説明

接着テープ及びケーブル−バンデージテープとしての接着テープの用途

【課題】
従来技術の欠点を解決した特にケーブルのバンデージング用テープとしての接着テープの提供。
【解決手段】
この課題は、繊維製支持体及びそれの少なくとも片面を被覆した、少なくとも1種類のビニル芳香族ブロックコポリマーと少なくとも1種類の部分水素化粘着性樹脂とよりなる接着剤よりなるケーブル包装用接着テープによって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は接着テープ及び自動車分野のケーブルのバンデージングのためのその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
電気及び電子部材並びに電気的導線の被覆材料はしばしばポリマー材料で構成されており、歴史的に見てその入手性及び優れた物理的性質及び絶縁性のためにポリ塩化ビニル(PVC)が重要な合成樹脂である。特に、耐高温性が要求されるような条件がない限り、銅線の被覆は主としてPVC又はポリオレフィンよりなる。この種のケーブルの機械的及び電気的保護のために、過去においては、電導線及び構造部材を保護し、絶縁しそしてバンデージするために一般に頻繁に使用される粘着テープが開発されている。粘着テープは、接着テープとケーブル被覆との間の相互作用によってケーブルに損傷を生じることなしに長期間の結束物を作製することを許容する。
【0003】
家庭用電気器具、機械及び特に自動車の電導線又はケーブルルーム(cable loom)を長手方向に沿って被覆するような特別な用途のために、更に、繊維製支持体、例えばポリエステル不織布又はビスコースステープル織物を有する粘着テープが普及している。
【0004】
PVCの環境適合性についての議論において、この材料を代替物に交換する動向がある。電気部品及び補助部品並びに銅製ケーブルの被覆材も他の合成樹脂でますます製造されており、更に厳しい用途のためにはフッ素系ポリマー及び熱可塑性エラストマー、例えばAmitel(R)[製造元:DSM Engeneering Plastics社] 又は Hytrel(R)[製造元:DuPont社]の他にポリエステル合成樹脂が主として使用されている。
【0005】
温度に対しての要求が余り厳しくない価格に敏感な大量市場分野のためにはポリオレフィン材料の使用が増加している。これは、特にメタロセン技術によって、軟質PVCの性質に類似する機械的性質像が調整することが可能であることによる。この場合、ポリオレフィンは追加的にその化学的組成のために純粋炭化水素として顕著な絶縁効果を発揮する。
【0006】
自動車におけるケーブルハーネスのためにもこのようなPVC不含の導線が使用される傾向があり、プラグコネクタ、スイッチ、溝付きチューブ等もPVC不含材料で既に主として製造されている。
【0007】
粘着テープが巻き付けられている電導線または電気部品は、例えば自動車のそれのように全製品の寿命の期間いっぱいその機能を確保しなければならない。適していない接着テープを選択した場合には、その製品の寿命の間にケーブルの損傷で極めて脆弱になるまでにしてしまう不適合性をもたらし得る。全電気・電子システムを停止してしまう危険を伴う腐食及び漏電が結果と生じ得る。特に、自家用車又は貨物自動車のような自動車の場合には、適合性について極めて厳しい要求が課される。すなわち、客室においては80℃までのピーク温度が生じ得るし、機関室では更に高い稼動温度が生じ得る。
【0008】
それ故にケーブルを巻くテープの使用分野のためには、3000時間以上の長期間の試験、特に自動車試験ガイドラインLV312に記載されているような試験が標準試験として実施される。この試験は適合性について特に詳細にチェックする。
【0009】
