説明

接続端末数均衡化装置及び接続端末数均衡化方法

【課題】隣接無線AP間での接続端末数の不均衡を解消する。
【解決手段】
接続端末数均衡化装置が、各無線APから、当該無線APに接続されている端末の識別情報と、当該端末の電波強度とを取得し、ある無線APに関し、その無線APに接続されている端末の数と、第1基準値とを比較し、前記無線APに接続されている端末の数が第1基準値を超えていると判定された場合に、前記無線APと当該無線APに隣接する無線APとの間での接続端末数の平均値を算出し、前記無線APに接続されている端末の数から前記平均値を引いた値から、更に第2基準値を引いた値が正の値である場合に、その値に基づき前記無線APから切断する候補となる端末数を決定し、前記無線APに接続された端末のうち全部又は一部から、電波強度の弱い順に、最大で前記端末数分の端末を抽出し、抽出された端末のうちの全部又は一部を前記無線APから切断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の無線LANアクセスポイント(以下、無線APと呼ぶ)を備えた無線通信システムに関し、特に、無線APに接続される端末数の無線AP間での偏りを少なくする技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1に従来の無線通信システムの構成例を示す。図1に示すように、この無線通信システムは、複数の無線LANアクセスポイント、無線APを管理する無線LANスイッチを含む。無線APの配下には無線VoIP端末やPC等の端末が存在し、無線APと無線リンク接続する(以下、単に"接続する"と記載する)。また、複数の無線APは、拠点毎にまとまって配置されており、それぞれ隣接無線AP群を構成している。このような隣接無線AP群内では、隣接する2つの無線APは、互いの電波到達範囲がある程度重なるように配置される。
【0003】
一般に、複数の無線APが隣接して存在する環境下では、ある端末が接続する無線AP以外にも、その端末が接続可能な隣接無線APが存在する場合が多い。しかし、端末が接続する先の無線APは端末の存在場所により決定されるため、多数の端末が特定の無線APの近辺のみに存在する場合、この無線APに多数の端末が接続してしまう。つまり、隣接する他の無線APが利用可能であるにもかかわらず、その無線APに接続する端末は少なく、無線AP間で接続端末数の不均衡が発生する。
【0004】
1つの無線APに多数の端末が接続すると、その無線APの通信リソースが多数の端末により消費される可能性がある。そのような場合、1つの端末当たりに割り当てられるリソース量が少なくなり、端末の通信品質の劣化等が生じることになる。
【0005】
複数の無線APが隣接して存在する環境において、このような問題の発生を防止するために、無線AP間での接続端末数の不均衡を解消し、無線AP間での接続端末数を均等化することが求められている。
【0006】
さて、隣接無線AP間での接続端末数不均衡を解消するための従来技術として、特許文献1に記載された技術がある。
【0007】
特許文献1に記載された技術では、無線APに接続中の各端末の平均帯域幅使用量を監視し、接続中の全ての端末の平均帯域幅使用量の総計が、予め設定された1つの閾値を越えた場合に、少なくとも1つの端末を他の無線APに強制的にローミングさせる。
【特許文献1】特表2005−536913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
各無線APにおいてその無線APの接続端末に関する1つの閾値のみに基づき切断する対象となる端末を選択する方式の場合、頻繁に端末の切断が生じ、利用者からみて操作性などに問題が生じる可能性がある。特に、使用帯域幅監視に基づく不均衡解消方式では、使用帯域幅の大きい特定の端末が頻繁に切断され、隣接無線AP間をたらい廻しになる恐れもある。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、上記従来技術の問題の発生を防止して、隣接無線AP間での接続端末数の不均衡を解消する新たな技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題は、複数の隣接する無線AP間で、各無線APに接続された端末の数を均衡化するための接続端末数均衡化装置であって、各無線APから、当該無線APに接続されている端末の識別情報と、当該端末の電波強度とを取得し、記憶手段に格納する端末情報取得手段と、ある無線APに関し、その無線APに接続されている端末の数と、予め定めた第1基準値とを比較する第1基準値比較手段と、前記第1基準値比較手段により、前記無線APに接続されている端末の数が第1基準値を超えていると判定された場合に、前記無線APと当該無線APに隣接する無線APとの間での接続端末数の平均の値又は当該平均の値を整数化した値を算出し、前記無線APに接続されている端末の数から前記値を引いた値から、更に予め定めた第2基準値を引いた値が正の値である場合に、その値に基づき前記無線APから切断する候補となる端末数を決定する切断端末数決定手段と、前記記憶手段を参照し、前記無線APに接続されている端末のうちの全部又は一部から、電波強度の弱い順に、最大で前記端末数分の端末を抽出する端末抽出手段と、前記端末抽出手段で抽出された端末のうちの全部又は一部を前記無線APから切断する端末切断手段とを備えたことを特徴とする接続端末数均衡化装置により解決される。
【0011】
前記接続端末数均衡化装置は、予め定めた電波強度より大きい電波強度を持つ端末を前記無線APから切断しないこととしてもよい。また、前記接続端末数均衡化装置は、他の端末と通信中の状態にある端末を前記無線APから切断しないこととしてもよい。更に、前記接続端末数均衡化装置は、前記無線APに接続されている端末のうち、当該無線APに接続される前に、他の無線APから切断された端末であって、他の無線APから切断されてから予め定めた時間が経過していない端末を切断しないこととしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、着目している無線AP(対象無線APと呼ぶ)の接続端末数が第1基準値より大きい場合に、隣接無線AP間での接続端末数の平均値と対象無線APの接続端末数との差が第2基準値よりも大きい場合に端末を切断することとしている。
