説明

換気装置

【課題】保守、点検が容易な換気装置を提供する。
【解決手段】装置本体2の右端部には、室内Iに向かって開放された収容部25を形成する。この収容部25には、装置本体2からフィルタユニット5を取り外した状態で、ケーシング41を室内Iから挿脱可能に装着する。ケーシング41の内部には、可動部材42、第1のばね43、第2のばね44及び操作部材47を収容する。可動部材42の左端部は、ケーシング41から装置本体2内に突出させる。ケーシング41から突出した可動部材42の左端部には、作動板3に室内外方向へ挿脱可能に、かつ左右方向へ移動不能に係合する突出部42Bを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動換気モードと固定換気モードとに切り換え可能な換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の換気装置は、下記特許文献1に記載されているように、内部に室内と室外とを連通する換気通路が形成された装置本体を有している。装置本体の内部には、作動部材、可動部材、第1ばね及び第2ばねが設けられている。装置本体の室内に臨む前面部には、操作部材が設けられている。
【0003】
操作部材を自動換気モード位置に位置させると、可動部材が第1及び第2ばねにより室内又は室外の温度に応じて移動させられ、可動部材に連携された作動部材が開位置と閉位置との間のいずれかの位置に変位させられる。これにより、換気装置が開状態と閉状態との間のいずれかの状態に自動的に調節される。
【0004】
操作部材を固定換気モードに位置させると、可動部材が位置固定され、作動部材が開位置又は閉位置に位置固定される。これにより、換気装置が開状態又は閉状態に維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−232253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の換気装置においては、第1ばね又は第2ばねが経時的に劣化したり、操作部材が摩耗してガタが生じたりすることがある。そのような場合には、劣化ないしは摩耗した部品が新たな部品と交換される。ところが、部品を交換するためには、換気装置を家屋の壁等から取り外さなければならないのみならず、部品の交換のために換気装置を分解しなければならず、部品の交換に多大の手間を要するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、内部に室内と室外とを連通させる換気通路が形成された装置本体と、この装置本体に上記換気通路を閉じる閉位置と上記換気通路を開く開位置との間を変位可能に設けられた作動部材と、上記装置本体に第1の位置と第2の位置との間を移動可能に設けられ、上記第1の位置から上記第2の位置まで移動すると上記作動部材が上記閉位置から上記開位置まで変位し、上記第2の位置から上記第1の位置まで移動すると、上記作動部材が上記開位置から上記閉位置まで変位するように、上記作動部材に連結された可動部材と、この可動部材を上記第1の位置から上記第2の位置へ向かう第1の方向と上記第2の位置から上記第1の位置へ向かう第2の方向とのいずれか一方の方向へ付勢し、その付勢力が温度に応じて変化する形状記憶合金製の第1のばねと、上記可動部材を上記第1の方向と上記第2の方向とのいずれか他方の方向へ付勢する第2のばねと、上記装置本体に自動換気モード位置と固定換気モード位置との間を変位可能に設けられた操作部材とを備え、上記操作部材は、上記自動換気モード位置に位置しているときには上記可動部材が上記第1の位置と上記第2の位置との間を移動することを許容し、上記固定換気モード位置に位置しているときには上記可動部材を上記第1の位置と上記第2の位置とのいずれか一方の位置に位置固定する換気装置において、上記装置本体に上記室内に向かって開放された収容部が形成され、この収容部にケーシングが室内から着脱可能に装着され、このケーシングの内部に、上記可動部材、上記第1のばね、上記第2のばね及び上記操作部材が設けられ、上記可動部材の一部が上記ケーシングから上記装置本体の内部に突出させられ、上記ケーシングの上記装置本体への室内からの装着時には、上記ケーシングから上記装置本体の内部に突出した上記可動部材の一部が上記作動部材に着脱可能に連結されることを特徴としている。
この場合、上記ケーシングの内部が、室内と室外とのいずれか一方に対して連通され、他方に対して遮断されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0008】
上記特徴構成を有するこの発明によれば、経時的に劣化する第1及び第2ばね、並びに摩耗する操作部材がケーシングに組み込まれているから、それらの交換時には、ケーシングを装置本体から取り外すだけでよく、装置本体を家屋の壁部から取り外したり、分解したりする必要がない。したがって、換気装置の保守、点検に要する手間を大幅に軽減することができる。また、可動部材のケーシングから突出した一部を作動部材に対して室内から挿脱可能に係合させることができるから、ケーシングを装置本体の収容部に装着すると同時に可動部材を作動部材に係合させることができる。これにより、ケーシング内に第1ばね、第2ばね、可動部材及び操作部材を組み込んでユニット化することができた。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、この発明に係る換気装置の第1実施の形態が採用された二重窓の一部省略縦断面図である。
