接着剤塗布ヘッド
【課題】実用性の高い接着剤塗布ヘッドを提供する。
【解決手段】接着剤112を吐出する接着剤吐出口110とガス116を噴き出すガス噴出口114とを備え、接着剤吐出口から吐出されている接着剤に向かってガス噴出口からガスが噴き出された状態で基体に接着剤を塗布するための接着剤塗布ヘッド10において、ガス噴出口から噴き出されたガスを接着剤吐出口から吐出されている接着剤に向かってガイドするガイド部78を備えるように構成する。このように構成することで、吐出されている接着剤に向かってガスを適切に噴出させることが可能となり、実用性の高い接着剤塗布ヘッドを提供することが可能となる。
【解決手段】接着剤112を吐出する接着剤吐出口110とガス116を噴き出すガス噴出口114とを備え、接着剤吐出口から吐出されている接着剤に向かってガス噴出口からガスが噴き出された状態で基体に接着剤を塗布するための接着剤塗布ヘッド10において、ガス噴出口から噴き出されたガスを接着剤吐出口から吐出されている接着剤に向かってガイドするガイド部78を備えるように構成する。このように構成することで、吐出されている接着剤に向かってガスを適切に噴出させることが可能となり、実用性の高い接着剤塗布ヘッドを提供することが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤塗布ヘッド、詳しくは、吐出されている接着剤に向かってガスが噴出された状態で基体に接着剤を塗布するための接着剤塗布ヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
接着剤を基体の表面に塗布するためのヘッドとしては、下記特許文献に記載されているように、溶融された接着剤を吐出する接着剤吐出口と、ガスを噴き出すガス噴出口とを備え、接着剤吐出口から吐出されている溶融接着剤に向かってガス噴出口からガスが噴き出された状態で基体に接着剤を塗布する構造のものが存在する。このような構造の接着剤塗布ヘッドによれば、吐出されている溶融接着剤を噴出されるガスによって細長いファイバー状とすることが可能となり、基体上に均一に接着剤を塗布することが可能となる。また、例えば、複数のガス噴出口を設け、吐出されている溶融接着剤に向かって複数の方向からガスが噴き出されることで、ファイバー状に吐出される溶融接着剤を蛇行させることが可能となり、基体表面の広い範囲に接着剤を塗布することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4960619号
【特許文献2】特開平10−183454号公報
【特許文献3】特開平10−305242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構造の接着剤塗布ヘッドでは、吐出されている溶融接着剤に向かって適切にガスが噴き出されることで、吐出されている溶融接着剤を噴出されるガスによって細長いファイバー状とすることが可能となっており、さらには、複数のガスの流れによって、ファイバー状に噴き出される溶融接着剤を蛇行させることが可能となっている。このため、吐出されている溶融接着剤にガスを確実に吹き付ける必要があるが、外気の乱れ等によって、噴き出されたガスの流れが乱される虞があり、そのような場合には、接着剤を適切に塗布できない虞がある。特に、上記特許文献1に記載の接着剤塗布ヘッドのように、4方向からガスが噴き出される構造の塗布ヘッドにおいては、4方向のガスの流れを収斂させる必要があり、吐出されている溶融接着剤にガスを適切に噴出させることが望まれる。
【0005】
また、複数の方向からガスが噴き出される構造の接着剤塗布ヘッドによれば、吐出される溶融接着剤を蛇行させることが可能であり、効率的に接着剤を塗布することが可能となっている。しかし、接着剤塗布ヘッドは、比較的小さく、複数のガス噴出口を形成することは困難であり、高コスト化を招く虞がある。特に、金属ブロックへの切削加工等により形成される接着剤塗布ヘッドでは、高コスト化等の傾向は顕著なものとなっている。このため、上記特許文献2,3に記載の接着剤塗布ヘッドでは、複数のプレートの各々にスリット,孔等を形成し、それら複数のプレートを積層することで、塗布ヘッドが形成されている。このように形成される接着剤塗布ヘッドにおいては、積層されるプレートの枚数は少ないことが望ましいが、上記特許文献2,3に記載の接着剤塗布ヘッドでは、比較的多くのプレートが必要とされている。
【0006】
このように接着剤塗布ヘッドには、実用性を改善する余地が多分に残されており、種々の改善を施すことで接着剤塗布ヘッドの実用性を向上させることが可能となる。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高い接着剤塗布ヘッドを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本願の請求項1に記載の接着剤塗布ヘッドは、接着剤を吐出する接着剤吐出口とガスを噴き出すガス噴出口とを備え、前記接着剤吐出口から吐出されている接着剤に向かって前記ガス噴出口からガスが噴き出された状態で基体に接着剤を塗布するための接着剤塗布ヘッドであって、前記ガス噴出口から噴き出されたガスを前記接着剤吐出口から吐出されている接着剤に向かってガイドするガイド部を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の接着剤塗布ヘッドは、請求項1に記載の接着剤塗布ヘッドにおいて、当該接着剤塗布ヘッドは、底部から先細形状に突出し、突出している端面に前記接着剤吐出口が開口する接着剤ノズル部と、前記底部の前記接着剤ノズル部に連続する部分に開口する前記ガス噴出口と、前記ガス噴出口から前記接着剤吐出口にわたって前記接着剤ノズル部の外周に立設され、前記ガイド部として機能する1対のガイド壁とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載の接着剤塗布ヘッドは、請求項1または請求項2に記載の接着剤塗布ヘッドにおいて、当該接着剤塗布ヘッドは、前記接着剤吐出口を中心として対称の位置に開口する1対の前記ガス噴出口を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に記載の接着剤塗布ヘッドは、請求項3に記載の接着剤塗布ヘッドにおいて、当該接着剤塗布ヘッドは、複数のプレートを有し、それら複数のプレートが積層された内プレート群と、前記内プレート群を挟持する1対の外プレートとを備え、前記複数のプレートは、(a)外縁に設けられた先細形状の第1凸部と、(b)その第1凸部の先端に開口するとともに、開口端が前記接着剤吐出口として機能する第1スリットと、(c)それぞれが、外縁の前記第1凸部に連続する部分に開口するとともに、開口端が前記ガス噴出口として機能する1対の第2スリットとを有する中央プレートと、それぞれが前記第1凸部より幅広の第2凸部を有し、前記中央プレートの両面に積層される1対の端プレートとを備え、前記第1凸部が前記1対の端プレートの前記第2凸部によって挟まれることで、前記第2凸部の幅方向の両端部が前記ガイド部として機能することを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に記載の接着剤塗布ヘッドは、請求項4に記載の接着剤塗布ヘッドにおいて、前記1対の外プレートの各々は、前記複数のプレートの各々より厚い形状とされ、前記1対の外プレートの一方である第1外プレートは、外部から導入される接着剤を貯留するための第1凹部を有し、前記1対の外プレートの他方である第2外プレートは、外部から導入されるガスを貯留するための第2凹部を有し、前記1対の端プレートのうちの前記第1外プレートと前記中央プレートとの間に位置するものは、前記第1凹部と前記第1スリットとを連通する接着剤連通孔を有し、前記1対の端プレートのうちの前記第2外プレートと前記中央プレートとの間に位置するものは、前記第2凹部と前記1対の第2スリットとを連通する第1ガス連通孔を有することを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に記載の接着剤塗布ヘッドは、請求項5に記載の接着剤塗布ヘッドにおいて、前記1対の端プレートのうちの前記第1外プレートと前記中央プレートとの間に位置するものは、前記1対の第2スリットに開口するガス迂回路を有し、前記中央プレートは、前記ガス迂回路と前記第1ガス連通孔とを連通する第2ガス連通孔を有することを特徴とする。
【0013】
また、請求項7に記載の接着剤塗布ヘッドは、請求項5または請求項6に記載の接着剤塗布ヘッドにおいて、当該接着剤塗布ヘッドは、前記1対の外プレートの間で積層される複数の前記内プレート群と、それら複数の内プレート群のうちの互いに隣り合う2つのものを隔離する1以上の隔離プレートとを備え、前記1以上の隔離プレートは、それぞれ、(a)前記第1外プレートに対向する面に形成され、外部から導入されるガスを貯留するための第3凹部と、(a)前記第2外プレートに対向する面に形成され、外部から導入される接着剤を貯留するための第4凹部とを有し、前記1対の端プレートのうちの前記隔離プレートの前記第3凹部側の面に積層されるものは、前記第3凹部と前記1対の第2スリットとを連通する中間ガス連通孔を有し、前記1対の端プレートのうちの前記隔離プレートの前記第4凹部側の面に積層されるものは、前記第4凹部と前記第1スリットとを連通する中間接着剤連通孔を有することを特徴とする。
【0014】
また、請求項8に記載の接着剤塗布ヘッドは、請求項7に記載の接着剤塗布ヘッドにおいて、前記複数の内プレート群の前記中央プレートの有する前記第1スリットは、互いに、積層方向に延びる直線上からズレた位置に開口することを特徴とする。
【0015】
また、請求項9に記載の接着剤塗布ヘッドは、請求項4ないし請求項8のいずれか1つに記載の接着剤塗布ヘッドにおいて、前記中央プレートは、外縁に並んで設けられる複数の前記第1凸部と、それら複数の第1凸部に対応して設けられる複数の前記第1スリットと、前記複数の第1凸部に対応して設けられる複数の前記1対の第2スリットとを有し、前記1対の端プレートは、それぞれ、前記複数の第1凸部に対応して設けられる複数の前記第2凸部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の接着剤塗布ヘッドでは、ガス噴出口から噴き出されるガスを、ガイド部によって、吐出されている接着剤に向かって導くことが可能となっている。したがって、請求項1に記載の接着剤塗布ヘッドによれば、吐出されている接着剤に向かってガスを適切に噴出させることが可能となる。
【0017】
また、請求項2に記載の接着剤塗布ヘッドでは、ガイド部の構造が具体的に限定されている。請求項2に記載の接着剤塗布ヘッドによれば、接着剤ノズル部の外周に立設された1対のガイド壁の間にガスを流すことが可能となり、外気の乱れ等の影響を受けることなく、確実に吐出されている接着剤に向かってガスを噴出させることが可能となる。さらに言えば、噴き出されるガスの速度,圧力等が低い場合であっても、確実に接着剤に向かってガスを噴出させることが可能となる。
【0018】
また、請求項3に記載の接着剤塗布ヘッドでは、2つのガス噴出口からのガスの流れによって吐出される接着剤を蛇行させることが可能となる。したがって、請求項3に記載の接着剤塗布ヘッドによれば、効率よく接着剤を基体上に塗布することが可能となる。
【0019】
また、請求項4に記載の接着剤塗布ヘッドでは、スリット,凸部等の形成された3枚のプレートを積層するだけで、ガイド部を備えた接着剤塗布ヘッドが実現される。したがって、請求項4に記載の接着剤塗布ヘッドによれば、吐出されている接着剤に向かってガスを適切に噴出させることが可能な接着剤塗布ヘッドの構造を簡便なものとすることが可能となる。
【0020】
