説明

接続ノズル、スパウトおよび薬剤容器

【課題】 別途道具を用いることなく、また、チューブの種類に選らず、チューブ抜けを抑制することができ、また、保存された薬剤の誤使用を抑制することのできる接続ノズル、それを備えたスパウトおよび薬剤容器を提供すること。
【解決手段】 接続ノズル6において、一端から他端へ貫通するノズル貫通孔32を有し、チューブの内腔に挿入される円筒状のノズル28を設ける。ノズル28には、その側面に径方向外側に膨らむ少なくとも1つの膨出部33を形成する。そして、膨出部33には、ノズル28の軸方向に切れ込まれた切込部36を複数形成し、これにより、膨出部33を外力により縮径可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経腸栄養剤などの薬剤が保存された容器とその薬剤を投与するためのチューブとを接続するための接続ノズル、その接続ノズルを備えるスパウトおよびその接続ノズルを備える薬剤容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、経腸栄養剤などの液状の薬剤は、パウチなどの容器に保存されている。このような容器には、注出口にノズルが備えられていて、ノズルに薬剤を人体などへ投与するためのチューブが接続される。そして、ノズルには、ノズルからのチューブの抜けを抑制するための加工が施されており、その加工技術が種々提案されている。
たとえば、フィルムのヒートシールにより形成されたパウチの内外を連通させる充填口を有する基部に螺合されるノズルが提案されている。このノズルは、基部側から先端部に向かってテーパ状に形成されており、その外面に円環状のリブが軸方向に繰り返し形成されることにより、凹凸加工されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2006−61554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載のノズルでは、凹凸面(外面)の形状に応じて変形するチューブの引っ掛かりにより、チューブ抜けの抑制が図られている。
しかし、凹凸面の形状に応じて変形しにくい硬いチューブなど、チューブの種類に選っては、チューブ抜けの抑制効果を得ることが困難な場合がある。
その一方で、たとえば、クリップなどでチューブを挟み込むことにより、ノズルに対するチューブの密着力を高める手法が検討される。しかし、ノズルへのチューブの挿入は、在宅療養する高齢介護者などが自分自身で行なう場合がある。そのため、チューブ抜けは、クリップなどの道具を使うことなく、なるべく簡単に防止できることが好ましい。
【0004】
さらに、容器に保存された薬剤の種類は、一見して把握することが困難であるため、たとえば、経腸栄養剤の保存された容器のノズルに、輸液用の穿刺針を誤って刺してしまい、薬剤を誤使用するおそれがある。
本発明の主たる目的は、別途道具を用いることなく、また、チューブの種類に選らず、チューブ抜けを抑制することのできる接続ノズル、それを備えたスパウトおよび薬剤容器を提供することにある。
【0005】
また、本発明の別の目的は、容器に保存された薬剤の誤使用を抑制することのできる接続ノズル、それを備えたスパウトおよび薬剤容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、一端から他端へ貫通する貫通孔を有し、チューブの内腔に挿入される円筒状のノズルを備え、前記ノズルは、その側面に径方向外側に膨らむ少なくとも1つの膨出部を有し、前記膨出部は、前記ノズルの軸方向に切れ込まれた切込部を複数有し、かつ外力により縮径可能であることを特徴とする、接続ノズルである。
請求項2に記載の発明は、JIS K7171に準拠して測定される曲げ弾性率が1000〜20000kgf/cmのプラスチックを用いて成形され、その厚さが0.5〜2.0mmであることを特徴とする、請求項1に記載の接続ノズルである。
【0007】
請求項3に記載の発明は、互いに隣接する前記切込部の間隔が0.5〜2.0mmであることを特徴とする、請求項1または2に記載の接続ノズルである。
請求項4に記載の発明は、前記膨出部は、前記ノズルの全周にわたって形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の接続ノズルである。
請求項5に記載の発明は、前記膨出部は、前記ノズルの一端から前記ノズルの軸方向中央までの一端側に形成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の接続ノズルである。
【0008】
請求項6に記載の発明は、前記切込部は、前記ノズルの一端から切れ込まれることにより形成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の接続ノズルである。
請求項7に記載の発明は、容器に取り付け、容器の内容物を注出するためのスパウトであって、一端と他端とを連通させるための連通孔を有し、他端側が容器に取り付けられるベース部材と、前記連通孔の他端側を閉塞して容器を封止するための封止部材と、請求項1〜6のいずれかに記載の接続ノズルとを備え、前記接続ノズルは、前記ノズルの他端に前記貫通孔と連通可能に接続された中空の穿刺針を有し、前記穿刺針が前記連通孔の他端側へ向かう方向へ摺動自在に保持された状態で、前記ベース部材の一端側において支持されていることを特徴とする、スパウトである。
【0009】
請求項8に記載の発明は、前記穿刺針の外周面には、その周方向外側に突出する突起が形成されており、前記接続ノズルは、前記ベース部材の一端側に設けられ、前記突起を嵌合させるための嵌合孔を有する筒状の支持部により支持されており、前記支持部には、前記嵌合孔から前記ベース部材の他端側へ向かってその軸方向に延び、前記突起をスライド可能とさせることにより前記穿刺針の摺動動作を保持する溝が形成されていることを特徴とする、請求項7に記載のスパウトである。
【0010】
請求項9に記載の発明は、前記接続ノズルには、前記ノズルの周方向に回転させることにより、前記接続ノズルに係合される回転固定式チューブを係合するための係合部材が設けられていることを特徴とする、請求項8に記載のスパウトである。
