説明

接着剤前駆体

基材を材料に、エステル縮合生成物として接着剤を形成するように反応する反応性混合物を含む接着剤前駆体を用いて接合する方法を提供している。前記反応性混合物は、少なくとも1つの多価アルコールと、少なくとも1つの有機ポリ酸、少なくとも1つの有機酸無水物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される反応物質とを含む、モノマー混合物を包含する。あるいは、前記反応性混合物は、前記モノマー混合物から形成されるプレポリマー;前記プレポリマーと前記モノマー混合物との組み合わせ;又は前記プレポリマーと、多価アルコール、有機ポリ酸、有機酸無水物、及びこれらの組み合わせなどの反応物質との組み合わせを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材に接着接合するように配合される架橋された熱硬化性樹脂類、特にアルキド樹脂を作製することが可能なモノマー混合物又は反応性プレポリマーのいずれかを含む反応性混合物を目的とする。具体的な実施形態では、反応性混合物は、基材に適用されて、エステル縮合生成物としての接着剤を形成するように反応することで前記基材を材料に接着する、接着剤前駆体を提供する。
【背景技術】
【0002】
接着剤類は、物品類及び材料類を接合するための多数の用途に用いられる。特に、生理用ナプキン類、生理用品類、及びおむつ類のような使い捨て物品類には、この使い捨て物品類を構成する個々の構成要素類を接合するため又は不織布類などの基材類を他の基材類若しくは材料類に接合することによってかかる構成要素類を形成するために、接着剤の利用が不可欠である。
【0003】
接着剤は、典型的には液体として適用される。液体形態では、接着剤は、被着体の隙間を濡らして、そこへ流れ込む。液体形態の接着剤は、流動が生じる温度まで加熱するか、又は前記材料を溶媒に溶解若しくは分散させることによって得られる。次に接着剤は、接合が剪断力に抵抗するために必要な強度を得るために、冷却、溶媒蒸発、又は反応のいずれかによって固体への相変化を生じる。
【0004】
アルキドは、合成熱硬化性樹脂類の一群に相当する用語であり、ポリエステル縮合樹脂と記載されるのに最も適している。この群の材料は、多価アルコール類と有機ポリ酸類とのエステル縮合体類で構成される。グリセリンは、エステル縮合体類に使用される有力な多価アルコール構成成分である。グリセリンの供給が高まることで、アルキド樹脂類を利用する用途を開発する機会が増大してきている。
【0005】
アルキド樹脂類又はアルキドポリマー類を溶媒、可塑剤、及び他の成分と組み合わせて用いて接着剤を形成することは知られている。このような接着剤は典型的には粘稠でかつ粘着性であって、適用中にその取り扱いを困難にさせる。しかしながら、アルキド樹脂類は、適用し易い自由流動性の液体の状態で配合することが可能なモノマー混合物又は反応性プレポリマー混合物のいずれかを含む低粘度の液状反応性混合物として使用開始できる。このようなモノマー又はプレポリマー反応性混合物は、熱を加えることで一般的に引き起こされる化学的架橋反応によって硬化して、粘稠な又は硬質の接合材料を形成することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
重合又は反応する液状モノマー若しくはプレポリマー反応性混合物から始めて、適用後にエステル縮合生成物としての接着剤を形成する、基材類若しくは材料類の接合方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、反応性混合物を含む接着剤前駆体を用いて基材を材料と接合する方法を提供する。反応性混合物には、少なくとも1つの多価アルコールと、少なくとも1つの有機ポリ酸、少なくとも1つの有機酸無水物、及びこれらの組み合わせ、からなる群より選択される反応物質とを含む、モノマー混合物が包含される。あるいは、反応性混合物は、前記モノマー混合物から形成されるプレポリマー;前記プレポリマーと前記モノマー混合物との組み合わせ;又は前記プレポリマーと、多価アルコール、有機ポリ酸、有機酸無水物、及びこれらの組み合わせなどの反応物質類との組み合わせを含んでいる。接着剤前駆体は、エステル縮合生成物としての接着剤を形成するように反応する。
【0008】
本発明はまた、基材と材料と接着剤前駆体とを含む複合材料であって、エステル縮合生成物として接着剤を形成するように反応することで基材と材料とを接合する、前記複合材料をも目的とする。接着剤前駆体は反応性混合物を含んでおり、これには、少なくとも1つの多価アルコールと、少なくとも1つの有機ポリ酸;少なくとも1つの有機酸無水物;及びこれらの組み合わせ;からなる群から選択される反応物質と、を含むモノマー混合物が包含される。あるいは、前記反応性混合物は、前記モノマー混合物から形成されるプレポリマー;前記プレポリマーと前記モノマー混合物との組み合わせ;又は前記プレポリマーと、多価アルコール、有機ポリ酸、有機酸無水物、及びこれらの組み合わせなどの反応物質との組み合わせ;を含む。
【0009】
本発明は更に、少なくとも2つの構成要素と、それらの間に配置された前記接着剤前駆体とを含む物品類及び包装用品であって、エステル縮合生成物として接着剤を形成するように反応することで前記少なくとも2つの構成要素を接合する、前記物品類及び包装用品をも目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の接着剤前駆体を用いて接合することができる様々な構成要素を表す、使い捨ておむつの身体に面する表面の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書で使用される全ての百分率、比率、割合は、別段の指定がない限り、反応性混合物の重量百分率に基づいている。全ての平均値は、特に明確に指示がない限り、反応性混合物又はそれら構成成分の「重量に基づいて」計算される。ポリマー類の「平均分子量」又は「分子量」は、特に指示がない限り、重量平均分子量を指す。重量平均分子量は、別段の指定がない限り、ゲル透過クロマトグラフィーによって決定される。
【0012】
本明細書で使用するとき、「コポリマー」とは、コポリマー、ターポリマー、及び他の複数モノマーのポリマーを網羅することを意味する。
【0013】
本明細書で使用するとき、「反応物質」とは、化学反応の開始時に存在し、及び化学反応系内にあるか又は化学反応の一部として曝露される1種以上の他の物質類又は触媒類と反応する化学物質を指す。
【0014】
本明細書で使用するとき、「混合物」とは、別段の指定がない限り、定義された構成成分群のうちのいずれか2つ以上の混合物を指す。代替成分のリストには、別段の指定がない限り、そのような成分類の混合物が包含される。
【0015】
本明細書で使用するとき、「生分解性」とは、化合物が微生物類及び/又は天然の環境因子によって最終的にCH4、CO2、及び水又はバイオマスに完全に分解される機能を指す。
