説明

換気装置

【課題】直流配電システムでの給電遮断において、蓄えた電力での運転継続を目的とする。
【解決手段】入力電圧を検知する電源検知手段2と、系統からの電力を蓄えるバックアップ電源3と、蓄えた電力を直流配電システムの系統への放電防止用のダイオード4と、前記バックアップ電源3の電力を系統に放電することができる放電開閉手段5と、前記バックアップ電源3の電力を系統に放電する電流を抑制する抵抗値を備えた放電抑制開閉手段6と、制御手段7aという構成にしたことにより、前記制御手段7aは前記電源検知手段2の電圧より、前記放電開閉手段5や前記放電抑制開閉手段6を開閉制御することで、前記バックアップ電源3の電力を直流配電システムの系統に放電し、電源供給の遮断の場合でも、同系統の端末機器の駆動を継続する換気装置を得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電源の供給で動作可能な換気装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般住宅の換気装置は平成15年にシックハウス対策のために改正建築基準法の施行により、一般住宅の換気設備設置の設置が義務付けられた。
【0003】
そのため、一般住宅の各部屋には機械換気設備による常時換気が必要となった。
【0004】
そして、近年はさらなる省エネのために、各機器が商用電源から直流電圧に変換するのでなく、直流電源の供給でそのまま駆動することで、変換ロスを低減するための直流配電システムが一般住宅にも提案されている。
【0005】
従来、この種の直流配電システムは商用電源や太陽光発電装置から所定の直流電圧に変換する直流配電システムにより、直流電圧の供給で直接駆動するLED照明、セキュリティシステム、換気扇等が提案されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
以下、その換気装置を有したシステムについて図9を参照しながら概容説明する。
【0007】
図9に示すように、直流配電システム101は商用電源102を所定の直流電圧に変換する変換装置104aや太陽光発電装置103を所定の直流電圧に変換する変換装置104b、直流電圧を蓄電するバックアップ電源105、各系統の直流駆動機器に直流電源の供給や遮断をする機器切離手段106a、106b、106cがあり、前記変換装置104a、104b、前記バックアップ電源105、前記機器切離手段106a、106b、106cを制御する制御手段107から構成される。
【0008】
そして、前記各機器切離手段の各系統は例えば、前記機器切離手段106aにはセキュリティシステム、前記機器切離手段106bにはLED照明、前記機器切離手段106cには換気扇に分類されて接続することで、各系統の優先順位を設定されている。
【0009】
また、この種の直流配電システムには各端末機器で分散して電力を蓄えているものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0010】
以下、そのシステムについて図10を参照しながら説明する。
【0011】
図10に示すように、直流配電システム108より各端末機109a、109bへの配線系統には、逆流防止ダイオード110a、110bと保護ヒューズ111a、111bがそれぞれ直列に接続され、前記各端末機には電力を蓄えるコンデンサ112a、112bが設けられている。
【0012】
そして、前記端末機109bで不具合が発生し、前記保護ヒューズ111bが溶断すると、システム全体への影響がないようできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2009−159655号公報
【特許文献2】特開2007−325413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
このような従来の換気装置を有したシステムにおいて、直流配電システムは直流電力を蓄えるバックアップ電源を設けており、停電時等ではこのバックアップ電源の供給の優先としては、セキュリティ等の電源系統を優先し、異常時には他の端末の電源系統を遮断し、このセキュリティ端末が特定時間稼動できるように配慮される。
【0015】
