説明

接続構造

【課題】この発明は、接続端子間に挟み込まれる電子部品の変位を確実に抑制し、電子部品の接続状態の安定化を図ることを可能にする接続構造を提供することを目的とする。
【解決手段】電子デバイス3(LED30、抵抗器40)の接点32a、41aと接してこれと電気的に接続する接続端子6a、6bと、該接続端子6a、6bとは別部材で構成し、電子デバイス3の接点32b、41bと接してこれと電気的に接続する中間端子5とを備え、中間端子5の端子接続部52と接続端子6a、6bとを対向配置するとともに、中間端子5と接続端子6a、6bとにより、対向方向の両側から付勢しながら電子デバイス3を挟み込む。そして、接続端子6a、6bは、挟込方向wと直交する挟込幅方向xにおいて、中間端子5と接点32b、41bとの接触ポイントP2、P4の両外側の接触ポイントP1、P3で接点32a、41aと接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子部品の対向配置した接点の一方と接してこれと電気的に接続する第1の接続端子と、前記電子部品の接点の他方と接してこれと電気的に接続する第2の接続端子とを備える接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車の各種コントロールユニットや照明装置等に用いられる電子部品搭載モジュールにおいて、対向配置された接続端子で電子部品を対向方向の両側から付勢しながら挟み込むことにより、これを所定位置に挿着し、電気ケーブルと電気的に接続するようにしたものが知られている(特許文献1、2参照)。
【0003】
ところで、下記特許文献1、2では、各接続端子と電子部品との接触部の位置が略対称になるように設定されている。
【0004】
しかしながら、一般的に、高電位側、低電位側の2つの接続端子は別部材で構成されるものであり、各接続端子に寸法公差や組付け誤差等が発生すると、前記接触部の位置関係が対称とならずにずれてしまうという問題があった。
【0005】
特に、電子部品の挟込方向と直交する方向において前記接触部の位置にずれが生じていると、振動や外力の入力により電子部品が変位し易くなり、電子部品と電気ケーブルとの接続状態(電子部品の通電状態)が不安定となってしまう。
【0006】
例えば、電子部品搭載モジュールが自動車に搭載される場合には、車両走行時における振動の影響を考慮しなければならず、電子部品の変位を抑制するための対策が不可欠となる。
【特許文献1】特開2004−241191号公報
【特許文献2】特開2007−331697号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、接続端子間に挟み込まれる電子部品の変位を確実に抑制し、電子部品の接続状態の安定化を図ることを可能にする接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、電子部品の対向配置した接点の一方と接してこれと電気的に接続する第1の接続端子と、該第1の接続端子とは別部材で構成し、前記電子部品の接点の他方と接してこれと電気的に接続する第2の接続端子とを備え、前記第1、第2の接続端子を対向配置するとともに、該第1、第2の接続端子により、対向方向の両側から付勢しながら前記電子部品を挟み込む接続構造であって、前記第1の接続端子は、前記電子部品を挟込む挟込方向と直交する方向において、前記第2の接続端子と前記接点の他方との接触部位の両外側で前記接点の一方と接することを特徴とする。
【0009】
この発明の態様として、前記第1、第2の接続端子に、前記接点と接する接触凸部を形成するとともに、少なくとも前記第1の接続端子に複数の接触凸部を形成し、該接触凸部の全部または一部を、前記電子部品の挟込方向と直交する方向において、前記第2の接続端子の接触凸部の両外側に形成することができる。
【0010】
また、この発明の態様として、前記接触凸部を、前記挟込方向と直交する方向において前記接点と点接触する点接触形状に形成し、前記接点と前記接触凸部との接触部位となる接触ポイントを含む仮想平面に対して直交する方向に前記電子部品を挿着することを許容するように、前記第1、第2の接続端子を構成することができる。
【0011】
また、この発明の態様として、前記電子部品を複数備えるとともに、該複数の電子部品に対応して、第1、第2の接続端子を複数組備えた構成とすることができる。
【0012】
上記電子部品には、LEDチップ等の光源デバイスや各種センサ、さらには供給電圧を調整する抵抗器や、高い電圧が印加される場合のバイパス回路を構成するダイオード等であることを含む。
