説明

接触式プローブおよびその製造方法

【課題】微細な孔内の形状測定が行えるとともに屈曲部分の干渉が回避できる接触式プローブおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】直径100μm未満の微細孔内の形状等を測定するために用いられる接触式プローブ10として、棒状のステム11と、前記ステム11に対して交叉方向へ延びるチップ12と、前記チップ12と前記ステム11とを接合する接合部13とを設け、前記ステム11と前記チップ12との間の挟み角αが90度以下であるとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触式プローブおよびその製造方法に関し、特に直径100μm未満の微細孔内の形状等を測定するために用いられるプローブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高精度が求められる機械部品の製造工程では、加工後に製品の形状測定を行って加工結果を確認することが行われている。このような形状測定では、例えば高精度な座標測定機に接触式プローブを装着し、このプローブを製品表面に接触させている。このような測定に用いられる接触式プローブとしては、棒状のステムの先端に球状のチップを形成したものが多用されている(特許文献1参照)。
【0003】
近年、例えば内燃機関の燃料噴射装置やインクジェット式プリンタ装置など、非常に微少な液体粒子の噴射を行う機器が製造されており、これらの噴射ノズルは孔径が100ミクロン未満とされる。
このような微細形状の測定においても同様な形状をそのまま微少化したプローブが用いられている(特許文献2参照)。
また、ねじ孔内の形状を測定するために、ステムがL字型に形成されたプローブも用いられている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−201105号公報
【特許文献2】特開2004−325159号公報
【特許文献3】特開2007−248295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述した燃料噴射装置やインクジェット式プリンタ装置の噴射ノズルにおいては、ノズル孔の奥に流体通路等が形成されていることがあり、ノズル孔の奥が拡がったいわばアンダーカット形状となることがある。
このような場合、一般的なチップが球状のプローブでは十分な形状測定が行えないことがある。
【0006】
図8において、ワーク80は微細なノズル孔81およびこれに連通するキャビティ82を有する。一例として、ノズル孔81は内径約60μmであり、キャビティ82は幅約150μm、高さ約80μmである。ノズル孔81とキャビティ82の内壁との間には各々と滑らかに連続するベルマウス形状83が形成され、その断面曲率半径は約40μmである。
【0007】
このようなワーク80の形状測定を行うための接触式プローブ89としては、例えば直径約30μmのステム88に半径20μmのチップ87を有するものが利用される。
しかし、このようなプローブ89で測定できるのは、ノズル孔81の内面とベルマウス形状83の一部である。これよりも奥の部分にチップ87を接触させようとしても、ステム88がノズル孔81と干渉してしまうためである。
【0008】
図9に示すように、チップ87の半径を大きくすることで、ベルマウス形状83のやや奥までチップ87を送り込むことができるが、ノズル孔81からの出し入れを行うために、チップ87を大きくする際にはノズル孔81の内径を超えることはできず、十分な測定ができないという問題があった。
ここで、特許文献3に記載のL字形ステムを有するプローブを用いれば、前述した図8の形状においても、キャビティ82のかなり奥まで測定できると期待される。
しかし、特許文献3のプローブでも、次のような問題があった。
【0009】
図10において、L字形プローブ89Aは、ステム88Aが屈曲部88BでL字形に屈曲されている。微少なL字形プローブ89Aでは、屈曲部88Bは効率的な曲げ加工によることが望ましい。このような曲げ加工による屈曲部88Bは一般に内側に迫り出しており、ノズル孔81の辺縁81Aが角張っている場合(図8のようなベルマウス形状83ではないか、あっても曲率が小さい場合)に干渉する可能性があった。
また、チップ87Aが球状であるため、キャビティ82の入隅部分82Aなど、その形状を十分に測定できない可能性があった。
【0010】
本発明の目的は、微細な孔内の形状測定が行えるとともに屈曲部分の干渉が回避できる接触式プローブおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の接触式プローブは、棒状のステムと、前記ステムに対して交叉方向へ延びるチップと、前記チップと前記ステムとを接合する接合部とを有し、前記ステムと前記チップとの間の挟み角が90度以下であることを特徴とする。