サンプルのケーブルハーネスは試験温度で保存されそして規定の時間の後、一般に500時間の後に規定の直径のマンドレルの回りで曲げられて損傷がチェックされる。この試験は3000時間の全期間に亙って行われる。純粋な視覚的検査の他に、部分的に追加的な電気絶縁試験も行われる。試験温度はケーブルハーネスが使用される領域によっており、各室又は機関室のケーブルルーム(loom)の使用領域に依存して90℃〜150℃である。LV312−試験は、温度領域T2のための接着テープについては105℃で3000時間の適合性を保証しなければならないことを規定している。ヨーロッパにおいてはこの温度領域でPVC−被覆を有するケーブルが使用されているので、このようなケーブルを用いて試験も実施しなければならない。最も高度の温度分類のT3では試験のために、放射線架橋したポリエチレン及びポリプロピレンよりなる絶縁物を有したケーブルが使用される。試験は125℃で実施される。LV312では対照導線として使用される特定の製造元からの導線に加えて、同じ試験を他の国際導線基準、例えば米国のSAE J1128−TXL又はSAE J1128−TWP−基準に適合する導線についても実施してもよい。
【0010】
試験方法LV 312試験法に従って、詳細には以下の試料ケーブルハーネスを製造する。0.35mm2の導線断面積を有する2つの同じ心線を約2cmの撚り長さで捻じる。この導線束を約50%の重ねならが試験用接着テープでらせん状に巻き付ける。この場合、導線としては105℃の試験温度でPVC−導線(製造元:Gebauer & Griller 67218 又は Coroplast 46443)を利用する。125℃の試験温度ではTyco社のPP−導線(製造元品名:AGP 0219)及びAcome社のXPE−導線(製造品名:T4104F)又はDraka社のXPE−導線(製造元品名:971130)を利用する。
【0011】
相応する対照導線を有する巻き付けられた導線ハーネス並びに巻き付けられていないブランク試料をそれぞれ105℃或いは125℃で3000時間の期間、自然換気の炉中で自由に吊り下げたまま保存する。各500時間毎にその都度、試料を取り出す。ケーブルハーネスは少なくとも3時間、最大48時間試験条件のもとで状態調整し、次いで以下の試験を行う:
導線ハーネスの部分を直径20mmのマンドレルの回りに巻き付けそして視覚的に検査する。次いでL112の“1分電圧抵抗の測定”の章に従って電圧試験を実施する。その後に試験体から接着テープを剥がしそして捻じれを戻す。その際に巻き付けテープは、最初に、導線に明らかな損傷を与えることなく剥離できなければならない。
【0012】
次に個々の各心線を試験する。一つ心線は直径2mmのマンドレルの回りに堅く少なくとも2回巻き付け、他のものは10mmの直径のマンドレルの回りに巻き付け、視覚的に検査しそしていずれの場合にも電圧試験を実施する。
【0013】
2mmのマンドレルの回りに個々の各心線を巻き付ける試験の場合には、それらは如何なるひび割れ、破損又は脆化を決して示さず、かつ、膨張したり又は縮小してはならない。導線の変色は許容される。元の色は未だ認識できるべきである。同様に10mmのマンドレルの回りに巻き付ける場合にもひび割れ、破損又は脆化は生じてはならず、かつ、心線は膨張しても又は収縮してもならない。
【0014】
この様なケーブル巻き付け用途については、織物又はステチボンデッドウエブをベースとするテープ様支持体を有する接着テープが知られており、ステチボンデッドウエブを有するテープについては例えばドイツ実用新案登録第9401037U1号に記載されている。接着層としては感圧接着層を使用するのが特に有利である。
【0015】
従来には天然ゴム及びスチレンブロックコポリマーをベースとする接着剤が特に使用されている。この場合天然ゴムをベースとするこれらの接着剤はPVC製ケーブル被覆にもポリオレフィン製ケーブル被覆へのLV 312に従う適合性試験の場合に不十分であることがわかっている。天然ゴムは主として溶液から加工されるので、この接着テープの製造も溶融物から加工できる材料をベースとするものよりもコストが掛かる。
【0016】
溶剤なしで溶融物から加工できるスチレンブロックコポリマーをベースとする接着剤を使用することで、特定の製造元のケーブルの種類にだけは105℃で3000時間試験においてPVC−ケーブルに対して温度範囲T2での適合性が達成されるが、相応する基準を満足しそしてこれらの用途に使用されるあらゆるケーブルでは達成されない。ケーブル絶縁にダメージがあり、その結果、マンドレルの回りに巻き付けた後に絶縁が破綻しそして露出したケーブルが見られる。
【0017】