また、請求項5に記載の接着剤塗布ヘッドでは、接着剤を貯留するためのキャビティとガスを貯留するためのキャビティとが、1対の外プレートに形成されている。一方、従来の接着剤塗布ヘッド、具体的にいえば、上記特許文献2,3に記載の接着剤塗布ヘッドでは、接着剤を貯留するためのキャビティとガスを貯留するためのキャビティとは、内プレート群に形成されており、内プレート群を比較的多くの枚数のプレートによって構成する必要があった。このことから、請求項5に記載の接着剤塗布ヘッドによれば、比較的少ない枚数のプレート、具体的にいえば、最少で3枚のプレートによって内プレート群を構成することが可能となり、接着剤塗布ヘッドの構造を簡便なものとすることが可能となる。
【0021】
また、請求項6に記載の接着剤塗布ヘッドでは、1つの第2スリットに、1対の端プレートの一方からガスが送風されるとともに、他方からもガスが送風される。つまり、1つの第2スリットに、互いに向かい合う2つの方向からガスが送風されるのである。これにより、第2スリットの開口端、つまり、ガス噴出口から、2方向にガスを噴き出すことが可能となる。したがって、1つの接着剤吐出口に対して2つのガス噴出口を備える請求項6に記載の接着剤塗布ヘッドによれば、上記特許文献1に記載の接着剤塗布ヘッドのように、吐出されている接着剤に向かって4方向からガスを噴出させることが可能となり、効果的に接着剤を蛇行させることが可能となる。
【0022】
また、請求項7に記載の接着剤塗布ヘッドでは、複数の内プレート群を積層することが可能とされている。したがって、1つの接着剤塗布ヘッドに複数の接着剤吐出口を設けることが可能となり、効率よく接着剤を塗布することが可能となる。
【0023】
また、請求項8に記載の接着剤塗布ヘッドでは、積層方向に延びる直線上に、複数の第1スリットのうちの1つのものしか開口していない。接着剤塗布ヘッドが装着される接着剤塗布システムでは、通常、上記積層方向に基体が移動させられて、基体上に接着剤塗布ヘッドによって接着剤が塗布される。このため、請求項8に記載の接着剤塗布ヘッドによれば、複数の第1スリットのうちの1つのものから基体上に吐出される接着剤と、他のものから基体上に吐出される接着剤との重なりを抑制することが可能となり、重畳的な接着剤の塗布を抑制することが可能となる。
【0024】
また、請求項9に記載の接着剤塗布ヘッドでは、1つの内プレート群に複数の接着剤吐出口を設けることが可能となっており、さらに、効率よく接着剤を塗布することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施例の接着剤塗布ヘッドを備えた接着剤塗布装置を示す図である。
【図2】分解された状態の接着剤塗布ヘッドを示す図である。
【図3】接着剤塗布ヘッドを構成する中央プレートを示す図である。
【図4】接着剤塗布ヘッドを構成する1対の端プレートの一方を示す図である。
【図5】接着剤塗布ヘッドを構成する1対の外プレートの一方を示す図である。
【図6】接着剤塗布ヘッドを構成する1対の端プレートの他方を示す図である。
【図7】接着剤塗布ヘッドを構成する1対の外プレートの他方を示す図である。
【図8】図3〜図7の5枚のプレートが積層された状態の接着剤塗布ヘッドを示す断面図である。
【図9】接着剤が吐出されるとともにガスが噴出された状態の中央プレートを示す断面図である。
【図10】接着剤が吐出されるとともにガスが噴出された状態の接着剤ノズルを示す斜視図である。
【図11】第2実施例の接着剤塗布ヘッドを示す断面図である。
【図12】接着剤塗布ヘッドを構成する第1の中央プレートを示す図である。
【図13】接着剤塗布ヘッドを構成する第1の1対の端プレートの一方を示す図である。
【図14】接着剤塗布ヘッドを構成する第1の1対の端プレートの他方を示す図である。
【図15】接着剤塗布ヘッドを構成する中間プレートを示す図である。
【図16】接着剤塗布ヘッドを構成する第2の中央プレートを示す図である。
【図17】接着剤塗布ヘッドを構成する第2の1対の端プレートの一方を示す図である。
【図18】接着剤塗布ヘッドを構成する第2の1対の端プレートの他方を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0027】
<第1実施例>
図1に、本発明の実施例の接着剤塗布ヘッド10を備えた接着剤塗布装置12を示す。接着剤塗布装置12は、図での左右方向に搬送される基体14の上面と対向するように配設されており、後に詳しく説明するように、接着剤塗布ヘッド10から接着剤を吐出するとともに、その吐出された接着剤に接着剤塗布ヘッド10からガスを噴出させた状態で基体14の上面に接着剤を塗布する構造とされている。
【0028】
接着剤塗布装置12は、接着剤を吐出しつつガスを噴出する接着剤塗布ヘッド10と、その接着剤塗布ヘッド10が装着される塗布ヘッドアダプター16と、その塗布ヘッドアダプター16の上面に設けられた概して円筒状の接着剤供給弁18とを備えている。塗布ヘッドアダプター16には、装置本体20から供給されるガスを接着剤塗布ヘッド10に導入するためのガス導入路22と、装置本体20から供給される接着剤を、接着剤供給弁18を介して、接着剤塗布ヘッド10に導入するための接着剤導入路24とが形成されている。ちなみに、ガス導入路22と接着剤導入路24とは、交わることなく、立体交差している。
【0029】
また、接着剤供給弁18には、装置本体20から接着剤導入路24への接着剤の供給と遮断とを切り換えることが可能な弁通路26が形成されている。その弁通路26には、弁体(図示省略)および、その弁体が着座可能な弁座(図示省略)が設けられており、弁体が弁座から離座することで接着剤導入路24に接着剤が供給され、弁体が弁座に着座することで接着剤導入路24への接着剤の供給が遮断されるようになっている。なお、弁通路26には、装置本体20において溶融された接着剤が供給され、ガス導入路22には、装置本体20において加圧されたガスが供給されるようになっている
【0030】
接着剤塗布ヘッド10は、図2に示すように、3枚のプレートによって構成される内プレート群30と、その内プレート群30を挟持する1対の外プレート32,34とを有している。内プレート群30の3枚のプレートは、中央に配置される中央プレート36と、その中央プレート36の両面に配置される1対の端プレート38,40とによって構成されており、比較的薄い形状とされている。一方、1対の外プレート32,34は、図での右端に配置される第1外プレート32と、図での左端に配置される第2外プレート34とによって構成されており、内プレート群30を構成するプレートより厚い形状とされている。なお、1対の端プレート38,40を区別して説明する場合には、1対の端プレート38,40のうちの第1外プレート32と中央プレート36との間に配置されるものを、第1端プレート38と、第2外プレート34と中央プレート36との間に配置されるものを、第2端プレート40と呼ぶことにする。
【0031】
第1外プレート32の上端部の両角と、その両角の下方には、4つのネジ穴50が形成されており、他の4枚のプレート34,36,38,40の各々には、その4つのネジ穴50に対応する位置に4つの貫通穴52,54,56,58が形成されている。そして、貫通穴52,54,56,58を挿通した状態で、ねじ60(図では1つだけ示している)がネジ穴50に締結されることで、5枚のプレート32,34,36,38,40が積層され、一体化されている。以下に、5枚のプレート32,34,36,38,40の各々について詳しく説明する。
【0032】
まず、5枚のプレート32,34,36,38,40のうちの中央に配置される中央プレート36は、図3に示すように、上端中央部に設けられた比較的大きな径の大径孔70と、下縁に開口する第1スリット72と、その第1スリット72の開口を挟むようにして下縁に開口する1対の第2スリット74と、それら1対の第2スリット74の上方に位置するとともに、比較的小さな径の1対の小径孔76とを備えている。第1スリット72は、下縁に対して垂直な方向に延びるようにして、下縁の中央部に開口している。一方、第2スリット74は、上端が第1スリット72から離れるようにして設けられており、その上端は、第1スリット72の上端よりも下方に位置している。小径孔76は、第2スリット74を上方に延長させた箇所に位置しており、第1スリット72の略中央部の近傍に位置している。また、1対の第2スリット74の開口と第1スリット72の開口との間は、1対の先鋭状の突起部78とされており、それぞれの先端は第2スリット74の開口より下方に位置している。つまり、第1スリット72の開口は、第2スリット74の開口より下方に位置している。
【0033】
次に、中央プレート36と第2外プレート34との間に配置される第2端プレート40は、図4に示すように、上端中央部に設けられた比較的大きな径の大径孔80と、下縁の中央部に設けられ下方に突出する凸部82と、その凸部82の上方に設けられた1対の長孔84とを備えている。1対の長孔84は、概ね上下方向に延びるとともに、互いの上端が離れるように設けられている。その長孔84は、中央プレート36の第2スリット74の上端部と小径孔76とに対応する位置に設けられており、中央プレート36に積層された場合に第2スリット74と小径孔76とに開口する。また、大径孔80は、中央プレート36の大径孔70に対応する位置に設けられている。
【0034】
次に、図2において左端に位置するプレート、つまり、第2端プレート40に積層される第2外プレート34は、図5に示すように、第2端プレート40に積層される面に設けられ、概して山型にくり抜かれたガスキャビティ86と、そのガスキャビティ86内の略中央部に設けられた中央凸部88と、ガスキャビティ86内の上端に設けられた大径孔90とを備えている。つまり、ガスキャビティ86は、中央凹部88の外周を囲むようにして形成された凹部であり、その凹部内の上端部に、大径孔90が形成されている。ガスキャビティ86は、後に説明するように、塗布ヘッドアダプター16から導入されるガスを貯留するためのものであり、第2端プレート40の1対の長孔84の上端部に対応する位置に設けられている。これにより、ガスキャビティ86に貯留されるガスを、1対の長孔84に供給することが可能となっている。また、大径孔90は、第2端プレート40の大径孔80に対応する位置に設けられている。
【0035】
次に、中央プレート36と第1外プレート32との間に配置される第1端プレート38は、図6に示すように、上端中央部に設けられた比較的大きな径の大径孔92と、下縁の中央部に設けられ下方に突出する凸部94と、その凸部94の上方に設けられた1対の長孔96と、それら1対の長孔96の中間の位置の上方に設けられた小径孔98とを備えている。1対の長孔96は、概ね上下方向に延びるとともに、互いの上端が離れるように設けられている。その長孔96は、中央プレート36の第2スリット74の上端部と小径孔76とに対応する位置に設けられており、中央プレート36に積層された場合に第2スリット74と小径孔76とに開口する。また、小径孔98は、中央プレート36の第1スリット72の上端部に対応する位置に設けられており、中央プレート36に積層された場合に第1スリット74に開口する。なお、大径孔92は、中央プレート36の大径孔70に対応する位置に設けられている。
【0036】
最後に、図2において右端に位置するプレート、つまり、第1端プレート38に積層される第1外プレート32は、図7に示すように、上端中央部に設けられた比較的大きな径の大径孔100と、その大径孔100の下方に設けられた概して山型の接着剤キャビティ102と、その接着剤キャビティ102内の上端に設けられた接着剤導入孔104と、上下方向における中央部の左右両端に設けられた1対の位置決め孔106とを備えている。接着剤キャビティ102は、後に説明するように、塗布ヘッドアダプター16から導入される接着剤を貯留するためのものであり、第1端プレート38に積層される面に設けられている。そして、接着剤キャビティ102は、第1端プレート38の小径孔98に対応する位置に設けられており、接着剤キャビティ102に貯留される接着剤を、小径孔98に供給することが可能となっている。また、大径孔100は、第1端プレート38の大径孔92に対応する位置に設けられている。
【0037】
