは隣接する枠体同士を溶接により接続し、またはガウジング(又は場合によっては溶断)により分離することにより、これを着脱可能にすることができる。
また、掘削ブロック100a、100b、100c・・・100hにはそれぞれ土壌を掘削する副掘削手段20a、20b、20c・・・20hが設置され、それぞれ隣接するものの同士(図2の場合、正確には、隣接する副掘削手段の駆動軸同士)が、図示しないユニバーサルジョイントによって連結されている。これにより、隣接する掘削ブロック間において各掘削ブロックが備える掘削手段の駆動力が伝達自在になる。このユニバーサルジョイントが駆動力連結手段に相当するが、駆動力連結手段は、隣接する掘削ブロック間において各掘削ブロックが備える掘削手段の駆動力の伝達を自在にする機能を発揮する手段や機構であれば足り、ユニバーサルジョイントのような継手に限定されない。
なお、以下の説明において、それぞれの掘削ブロックおよびその他の部分について共通する内容については、添え字「a、b、c・・・h」を省略し、便宜上、最も先端側に配置されたものを「最先端掘削ブロック100a」、最も本体寄りに配置されたものを「根元掘削ブロック100h」と称呼する。なお、掘削ブロック100の数量は限定するものではなく、何れであってもよい。したがって、根元掘削ブロック100hの「h」は先端側から8番目を意味するものではない。
また、図2において、厚さ方向において隣接し対面する一対の副掘削部1100を図示しているが、本発明はこれに限定するものではなく、その数量や配置位置は何れであってもよい。
【0031】
本体910のスキンプレート911には開口した掘削ブロック貫通孔913が設けられ、掘削ブロック貫通孔913には、止水手段60が設置されている。
止水手段60は、掘削ブロック貫通孔913に沿って設置された止水外筒961と、止水外筒961に水密的に当接して傾動自在な止水板61とから形成されている。そして、止水板61の先端側(スキンプレート911の外面側に相当する)は根元掘削ブロック100hに連結されている。
一方、止水板61の本体側(スキンプレート911の内面側)は副モータ支持体31(副モータ30が設置されている)が固定され、根元掘削ブロック100hの副掘削手段20hは、回転伝達棒32によって副モータ30に連結されている。
さらに、本体910のスキンプレート911には位置調整手段990が設置され、位置調整手段990の位置調整アーム991が、副モータ支持体31に連結されている。
【0032】
したがって、掘進機1000において、トンネル分岐部の始端部の土壌中に所定スペースの作業基地を設け、掘削ブロック100を、セグメント環状体900Sの内部を経由して作業基地に運搬し、そこで相互に連結すれば副掘削部1100を形成することができる。また、トンネル分岐部の終端部の土壌中に所定スペースの作業基地を設け、そこで副掘削部1100を解体して、掘削ブロック100を、セグメント環状体900Sの内部を経由して運搬すれば、地上に回収することができる。
すなわち、掘進機1000は、立坑の構築を不要にするから、この点において、トンネル分岐部の形成位置の制約がなくなる。また、副掘削手段20を駆動する駆動源が掘削ブロック100に設置されていないから、掘削ブロック100は軽量であって、運搬や相互の連結が容易である。よって、施工が迅速になり工期の短縮や施工コストの低減を図ることができる。
なお、位置調整手段990の設置を省略してもよい。また、副掘削手段20としてドラムカッタを図示しているが、本発明はこれに限定するものではない(これについては別途詳細に説明する)。
【0033】
(掘進機その1のバリエーション1)
図3は、本発明の実施形態1に係るその他の掘進機の全体構成を概説するための側面視の部分断面図である。
図3において、掘進機1001は、前記本掘削部1900と同様の本掘削部1901と、正面視で直線状の副掘削部1101とを有している。すなわち、副掘削部1101は、正面視で矩形の掘削ブロック101によって形成され、掘削ブロック101は正面視で矩形(連結面Zが平行に同じ)である点において、正面視で略扇型(従って連結面Zが非平行)である掘削ブロック100と相違し、その他において同一である。なお、掘削ブロック101には、副掘削手段20としてスクリュウカッタが設置された形態が図示されているが、本発明はこれに限定するものではない(これについては別途詳細に説明する)。
【0034】
したがって、掘削ブロック101が掘削ブロック100と同様に相互に連結自在である又は着脱可能に連結されているから、掘進機1001は掘進機1000と同様の作用効果を奏する。
なお、図3において、副掘削部1101が一箇所に設置された形態が図示されているが、本発明はこれに限定するものではなく、本掘削部1901に副掘削部1101を複数箇所設定してもよい。例えば、一対の副掘削部を、本掘削部1901を中心として幅方向の左右に設置してもよいし、本掘削部1901から幅方向の同じ向きに設置し、厚さ方向の上下において対向するように(図2における一対の副掘削部1100のように)してもよい。
【0035】
(掘進機その1のバリエーション2)
図4は、本発明の実施形態に係るその他の掘進機の全体構成を概説するための側面視の部分断面図である。
図4において、掘進機1002は、前記本掘削部1900と同様の本掘削部1902と、正面視で本体に近い範囲が直線状で、先端側が円弧状を呈する副掘削部1102とを有している。すなわち、副掘削部1102を形成する掘削ブロック102は、それぞれの掘削ブロック102において、幅方向で対面して接する連結面Z同士が形成する角度が変更されている(一定でないに同じ)ものであって、この点において、正面視で略扇型(従って連結面Z同士が形成する角度が略同じ)である掘削ブロック100と相違し、その他において同一である。なお、掘削ブロック102には、副掘削手段20としてドラムカッタが設置された形態が図示されているが、本発明はこれに限定するものではない(これについては別途詳細に説明する)。
【0036】
したがって、掘削ブロック102は掘削ブロック100と同様に相互に連結自在である又は着脱可能に連結されるから、掘進機1002は掘進機1000と同様の作用効果を奏すると共に、正面視で複数の曲率半径を具備する副掘削坑を形成することを可能にする。
なお、図4において、副掘削部1102が1箇所に設置された形態が図示されているが、本発明はこれに限定するものではなく、本掘削部1902に副掘削部1102を複数箇所設定してもよい。例えば、一対の副掘削部を、本掘削部1902を中心として幅方向の左右に設置してもよいし、本掘削部1902から幅方向の同じ向きに設置し、厚さ方向の上下において対向するように(図2における一対の副掘削部1100のように)してもよい。
【0037】
(掘削ブロックその1)
図5〜図7は、本発明の実施形態1に係る掘進機の掘削ブロックを概説するためのものであって、図5は正面視の断面図、図6は平面視の断面図、図7は側面視の断面図である。なお、掘削ブロックはそれぞれ単独でハンドリングされるものであるが、以下の説明において、掘進機1000に設置された際の姿勢を基準にして、前記に準じて、「前、後、長さ、幅」の用語を用いる。
図5〜図7において、掘削ブロック100は、枠体110と、土壌を掘削する副掘削手段20と、覆工材であるモルタルを輸送するモルタル輸送手段40mと、モルタルを掘進方向と反対の方向に押圧して前記掘削ブロックを掘進方向側に移動させる副ジャッキ手段50と、排泥手段70と、姿勢制御手段90とを具備している。なお、本発明において、セメントやコンクリート等をモルタルと総称している。
【0038】
枠体110は、正面視略扇型の筒状と前胴113と、前胴113に案内されて前後方に
スライドし、移動自在な後胴114と、後胴114の内面に沿って摺動自在なモルタル押出板115(以下「妻枠115」と称す)と、妻枠115に略平行して前胴113に固定された前板112と、前板112の幅方向中央に固定されたブラケット111と、ブラケット111および前胴113にそれぞれ設置された図示しない軸受けBとを有している。
そして、モルタル輸送手段40mの一部を構成するモルタル輸送管41、排泥手段70の一部を構成する送泥管71が幅方向(図5において左右方向、図6において上下方向)に貫通している。
【0039】
副掘削手段20は、幅方向においてブラケット111を中心として1対、厚さ方向において1対配置する合計4本の回転カッタ21と、各回転カッタの回転軸22とを備えている。各回転軸22はブラケット111および前胴113に設置された軸受けBによって回転自在に支持されている。各回転軸22の一方の端部は、幅方向において隣接する別の掘削ブロック100が備える副掘削手段20の回転軸22の端部と図示しないユニバーサルジョイントによって連結されている。当該各回転軸22の他方の端部も、幅方向において隣接する更に別の掘削ブロック100が備える副掘削手段20の回転軸22の端部と図示しないユニバーサルジョイントによって連結されている。
根元掘削ブロック100h(図2参照)の回転軸22h(図示しない)は、回転伝達棒32(図示しない、図2参照)によって副モータ30(図示しない、本体910に設置されている)に連結されている。最先端に位置する掘削ブロック100aは、より先端側に位置する掘削ブロックというものが存在しないので(即ち、それ自体が最先端に位置するので)、掘削ブロック100aが備える回転軸22aの端部のうち、本体910側のものがユニバーサルジョイントにより、隣接する掘削ブロック100bが備える回転軸22bの端部と連結することはあっても、他方の端部(従って本体910から離隔する側の最先端の端部)がユニバーサルジョイントにより別の掘削ブロックが備える回転軸の端部と連結することはない。
【0040】
したがって、副掘削部1100の各掘削ブロック100において、回転軸22のそれぞれの軸心は同一直線上にないにも拘らず、副モータ30の回転力が隣接する掘削ブロック間において順次伝達される。すなわち、掘削ブロック100には副掘削手段20を駆動するための副掘削手段駆動源(たとえば、副モータ等)が設置されることなく、また、本体回転力を伝達するための専用の動力伝達軸が不要であるから、掘削ブロック100は軽量になっている(副掘削部1100が軽量になるに同じ)。
【0041】
モルタル輸送手段40mは、本体910に設置された図示しないモルタル圧送機と、モルタル輸送管41と、モルタル輸送管41と妻枠115の貫通孔(図示しない)とを近接および離間自在に連通する図示しないモルタル供給管とを有している。モルタル供給管にモルタル供給量を調整するための、モルタル供給量調整手段(たとえば、開度調整バルブ等)や、モルタル供給管内を洗浄するモルタル供給管洗浄手段を設置してもよい。
【0042】
副ジャッキ手段50は、枠体110内に収納され、前板112と妻枠115とを近接および離間自在に連結する第一ジャッキ51(以下「前進ジャッキ51」と称す)と、前板112と後胴114とを近接および離間自在に連結する第二ジャッキ52(以下「引き戻しジャッキ52」と称す)とを有している。
【0043】