生じる損傷の領域は脆化によるケーブル被覆における僅かなひび割れから長期間の貯蔵の後の構成要素及びケーブル被覆の破損による完全な破綻までに及ぶ。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の課題は、この状況を改善しそして特にケーブルのバンデージング用テープとしての接着テープを提供することであり、その際に該接着テープは、特に溶融物から加工できるスチレンブロックコポリマーをベースとする接着剤を有しているべきである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この課題は、請求項1に示すような接着テープによって解決される。本発明の対象の有利な態様並びに接着テープの使用は請求項1以降の請求項に示してある。
【0020】
従って本発明は、繊維製支持体及びそれの少なくとも片面を被覆した、少なくとも1種類のビニル芳香族ブロックコポリマーと少なくとも1種類の部分水素化粘着性樹脂とよりなる接着剤よりなるケーブル包装用接着テープに関する。
【0021】
特に有利な一つの実施態様によれば、ビニル芳香族ブロックコポリマーはスチレンブロックコポリマー、特に水素化ブロックコポリマーが適する。
【0022】
接着剤としては、例えばスチレンのようなビニル芳香族化合物から生じるポリマーブロック(A−ブロック)と例えばブタジエン及びイソプレンのような1,3−ジエンの重合によって生じるポリマー又は両者のコポリマーのブロック(B−ブロック)とを含有するブロックコポリマーをベースとしているものを使用する。種々のブロックコポリマーの混合物も使用することができる。部分的に又は完全に水素化されている生成物を使用するのが特に有利である。
【0023】
ブロックコポリマーは線状のA−B−A構造を有していてもよい。同様に放射状構造並びに星型及び線状のマルチブロックコポリマーも同様に使用することができる。他の成分としてはA−B−二成分ブロックコポリマーを使用してもよい。
【0024】
ポリスチレンブロックの代わりに、ガラス転位温度>約75℃を持つ、他の芳香族化合物(特にC8〜C12−芳香族化合物)含有のホモ及びコポリマーをベースとするポリマーブロック、例えばα―メチルスチレン含有芳香族化合物ブロックを利用してもよい。同様にガラス転位温度>約75℃を持つ、(メタ)アクリレートモノー及び(メタ)アクリレートコポリマーをベースとするポリマーブロックも使用できる。この関係では、硬質ブロックとして専ら(メタ)アクリレートポリマーをベースとするものを利用し、ポリ芳香族化合物ブロック、例えばポリスチレンブロック、並びにポリ(メタ)アクリレートブロックの両方を利用するブロックコポリマーも使用することができる。
【0025】
スチレン−ブタジエン−ブロックコポリマー及びスチレン−イソプレン−ブロックコポリマー及び/又はそれの水素化生成物、すなわちスチレン−エチレン/ブチレン−ブロックコポリマー及びスチレン−エチレン/プロピレン−ブロックコポリマーの代わりに、本発明に従って別のポリジエン含有エラストマーブロック、例えば複数の異なる1,3−ジエンのコポリマーを利用するブロックコポリマー及びそれの水素か生成物も利用することが可能である。本発明によれば他の官能化ブロックコポリマー、例えば無水マレイン酸変性された又はシラン変性されたスチレンブロックコポリマーも利用することができる。
【0026】
ブロックコポリマーの代表的な使用濃度は30重量%〜70重量%の範囲内、特に35〜55重量%の範囲内の濃度にある。
【0027】
別のポリマーとしては、純粋の炭化水素をベースとするもの、例えば天然又は合成で生産されるポリイソプレンのような不飽和ポリジエン又は、化学的に実質的に飽和したエラストマー、例えば飽和エチレン/プロピレンーコポリマー、α―オレフィンコポリマー、ポリイソブチレン、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、並びに化学的に変性された炭化水素、例えばハロゲン含有の、アクリレート含有の又はビニルエーテル含有のポリオレフィンも存在し、これらのポリマーは半分までビニル芳香族化合物含有ブロックコポリマーに交換してもよい。
【0028】
別の特に有利な一つの実施態様によれば、水素化粘着性樹脂は水素化炭化水素樹脂が適する。
【0029】
粘着剤としては、スチレンブロックコポリマーのエラストマーブロックとの適合性がありそして少なくとも部分的に水素化されている粘着性樹脂が利用される。
【0030】