請求項10に記載の発明は、液状の薬剤が封入された容器本体と、一端と他端とを連通させるための連通孔を有し、他端側が容器に取り付けられるベース部材と、前記連通孔の他端側を閉塞して容器を封止するための封止部材と、請求項1〜6のいずれかに記載の接続ノズルとを備え、前記接続ノズルは、前記ノズルの他端に前記貫通孔と連通可能に接続された中空の穿刺針を有し、前記穿刺針が前記連通孔の他端側へ向かう方向へ摺動自在に保持された状態で、前記ベース部材の一端側において支持されていることを特徴とする、薬剤容器である。
【0011】
請求項11に記載の発明は、前記穿刺針の外周面には、その周方向外側に突出する突起が形成されており、前記接続ノズルは、前記ベース部材の一端側に設けられ、前記突起を嵌合させるための嵌合孔を有する筒状の支持部により支持されており、前記支持部には、前記嵌合孔から前記ベース部材の他端側へ向かってその軸方向に延び、前記突起をスライド可能とさせることにより前記穿刺針の摺動動作を保持する溝が形成されていることを特徴とする、請求項10に記載の薬剤容器である。
【0012】
請求項12に記載の発明は、前記接続ノズルには、前記ノズルの周方向に回転させることにより、前記接続ノズルに係合される回転固定式チューブを係合するための係合部材が設けられていることを特徴とする、請求項11に記載の薬剤容器である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、ノズルに膨出部が形成され、その膨出部に複数の切込部が形成されているので、膨出部は、その径方向内側へ加えられる外力により自在に縮径される。
そのため、膨出部を径方向内側に縮径させながらチューブへノズルを挿入し、挿入後、膨出部を径方向外側へ復元させることにより、その復元力(径方向外側へ生じる力)によりチューブを内腔から押圧することができる。つまり、膨出部の復元力により、チューブの抜ける方向(ノズルの軸方向)に対してほぼ直交する方向に力を与えることができる。
【0014】
したがって、ノズルの外径をチューブの内径に応じて適当な大きさに設計することにより、別途道具を用いることなく、また、チューブの種類(たとえば、変形しにくい硬いチューブなど)に選らず、ノズルからのチューブ抜けを抑制することができる。
また、膨出部に切込部が形成されているので、たとえば、経腸栄養剤などの薬剤が収容された容器に接続ノズルが取り付けられている場合に、誤って輸液用穿刺針がノズルに挿入されても、経腸栄養剤を切込部から漏れ出させることができる。その結果、薬剤の取扱者に、薬剤の誤使用を気づかせることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、接続ノズルが、1000〜20000kgf/cmの曲げ弾性率で有するプラスチックを用いて成形され、かつ、その厚さが0.5〜2.0mmであるので、膨出部の縮径を可能としながら、膨出部の強度を十分確保することができる。
請求項3に記載の発明によれば、互いに隣接する切込部の間隔が0.5〜2.0mmであるので、膨出部の強度を低下させることなく、接続ノズルの成形性を向上させることができる。また、膨出部を容易に縮径することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、チューブの内腔全周からチューブに対して膨出部の復元力を与えることができるので、チューブ抜けの抑制効果をより一層向上させることができる。
請求項5に記載の発明によれば、膨出部が、ノズルの一端からノズルの軸方向中央までの一端側に形成されているので、ノズルに対するチューブの挿入量が浅くても、膨出部をチューブに挿入でき、チューブ抜けの抑制効果を実現することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、切込部がノズルの一端から切れ込まれることにより形成されているので、ノズルの一端部を簓状にすることができる。そのため、接続ノズルを射出成形する場合、成形後に接続ノズル(成形品)射出用金型から抜き易くすることができる。
請求項7に記載の発明によれば、請求項1〜6のいずれかに記載の接続ノズルが備えられているので、ノズルの外径をチューブの内径に応じて適当な大きさに設計することにより、別途道具を用いることなく、また、チューブの種類に選らず、ノズルからのチューブ抜けを抑制することができる。また、薬剤の取扱者に、薬剤の誤使用を気づかせることができる。
【0018】
また、ベース部材の連通孔の他端側を閉塞して容器を封止する封止部材が備えられ、ベース部材の連通孔には、穿刺針が他端側へ向かう方向へ摺動自在に保持されている。そのため、穿刺針の摺動により封止部材を刺通するまでは、容器の密封性を維持することができる。一方、容器を開封したいときには、穿刺針を摺動させて封止部材を刺通することにより、容器を簡単に開封することができる。
【0019】
請求項8に記載の発明によれば、接続ノズルは、穿刺針に形成された突起が支持部の嵌合孔に嵌合されることにより、支持部により支持される。つまり、容器の封止状態において、穿刺針の突起が嵌合孔に嵌合されているので、チューブをノズルに挿入するときに穿刺針が回転するのを防止することができる。
また、容器を開封したいときには、突起を溝に沿ってスライドさせて穿刺針を摺動させることにより、容器を簡単に開封することができる。
【0020】
その結果、容器の開封性を向上できるとともに、チューブの挿入性を向上させることができる。
請求項9に記載の発明によれば、チューブの挿入時における穿刺針の回転を防止することができ、さらに、係合部材が設けられているので、回転固定式チューブを簡単に接続することができる。
【0021】
請求項10に記載の発明によれば、請求項1〜6のいずれかに記載の接続ノズルが備えられているので、ノズルの外径をチューブの内径に応じて適当な大きさに設計することにより、別途道具を用いることなく、また、チューブの種類に選らず、ノズルからのチューブ抜けを抑制することができる。また、薬剤の取扱者に、薬剤の誤使用を気づかせることができる。
【0022】
また、ベース部材の連通孔の他端側を閉塞して容器を封止する封止部材が備えられ、ベース部材の連通孔には、穿刺針が他端側へ向かう方向へ摺動自在に保持されている。そのため、穿刺針の摺動により封止部材を刺通するまでは、容器の密封性を維持することができる。一方、容器を開封したいときには、穿刺針を摺動させて封止部材を刺通することにより、容器を簡単に開封することができる。
【0023】