このような本発明では、別体のステムとチップとを接合することで、接合部の内側に張り出す屈曲部等が生じない。そして、ステムとチップとの挟み角が90度以下であるため、例えばノズル孔の辺縁が断面直角の出隅あるいは曲率半径の小さいベルマウス形状であっても、ステムおよびチップがノズル孔と干渉することが回避できる。
【0012】
本発明の接触式プローブにおいて、前記ステムの前記チップが延びる方向の側面、および前記チップの前記ステムが接合された面は、それぞれ直線的に延びていることが望ましい。
このような本発明では、構造が簡素化できるとともに、90度以下とした挟み角の効果がステムおよびチップの全長にわたって得られることになる。
【0013】
本発明の接触式プローブにおいて、前記接合部は、前記チップと前記ステムとの溶接部分であり、前記ステムはその端部の前記チップの延びる方向とは反対側に開先が形成され、前記溶接部分は前記開先が形成された側に偏って形成されていることが望ましい。
このような本発明では、溶接を用いることで、チップとステムとを確実かつ迅速に接合することができる。さらに、溶接にあたって、開先側から溶接を行うことで、溶接による接合部を前記チップの延びる方向とは反対側に偏位させることができる。これにより、チップとステムとで挟まれる部分に接合部が迫り出すことを回避し、ステムおよびチップのノズル孔との干渉の回避を確実なものにできる。
【0014】
本発明の接触式プローブの製造方法は、棒状のステムと、前記ステムに対して交叉方向へ延びるチップと、前記チップと前記ステムとを接合する接合部とを有する接触式プローブの製造方法であって、前記チップとなるべきチップ材料に先端側と基端側とを設定し、前記チップ材料の基端側の側方から前記ステムとなるべきステム材料の先端を当接させ、前記ステム材料の先端と前記チップ材料の基端側とを、前記チップ材料の基端側から溶接して接合部を形成する、ことを特徴とする。
このような本発明では、別体のステムとチップとを溶接により接合することで、前述した本発明の接触式プローブを効率よくかつ確実に製造することができる。
この際、溶接する前にステムとチップとを挟み角が90度以下に配置しておくことが望ましい。
【0015】
本発明の接触式プローブの製造方法において、前記ステムの先端に予め開先を形成しておき、この開先を前記チップ材料の基端側に向けて配置し、この開先の側から溶接を行うことが望ましい。
このような本発明では、溶接にあたって、開先側から溶接を行うことで、溶接による接合部を前記チップの延びる方向とは反対側に偏位させることができる。これにより、チップとステムとで挟まれる部分に接合部が迫り出すことを回避し、ステムおよびチップのノズル孔との干渉の回避を確実なものにできる。
【0016】
本発明の接触式プローブの製造方法において、前記溶接を行ったのち、前記ステム材料の基端、前記チップ材料の先端側および基端側をそれぞれ切断して仕上げることが望ましい。
この際、ステム材料の基端およびチップ材料の基端側については、通常の端面つまり材料の連続方向に直交する面となるように仕上げればよい。チップ材料の先端側は、測定対象の入隅にも確実に入り込めるように尖った形状であることが望ましい。
このような尖った形状としては、両側面および底面側を斜めに削って角錐状に尖らしたり、円錐状に削ったりしてもよい。これとは別に、チップ材料をその連続方向に大きく傾斜した断面で切断することで、先端が円弧状であるが側面形状は尖った状態とすることができる。このような斜め断面によれば、角錐状あるいは円錐状に尖らせる場合に比べて、加工を著しく簡略化することができる。
【0017】
本発明の接触式プローブの製造方法において、前記ステム材料および前記チップ材料として同じ棒材を用い、前記溶接を行ったのち、前記ステム材料の基端、前記チップ材料の先端側および基端側をそれぞれ切断して仕上げたのち、前記ステム材料の基端側を前記チップ材料として配置し、このチップ材料の基端側に新たな前記ステム材料の先端を当接させ、この後、前記溶接による前記接合部の形成を繰り返してゆく、としてもよい。
ここで、ステム材料の基端、チップ材料の先端側および基端側に対する仕上げ形状については、前項で説明した通りである。
このような本発明では、ステム材料およびチップ材料として同じ棒材を用い、溶接されたステムおよびチップをプローブとして切り離した後、移動させてステムの基端側を次のプローブのチップとして順次利用してゆくことで、製造工程の効率化が図れるとともに、材料の共用化により材料コストの低減が図れ、かつ材料供給のための装置構成を簡略化することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態を示す側面図。
【図2】前記第1実施形態を示す底面図。
【図3】本発明の第2実施形態の変形を示す側面図。
【図4】本発明の第3実施形態を示す側面図。
【図5】前記第3実施形態の製造手順を示す側面図。
【図6】前記第3実施形態の製造手順を示す側面図。
【図7】前記第3実施形態の製造手順を示す側面図。
【図8】従来例を示す断面図。
【図9】従来例を示す断面図。