【0016】
本明細書で使用するとき、「コンポスト化可能」とは、次の3つの要件を満たす材料を指す:(1)材料が、固形廃棄物用の堆肥化施設で処理することができること、(2)材料が、そのように処理された場合に、最終的に堆肥となること、及び(3)堆肥を土壌中で使用した場合に、材料が最終的に土壌中で生分解すること。
【0017】
本明細書で使用するとき、「含む」という用語は、本発明を実施する際に、多様な構成要素、成分、又は工程を組み合わせて用いることができることを意味する。したがって、「含む」という用語は、より制限された用語である「から本質的になる」及び「からなる」を包含する。本発明の反応性組成物は、本明細書に開示されている必須要素及び任意要素のうちいずれかを含むことができ、これらから本質的になることができ、又はこれらからなることができる。
【0018】
本明細書で使用するとき、「接着剤」とは、被着体と呼ばれる2つの別の材料を合わせて接合する材料を意味する。
【0019】
本明細書で使用するとき、マーカッシュ言語は、特に指示がない限り、マーカッシュ群の個々の要素類の組み合わせを包含する。
【0020】
本明細書に開示されている全ての数値範囲に関して、本明細書全体を通じて記載されるあらゆる最大数値限定は、それより小さいあらゆる数値限定を、そのような小さい数値限定が本明細書に明示的に記載されているかのように包含すると理解すべきである。加えて、本明細書全体を通じて記載されるあらゆる最小数値限定は、それより大きいあらゆる数値限定を、そのような大きい数値限定が本明細書に明示的に記載されているかのように包含する。更に、本明細書全体を通じて与えられるあらゆる数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に入るあらゆるより狭い数値範囲を包含し、並びに前記数値範囲内のそれぞれの個々の数値をも包含するものであって、そのようなより狭い数値範囲及び個々の数値が全て、あたかも本明細書に明示的に記載されているかのように包含する。
【0021】
本発明の反応性混合物、方法及び物品は、架橋された熱硬化性樹脂類を、特にアルキド樹脂類をエステル縮合反応から作製することが可能な反応性混合物を含む接着剤類を利用する。この反応性混合物は、多価アルコールと、多官能性有機ポリ酸又は酸無水物を包含するモノマー混合物を含む。この反応性混合物にはまた、モノマー混合物をプレ架橋段階にまで反応させることによって作製されたプレポリマー、又はこのプレポリマーと前記モノマーとの組み合わせもが包含され得る。反応性混合物は、接着剤を形成するように反応することができる自由流動性の液状接着剤前駆体として基材表面に容易に適用されるように配合される。前記反応中、接着剤前駆体は、前記反応性混合物のエステル縮合反応を引き起こすのに十分な高い温度まで加熱することができ、前記縮合反応により、反応副生成物としての水を開放大気へ放出することによって反応性混合物が重合及び架橋して、結果として硬質の接合材料がもたらされる。
【0022】
前記接着剤前駆体を形成する際に用いられる材料類、それらの製造方法、及び前記接着剤前駆体を用いて形成される物品類を更に以下に論ずる。
【0023】
多価アルコール
接着剤前駆体を形成する際に用いられる反応性混合物には、多価アルコールが包含される。本明細書で使用するとき、「多価アルコール」とは、2個以上のアルコール(すなわち、ヒドロキシル)官能基を有するアルコールを指す。あらゆる好適な多価アルコール又は多価アルコール類の組み合わせが有用であるが、2000g/mol未満の分子量を有する、モノマー類、オリゴマー類、又は短鎖ポリマー多価アルコール類が好ましい。好適な多価アルコール類の非限定例としては、グリセロール(グリセリンとしても当該技術分野において既知のもの)、グリコール、糖、糖アルコール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。有用なグリコール類の非限定例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサントリオール等や、これらのオリゴマー類、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。有用な糖類の非限定例としては、グルコース、スクロース、フルクトース、ラフィノース、マルトデキストロース、ガラクトース、キシロース、マルトース、ラクトース、マンノース、エリトロース、ペンタエリスリトール、及びこれらの混合物が挙げられる。有用な糖アルコール類の非限定例としては、エリスリトール、キシリトール、マリトール、マンニトール、ソルビトール、及びこれらの混合物が挙げられる。本発明の具体的な実施形態では、多価アルコールは、グリセロール、マンニトール、ソルビトール、及びこれらの組み合わせを含む。
【0024】
反応性混合物を形成する際に好適な別の形態の多価アルコールには、未精製グリセリンが包含される。未精製グリセリンは、グリセリンと3つの脂肪酸とが基本的にはエステル結合によって互いに結合されたトリグリセリドの様々な反応から誘導される。未精製グリセリンを生じさせる反応としては、エステル化、加水分解、及びけん化が挙げられる。未精製グリセリンは、化学反応及び回収方法に基づいて、典型的には80〜95%がグリセリンであり、ある程度の濃度の水(水分)を、典型的には3〜15%含有している。未精製グリセリンはまた、総脂肪酸として定量評価される、ある程度の濃度の非グリセリン有機物質類をも含有する。これらは、典型的には未反応のトリグリセリド類(又はジグリセリド類/モノグリセリド類)、脂肪酸類、及びメチルエステル類である。
【0025】
典型的には、多価アルコールは、本発明の反応性混合物中に約5%〜約80%、約10%〜約75%、約25%〜70%、又は約35%〜65%の量で存在することができる。
【0026】
有機ポリ酸及び酸無水物
接着剤前駆体を形成する際に利用される反応性混合物にはまた、有機ポリ酸類及び酸無水物類も包含される。有機ポリ酸とは、2個以上の酸官能基を有する有機酸を意味し、二塩基酸、三塩基酸(少なくとも3個の酸基を有するもの)、4個以上の酸官能基を有するその他の酸類、酸ポリマー類若しくは酸コポリマー類、又はこれらの混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。このような酸類としては、アジピン酸、セバチン酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸(terphthalic acid)、及びこれらのうちの2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。このような酸類の酸無水物類を使用してもよく、本明細書の文脈では、有機ポリ酸への言及には、このような酸無水物類も包含される。ラウリン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、セバシン酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、及びグリシジルメタクリレートなどの一塩基酸類は、所望により、任意の段階でポリ酸に加えて包含されてもよい。例えば、一塩基酸類は、加工助剤類として、又は最終製品の特性、例えば、可撓性や強度等を改質するために添加される場合もある。