【図2】図2は、この発明に係る換気装置の第1実施の形態を示す図1のX矢視図である。
【図3】図3は、同実施の形態を、操作部材が自動換気モード位置に位置し、かつ作動板が閉位置と開位置との中間の位置に位置した状態で示す図2のX−X線に沿う断面図である。
【図4】図4は、同実施の形態を、操作部材が自動換気モード位置に位置し、かつ作動板が閉位置に位置した状態で示す図3と同様の断面図である。
【図5】図5は、同実施の形態を、操作部材が自動換気モード位置に位置し、かつ作動板が開位置に位置した状態で示す図3と同様の断面図である。
【図6】図6は、同実施の形態を、操作部材が固定開モード位置に位置した状態で示す図3と同様の断面図である。
【図7】図7は、同実施の形態を、操作部材が固定閉モード位置に位置した状態で示す図3と同様の断面図である。
【図8】図8は、図3のX−X線に沿う断面図である。
【図9】図9は、図3のY−Y線に沿う断面図である。
【図10】図10は、同実施の形態の一部を省略して示す分解斜視図である。
【図11】図11は、同実施の形態に用いられている制御ユニットを示す図であって、図11(A)はその正面図、図11(B)はその平面図、図11(C)はその左側面図、図11(D)はその右側面図、図11(E)は図11(B)のE−E線に沿う断面図である。
【図12】図12は、フィルタユニットを装置本体から取り外した状態で示す図8と同様の断面図である。
【図13】図13は、フィルタユニット及び制御ユニットを装置本体から取り外した状態で示す図8と同様の断面図である。
【図14】図14は、同実施の形態の装置本体を示す一部省略正面図である。である。
【図15】図15は、同実施の形態の装置本体に制御ユニットを装着する方法を説明するための図8と同様の断面図である。
【図16】この発明に係る換気装置の第2実施の形態を示す図3と同様の断面図である。
【図17】同実施の形態を示す図4と同様の断面図である。
【図18】同実施の形態を示す図5と同様の断面図である。
【図19】図19は、図16のX−X線に沿う断面図である。
【図20】図20は、図17のX−X線に沿う断面図である。
【図21】図21は、図18のX−X線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
図1〜図15は、この発明の第1実施の形態を示す。この実施の形態は、図1に示すように、この発明に係る換気装置1を家屋の二重窓に取り付けたものである。そこで、まず家屋の二重窓について説明すると、家屋の側壁Wには、開口部W1が設けられている。開口部W1の室外O側の端部には、引き違い障子S1,S2が設けられ、さらにその外側には網戸Rが設けられている。一方、開口部W1の室内I側の端部には、左右一対の縦框(図示せず)が開口部の左右両端部にそれぞれ設けられている。この一対の縦框の上端部間及び下端部間には、上框K1及び下框K2がそれぞれ設けられている。上框K1の下面には、この発明に係る換気装置1が取り付けられている。換気装置1は、その長手方向を左右方向に向けて水平に配置されており、一方の縦框から他方の縦框まで延びている。左右一対の縦框、換気装置1及び下框K2によって囲まれる四角形の空間には、引き違い障子S3,S4が設けられている。なお、換気装置1は、その長手方向を水平方向に向けて配置することなく、その長手を上下方向に向けて配置してもよい。
【0011】
引き違い障子S1,S2と引き違い障子S3,S4とは、室内外方向へ互いに所定距離だけ離間しており、それらの間には空間Sが形成されている。換気装置1は、空間Sと室内Iとの間の空気を換気するものである。ただし、空間Sは、換気装置1とは異なる他の換気装置(図示せず)によって室外Oと連通している。したがって、ここでは、空間Sも室外の一部とみなされ、換気装置1は、室内Iと室外Oと空間Sを介して換気する。換気装置1が通常の一重の窓に設けられる場合、換気装置1は、室内Iと室外Oとを直接に換気する。なお、空間Sと室外Oとの間を換気する他の換気装置は、例えば障子S1又はS2に設けられ、あるいは開口部W1の内面の左右いずれかの端部に沿って上下に設けられている。
【0012】
次に、この発明に係る換気装置1について説明する。換気装置1は、図2〜図10に示すように、装置本体2、作動部材3、制御ユニット4を主な構成要素としている。
【0013】
装置本体2は、本体部21及び二つの端板22,22を有している。本体部21は、アルミニウム製の複数の型材を組み合わせてなるものであり、断面略長方形の角筒状に形成されている。本体部21の長手方向の両端開口部は、端板22,22によって閉じられている。このようにして装置本体2が構成されている。
【0014】
装置本体2は、その長手方向を左右方向に向けて配置されている。装置本体2の左右の両端部は、左右の縦框にそれぞれ支持され、上端部は、上框K1に支持されている。装置本体2の左右の両端面及び上面には、弾性材からなるシール部材23が設けられている。このシール部材23が左右の縦框及び上框K1に押し付けられることにより、装置本体2と左右の縦框及び上框K1との間が気密にシールされている。
【0015】