請求項11に記載の発明によれば、接続ノズルは、穿刺針に形成された突起が支持部の嵌合孔に嵌合されることにより、支持部により支持される。つまり、容器の封止時に、穿刺針の突起が嵌合孔に嵌合されているので、チューブをノズルに挿入するときに穿刺針が回転するのを防止することができる。
また、容器を開封したいときには、突起を溝に沿ってスライドさせて穿刺針を摺動させることにより、容器を簡単に開封することができる。
【0024】
その結果、容器の開封性を向上できるとともに、チューブの挿入性を向上させることができる。
請求項12に記載の発明によれば、チューブの挿入時における穿刺針の回転を防止することができ、さらに、係合部材が設けられているので、回転固定式チューブを簡単に接続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
<第1の実施形態>
(接続ノズル、スパウトおよび薬剤容器の構成)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る接続ノズルを備える薬剤容器の要部を示す(a)斜視図(b)断面図(図1(a)のb−bで示される切断線で切断したときの断面図)である。
【0026】
薬剤容器1は、チューブを介して投与される薬剤の容器であって、薬剤を収容するための容器本体としてのパウチ2と、パウチ2内の薬剤を注出するためのスパウト3とを備えている。
パウチ2は、たとえば、ポリエチレンなどのプラスチックフィルム、アルミニウム箔などの金属箔が積層された多層フィルムがヒートシールにより袋状に形成されてなる。パウチ2の中には、たとえば、経腸栄養剤などの薬剤が収容される。
【0027】
スパウト3は、パウチ2に取り付けられてパウチ2の注出口となるベース部材4と、ベース部材4からの流出を遮断してパウチ2を封止するための封止部材5と、ベース部材4に連通していて、チューブが接続される(チューブが外嵌めされる)接続ノズルと6と、接続ノズル6を保護するためのカバー7とを備えている。
ベース部材4は、たとえば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのプラスチックからなり、パウチ2に固定されるひし形筒状の固定部8と、固定部8の軸方向一端を閉塞する上壁9およびその上壁9から固定部8の周方向外側へ張り出す第1フランジ10を一体的に有するフランジ部11と、上壁9から突出し、接続ノズル6を支持するための筒状の支持部12とを一体的に備えている。
【0028】
ベース部材4において、パウチ2に固定される他端側の固定部8の内部13と、接続ノズル6を支持する一端側の支持部12の内部14とは、フランジ部11の中心部に形成された開口15を介して連通し、ベース部材4の一端(支持部12の一端)と他端(固定部8の他端)とを連通させる第1連通孔16をなしている。
固定部8の外周面17には、固定部8の短対角線方向に対向する1対の面それぞれに、外周面17の周方向に沿ってリブ18が形成されている。そして、リブ18が固定部8の軸方向に複数形成されることにより、外周面17は、面の波打つ凹凸面に形成されている。外周面17が凹凸面に形成されていることにより、パウチ2を固定部8に密着させたときに、パウチ2を外周面17に引っ掛けることができるので、パウチ2からのベース部材4の抜けを抑制することができる。
【0029】
フランジ部11には、その長対角線方向(長手方向)における両端部に、ベース部材4にカバー7を固定するための1対のカバーストッパ19が形成されている。
各カバーストッパ19は、第1フランジ10から立ち上がり、先端が第1フランジ10の内側へ延びる鉤形の鉤壁20と、第1フランジ10の周方向において鉤壁20の一方側に立設された立壁21とを一体的に備え、上壁9の中心を対称点として互いに点対称の関係になっている。
【0030】
カバー7は、たとえば、透明のプラスチックからなり、一端の閉塞された円筒状に形成されている。カバー7の他端には、径方向外側へ張り出す1対の係合爪22が形成されている。そして、カバー7は、その他端を第1フランジ10に当接させた状態で時計回りに回転されることにより、係合爪22がカバーストッパ19で係止されて、ベース部材4に固定される。
【0031】
支持部12には、支持部12の周壁を軸方向に切断する1対の直線溝23が形成されている。
直線溝23には、軸方向一端部および他端部において、その径が直線溝23の幅よりもやや大きい径を有する円形の孔がそれぞれ形成されている。各孔は、パウチ2の封止状態において、後述する穿刺針29の突起38が嵌合される第1嵌合孔24と、パウチ2の開封状態において、後述する穿刺針29の突起38が嵌合される第2嵌合孔25とに区別される。
【0032】
封止部材5は、たとえば、プラスチック材料、ゴム材料などからなり、固定部8の内部13とほぼ同じ大きさのひし形筒状に形成されている。
封止部材5には、その軸方向一端における対角線の交点(中心部)から他端へと直線的に貫通する貫通孔26が形成されている。貫通孔26は、封止部材5と一体的に形成される閉塞板27により閉塞されている。
【0033】
接続ノズル6は、チューブの内腔に挿入される筒状のノズル28と、封止部材5の閉塞板27に突き刺される穿刺針29とを備えている。
ノズル28は、軸方向他端から一端に向かって、一定の外径を有する円筒部30と、外径の窄まるテーパ部31とを一体的に備え、これらを貫通するノズル貫通孔32を有している。
【0034】
テーパ部31には、その周壁が径方向外側へ外周全周にわたって帯状に膨らむ膨出部33が形成されている。
膨出部33は、テーパ部31の一端からテーパ部31の軸方向中央までの一端側において、その外周面が弧状に膨らむように形成されている。弧状の膨出部33の膨出度合は、好ましくは、膨出部33における最大膨出位置(弧の頂点位置)における外径D1が、当該位置におけるノズル28の外径D2の110〜130%である。
【0035】
なお、当該位置におけるノズル28の外径D2とは、膨出部33の最大膨出位置の位置するノズル28の径方向における平面34(図1(b)に一点鎖線で示される部分)と、テーパ部31をそのテーパ比でノズル28の一端に向かって延長したときの外周面35(図1(b)に破線で示される部分)との交線の外径のことをいう。
そして、膨出部33の最大膨出位置における外周面35からの具体的な膨出厚としては、ノズル28に接続されるチューブの内径により設計され、たとえば、2.0〜5.0mmである。
【0036】
