説明

採血管開栓ブロックとこれを用いた開栓装置

【課題】フィルムシールタイプの栓体を有する採血管を開栓するに際し、血液の飛散による二次感染を抑制するだけでなく、先の検体による次の検体への汚染を防止する機構を提供するものである。
【解決手段】採血管の栓体を打ち抜く開栓カッターと、打ち抜かれた開栓部分を保持する保持ピンを開栓ブロックに設け、一の採血管ごとに開栓ブロックを用いて開栓し、その使用した開栓ブロックはその都度廃棄して、検体間の汚染を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体である血液の飛散等による二次感染や、検体間の汚染を抑制させるための、採血管の開栓に係わるものである。
【背景技術】
【0002】
臨床検査における採血では、種々の採血管が使用されている。最近ではガラス製より軽く、落下しても破損しない樹脂製の採血管が主に使用されている。
【0003】
採血管とその栓体を図1及び図2を使って説明する。樹脂製採血管1は、円形の開口部13の外周にフランジ部12を有する樹脂製有底管11と、アルミ箔等の金属箔に樹脂をコーティングし、その中央部に採血針41(図3)を刺し通すためのゴム部材21の接着等をし、樹脂コーティングの外周の一部にタブ22を設けた栓体2とからなっている。タブ22は、手作業で開栓するときの摘み部分となるものである。前記採血管1は、内圧を減圧した状態で、樹脂有底管11の開口部13に熱溶着等の方法で栓体2が接着され、真空採血管と呼ばれている。ここでは、樹脂製採血管や減圧された真空採血管も採血管1に含まれるものとし、金属箔を樹脂がコーティングしているかどうかを問わず、樹脂製のフィルムを使用し、中央にゴム部材21を有する栓体をフィルムシールタイプの栓体2というものとする。以下特に断りがない限り、栓体とした場合には上記フィルムシールタイプの栓体2をいうものとする。
【0004】
採血ホルダーについて図3を用いて説明する。血液検査を行うための採血に際して、採血管1は前述のように減圧状態とされた真空採血管1として使用されている。図3に示すように、採血時には、採血ホルダー4に採血針41としての注射針を取り付け、採血針41の先端部42を血管内(図示しない)に刺した後、真空採血管1を採血管ホルダー4内に差し込み、採血針41の後端部43が真空採血管1の開口部13に接着された栓体2を刺し抜くことにより、血管内と真空採血管1を連絡させる。真空採血管1内は減圧されているため、血液3は自動的に真空採血管1内に流入し採血が行われる。真空採血管1を採血管ホルダー4内から後退させ、採血針41の後端部43を栓体2から引き抜くことにより採血は終了する。栓体2は空気非透過性でありゴム部材21により採血針41が刺通可能に、かつ採血針41が抜けた後も気密性が維持できるように構成されている。採血管1には、開口部13の直径や有底管11の長さが異なるものがあるが、有底管11の開口部13のフランジ12の大きさとゴム部材21の大きさは共通となっていて、採血作業の安定化のため1種類の採血ホルダー4にて採血できるようにされている。
【0005】
血液検査作業において、実験室レベルでは、作業者が手作業で栓体2のタブ22を摘んで開栓するが、採血管1内は採血されていても、やや減圧した状態にあり、栓体2のフィルムを剥がすとき瞬間的に減圧がとかれ、血液が外部に飛散したり、あるいは手作業によるため、血液による他の検体への汚染や作業者への二次感染の危険性がある。以下検体という場合には、特に断りがない限り血液を意味するものとする。
【0006】
こうした手作業による作業環境への汚染や二次感染の危険性を解消し、さらに血液検査の効率化のため採血管開栓作業の自動化が提案されている。
採血管の栓体を中空の打ち抜きパンチにより開栓し、打ち抜かれた打ち抜き片を減圧空間に把持させて処理する方法(特許文献1)、採血管の栓体表面に接着テープの接着面を接着させその接着テープを引っ張ることにより採血管開口部を封口している栓体を剥離して開栓する方法(特許文献2)等がある。
【特許文献1】特許公開平6−64688
【特許文献2】特許公開平9−24038
【0007】