排泥手段70は、副掘削部1100を形成する掘削ブロック100の枠体110を貫通する送泥管71と前板112の前面に用水を注ぐ送泥支管(図示しない)とを有し、根元掘削ブロック100hにおいて送泥管71の一方の端部に用水を送り込み、幅方向の所定位置の掘削ブロック100において、あるいは最先端掘削ブロック100aにおいて副掘削坑内に当該用水を注ぎ込む。これにより、掘削された土壌を当該用水と混合させて泥状にし、その泥状混合物を副掘削坑中を本体側に移動させ、止水板61に設置された排泥管(図示しない)を経由して本体910内に回収することにより、排土する。
なお、掘削ブロック100の枠体110を貫通する排泥管71を設け、掘削ブロック100の前板112に、用水と掘削された土壌との混合物を受け入れる排泥支管を設け、該排泥支管および排泥管71を経由して該混合物を回収するようにしてもよい。
【0044】
姿勢制御手段90は、前胴113に設置され、厚さ方向に進退自在な姿勢制御ソリ(橇)91と、姿勢制御ソリ(橇)91を進退させるアクチュエータ92とを有している。
したがって、姿勢制御ソリ(橇)91の進退量を調整することによって、掘削ブロック100の掘進方向を調整することができるから、所望の形態(姿勢および形状等)の副掘削坑を形成することが可能になると共に、本掘削部1900と副掘削部1100との取り合い部や、掘削ブロック100同士の連結部に異常な荷重が作用することを防止することが可能になる。なお、姿勢制御手段90または位置調整手段990の一方または両方の設置を省略してもよい。
【0045】
(副掘削部の掘進要領その1)
図8および図9は、本発明の実施形態1係る掘進機の副掘削部の掘進要領を、工程を追って説明するため平面視の断面図である。
【0046】
初期状態では、掘削ブロック100(副掘削部1100に同じ)が所定の距離だけ掘進した状態にあり、後胴114の後端部と妻枠115の後面は位置「イ」(打設済みのモルタル面に同じ)に、回転カッタ21の前面は位置「ロ」に、それぞれ配置する(図8(a))。
【0047】
次に、引き戻しジャッキ52をフリー(非拘束状態)にして、回転カッタ21を回転しながら、前進ジャッキ51を伸ばす。すると、妻枠115は打設済みのモルタル100Mの前面(位置「イ」に同じ)を後方に向けて押し続けるから、後胴114の後端部は「イ」の位置のままであるが、回転カッタ21の前面は位置「ハ」にまで前進する(図8(b))。
【0048】
引き戻しジャッキ52を伸ばしたままにして、後胴114の後端部を位置「イ」に残す。そして、妻枠115の後面にモルタルを供給しながら前進ジャッキ51を縮める。すなわち、妻枠115(位置「ニ」)と既に打設されているモルタル100M(位置「イ」)との間において、妻枠115の後面と後胴114の内面とによって形成された空間内に新たにモルタル100Nを供給する(図8(c))。
【0049】
次に、引き戻しジャッキ52を縮めながら(引き戻しながら)、前進ジャッキ51を伸ばす(図9(d))。このとき、妻枠115の後面に供給されたモルタルは副掘削坑中に打設される。また、打設済みモルタル100Mと後胴114の後端部との間(図中「イ」と「ホ」の間)に隙間が形成されるから、妻枠115の後面に供給されたモルタル100Nは妻枠115の後方およびその周辺(副掘削坑内に同じ)にも打設される。
【0050】
最終的に、後胴114の後端部と妻枠115の後面が「ト」の位置で揃うまで引き戻しジャッキ52を縮め、前進ジャッキ51を伸ばす。そして妻枠115の後面に供給したモルタル100Nの全量を副掘削坑に打設する。すると、回転カッタ21が位置「ロ」ではなく位置「ハ」にあり、後胴114の後端部及び妻枠115の後面が位置「イ」ではなく位置「ト」にある点を除き、図8(a)に示した初期状態と概ね同じ状態になる(図9(e))。ただし、モルタル100Nの供給量よりも、モルタルが打設される副掘削坑の容積の方が大きいから、「イ」から「ニ」までの距離は「イ」から「ト」までの距離より大きく、「ニ」から「ハ」までの距離は「ト」から「ハ」までの距離より小さくなり、また、前進ジャッキ51の全長は、妻枠115の後面にモルタル100Nを供給するとき(図8の(c))の方が、モルタル100Nの打設を終えたとき(初期状態に同じ、図8の(a)および図9の(e))よりも小さい。
【0051】
[実施形態2]
(掘進機その2)
図10および図11は本発明の実施形態に係る他の掘進機を説明する正面視および側面視の部分断面図である。
図10および図11において、掘進機2000は、主掘削坑を形成する本掘削部2900と、本掘削坑に沿って副掘削坑を形成する副掘削部2100とを有し、副掘削部2100を幅方向に小さなストロークで進退自在にしたものである。
すなわち、本掘削部2900は、本体910の内部に副掘削部2100を進退するための掘削ブロック進退手段80と、該進退に際して本体910への浸水を防止する止水手段62とが設置され、かかる設置を除いて掘進機1000の本掘削部1900と同様である。また、副掘削部2100は副掘削部1100、1101、1102の何れかと同じである。従って、隣接する掘削ブロックのそれぞれが備える副掘削手段20の回転カッタ21の回転軸22は、ユニバーサルジョイントにより連結され、一方の掘削ブロックの側から他方の側へ駆動力が伝達自在になっている。また、隣接する掘削ブロックの枠体110同士は着脱可能に構成されている。
【0052】
掘削ブロック進退手段80は、スキンプレート911に設置されたアクチュエータ81(油圧または空圧ジャッキ等)と、アクチュエータ81によって進退されるピストンロッド82とを有している。
【0053】
止水手段62は、掘削ブロック貫通孔913に沿って設置された止水外筒962と、止水外筒962に水密的に当接して摺動自在な止水板63と、止水板63を貫通する止水内筒64とを有している。止水内筒64に止水板63がフランジ状に設置されているといってよい。
そして、止水内筒64の先端側には根元掘削ブロック100hが連結され、止水内筒64の本体側にはアクチュエータ81の先端および姿勢調整装置990の位置調整アーム991が連結されている。また、副モータ30の回転伝達棒32は止水板63を水密的に貫通して、根元掘削ブロック100hの副掘削手段20hに連結されている。
【0054】
したがって、回転カッタ21を駆動しながら、アクチュエータ81を小ストロークで進退させれば、副掘削部2100は幅方向に進退(小ストロークで往復運動)することになる。よって、副掘削部2100が前方に直進するだけでは回転カッタ21が掘削することができない範囲、すなわち、回転カッタ21の端部同士の隙間が、かかる進退によって切削可能になるから、掘進効率が高まる。また、掘削ブロック100の前板112の前端面およびブラケット111の前端面(回転カッタ21の端部同士の間に配置されている)の摩耗が減少する。
さらに、回転カッタ21に替えて、前後方向に回転軸を具備する回転切削手段を設置した場合であっても、副掘削部2100が前方に直進するだけでは該回転切削手段が掘削することができない範囲、すなわち、隣接する回転切削手段の隙間として形成される略楔状の範囲が、かかる進退によって切削可能になるから、凹凸のない副掘削坑が形成されることになる。
【0055】
従って、掘進機2000は、前記掘進機1000、1001、1002と同様の作用効果を奏すると共に、前記進退によって掘進効率の向上や掘削ブロック100の当該部位の摩耗低減を図ることができ、さらに、副掘削手段の選択の自由度が増す。
なお、掘削ブロック貫通孔913を水密的に開閉自在な止水ゲートを設置して、副掘削坑を形成するタイミングに合わせて、止水外筒962を設置して該止水ゲートを開放するようにしてもよい。
【0056】
[実施形態3]
(掘進機その3)
図12は、本発明の実施形態3に係る他の掘進機の全体構成を概説するための正面視の断面図である。
図12において、掘進機3000は、主掘削坑を形成する本掘削部3900と、本掘削坑に沿って副掘削坑を形成する副掘削部3200とを有し、副掘削部3200を幅方向に大きなストロークで進退自在にしたものである。すなわち、本掘削部3900は、本体910の内部に副掘削部3200を進退するための掘削ブロック進退手段80と、該進退に際して本体910への浸水を防止する止水手段62とが設置され、かかる設置を除いて掘進機2000の本掘削部2900と同様である。
また、副掘削部3200は、前述の副掘削部1100、1101、1102、2100を構成する掘削ブロック100、101、102、100の何れかを、後記掘削ブロック200に変更したものに同じである。
【0057】
掘進機3000の掘削ブロック進退手段80は、掘進機2000に設置された掘削ブロック進退手段80(図13参照)のストークを掘削ブロック200の幅よりも大きくしたものに略同一であるため、同一符号を付している。
すなわち、図12における掘削ブロック進退手段80は、スキンプレート911に傾動自在に設置されたアクチュエータ81(油圧または空圧ジャッキ等)と、アクチュエータ81によって進退されるピストンロッド82と、アクチュエータ81の動きを固定するアクチュエータ固定手段83とを有し、ピストンロッド82の先端は、副モータ支持体31または止水板63に連結されている。
【0058】
止水手段62は、掘削ブロック貫通孔913に沿って設置された止水外筒962と、止水外筒962に水密的に当接して摺動自在な止水板63a、63bと、副モータ30が設置される副モータ支持体31と、副モータ30の回転を根元掘削ブロック200hの副掘削手段20h(より具体的には副掘削手段20hの回転軸22h)に伝達する回転伝達棒32a、32b、32cとを有している。
回転伝達棒32a、32b、32c同士、副モータ30の回転軸と回転伝達棒32c、及び回転伝達棒32aと回転軸22hとはそれぞれユニバーサルジョイントを介して接続され、屈曲自在に、また回転駆動力が伝達自在に連結されている。この場合、止水板63aに回転伝達棒32aの軸受機構を、止水水63bに回転軸32a、32bの軸受機構を、副モータ支持体31に回転伝達棒32b、32cの軸受機構を設けることができる。
なお、止水板63a、63b、副モータ支持体31のそれぞれの位置やその面が形成する角度を調整することができる止水板調節手段(図示せず)を設けてもよい。回転伝達棒32a、32bに、止水板63aと止水板63bと副モータ支持体31との位置を保持する位置決め機構を設置してもよい。場合によっては、当該位置決め機構により止水板調節手段を代替させることが可能である。
【0059】
副掘削部3200を形成する掘削ブロック200は、掘削ブロック200を形成する枠体210の外周が、止水外筒962に水密的に当接して摺動自在になっている点において、前述した掘削ブロック100、101、102と相違し、その他の点において同様である。ただし、回転軸22a、22b、22c・・・22hの方向の掘削ブロック200a、200b、200c・・・200hの各長さは、すべて一定という訳ではない(特に先端側の200a、200bは短くしてある)。これは、副掘削坑の形成方法やそれを形成する際の土壌の状況に合わせて、掘削ブロックの長さを適宜選択した結果である。