【図10】従来例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔第1実施形態〕
図1および図2には、本発明の第1実施形態が示されている。
図1および図2において、接触式プローブ10は、内径数十μm程度の微細なノズル孔およびその奥に拡がるキャビティの内面の形状測定を行うための微細プローブである。
接触式プローブ10は、棒状のステム11と、このステム11に対して交叉方向へ延びるチップ12と、チップ12とステム11とを接合する接合部13とを有する。
【0020】
ステム11は、外径約30μmの丸棒材で形成され、測定に利用される適宜な長さに形成される。
ステム11の材質としては、既存の接触式プローブと同様な金属材料が使用される。ステム11の端面111にはチップ12が接続される。
【0021】
チップ12は、全長約70μm、幅約30μm(ステム11の外径に同じ)、厚さ約15μmの直方体状のブロックを用い、その両側面および下面側を斜めに切削して先端121を尖らせたものである。
チップ12の材質としては、ステム11と同じ材料が使用される。チップ12において微細な先端121を形成するための切削には、例えば放電加工あるいはレーザ溶断が利用される。
チップ12においては、前述した先端121が先端側とされ、その反対側が基端側とされる。
【0022】
接合部13は、チップ12の上面122の基端端に、前述したステム11の端面111を接合するものである。接合部13としては、ステム11およびチップ12の間の溶接が利用できる。
接合部13は、ステム11とチップ12との間の挟み角αが90度となるように形成されている。このために、ステム11の端面111をその軸線に直角となるように形成しておき、かつチップ12の上面122を平坦に形成しておき、両者を互いに密接させた状態で溶接することで、挟み角αが90度の状態とすることができる。
【0023】
接合部13の溶接を適切に行うために、ステム11の端面111は、チップ12の基端側に対応する側が斜めに切り取られ、これにより溶接用の開先112が形成されている。なお、開先112は端面111よりも面積比率で小さく形成され、前述した挟み角αを規定するための端面111の面積が確保されている。
接合部13の溶接の後、ステム11の基端を切断して端面を仕上げ、チップ12の先端側および基端側の各端面もそれぞれ仕上げることが望ましい。
【0024】
このような本実施形態においては、別体のステム11とチップ12とを接合することで、接合部13の内側に張り出す屈曲部等が生じない。そして、ステム11とチップ12との挟み角が90度であるため、例えばノズル孔の辺縁が断面直角の出隅あるいは曲率半径の小さいベルマウス形状であっても、ステム11およびチップ12がノズル孔と干渉することが回避できる。
また、ステム11のチップ12が延びる方向の側面、およびチップ12のステム11が接合された上面122は、それぞれ直線的に延びているため、構造が簡素にできるとともに、90度とした挟み角αの効果がステム11およびチップ12の全長にわたって得られる。
【0025】
接合部13として溶接を用いたため、ステム11とチップ12と接合が強固にできる。この際、開先112を形成することで溶接が容易かつ確実にでき、この開先112を基端側つまり先端121とは反対側に形成したため、溶接による接合部13をチップ12の基端側に偏位させることができる。これにより、接合部13の溶接材が先端側つまりチップ12とステム11とで挟まれる部分に迫り出すことを回避し、ステム11およびチップ12と測定するノズル孔との干渉の回避を確実なものにできる。
【0026】
〔第2実施形態〕
図3には、本発明の第2実施形態が示されている。
図3において、本実施形態の接触式プローブ10Aは、基本的に前述した第1実施形態と同様な構成を備えている。このため共通の部分については説明を省略し、相違する部分について以下に説明する。
【0027】
ステム11の端面には、その全面にわたって開先112Aが形成されている。
チップ12の上面122には、ステム11に対向する領域に開先122Aが形成されている。
接合部13Aは、これらの開先112Aおよび開先122Aの間に溶接を行って形成されている。
【0028】
本実施形態では、溶接の際にステム11とチップ12とが接触しておらず、互いの角度出しを別途行う必要がある。このため、ステム11およびチップ12を別途の治具により所定の挟み角αで配置し、この状態で双方の開先112Aおよび開先122Aの間に溶接を行い、これにより接合部13Aを形成する。
【0029】
このような本実施形態によれば、前述した第1実施形態と同様な効果が得られるほか、溶接にあたってのステム11とチップ12との配置を微調整することで、ステム11とチップ12との間の挟み角αを任意の角度に設定することができる。
【0030】
〔第3実施形態〕
図4ないし図7には、本発明の第3実施形態が示されている。
図4において、接触式プローブ30は、内径数十μm程度の微細なノズル孔およびその奥に拡がるキャビティの内面の形状測定を行うための微細プローブである。