上記構造の5枚のプレート32,34,36,38,40が積層され、ねじ60によって一体化された接着剤塗布ヘッド10は、図1に示すように、ボルト108によって塗布ヘッドアダプター16に締結されている。詳しく言えば、ボルト108は、各プレート32,34,36,38,40の大径孔70,80,90,92,100を挿通しており、塗布ヘッドアダプター16のガス導入路22の開口に形成された雌ネジ部に締結されている。ちなみに、塗布ヘッドアダプター16の接着剤塗布ヘッド10が装着される面には、第1外プレート32の1対の位置決め孔106に対応する位置に1対の突起(図示省略)が形成されており、1対の位置決め孔106と1対の突起とによって、接着剤塗布ヘッド10を、塗布ヘッドアダプター16の所定の位置に装着することが可能となっている。
【0038】
接着剤塗布ヘッド10が、塗布ヘッドアダプター16の所定の位置に装着されることで、第1外プレート32の接着剤導入孔104は、塗布ヘッドアダプター16の接着剤導入路24に開口するようになっており、接着剤導入路24から供給される接着剤を、接着剤キャビティ102に貯留することが可能となっている。また、ガス導入路22の雌ネジ部に締結されているボルト108の雄ネジ部には、軸方向に延びるように溝(図示省略)が形成されており、その溝を介して、ガス導入路22と第2外プレート34の大径孔90、つまり、ガスキャビティ86とが連通している。これにより、ガス導入路22から供給されるガスを、ガスキャビティ86に貯留することが可能となっている。
【0039】
上述した構造によって、接着剤塗布ヘッド10では、接着剤導入路24から供給された接着剤を中央プレート36の第1スリット72の開口から吐出するとともに、ガス導入路22から供給されたガスを中央プレート36の1対の第2スリット72の各々の開口から噴出することが可能となっている。詳しく説明すれば、図3〜7でのAA線における断面図である図8に示すように、接着剤導入路24から供給される接着剤は、図での2点鎖線に示すように、第1外プレート32の接着剤導入孔104を介して、接着剤キャビティ102に貯留される。そして、接着剤キャビティ102に貯留された接着剤は、第1端プレート38の小径孔98を介して、中央プレート36の第1スリット72に流入し、第1スリット72の下端から吐出される。
【0040】
また、ガス導入路22から供給されるガスは、図での1点鎖線に示すように、5枚のプレート32,34,36,38,40の大径孔70,80,90,92,100を介して、第2外プレート34のガスキャビティ86に貯留される。そして、ガスキャビティ86に貯留されたガスは、第2端プレート40の長孔84を介して、中央プレート36の第2スリット74に流入する。また、ガスキャビティ86に貯留されたガスは、第2端プレート40の長孔84を介して、中央プレート36の小径孔76に流入し、第1端プレート38の長孔96を迂回して、中央プレート36の第2スリット74に流入する。このように、1つの第2スリット74に対して、第2端プレート40の長孔84からガスが流入するとともに、第1端プレート38の長孔96からもガスが流入し、第2スリット74の下端からガスが噴き出される。
【0041】
第1スリット72の開口から吐出される接着剤と第2スリット74から噴出されるガスとの流れを説明するべく、図9に、接着剤塗布ヘッド10の中央プレート36における断面図を示す。第1スリット72は、中央プレート36の下縁に垂直な方向に延びるように形成されており、その第1スリット72の開口110から接着剤112(2点鎖線)が吐出される。一方、第2スリット74は、それの上端が第1スリット72から離れるように形成されており、その第2スリット74の開口114からガス116(1点鎖線)が、第1スリット72の開口110から吐出されている接着剤112に向かって噴出される。この際、噴出されるガス116は、中央プレート36の下縁に突出する突起部78の側面に沿って接着剤112に向かって導かれるようになっている。
【0042】
詳しく説明すれば、中央プレート36の下縁には、1対の突起部78と第1スリット72の開口110とによって構成される台形状の中央凸部118が形成されている。その台形状の中央凸部118の上底は下底より長くなっており、その上底の両端に隣接して1対の第2スリット74が開口している。そして、その1対の第2スリット74の開口114から噴出されるガスが、中央凸部118の両側辺に沿って流れ、第1スリット72の開口110から吐出されている接着剤112に向かって導かれる。これにより、吐出されている接着剤112は、1対の第2スリット74の開口114から噴出されているガス116によって、ファイバー状に引延ばされるとともに、蛇行することで、好適に基体14上に接着剤が塗布されるようになっている。
【0043】
また、1つの第2スリット74の開口114から噴出されるガス116は、2つの流れに分岐しており、1対の第2スリット74の開口114からは、4つの流れのガス116が噴出されている。詳しく説明すれば、ガス116を噴出する第2スリット74には、上述したように、第2端プレート40の長孔84からガスが流入するとともに、第1端プレート38の長孔96からもガス116が流入する。つまり、互いに向かい合う2つの方向からガス116が流入する。これにより、図10に示すように、第1端プレート38の長孔96から流入したガス116a(1点鎖線)は、第1端プレート38の凸部94に沿って接着剤112(2点鎖線)に向かって導かれ、第2端プレート40の長孔84から流入したガス116bは、第2端プレート40の凸部82に沿って接着剤112に向かって導かれる。したがって、接着剤塗布ヘッド10では、第1スリット72の開口110から吐出されている接着剤112に向かって、4つの方向からガス116を噴出することが可能となっている。
【0044】
上述した構造によって、接着剤塗布ヘッド10では、中央プレート36の中央凸部118と、その中央凸部118を挟む第1端プレート38の凸部94および第2端プレート40凸部82とによって、接着剤を吐出する接着剤ノズル119が構成されており、その接着剤ノズル119の2つの凸部82,94の両側部が、1対のガイド壁のように機能して、第2スリット74の開口114から噴出されるガスが、吐出されている接着剤に向かって導かれる。これにより、外気の乱れ等の影響を受けることなく、確実に吐出されている接着剤に向かってガスを噴出させることが可能となる。特に、接着剤塗布ヘッド10では、4つの方向に噴出されているガスを、吐出されている接着剤に向かって、収斂させる必要があるため、ガスをガイドする機能は非常に有効である。さらに、吐出されている接着剤112に向かって、4つの方向からガス116が噴出されることで、効果的に接着剤を蛇行させることが可能となっている。
【0045】
また、接着剤塗布ヘッド10は、5枚のプレート32,34,36,38,40が積層されることによって形成されており、各プレートは、比較的シンプルな形状とされている。特に、各種スリット72,74および各種貫通穴70,80等の形成は比較的容易である。このため、接着剤塗布ヘッド10の製造コストを比較的安価なものとすることが可能となる。また、接着剤塗布ヘッド10では、5枚のプレート32,34,36,38,40がねじ60によって一体化されることから、接着剤塗布ヘッド10の分解および組立を容易に行うことが可能となっている。さらに、接着剤塗布ヘッド10の部品点数は少なく、各部品の形状もシンプルなため、洗浄性は極めて高いものとなっている。
【0046】
<第2実施例>
第1実施例の接着剤塗布ヘッド10では、1組の内プレート群30が1対の外プレート32,34によって挟持されていたが、第2実施例の接着剤塗布ヘッド120では、図11に示すように、2組の内プレート群122,124が1対の外プレート32,34によって挟持されるとともに、2組の内プレート群122,124によって中間プレート126が挟まれている。なお、第2実施例の接着剤塗布ヘッド120を構成する複数のプレートは、第1実施例の接着剤塗布ヘッド10の複数のプレートと比較して、類似した構成であるため、同様の機能の構成要素については、同じ符号を用いて説明を省略あるいは簡略に行うものとする。
【0047】
第1外プレート32と中間プレート126との間に位置する内プレート群122は、第1実施例の内プレート群30と同様に、中央に配置される中央プレート130と、その中央プレート130の両面に配置される1対の端プレート132,134とによって構成されているが、第1実施例の内プレート群30とは異なり、4つの接着剤吐出口と4対のガス噴出口とが設けられている。その内プレート群122の中央プレート130は、図12に示すように、同じピッチで設けられた4つの第1スリット72と、それら4つの第1スリット72に対応して設けられた4組の1対の第2スリット74と、4つの第1スリット72に対応して設けられた4組の1対の小径孔76と、4つの第1スリット72に対応して設けられた4組の1対の突起部78と、大径孔70の下方に設けられる接着剤導入孔136とを備えている。
【0048】
1対の端プレート132,134のうちの中央プレート130と第1外プレート32との間に位置する第1端プレート132は、図13に示すように、中央プレート130の4つの第1スリット72に対応する位置に設けられた4つの凸部94と、4組の1対の第2スリット74に対応する位置に設けられた4組の1対の長孔96と、4つの第1スリット72に対応する位置に設けられた4つの小径孔98と、大径孔92の下方に設けられる接着剤導入孔138とを備えており、その接着剤導入孔138は、中央プレート130の接着剤導入孔136に対応する位置に設けられている。
【0049】
また、1対の端プレート132,134のうちの中央プレート130と中間プレート126との間に位置する第2端プレート134は、図14に示すように、中央プレート130の4つの第1スリット72に対応する位置に設けられた4つの凸部82と、4組の1対の第2スリット74に対応する位置に設けられた4組の1対の長孔84と、大径孔80の下方に設けられる接着剤導入孔140とを備えており、その接着剤導入孔140は、中央プレート130の接着剤導入孔136に対応する位置に設けられている。
【0050】
次に、2組の内プレート群122,124の間に位置する中間プレート126は、図15に示すように、内プレート群122の側の面に設けられたガスキャビティ86と、そのガスキャビティ86内の略中央部に設けられた中央凸部88と、ガスキャビティ86内の上端に設けられた大径孔142と、内プレート群124の側の面に設けられ、大径孔142の下方に位置する接着剤キャビティ102と、その接着剤キャビティ102内の上端に設けられた接着剤導入孔144とを備えている。その接着剤導入孔144は中央凸部88を貫通しており、内プレート群122の第2端プレート134の接着剤導入孔140に対応する位置に設けられている。また、大径孔142は、内プレート群122の第2端プレート134の大径孔80に対応する位置に設けられている。
【0051】
その中間プレート126と第2外プレート34との間に位置する内プレート群124は、第1実施例の内プレート群30と同様に、中央に配置される中央プレート150と、その中央プレート150の両面に配置される1対の端プレート152,154とによって構成されているが、第1実施例の内プレート群30とは異なり、5つの接着剤吐出口と5対のガス噴出口とが設けられている。その内プレート群124の中央プレート150は、図16に示すように、同じピッチで設けられた5つの第1スリット72と、それら5つの第1スリット72に対応して設けられた5組の1対の第2スリット74と、5つの第1スリット72に対応して設けられた5組の1対の小径孔76と、5つの第1スリット72に対応して設けられた5組の1対の突起部78とを備えている。
【0052】
1対の端プレート152,154のうちの中央プレート150と中間プレート126との間に位置する第1端プレート152は、図17に示すように、中央プレート150の5つの第1スリット72に対応する位置に設けられた5つの凸部94と、5組の1対の第2スリット74に対応する位置に設けられた5組の1対の長孔96と、5つの第1スリット72に対応する位置に設けられた5つの小径孔98とを備えている。一方、中央プレート150と第2外プレート34との間に位置する第2端プレート154は、図18に示すように、中央プレート150の5つの第1スリット72に対応する位置に設けられた5つの凸部82と、5組の1対の第2スリット74に対応する位置に設けられた5組の1対の長孔84とを備えている。