そのため、直流配電システムから給電される換気装置は、バックアップ電源による給電の優先度が低く、商用電源の停電時には優先度の低い直流駆動機器から順に機器切離手段により給電を遮断され、換気運転が中断される頻度が高いという課題を有していた。
【0016】
また、各端末機に蓄えた電力を同系統の端末機器の短絡障害が発生した場合、保護ヒューズが溶断して系統から切離されるが、正常端末機器の電力はダイオードで保護され、系統側への放電はされないので、電源側のトラブルでは各端末機に蓄えた電力を同系統で共有できないという課題を有していた。
【0017】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、直流配電システムの供給電力低下により、給電の優先度が低い系統への電力供給の遮断の場合でも、端末機に蓄えた電力を同系統で共有し、端末機器の駆動を継続することができる換気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
そして、この目的を達成するために、本発明は、直流電源で駆動する換気用のファンモータと、直流電源の入力電圧値を複数の閾値の電圧を検知する電源検知手段と、直流配電システムの系統から直流配電された電力を蓄えるバックアップ電源と、
前記バックアップ電源の蓄えた電力を直流配電システムの系統に放電しないための逆流防止用のダイオードと、前記ダイオードと並列に接続され、前記バックアップ電源の電力を直流配電システムの系統に放電することができる放電開閉手段と、前記放電開閉手段と並列に接続され、前記バックアップ電源の電力を直流配電システムの系統に放電する電流を抑制する抵抗値を備えた放電抑制開閉手段と、前記ファンモータの運転/停止、前記電源検知手段の情報により、前記放電開閉手段や前記放電抑制開閉手段を所定の時間により制御する制御手段としたものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【0019】
また、本発明は前記バックアップ電源の系統への放電経路に直列に抵抗値が正の温度係数を有する抵抗素子であるパワーサーミスタとした。
【0020】
また、本発明は前記バックアップ電源の放電経路の放電電流値を少なくとも一つ以上の閾値の電流値を検知する放電電流検知手段と、前記放電電流検知手段の電流値により前記制御手段が過放電電流と判断すると、前記バックアップ電源の放電電流値を少なくとも一つ以上の閾値の電流を抑制する放電電流抑制手段とした。
【0021】
また、本発明は室内の人の在室を検知できる人感センサーとした。
【0022】
また、本発明は前記バックアップ電源の充電の開始制御をする充電開始手段とした。
【0023】
また、本発明は前記バックアップ電源の放電電圧を少なくとも一つ以上の閾値の電圧を検知するバックアップ電圧検知手段とした。
【0024】
また、本発明は施工時に施工業者が設定変更でき、復電まで換気運転を一時的に停止させて前記バックアップ電源の蓄えた電力を放電のみを優先させることができる設定SWとした。
【0025】
また、本発明は使用者に知らせるためのLEDあるいはブザーの一方または両方による報知手段とした。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、直流電源で駆動する換気用のファンモータと、直流電源の入力電圧値を複数の閾値の電圧を検知する電源検知手段と、直流配電システムの系統から直流配電された電力を蓄えるバックアップ電源と、前記バックアップ電源の蓄えた電力を直流配電システムの系統に放電しないための逆流防止用のダイオードと、前記ダイオードと並列に接続され、前記バックアップ電源の電力を直流配電システムの系統に放電することができる放電開閉手段と、前記放電開閉手段と並列に接続され、前記バックアップ電源の電力を直流配電システムの系統に放電する電流を抑制する抵抗値を備えた放電抑制開閉手段と、前記ファンモータの運転/停止、前記電源検知手段の情報により、前記放電開閉手段や前記放電抑制開閉手段を所定の時間により制御する制御手段という構成にしたことにより、前記制御手段は前記電源検知手段の閾値電圧より、前記放電開閉手段や前記放電抑制開閉手段を開閉制御することで、前記バックアップ電源の電力を直流配電システムの系統に一時的な放電をすることになるので、直流配電システムの給電能力の低下や優先順位により系統への電源供給の遮断の場合でも、同系統の端末機器の駆動を継続することができるという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態1の換気装置を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態2の換気装置を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態3の換気装置を示すブロック図