接触式プローブ30は、棒状のステム31と、このステム31に対して交叉方向へ延びるチップ32と、チップ32とステム31とを接合する接合部33とを有する。
【0031】
ステム31は、外径約30μmの丸棒材で形成され、測定に利用される適宜な長さに形成される。
ステム31の材質としては、既存の接触式と同様な金属材料が使用される。ステム31の端面311にはチップ32が接続される。
【0032】
チップ32は、ステム31と同じ外径約30μmの丸棒材で形成される。チップ32には先端側および基端側が設定される。
チップ32の先端側の端面323は、チップ32の軸線方向に対して斜めに形成され、その先端321は平面から見て円弧状であるが、側面から見ると尖った形状とされる。
チップ32の基端側の端面324は、チップ32の軸線方向に対して直交方向に形成される。
【0033】
前述したチップ32の端面323,324の形成およびステム31の端面311の切断および仕上げには、例えば放電加工あるいはレーザ溶断が利用される。以下の説明において、チップ32およびステム31の切削等を行う場合、同様な放電加工あるいはレーザ溶断が用いられる。
【0034】
接合部33は、チップ32の上面の基端側端に、前述したステム31の端面311を接合するものである。接合部33としては、ステム31およびチップ32の間の溶接が利用できる。
接合部33は、ステム31とチップ32との間の挟み角αが90度となるように形成される。
【0035】
接合部33の形成にあたり、ステム31の端面311は、チップ32の基端側が斜めに切り取られ、これにより溶接用の開先312が形成されている。
溶接は、開先312の側から端面311にかけて、チップ32の上面との間で行われる。チップ32の上面は円筒面であり、端面311とは密接することはないため、別途の治具を用いてステム31とチップ32とを挟み角αが90度となる状態で保持し、この状態で溶接を行って接合部33を形成する。
【0036】
より詳細には、次のような手順でステム31とチップ32との接合を行う。
図5において、ステム31となる材料の先端に端面311および開先312を形成し、この先端をチップ32となる材料の基端側の上面に近接させる。
このとき、ステム31となる材料は図中上方へ連続する棒材であり、チップ32となる材料は図中右方へ連続する棒材であればよい。
【0037】
図6において、互いに近接されたステム31となる材料の先端とチップ32となる材料の基端側とを治具で保持し、各々の間の挟み角αが90度となるように調整したのち、ステム31側の開先312側から溶接を行い、端面311および開先312とチップ32側の上面との間に接合部33を形成する。
この際、接合部33の溶接材は開先312側から端面311の部分まで入り込むが、ステム31とチップ32とで挟まれた入隅331までは到達しないようにする。
【0038】
接合部33の溶接ができたら、チップ32の材料の先端側を斜めに切断して端面323を形成し、表面を仕上げる。また、チップ32の材料の基端側を軸線方向に直角に切断して端面324を形成し、表面を仕上げる。さらに、ステム31の材料の基端を切断して端面314を形成し、表面を仕上げる。
これらの切断および仕上げは、同じ放電加工ワイヤ34によって順次行う。
以上の工程により、図4に示す接触式プローブ30が得られる。
【0039】
なお、図6で切り取られる接触式プローブ30のステム31は、次工程のため、チップ32の長さ以上に余裕をもって形成されている。
図7において、図6の工程で得られた接触式プローブ30は90度回転され、ステム31の基端側がチップ32の材料として配置される。
この状態で、前述した図5ないし図6の各工程を繰り返すことで、接触式プローブ30が順次製造される。
【0040】
このような本発明では、ステム31の材料およびチップ32の材料として同じ棒材を用いるため、材料の共用化により材料コストの低減が図れ、かつ材料供給のための装置構成を簡略化することもできる。
特に、溶接されたステム31およびチップ32を接触式プローブ30として切り離した後、移動させてステム31の基端側を次のプローブのチップ32として順次利用してゆくことで、製造工程の効率化が図れるとともに、棒状の材料を供給する装置はステム31側の一系統で済ますことができる。
【0041】
さらに、本実施形態においては、前述した第1実施形態と同様の効果が得られるが、簡略化のため重複する記載は省略する。この際、第1実施形態のステム11、チップ12、接合部13は、それぞれ本実施形態のステム31、チップ32、接合部33に対応するものである。
【0042】
〔他の実施形態〕
本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内の変形等は本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、それぞれ挟み角αを90度としたが、挟み角αは90度以下であればよい。ただし、ノズル孔内のキャビティの測定に適した形態としては、90度以下かつ70度以上であることが望ましい。