【0053】
上述した構造によって、接着剤塗布ヘッド120では、接着剤導入路24から供給された接着剤を中央プレート130の4つの第1スリット72の開口および中央プレート150の5つの第1スリット72の開口から吐出するとともに、ガス導入路22から供給されたガスを中央プレート130の4組の1対の第2スリット72および中央プレート150の5組の1対の第2スリット72の開口から噴出することが可能となっている。詳しく説明すれば、図11に示すように、接着剤導入路24から供給される接着剤は、図での2点鎖線に示すように、第1外プレート32の接着剤導入孔104を介して、接着剤キャビティ102に貯留される。そして、接着剤キャビティ102に貯留された接着剤は、第1端プレート132の小径孔98を介して、中央プレート130の4つの第1スリット72に流入し、4つの第1スリット72の下端から吐出される。また、接着剤キャビティ102に貯留された接着剤は、内プレート群122の接着剤導入孔136,138,140および中間プレート126の接着剤導入孔144を介して、中間プレート126の接着剤キャビティ102に貯留される。そして、その接着剤キャビティ102に貯留された接着剤は、第1端プレート152の小径孔98を介して、中央プレート150の5つの第1スリット72に流入し、5つの第1スリット72の下端から吐出される。
【0054】
また、ガス導入路22から供給されるガスは、図での1点鎖線に示すように、5枚のプレート32,126,130,132,134の大径孔70,80,92,100,142を介して、中間プレート126のガスキャビティ86に貯留される。そして、ガスキャビティ86に貯留されたガスは、第2端プレート134の長孔84を介して、中央プレート130の4組の1対の第2スリット74に流入する。さらに、中間プレート126のガスキャビティ86に貯留されたガスは、第2端プレート134の長孔84を介して、中央プレート130の小径孔76に流入し、第1端プレート132の長孔96を迂回して、中央プレート130の4組の1対の第2スリット74に流入する。これにより、ガスが、4組の1対の第2スリット74の下端から噴出される。
【0055】
また、ガス導入路22から中間プレート126の大径孔142にまで供給されたガスは、4枚のプレート34,150,152,154の大径孔70,80,90,92を介して、第2外プレート34のガスキャビティ86に貯留される。そして、そのガスキャビティ86に貯留されたガスは、第2端プレート154の長孔84を介して、中央プレート150の5組の1対の第2スリット74に流入する。さらに、第2外プレート34のガスキャビティ86に貯留されたガスは、第2端プレート154の長孔84を介して、中央プレート150の小径孔76に流入し、第1端プレート152の長孔96を迂回して、中央プレート150の5組の1対の第2スリット74に流入する。これにより、ガスが、5組の1対の第2スリット74の下端から噴出される。
【0056】
上述した構造によって、接着剤塗布ヘッド120では、9つの第1スリット72の開口から接着剤を吐出するとともに、9組の1対の第2スリット74の下端からガスを噴出することが可能となっており、基体14上の広い範囲に接着剤を塗布することが可能となっている。さらに、9つの第1スリット72は、複数のプレートが積層される方向において、互いにズレた位置において開口している。つまり、積層方向に延びる直線上には、9つの第1スリット72のうちの1つのものしか開口していないのである。これにより、積層方向、つまり、図1での左右方向に搬送される基体14上に、重畳的に接着剤を塗布することを抑制することが可能となる。さらに、接着剤塗布ヘッド120では、第1実施例の接着剤塗布ヘッド10と同様の効果を得ることが可能となっている。
【0057】
ちなみに、上記第1実施例および第2実施例において、接着剤塗布ヘッド10,120は、接着剤塗布ヘッドの一例である。その接着剤塗布ヘッド10,120を構成する第1外プレート32,第2外プレート34は、第1外プレート,第2外プレートの一例であり、内プレート群30,122,124は、内プレート群の一例である。その内プレート群30,122,124を構成する中央プレート36,130,150は、中央プレートの一例であり、端プレート38,40,132,134,152,154は、端プレートの一例である。中央プレート36,130,150の第1スリット72,第2スリット74,小径孔76,中央凸部118は、第1スリット,第2スリット,第2ガス連通孔,第1凸部の一例であり、端プレート38,40,132,134,152,154の凸部82,94は、第2凸部の一例である。第1スリット72の開口110は、接着剤吐出口の一例であり、第2スリット74の開口114は、ガス噴出口の一例である。凸部82,94の両側部は、ガイド部およびガイド壁の一例であり、凸部82,94と中央凸部118トによって構成される接着剤ノズル119は、接着剤ノズル部の一例である。端プレート40,154の長孔84は、第1ガス連通孔の一例であり、端プレート38,132の小径孔98は、接着剤連通孔の一例である。端プレート38,132,152の長孔96は、ガス迂回路の一例である。端プレート134の長孔84は、中間ガス連通孔の一例であり、端プレート152の小径孔98は、中間接着剤連通孔の一例である。第1外プレート32の接着剤キャビティ102は、第1凹部の一例であり、第2外プレート34のガスキャビティ86は、第2凹部の一例である。中間プレート126は、隔離プレートの一例であり、中間プレート126のガスキャビティ86,接着剤キャビティ102は、第3凹部,第4凹部の一例である。
【0058】
なお、本発明は、上記第1実施例および第2実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。具体的には、例えば、上記第1実施例および第2実施例では、端プレート38,40,132,134,152,154の凸部82,94の両側部をガイド部として機能させることで、ガスを吐出されている接着剤に向かって導いているが、ガス噴出口に筒状の部材,溝状の部材等を取り付けることで、ガスを導くように構成してもよい。
【0059】
また、上記第1実施例および第2実施例では、各プレート36,38等にガスを導入するための大径孔70,80等が形成されているが、大径孔70,80等を形成することなく、第2外プレート34にそれの側面とガスキャビティ86とを連通する連通孔を形成し、その連通孔を介してガスキャビティ102にガスを導入してもよい。
【符号の説明】
【0060】
10:接着剤塗布ヘッド
30:内プレート群
32:第1外プレート
34:第2外プレート
36:中央プレート
38:端プレート
40:端プレート
72:第1スリット
74:第2スリット
76:小径孔(第2ガス連通孔)
82:凸部(第2凸部)(ガイド部)(ガイド壁)
84:長孔(第1ガス連通孔)(中間ガス連通孔)
86:ガスキャビティ(第2凹部)(第3凹部)
94:凸部(第2凸部)(ガイド部)(ガイド壁)
96:長孔(ガス迂回路)
98:小径孔(接着剤連通孔)(中間接着剤連通孔)
102:接着剤キャビティ(第1凹部)(第4凹部)
110:開口(接着剤吐出口)
114:開口(ガス噴出口)
118:中間凸部(第1凸部)
119:接着剤ノズル(接着剤ノズル部)
120:接着剤塗布ヘッド
122:内プレート群
124:内プレート群
126:中間プレート(隔離プレート)
130:中央プレート
132:端プレート
134:端プレート
150:中央プレート
152:端プレート
154:端プレート
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤塗布ヘッド、詳しくは、吐出されている接着剤に向かってガスが噴出された状態で基体に接着剤を塗布するための接着剤塗布ヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
接着剤を基体の表面に塗布するためのヘッドとしては、下記特許文献に記載されているように、溶融された接着剤を吐出する接着剤吐出口と、ガスを噴き出すガス噴出口とを備え、接着剤吐出口から吐出されている溶融接着剤に向かってガス噴出口からガスが噴き出された状態で基体に接着剤を塗布する構造のものが存在する。このような構造の接着剤塗布ヘッドによれば、吐出されている溶融接着剤を噴出されるガスによって細長いファイバー状とすることが可能となり、基体上に均一に接着剤を塗布することが可能となる。また、例えば、複数のガス噴出口を設け、吐出されている溶融接着剤に向かって複数の方向からガスが噴き出されることで、ファイバー状に吐出される溶融接着剤を蛇行させることが可能となり、基体表面の広い範囲に接着剤を塗布することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4960619号
【特許文献2】特開平10−183454号公報
【特許文献3】特開平10−305242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構造の接着剤塗布ヘッドでは、吐出されている溶融接着剤に向かって適切にガスが噴き出されることで、吐出されている溶融接着剤を噴出されるガスによって細長いファイバー状とすることが可能となっており、さらには、複数のガスの流れによって、ファイバー状に噴き出される溶融接着剤を蛇行させることが可能となっている。このため、吐出されている溶融接着剤にガスを確実に吹き付ける必要があるが、外気の乱れ等によって、噴き出されたガスの流れが乱される虞があり、そのような場合には、接着剤を適切に塗布できない虞がある。特に、上記特許文献1に記載の接着剤塗布ヘッドのように、4方向からガスが噴き出される構造の塗布ヘッドにおいては、4方向のガスの流れを収斂させる必要があり、吐出されている溶融接着剤にガスを適切に噴出させることが望まれる。
【0005】
また、複数の方向からガスが噴き出される構造の接着剤塗布ヘッドによれば、吐出される溶融接着剤を蛇行させることが可能であり、効率的に接着剤を塗布することが可能となっている。しかし、接着剤塗布ヘッドは、比較的小さく、複数のガス噴出口を形成することは困難であり、高コスト化を招く虞がある。特に、金属ブロックへの切削加工等により形成される接着剤塗布ヘッドでは、高コスト化等の傾向は顕著なものとなっている。このため、上記特許文献2,3に記載の接着剤塗布ヘッドでは、複数のプレートの各々にスリット,孔等を形成し、それら複数のプレートを積層することで、塗布ヘッドが形成されている。このように形成される接着剤塗布ヘッドにおいては、積層されるプレートの枚数は少ないことが望ましいが、上記特許文献2,3に記載の接着剤塗布ヘッドでは、比較的多くのプレートが必要とされている。
【0006】