【0060】
このような掘進機を使用して副掘削坑を形成する方法を工程順に説明すると次の通りである。
(a)あらかじめ最先端掘削ブロック200aを止水外筒962に配置し、最先端掘削ブロック200aを止水板63aに連結して支持しておく。
(b)掘進機3000が副掘削坑を形成すべき位置(始端又はその近辺)に到達したところで、掘進機3000(本掘削部3900に同じ)の掘進を一旦停止する。
【0061】
(c)最先端掘削ブロック200aと止水板63aとの連結を解除して、ピストンロッド82を略後退限にまで縮める。このとき、最先端掘削ブロック200aの枠体210の外周が止水外筒962に水密的に当接するから、水等の浸入が防止される。
(d)止水外筒962内に置き去りになった最先端掘削ブロック200aと後退した止水板63aと間に形成された空間に、掘削ブロック200bを配置する。
【0062】
(e)掘削ブロック200bの両側面を、それぞれ、最先端掘削ブロック200aの根元側の側面と後退した止水板63aに連結する。
(f)ピストンロッド82を伸ばして最先端掘削ブロック200aを止水外筒962の外に押し出す。このとき、掘削ブロック200bの枠体210の外周が止水外筒962に水密的に当接するから、水等の浸入が防止される。
【0063】
(g)そして、根元掘削ブロック200hが止水外筒962の外に押し出されるまで、すなわち、副掘削部3200が形成されるまで、前記工程を繰り返す。この間、掘削ブロック200の枠体210自体が水密機能を具備しているから、本体910の止水性は維持されている。
(h)そして、副掘削部3200が形成されたところで、本掘削部3900と同期して掘進をする。このとき、止水板63a、63bに加え、掘削ブロック200自体が水密機能を発揮するから、本体910の止水性は維持される。
【0064】
(i)さらに、所定の長さの副掘削坑が形成されたところで、掘進機300の掘進を一旦停止して、前記工程と逆の工程を実行すれば、掘削ブロック200を順次本体910内に回収しながら、副掘削部3200を解体することができる。
【0065】
したがって、掘進機3000は、本掘削部3900の本体910内において、掘削ブロック200を順次連結して先端側に向かって送り出すことができ、また、本体910内に掘削ブロック200を順次引き戻すことがことができるから、副掘削坑の始端および終端に立坑や作業基地を設けることなく、副掘削部3200を形成することが可能になる。また、副掘削坑を形成している途中において副掘削手段20の摩耗等によって掘削ブロック200を交換する必要が生じた場合には、上記の工程によってこれに容易に交換することができる。
【0066】
よって、掘進機3000は、前記掘進機1000、1001、1002、2000の作用効果に加え、立坑や作業基地を設けることなく副掘削坑を形成したり、掘進途中で掘削ブロック200を容易に交換したりすることができるから、さらに施工が容易かつ迅速になる。
【0067】
なお、止水板63a、63bは、その設置を省略することが可能であるが、設置しておけば、本体910内の止水性がより向上する。特に、前記掘進機2000の場合と同様にしてピストンロッド82を小ストロークで進退させると根元掘削ブロック200hの止水性が低下する又は低下するおそれがあるときには、止水板63a、63bを設置しておくことが望ましい。
また、スキンプレート911の掘削ブロック貫通孔913を止水する開閉自在な止水用ゲートを設置してもよい。この場合には、止水外筒962に最先端掘削ブロック200aをあらかじめ設置しおく必要がなくなり、最先端掘削ブロック200aを交換することができる。
副掘削坑を形成するタイミングに合わせて、止水外筒962を設置して該止水ゲートを開放するようにすれば、本掘削坑のみを形成している間、本体910内に副掘削坑を形成するための装置を設置しておく必要がなくなる。
さらに、最先端掘削ブロック200aの先端側に土壌を掘削する掘削手段(サイドカッタと称している、これについては別途詳細に説明する)を設置すれば、かかるサイドカッタを回転しながら副掘削部3200を先端側に送り出すようにすることにより、掘削ブロック進退手段80の負担が低減する。
【0068】
(他の止水機構)
図13〜図16は、掘進機3000における止水機構のバリエーションを示す正面視の部分断面図である。図13〜図16において図12と同じ部分または相当する若しくは共通する部分には図12のそれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
図13において、掘進機3001は本掘削部3901と副掘削部3200とを有している。止水手段62aは、掘削ブロック貫通孔913に沿って設置された止水外筒962と、止水外筒962に水密的に当接して摺動自在な止水板63a、63b、63cと、必要に応じて止水板調節手段(図示せず)とを有している。
回転伝達棒32a、32b、32c、32d同士、副モータ30の回転軸と回転伝達棒32d、及び回転伝達棒32aと回転軸22hとはそれぞれユニバーサルジョイントを介して接続され、屈曲自在に、また回転駆動力が伝達自在に連結されている。この場合、止水板63や副モータ支持体31に回転伝達棒32の軸受機構を設けることができる。
そして止水外筒962には、止水外筒962内に掘削ブロック200を搬入または搬出するための開口窓であって、これを密閉自在にする密閉扉を備えるもの(図示せず)が設けられ、止水板63a、63b、63cによって水密箱を形成している。
【0069】
したがって、仮に、根元掘削ブロック200hの枠体210と止水外筒962との間の止水性が低下してその隙間から浸水した場合であっても、止水板63a、63b、63cによって本体910の止水性が維持される。さらに、止水外筒962に用水を送り込めば静水圧のバランスにより水等の浸入が防止され、止水板63a、63b、63cの摺動部の損傷が防止される。また、止水外筒962に送り込んだ用水を排出した後開口窓の密閉扉を開ければ、止水外筒962内で掘削ブロック200を容易に連結又は分離することができ、掘削ブロック200の交換や副掘削部3200の解体を行うことができる。
【0070】
図14において、掘進機3002は本掘削部3902と副掘削部3200とを有している。止水手段62bは、掘削ブロック貫通孔913に沿って設置された止水外筒962と、止水外筒962の内面に設置された止水弾性筒963と、止水弾性筒963に水密的に当接して摺動自在な止水板63a、63bと、副モータ30が設置される副モータ支持体31と、副モータ30の回転を根元掘削ブロック200hの副掘削手段20h(より具体的には副掘削手段20hの回転軸22h)に伝達する回転伝達棒32a、32b、32cとを有している。
回転伝達棒32a、32b、32c同士、副モータ30の回転軸と回転伝達棒32c、及び回転伝達棒32aと回転軸22hとはそれぞれユニバーサルジョイントを介して接続され、屈曲自在に、また回転駆動力が伝達自在に連結されている。この場合、止水板63aに回転伝達棒32aの軸受機構を、止水水63bに回転軸32a、32bの軸受機構を、副モータ支持体31に回転伝達棒32b、32cの軸受機構を設けることができる。
【0071】
したがって、止水弾性筒963を止水板63a、63bが弾性的に押圧するから、止水性が保証される。特に、全幅に渡って掘削ブロック200の曲率半径が一定でない場合であっても(たとえば、掘削ブロック101、102等に準じる、図3、4参照)、止水板63a、63bと止水弾性筒963とは互いに離隔することなく弾性的に接触するので、止水性が維持される。それ故、かかる形態の副掘削部であっても本体910内で組み立て、土壌中に押し出したり、土壌から本体910内で引き戻したりすることが可能になる。
なお、止水弾性筒963を形成する材質は限定するものではなく、止水性を具備した樹脂やゴム等であって、中実体あるいは中空体(エアーバック等)等何れであってもよい。さらに、エアーバックにして、該エアーバックを吸気および排気自在にすれば、掘削ブロック200の摺動の容易および把持の確実が図られることになる。
【0072】
仮に、掘削ブロック200の枠体210と止水弾性筒963との間の止水性が低下した場合であっても、止水板63a、63bによって本体910の止水性が維持される。さらに、止水外筒962に用水を送り込めば、静水圧のバランスにより水等の浸入が防止され、止水板63a、63b、63cの摺動部の損傷が防止される。また、止水外筒962に送り込んだ用水を排出して、開口窓の密閉扉を開ければ、具止水外筒962内で掘削ブロック100を容易に連結又は分離することができ、掘削ブロック200の交換や副掘削部3200の解体を行うことができる。
【0073】
図15は、本掘削部3900と副掘削部3200とを備える掘進機3003の止水手段62cを示している。掘進機3003は、止水手段62aではなく止水手段62cを具備している点を除き、図13に示す掘進機3001と同じである。
止水手段62cは、止水外筒962の位置P(図13参照)の筒周に沿って必要数だけ設置され、掘削ブロック200の枠体210のブラケット211の位置において機能する。なお、ブラケット211には軸受けBが設けられ、軸受けBを介して副掘削手段20を構成する回転カッタ21の回転軸22が枠体210により支持されている。
止水手段62cは、スキンプレートに設けられた掘削ブロック貫通孔(図示せず)と同軸状に設置された止水外筒962a、962bと、止水外筒962a、962bの内面に突出自在な止水弾性板964(たとえば、シール用MCナイロン等)と、止水弾性板964を止水外筒962a、962bの軸心に向かって押し出す、または当該軸心とは逆の向きに引き抜くための止水弾性板押出手段965とを有している。この止水弾性板押出手段965により、止水弾性板964は掘削ブロック200の枠体210の位置966に圧接し、必要時には位置966における圧接から解放され、掘削ブロック200のカッタと接触しない位置まで離隔する。
【0074】
したがって、止水弾性板964を掘削ブロック200のカッタと接触しない位置まで離隔させることで、掘削ブロック200を止水外筒962内で移動させることができる。また、掘削ブロック200の枠体210のブラケット111が位置Pにあるとき、止水弾性板押出手段965によって止水弾性板964を位置966に圧接させれば、掘削ブロック200と止水外筒962a、962bとの止水性が保証されることになる。特に使用後の掘削ブロック200を土壌から本体910内に引き戻する際、掘削ブロック200の枠体210の周囲が摩耗していても、止水弾性板964が確実に枠体210を押圧するから、かかる作業持における止水性が保証される。
【0075】
なお、止水弾性板押出手段965の構成や機構は図15に示したものに限定されず、たとえば、止水弾性板964の外周端を直接ボルトやジャッキ等で押し付ける機構、可撓性を有する力分散材を介してボルトやジャッキ等で押し付ける機構、止水弾性板964の外周を公知のシュリンク機構や縛着機構によって締め付ける機構であってもよい。