また、膨出部33には、テーパ部31の一端から膨出部33の軸方向他端まで切れ込まれた長方形状の複数(6つ)の切込部36が形成されている。
各切込部36の幅W2は、好ましくは、0.1〜2.0mmである。また、各切込部36は、膨出部33の全周にわたって均等な間隔を空けて配置されている。
そして、膨出部33は、切込部36が均等な間隔を空けて配置されることにより、複数の部分に分割され、その各部分の幅W1(つまり、隣接する切込部36間の間隔)は、好ましくは、0.5〜2.0mmである。
【0037】
穿刺針29は、ベース部材4の支持部12の内径とほぼ同じ外径を有し、軸方向他端部が尖る中空の尖鋭円筒状に形成されている。また、穿刺針29は、ノズル貫通孔32に連通し、ノズル貫通孔32の径よりも小さい径の第2連通孔37(中空部分)を有している。
穿刺針29の外周面には、その周方向外側に突出する突起38が形成されている。
【0038】
突起38は、穿刺針29の径方向に対向して1対設けられており、各突起38は、支持部12の第1嵌合孔24および第2嵌合孔25に嵌合可能な円柱状に形成されている。
また、接続ノズル6において、ノズル28と穿刺針29との接続部(ノズル28の他端)には、ノズル28の径方向外側へ張り出す第2フランジ39が形成されている。
第2フランジ39は、ノズル28の外周(円筒部30の外周)よりも大きい外周を有する相似形の円形板状に形成されている。また、第2フランジ39には、その周方向外側に突出する係合爪40が形成されている。
【0039】
係合爪40は、後述する回転固定式チューブ45を係合するためのものであって、第2フランジ39の径方向に対向して1対設けられており、各係合爪40は、たとえば、長方形状に形成されている。
そして、上記のような構成の接続ノズル6は、好ましくは、JIS K7171に準拠して測定される曲げ弾性率が1000〜20000kgf/cmのプラスチックを用いて、たとえば、射出成形など公知の成形技術により成形される。
【0040】
上記のような特性を有するプラスチックとしては、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンを用いることができ、さらに好ましくは、プロピレンとオレフィン系炭化水素とのランダムコポリマーを用いることができる。このようなポリマーであれば、接続ノズル6の耐熱性を向上させることができる。
また、上記プラスチックにより成形される接続ノズル6の厚さは、好ましくは、0.5〜2.0mmである。
【0041】
そして、スパウト3を組立てるには、たとえば、まず、ベース部材4の固定部8の内部13に封止部材5が嵌め込まれることにより、ベース部材4の第1連通孔16が、封止部材5の閉塞板27により閉塞される。
次に、ベース部材4の支持部12に接続ノズル6の穿刺針29が挿入され、穿刺針29の突起38が第1嵌合孔24に嵌合される。これにより、接続ノズル6は、穿刺針29が第1連通孔16の他端側へ直線溝23に沿って摺動自在に保持された状態で、支持部12に支持されてベース部材4に接続される。なお、突起38が第1嵌合孔24に嵌合された状態においては、穿刺針29の尖端が閉塞板27よりもベース部材4の一端側に位置しているため、閉塞板27による貫通孔26の閉塞が保持されている。
【0042】
そして、上記のように組み立てられるスパウト3は、パウチ2の作製時に、ベース部材4の固定部8が多層フィルムにより挟まれた状態でヒートシールされることにより、多層フィルムに密着してパウチ2に固定される。これにより、薬剤の収容されたパウチ2の注出口は、封止部材5の閉塞板27により封止された状態となる。
(スパウトの使用方法)
図2は、図1に示すスパウトの使用方法を説明するための図である。
【0043】
封止されたパウチ2内の薬剤をスパウト3から注出し、チューブを介して人体に投与するには、まず、接続ノズル6にチューブ41が取り付けられる。具体的には、チューブ41の一端が親指42および人差し指43で挟まれ、その内腔に膨出部33の一端(ノズル28の一端)が挿される。
そして、その状態から、図2(a)に示すように、膨出部33がチューブ41越しに親指42および人差し指43で径方向内側に押圧されて縮径されながら、チューブ41がノズル28の他端側へ嵌め込まれる。
【0044】
嵌め込み後、親指42および人差し指43が、チューブ41から離される。これにより、膨出部33が径方向外側へ復元し、その復元力(径方向外側へ生じる力)によりチューブ41の内壁が押圧されて、チューブ41が接続ノズル6に接続される。
次いで、たとえば、パウチ2が高い位置に吊るされる。そして、その状態から、図2(b)に示すように、接続ノズル6がベース部材4側に押し込まれる。これにより、第1嵌合孔24に対する突起38の嵌合が解除され、突起38が直線溝23をスライドすることにより穿刺針29が第1連通孔16内を摺動する。
【0045】
そして、図2(c)に示すように、突起38が第2嵌合孔25に嵌合したときに、接続ノズル6に対する押し込みが止められる。穿刺針29の摺動により、封止部材5の閉塞板27が穿刺針29の尖端により刺通されて、パウチ2内と穿刺針29の第2連通孔37とが連通する。
したがって、パウチ2内の薬剤が、その自重により、第2連通孔37およびそれに連通するノズル貫通孔32を通ってチューブ41に注出される。
【0046】
なお、薬剤の投与後、接続ノズル6からチューブ41を取り外すには、チューブ41越しに膨出部33を押圧して縮径させながら、チューブ41を引き抜けばよい。
(作用効果)
この第1の実施形態によれば、ノズル28に膨出部33が形成され、その膨出部33に複数の切込部36が形成されているので、膨出部33は、その径方向内側へ加えられる外力により自在に縮径される。
【0047】
そのため、膨出部33を径方向内側に押圧して縮径させながらチューブ41をノズル28に嵌め込み、嵌め込み後、膨出部33を径方向外側へ復元させることにより、その復元力(径方向外側へ生じる力)によりチューブ41の内壁を押圧することができる。つまり、膨出部33の復元力により、チューブ41の抜ける方向(ノズル28の軸方向)に対してほぼ直交する方向に力を与えることができる。なお、チューブが硬い場合には、そのチューブは、手指ではなく、チューブの内壁(内径)によって膨出部33が縮径されて嵌め込まれる。この場合にも、膨出部33の復元力により、チューブの内壁が押圧される。
【0048】