適する粘着性樹脂はなかでもロジン又はロジン誘導体をベースとする部分的に又は完全に水素化された樹脂であるのが有利である。例えば水素化炭化水素樹脂の如き少なくとも部分的に水素化された炭化水素樹脂が芳香族化合物含有炭化水素樹脂を部分的又は完全に水素化することによって得られ(例えば荒川化学株式会社のArkon P 及び Arkon M シリーズ又はEastman社のRegalite-シリーズ)、水素化ジシクロペンタジエンポリマーをベースとする炭化水素樹脂(例えばExxon社のEscorez 5300シリーズ)、水素化C/C−樹脂をベースとする炭化水素樹脂 (例えばExxon社のEscorez 5600シリーズ)又は水素化C5−樹脂をベースとする炭化水素樹脂(Eastman社のEastotac )或いはそれらの混合物も使用することができる。
【0031】
ポリテルペン類をベースとする水素化ポリテルペン樹脂も使用することができる。上記の粘着性樹脂は単独でも互いの混合状態でも使用することができる。
【0032】
別の添加物としては一般的な光安定剤、例えば紫外線吸収剤、立体障害アミン、オゾン劣化防止剤、金属不活性化剤、加工助剤、エンドブロック補強樹脂(end-block reinforcing resins)を使用してもよい。
【0033】
可塑化剤、例えば液体樹脂、可塑化油又は低分子量液状ポリマー、例えば<1500g/モル(数平均分子量)の低分子量ポリイソブチレン又は液状EPDMの種類が一般に使用される。
【0034】
充填剤、例えば二酸化珪素、ガラス(粉砕されたもの又は球状のもの)、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、二酸化チタン、カーボンブラック等(若干のものしかここに挙げてない)、着色顔料及び染料並びに蛍光増白剤も同様に使用できる。
【0035】
老化防止剤の選択も接着剤とケーブル絶縁物との適合性への影響を考慮して行うことがわかっている。
【0036】
一般にスチレンブロックコポリマーをベースとする接着剤は、それの老化防止性を改善するために、第一及び第二酸化防止剤を添加する。その際に、第一酸化防止剤は酸素の存在下で生じるオキシラジカル又は過酸化物ラジカルと反応しそして余り反応性でない化合物を生じさせる。第二の酸化防止剤は例えば過酸化水素を還元してアルコール類を生じる。第一と第二老化防止剤との間に公知の通り相乗効果があり、混合物の保護効果は両方の個々の効果の合計よりもしばしば大きい。スチレンブロックコポリマーをベースとする接着剤において標準的に使用される酸化防止剤は殆ど立体障害フェノールであり、これらは3−(p−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸基又は3−(o−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸基を有しており、例にはCiba Aditive社のIrganox 1010、Irganox 1076、Irganox 259、Irganox 1035 及びIrganox 1135; 住友化学社のSumilizer BP 101及びSumilizer BP 76; Clariant社のHostanox O 10 及びHostanox O 16 又は Chemische Werke Lowi 社のLowinox PP 35及びLowinox PO 35がある(僅かだけここに挙げた)。
【0037】
ケーブル絶縁の破壊を抑制するのに、フェノール性OH−基に対してオルト位及び/又はパラ位にベンジルチオエーテル基を有する単核及び/又は多核フェノール類が特に適していることがわかっている。4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール及び4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾールが適しており、この種の単核フェノールはCiba 社からIrganox 1520 或いはIrganox 1726 の登録商標で市販されている。
【0038】
これらを第二酸化防止剤と組合せて使用するのが理想的である。
【0039】
接着剤の製造及び加工は溶液、分散物並びに溶融物から行うことができる。特に好ましい製造法及び加工法は溶融物から行うものである。この場合には適する製造法はバッチ法並びに連続法である。接着剤を押出機によって連続的に製造しそして次に被覆すべき基体に接着剤を適当な比較的高い温度のもとで直接的に被覆するのが特に有利である。
