接点基板及びその製造方法
【課題】 特にマザー基板上に接合される弾性接点を確実に固定保持できるとともに、前記弾性接点とマザー基板間の導通状態を安定化出来る接点基板及びその製造方法を提供することを目的としている。
【解決手段】 スパイラル接触子12,13の固定部12a,13aの一部とマザー基板10の電極部11とを半田接合し、前記固定部12a、13aと前記電極部11間及び、シート部材14とマザー基板10を半田接合することで、高温環境下等においても、前記電極部と固定部との導通状態を安定化することが出来るとともに、シート部材及びスパイラル接触子を前記マザー基板10に強固に固定保持できる。
【解決手段】 スパイラル接触子12,13の固定部12a,13aの一部とマザー基板10の電極部11とを半田接合し、前記固定部12a、13aと前記電極部11間及び、シート部材14とマザー基板10を半田接合することで、高温環境下等においても、前記電極部と固定部との導通状態を安定化することが出来るとともに、シート部材及びスパイラル接触子を前記マザー基板10に強固に固定保持できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にマザー基板上に接合される弾性接点を確実に固定保持できるとともに前記弾性接点とマザー基板間の導通状態を安定化することが可能な接点基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超微細化する電子部品の電気的試験を良好に行なうために、弾性接点としてスパイラル接触子を有する接点基板が開発されている。また前記接点基板は電子部品と基板間などのコネクタ等としても使用できる。
【0003】
前記接点基板は、下記の特許文献1では、プリント基板の上に導電接着剤を介してスパイラル接触子を多数有するシート部材(レジストフィルム)が貼り付けられた構造である。
【0004】
例えば特許文献1の図8等には前記スパイラル接触子の平面形状が開示されている。前記スパイラル接触子は、弾性変形可能なスパイラル状の弾性変形部と、前記弾性変形部の外周を囲むリング形状の固定部とで構成されている。
前記固定部が前記プリント基板に前記導電性接着剤を介して接着固定される。
【特許文献1】特開2002−175859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図15は、従来の接点基板の部分断面図である。符号1はマザー基板で、符号2はスパイラル接触子で、符号3はシート部材である。前記スパイラル接触子2の固定部2aは前記マザー基板1上に設けられた電極部1aと異方性導電ペースト(ACP)4を介して接着接合されている。図15に示すように前記シート部材3と前記マザー基板1間も前記異方性導電ペースト4によって接着接合されている。前記シート部材3には貫通孔3aが形成され、前記貫通孔3aから前記スパイラル接触子2の弾性変形部2bが上方に向けて突出形成されている。
【0006】
図15に示すように、従来、前記固定部2aと前記マザー基板1の電極部1a間は異方性導電ペースト4により接着接合されていた。前記異方性導電ペースト4は、前記固定部2aとマザー基板1の電極1a間を導通接続させる役割と、前記固定部2aと電極部1a間を固定保持する役割の双方を担っていた。
【0007】
しかし、図15に示す接点基板は、高温環境下で使用される場合もあり、かかる場合、前記異方性導電ペースト4が劣化し、前記異方性導電ペースト4内に含まれている導電フィラーどうしが離れ、前記固定部2aとマザー基板1の電極1a間の導通状態が不安定化したり、前記マザー基板2とシート部材3間、及びマザー基板1と固定部2a間の接着力が弱まり、振動等によって前記マザー基板1から前記シート部材3が剥がれる等の問題が発生した。
【0008】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するためのものであり、特にマザー基板上に接合される弾性接点を確実に固定保持できるとともに、前記弾性接点とマザー基板間の導通状態を安定化出来る接点基板及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明における接点基板は、
表面に電極部を有するマザー基板と、前記弾性接点と、前記弾性接点を保持するシート部材とを有し、
前記弾性接点は、固定部と前記固定部から延出形成された弾性変形部とを有して構成され、前記固定部は前記シート部材に保持されており、
前記固定部と、前記電極部とが半田接合され、前記マザー基板と前記シート部材間が接着接合されていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明では前記固定部と電極部とを半田接合することで、高温環境下等によっても、前記固定部と電極部間の導通状態を安定したものにでき、また前記マザー基板とシート部材間を接着接合することで、前記シート部材及び弾性接点を確実に前記マザー基板に固定保持できる。
【0011】
本発明では、前記固定部の一部が、前記電極部に半田接合されていることが好ましい。このとき、前記固定部の前記弾性変形部と対向する側と反対側の側部と、前記電極部とが半田接合されていることがより好ましい。前記弾性変形部から出来るだけ離れた位置で前記固定部と前記電極部とを半田接合することで、半田が前記弾性変形部に付着するのを防止できる。
【0012】
また、前記固定部と前記マザー基板の対向面間の少なくとも一部は接着接合されていることが好ましい。また、前記固定部と前記マザー基板の対向面間に介在する接着層は、溶融した半田が、前記弾性変形部にまで到達しないように、前記半田の流れをせき止める形状にて形成されていることが好ましい。前記固定部のマザー基板との対向面に溶融した半田が伝って前記弾性変形部にまで到達しないように、前記固定部と前記マザー基板の対向面間に、溶融した半田の流れをせき止める接着層を形成することが好ましい。これにより、より確実に、半田が前記弾性変形部に付着するのを防止できる。
【0013】
また本発明では、前記弾性変形部と、前記固定部間には、連結部が設けられ、前記固定部が前記弾性変形部から距離的に離されている形態であってもよい。かかる場合、前記固定部の全体が前記電極部に半田接合されている形態であってもよい。また、前記連結部と前記マザー基板間が接着接合されていることがより好ましい。この形態では、前記弾性変形部と前記固定部間に連結部を設けることで、たとえ前記固定部の全体を電極部に半田接合しても、半田が前記弾性変形部まで流れるのを抑制できるともに、前記固定部と前記電極部間の導通状態を、より安定化させることが出来る。また、前記連結部と前記マザー基板間を接着接合することで、前記固定部から半田が前記弾性変形部にまで流れるのを適切に、せき止めることが出来る。
【0014】
また本発明では、前記シート部材には、半田接合用貫通孔が設けられ、前記半田接合用貫通孔から固定部と前記電極部とがそれぞれ露出しており、露出する前記固定部と電極部とが半田接合されていることが、簡単に前記固定部と前記電極部とを半田接合できて好ましい。
【0015】
また本発明における接点基板は、
表面に電極部を有するマザー基板と、弾性接点とを有し、
前記弾性接点は、固定部と前記固定部から延出形成された弾性変形部とを有して構成され、
前記固定部の一部は、前記電極部に半田接合されるとともに、前記固定部と前記マザー基板の対向面間の少なくとも一部は、接着接合されていることを特徴とするものである。
【0016】
かかる場合、前記固定部とマザー基板の対向面間に介在する接着層は、溶融した半田が、前記弾性変形部にまで到達しないように、前記半田の流れをせき止める形状にて形成されていることが好ましい。
【0017】
上記の形態では、前記固定部の一部が前記電極部に半田接合され、前記固定部と電極部の対向面間の少なくとも一部が接着接合されていることで、前記固定部と電極部間の導通状態を安定したものに出来るとともに、前記弾性接点を確実に前記マザー基板に固定保持できる。
【0018】
本発明は、固定部と前記固定部から延出形成された弾性変形部とを有して構成される弾性接点を保持するシート部材を表面に電極部を有するマザー基板上に接合してなる接点基板の製造方法において、
(a) 前記シート部材に半田接合用貫通孔を形成し、前記半田接合用貫通孔の一部から前記固定部の一部を露出させる工程と、
(b) 少なくとも、前記貫通孔と対向する位置を除いて前記マザー基板上に接着剤を塗布する工程と、
(c) 前記マザー基板上に前記シート部材を前記接着剤にて接着接合する工程と、
(d) 前記半田接合用貫通孔から露出する前記固定部と前記電極部とを半田接合する工程と、
を有することを特徴とするものである。
【0019】
上記の接点基板の製造方法によれば、簡単に前記固定部と前記マザー基板の電極部とを半田接合できるとともに、前記シート部材と前記マザー基板間を接着接合できる。よって高温環境下によっても、前記固定部と前記マザー基板の電極部間の導通状態が安定しているとともに、前記シート部材とマザー基板間が強固に固定保持されている接点基板を製造できる。
【0020】
本発明では、前記(a)工程にて、前記半田接合用貫通孔の一部から、前記固定部の前記弾性変形部と対向する側と反対側の側部を露出させ、前記(d)工程にて、前記固定部の前記側部と電極部とを半田接合することが好ましい。これにより溶融した半田が前記弾性変形部にまで流れるのを適切に抑制でき、前記弾性変形部に半田が付着することが無い接点基板を製造することが出来る。