【0013】
対象無線APの接続端末数が第1基準値より大きい場合に端末の切断を行うこととした場合、つまり、対象無線APのみに関する1つの閾値のみで端末の切断を行うこととした場合、隣接無線APでも接続端末数が大きければ隣接無線APで再度切断が発生し、切断が頻繁に発生するという問題がある。
【0014】
一方、本発明では、隣接無線AP間での接続端末数の平均値を用いた判定を更に行うこととしているので、隣接無線APでの接続端末数を考慮に入れた判定を行うことが可能である。つまり、隣接無線APでの接続端末数が大きければ平均値と対象無線APの接続端末数との差が小さくなるので、端末の切断は行われれず、上記の問題を回避できる。一方、対象無線APの接続端末数が大きく、隣接無線APでの接続端末数が小さければ、平均値と対象無線APの接続端末数との差が大きくなり、端末の切断が行われるが、隣接無線APでの接続端末数が小さいので、切断された端末は隣接無線APに安定的に接続でき、均衡化が図れるとともに安定した接続を実現できる。
【0015】
更に、第2基準値を適宜設定することにより、均衡化の度合いを調整することが可能である。例えば、第2基準値を小さくすれば、第2基準値が大きい場合よりも頻繁に端末の切断が発生するが、均衡化の度合いは向上する。一方、第2基準値を大きくすれば、均衡化の度合いは第2基準値が小さい場合よりも小さくなるが、少量の不均衡があっても端末が切断されることがないので、端末の切断の頻度が減少し、端末の接続状態を第2基準値が小さい場合よりも安定させることができる。
【0016】
また、本発明では、電波強度の弱い端末を選んで切断対象の端末としているので、切断された端末は、より接続条件のよい無線APに接続できる可能性が高くなる。
【0017】
また、通信状態にある端末を切断しないこととし、更に、ある無線APから一旦切断されてから別の無線APに接続した端末は、切断されてから所定の時間が経過するまで再度切断されないこととすることにより、端末の接続状態を更に安定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。まず基本構成について説明し、その後に具体例について説明する。
【0019】
<基本構成>
図2に、本発明の実施の形態における無線通信システムの一例を示す。図2に示すシステムは、図1に示した無線通信システムにアクセスコントローラ30(接続端末数均衡化装置とも称する)が付加されたものである。なお、アクセスコントローラ30は、図1における無線LANスイッチに替えて、もしくは無線LANスイッチ内に備えることも可能である。
【0020】
図3にアクセスコントローラの概要機能構成図を示す。図3に示すように、アクセスコントローラ30は、端末情報取得部36、予め定めた情報である設定情報と取得した情報とを格納するデータベース35、切断端末決定部37、及び端末制御部38を少なくとも有している。
【0021】
端末情報取得部36は、無線APに接続された端末の情報、それらの電波強度の情報、及び端末の通信状態を取得する。なお、電波強度とは、無線APが端末から受信する電波の強度である。切断端末決定部37は、データベース35に格納された情報を用いて隣接無線AP間の均衡状態を分析し、分析結果に基づき、無線APから切断する候補となる端末数を決定するとともに、実施に切断する端末を決定する。端末制御部38は、切断すると決定された端末を切断するよう無線リンク切断要求を当該端末を接続している無線APに送信する。
【0022】
次に、図4を参照してシステムの動作概要を説明する。図4(a)は、無線AP10に端末D、端末C、端末Aの3つの端末が接続し、無線AP20には端末Bだけが接続している状態を示している。
【0023】
アクセスコントローラ30は、接続している端末の識別情報と、接続している端末の電波強度を各無線APから一定周期で取得し、データベース35に保持している(ステップA)。図4(a)の例では、電波強度が端末C>端末B>端末Aであるものとする。
【0024】
アクセスコントローラ30は、各無線APに無線リンク接続している端末の数と、予め設定してある基準値とに基づき、均衡状態をチェックし、端末の切断に関する判定を行う(ステップB)。図4(a)の例では、アクセスコントローラ30は、無線AP10に接続されている端末のうち、1台の端末を切断することを決定する。そして、アクセスコントローラ30は、電波強度の最も弱い端末Aを無線AP10から切断することを決定し、無線AP10に対して端末Aを切断するための無線リンク切断要求を送信し、この要求を受けた無線AP10は、端末Aに無線リンク切断指示を送る(ステップC)。
【0025】
無線リンクを切断された端末Aは、接続可能な他の無線APである無線AP20に接続を行う(ステップD)。これにより、隣接無線AP間の接続端末数が均衡する(図4(b))。
【0026】
以下、アクセスコントローラ30が実行する、切断する端末を決定し、端末を切断する処理について図5のフローチャートを参照して説明する。なお、図5のフローチャートに示す処理は、予め定めた周期で実行されるものである。
【0027】
アクセスコントローラ30のデータベース35には、不均衡状態の判定を行うための第1基準値、第2基準値、及び、管理対象となる各無線AP毎に、その無線APがどの無線APと隣接するかの情報が設定されている。また、アクセスコントローラ30のデータベース35には、一定周期で取得する接続端末の識別情報及び接続端末毎の電波強度の情報が無線AP毎に記録されている。
【0028】
図5において、アクセスコントローラ30は、データベース35における最初の無線APに着目し(例えば、最初の無線AP番号の無線APに着目する。以下、着目する無線APを対象無線APと呼ぶ)、当該対象無線APの接続端末数が第1基準値を超えているかどうかの判定を行う(ステップ1、2)。超えていない場合は、次の無線APに処理を移す(ステップ21、22)。なお、次の無線APが存在しない場合は、処理を終了する(ステップ100)。