【0040】
支持体材料としては、あらゆる公知の繊維製支持体、例えばループ製品、ベロア、撚製物、織製物、編製物、特にPETフィラメント織製物又はポリアミド織製物、又はフリースが使用でき、この場合“フリース”とはEN 29092(1988)に従う繊維製シート状構造物並びにステッチボンド不織布及び類似の系を意味する。
【0041】
同様に織製物及び編製物を含むスペーサー布を被覆物と一緒に使用することも可能である。スペーサー布はファブリック又はフィラメント製フリースよりなるカバー層、下層及びこれらの層の間にある保持繊維又はこの様な繊維の束状物を有するマット状層構造物である。その際に、該繊維はこの層構造物の表面に分布しており、粒子層(particle layer)によって縫い通されておりそして被覆層及び下層を互いに連結させている。粒子層によって縫い通された保持繊維はカバー層及び下層を互いから間隔をもって保持しておりそしてカバー層と下層とを繋ぎ合わせている。
【0042】
フリース材料としては特に強化されたステープル繊維フリースがあるが、大抵は追加的に強化できるフィラメント、溶融ブロー製品並びに紡糸フリースも該当する。フリースに対しての可能な強化法としては機械的、熱的並びに化学的強化が公知である。機械的強化では、大抵は個々の繊維を絡みあわせることによって、繊維束状物を絡ませることによって又は追加的な糸を縫い込むことによって純機械的に保持するが、熱的方法によって及び化学的方法によって(バインダーでの)接合的に又は(バインダーなしでの)凝集的に繊維―繊維結合が達成される。これらは適切な処方及び適切な方法形態の場合には専ら又は少なくとも主として繊維結節点に限定され、その結果フリース中に緩くかつ解放された構造が保持されたままで、安定な三次元ネットワークが形成される。
【0043】
別の糸で仕上げ縫いすることによって又は絡まさせることによって強化されているフリースが特に有利であることがわかっている。
【0044】
この様に強化されたフリースは例えばKarl Mayer社の“マリフリース(Malivlies)”(かつてはMalimoと称した)タイプのステッチボンディング装置で製造されそして中でもNaue Fasertechnik and Techtex GmbH 社から入手できる。マリフリースはクロスレイドフリース(ross-laid web)が該フリースの繊維よりなるループを形成することによって強化されていることに特徴がある。
【0045】
更に支持体として編製フリース又はマルチ編製フリースという種類のフリースを使用することができる。編製フリースは、長手方向に配向した繊維フリースの加工から出発して一方の面にループを有しそしてもう一方の面にループフット(loop feet)又はパイル繊維折り目を有するが、糸も既成のシート状構造も有していないシート状構造物を製造することに特徴がある。この様なフリースも例えばKarl Mayer社の“編製フリース”のステッチングボンディング装置で久しい以前から既に製造されている。このフリースの別の特徴的長所は、長手繊維フリースとして長手方向で強い張力を十分に吸収することができることにある。マルチ編製フリースは編製フリースに比較して、フリースが上側並びに下側で針で両面ステッチされていることによって強化されていることに特徴がある。
【0046】
最後にステッチボンディングされたフリースも接着テープを形成する中間体として適している。ステッチボンディングされたフリースは互いに平行の沢山のステッチを有するフリース材料で形成される。これらのステッチは連続する繊維製糸で縫われるか又は編まれることによって生じる。この様な種類のフリースのためには、Karl Mayer社の“マリワット(Maliwatt)”(かつてはMalimoと称した)というステッチボンディング装置が公知である。
【0047】
また、Caliweb(R)は優れて適している。Caliweb(R)は外側にある二つの網目層及び該網目層に対して直角に配置されている内側にあるパイル層を持つ熱的に固定されたスペーサーフリースで構成されている。
【0048】
更に、第一の層中において機械加工によって予め強化するか又は流体力学的状況にある湿ったフリースであるステープルファイバーフリースが特に有利であり、その際にフリースの2%〜50%、特に5%〜40%の繊維が溶融性の繊維である。