【図4】本発明の実施の形態4の換気装置を示すブロック図
【図5】本発明の実施の形態5の換気装置を示すブロック図
【図6】本発明の実施の形態6の換気装置を示すブロック図
【図7】本発明の実施の形態7の換気装置を示すブロック図
【図8】本発明の実施の形態8の換気装置を示すブロック図
【図9】従来の換気装置を示すブロック図
【図10】従来の換気装置を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の請求項1記載の換気装置は、直流電源で駆動する換気用のファンモータと、直流電源の入力電圧値を複数の閾値の電圧を検知する電源検知手段と、直流配電システムの系統から直流配電された電力を蓄えるバックアップ電源と、前記バックアップ電源の蓄えた電力を直流配電システムの系統に放電しないための逆流防止用のダイオードと、前記ダイオードと並列に接続され、前記バックアップ電源の電力を直流配電システムの系統に放電することができる放電開閉手段と、前記放電開閉手段と並列に接続され、前記バックアップ電源の電力を直流配電システムの系統に放電する電流を抑制する抵抗値を備えた放電抑制開閉手段と、前記ファンモータの運転/停止、前記電源検知手段の情報により、前記放電開閉手段や前記放電抑制開閉手段を所定の時間により制御する制御手段という構成を有する。
【0029】
これにより、前記制御手段は前記電源検知手段の閾値電圧により、前記放電開閉手段や前記放電抑制開閉手段を開閉制御することで、前記バックアップ電源の電力を直流配電システムの系統に放電できることになる。
【0030】
これにより、建基法により各部屋に設置される換気装置において、前記バックアップ電源を各換気装置に設けることで、換気装置が一時的な放電を同系統に給電をすることで、直流配電システムの給電能力の低下や優先順位により系統への電源供給の遮断の場合でも、同系統の端末機器の駆動を継続することができる。
【0031】
また、前記バックアップ電源の系統への放電経路に直列に抵抗値が正の温度係数を有する抵抗素子であるパワーサーミスタという構成にしてもよい。
【0032】
これにより、前記パワーサーミスタを前記バックアップ電源から直流配電システムの系統への放電経路に設けることで、直流配電システムの系統に接続された機器や配線の短絡障害が発生した場合、前記制御手段が前記バックアップ電源を前記放電開閉手段により直流配電システムの系統から切り離すまでの間に急激な放電電流が流れると、前記パワーサーミスタ自身が発熱して、自身の抵抗値を高くすることで放電電流を抑制することができる。
【0033】
これにより、直流配電システムの系統の短絡障害が発生した場合、前記バックアップ電源を前記放電開閉手段により直流配電システムの系統から切り離すまでの間において、急激な放電電流が流れるのを防止できるため、前記放電開閉手段の接点の定格電流を低くでき、接点寿命を延ばすことができるため安価な接点を採用できるという効果を奏する。
【0034】
また、前記バックアップ電源の放電経路の放電電流値を少なくとも一つ以上の閾値の電流値を検知する放電電流検知手段と、前記放電電流検知手段の電流値により前記制御手段が過放電電流と判断すると、前記バックアップ電源の放電電流値を少なくとも一つ以上の閾値の電流を抑制する放電電流抑制手段という構成にしてもよい。
【0035】
これにより、前記制御手段は前記放電電流検知手段が所定の電流値以上を検知すると、前記バックアップ電源の放電電流を前記放電電流抑制手段により抑制する。
【0036】
その後、前記制御手段は前記放電電流検知手段が所定の電流値以下を検知すると、前記放電電流抑制手段の放電電流の抑制を解除させる。
【0037】
これにより、前記バックアップ電源の放電電流を前記放電電流抑制手段により抑制することで、過放電電流による前記バックアップ電源の寿命劣化を軽減することができるという効果を奏する。