【0013】
上記第1、第2の接続端子は、電子部品を電気ケーブルに直接接続するピアス端子等の端子や、接続端子によって電気ケーブルに電気的に接続された電子部品同士を電気的に接続することで電気回路を構成して間接的に電気ケーブルに接続する端子部材であることを含む。
【0014】
また、接触凸部は、円弧状に突出したり、三角形状に突出したりして、電子部品の挟込方向と直交する方向において電子部品の接点と点接触する点接触形状をなすものを含み、この他、面状に形成されて電子部品の接点と面接触するものを含む。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、接続端子間に挟み込まれる電子部品の変位を確実に抑制し、電子部品の接続状態の安定化を図ることを可能にする接続構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のLEDモジュール1は、図1乃至8に示すように、電子デバイス3(LED30,抵抗器40)の対向配置した接点32a,41aと接してこれと電気的に接続する接続端子6b、6aと、該接続端子6b、6aとは別部材で構成し、電子デバイス3の接点32b、41bと接してこれと電気的に接続する中間端子5とを備えた接続構造を有している。
【0017】
なお、中間端子5の端子接触部52と接続端子6b、6aとを対向配置するとともに、端子接触部52及び接続端子6b、6aにより、対向方向の両側から付勢しながら電子デバイス3を挟み込んでいる。
【0018】
そして、接続端子6b、6aは、電子デバイス3を挟込む挟込方向wと直交する方向の挟込幅方向x(即ち、フラットケーブル100の長手方向Lと同方向)において、端子接触部52と接点32b、41bとの接触ポイントP2、P4の両外側の接触ポイントP1、P3で接点32a,41aと接している。
【0019】
また、端子接触部52及び接続端子6b、6aに、接点32、41と接する接触凸部52c、61aを形成するとともに、接続端子6b、6aに2箇所接触凸部61a、61aを形成し、該接触凸部61aを、挟込幅方向xにおいて端子接触部52の接触凸部52cの両外側に形成している。
【0020】
また、接触凸部52c及び61aを、挟込幅方向xにおいて、電子デバイス3の接点32、41と点接触する点接触形状に形成し、接点32及び41と接触凸部52c及び61aとの接触ポイントP1〜P4を含む仮想平面に対して直交する方向に電子デバイス3を挿着することを許容するように、中間端子5の端子接触部52及び接続端子6b、6aを構成している。
【0021】
また、電子デバイス3を2つ(LED30,抵抗器40)備えるとともに、電子デバイス3を構成するLED30、抵抗器40に対応して、端子接触部52及び接続端子6の組を2組備えている。
【0022】
上述するLEDモジュール1の構成について、図1乃至8とともに、詳述する。
なお、図1はLEDモジュール1の斜視図を示し、図2はLEDモジュール1の分解斜視図を示し、図3はLEDモジュール1の底面側からの分解斜視図を示し、図4はデバイスホルダー7への電子デバイス3、中間端子5及び接続端子6の組み付けについての斜視図による説明図を示し、図5はデバイスホルダー7、フラットケーブル100及びアンダーホルダー9の組み付けについての斜視図による説明図を示し、図6は電子部品である抵抗器40の挿着についての幅方向断面図による説明図を示し、図7は抵抗器40の挿着における中間端子5のメインスプリング51及びサブスプリング52aの変形についての幅方向断面図による説明図を示している。
【0023】
LEDモジュール1は、デバイスホルダー7に挿着したLED30や抵抗器40からなる電子デバイス3をフラットケーブル100に接続する接続ユニットである。
電子デバイス3は、光源となるLED30と、LEDモジュール1の外部から印加される電圧をLED30の特性に合わせて所定電圧に調整する電圧調整回路を構成する抵抗器40とで構成している。
【0024】
なお、LED30は、幅方向W(フラットケーブル100の幅方向と同じ方向)及び長手方向L(フラットケーブル100の長手方向と同じ方向)の長さに対して高さの低い約1〜2mm角の略直方体で形成されている。
上記LED30は上面に平面視円形の発光部31を備えるとともに、幅方向Wの対向する両側面に底面から連続するL型の接点32を備えている。なお、接点32のうち、図2の左奥側を一方側接点32aとし、右手前側を他方側接点32bとしている。
【0025】
