説明

接続継手及び接続構造

【課題】配管の接続、取り外しを容易に行うことができ、作業性を向上させることが可能な接続継手を提供する。
【解決手段】端部にフランジ113a、115aを有する雌型の流出管113及び流入管115を対向配置し、それらのフランジ113a、115a間に所定の間隔Xを設けた状態で流出管113及び流入管115を連結するための接続継手2であって、流出管113及び流入管115の内径よりも大きい外径を有するとともに、所定の間隔Xよりも狭い幅L1を有する大径部2aと、大径部2aの上面から上方向に延び、流入管115に挿入自在に構成された第1小径部2bと、大径部2aの下面から下方向に延び、流出管113に挿入自在に構成された第2小径部2cと、流出管113と流入管115を連通する貫通孔2dとを備えた接続継手2。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続継手及び接続構造に関し、特に、対向配置された一対の配管を連結するための接続継手等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配管接続方式の一つとして、図30に示すように、一方の配管103の先端部を他方の配管104に差し込んだ状態で、それらの接合部に、有端環状のクイックファスナ(弾性接続金具)101を嵌め込んで配管同士を繋ぐものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この接続方式では、雄型端部を備えた配管103のフランジ103aと、雌型端部を備えた配管104のフランジ104aとを当接させるべく、配管103の先端を配管104内に挿入し、クイックファスナ101の嵌め込み時に、それらフランジ103a、104aをクイックファスナ101の係入孔102に係入することで、両配管103、104が離間しないように固定する。
【0003】
上記接続方式によれば、ワンタッチで配管103、104を接続できるため、ナットアンドユニオンタイプ等のねじ止めを利用する接続方式に比べ、配管103、104の取り付けや取り外しが容易となる。
【0004】
図31は、上記接続方式を流量調整弁と切換弁の接続に適用した接続構造の一例を示す断面図である。尚、同図に示す接続構造は、接続継手105を利用して接続する場合を例示したものである。
【0005】
流量調整弁111は、流入管112からの水や湯等の流体を流量調整して流出管113に流出させるために備えられ、一方、切換弁114は、流量調整弁111によって流量調整された流体を流入管115に受け入れ、第1及び第2流出管116、117のいずれか一方へ選択的に流出させるために備えられる。図31に示す例では、流量調整弁111の流出管113及び切換弁114の流入管115は、いずれも雌型端部を備えた配管である。
【0006】
これら流量調整弁111及び切換弁114は、側面に開口部120aが形成された回転筒状体(ロータリー弁)120と、ロータリー弁120を回転させるステッピングモータ121とを備える。流量調整弁111及び切換弁114は、同様の基本構成を有するが、切換弁114の弁室122は、左右の両方に開口されているのに対し、流量調整弁111の弁室123は、本例では底部124が塞がれて、流入管112からの流体を流出管113のみに流すように構成される。従って、塞がれた底部124から下側に形成されている流管部分は省略可能である。尚、図示の流量調整弁111及び切換弁114は、例えば、特許文献2に記載の流量調整弁と同様のものであるため、詳細説明を省略する。
【0007】
接続継手105は、両端が雄型の継手であり、流量調整弁111の流出管113と、切換弁114の流入管115とを中継接続するために備えられる。この接続継手105は、流出管113及び流入管115のフランジ113a、115aの外径とほぼ同径の大径部105aと、大径部105aの上下に形成され、流出管113及び流入管115の内径とほぼ同径の小径部105b、105cと、流体を流通させるための貫通孔105dとを備える。小径部105b、105cの側面には、シール部材としてのOリング125が付設される。
【0008】
流出管116、117及び流入管112は、図示されない例えば銅製の配管端部と、例えば雄型継手と雌型継手の関係で一方の端部が他方の端部内へ挿入される形態で連結されている。
【0009】
流量調整弁111と切換弁114の接続にあたっては、接続継手105の下側の小径部105cを流量調整弁111の流出管113に挿入するとともに、接続継手105の上側の小径部105bを切換弁114の流入管115に挿入し、流出管113及び流入管115のフランジ113a、115aを接続継手105の大径部105aに当接させる。その状態で、図30に示すクイックファスナ101を嵌め込み、フランジ113a、115a及び大径部105aをクイックファスナ101の係入孔102に係入する。
【0010】
また、大径部105aを設ける代わりに、フランジ113a、115aの内側端に形成されたテーパ部に係合するような断面三角形状の突起を接続継手105の中央外周に設け、フランジ113aと115aとの両対向面を直接当接させるようにしたものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平7−260071号公報
【特許文献2】特開2009−228764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
図31に示す接続構造において、流量調整弁111、切換弁114が故障した場合、故障したものを取り外して修理したり、新品と交換する必要が生じる。例えば、流量調整弁111を修理する場合であれば、流入管112と配管端部(不図示)の連結を解除した後、クイックファスナ101を引き抜いて、接続継手105との固定状態を解除し、流量調整弁111のみを紙面左側に引き出すことになる。
【0013】
しかし、上記接続構造においては、接続継手105の小径部105cが流量調整弁111の流出管113に挿入されているため、流量調整弁111を左側に引き出すのに先立ち、流量調整弁111の全体を下方に移動させて、流出管113から小径部105cを引き抜く必要がある。このため、流入管112、流出管116、117に接続された配管(不図示)を多少湾曲させる必要があるが、その配管が銅管等の硬質配管である場合には、その作業に手間取るという問題がある。また、流量調整弁111が手の届き難い高所や低所に設定されている場合や、複数の装置が密集して配置されるなど、流量調整弁111を下降させる空間的余裕が十分にない場合にも、取り外しに多大な手間や労力を要するという問題が生じる。
【0014】
さらに、修理後の流量調整弁111を取り付ける場合も、流入管112を配管(不図示)に接続した後、流量調整弁111を接続継手105の小径部105cよりも下方に位置させ、その後、流量調整弁111の全体を上昇させて小径部105cを流出管113に挿入する必要がある。そのため、取り外しの場合と同様、設置環境によっては大きな苦労を伴うことになり、作業時間の長期化を招く虞がある。
【0015】
こうした問題は、切換弁114の取り外し及び取り付けの場合にも同様に生じ、また、弁装置の接続構造に限らず、例えば、水道管等の配管同士を接続する場合や、計測器等の機器と配管を接続する場合にも、概ね同様に生じる。さらに、流入管113、流出管115の端部を、それぞれ雄型、雌型に構成し、一方を他方に挿入する構成をとっても同様の課題が生じる。
【0016】
そこで、本発明は、上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、管部又は管部を有する構造物の取り付け、取り外しを容易に行うことができ、作業性を向上させることが可能な接続継手等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため、本発明は、フランジを有する第1及び第2管部を対向配置し、それらを所定の間隔を設けた状態で連結するための接続継手であって、前記フランジとほぼ同径の外径を有するとともに、前記所定の間隔よりも狭い幅を有する大径部と、前記第1管部の内周又は外周に嵌装自在に構成される第1端部と、前記第2管部の内周又は外周に嵌装自在に構成される第2端部と、前記第1及び第2管部を連通する貫通孔とを備えたことを特徴とする。
【0018】
そして、本発明によれば、第1及び第2管部を連結した際に、第1管部と接続継手の大径部との間、若しくは、第2管部と接続継手の大径部との間、又は、それらの双方に隙間が形成されるため、第1又は第2管部の取り付け、取り外しの際に、上記隙間の分だけ接続継手を移動させて、接続継手の位置を変えることができる。このため、第1及び第2管部の取り付け、取り外しに必要なスペースを縮小化することができ、取り付け作業等を容易化することが可能になる。
【0019】
上記接続継手において、前記第1及び第2端部が、それぞれ前記第1及び第2管部の内周又は外周に嵌装された状態において、少なくとも前記第1及び第2管部の一方に嵌装された前記第1及び第2端部の一方の嵌装深さを、前記大径部と該大径部が当接する前記第1及び第2管部の他方との距離以下とすることができる。
【0020】