【0038】
また、室内の人の在室を検知できる人感センサーとを設けた構成にしてもよい。
【0039】
これにより、前記制御手段は前記電源検知手段が所定の電圧値以下を検知し、前記バックアップ電源を前記放電開閉手段により直流配電システムの系統に放電している時、前記人感センサーによる室内で人が不在と判断すると、換気のためのファンモータの運転を停止させる。
【0040】
これにより、直流配電システムの電源供給能力の低下時に、一時的に室内の人が不在の場合に換気運転を停止させ消費電力を抑えることで、同系統の他の端末機の運転を長くすることができるという効果を奏する。
【0041】
また、前記バックアップ電源の充電の開始制御をする充電開始手段とを設けた構成にしてもよい。
【0042】
これにより、長時間給電が遮断されて前記バックアップ電源の充電量を消耗した場合、前記制御手段は前記電源検知手段が所定の電圧値まで電圧の復帰を検知すると、直流配電システムが正常な給電状態と判断して前記放電開閉手段を閉状態にすることにより、前記ダイオードを経由せず前記ファンモータは直流配電システムからの電圧に対して前記ダイオードの電圧降下がなく運転される。
【0043】
そして、前記制御手段は所定の時間経過後に前記充電開始手段に前記バックアップ電源の充電を開始させる。
【0044】
これは直流配電システムの給電復帰時には同系統に接続された端末機器の同時運転により消費が増えるため、すぐに前記バックアップ電源への充電を開始すると、さらに電流が増えることになる。
【0045】
そのために、直流配電システムの復電直後に充電を遅延させることで、直流配電システムの負荷を軽減でき、電源容量の大きさやコストアップの防止ができるという効果を奏する。
【0046】
また、前記バックアップ電源の放電電圧を少なくとも一つ以上の閾値の電圧を検知するバックアップ電圧検知手段とを設けた構成にしてもよい。
【0047】
これにより、運転開始時には前記制御手段は前記放電開閉手段や前記放電抑制開閉手段が開状態、すなわち前記ダイオードのみが直流配電システムから前記ファンモータに接続された状態にする。
【0048】
そして、前記電源検知手段による直流配電システムの供給電圧と、バックアップ電圧検知手段による前記バックアップ電源の放電電圧を比較することで、どちらの電圧が高いかを判断する。
【0049】
前記バックアップ電源の放電電圧の方が高く、前記ファンモータの所定の起動保証電圧の場合は、前記放電開閉手段や前記放電抑制開閉手段が開状態で前記ファンモータ起動させる。
【0050】
これは、一般にファンモータは起動時には瞬時だが通常時より消費電流が増加する傾向がある。
【0051】
これにより、換気装置に蓄えた電力を有効に使用して、直流配電システムの負荷軽減ができるという効果を奏する。
【0052】
また、施工時に施工業者が設定変更でき、復電まで換気運転を一時的に停止させて前記バックアップ電源の蓄えた電力を放電のみを優先させることができる設定SWとを設けた構成にしてもよい。
【0053】
これにより、施工業者が前記設定SWにより、前記電源検知手段による直流配電システムの電力供給の遮断を前記制御手段が判断した場合に、復電まで換気運転を一時的に停止させて前記バックアップ電源の蓄えた電力を放電のみに使用させる。
【0054】
これにより、施工業者が各配線系統で優先が高い配線系統に換気装置を接続しても、無駄な消費をせず、蓄えた電力を系統に給電することで、各部屋の配線系統の制約を受けずに換気装置の設置ができ、施工性の向上ができるという効果を奏する。
【0055】
また、使用者に知らせるためのLEDあるいはブザーの一方または両方による報知手段とを設けた構成にしてもよい。
【0056】
これにより、前記制御手段が直流配電システムの系統に接続された端末機器や配線の短絡障害が発生した場合には、前記バックアップ電源の蓄えた電力を直流配電システムの系統に放電できないと判断した場合、すなわち前記放電開閉手段や前記放電抑制開閉手段が開状態にすると共に、前記報知手段により使用者に報知する。
【0057】
これは一般住宅の直流配電システムでは、端末機器や配線のメンテナンスが頻繁におこなわれるものでなく、使用者がトラブルを気づくことも少ない。
【0058】