抵抗器40は、LED30より幅広、同程度の奥行き、並びに1/4程度の高さで形成された幅方向Wに長い薄型の直方体形状であり、幅方向Wの対向する両側面に底面から上面まで連続する接点41を備えている。なお、接点41のうち、図2の左奥側を一方側接点41aとし、右手前側を他方側接点41bとしている。
【0026】
このような構成のLED30と抵抗器40とは、フラットケーブル100の長手方向Lに沿って、図2における手前側に抵抗器40を、奥側にLED30を、対向する接点32a、32b及び接点41a、41bが幅方向Wにそれぞれ並ぶように配置されている。
【0027】
中間端子5は、1枚の適宜の弾性を有する銅合金製のプレートから形成される。詳しくは、プレス加工により、LED30および抵抗器40が配置される部品配置開口55(55a,55b)を打ち抜き、長手方向Lに所定間隔を隔てて配置した3本の平行な幅方向Wのメインスプリング51と、3本のメインスプリング51の端部を連結する長手方向Lの2本の平行する長手方向フレーム53(53a,53b)とで構成された平面視日の字型に形成している。
【0028】
メインスプリング51は、幅方向Wの中央付近に、高さ方向のサインカーブ形状で形成された振幅部51aを備え、振幅部51aによる幅方向Wのスプリングを構成している。なお、振幅部51aの振れ幅の中心が中間端子5と同じ平面上となるように、即ち、メインスプリング51の付勢方向が中間端子5と同じ平面上となるよう設定されている。
【0029】
3本のメインスプリング51の端部を連結する長手方向Lの2本の長手方向フレーム53のうち、図2における右手前側の他方側長手方向フレーム53bの部品配置開口55側の側面には、LED30や抵抗器40の他方側接点32b,41bと接する正面視逆U型の端子接触部52を備えている。
【0030】
端子接触部52は、部品配置開口55側がフリーで、長手方向フレーム53側が長手方向フレーム53の側面に固定された片側支持状態に形成され、逆U字形状による幅方向Wのスプリングを構成している。
【0031】
また、端子接触部52は、図2,3におけるa部拡大図に示すように、部品配置開口55側の側面に、電子デバイス3の他方側接点32b、41bと接触する接触凸部52cを形成するとともに、長手方向フレーム53側を凸状に切欠いて逆U字型の内部に突出させたストッパ片52bを備えている。なお、本実施例において、中間端子5は銅合金で構成したが、導電性を有すれば金属製部材以外であってもよい。
【0032】
デバイスホルダー7は、電子デバイス3、中間端子5及び接続端子6を挿着固定する、上面開放の直方体形状に形成されたホルダーであり、上面の開放部分に、電子デバイス3及び中間端子5を挿着固定するデバイス挿着凹部70を構成している。また、底面に接続端子6を挿着固定する接続端子挿着凹部79と、四隅近傍に下向きに突出するパイロットピン80を備えている。
【0033】
デバイス挿着凹部70は、上方からの中間端子5の挿着ができるよう、中間端子5の平面形状より一回り大きく形成され、部品配置開口55に対応する部分に、囲いブロック71(71a,71b)を配置している。したがって、部品配置開口55と囲いブロック71とをはめ合わせて挿着した中間端子5は、デバイス挿着凹部70内における水平方向を略固定することができる。
【0034】
なお、囲いブロック71は、平面視内側に装着する電子デバイス3の側方部を三方向から囲繞する、図2における右手前側が開放された角構成のU型、即ち逆コの字型に形成され、左奥側の底面部分に、デバイスホルダー7の底面側の接続端子挿着凹部79に挿着された接続端子6の接触プレート61の挿通を許容する貫通孔72を備えている。
後述する接続端子6の挿着を許容する接続端子挿着凹部79は、それぞれのピアス部63の挿着を許容する溝形状で構成するとともに、上述の貫通孔72を備えている。
【0035】
接続端子6は、LED30をフラットケーブル100に接続するLED用接続端子6bと、抵抗器40をフラットケーブル100に接続する抵抗用接続端子6aの2種類があり、それぞれは上から順に、LEDチップ3及び抵抗器4の接触端子32,41と接触する接触凸部61aを有する接触プレート61と、該接触プレート61に対して略直角で平面視カギ状の水平プレート部62と、該水平プレート部62の先端に備えたピアス部63とで構成している。
【0036】
LED用接続端子6bと抵抗用接続端子6aとは、水平プレート部62における幅方向Wの長さとカギ状の向きとを調整することでピアス部63が、フラットケーブル100の導電体101の位置に合うとともに、長手方向Lの位置が合うように配置することができる。