【発明の効果】
【0021】
本発明では弾性接点の固定部とマザー基板の電極部とを半田接合し、前記弾性接点を保持するシート部材と前記マザー基板間を接着接合することで、高温環境下等によっても、前記固定部と電極部間の導通状態を安定したものにでき、また前記シート部材及び弾性接点を確実に前記マザー基板に固定保持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は、一つの実施形態としての接点基板の部分平面図、図2は図1に示すA−A線から切断し矢印方向から見た前記接点基板の部分断面図、図3は図2に示す接点基板と異なる形態の前記接点基板の部分断面図、図4は図2,図3に示す接点基板と異なる形態の前記接点基板の部分断面図、図5は図2〜図4に示す接点基板と異なる形態の前記接点基板の部分断面図、図6は図2〜図5に示す接点基板と異なる形態の前記接点基板の部分断面図、図7は、図1に示す接点基板と異なる形態の前記接点基板の部分平面図、図8は図7に示すB−B線から切断し矢印方向から見た前記接点基板の部分断面図、図9は、図2〜図6,図8に示す接点基板と異なる形態の前記接点基板の部分断面図、図10は、図2〜図6,図8,図9に示す接点基板と異なる形態の前記接点基板の部分断面図、図11〜図14は、図1に示す接点基板の製造方法を示す一工程図(図11,図13は接点基板の部分平面図)、図12は図11のC−C線から切断し矢印方向から見た前記接点基板の部分断面図、図14は、図13のD−D線から切断し矢印方向から見た前記接点基板の部分断面図、である。
【0023】
各図においてX1−X2方向は幅方向、Y1−Y2方向は長さ方向、Z1−Z2方向は高さ方向を指し、各方向は残り二つの方向に対し直交した関係を持つ。
【0024】
符号10はマザー基板であり、前記マザー基板10は多数の多数のプリント配線板(PWB)が重なって構成される。図1,図2に示すように前記マザー基板10の上面10aには電極部11がスクリーン印刷等によりパターン形成されている。
【0025】
前記マザー基板10上には、複数のスパイラル接触子12,13が設けられている。前記スパイラル接触子12,13は固定部12a,13aと、前記固定部12a,13aから延出形成された弾性変形部12b,13bとで構成されている。図1に示すように前記弾性変形部12b,13bは巻き始端12b1,13b1から巻き終端12b2,13b2にかけてスパイラル状に形成されている。前記巻き始端12b1には前記固定部12a,13aが接続されており、前記固定部12a,13aの前記弾性変形部12b,13bに向く側の側部(内側側部)12a1,13a1は前記弾性変形部12b,13bの外観に沿う湾曲した形状で形成されている。前記固定部12a,13aの長さ寸法(図示Y1−Y2方向への寸法)は前記弾性変形部12b,13bの長さ寸法とほぼ同程度に長く形成され、また幅方向(図示X1−X2方向)にもある程度、長い寸法にて形成されている。前記固定部12a,13aの形状は図1に示す形状に限らない。
【0026】
前記スパイラル接触子12,13の固定部12a,13aは前記マザー基板10上の電極部11と高さ方向(図示Z1−Z2方向)にて対向し、前記固定部12a,13aが前記電極部11上に接合されている。一方、前記弾性変形部12b,13bは、上方向(図示Z1方向)に向けてスパイラル状に立体成形されており(図2を参照)、上下方向(図示Z1−Z2方向)に弾性変形できるようになっている。
【0027】
前記スパイラル接触子12,13は、電鋳形成、あるいは箔体表面にメッキ層が形成された構造であり、一例を言えば、スパイラル接触子12,13の形状に形成された銅箔の周囲に無電解メッキ法にてNi層あるいはNiP層等のメッキ層が形成された構造となっている。
【0028】
符号14はシート部材である。前記シート部材14は例えばポリイミド樹脂等の樹脂シートで形成されている。前記シート部材14は複数の前記スパイラル接触子12,13を前記マザー基板10上に接合する前に、個々のスパイラル接触子がばらばらにならないように保持しておくためのものである。また前記シート部材14には前記スパイラル接触子12,13やマザー基板10の余計な箇所が電子部品等と当接することが無いように、前記マザー基板10上を保護する絶縁シートとしての役割もある。
【0029】
図1,図2に示すように前記シート部材14には前記スパイラル接触子12,13の弾性変形部12b,13bと対向する部位に貫通孔14aが形成されている。前記弾性変形部12b,13bは前記貫通孔14aから露出しており、前記貫通孔14aを通って図示上方向に突出している(図2を参照)。
【0030】
前記固定部12a,13aの上面は前記シート部材14の下面に接着剤等により固定保持されている。
【0031】
図1,図2に示すように、前記シート部材14には半田接合用の貫通孔(以下、半田接合用貫通孔と言う)15,16が設けられており、前記半田接合用貫通孔15,16は、高さ方向(図示Z1−Z2方向)にて、前記固定部12a,13aの一部と対向する位置に設けられている。図1,図2に示すように前記半田接合用貫通孔15,16は、前記固定部12a、13aの前記弾性変形部12b,13bから離れた外側側部12a2,13a2の一部にかかるように形成されており、また前記外側側部12a2,13a2の外側に広がるマザー基板10の電極部11上にも一部かかるように形成されている。図1,図2では前記半田接合用貫通孔15,16内に半田18が塗布されているが、前記半田18を取り除くと、前記半田接合用貫通孔15,16からは、前記固定部12a,13aの一部と前記電極部11の一部がそれぞれ露出した状態になっている。前記半田接合用貫通孔15,16は図1に示すように例えば略円形状で形成されるが、前記半田接合用貫通孔15,16の形態はどのような形態であってもよい。
【0032】
前記半田接合用貫通孔15,16と高さ方向(図示Z1−Z2方向)にて対向する位置の前記固定部12a,13aの上面は半田ランド部Eとなり、前記半田接合用貫通孔15,16内に供給された半田18により、前記固定部12a,13aの半田ランド部Eとマザー基板10の電極部11とが半田接合させられる。
【0033】
前記半田ランド部Eは、前記弾性変形部12b,13bから離れた位置にあり、しかも前記半田ランド部Eと前記弾性変形部12b,13bとの間にはシート部材14があるため、前記半田ランド部E上に供給された半田18は、前記固定部12a,13aの上面を伝って前記弾性変形部12b,13bにまで流れることはない。
【0034】
一方、前記固定部12a,13aと前記マザー基板10との対向面間には、図2に示すように接着層19が介在している。前記接着層19は前記スパイラル接触子12,13を前記マザー基板10に強固に接着接合する役割と、前記半田18が前記固定部12a,13aの下面を伝って前記弾性変形部12b,13bにまで流れるのを阻止する役割を有している。
【0035】
前記接着層19は前記固定部12a,13aの下面と、前記固定部12a,13aと対向する前記マザー基板10の上面間に全体にわたって設けられていてもよいが、前記固定部12a,13aの下面には、前記半田接合用貫通孔18,19から供給された半田18が前記固定部12a,13aの下面を伝って前記弾性変形部12b,13bにまで流れるのをせき止めるような形状及び場所に前記接着層19が形成されていればよい。一例を言えば、例えば前記固定部12a,13aを長さ方向(図示Y1−Y2方向)にて横断するような形状等で接着層19が形成されていれば、前記固定部12a,13aの下面に前記半田18が入り込んでも前記半田18は前記接着層19により流れをせき止められ、前弾性変形部12b,13bにまで前記半田18が流れることはない。
【0036】
前記接着層19は前記シート部材14と前記マザー基板10との間にも設けられており、前記接着層19により前記シート部材14と前記マザー基板10間が強固に接着固定される。
【0037】
前記接着層19に使用される接着剤は、従来のように異方性導電ペーストでなく、既存の熱的に安定した接着剤を使用できる。前記固定部12a,13aと前記マザー基板10の電極部11間の導通状態は前記半田18による半田接合によって適切に確保され、一方、前記シート部材14及びスパイラル接触子12,13の固定部12a,13aとマザー基板10間は前記接着層19によって強固に接着固定されるので、上記したように、熱的に安定した接着剤を使用することで、高熱の使用環境下にあっても前記固定部12a,13aと電極部11間の導通状態の安定化と、前記シート部材14及びスパイラル接触子12,13と前記マザー基板10間の固定保持を適切に図ることが可能になる。
【0038】
また図1,図2に示す実施形態では、前記接着層19が前記固定部12a,13aの下面と前記マザー基板10の上面間にも介在しているため、前記半田18が前記固定部12a、13aの下面を伝って弾性変形部12b,13bまで流れることはなく、また前記固定部12a,13aの上面には、前記弾性変形部12b,13bと前記半田接合用貫通孔18,19との間にシート部材14が存在するため、前記半田18は前記固定部12a、13aの上面を伝って前記弾性変形部12b,13bまで流れることはない。従って前記半田18は前記弾性変形部12b,13bに付着することがなく、前記弾性変形部12a、13aの弾性力が前記半田18によって阻害されることがない。