上記接続継手において、前記第1及び第2端部が、それぞれ前記第1及び第2管部の内周又は外周に嵌装され、かつ前記大径部が前記第1及び第2管部の一方に当接した状態において、前記第1及び第2管部の一方に嵌装された前記第1及び第2端部の一方の嵌装深さを、前記大径部と該大径部が当接する前記第1及び第2管部の他方との距離以下とすることができる。
【0021】
これらによれば、接続継手を動かすのみで、第1又は第2管部から接続継手を抜き取ることができ、第1又は第2管部の取り外しがより容易となる。
【0022】
上記接続継手において、前記当接を、前記大径部と、前記第1及び第2管部の一方のフランジとの当接とすることができる。この構成により、当接した2つのフランジをクイックファスナで締結して固定することができる。
【0023】
また、本発明は、端部にフランジを有する雌型の第1及び第2管部を対向配置し、それらのフランジ間に所定の間隔を設けた状態で該第1及び第2管部を連結するための接続継手であって、前記第1及び第2管部の内径よりも大きい外径を有する大径部と、該大径部から前記第1管部に向けて延び、該第1管部に挿入自在に構成された第1小径部と、前記大径部から前記第2管部に向けて延び、該第2管部に挿入自在に構成された第2小径部と、前記第1小径部、大径部及び第2小径部を貫通する貫通孔とを備え、前記大径部の軸線方向の長さが前記所定の間隔よりも短く、前記第1小径部を前記第1管部に挿入可能な長さと前記大径部の軸線方向の長さとの和が前記所定の間隔以下、及び/又は、前記第2小径部を前記第2管部に挿入可能な長さと前記大径部の軸線方向の長さとの和が前記所定の間隔以下であることを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、第1及び第2管部を連結した際に、第1管部のフランジと接続継手の大径部との間、若しくは、第2管部のフランジと接続継手の大径部との間、又は、それらの双方に隙間が形成されるため、第1又は第2管部の取り付け、取り外しの際に、上記隙間の分だけ接続継手を移動させて、接続継手の位置を変えることができる。このため、第1及び第2管部の取り付け、取り外しに必要なスペースを縮小化することができ、取り付け作業等を容易化することが可能になる。また、接続継手を動かすのみで、第1又は第2管部から接続継手を抜き取ることができ、第1又は第2管部の取り外しがより容易となる。
【0025】
さらに、本発明は、端部にフランジを有する雌型の第1管部と、先端部から離間した位置にフランジを有する雄型の第2管部とを対向配置し、それらのフランジ間に所定の間隔を設けた状態で該第1及び第2管部を連結するための接続継手であって、前記第1及び第2管部の内径よりも大きい外径を有する大径部と、該大径部から前記第1管部に向けて延び、該第1管部に挿入自在に構成された小径部と、前記大径部の内側に形成され、前記第2管部の先端部を挿入自在に構成された柱状孔と、前記小径部及び大径部を貫通し、前記柱状孔と連通する貫通孔とを備え、前記大径部の軸線方向の長さが前記所定の間隔よりも短く、前記第2管部の先端部を前記柱状孔に挿入可能な長さと前記大径部の軸線方向の長さとの和が前記所定の間隔以下、及び/又は、前記小径部を前記第1管部に挿入可能な長さと前記大径部の軸線方向の長さとの和が前記所定の間隔以下であることを特徴とする。本発明によれば、前記発明と同様に、第1及び第2管部の取り付け、取り外しに必要なスペースを縮小化することができ、取り付け作業等を容易化することが可能になる。
【0026】
また、本発明は、先端部から離間した位置にフランジを有する雄型の第1及び第2管部を対向配置し、該第1管部のフランジと該第2管部の先端部との間に所定の間隔を設けた状態で該第1及び第2管部を連結するための接続継手であって、前記第1及び第2管部の内径よりも大きい外径を有する大径部と、該大径部の内側に形成され、前記第1管部の先端部を挿入自在に構成された柱状孔と、前記大径部から前記第2管部に向けて延び、該第2管部に挿入自在に構成された小径部と、前記小径部及び大径部を貫通し、前記柱状孔と連通する貫通孔とを備え、前記大径部の軸線方向の長さが前記所定の間隔よりも短く、前記第1管部の先端部を前記柱状孔に挿入可能な長さと前記大径部の軸線方向の長さとの和が前記所定の間隔以下、及び/又は、前記小径部を前記第2管部に挿入可能な長さと前記大径部の軸線方向の長さとの和が前記所定の間隔以下であることを特徴とする。本発明によれば、前記発明と同様に、第1及び第2管部の取り付け、取り外しに必要なスペースを縮小化することができ、取り付け作業等を容易化することが可能になる。
【0027】
上記接続継手において、前記大径部が、その両端に突出部が形成されるように、その中央に凹部を備えることができる。これによれば、凹部を持手として利用することができ、接続継手を円滑に移動させることが可能になる。
【0028】
上記接続継手において、前記第1及び第2管部を連結した状態で該第1管部から該第2管部に向けて流体を流通させるときに、前記第1管部から該接続継手に流入する流体の流れを許容し、該接続継手から該第1管部に流出する流体の流れを遮断する逆止弁を、前記貫通孔内に備えることができる。これによれば、第1又は第2管部を取り外した際の流体漏れを防止することができ、作業性をより向上させることが可能になる。
【0029】
さらに、本発明は、フランジを有する第1及び第2管部を接続する接続構造であって、前記第1及び第2管部の両端面に嵌装された上記いずれかに記載の接続継手と、前記接続継手の大径部と前記第1及び第2管部とを連結する着脱自在な留め具とよりなることを特徴とする。
【0030】
また、本発明は、フランジを有する第1及び第2管部を接続する接続構造であって、前記第1及び第2管部の両端面に嵌装された上記いずれかに記載の接続継手と、前記接続継手の大径部と前記第1及び第2管部とを連結する着脱自在な留め具と、前記第1及び第2管部を連結した状態で該第1管部から該第2管部に向けて流体を流通させるときに、前記接続継手から該第2管部に流入する流体の流れを許容し、該第2管部から該接続継手に流出する流体の流れを遮断する逆止弁体とを備え、前記逆止弁体は、該第2管部内に備えられ、前記接続継手の端部と接離することを特徴とする。
【0031】
本発明によれば、第1又は第2管部を取り外した際の流体漏れを防止することができ、作業性をより向上させることが可能になる。また、逆止弁機能を、逆止弁体のみで達成することができ、各種流体機器や配管の取り外し時の流体漏出防止機能を極めて簡単な構成で実現できる。
【0032】
上記接続構造において、前記逆止弁体が、前記接続継手の貫通孔の開口を開閉する円板部と、該円板部から該接続継手の貫通孔内に向けて延び、該貫通孔の壁面上を摺動する案内脚とを備えることができる。
【0033】
上記接続構造において、前記逆止弁体が、前記接続継手の端部と反対側に位置する前記第2管部内の部材に当接可能とすることができ、また、前記第2管部内の部材を、弁装置のロータリー弁とすることができる。
【0034】
上記接続構造において、前記留め具を、係入孔が穿設された有端円環部を備える有端環状の弾性接続具とすることができる。これによれば、留め具の着脱を簡単に行うことができ、第1管部、第2管部及び接続継手を容易に固定することが可能になる。
【0035】
上記接続構造において、前記弾性接続具が、所定の間隔を隔てて並列配置され、各々、係入孔が穿設された複数の有端円環部と、該複数の有端円環部を連結する連結部とを備えることができる。これによれば、一度の嵌め込み動作で、第1管部、第2管部及び接続継手を固定することができ、また、一度の引き抜き動作で、それらの固定を解除することができるため、作業性をより向上させることが可能になる。
【発明の効果】
【0036】
以上のように、本発明によれば、管部又は管部を有する構造物の取り付け、取り外しを容易に行うことができ、作業性を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明にかかる接続継手等の第1の実施形態を示す断面図である。
【図2】図1の接続継手を示す図であって、(a)は、図1のB部分の拡大図であり、(b)は、(a)を断面にしない状態で記載した正面図であり、(c)は、(b)の上面図である。
【図3】図1のクイックファスナを示す斜視図であって、(a)は、第1クイックファスナを示す図であり、(b)は、第2クイックファスナを示す図である。
【図4】図1の接続構造の接続方法を示す工程図である。
【図5】図1の接続構造の取り外し方法を示す工程図である。
【図6】図1の接続継手の寸法条件を説明するための断面図である。
【図7】図6の寸法条件を満たさない場合の接続継手を示す断面図である。
【図8】接続継手の寸法条件を説明するための断面図である。
【図9】接続継手の寸法条件を説明するための断面図である。
【図10】本発明にかかる接続継手等の第2の実施形態を示す断面図である。
【図11】図10のクイックファスナを示す斜視図である。
【図12】図10のC部分の拡大図であって、(a)は、C部分を断面にしない状態で記載した正面図であり、(b)は、(a)の上面図である。
【図13】図10の接続継手の他の例を示す断面図である。
