説明

接点ばね付きシート及びスイッチ装置

【課題】複数の照光領域を異なる発光色で分割照光する際に、操作感触を悪化させることなく、照光領域間の光漏れを効果的に抑制することができる接点ばね付きシート及びスイッチ装置を提供すること。
【解決手段】複数の収容部31内に複数の接点ばね12を保持する保持シート3と、保持シート3に積層され、光源ユニット7からの光を導光する導光シート4とを備え、導光シート4を複数の照光領域Aに区画するスリットSと、スリットSにおいて光源ユニット7からの光を反射または吸収する遮光部33とを設け、保持シート3に、複数の収容部31内間を連通する連通路32であってスリットS及び遮光部33を介して隣接する照光領域A間に設けられる連通路32を、平面視において光源ユニット7による照射範囲外でスリットSと重なるように形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接点ばね付きシート及びスイッチ装置に関し、特に、電子機器の操作パネルに組み込まれる接点ばね付きシート及びスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、各種電子機器用の操作パネルに組み込まれる接点ばね付きシートとして、操作パネルの操作キーを照光する導光シートを備えたものが知られている。この導光シートは、透光性材料で形成されており、携帯端末の回路基板上に取り付けられる。また、導光シートの端部近傍には、光源が配置され、光源から出射された光は、導光シートの端面からシート内に入射される。シート内に入射された光は、携帯端末の操作キーに対応する位置に形成された照光パターンで拡散され、操作キーを内側から点灯させる。
【0003】
近年、電子機器の装飾効果を高めるため、操作キーを異なる色で点灯させる操作パネルが開発されている。従来、このような操作パネルに用いられる接点ばね付きシートとして、導光シートを複数の照光領域に分割したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の接点ばね付きシートは、導光シートをスリット及びスリットに塗布した遮光部によって複数の照光領域に分割し、領域毎に光源を配置して分割照光を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−140871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、接点ばね付きシートは、複数の接点ばねを保持する保持シートを、粘着部を介して導光シートの下面に貼着して構成されている。保持シートには、各接点ばねを保持するための複数の収容部が形成されており、複数の収容部内は、連通路により連通されている。接点ばね付きシートは、この連通路により収容部内間の空気の移動を可能とし、押圧操作時の圧縮空気の反力を軽減して、良好な操作感触を得られるようにしている。
【0006】
しかしながら、上記した特許文献1に記載の接点ばね付きシートのように、接点ばね付きシートに対して導光シート側からスリットを形成する際には、スリットと保持シートの連通路との重なり部分で、加工精度のバラツキによりスリットが連通路に貫通する可能性があった。この場合には、印刷による遮光部の形成時に、スリットから流れ込んだ印刷液により連通路内が塞がれて、操作感触を悪化させるおそれがあった。このため、従来の接点ばね付きシートでは、連通路上にスリットを設けることをせず、照光領域間の光漏れを防止することができなかった。
【0007】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、分割照光する際に、操作感触を悪化させることなく、照光領域間の光漏れを効果的に抑制することができる接点ばね付きシート及びスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の接点ばね付きシートは、複数の収容部内に複数の接点ばねを保持する保持シートと、前記保持シートに積層され、光源からの光を導光する導光シートとを備え、前記導光シートを複数の照光領域に区画するスリットと、前記スリットにおいて前記光源からの光を反射または吸収する遮光部とを設け、前記保持シートに、前記複数の収容部内間を連通する連通路であって前記スリット及び前記遮光部を介して隣接する照光領域間に設けられる連通路を、平面視において前記光源による照射範囲外で前記スリットと重なるように形成したことを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、隣接する照光領域間の連通路を、平面視において光源による照射範囲外でスリットと重なるように形成したことから、連通路の上方(導光シート側)において照光領域間の光漏れを軽減することができる。また、照光領域間の光漏れが軽減されるため、連通路上では浅いスリットであっても十分に光漏れを抑制でき、スリットを浅く形成することでスリットと連通路との貫通を防止することができる。よって、スリットが連通路に貫通して操作感触を悪化させることがなく、照光領域間の光漏れを効果的に抑制することができる。