【0039】
図3に示す実施形態では、マザー基板10の上面10aに凹部10b,10bが形成され、前記凹部10b,10b内に前記電極部11の一部が形成されている。前記スパイラル接触子12,13の固定部12a、13aを固定保持する前記シート部材14には図1,図2に示すように半田接合用貫通孔18,19は形成されておらず、前記マザー基板10に形成された凹部10b,10b内に半田20が供給され、前記固定部12a,13aの一部と前記電極部11とが前記半田20にて半田接合されている。
【0040】
図4に示す実施形態では、マザー基板10に上面10aから下面10cに貫く貫通孔10d,10dが形成され、前記貫通孔10d,10dから、前記シート部材14に固定保持された固定部12a,13aの一部と前記電極部11間に半田21が供給され、前記固定部12a,13aの一部と前記電極部11間が前記半田21により半田接合されている。
【0041】
図5に示す実施形態では、前記スパイラル接触子12,13の固定部12a,13aと前記マザー基板10上の電極部11との対向面間に前記接着層19が設けられていない。前記半田18が前記固定部12a、13aの下面を伝って前記弾性変形部12b,13bにまで流れるのを抑制すべく、前記シート部材14に形成された半田接合用貫通孔15,16は前記弾性変形部12b,13bの巻き始端12b1,13b1から距離的に離れた固定部12a,13aの外側側部12a2,13a2の一部と対向した位置に形成されており、この結果、前記半田接合用貫通孔15,16から供給された半田18が前記固定部12a、13aの下面を伝って前記弾性変形部12b,13bにまで流れるのに必要な距離は長くなり、前記半田18が前記弾性変形部12b,13bにまで流れるのを適切に抑制している。ただし好ましい構造としては図1,図2に示すように前記固定部12a,13aとマザー基板10の電極部11との対向面間に前記接着層19が介在し、前記接着層19が前記半田18の流れをせき止める構造である。
【0042】
図6に示す実施形態では前記スパイラル接触子12,13の固定部12a,13aが前記シート部材14により保持されていない。前記固定部12a,13aの一部の上面と前記マザー基板10の電極部11の上面とが半田18により半田接合され、前記固定部12aの下面と前記電極部11の上面間(対向面間)には接着層19が介在し、前記固定部12aと前記電極部11の対向面間が前記接着層19により接着固定されている。前記スパイラル接触子12,13の固定部12a,13aと前記マザー基板10との固定は主に前記接着層19によって行い、前記固定部12a,13aと前記電極部11間の導通接続は前記半田18による半田接合によって行なっている。前記接着層19は、前記半田18が、前記固定部12a,13aの下面を伝って弾性変形部12a,13aにまで流れるのを防止する役割も有しており、前記固定部12aと前記マザー基板10の対向面間に前記接着層19を設けることで、前記半田18が前記固定部12a,13aの下面を伝って前記弾性変形部12a,13aにまで流れるのを防止できる。一方、図6に示す実施形態では、前記固定部12a,13aの上面には前記半田18の流れをせき止める部材が設けられていないので、できる限り前記半田18を前記固定部12a,13aの外側側部12a2,13a2付近で供給し、半田18の供給位置と前記弾性変形部12b,13b間の距離を離すことで、前記半田18が前記弾性変形部12b,13bにまで到達するのを抑制することが出来る。なお前記固定部12a,13aの上面には、前記半田18の流れをせき止める部材が設けられていてもよい。例えば、前記せき止め部材は図示Y方向に向って前記固定部12a,13aを横断する形態等にて形成されている。
【0043】
図7,図8に示す実施形態では、前記スパイラル接触子30には固定部30aと弾性変形部30bと、前記固定部30aと前記弾性変形部30bとの間に連結部30cとが設けられている。図7,図8に示すように、前記連結部30cの下面と前記マザー基板10の上面間は接着層19によって接着接合されている。前記接着層19は前記マザー基板10とシート部材14間にも介在し、前記マザー基板10と前記シート部材14間が接着接合されている。図7に示すように前記シート部材14には、前記スパイラル接触子30の弾性変形部30bと対向する位置に貫通孔14aが形成され、前記弾性変形部30bは前記貫通孔14aから上方向(図示Z1方向)に向けてスパイラル状に立体成形されている。さらに前記シート部材14には、半田接合用貫通孔31が形成されており、前記半田接合用貫通孔31は前記スパイラル接触子30の固定部30a上に設けられている。前記半田接合用貫通孔31内には半田32が供給されているが、前記半田32を取り除いた状態では、前記半田接合用貫通孔31から前記固定部30aの全体が見え、さらに前記固定部30aの周囲にマザー基板10の電極部11の一部が露出した状態になっている。
【0044】
図7,図8の実施形態では、前記固定部30aと弾性変形部30bとの間に連結部30cが設けられ、前記連結部30cの形成により前記固定部30aが前記弾性変形部30bから離れた位置に設けられる。このため、前記固定部30aの上面全体を前記マザー基板10の電極部11との半田ランド部として使用しても、前記固定部30aから前記弾性変形部30bにまで半田32が伝わって流れにくく、従って図7,図8の実施形態では、前記固定部30a全体を前記電極部11との半田接合に使用できることで、前記固定部30aと電極部11間の導通状態をより安定したものに出来る。また、前記シート部材14と前記マザー基板10間には接着層19が介在しているので、前記シート部材14とマザー基板10間をより強固に接着固定することが出来る。また、前記連結部30cと前記マザー基板10間に接着層19が介在することにより、前記半田31が前記連結部30cの下面を伝って前記弾性変形部30bにまで流れるのを適切に防止できる。前記連結部30cの上面には前記シート部材14があるので、前記半田31が前記連結部30cの上面を伝って前記弾性変形部30bにまで流れるのを適切に防止できる。
【0045】
図9では、マザー基板40の上下にスパイラル接触子41,42が設けられている。図9に示すように前記マザー基板40には貫通孔40aが形成されており、前記貫通孔40aの周囲には、導電性材料で形成された電極部43がスパッタ法などで形成されており、前記電極部43は前記マザー基板40の上面40bおよび下面40cの一部にも延出して形成されている。シート部材44,46に保持されたスパイラル接触子41,42の固定部41a,42aと前記電極部43の対向面間には接着層45が介在している。前記シート部材44,46には半田接合用貫通孔47,48が形成されており、前記半田接合用貫通孔47,48に対向する前記固定部41a,42a表面が半田ランド部であり、前記半田接合用貫通孔47,48から供給される半田49,50により、前記固定部41a,42aの一部と前記電極部43とが半田接合される。
【0046】
図9に示す実施形態では、前記マザー基板40の上下に形成されたスパイラル接触子41,42の固定部41a,42aが前記電極部43を介して導通接続された状態になっている。図9に示すように前記固定部41a,42aの一部と前記電極部43とを半田接合することで導通状態の安定化を図るとともに、前記シート部材44,46とマザー基板40間、及び固定部41a,42aとマザー基板40間に介在する接着層45により前記シート部材44,46及びスパイラル接触子を強固に前記マザー基板40に接着固定できる。
【0047】
図10に示す実施形態では、前記マザー基板40に形成された貫通孔40a内が絶縁層52により埋められており、前記マザー基板40の下面40cに露出する電極部43と当接する大きさの接触子53が前記下面40cに形成されている。前記接触子53は、球状接触子(BGA)、平面接触子(LGA)、コーン状接触子(CGA)またはピン状接触子(PGA)などであってもかまわない。また前記接触子53は半田バンプであってもよい。前記マザー基板40の上面40bに形成されるスパイラル接触子41及びシート部材44の構成は図9と同じである。図10に示す実施形態では前記スパイラル接触子41と接触子53とが電極部43を介して導通接続されている。
【0048】
次に図1,図2に示す接点基板の製造方法について説明する。図11,図12に示すように、スパイラル接触子12,13を固定部12a,13aと前記固定部12a,13aからスパイラル状に延出形成された弾性変形部12b,13bとを有して形成し、前記スパイラル接触子12,13の固定部12a,13a上にシート部材14が接着層等を介して貼り付けられている。前記シート部材14には前記スパイラル接触子12,13の弾性変形部12b,13bと対向する位置に貫通孔14aを形成し、また前記弾性変形部12b,13bから離れた前記固定部12b,13bの外側側部12a2,13a2を一部含み、且つ前記外側側部12a2,13a2から外方にはみ出す大きさの半田接合用貫通孔15,16を形成する。
【0049】