また、図15に示した掘削機3003は止水手段62aを有していないが、止水手段62cとの物理的干渉が生じない限り、掘削機3003において止水手段62aと止水手段62cとを併用は可能である。
更に、図15において、止水手段62cはブラケット211の位置において機能するものとされているが、止水手段62cを枠体210の前胴213の位置において機能させてもよい。この場合、位置966は前胴213に設定され、当該前胴213が位置Pにあるときて、止水弾性板押出手段965によって止水弾性板964を当該位置966に圧接させれば、掘削ブロック200と止水外筒962a、962bとの止水性が保証される。また、止水弾性板964を掘削ブロック200のカッタと接触しない位置まで離隔させることで、掘削ブロック200を止水外筒962内で移動させることができる。
【0076】
図16(a)は、本掘削部3900と副掘削部3204とを備える掘進機3004の止水手段62dを示している。掘進機3004は、副掘削部3204を形成する掘削ブロック204が止水手段62dを具備する点を除き、図12に示す掘進機3000と同じである。
止水手段62dは、掘削ブロック204の枠体210の外周であって、止水外筒962と対面する位置に設置において機能し、当該外周に設置された硬質ゴム19a、硬質ゴム19aを弾性体19b(たとえば、スポンジや板ばね等)を介して脱落不能に枠体210に固定する固定部材19cと、硬質ゴム19aと枠体210との間に配置し、硬質ゴム19aとともに枠体210に固定されるチューブ19dと、チューブ19dに接続する流体通路19eと、流体通路19eを通じてチューブ19dに流体(油、水、空気等)を注入する若しくは注入された流体の圧力を増加させる、またはチューブ19dから当該流体を排出する又はチューブ19d内の流体の圧力を減少させる流体ポンプ(図示せず)とを有している。チューブ19dは、硬質ゴム19a内に埋め込まれた状態にあり、硬質ゴム19aは、チューブ19dの膨張により止水外筒962の内面に圧接し、チューブ19dの収縮により止水外筒962の内面との圧接から解放され、当該内面から離隔する。
【0077】
したがって、チューブ19dから流体を排出して又はチューブ19d内の流体の圧力を減少させて硬質ゴム19aを止水外筒962の内面から離隔させれば、掘削ブロック200を止水外筒962内で移動させることができる。また、チューブ19dに流体を注入して又はチューブ19d内の流体の圧力を増加させて硬質ゴム19aを止水外筒962の内面に圧接させれば、止水外筒962と掘削ブロック204との止水性が保証されることになる。特に止水外筒962の内面と掘削ブロック204の枠体210の外周との間に隙間がある場合であっても、チューブ19dを外周に向けて膨張させれば、止水外筒962の内面に硬質ゴム19aは圧接されるから、止水性が保証されることになる。
なお、止水外筒962と対面する枠体210に、硬質ゴム19aを挟むように超硬チップを埋め込むなどして土手19fを設置しておけば、枠体210の前面の摩耗の進行を遅らせることが可能になると共に、硬質ゴム19aの損傷も防止される。よって、使用後に、掘削ブロック204を本体910に引き戻す際の止水性がより向上することになる。
【0078】
図16の(b)は、本掘削部3900と副掘削部3205とを備える掘進機3005の止水手段62eを示している。掘進機3005は、副掘削部3205を形成する掘削ブロック205が止水手段62eを具備する点を除き、図12に示す掘進機3000と同じである。
止水手段62eは、掘削ブロック205の枠体210の外周であって、止水外筒962と対面する位置に設置において機能し、当該外周に設置された硬質ゴム19g、硬質ゴム19gと、脱落不能に枠体210に固定する固定部材19hと、硬質ゴム19aと枠体210との間に配置し、硬質ゴム19gとともに枠体210に固定されるチューブ19iと、チューブ19iに接続する流体通路19jと、流体通路19eを通じてチューブ19dに流体(油、水、空気等)を注入する若しくは注入された流体の圧力を増加させる、またはチューブ19iから流体を排出させる若しくはチューブ19i内の流体の圧力を減少させる流体ポンプ(図示せず)とを有している。チューブ19iは、硬質ゴム19gの裏面(枠体210側の面)に当接した状態にあり、硬質ゴム19gは、チューブ19iの膨張により止水外筒962の内面に圧接し、チューブ19iの収縮により止水外筒962の内面との圧接から解放され、当該内面から離隔する。
【0079】
したがって、チューブ19iから流体を排出して又はチューブ19i内の流体の圧力を減少させて硬質ゴム19gを止水外筒962の内面から離隔させれば、掘削ブロック205を止水外筒962内で移動させることができる。また、チューブ19iに流体を注入して又はチューブ19i内の流体の圧力を増加させて硬質ゴム19gを止水外筒962の内面に圧接させれば、止水外筒962と掘削ブロック205との止水性が保証されることになる。特に止水外筒962の内面と掘削ブロック204の枠体210の外周との間に隙間がある場合であっても、チューブ19iを外周に向けて膨張させれば、止水外筒962の内面に硬質ゴム19gは圧接されるから、止水性が保証されることになる。
なお、止水外筒962と対面する枠体210に、硬質ゴム19gを挟むように超硬チップを埋め込むなどして土手19fを設置しておけば、枠体210の前面の摩耗の進行を遅らせることが可能になると共に、硬質ゴム19gの損傷も防止される。よって、使用後に、掘削ブロック205を本体910に引き戻す際の止水性がより向上することになる。
【0080】
[実施形態4]
(掘進機その4)
図17および図18は、本発明の実施形態4に係る他の掘進機を説明するための部分を示す正面視の断面図および側面図である。
図17および図18において、掘進機4000は、主掘削坑を形成する本掘削部4900と、本掘削坑に沿って副掘削坑を形成する副掘削部4300とを有し、副掘削部4300を形成する掘削ブロック300が、覆工材としてセグメント300Sを副掘削坑に設置すると共に、副掘削部の所定位置にモルタル(図示しない)を打設自在にしたものでものであって、副掘削部4300を幅方向に小ストロークで進退自在にしたものである。
【0081】
本掘削部4900の本体910には、本体910の内部から副掘削部4300の後方にセグメント300Sを押し出すためのセグメント供給手段40と、副掘削部4300を幅方向に沿って進退するための掘削ブロック進退手段80が設置されている。
【0082】
セグメント供給手段40は、スキンプレート911に設置されたアクチュエータ41と、アクチュエータ41によって進退されるピストンロッド42と、セグメント300Sの端部に当接する押し当て金物43とを有している。アクチュエータ41は、油圧または空圧ジャッキ等であり、押し当て金物43はセグメント300Sの端部を軽く把持するものであってよい。掘削ブロック進退手段80および止水手段62は、前述の掘進機2000(図10参照)に設置されたものと同様である。
【0083】
止水手段62は、掘削ブロック貫通孔913に沿って設置された止水外筒962と、止水外筒962に水密的に当接して摺動自在な止水板63とを有している。止水板63には、セグメント300Sが幅方向に通過自在なセグメント供給孔67が設置され、セグメント供給孔67にはセグメント300Sを案内するセグメント案内筒68が設置され、セグメント案内筒68の内周にはセグメント300Sに水密的に当接して摺動自在なシールリップ69が設置されている。
【0084】
副掘削部4300は、相互に連結された掘削ブロック300によって形成されている。
掘削ブロック300は、図6に示した掘削ブロック100又は図10に示した掘進機2000のそれと同様にモジュール化されており、枠体310と、土壌を掘削する副掘削手段20と、セグメント300Sを掘進方向と反対の方向に押圧して、その反力により掘削ブロック300自体を掘進方向側に移動させる副ジャッキ手段53(以下「第三ジャッキ手段53」と称す)と、排泥手段70と、姿勢制御手段90とを具備している。引き戻しジャッキ52に相当するものは具備していない。
枠体310は、正面視略扇型の箱体312と、箱体312の前面に固定されたブラケット311と、前胴313と、ブラケット311及び前胴313にそれぞれ設置された図示しない軸受けBとを少なくとも備えている。そして、図示しないモルタル輸送手段40mのモルタル輸送管41、排泥手段70の送泥管71が幅方向に貫通している。
【0085】
副掘削手段20は、幅方向においてブラケット311を中心として1対、厚さ方向において1対配置する合計4本の回転カッタ21と、各回転カッタの回転軸22とを備えている。各回転軸22はブラケット311及び前胴313に設置された軸受けBによって回転自在に支持されている。各回転軸22の一方の端部は、幅方向において隣接する別の掘削ブロック300の回転軸22の端部と、また当該回転軸22の他方の端部は、幅方向において隣接する更に別の掘削ブロック300の回転軸22の端部と、それぞれユニバーサルジョイント(図示せず)によって連結されている。根元掘削ブロック300hの回転軸22hは、回転伝達棒32によって副モータ30に連結されている。いずれも、掘進機2000の場合(図10参照)と同様である。
【0086】
モルタル輸送手段40mは、幅方向の所定位置あるいは最先端掘削ブロック300a(図示しない)から副掘削坑にモルタルを打設するものであり、モルタルの打設を必要としない場合は、当然にモルタル輸送手段40mの設置を省略することができる。
モルタル輸送手段40mは、幅方向に伸延する単体または相互に接続されたモルタル輸送管41と、本体910内に設置されたモルタル圧送機とを備えている(何れも図示せず)。モルタル輸送管は、モルタル補助輸送管及び開閉弁、更にはモルタル輸送管内を洗浄するモルタル輸送管洗浄手段を備えていてもよい。
【0087】
第三ジャッキ手段53は、枠体310内(箱体312内に同じ)に収納された突っ張りジャッキ54と、箱体312の後方においてセグメント300Sに当接するセグメント搬送ローラ55と、搬送ローラ55が設置される搬送ローラ支持体56とを有し、搬送ローラ支持体56は箱体312に水密的に当接して、突っ張りジャッキ54によって掘進方向(長さ方向)に沿って進退されるものである。
なお、排泥手段70、および姿勢制御手段90は、前記掘進機2000(図10参照)に同一であるから、説明を省略する。
【0088】
(副掘削部の掘進要領その2)
図19は、本発明の実施形態4に係る掘進機の副掘削部の掘進要領を、工程を追って説明するため平面視の模式図である。掘進機4000における副掘削坑を形成する要領は、前記掘進機1000(図8参照)におけるモルタル100Mの打設を、セグメント300Sの設置に読み替えたものに相当するから、以下の通りである。
【0089】
まず、掘削ブロック300(副掘削部4300に同じ)により所定の距離だけ掘進した後、突っ張りジャッキ54を縮め、掘削ブロック300の後方に溝状の空間(副掘削坑に相当する、図中、掘進方向の距離「あ〜い」の範囲)を形成する(図19(a);以下「初期状態」という)。