【0027】
本発明では、多くの異なるタイプの有機ポリ酸類及び酸無水物類を使用することができ、アジピン酸、クエン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、ポリアクリル酸、無水フタル酸等、並びにこれらの混合物が挙げられる。一塩基酸類、特に、ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、及びリノール酸のような脂肪酸類を反応性混合物に混入することも可能である。シリコーンオリゴマー又はポリエチレングリコールのように、反応性の酸官能基又はアルコール官能基を有するその他の官能性化合物を混入してもよい。
【0028】
典型的には、有機ポリ酸又は酸無水物は、本発明の反応性混合物中に約5%〜約80%、約10%〜約75%、約25%〜約70%、又は約35%〜約65%の量で用いられる。
【0029】
トリグリセリド
前記未精製のグリセリンと関わりのあるトリグリセリド類に加えて、好適なトリグリセリド類は、当該技術分野においてトリグリセロール類としても既知であって、反応性混合物中に包含されてもよい。有用なトリグリセリド類の非限定例としては、トリステアリン、トリオレイン、トリパルミチン、1,2−ジパルミトオレイン、1,3−ジパルミトオレイン、1−パルミト−3−ステアロ−2−オレイン、1−パルミト−2−ステアロ−3−オレイン、2−パルミト−1−ステアロ−3−オレイン、トリリノレイン、1,2−ジパルミトリノレイン、1−パルミト−ジリノレイン、1−ステアロ−ジリノレイン、1,2−ジアセトパルミチン、1,2−ジステアロ−オレイン、1,3−ジステアロ−オレイン、トリミリスチン、トリラウリン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0030】
好適なトリグリセリド類は、希釈していない状態で本発明の反応性組成物に添加されてもよい。更に又はあるいは、好適なトリグリセリド類を含有する油類及び/又は加工油類を反応性組成物に添加してもよい。油類の非限定例としては、ココヤシ油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、パーム種子油、綿実油、パーム油、菜種油、ヒマワリ油、鯨油、大豆油、ピーナッツ油、亜麻仁油、トール油、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0031】
典型的には、トリグリセリド類は反応性混合物中に約75%まで、又は約2%〜約50%、又は約5%〜約25%の量で用いられる。
【0032】
一部の実施形態では、酸とトリグリセリドとの組み合わせを反応性混合物中で用いる。このような実施形態では、酸とトリグリセリドの総量は、約20%〜約80%、約30%〜約70%、又は約40%〜60%である。更に又はあるいは、アルコール官能基と、エステル官能基及び酸官能基の合計とのモル比は、少なくとも約1:1、又は少なくとも約4:1である。一部の実施形態では、前記モル比は、約1:1〜約200:1、又は約1:1〜約50:1である。
【0033】
本発明の反応性混合物はまた、一塩基酸、及びトリグリセリドの代替としての適切な量のモノグリセリド又はジグリセリドをも包含することができる。
【0034】
追加構成成分
接着剤前駆体を形成する際に用いられる反応性混合物は更に、組成物の加工及び/又は最終用途に所望されるときは1つ以上の追加の構成成分を包含していてもよい。追加の構成成分は、あらゆる好適な量で存在してもよい。一部の実施形態では、追加の構成成分は、反応性混合物の約0.01重量%〜約35重量%、又は約2重量%〜約20重量%の量で存在してもよい。追加の構成成分の非限定例としては、追加のポリマーや加工助剤等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
有用な追加のポリマー類の非限定例としては、ポリヒドロキシアルカノエート類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、マレイン酸化ポリエチレン、マレイン酸化ポリプロピレン、ポリ乳酸、変性ポリプロピレン、ナイロン、カプロラクトン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。追加のポリマー類には更に、2000g/molを超える分子量を有するポリビニルアルコール及び多価アルコール類も包含される。
【0036】
生分解性及び/又はフラッシュ性(flushability、トイレに流せること)が挙げられるがこれらに限定されない特性が望まれる実施形態では、追加の好適な生分解性ポリマー類及びこれらの組み合わせが有用である。一部の実施形態では、脂肪族成分を含有するポリエステル類は、好適な生分解性熱可塑性ポリマーである。一部の実施形態では、ポリエステル類の中でも、脂肪族構成体を含有するエステル重縮合物類及びポリ(ヒドロキシカルボン酸)が好ましい。エステル重縮合物類としては、ポリブチレンサクシネート及びポリブチレンサクシネート−コ−アジペートのような二塩基酸/ジオール脂肪族ポリエステル類;ブチレンジオール類、アジピン酸、及びテレフタル酸から作製されるターポリマー類等の脂肪族/芳香族ポリエステル類が挙げられるが、これらに限定されない。前記ポリ(ヒドロキシカルボン酸類)としては、乳酸系ホモポリマー類及びコポリマー類、ポリヒドロキシブチレート類、並びに他のポリヒドロキシアルカノエートホモポリマー類及びコポリマー類が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、ポリ乳酸のホモポリマー類又はコポリマー類が好ましい。変性ポリ乳酸及びその異なる立体配置もまた使用してもよい。好適なポリ乳酸類は、典型的には、約4,000g/mol〜約400,000g/molの分子量範囲を有する。好適な市販のポリ乳酸類の例としては、カーギル・ダウ(Cargill Dow)製のネイチャーワークス(NATUREWORKS)(商標)、及び三井化学(Mitsui Chemical)製のラセア(LACEA)(商標)が挙げられる。好適な市販の二塩基酸/ジオール脂肪族ポリエステルの例は、ビオノーレ(BIONOLLE)(商標)1000及びビオノーレ(商標)3000として、日本、東京の昭和高分子株式会社(Showa Highpolmer Company, Ltd.)から販売されている、ポリブチレンサクシネート/アジペートコポリマー類である。好適な市販の脂肪族/芳香族コポリエステルの例は、イーストマン・ケミカル(Eastman Chemical)からイースター・ビオ(EASTAR BIO)(商標)コポリエステルとして、又はBASFからエコフレックス(ECOFLEX)(商標)として、販売されているポリ(テトラメチレンアジペート−コ−テレフタレート)である。一部の実施形態では、生分解性ポリマー又はポリマー類の組み合わせには、ポリビニルアルコールが含まれていてよい。