図11,図12に示すように、前記マザー基板10上に接着シート60とスパイラル接触子12,13が保持されたシート部材14を重ね合わせる。図11に示す斜線は前記接着シート60が設けられる領域であり、前記接着シート60には、前記貫通孔14a及び前記半田接合用貫通孔15,16と対向する位置に穴部60a,60bが形成されている。前記穴部60a,60bの大きさはそれぞれ対向する前記貫通孔14a及び前記半田接合用貫通孔15,16よりもやや大きく形成されているほうが好ましい。前記シート部材14をマザー基板10方向向けて押圧したときに、接着シート60が前記貫通孔14a及び前記半田接合用貫通孔15,16からはみ出さないようにするためである。
【0050】
前記接着シート60には例えば既存の熱硬化性の接着剤を用い、前記シート部材14を下方向(図示Z2方向)へ所定の圧力で押圧しながら所定温度下で加熱し、前記接着シート60を硬化させる。
【0051】
次に図13,14に示す工程では半田18を記半田接合用貫通孔15,16内に供給する。供給方法としては例えばディスペンサーやスクリーン印刷等を挙げることが出来る。
【0052】
次に前記半田18をリフロー炉など加熱炉にて溶融して、前記スパイラル接触子12,13の前記固定部12,13と前記マザー基板10の電極部11とを半田接合する。このとき溶融した半田18の高さが前記シート部材14の上面よりも高くならないように前記半田18の供給量を予め調整しておく。半田18の高さが前記シート部材14の上面よりも高くなると前記半田18が前記シート部材14を越えて前記スパイラル接触子12,13の弾性変形部12b,13bにまで流れる可能性があるからである。
【0053】
図11,図12に示すように、前記固定部12a,13aとマザー基板10の対向面間には、外側側部12a2,13a2付近の一部を除いて前記接着シート60が介在しているため,前記半田接合用貫通孔15,16から供給された半田18は、前記固定部12a,13aの下面を伝って前記弾性変形部12b,13bにまで流れることはない。前記固定部12a,13aとマザー基板10の電極部11とを半田接合するとともに、前記シート部材14とマザー基板10間を接着固定することで、前記固定部12a,13aと電極部11間の導通接続を安定化できるとともに、前記シート部材14とマザー基板10を強固に固定保持できる。また前記固定部12a,13aの下面と前記マザー基板10の上面間も接着シートにて接着固定することで、前記固定部12a,13aと前記マザー基板10間を強固に固定出来るとともに、溶融した前記半田18が前記スパイラル接触子12,13の弾性変形部12b,13bにまで流れるのを防止でき、前記弾性変形部12b,13bに前記半田18が付着することのない接点基板を製造できる。
【0054】
上記実施形態では、特に半田がスパイラル接触子の弾性変形部に付着しなければ、前記半田は、固定部と電極部間のどの場所に設けられていてもよい。前記半田は、前記固定部の上面及び側面と、前記側面から外側に広がる電極部との間にのみ設けられる形態、前記固定部と前記電極部との対向面間のみに設けられる形態等、特に設けられる場所や形状等が限定されない。ただし前記半田の断面形状は図2に示すようなフィレット状であることが、前記固定部12a,13aと電極部11とを強固に半田接合できて好ましい。例えば前記固定部12a,13aと前記電極部11との対向面間に半田18を供給し、前記固定部12a,13aと前記電極部11とを半田18にて対面接合させた場合は、半田接合力は弱くなる。また、前記固定部12a,13aと前記電極部11との対向面間を半田接合すると、半田が前記弾性変形部12b,13bにまで流れやすくなり好ましくない。ただし、図2等のように、例えば、前記固定部12a,13aと前記電極部11との対向面間の前記弾性変形部12b,13bから離れた側に半田18が介在するだけで、溶融半田が前記弾性変形部12b,13bにまで到達していない形態であれば、前記固定部12a,13aと前記電極部11との対向面間に一部、半田18が介在する形態であってもよい。
【0055】
上記実施の形態では、マザー基板に接合される弾性接点の一構成として、スパイラル接触子を用いて説明したが、前記弾性接点はスパイラル接触子に限られるものではなく、例えば接点となる先端部が略U字形状に湾曲形成されるとともに全体が弾性的に変形することが可能なスプリングピン(コンタクトピン)、ストレスドメタル、あるいは竹の子バネなどからなる弾性接点で構成されたものでもよいが、薄型化を図ることができる弾性接点としては上記のようなスパイラル接触子やストレスドメタルが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】一つの実施形態としての接点基板の部分平面図、
【図2】図1に示すA−A線から切断し矢印方向から見た前記接点基板の部分断面図、
【図3】図2に示す接点基板と異なる形態の前記接点基板の部分断面図、
【図4】図2,図3に示す接点基板と異なる形態の前記接点基板の部分断面図、
【図5】図2〜図4に示す接点基板と異なる形態の前記接点基板の部分断面図、
【図6】図2〜図5に示す接点基板と異なる形態の前記接点基板の部分断面図、
【図7】図1に示す接点基板と異なる形態の前記接点基板の部分平面図、
【図8】図7に示すB−B線から切断し矢印方向から見た前記接点基板の部分断面図、
【図9】図2〜図6,図8に示す接点基板と異なる形態の前記接点基板の部分断面図、
【図10】図2〜図6,図8,図9に示す接点基板と異なる形態の前記接点基板の部分断面図、
【図11】図1に示す接点基板の製造方法を示す一工程図であり、接点基板の部分平面図、
【図12】図11のC−C線から切断し矢印方向から見た前記接点基板の部分断面図、
【図13】図11の次に行なわれる接点基板の製造方法を示す一工程図であり、接点基板の部分平面図、
【図14】図13のD−D線から切断し矢印方向から見た前記接点基板の部分断面図、
【図15】従来の接点基板の部分断面図、
【符号の説明】
【0057】
10 マザー基板
11 電極部
12、13、30、41、42 スパイラル接触子
12a、13a、30a 固定部
12b、13b、30b 弾性変形部
14 シート部材
15、16 半田接合用貫通孔
18 半田
19 接着層
30c 連結部
60 接着シート
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にマザー基板上に接合される弾性接点を確実に固定保持できるとともに前記弾性接点とマザー基板間の導通状態を安定化することが可能な接点基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超微細化する電子部品の電気的試験を良好に行なうために、弾性接点としてスパイラル接触子を有する接点基板が開発されている。また前記接点基板は電子部品と基板間などのコネクタ等としても使用できる。
【0003】
前記接点基板は、下記の特許文献1では、プリント基板の上に導電接着剤を介してスパイラル接触子を多数有するシート部材(レジストフィルム)が貼り付けられた構造である。
【0004】
例えば特許文献1の図8等には前記スパイラル接触子の平面形状が開示されている。前記スパイラル接触子は、弾性変形可能なスパイラル状の弾性変形部と、前記弾性変形部の外周を囲むリング形状の固定部とで構成されている。
前記固定部が前記プリント基板に前記導電性接着剤を介して接着固定される。
【特許文献1】特開2002−175859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図15は、従来の接点基板の部分断面図である。符号1はマザー基板で、符号2はスパイラル接触子で、符号3はシート部材である。前記スパイラル接触子2の固定部2aは前記マザー基板1上に設けられた電極部1aと異方性導電ペースト(ACP)4を介して接着接合されている。図15に示すように前記シート部材3と前記マザー基板1間も前記異方性導電ペースト4によって接着接合されている。前記シート部材3には貫通孔3aが形成され、前記貫通孔3aから前記スパイラル接触子2の弾性変形部2bが上方に向けて突出形成されている。
【0006】
図15に示すように、従来、前記固定部2aと前記マザー基板1の電極部1a間は異方性導電ペースト4により接着接合されていた。前記異方性導電ペースト4は、前記固定部2aとマザー基板1の電極1a間を導通接続させる役割と、前記固定部2aと電極部1a間を固定保持する役割の双方を担っていた。
【0007】
しかし、図15に示す接点基板は、高温環境下で使用される場合もあり、かかる場合、前記異方性導電ペースト4が劣化し、前記異方性導電ペースト4内に含まれている導電フィラーどうしが離れ、前記固定部2aとマザー基板1の電極1a間の導通状態が不安定化したり、前記マザー基板2とシート部材3間、及びマザー基板1と固定部2a間の接着力が弱まり、振動等によって前記マザー基板1から前記シート部材3が剥がれる等の問題が発生した。
【0008】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するためのものであり、特にマザー基板上に接合される弾性接点を確実に固定保持できるとともに、前記弾性接点とマザー基板間の導通状態を安定化出来る接点基板及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明における接点基板は、