図2〜図7、図12及び図13に示すように、本体部21の空間Sに臨む外壁部21aには、これを室内外方向に貫通する多数の外側換気孔21bが形成されている。各換気孔21bは、上下に長い長孔として形成されており、左右方向へ一定の間隔毎に配置されている。本体部21の室内Iに臨む部分には、開口部21cが形成されている。開口部21cは、本体部21の全長にわたって形成されている。本体部21の内部には、隔壁21dが形成されている。この隔壁21dにより、本体部21の内部が、室外O側の部分と室内I側の部分とに区分されている。隔壁21dには、これを室内外方向に貫通する多数の内側換気孔21eが形成されている。各換気孔21eは、上下に長い長孔として形成されており、左右方向へ一定の間隔毎に配置されている。外側換気孔21b、本体部21の内部空間、内側換気孔21d及び開口部21cにより、空間S(室外O)と室内Iとが連通されている。これから明らかなように、外側換気孔21b、本体部21の内部空間、内側換気孔21d及び開口部21cにより、室外Oと室内Iとを連通する換気通路24が構成されている。
【0016】
装置本体2の内部には、作動板(作動部材)3が設けられている。作動板3は、隔壁21dの室内Iに臨む面に接触させられている。しかも、作動板3は、装置本体2に左右方向へ移動可能に設けられている。作動板3の移動範囲は、図4及び図6に示す閉位置と、図5及び図7に示す開位置との間に規制されている。作動板3の移動範囲を閉位置と開位置との間に規制する構成については後述する。
【0017】
作動板3には、これを室内外方向に貫通する多数の貫通孔31が形成されている。各貫通孔31は、上下に長い長孔として形成されており、左右方向へ一定の間隔毎に配置されている。図4及び図6に示すように、各貫通孔31は、作動板3が閉位置に位置すると、換気孔21eに対して左右方向に離間する。すると、貫通孔31,31間に位置する作動板3の実質部が換気孔21eを室内I側から覆う。この結果、換気通路24が閉じられ、換気装置1が閉状態になる。換気装置1の閉時には、空間Sと室内Iとの間が換気装置1によって遮断される。その一方、作動板3が開位置に位置すると、貫通孔31全体が換気孔21eと対向する。この結果、換気通路24が開かれ、換気装置1が開状態になる。換気装置1の開時には、空間Sと室内Iとが換気装置1の換気通路24を介して連通する。図3に示すように、作動板3が閉位置と開位置との間の中間に位置しているときには、貫通孔31のうちの左右の一部だけが換気孔21eと対向して連通する。この結果、換気通路24が半開状態になり、ひいては換気装置1が半開状態になる。半開時の換気通路24の開度は、作動板3の左右方向の位置に応じて変化する。
【0018】
図14及び図15に示すように、装置本体2の図3〜図7における右端部には、収容部25が形成されている。すなわち、隔壁21dには、その右端から所定の長さの部分がその全幅(上下方向の全幅)にわたって切り欠かれることによって孔21fが形成されている。この孔21fと、これに隣接する開口部21cの右端部とによって収容部25が構成されている。収容部25に臨む装置本体2の右端面には、第1係合部21gが形成されている。隔壁21dの孔21fに臨む右端部が第2係合部21hになっている。
【0019】
収容部25には、制御ユニット4が室内I側から挿脱可能に収容されている。制御ユニット4は、作動板3の位置を制御するためのものであり、制御ユニット4を自動換気モードにすると、作動板3が室内Iの温度に応じて自動的に位置制御される。また、制御ユニット4を固定閉モード(固定換気モード)にすると、作動板3が閉位置に位置固定され、換気装置1が閉状態に維持される。制御ユニット10を固定開モード(固定換気モード)にすると、作動板3が開位置に位置固定され、換気装置1が開状態に維持される。なお、収容部25が装置本体2の右端部に形成されていることに対応して制御ユニット4が装置本体2の右端部に設けられているが、収容部25及び制御ユニット4は、装置本体2の左端部に設けてもよく、あるいは中央部に設けてもよい。
【0020】
上記の機能を有する制御ユニット4について説明すると、制御ユニット4は、ケーシング41を有している。ケーシング41は、硬質樹脂からなる二つの部材をビス、その他の固定手段によって一体的に固定することにより、中空の直方体状に形成されている。二つの部材は、固定後にも分離可能であり、二つの部材を互いに分離することによってケーシング41内に後述する可動部材42、第1のばね43、第2のばね44、受け部材46及び操作部材47を収容し、あるいはそれらを交換することができる。
【0021】
ケーシング41は、その長手方向を水平方向に向けて配置されており、収容部25に室内Iから挿脱可能に挿入されている。勿論、収容部25の孔21fには、ケーシング41の室外側の端部が室内I側から挿脱可能に挿通されている。ここで、ケーシング41の孔21fへの挿通部分は、孔21fと同一の断面形状及び寸法を有している。したがって、収容部25にケーシング41を挿入すると孔21fが閉じられる。よって、制御ユニット4が収容部25に収容された状態では、室内Iと空間S(室外O)とが孔21fを介して連通することがない。室内Iと室外Oとは、隔壁21dの内側換気孔21eを介してのみ連通する。
【0022】
図3〜図7及び図11に示すように、ケーシング41の左右の両端部には、第1及び第2係合片41a,41bがそれぞれ形成されている。第1及び第2係合片41a,41は、弾性変形可能であり、ケーシング41を室内Iから収容部25に挿入すると、第1及び第2係合部21g,21hにそれぞれ突き当たりる。そして、ケーシング41の挿入に伴って弾性変形する。ケーシング41を収容部25に所定の装着位置まで挿入すると、第1及び第2係合片41a,41bが弾性的に復帰変形し、第1及び第2係合部21g,21hとそれぞれ係合する。これにより、ケーシング41が収容部25に所定の大きさの力で位置固定状態で装着される。勿論、ケーシング41に所定の大きさ以上の力を室内I側に向かって作用させると、第1及び第2係合片41a,41bが弾性変形し、第1及び第2係合片41a,41bと第1及び第2係合部21g,21hとの各係合状態が解除する。よって、ケーシング41を収容部25から室内Iに向かって抜き出すことができる。