【0037】
前記生分解性ポリマー類及びこれらの組み合わせは、反応性混合物の約0.1重量%〜約70重量%、約1重量%〜約50重量%、又は約2重量%〜約25重量%の量で存在してもよい。
【0038】
加工助剤は一般に、反応性混合物中に反応性混合物の約0.1重量%〜約3重量%、又は約0.2重量%〜約2重量%の量で存在している。加工助剤の非限定例としては、潤滑剤類、粘着防止剤類、ポリマー類、界面活性剤類、油類、スリップ剤類、及びこれらの組み合わせが挙げられる。具体的な加工助剤の非限定例としては、ステアリン酸マグネシウム;脂肪酸アミド;脂肪酸類の金属塩類;ワックス酸エステル類及びこれらの石鹸類;モンタンワックス酸類、モンタンワックス酸エステル類及びこれらの石鹸類;ポリオレフィンワックス類;非極性ポリオレフィンワックス類;天然及び合成パラフィンワックス類;フルオロポリマー類;並びにシリコーン類(silicon)が挙げられる。このような化合物類の市販の例としては、クローダミド(Crodamide)(商標)(英国ノース・ハンバーサイド(North Humberside)のクローダ(Croda))、アトマー(Atmer)(商標)(ベルギー、エバーベルグ(Everberg)のユニケマ(Uniqema))、及びエポスタン(Epostan)(商標)(日本、東京の日本触媒(Nippon Shokbai))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
他の添加剤は、最終製品又はこれらから形成される材料に追加の物理的特性を付与するために反応性混合物中に存在することができる。このような添加剤としては、酸基、アルコール基、及びこれらの組み合わせなどの官能基を有する化合物が挙げられる。このような化合物としては、シリコーンオリゴマー、ポリエチレングリコール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0040】
充填剤
充填剤は、反応性混合物と混合することで、接着剤前駆体を提供することができる。充填剤は、300マイクロメートル未満、100マイクロメートル未満、又は50マイクロメートル未満の等価直径を有する固体微粒子を含む。本発明の反応性混合物中に存在する充填剤類の非限定例としては、タルク、粘土、パルプ、木粉(wood, flour)、クルミ殻、セルロース、綿、黄麻、ラフィア、米のもみ殻、動物の剛毛、キチン、TiO2、熱可塑性デンプン、生デンプン、粒状デンプン、珪藻土、ナノ粒子類、炭素繊維類、ケナフ、シリカ、無機ガラス、無機塩類、粉末可塑剤、粉末ゴム、ポリマー樹脂類、及びこれらの組み合わせが挙げられる。無機充填剤、例えば、マグネシウム酸化物類、アルミニウム酸化物類、ケイ素酸化物類及びチタン酸化物類を包含する更なる添加剤を、高価でない充填剤又は加工助剤として添加してもよい。他の無機物質としては、水和ケイ酸マグネシウム、二酸化チタン、炭酸カルシウム、窒化ホウ素、石灰岩、雲母、ガラス、石英(mica glass quartz)、及びセラミックスが挙げられる。更に、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、リン酸塩を包含する無機塩類を加工助剤として使用してもよい。添加することができる別の材料は、環境による分解プロセスを更に加速するために配合される化学組成物であって、ステアリン酸コバルト、クエン酸、酸化カルシウム、及び米国特許第5,854,304号(ガルシア(Garcia)ら)に見出される他の化学組成物類のようなものである。
【0041】
前記充填剤類及びそれらの組み合わせは、接着剤前駆体を形成する反応性混合物中に、反応性混合物の約40重量%までの量、反応性混合物の約1重量%〜約30重量%、2重量%〜約20重量%、及び5重量%〜約10重量%の量で存在していてもよい。
【0042】
エステル縮合反応
本明細書で前述したように、アルキド樹脂を含む接着剤類は、多価アルコール及び多官能性有機ポリ酸などのモノマー類を含む反応性混合物の縮合反応で作製されるか、又は多価アルコールと酸との間に縮合反応が既に少なくとも部分的に生じているが完結してはいないプレ架橋段階までモノマー混合物を反応させることによって作製されるプレポリマーであるオリゴマーから作製される。縮合反応中に、反応性混合物の温度が、多価アルコールと酸との間の反応を推進するのに十分な時間にわたって十分に高ければ、形成される組成物は、水安定性アルキド樹脂組成物に転化するであろう。例えば、反応性混合物を加工することで、水安定性組成物に転化させるのに十分な水を除去することができる。このような実施形態では、前記組成物は、最終用途に好適な形態、例えば、基材類、材料類、使い捨て物品の構成要素類、及びこれらの組み合わせを接合する硬化された接着剤類に加工することができる。
【0043】
一方で、反応性混合物の溶融加工が行われる温度若しくは諸条件が、多価アルコールと酸との間の反応を推進するのに適切な低温であり、かつ/又は不十分な時間である場合、結果として得られる押出品は反応性混合物を含んでおり、所望により更に加工することもでき、更に加熱することによって水安定性の組成物類に転化可能である。したがって、反応性混合物は、この実施形態では、接着剤前駆体の形で基材の表面に適用可能な液体形態で供給することができ、その接着剤前駆体は十分な温度及び時間の条件を与えて反応組成物を水安定性接着剤組成物に転化させることができる。あるいは、その接着剤前駆体が、反応性組成物を水安定性接着剤組成物に転化するのに十分な温度及び時間の条件を与えられない場合は、結果として得られる反応性組成物をその後、加熱することで水安定性接着剤に転化させることも可能である。
【0044】
接着剤前駆体の適用
任意の好適なアプリケータを用いて、接着剤前駆体を材料又は基材に対し、例えば、印刷工程(例えば、輪転グラビア又はフレキソ等の)、噴霧工程)、コーティング工程(例えば、スロット、ロール、又はエアナイフ等)、サイジングプレス工程、あるいは発泡体アプリケーション工程で適用してもよい。接着剤前駆体を適用するための好適な装置は、米国特許第5,840,403号(トロッカン(Trokhan)ら、1998年11月24日発行)に開示されており、本明細書に参照として組み込む。
【0045】