したがって、ノズル28の外径をチューブの内径に応じて適当な大きさに設計することにより、別途道具を用いることなく、また、チューブの種類(たとえば、変形しにくい硬いチューブなど)に選らず、チューブ抜けを抑制することができる。
また、膨出部33における最大膨出位置(弧の頂点位置)における外径D1が、当該位置におけるノズル28の外径D2の110〜130%である。つまり、チューブの内径に応じて設計されるノズル28の外径に対して110〜130%であるので、膨出部33をチューブの挿入可能な外径まで、容易に縮径することができる。その結果、チューブ抜けの抑制効果を十分に発揮できながら、チューブの接続性を向上させることができる。
【0049】
また、複数の膨出部33の各部分の幅W1(つまり、隣接する切込部36間の間隔)が、0.5〜2.0mmであるので、膨出部33の強度を低下させることなく、接続ノズル6の成形性を向上させることができる。また、膨出部33を容易に縮径することができる。
また、膨出部33が、テーパ部31の周壁が径方向外側へ外周全周にわたって帯状に膨らむことにより形成されている。そのため、チューブ41の内壁全周にわたって膨出部33の復元力を与えることができるので、チューブ抜けの抑制効果をより一層向上させることができる。
【0050】
また、膨出部33が、テーパ部31の一端からテーパ部31の軸方向中央までの一端側に形成されているので、ノズル28に対するチューブ41の挿入量が浅くても、膨出部33をチューブ41に挿入でき、チューブ抜けの抑制効果を実現することができる。
また、切込部36が、テーパ部31の一端から切れ込まれることにより形成されているので、ノズル28の一端部を簓状にすることができる。そのため、接続ノズル6を射出成形する場合、成形後に接続ノズル6(成形品)射出用金型から抜き易くすることができる。
【0051】
また、接続ノズル6が、1000〜20000kgf/cmの曲げ弾性率で有するプラスチックを用いて成形され、かつ、その厚さが0.5〜2.0mmであるので、膨出部33の縮径を可能としながら、膨出部33の強度を十分確保することができる。
また、スパウト3において、ベース部材4に閉塞板27を有する封止部材5が嵌合されるので、接続ノズル6にチューブ41を接続し、穿刺針29により閉塞板27を刺通するまでは、パウチ2の密封性を維持することができる。一方、パウチ2を開封したいときには、穿刺針29を摺動させて閉塞板27を刺通することにより、パウチ2を簡単に開封することができる。
【0052】
また、パウチ2の封止状態において、穿刺針29の突起38が第1嵌合孔24に嵌合されているので、チューブ41を嵌め込むときに穿刺針29が回転するのを防止することができる。その結果、チューブ41の挿入性を向上させることができる。
また、膨出部33に切込部36が形成されているので、たとえば、パウチ2に経腸栄養剤などが収容されている場合に、図3に示すように、誤って輸液用穿刺針44がノズル28のノズル貫通孔32に刺されても(挿入されても)、ノズル貫通孔32を通る経腸栄養剤を切込部36から漏れ出させることができる。その結果、薬剤容器1の取扱者に、薬剤の誤使用を気づかせることができる。
【0053】
さらに、接続ノズル6に第2フランジ39および係合爪40が設けられているので、接続ノズル6には、図4に示すように、スパウト3に回転固定式チューブ45を接続することができる。
図4において、回転固定式チューブ45は、ノズル28が挿入されるアダプタ用チューブ46と、アダプタ用チューブ46の一端に設けられた筒状のアダプタ47とを備えている。
【0054】
アダプタ47の一端には、一端から周方向外側に張り出し、接続ノズル6の第2フランジ39とほぼ同じ外径のアダプタ用フランジ48が形成されている。アダプタ用フランジ48には、その周方向外側に突出し、第2フランジ39の係合爪40に対応するアダプタストッパ49が形成されている。
回転固定式チューブ45は、アダプタ用チューブ46がノズル28に嵌め込まれるとともに、アダプタ47が回転されてアダプタストッパ49が係合爪40で係止されることにより、接続ノズル6に接続される。
【0055】
そして、上記したように、穿刺針29の突起38が第1嵌合孔24に嵌合されているので、回転固定式チューブ45を接続するときに穿刺針29が回転するのを防止することができる。その結果、回転固定式チューブ45の接続性を向上させることができる。
<第2の実施形態>
(接続ノズル、スパウトおよび薬剤容器の構成)
図5は、本発明の第2の実施形態に係る接続ノズルを備える薬剤容器の要部を示す(a)斜視図(b)断面図(図5(a)のb−bで示される切断線で切断したときの断面図)である。図5において、図1に示す各部に対応する部分には、それらの各部と同一の参照符号を付している。
【0056】
第2の実施形態の薬剤容器51は、パウチ2内の薬剤を注出するためのスパウト52を備えている。
スパウト52は、パウチ2に取り付けられてパウチ2の注出口となるベース部材53と、ベース部材53からの薬剤の流出を遮断してパウチ2を封止するための封止部材5と、ベース部材53に連通していて、チューブが接続される(チューブが外嵌めされる)接続ノズル54と、接続ノズル54を保護するためのカバー55とを備えている。
【0057】
ベース部材53は、ベース部材4と同様に、たとえば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのプラスチックからなり、パウチ2に固定されるひし形筒状の固定部8と、固定部8の軸方向一端を閉塞する上壁9およびその上壁9から固定部8の周方向外側へ張り出す第1フランジ10を一体的に有するフランジ部11と、フランジ部11から突出し、接続ノズル54を支持するための1対の支持部56とを一体的に備えている。
【0058】
ベース部材53において、パウチ2に固定される他端側の固定部8の内部13と、フランジ部11の中心部に形成された開口15とは、接続ノズル54を支持する支持部56の配置される一端側と他端側(固定部8側)とを連通させる第3連通孔57をなしている。
各支持部56は、フランジ部11の長対角線方向において、各カバーストッパ19の内側に隣接する位置に、それぞれ2枚の板(内側板58および外側板59)が向かい合って立設されることにより形成されている。内側板58および外側板59により、支持部56には、これらに挟まれる部分に隙間60が形成されている。
【0059】