【0023】
図3〜図7に示すように、ケーシング41の内部には、可動部材42が設けられている。可動部材42は、棒状をなすものであり、その長手方向をケーシング41の長手方向と同一方向に向けて配置されている。可動部材42は、ケーシング41に対しその長手方向(左右方向)へ移動可能である。可動部材42の移動範囲は、図4及び図6に示す第1の位置と、図5及び図7に示す第2の位置との間に規制されている。可動部材42の第1の位置は、図4及び図6に示すように、可動部材42の右端面がケーシング41の内側の右端面に突き当たることによって定められている。可動部材42の第2の位置は、可動部材42の左側の端部に形成された段部42aがケーシング41の内側の左端面に突き当たることによって定められている。
【0024】
可動部材42の移動範囲は、他の方法によって規制してもよい。例えば、ケーシング41に軸体を位置固定して設ける一方、可動部材42にその長手方向に延びる長孔を形成し、この長孔に軸体を長孔の長手方向へ相対移動可能に挿入する。このようにすれば、軸体が長孔の一端部に突き当たったときの可動部材42の位置を第1の位置とし、軸体が長孔の他端部に突き当たったときの可動部材42の位置を第2の位置とすることができる。
【0025】
可動部材42の左端部は、ケーシング41の左端壁を左右方向へ移動可能に貫通して装置本体2の内部に突出している。ケーシング41から突出した可動部材42の左端部(ケーシング41から突出した可動部材42の一部)42bは、作動板3の室内I側を向く面に近接して対向している。左端部42bの作動板3と対向する面の左端部には、作動板3に向かって突出する突出部42cが形成されている。突出部42cは、作動板3に形成された多数の貫通孔31のうちの最も右側に配置された貫通孔31に室内方向へ挿脱可能に、かつ左右方向へ移動不能に挿入されている。突出部42cは、必ずしも最も右側の貫通孔31に挿入する必要がなく、右から2番目以降の貫通孔31に挿入してもよい。あるいは、貫通孔31とは異なる孔を係合孔として形成し、この係合孔に突出部42Cを挿脱可能に、かつ左右方向へ移動不能に挿入してもよい。突出部42cが貫通孔31に左右方向へ移動不能に挿入されているので、可動部材42が左右方向へ移動すると、作動板3が可動部材42と一緒に左右方向へ移動する。可動部材42が第1の位置に位置すると、作動板3が閉位置に位置し、可動部材42が第2の位置に位置すると、作動板3が開位置に位置する。これにより、作動板3の閉位置及び開位置が定められている。
【0026】
突出部42cは、可動部材42と作動板3とを互いに対応する位置に位置させておくことにより、ケーシング41を収容部25に室内I側から室外O側に向かって挿入するときに、それと同時に貫通孔31に挿入することができる。例えば、可動部材42を第1の位置に位置させるとともに、作動板3を閉位置に位置させる。あるいは、可動部材42を第2の位置に位置させるとともに、作動板3を開位置に位置させる。その状態でケーシング41を収容部25に所定の装着位置まで挿入すると、突出部42cが貫通孔31に挿入される。
【0027】
ケーシング41の内部には、第1のばね43及び第2のばね44が収容されている。第1及び第2のばね43,44は、その長手方向をケーシング41の長手方向と同一方向に向けて配置されている。第1のばね43は、可動部材42より室内I側に配置され、第2のばね43は、可動部材42より室外O側に配置されている。第1のばね43を可動部材42より室外側に配置し、第2のばね44を可動部材43より室内側に配置してもよい。あるいは、第1及び第2のばね43,44を可動部材42に対して同一側に配置してもよい。この場合、室内I側と室外O側とのいずれの側に配置してもよい。
【0028】
第1のばね43は、その左端部がケーシング41に連結され、右端部が可動部材42に連結されている。そして、第1のばね43は、可動部材42をケーシング41に対し第1の位置から第2の位置へ向かう方向(一方の方向)、つまり図3の左方へ付勢している。一方、第2のばね44は、その左端部が可動部材43に連結され、右端部がケーシング41にピン45を介して連結されている。そして、第2のばね44は、可動部材42をケーシング41に対し第2の位置から第1の位置へ向かう方向(他方の方向)、つまり図3の右方向へ付勢している。可動部材42に対する第1のばねの付勢方向と第2のばね44の付勢方向とは、互いに逆方向である限り、それぞれこの実施の形態と逆方向であってもよい。
【0029】
第1及び第2のばね43,44の可動部材42に対する付勢方向が互いに逆向きであるから、可動部材42は、可動部材42に対する第1のばね43の付勢力と第2のばね44の付勢力とが釣り合う位置に移動させられる。ここで、第2のばね44は、鋼によって構成されている。したがって第2のばね44の可動部材42に対する付勢力は、通常の気温の範囲、例えば零下10°Cから50°C程度の範囲では一定である。一方、第2のばね44は、形状記憶合金によって構成されており、上記のような通常の気温の範囲では付勢力が温度の上昇に伴って直線的に増大する。したがって、気温が変化すると、特にこの実施の形態では室内Iの気温が変化すると、第1のばね43の付勢力が変化し、それ対応して可動部材42が左右方向へ移動させられる。例えば、室温が20°Cのときには、可動部材42が第1の位置と第2の位置との間のほぼ中央の位置に移動させられ、室温が10°C以下になると第1の位置に移動させられ、室温が30°C以上になると第2の位置に移動させられる。