【図14】本発明にかかる接続継手等の第3の実施形態を示す断面図である。
【図15】本発明にかかる接続継手等の第4の実施形態を示す断面図である。
【図16】図15の第1接続構造を示す図であって、(a)は、第1接続構造の拡大図であり、(b)は、第1接続構造の接続方法を示す図であり、(c)は、第1接続構造の取り外し方法を示す図である。
【図17】第1接続構造での接続継手の寸法条件を説明するための断面図である。
【図18】第1接続構造での接続継手の寸法条件を説明するための断面図である。
【図19】第1接続構造での接続継手の寸法条件を説明するための断面図である。
【図20】図16の第1接続構造の他の例を示す断面図である。
【図21】図15の第2接続構造を示す図であって、(a)は、第2接続構造の拡大図であり、(b)は、第2接続構造での接続方法を示す図であり、(c)は、第2接続構造での取り外し方法を示す図である。
【図22】第2接続構造での接続継手の寸法条件を説明するための断面図である。
【図23】第2接続構造での接続継手の寸法条件を説明するための断面図である。
【図24】本発明にかかる接続継手等の第5の実施形態を示す断面図である。
【図25】図24のE部分の拡大図である。
【図26】図24の接続構造の取り外し方法を示す断面図である。
【図27】本発明にかかる接続継手等の第6の実施形態を示す斜視断面図である。
【図28】図27の弁体を示す図であって、(a)は、図27のG部分の拡大図であり、(b)は、(a)の弁体の部分拡大図である。
【図29】図27の接続構造の取り外し方法を示す斜視断面図である。
【図30】従来の配管接続構造の一例を示す斜視図である。
【図31】図30の配管接続構造を適用した弁装置の接続構造の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明では、本発明にかかる接続継手、接続構造及び弾性接続具を、流量調整弁と切換弁の接続に適用した場合を例示する。また、図31と同一又は同等の構成要素については、同一の符号を付し、その詳細説明を省略する。
【0039】
図1は、本発明にかかる接続継手等の第1の実施形態を示し、本実施の形態は、雌型の端部を有する配管同士を接続するのに適したものである。図1に示す接続構造1では、流量調整弁111の流出管113と、切換弁114の流入管115とが所定の間隔Xを隔てて対向配置されるとともに、それら流出管113及び流入管115が接続継手2を介して接続され、両配管113、115の一部と接続継手2とを被うように、第1及び第2クイックファスナ(弾性接続具)3、4が嵌め込まれる。
【0040】
流量調整弁111は、流入管112からの流体を流量調整して流出管113に流出させるために備えられ、一方、切換弁114は、流量調整弁111によって流量調整された流体を第1及び第2流出管116、117のいずれか一方へ選択的に流出させるために備えられる。
【0041】
切換弁114の流出管116、117は、それぞれ雌型の接続端を備えており、例えば、雄型の接続端を備えた銅製の配管7、8の先端部が挿入され、それぞれクイックファスナ(不図示)で締結されている。同様に、流量調整弁111の流入管112も雌型の接続端を備えており、例えば、雄型の接続端を有する銅製の配管9の先端部が挿入され、クイックファスナ(不図示)で締結されている。
【0042】
切換弁114の第2流出管117内には、流量調整弁111を取り外した際に流入管115から流体が漏れ出すのを防止する逆止弁5が設けられる。この逆止弁5は、紙面の左右方向に往復移動する弁体5aと、弁体5aを弁座5cに向けて付勢するばね5bとを備える。逆止弁5では、弁体5aが左方向に移動したときに、弁口5dを開いて矢印A方向への流体の流れを許容し、弁体5aが右方向に移動したときに、弁体5aの先端に設けられた弾性部材5eが弁座5cに当接して弁口5dを閉じ、矢印Aと逆方向への流体の流れを遮断する。
【0043】
接続継手2は、両端が雄型の継手であり、流量調整弁111の流出管113と切換弁114の流入管115とを中継接続するために備えられる。この接続継手2は、図2(a)に示すように、大径部2aと、大径部2aの上面から上方向に延び、流入管115の内径とほぼ同径の第1小径部2bと、大径部2aの下面から下方向に延び、流出管113の内径とほぼ同径の第2小径部2cと、流体を流通させるための貫通孔2dとを備える。
【0044】
大径部2aの軸線2i方向の長さL1(大径部2aの幅)は、図1に示すように、流出管113のフランジ113aと流入管115のフランジ115aとの間隔Xよりも短くなるように形成される。また、図2(a)に示すように、大径部2aの上端及び下端には、それぞれ、流入管115のフランジ115aとほぼ同寸の外径及び厚さを有する第1環状突部2eと、流出管113のフランジ113aとほぼ同寸の外径及び厚さを有する第2環状突部2fとが設けられ、それら第1及び第2環状突部2e、2fの間に環状凹部2gが形成される。
【0045】
さらに、接続継手2の両端部には、それぞれOリング125を装着するための環状の凹部が形成されており、該凹部に配置されたOリング125により、接続継手2が流出管113及び流入管115に接続された際の気密性が確保される。
【0046】
図1に戻り、第1クイックファスナ3は、切換弁114の流入管115と接続継手2を固定するための留め具であり、図30のクイックファスナ101と同様の構成を有する。この第1クイックファスナ3は、図3(a)に示すように、有端円環部3aと、有端円環部3aの中央に形成された持手部3bと、有端円環部3aの端部に形成された案内片3cとを備える。
【0047】
第1クイックファスナ3の両側面には、持手部3bから案内片3cにかけて連続する係入孔3dが穿設される。この係入孔3dには、図2(b)、(c)に示すように、第1クイックファスナ3を嵌め込んだ際に、切換弁114の流入管115のフランジ115aと、接続継手2の第1環状突部2eとが係入される。尚、係入孔3dの幅W1は、フランジ115aと第1環状突部2eとの厚さの和にほぼ等しくなるように形成される。
【0048】
図1に戻り、第2クイックファスナ4は、接続継手2の第2小径部2c(図2(a)参照)から流量調整弁111の流出管113が抜け落ちるのを防止するための留め具である。この第2クイックファスナ4は、図3(b)に示すように、第1クイックファスナ3と同様、有端円環部4a、持手部4b、案内片4c及び係入孔4dを備える。但し、第1クイックファスナ3に比べて全長L2が長く、係入孔4dの幅W2が、第1クイックファスナ3の係入孔3dの幅W1よりも広く形成される。
【0049】
第2クイックファスナ4を嵌め込んだ際には、図2(b)に示すように、係入孔4dの上部に、接続継手2の第2環状突部2fが係入され、係入孔4dの下部に、流量調整弁111の流出管113のフランジ113aが係入される。
【0050】
次に、流量調整弁111の流出管113と切換弁114の流入管115との接続方法について、図1〜図4を参照しながら説明する。
【0051】
両配管113、115の接続にあたっては、先ず、図4(a)に示すように、接続継手2の第2小径部2cを流量調整弁111の流出管113に挿入(すなわち、第2小径部2cを流出管113の内周に嵌装)する。次いで、図4(b)に示すように、切換弁114の流入管115を対向配置し、接続継手2の第1小径部2bを流入管115に挿入する。
【0052】
次に、図4(c)に示すように、流入管115と接続継手2の接続部に、第1クイックファスナ3を嵌め込む。この際、前述のように、切換弁114の流入管115のフランジ115aと接続継手2の第1環状突部2eとを、第1クイックファスナ3の係入孔3dに係入し(図2(b)参照)、流入管115と接続継手2を固定する。
【0053】
次いで、切換弁114及び接続継手2を上方に押し上げて、切換弁114を目的の設置位置まで上昇させる。これにより、流量調整弁111の流出管113のフランジ113aと接続継手2の第2環状突部2fとの間に隙間6を形成する。
【0054】
最後に、図4(d)に示すように、流量調整弁111の流出管113と接続継手2の接続部に、第2クイックファスナ4を嵌め込み、接続継手2の第2環状突部2fと流出管113のフランジ113aとを、第2クイックファスナ4の係入孔4dに係入する。
【0055】
ここで、上記構成においては、接続継手2が、切換弁114の流入管115に吊り下げられつつ、流量調整弁111の流出管113から浮いた状態となっているため、切換弁114、接続継手2及び流量調整弁111の三者の関係だけで見れば、切換弁114を支持するものが存在しないことになるが、切換弁114は、図1に示すように、第1及び第2流出管116、117に接続される配管7、8によって支持され、流量調整弁111は、流入管112に接続される配管9によって支持されるので、それぞれの位置(高さ)が固定される。
【0056】
尚、上記の接続方法においては、流量調整弁111の流出管113に接続継手2を挿入した後に、切換弁114の流入管115を対向配置するが、例えば、装置の新設時等、空間的な制約が少ない場合には、切換弁114の流入管115と接続継手2を繋ぎ、第1クイックファスナ3によって固定した後、接続継手2を流量調整弁111の流出管113に挿入するようにしてもよい。
