説明

接続装置とこれを用いた測定装置

【課題】血液検査を行う光学測定システム等において、検査片ホルダーの接続装置への検査片の挿入を容易にする。
【解決手段】 本体部31は、検査片15が挿入される挿入口21と、この挿入口21に連結して設けられた挿入通路35と、この挿入通路35の奥部36の下壁面37に設けられた本体側電極30とを備え、本体側電極30の近傍であって、挿入口21側に設けられるとともに本体側電極30の高さより低い高さを有する突部38が設けられたものである。これにより、検査片ホルダーへの検査片の挿入が容易になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続装置とこれを用いた測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、従来の接続装置とこれを用いた測定装置について説明する。図11は、検査片1と、この検査片1が挿入される測定装置2の斜視図である。
【0003】
検査片1の上面には反応部3が設けられており、この反応部3には凝固度合いを測定する血液4が点着される。そしてこの検査片1は、測定装置2を構成する本体部5の上面に設けられた挿入口6から挿入される。そして、本体部5に形成された窓部7に反応部3が重なる位置で停止する。この停止した位置で、本体部5に設けられた本体側電極8と、検査片1に設けられた検査片側電極9とが接触するものである。
【0004】
図12は、本体部5側に設けられるとともに測定装置2を構成する接続装置10を装着した状態の断面図である。この接続装置10は、挿入口6から検査片1が挿入されて、検査片側電極9と本体側電極8とが接続するよう試験片を下壁面側に押圧するものである。図12において、11は挿入口6に連結して設けられた挿入通路であり、この挿入通路11の奥部12側には検査片1に設けられた検査片側電極9と接続される本体側電極8が設けられている。
【0005】
そして、測定装置2では、本体側電極8と検査片側電極9の接続により、検査片1が本体部5に挿入されたことを検知したり、検査片1の反応部3に点着された血液4の抵抗等を検査したりするものである。
【0006】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1、特許文献2が知られている。
【特許文献1】特開平9−251878号公報
【特許文献2】特表2001−515203号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながらこのような従来の本体部5、接続装置10では、検査片1の挿入時において、検査片1の先端1aが本体側電極8に当接してしまい、スムーズな挿入ができなかった。
【0008】
そこで本発明は、この問題を解決したもので、検査片をスムーズに挿入することができる接続装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために本発明の接続装置は、本体側電極の近傍であって、挿入口側に設けられるとともに前記本体側電極の高さより低い高さを有する突部が設けられたものである。これにより、初期の目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明によれば、本体側電極の近傍であって、挿入口側に設けられるとともに前記本体側電極の高さより低い高さを有する突部が設けられたものであり、検査片が先ず突部に乗り上げて挿入され、次に本体側電極に接触するので、スムーズな挿入が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図3は、血液検査を行なう光学測定システム(測定装置の一例として用いた)の斜視図である。この光学検査システムは、検査すべき血液が点着される検査片15と、この検査片15に点着された血液の凝固時間(PT)を測定する光学測定機16と、この光学測定機16が正常に動作するか否かを検証する検証装置17とから構成されている。
【0012】
光学測定機16には、検査片15を挿入口21から挿入して定位置に装着するための検査台18が設けられている。検査片15上には反応部20が設けられており、この反応部20には試料14(図示せず)が塗着されている。この試料14は試薬に血液19が点着されたものであり、光の照射で励起して蛍光を発するものである。この光学測定機16の検査台18に検査片15を載置した際に、反応部20は検査台18に設けられた窓部13の真上に位置するような構成となっている。なお、図3には図示していないが、検査片15を挿入して用いる場合においては、図5(後述)に示すホルダ41を検査台18に装着して、検査片15の挿入通路35を形成する。