次に、本体910よりセグメント300Sを先端側に送り出し、前記空間内に配置する(図19(b))。このとき、セグメント供給孔67はセグメント300Sとシールリップ69とによって水密的に封じられているから、本体910への水等の浸入が防止される。
【0090】
引き続き掘削ブロック300の回転カッタ21(図示せず)を回転させながら、突っ張りジャッキ54を伸ばす(図19(c))。このとき、突っ張りジャッキ54はセグメント300Sを後方に押圧し、その反力でもって掘削ブロック300の前面は、位置「う」から位置「お」に、すなわち、セグメント300Sの長さ「あ〜え」分だけ前進する。また、かかる押圧によって、既に設置されている後方のセグメント300Sと、今回押圧されるセグメント300S(最も前方に位置する)との密着度が向上する。
そして、再度、突っ張りジャッキ54を縮めると、初期状態に戻る。
【0091】
以上の工程を繰り返すことによって、所望長さの覆工材(セグメント連続体に相当する)を形成することができる。
なお、副掘削部4300は、本掘削部4900の動きに同期して前進する。また、副掘削部4300が掘進中または一時停止中に、幅方向の所定位置および最先端掘削ブロック300aからモルタルが副掘削部に打設される(図19において図示せず)。これにより、セグメント300S同士の当接部の止水性が向上し、また、当該主掘削坑(たとえば、主トンネル)に合流する他方の掘削坑(たとえば、ランプトンネル)との干渉地帯が好適に形成されることになる。
【0092】
掘削ブロック300は、前述の掘進機1000の副掘削部1100を形成する掘削ブロック100(図1、図2参照)、掘進機1001の副掘削部1101を形成する掘削ブロック101(図3参照)、掘進機1002の副掘削部1102を形成する掘削ブロック102(図4参照)等にも、当然、置き換えることができ、上記の掘進要領を副掘削部1100、1101、1102の掘進に適用することができる。かかる置き換えを行う場合、たとえば副掘削部1100、1101、1102の最先端掘削ブロック100a、101a、102aではモルタルを打設し、その他の掘削ブロック(100a、101a、102a以外)ではセグメント300Sを設置するようにしてもよい。
【0093】
[実施形態5]
(掘進機その5)
図20および図21は、本発明の実施形態5に係る他の掘進機を説明するための部分を示す正面視の断面図および側面図である。
図20および図21において、掘進機5000は、主掘削坑を形成する本掘削部5900と、本掘削坑に沿って副掘削坑を形成する副掘削部5400とを有し、副掘削部5400を形成する掘削ブロック400の内部に収納されたセグメント400S、400T等(以下、特に区別しない限りまとめて「400S」と表記する)を副掘削坑に設置すると共に、副掘削坑の所定位置にモルタル(図示しない)を打設自在にしたものであって、副掘削部5400を幅方向に小ストロークで進退自在にしたものである。
【0094】
本掘削部5900の本体910には、掘削ブロック400内にセグメント400Sを押し出すためのセグメント供給手段40(図示しない)と、副掘削部5400を進退するための掘削ブロック進退手段80が設置されている。
止水板63の先端側(スキンプレート911の外面側に相当する)には、根元掘削ブロック400hが連結される掘削ブロック支持体65が設置され、止水板63にはセグメント400Sが通過自在なセグメント供給孔67が設けられている。
【0095】
副掘削部5400は、相互に連結された掘削ブロック400によって形成されている。
掘削ブロック400は、枠体410と、土壌を掘削する副掘削手段20と、セグメント400Sを掘進方向と反対の方向に押圧してその反力により掘削ブロック400自体を掘進方向側に移動させる副ジャッキ手段57と、排泥手段70と、姿勢制御手段90とを具備している。
【0096】
枠体410は正面視で略扇型の箱体412であって、幅方向の側面にそれぞれセグメント400Sが幅方向に通過自在なセグメント通過窓413が、枠体410の後面にはセグメント400Sが長さ方向に通過自在なセグメント押出窓414が、それぞれ設けられている。さらに、セグメント押出窓414の内周にはセグメント400Sの外周に水密的に当接して摺動するシールリップ460が設置されている。また、箱体412の前面にはブラケット411が設置されている。
【0097】
副ジャッキ手段57は、枠体410内(箱体412内に同じ)に収納された突っ張りジャッキ54と、箱体412の内部に収納されたセグメント300S(図示しないセグメントガイドに載置されている)に当接するセグメント押圧板58と、セグメント押圧板58が設置される押圧板支持体59とを有し、突っ張りジャッキ54が押圧板支持体59を長さ方向に沿って進退させる。
なお、副掘削手段20、排泥手段70、掘削ブロック進退手段80、姿勢制御手段90等は、前記掘進機2000又は4000のもの(図10又は図17参照)と同一であるから、説明を省略する。
【0098】
掘進機5000における副掘削坑を形成する要領は、前記掘進機4000(図19参照)の場合と概ね同じである。すなわち、以下の通りである。
(a)掘削ブロック400(副掘削部5400に同じ)が所定の距離だけ掘進したところで、突っ張りジャッキ54を縮め、箱体412内にセグメント400Tを収納するだけの空間を形成する(以下「初期状態」と称す)。このとき、セグメント押出窓414は既に押し出されたセグメント400Sによって水密的に封じられている。
【0099】
(b)次に、本体910よりセグメント400Tを先端側に送り出し、前記空間内に配置することにより、最先端掘削ブロック400aから根元掘削ブロック400hまでの全ての掘削ブロック400の後方に、セグメント400Tを収納する。なお、セグメント400Tは図示しないセグメントガイドに載置されている。
【0100】
(c)回転カッタ21(図示しない)を回転しながら、突っ張りジャッキ54を伸ばす。このとき、突っ張りジャッキ54はセグメント400S、400Tを後方に押圧するから、その反力により掘削ブロック400を前進させる。
この間、シールリップ460は、セグメント400Sからセグメント400Tに順次当接して摺動するから、セグメント押出窓414の止水性が維持される。この場合、シールリップ460を長手方向で複数段配置しておけば、当該押出の間も、セグメント400Sおよびセグメント400Tの両方が何れかのシールリップ460に当接するから、止水性がより向上する。
【0101】
(d)さらに、突っ張りジャッキ54が、セグメント400Tの長さ分だけ伸びたところで、かかる押出を停止する。これにより掘削ブロック400はセグメント400Tの長さ分だけ前進する。
(e)再度、突っ張りジャッキ54を縮める。これにより初期状態に戻る。
(f)以上の工程を順次繰り返す。これにより所望長さの副掘削坑を形成することができる。
【0102】
よって、掘進機5000は前述の掘進機4000と同様の作用効果を奏する。
また、掘削ブロック400は、枠体410がセグメント通過窓413に位置するセグメント400Sによって止水されるため、前述の掘進機3000の副掘削部3200を形成する掘削ブロック200(図12参照)に置き換えることができる。すなわち、掘進機5000は、副掘削部540を小さなストロークで進退するものに限定されるものではなく、掘進機3000の場合と同様に大きなストロークで進退するようにして、掘削ブロック400を本体910内で順次連結して先端側に送り出し、また本体910に引き戻して連結を解除したりすることができる。
【0103】
なお、上記の工程の何れかに並行して、最先端掘削ブロック400aまたは所定の掘削ブロック400から、副掘削坑にモルタル(図示しない)を打設してもよい。かかるモルタルの打設によって、他方の掘削坑との干渉地帯が好適に形成され、セグメント400S(セグメント400Tを含む)の止水性がより向上し、副掘削坑へのセグメント400Sの設置が確実になる。
また、掘削ブロック400は、前述の掘進機1000の副掘削部1100を形成する掘削ブロック100(図1、図2参照)、掘進機1001の副掘削部1001を形成する掘削ブロック101(図3参照)、掘進機1002の副掘削部1002を形成する掘削ブロック102(図4参照)等にも、当然置き換えることができ、上記の掘進要領を副掘削部1100、1101、1102の掘進に適用することができる。かかる置き換えを行う場合、たとえば副掘削部1100、1101、1102の最先端掘削ブロック100a、101a、102aではモルタルを打設し、その他の掘削ブロック(100a、101a、102a以外)ではセグメント400Sを設置するようにしてもよい。
【0104】
[実施形態6]
実施形態1〜5に係る掘進機における副掘削手段は、前述の掘進機1000〜5000の副掘削部を形成する掘削ブロック100〜400のいずれにも設置することができる。そこで、以下、掘進機1000における掘削ブロック100を例に当該副掘削手段について説明する。
【0105】
(副掘削手段その1)
図22は、本発明の実施形態5に係る掘進機の掘削ブロックに設置される掘削手段を説明するものであって、(a)は側面視の部分断面図、(b)は部分正面図である。
図22において、掘削ブロック100のブラケット111と前胴113(連結板)にそれぞれ設置された図示しない軸受けBに、副掘削手段20の回転軸22が支持されている。各回転軸22の幅方向(回転軸22の軸心方向に同じ)には、回転軸22の周りに環状に等間隔で配置された6個のカッタビットの列が、所定の間隔をおいて複数個設置されており、かかる複数個のカッタビットの列により回転軸22単位で回転カッタ21が構成されている。
掘削ブロック100の枠体110内には3本の送泥管71と1本の排泥管72が配置し、送泥管71の一つは当該掘削ブロック100の前板112の前面に用水を注入するためのものであり、残りの送泥管71はより先端側の掘削ブロック100に向けて用水を輸送するためのものである。また、排泥管72は、前板112の前面から掘削された土壌と用水との混合物を受け入れて、本掘削部190側に輸送するためのものであり、図示しない複数本の排泥支管を備えている。
副ジャッキ手段50等については、記載を省略している。
【0106】
回転軸22は厚さ方向(図中、上下方向)に一対配置され、一方の回転軸22に設置された回転カッタ21同士の間隔の間に、他方の回転軸22に設置された回転カッタ21が配置、すなわち、千鳥状に配置されている。このような配置によれば、それぞれの回転カッタ21が衝突することはなく、未掘削部(削り残し)が生じない。また、前胴113(上板および下板)前端面には、固定カッタビット23が設置されているから、掘削ブロック100の正面視形状に略同一の副掘削部が形成されることになる。
【0107】
また、前胴113(連結板)の前端面には、硬質金属119が肉盛りされているので、当該前端面の摩耗を抑えることができる。特に、隣接する掘削ブロック100の回転軸22を屈曲回転自在に連結するユニバーサルジョイント22uの前方に硬質金属119のような強化手段を講じることは、駆動力連結手段を保護するために有効である。