【0057】
また、予め流量調整弁111及び切換弁114を配管7〜9に接続しておけば、流出管113と流入管115との間に所定の距離が確保されるので、流入管113内に接続継手2を挿入した状態(図4(a))から該継手2を流入管115側に引き出し挿入することにより(図4(c))、取り付けを行ってもよい。
【0058】
次に、流量調整弁111及び切換弁114の取り外し方法について、図1〜図3及び図5を参照しながら説明する。ここでは、流量調整弁111を取り外す場合を例にとって説明する。
【0059】
先ず、流量調整弁111内に流入する流体の流れを停止するとともに、切換弁114の弁体角度を調整し、切換弁114と流出管116との流通を遮断する(切換弁114を、流入管115及び流出管117間のみを連通させる状態とする)。
【0060】
次に、図5(a)、(b)に示すように、第1クイックファスナ3を引き抜き、切換弁114の流入管115と接続継手2の固定状態を解除する。また、このとき、後の作業の妨げになるのを避けるため、併せて第2クイックファスナ4も引き抜く。
【0061】
次いで、図5(c)に示すように、隙間6の長さ分だけ(接続継手2の第2環状突部2fが流入管113のフランジ部113aに当接するまで)接続継手2を下降させ、切換弁114の流入管115から接続継手2の第1小径部2bを引き抜く。この際、接続継手2が自重により下降しない場合には、第1及び第2環状突部2e、2fの間に形成される環状凹部2gを手で摘んで下方に押し下げる。
【0062】
ここで、配管7側に存在する流体の圧力により逆止弁5が閉弁し、配管7側に存在する流体が流入管115側に漏洩することが防止されるので、流入管115から漏れ出る流体は、切換弁114の弁体内に溜まっていた分程度となる。
【0063】
次に、流量調整弁111の流入管112(図1参照)と配管9との接続を解除し、その後、図5(d)に示すように、流量調整弁111を紙面左方向に移動させて取り出す。
【0064】
尚、この引き出しの際、或いは引き出しの後、再び流量調整弁111を取り付けるまでの間、取り外したクイックファスナ3を、第2環状突部2fと流出管113のフランジ113aとの固定に利用することができる。
【0065】
切換弁114を取り外す場合には、図5(a)〜(c)の工程を実行した後、切換弁114の流出管116、117と配管7、8(図1参照)との接続を解除し、その後、配管7及び/又は配管8を多少外側に広げればよい。
【0066】
このように、流量調整弁111及び切換弁114の位置を変えずとも、流出管113と流入管115の間で接続継手2を移動させるのみで、流入管115から接続継手2を抜き取ることができため、流量調整弁111を容易に取り外すことが可能になる。
【0067】
ところで、上述の取り外し方法を実現するには、図5(b)、(c)に示すように、接続継手2を下降させるだけで、切換弁114の流入管115から接続継手2の第1小径部2bを引き抜き得ることが必要である。そこで、次の条件を満たすように、接続継手2を構成する。
【0068】
図6に示すように、接続継手2の第1小径部2bを挿入可能な長さ(この場合は第1小径部2bの長さ)を「a」、隙間6の長さ(接続継手2の変位可能量)を「A」とした場合、接続継手2を下降させて第1小径部2bを引き抜くには、a≦A(条件式1)を満たす必要がある。
【0069】
ここで、条件式1の両辺に、接続継手2の大径部2aの長さL1を加算した場合、a+L1≦A+L1(条件式2)となるが、右辺のA+L1は、流入管115のフランジ115aと流出管113のフランジ113aとの間隔Xであるため、条件式1は、a+L1≦Xと書き換えることができる。
【0070】
従って、第1小径部2bを挿入可能な長さaと大径部2aの長さL1との和が、フランジ113a、115aの間隔X以下となるように、接続継手2の寸法を定め、これにより、図5(b)、(c)に示す動作を可能とする。
【0071】
尚、接続継手2において、必ずしも上記の条件を満たす必要はなく、図7(b)に示すように、接続継手2を下降させた際に、第1小径部2bが切換弁114の流入管115から完全に抜けずに、一部が挿入されたままの状態になってもよい。
【0072】
この場合、接続継手2を動かすのみでは、切換弁114、流量調整弁111を引き出し可能とはならないが、図7(a)、(b)に示すように、接続継手2を下降させた分、第1小径部2bの挿入量dが減少するため、図7(c)に示すように、切換弁114を少量押し上げるか、或いは、流量調整弁111を少量押し下げることで、切換弁114、流量調整弁111を引き出すことが可能になる。すなわち、図31に示す従来の場合と比べれば、切換弁114の押し上げ量や流量調整弁111の押し下げ量が少なくて済み、取り付け及び取り外し作業が容易となる。
【0073】
以上のように、本実施の形態によれば、流量調整弁111と切換弁114を連結した際に、流量調整弁111の流出管113のフランジ113aと接続継手2の大径部2aとの間に隙間6が形成されるため、流量調整弁111の取り付け、取り外しの際に、隙間6の分だけ接続継手2を昇降させて、接続継手2の上端部の位置を変えることができる。このため、取り付け、取り外しに必要なスペースが小さくて足り、簡単に取り付け作業等を行うことが可能になる。
【0074】
尚、上記実施の形態おいては、切換弁114の流入管115から接続継手2の第1小径部2bを引き抜く場合を例示したが、図8に示すように、切換弁114の流入管115と接続継手2の大径部2aとの間に隙間10を形成し、接続継手2を上昇させて、流出管113から接続継手2の第2小径部2cを引き抜くようにしてもよい。
【0075】
この場合、接続継手2を動かすのみで流量調整弁111を引き出し可能とするためには、接続継手2において、第2小径部2cを挿入可能な長さ(第2小径部2cの長さ)bを隙間10の長さB以下とすればよく、第2小径部2cを挿入可能な長さbと大径部2aの長さL1との和を、流入管115のフランジ115aと流出管113のフランジ113aとの間隔X(大径部2aの長さL1と隙間10の長さBとの和)以下とすればよい。
【0076】
さらに、図9に示すように、大径部2aの上下に隙間6、10を形成し、この状態で接続継手2を適宜の手法にて(例えば、流出管113のフランジ部、接続継手2の大径部2a及び流入管115のフランジ部を個別に保持するための3つの係入穴が設けられたクイックファスナー等を用いて)固定するようにすれば、切換弁114の流入管115と流量調整弁111の流出管113とのいずれからでも、接続継手2を引き抜き得るようになる。この場合、接続継手2を動かすのみで切換弁114及び流量調整弁111を引き出し可能とするためには、前述の説明からも理解できるように、接続継手2において、a’≦A(すなわちa+L1≦X)及びb’≦B(すなわちb+L1≦X)の双方を満たすようにすればよい。
【0077】
ここで、図中の「a’」は、流入管115と流出管113を接続した際に、接続継手2の第1小径部2bが流入管115に挿入される長さであり、「a」は、第1小径部2bを挿入可能な長さ(a’+B)である。また、「b’」は、両配管115、113を接続した際に、接続継手2の第2小径部2cが流出管113に挿入される長さであり、「b」は、第2小径部2cを挿入可能な長さ(b’+A)である。
【0078】
次に、本発明にかかる接続継手等の第2の実施形態について、図10〜図13を参照しながら説明する。尚、これらの図において、図1〜図9と同一又は同等の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0079】
本実施の形態の接続構造20は、図10に示すように、クイックファスナ23を除き、第1の実施形態の接続構造1と同様の構成を有する。クイックファスナ23は、図3に示す第1及び第2クイックファスナ3、4を事実上一体化したものであり、図11に示すように、所定の間隔を隔てて並列配置された二つの有端円環部23a、23bが連結されて構成される。
【0080】
有端円環部23a、23bのそれぞれには、持手部23c、23d及び案内片23e、23fが形成され、持手部23c、23d及び案内片23e、23fの一部が連結部23g、23hを通じて連結される。尚、案内片23e、23fを連結する連結部23hは、図11(b)に示すように、省略することが可能である。また、接続時に内部を視認し易くしたり、軽量化を図るため、持手部23c、23d及び連結部23gの上面に複数の孔23iを穿設しているが、これらも省略することが可能である。
【0081】
各有端円環部23a、23bの側面には、図3に示す第1及び第2クイックファスナ3、4の場合と同様、係入孔23j、23kが形成される。クイックファスナ23を嵌め込んだ際には、図12(a)に示すように、有端円環部23aの係入孔23jに、切換弁114の流入管115のフランジ115aと接続継手2の第1環状突部2eとが係入され、有端円環部23bの係入孔23kに、流量調整弁111の流出管113のフランジ113aが係入される。
【0082】