このように接着剤塗布ヘッドには、実用性を改善する余地が多分に残されており、種々の改善を施すことで接着剤塗布ヘッドの実用性を向上させることが可能となる。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高い接着剤塗布ヘッドを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本願の請求項1に記載の接着剤塗布ヘッドは、接着剤を吐出する接着剤吐出口とガスを噴き出すガス噴出口とを備え、前記接着剤吐出口から吐出されている接着剤に向かって前記ガス噴出口からガスが噴き出された状態で基体に接着剤を塗布するための接着剤塗布ヘッドであって、前記ガス噴出口から噴き出されたガスを前記接着剤吐出口から吐出されている接着剤に向かってガイドするガイド部を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の接着剤塗布ヘッドは、請求項1に記載の接着剤塗布ヘッドにおいて、当該接着剤塗布ヘッドは、底部から先細形状に突出し、突出している端面に前記接着剤吐出口が開口する接着剤ノズル部と、前記底部の前記接着剤ノズル部に連続する部分に開口する前記ガス噴出口と、前記ガス噴出口から前記接着剤吐出口にわたって前記接着剤ノズル部の外周に立設され、前記ガイド部として機能する1対のガイド壁とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載の接着剤塗布ヘッドは、請求項1または請求項2に記載の接着剤塗布ヘッドにおいて、当該接着剤塗布ヘッドは、前記接着剤吐出口を中心として対称の位置に開口する1対の前記ガス噴出口を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に記載の接着剤塗布ヘッドは、請求項3に記載の接着剤塗布ヘッドにおいて、当該接着剤塗布ヘッドは、複数のプレートを有し、それら複数のプレートが積層された内プレート群と、前記内プレート群を挟持する1対の外プレートとを備え、前記複数のプレートは、(a)外縁に設けられた先細形状の第1凸部と、(b)その第1凸部の先端に開口するとともに、開口端が前記接着剤吐出口として機能する第1スリットと、(c)それぞれが、外縁の前記第1凸部に連続する部分に開口するとともに、開口端が前記ガス噴出口として機能する1対の第2スリットとを有する中央プレートと、それぞれが前記第1凸部より幅広の第2凸部を有し、前記中央プレートの両面に積層される1対の端プレートとを備え、前記第1凸部が前記1対の端プレートの前記第2凸部によって挟まれることで、前記第2凸部の幅方向の両端部が前記ガイド部として機能することを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に記載の接着剤塗布ヘッドは、請求項4に記載の接着剤塗布ヘッドにおいて、前記1対の外プレートの各々は、前記複数のプレートの各々より厚い形状とされ、前記1対の外プレートの一方である第1外プレートは、外部から導入される接着剤を貯留するための第1凹部を有し、前記1対の外プレートの他方である第2外プレートは、外部から導入されるガスを貯留するための第2凹部を有し、前記1対の端プレートのうちの前記第1外プレートと前記中央プレートとの間に位置するものは、前記第1凹部と前記第1スリットとを連通する接着剤連通孔を有し、前記1対の端プレートのうちの前記第2外プレートと前記中央プレートとの間に位置するものは、前記第2凹部と前記1対の第2スリットとを連通する第1ガス連通孔を有することを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に記載の接着剤塗布ヘッドは、請求項5に記載の接着剤塗布ヘッドにおいて、前記1対の端プレートのうちの前記第1外プレートと前記中央プレートとの間に位置するものは、前記1対の第2スリットに開口するガス迂回路を有し、前記中央プレートは、前記ガス迂回路と前記第1ガス連通孔とを連通する第2ガス連通孔を有することを特徴とする。
【0013】
また、請求項7に記載の接着剤塗布ヘッドは、請求項5または請求項6に記載の接着剤塗布ヘッドにおいて、当該接着剤塗布ヘッドは、前記1対の外プレートの間で積層される複数の前記内プレート群と、それら複数の内プレート群のうちの互いに隣り合う2つのものを隔離する1以上の隔離プレートとを備え、前記1以上の隔離プレートは、それぞれ、(a)前記第1外プレートに対向する面に形成され、外部から導入されるガスを貯留するための第3凹部と、(a)前記第2外プレートに対向する面に形成され、外部から導入される接着剤を貯留するための第4凹部とを有し、前記1対の端プレートのうちの前記隔離プレートの前記第3凹部側の面に積層されるものは、前記第3凹部と前記1対の第2スリットとを連通する中間ガス連通孔を有し、前記1対の端プレートのうちの前記隔離プレートの前記第4凹部側の面に積層されるものは、前記第4凹部と前記第1スリットとを連通する中間接着剤連通孔を有することを特徴とする。
【0014】
また、請求項8に記載の接着剤塗布ヘッドは、請求項7に記載の接着剤塗布ヘッドにおいて、前記複数の内プレート群の前記中央プレートの有する前記第1スリットは、互いに、積層方向に延びる直線上からズレた位置に開口することを特徴とする。
【0015】
また、請求項9に記載の接着剤塗布ヘッドは、請求項4ないし請求項8のいずれか1つに記載の接着剤塗布ヘッドにおいて、前記中央プレートは、外縁に並んで設けられる複数の前記第1凸部と、それら複数の第1凸部に対応して設けられる複数の前記第1スリットと、前記複数の第1凸部に対応して設けられる複数の前記1対の第2スリットとを有し、前記1対の端プレートは、それぞれ、前記複数の第1凸部に対応して設けられる複数の前記第2凸部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の接着剤塗布ヘッドでは、ガス噴出口から噴き出されるガスを、ガイド部によって、吐出されている接着剤に向かって導くことが可能となっている。したがって、請求項1に記載の接着剤塗布ヘッドによれば、吐出されている接着剤に向かってガスを適切に噴出させることが可能となる。
【0017】
また、請求項2に記載の接着剤塗布ヘッドでは、ガイド部の構造が具体的に限定されている。請求項2に記載の接着剤塗布ヘッドによれば、接着剤ノズル部の外周に立設された1対のガイド壁の間にガスを流すことが可能となり、外気の乱れ等の影響を受けることなく、確実に吐出されている接着剤に向かってガスを噴出させることが可能となる。さらに言えば、噴き出されるガスの速度,圧力等が低い場合であっても、確実に接着剤に向かってガスを噴出させることが可能となる。
【0018】
また、請求項3に記載の接着剤塗布ヘッドでは、2つのガス噴出口からのガスの流れによって吐出される接着剤を蛇行させることが可能となる。したがって、請求項3に記載の接着剤塗布ヘッドによれば、効率よく接着剤を基体上に塗布することが可能となる。
【0019】
また、請求項4に記載の接着剤塗布ヘッドでは、スリット,凸部等の形成された3枚のプレートを積層するだけで、ガイド部を備えた接着剤塗布ヘッドが実現される。したがって、請求項4に記載の接着剤塗布ヘッドによれば、吐出されている接着剤に向かってガスを適切に噴出させることが可能な接着剤塗布ヘッドの構造を簡便なものとすることが可能となる。
【0020】
また、請求項5に記載の接着剤塗布ヘッドでは、接着剤を貯留するためのキャビティとガスを貯留するためのキャビティとが、1対の外プレートに形成されている。一方、従来の接着剤塗布ヘッド、具体的にいえば、上記特許文献2,3に記載の接着剤塗布ヘッドでは、接着剤を貯留するためのキャビティとガスを貯留するためのキャビティとは、内プレート群に形成されており、内プレート群を比較的多くの枚数のプレートによって構成する必要があった。このことから、請求項5に記載の接着剤塗布ヘッドによれば、比較的少ない枚数のプレート、具体的にいえば、最少で3枚のプレートによって内プレート群を構成することが可能となり、接着剤塗布ヘッドの構造を簡便なものとすることが可能となる。
【0021】
また、請求項6に記載の接着剤塗布ヘッドでは、1つの第2スリットに、1対の端プレートの一方からガスが送風されるとともに、他方からもガスが送風される。つまり、1つの第2スリットに、互いに向かい合う2つの方向からガスが送風されるのである。これにより、第2スリットの開口端、つまり、ガス噴出口から、2方向にガスを噴き出すことが可能となる。したがって、1つの接着剤吐出口に対して2つのガス噴出口を備える請求項6に記載の接着剤塗布ヘッドによれば、上記特許文献1に記載の接着剤塗布ヘッドのように、吐出されている接着剤に向かって4方向からガスを噴出させることが可能となり、効果的に接着剤を蛇行させることが可能となる。
【0022】
また、請求項7に記載の接着剤塗布ヘッドでは、複数の内プレート群を積層することが可能とされている。したがって、1つの接着剤塗布ヘッドに複数の接着剤吐出口を設けることが可能となり、効率よく接着剤を塗布することが可能となる。
【0023】
また、請求項8に記載の接着剤塗布ヘッドでは、積層方向に延びる直線上に、複数の第1スリットのうちの1つのものしか開口していない。接着剤塗布ヘッドが装着される接着剤塗布システムでは、通常、上記積層方向に基体が移動させられて、基体上に接着剤塗布ヘッドによって接着剤が塗布される。このため、請求項8に記載の接着剤塗布ヘッドによれば、複数の第1スリットのうちの1つのものから基体上に吐出される接着剤と、他のものから基体上に吐出される接着剤との重なりを抑制することが可能となり、重畳的な接着剤の塗布を抑制することが可能となる。
【0024】
また、請求項9に記載の接着剤塗布ヘッドでは、1つの内プレート群に複数の接着剤吐出口を設けることが可能となっており、さらに、効率よく接着剤を塗布することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施例の接着剤塗布ヘッドを備えた接着剤塗布装置を示す図である。
【図2】分解された状態の接着剤塗布ヘッドを示す図である。
【図3】接着剤塗布ヘッドを構成する中央プレートを示す図である。
【図4】接着剤塗布ヘッドを構成する1対の端プレートの一方を示す図である。
【図5】接着剤塗布ヘッドを構成する1対の外プレートの一方を示す図である。
【図6】接着剤塗布ヘッドを構成する1対の端プレートの他方を示す図である。
【図7】接着剤塗布ヘッドを構成する1対の外プレートの他方を示す図である。
【図8】図3〜図7の5枚のプレートが積層された状態の接着剤塗布ヘッドを示す断面図である。
【図9】接着剤が吐出されるとともにガスが噴出された状態の中央プレートを示す断面図である。
【図10】接着剤が吐出されるとともにガスが噴出された状態の接着剤ノズルを示す斜視図である。
【図11】第2実施例の接着剤塗布ヘッドを示す断面図である。
【図12】接着剤塗布ヘッドを構成する第1の中央プレートを示す図である。
【図13】接着剤塗布ヘッドを構成する第1の1対の端プレートの一方を示す図である。
【図14】接着剤塗布ヘッドを構成する第1の1対の端プレートの他方を示す図である。
【図15】接着剤塗布ヘッドを構成する中間プレートを示す図である。
【図16】接着剤塗布ヘッドを構成する第2の中央プレートを示す図である。
【図17】接着剤塗布ヘッドを構成する第2の1対の端プレートの一方を示す図である。
【図18】接着剤塗布ヘッドを構成する第2の1対の端プレートの他方を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0027】
<第1実施例>
図1に、本発明の実施例の接着剤塗布ヘッド10を備えた接着剤塗布装置12を示す。接着剤塗布装置12は、図での左右方向に搬送される基体14の上面と対向するように配設されており、後に詳しく説明するように、接着剤塗布ヘッド10から接着剤を吐出するとともに、その吐出された接着剤に接着剤塗布ヘッド10からガスを噴出させた状態で基体14の上面に接着剤を塗布する構造とされている。
【0028】
接着剤塗布装置12は、接着剤を吐出しつつガスを噴出する接着剤塗布ヘッド10と、その接着剤塗布ヘッド10が装着される塗布ヘッドアダプター16と、その塗布ヘッドアダプター16の上面に設けられた概して円筒状の接着剤供給弁18とを備えている。塗布ヘッドアダプター16には、装置本体20から供給されるガスを接着剤塗布ヘッド10に導入するためのガス導入路22と、装置本体20から供給される接着剤を、接着剤供給弁18を介して、接着剤塗布ヘッド10に導入するための接着剤導入路24とが形成されている。ちなみに、ガス導入路22と接着剤導入路24とは、交わることなく、立体交差している。
【0029】
また、接着剤供給弁18には、装置本体20から接着剤導入路24への接着剤の供給と遮断とを切り換えることが可能な弁通路26が形成されている。その弁通路26には、弁体(図示省略)および、その弁体が着座可能な弁座(図示省略)が設けられており、弁体が弁座から離座することで接着剤導入路24に接着剤が供給され、弁体が弁座に着座することで接着剤導入路24への接着剤の供給が遮断されるようになっている。なお、弁通路26には、装置本体20において溶融された接着剤が供給され、ガス導入路22には、装置本体20において加圧されたガスが供給されるようになっている