表面に電極部を有するマザー基板と、前記弾性接点と、前記弾性接点を保持するシート部材とを有し、
前記弾性接点は、固定部と前記固定部から延出形成された弾性変形部とを有して構成され、前記固定部は前記シート部材に保持されており、
前記固定部と、前記電極部とが半田接合され、前記マザー基板と前記シート部材間が接着接合されていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明では前記固定部と電極部とを半田接合することで、高温環境下等によっても、前記固定部と電極部間の導通状態を安定したものにでき、また前記マザー基板とシート部材間を接着接合することで、前記シート部材及び弾性接点を確実に前記マザー基板に固定保持できる。
【0011】
本発明では、前記固定部の一部が、前記電極部に半田接合されていることが好ましい。このとき、前記固定部の前記弾性変形部と対向する側と反対側の側部と、前記電極部とが半田接合されていることがより好ましい。前記弾性変形部から出来るだけ離れた位置で前記固定部と前記電極部とを半田接合することで、半田が前記弾性変形部に付着するのを防止できる。
【0012】
また、前記固定部と前記マザー基板の対向面間の少なくとも一部は接着接合されていることが好ましい。また、前記固定部と前記マザー基板の対向面間に介在する接着層は、溶融した半田が、前記弾性変形部にまで到達しないように、前記半田の流れをせき止める形状にて形成されていることが好ましい。前記固定部のマザー基板との対向面に溶融した半田が伝って前記弾性変形部にまで到達しないように、前記固定部と前記マザー基板の対向面間に、溶融した半田の流れをせき止める接着層を形成することが好ましい。これにより、より確実に、半田が前記弾性変形部に付着するのを防止できる。
【0013】
また本発明では、前記弾性変形部と、前記固定部間には、連結部が設けられ、前記固定部が前記弾性変形部から距離的に離されている形態であってもよい。かかる場合、前記固定部の全体が前記電極部に半田接合されている形態であってもよい。また、前記連結部と前記マザー基板間が接着接合されていることがより好ましい。この形態では、前記弾性変形部と前記固定部間に連結部を設けることで、たとえ前記固定部の全体を電極部に半田接合しても、半田が前記弾性変形部まで流れるのを抑制できるともに、前記固定部と前記電極部間の導通状態を、より安定化させることが出来る。また、前記連結部と前記マザー基板間を接着接合することで、前記固定部から半田が前記弾性変形部にまで流れるのを適切に、せき止めることが出来る。
【0014】
また本発明では、前記シート部材には、半田接合用貫通孔が設けられ、前記半田接合用貫通孔から固定部と前記電極部とがそれぞれ露出しており、露出する前記固定部と電極部とが半田接合されていることが、簡単に前記固定部と前記電極部とを半田接合できて好ましい。
【0015】
また本発明における接点基板は、
表面に電極部を有するマザー基板と、弾性接点とを有し、
前記弾性接点は、固定部と前記固定部から延出形成された弾性変形部とを有して構成され、
前記固定部の一部は、前記電極部に半田接合されるとともに、前記固定部と前記マザー基板の対向面間の少なくとも一部は、接着接合されていることを特徴とするものである。
【0016】
かかる場合、前記固定部とマザー基板の対向面間に介在する接着層は、溶融した半田が、前記弾性変形部にまで到達しないように、前記半田の流れをせき止める形状にて形成されていることが好ましい。
【0017】
上記の形態では、前記固定部の一部が前記電極部に半田接合され、前記固定部と電極部の対向面間の少なくとも一部が接着接合されていることで、前記固定部と電極部間の導通状態を安定したものに出来るとともに、前記弾性接点を確実に前記マザー基板に固定保持できる。
【0018】
本発明は、固定部と前記固定部から延出形成された弾性変形部とを有して構成される弾性接点を保持するシート部材を表面に電極部を有するマザー基板上に接合してなる接点基板の製造方法において、
(a) 前記シート部材に半田接合用貫通孔を形成し、前記半田接合用貫通孔の一部から前記固定部の一部を露出させる工程と、
(b) 少なくとも、前記貫通孔と対向する位置を除いて前記マザー基板上に接着剤を塗布する工程と、
(c) 前記マザー基板上に前記シート部材を前記接着剤にて接着接合する工程と、
(d) 前記半田接合用貫通孔から露出する前記固定部と前記電極部とを半田接合する工程と、
を有することを特徴とするものである。
【0019】
上記の接点基板の製造方法によれば、簡単に前記固定部と前記マザー基板の電極部とを半田接合できるとともに、前記シート部材と前記マザー基板間を接着接合できる。よって高温環境下によっても、前記固定部と前記マザー基板の電極部間の導通状態が安定しているとともに、前記シート部材とマザー基板間が強固に固定保持されている接点基板を製造できる。
【0020】
本発明では、前記(a)工程にて、前記半田接合用貫通孔の一部から、前記固定部の前記弾性変形部と対向する側と反対側の側部を露出させ、前記(d)工程にて、前記固定部の前記側部と電極部とを半田接合することが好ましい。これにより溶融した半田が前記弾性変形部にまで流れるのを適切に抑制でき、前記弾性変形部に半田が付着することが無い接点基板を製造することが出来る。
【発明の効果】
【0021】
本発明では弾性接点の固定部とマザー基板の電極部とを半田接合し、前記弾性接点を保持するシート部材と前記マザー基板間を接着接合することで、高温環境下等によっても、前記固定部と電極部間の導通状態を安定したものにでき、また前記シート部材及び弾性接点を確実に前記マザー基板に固定保持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は、一つの実施形態としての接点基板の部分平面図、図2は図1に示すA−A線から切断し矢印方向から見た前記接点基板の部分断面図、図3は図2に示す接点基板と異なる形態の前記接点基板の部分断面図、図4は図2,図3に示す接点基板と異なる形態の前記接点基板の部分断面図、図5は図2〜図4に示す接点基板と異なる形態の前記接点基板の部分断面図、図6は図2〜図5に示す接点基板と異なる形態の前記接点基板の部分断面図、図7は、図1に示す接点基板と異なる形態の前記接点基板の部分平面図、図8は図7に示すB−B線から切断し矢印方向から見た前記接点基板の部分断面図、図9は、図2〜図6,図8に示す接点基板と異なる形態の前記接点基板の部分断面図、図10は、図2〜図6,図8,図9に示す接点基板と異なる形態の前記接点基板の部分断面図、図11〜図14は、図1に示す接点基板の製造方法を示す一工程図(図11,図13は接点基板の部分平面図)、図12は図11のC−C線から切断し矢印方向から見た前記接点基板の部分断面図、図14は、図13のD−D線から切断し矢印方向から見た前記接点基板の部分断面図、である。
【0023】
各図においてX1−X2方向は幅方向、Y1−Y2方向は長さ方向、Z1−Z2方向は高さ方向を指し、各方向は残り二つの方向に対し直交した関係を持つ。
【0024】
符号10はマザー基板であり、前記マザー基板10は多数の多数のプリント配線板(PWB)が重なって構成される。図1,図2に示すように前記マザー基板10の上面10aには電極部11がスクリーン印刷等によりパターン形成されている。
【0025】
前記マザー基板10上には、複数のスパイラル接触子12,13が設けられている。前記スパイラル接触子12,13は固定部12a,13aと、前記固定部12a,13aから延出形成された弾性変形部12b,13bとで構成されている。図1に示すように前記弾性変形部12b,13bは巻き始端12b1,13b1から巻き終端12b2,13b2にかけてスパイラル状に形成されている。前記巻き始端12b1には前記固定部12a,13aが接続されており、前記固定部12a,13aの前記弾性変形部12b,13bに向く側の側部(内側側部)12a1,13a1は前記弾性変形部12b,13bの外観に沿う湾曲した形状で形成されている。前記固定部12a,13aの長さ寸法(図示Y1−Y2方向への寸法)は前記弾性変形部12b,13bの長さ寸法とほぼ同程度に長く形成され、また幅方向(図示X1−X2方向)にもある程度、長い寸法にて形成されている。前記固定部12a,13aの形状は図1に示す形状に限らない。
【0026】
前記スパイラル接触子12,13の固定部12a,13aは前記マザー基板10上の電極部11と高さ方向(図示Z1−Z2方向)にて対向し、前記固定部12a,13aが前記電極部11上に接合されている。一方、前記弾性変形部12b,13bは、上方向(図示Z1方向)に向けてスパイラル状に立体成形されており(図2を参照)、上下方向(図示Z1−Z2方向)に弾性変形できるようになっている。
【0027】
前記スパイラル接触子12,13は、電鋳形成、あるいは箔体表面にメッキ層が形成された構造であり、一例を言えば、スパイラル接触子12,13の形状に形成された銅箔の周囲に無電解メッキ法にてNi層あるいはNiP層等のメッキ層が形成された構造となっている。
【0028】
符号14はシート部材である。前記シート部材14は例えばポリイミド樹脂等の樹脂シートで形成されている。前記シート部材14は複数の前記スパイラル接触子12,13を前記マザー基板10上に接合する前に、個々のスパイラル接触子がばらばらにならないように保持しておくためのものである。また前記シート部材14には前記スパイラル接触子12,13やマザー基板10の余計な箇所が電子部品等と当接することが無いように、前記マザー基板10上を保護する絶縁シートとしての役割もある。