本実施の形態によれば、一度の嵌め込み動作で、流出管113、接続継手2及び流入管115を固定することができ、また、一度の引き抜き動作で、それらの固定を解除することができるため、作業性をより向上させることが可能になる。さらに、流出管113、接続継手2及び流入管115をそれぞれ一体として固定でき、当該接続構造が堅固となる。
【0083】
尚、上記実施の形態においては、第1の実施形態の接続継手2を流用したため、図12(a)に示すように、接続継手2の第2環状突部2fとクイックファスナ23の有端円環部23aとの間に隙間24が生じるが、図13に示すように、接続継手2において、第1及び第2環状突部2e、2fの間隔を狭め、接続継手2の第2環状突部2fをクイックファスナ23の有端円環部23aに当接させるようにしてもよい。
【0084】
次に、本発明にかかる接続継手等の第3の実施形態について、図14を参照しながら説明する。尚、これらの図において、図1〜図13と同一の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0085】
本実施の形態の接続構造30は、図14に示すように、接続継手32を除き、第2の実施形態の接続構造20と同様の構成を有する。接続継手32は、図2(a)に示す接続継手2の環状凹部2g及び第2環状突部2fを省略したものであり、単一の環状突部によって大径部32aが構成される。
【0086】
本実施の形態によれば、接続継手の構成を簡略化することができるため、接続継手の製造コストを低減することが可能になり、また、流出管113、接続継手32及び流入管115をそれぞれ一体として固定でき、当該接続構造が堅固となる。
【0087】
次に、本発明にかかる接続継手等の第4の実施形態について、図15〜図23を参照しながら説明する。尚、これらの図において、図1〜図14と同一又は同等の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0088】
図15に示す接続構造40は、切換弁114の第1流出管43と右側配管44との接続、及び、切換弁114の第2流出管45と左側配管46との接続のそれぞれに、本発明を適用したものである。但し、前者が、雌型端部を有する配管(第1流出管43)に雄型端部を有する配管(配管44)を接続するのに対し、後者は、雄型端部を有する配管(第2流出管45)に雄型端部を有する配管(配管46)を接続するものであり、接続のタイプが異なるため、以下においては、それぞれ「第1接続構造41」、「第2接続構造42」と称して個別に説明する。
【0089】
先ず、第1接続構造41について、図16〜図20を参照しながら説明する。
【0090】
第1接続構造41においては、図16(a)に示すように、第1流出管43側端部が雄型に形成され、配管44側端部が雌型に形成された接続継手52を介して、第1流出管43と配管44とが接続され、両配管43、44の一部と接続継手52とを被うように、二連の有端円環部23a、23bを有するクイックファスナ23が嵌め込まれる。
【0091】
接続継手52は、大径部52aと、大径部52aの内側に形成され、配管44の先端部44aの外径とほぼ同径の円柱孔52bと、大径部52aの左側面から左方向に延び、切換弁114の第1流出管43の内径とほぼ同径の小径部52cと、流体を流通させるための貫通孔52dとを備える。
【0092】
大径部52aの軸線52i方向の長さL3(大径部52aの幅)は、配管44のフランジ44bと第1流出管43のフランジ43bとの間隔Yよりも短くなるように形成される。また、大径部52aの左端及び右端には、それぞれ、配管44のフランジ44bとほぼ同寸の外径及び厚さを有する第1環状突部52eと、第1流出管43のフランジ43bとほぼ同寸の外径及び厚さを有する第2環状突部52fとが設けられ、それら第1及び第2環状突部52e、52fの間に環状凹部52gが形成される。
【0093】
配管44と第1流出管43の接続にあたっては、先ず、接続継手52の小径部52cを第1流出管43に挿入し、その後、図16(b)に示すように、接続継手52を右方向に移動させる。これにより、配管44の先端部44aを接続継手52の円柱孔52bに挿入(すなわち、円柱孔52bを先端部44aの外周に嵌装)しつつ、第1流出管43のフランジ43bと接続継手52の第2環状突部52fとの間に隙間53を形成する。
【0094】
最後に、図16(a)に示すように、第1流出管43、接続継手52及び配管44の接続部に、クイックファスナ23を嵌め込み、全体を固定する。このとき、クイックファスナ23の係入孔23j(図11(a)参照)に、配管44のフランジ44bと接続継手52の第1環状突部52eとを係入し、クイックファスナ23の係入孔23k(図11(a)参照)に、第1流出管43のフランジ43bを係入する。
【0095】
一方、配管44及び切換弁114を取り外す場合には、先ず、クイックファスナ23を引き抜き、第1流出管43、接続継手52及び配管44の固定状態を解除する。次いで、図16(c)に示すように、隙間53(図16(b)参照)の分だけ接続継手52を左方向に移動させ、接続継手52の大径部52aを配管44の先端部44aから抜き取る。
【0096】
後述のように、第2接続構造42も同様に切り離すことができるので、その後、切換弁114を配管44や45の位置を変えずに、流出管43、45の中心軸と垂直な方向に引き出すことが可能となる。図16(c)の状態においては、図3(a)に示されたようなクイックファスナ3を用いて、第2環状突部52fとフランジ43bとを固定可能である。
【0097】
このように、本実施の形態においても、配管44及び切換弁114の位置を変えずとも、配管44と第1流出管43の間で接続継手52を移動させるのみで、配管44から接続継手52を抜き取ることができる。このため、第1の実施形態の場合と同様、切換弁114を容易に取り外すことができ、作業性を向上させることが可能になる。
【0098】
尚、接続継手52において、図16(c)の取り外し方法を実現する条件は、次の通りである。
【0099】
図17に示すように、配管44の先端部44aを円柱孔52b内に挿入可能な長さ(この場合は先端部44aの長さ)を「r」、配管43のフランジ43bの右端から第2環状突部52fの左端までの距離(隙間53の長さ)を「R」とした場合、接続継手52を紙面左側に移動させて、配管44の先端部44aから接続継手52の大径部52aを抜き取るには、r≦R(条件式1)を満たすことが必要である。
【0100】
ここで、条件式1の両辺に、接続継手52の大径部52aの長さL3を加算した場合、r+L3≦R+L3(条件式2)となるが、右辺のR+L3は、第1流出管43のフランジ43bと配管44のフランジ44bとの間隔Yであるため、条件式1は、r+L3≦Y(換言すれば、L3≦Y−r)と書き換えることができる。尚、Y−rは、配管44の先端と配管43の先端との間の距離である。
【0101】
従って、図16(c)の取り外し方法を実現するには、配管44の先端部44aを挿入可能な長さrと大径部52aの長さL3との和が、フランジ43b、44b間の間隔Y以下となるように(大径部52aの長さL3が、フランジ43b、44b間の間隔Yと配管44の先端部44aを挿入可能な長さrとの差以下となるように)、接続継手52の寸法を定めればよい。但し、円柱孔52bの深さD1が、配管44の先端部44aを挿入可能な長さr以上であることが必要である。また、この条件は、第1の実施形態の場合と同様、必須のものではない。
【0102】
また、上記実施の形態においては、配管44の先端部44aから接続継手52の大径部52aを抜き取る場合を例示したが、図18に示すように、接続継手52の第1環状突部52eと配管44のフランジ44bとの間に隙間54を形成し、接続継手52を右方向に移動させて、切換弁114の第1流出管43から接続継手52の小径部52cを引き抜くようにしてもよい。
【0103】
この場合、接続継手52を動かすのみで配管44及び切換弁114を引き出し可能とするためには、接続継手52において、小径部52cを挿入可能な長さ(この場合は小径部52cの長さ)sを、配管44のフランジ44bの左端から第1環状突部52eの右端までの距離(隙間54の長さ)S以下(s≦S)とすればよく、小径部52cを挿入可能な長さsと大径部52aの長さL3との和(すなわち接続継手の長さ)を、フランジ43b、44b間の間隔Y(大径部52aの長さL3と隙間54の長さSとの和)以下(s+L3≦Y)とすればよい(換言すれば、L3≦Y−s)。但し、円柱孔52bの底面と配管44の左端との幅D2が、距離S以上であることが必要である。
【0104】
さらに、図19に示すように、大径部52aの左右に隙間53、54を形成し、配管44の先端部44aから接続継手52の大径部52aを抜き取り可能としつつ、第1流出管43から接続継手52の小径部52cを引き抜き得るように構成することもできる。この場合、配管44及び切換弁114を手前側に引き出し可能とするためには、接続継手52において、r’≦R及びs’≦Sの双方を満たせばよく、r+L3≦Y及びs+L3≦Y(換言すれば、L3≦Y−r及びL3≦Y−s)の双方を満たすようにすればよい。但し、円柱孔52bの深さD1が、先端部44aを挿入可能な長さr以上で、かつ、円柱孔52bの底面と配管44の左端との幅D2が、距離(隙間54の長さ)S以上であることが必要である。
【0105】