【0010】
また本発明は、上記接点ばね付きシートにおいて、前記スリットは、前記保持シートに形成された前記連通路と重なる部分を、前記連通路と重ならない部分よりも浅く形成したことを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、連通路と重なる部分にスリットを形成しても、スリットが連通路に貫通することがない。また、連通路と重なる部分は、平面視において光源による照射範囲外に位置するため、浅いスリットであっても十分に光漏れを抑制することができる。
【0012】
また本発明は、上記接点ばね付きシートにおいて、前記スリット及び前記遮光部を介して隣接する照光領域間は、単一の前記連通路により前記収容部内間が連通されたことを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、保持シートに複数の連通路を設ける構成と比較して、照射範囲を自由に設定できるため、光源の配置の自由度を高めることができる。
【0014】
また本発明は、上記接点ばね付きシートにおいて、前記遮光部は、遮光液の塗布により形成され、前記遮光液の一部が前記導光シートの内部に浸透されることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、浸透性の遮光液を導光シート内に浸透させることで、スリットを貫通させなくても、照光領域間の光漏れを効果的に抑制することができる。
【0016】
また本発明のスイッチ装置は、上記接点ばね付きシートと、前記複数の接点ばねが離接する複数の固定接点が設けられた基板とを備えたことを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、複数の照光領域を異なる発光色で分割照光する際に、操作感触を悪化させることなく、照光領域間の光漏れを効果的に抑制するスイッチ装置を容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数の照光領域を分割照光する際に、操作感触を悪化させることなく、照光領域間の光漏れを効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る接点ばね付きシートの実施の形態を示す図であり、スイッチ装置の上面模式図である。
【図2】本発明に係る接点ばね付きシートの実施の形態を示す図であり、スイッチ装置のA−A線に沿う断面図である。
【図3】本発明に係る接点ばね付きシートの実施の形態を示す図であり、スイッチ装置のB−B線に沿う断面図である。
【図4】本発明に係る接点ばね付きシートの実施の形態を示す図であり、接点ばね付きシートに形成されたスリットの説明図である。
【図5】本発明に係る接点ばね付きシートの実施の形態を示す図であり、光源ユニットによる照射範囲とスリットの配置位置との関係を示す図である。
【図6】本発明に係る接点ばね付きシートのスリットの深さと連通部との関係を示す図である。
【図7】本発明に係る接点ばね付きシートの実施の形態を示す図であり、浸透印刷による遮光部の形成の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明が適用される接点ばね付きシートは、各種電子機器用の操作パネルに組み込まれて使用される。この接点ばね付きシートは、操作キーを内部から照らす導光シートと、粘着部を介して導光シートに積層され、複数の接点ばねを保持する保持シートとを備えている。導光シートは、スリット及び遮光部により複数の照光領域に区画され、照光領域毎に分割照光される。保持シートは、複数の接点ばねを複数の収容部に保持しており、この複数の収容部内間は連通路により連通されている。
【0021】
このような接点ばね付きシート41においては、図6(a)に示すように、光が進行する導光シート42及び粘着部43だけにスリットSを形成することで、保持シート44を傷付けることなく隣接する照光領域間の光漏れを抑制することができる。しかしながら、図6(b)に示すように、スリットSと連通路45とが重なる部分においては、加工誤差などによりスリットSが連通路45に貫通し、遮光部46の形成時に連通路45内に印刷液が流入して連通路45を塞いでしまうおそれがあった。これを回避するため、図6(c)に示すように、スリットSと連通路45とが重なる部分においては、スリットSを浅く形成することが考えられるが、導光シート42の一部及び透明な粘着部43を介して光が伝えられ、隣接する照光領域間での光漏れを十分に抑制することができないという問題があった。
【0022】
本発明の骨子は、複数の照光領域を分割照光する際に、光源の照射範囲外に連通路45を設けると共に、連通路45に重なるスリットSを浅く形成することで、スリットSを連通路45に貫通させることなく、照光領域間の光漏れを効果的に抑制することである。なお、光源の照射範囲とは、照光領域内の照光パターンを照光させるために有効な範囲、すなわち、十分な光量の光が進行する範囲をいう。