【0037】
ピアス部63は、上方に凸な正面視半円形のルーフ部63aと、該ルーフ部63aの幅方向W両端から下方に突出するピアス刃63bとで構成している。なお、本実施例においては、1つのピアス部63には、一端側で長手方向Lの所定間隔を隔てて配置した2枚のピアス刃63bと他端側の1枚のピアス刃63bとの計3枚のピアス刃63bを備えている。
【0038】
なお、中間端子5及び接続端子6は、0.1〜0.5mm厚の銅合金製板材で構成しているが、LED30のサイズ等に合わせて、0.2〜0.25mm厚程度の銅合金製板材が好適である。また、導電性を有するものであれば良く、上記銅合金に限定されない。
【0039】
フラットケーブル100は、幅方向Wに所定間隔を隔てて配設した2本の導電体101と、2本の導電体101を一体的に平板状に被覆する不導電性ラミネートシート102とで構成している。
また、不導電性ラミネートシート102の幅方向Wの両端部におけるデバイスホルダー7のパイロットピン80に対応する位置に、幅方向内側に半円形状の切欠き102aを四ヶ所備えている。
【0040】
アンダーホルダー9は、上面に、フラットケーブル100の係着を許容する、フラットケーブル100よりわずかに幅が広く、深さがフラットケーブル100の厚さよりわずかに深い係着溝91を形成し、該係着溝91の側部をまたぐようにして、デバイスホルダー7のパイロットピン80に対応する位置に、パイロットピン80の挿入を許容するパイロットホール81を四ヶ所備えている。また、係着溝91の平面視中央付近に、フラットケーブル100を貫通したピアス刃63bの支障を防止する回避凹部92を備えている。
【0041】
次に、それぞれを上記構成で構成したLEDモジュール1の組み付けについて説明する。
まず、図4(a)に示すように、底面が上側となるように上下逆さまにしたデバイスホルダー7の接続端子挿着凹部79に、ピアス刃63bが上方に突出するように上下逆さまにした接続端子6を、貫通孔72に接触プレート61が貫通すように挿着する。
【0042】
この接続端子挿着凹部79への接続端子6の挿着によって、接続端子6は、図4(b)に示すように、ピアス刃63bがデバイスホルダー7の底面から突出する態様となり、図4(c)に示すように、上面が上側となるように戻した場合に、貫通孔72を貫通した接触プレート61が、囲いブロック71の平面視内側からデバイス挿着凹部70に突出する態様となる。
【0043】
そして、接続端子6が挿着されたデバイスホルダー7のデバイス挿着凹部70の上方から中間端子5を挿着する。これにより、振幅部51aが囲いブロック71の側部に配置されるとともに、端子接触部52が接触プレート61と幅方向Wにおける対向する位置に配置され、一方側長手方向フレーム53aによって幅方向W位置が固定された態様で挿着することができる。
【0044】
図4(d)に示すように、中間端子5及び接続端子6が挿着された状態のデバイス挿着凹部70の上方から電子デバイス3を挿着する。詳しくは、抵抗器40は、図6に示すように、デバイス挿着凹部70における抵抗器囲いブロック71aの平面視内側で、抵抗用接続端子6aの接触プレート61と抵抗器配置開口55aの端子接触部52との間に挟み込むように割り込ませて挿着し、LED30は、デバイス挿着凹部70におけるLED囲いブロック71bの平面視内側で、LED用接続端子6bの接触プレート61とLED配置開口55bの端子接触部52との間に挟み込むように割り込ませて挿着する。これにより、LED30及び抵抗器40は、デバイスホルダー7の上面から突出しない態様でデバイスホルダー7に挿着することができる。
【0045】
このように、電子デバイス3、中間端子5及び接続端子6が挿着されたデバイスホルダー7と、アンダーホルダー9とでフラットケーブル100を上下方向に挟み込んでLEDモジュール1を組み立てる(図5参照)。
【0046】
詳しくは、上下に配置したデバイスホルダー7及びアンダーホルダー9の間にフラットケーブル100を配置し、フラットケーブル100をアンダーホルダー9の係着溝91に、切欠き102aとパイロットホール81とが対応する位置で係着させ(図5(b)参照)、アンダーホルダー9のパイロットホール81にデバイスホルダー7のパイロットピン80を挿入して、アンダーホルダー9とデバイスホルダー7とを嵌合させてLEDモジュール1を組み立てる。
【0047】
このアンダーホルダー9とデバイスホルダー7との嵌合によって、デバイスホルダー7の底面から下方に突出するピアス部63のピアス刃63bは、接続端子挿着凹部79を介してルーフ部63aが下方に押圧され、フラットケーブル100の不導電性ラミネートシート102ごと導電体101を貫通して接続端子6と導電体101とは電気的に接続される。
