説明

接地装置、接地設備及び接地装置の製造方法

【課題】安価にまた確実に接地抵抗を低減することが可能な接地装置、接地設備及びその接地装置の製造方法を提供する。
【解決手段】側壁11と該側壁11に囲まれた内部空間5を仕切る隔壁12とを備えるケーソン3に取付けられた接地装置20であって、該側壁11及び/又は該隔壁12の下部壁面11aに取付けられた導電性板状体21と、該導電性板状体21と接続する導電線22と、を備える。さらにこの接地装置20と接続する前記ケーソン3で仕切られた敷地4内に敷設された接地網30と、を含み接地設備1を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接地装置、接地設備に関し、特に海域を仕切り造成した敷地に好適に使用することができる接地装置、接地設備及び接地装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発電所など制御装置を使用している施設においては、制御装置を構成する機器及び制御回路を雷サージや機器の短絡電流などから保護するために、接地装置、接地設備が設けられており、その接地装置、接地設備の接地抵抗を可能な限り低くするように求められている。建物内に設置された電気設備を、建物基礎内に設けられた接地電極と接続し、接地する方法はよく用いられているけれども、この場合、建物基礎の内側から外側への通過抵抗が十分に小さくならない場合があるとの指摘がある。これを解決するために、接地電極を地層深く埋設するボーリング工法を採用すると、多額の施工コストが必要となるとして、建物内外に接地電極を埋設しこれを電気的に接続する方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−78936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記建物基礎内の接地電極に限らず、一般的に接地装置、設置設備の接地抵抗を低くする方法として、長い接地棒(深埋電極)や銅板を多数敷設する方法が用いられる。また接地抵抗は、大地の抵抗率にも大きく影響を受ける。大地の抵抗率は、一般的に山側の岩石エリアよりも海岸の埋立地エリアの方が小さいので、接地棒や銅板もそのようなエリアに敷設されることが多い。接地抵抗を低減させる目的で敷設する接地棒は、十分な効果を得るためには地下深くに埋設することが必要となるが、地下深く接地棒を埋設するにはボーリング代などを含め多額の費用を必要とする。接地棒に代え、あるいは接地棒とともに銅板を敷設する場合も、深い位置に埋設することが望ましいことから、これらの敷設には多額の費用が必要となる。
【0004】
新たに土地を造成しその土地に発電所、工場などを建設するような場合、例えば海域の一部を仕切り、仕切ったエリアを埋立てた後、発電所を建設するような場合にあっては、海域の一部を仕切り、海水を排水した後、埋立てる前に銅板などを設置しておくことで、深い位置に多数の銅板などを敷設することができる。特に、海域の一部を埋立てるような場合は、大地の抵抗率も小さく好ましい。しかしながら近年では、海域の一部を埋立てる場合に、費用削減を目的にケーソンで海域を仕切った後、仕切ったエリア内の海水を排水することなく埋立てが行われるケースもある。このような場合にあっては、埋立て前に接地棒や銅板などを設置することができないので、深い位置に接地棒や銅板を敷設するには、他の土地に敷設する場合と同様に、ボーリング代など多額の費用が必要となる。これらのことから安価に接地抵抗を低減させることが可能な接地装置、接地設備が求められている。
【0005】
本発明の目的は、安価にまた簡単に接地抵抗を低減させることが可能な接地装置、接地設備及びその接地装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の接地装置は、側壁と該側壁に囲まれた内部空間を仕切る隔壁とを備えるケーソンに取付けられた接地装置であって、該側壁及び/又は該隔壁の下部壁面に取付けられた導電性板状体と、該導電性板状体と接続する導電線と、を含むことを特徴とする接地装置である。
【0007】
また本発明の接地装置は、前記構成に加え、前記導電性板状体は、表面が前記側壁及び/又は前記隔壁の表面と同一の高さとなるように取付けられていることを特徴とする。
【0008】