【0108】
更に、ブラケット111の前端面にも硬質金属119を肉盛りし、摩耗を抑制することができるが、硬質金属119の肉盛りに替えて、前述の土手19f(たとえば、超硬チップを埋め込む、図16参照)を設けても同様の作用効果が得られる。この意味から、前胴113(連結板)の前端面には、硬質金属119が肉盛りに替えて、土手19fを設けてもよい。
【0109】
なお、図22においては、それぞれの回転軸22に設置された回転カッタ21を幅方向で同一位相にして、一対の回転軸22のそれぞれの回転位相が同期するように回転してもよい。円周方向に設置される回転カッタ21の数量は6個に限定されるものではなく、回転軸22も上下方向一対に限定されるものではない。回転カッタ21略連続的に直線状ないし螺旋状に設置してもよい(ドラムカッタないしスクリューカッタに相当する)。また、回転カッタ21の先端部にカッタビットを埋め込んだものであってもよい。
副掘削手段20を掘削ブロック100以外の掘削ブロックに設置するときは、枠体110を形成する前胴113等は、それぞれ相当する部分に適宜読み替えればよい。
【0110】
(副掘削手段その2)
図23は、本発明の実施形態5に係る他の掘進機の掘削ブロックに設置されるその他の掘削手段を説明するものであって、(a)、(b)、(c)は部分正面図である。
図23(a)において、副掘削手段24の一方の回転軸22には、幅方向(回転軸22の軸心方向に同じ)で所定の間隔を設けて複数個のカッタビット列21jが設置され、カッタビット列21jの先端の軌跡を幅方向に結ぶと「樽」形状、すなわち、回転軸22の中央で膨らみ端部で縮んでいる。
【0111】
図23(b)において、副掘削手段24の他方の回転軸22には、幅方向(回転軸22の軸心方向に同じ)で所定の間隔を設けて複数個のカッタビット列21kが設置され、カッタビット列21kの先端の軌跡を幅方向に結ぶと「鼓」形状、すなわち、回転軸22の中央で縮まり端部で膨らんでいる。
【0112】
図23(c)において、カッタビット列21jにより構成される回転カッタ21(以下「回転カッタ21J」という)とカッタビット列21kにより構成される回転カッタ21(以下「回転カッタ21K」という)が、カッタビット列同士が千鳥状に配置するように組み合わされている。このとき、掘削ブロック100の枠体110が正面視で略扇型のとき、該略扇型の曲率半径に同じ曲率半径に、回転カッタ21Jの先端の軌跡と回転カッタ21Kの先端の軌跡とを形成しておけば、回転カッタ21Jと回転カッタ21Kとによって形成される正面視の範囲が、枠体110の正面視形状に略同じになる。よって、枠体110の前端面の摩耗が抑えられ、掘進が容易になる。また、枠体110の形状により好適な掘削が実現するから、掘削ブロック100(副掘削部1100に同じ)の姿勢をより所望の位置に保持することが容易になる。
【0113】
なお、それぞれの回転軸22に設置されたカッタビット列21j、21kを幅方向で同一位相にして、一対の回転軸22J、22Kのそれぞれの回転位相が同期するように回転してもよい。また、円周方向に設置される回転カッタ21J、21Kを構成するカッタビット列の数量は限定するものではなく、回転軸22J、22Kも上下方向一対に限定するものではない。さらに、カッタビット列21j、21k又はカッタビット列を構成するカッタビットを略連続的に直線状に設置してもよいし、螺旋状に設置してもよい(ドラムカッタないしスクリューカッタに相当する)。掘削手段24に適用可能であれば、カッタビットやカッタビット列については制限がなく、如何なる種類、形態等であってもよい。
【0114】
(副掘削手段その3)
図24は、本発明の実施形態5に係る掘進機の掘削ブロックに設置されるその他の掘削手段を説明するものであって、側面視の部分断面図である。図24において、副掘削手段25は、前述の副掘削手段20、24を上下に揺動自在にしたものである。
一対の回転軸22は、ブラケット111と前胴113(連結板)にそれぞれ設置された図示しない軸受けに支持されることに替えて、揺動腕25mに設置された図示しない軸受けに回転自在に支持されている。そして、揺動腕25mは前面112の設けられた揺動支点25nを中心にして上下に揺動する。この揺動を可能にする機構は多々あり、任意に選択される。典型例は、本体910に設置された揺動駆動源から伝達された回転を揺動動作に変換するクランク機構である。
【0115】
よって、回転カッタ21によって形成される副掘削坑が上下に拡大される。これにより、掘削ブロック(副掘削部に同じ)をより小型で軽量にすることが可能になるから、施工が迅速かつ安価になる。
【0116】
(副掘削手段その4)
図25は、本発明の実施形態5に係る掘進機の掘削ブロックに設置されるその他の掘削手段を説明するものであって、(a)は側面視の部分断面図、(b)は正面視の部分断面図である。図25において、副掘削手段26は、図示しない掘削ブロック100の枠体110内に配置されている。この副掘削手段26は、本体910に設置された回転モータ(図示せず)と、回転モータの回転軸と連結された回転駆動軸22rと、歯車機構Gを介して回転駆動軸22rと従動的に連結された回転従動軸22pと、回転従動軸22pにより回転する回転カッタ21とを備えている。回転カッタ21は、その回転面に複数のカッタビット21pを備えており、その回転軸が回転従動軸22pの回転軸と一致しない、所謂偏心した位置に設置されている。
【0117】
したがって、回転カッタ21は回転従動軸22pに対し偏心回転するので、いわゆる面掘削する(エンドミルに相当する)ことになり、より広い範囲を効率よく掘削することができ、掘削効率が向上する。このとき、副掘削部1100を小ストロークで幅方向に進退すれば、回転カッタ21pは、回転カッタ21p同士の間に形成される略楔状範囲の土壌をも掘削するから、副掘削坑が凹凸のない比較的なめらかな形状になる。
なお、歯車機構22pの典型例はウォーム減速機構であるが、歯車機構22pはこれに限定されない。例えば、ウォームギアに替えてマイターギアを設置したものであってもよい。
【0118】
(副掘削手段その5)
図26は、本発明の実施形態5に係る掘進機の掘削ブロックに設置されるその他の掘削手段を説明するものであって、(a)正面視の断面図、(b)は側面視の部分図である。図26において、副掘削手段27は、前述の副掘削手段20、24、25、26、27に追加して設置されるものであって、最先端掘削ブロック100aの先端側に回転カッタ21s(以下「サイドカッタ21s」と称す)を具備するものである。
【0119】
本体910の内部にサイドカッタ用モータ30sが設置され、掘削ブロック100には回転自在に設置されたサイドカッタ用回転伝達軸22tが設置され、最先端掘削ブロック100aのサイドカッタ用回転伝達軸22tの先端側は偏心回転機構22vに連結されている。サイドカッタ用モータ30sのサイドカッタ駆動軸31sには同期用のスプロケット33sが固定され、それぞれのスプロケット33s同士が、同期用チェーン33tによって連結されている。
また、サイドカッタ回転軸22sとサイドカッタ用回転伝達軸22t、および幅方向において隣接するサイドカッタ用回転伝達軸22t同士は、それぞれユニバーサルジョイント22uによって屈曲回転自在に連結されている。
偏心回転機構22vでは、サイドカッタ21sに固定されたサイドカッタ回転軸22sと、サイドカッタ用回転伝達軸22tとが一致しない、互いに所謂偏心した位置に設置されている。また、サイドカッタ用回転伝達軸22tに固定された偏心カム22wが、サイドカッタ回転軸22sに当接し、これに自転および公転運動を付与している。
【0120】
したがって、サイドカッタ用モータ30sの回転が、複数のサイドカッタ21sにそれぞれ同期して伝達され、それぞれが自転および公転することになる。よって、最先端掘削ブロック100aの先端側においても掘削が実行され、しかも、その先端側のより広い範囲を効率よく掘削することができ、副掘削部1100の掘進効率が向上する。特に、副掘削部1100を小ストロークあるいは大ストロークで幅方向に進退する作業が容易になるから、掘削ブロック進退手段80の負担が低減して、装置を簡素にすることが可能になる。
なお、最先端掘削ブロック100aの先端側に固定カッタビット(図示しない)を設置して当該部位における掘削を促進したり、硬質金属を肉盛りして摩耗の進みを抑制したりしてもよい。また、偏心回転機構22vの設置を省略しても、先端側で掘削が実行されるから、前記に準じた作用効果が得られる。
【0121】
(副掘削手段その6)
図27は、本発明の実施形態5に係る掘進機の掘削ブロックに設置されるその他の掘削手段を説明するものであって、(a)平面視の断面図、(b)は側面視の部分図である。図27において、副掘削手段28は、前述の副掘削手段27の具備する偏心回転機構22vに替えて、コピーカッタ21uを設置したものである。
【0122】
サイドカッタ回転軸22sとサイドカッタ用回転伝達軸22tとはユニバーサルジョイント22uにより屈曲回転自在に連結されている。
サイドカッタ21sには、その回転中心に対して進退自在にコピーカッタ21uが設置されている。すなわち、コピーカッタ21uは、図示しないコピーカッタ進退手段によって、サイドカッタ21sの最外回転軌跡よりも外側に突き出される。
【0123】
したがって、副掘削手段28を用いると、側面視で掘削ブロックの大きさ(長さ方向および高さ方向)よりも大きな範囲を効率的に掘削することができ、前述の副掘削手段27(図26参照)と同様の作用効果を得ることができる。
なお、サイドカッタ21sはカッタチップ21tを埋め込んだものを図示しているが、これに限定されるものではない。
【0124】
(副掘削手段その7)
図28は、本発明の実施形態5に係る掘進機の掘削ブロックに設置されるその他の掘削手段を説明するものであって、(a)平面視の断面図である。図28において、副掘削手段29は、前述の副掘削手段27のサイドカッタ回転軸22sを進退自在にしたものである。
サイドカッタ回転軸22sとサイドカッタ用回転伝達軸22tとはスプライン機構22yを介して連結されて、サイドカッタ回転軸22sはサイドカッタ押出ジャッキ22xによって進退自在になっている。また、サイドカッタ回転軸22sの軸方向が最先端掘削ブロック100aの幅方向に対して所定の角度だけ傾斜し、先端側に向かって広がったV字状を呈している。
【0125】
したがって、サイドカッタ押出ジャッキ22xが伸びると、サイドカッタ回転軸22sは押し出され、その先端に固定されたサイドカッタ21sは、枠体110の面(たとえば、図示しない前面)よりも広がって押し出されることになる。
それ故、サイドカッタ21sを回転させながらこれを押し出せば、または、押し出されたままサイドカッタ21sを回転させれ、側面視で掘削ブロックの大きさもよりも大きな範囲を掘削することができる。よって、前述の副掘削手段27、28(図26、27参照)と同様の作用効果が得られる。