【0030】
接着剤塗布ヘッド10は、図2に示すように、3枚のプレートによって構成される内プレート群30と、その内プレート群30を挟持する1対の外プレート32,34とを有している。内プレート群30の3枚のプレートは、中央に配置される中央プレート36と、その中央プレート36の両面に配置される1対の端プレート38,40とによって構成されており、比較的薄い形状とされている。一方、1対の外プレート32,34は、図での右端に配置される第1外プレート32と、図での左端に配置される第2外プレート34とによって構成されており、内プレート群30を構成するプレートより厚い形状とされている。なお、1対の端プレート38,40を区別して説明する場合には、1対の端プレート38,40のうちの第1外プレート32と中央プレート36との間に配置されるものを、第1端プレート38と、第2外プレート34と中央プレート36との間に配置されるものを、第2端プレート40と呼ぶことにする。
【0031】
第1外プレート32の上端部の両角と、その両角の下方には、4つのネジ穴50が形成されており、他の4枚のプレート34,36,38,40の各々には、その4つのネジ穴50に対応する位置に4つの貫通穴52,54,56,58が形成されている。そして、貫通穴52,54,56,58を挿通した状態で、ねじ60(図では1つだけ示している)がネジ穴50に締結されることで、5枚のプレート32,34,36,38,40が積層され、一体化されている。以下に、5枚のプレート32,34,36,38,40の各々について詳しく説明する。
【0032】
まず、5枚のプレート32,34,36,38,40のうちの中央に配置される中央プレート36は、図3に示すように、上端中央部に設けられた比較的大きな径の大径孔70と、下縁に開口する第1スリット72と、その第1スリット72の開口を挟むようにして下縁に開口する1対の第2スリット74と、それら1対の第2スリット74の上方に位置するとともに、比較的小さな径の1対の小径孔76とを備えている。第1スリット72は、下縁に対して垂直な方向に延びるようにして、下縁の中央部に開口している。一方、第2スリット74は、上端が第1スリット72から離れるようにして設けられており、その上端は、第1スリット72の上端よりも下方に位置している。小径孔76は、第2スリット74を上方に延長させた箇所に位置しており、第1スリット72の略中央部の近傍に位置している。また、1対の第2スリット74の開口と第1スリット72の開口との間は、1対の先鋭状の突起部78とされており、それぞれの先端は第2スリット74の開口より下方に位置している。つまり、第1スリット72の開口は、第2スリット74の開口より下方に位置している。
【0033】
次に、中央プレート36と第2外プレート34との間に配置される第2端プレート40は、図4に示すように、上端中央部に設けられた比較的大きな径の大径孔80と、下縁の中央部に設けられ下方に突出する凸部82と、その凸部82の上方に設けられた1対の長孔84とを備えている。1対の長孔84は、概ね上下方向に延びるとともに、互いの上端が離れるように設けられている。その長孔84は、中央プレート36の第2スリット74の上端部と小径孔76とに対応する位置に設けられており、中央プレート36に積層された場合に第2スリット74と小径孔76とに開口する。また、大径孔80は、中央プレート36の大径孔70に対応する位置に設けられている。
【0034】
次に、図2において左端に位置するプレート、つまり、第2端プレート40に積層される第2外プレート34は、図5に示すように、第2端プレート40に積層される面に設けられ、概して山型にくり抜かれたガスキャビティ86と、そのガスキャビティ86内の略中央部に設けられた中央凸部88と、ガスキャビティ86内の上端に設けられた大径孔90とを備えている。つまり、ガスキャビティ86は、中央凹部88の外周を囲むようにして形成された凹部であり、その凹部内の上端部に、大径孔90が形成されている。ガスキャビティ86は、後に説明するように、塗布ヘッドアダプター16から導入されるガスを貯留するためのものであり、第2端プレート40の1対の長孔84の上端部に対応する位置に設けられている。これにより、ガスキャビティ86に貯留されるガスを、1対の長孔84に供給することが可能となっている。また、大径孔90は、第2端プレート40の大径孔80に対応する位置に設けられている。
【0035】
次に、中央プレート36と第1外プレート32との間に配置される第1端プレート38は、図6に示すように、上端中央部に設けられた比較的大きな径の大径孔92と、下縁の中央部に設けられ下方に突出する凸部94と、その凸部94の上方に設けられた1対の長孔96と、それら1対の長孔96の中間の位置の上方に設けられた小径孔98とを備えている。1対の長孔96は、概ね上下方向に延びるとともに、互いの上端が離れるように設けられている。その長孔96は、中央プレート36の第2スリット74の上端部と小径孔76とに対応する位置に設けられており、中央プレート36に積層された場合に第2スリット74と小径孔76とに開口する。また、小径孔98は、中央プレート36の第1スリット72の上端部に対応する位置に設けられており、中央プレート36に積層された場合に第1スリット74に開口する。なお、大径孔92は、中央プレート36の大径孔70に対応する位置に設けられている。
【0036】
最後に、図2において右端に位置するプレート、つまり、第1端プレート38に積層される第1外プレート32は、図7に示すように、上端中央部に設けられた比較的大きな径の大径孔100と、その大径孔100の下方に設けられた概して山型の接着剤キャビティ102と、その接着剤キャビティ102内の上端に設けられた接着剤導入孔104と、上下方向における中央部の左右両端に設けられた1対の位置決め孔106とを備えている。接着剤キャビティ102は、後に説明するように、塗布ヘッドアダプター16から導入される接着剤を貯留するためのものであり、第1端プレート38に積層される面に設けられている。そして、接着剤キャビティ102は、第1端プレート38の小径孔98に対応する位置に設けられており、接着剤キャビティ102に貯留される接着剤を、小径孔98に供給することが可能となっている。また、大径孔100は、第1端プレート38の大径孔92に対応する位置に設けられている。
【0037】
上記構造の5枚のプレート32,34,36,38,40が積層され、ねじ60によって一体化された接着剤塗布ヘッド10は、図1に示すように、ボルト108によって塗布ヘッドアダプター16に締結されている。詳しく言えば、ボルト108は、各プレート32,34,36,38,40の大径孔70,80,90,92,100を挿通しており、塗布ヘッドアダプター16のガス導入路22の開口に形成された雌ネジ部に締結されている。ちなみに、塗布ヘッドアダプター16の接着剤塗布ヘッド10が装着される面には、第1外プレート32の1対の位置決め孔106に対応する位置に1対の突起(図示省略)が形成されており、1対の位置決め孔106と1対の突起とによって、接着剤塗布ヘッド10を、塗布ヘッドアダプター16の所定の位置に装着することが可能となっている。
【0038】
接着剤塗布ヘッド10が、塗布ヘッドアダプター16の所定の位置に装着されることで、第1外プレート32の接着剤導入孔104は、塗布ヘッドアダプター16の接着剤導入路24に開口するようになっており、接着剤導入路24から供給される接着剤を、接着剤キャビティ102に貯留することが可能となっている。また、ガス導入路22の雌ネジ部に締結されているボルト108の雄ネジ部には、軸方向に延びるように溝(図示省略)が形成されており、その溝を介して、ガス導入路22と第2外プレート34の大径孔90、つまり、ガスキャビティ86とが連通している。これにより、ガス導入路22から供給されるガスを、ガスキャビティ86に貯留することが可能となっている。
【0039】
上述した構造によって、接着剤塗布ヘッド10では、接着剤導入路24から供給された接着剤を中央プレート36の第1スリット72の開口から吐出するとともに、ガス導入路22から供給されたガスを中央プレート36の1対の第2スリット72の各々の開口から噴出することが可能となっている。詳しく説明すれば、図3〜7でのAA線における断面図である図8に示すように、接着剤導入路24から供給される接着剤は、図での2点鎖線に示すように、第1外プレート32の接着剤導入孔104を介して、接着剤キャビティ102に貯留される。そして、接着剤キャビティ102に貯留された接着剤は、第1端プレート38の小径孔98を介して、中央プレート36の第1スリット72に流入し、第1スリット72の下端から吐出される。
【0040】
また、ガス導入路22から供給されるガスは、図での1点鎖線に示すように、5枚のプレート32,34,36,38,40の大径孔70,80,90,92,100を介して、第2外プレート34のガスキャビティ86に貯留される。そして、ガスキャビティ86に貯留されたガスは、第2端プレート40の長孔84を介して、中央プレート36の第2スリット74に流入する。また、ガスキャビティ86に貯留されたガスは、第2端プレート40の長孔84を介して、中央プレート36の小径孔76に流入し、第1端プレート38の長孔96を迂回して、中央プレート36の第2スリット74に流入する。このように、1つの第2スリット74に対して、第2端プレート40の長孔84からガスが流入するとともに、第1端プレート38の長孔96からもガスが流入し、第2スリット74の下端からガスが噴き出される。
【0041】
第1スリット72の開口から吐出される接着剤と第2スリット74から噴出されるガスとの流れを説明するべく、図9に、接着剤塗布ヘッド10の中央プレート36における断面図を示す。第1スリット72は、中央プレート36の下縁に垂直な方向に延びるように形成されており、その第1スリット72の開口110から接着剤112(2点鎖線)が吐出される。一方、第2スリット74は、それの上端が第1スリット72から離れるように形成されており、その第2スリット74の開口114からガス116(1点鎖線)が、第1スリット72の開口110から吐出されている接着剤112に向かって噴出される。この際、噴出されるガス116は、中央プレート36の下縁に突出する突起部78の側面に沿って接着剤112に向かって導かれるようになっている。
【0042】
詳しく説明すれば、中央プレート36の下縁には、1対の突起部78と第1スリット72の開口110とによって構成される台形状の中央凸部118が形成されている。その台形状の中央凸部118の上底は下底より長くなっており、その上底の両端に隣接して1対の第2スリット74が開口している。そして、その1対の第2スリット74の開口114から噴出されるガスが、中央凸部118の両側辺に沿って流れ、第1スリット72の開口110から吐出されている接着剤112に向かって導かれる。これにより、吐出されている接着剤112は、1対の第2スリット74の開口114から噴出されているガス116によって、ファイバー状に引延ばされるとともに、蛇行することで、好適に基体14上に接着剤が塗布されるようになっている。
【0043】
また、1つの第2スリット74の開口114から噴出されるガス116は、2つの流れに分岐しており、1対の第2スリット74の開口114からは、4つの流れのガス116が噴出されている。詳しく説明すれば、ガス116を噴出する第2スリット74には、上述したように、第2端プレート40の長孔84からガスが流入するとともに、第1端プレート38の長孔96からもガス116が流入する。つまり、互いに向かい合う2つの方向からガス116が流入する。これにより、図10に示すように、第1端プレート38の長孔96から流入したガス116a(1点鎖線)は、第1端プレート38の凸部94に沿って接着剤112(2点鎖線)に向かって導かれ、第2端プレート40の長孔84から流入したガス116bは、第2端プレート40の凸部82に沿って接着剤112に向かって導かれる。したがって、接着剤塗布ヘッド10では、第1スリット72の開口110から吐出されている接着剤112に向かって、4つの方向からガス116を噴出することが可能となっている。