【0048】
なお、フラットケーブル100を貫通したピアス刃63bの先端は、回避凹部92に挿入されるような態様となるため、ピアス刃63bの貫通した先端による悪影響を及ぼすことなくデバイスホルダー7とアンダーホルダー9とを嵌合することができる。
【0049】
このようにして組み付けられたデバイスホルダー7においては、図8に示すように、中間端子5の2つの端子接触部52、52において、接触凸部52cがそれぞれ一ヶ所ずつ形成される一方、抵抗用接続端子6a及びLED用接続端子6bの接触プレート61、61には、接触凸部61aがそれぞれ二ヶ所ずつ形成されている。なお、図8(a)は、抵抗器40の挿着状態を示す平面図であり、図8(b)は、LED30の挿着状態を示す平面図である。
【0050】
そして、抵抗器40が挿着される側では、図8(a)に示すように、抵抗用接続端子6a側の接触プレート61の2つの接触凸部61a(抵抗器40との接触ポイントP1、P1)が、抵抗器40の挟込方向wと直交する方向となる挟込幅方向x(ここではフラットケーブル100の長手方向Lと同方向)において、中間端子5側の端子接触部52の接触凸部52c(抵抗器40との接触ポイントP2)の両外側に配置されている。
【0051】
また、LED30が挿着される側では、図8(b)に示すように、LED用接続端子6b側の接触プレート61の2つの接触凸部61a(LED30との接触ポイントP3、P3)が、LED30の挟込幅方向xにおいて、中間端子5側の端子接触部52の接触凸部52c(LED30との接触ポイントP4)の両外側に配置されている。
【0052】
そして、各接触凸部52c、61aについては、これらのいずれもが平面視で円弧状に突出するように形成されており、抵抗器40、LED30の接点32、41との接触部位(接触ポイントP1〜P4)が挟込幅方向xにおいて点接触となる点接触形状をなしている。
【0053】
さらに、各接触凸部52c、61aは、接点32、41と接触凸部52c、61aとの接触ポイントP1〜P4を含む仮想平面に対して直交する方向にLED30及び抵抗器40を挿着することを許容する構成となっている。
【0054】
本実施形態では、デバイスホルダー7に挿着された中間端子5及び接続端子6における端子接触部52と接触プレート61とで、電子デバイス3を対向方向である幅方向Wの両側から付勢しながら挟み込んでいるため、電子デバイス3とフラットケーブル100とを安定した接続状態で接続することができる。
【0055】
また、中間端子5は、サブスプリング52aを形成する中間端子5の端子接触部52による挟込方向wと同一平面内で付勢する配置で配置した3本のメインスプリング51と、3本のメインスプリング51の端部同士を連結する長手方向フレーム53とで構成する平面視日型形状で形成しているため、剛性の高い中間端子5を構成でき、確実に、サブスプリング52aやメインスプリング51を機能させて、確実に付勢した状態で接続することができる。
【0056】
また、メインスプリング51を、サブスプリング52aを形成する中間端子5の端子接触部52による挟込方向wと同一平面内で付勢する配置で配置したことによって、メインスプリング51やサブスプリング52aが付勢された状態であっても、中間端子5にねじれが生じないため、意図しない挟み込み状態が生じることを防止している。
【0057】
また、上述したような接触ポイントP1〜P4の設定により、LED30や抵抗器40が、振動、外力等の影響を受けて変位することを確実に抑制でき、結果としてLED30及び抵抗器40とフラットケーブル100との接続状態を安定化(LED30及び抵抗器40の通電状態を安定化)させることができる。
【0058】
また、詳しくは、電子部品(LED30、抵抗器40)を挟込む端子が、中間端子5及び接続端子6a、6bにより別部材で構成されるものにおいては、各端子5、6の寸法公差や組付け誤差等により、両者間の位置関係にずれが生じ、挟込幅方向xにおいて接触ポイントがずれる場合がある。この場合、電子部品の保持状態は不安定となり、振動や外力の入力によって電子部品が容易に変位する虞がある。
【0059】
しかし、上述したように接触ポイントP2、P4の両外側に接触ポイントP1、P3を設定することで、接触ポイントP1、P2を含む仮想平面上や、接触ポイントP3、P4を含む仮想平面上において、LED30、抵抗器40が図8中に示す矢印α、βの方向に回転したり、スライド移動したりすることを確実に抑制できる。