また近年、分析機器等が高性能化され、分析精度が向上し、検体である血液に微量でも他の物質例えばその検体以外の他の検体が少しでも混入すれば、その検査結果は実体とは異なるものとなり、誤診につながる恐れもある。
採血管を開栓したカッター等の治具をさらに次の採血管の開栓に使用する場合、該治具に先の採血管を開栓したときの検体が付着し、次の採血管の開栓時にこの採血管内にある検体を汚染するいわゆる検体間での汚染の可能性もある。そこで、検体の汚染をより抑制できる採血管の開栓機構として、栓体を打ち抜く開栓カッターを採血管毎に交換する方法がある(特許文献3)。その出願によれば、栓体である蓋部を打ち抜く開栓カッターとカッター保持具を装備し、開栓カッター保持具に開栓カッターを装着し栓体を打ち抜き、打ち抜かれ栓体部分を開栓カッター保持具に別に設けられたニードルに保持させ、ニードルを進退運動させて打ち抜かれた栓体部分を廃棄し、さらに開栓カッターも開栓カッター保持具より離脱させて、開栓カッターを新たなものに交換していく機構としている。本法により検体の汚染は、より抑制することが可能である。
【特許文献3】特許公開2005−206180
【0008】
しかし前記発明では、打ち抜かれた栓体部分を保持するニードルが採血管毎に交換されていないため、採血管の栓体を刺し抜いたニードルに検体が付着し、次の採血管の開栓時に、先の検体が付着したニードルが栓体を刺し抜いて、後の検体に触れその検体を汚染する、検体間での汚染の恐れがある。なお、以下ニードルに替え保持手段または保持ピンと称することとする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、より検体間の汚染を抑制することができる採血管の開栓装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、前記課題を解決するため、開栓ブロックに採血管の栓体を開栓する開栓手段と、開栓された栓体部分を保持する保持手段とを設け、1本の採血管毎に1個の開栓ブロックを交換して開栓し、開栓に使用した開栓ブロックは廃棄して、検体間の汚染を抑制するものである。
【0011】
すなわち第1の発明は、フィルムシールタイプの栓体を有する採血管の開栓装置であって、採血管の栓体を開栓し、かつ、開栓された栓体部分を保持する開栓ブロックと、該開栓ブロックを把持する開閉チャックと、該開栓チャックを制御する開閉チャック制御手段とを有し、開閉チャックが供給ポジションに移動して開栓ブロックを把持し、続いて開栓ブロックを把持した開閉チャックが開栓ポジションに移動して、開閉ブロックが採血管の栓体を開栓し、開栓された栓体部分を開栓ブロックが保持し、さらに開栓ブロックを把持した開栓チャックが廃棄ポジションに移動して、開閉チャックから開栓ブロックを離脱させることを特徴とする開栓装置である。
【0012】
開栓ブロックには、採血管の栓体を開栓する手段と、開栓された栓体部分を保持する手段が設けられている。「開栓された栓体部分」としたのは、有底管を封口している栓体のすべてを剥離して開栓するのではなく、栓体の一部を切断等して開栓し、その切断された栓体の一部を開栓ブロックが保持するためである。複数の開栓ブロックがフィーダー等に並べて置かれている供給ポジションにて、1つの開栓ブロックを、開閉チャックが把持し、採血管のある開栓ポジションに移動する。開栓ポジションにて開栓ブロックが採血管の栓体を開栓し、開栓された栓体部分を開栓ブロックが保持する。この栓体部分を保持した開栓ブロックを開閉チャックが把持したまま、廃棄ポジションに移動し、開閉チャックより開栓ブロックを離脱させて、開栓された栓体部分と共に廃棄する。開閉チャックの制御手段は開栓チャックの移動だけではなく、開栓ブロックの把持及び離脱等も制御するものである。供給ポジションとは、開閉チャックが開栓ブロックを把持する位置、開栓ポジションとは、開閉チャックに把持された開栓ブロックが採血管の栓体を開栓する位置、廃棄ポジションとは、開閉チャックが開栓ブロックを離脱させる位置をいう。各ポジションの位置は同一平面上にあるとは限らない。開閉チャックが開栓ブロックを把持する方法としては、開栓ブロックに開閉チャックの把持部分を設けてこの部分を把持する、あるいは、開栓ブロックの外壁を挟んで把持する方法等があるが、把持する方法については問わない。1本の採血管に対し1個の開栓ブロックを使用して開栓し、一度使用した後は廃棄するディスポーザブルな開栓ブロックとして機能する開栓装置である。