なお、サイドカッタ21sの数量は限定するものではなく、たとえば、一方の一対のサイドカッタ21sを上下方向に拡げ、他方の一対のサイドカッタ21sを長手方向に拡げれば、側面視で掘削ブロックの大きさも(長さ方向および高さ方向)よりも大きな範囲を掘削することができるから、前記作用効果がさらに顕著になる。
【0126】
(副掘削手段その8)
図29は、本発明の実施形態5に係る掘進機の掘削ブロックに設置されるその他の掘削手段を説明するものであって、正面視の部分断面図である。図29において、副掘削手段20wは、前述の機械的な掘削手段に替えて、高圧水を噴射して掘削する水圧掘削手段を具備するものである。
すなわち、掘削ブロック100の枠体110の前方に向かって高圧水を噴射する噴射口21wが設置され、各噴射口21wに向けて、本体910に設置された図示しない高圧水ポンプから図示しない高圧水配管を経由して高圧水が供給されている。また、最先端掘削ブロック100aには先端方向(図値、右方向)に向かって高圧水を噴射する噴射口(図示する代わりに、その位置を矢印で示す)が設置されている。
【0127】
したがって、副掘削手段20wは、前述の機械的な副掘削手段20〜29と同様に副掘削坑を形成することができる。また、副掘削手段20wは機械的な回転部を具備しないから、その構造も簡素になり保全性が向上する。更に、噴射した高圧水を排土に利用することができるから、排土手段も簡素になる。
なお、前記高圧水配管は、掘削ブロック100ごとに転結され、各噴射口21wに向かう高圧水分岐管を有し、開閉バルブや流量調整バルブが適宜設置される。
【0128】
以上、各種掘削手段を例示しているが、本発明における掘削手段はこれらに限定されるものではない。本体910内に設置された駆動源から駆動力が伝達自在であって、掘削ブロックごとに設置されるものであれば如何なる手段であれ、本発明における掘削手段に該当する。本体910内に設置された駆動源から駆動力が伝達自在にするためには、隣接する掘削ブロック間において掘削手段の駆動力を伝達する手段、即ち駆動力連結手段が必要になる。ユニバーサルジョイントがその駆動力連絡手段の典型例である。
【0129】
[実施形態7]
(掘削機構)
本発明に係る掘削機構は、複数の掘削ブロックのそれぞれが掘削手段を備え、前記複数の掘削ブロックが互いに着脱可能で、各掘削ブロックが備える掘削手段の駆動力が隣接する掘削ブロック間で伝達自在であるものである。
【0130】
ここで、掘削ブロックについては、掘削ブロック100、200、400等がこれに該当する。各掘削ブロックは掘削手段を備える。
掘削手段については、実施形態1〜6を通じて説明されてきた各種の副掘削手段20、24、25、26、27等やサイドカッタ21sがこれに該当する。
複数の掘削ブロックを互いに着脱可能にすることについては、隣接する掘削ブロックの枠体110(後述)同士を接続または分離することにより、例えば、隣接する枠体間に設けたボルト−ナットの螺合機構を利用することにより、あるいは隣接する枠体同士を溶接により接続し、またはガウジング(又は場合によっては溶断)により分離することにより、これを着脱可能にすることができる。隣接する掘削ブロック同士を接続する際には、接続角を固定するための接合部材や継手部材を用いてもよい。
各掘削ブロックが備える掘削手段の駆動力が隣接する掘削ブロック間で伝達自在であることについては、これは、隣接する掘削ブロック間において各掘削ブロックが備える掘削手段の駆動力が伝達自在になるようにすることであって、駆動力連結手段を設けることである。駆動力連結手段の典型例はユニバーサルジョイントのような継手機構であることは既述の通りである。
【0131】
掘削ブロックは、掘削機能を有する構造単位要素毎の取扱いが可能にするものであり、これにより、着脱、運搬、保守・管理その他の取扱いが容易になる。また、複数の掘削ブロックを互いに着脱可能にする機構、構造、手段等、及び各掘削ブロックが備える掘削手段の駆動力が隣接する掘削ブロック間で伝達自在にする機構、構造、手段等(駆動力連結手段を含む)といった構造単位要素間のインターフェイス部分を共通化すれば、インターフェイス部分以外について掘削ブロックの設計の自由度は増えるという利点があり、土壌条件、施工条件等の掘削環境・条件に応じて掘削手段の種類を適宜選択して、または掘削手段が異なる構造単位要素を組み合わせて掘削機構を選択的に構成するも可能になる。例えば、掘削坑の形成方法やそれを形成する際の土壌の状況に合わせて、掘削ブロックの幅方向の長さ、掘削手段が備える回転軸の長さ、駆動力連結手段の種類などを適宜選択することができるようになる(図12参照)。
【0132】
複数の掘削ブロックが同一又は類似であれば、当該複数の掘削ブロックのそれぞれに共通の単価を設定又は仮設定することができるので、掘削又は掘進の工事の予測や受発注の際に必要な価格の見積もりや算出を容易にし、概算であっても精度の高い見積もりができるようになり、取引の迅速化と合理化に寄与する。
また、当該工事の現場への搬入前に予め工場において掘削ブロックを製造すること及びその製造の完成度を高めることができ、梱包や運搬については掘削ブロック単位でこれが可能になり、また掘削ブロックの形状が種類に応じて概ね定型的であることからこれが容易になるので、工事全体の迅速化と合理化に寄与する。
その他、掘削ブロックという特定物をあたかも一商品のように又はそれに準じるものとして取扱うことが可能になる。
【0133】
掘削ブロックの典型例は、図5乃至図9に示したものである。これらの図に示された掘削ブロックにおいては、モルタル輸送管41、送泥管71が幅方向(図5において左右方向、図6において上下方向)に貫通している。このような状態は、幅方向において連通可能な一対の開口部を枠体110を設置することにより実現することができる。即ち、本掘削部の内部における作業により掘削ブロックを継ぎ足す際、モルタル輸送管41、送泥管71が途中で切り離されてできる端部を、枠体110に設けた1対の開口部のうち一方の開口部を通過させ、更に他方の開口部を通過するように当該掘削ブロックに対し相対移動させる。これにより、モルタル輸送管41、送泥管71が当該掘削ブロックの内部を幅方向に貫通した状態になる。必要な作業が終了した後は、モルタル輸送管41、送泥管71は再度接合され、通常の使用に供される。
なお、モルタル輸送管41、送泥管71に着脱自在な継手を予め、本掘削部の内部に位置するように取り付けておけば、上記の手順により作業は容易になる。
【0134】
(他の掘削ブロック)
尤も、モルタル輸送管41、送泥管71の弾性が低い場合や、配管形状が特殊又は配管の一部に異形部分を備える場合には、配管の軸に沿った掘削ブロックの移動が難しくなる。幅方向において連通可能な一対の開口部を枠体110に設ける際、当該開口部の径をより大きくしておけば、配管の軸に沿った掘削ブロックの移動は比較的容易になるが、当該開口部の径を大きくするにしても限界があり、配管の一部の異形部が掘削ブロックの移動の物理的障害になる場合には、当該開口部の径を大きくという手法だけでは十分な解決にならない場合がある。そこで、必要な配管を幅方向に沿って分割してできる配管要素を、対応する位置に設置される予定の掘削ブロックに内蔵させ、複数の掘削ブロックを幅方向に連結する際に、隣接する掘削ブロック間で配管要素を併せて接合する。各配管要素は隣接する配管要素と着脱自在とし、隣接する掘削ブロックを分離する場合にも、併せて分離できるようにする。このような掘削ブロックを採用すれば、上記問題を解決することができる。
【0135】
図30は、配管要素を内蔵する掘削ブロックの具体例を示している。この図における掘削ブロックは、図6に示したものを基礎としているので、図6に示した掘削ブロックと共通する部分についての説明は省略する。
図30において、配管要素710は、長手方向又は管軸方向が幅方向(掘削手段20の回転軸の方向)と略平行になるように枠体110内に配置されている。無論、配管要素710は掘削ブロック100の動作に支障を与えない位置に設置されている。
【0136】
特に図30(a)において、配管要素710は、その両端を前胴113と接合させるとともに枠体110内を連通するように配置している。前胴113には、ボルトとナットによる接続を可能にする貫通孔710aが複数個設けられている。この貫通孔は、配管要素710の端部開口部の近傍に、当該開口部を中心に対称的に配置している。
このような貫通孔は、隣接する掘削ブロックの相対する、他方の掘削ブロックの前胴にも設けられており、双方の掘削ブロックを隣接させたとき、それぞれの配管要素が連通すると同時に、それぞれの貫通孔も連通するようにしてある。
そこで、隣接する掘削ブロックを接続する際、両掘削ブロック間で配管要素及び貫通孔を連通させておき、一方の掘削ブロックの内側から反対側の掘削ブロックの内側に向けて当該貫通孔にボルトを通し、反対側からナットを締め付ける。この螺合機構により、隣接する掘削ブロックを接続する際に併せて配管要素の接続が可能になる。逆の手順により、隣接する掘削ブロックを分離する際に併せて配管要素の接続を解除することができる。
【0137】
特に図30(b)において、配管要素710は、その一方の端部を枠体110の内部に、他方を枠体110の外部に配置されている。そしてその両端にはフランジが設けられている。各フランジには、ボルトとナットによる接続を可能にする貫通孔(図示せず)が複数個、配管要素710の端部開口部を中心に対称的に配置するように設けられている。
また、枠体110には、枠体の内側に配置されるフランジの面が外部から露出される程度に大きい開口部710bが設けられている。
掘削ブロック同士を隣接させたとき、一方の掘削ブロックの枠体内部に配置するフランジと、他方の掘削ブロックの枠体外部に配置するフランジと、当該一方の掘削ブロックの枠体が備える開口部710bを介して、接続される。このとき、それぞれの配管要素が連通すると同時に、それぞれのフランジの貫通孔も連通するようにしてある。
そこで、隣接する掘削ブロックを接続する際、一方の掘削ブロックの枠体が備える開口部710bに、他方の掘削ブロックの枠体外部に配置するフランジを差し込むことにより対面するフランジにおいて、連通する貫通孔の一方からボルトを通し、反対側からナットを締め付ける。この螺合機構により、隣接する掘削ブロックを接続する際に併せて配管要素の接続が可能になる。逆の手順により、隣接する掘削ブロックを分離する際に併せて配管要素の接続を解除することができる。
【0138】
なお、図30(b)においては、配管要素710の両端に設置されているフランジが、それぞれ、枠体110の内部と外部に配置されていたが、両フランジの面が枠体110の外表面と一致する又は略一致する位置に配置されていてもよい。この場合、隣接する掘削ブロックを接続する際、一方の掘削ブロックの枠体が備える開口部710bに、他方の掘削ブロックの枠体外部に配置するフランジを差し込む又は引き出す必要はなくなり、隣接する掘削ブロックを接続又は分離の手順は、図30(a)の場合と同じになる。
【0139】