【0029】
図1,図2に示すように前記シート部材14には前記スパイラル接触子12,13の弾性変形部12b,13bと対向する部位に貫通孔14aが形成されている。前記弾性変形部12b,13bは前記貫通孔14aから露出しており、前記貫通孔14aを通って図示上方向に突出している(図2を参照)。
【0030】
前記固定部12a,13aの上面は前記シート部材14の下面に接着剤等により固定保持されている。
【0031】
図1,図2に示すように、前記シート部材14には半田接合用の貫通孔(以下、半田接合用貫通孔と言う)15,16が設けられており、前記半田接合用貫通孔15,16は、高さ方向(図示Z1−Z2方向)にて、前記固定部12a,13aの一部と対向する位置に設けられている。図1,図2に示すように前記半田接合用貫通孔15,16は、前記固定部12a、13aの前記弾性変形部12b,13bから離れた外側側部12a2,13a2の一部にかかるように形成されており、また前記外側側部12a2,13a2の外側に広がるマザー基板10の電極部11上にも一部かかるように形成されている。図1,図2では前記半田接合用貫通孔15,16内に半田18が塗布されているが、前記半田18を取り除くと、前記半田接合用貫通孔15,16からは、前記固定部12a,13aの一部と前記電極部11の一部がそれぞれ露出した状態になっている。前記半田接合用貫通孔15,16は図1に示すように例えば略円形状で形成されるが、前記半田接合用貫通孔15,16の形態はどのような形態であってもよい。
【0032】
前記半田接合用貫通孔15,16と高さ方向(図示Z1−Z2方向)にて対向する位置の前記固定部12a,13aの上面は半田ランド部Eとなり、前記半田接合用貫通孔15,16内に供給された半田18により、前記固定部12a,13aの半田ランド部Eとマザー基板10の電極部11とが半田接合させられる。
【0033】
前記半田ランド部Eは、前記弾性変形部12b,13bから離れた位置にあり、しかも前記半田ランド部Eと前記弾性変形部12b,13bとの間にはシート部材14があるため、前記半田ランド部E上に供給された半田18は、前記固定部12a,13aの上面を伝って前記弾性変形部12b,13bにまで流れることはない。
【0034】
一方、前記固定部12a,13aと前記マザー基板10との対向面間には、図2に示すように接着層19が介在している。前記接着層19は前記スパイラル接触子12,13を前記マザー基板10に強固に接着接合する役割と、前記半田18が前記固定部12a,13aの下面を伝って前記弾性変形部12b,13bにまで流れるのを阻止する役割を有している。
【0035】
前記接着層19は前記固定部12a,13aの下面と、前記固定部12a,13aと対向する前記マザー基板10の上面間に全体にわたって設けられていてもよいが、前記固定部12a,13aの下面には、前記半田接合用貫通孔18,19から供給された半田18が前記固定部12a,13aの下面を伝って前記弾性変形部12b,13bにまで流れるのをせき止めるような形状及び場所に前記接着層19が形成されていればよい。一例を言えば、例えば前記固定部12a,13aを長さ方向(図示Y1−Y2方向)にて横断するような形状等で接着層19が形成されていれば、前記固定部12a,13aの下面に前記半田18が入り込んでも前記半田18は前記接着層19により流れをせき止められ、前弾性変形部12b,13bにまで前記半田18が流れることはない。
【0036】
前記接着層19は前記シート部材14と前記マザー基板10との間にも設けられており、前記接着層19により前記シート部材14と前記マザー基板10間が強固に接着固定される。
【0037】
前記接着層19に使用される接着剤は、従来のように異方性導電ペーストでなく、既存の熱的に安定した接着剤を使用できる。前記固定部12a,13aと前記マザー基板10の電極部11間の導通状態は前記半田18による半田接合によって適切に確保され、一方、前記シート部材14及びスパイラル接触子12,13の固定部12a,13aとマザー基板10間は前記接着層19によって強固に接着固定されるので、上記したように、熱的に安定した接着剤を使用することで、高熱の使用環境下にあっても前記固定部12a,13aと電極部11間の導通状態の安定化と、前記シート部材14及びスパイラル接触子12,13と前記マザー基板10間の固定保持を適切に図ることが可能になる。
【0038】
また図1,図2に示す実施形態では、前記接着層19が前記固定部12a,13aの下面と前記マザー基板10の上面間にも介在しているため、前記半田18が前記固定部12a、13aの下面を伝って弾性変形部12b,13bまで流れることはなく、また前記固定部12a,13aの上面には、前記弾性変形部12b,13bと前記半田接合用貫通孔18,19との間にシート部材14が存在するため、前記半田18は前記固定部12a、13aの上面を伝って前記弾性変形部12b,13bまで流れることはない。従って前記半田18は前記弾性変形部12b,13bに付着することがなく、前記弾性変形部12a、13aの弾性力が前記半田18によって阻害されることがない。
【0039】
図3に示す実施形態では、マザー基板10の上面10aに凹部10b,10bが形成され、前記凹部10b,10b内に前記電極部11の一部が形成されている。前記スパイラル接触子12,13の固定部12a、13aを固定保持する前記シート部材14には図1,図2に示すように半田接合用貫通孔18,19は形成されておらず、前記マザー基板10に形成された凹部10b,10b内に半田20が供給され、前記固定部12a,13aの一部と前記電極部11とが前記半田20にて半田接合されている。
【0040】
図4に示す実施形態では、マザー基板10に上面10aから下面10cに貫く貫通孔10d,10dが形成され、前記貫通孔10d,10dから、前記シート部材14に固定保持された固定部12a,13aの一部と前記電極部11間に半田21が供給され、前記固定部12a,13aの一部と前記電極部11間が前記半田21により半田接合されている。
【0041】
図5に示す実施形態では、前記スパイラル接触子12,13の固定部12a,13aと前記マザー基板10上の電極部11との対向面間に前記接着層19が設けられていない。前記半田18が前記固定部12a、13aの下面を伝って前記弾性変形部12b,13bにまで流れるのを抑制すべく、前記シート部材14に形成された半田接合用貫通孔15,16は前記弾性変形部12b,13bの巻き始端12b1,13b1から距離的に離れた固定部12a,13aの外側側部12a2,13a2の一部と対向した位置に形成されており、この結果、前記半田接合用貫通孔15,16から供給された半田18が前記固定部12a、13aの下面を伝って前記弾性変形部12b,13bにまで流れるのに必要な距離は長くなり、前記半田18が前記弾性変形部12b,13bにまで流れるのを適切に抑制している。ただし好ましい構造としては図1,図2に示すように前記固定部12a,13aとマザー基板10の電極部11との対向面間に前記接着層19が介在し、前記接着層19が前記半田18の流れをせき止める構造である。
【0042】
図6に示す実施形態では前記スパイラル接触子12,13の固定部12a,13aが前記シート部材14により保持されていない。前記固定部12a,13aの一部の上面と前記マザー基板10の電極部11の上面とが半田18により半田接合され、前記固定部12aの下面と前記電極部11の上面間(対向面間)には接着層19が介在し、前記固定部12aと前記電極部11の対向面間が前記接着層19により接着固定されている。前記スパイラル接触子12,13の固定部12a,13aと前記マザー基板10との固定は主に前記接着層19によって行い、前記固定部12a,13aと前記電極部11間の導通接続は前記半田18による半田接合によって行なっている。前記接着層19は、前記半田18が、前記固定部12a,13aの下面を伝って弾性変形部12a,13aにまで流れるのを防止する役割も有しており、前記固定部12aと前記マザー基板10の対向面間に前記接着層19を設けることで、前記半田18が前記固定部12a,13aの下面を伝って前記弾性変形部12a,13aにまで流れるのを防止できる。一方、図6に示す実施形態では、前記固定部12a,13aの上面には前記半田18の流れをせき止める部材が設けられていないので、できる限り前記半田18を前記固定部12a,13aの外側側部12a2,13a2付近で供給し、半田18の供給位置と前記弾性変形部12b,13b間の距離を離すことで、前記半田18が前記弾性変形部12b,13bにまで到達するのを抑制することが出来る。なお前記固定部12a,13aの上面には、前記半田18の流れをせき止める部材が設けられていてもよい。例えば、前記せき止め部材は図示Y方向に向って前記固定部12a,13aを横断する形態等にて形成されている。
【0043】