【0060】
特に、LEDモジュール1が自動車に搭載される場合、車両走行時の車体の振動に伴うLED30や抵抗器40の変位を抑制できるため、特に好適である。
【0061】
また、本実施形態の接続構造のように、複数の電子部品(LED30、抵抗器40)、及び該複数の電子部品に対応して複数組の端子(端子接続部52、接続端子6a、6b)備えたものにおいては、限られたスペース内に電圧調整回路を集積させるべく、小型の電子部品が使用されることがある。
【0062】
例えば、近年では、LED30として、上述したように平面視2mm×2mm角のチップ型のものが使用されることもあり、この場合、電子部品の微小な変位であってもその接続状態が不安定になるという問題がある。
【0063】
そして、限られたスペース内に電圧調整回路が集積されることにより、接続端子等が電子部品からの放熱の影響を受けて熱膨張し、電子部品と接続端子との接触ポイントにずれが生じるという不都合もある。
【0064】
従って、上述したように接触ポイントP1〜P4を設定する効果は、本実施形態のように、限られたスペース内に複数の電子部品(LED30、抵抗器40)、及び複数組の端子(端子接触部52、接続端子6a、6b)を備えた場合においてより顕著になると言える。
【0065】
なお、上述のLEDモジュール1のフラットケーブル100への取付け方法の説明においては、ピアス刃63bでフラットケーブル100を貫通させて電気的に接続したが、ピアス刃63bの抜け出しを防止するために、フラットケーブル100の底面から突出する部分をカールさせてもよいし、抜け留治具で抜け留してもよい。
【0066】
また、中間端子5及び接続端子6を挿着したデバイスホルダー7に電子デバイス3を挿着してから、アンダーホルダー9と嵌合させてフラットケーブル100に接続されたが、中間端子5及び接続端子6を挿着したデバイスホルダー7とアンダーホルダー9とを先に嵌合させてフラットケーブル100に接続してから電子デバイス3を挿着する構成であってもよい。
【0067】
また、図1〜図8を参照して説明した最初の実施形態では、各端子接触部52において、接触凸部52cを一ヶ所、接触プレート61において接触凸部61aを二ヶ所形成することとしたが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、図9に示す接触凸部152c及び161aのように、それぞれ二ヶ所、三ヶ所、またはそれ以上形成してもよい。
【0068】
要するに、図9に示すように、挟込幅方向xにおいて接触プレート61の接触凸部161a(接触ポイントP5)の一部(全部も可)が、端子接触部52の接触凸部152c(接触ポイントP6)の両外側に位置していればよい。
【0069】
また、上述した各実施形態では、接触凸部の数を異ならせているが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、図10に示すように、端子接触部52及び接触プレート61にそれぞれ二ヶ所づつ同数の接触凸部252c、261aを形成してもよい。
【0070】
この場合、挟込幅方向xにおいて接触プレート61の接触凸部261a(接触ポイントP7)間の距離D1を、端子接触部52の接触凸部252c(接触ポイントP8)間の距離D2よりも大きく設定して、接触凸部261a(接触ポイントP7)を接触凸部252c(接触ポイントP8)の両外側に位置させるようにすればよい。
【0071】
また、上述した各実施形態では、接触凸部52c、61a等を円弧状に形成し、LED30及び抵抗器40の接点32、41との接触部位が挟込幅方向xにおいて点接触となるようにしているが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、図11に示す端子接触部52、接触プレート61の接触凸部352c、361aのように、これらを面状に形成し、抵抗器40の接点41a、41bと面接触させるようにしてもよい。
【0072】
図11においては、接触凸部352c、361aをそれぞれ二ヶ所ずつ、中心位置が挟込幅方向xで一致するように形成し、接触凸部361aの挟込幅方向xの幅S1を接触凸部352cの幅S2よりも大きく設定している。これにより、挟込幅方向xにおいて、接触凸部352cと接点41bとの接触部位の両外側に、接触凸部361aと接点41aとの接触部位を位置させるようにしている。
【0073】
また、前記接触凸部を面状に形成する場合、図11に示すように必ずしもこれを複数形成することには限定されない。例えば、図12に示すように、端子接触部52、接触プレート61にそれぞれ一ヶ所ずつ接触凸部461a、452cを形成してもよい。