【0029】
ステップ2で、対象無線APの接続端末数が第1基準値を超えていると判定された場合は、この対象無線APとこの対象無線APに隣接する無線APとの間で接続端末数の平均値を算出する(ステップ3)。例えば、対象無線APの接続端末数が11で、この対象無線APに隣接する無線APが無線AP−1と無線AP−2の2つであり、それぞれ接続端末数が2と2であった場合、接続端末数の平均値は15/3=5となる。
【0030】
次に、対象無線APの接続端末数からこの平均値を引いた差分が、第2基準値よりも大きいかどうかの判定を行う(ステップ4)。平均値が整数でない場合には、小数点以下を切り捨てるかもしくは四捨五入して整数化し、対象無線APの接続端末数から整数化した値を引いた差分と第2基準値とを比較することとしてもよい。なお、ステップ4の処理は、対象無線APに接続されている端末の数から前記平均値を引いた値から、更に第2基準値を引いた値が正の値であるかどうかの判定を行うことと同等である。差分が第2基準値よりも大きくない場合は(ステップ4のNo)、次の無線APに処理を移す。
【0031】
差分が第2基準値より大きい場合は(ステップ4のYes)、その差分から第2基準値を引いた値を求め、その値を対象無線APから切断する候補となる端末の数とする(ステップ5)。なお、ステップ4の判定で平均値を整数化しない場合、差分から第2基準値を引いた値が整数でない場合は、差分から第2基準値を引いた値の小数点以下を切り捨てるかもしくは四捨五入して整数化する。なお、この値が0となった場合は、次の無線APに処理を移す。図6に、対象無線APの切断候補端末数を求める数式例を示す。なお、図6において、[ ]の記号は小数点以下を切り捨てることを示す。また、無線AP2〜無線APnは、無線AP1に隣接する無線APである。
【0032】
例えば、上記の例では、対象無線APの接続端末数−平均値は、11−5=6となり、第2基準値が3であるとすれば、6は3より大きく、6−3は3であるから、対象無線APから切断する候補となる端末数は3となる。
【0033】
そして、アクセスコントローラ30は、対象無線APに接続している端末から、通信状態にある端末を特定し、これらを切断する対象となる端末から除外するとともに、対象無線APに接続される前に接続されていた無線APから端末数均衡化のために切断された端末であって、切断されてから予め定めた時間が経過していない端末も切断する対象となる端末から除外する(ステップ6)。
【0034】
そして、アクセスコントローラ30は、ステップ6で除外した端末を除く対象無線APに接続している端末から、ある一定の電波強度より電波強度が小さい端末をデータベース35から電波強度の弱い順にリストアップし、電波強度の弱い方から最大でステップ5で算出された数分の端末を抽出する(ステップ7)。なお、ここで一定の電波強度より電波強度が小さい端末が存在しない場合は、次の無線APに処理を移す。
【0035】
なお、最初にステップ7の処理を行い、ステップ7で抽出された端末から、通信状態にある端末、及び前回切断されてから予め定めた時間が経過していない端末を切断対象の端末から除外することとしてもよい。
【0036】
そして、アクセスコントローラ30は、ステップ7の処理の結果、残った端末を切断するよう対象無線APに対して無線リンク切断要求を送信し、切断を実行する(ステップ8)。その後、次の無線APに処理を移す。次の無線APが存在しなければ(ステップ21のNo)処理を終了する。
【0037】
<具体例>
次に、具体例について説明する。この具体例は、本発明を無線IP電話システムに適用した例である。無線IP電話システムでは、図7に示すようにネットワークにSIPサーバが接続され、SIPサーバによる呼制御により端末間での呼接続が行われる。この具体例で説明する無線IP電話システムでは、アクセスコントローラが各無線APの端末毎に端末の通話状態を把握することができるので、通信状態にある端末かどうかを識別して切断の対象とする端末を決定することができる。
【0038】
まず、この無線IP電話システムの基本的な動作を図8〜図18のシーケンス図を参照して説明する。各シーケンス図では、各装置内に保持されるデータの構造を適宜示している。また、シーケンス図中にレジストラとSIPサーバが示されているが、これらは別々の装置であってもよいし、SIPサーバ内にレジストラが含まれる構成でもよい。このレジストラは一般的なSIPに基づくレジストラの機能と同様の機能を有している。また、各シーケンス中、MSIDは端末のMACアドレスを示し、APIDは無線APのIDを示し、URIはSIP−URIを示す。
【0039】
まず、図8を参照してVoIP端末1(以下、端末1と呼ぶ)をアクセスコントローラに登録するためのシーケンスを説明する。図8に示す登録処理は、例えば端末1の電源が入れられたときに自動的に行われるものである。また、図8に示す時点においてSIPサーバにアクセスコントローラが登録されており、アクセスコントローラとSIPサーバ間でSIPに基づくメッセージ送受信が可能となっている。
【0040】
図8のステップ1において、端末1と無線AP間で無線LANにおける無線リンク接続処理及び認証処理等が行われる。ここで、無線APは端末1のMACアドレス(MSID)を取得し、登録する(ステップ2)。無線APは無線APのID(AP01)と端末1のMACアドレス(MS01)とを含む端末登録リクエストをアクセスコントローラに対して送信する(ステップ3)。アクセスコントローラは無線APから受信した無線APのID(AP01)と端末1のMACアドレス(MS01)とを記憶装置に格納することにより登録する(ステップ4)。そして、アクセスコントローラは無線APに対して端末登録レスポンスを返す(ステップ5)。
【0041】