【0030】
なお、第2のばね44の可動部材42に対する付勢力は、ピン45の位置を変えることによって適宜に調節することができる。この換気装置1では、ケーシング41にピン45が挿入固定される孔41cが複数形成されており、各孔41cは、ケーシング41の長手方向に互いに離間して配置されている。したがって、ピン45が挿入される孔41cを適宜に選択することによって第2のばね44の可動部材42に対する付勢力を変えることができる。第2のばね44の付勢力が変化すると、それに対応して第1及び第2のばね43,44の可動部材42に対する付勢力のバランスが変わる。この結果、可動部材42が閉位置、中間位置、及び開位置にそれぞれ位置するときの各温度が変化する。
【0031】
ケーシング41の室内Iに臨む前壁部には、窓孔41dが形成されている。この窓孔41dから室内Iの空気がケーシング41内に流入し、ケーシング41内が室内Iとほぼ同一の温度になる。これにより、第1のばね43の付勢力を室内Iの気温に応じて変化させるようになっている。第1のばね43の付勢力は、空間S内の気温に対応して変化させてもよい。その場合には、窓孔41dを塞ぐ一方、端板22より空間S側に位置するケーシング41の壁部に窓孔41dに代わる窓孔を形成し、空間S内の空気をケーシング41内に導入すればよい。空間S内の空気をケーシング41内に導入する場合には、第1のばね43を可動部材42より室外O側に配置することが望ましい。
【0032】
可動部材42の位置が変化すると、それに追随して作動板3の位置が閉位置と開位置との間で変化する。その結果、換気装置1の開度が室温に対応して自動的に変化する。このように換気装置1の開度が室温(気温)に対応して自動的に変化するモードを自動換気モードと称すると、この換気装置1では、自動換気モード以外に固定閉モード(固定換気モード)と固定開モード(固定換気モード)との二つのモードを選択することができる。モードの選択は、次のように手動で行われる。
【0033】
すなわち、図3〜図7に示すように、ケーシング41内部の右端部には、ばね受け46及び操作部材47が収容されている。ばね受け46は、ケーシング41の内面のうちの空間S側の部分にケーシング41の長手方向へ摺動可能に押し付けられている。一方、操作部材47は、空間S側が開放した筒状の本体部47aを有している。この本体部47aの内部には、ばね受け46の室内I側の端部が左右方向へ移動不能に嵌合している。したがって、操作部材47とばね受け46とは、ケーシング41の長手方向へ一体に移動する。また、本体部47aには、ばね受け46が室内外方向へ摺動可能に嵌合している。したがって、操作部材47は、ばね受け46に対し室内外方向へ移動可能である。
【0034】
可動部材42の右端部には、長孔42dが形成されている。この長孔42dは、可動部材42を室内外方向へ貫通しており、ケーシング41の長手方向に延びている。長孔42dには、操作部材47の本体部47aがケーシング47の長手方向へ移動可能に挿通されている。
【0035】
操作部材47が図3の右方(第1の方向)へ移動して、本体部47aが長孔42dの右端部に突き当たると、その後は可動部材42が操作部材47と一緒に右方へ移動する。可動部材42が第1の位置に達してケーシング41の右内端面に突き当たると、可動部材42がそれ以上右方へ移動することができなくなり、操作部材47も右方へ移動することができなくなる。このときの操作部材47の位置が固定閉モード位置である。操作部材47が固定閉モード位置に位置すると、可動部材42が第1の位置に位置固定され、作動板3が閉位置に位置固定される。この結果、換気装置1が閉状態に維持される。このときの換気装置1のモードが固定閉モードである。
【0036】
操作部材47が図3の左方(第2の方向)へ移動して、本体部47aが長孔42dの左端部に突き当たると、その後は可動部材42が操作部材47と一緒に左方へ移動する。図6に示すように、可動部材42が第2の位置に達してケーシング41の左内端面に突き当たると、可動部材42がそれ以上左方へ移動することができなくなり、操作部材47も左方へ移動することができなくなる。このときの操作部材47の位置が固定開モード位置である。操作部材47が固定開モード位置に位置すると、可動部材42が第2の位置に位置固定され、作動板が開位置に位置固定される。この結果、換気装置1が開状態に維持される。このときの換気装置1のモードが固定開モードである。
【0037】
固定閉モード位置と固定開モード位置との間の中央の位置が操作部材47の自動換気モード位置である。図3に示すように、操作部材47が自動換気モード位置に位置すると、可動部材42が操作部材47に対し長孔42dの長さと本体部47aの寸法との差の分だけケーシング41の長手方向へ移動可能になる。図4に示すように、可動部材42が右方へ移動して長孔42dの左端面が本体部47aに突き当たると、可動部材42が操作部材47に対して右方へ移動することができなくなる。このときには、可動部材42がケーシング41の右内端面にほぼ突き当たっており、第1の位置に位置している。図5に示すように、可動部材42が左方へ移動して長孔42dの右端面に突き当たると、可動部材が操作部材47に対して左方へ移動することができなくなる。このときには、可動部材42がケーシング41の右内端面に突き当たっており、第2の位置に位置している。このように、操作部材47を自動換気モード位置に位置させたときには、可動部材42が第1の位置と第2の位置との間を移動可能であり、第1及び第2のばね43,44により室内Iの気温に応じて可動部材42が第1の位置と第2の位置との間を自動的に移動させられる。すると、作動板3が可動部42の移動に追随して閉位置と開位置との間を移動する。この結果、換気装置1の開度が閉状態と開状態との間において自動的に調節される。