挟み角αが90度より大きいと、キャビティ内の測定時にノズル孔の出隅部分が干渉することがある。70度より小さいとチップの高さ(ステムの軸線方向の長さ)が大きくなり、導入できるノズル孔あるいはキャビティが限定される。
【0043】
接合部13,33において、開先112,112A,122A,312は適宜省略してもよい。この場合でも、溶接はステム11,31の側面のうちチップ12,32の基端側つまり先端121,321とは反対側から行うことが好ましい。
接合部13,33としては、溶接以外にもろう付あるいは接着剤が利用できる。
【0044】
第1実施形態および第2実施形態において、ステム11は角棒材を用いてもよい。チップ12は丸棒材などを用いてもよい。この場合、ステム11の端面を接合するために、上面側に平坦面を予め削りだしておくことが望ましい。
第3実施形態において、先に形成された接触式プローブ30のステム31の一部を、次の工程のチップ32として用いることは必須ではなく、ステム31の材料およびチップ32の材料をそれぞれ導入し、接合部33が形成できるつど分離して製品としてもよい。
【0045】
前述した各実施形態では、それぞれステム11,31とチップ12,32とを別体としておき、互いに溶接等の接合を行って一体化する方法を採用したが、他の方法によって各実施形態の接触式プローブ10,10A,30を製造してもよい。
例えば、溶接に替えてろう付け、接着剤を採用してもよく、完全な直角の入隅が形成できるのであればステム11,31の先端側を屈曲させたうえ先端を尖らせてチップ12,32としてもよい。
【符号の説明】
【0046】
10,10A,30…接触式プローブ
11,31…ステム
111,311,314,323,324…端面
112,112A,122A,312…開先
12,32…チップ
121,321…先端
13,13A…接合部
32…チップ
33…接合部
α…ステムとチップとの間の挟み角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状のステムと、前記ステムに対して交叉方向へ延びるチップと、前記チップと前記ステムとを接合する接合部とを有し、前記ステムと前記チップとの間の挟み角が90度以下であることを特徴とする接触式プローブ。
【請求項2】
請求項1に記載の接触式プローブにおいて、
前記ステムの前記チップが延びる方向の側面、および前記チップの前記ステムが接合された面は、それぞれ直線的に延びていることを特徴とする接触式プローブ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の接触式プローブにおいて、
前記接合部は、前記チップと前記ステムとの溶接部分であり、前記ステムはその端部の前記チップの延びる方向とは反対側に開先が形成され、前記溶接部分は前記開先が形成された側に偏って形成されていることを特徴とする接触式プローブ。
【請求項4】
棒状のステムと、前記ステムに対して交叉方向へ延びるチップと、前記チップと前記ステムとを接合する接合部とを有する接触式プローブの製造方法であって、
前記チップとなるべきチップ材料に先端側と基端側とを設定し、
前記チップ材料の基端側の側方から前記ステムとなるべきステム材料の先端を当接させ、
前記ステム材料の先端と前記チップ材料の基端側とを、前記チップ材料の基端側から溶接して接合部を形成することを特徴とする接触式プローブの製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の接触式プローブの製造方法において、
前記ステムの先端に予め開先を形成しておき、この開先を前記チップ材料の基端側に向けて配置し、この開先の側から溶接を行うことを特徴とする接触式プローブの製造方法。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の接触式プローブの製造方法において、
前記溶接を行ったのち、前記ステム材料の基端、前記チップ材料の先端側および基端側をそれぞれ切断して仕上げることを特徴とする接触式プローブの製造方法。
【請求項7】
請求項4または請求項5に記載の接触式プローブの製造方法において、
前記ステム材料および前記チップ材料として同じ棒材を用い、
前記溶接を行ったのち、前記ステム材料の基端、前記チップ材料の先端側および基端側をそれぞれ切断して仕上げたのち、前記ステム材料の基端側を前記チップ材料として配置し、このチップ材料の基端側に新たな前記ステム材料の先端を当接させ、
この後、前記溶接による前記接合部の形成を繰り返してゆくことを特徴とする接触式プローブの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−19865(P2013−19865A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155798(P2011−155798)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】