【0013】
第2の発明は、上記開栓装置に使用する開栓ブロックが、底面を有する円筒内に、栓体を開栓する開栓カッターと円筒の軸線上に開栓された栓体部分を刺し抜いて保持する保持ピンとを、底面に垂直に付けた開栓部分と、開閉チャックが開栓ブロックを把持するため、開栓部分の底面の裏面に付けた筒状の把持部分と、により構成されることを特徴とする開栓ブロックである。
【0014】
採血管の栓体を開栓する手段としての開栓カッターと、開栓された栓体部分を保持する手段としての保持ピンとを開栓ブロックに設けたものである。開栓ブロックの開栓部分には、開栓カッターと保持ピンが円筒内の底面に垂直に設けられている。円筒内の底面と採血管の栓体は、開栓時には、ほぼ水平で、互いに平行であり、開栓カッター及び保持ピンが栓体に対し垂直になるようにするためである。保持ピンが栓体の中央部にある採血針を刺し通すためのゴム部材を刺し抜き、ついで開栓カッターで栓体を打ち抜き、打ち抜かれた栓体部分を保持ピンが保持するものである。ここで「打ち抜き」、あるいは「打ち抜かれる」としたのは、開栓カッターが栓体に押し込むようにして切断するためであり、開栓すると同意義であり、また打ち抜かれた栓体部分は開栓された栓体部分と同意義である。開栓部分と把持部分は、隔壁としての底面を境にして互いに反対側に設けられている。この開栓部分は採血管に合わせるため円筒としている。底面に対し開栓部分と反対側にある把持部分は開閉チャックにより把持されやすい形状であれば足り、円筒に限る必要はない。しかし把持部分も円筒とし、さらに開栓部分の円筒と同じ径とすることもできる。
【0015】
第3の発明は、該外開栓部分において、開栓カッターは、円筒と同心円状であり、その先端部はのこぎり刃状とし、保持ピンは、底面を基準として開栓カッターの、のこぎり刃状の先端部の長さより長くしたことを特徴とする発明2の開栓ブロックである。
【0016】
まず、保持ピンが栓体のゴム部材を刺し通し、打ち抜かれる栓体部分を保持し、次いで開栓カッターにより栓体を打ち抜き開栓するが、打ち抜かれた開栓部分が検体内に落下しないようにするためである。そのために開栓カッターより保持ピンを長くし、開栓カッターより先に保持ピンを栓体に接触させゴム部材を刺し通すためである。開栓カッターをのこぎり刃状としたのは、開栓カッターに金属製の刃物を使用することなく、開栓カッターも円筒部と同時に射出成形により一体として形成される場合もあり、先端の鋭角な形状により栓体を打ち抜いて切断するためである。またのこぎり刃状とすることで採血管内の減圧状態を徐々に緩めることができ、検体の飛散を防ぐことも可能である。
【0017】
第4の発明は、該開栓部分の円筒の先端部は、採血管開口部のフランジ部を覆うようにした発明2または3の開栓ブロックである。
【0018】
フランジ部外壁と、開栓部分の円筒の先端部を嵌合させることにより、検体の有底管外への飛散を防止するためであり、開栓ブロックは検体が付着しても廃棄されるため、次採血管内の検体を汚染することはないためである。採血管開口部は有底管の開口部でもあり、採血管フランジ部は有底管フランジ部でもある。
【0019】
第5の発明は、把持部分の筒状先端部の内周または外周に開閉チャックで把持しやすいようにリブをつけた発明2乃至4のいずれかの開栓ブロックである。
【0020】
リブをつけることにより、開閉チャックの開閉ピンがリブ部で止まり、開閉チャックから開栓ブロックの落下を防止するためである。筒状先端部の内周または外周としたのは、開閉チャックが開栓部分の筒状の内壁を圧接して把持する場合あるいは外壁を挟んで把持する場合があるためである。
【0021】
第3から第5の発明については、そのいずれかの発明を単独で、あるいはいずれかの発明を複数併せて、さらにはすべての発明を併せて第2の発明である開栓ブロックとすることができる。
【0022】
第6の発明は、上記各種の開栓ブロックを使用した開栓装置である。栓体の開栓手段と開栓された栓体部分の保持手段とを設けた開栓部分と、把持開閉チャックにより把持させる把持部分とを有する開栓ブロックを使用することにより、この開栓装置の発明が実施できる。