ここで、図中の「r’」は、配管44と第1流出管43を接続した際に、配管44の先端部44aが接続継手52の円柱孔52bに挿入される長さであり、「r」は、先端部44aを挿入可能な長さ(r’+S)である。また、「s’」は、両配管44、43を接続した際に、接続継手52の小径部52cが第1流出管43に挿入される長さであり、「s」は、小径部52cを挿入可能な長さ(s’+R)である。
【0106】
また、上記実施の形態においては、留め具として、二連の有端円環部23a、23bを有するクイックファスナ23を用いるが、図20(a)に示すように、図3に示す第1及び第2クイックファスナ3、4を用いてもよい。さらに、図20(b)に示すように、接続継手52の大径部52aにおいて、第2環状突部を省略し、簡略化を図ってもよい。
【0107】
次に、図15の第2接続構造42について、図21〜図23を参照しながら説明する。
【0108】
第2接続構造42においては、図21(a)に示すように、第2流出管45側端部が雌型に形成され、配管46側端部が雄型に形成された接続継手62を介して、第2流出管45と配管46とが接続され、両配管45、46の一部と接続継手62とを被うように、クイックファスナ23が嵌め込まれる。
【0109】
接続継手62は、大径部62aと、大径部62aの内側に形成され、第2流出管45の先端部45aの外径とほぼ同径の円柱孔62bと、大径部62aの左側面から左方向に延び、配管46の内径とほぼ同径の小径部62cと、流体を流通させるための貫通孔62dとを備える。
【0110】
大径部62aの軸線62i方向の長さL3は、第2流出管45のフランジ45bと配管46の先端部46aとの間隔Zよりも短くなるように形成される。また、大径部62aの右端及び左端には、それぞれ、第2流出管45のフランジ45b及び配管46のフランジとほぼ同寸の外径及び厚さを有する第1環状突部62e及び第2環状突部62fが設けられ、それら第1及び第2環状突部62e、62fの間に環状凹部62gが形成される。
【0111】
第2流出管45と配管46の接続及び取り外しの方法は、図16に示す第1接続構造41の場合と同様である。すなわち、接続する場合は、図21(b)に示すように、接続継手62を右方向に移動させて、接続継手62の円柱孔62bに第2流出管45の先端部45aを挿入し、一方、取り外す場合は、図21(c)に示すように、接続継手62を左方向に移動させて、接続継手62の大径部62aを第2流出管45の先端部45aから抜き取る。
【0112】
上記接続継手62において、図21(c)の取り外し方法を実現するためには、図22に示すように、第2流出管45の先端部45aを挿入可能な長さ(先端部45aの長さ)を「m」、配管46の右端から第2環状突部62fの左端までの距離(隙間63の長さ)を「M」とすると、m≦Mとすればよく、長さmと大径部62aの長さL3との和を、第2流出管45のフランジ45bと配管46の先端部46aとの間隔Z(大径部62aの長さL3と隙間63の長さMとの和)以下とすればよい(m+L3≦Z(換言すれば、L3≦Z−m))。但し、円柱孔62bの深さD1が、第2流出管45の先端部45aを挿入可能な長さ以上であることが必要である。
【0113】
また、図23に示すように、接続継手62を右方向に移動させて、配管46から接続継手62の小径部62cを引き抜き可能とするには、小径部62cを挿入可能な長さ(小径部62cの長さ)nを、流出管45のフランジ45bの左端から第1環状突起62eの右端までの距離(隙間64の長さ)N以下(n≦N)とすればよく、長さnと大径部62aの長さL3との和(すなわち接続継手の長さ)を、間隔Z(大径部62aの長さL3と隙間64の長さNとの和)以下とすればよい(n+L3≦Z(換言すれば、L3≦Z−n))。但し、円柱孔62bの底面と配管45の左端との幅D2が、距離N以上であることが必要である。
【0114】
さらに、第2流出管45の先端部45aから接続継手62の大径部62aを抜き取り可能としつつ、配管46から接続継手62の小径部62cを引き抜き可能とするには、図19に示したような構成をとればよい。
【0115】
尚、図21〜図23に示す構造のいずれにおいても、基本的な考え方は、第1接続構造41の接続継手52の場合(図17〜図19参照)と同様である。
【0116】
さて、この第4の実施形態の第1接続構造(図15〜図20)においては、雌型継手形状を有する配管と、雄型継手形状を有する配管とを接続する場合の接続継手として、その一方の端部に雄型継手形状を形成し、他方の端部に雌型継手形状を形成するものを示した。しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、接続継手の両端に一対の配管の内部に挿入される雄型継手形状を形成するものであってもよい。
【0117】
また、第4の実施形態の第2接続構造(図15、図21〜図23)においては、雄型継手形状を有する一対の配管を接続する場合の接続継手として、その一方の端部に雄型継手形状を形成し、雌型継手形状を形成するものを示した。しかし、雄型継手形状を有する一対の配管を接続する場合の接続継手として、その両端に前記一対の配管の内部に挿入される雄型継手形状を有するものであってもよい。
【0118】
次に、本発明にかかる接続継手等の第5の実施形態について、図24〜図26を参照しながら説明する。尚、これらの図において、図1〜図23と同一又は同等の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0119】
本実施の形態の接続構造70では、図24に示すように、切換弁114の第2流出管117に設けられた逆止弁5(図1参照)が省略され、接続継手72の内部に逆止弁71が設けられる。
【0120】
上記接続継手72は、両端が雄型の継手であり、図25に示すように、大別して、継手本体72aと、継手本体72a内に部分的に挿入される筒状部72bと、流体を流通させるための貫通孔72cと、貫通孔72c内に設置される弁体72dから構成される。
【0121】
継手本体72aは、大径部72eと、大径部72eの下面から下方向に延び、流量調整弁111の流出管113の内径とほぼ同径の第1小径部72fと、大径部72eの上面から上方向に延び、切換弁114の流入管115の内径とほぼ同径の第2小径部72gとを備え、第1小径部72fには、弁体72dの先端に設けられた弾性部材72zが当接する弁座72hが設けられる。
【0122】
大径部72eの軸線72s方向の長さL4は、図24に示すように、流出管113のフランジ113aと流入管115のフランジ115aとの間隔Xよりも短くなるように形成される。また、図25に示すように、大径部72eの上端及び下端には、それぞれ、流出管113のフランジ113aの外径とほぼ同径の第1環状突部72i、及び流入管115のフランジ115aの外径とほぼ同径の第2環状突部72jが設けられ、それら第1及び第2環状突部72i、72jの間に環状凹部72kが形成される。
【0123】
一方、筒状部72bは、流入管115の内径とほぼ同径の大径部72mと、継手本体72aの内径とほぼ同径の小径部72nから構成され、小径部72nが継手本体72a内に挿入され、圧入、レーザー溶接、スナップフィット等の適宜の手法により固着される。筒状部72bの下端内壁には、弁体72dをその軸線方向に摺動自在に支持する弁体支持部72pが一体形成され、弁体支持部72pと弁体72dの間には、弁体72dを弁座72hに向けて付勢するばね72qが付設される。
【0124】
上記接続継手72では、弁体72dが上昇したときに、弁口72rを開いて矢印D方向(図24参照)への流体の流れ(流量調整弁111の流出管113から接続継手72に流入する流体の流れ)を許容し、弁体72dが下降したときに、弁口72rを閉じて矢印Dと逆方向への流体の流れ(接続継手72から流出管113に流出する流体の流れ)を遮断する。
【0125】
次に、上記構成を有する接続継手72の動作及び使用方法について、図24〜図26を参照しながら説明する。尚、流出管113と流入管115の接続方法については、図4の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0126】
図24に示す接続状態において、流量調整弁111及び切換弁114への流体供給を開始した場合には、流量調整弁111の流出管113から切換弁114の流入管115に向かう流体によって、接続継手72内の弁体72d(図25参照)が押し上げられ、弁口72rが開放されて流体の流れが許容される。
【0127】
そして、流量調整弁111を取り外す際には、先ず、流量調整弁111及び切換弁114への流体供給を停止し、接続継手72内での矢印D方向への流体の流れを止める。その結果、切換弁114側の流体圧力により弁体72d(図25参照)が下降し、弁口72rが閉鎖されて矢印Dと逆方向への流体の流れが遮断される。
【0128】
次いで、クイックファスナ23を引き抜き、流出管113、接続継手72及び流入管115の固定状態を解除する。次に、図26に示すように、接続継手72の大径部72eと流入管115の間の隙間73(図25参照)の分だけ、接続継手72を上昇させ、流出管113から接続継手72の第1小径部72fを引き抜く。この際、逆止弁71により、矢印Dと逆方向への流体の流れが遮断されているため、流体が逆流して接続継手72の下端から漏れ出すことはない。また、図1の例において説明したような、切換弁114の弁角度を調整して排出管116又は117の流路を予め遮断しておく必要がない。