図30(c)に示した掘削ブロック100は、配管要素710の両端に設けられているフランジの配置が異なる点を除き、図30(b)に示したものと同じである。すなわち、図30(c)において、配管要素710の両端に設けられているフランジは、いずれも枠体110の内部に配置されている。また、枠体110には、枠体の内側に配置されるフランジの面が外部から露出される程度に大きい開口部710cが2箇所(幅方向に一対)設けられている。
このような掘削ブロック同士が接続される場合には、互いの枠体内部のフランジ同士を接続可能にする継手が使用される。この継手が形状変形に柔軟に追随できるものであれば、掘削ブロック同士を接続する際の相対的な位置ずれや、接続した後の相対的な位置変動が吸収され、健全な接続が維持できる。この意味から、図30(c)に示した掘削ブロックにおいては、状況に応じて継手を選択でき使用することができるという長所がある。
【0140】
なお、掘削ブロック同士の接続が可能で、このとき配管要素同士の連通接続が可能である限り、図30(c)に示した掘削ブロックの枠体内部に配置したフランジと、同図(b)に示した掘削ブロックの枠体外部に配置したフランジとを接続することもでき、継手を介在させるのであれば、図30(c)に示した掘削ブロックの枠体内部に配置したフランジと、図30(a)に示した掘削ブロックの前胴部分とを接続することもできる。
【0141】
以上のように、図30に示した掘削ブロックによれば、モルタル輸送管41、送泥管71のような配管も着脱自在な配管要素に分割して、各掘削ブロックに配置される。このため、モルタル輸送管41、送泥管71の弾性が低い場合や、配管形状が特殊又は配管の一部に異形部分を備える場合であっても、掘削ブロックの着脱、延いては掘削機構の組み上げ及び解体が可能になり、また容易になり、健全な接続を実現することができる。また、掘削ブロックのモジュール化の程度が向上するので、設計、組み立て、梱包、運搬その他の取扱いがより容易になり、合理化される。
なお、以上は配管要素の端部にフランジを設け、該フランジ同士を連結するものを示しているが、本発明はこれに限定するものではなく、たとえば、配管要素同士をネジ継手や嵌合継手(たとえば、ワンタッチジョイント等)によって連結してもよい。
【0142】
[実施形態8]
(掘進制御)
図31は、本発明に係る掘進機の動作における制御の仕方を説明する制御フロー図である。
掘進を開始した場合、本掘削部の本ジャッキ手段及び副掘削部の副ジャッキ手段の各伸長を監視し、計測した伸長量を比較する。伸長量に差がある場合には、その差と設定値とを比較し、設定値未満である場合には、本ジャッキ手段及び副ジャッキ手段の伸長を継続する。この場合、本掘削部及び副掘削部による掘削は継続される。他方、本ジャッキ手段及び副ジャッキ手段の伸長量の差が設定値以上である場合には、伸長量の大きいほうのジャッキ手段の伸長を停止する。そして、本ジャッキ手段及び副ジャッキ手段の各伸長の監視と、伸長量の計測と比較を継続する。以上の手順を両ジャッキ手段から計測された伸長量の差が零(ゼロ)になるまで繰り返す。ただし、伸長量の大きい方のジャッキ手段の伸長を既に停止している場合には、停止に要する手順はスキップして、これを行わないようにしてもよい。
【0143】
両ジャッキ手段から計測された伸長量の差が零(ゼロ)になった場合、両ジャッキ手段の伸長量が別の設定値に達したか否かを判断する。当該別の設定値に達していない場合には、それ以前に伸長量が大きかったがゆえに停止させていたジャッキ手段の伸長を再開する。そして、本ジャッキ手段及び副ジャッキ手段の各伸長の監視及び伸長量の計測と比較、伸長量の大きいほうのジャッキ手段の伸長停止という一連の動作を、繰り返す。両ジャッキ手段の伸長量が当該別の設定値に達した場合には、掘削を停止する。
【0144】
以上の制御フローにより、本掘削部と副掘削部との同期的な推進が可能になり、本発明に係る掘進機の安全な動作が実現される。
【産業上の利用可能性】
【0145】
以上のように本発明によれば、掘削機能を有する構造単位要素毎の取扱いが可能にから、着脱、運搬、保守・管理その他の取扱いが容易になり、設計の自由度も高まる。また、副掘削坑の形成が容易かつ迅速になるから、トンネル合流部を形成するための各種掘進機として、また、特に、立坑の構築を不要にするから、都市部におけるトンネル合流部を形成するのに好適な掘進機として広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】本発明の実施形態1に係る掘進機を概説する側面視の断面図。
【図2】本発明の実施形態1に係る掘進機を概説する正面視の断面図。
【図3】実施形態1に係るその他の掘進機を概説する側面視の部分断面図。
【図4】実施形態1に係るその他の掘進機を概説する側面視の部分断面図。
【図5】実施形態1に係る掘進機の掘削ブロックを概説する正面視の断面図。
【図6】実施形態1に係る掘進機の掘削ブロックを概説する平面視の断面図。
【図7】実施形態1に係る掘進機の掘削ブロックを概説する側面視の断面図。
【図8】実施形態1係る掘進機の副掘削部の掘進要領工程を説明する断面図。
【図9】実施形態1係る掘進機の副掘削部の掘進要領工程を説明する断面図。
【図10】本発明の実施形態2に係る掘進機を説明する正面視の部分断面図。
【図11】本発明の実施形態2に係る掘進機を説明する側面視の部分断面図。
【図12】本発明の実施形態3に係る掘進機を概説する正面視の断面図。
【図13】掘進機3000における止水機構のを示す正面視の部分断面図。
【図14】掘進機3000における止水機構のを示す正面視の部分断面図。
【図15】掘進機3000における止水機構のを示す正面視の部分断面図。
【図16】掘進機3000における止水機構のを示す正面視の部分断面図。
【図17】本発明の実施形態4に係る掘進機を説明する正面視の部分断面図。
【図18】本発明の実施形態4に係る掘進機を説明する正面視の部分断面図。
【図19】実施形態4に係る掘進機の副掘削部の掘進要領を説明する模式図。
【図20】本発明の実施形態5に係る掘進機を説明する正面視の部分断面図。
【図21】本発明の実施形態5に係る掘進機を説明する正面視の部分側面図。
【図22】掘削ブロックに設置される掘削手段を説明する部分断面図。
【図23】掘削ブロックに設置されるその他の掘削手段を説明する部分正面図。
【図24】掘削ブロックに設置されるその他の掘削手段を説明する部分断面図。
【図25】掘削ブロックに設置されるその他の掘削手段を説明する部分断面図。
【図26】掘削ブロックに設置されるその他の掘削手段を説明する断面図と部分図。
【図27】掘削ブロックに設置されるその他の掘削手段を説明する断面図と部分図。
【図28】掘削ブロックに設置されるその他の掘削手段を説明する平面視の断面図。
【図29】掘削ブロックに設置されるその他の掘削手段を説明する正面視の断面図。
【図30】配管要素を内蔵する掘削ブロックの具体例を示す平面視の断面図。
【図31】本発明に係る掘進機の動作における制御の仕方を説明する制御フロー図。
【符号の説明】
【0147】
20 副掘削手段
21 回転カッタ
22 回転軸
30 副モータ
31 副モータ支持体
32 回転伝達棒
40 セグメント供給手段
40m モルタル輸送手段
41 モルタル輸送管
50 副ジャッキ手段
51 第一ジャッキ(前進ジャッキ)
52 第二ジャッキ(引き戻しジャッキ)
53 第三ジャッキ手段
60 止水手段
70 排泥手段
80 掘削ブロック進退手段
90 姿勢制御手段
100、200、300、400 掘削ブロック
110 枠体
1000、2000、3000、4000、5000 掘進機
1900、2900、3900、4900、5900 本掘削部
1100、2100、3200、4300、5400 副掘削部
300S、400S、400T セグメント
100M、100N モルタル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の掘削ブロックのそれぞれが掘削手段を備える掘削機構であって、前記複数の掘削ブロックが互いに着脱可能で、各掘削ブロックが備える掘削手段の駆動力が隣接する掘削ブロック間で伝達自在であることを特徴とする掘削機構。
【請求項2】
請求項1記載の掘削機構を一対備えることを特徴とする掘進機。
【請求項3】
請求項1記載の掘削機構を一対備える掘進機であって、各掘進機構が掘進方向に沿って離隔して設置されていることを特徴とする掘進機。
【請求項4】
請求項1記載の掘削機構を複数備え、各掘進機構が掘進方向に沿った同一軌道上を移動可能に設置されていることを特徴とする掘進機。
【請求項5】
請求項1記載の掘削機構の設置位置が変更可能であることを特徴とする掘進機。
【請求項6】
土中に筒状の本掘削坑を形成する本掘削部と、該本掘削部に設置され、前記筒状の本掘削坑に沿って溝状の副掘削坑を形成する副掘削部とを有する土壌掘進機であって、
前記本掘削部が、スキンプレートによって筒状に形成された本体と、掘進方向側に設置された地山を掘削する本掘削手段と、筒状に組み立てられたセグメント筒状体を掘進方向と反対の方向に押圧して前記本体を掘進方向側に移動させる本ジャッキ手段とを具備し、
前記副掘削部が、相互に着脱可能に連結された複数の掘削ブロックによって構成され、
該掘削ブロックが、掘進方向に略平行する連結面を具備する枠体と、掘進方向側に設置された地山を掘削する副掘削手段と、覆工材を掘進方向と反対の方向に押圧して前記掘削ブロックを掘進方向側に移動させる副ジャッキ手段とを具備し、
前記副掘削手段を駆動する副掘削手段駆動源および前記副ジャッキ手段を駆動する副ジャッキ駆動源が前記本体の内部にそれぞれ設置され、
前記掘削ブロックが前記セグメント筒状体の内部を運搬自在であることを特徴とする掘進機。
【請求項7】
前記本体のスキンプレートに、前記掘削ブロックが水密的に貫通自在な掘削ブロック貫通部が設けられ、該掘削ブロック貫通部を貫通して前記掘削ブロックを押し出しかつ引き戻す掘削ブロック進退手段が前記本体の内部に設置されてなることを特徴とする請求項6記載の掘進機。
【請求項8】
前記掘削ブロックが姿勢制御手段を有し、該姿勢制御手段が、前記副掘削手段と前記本体の軸心とが形成する面に略垂直方向で進退する姿勢制御ソリと、該姿勢制御ソリを駆動するソリ駆動機構とを具備してなることを特徴とする請求項6又は7に記載の掘進機。
【請求項9】
前記本掘削部の本ジャッキ手段の進退タイミングおよび進退量と、前記副掘削部が具備する前記掘削ブロックの副ジャッキ手段の進退タイミングおよび進退量とを制御して、前記本掘削部と前記副掘削部との掘進速度を略同期させる掘進制御手段を有すことを特徴とする請求項6乃至8の何れかに記載の掘進機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2006−152792(P2006−152792A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−311927(P2005−311927)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【出願人】(303057365)株式会社間組 (138)
【出願人】(000004123)JFEエンジニアリング株式会社 (1,044)
【Fターム(参考)】