任意の既知の印刷手法を用いて接着剤前駆体を適用することも可能であり、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、スロットコーティング、インクジェット印刷(例えば、加熱式ドロップ−オン−デマンド・インクジェット、ピエゾ電気によるドロップ−オン−デマンド・インクジェット、連続式インクジェット等)、並びに静電印刷及び電子写真を包含する他のデジタル印刷形態、例えば、クレオサイテックス(CreoScitex)(イスラエル、テルアビブ(Tel Aviv))のクレオサイテックスSP(CreoScitex SP)システムが挙げられる。その他の代表的なプリンターシステム類としては、高解像度の大型インクジェットプリンター類(例えば、2メートル)の例としてのビューテック・ウルトラビュー(Vutek UltraVu)プリンター類(ニューハンプシャー州メレディス(Meredith)のビューテック(Vutek))、カラースパン社(ColorSpan Corp.)(ミネソタ州イーデン・プレイリー(Eden Prairie))のディスプレイメーカー・ファブリジェットXII 12−カートリッジ・プリンター(DisplayMaker FabriJet XII 12-cartridge printer)、及びデュポン(DuPont)(デラウェア州ウィルミントン(Wilmington))の大型インクジェット印刷アーティストリ(Artistri)システムが挙げられる。インクを塗布するには、通常用いられる印刷技法を一般的に採用し、着色又は無着色の接着剤前駆体を適用することができる。例えば、接着剤前駆体をティッシュ及び他の繊維状ウェブ類に適用するためのフレキソ印刷法の適用指針は、米国出願シリアル番号第10/329,991号、「極めて粘稠な薬剤をあるパターンで吸収性物品の皮膚と接触する表面に送達するためのフレキソ印刷法(Flexographic Printing to Deliver Highly Viscous Agents in a Pattern to the Skin-Contacting Surface of an Absorbent Article)」(チェン(Chen)及びリンゼイ(Lindsay)2002年12月26日出願)、及び米国出願シリアル番号第10/305791号、「吸収性ウェブの構造印刷法(Structural Printing of Absorbent Webs)」(チェンら、2002年11月27日出願)に開示されており、これらを共に、本明細書に参照として組み込む。印刷された形で接着剤をティッシュウェブの片面又は両面へ塗布するためのアニロックスロール類は、米国特許第6,607,630号、「印刷結合された多プライ・ティッシュ(Print Bonded Multi-Ply Tissue)」(バートマン(Bartman)ら、2003年8月19日発行)に開示されており、これは、単一プライ又は多プライ・ウェブの印刷に適合可能である。
【0046】
任意の既知の噴霧技法を用いて接着剤前駆体を適用することもでき、R.H.ドネリー(R. H. Donnelly)及びM.カンガス(M. Kangas)著、紙と木材(Paperi ja Puu)、第83巻、第7号、530〜531頁に記載されているような、デラウェア州のドリアード・テクノロジー(Dryad Technology)によるドリアード(DRYAD)噴霧技法が挙げられる。別の実施形態は、米国特許第4,944,960号、「紙などのコーティング方法及び装置(Method and Apparatus for Coating Paper and the Like)」(サンドホルム(Sundholm)ら、1990年7月31日発行)に開示されている。この技法では、接着剤前駆体をノズルに入れ、このノズルによって、前記材料をある領域へノズル周囲の環状高速ガス流と共に放出して、前駆体物質を基材表面へと搬送する。帯電を用いて、接着剤前駆体の基材への送達性を改善させることも可能である。接着剤前駆体の印刷は、基材の表面に選択的に又は均一に行うことができる。
【0047】
接着剤前駆体は、任意の望ましいパターン、例えば、微細な線、ドット、十字線、波形線、花又はその他のパターンの画像等の認知可能な画像を形成するパターンで適用することができる。本発明の多様な実施形態では、接着剤前駆体は、基材片面の表面積の約15重量%〜約60重量%を占める。あるいは、接着剤前駆体は、基材片面の次のパーセンテージ範囲のいずれかを占めてもよい:約5重量%以上、約30重量%以上、50重量%超、約10重量%〜約90重量%、約20重量%〜約80重量%、約20重量%〜約70重量%、約60重量%未満、及び50重量%未満。
【0048】
接着剤前駆体の後硬化
反応性混合物から形成された接着剤前駆体を、接着接合しようとする基材の一表面に適用する場合、架橋反応は、接着剤前駆体の適用中に又は更なる後硬化工程によってのいずれかで完結させることができる。接着剤前駆体から完全に架橋された接着剤を生じさせるためには、反応性混合物のエステル縮合反応を、熱を加えることによって引き起こす、及び/又は完結方向へ向かわせる。反応副生成物として生じた水は、反応を促進させるために効率良く取り除く。反応性混合物の温度は、架橋反応を完結に向かわせるために、約100℃〜約300℃、約120℃〜約280℃、又は約150℃〜約260℃であってよい。本発明の一部の実施形態では、触媒を用いて、エステル縮合及び/若しくはエステル交換反応を開始並びに/又は促進してもよい。あらゆる好適な触媒が有用である。有用な触媒の非限定例としては、ルイス酸類が挙げられる。ルイス酸の非限定例は、パラ−トルエンスルホン酸である。
【0049】
後硬化による架橋反応の完了は、後硬工程中、従来の対流式又は輻射式又はマイクロ波式オーブンにおいてだけでなく、接着剤前駆体を加熱する他の手段でも達成でき、エステル縮合反応とそれに付随して生じる水を物品から最終的に除去することとを完了させることができる。
【0050】
物品類
本明細書で使用するとき、「物品」とは、本発明による接着剤前駆体で接合された少なくとも1つの部分を有する物品類を包含することを表す。物品類としては、使い捨て物品類及び包装用品が挙げられるが、これらに限定されない。使い捨て物品類としては、成人用失禁製品類、婦人用衛生パッド類及び生理用ナプキン類、使い捨ておむつ類及びトレーニングパンツ類が挙げられる。包装用品の形式としては、可撓性バッグ類、半可撓性バッグ類、剛性バッグ類、ポーチ類、紙箱又はプラスチック製の箱、容器類、ビン類、チューブ類、及びこれらの組み合わせが挙げられる。特定の用途では、包装用品は、中に入れる製品及び/又は消費者の好みに従って選択される。
【0051】
使い捨てパーソナルケア製品類