ステップ6において、端末1はレジストラに対してSIPのレジスタメッセージを送信する。送信するメッセージにはMS01と端末1のURI(URI1)が含まれる。レジストラは通常のレジスタ処理を行うとともに、MS01とURI1とを含むURI登録リクエストをアクセスコントローラに送信する(ステップ7)。アクセスコントローラはURI1をAP01及びMS01と対応付けて格納することによりURIの有効化を行い(ステップ8)、URI登録レスポンスをレジストラに送信する(ステップ9)。そして、レジストラはステップ6のレジスタメッセージの応答を端末1に返す(ステップ10)。
【0042】
なお、ここで説明する例では、端末のMACアドレスとURIとをシーケンスの中でアクセスコントローラに格納しているが、予めこれらのデータをアクセスコントローラに格納しておき、状態変化のみを記録することとしてもよい。この場合、例えば、ステップ4において予め登録されているMS01に対応付けてAP01が記録され、ステップ8においてAP01、MS01、URI1に対応付けてURI1が有効になった旨の情報が記録される。
【0043】
次に、図9を参照してアクセスコントローラから登録された端末1を削除する処理について説明する。図9に示す処理は、例えば端末1の電源を切る際に実行されるものである。
【0044】
図9のステップ1において、端末1は登録削除命令を含むレジスタメッセージをレジストラに送信する。レジストラはアクセスコントローラに対してURI削除リクエストを送信し(ステップ2)、これを受信したアクセスコントローラはデータベースからURI1を削除することによりURIを無効化する(ステップ3)。アクセスコントローラはURI削除レスポンスを返し(ステップ4)、レジストラは端末1に対して応答を返す(ステップ5)。
【0045】
ステップ6において、端末1は無線APから離脱する(無線APとの無線リンクを切断する)場合における無線LANの処理を実行し、これを受けて無線APはMSIDを削除するとともに(ステップ7)、端末削除リクエストをアクセスコントローラに送信し(ステップ8)、これを受信したアクセスコントローラはデータベースからAP01とMS01を削除し(ステップ9)、端末削除レスポンスを無線APに返す(ステップ10)。
【0046】
次に、図10〜図12を参照して、輻輳状態に無い無線AP配下の端末1に端末2から着信要求がなされた場合の動作について説明する。
【0047】
発信元の端末2が呼接続要求(INVITE)をSIPサーバに送信する(図10のステップ1)。INVITEを受信したSIPサーバは、発信元端末URI(URI2)と着信先端末URI(URI1)と必要帯域幅とを含むQoS予約リクエストをアクセスコントローラに送信する(ステップ2)。アクセスコントローラは、端末1に対する呼状態を"QoS予約中"にするとともに、着信先URI1に基づきデータベースを検索し、端末1を配下に持つ無線APを抽出する(ステップ3)。そして、その無線APに対してMS01と必要帯域幅とを含むQoS予約リクエストを送信する(ステップ4)。無線APは端末1に対して帯域を予約し(ステップ5)、QoS予約レスポンスをアクセスコントローラに返し(ステップ6)、アクセスコントローラはQoS予約レスポンスをSIPサーバに返す(ステップ7)。その後、通常のSIPに基づくシーケンスが実行される(ステップ8〜ステップ12)。
【0048】
なお、本例では無線APが帯域を管理し、帯域予約/確保を行うこととしているが、アクセスコントローラに、無線APの帯域を管理し、帯域予約/確保等のリソース制御を行う機能を持たせてもよい。この場合、無線APとアクセスコントローラ間での帯域予約/確保/解放等に関するメッセージの送受信はなされず、アクセスコントローラ内で帯域予約/確保/解放等のリソース管理がなされる。
【0049】
無線APはタイマ監視をしており、所定の時間内に次のメッセージ(図11のステップ16)を受信しなければステップ5で予約した帯域を解放する(図11のステップ13)。
【0050】
ACKの送受信(図10のステップ11、12)を行ったSIPサーバは端末1と端末2間の呼を話中呼として管理している。また、この時点で端末1、2間の帯域幅が決定することから、図11のステップ14において、SIPサーバはQoS確保リクエストをアクセスコントローラに送信する。この時点で端末1に対する呼状態はQoS確保中となる。その後は、QoS予約リクエストのシーケンス(図10のステップ3〜ステップ7)と同じシーケンス(図11のステップ15〜ステップ19)によって無線APでの帯域(リソース)確保がなされ、呼状態が"QoS確保済"となり、端末1、2間での音声通信が実行される(ステップ20)。
【0051】
図12は、図11のステップ20の後、端末2から呼切断が行われる場合の処理を示すシーケンス図である。ステップ21〜ステップ24において、通常のSIPによる処理が行われることにより、SIPサーバは呼を切断する。ステップ25において、SIPサーバはQoS解放リクエストをアクセスコントローラに送信する。アクセスコントローラは該当の無線APを抽出し(ステップ26)、QoS解放リクエストを無線APに送信する(ステップ27)。無線APは今までMS01に対して確保していた帯域を解放し(ステップ28)、QoS解放レスポンスをアクセスコントローラに返し(ステップ29)、アクセスコントローラはQoS解放レスポンスをSIPサーバに返す(ステップ30)。このとき、端末1に関して"QoS確保済"などの呼状態はなくなり、単に接続されていることを示す"Register"が呼状態として記録される。
【0052】
図13〜図15は、輻輳状態に無い無線APの配下の端末1が端末2に対して発信する場合のシーケンスを示す図である。発信端末と着信端末が入れ替わったことにより生じるSIPシーケンスの違いを除き図10〜図12と同じ処理が実行され、帯域予約、帯域確保、帯域解放が行われる。
【0053】
上記の構成で、相手端末と通話中の端末1が、無線AP10から他の無線AP20にハンドオーバする際には、図16、17に示す動作が実行される。なお、図16、17では、レジストラがSIPサーバに含まれる場合を示している。
【0054】