【0023】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明のスイッチ装置は、主として携帯電話、リモコン、オーディオ機器、及び電子カメラ等の各種電子機器に取り付けられ、入力操作部として機能するものである。図1を参照して、スイッチ装置の全体構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の上面模式図である。図2は、図1に示すスイッチ装置のA−A線に沿う断面図である。図3は、図1に示すスイッチ装置のB−B線に沿う断面図である。なお、図1は、説明の便宜上、キーマット部材を省略して図を示している。
【0024】
図1から図3に示すように、本実施の形態に係るスイッチ装置1は、図示しない携帯電話の筐体内に組み込まれるものであり、複数の光源ユニット7R、7Wと複数の固定接点11とが設けられた回路基板8を有している。回路基板8の上面には、接点ばね付きシート2が貼着されている。接点ばね付きシート2は、各固定接点11に配置される複数の接点ばね12を保持する保持シート3と、保持シート3の上面に粘着部5を介して貼着された導光シート4により構成される。
【0025】
また、携帯電話の筐体には、回路基板8に対向するように図示しない操作パネルが設けられており、この操作パネルには固定接点11のそれぞれに対向するように操作キー14が配置されたキーマット部材6が設けられている。操作キー14は、上面にキーの種類を示す文字部を有している。文字部は、透光性を有しており、導光シート4内に入光された光により筐体内部から照光される。
【0026】
回路基板8は、絶縁性材料により上面視略矩形の板状に形成されており、上面には複数の固定接点11および図示しない導体パターンが形成されている。複数の固定接点11は、それぞれ環状の周辺固定接点21と、周辺固定接点21の中央に位置する円形状の中央固定接点22とから構成され、周辺固定接点21および中央固定接点22は導体パターンを介して図示しない制御部に接続されている。
【0027】
複数の光源ユニット7R、7Wは、発光ダイオード(LED)を有して構成され、導光シート4の一側面に対して僅かに隙間を空けて配置される。この場合、光源ユニット7Rは、操作キー14を赤色に点灯させる赤色LEDを有し、光源ユニット7Wは、操作キー14を白色に点灯させる白色LEDを有している。光源ユニット7R、7Wから出射された光は、導光シート4内を放射方向に伝搬して所定範囲を照光させる。
【0028】
各接点ばね12は、例えば、導電性のある金属板などによりドーム状に形成されている。各接点ばね12は、膨出方向を上方に向けて周辺固定接点21上に載置され、押圧操作による反転時に中央固定接点22に接触可能に構成されている。したがって、押圧操作により接点ばね12が反転されると、中央固定接点22と周辺固定接点21とが接点ばね12を介して導通される。
【0029】
保持シート3は、上面視矩形状に形成されており、表面シート24と、スペーサシート25とを積層して構成されている。表面シート24は、ポリエステル等の絶縁フィルムで平面視矩形状に形成されている。また、表面シート24の下面には、全体的に接着剤が塗布されており、この接着剤により接点ばね12が保持されると共に、スペーサシート25が一体化される。
【0030】
スペーサシート25は、ポリエステル等の絶縁フィルムで平面視矩形状に形成されており、複数の固定接点11に対応する位置に、複数の接点ばね12の複数の収容部31が形成されている。スペーサシート25の下面には、全体的に接着剤が塗布されており、この接着剤により保持シート3が複数の接点ばね12を保持した状態で回路基板8の上面に貼着される。また、複数の収容部31内間は、連通路32により連通されており、この連通路32により収容部31内間の空気の移動を可能としている。連通路32は、スイッチ装置1の押圧操作時に圧縮空気の反力を軽減して、ユーザに対して良好な操作感触を得られるようにしている。
【0031】
導光シート4は、ウレタン樹脂等の透光性を有する透明フィルムで平面視矩形状に形成され、粘着部5を介して保持シート3の上面に貼着されている。粘着部5は、導光シート4の下面に接着剤を塗布することで設けられている。粘着部5を構成する接着剤にも、導光性を有する材料が利用されている。また、導光シート4は、深さの異なる2種類のスリットS1、S2により3つの照光領域A1−A3に区画されている。この場合、導光シート4の連通路32に重なる部分は、浅いスリットS1で区画され、それ以外の部分は深いスリットS2で区画される。
【0032】