本発明は、本発明の反応性混合物類を含む接着剤前駆体によって接合された構成要素類を含む、使い捨てパーソナルケア製品類に使用することができる。一部の実施形態では、使い捨てパーソナルケア吸収性物品類は、液体透過性トップシートと、液体不透過性バックシートと、前記トップシートと前記バックシートの間に配置された吸収性コアとに加えて、本発明の接着剤前駆体を用いて接合することができる他の構成要素類をも含む。このような使い捨てパーソナルケア製品の一例は、図1に示された使い捨ておむつであり、図1は、観察者の方向に着用面を向けたおむつ50の一部を平らに広げた状態(in a flat-out state)で示されている。図1に示すように、構造の一部を切り取ることで、おむつ50の構造がより明瞭に示される。おむつ50は、液体透過性トップシート54、液体不透過性バックシート56、トップシート54の少なくとも一部とバックシート56との間に配置されるのが好ましい吸収性コア58、伸張性レッグカフ62、及び弾性ウエスト構造部64、を含む。おむつ50のシャーシ52は、おむつ50の本体を構成するものであって、トップシート54及び/又はバックシート56と、吸収性コア58の少なくとも一部とを包含する。トップシート54と、バックシート56と、吸収性コア58と、締結部材12と、その他の前記構成要素類とを、様々な周知の構成で組み立て本発明の接着剤前駆体を用いて接合してもよいが、好ましいおむつの構成は、「使い捨ておむつ用の収縮可能な側部(Contractible Side Portions for Disposable Diaper)」という表題の米国特許第3,860,003号(ケネス・B・ビュエル(Kenneth B.Buell)、1975年1月14日発行)、米国特許第5,151,092号(ビュエル、1992年9月9日発行)、及び米国特許第5,221,274号(ビュエル、1993年6月22日発行)、並びに「複数ゾーン構造の弾性様フィルムウェブの伸張性ウエスト構造部を有する吸収性物品(Absorbent Article With Multiple Zone Structural Elastic-Like Film Web Extensible Waist Feature)」という表題の米国特許第5,554,145号(ロー(Roe)ら、1996年9月10日発行)、「使い捨てプルオン・パンツ(Disposable Pull-On Pant)」という表題の米国特許第5,569,234号(ビュエルら、1996年10月29日発行)、「吸収性物品用のサイドパネルを製造するためのゼロスクラップ法(Zero Scrap Method For Manufacturing Side Panels For Absorbent Articles)」という表題の米国特許第5,580,411号(ニース(Nease)ら、1996年12月3日発行)、及び「多方向伸張性サイドパネルを有する吸収性物品(Absorbent Article With Multi-Directional Extensible Side Panels)」という表題の米国特許第6,004,306号(ローブルズ(Robles)ら、1999年12月21日発行)に概略的に記載されている。
【0052】
包装用品
本発明はまた、本発明の反応性混合物類を含む接着剤前駆体類によって接合された構成要素類を含む包装用品に利用することも可能である。例えば、完全密封した紙箱は、その中に収容される容器類を保護するものであって、生地紙から、上部パネル構成要素と側部パネル構成要素と底部パネル構成要素とを有する紙箱を形作る。紙箱は、底部パネルに沿って折畳んで、エステル縮合生成物としての接着剤を形成するように反応する本発明の接着剤前駆体を用いて接合される。紙箱包装に製品容器類を詰め込んだ後、90°曲げて、紙箱の末端部の横からの入口を閉じる。次に、上部パネルに下向きの力を加えて、接着剤前駆体と前記エステル縮合反応とによって横からの入口と接合する。接着剤前駆体はまた、開口端構成要素を有するバッグ類又はポーチ類などの可撓性包装用品にも適用可能であり、その場合、接着剤前駆体を開口端部に適用し、エステル縮合生成物としての接着剤を形成するように反応させることにより、前記開口端を互いに接合させる。
【実施例】
【0053】
実施例1:グリセロール−マレエートオリゴマー接着剤前駆体の調製
ビーカーに、グリセロール(オハイオ州シンシナティ(Cincinnati)のP&Gケミカルズ(P&G Chemicals))92.09g(1モル)と、p−トルエンスルホン酸(ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee)のアルドリッチ(Aldrich))0.48gとを加える。ビーカーを、4枚刃パドル混合用具とブルックフィールド粘度計とを装備したオーバーヘッド攪拌器(マサチューセッツ州ミドルボロー(Middleboro))の下部に位置するプレート上に置く。グリセロールとp−トルエンスルホン酸との混合物(glycerol p-toluensulfonic acid mixture)を攪拌して60℃まで加熱する。無水マレイン酸(ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee)のアルドリッチ(Aldrich))98.06g(1モル)を、このグリセロールとp−トルエンスルホン酸との混合物に攪拌しながら徐々に加える。透明な僅かに淡黄色の溶液が形成されるまで、混合物の温度を徐々に80℃まで上げる。温度を140℃まで上げる。この時点では、多少、発泡が目立つ。溶液は、粘度計で0.2Pa・s(2ポアズ)の粘度が示されるまで、140℃で攪拌する。材料は透明な淡黄色であり、容易に流し出せる。
【0054】
実施例2:紙用の接着剤としてのグリセロール−マレエートオリゴマーの利用
接着剤特性を試験するために、簡単な接着試験を完了する。試験用試料を、ASTM標準D1876−01、「接着剤類の剥離抵抗(Peel Resistance of Adhesives)」に従って調製する。試料は、長さ305mm及び幅25mmのストリップに切断された重量180g/m2の紙ストックのシート2枚からなる。一方の紙ストリップ上に、実施例1のオリゴマー接着剤前駆体の薄層に塗布する。接着剤前駆体は、ストリップの一方の末端部から測定して241mmまで紙の上に均一に塗布する。もう1枚の紙ストリップを、コーティングしたストリップの上にコーティング長さにわたるようにして押圧する。接合面積に塗布された接着剤の量は0.3gである。試料は10個作製する。次に、試料を対流式オーブンにおいて130℃で4時間硬化させる。硬化後、試料を室温まで冷却させて、室温で12時間状態調整する。接合した紙ストリップを、254mm/分の一定のヘッド速度に設定したインストロン試験機(Instron tester)(マサチューセッツ州ノアウッド(Norwood))によって引き剥がす。10個全てのケースにおいて、紙は、接着剤が破壊する前に引き裂かれ、凝集破壊を示しており、接着剤の強度が基材よりも大きいことが分かる。これにより、包装構造品に十分な接着性を与える材料を実現できる。
【0055】
実施例3:ポリマー用の接着剤としてのグリセロール−マレエートオリゴマーの利用