【0023】
第7の発明は、第1または第6の発明である開栓装置において、前記開閉チャックを複数連とする開栓装置である。
【0024】
開栓チャックを複数連とすることにより開栓チャックの1回の移動で、複数の開栓ブロックを把持し、複数の採血管を開栓させることができ、開栓作業の効率化を図るためである。
【0025】
第8の発明は、第1、第6、または第7の発明のいずれかに記載の採血管の開栓装置において、採血管の開栓作業を連続的に作動できるようにプログラムされた採血管の開栓システムである。
【0026】
本開栓装置は、開栓ブロックを供給ポジションに固定させ、開閉チャックにて開栓ブロックを把持し、採血管が固定された開栓ポジションに開閉チャックが移動し、採血管を開栓し、開栓された栓体部分を保持した開栓ブロックを廃棄ポジションにまで移動させ廃棄する一連の作業を連続的に行うものである。しかし、この一連の作業を連続的に行うためには、供給ポジションへの開栓ブロックの移動と配置、採血管の開栓ポジションへの移動と固定、開栓の確認、開閉チャックの各ポジションでの位置確認等の作業と連動させることが必要である。こうした各作業を連動するためにプログラムされた開栓システムにより、この開栓装置が連続的に作動することになる。
【発明の効果】
【0027】
分析機器の高度化に伴い、検体である血液の汚染はできる限り回避する必要がある。本発明は、開栓カッターと保持ピンを設けた開栓ブロックをディスポーザブルなものとする開栓装置であり、これまでの開栓装置に比べより検体間の汚染を抑制することが可能となり、検査の正確度を向上させることができ、広く採用されるものと予想される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下この発明を、図4から図13を用いて説明する。
【実施例1】
【0029】
図4は、開栓ブロック5の概略図である。実際の使用状態とは上下が反対になっている。開栓カッター53が、開栓部分51の円筒内に、円筒と同心円状に設けられ、その中心上に保持ピン54が立てられている。底面58を基準として、保持ピン54の長さは、開栓カッター53の先端部より長くなっている。開栓時には、まず保持ピン54が、栓体2の中心部にあるゴム部材21を刺し通し、続いて開栓カッター53が栓体2を打ち抜いて開栓する。打ち抜かれた栓体部分23は、保持ピン54が保持し開栓ブロック5と共に移動し廃棄される。開栓カッター53はその先端がのこぎり刃状となっている。底面58に対して開栓部分51と反対側にある把持部分52も円筒となっている。図4では、開栓部分51の円筒と把持部分52の円筒の径が異なっているが、開閉チャック6の大きさに合わせるためであり、開栓部分51と把持部分52の円筒の径は、同一であってもよい。
【0030】
図5は、打ち抜かれた栓体部分23を保持ピン54が保持している図である。保持ピン54は、滑りにくい栓体のゴム部材21を刺し通して打ち抜かれた栓体部分23を保持しているので落下する恐れはほとんどないが、より確実に保持ピン54からの落下を回避するため図6のように留部55のようないわゆる段差を付けた保持ピン54とすることもできるし、図示しないが保持ピンの表面に滑り止めのための細かな突起部をつけたり、あるいは保持ピンの外周にリング状の凸凹をつけることも可能である。なお、図5、図7、図11の栓体2のタブ22は有底管11の側面に接するように折れ曲がっている。
【実施例2】
【0031】
図7は、同じ円筒内に底面(隔壁)58を設けて開栓部分51と把持部分52とに分けて形成された開栓ブロック5である。有底管11開口部13のフランジ部12を開栓ブロック5の開栓部分51の先端の円筒が覆うようにして、検体である血液3の有底管11外への飛散を防いでいる。なお、図示しないが、開栓部分51の先端の円筒の内径を有底管11のフランジ部12に嵌合させるため凹状とすることもできる。
【0032】