内側板58は、外側板59に対向する平坦な内面を有しており、その内面の基端部および遊端部には、外側板59へ向けて半円柱状に盛り上がる1対のリブがそれぞれ形成されている。各リブは、パウチ2の封止状態において、後述する摺動部材73の第2嵌合溝76が嵌合される第1リブ61と、パウチ2の開封状態において、後述する摺動部材73の第2嵌合溝76が嵌合される第2リブ62とに区別される。
【0060】
外側板59は、内側板58の基端部および基端部から遊端部までに対向する平坦な面と、内側板58の遊端部に対向し、平坦な面よりもやや内側板58側に盛り上がる盛り上がり面とが連続してなる内面を有している。外側板59の内面の盛り上がり面には、内側板58の第1リブ61に対向する部分が半円柱状に掘り下がる第1嵌合溝63が形成されている。
【0061】
接続ノズル54は、チューブの内腔に挿入される筒状のノズル64と、封止部材5の閉塞板27に突き刺される穿刺針65とを備えている。
ノズル64は、軸方向他端から一端に向かって、一定の外径を有する円筒部66と、外径の窄まるテーパ部67とを一体的に備え、これらを貫通するノズル貫通孔68を有している。
【0062】
テーパ部67には、その周壁が径方向外側へ外周全周にわたって帯状に膨らむ膨出部69が形成されている。
膨出部69は、テーパ部67の一端からテーパ部67の軸方向中央までの一端側において、その外周面が弧状に膨らむように形成されている。弧状の膨出部69の膨出度合および膨出厚は、好ましくは、図1に示す膨出部33と同様である。
【0063】
また、膨出部69には、その中央部からテーパ部31の軸方向一端および他端にかけて切れ込まれ、一端および他端にかけてその幅が狭まるアーモンド状の複数(6つ)の切込部70が形成されている。
各切込部70の最大幅(中央部の幅)W3は、必要に応じて適切な値に定められる。また、各切込部70は、膨出部69の全周にわたって均等な間隔を空けて配置されている。
【0064】
隣接する切込部70の中央部間の幅W4(つまり、隣接する切込部70の間の膨出部69の幅)は、必要に応じて適切な値に定められる。
穿刺針65は、ベース部材4の開口15の径とほぼ同じ外径を有し、軸方向他端部が尖る中空の尖鋭円筒状に形成されている。また、穿刺針65は、ノズル64のノズル貫通孔68に連通し、ノズル貫通孔68の径よりも小さい径の第4連通孔71(中空部分)を有している。
【0065】
また、接続ノズル54には、ノズル64と穿刺針65との接続部(ノズル64の他端)に、ノズル64の径方向外側へ張り出す第3フランジ72と、第3フランジ72からノズル64の軸方向他端側へ延びる摺動部材73とが形成されている。
第3フランジ72は、ノズル64の外周(円筒部66の外周)よりも大きい外周を有する相似形の円形板状に形成されている。また、第3フランジ72には、その周方向外側に突出する係合爪74が形成されている。
【0066】
係合爪74は、図1に示す係合爪40と同様に、回転固定式チューブ45を係合するためのものであって、第3フランジ72の径方向に対向して1対設けられており、各係合爪74は、たとえば、長方形状に形成されている。
摺動部材73は、係合爪74とほぼ同じ幅を有し、係合爪74の遊端部から第3フランジ72の径方向外側へ広がる段差を有するクランク板状に形成されている。
【0067】
摺動部材73の先端部には、第3フランジ72の径方向外側の面に、支持部56の外側板59の第1嵌合溝63に嵌合可能な嵌合リブ75が形成されている。一方、径方向内側の面には、支持部56の内側板58の第1リブ61および第2リブ62に嵌合可能な第2嵌合溝76が形成されている。
カバー55は、カバー7と同様に、たとえば、透明のプラスチックからなり、一端が閉塞され、軸方向中央部から一端側へ向かって径の窄まるテーパ筒状に形成されている。カバー55の他端には、径方向外側へ張り出す1対の係合爪77が形成されている。そして、カバー55は、その他端を第1フランジ10に当接させた状態で時計回りに回転されることにより、係合爪77がカバーストッパ19で係止されて、ベース部材53に固定される。
【0068】
そして、スパウト52を組立てるには、たとえば、まず、ベース部材53の固定部8の内部13に封止部材5が嵌め込まれることにより、ベース部材53の第3連通孔57が、封止部材5の閉塞板27により閉塞される。
次に、支持部56の隙間60に摺動部材73が挿し込まれ、摺動部材73の嵌合リブ75および第2嵌合溝76が、第1嵌合溝63および第1リブ61にそれぞれ嵌合される。これにより、接続ノズル54は、摺動部材73が第3連通孔57の他端側へ隙間60に沿って摺動自在に保持された状態で、支持部56に支持されてベース部材53に接続される。なお、嵌合リブ75および第2嵌合溝76が、第1嵌合溝63および第1リブ61にそれぞれ嵌合された状態においては、穿刺針65の尖端が閉塞板27よりもベース部材53の一端側に位置しているため、閉塞板27による貫通孔26の閉塞が保持されている。
【0069】
そして、上記のように組み立てられるスパウト52は、図1に示すスパウト3と同様に、パウチ2の作製時に、ベース部材53の固定部8が多層フィルムにより挟まれた状態でヒートシールされることにより、多層フィルムに密着してパウチ2に固定される。
(スパウトの使用方法)
封止されたパウチ2内の薬剤をスパウト52から注出し、チューブを介して人体に投与するには、まず、図2(a)と同様に、接続ノズル54にチューブが取り付けられる。つまり、膨出部69がチューブ越しに親指および人差し指で径方向内側に押圧されて縮径されながら、チューブがノズル64の他端側へ嵌め込まれる。
【0070】
嵌め込み後、親指および人差し指が、チューブから離される。これにより、膨出部69が径方向外側へ復元し、その復元力(径方向外側へ生じる力)によりチューブの内壁が押圧されて、チューブが接続ノズル54に接続される。
次いで、たとえば、パウチ2が高い位置に吊るされる。そして、その状態から、接続ノズル54がベース部材53側に押し込まれる。これにより、第1嵌合溝63および第1リブ61に対する嵌合リブ75および第2嵌合溝76の嵌合が解除される。そして、嵌合リブ75が外側板59の平坦な面をスライドすることにより、摺動部材73が隙間60内を摺動するとともに穿刺針65が連通孔57内を摺動する。
【0071】
そして、第2嵌合溝76が第2リブ62に嵌合したときに、接続ノズル54に対する押し込みが止められる。これにより、封止部材5の閉塞板27が穿刺針65の尖端により刺通されて、パウチ2内と穿刺針65の第4連通孔71とが連通する。