この3つの照光領域A1−A3とは、赤色光によって照光される赤色照光領域A1、A2、及び白色光によって照光される白色照光領域A3である。赤色照光領域A1、A2は、赤色LEDを有する光源ユニット7Rによって照光される。赤色照光領域A1、A2に光を入光させる光源ユニット7Rは、照射範囲内に図示しない照光パターンを含めるように配置される。白色照光領域A3は、白色LEDを有する光源ユニット7Wによって照光される。白色照光領域A3に光を入光させる光源ユニット7Wは、照射範囲内に図示しない照光パターンを含めるように配置される。なお、光源ユニット7R、7Wは、照射範囲からスリットS1を外すように配置されるが、詳細については後述する。
【0033】
そして、光源ユニット7R、7Wが発光した光は、導光シート4に入光され、導光シート4の上下面で反射を繰り返しながら伝搬する。導光シート4内を伝搬した光は、導光シート4の操作キー14に対応する位置に形成された照光パターンで反射および拡散され、操作キー14に向けて出射される。この構成により、操作キー14の文字部が内側から均一に照光される。また、導光シート4は、操作キー14の押圧操作時の操作感触に影響を与えない程度の薄さを有している。
【0034】
このように構成されたスイッチ装置1において、操作キー14が押圧されると、接点ばね12が反転され、中央固定接点22と周辺固定接点21とが接点ばね12を介して導通される。なお、照光パターンは、導光シート4内を伝搬する光を操作キー14に向けて出射させる構成でればよく、導光シート4の上面または下面に形成した照光溝で構成してもよいし、白色ドットの印字により構成してもよい。
【0035】
ここで、図4を参照して接点ばね付きシートに形成されるスリットについて説明する。図4は、本発明の実施の形態に係る接点ばね付きシートに形成されたスリットの説明図である。
【0036】
図4(a)に示すように、スリットS1は、レーザー加工等により導光シート4に加工された略V字状の溝であり、導光シート4に僅かな厚みを残して形成されている。スリットS1には、スリットS1表面に付着された遮光用の印刷液(遮光液)により、照光領域A内に入光された光が他の照光領域に漏れるのを防止する遮光部33が形成されている。遮光部33は、例えば、黒色のUV硬化インクを用いたインクジェット印刷等により、スリットS1を覆うようにして形成される。このように、スリットS1は、表面に形成された遮光部33によって照光領域A内の光漏れを軽減するが、導光シート4の僅かな厚みや導光シート4の下方に貼着された透光性の粘着部5を介した光漏れを防止することができない。
【0037】
また、スリットS1は、保持シート3の連通路32の上方において、導光シート4にのみ形成されるため、連通路32に貫通されることがない。したがって、スリットS1は、印刷による遮光部33の形成時に、連通路32内に印刷液が流れ込むことがなく、連通路32が塞がれることがない。よって、収容部31内間の空気の移動が確保され、スイッチ装置1の押圧操作時に操作感触を悪化させることがない。
【0038】
図4(b)に示すように、スリットS2は、レーザー加工等により導光シート4、粘着部5、保持シート3に跨って加工された略V字状の溝であり、保持シート3の上部を僅かに除去して形成されている。スリットS2にも、スリットS2表面に付着された印刷液により、照光領域A内に入光された光が他の照光領域に漏れるのを防止する遮光部33が形成されている。遮光部33は、スリットS1に形成される場合と同様に、インクジェット印刷等によりスリットS2を覆うように形成される。このとき、遮光部33は、導光シート4、粘着部5、保持シート3に跨るように形成されるため、導光シート4内に入光された光が導光シート4、粘着部5及び保持シート3の隙間から漏れることを確実に防止することが可能となる。
【0039】
このように、スリットS2は、保持シート3の連通路32が形成されていない部分の上方に形成されるため、スリットS1よりも深く形成することが可能となる。なお、スリットS1、S2の断面形状は、上記した略V字状に限定されるものではなく、導光シート4を区画可能であれば、どのような形状であってもよい。特に、S2の断面形状は、導光シート4の外縁に沿う部分においては、斜面形状であってもよい。また、印刷液としては、上記した黒色インクに限定されず、光を吸収または反射可能するものであればよい。例えば、スリットS1、S2に遮光部33として反射膜を形成した場合には、導光シート4内により多くの光を取り込むことが可能となる。
【0040】
図5を参照して、光源ユニットによる照射範囲とスリットの配置位置との関係について説明する。図5は、本発明の実施の形態に係る光源ユニットによる照射範囲とスリットの配置位置との関係を示す図である。
【0041】
図5に示すように、導光シート4は、スリットS1、S2により3つの照光領域A1−A3に分割されている。また、導光シート4の下面に積層された保持シート3には、接点ばね12用の複数の収容部31が形成され、照光領域A1に収容部31a、照光領域A2に収容部31b、照光領域A3に収容部31c、31dがそれぞれ位置されている。また、収容部31a、31c内間は、連通路32aで連通され、収容部31b、31d間は、連通路32bで連通され、収容部31c、31d間は、連通路32cで連通されている。
【0042】