図8は把持部分52の筒状の内壁に開閉チャック6の開閉ピン61を圧着させて保持させるための開栓ブロック5であり、開閉ピン61の開閉も開栓ブロック5の動きと同様に開閉チャック制御手段により制御される。図9は把持部分52の先端部の内周面にリブ56を付けて、開栓ブロック5が開栓チャックより落下しないようにした開栓ブロック5である。図10は、把持部分52の円筒外壁を開閉ピン61が挟み開栓ブロックを把持する開閉チャック6であり、把持部分52の先端部の外周面にリブ56を付けている。さらに開栓チャック6には、開栓ブロック5の離脱を確実にするため図8に示すように押出しピン62を付けることもできる。押出しピンも開栓ピンと同様に開閉チャック制御手段により制御される。また同様の目的で、図示しないが押出しピンに代わりにバネをつけることもできる。
【0033】
開栓ブロック5は、1回限りの使い捨てであり、安価に製造することが望まれる。樹脂材料の射出成形により開栓ブロックは比較的安価に製造することができる。採血管1の栓体2は、中央にゴム部材21を有するフィルムシールタイプであり、樹脂製の開栓カッター53であっても、その形状をのこぎり刃状とし、あるいは先端を鋭角とすることにより、栓体を打ち抜き開栓することができ、保持ピンではその先端を尖角にすることによりゴム部材を刺し通すことができる。開栓ブロックはディスポーザブルなものであり、比較的安価な材料であるポリプロピレンやABSの射出成形により、開栓作業に耐える開栓ブロックを作製できる。ただし開栓ブロックの材料、作製方法等については、これに限るものではない。
【実施例3】
【0034】
図11は、開栓ブロック5の動きを示したものである。なお、図11は、詳細な符号の付記は省く。開閉チャック6は、水平スライダー9と上下スライダー10に沿って図示しない開閉チャック制御手段により移動できるようになっている。開栓ブロック5は開栓ブロック用フィーダー8に搭載されている。開栓ブロック用フィーダー8は図11図面の表面より裏面に向かって移動していく。開閉チャック6が下降し、供給ポジションにて、開閉ピン61が開栓ブロック5の筒状の把持部分内に入り開閉ピン61が開いてその内壁を圧接し、開栓ブロック5を把持して上昇する。
【0035】
次に、開閉チャック6に把持された開栓ブロック5は、水平移動及び下降移動して採血管1がクランプ40により固定されている開栓ポジションにきて、採血管1の栓体2を打ち抜いて採血管1の開栓を行う。打ち抜かれた栓体部分23を保持した開栓ブロック5は上昇し、つぎに下方に開栓ブロック収容箱20が準備された廃棄ポジションに水平移動して開閉チャック6の開閉ピン61が閉じて開栓ブロック5を離脱させ廃棄する。なお、この開閉チャック6は把持部分52の筒状内面を圧接により把持するものである。
【実施例4】
【0036】
図12は、供給ポジション、開栓ポジション、廃棄ポジションに位置関係の一例である。図12では、開閉チャック6は、廃棄ポジションの位置にある。開閉チャックは、図12の左側の供給ポジションに移動する。開栓ブロック6、採血管1は、それぞれ、5個入りの開栓ブロック用フィーダー8、採血管用ラック7に搭載され、開栓ブロック用フィーダー8、採血管用ラック7は図12の表面から裏面に開閉チャック6の動きに連動させて移動する。
【0037】
図12において、開閉チャック6を5つの複数連として採血管1のラックごとに一度に開栓することも可能である。この場合には、開栓ブロック収容箱20の形状も変わってくる。
【実施例5】
【0038】
図13は、開栓ポジションと開栓確認センサー30の位置関係を示すものである。採血管1が5本ごとに採血管用ラック7に搭載され、開栓ポジションに送られる。図示しない位置センサーにより採血管用ラック7が止まり、開栓する採血管1がクランプ40により固定される。続いて前述したような開閉チャック6の移動、開栓作業が行われる。同時に先に開栓した採血管1の開栓確認が開栓確認センサー30にて行われる。開栓確認センサー30により開栓がされていない場合には、連続的な作業の中止あるいは開栓されていない採血管1の除去等の作業が第8の発明である開栓システムにより行われる。これは開栓システムの一例を示したに過ぎず、本開栓システムは開栓ブロックの移動、採血管の移動、開栓作業、及びその確認行為等を自動的に行なわせるものである。
【産業上の利用可能性】
【0039】