【0049】
この様なフリースは繊維が湿った状態にあるか又は例えばステープルファイバーフリースがフリースの繊維よりなるループを形成することによって又はニードリング、ステッチングあるいはエアジェット及び/又はウオタージェット処理によって予め強化されていることに特徴がある。
【0050】
第二段階において熱固定を行う。そのときにフリースの強度は溶融性繊維の溶融又は部分溶融によって再び増強される。
【0051】
フリース支持体の強化はバインダーなしで例えば構造化されたロールを用いて加熱エンボス加工することによって達成され、その際に圧力、温度、滞留時間及びエンボス形状を強度、厚み、密度、柔軟性等の性質を制御するために使用することができる。
【0052】
繊維材料のための原料には特にポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ビスコース繊維又は木綿繊維が含まれる。しかしながら本発明は上記の材料に限定されることはなく、当業者に自明である他の沢山の繊維も、むしろ如何なる発明活動を必要とすることなく、この材料を製造するために使用することが可能である。特に耐摩耗性のポリマー、例えばポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド又はガラス繊維又は炭素繊維が使用される。
【0053】
支持体材料としては、少なくとも接着剤が塗工された層が繊維層であるラミネートよりなる支持体も適している。この層の上に任意の材料よりなる一つの又は別の層、例えば紙(クレープ紙及び/又は非クレープ紙)、フィルム(例えばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、単一配向した又は二重配向したポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、PAフィルム、PVCフィルム及び他のフィルム)、ウエッブ状の発泡体(例えばポリエチレン及びポリウレタン)並びに前述の繊維よりなる一つの又は別の層を載せてもよい。
【0054】
塗工側での支持体表面は化学的に又は物理的に前処理されていてもよく、裏側自体は非接着的に物理的処理又は塗工に付されていてもよい。
【0055】
接着テープは、接着剤が繊維製支持体に部分的に又は完全に片面又は場合によっては両面に塗工されることによって製作される。
【0056】
この被覆はの長手方向(機械方向)に1つ又は複数のストライプ状に行ってもよく、場合によっては横方向に行ってもよく、これは特に全面塗工でもよい。
【0057】
更に接着剤はスクリーン印刷によってパターン化した点の状態で適用してもよく、その際に接着剤の各点は色々な大きさで及び/又は色々に分布していてもよく、長手方向及び横方向で一緒になっている線をグラビア印刷によって、凹版ロール印刷又はフレキソ印刷によって適用できる。
【0058】
接着剤は(スクリーン印刷によって作製された)ドーム状で存在しても又は他のパターン、多格子、ストライプ群又はジグザグ線で存在してもよい。更に多噴霧塗装されていてもよく、この場合には多かれ少なかれ不規則な塗布パターンを生じる。
【0059】
本発明の目的にとって一般的表現での“接着テープ”は二次元に延伸されたフィルム又はフィルム切片、伸びた長さ及び制限された幅を持つテープ、テープ切片、打ち抜き片、ラベル等の如き平らなあらゆるシート状構造物を包含する。
【0060】
本発明の接着テープは長く伸びた製品、例えば特にケーブル又はケーブルハーネスに巻き付けるのに特に適している。
【0061】
更に本発明の接着テープは長く伸びた製品を被覆するのに使用され、その際に長く伸びた製品の回りに開いた又は重なったらせん状に被覆する。
【0062】
更に本発明の接着テープは長く伸びた製品を軸方向で包む被覆に使用するのが好ましい。
【0063】
驚くべきことに、使用されるエラストマーの他に特に使用される粘着性樹脂も接着剤とケーブル絶縁物との適合性に重要な影響を及ぼすことが分った。水素化粘着性樹脂、特に水素化炭化水素樹脂が特に適していることがわかっている。
【0064】