また本発明の接地装置は、前記構成に加え、前記導電線は、前記側壁及び/又は前記隔壁の内部に配設され、一端が前記側壁及び/又は前記隔壁の上端から飛び出していることを特徴とする。
【0009】
また本発明の接地装置は、前記構成に加え、前記ケーソンは、底部にフーチングを有し、前記導電性板状体は、該フーチングを備える側の側壁の外表面に取付けられていることを特徴とする。
【0010】
また本発明の接地装置は、前記構成に加え、前記導電性板状体は銅板であり、前記導電性板状体は、前記側壁内及び/又は前記隔壁内の鉄筋、鉄骨に接触しないことを特徴とする。
【0011】
また本発明は、請求項1から5のいずれか1に記載の接地装置と、前記接地装置の導電線と接続する前記ケーソンで仕切られた敷地内に埋設された接地網と、を含むことを特徴とする接地設備である。
【0012】
また本発明は、ケーソンを用いて海域が仕切られ造成された敷地内にある電気機器の接地設備であって、海域を仕切るケーソンに請求項1から5のいずれか1に記載の接地装置を備えるケーソンを使用し、該ケーソンをケーソンに取付けられた導電性板状体が敷地側となるように設置し、該敷地内に接地網を埋設し、該ケーソンに取付けられた導電性板状体に接続する導電線と該接地網とを接続することを特徴とする接地設備である。
【0013】
また本発明は、請求項2から5のいずれか1に記載の接地装置の製造方法であって、前記導電性板状体と前記導電線の一端とを予め接続し、該導電性板状体を一面が型枠の壁面に接触する状態で型枠に取付け、該型枠の導電性板状体を有する面を内側とし、該型枠の上端方向に導電線を延ばし、該型枠内にコンクリートを打設し、前記導電性板状体を前記側壁及び/又は前記隔壁に固定することを特徴とする接地装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の接地装置は、側壁と側壁に囲まれた内部空間を仕切る隔壁とを備えるケーソンに取付けられた接地装置であって、側壁及び/又は隔壁に取付けられた導電性板状体を備えるので、ケーソンで海域を仕切り、仕切ったエリアを土砂で埋めることで簡単にかつ確実に導電性板状体を埋設することができる。特に導電性板状体は、側壁及び/又は隔壁の下部壁面に取付けられているので、ケーソンを設置するだけで深い位置に導電性板状体を埋設することが可能となり、接地抵抗を十分に低減させることができる。また、この導電性板状体は、導電線と接続するので、この導電線に接地しようとする電気機器の接地端子を接続することで簡単に接地することができる。
【0015】
また本発明によれば、導電性板状体は、表面が側壁及び/又は隔壁の表面と同一の高さとなるように取付けられ、壁の表面から突出していないので、ケーソンで海域を仕切り、仕切ったエリアを土砂で埋めるような場合であっても、破損しにくい。ケーソンを運搬する場合も、凸部がないので取扱いが容易であり、また破損しにくい。これより確実に接地抵抗を低減することが可能な接地装置とすることができる。
【0016】
また本発明によれば、導電線は、側壁及び/又は隔壁の内部に配設されているので、ケーソンで海域を仕切り、仕切ったエリアを土砂で埋めるような場合であっても、導線線は破損しにくい。これより接地抵抗をより確実に低減させることができる。またケーソンを運搬するような場合であってもじゃまにならない。また、導電線の一端が、側壁及び/又は隔壁の上端から飛び出しているので、簡単に接地しようとする電気機器の接地端子と接続することができる。
【0017】
また本発明によれば、ケーソンは、底部にフーチングを有し、導電性板状体は、フーチングを備える側の側面に取付けられているので、ケーソンを複数隙間なく並べて使用する場合であっても、導電性板状体はケーソン間に挟まれることがない。また、導電性板状体は、フーチングを備える側の側壁の外表面に取付けられているので、隔壁に取付けた場合と異なり電流の拡散を阻害する隔壁などがない。これらからケーソンで海域を仕切り、仕切ったエリアを土砂で埋めるような場合、導電性板状体は、確実に土砂と接触し、接地抵抗をより低減させることができる。
【0018】
また本発明によれば、導電性板状体は銅板であり、側壁内及び/又は隔壁内の鉄筋、鉄骨に接触しないように取付けられるので異種金属の接触による腐食が発生しない。これにより、より確実に接地抵抗を低減させることができる。
【0019】