【0129】
その後、流入管115と接続継手72の大径部72eとの接合部に、図3(a)に示す第1クイックファスナ3を嵌め込む。これにより、接続継手72を流入管115に固定し、接続継手72が落下しないようにする。最後に、流量調整弁111の流入管側の接続を解除すれば、流量調整弁111を紙面左側に引き出して取り外すことができる。
【0130】
このように、本実施の形態によれば、接続継手72内に逆止弁71を備えるため、流量調整弁111を取り外す際の流体漏れを防止することができ、作業性をより向上させることが可能になる。
【0131】
また、この例においては、流出管116及び117の双方が、接続継手2により各配管に接続されているので、接続継手2を上述した手法により引き抜けば、その後、前記各配管や流量調整弁111を移動させることなく、切換弁114を流出管116、117の軸線と垂直な如何なる方向にも引き抜くことができる。
【0132】
尚、上記実施の形態においては、接続継手72の下端部に逆止弁71を設けるが、接続継手72から下方に流体が流れ出すのを防止し得れば足りるため、接続継手72の中間部や上部等の下端部以外の位置に逆止弁71を設けてもよい。
【0133】
また、上記実施の形態においては、雌型の配管同士を繋ぐ接続継手の内部に逆止弁を設ける場合を例示したが、雌型の配管と雄型の配管とを繋ぐ接続継手、及び、雄型の配管同士を繋ぐ接続継手においても、内部に逆止弁を備えることができる。
【0134】
次に、本発明にかかる接続継手等の第6の実施形態について、図27〜図29を参照しながら説明する。尚、これらの図において、図1〜図26と同一又は同等の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0135】
図27は、本実施の形態の接続構造80を示し、この接続構造80は、第5の実施形態の接続構造70の場合と同様、逆止弁による流体漏れ防止機能を備える。尚、図27において、流入管115と流出管113の間の接続継手は、図1〜図14に示す接続継手2と同様のものであるが、上下を反転した状態で設置される。
【0136】
接続構造80は、矢印F方向への流体の流れ(接続継手2から流入管115に流入する流体の流れ)を許容し、矢印Fと逆方向の流体の流れ(流入管115から接続継手2に流出する流体の流れ)を遮断する弁体(逆止弁体)81を、流入管115内に備える。この弁体81は、例えば、合成樹脂によって形成され、図28に示すように、円板部81aと、円板部81aの上面に配置され、側面視L字状に形成されたストッパ81bと、円板部81aの下面81eに配置され、接続継手2の貫通孔2d内に向けて延びる棒状の案内脚81cから構成される。
【0137】
円板部81aの下面周縁には、接続継手2の第2小径部2cの面取部2hの傾斜角とほぼ同様の傾斜角を有する面取部81dが形成され、円板部81aの下面81eの径は、第2小径部2cの内径とほぼ同一に形成される。そして、複数の案内脚81cは、下面81eの周端部に配置され、第2小径部2cの内壁上を摺動可能に形成される。また、ストッパ81bは、それぞれの上端に外側に延びる突部を備え、この突部が流入管115内壁に摺接可能となっている。
【0138】
円板部81aの下面81e以外の部分(円板部81aの上面から面取部81dの上端までの部分)の径は、第2小径部2cの内径よりも大きく、かつ、切換弁114の流入管115の内径よりも小さく形成される。
【0139】
次に、上記構成を有する接続構造80の動作及び使用方法について、図27〜図29を参照しながら説明する。尚、流出管113と流入管115の接続方法については、図4の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0140】
図27に示す接続状態において、流量調整弁111及び切換弁114への流体供給を開始した場合には、流出管113から流入管115に向かう流体によって、弁体81が押し上げられ、流出管113内を上昇する。その結果、図28に示すように、円板部81aの面取部81dが接続継手2の第2小径部2cから離間し、流体は、順次、第2小径部2c、流入管115と円板部81aとの間の隙間、切換弁114内のロータリー弁120に流れ、矢印F方向への流れが許容される。
【0141】
この際、弁体81が切換弁114の弁体であるロータリー弁120の近傍まで上昇すると、ストッパ81bがロータリー弁120の下面に当接し、円板部81aの上面とロータリー弁120の下面との間に間隙を設けた状態で弁体81が停止する。このため、円板部81aによってロータリー弁120の下部開口120aが閉塞されることはない。
【0142】
尚、ロータリー弁120は、流入管115より流入した流体を第1及び第2の流出管116及び117のいずれかに選択的に流出させるもので、例えば、前掲の特許文献2に示されるように、流入管115側に開口を有する有底筒状体であり、その側面には、流出孔となる開口が形成されている。
【0143】
そして、流量調整弁111を取り外す際には、先ず、流量調整弁111及び切換弁114への流体供給を停止し、流入管115内ので矢印F方向への流体の流れを止める。その結果、切換弁114側の流体圧力により弁体81が下降し、円板部81a(図28参照)の面取部81dが接続継手2の第2小径部2cの面取部2hに当接する。これにより、第2小径部2cの開口が閉塞され、矢印Fと逆方向への流体の流れが遮断される。
【0144】
次いで、クイックファスナ23(不図示)を引き抜き、流出管113、接続継手2及び流入管115の固定状態を解除する。次に、接続継手2の大径部2aと流入管115の間の隙間6(図27参照)の分だけ、接続継手2を上昇させ、流出管113から接続継手2の第1小径部2bを引き抜く(図29参照)。この際、弁体81により、矢印Fと逆方向への流体の流れが遮断されているため、流体が逆流して接続継手2の下端から漏れ出すことはない。
【0145】
このように、本実施の形態においても、第5の実施形態の場合と同様、切換弁114、流量調整弁111を取り外す際の流体漏れを防止することができ、作業性をより向上させることが可能になる。
【0146】
また、逆止弁を構成する弁座として接続継手の端部(小径部2cの先端部)を利用しているので、当該逆止弁としては逆止弁体のみを準備すればよく、取り外し時の流体漏出防止機能を備えた当該接続構造を極めて簡略に構成できる。
【0147】
尚、弁体81は、ニードル弁タイプの切換弁や流量調整弁等にも適用することができ、その場合は、弁座の下部等の構成部品にストッパを当接させればよい。また、上記実施の形態においては、弁体81が切換弁114のロータリー弁120内に進入したり、該弁120を閉塞するのを防止する部材として、弁体81にストッパ81bを設けるが、これに代えて、切換弁114の流入管115の管内にその内側に突出する突起状のストッパを形成し、これに弁体81の円板部81a又はストッパ81bを当接させるようにしてもよい。
【0148】
また、上記実施の形態においては、図1〜図14に示す接続継手2を用い、流入管115内に弁体81を備える場合を例示したが、図15に示す第1接続構造41において、第1流出管43内に弁体81を備えることもでき、また、第2接続構造42において、第2流出管45内に弁体81を備えることもできる。
【0149】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、それらの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0150】
例えば、上記第1〜第6の実施形態においては、本発明の適用例として、流量調整弁111と切換弁114を接続するとともに、それらを切り離すための構造を例示したが、本発明は、例えば、水道管同士を接続する場合や、計測器等の機器と配管を接続する場合等、他の接続構造にも広く適用することが可能である。
【0151】
また、上記第1〜第6の実施形態においては、接続継手2、52、62、72の大径部2a、52a、62a、72eに第1及び第2環状突部2e、2f、52e、52f、62e、62f、72i、72jを形成するが、これらの突部2e〜72jは、連続的な環状である必要はなく、複数の突出部を接続継手2〜72の周面に沿って断続的に形成するようにしてもよい。
【0152】
また、上記第1〜第6の実施形態においては、接続継手2〜72の大径部2a〜72eに環状凹部2g、52g、62g、72kを設けるが、必ずしも環状の凹部を設ける必要はなく、部分的な凹みを設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0153】
1 接続構造
2 接続継手
2a 大径部
2b 第1小径部
2c 第2小径部
2d 貫通孔
2e 第1環状突部
2f 第2環状突部
2g 環状凹部
2h 面取部
2i 大径部の軸線
3 第1クイックファスナ
3a 有端円環部
3b 持手部
3c 案内片
3d 係入孔