本発明の別の有利な一つの実施態様によれば、接着テープを特にケーブル又はケーブルハーネスの様な長く伸びた製品を包むために使用すれば、ケーブルをPVC−被覆と及びケーブルをポリオレフィン被覆と接合している場合に、ケーブルと接着テープの複合体を2006年1月発行のLV 312、5.5章に従って100℃以上の温度で3000時間まで保存しそして次にケーブルをマンドレルの回りで曲げるときに、接着テープがそれを妨害しない。
【0065】
更に接着テープを特にケーブル又はケーブルハーネスの様な長く伸びた製品を包むために使用すれば、ケーブルをPVC−被覆と及びケーブルをポリオレフィン被覆と接合している場合に、ケーブルと接着テープの複合体を2006年1月発行のLV 312、5.5章に従って125℃以上の温度で3000時間まで保存しそして次にケーブルをマンドレルの回りで曲げるときに、接着テープがそれを妨害しない。
【0066】
以下に本発明を幾つかの実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0067】
[実施例]
縦糸方向で32本/cmで横糸方向で28本/cmである坪量70g/mのポリエステル製フィラメント織物タイプの繊維製支持体の上に溶融状態の以下の接着剤をノズル塗工する。支持体への温度負荷は冷却された裏側のロールによって低減する。塗工量は65gmである。
【0068】
接着剤の組成はいずれの場合にも重量%で示す。
【実施例1】
【0069】
以下の組成の接着剤を支持体の上に前述の通り塗布する。
45.6%のVector 4113(15重量%のスチレン含有量及び20重量%のジブロック含有量のスチレン−イソプレン−スチレン−ブロックコポリマー:製造元Dexco社)
44.4%のEscorez 5600(100℃の軟化点を持つ水素化炭化水素樹脂:製造元Exxon社)
9.5%のOndina G 41(医療用ホワイト油:製造元Shell社)
0.5%のIrganox 1726(フェノール性OH基に対してオルト位及びパラ位にベンジルチオエーテル基を持つフェノールとしての酸化防止剤:製造元Ciba社)
製造された接着テープをLV312、2006年1月出版、5.5章に従って、色々の絶縁体を持つケーブルに巻き付けそして適当な温度で保存する。この様な試験体6個を各種のケーブルのために製作する。
【0070】
PVC: 105℃
架橋したPE: 125℃
PP: 125℃
500時間毎に、被覆したケーブルをチェックする。すなわち、接着テープを解きそしてケーブルを10mmの直径及び2mmの直径のマンドレルの回りに巻き付ける。その際に、絶縁物がその過程で損傷するかどうかを検査する。
【0071】
いずれの場合にも、LV 312で要求される3000時間までの保存期間の間、絶縁物に損傷がない。
【実施例2】
【0072】
49.8%のEuroprene Sol T 9113(18重量%のスチレン含有量及び7重量%のジブロック含有量スチレン−イソプレン−スチレン−ブロックコポリマー:製造元Polimeri社)
46.2%のRegalite R 1100(100℃の軟化点の水素化炭化水素樹脂:製造元Eastman社)
3.5%のOndina G 41
0.5%のIrganox 1726
再び、全てのチェックしたケーブル絶縁に変化がない。
【実施例3】
【0073】
48.2%のKraton G 1657(13重量%のスチレン含有量及び36重量%のジブロック含有量スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン−ブロックコポリマー:製造元Kraton社)
45.6%のArkon P 90(90℃の軟化点を持つ水素化炭化水素樹脂:製造元荒川化学株式会社)
5.7%のEscorez 5040(液状炭化水素樹脂:製造元Exxon社)
0.5%のIrganox 1010(フェノール系第一酸化防止剤:製造元 Ciba社)
ここでも前記各実施例の場合と同様にケーブル絶縁物は3000時間の保存後に変化がない。
【0074】
[対照例4]
45.6%のVector 4113
44.4%のEscorez 1310(90℃の軟化点の非水素化炭化水素樹脂:製造元 Exxon社)
9.5%のOndina G 41
0.5%のIrganox 1726