また本発明の接地設備は、上記の接地装置とこれに接続するケーソンで仕切られた敷地内に埋設された接地網とを有するので、より確実に接地抵抗を低減させることができる。さらに敷地内に接地網が敷設されているので、使いやすい。
【0020】
また本発明の接地設備は、ケーソンを用いて海域が仕切られ造成された敷地内にある電気機器の接地設備であって、海域を仕切るケーソンに上記の接地装置を備えるケーソンを使用し、ケーソンをケーソンに取付けられた導電性板状体が敷地側となるように設置するので、敷地の抵抗率が小さく接地設備の接地抵抗をより低減させることができる。さらに接地装置に接続する敷地内に埋設された接地網を有するので、接地抵抗をさらに低減させることが可能となる。
【0021】
また本発明の接地装置の製造方法は、導電性板状体と導電線の一端とを予め接続し、この導電性板状体を一面が型枠の壁面に接触する状態で型枠に取付け、この型枠の導電性板状体を有する面を内側とし、型枠の上端方向に導電線を延ばし、この型枠内にコンクリートを打設し、導電性板状体を側壁及び/又は隔壁に固定するので、導電性板状体をケーソンに簡単にかつ確実に取付けることができる。さらに導電性板状体を一面が型枠の壁面に接触する状態で型枠に取付け、この型枠の導電性板状体を有する面を内側とし、ここにコンクリートを打設するので、確実に導電性板状体の表面が側壁及び/又は隔壁の表面と同じ高さとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は、本発明の実施の一形態としての接地設備1の概略的構成を示す断面図である。また図2は、本発明の実施の一形態としての接地設備1に用いられるケーソン3に取付けられた接地装置20(20a、20b)であり、図2(a)は平面図、図2(b)は図2(a)の切断面線III−IIIで切断した図である。なお、図1及び図2(a)、(b)は、全体が同一の縮尺で描かれてはいない。本実施形態に示す接地設備1は、ケーソン3に取付けられた接地装置20とケーソン3で仕切られたエリアを埋立て造成された敷地4内に埋設された接地網30を含み構成される。ここに示すケーソン3は、従来から一般的に使用されている鉄筋コンクリート製のケーソンであって、ほぼ立方体の形状を有する。側壁11(11a、11b、11c、11d)で形成される内部空間5を仕切るように隔壁12(12a、12b、12c、12d、12e、12f)が設けられている。また底部にはケーソン3を設置した際に安定させるためのフーチング13が設けられている。ケーソン3には種々の大きさのものがあることは周知のところであるが、一例を示せば長さL=19.9m、幅W=14.5m、高さ10mの大きさを有する。
【0023】
接地装置20(20a、20b)は、側壁11aの下部に取付けられた銅板21(21a、21b)と銅板21に接続する導電線22(22a、22b)とを含む。銅板21は、フーチング13を備える側の側壁11aの下部に2枚取付けられている。銅板21は、側壁11aの外側の表面14に側壁11aと同じ高さ、つまり側壁11aが同一平面となるように取付けられている。ここに使用する銅板21の大きさは、特定の大きさに限定されないけれども、接地抵抗を低減させる点からは大きい方がよい。大きさを例示した上記のケーソン3に取付ける銅板21の大きさを例示すれば、1m×1mの大きさで厚さが3mmの銅板を使用することができる。銅板21の厚さも特定の厚さに限定されないけれども、腐食の点からは厚い方が好ましい。銅板21の枚数も、接地抵抗の値とコスト、施工性等を考慮し決定すればよい。導電線22は、銅板21と接地網30とを接続するためのものであって、一端を銅板21と他端25(25a、25b)を接地網30を構成する接地線31と接続する。導電線22は、従来から一般的に使用されている抵抗値の小さい電線を使用することができる。導電線22は、必ずしも絶縁体(図示を省略)で被覆されている必要はないけれども、図1のように側壁11a内に配設する場合にあっては、被覆電線の方が好ましい。被覆電線を使用することで、側壁11a内の鉄筋(図示を省略)との接触を避けるが可能となり、異種金属の接触する腐食を回避することができる。導電線の大きさも特に限定されないけれども、接地抵抗を低減させる観点から太い方が好ましい。大きさを例示した上記の銅板21に接続可能な導電線22として、60mmの断面積を有する銅線が例示される。
【0024】