【0038】
ケーシング41の室内Iに臨む壁部の右端部には、操作孔41eが形成されている。この操作孔41eには、操作部材47の本体部47aが挿入されている。操作孔41eは、ケーシング41の長手方向に延びる長孔として形成されており、その長さはケーシング41の長手方向における本体部47aの寸法より長くなっている。したがって、操作部材47は、操作孔41e内をケーシング41の長手方向へ移動可能であり、操作孔41eは、操作部材47が固定閉モード位置と固定開モード位置との間を移動することを許容するだけの長さを有している。
【0039】
操作部材47の本体部47aの操作孔41eから室内Iに臨む端面には、操作突起47bが形成されている。この操作突起47を指で摘んで操作部材47を左右方向へ移動させることができる。
【0040】
本体部47aの左右両側部には、それぞれ左右方向へ突出する腕部47c,47cが形成されている。各腕部47cは、ばね受け46と操作部材47との間に設けられた圧縮コイルばね等の付勢手段48によってケーシング41の室内I側に位置する内面に押し付けられている。腕部47cが押し付けられたケーシング41の内面には、係合突起41fが形成されている。一方、腕部47cの室内I側を向く面には、第1、第2及び第3係合凹部47d,47e,47fが形成されている。第1、第2及び第3係合凹部47d,47eは、ケーシング41の長手方向へ互いに離間して配置されている。
【0041】
図3に示すように、操作部材47が自動換気モード位置に位置すると、一対の腕部47c,47cの第2係合凹部47e,47eが係合突起41f,4fにそれぞれ係合する。これにより、操作部材47が自動換気モード位置に位置固定される。係合突起41f,4fと第2係合凹部47e,47eとの係合による操作部材47に対する位置固定力は、少なくとも第1のばね43と第2のばね44との付勢力の最大差より大きい。したがって、操作部材47を自動換気モード位置に位置させると、操作部材47は手動操作しない限り自動換気モード位置から移動することがない。これは、操作部材47を固定閉モード位置又は固定開モード位置に位置させたときも同様である。
【0042】
図6に示すように、操作部材47が固定閉モード位置に位置すると、左側の腕部47cの第3係合凹部47fが係合突起41fに係合するとともに、右側の腕部47cの第1係合凹部47dが係合突起41fに係合する。これによって操作部材47が固定閉モード位置に維持される。図7に示すように、操作部材47が固定開モード位置に位置すると、左側の腕部47cの第1係合凹部47dが係合突起41fと係合するとともに、右側の腕部47cの第3係合凹部47fが係合突起41fと係合する。これによって操作部材47が固定開モード位置に維持される。
【0043】
操作突起47bを室外O側に押して操作部材47をばね受け46に突き当たるまで付勢手段48の付勢力に抗して室外O側に移動させと、第1、第2又は第3係合凹部47d,47e,47fと係合突起41fとの係合が解除する。その状態を維持しつつ操作部材47を左右方向へ移動させることにより、操作部材47を自動換気モード位置、固定閉モード位置又は固定開モード位置に移動させることができる。
【0044】
装置本体2の開口部21cには、フィルタユニット5が着脱可能に設けられている。フィルタユニット5は、支持体51及びフィルタ52を有している。支持体51は、金属製又は硬質樹脂製の板体からなるものであり、装置本体2の開口部21cに着脱可能に取り付けられている。しかも、支持体51は、開口部21cのうちの制御ユニット4が設けられた右端部を除く全ての部分を覆うのみならず、制御ユニット4のケーシング41の窓孔41dが形成された部分を覆っている。支持体51には、多数の貫通孔51aが形成されている。貫通孔51aは、上下に長い長孔として形成されており、支持体51の長手方向へ所定間隔毎に配置されている。支持体51が開口部21cを覆っているので、換気時には空気が必ず貫通孔51aを通過する。
【0045】
支持体51の室外O側を向く面には、フィルタ52が着脱可能に取り付けられている。フィルタ52は、全ての貫通孔51aを覆っている。したがって、室外Oの塵埃等が室内Iに入り込むことを防止することができる。また、支持体51及びフィルタ52は、ケーシング41のうちの窓孔41dが形成された部分をも覆っている。これにより、第1のばね43が室内Iから貫通孔51a及び窓孔41dを介して目視されることが防止されている。
【0046】
上記構成の換気装置1において、例えば形状記憶合金からなる第1のばね43が経時的に劣化して交換が必要な場合には、まずフィルタユニット5を装置本体2から取り外す。その後、制御ユニット4を装置本体2から室内I側に抜き出す。抜き出した制御ユニット4は、新たな制御ユニット4と交換する。あるいは、制御ユニット4を装置本体2から取り外した後、ケーシング41を構成している二つの部材を互いに分離させてケーシング41を分解する。そして、第1のばね43を新たな第1のばね43と交換する。その後、ケーシング41の二つの部材を組み付けて固定し、新たな制御ユニット4を構成する。いずれにしても、取り出した制御ユニット4を新たな制御ユニット4と交換し、その新たな制御ユニット4を装置本体2の収容部25に室内Iから挿入する。このとき、装置本体2の長手方向(ケーシング41の長手方向)における作動板3の位置と可動部材42の位置とを互いに対応した位置にすることにより、制御ユニット4の収容部25への装着と同時に可動部材42を作動板3に連結することができる。その後、フィルタユニット5を装置本体4に取り付けることにより、第1のばね43の交換が終了する。このような作業は、第2のばね44又は操作部材47等の交換が必要になった場合も同様である。