したがって、パウチ2内の薬剤が、その自重により、第4連通孔71およびそれに連通するノズル貫通孔68を通ってチューブに注出される。
(作用効果)
この第2の実施形態によれば、ノズル64に膨出部69が形成され、その膨出部69に複数の切込部70が形成されているので、膨出部69は、その径方向内側へ加えられる外力により自在に縮径される。
【0072】
そのため、膨出部69を径方向内側に押圧して縮径させながらチューブをノズル64に嵌め込み、嵌め込み後、膨出部69を径方向外側へ復元させることにより、その復元力(径方向外側へ生じる力)によりチューブの内壁を押圧することができる。つまり、膨出部69の復元力により、チューブの抜ける方向(ノズル64の軸方向)に対してほぼ直交する方向に力を与えることができる。
【0073】
したがって、ノズル64の外径をチューブの内径に応じて適当な大きさに設計することにより、別途道具を用いることなく、また、チューブの種類(たとえば、変形しにくい硬いチューブなど)に選らず、チューブ抜けを抑制することができる。
また、膨出部69に切込部70が形成されているので、たとえば、パウチ2に経腸栄養剤などが収容されている場合に、誤って輸液用穿刺針がノズル貫通孔68に刺されても(挿入されても)、ノズル貫通孔68を通る経腸栄養剤を切込部70から漏れ出させることができる。その結果、薬剤容器51の取扱者に、薬剤の誤使用を気づかせることができる。
【0074】
その他、図1に示す各部に対応する部分が奏する作用効果については、第1の実施形態と同様の作用効果を達成することができる。
<第3の実施形態>
(接続ノズルの構成)
図6は、本発明の第3の実施形態に係る接続ノズルの要部を示す(a)斜視図(b)断面図(図6(a)のb−bで示される切断線で切断したときの断面図)である。図6において、図1に示す各部に対応する部分には、それらの各部と同一の参照符号を付している。
【0075】
第3の実施形態の接続ノズル81は、チューブの内腔に挿入される筒状のノズル82を備えている。
ノズル82は、軸方向他端から一端に向かって、一定の外径を有する円筒部83と、外径の窄まるテーパ部84とを一体的に備え、これらを貫通するノズル貫通孔85を有している。
【0076】
テーパ部84には、その周壁の半分が径方向外側へコブ状に膨らむ膨出部86が形成されている。
膨出部86は、テーパ部84の一端からテーパ部84の軸方向中央までの一端側において、その外周面が弧状に膨らむように形成されている。弧状の膨出部86の膨出度合および膨出厚は、好ましくは、図1に示す膨出部33と同様である。
【0077】
また、膨出部86には、テーパ部84の一端から膨出部86の軸方向他端まで切れ込まれた長方形状の複数(3つ)の切込部87が形成されている。
各切込部87の幅W5は、好ましくは、図1に示す切込部36の幅W2と同様である。また、各切込部87は、膨出部86の全周にわたって均等な間隔を空けて配置されている。
【0078】
そして、膨出部86は、切込部87が均等な間隔を空けて配置されることにより、複数の部分に分割され、その各部分の幅W6(つまり、隣接する切込部87間の間隔)は、好ましくは、図1に示す幅W1と同様である。
(作用効果)
この第3の実施形態によれば、ノズル82に膨出部86が形成され、その膨出部86に複数の切込部87が形成されているので、膨出部86は、その径方向内側へ加えられる外力により自在に縮径される。
【0079】
そのため、膨出部86を径方向内側に押圧して縮径させながらチューブをノズル82に嵌め込み、嵌め込み後、膨出部86を径方向外側へ復元させることにより、その復元力(径方向外側へ生じる力)によりチューブの内壁を押圧することができる。つまり、膨出部86の復元力により、チューブの抜ける方向(ノズル82の軸方向)に対してほぼ直交する方向に力を与えることができる。
【0080】
したがって、ノズル82の外径をチューブの内径に応じて適当な大きさに設計することにより、別途道具を用いることなく、また、チューブの種類(たとえば、変形しにくい硬いチューブなど)に選らず、チューブ抜けを抑制することができる。
また、膨出部86に切込部87が形成されているので、たとえば、パウチに経腸栄養剤などが収容されている場合に、誤って輸液用穿刺針がノズル貫通孔85に刺されても(挿入されても)、ノズル貫通孔85を通る経腸栄養剤を切込部87から漏れ出させることができる。その結果、薬剤容器の取扱者に、薬剤の誤使用を気づかせることができる。
【0081】
その他、図1に示す各部に対応する部分が奏する作用効果については、第1の実施形態と同様の作用効果を達成することができる。
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明はさらに他の形態で実施することもできる。
たとえば、接続ノズル6は、図7に示す薬剤容器50のように、パウチ2に直接固定されていてもよい。具体的には、接続ノズル6の穿刺針29に代えて円筒状の固定筒88を設け、その固定筒88を多層フィルムにより挟んだ状態でヒートシールすることにより、接続ノズル6を多層フィルムに密着させてパウチ2に固定してもよい。
【0082】
また、封止部材5によりその内部の第1連通孔16が閉塞されるベース部材4に代えて、図8に示す薬剤容器80のように、キャップによりその内部の連通孔が閉塞されるキャップ式のベース部材89を適用してもよい。具体的には、上壁9から突出し、接続ノズル6を支持するための筒状の支持部90を有するベース部材89を適用することができる。
そして、ベース部材89の支持部90には、支持部90の周壁を軸方向に切断する1対の直線溝91が形成されている。直線溝91には、軸方向中央部において、その径が直線溝91の幅よりもやや大きい径を有する円形の第3嵌合孔92が形成されている。
【0083】
そして、パウチ2を封止したいときには、支持部90に突起を有するキャップ(図示せず)を挿入し、当該突起を第3嵌合孔92に嵌合させればよい。一方、パウチ2を開封したいときには、キャップを取り外し、支持部90に接続ノズル6の穿刺針29を挿入し、突起38を第3嵌合孔92に嵌合させればよい。
なお、図7および図8において、図1に示す各部に対応する部分には、それらの各部と同一の参照符号を付している。
【0084】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る接続ノズルを備える薬剤容器の要部を示す(a)斜視図(b)断面図である。