接地網30は、複数の接地線31からなり、これらが網目状に配置され、接地線31の交点が結ばれることで形成されている。この接地網30は、特別の接地網である必要はなく、従来から一般的に使用されている接地網を使用することが可能である。接地網30は、ケーソン3で仕切られたエリアを埋立て造成された敷地4内に埋設されており、特に建物40の直下には接地網30を敷設することが好ましい。これにより建物40内に設置される電気機器、制御盤41等の接地を簡単にかつ、接地抵抗を上昇させることなく行うことができる。また、建物40の直下の接地網30の交点に接地棒(図示を省略)を接続し、この接地棒を敷地4内に鉛直方向に埋設すれば、効果的に雷サージ電流を大地に拡散させることができる。
【0025】
以上からなる接地設備1の施工要領の一例を示す。以下の接地設備1の施工要領は一例であって、以下の方法に限定されるものではない。海域8を埋立て造成するエリアの端部に設けられた支持台2の上にケーソン3を設置する。このとき銅板21を有する面が陸側となるようにケーソン3を設置する。広い海域8を仕切る場合は、複数のケーソンを隙間なく並べる必要がある。このためケーソン3は、フーチング13を有する面が隣りのケーソンとぶつからないように、フーチング13を有する面が陸側となるように設置される。このとき銅板21は、フーチング13を有する側の側壁11aに取付けられているので、複数のケーソン3を隙間なく並べても、銅板21がケーソン3の間に挟まることはない。銅板21がケーソン3の間に挟まれると、銅板21の周囲を側壁が取り囲むため接地抵抗が十分に小さくならないけれども、上記のようにケーソン3を設置することで、銅板21は、土砂と直接接することが可能となり、接地設備1の接地抵抗を十分に低下させることができる。
【0026】
ケーソン3が支持台2に設置された後、ケーソン3の内部空間5に土砂10が充填され、同時にケーソン3で仕切られた陸側のエリアも土砂が充填される。ケーソン3で仕切られた陸側のエリアにケーソン3の上端6とほぼ同じ高さまで土砂を充填した時点で、接地網30を敷設する。その後ケーソン3に取付けられた接地装置20の導電線22の一端25と接地網30とを接続する。このときケーソン3に取付けられた接地装置20の導電線22の一端25は、ケーソン3の上端6から飛び出し、また接地網30がケーソン3の上端6とほぼ同じ高さに敷設されているので、導電線22を簡単に接地網30と接続することができる。接地装置20と接地網30とを接続した後、ケーソン3の上部に上部コンクリート7、さらにその上に波返コンクリート9を打設する。一方、ケーソン3で仕切られた陸側のエリア4は、電気機器、制御盤41の接地端子と接続するための接続線33を接地網30に接続した後、所定の高さまで土砂を充填する。
【0027】
以上からなる接地設備1に対し、敷地4内に建設された建屋40内の電気機器、制御盤41の接地端子と接地網30に接続する接続線33とを接続することで、これら電気機器、制御盤41の接地を簡単に行うことができる。またケーソン3に取付けられた接地装置20は、地中深く埋設されるととも、海を埋立て造成した土地に埋設されるため土地の抵抗率が小さく、接地設備1の接地抵抗を十分に小さくすることができる。また接地装置20の設置を土地を造成した後に行う必要がないので、安価に又簡単に行うことができる。
【0028】
次にケーソン3に接地装置20を取付ける要領を説明する。図3(a)〜図3(d)は、鉄筋コンクリート製ケーソン3の側壁11aの外表面14に接地装置20aを取付ける要領を説明するための図である。なお、接地装置20bも同じ要領で取付けることができる。図3(a)は、ケーソン3の底部を形成した後、側壁11及び隔壁12の下部を形成するコンクリートを打設するために型枠16(16a、16b、16c、16d、16e、16f、16g、16h、16i、16j)を取付けた状態を示す断面図である。このときフーチング13側の側壁11a用の型枠16aの内側17に予め銅板21aを取付けておく。フーチング13側の側壁11a用の型枠には、型枠16aと型枠16bの2枚の型枠があるけれども、型枠16aの内壁17に銅板21aを取付けることが好ましい。反フーチング側の型枠16bの内側18に銅板21aを取付けてもよいけれども、ケーソン3を埋設したとき、銅板21aが大地4と直接接触しないため、接地抵抗が十分に小さくならないケースもある。このような場合にあっては、側壁11aの一部を導電性のコンクリートとするなどの対策が必要である。