図16において、端末1と端末2の間で、図10のステップ1〜図11のステップ19等のシーケンスを実施したことにより通信がなされているものとする(ステップ1)。ここで、端末1が無線AP10の配下から無線AP20の配下に移動する(ステップ2)。端末1は再接続要求(Reassociation)を無線AP20に送信し(ステップ3)、無線AP20は端末1のMACアドレス(MSID)を取得し、登録する(ステップ4)。無線AP20は無線AP20のID(AP02)と端末1のMACアドレス(MS01)とを含む端末登録リクエストをアクセスコントローラに対して送信する(ステップ5)。アクセスコントローラは無線AP20から受信した無線AP20のID(AP02)を端末1のMACアドレス(MS01)と対応付けて記憶装置に格納することにより登録の更新を行う(ステップ6)。なお、現時点での端末1に対する呼状態は"QoS確保済"である。そして、アクセスコントローラは無線AP20に対して端末登録レスポンスを返す(ステップ7)。
【0055】
本具体例では、アクセスコントローラは、「QoS確保済」である端末1に関する端末登録リクエストを受信した場合は、SIPサーバからのトリガーを受けることなく、ハンドオーバ前の無線AP10に対して、当該端末1に関するQoS解放リクエストを送信する(ステップ8、9)。このリクエストを受けた無線AP10は、端末1に対する帯域を解放し、QoS解放レスポンスをアクセスコントローラに送信する(ステップ10、11)。
【0056】
続いて、アクセスコントローラは、MS01と必要帯域幅を含むQoS確保リクエストを無線AP20に送信する(図17のステップ12)。なお、端末1と端末2の間で必要な帯域幅は既に確定しているため、QoS予約シーケンスは実施しない。
【0057】
ステップ13にて、無線AP20において端末1に対する帯域確保がなされ、QoS確保レスポンスがアクセスコントローラに送信される(ステップ14)。その後、無線AP20を介して端末1と端末2間での通話が行われる。
【0058】
このような動作を行うので、端末1がハンドオーバした場合でも、アクセスコントローラは、ハンドオーバ後の端末に関する情報を保持できる。
【0059】
次に、本具体例で無線APに接続する端末数の均衡化に関する処理について説明する。まず、アクセスコントローラのデータベースに格納されるデータについて説明する。
【0060】
図18に端末管理データの例を示す。ここで示す例では端末MACアドレスと端末SIP−URIとを対応付けて予めアクセスコントローラのデータベースに固定値として登録しておく。そして、上述したシーケンスにより送受信されるデータに基づき、無線状態、呼状態、CallID、接続APを随時記録することにより端末を管理する。
【0061】
図18に示すデータにおける「無線状態」は端末と無線APとの接続状態を示すデータであり、端末と無線APとが接続状態にあるときは"Link Up"が記録され、切断状態にあるときは"Link Down"が記録される。また、接続状態にあるときの無線APのIDが「接続AP」に記録される。
【0062】
「呼状態」は呼の状態を示すデータであり、呼接続無しで登録されている状態では"Register"が記録され、登録が削除された状態では"Unregister"が記録される。また、QoS予約リクエストをSIPサーバから受信し、QoS予約レスポンスをSIPサーバに返すまでのQoS予約中の状態では"QoS予約中"が記録され、QoS予約レスポンスをSIPサーバに返してからQoS確保リクエストを受信するまでは"QoS予約済"が記録され、QoS確保リクエストを受信してから、QoS確保レスポンスをSIPサーバに返すまでのQoS確保中の状態では"QoS確保中"が記録され、QoS確保レスポンスをSIPサーバに返してからQoSが確保されている状態では"QoS確保済"が記録される。
【0063】
「CallID」は、「SIP状態」がQoS予約中/QoS予約済/QoS確保中/QoS確保済の場合にデータが記録されるものであり、呼(SIPセッション)毎のCallIDを設定する。図18に示したデータを参照することにより、アクセスコントローラはどの呼がどの無線APのリソースを消費するか判断できる。
【0064】
図19に無線APリソース管理データの例を示す。APIDとリソース上限値が予め登録される固定値データであり、利用中リソース量が随時変更されるデータである。
【0065】
図19における「APID」は無線AP毎に一意なIDであり、端末管理データの「接続AP」に登録される情報と同じものである。「リソース上限値」は無線APで利用可能なリソース上限値である。「リソース利用量」は無線APで現在使われているリソース量であり、無線APに接続された端末の呼数に応じて動的に変化するものである。この情報と「リソース上限値」との差分により、空きのリソース量を判定でき、当該無線APが輻輳するか否かを判断できる。なお、無線APが無線AP管理データを保持してもよい。無線APがこの無線AP管理データを保持する場合には、無線APが輻輳判定を行い輻輳判定結果がアクセスコントローラに送信されることになる。一方、アクセスコントローラがこのデータを保持することにより、無線APに輻輳判定等の機能を設ける必要がなくなる。
【0066】
図20に、隣接無線AP管理データの例を示す。このデータは予めデータベースに設定されるデータであり、管理対象の無線AP毎に、その無線APがどの無線APと隣接関係にあるかを示すものである。
【0067】
図21に、接続端末管理データの例を示す。このデータは、無線AP毎に、当該無線APに接続している端末のIDとその端末の電波強度を示すものである。無線APに接続している端末については、図18に示した端末のデータのうち、"Link up"状態にあるデータを抽出することにより取得できる。もしくは、無線APから無線リンク接続状態にある端末のIDを取得することとしてもよい。電波強度については、無線APに、MSIDを含む電波強度要求を送信することにより、無線APから取得することができる。なお、無線リンク接続状態にある端末のIDと電波強度とを同時に無線APから取得することとしてもよい。