【0013】
また、光学測定機16には測定中に外来光や埃等の侵入を防止する目的で、上面に開閉自在な蓋部22が設けられている。この蓋部22は、閉状態で検査台18を覆い、外来光や埃等の侵入を防止する構成となっている。また、この蓋部22が設けられた側には表示部23と、ユーザが操作をするボタン24が設けられている。17は光学測定機16の動作を検証するための検証装置であり、検査片15に代えて検査台18上に設置されるものである。
【0014】
図4は、光学測定機16を用いて検査片15に点着された血液19を検査する原理斜視図である。図4において、発光ダイオード25から照射された光は光学フィルタ26を通過する。そして反応部20に塗着された試料14を照射する。この試料14は血液19に試薬が混合されており、光の照射により励起されて蛍光を発する。この励起された蛍光は光学フィルタ27を通過してフォトトランジスタで形成された受光器28で受光される。
この受光器28で受光される蛍光量は時間とともに増大する。そして、予め定められた蛍光量になるまでの時間から、凝固し易い血液か、或いは凝固し難い血液かを判定する。この判定結果に基づいて、適切な量の抗凝固剤を処方する。この抗凝固剤を処方は重要である。即ち、抗凝固剤が少なすぎたら血管が詰まってしまうし、多過ぎたら出血が止まらないことになるからである。
【0015】
ここで、光学フィルタ26を通過した光は、光学フィルタ27を通過しない性質のものを用いている。これは、受光器28には、試料14で励起した蛍光のみが到達するようにするためである。具体的には、光学フィルタ26は520nm以下の波長の光を通過させるものに対して、光学フィルタ27は540nm〜575nmの波長の光を通過させるものである。
【0016】
29は、検査片15の下方に設けられたヒータであり、試料14の温度を人間の体温と同じ37℃に保ち、人体での反応と同様の反応をシミュレートするためのものである。また、30は、光学測定機16の本体部31に設けられた本体側電極である。
【0017】
図1は、光学測定機(測定装置の一例)16に用いられる接続装置の断面図である。図1において、21は検査片15が挿入される挿入口であり、この挿入口21には挿入通路35が連結して設けられている。そして、この挿入通路35の奥部36近傍には複数個の本体側電極30が設けられている。この本体側電極30は、光学測定機16の検査台18を形成する下壁面37上に設けられている。
【0018】
38は、下壁面37上に設けられた突部であり、この突部38は本体側電極30の近傍であって、本体側電極30に対して挿入口21側に設けられるとともに下壁面37と一体的に形成されている。図2に示すように、この突部38の高さ38aは、本体側電極30の高さ30aの3分の1以上であって、2分の1以下の高さにしている。また、この突部38の挿入口21側の斜面38bは下壁面37から連続して滑らかに立ち上がっている。
【0019】
従って、挿入された検査片15はスムーズにこの斜面38bに沿って上昇し、容易に本体側電極30に乗り上げることができる。また、突部38の断面形状は、挿入口21側寸法38cを本体側電極30側寸法38dより長くして、非対称形にしておくことが重要である。こうすることにより、検査片15をスムーズに挿入させることができるとともに、本体側電極30と突部38との距離を短くすることができる。
【0020】
図1に戻って、41は、検査台18に装着されるホルダであって、このホルダ41は下壁面37とともに挿入通路35を形成する。そしてこのホルダ41には、検査片15を下壁面37側に押圧する第1の押圧部42が形成されている。この第1の押圧部42は、突部38と本体側電極30との間を押圧するように位置している。従って、検査片15に形成された検査片側電極43を確実に本体側電極30に接触させて導通する。この検査片側電極43は、検査片15を奥部36まで確実に挿入した位置で、本体側電極30に確実に接触するようになっている。
【0021】
44はホルダ41に設けられた第2の押圧部であり、この第2の押圧部44は本体側電極30の更に奥部36側に形成されており、検査片15の先端15a近傍を下壁面37方向に押圧する。この第2の押圧部44により、検査片側電極43で本体側電極30を包むように押圧し、更に、検査片側電極43と本体側電極30との接触の信頼性を向上させている。また、この本体側電極30を介して、検査片15が本体部31に挿入されたことを検知したり、反応部20に塗着された試料14の抵抗等を検査したりする。