図7,図8に示す実施形態では、前記スパイラル接触子30には固定部30aと弾性変形部30bと、前記固定部30aと前記弾性変形部30bとの間に連結部30cとが設けられている。図7,図8に示すように、前記連結部30cの下面と前記マザー基板10の上面間は接着層19によって接着接合されている。前記接着層19は前記マザー基板10とシート部材14間にも介在し、前記マザー基板10と前記シート部材14間が接着接合されている。図7に示すように前記シート部材14には、前記スパイラル接触子30の弾性変形部30bと対向する位置に貫通孔14aが形成され、前記弾性変形部30bは前記貫通孔14aから上方向(図示Z1方向)に向けてスパイラル状に立体成形されている。さらに前記シート部材14には、半田接合用貫通孔31が形成されており、前記半田接合用貫通孔31は前記スパイラル接触子30の固定部30a上に設けられている。前記半田接合用貫通孔31内には半田32が供給されているが、前記半田32を取り除いた状態では、前記半田接合用貫通孔31から前記固定部30aの全体が見え、さらに前記固定部30aの周囲にマザー基板10の電極部11の一部が露出した状態になっている。
【0044】
図7,図8の実施形態では、前記固定部30aと弾性変形部30bとの間に連結部30cが設けられ、前記連結部30cの形成により前記固定部30aが前記弾性変形部30bから離れた位置に設けられる。このため、前記固定部30aの上面全体を前記マザー基板10の電極部11との半田ランド部として使用しても、前記固定部30aから前記弾性変形部30bにまで半田32が伝わって流れにくく、従って図7,図8の実施形態では、前記固定部30a全体を前記電極部11との半田接合に使用できることで、前記固定部30aと電極部11間の導通状態をより安定したものに出来る。また、前記シート部材14と前記マザー基板10間には接着層19が介在しているので、前記シート部材14とマザー基板10間をより強固に接着固定することが出来る。また、前記連結部30cと前記マザー基板10間に接着層19が介在することにより、前記半田31が前記連結部30cの下面を伝って前記弾性変形部30bにまで流れるのを適切に防止できる。前記連結部30cの上面には前記シート部材14があるので、前記半田31が前記連結部30cの上面を伝って前記弾性変形部30bにまで流れるのを適切に防止できる。
【0045】
図9では、マザー基板40の上下にスパイラル接触子41,42が設けられている。図9に示すように前記マザー基板40には貫通孔40aが形成されており、前記貫通孔40aの周囲には、導電性材料で形成された電極部43がスパッタ法などで形成されており、前記電極部43は前記マザー基板40の上面40bおよび下面40cの一部にも延出して形成されている。シート部材44,46に保持されたスパイラル接触子41,42の固定部41a,42aと前記電極部43の対向面間には接着層45が介在している。前記シート部材44,46には半田接合用貫通孔47,48が形成されており、前記半田接合用貫通孔47,48に対向する前記固定部41a,42a表面が半田ランド部であり、前記半田接合用貫通孔47,48から供給される半田49,50により、前記固定部41a,42aの一部と前記電極部43とが半田接合される。
【0046】
図9に示す実施形態では、前記マザー基板40の上下に形成されたスパイラル接触子41,42の固定部41a,42aが前記電極部43を介して導通接続された状態になっている。図9に示すように前記固定部41a,42aの一部と前記電極部43とを半田接合することで導通状態の安定化を図るとともに、前記シート部材44,46とマザー基板40間、及び固定部41a,42aとマザー基板40間に介在する接着層45により前記シート部材44,46及びスパイラル接触子を強固に前記マザー基板40に接着固定できる。
【0047】
図10に示す実施形態では、前記マザー基板40に形成された貫通孔40a内が絶縁層52により埋められており、前記マザー基板40の下面40cに露出する電極部43と当接する大きさの接触子53が前記下面40cに形成されている。前記接触子53は、球状接触子(BGA)、平面接触子(LGA)、コーン状接触子(CGA)またはピン状接触子(PGA)などであってもかまわない。また前記接触子53は半田バンプであってもよい。前記マザー基板40の上面40bに形成されるスパイラル接触子41及びシート部材44の構成は図9と同じである。図10に示す実施形態では前記スパイラル接触子41と接触子53とが電極部43を介して導通接続されている。
【0048】
次に図1,図2に示す接点基板の製造方法について説明する。図11,図12に示すように、スパイラル接触子12,13を固定部12a,13aと前記固定部12a,13aからスパイラル状に延出形成された弾性変形部12b,13bとを有して形成し、前記スパイラル接触子12,13の固定部12a,13a上にシート部材14が接着層等を介して貼り付けられている。前記シート部材14には前記スパイラル接触子12,13の弾性変形部12b,13bと対向する位置に貫通孔14aを形成し、また前記弾性変形部12b,13bから離れた前記固定部12b,13bの外側側部12a2,13a2を一部含み、且つ前記外側側部12a2,13a2から外方にはみ出す大きさの半田接合用貫通孔15,16を形成する。
【0049】
図11,図12に示すように、前記マザー基板10上に接着シート60とスパイラル接触子12,13が保持されたシート部材14を重ね合わせる。図11に示す斜線は前記接着シート60が設けられる領域であり、前記接着シート60には、前記貫通孔14a及び前記半田接合用貫通孔15,16と対向する位置に穴部60a,60bが形成されている。前記穴部60a,60bの大きさはそれぞれ対向する前記貫通孔14a及び前記半田接合用貫通孔15,16よりもやや大きく形成されているほうが好ましい。前記シート部材14をマザー基板10方向向けて押圧したときに、接着シート60が前記貫通孔14a及び前記半田接合用貫通孔15,16からはみ出さないようにするためである。
【0050】
前記接着シート60には例えば既存の熱硬化性の接着剤を用い、前記シート部材14を下方向(図示Z2方向)へ所定の圧力で押圧しながら所定温度下で加熱し、前記接着シート60を硬化させる。
【0051】
次に図13,14に示す工程では半田18を記半田接合用貫通孔15,16内に供給する。供給方法としては例えばディスペンサーやスクリーン印刷等を挙げることが出来る。
【0052】
次に前記半田18をリフロー炉など加熱炉にて溶融して、前記スパイラル接触子12,13の前記固定部12,13と前記マザー基板10の電極部11とを半田接合する。このとき溶融した半田18の高さが前記シート部材14の上面よりも高くならないように前記半田18の供給量を予め調整しておく。半田18の高さが前記シート部材14の上面よりも高くなると前記半田18が前記シート部材14を越えて前記スパイラル接触子12,13の弾性変形部12b,13bにまで流れる可能性があるからである。
【0053】
図11,図12に示すように、前記固定部12a,13aとマザー基板10の対向面間には、外側側部12a2,13a2付近の一部を除いて前記接着シート60が介在しているため,前記半田接合用貫通孔15,16から供給された半田18は、前記固定部12a,13aの下面を伝って前記弾性変形部12b,13bにまで流れることはない。前記固定部12a,13aとマザー基板10の電極部11とを半田接合するとともに、前記シート部材14とマザー基板10間を接着固定することで、前記固定部12a,13aと電極部11間の導通接続を安定化できるとともに、前記シート部材14とマザー基板10を強固に固定保持できる。また前記固定部12a,13aの下面と前記マザー基板10の上面間も接着シートにて接着固定することで、前記固定部12a,13aと前記マザー基板10間を強固に固定出来るとともに、溶融した前記半田18が前記スパイラル接触子12,13の弾性変形部12b,13bにまで流れるのを防止でき、前記弾性変形部12b,13bに前記半田18が付着することのない接点基板を製造できる。
【0054】
上記実施形態では、特に半田がスパイラル接触子の弾性変形部に付着しなければ、前記半田は、固定部と電極部間のどの場所に設けられていてもよい。前記半田は、前記固定部の上面及び側面と、前記側面から外側に広がる電極部との間にのみ設けられる形態、前記固定部と前記電極部との対向面間のみに設けられる形態等、特に設けられる場所や形状等が限定されない。ただし前記半田の断面形状は図2に示すようなフィレット状であることが、前記固定部12a,13aと電極部11とを強固に半田接合できて好ましい。例えば前記固定部12a,13aと前記電極部11との対向面間に半田18を供給し、前記固定部12a,13aと前記電極部11とを半田18にて対面接合させた場合は、半田接合力は弱くなる。また、前記固定部12a,13aと前記電極部11との対向面間を半田接合すると、半田が前記弾性変形部12b,13bにまで流れやすくなり好ましくない。ただし、図2等のように、例えば、前記固定部12a,13aと前記電極部11との対向面間の前記弾性変形部12b,13bから離れた側に半田18が介在するだけで、溶融半田が前記弾性変形部12b,13bにまで到達していない形態であれば、前記固定部12a,13aと前記電極部11との対向面間に一部、半田18が介在する形態であってもよい。
【0055】