PVC−ケーブルは500時間の保存後に既に第一のひび割れを示し、PE及びPP−絶縁物は1000時間後の既にひび割れを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維製支持体及びそれの少なくとも片面を被覆した、少なくとも1種類のビニル芳香族ブロックコポリマーと少なくとも1種類の部分水素化粘着性樹脂とよりなる接着剤よりなる、特にケーブル包装用の、接着テープ。
【請求項2】
ビニル芳香族ブロックコポリマーがスチレンブロックコポリマー、特に水素化ブロックコポリマーである、請求項1に記載の接着テープ。
【請求項3】
ビニル芳香族ブロックコポリマーがスチレン−ブタジエンブロックコポリマー、スチレン−イソプレンブロックコポリマー及び/又は前記ブロックコポリマーの水素化生成物である、請求項1又は2に記載の接着テープ。
【請求項4】
水素化粘着性樹脂が水素化炭化水素樹脂である請求項1〜3のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項5】
粘着性樹脂が、ロジン又はロジン誘導体をベースとする部分的に又は完全に水素化された樹脂、香族含有炭化水素樹脂の部分的又は完全水素化によって得られる水素化炭化水素樹脂の如き少なくとも部分的に水素化された炭化水素樹脂が芳、水素化ジシクロペンタジエンポリマーをベースとする炭化水素樹脂、水素化C5/C9−樹脂をベースとする炭化水素樹脂、水素化C5−樹脂をベースとする炭化水素樹脂、ポリテルペン類及び/又はそれの混合物をベースとする水素化ポリテルペン樹脂よりなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項6】
接着剤において、フェノール性OH−基に対してオルト及び/又はパラ位にベンジルチオエーテル基を有する単核及び/又は多核フェノールよりなる群から選ばれる少なくとも1種類の老化防止剤を使用する請求項1〜5のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項7】
老化防止剤が4,6−ビス(オクチル−チオメチル)−o−クレゾール又は4,6−ビス(ドデシル−チオメチル)−o−クレゾールである、請求項6に記載の接着テープ。
【請求項8】
接着剤が溶融状態から加工されている、請求項1〜7のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一つに記載の接着テープの、特にケーブル又はケーブルハーネスのような細長い材料を包装するための使用。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか一つに記載の接着テープの、細長い材料の回りをらせん状に巻き付ける細長い材料の包装のための使用。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか一つに記載の接着テープの、細長い材料を軸方向に沿って該接着テープで包み込むための使用。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれか一つに記載の接着テープで細長い材料、特にケーブル又はケーブルハーネスを被覆する接着テープの使用において、ケーブルにPVC−被覆を及びケーブルにポリオレフィン被覆を接合している場合に、ケーブルと接着テープの複合体を2006年1月発行のLV 312、5.5章に従って100℃以上の温度で3000時間まで保存しそして次にケーブルをマンドレルの回りで曲げるときに、接着テープがそれを妨害しない、上記使用。
【請求項13】
請求項1〜8のいずれか一つに記載の接着テープで細長い材料、特にケーブル又はケーブルハーネスを被覆するための接着テープの使用において、ケーブルにPVC−被覆を及びケーブルにポリオレフィン被覆を接合している場合に、ケーブルと接着テープの複合体を2006年1月発行のLV 312、5.5章に従って125℃以上の温度で3000時間まで保存しそして次にケーブルをマンドレルの回りで曲げるときに、接着テープがそれを妨害しない、上記使用。

【公開番号】特開2009−13411(P2009−13411A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−174462(P2008−174462)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(507249591)テーザ・アクチエンゲゼルシャフト (52)
【Fターム(参考)】