【0068】
図22に、再接続要求拒否時間管理データの例を示す。このデータは、端末に対して無線リンクを切断した無線APが、その端末からの再接続を拒否する予め定めた時間と、切断してから実際に経過した時間を示すものである。端末が無線リンクを切断された場合、端末の仕様によっては、無線リンクを切断した無線APへの接続を再度試み、接続に失敗した場合に隣接無線APへの接続を行う場合があるが、再接続要求拒否時間を設定することにより、当該無線APは、その端末から再度接続要求を受けた場合でも、再接続要求拒否時間内であれば、その接続要求を拒否する。つまり、接続要求を受けてもその後の動作を行わない。これにより、切断した端末に対し、隣接無線APへの接続を促すことが可能となる。
【0069】
図23に、無線リンク切断禁止時間管理データを示す。このデータは、端末毎に、予め定めた無線リンク切断禁止時間と、端末が無線APからの無線リンク切断を受けてから経過した経過時間を含む。アクセスコントローラは、ある端末が切断の候補になったとしても、このデータを参照することにより、当該端末の切断後経過時間が、無線リンク切断禁止時間に達していない場合には、当該端末を切断しない。
【0070】
図24に、端末数均衡化設定データを示す。このデータは、図5に示したフローを実行する周期と、第1基準値、及び第2基準値を含む。また、端末数均衡化設定データとして、図25に示すような、無線AP情報取得周期と最低電波強度のデータも含む。無線AP情報取得周期は、無線リンク接続している端末の情報、及び電波強度の情報を取得する周期であり、アクセスコントローラは、この周期で当該情報を取得し、データベースに記録する。また、最低電波強度は、図5のステップ6において、切断する端末を抽出するために使用される値であり、この最低電波強度より小さい電波強度を持つ端末を、切断する端末の候補とする。つまり、最低電波強度以上の電波強度を持つ端末は切断の対象としない。
【0071】
次に、本具体例での隣接無線AP間における接続端末数の均衡化の処理を説明する。アクセスコントローラは図25に示した無線AP情報取得周期に従って、端末情報を取得し、データベースにおける端末情報を更新している。
【0072】
そして、アクセスコントローラは、図24に示した周期に基づき、均衡化処理を行う時刻になったと判定すると、図5に示したフローに基づく処理を実行し、切断すべき端末を決定する。この具体例では、端末が通信状態であるかどうかを呼状態がQoS確保済かどうかで判断できるので、切断する端末を決定する際には、QoS確保済であるものを除く。また、QoS予約中や確保中である端末を切断することも望ましくないので、呼状態が"Register"である端末のみを切断の対象としてもよい。
【0073】
ただし、本具体例では、端末が切断された後に別の無線APに再接続した後の動作を、ハンドオーバの場合と同様の動作(図16のステップ4〜)とすることにより、呼接続を継続することができるので、通話状態にある端末を切断しないことは必須ではない。
【0074】
切断すべき端末が、無線AP10に接続された端末1であった場合における切断時の動作を図26を参照して説明する。
【0075】
図26では、端末1は無線AP10に接続されているが、呼接続はされていない状態であるものとする。また、無線AP20は無線AP10に隣接する無線APであり、端末1から見て、無線AP20の電波到達範囲は、端末1のVoIP通信時に通信品質が保てる範囲にあるものとする。
【0076】
端末1を切断することを決定したアクセスコントローラは、MS01と再接続要求拒否時間を含む無線リンク切断要求を無線AP10に送信する(ステップ1)。無線AP10は、端末1に対する再接続要求拒否時間を設定する(ステップ2)。これにより、無線AP10は、端末1から再度接続要求を受けた場合でも、再接続要求拒否時間内であれば、その接続要求を拒否する。つまり、接続要求を受けてもその後の動作を行わない。
【0077】
無線リンク切断要求を受信した無線AP10は、無線リンク切断指示(Disassociation)を端末1に送信することにより無線リンクを切断する(ステップ3)。無線リンクを切断された端末1は、無線AP10に隣接する無線APである無線AP20に接続要求(Association)を送信する(ステップ4)。
無線AP20は端末1のMACアドレス(MSID)を取得し、登録する(ステップ5)。無線AP20は無線AP20のID(AP02)と端末1のMACアドレス(MS01)とを含む端末登録リクエストをアクセスコントローラに対して送信する(ステップ6)。アクセスコントローラは無線AP20から受信した無線AP25のID(AP02)を端末1のMACアドレス(MS01)と対応付けて記憶装置に格納することにより登録の更新を行う(ステップ7)。そして、アクセスコントローラは無線APに対して端末登録レスポンスを返す(ステップ8)。これにより、端末1は無線AP20と対応付けて登録され、その後、無線APを介して呼の発信や呼の受信を行うことができる。
【0078】
図27に、上記のような処理を行う装置の構成例を示す。図27は、SIPサーバ40、アクセスコントローラ30、無線AP10、コンソール50の機能概要例を説明するための図である。
【0079】
SIPサーバ40は、SIPに基づく呼制御を行うための呼制御機能41に加えて、端末のSIPサーバ(レジストラ)への登録/削除をトリガーにして、アクセスコントローラに対してURI登録(有効化)/削除(無効化)のリクエストを行い、SIPメッセージ(INVITE/BYE/レスポンスなど)をトリガーにして、アクセスコントローラに対して、QoS予約/確保/解放のリクエストを行う等の機能を有する対アクセスコントローラインタフェース機能42を有している。
【0080】
アクセスコントローラ30は、SIPサーバ40から受信した上記各リクエストに対応する処理を行い、回答をSIPサーバに対して送信する対SIPサーバインタフェース機能31、