分析機器の高度化に伴い、検査工程等における検体の汚染は極力抑制しなければならない。特に臨床検査に供する血液はなおさらのことである。本発明は採血管ごとにその開栓作業において開栓ブロックをディスポーサブルなものとして使用するものであり、かつ低コストであることから、今後の利用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】採血管の断面図
【図2】栓体平面図
【図3】採血管と採血ホルダー
【図4】開栓ブロック概略図
【図5】打ち抜かれた栓体部分と保持ピン
【図6】留部を有する保持ピン
【図7】開栓ブロックが採血管の栓体を打ち抜く図
【図8】開栓ブロックの把持部円筒内壁を把持する開閉チャック
【図9】把持部円筒先端部の内周にリブを付けた開栓ブロック
【図10】把持部円筒先端部の外周にリブを付けた開栓ブロック
【図11】開栓ブロックの移動と開栓装置
【図12】開栓ブロックの各ポジションの平面図
【図13】採血管の移動システム
【符号の説明】
【0041】
1 採血管 11有底管 12フランジ部 13開口部
2栓体 21ゴム部材 22タブ 23開栓された(打ち抜かれた)栓体部分
3検体(血液)
4採血ホルダー 41採血針 42採血針先端部 43採血針後端部
5開栓ブロック 51開栓部分 52把持部分 53開栓カッター
54保持ピン 55(保持ピンの)留部 56(把持部分先端の)リブ
58底面(隔壁)
6開閉チャック 61開閉ピン 62押出しピン
7採血管用ラック
8開栓ブロック用フィーダー
9水平スライダー
10上下スライダー
20開栓ブロック収容箱
30開栓確認センサー
40クランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムシールタイプの栓体を有する採血管の開栓装置であって、採血管の栓体を開栓し、かつ、開栓された栓体部分を保持する開栓ブロックと、該開栓ブロックを把持する開閉チャックと、該開栓チャックを制御する開閉チャック制御手段とを有し、開閉チャックが供給ポジションに移動して開栓ブロックを把持し、続いて開栓ブロックを把持した開閉チャックが開栓ポジションに移動して、開閉ブロックが採血管の栓体を開栓し、開栓された栓体部分を開栓ブロックが保持し、さらに開栓ブロックを把持した開栓チャックが廃棄ポジションに移動して、開閉チャックから開栓ブロックを離脱させることを特徴とする開栓装置。
【請求項2】
請求項1の開栓ブロックは、底面を有する円筒内に、栓体を開栓する開栓カッターと円筒の軸線上に開栓された栓体部分を刺し抜いて保持する保持ピンとを、底面に垂直に付けた開栓部分と、開閉チャックが、開栓ブロックを把持するため、開栓部分の底面の裏面に付けた筒状の把持部分と、により構成されることを特徴とする開栓ブロック。
【請求項3】
さらに、該開栓部分において、開栓カッターは、円筒と同心円状であり、その先端部はのこぎり刃状とし、保持ピンは、底面を基準として開栓カッターの、のこぎり刃状の先端部の長さより長くしたことを特徴とする請求項2の開栓ブロック。
【請求項4】
さらに、該開栓部分の円筒の先端部は、採血管開口部のフランジ部を覆うようにした請求項2または請求項3のいずれかの開栓ブロック。
【請求項5】
さらに該把持部分の筒状先端部の内周または外周にリブをつけた請求項2乃至請求項4のいずれかの開栓ブロック。
【請求項6】
請求項2乃至請求項5のいずれかの開栓ブロックを使用した請求項1の開栓装置。
【請求項7】
前記開閉チャックを複数連とし、一度に複数の採血管を開栓できるようにした請求項1または請求項6の開栓装置。
【請求項8】
請求項1、請求項6、または請求項7のいずれかに記載の採血管の開栓装置において、連続的に作動できるようにプログラムされた採血管の開栓システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−184168(P2008−184168A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−17207(P2007−17207)
【出願日】平成19年1月27日(2007.1.27)
【出願人】(506393204)株式会社 メディカルジャパン (2)
【Fターム(参考)】