連通路32a、32bは、スリットS1の下方に位置されている。このため、スリットS1は、連通路32a、32bに貫通しないように浅く形成されている。光源ユニット7Rは、照射範囲内に接点ばね12の上方に位置する照光パターンを含めるように配置されている。この場合、スリットS1と連通路32a、32bとの重なり部分は、光源ユニット7Rの照射範囲(例えば、±約50度)を避けた位置に形成されている。
【0043】
光源ユニット7Wは、照光範囲内に接点ばね12の上方に位置する照光パターンを含めるように配置されている。この場合も、スリットS1と連通路32a、32bとの重なり部分は、光源ユニット7Wの照射範囲(例えば、±約50度)を避けた位置に形成されている。すなわち、連通路32a、32bは、光源ユニット7R、7Wの照射範囲外でスリットS1と重なるように形成されている。
【0044】
これは、上記したように、スリットS1が連通路32a、32bに貫通しないように、導光シート4に僅かに厚みを残して形成されるため、この導光シート4の僅かな厚みや粘着部を介した光漏れを防止することができないためである。この構成により、光源ユニット7R、7Wは、照射範囲からスリットS1と連通路32a、32bとの重なり部分を外すことで、照光領域A1−A3間の光漏れを極力軽減している。
【0045】
また、上記したように、スリットS2が形成された部分は、導光シート4、粘着部5、保持シート3に跨って遮光部33が形成されるため、照光領域A1−A3間の光漏れを確実に防止することが可能となる。したがって、赤色照光領域A1、A2から白色照光領域A3への赤色光の光漏れが大幅に軽減され、白色照光領域A3での赤色光と白色光との混色を抑制することが可能となる。また、スリットS1と連通路32a、32bとの重なり部分では、スリットS1が連通路32a、32bに貫通することがなく、連通路32a、32bの機能を害することがない。
【0046】
また、赤色照光領域A1及び白色照光領域A3間は、単一の連通路32aにより収容部31a、31c内間が連通されている。同様に、赤色照光領域A2及び白色照光領域A3間も、単一の連通路32bにより収容部31b、31d内間が連通されている。このため、連通路32とスリットS1との重なり部分を最小とすることができ、光源ユニット7R、7Wの照射範囲を広くとれるため、光源ユニット7R、7Wの設置位置の自由度が高められている。
【0047】
以上のように、本実施の形態に係るスイッチ装置1によれば、隣接する赤色照光領域A1、A2及び白色照光領域A3間の連通路32a、32bを、平面視において光源ユニット7R、7Wによる照射範囲外でスリットと重なるように形成したことから、照光領域A間の光漏れを軽減することができる。また、照光領域A1−A3間の光漏れが軽減されるため、連通路32a、32b上では浅いスリットS1であっても十分に光漏れを抑制でき、浅いスリットS1によりスリットと連通路32a、32bとの貫通を防止することができる。よって、スリットS1が連通路32a、32bに貫通してスイッチ装置1の操作感触が悪化することがなく、照光領域A間の光漏れを効果的に抑制することができる。
【0048】
なお、上記した実施の形態においては、浅いスリットは、導光シートに僅かに厚みを残して形成される構成としたが、この構成に限定されるものではない。浅いスリットは、連通路に貫通しない程度に形成されていればよく、例えば、導光シートと粘着部に跨って形成されてもよい。
【0049】
また、上記した実施の形態においては、遮光部は、スリットの表面に付着された遮光用の印刷液により形成される構成としたが、この構成に限定されるものではない。遮光部は、スリットにおいて遮光可能であれば、どのような構成でもよく、例えば、図7に示すように、印刷液の一部を導光シート内に浸透させてもよい。この場合、昇華性の印刷液をスリットの表面に塗布した後に、印刷液を加熱することで導光シート内に印刷液を浸透させる。これにより、スリットの表面に印刷液を塗布する構成と比較して、効果的な遮光性能を得ることができる。特に、浅いスリットを形成した部分においても、照光領域間の光漏れを効果的に抑制することができる。
【0050】
また、上記した実施の形態においては、照射領域間の収容部内間が、単一の連通路により連通される構成としたが、この構成に限定されるものではない。スリットと連通路との重なり部分が、光源ユニットの照射範囲から外れるのであれば、複数の連通路により照射領域間の収容部内間が連通されてもよい。
【0051】
また、上記した実施の形態においては、導光シートをウレタン樹脂により形成する構成としたが、この構成に限定されるものではない。導光シートは、導光可能なシートであればよく、例えば、ポリカーボネート樹脂により導光シートを形成する構成としてもよい。
【0052】
また、上記した実施の形態においては、光源ユニットの光源を発光ダイオードとして説明したが、この構成に限定されるものではない。導光シートの各照光領域を均一に発光させることが可能な光量を有していれば、どのような光源を用いてもよい。
【0053】