【0029】
これに対してフーチング13側の型枠16aの内壁17に銅板21aを取付けることで簡単に接地抵抗を小さくすることができる。同様の理由から銅板21aを隔壁12に設置するよりも側壁11の外表面に設置することが好ましい。銅板21aを型枠16の内壁17に取付けるに当たり、導電線22aを予め銅板21aに接続しておくことが必要である。また導電線22aは、被覆線を用いることが好ましい。図3(a)から図3(d)では、鉄筋を省略して示しているけれども、側壁11及び隔壁12には鉄筋が配設されている。裸状態の導電線22aが鉄筋に接触すると異種金属接触による腐食が発生する恐れがあるため、導電線22aは、被覆線を用いることが好ましい。銅板21aの鉄筋への接触については、銅板21aの厚さが薄く、かつ銅板21aは側壁11aの外表面14に取付けられるので、これを回避することができる。但し、銅板21aと鉄筋とが接触する恐れがある場合は、間に絶縁体を設けることが望ましい。
【0030】
図3(b)は、側壁11及び隔壁12の下部のコンクリート打設が終了し、中部の側壁11及び隔壁12を形成するコンクリートを打設するために型枠16を取付けた状態を示す断面図である。図3(b)に示すように、下部の型枠16を取外すと、銅板21aの表面23が側壁11aの外表面14に表れる。このとき銅板21aの表面23と側壁11aの表面14とが同一の高さとなるので、ケーソン3を設置した後、ケーソン3の周囲に土砂を充填するときであっても、銅板21aが破損しにくい。中部のコンクリートを打設する際には、導電線22aを上方に引き上げた状態でコンクリートを打設する。図3(c)は、側壁11及び隔壁12の中部のコンクリート打設が終了し、上部の側壁11及び隔壁12を形成するコンクリートを打設するために型枠16を取付けた状態を示す断面図である。コンクリートの打設要領は、中部の場合と同じである。図3(d)は、最終的なケーソン3の状態を示す断面図である。上記のように簡単な方法で、接地装置20をケーソン3に取付けることができる。
【0031】
図4(a)〜図4(d)は、鉄筋コンクリート製ケーソンの側壁11aの外表面14に接地装置20aを取付ける他の要領を説明するための図である。なお、接地装置20bも同じ要領で取付けることができる。図3(a)〜図3(d)では、ケーソン3を製造する段階で銅板21aを取付ける例を示したけれども、ここではケーソン3を製造した後に銅板21aを取付ける例を示す。図4(a)は、ケーソン3の下部を形成した後、側壁11及び隔壁12の中部を形成するコンクリートを打設するために型枠16を取付けた状態を示す断面図である。このときフーチング13側の側壁11a用の2つの型枠16a、16bに挟まれた部分に導電線22aを設置し、フーチング13側の型枠16aを貫通させ導電線22aの一端26aを型枠16aの外に飛び出した状態とする。導電線22aを引伸ばした状態でコンクリートを打設する。このとき使用する導電線22aは、被覆電線であることが好ましいことは、図3(a)から図3(d)の場合と同じである。引き続き図4(b)、図4(c)に示すように上部コンクリートを打設する。ケーソン3が製造された後、図4(c)、図4(d)に示すように、フーチング13側の側壁11aの下部表面14に短い導電線24aを有する銅板21aを取付ける。銅板21aの取付け要領は、特に限定されないけれども、アンカーボルト(図示を省略)を使用することができる。この際も異種金属の接触が発生しないようにすることが好ましい。最後に銅板21aの導電線24aと側壁11a内に設置した導電線22aの一端26aとを接続する。
【0032】
図3(a)から図3(d)及び図4(a)から図4(d)に示すように導電線22aを側壁11a内に設置することで、ケーソン3の周囲の埋立て作業や搬送作業で導電線22aが破損することを防止することができる。なお、側壁11aの外側の壁面14に導電線22を取付けてもよいことは当然である。これにより、より簡単に接地装置20をケーソン3に取付けるができる。
【0033】