接着剤特性を試験するために、簡単な接着試験を完了する。試験用試料を、ASTM標準D1876−01、「接着剤類の剥離抵抗(Peel Resistance of Adhesives)」に従って調製する。厚さ10マイクロメートルのマイラー(MYLAR)(登録商標)ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムストック(バージニア州ホープウェル(Hopewell))のシート2枚から、長さ305mm及び幅25mmのストリップを切り出す。一方のPETストリップに、実施例1のオリゴマー接着剤前駆体の薄層に塗布する。接着剤前駆体は、一方の末端部から241mmまでフィルム上に均一塗布する。もう1枚のフィルムストリップを、コーティングしたストリップの上にコーティング長さにわたるようにして押圧する。接合面積に塗布された接着剤の量は0.3gである。試料は10個作製する。次に、試料を対流式オーブンにおいて130℃で4時間硬化させる。硬化後、試料を室温まで冷却させて、室温で12時間状態調整する。接合したフィルムストリップを、254mm/分の一定のヘッド速度に設定したインストロン試験機(Instron tester)によって引き剥がす。10個全てのケースにおいて、PETは、接着剤が破壊する前に変形し凝集破壊を示しており、接着剤の強度が基材よりも大きいことが分かる。これにより、包装構造品に十分な接着性を与える材料であることが証明される。
【0056】
実施例4:グリセロール−シトレートオリゴマー接着剤前駆体の調製:
ビーカーに、グリセロール(オハイオ州シンシナティ(Cincinnati)のP&Gケミカルズ(P&G Chemicals))92.09g(1モル)と、p−トルエンスルホン酸(ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee)のアルドリッチ(Aldrich))0.48gとを加える。ビーカーを、4枚刃パドル混合用具とブルックフィールド粘度計とを装備したオーバーヘッド攪拌器の下部に位置するプレート上に置く。グリセロール/p−トルエンスルホン酸混合物を攪拌して60℃まで加熱する。クエン酸(ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee)のアルドリッチ(Aldrich))192g(1モル)を、このグリセロールとp−トルエンスルホン酸との混合物に攪拌しながら徐々に加える。透明な僅かに淡黄色の溶液が形成されるまで、混合物の温度を徐々に80℃まで上げる。その後、温度を140℃まで上げる。この時点では、多少、発泡が目立つ。溶液は、粘度計で0.2Pa・s(2ポアズ)の粘度が示されるまで、140℃で攪拌する。材料は透明な淡黄色であり、容易に流し出せる。
【0057】
実施例5:紙用の接着剤としてのグリセロール−シトレートオリゴマーの利用
接着剤特性を試験するために、簡単な接着試験を完了する。試験用試料を、ASTM標準D1876−01、「接着剤類の剥離抵抗(Peel Resistance of Adhesives)」に従って調製する。試料は、長さ305mm及び幅25mmのストリップに切断された重量180g/m2の紙ストックのシート2枚からなる。一方の紙ストリップ上に、実施例4のオリゴマー接着剤前駆体の薄層に塗布する。接着剤前駆体は、ストリップの一方の末端部から測定して241mmまで紙の上に均一に塗布する。もう1枚の紙ストリップを、コーティングしたストリップの上にコーティング長さにわたるようにして押圧する。接合面積に塗布された接着剤の量は0.3gである。試料は10個作製する。次に、試料を対流式オーブンにおいて130℃で4時間硬化させる。硬化後、ストリップを室温まで冷却させて、室温で12時間調湿する。接合した紙ストリップを、254mm/分の一定のヘッド速度に設定したインストロン試験機(Instron tester)(マサチューセッツ州ノアウッド(Norwood))によって引き剥がす。10個全てのケースにおいて、紙は、接着剤が破壊する前に引き裂かれ、凝集破壊を示しており、接着剤の強度が基材よりも大きいことが分かる。これにより、包装構造品に十分な接着性を与える材料を実現できる。
【0058】
実施例6:ポリマー用の接着剤としてのグリセロール−シトレートオリゴマーの利用
接着剤特性を試験するために、簡単な接着試験を完了する。試験用試料を、ASTM標準D1876−01、「接着剤類の剥離抵抗(Peel Resistance of Adhesives)」に従って調製する。試料は、長さ305mm及び幅25mmのストリップに切断された、厚さ10マイクロメートルのマイラー(MYLAR)(登録商標)ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムストック(バージニア州ホープウェル(Hopewell))のシート2枚からなる。一方のPETストリップに、実施例4のオリゴマー接着剤前駆体を薄層に塗布する。接着剤前駆体は、一方の末端部から測定して241mmまでフィルムストリップ上に塗布する。もう1枚のフィルムストリップを、コーティングしたストリップの上にコーティングの長さにわたるようにして押圧する。接合面積に塗布された接着剤の量は0.3gである。試料は10個作製する。次に、試料を対流式オーブンにおいて130℃で4時間硬化させる。硬化後、試料を室温まで冷却させて、室温で12時間状態調整する。接合したフィルムストリップを、254mm/分の一定のヘッド速度に設定したインストロン試験機(Instron tester)によって引き剥がす。10個全てのケースにおいて、PETは、接着剤が破壊する前に変形し、凝集破壊を示しており、接着剤の強度が基材よりも大きいことが分かる。これにより、包装構造品に十分な接着性を与える材料を実現できる。
【0059】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳しく限定されるものとして理解されるべきではない。それよりむしろ、別段の指定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とこの値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することを意図している。例えば、「40mm」として開示した寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0060】
本発明の「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、関連部分において、本明細書に参照として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。本明細書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文献における同一の用語のいずれかの意味又は定義と相反する限りにおいては、本明細書において前記用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0061】