【0074】
この場合、接触凸部461aの、挟込幅方向xの幅S3を接触凸部352cの幅S4よりも大きく設定することで、挟込幅方向xにおいて、接触凸部452cと接点41bとの接触部位の両外側に、接触凸部452cと接点41aとの接触部位を位置させることができる。
【0075】
また、前記接触凸部を面状に形成する場合、図13(a)に示すように、端子接触部52に接触凸部552cを一ヶ所形成する一方、他方の接触プレート61に接触凸部561aを複数箇所形成するようにしてもよいし、図13(b)に示すように、端子接触部52に接触凸部652cを複数箇所形成する一方、他方の接触プレート61に接触凸部661aを一ヶ所形成するようにしてもよい。
【0076】
図13(a)においては、接触プレート61にて挟込幅方向xに並ぶ複数の接触凸部561aの幅S5が、端子接触部52の接触凸部552cの幅S6よりも大きく設定されることで、挟込幅方向xにおいて、接触凸部552cと接点41bとの接触部位の両外側に、接触凸部561aと接点41aとの接触部位が位置している。
【0077】
また、図13(b)においては、接触プレート61の接触凸部661aの、挟込幅方向xの幅S7が、端子接触部52にて複数の接触凸部652cが並ぶ幅S8よりも大きく設定されることで、挟込幅方向xにおいて、接触凸部652cと接点41bとの接触部位の両外側に、接触凸部661aと接点41aとの接触部位が位置している。
【0078】
ただし、接触凸部を面状に形成し、抵抗器40の接点41と面接触させる場合、接触部位を適切に設定するためには、接触凸部における接触面に凹凸が形成されないようにその加工を高精度に行う必要がある。
【0079】
この場合、接触凸部を複数形成し、抵抗器40との接触面積が可及的に少なくなるようにすればよく、接触凸部における加工精度を大幅に向上させなくても接点41との接触部位を確実に設定でき、その変位を確実に規制できる。
【0080】
従って、このような観点からすれば、図8〜図10に示すように、接触凸部を円弧状に形成し、接点41との接触面積を最小限にするのがより好ましい。
【0081】
また、図8〜図10に示す実施形態において、端子接触部52及び接続端子6が、接点32、41と接触凸部52c〜252c、61a〜261aとの接触ポイントP1〜P8を含む仮想平面に対して直交する方向にLED30及び抵抗器40を挿着することを許容する構成となっているため、電子デバイス3の挿着時における摩擦抵抗を低減でき、電子デバイス3の挿着を簡単かつ確実に行うことができる。
【0082】
このため、電子デバイス3の挿着時に、接点32、41を上述した接触ポイントP1〜P8で確実に端子5、6に接触させることができ、電子デバイス3の変位をより確実に抑制できる。
【0083】
ところで、前記接触凸部と接点32、41とを挟込幅方向xにおいて点接触させるべく、接触凸部を点接触形状とする場合、図8〜図10に示す接触凸部52c〜252c、61a〜261a等のように平面視円弧状に形成することには必ずしも限定されない。例えば、図14に示す接触凸部752c及び761aのように、先端が尖った三角形状に形成してもよい。
【0084】
なお、上述した図9〜図14に示す各実施形態において、既述の実施形態と同様の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0085】
また、LED30及び抵抗器40を中間端子5と接触プレート6との間に挟み込む構成は、いずれも略同様であるため、図9〜図14に示す実施形態においては、抵抗器40を挟み込む構成のみを例に挙げて説明することとし、LED30を挟み込む構成については、その詳細な説明を省略する。
【0086】
また、上述した各実施形態では、いずれも端子接触部52側の接触凸部52c等の両外側に接続端子6a、6b側の接触凸部61a等を配置するようにしているが、これに限らず、接続端子6a、6b側の接触凸部の両外側に端子接触部52側の接触凸部を配置するようにしてもよい。
【0087】
以上、この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の電子部品は、電子デバイス3,LED30、及び抵抗器40に対応し、
以下同様に、
接点の一方は、一方側接点32a,41aに対応し、
第1の接続端子は、接続端子6,LED用接続端子6b,抵抗用接続端子6aに対応し、
接点の他方は、他方側接点32b,41bに対応し、