以上のように本発明の接地設備1は、ケーソン3の下部に取付けた接地装置20を使用するので、簡単にかつ安価に接地装置20を深い位置に埋設することができる。これにより安価にかつ簡単に接地抵抗を小さくすることができる。本実施形態では、接地装置1を接地網30に接続し、この接地網30に電気機器、制御盤41の接地端子を接続する例を示したけれども、電気機器、制御盤41の接地端子とケーソン3に取付けた接地装置20とを直接接続してもよい。また、本実施形態では、ケーソン3として鉄筋コンクリート製のケーソンを用いる例を示したけれども、ケーソン3は、鉄筋コンクリート製のケーソンに限定されるものではなく、鉄骨鉄筋コンクリート製のケーソン、ハイブリッドケーソンであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の一形態としての接地設備1の概略的構成を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の一形態としての接地設備1に用いられるケーソン3に取付けられた接地装置20の図2(a)は平面図、図2(b)は図2(a)の切断面線III−IIIで切断した図である。
【図3】図3(a)〜図3(d)は、鉄筋コンクリート製ケーソン3の側壁の外表面に接地装置20を取付ける要領を説明するための図である。
【図4】図4(a)〜図4(d)は、鉄筋コンクリート製ケーソン3の側壁の外表面に接地装置20を取付ける他の要領を説明するための図である。
【符号の説明】
【0035】
1 接地設備
3 ケーソン
4 敷地
5 ケーソン内部空間
6 ケーソンの上端
8 海
11 側壁
12 隔壁
13 フーチング
14 側壁表面
16 型枠
17 型枠の内側
20 接地装置
21 銅板
22 導電線
23 銅板の表面
25 導電線の一端
30 接地網
40 建屋
41 制御盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁と該側壁に囲まれた内部空間を仕切る隔壁とを備えるケーソンに取付けられた接地装置であって、
該側壁及び/又は該隔壁の下部壁面に取付けられた導電性板状体と、
該導電性板状体と接続する導電線と、
を含むことを特徴とする接地装置。
【請求項2】
前記導電性板状体は、表面が前記側壁及び/又は前記隔壁の表面と同一の高さとなるように取付けられていることを特徴とする請求項1に記載の接地装置。
【請求項3】
前記導電線は、前記側壁及び/又は前記隔壁の内部に配設され、一端が前記側壁及び/又は前記隔壁の上端から飛び出していることを特徴とする請求項1又は2に記載の接地装置。
【請求項4】
前記ケーソンは、底部にフーチングを有し、前記導電性板状体は、該フーチングを備える側の側壁の外表面に取付けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1に記載の接地装置。
【請求項5】
前記導電性板状体は銅板であり、前記導電性板状体は、前記側壁内及び/又は前記隔壁内の鉄筋、鉄骨に接触しないことを特徴とする請求項1から4のいずれか1に記載の接地装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1に記載の接地装置と、
前記接地装置の導電線と接続する前記ケーソンで仕切られた敷地内に埋設された接地網と、
を含むことを特徴とする接地設備。
【請求項7】
ケーソンを用いて海域が仕切られ造成された敷地内にある電気機器の接地設備であって、
海域を仕切るケーソンに請求項1から5のいずれか1に記載の接地装置を備えるケーソンを使用し、該ケーソンをケーソンに取付けられた導電性板状体が敷地側となるように設置し、
該敷地内に接地網を埋設し、該ケーソンに取付けられた導電性板状体に接続する導電線と該接地網とを接続することを特徴とする接地設備。
【請求項8】
請求項2から5のいずれか1に記載の接地装置の製造方法であって、
前記導電性板状体と前記導電線の一端とを予め接続し、
該導電性板状体を一面が型枠の壁面に接触する状態で型枠に取付け、
該型枠の導電性板状体を有する面を内側とし、該型枠の上端方向に導電線を延ばし、
該型枠内にコンクリートを打設し、前記導電性板状体を前記側壁及び/又は前記隔壁に固定することを特徴とする接地装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−153153(P2008−153153A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−342464(P2006−342464)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】