電波強度等の端末情報を取得し、データベース35に格納する端末情報取得部36、切断すべき端末を決定する切断端末決定部37、端末を切断するための要求を送信する端末制御部38、無線APから受信した端末登録/削除のリクエストに対応する処理を行う対無線APインタフェース機能33、コンソールからの入力に応じて各種データをデータベース35に設定する対コンソールインタフェース機能34、及びデータベース35を有している。
【0081】
また、無線AP10は無線AP本来の無線AP機能11に加え、端末の無線APへの接続/切断をトリガーに、アクセスコントローラ30に対して端末登録/削除のリクエストを行う対アクセスコントローラインタフェース機能12を有している。
【0082】
コンソール50は操作者の入力を受け付けるユーザインタフェース機能51と、設定情報をアクセスコントローラに送信する対アクセスコントローラインタフェース機能52を有している。
【0083】
SIPサーバ、アクセスコントローラはそれぞれCPU、記憶装置、通信用装置等を備えたコンピュータに上記各機能を実現するためのプログラムを搭載することにより実現されるものである。
【0084】
次に、アクセスコントローラ30の詳細機能構成を図28を用いて説明する。図28に示すように、アクセスコントローラ30はデータベース35、SIP連携I/F60、リソース管理機能70、データ管理機能80、無線AP管理機能90、端末管理機能100、無線AP連携I/F110を有している。
【0085】
以下、各機能部の機能についてより詳細に説明する。
【0086】
SIP連携I/F60はSIP要求受付部61、SIP要求返却部62を有している。
【0087】
SIP要求受付部61は端末登録要求受付部64とリソース要求受付部65を有している。端末登録要求受付部64はレジストラから端末登録要求を受け付ける。また、端末登録情報を端末登録部(アプリケーション層)101に渡す。リソース要求受付部65はSIPサーバ40からリソース要求を受け付け、リソース要求種別(予約/予約+通知/確保/解放)に応じて、リソース予約/解放部71にリソース操作を要求する。
【0088】
SIP要求返却部62は端末登録要求返却部66とリソース要求返却部67を有しており、端末登録要求返却部66は端末登録要求受付部64へのリクエストの結果をレジストラに返却し、リソース要求返却部67はリソース要求受付部65へのリクエスト結果をSIPサーバ40に返却する。
【0089】
リソース管理機能70はリソース予約/解放部71とリソース状態変化監視部72を有している。リソース予約/解放部71はリソース要求種別(予約/確保/解放)に応じて、データ更新部81にリソース操作を要求する。また、空きリソース量に応じて、輻輳判断も行う。例えば、上限リソース量から使用中リソース量を減算した値が、要求されたリソース量以下である場合に輻輳中であると判断する。
【0090】
データ管理機能80はデータ更新部81を有している。データ更新部81はデータベース35のデータ読み出し/追加/更新/削除を行う。また、SIP−URIと端末MACアドレスとの相互変換を行う。無線AP管理機能90は無線AP/リソース登録部91、端末情報取得部92、切断端末決定部93を有している。無線AP/リソース登録部91は無線APの登録及び当該無線APに対するリソース上限値をコンソール50からの指示に基づきデータベース35に設定する。また、端末情報取得部92は、電波強度等の端末情報を取得するための処理を行い、データベース35に格納する。切断端末決定部93は、データベース35に格納されたデータを用いて、切断すべき端末を決定する。
【0091】
端末管理機能100は端末登録部(アプリケーション層)101と端末登録部(データリンク層)102を有している。端末登録部(アプリケーション層)101は端末登録要求受付部64から、リソース管理対象端末のSIP−URIを受け取り、データ更新部81に対してデータ登録を要求する。当該処理により、SIP−URIが本システムで有効化される。また、端末登録部(データリンク層)102は端末MAC登録要求受付部111から、リソース管理対象端末のMACアドレスを受け取り、データ更新部81に対してデータ登録を要求する。当該処理により、端末MACアドレスが本システムで有効化される。
【0092】
無線AP連携I/F110は端末MAC登録要求受付部111を有している。端末MAC登録要求受付部111は無線APで発生する端末イベント(Association/Disassociation/Reassociation)を契機として、イベントを受け付け、当該イベントの種別に応じて、端末登録部(データリンク層)102に対して、端末MACアドレスの登録/削除/再登録を要求する。また、無線AP連携I/F110は、端末を切断するための要求を送信する端末制御部112を有している。また、無線AP連携I/F110は、無線APへの電波強度等の情報取得のための要求送信や、要求に応じた情報を受信する処理も行う。なお、上述した構成は一例に過ぎない。本実施の形態で説明した動作を実現できる構成であればどのような構成でもよい。
【0093】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において、種々変更・応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】従来の無線通信システムの構成例である。
【図2】本発明の実施の形態における無線通信システムの一例を示す図である。
【図3】アクセスコントローラの概要機能構成図である。
【図4】本発明の実施の形態における無線通信システムの動作概要を説明するための図である。
【図5】端末数均衡化処理のフローチャートである。
【図6】対象無線APの切断候補端末数を求める数式例である。
【図7】無線IP電話システムの例を示す図である。
【図8】端末1をアクセスコントローラに登録するためのシーケンス図である。
【図9】アクセスコントローラから登録された端末1を削除するためのシーケンス図である。
【図10】輻輳状態に無い無線AP配下の端末1に端末2から着信要求がなされた場合のシーケンス図である。