上記実施の形態では、マザー基板に接合される弾性接点の一構成として、スパイラル接触子を用いて説明したが、前記弾性接点はスパイラル接触子に限られるものではなく、例えば接点となる先端部が略U字形状に湾曲形成されるとともに全体が弾性的に変形することが可能なスプリングピン(コンタクトピン)、ストレスドメタル、あるいは竹の子バネなどからなる弾性接点で構成されたものでもよいが、薄型化を図ることができる弾性接点としては上記のようなスパイラル接触子やストレスドメタルが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】一つの実施形態としての接点基板の部分平面図、
【図2】図1に示すA−A線から切断し矢印方向から見た前記接点基板の部分断面図、
【図3】図2に示す接点基板と異なる形態の前記接点基板の部分断面図、
【図4】図2,図3に示す接点基板と異なる形態の前記接点基板の部分断面図、
【図5】図2〜図4に示す接点基板と異なる形態の前記接点基板の部分断面図、
【図6】図2〜図5に示す接点基板と異なる形態の前記接点基板の部分断面図、
【図7】図1に示す接点基板と異なる形態の前記接点基板の部分平面図、
【図8】図7に示すB−B線から切断し矢印方向から見た前記接点基板の部分断面図、
【図9】図2〜図6,図8に示す接点基板と異なる形態の前記接点基板の部分断面図、
【図10】図2〜図6,図8,図9に示す接点基板と異なる形態の前記接点基板の部分断面図、
【図11】図1に示す接点基板の製造方法を示す一工程図であり、接点基板の部分平面図、
【図12】図11のC−C線から切断し矢印方向から見た前記接点基板の部分断面図、
【図13】図11の次に行なわれる接点基板の製造方法を示す一工程図であり、接点基板の部分平面図、
【図14】図13のD−D線から切断し矢印方向から見た前記接点基板の部分断面図、
【図15】従来の接点基板の部分断面図、
【符号の説明】
【0057】
10 マザー基板
11 電極部
12、13、30、41、42 スパイラル接触子
12a、13a、30a 固定部
12b、13b、30b 弾性変形部
14 シート部材
15、16 半田接合用貫通孔
18 半田
19 接着層
30c 連結部
60 接着シート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に電極部を有するマザー基板と、前記弾性接点と、前記弾性接点を保持するシート部材とを有し、
前記弾性接点は、固定部と前記固定部から延出形成された弾性変形部とを有して構成され、前記固定部は前記シート部材に保持されており、
前記固定部と、前記電極部とが半田接合され、前記マザー基板と前記シート部材間が接着接合されていることを特徴とする接点基板。
【請求項2】
前記固定部の一部が、前記電極部に半田接合されている請求項1記載の接点基板。
【請求項3】
前記固定部の前記弾性変形部と対向する側と反対側の側部と、前記電極部とが半田接合されている請求項2記載の接点基板。
【請求項4】
前記固定部と前記マザー基板との対向面間の少なくとも一部は接着接合されている請求項1ないし3のいずれかに記載の接点基板。
【請求項5】
前記固定部と前記マザー基板との対向面間に介在する接着層は、溶融した半田が、前記弾性変形部にまで到達しないように、前記半田の流れをせき止める形状にて形成されている請求項4記載の接点基板。
【請求項6】
前記弾性変形部と前記固定部間には連結部が設けられ、前記固定部が前記弾性変形部から距離的に離されている請求項1記載の接点基板。
【請求項7】
前記固定部の全体が前記電極部に半田接合されている請求項6記載の接点基板。
【請求項8】
前記連結部と前記マザー基板間が接着接合されている請求項6または7に記載の接点基板。
【請求項9】
前記シート部材には、半田接合用貫通孔が設けられ、前記半田接合用貫通孔から固定部と前記電極部とがそれぞれ露出しており、露出する前記固定部と電極部とが半田接合されている請求項1ないし8のいずれかに記載の接点基板。
【請求項10】
表面に電極部を有するマザー基板と、弾性接点とを有し、
前記弾性接点は、固定部と前記固定部から延出形成された弾性変形部とを有して構成され、
前記固定部の一部は、前記電極部に半田接合されるとともに、前記固定部と前記マザー基板の対向面間の少なくとも一部は、接着接合されていることを特徴とする接点基板。
【請求項11】
前記固定部とマザー基板の対向面間に介在する接着層は、溶融した半田が、前記弾性変形部にまで到達しないように、前記半田の流れをせき止める形状にて形成されている請求項10記載の接点基板。
【請求項12】
固定部と前記固定部から延出形成された弾性変形部とを有して構成される弾性接点を保持するシート部材を表面に電極部を有するマザー基板上に接合して成る接点基板の製造方法において、
(a) 前記シート部材に半田接合用貫通孔を形成し、前記半田接合用貫通孔の一部から前記固定部の一部を露出させる工程と、
(b) 少なくとも、前記貫通孔と対向する位置を除いて前記マザー基板上に接着剤を塗布する工程と、
(c) 前記マザー基板上に前記シート部材を前記接着剤にて接着接合する工程と、
(d) 前記半田接合用貫通孔から露出する前記固定部と前記電極部とを半田接合する工程と、
を有することを特徴とする接点基板の製造方法。
【請求項13】
前記(a)工程にて、前記半田接合用貫通孔の一部から、前記固定部の前記弾性変形部と対向する側と反対側の側部を露出させ、前記(d)工程にて、前記固定部の前記側部と電極部とを半田接合する請求項12記載の接点基板の製造方法。
【請求項1】
表面に電極部を有するマザー基板と、前記弾性接点と、前記弾性接点を保持するシート部材とを有し、
前記弾性接点は、固定部と前記固定部から延出形成された弾性変形部とを有して構成され、前記固定部は前記シート部材に保持されており、
前記固定部と、前記電極部とが半田接合され、前記マザー基板と前記シート部材間が接着接合されていることを特徴とする接点基板。
【請求項2】
前記固定部の一部が、前記電極部に半田接合されている請求項1記載の接点基板。
【請求項3】
前記固定部の前記弾性変形部と対向する側と反対側の側部と、前記電極部とが半田接合されている請求項2記載の接点基板。
【請求項4】
前記固定部と前記マザー基板との対向面間の少なくとも一部は接着接合されている請求項1ないし3のいずれかに記載の接点基板。
【請求項5】
前記固定部と前記マザー基板との対向面間に介在する接着層は、溶融した半田が、前記弾性変形部にまで到達しないように、前記半田の流れをせき止める形状にて形成されている請求項4記載の接点基板。
【請求項6】
前記弾性変形部と前記固定部間には連結部が設けられ、前記固定部が前記弾性変形部から距離的に離されている請求項1記載の接点基板。
【請求項7】
前記固定部の全体が前記電極部に半田接合されている請求項6記載の接点基板。
【請求項8】
前記連結部と前記マザー基板間が接着接合されている請求項6または7に記載の接点基板。
【請求項9】
前記シート部材には、半田接合用貫通孔が設けられ、前記半田接合用貫通孔から固定部と前記電極部とがそれぞれ露出しており、露出する前記固定部と電極部とが半田接合されている請求項1ないし8のいずれかに記載の接点基板。
【請求項10】
表面に電極部を有するマザー基板と、弾性接点とを有し、
前記弾性接点は、固定部と前記固定部から延出形成された弾性変形部とを有して構成され、
前記固定部の一部は、前記電極部に半田接合されるとともに、前記固定部と前記マザー基板の対向面間の少なくとも一部は、接着接合されていることを特徴とする接点基板。
【請求項11】
前記固定部とマザー基板の対向面間に介在する接着層は、溶融した半田が、前記弾性変形部にまで到達しないように、前記半田の流れをせき止める形状にて形成されている請求項10記載の接点基板。
【請求項12】
固定部と前記固定部から延出形成された弾性変形部とを有して構成される弾性接点を保持するシート部材を表面に電極部を有するマザー基板上に接合して成る接点基板の製造方法において、
(a) 前記シート部材に半田接合用貫通孔を形成し、前記半田接合用貫通孔の一部から前記固定部の一部を露出させる工程と、
(b) 少なくとも、前記貫通孔と対向する位置を除いて前記マザー基板上に接着剤を塗布する工程と、
(c) 前記マザー基板上に前記シート部材を前記接着剤にて接着接合する工程と、
(d) 前記半田接合用貫通孔から露出する前記固定部と前記電極部とを半田接合する工程と、
を有することを特徴とする接点基板の製造方法。
【請求項13】
前記(a)工程にて、前記半田接合用貫通孔の一部から、前記固定部の前記弾性変形部と対向する側と反対側の側部を露出させ、前記(d)工程にて、前記固定部の前記側部と電極部とを半田接合する請求項12記載の接点基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
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【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−277971(P2006−277971A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−90708(P2005−90708)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
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