4 第2クイックファスナ
4a 有端円環部
4b 持手部
4c 案内片
4d 係入孔
5 逆止弁
5a 弁体
5b ばね
5c 弁座
5d 弁口
5e 弾性部材
6 隙間
7、8、9 配管
10 隙間
20 接続構造
23 クイックファスナ
23a、23b 有端円環部
23c、23d 持手部
23e、23f 案内片
23g、23h 連結部
23i 孔
23j、23k 係入孔
24 隙間
30 接続構造
32 接続継手
32a 大径部
40 接続構造
41 第1接続構造
42 第2接続構造
43 第1流出管
43b フランジ
44 配管
44a 先端部
44b フランジ
45 第2流出管
45a 先端部
45b フランジ
46 配管
46a 先端部
52 接続継手
52a 大径部
52b 円柱孔
52c 小径部
52d 貫通孔
52e 第1環状突部
52f 第2環状突部
52g 環状凹部
52i 大径部の軸線
53、54 隙間
62 接続継手
62a 大径部
62b 円柱孔
62c 小径部
62d 貫通孔
62e 第1環状突部
62f 第2環状突部
62g 環状凹部
62i 大径部の軸線
63、64 隙間
70 接続構造
71 逆止弁
72 接続継手
72a 継手本体
72b 筒状部
72c 貫通孔
72d 弁体
72e 大径部
72f 第1小径部
72g 第2小径部
72h 弁座
72i 第1環状突部
72j 第2環状突部
72k 環状凹部
72m 大径部
72n 小径部
72p 弁体支持部
72q ばね
72r 弁口
72s 継手本体の大径部の軸線
72z 弾性部材
73 隙間
80 接続構造
81 弁体(逆止弁体)
81a 円板部
81b ストッパ
81c 案内脚
81d 面取部
81e 円板部の下面
111 流量調整弁
113 流出管
113a フランジ
114 切換弁
115 流入管
115a フランジ
120 ロータリー弁
120a 下部開口
125 Oリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フランジを有する第1及び第2管部を対向配置し、それらを所定の間隔を設けた状態で連結するための接続継手であって、
前記フランジとほぼ同径の外径を有するとともに、前記所定の間隔よりも狭い幅を有する大径部と、
前記第1管部の内周又は外周に嵌装自在に構成される第1端部と、
前記第2管部の内周又は外周に嵌装自在に構成される第2端部と、
前記第1及び第2管部を連通する貫通孔とを備えたことを特徴とする接続継手。
【請求項2】
前記第1及び第2端部が、それぞれ前記第1及び第2管部の内周又は外周に嵌装された状態において、少なくとも前記第1及び第2管部の一方に嵌装された前記第1及び第2端部の一方の嵌装深さが、前記大径部と該大径部が当接する前記第1及び第2管部の他方との距離以下であることを特徴とする請求項1記載の接続継手。
【請求項3】
前記第1及び第2端部が、それぞれ前記第1及び第2管部の内周又は外周に嵌装され、かつ前記大径部が前記第1及び第2管部の一方に当接した状態において、前記第1及び第2管部の一方に嵌装された前記第1及び第2端部の一方の嵌装深さが、前記大径部と該大径部が当接する前記第1及び第2管部の他方との距離以下であることを特徴とする請求項1記載の接続継手。
【請求項4】
前記当接は、前記大径部と、前記第1及び第2管部の一方のフランジとの当接であることを特徴とする請求項3記載の接続継手。
【請求項5】
端部にフランジを有する雌型の第1及び第2管部を対向配置し、それらのフランジ間に所定の間隔を設けた状態で該第1及び第2管部を連結するための接続継手であって、
前記第1及び第2管部の内径よりも大きい外径を有する大径部と、
該大径部から前記第1管部に向けて延び、該第1管部に挿入自在に構成された第1小径部と、
前記大径部から前記第2管部に向けて延び、該第2管部に挿入自在に構成された第2小径部と、
前記第1小径部、大径部及び第2小径部を貫通する貫通孔とを備え、
前記大径部の軸線方向の長さが前記所定の間隔よりも短く、
前記第1小径部を前記第1管部に挿入可能な長さと前記大径部の軸線方向の長さとの和が前記所定の間隔以下、及び/又は、前記第2小径部を前記第2管部に挿入可能な長さと前記大径部の軸線方向の長さとの和が前記所定の間隔以下であることを特徴とする接続継手。
【請求項6】
端部にフランジを有する雌型の第1管部と、先端部から離間した位置にフランジを有する雄型の第2管部とを対向配置し、それらのフランジ間に所定の間隔を設けた状態で該第1及び第2管部を連結するための接続継手であって、
前記第1及び第2管部の内径よりも大きい外径を有する大径部と、
該大径部から前記第1管部に向けて延び、該第1管部に挿入自在に構成された小径部と、
前記大径部の内側に形成され、前記第2管部の先端部を挿入自在に構成された柱状孔と、
前記小径部及び大径部を貫通し、前記柱状孔と連通する貫通孔とを備え、
前記大径部の軸線方向の長さが前記所定の間隔よりも短く、
前記第2管部の先端部を前記柱状孔に挿入可能な長さと前記大径部の軸線方向の長さとの和が前記所定の間隔以下、及び/又は、前記小径部を前記第1管部に挿入可能な長さと前記大径部の軸線方向の長さとの和が前記所定の間隔以下であることを特徴とする接続継手。
【請求項7】
先端部から離間した位置にフランジを有する雄型の第1及び第2管部を対向配置し、該第1管部のフランジと該第2管部の先端部との間に所定の間隔を設けた状態で該第1及び第2管部を連結するための接続継手であって、
前記第1及び第2管部の内径よりも大きい外径を有する大径部と、
該大径部の内側に形成され、前記第1管部の先端部を挿入自在に構成された柱状孔と、
前記大径部から前記第2管部に向けて延び、該第2管部に挿入自在に構成された小径部と、
前記小径部及び大径部を貫通し、前記柱状孔と連通する貫通孔とを備え、
前記大径部の軸線方向の長さが前記所定の間隔よりも短く、
前記第1管部の先端部を前記柱状孔に挿入可能な長さと前記大径部の軸線方向の長さとの和が前記所定の間隔以下、及び/又は、前記小径部を前記第2管部に挿入可能な長さと前記大径部の軸線方向の長さとの和が前記所定の間隔以下であることを特徴とする接続継手。
【請求項8】
前記大径部は、その両端に突出部が形成されるように、その中央に凹部を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の接続継手。
【請求項9】
前記第1及び第2管部を連結した状態で該第1管部から該第2管部に向けて流体を流通させるときに、
前記第1管部から該接続継手に流入する流体の流れを許容し、該接続継手から該第1管部に流出する流体の流れを遮断する逆止弁を、前記貫通孔内に備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の接続継手。
【請求項10】
フランジを有する第1及び第2管部を接続する接続構造であって、
前記第1及び第2管部の両端面に嵌装された請求項1乃至9のいずれかに記載の接続継手と、
前記接続継手の大径部と前記第1及び第2管部とを連結する着脱自在な留め具とよりなる接続構造。
【請求項11】
フランジを有する第1及び第2管部を接続する接続構造であって、
前記第1及び第2管部の両端面に嵌装された請求項1乃至8のいずれかに記載の接続継手と、
前記接続継手の大径部と前記第1及び第2管部とを連結する着脱自在な留め具と、
前記第1及び第2管部を連結した状態で該第1管部から該第2管部に向けて流体を流通させるときに、前記接続継手から該第2管部に流入する流体の流れを許容し、該第2管部から該接続継手に流出する流体の流れを遮断する逆止弁体とを備え、
前記逆止弁体は、該第2管部内に備えられ、前記接続継手の端部と接離することを特徴とする接続構造。
【請求項12】
前記逆止弁体は、
前記接続継手の貫通孔の開口を開閉する円板部と、
該円板部から該接続継手の貫通孔内に向けて延び、該貫通孔の壁面上を摺動する案内脚とを備えることを特徴とする請求項11に記載の接続構造。
【請求項13】
前記逆止弁体は、前記接続継手の端部と反対側に位置する前記第2管部内の部材に当接可能になっていることを特徴とする請求項11又は12に記載の接続構造。
【請求項14】
前記第2管部内の部材が、弁装置のロータリー弁であることを特徴とする請求項13に記載の接続構造。
【請求項15】
前記留め具が、係入孔が穿設された有端円環部を備える有端環状の弾性接続具であることを特徴とする請求項10乃至14のいずれかに記載の接続構造。
【請求項16】
前記弾性接続具は、所定の間隔を隔てて並列配置され、それぞれ係入孔が穿設された複数の有端円環部と、該複数の有端円環部を連結する連結部とを備えることを特徴とする請求項15に記載の接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2011−236982(P2011−236982A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109280(P2010−109280)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(391002166)株式会社不二工機 (451)
【Fターム(参考)】