本発明の特定の実施形態を例示して説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正が可能であることが当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を基材と接合する方法であって、
(a)接合すべき基材を供給する工程と、
(b)反応性混合物を含む接着剤前駆体を供給する工程であって、前記反応性混合物が、
1)少なくとも1つの多価アルコール、並びに少なくとも1つの有機ポリ酸、少なくとも1つの有機酸無水物、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される反応物質、
2)(1)による反応性混合物から形成されたプレポリマー、
3)(1)の前記反応性混合物と(2)の前記プレポリマーとの組み合わせ、及び
4)(2)の前記プレポリマーと、多価アルコール、有機ポリ酸、有機酸無水物、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される反応物質類との組み合わせ、
からなる群より選択される反応性混合物を含む前記工程と、
(c)前記接着剤前駆体を前記基材の少なくとも一方の面に適用する工程と、
(d)前記接着剤前駆体を前記基材に接合しようとする材料と接触させて配置する工程と、
(e)前記接着剤前駆体を、エステル縮合生成物としての接着剤を形成するように反応させ、前記接着剤が前記基材を前記材料と接合させる工程と、を含む方法。
【請求項2】
前記多価アルコールが、グリセロール、グリコール、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記有機ポリ酸が、アジピン酸、クエン酸、マレイン酸、コハク酸、ポリアクリル酸、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記酸無水物が、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記反応性混合物が、一塩基酸、モノグリセリド、ジグリセリド、又はトリグリセリドを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記反応性混合物が、酸基、アルコール基、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される官能基を有する化合物を更に含み、かつ前記化合物が、シリコーンオリゴマー、ポリエチレングリコール、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
基材と、材料と、前記基材と前記材料との間に配置された接着剤前駆体と、を含む複合材料であって、前記接着剤前駆体が反応性混合物を含み、この反応性混合物が、
a)少なくとも1つの多価アルコール、並びに少なくとも1つの有機ポリ酸、少なくとも1つの有機酸無水物、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される反応物質、
b)(a)による反応性混合物から形成されたプレポリマー、
c)(a)の前記反応性混合物と(b)の前記プレポリマーとの組み合わせ、及び
d)(b)の前記プレポリマーと、多価アルコール、有機ポリ酸、有機酸無水物、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される反応物質類との組み合わせ、
からなる群より選択され、
前記接着剤前駆体を、前記基材と前記材料とを接合するエステル縮合生成物としての接着剤を形成するように反応させる、前記複合材料。
【請求項8】
前記基材層が、フィルム、不織布、紙、及び発泡体からなる群より選択される、請求項7に記載の複合材料。
【請求項9】
前記材料が、粒子、顆粒、粉末、及びペレットからなる群より選択される、請求項7又は8に記載の複合材料。
【請求項10】
前記材料が、フィルム、不織布、紙、及び発泡体からなる群より選択される第2基材を含む、請求項7又は8に記載の複合材料。
【請求項11】
複数の構成要素と、少なくとも2つの前記構成要素との間に配置された接着剤前駆体とを含む使い捨て物品であって、前記接着剤前駆体が反応性混合物を含み、この反応性混合物が、
a)少なくとも1つの多価アルコール、並びに少なくとも1つの有機ポリ酸、少なくとも1つの有機酸無水物、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される反応物質、
b)(a)による反応性混合物から形成されたプレポリマー、
c)(a)の前記反応性混合物と(b)の前記プレポリマーとの組み合わせ、及び
d)(b)の前記プレポリマーと、多価アルコール、有機ポリ酸、有機酸無水物、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される反応物質類との組み合わせ、
からなる群より選択され、
前記接着剤前駆体を、前記少なくとも2つの前記構成要素を接合するエステル縮合生成物としての接着剤を形成するように反応させる、前記使い捨て物品。
【請求項12】
前記2つの構成要素が、トップシート、バックシート、吸収性コア、弾性ウエスト構造部、及びレッグカフからなる群より選択される、請求項11に記載の使い捨て物品。
【請求項13】
複数の構成要素と、少なくとも2つの前記構成要素との間に配置された接着剤前駆体とを含む包装用品であって、前記接着剤前駆体が反応性混合物を含み、この反応性混合物が、
e)少なくとも1つの多価アルコール、並びに少なくとも1つの有機ポリ酸、少なくとも1つの有機酸無水物、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される反応物質、
f)(a)による反応性混合物から形成されたプレポリマー、
g)(a)の前記反応性混合物と(b)の前記プレポリマーとの組み合わせ、及び
h)(b)の前記プレポリマーと、多価アルコール、有機ポリ酸、有機酸無水物、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される反応物質類との組み合わせ、
からなる群より選択され、
前記接着剤前駆体を、前記少なくとも2つの構成要素を接合するエステル縮合生成物としての接着剤を形成するように反応させる、前記包装用品。

【図1】
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【公表番号】特表2010−530010(P2010−530010A)
【公表日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507052(P2010−507052)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【国際出願番号】PCT/IB2008/051868
【国際公開番号】WO2008/139410
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】