【0044】
上述した構造によって、接着剤塗布ヘッド10では、中央プレート36の中央凸部118と、その中央凸部118を挟む第1端プレート38の凸部94および第2端プレート40凸部82とによって、接着剤を吐出する接着剤ノズル119が構成されており、その接着剤ノズル119の2つの凸部82,94の両側部が、1対のガイド壁のように機能して、第2スリット74の開口114から噴出されるガスが、吐出されている接着剤に向かって導かれる。これにより、外気の乱れ等の影響を受けることなく、確実に吐出されている接着剤に向かってガスを噴出させることが可能となる。特に、接着剤塗布ヘッド10では、4つの方向に噴出されているガスを、吐出されている接着剤に向かって、収斂させる必要があるため、ガスをガイドする機能は非常に有効である。さらに、吐出されている接着剤112に向かって、4つの方向からガス116が噴出されることで、効果的に接着剤を蛇行させることが可能となっている。
【0045】
また、接着剤塗布ヘッド10は、5枚のプレート32,34,36,38,40が積層されることによって形成されており、各プレートは、比較的シンプルな形状とされている。特に、各種スリット72,74および各種貫通穴70,80等の形成は比較的容易である。このため、接着剤塗布ヘッド10の製造コストを比較的安価なものとすることが可能となる。また、接着剤塗布ヘッド10では、5枚のプレート32,34,36,38,40がねじ60によって一体化されることから、接着剤塗布ヘッド10の分解および組立を容易に行うことが可能となっている。さらに、接着剤塗布ヘッド10の部品点数は少なく、各部品の形状もシンプルなため、洗浄性は極めて高いものとなっている。
【0046】
<第2実施例>
第1実施例の接着剤塗布ヘッド10では、1組の内プレート群30が1対の外プレート32,34によって挟持されていたが、第2実施例の接着剤塗布ヘッド120では、図11に示すように、2組の内プレート群122,124が1対の外プレート32,34によって挟持されるとともに、2組の内プレート群122,124によって中間プレート126が挟まれている。なお、第2実施例の接着剤塗布ヘッド120を構成する複数のプレートは、第1実施例の接着剤塗布ヘッド10の複数のプレートと比較して、類似した構成であるため、同様の機能の構成要素については、同じ符号を用いて説明を省略あるいは簡略に行うものとする。
【0047】
第1外プレート32と中間プレート126との間に位置する内プレート群122は、第1実施例の内プレート群30と同様に、中央に配置される中央プレート130と、その中央プレート130の両面に配置される1対の端プレート132,134とによって構成されているが、第1実施例の内プレート群30とは異なり、4つの接着剤吐出口と4対のガス噴出口とが設けられている。その内プレート群122の中央プレート130は、図12に示すように、同じピッチで設けられた4つの第1スリット72と、それら4つの第1スリット72に対応して設けられた4組の1対の第2スリット74と、4つの第1スリット72に対応して設けられた4組の1対の小径孔76と、4つの第1スリット72に対応して設けられた4組の1対の突起部78と、大径孔70の下方に設けられる接着剤導入孔136とを備えている。
【0048】
1対の端プレート132,134のうちの中央プレート130と第1外プレート32との間に位置する第1端プレート132は、図13に示すように、中央プレート130の4つの第1スリット72に対応する位置に設けられた4つの凸部94と、4組の1対の第2スリット74に対応する位置に設けられた4組の1対の長孔96と、4つの第1スリット72に対応する位置に設けられた4つの小径孔98と、大径孔92の下方に設けられる接着剤導入孔138とを備えており、その接着剤導入孔138は、中央プレート130の接着剤導入孔136に対応する位置に設けられている。
【0049】
また、1対の端プレート132,134のうちの中央プレート130と中間プレート126との間に位置する第2端プレート134は、図14に示すように、中央プレート130の4つの第1スリット72に対応する位置に設けられた4つの凸部82と、4組の1対の第2スリット74に対応する位置に設けられた4組の1対の長孔84と、大径孔80の下方に設けられる接着剤導入孔140とを備えており、その接着剤導入孔140は、中央プレート130の接着剤導入孔136に対応する位置に設けられている。
【0050】
次に、2組の内プレート群122,124の間に位置する中間プレート126は、図15に示すように、内プレート群122の側の面に設けられたガスキャビティ86と、そのガスキャビティ86内の略中央部に設けられた中央凸部88と、ガスキャビティ86内の上端に設けられた大径孔142と、内プレート群124の側の面に設けられ、大径孔142の下方に位置する接着剤キャビティ102と、その接着剤キャビティ102内の上端に設けられた接着剤導入孔144とを備えている。その接着剤導入孔144は中央凸部88を貫通しており、内プレート群122の第2端プレート134の接着剤導入孔140に対応する位置に設けられている。また、大径孔142は、内プレート群122の第2端プレート134の大径孔80に対応する位置に設けられている。
【0051】
その中間プレート126と第2外プレート34との間に位置する内プレート群124は、第1実施例の内プレート群30と同様に、中央に配置される中央プレート150と、その中央プレート150の両面に配置される1対の端プレート152,154とによって構成されているが、第1実施例の内プレート群30とは異なり、5つの接着剤吐出口と5対のガス噴出口とが設けられている。その内プレート群124の中央プレート150は、図16に示すように、同じピッチで設けられた5つの第1スリット72と、それら5つの第1スリット72に対応して設けられた5組の1対の第2スリット74と、5つの第1スリット72に対応して設けられた5組の1対の小径孔76と、5つの第1スリット72に対応して設けられた5組の1対の突起部78とを備えている。
【0052】
1対の端プレート152,154のうちの中央プレート150と中間プレート126との間に位置する第1端プレート152は、図17に示すように、中央プレート150の5つの第1スリット72に対応する位置に設けられた5つの凸部94と、5組の1対の第2スリット74に対応する位置に設けられた5組の1対の長孔96と、5つの第1スリット72に対応する位置に設けられた5つの小径孔98とを備えている。一方、中央プレート150と第2外プレート34との間に位置する第2端プレート154は、図18に示すように、中央プレート150の5つの第1スリット72に対応する位置に設けられた5つの凸部82と、5組の1対の第2スリット74に対応する位置に設けられた5組の1対の長孔84とを備えている。
【0053】
上述した構造によって、接着剤塗布ヘッド120では、接着剤導入路24から供給された接着剤を中央プレート130の4つの第1スリット72の開口および中央プレート150の5つの第1スリット72の開口から吐出するとともに、ガス導入路22から供給されたガスを中央プレート130の4組の1対の第2スリット72および中央プレート150の5組の1対の第2スリット72の開口から噴出することが可能となっている。詳しく説明すれば、図11に示すように、接着剤導入路24から供給される接着剤は、図での2点鎖線に示すように、第1外プレート32の接着剤導入孔104を介して、接着剤キャビティ102に貯留される。そして、接着剤キャビティ102に貯留された接着剤は、第1端プレート132の小径孔98を介して、中央プレート130の4つの第1スリット72に流入し、4つの第1スリット72の下端から吐出される。また、接着剤キャビティ102に貯留された接着剤は、内プレート群122の接着剤導入孔136,138,140および中間プレート126の接着剤導入孔144を介して、中間プレート126の接着剤キャビティ102に貯留される。そして、その接着剤キャビティ102に貯留された接着剤は、第1端プレート152の小径孔98を介して、中央プレート150の5つの第1スリット72に流入し、5つの第1スリット72の下端から吐出される。
【0054】
また、ガス導入路22から供給されるガスは、図での1点鎖線に示すように、5枚のプレート32,126,130,132,134の大径孔70,80,92,100,142を介して、中間プレート126のガスキャビティ86に貯留される。そして、ガスキャビティ86に貯留されたガスは、第2端プレート134の長孔84を介して、中央プレート130の4組の1対の第2スリット74に流入する。さらに、中間プレート126のガスキャビティ86に貯留されたガスは、第2端プレート134の長孔84を介して、中央プレート130の小径孔76に流入し、第1端プレート132の長孔96を迂回して、中央プレート130の4組の1対の第2スリット74に流入する。これにより、ガスが、4組の1対の第2スリット74の下端から噴出される。
【0055】
また、ガス導入路22から中間プレート126の大径孔142にまで供給されたガスは、4枚のプレート34,150,152,154の大径孔70,80,90,92を介して、第2外プレート34のガスキャビティ86に貯留される。そして、そのガスキャビティ86に貯留されたガスは、第2端プレート154の長孔84を介して、中央プレート150の5組の1対の第2スリット74に流入する。さらに、第2外プレート34のガスキャビティ86に貯留されたガスは、第2端プレート154の長孔84を介して、中央プレート150の小径孔76に流入し、第1端プレート152の長孔96を迂回して、中央プレート150の5組の1対の第2スリット74に流入する。これにより、ガスが、5組の1対の第2スリット74の下端から噴出される。
【0056】
上述した構造によって、接着剤塗布ヘッド120では、9つの第1スリット72の開口から接着剤を吐出するとともに、9組の1対の第2スリット74の下端からガスを噴出することが可能となっており、基体14上の広い範囲に接着剤を塗布することが可能となっている。さらに、9つの第1スリット72は、複数のプレートが積層される方向において、互いにズレた位置において開口している。つまり、積層方向に延びる直線上には、9つの第1スリット72のうちの1つのものしか開口していないのである。これにより、積層方向、つまり、図1での左右方向に搬送される基体14上に、重畳的に接着剤を塗布することを抑制することが可能となる。さらに、接着剤塗布ヘッド120では、第1実施例の接着剤塗布ヘッド10と同様の効果を得ることが可能となっている。
【0057】
ちなみに、上記第1実施例および第2実施例において、接着剤塗布ヘッド10,120は、接着剤塗布ヘッドの一例である。その接着剤塗布ヘッド10,120を構成する第1外プレート32,第2外プレート34は、第1外プレート,第2外プレートの一例であり、内プレート群30,122,124は、内プレート群の一例である。その内プレート群30,122,124を構成する中央プレート36,130,150は、中央プレートの一例であり、端プレート38,40,132,134,152,154は、端プレートの一例である。中央プレート36,130,150の第1スリット72,第2スリット74,小径孔76,中央凸部118は、第1スリット,第2スリット,第2ガス連通孔,第1凸部の一例であり、端プレート38,40,132,134,152,154の凸部82,94は、第2凸部の一例である。第1スリット72の開口110は、接着剤吐出口の一例であり、第2スリット74の開口114は、ガス噴出口の一例である。凸部82,94の両側部は、ガイド部およびガイド壁の一例であり、凸部82,94と中央凸部118トによって構成される接着剤ノズル119は、接着剤ノズル部の一例である。端プレート40,154の長孔84は、第1ガス連通孔の一例であり、端プレート38,132の小径孔98は、接着剤連通孔の一例である。端プレート38,132,152の長孔96は、ガス迂回路の一例である。端プレート134の長孔84は、中間ガス連通孔の一例であり、端プレート152の小径孔98は、中間接着剤連通孔の一例である。第1外プレート32の接着剤キャビティ102は、第1凹部の一例であり、第2外プレート34のガスキャビティ86は、第2凹部の一例である。中間プレート126は、隔離プレートの一例であり、中間プレート126のガスキャビティ86,接着剤キャビティ102は、第3凹部,第4凹部の一例である。