第2の接続端子は、中間端子5、端子接触部52に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0088】
フラットケーブル100は、ピアス部63が接続しやすい絶縁部材である不導電性ラミネートシート102で被覆されたフラットケーブル100であればよく、特に、本実施形態のものに限定されるものではないが、不導電性ラミネートシート102の材質としては、具体的にはPET樹脂が好ましい。
【0089】
また、導電体101についても、放熱性に優れる帯状の導電体だけでなく、丸形断面の導電体であってもよく、導電体101の材質としては導電性を有するものであれば良いが、好ましくは金属製、より好ましくは導電性に優れる銅、銅合金が良い。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】LEDモジュールの斜視図。
【図2】LEDモジュールの分解斜視図。
【図3】LEDモジュールの底面側からの分解斜視図。
【図4】デバイスホルダーへの電子デバイス、中間端子及び接続端子の組み付けについての説明図。
【図5】デバイスホルダー、フラットケーブル及びアンダーホルダーの組み付けについての説明図。
【図6】電子部品である抵抗器の挿着についての説明図。
【図7】抵抗器の挿着における中間端子のメインスプリング及びサブスプリングの変形についての説明図。
【図8】電子部品の挿着状態を示す平面図であり、(a)抵抗器の挿着状態を示す図、(b)LEDの挿着状態を示す図。
【図9】別の実施形態における抵抗器の挿着状態を示す平面図。
【図10】さらに別の実施形態における抵抗器の挿着状態を示す平面図。
【図11】さらに別の実施形態における抵抗器の挿着状態を示す平面図。
【図12】さらに別の実施形態における抵抗器の挿着状態を示す平面図。
【図13】さらに別の実施形態における抵抗器の挿着状態を示す平面図。
【図14】さらに別の実施形態における抵抗器の挿着状態を示す平面図。
【符号の説明】
【0091】
1…LEDモジュール
3…電子デバイス
5…中間端子
6…接続端子
6a…抵抗用接続端子
6b…LED用接続端子
30…LED
32…接点
32a…一方側接点
32b…他方側接点
40…抵抗器
41…接点
41a…一方側接点
41b…他方側接点
52…端子接続部
52c、61a、152c、161a、252c、261a、352c、361a、452c、461a、552c、561a、652c、661a、752c、761a…接触凸部
w…挟込方向
x…挟込幅方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品の対向配置した接点の一方と接してこれと電気的に接続する第1の接続端子と、
該第1の接続端子とは別部材で構成し、前記電子部品の接点の他方と接してこれと電気的に接続する第2の接続端子とを備え、
前記第1、第2の接続端子を対向配置するとともに、
該第1、第2の接続端子により、対向方向の両側から付勢しながら前記電子部品を挟み込む接続構造であって、
前記第1の接続端子は、前記電子部品を挟込む挟込方向と直交する方向において、前記第2の接続端子と前記接点の他方との接触部位の両外側で前記接点の一方と接する
接続構造。
【請求項2】
前記第1、第2の接続端子に、前記接点と接する接触凸部を形成するとともに、
少なくとも前記第1の接続端子に複数の接触凸部を形成し、該接触凸部の全部または一部を、前記電子部品の挟込方向と直交する方向において、前記第2の接続端子の接触凸部の両外側に形成した
請求項1記載の接続構造。
【請求項3】
前記接触凸部を、前記挟込方向と直交する方向において前記接点と点接触する点接触形状に形成し、
前記接点と前記接触凸部との接触部位となる接触ポイントを含む仮想平面に対して直交する方向に前記電子部品を挿着することを許容するように、前記第1、第2の接続端子を構成した
請求項2記載の接続構造。
【請求項4】
前記電子部品を複数備えるとともに、該複数の電子部品に対応して、第1、第2の接続端子を複数組備えた
請求項1、2あるいは3に記載の接続構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2009−272174(P2009−272174A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−122569(P2008−122569)
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)
【Fターム(参考)】