【図2】図1に示すスパウトの使用方法を説明するための図である。
【図3】図1に示す接続ノズルに輸液用穿刺針を刺したときの状態を示す図である
【図4】図1に示す接続ノズルに回転固定式チューブの取付方法を説明するための図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る接続ノズルを備える薬剤容器の要部を示す(a)斜視図(b)断面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る接続ノズルの要部を示す(a)斜視図(b)断面図である。
【図7】図1に示す薬剤容器の第1の変形例を示す斜視図である。
【図8】図1に示す薬剤容器の第2の変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0086】
1 薬剤容器
2 パウチ(容器本体)
3 スパウト
4 ベース部材
5 封止部材
6 接続ノズル
8 固定部(ベース部材の他端側)
12 支持部
16 第1連通孔(ベース部材の連通孔)
23 直線溝
24 第1嵌合孔
27 閉塞板
28 ノズル
29 穿刺針
32 ノズル貫通孔
33 膨出部
36 切込部
37 第2連通孔(穿刺針の中空部分)
38 突起
40 係合爪(係合部材)
41 チューブ
45 回転固定式チューブ
50 薬剤容器
51 薬剤容器
52 スパウト
53 ベース部材
54 接続ノズル
56 支持部
57 第3連通孔(ベース部材の連通孔)
64 ノズル
65 穿刺針
68 ノズル貫通孔
69 膨出部
70 切込部
71 第4連通孔(穿刺針の中空部分)
80 薬剤容器
81 接続ノズル
82 ノズル
85 ノズル貫通孔
86 膨出部
87 切込部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端から他端へ貫通する貫通孔を有し、チューブの内腔に挿入される円筒状のノズルを備え、
前記ノズルは、その側面に径方向外側に膨らむ少なくとも1つの膨出部を有し、
前記膨出部は、前記ノズルの軸方向に切れ込まれた切込部を複数有し、かつ外力により縮径可能であることを特徴とする、接続ノズル。
【請求項2】
JIS K7171に準拠して測定される曲げ弾性率が1000〜20000kgf/cmのプラスチックを用いて成形され、その厚さが0.5〜2.0mmであることを特徴とする、請求項1に記載の接続ノズル。
【請求項3】
互いに隣接する前記切込部の間隔が0.5〜2.0mmであることを特徴とする、請求項1または2に記載の接続ノズル。
【請求項4】
前記膨出部は、前記ノズルの全周にわたって形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の接続ノズル。
【請求項5】
前記膨出部は、前記ノズルの一端から前記ノズルの軸方向中央までの一端側に形成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の接続ノズル。
【請求項6】
前記切込部は、前記ノズルの一端から切れ込まれることにより形成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の接続ノズル。
【請求項7】
容器に取り付け、容器の内容物を注出するためのスパウトであって、
一端と他端とを連通させるための連通孔を有し、他端側が容器に取り付けられるベース部材と、
前記連通孔の他端側を閉塞して容器を封止するための封止部材と、
請求項1〜6のいずれかに記載の接続ノズルとを備え、
前記接続ノズルは、前記ノズルの他端に前記貫通孔と連通可能に接続された中空の穿刺針を有し、前記穿刺針が前記連通孔の他端側へ向かう方向へ摺動自在に保持された状態で、前記ベース部材の一端側において支持されていることを特徴とする、スパウト。
【請求項8】
前記穿刺針の外周面には、その周方向外側に突出する突起が形成されており、
前記接続ノズルは、前記ベース部材の一端側に設けられ、前記突起を嵌合させるための嵌合孔を有する筒状の支持部により支持されており、
前記支持部には、前記嵌合孔から前記ベース部材の他端側へ向かってその軸方向に延び、前記突起をスライド可能とさせることにより前記穿刺針の摺動動作を保持する溝が形成されていることを特徴とする、請求項7に記載のスパウト。
【請求項9】
前記接続ノズルには、前記ノズルの周方向に回転させることにより、前記接続ノズルに係合される回転固定式チューブを係合するための係合部材が設けられていることを特徴とする、請求項8に記載のスパウト。
【請求項10】
液状の薬剤が封入された容器本体と、
一端と他端とを連通させるための連通孔を有し、他端側が容器に取り付けられるベース部材と、
前記連通孔の他端側を閉塞して容器を封止するための封止部材と、
請求項1〜6のいずれかに記載の接続ノズルとを備え、
前記接続ノズルは、前記ノズルの他端に前記貫通孔と連通可能に接続された中空の穿刺針を有し、前記穿刺針が前記連通孔の他端側へ向かう方向へ摺動自在に保持された状態で、前記ベース部材の一端側において支持されていることを特徴とする、薬剤容器。
【請求項11】
前記穿刺針の外周面には、その周方向外側に突出する突起が形成されており、
前記接続ノズルは、前記ベース部材の一端側に設けられ、前記突起を嵌合させるための嵌合孔を有する筒状の支持部により支持されており、
前記支持部には、前記嵌合孔から前記ベース部材の他端側へ向かってその軸方向に延び、前記突起をスライド可能とさせることにより前記穿刺針の摺動動作を保持する溝が形成されていることを特徴とする、請求項10に記載の薬剤容器。
【請求項12】
前記接続ノズルには、前記ノズルの周方向に回転させることにより、前記接続ノズルに係合される回転固定式チューブを係合するための係合部材が設けられていることを特徴とする、請求項11に記載の薬剤容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−46190(P2010−46190A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−211613(P2008−211613)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(000149435)株式会社大塚製薬工場 (154)
【Fターム(参考)】