【0058】
なお、本発明は、上記第1実施例および第2実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。具体的には、例えば、上記第1実施例および第2実施例では、端プレート38,40,132,134,152,154の凸部82,94の両側部をガイド部として機能させることで、ガスを吐出されている接着剤に向かって導いているが、ガス噴出口に筒状の部材,溝状の部材等を取り付けることで、ガスを導くように構成してもよい。
【0059】
また、上記第1実施例および第2実施例では、各プレート36,38等にガスを導入するための大径孔70,80等が形成されているが、大径孔70,80等を形成することなく、第2外プレート34にそれの側面とガスキャビティ86とを連通する連通孔を形成し、その連通孔を介してガスキャビティ102にガスを導入してもよい。
【符号の説明】
【0060】
10:接着剤塗布ヘッド
30:内プレート群
32:第1外プレート
34:第2外プレート
36:中央プレート
38:端プレート
40:端プレート
72:第1スリット
74:第2スリット
76:小径孔(第2ガス連通孔)
82:凸部(第2凸部)(ガイド部)(ガイド壁)
84:長孔(第1ガス連通孔)(中間ガス連通孔)
86:ガスキャビティ(第2凹部)(第3凹部)
94:凸部(第2凸部)(ガイド部)(ガイド壁)
96:長孔(ガス迂回路)
98:小径孔(接着剤連通孔)(中間接着剤連通孔)
102:接着剤キャビティ(第1凹部)(第4凹部)
110:開口(接着剤吐出口)
114:開口(ガス噴出口)
118:中間凸部(第1凸部)
119:接着剤ノズル(接着剤ノズル部)
120:接着剤塗布ヘッド
122:内プレート群
124:内プレート群
126:中間プレート(隔離プレート)
130:中央プレート
132:端プレート
134:端プレート
150:中央プレート
152:端プレート
154:端プレート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤を吐出する接着剤吐出口とガスを噴き出すガス噴出口とを備え、前記接着剤吐出口から吐出されている接着剤に向かって前記ガス噴出口からガスが噴き出された状態で基体に接着剤を塗布するための接着剤塗布ヘッドであって、
前記ガス噴出口から噴き出されたガスを前記接着剤吐出口から吐出されている接着剤に向かってガイドするガイド部を備えた接着剤塗布ヘッド。
【請求項2】
当該接着剤塗布ヘッドは、
底部から先細形状に突出し、突出している端面に前記接着剤吐出口が開口する接着剤ノズル部と、
前記底部の前記接着剤ノズル部に連続する部分に開口する前記ガス噴出口と、
前記ガス噴出口から前記接着剤吐出口にわたって前記接着剤ノズル部の外周に立設され、前記ガイド部として機能する1対のガイド壁と
を備えた請求項1に記載の接着剤塗布ヘッド。
【請求項3】
当該接着剤塗布ヘッドは、
前記接着剤吐出口を中心として対称の位置に開口する1対の前記ガス噴出口を備えた請求項1または請求項2に記載の接着剤塗布ヘッド。
【請求項4】
当該接着剤塗布ヘッドは、
複数のプレートを有し、それら複数のプレートが積層された内プレート群と、
前記内プレート群を挟持する1対の外プレートと
を備え、
前記複数のプレートは、
(a)外縁に設けられた先細形状の第1凸部と、(b)その第1凸部の先端に開口するとともに、開口端が前記接着剤吐出口として機能する第1スリットと、(c)それぞれが、外縁の前記第1凸部に連続する部分に開口するとともに、開口端が前記ガス噴出口として機能する1対の第2スリットとを有する中央プレートと、
それぞれが前記第1凸部より幅広の第2凸部を有し、前記中央プレートの両面に積層される1対の端プレートと
を備え、前記第1凸部が前記1対の端プレートの前記第2凸部によって挟まれることで、前記第2凸部の幅方向の両端部が前記ガイド部として機能する請求項3に記載の接着剤塗布ヘッド。
【請求項5】
前記1対の外プレートの各々は、前記複数のプレートの各々より厚い形状とされ、
前記1対の外プレートの一方である第1外プレートは、外部から導入される接着剤を貯留するための第1凹部を有し、
前記1対の外プレートの他方である第2外プレートは、外部から導入されるガスを貯留するための第2凹部を有し、
前記1対の端プレートのうちの前記第1外プレートと前記中央プレートとの間に位置するものは、前記第1凹部と前記第1スリットとを連通する接着剤連通孔を有し、
前記1対の端プレートのうちの前記第2外プレートと前記中央プレートとの間に位置するものは、前記第2凹部と前記1対の第2スリットとを連通する第1ガス連通孔を有する請求項4に記載の接着剤塗布ヘッド。
【請求項6】
前記1対の端プレートのうちの前記第1外プレートと前記中央プレートとの間に位置するものは、前記1対の第2スリットに開口するガス迂回路を有し、
前記中央プレートは、前記ガス迂回路と前記第1ガス連通孔とを連通する第2ガス連通孔を有する請求項5に記載の接着剤塗布ヘッド。
【請求項7】
当該接着剤塗布ヘッドは、
前記1対の外プレートの間で積層される複数の前記内プレート群と、それら複数の内プレート群のうちの互いに隣り合う2つのものを隔離する1以上の隔離プレートとを備え、
前記1以上の隔離プレートは、
それぞれ、(a)前記第1外プレートに対向する面に形成され、外部から導入されるガスを貯留するための第3凹部と、(a)前記第2外プレートに対向する面に形成され、外部から導入される接着剤を貯留するための第4凹部とを有し、
前記1対の端プレートのうちの前記隔離プレートの前記第3凹部側の面に積層されるものは、前記第3凹部と前記1対の第2スリットとを連通する中間ガス連通孔を有し、
前記1対の端プレートのうちの前記隔離プレートの前記第4凹部側の面に積層されるものは、前記第4凹部と前記第1スリットとを連通する中間接着剤連通孔を有する請求項5または請求項6に記載の接着剤塗布ヘッド。
【請求項8】
前記複数の内プレート群の前記中央プレートの有する前記第1スリットは、互いに、積層方向に延びる直線上からズレた位置に開口する請求項7に記載の接着剤塗布ヘッド。
【請求項9】
前記中央プレートは、外縁に並んで設けられる複数の前記第1凸部と、それら複数の第1凸部に対応して設けられる複数の前記第1スリットと、前記複数の第1凸部に対応して設けられる複数の前記1対の第2スリットとを有し、
前記1対の端プレートは、それぞれ、前記複数の第1凸部に対応して設けられる複数の前記第2凸部を有する請求項4ないし請求項8のいずれか1つに記載の接着剤塗布ヘッド。
【請求項1】
接着剤を吐出する接着剤吐出口とガスを噴き出すガス噴出口とを備え、前記接着剤吐出口から吐出されている接着剤に向かって前記ガス噴出口からガスが噴き出された状態で基体に接着剤を塗布するための接着剤塗布ヘッドであって、
前記ガス噴出口から噴き出されたガスを前記接着剤吐出口から吐出されている接着剤に向かってガイドするガイド部を備えた接着剤塗布ヘッド。
【請求項2】
当該接着剤塗布ヘッドは、
底部から先細形状に突出し、突出している端面に前記接着剤吐出口が開口する接着剤ノズル部と、
前記底部の前記接着剤ノズル部に連続する部分に開口する前記ガス噴出口と、
前記ガス噴出口から前記接着剤吐出口にわたって前記接着剤ノズル部の外周に立設され、前記ガイド部として機能する1対のガイド壁と
を備えた請求項1に記載の接着剤塗布ヘッド。
【請求項3】
当該接着剤塗布ヘッドは、
前記接着剤吐出口を中心として対称の位置に開口する1対の前記ガス噴出口を備えた請求項1または請求項2に記載の接着剤塗布ヘッド。
【請求項4】
当該接着剤塗布ヘッドは、
複数のプレートを有し、それら複数のプレートが積層された内プレート群と、
前記内プレート群を挟持する1対の外プレートと
を備え、
前記複数のプレートは、
(a)外縁に設けられた先細形状の第1凸部と、(b)その第1凸部の先端に開口するとともに、開口端が前記接着剤吐出口として機能する第1スリットと、(c)それぞれが、外縁の前記第1凸部に連続する部分に開口するとともに、開口端が前記ガス噴出口として機能する1対の第2スリットとを有する中央プレートと、
それぞれが前記第1凸部より幅広の第2凸部を有し、前記中央プレートの両面に積層される1対の端プレートと
を備え、前記第1凸部が前記1対の端プレートの前記第2凸部によって挟まれることで、前記第2凸部の幅方向の両端部が前記ガイド部として機能する請求項3に記載の接着剤塗布ヘッド。
【請求項5】
前記1対の外プレートの各々は、前記複数のプレートの各々より厚い形状とされ、
前記1対の外プレートの一方である第1外プレートは、外部から導入される接着剤を貯留するための第1凹部を有し、
前記1対の外プレートの他方である第2外プレートは、外部から導入されるガスを貯留するための第2凹部を有し、
前記1対の端プレートのうちの前記第1外プレートと前記中央プレートとの間に位置するものは、前記第1凹部と前記第1スリットとを連通する接着剤連通孔を有し、
前記1対の端プレートのうちの前記第2外プレートと前記中央プレートとの間に位置するものは、前記第2凹部と前記1対の第2スリットとを連通する第1ガス連通孔を有する請求項4に記載の接着剤塗布ヘッド。
【請求項6】
前記1対の端プレートのうちの前記第1外プレートと前記中央プレートとの間に位置するものは、前記1対の第2スリットに開口するガス迂回路を有し、
前記中央プレートは、前記ガス迂回路と前記第1ガス連通孔とを連通する第2ガス連通孔を有する請求項5に記載の接着剤塗布ヘッド。
【請求項7】
当該接着剤塗布ヘッドは、
前記1対の外プレートの間で積層される複数の前記内プレート群と、それら複数の内プレート群のうちの互いに隣り合う2つのものを隔離する1以上の隔離プレートとを備え、
前記1以上の隔離プレートは、
それぞれ、(a)前記第1外プレートに対向する面に形成され、外部から導入されるガスを貯留するための第3凹部と、(a)前記第2外プレートに対向する面に形成され、外部から導入される接着剤を貯留するための第4凹部とを有し、
前記1対の端プレートのうちの前記隔離プレートの前記第3凹部側の面に積層されるものは、前記第3凹部と前記1対の第2スリットとを連通する中間ガス連通孔を有し、
前記1対の端プレートのうちの前記隔離プレートの前記第4凹部側の面に積層されるものは、前記第4凹部と前記第1スリットとを連通する中間接着剤連通孔を有する請求項5または請求項6に記載の接着剤塗布ヘッド。
【請求項8】
前記複数の内プレート群の前記中央プレートの有する前記第1スリットは、互いに、積層方向に延びる直線上からズレた位置に開口する請求項7に記載の接着剤塗布ヘッド。
【請求項9】
前記中央プレートは、外縁に並んで設けられる複数の前記第1凸部と、それら複数の第1凸部に対応して設けられる複数の前記第1スリットと、前記複数の第1凸部に対応して設けられる複数の前記1対の第2スリットとを有し、
前記1対の端プレートは、それぞれ、前記複数の第1凸部に対応して設けられる複数の前記第2凸部を有する請求項4ないし請求項8のいずれか1つに記載の接着剤塗布ヘッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−147939(P2011−147939A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2011−104186(P2011−104186)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(511112375)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104186(P2011−104186)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(511112375)
【Fターム(参考)】
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