【0047】
このように、制御ユニット4を装置本体2の収容部25に装着するのと同時に可動部材42を作動板3に連結することができるから、可動部材42並びにそれに関連する構成部材であって、他の構成部材に比して短期間に交換を必要とする第1、第2のばね43,44及び操作部材47をケーシング41内に組み込んでユニット化することが可能になった。その結果、換気装置1の保守、点検の際には、制御ユニット4を装置本体2から取り外して制御ユニット4を新たな制御ユニット4と交換するだけで済み、装置本体2を家屋の側壁Wから取り外したり、分解したりする必要が全くない。特に、制御ユニット4全体を新たな制御ユニット4と交換する場合には、ケーシング41を分解、組立する必要もない。したがって、換気装置1の補修、点検に要する手間を大幅に軽減することができる。
【0048】
また、ケーシング41の内部が窓孔41dを介して室内Iに連通しているだけであり、室外Oに対して遮断されているから、ケーシング41内には、室内Iの空気が入り込むだけであり、室外Oの空気が入り込むことがない。したがって、第1のばね43の付勢力は、室外Oの気温に影響されることがなく、室内Iの温度だけに依存する。よって、自動換気モードにおいては、換気装置1の開度を室内Iの温度に対応して正確に調節することができる。これは、ケーシング41の内部を室外Oにだけ連通させ、室内Iに対して遮断する場合も同様であり、その場合には換気装置1の開度を室外Iの温度だけに対応して正確に調節することができる。
【0049】
図16〜図21は、この発明に係る換気装置の第2実施の形態を示す。この実施の形態の換気装置1Aにおいては、作動板3に代えて作動板3Aが用いられている。作動板3Aは、左右方向へ移動するのみならず、回転することによって内側換気孔21eを開閉し、ひいては換気通路24を開閉するようになっている。
【0050】
すなわち、作動板3Aは、上記実施の形態の貫通孔31を有しておらず、作動板3A全体が装置本体2の長手方向に連続した平板として形成されている。作動板3Aは、隔壁21dに対し空間S(室外O)側に配置されている。作動板3Aの上端部は、隔壁21dの上端部にほぼ接触するように配置されており、装置本体2にその長手方向に延びる軸線を中心として回転可能に支持されている。作動板3Aは、図17に示す第1回転位置と図18に示す第2回転位置との間を回転可能である。
【0051】
作動板3Aの下端部は、装置本体2に固定されたカム部材6に係合されている。カム部材6は、作動板3Aが図16〜図18において右方へ移動すると、作動板3Aの下端部を隔壁21dに接近するように移動させ、作動板3Aを図19〜図21において反時計方向は回転させる。また、カム部材6は、作動板3Aが図16〜図18において左方へ移動すると、作動板3Aの下端部を隔壁21dから離間するように移動させ、作動板3Aを図19〜図21において時計方向へ回転させる。
【0052】
いま、操作部材47が自動換気モード位置に位置しているものとする、このときには、可動部材42が図17に示す第1の位置と図18に示す第2の位置との間を移動可能であり、可動部材42に左右方向へ移動不能に連結された作動板3Aが図17に示す第1移動位置と図18に示す第2移動位置との間を移動可能である。
【0053】
可動部材42が図16〜図18において右方へ移動すると、それに追随して作動板3Aが右方へ移動する。すると、カム部材6により、作動板3Aの下端部が隔壁21dに接近するように、作動板3Aが回転させられる。作動板3Aが図17に示す第1移動位置に達すると、作動板3Aが隔壁2dに接触させられる。このときの作動板Aの回転位置が第1回転位置である。作動板3Aが第1回転位置に回転すると、隔壁2dに接触した作動板3Aが、内側換気孔21eを閉じる。これによって、換気通路24が閉じられ、換気装置1Aが閉状態になる。これから明らかなように、作動板3Aが第1移動位置に移動するとともに、第1回転位置に位置したときの作動板3Aの位置が閉位置である。
【0054】
可動部材42が図16〜図18において左方へ移動すると、それに追随して作動板3Aが左方へ移動する。すると、カム部材6により、作動板3Aの下端部が隔壁21dから離間するように、作動板3Aが回転させられる。作動板3Aが図18に示す第2移動位置に達すると、作動板3Aがその上端部を除いて隔壁2dから大きく離間するので、内側換気孔21eが開かれ、換気通路24が開かれる。これによって、換気装置1Aが開状態になる。このときの作動板3Aの回転位置が第2回転位置である。作動板3Aが第2移動位置に移動し、かつ第2回転位置に回転したときの作動板3Aの位置が開位置である。
【0055】
なお、室内Iの気温が所定の範囲内の温度であるときには、作動板3Aが閉位置と開位置との間を変位する。つまり、作動板3A全体が左右方向へ移動するとともに、作動板3Aがその上端部を中心として回転する。これにより、換気通路24の開度が調節され、ひいては換気装置1Aの開度が調節される。