また、上記した実施の形態においては、導光シートが赤色照光領域と白色照光領域に区画される構成としたが、この構成に限定されるものではない。隣接する照光領域が、異なる発光色で照光されてもよいし、同一の発光色で照光されてもよい。また、隣接する照光領域が、同一の発光色で照光される場合には、各照光領域が同時または単独で照光するようにしてもよい。これにより、照光領域に対応する操作キーを独立して点灯させることも可能となり、例えば、通話キーや終話キーの押圧時のみ点灯させることが可能となる。さらに、隣接する照光領域が、赤色光と緑色光のように異なる有色光で照光される構成としてもよい。さらに、照光領域を、複数の光源ユニットにより異なる発光色で照光される多色照光領域としてもよい。
【0054】
また、上記した実施の形態においては、深いスリットは、導光シート、保持シート、粘着部に跨るように形成されたが、この構成に限定されるものではない。深いスリットは、照光領域間の光漏れを十分に抑制可能であればよく、例えば、導光シートと粘着部とに跨るように形成されてもよい。
【0055】
また、上記した実施の形態においては、遮光部は、インクジェット印刷等によってスリットに対する印刷液の付着により形成される構成としたが、この構成に限定されるものではない。遮光部は、斜面部に対する遮光用の液体の塗布によって形成されるのであれば、どのような装置や方法によって形成されてもよい。
【0056】
また、上記した実施の形態においては、保持シートにより回路基板に接点ばねが保持されたスイッチ装置を例示して説明したが、この構成に限定されるものではない。本発明に係る導光シートを用いるスイッチ装置であれば、どのような構成でもよい。
【0057】
また、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であってこの実施の形態に制限されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施の形態のみの説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上説明したように、本発明は、複数の照光領域を異なる発光色で分割照光する際に、操作感触を悪化させることなく、照光領域間の光漏れを効果的に抑制することができるという効果を有し、特に、電子機器の操作パネルに組み込まれる接点ばね付きシート及びスイッチ装置に有用である。
【符号の説明】
【0059】
1 スイッチ装置
S1、S2 スリット
A1、A2 赤色照光領域
A3 白色照光領域
2 接点ばね付きシート
3 保持シート
4 導光シート
5 粘着部
6 キーマット部材
7R、7W 光源ユニット(光源)
8 回路基板
11 固定接点
14 操作キー
21 周辺固定接点
22 中央固定接点
24 表面シート
25 スペーサシート
31 収容部
32 連通路
33 遮光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の収容部内に複数の接点ばねを保持する保持シートと、前記保持シートに積層され、光源からの光を導光する導光シートとを備え、
前記導光シートを複数の照光領域に区画するスリットと、前記スリットにおいて前記光源からの光を反射または吸収する遮光部とを設け、
前記保持シートに、前記複数の収容部内間を連通する連通路であって前記スリット及び前記遮光部を介して隣接する照光領域間に設けられる連通路を、平面視において前記光源による照射範囲外で前記スリットと重なるように形成したことを特徴とする接点ばね付きシート。
【請求項2】
前記スリットは、前記保持シートに形成された前記連通路と重なる部分を、前記連通路と重ならない部分よりも浅く形成したことを特徴とする請求項1に記載の接点ばね付きシート。
【請求項3】
前記スリット及び前記遮光部を介して隣接する照光領域間は、単一の前記連通路により前記収容部内間が連通されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の接点ばね付きシート。
【請求項4】
前記遮光部は、遮光液の塗布により形成され、前記遮光液の一部が前記導光シートの内部に浸透されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の接点ばね付きシート。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の接点ばね付きシートと、前記複数の接点ばねが離接する複数の固定接点が設けられた基板とを備えたことを特徴とするスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−187308(P2011−187308A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51330(P2010−51330)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】