【図11】輻輳状態に無い無線AP配下の端末1に端末2から着信要求がなされた場合のシーケンス図である。
【図12】輻輳状態に無い無線AP配下の端末1に端末2から着信要求がなされた場合のシーケンス図である。
【図13】輻輳状態に無い無線APの配下の端末1が端末2に対して発信する場合のシーケンス図である。
【図14】輻輳状態に無い無線APの配下の端末1が端末2に対して発信する場合のシーケンス図である。
【図15】輻輳状態に無い無線APの配下の端末1が端末2に対して発信する場合のシーケンス図である。
【図16】ハンドオーバ時の動作を示すシーケンス図である。
【図17】ハンドオーバ時の動作を示すシーケンス図である。
【図18】端末管理データの例である。
【図19】無線APリソース管理データの例である。
【図20】隣接無線AP管理データの例である。
【図21】接続端末管理データの例である。
【図22】再接続要求拒否時間管理データの例である。
【図23】無線リンク切断禁止時間管理データの例である。
【図24】端末数均衡化設定データの例である。
【図25】端末数均衡化設定データの例である。
【図26】端末切断時の動作を示すシーケンス図である。
【図27】各装置の機能概要を説明するための図である。
【図28】アクセスコントローラ30の詳細機能構成図である。
【符号の説明】
【0095】
1、2 端末
10、20 無線AP
11 無線AP機能
12 対アクセスコントローラインタフェース機能
30 アクセスコントローラ
31 対SIPサーバインタフェース機能
33 対無線APインタフェース機能
34 対コンソールインタフェース機能
35 データベース
36 端末情報取得部
37 切断端末決定部
38 端末制御部
40 SIPサーバ
41 呼制御機能
42 対アクセスコントローラインタフェース機能
50 コンソール
51 ユーザインタフェース機能
52 対アクセスコントローラインタフェース機能
60 SIP連携I/F
70 リソース管理機能
80 データ管理機能
90 無線AP管理機能
100 端末管理機能
110 無線AP連携I/F

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の隣接する無線AP間で、各無線APに接続された端末の数を均衡化するための接続端末数均衡化装置であって、
各無線APから、当該無線APに接続されている端末の識別情報と、当該端末の電波強度とを取得し、記憶手段に格納する端末情報取得手段と、
ある無線APに関し、その無線APに接続されている端末の数と、予め定めた第1基準値とを比較する第1基準値比較手段と、
前記第1基準値比較手段により、前記無線APに接続されている端末の数が第1基準値を超えていると判定された場合に、前記無線APと当該無線APに隣接する無線APとの間での接続端末数の平均の値又は当該平均の値を整数化した値を算出し、前記無線APに接続されている端末の数から前記値を引いた値から、更に予め定めた第2基準値を引いた値が正の値である場合に、その値に基づき前記無線APから切断する候補となる端末数を決定する切断端末数決定手段と、
前記記憶手段を参照し、前記無線APに接続されている端末のうちの全部又は一部から、電波強度の弱い順に、最大で前記端末数分の端末を抽出する端末抽出手段と、
前記端末抽出手段で抽出された端末のうちの全部又は一部を前記無線APから切断する端末切断手段と
を備えたことを特徴とする接続端末数均衡化装置。
【請求項2】
前記接続端末数均衡化装置は、予め定めた電波強度より大きい電波強度を持つ端末を前記無線APから切断しないことを特徴とする請求項1に記載の接続端末数均衡化装置。
【請求項3】
前記接続端末数均衡化装置は、他の端末と通信中の状態にある端末を前記無線APから切断しないことを特徴とする請求項1又は2に記載の接続端末数均衡化装置。
【請求項4】
前記接続端末数均衡化装置は、前記無線APに接続されている端末のうち、当該無線APに接続される前に、他の無線APから切断された端末であって、他の無線APから切断されてから予め定めた時間が経過していない端末を切断しないことを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の接続端末数均衡化装置。
【請求項5】
複数の隣接する無線AP間で、各無線APに接続された端末の数を均衡化するための接続端末数均衡化装置が実行される接続端末数均衡化方法であって
各無線APから、当該無線APに接続されている端末の識別情報と、当該端末の電波強度とを取得し、記憶手段に格納する端末情報取得ステップと、
ある無線APに関し、その無線APに接続されている端末の数と、予め定めた第1基準値とを比較する第1基準値比較ステップと、
前記第1基準値比較ステップにおいて、前記無線APに接続されている端末の数が第1基準値を超えていると判定された場合に、前記無線APと当該無線APに隣接する無線APとの間での接続端末数の平均の値又は当該平均の値を整数化した値を算出し、前記無線APに接続されている端末の数から前記値を引いた値から、更に予め定めた第2基準値を引いた値が正の値である場合に、その値に基づき前記無線APから切断する候補となる端末数を決定する切断端末数決定ステップと、
前記記憶手段を参照し、前記無線APに接続された端末のうちの全部又は一部から、電波強度の弱い順に、最大で前記端末数分の端末を抽出する端末抽出ステップと、
前記端末抽出ステップで抽出された端末のうちの全部又は一部を前記無線APから切断する端末切断ステップと
を備えたことを特徴とする接続端末数均衡化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2008−85792(P2008−85792A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−264775(P2006−264775)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000102717)エヌ・ティ・ティ・ソフトウェア株式会社 (43)
【Fターム(参考)】