【0022】
図5は、ホルダ41の上面斜視図であり、このホルダ41は検査台18の上面に着脱自在に設けられている。即ち、このホルダ41を外して、この検査台18上に検証装置17を装着することができる。このようにして、検証装置17を装着することにより、光学測定機16の動作を検証することができる。
【0023】
また、この検証装置17を外して、その代わりにこのホルダ41を装着すると、検査片15の挿入通路35が形成される。従って、検査片15を挿入通路35に挿入して光学測定機16で試料14の性質を検査することができる。即ち、このホルダ41を装着すると、このホルダ41と下壁面37(検査台18の上面の一部)とで検査片15の挿入口21と挿入通路35が形成される。
【0024】
図6は、ホルダ41の下面斜視図である。42は第1の押圧部であり、44は第2の押圧部である。なお、このホルダ41は樹脂材で形成されており、第1の押圧部42及び第2の押圧部44とホルダ41とは一体的に形成されている。従って、これら第1の押圧部42及び第2の押圧部44を装着する組み立て工数は不要となる。また、材料費も不要となり、低価格化に寄与することができる。
【0025】
図7は、本体部31に形成された挿入通路35に検査片15を挿入する途中の透視平面図である。30は、本体側電極であり、この本体側電極30の挿入口21側に突部38が2個形成されている。この突部38は挿入通路35の両端に、少なくとも2個の本体側電極30をカバーするように夫々設けられており、バランス良く検査片15の先端15aを本体側電極30に導くことができる。
【0026】
また、第1の押圧部42は、複数個の本体側電極30間に夫々設けられている。従って、全ての本体側電極30に対して略均一に検査片15を押圧することができる。また、この第1の押圧部42は挿入通路35の両端に行くほど長くなっており、一度に多数の第2の押圧部42が接触を開始することはない。即ち、順次接して行くので、平均化した少ない挿入力で検査片15を挿入することができる。
【0027】
図8(a)は検査片15と本体側電極30近傍の平面図であり、図8(b)は、その断面図である。図8(a)において、検査片15は本体側電極30に向かって矢印45方向に挿入される。そうすると、図8(b)に示すように、検査片15は本体側電極30に乗り上げて停止する。この状態において、本体側電極30a、30b、30c、30dは夫々対応する検査片側電極43a、43b、43c、43dと確りと接触する。本体側電極30a、30b、30c、30dは夫々光学測定機16内の識別部46に接続されている。また、検査片側電極43aと43bは検査片15内で接続されており、検査片側電極43cと43dは反応部20の一方と他方の端子に夫々接続されている。
【0028】
従って、これらの本体側電極30a、30b、30c、30dの状況を識別部46で認識することにより、検査片15が如何なる状態にあるか識別することができる。即ち、本体側電極30a、30b間の抵抗が無限大から略0オームに変化したら、検査片15が検査できる所定の位置にセットされたことを認識することができる。これは、本体側電極30aが検査片側電極43aに接触して導通し、検査片側電極43aから検査片側電極43bを通って、本体側電極30bに接続されることによって識別される。
【0029】
また、本体側電極30c、30d間の抵抗が無限大から予め定められた抵抗値に変化したら、反応部20に試料14が塗着されたことを認識することができる。また、時間とともにこの抵抗値を測定していけば、試料14の時間ともに変化する性質を知ることができる。本実施の形態では、血液19の凝固特性を測定している。これは、本体側電極30cが検査片側電極43cに接触して導通し、検査片側電極43cから反応部20に導かれ、この反応部20に塗着された試料14を通って、検査片側電極43dに導かれる。そして、この検査片側電極43dに接触した本体側電極30dに接続されることによって識別される。ここで、検査片側電極43b、43cと本体側電極30b、30cは共用化しても良い。こうすることにより、電極の数を減らすことができる。
【0030】
なお、この検査片15は、軟性材料で形成されており、挿入方向に対して曲げ弾性を有した材質のものを用いている。
【0031】
(実施の形態2)