【0056】
操作部材47を固定閉モード位置に移動させると、作動板3Aが操作部材47により可動部材42を介して第1移動位置に移動させられるとともに、カム部材6によって第1回転位置に回転させられる。これにより、換気装置1Aが閉状態に維持される。操作部材47を固定開モード位置に移動させると、作動板3Aが操作部材47により可動部材42を介して第2移動位置に移動させられるとともに、カム部材6によって第2回転位置に回転させられる。これにより、換気装置1Aが開状態に維持される。
【0057】
作動板3Aが隔壁21dより空間S側に配置されているため、可動部材42の突出部42cは、隔壁21dを左右方向へ所定の長さだけ移動可能に貫通している。すなわち、可動部材42が第1の位置と第2の位置との間を移動することを許容するだけの長さをもって移動可能に貫通している。また、作動板3Aが隔壁21dから離間するように回転したとき、可動部材42の突出部42cが作動板3Aから外れないよう、突出部42cの突出長さが定められている。
【0058】
また、換気装置1Aにおいては、可動部材42が第1の位置に位置しているときに、可動部材42がケーシング41の右内端面から離間し、可動部材42が第2の位置に位置しているときには、段部42aがケーシング41の左内端面から離間しているが、上記の実施の形態と同様に、それぞれケーシング41の右内端面及び左内端面に突き当てるようにしてもよい。その他の構成は、上記実施の形態と同様である。
【0059】
なお、この発明は、上記の実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、上記の実施の形態においては、可動部材42を作動板3,3Aに直接連結させているが、可動部材42は、作動板3,3Aに揺動リンク等を介して連結してもよい。その場合には、制御ユニット4を装置本体2に装着するとき、可動部材42を揺動リンクに対して室内I側から着脱可能に係合させることになる。
また、可動部材42に突出部42cを形成し、この突出部42cを作動板3,3Aの貫通孔31に係合させているが、可動部材42に凹部又は孔を形成する一方、作動板3,3Aにその凹部又は孔に室内外方向へ挿脱可能に係合する突出部を形成してもよい。
さらに、上記の実施の形態においては、操作部材47が固定換気モード位置として固定閉モード位置と固定開モード位置との二つの位置に位置することが可能であるが、操作部材47は、固定閉モード位置と固定開モード位置とのいずれか一方の位置にだけ位置するものであってもよい。
【符号の説明】
【0060】
I 室内
O 室外
1 換気装置
1A 換気装置
2 装置本体
3 作動板(作動部材)
3A 作動板(作動部材)
4 制御ユニット
24 換気通路
25 収容部
41 ケーシング
42 可動部材
42b 可動部材の左端部(ケーシングから突出した可動部材の一部)
43 第1のばね
44 第2のばね
47 操作部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に室内と室外とを連通させる換気通路が形成された装置本体と、この装置本体に上記換気通路を閉じる閉位置と上記換気通路を開く開位置との間を変位可能に設けられた作動部材と、上記装置本体に第1の位置と第2の位置との間を移動可能に設けられ、上記第1の位置から上記第2の位置まで移動すると上記作動部材が上記閉位置から上記開位置まで変位し、上記第2の位置から上記第1の位置まで移動すると、上記作動部材が上記開位置から上記閉位置まで変位するように、上記作動部材に連結された可動部材と、この可動部材を上記第1の位置から上記第2の位置へ向かう第1の方向と上記第2の位置から上記第1の位置へ向かう第2の方向とのいずれか一方の方向へ付勢し、その付勢力が温度に応じて変化する形状記憶合金製の第1のばねと、上記可動部材を上記第1の方向と上記第2の方向とのいずれか他方の方向へ付勢する第2のばねと、上記装置本体に自動換気モード位置と固定換気モード位置との間を変位可能に設けられた操作部材とを備え、上記操作部材は、上記自動換気モード位置に位置しているときには上記可動部材が上記第1の位置と上記第2の位置との間を移動することを許容し、上記固定換気モード位置に位置しているときには上記可動部材を上記第1の位置と上記第2の位置とのいずれか一方の位置に位置固定する換気装置において、
上記装置本体に上記室内に向かって開放された収容部が形成され、この収容部にケーシングが室内から着脱可能に装着され、このケーシングの内部に、上記可動部材、上記第1のばね、上記第2のばね及び上記操作部材が設けられ、上記可動部材の一部が上記ケーシングから上記装置本体の内部に突出させられ、上記ケーシングの上記装置本体への室内からの装着時には、上記ケーシングから上記装置本体の内部に突出した上記可動部材の一部が上記作動部材に着脱可能に連結されることを特徴とする換気装置。
【請求項2】
上記ケーシングの内部が、室内と室外とのいずれか一方に対して連通され、他方に対して遮断されていることを特徴とする請求項1に記載の換気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−247112(P2012−247112A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118418(P2011−118418)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(504254770)株式会社佐原 (26)
【Fターム(参考)】