図9は、実施の形態2における光学測定機16aを構成する本体部31aの平面図である。実施の形態2では、突部38が挿入通路35の中央に1個設けられている。その長さは複数個の本体側電極30の中央の少なくとも2個をカバーするものである。また、本体側電極30は中央の2個が最も挿入口21側に設けられており、それから両端に行くほど対称的(弓形)に順次、奥部36側に移動している。
【0032】
このように、突部38と本体側電極30を配置することにより、検査片15の挿入において、一度にかかる負荷は減少するので、挿入が容易となる。
【0033】
(実施の形態3)
図10は、実施の形態3における光学測定機16bの本体部31bの平面図である。実施の形態3では、複数の突部38aが複数個の本体側電極30の間に夫々1個ずつ配置されている。従って、本体側電極30へスムーズに乗り上げることができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明にかかる接続装置は、スムーズな挿入ができるので、医療現場等で用いられる測定装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態1における接続装置の断面図
【図2】同、要部拡大断面図
【図3】同、測定装置を用いた光学測定システムの斜視図
【図4】同、測定装置の原理斜視図
【図5】同、測定装置に用いるホルダの上面斜視図
【図6】同、下面斜視図
【図7】同、測定装置上面からの透視平面図
【図8】(a)は同、検査片とその近傍の平面図 (b)は同、断面図
【図9】同、実施の形態2における測定装置上面の平面図
【図10】同、実施の形態3における測定装置上面の平面図
【図11】従来の検査片とこれが挿入される測定装置の斜視図
【図12】同、接続装置装着状態の断面図
【符号の説明】
【0036】
15 検査片
21 挿入口
30 本体側電極
31 本体部
35 挿入通路
36 奥部
37 下壁面
38 突部
43 検査片側電極



【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査片と、この検査片に設けられた検査片側電極と、前記検査片が挿入される本体部と、この本体部に設けられるとともに前記検査片側電極と接触する本体側電極から成る接続装置において、前記本体部は前記検査片が挿入される挿入口と、この挿入口に連結して設けられた挿入通路と、この挿入通路の奥部の下壁面に設けられた前記本体側電極とを備え、前記本体側電極の近傍であって、前記挿入口側に設けられるとともに前記本体側電極の高さより低い高さを有する突部が設けられた接続装置。
【請求項2】
突部の挿入口側は、下壁面から滑らかに連結して設けられた請求項1に記載の接続装置。
【請求項3】
突部の高さは、本体側電極の高さの3分の1以上、2分の1以下とした請求項1に記載の接続装置。
【請求項4】
検査片の上方から前記検査片を下壁面側に押圧する第1の押圧部を設けるとともに、この第1の押圧部は、突部と本体側電極との間に設けられた請求項1に記載の接続装置。
【請求項5】
本体側電極の更に奥部側に、検査片を上方から下壁面側に押圧する第2の押圧部が設けられた請求項4に記載の接続装置。
【請求項6】
本体側電極は、検査片の挿入方向に対して直角方向に複数個設けるとともに、第1の押圧部は前記本体側電極の間に設けられた請求項4に記載の接続装置。
【請求項7】
本体側電極と検査片側電極は、検査片の挿入に伴い、順次接続するように配置された請求項6に記載の接続装置。
【請求項8】
突部は、本体側電極の間に設けられた請求項6に記載の接続装置。
【請求項9】
請求項1に記載の接続装置において、検査片に複数個の検査片側電極を設けるとともに、本体側にも前記検査片側電極に対応して複数個の本体側電極を設け、前記検査片側電極の第1の検査片側電極と第2の検査片側電極を接続するとともに、これら第1の検査片側電極と第2の検査片側電極に対応する第1の本体側電極と第2の本体側電極から夫々識別部に接続した測定装置。
【請求項10】
検査片に第1、第2の端子で形成された反応部を設け、この第1、第2の端子から夫々第3、第4の検査片側電極へ接続し、この第3、第4の検査片側電極に対応する第3、第4の本体側電極から夫々識別部に接続した請求項9に記載の測定装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−17172(P2007−17172A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−195911(P2005−195911)
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】