これにより、系統に障害が発生したことを使用者に早く伝え、サービスメンテの向上ができるという効果を奏する。
【0059】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0060】
(実施の形態1)
図1に示すように、本発明は省エネのための商用電源や太陽光発電装置から所定の直流電圧に変換する直流配電システムから供給された直流電源で駆動する換気装置は、直流電源で駆動する換気用のファンモータ1と、
直流電源の入力電圧値を複数の閾値の電圧を検知する電源検知手段2と、
直流配電システムの系統から直流配電された電力を蓄えるバックアップ電源3と、
前記バックアップ電源3の蓄えた電力を直流配電システムの系統に放電しないための逆流防止用のダイオード4と、
前記ダイオード4と並列に接続され、前記バックアップ電源3の電力を直流配電システムの系統に放電することができる放電開閉手段5と、
前記放電開閉手段5と並列に接続され、前記バックアップ電源3の電力を直流配電システムの系統に放電する電流を抑制する抵抗値を備えた放電抑制開閉手段6と、
前記ファンモータ1の運転/停止、前記電源検知手段2の情報により、前記放電開閉手段5や前記放電抑制開閉手段6を所定の時間により制御する制御手段7aとを設けた構成を有する。
【0061】
また、前記電源検知手段2の複数の閾値の電圧としては、第一の閾値電圧値は直流配電システムの電源電圧公差の下限電圧値、第二の閾値電圧値は換気装置の公称動作電圧の下限電圧値、第三の閾値電圧値は第二の閾値電圧値と第四の閾値電圧値の中間電圧値、第四の閾値電圧値は換気装置の実力動作電圧の下限電圧値とする。
【0062】
上記構成において、通常時には前記バックアップ電源3は直流配電システムから前記放電開閉手段5を閉状態にすることにより、前記ダイオード4を経由せず充電され、前記ファンモータ1も直流配電システムからの電圧に対して前記ダイオード4の電圧降下がなく運転される。
【0063】
そして、直流配電システムからの電力供給の遮断は、大きく分けて以下の二つの場合がある。
【0064】
一つ目のケースは、直流配電システムの供給電力が不足した場合に、電力供給の優先度の低い直流機器の系統の給電を停止する場合。
【0065】
この場合、前記制御手段7aは前記電源検知手段2が第一の閾値電圧値以下を検知すると、前記放電開閉手段5および前記放電抑制開閉手段6を開状態にすることにより、前記バックアップ電源3の蓄えた電力を直流配電システムの系統へ放電しないようにする。
【0066】
そして、前記制御手段7aは前記電源検知手段2が所定の時間後にさらに低い電圧の第二の閾値電圧値以下を検知しない場合は、前記放電開閉手段5を閉状態にして、前記バックアップ電源3の蓄えた電力を直流配電システムの系統に放電させる。
【0067】
また、前記制御手段7aは前記電源検知手段2が所定の時間後に第二の閾値電圧値以下を検知した場合は前記放電抑制開閉手段6のみを閉状態にして前記バックアップ電源3の蓄えた電力を直流配電システムの系統へ放電させる。
【0068】
その後、前記制御手段7aは前記電源検知手段2が第二の閾値電圧より低い電圧の第三の閾値電圧値以下を検知しない場合は前記放電開閉手段5を閉状態にして前記バックアップ電源3の蓄えた電力を直流配電システムの系統へ放電させる。
【0069】
また、直流配電システムからの電力供給の遮断の二つ目のケースは、直流配電システムの系統の短絡障害で、直流配電システムは短絡障害の発生した系統の給電を停止する場合である。
【0070】
この場合、前記制御手段7aは前記電源検知手段2が第一の閾値電圧値以下を検知すると、前記放電開閉手段5および前記放電抑制開閉手段6を同様に開状態にすることにより、前記バックアップ電源3の蓄えた電力を直流配電システムの系統へ放電しないようにする。
【0071】
その後、所定の時間後に前記制御手段7aは前記電源検知手段2が第三の閾値電圧値以下を検知すると、前記放電抑制開閉手段6のみを閉状態にする。
【0072】
さらに前記電源検知手段2が第三の閾値電圧より低い電圧の第四の閾値電圧値以下を検知した場合は、直流配電システムの同系統が短絡等の異常状態と判断し、前記バックアップ電源3の蓄えた電力を直流配電システムの系統へ放電しないように前記放電開閉手段5および前記放電抑制開閉手段6を開状態にする。
【0073】
これにより、建基法により各部屋に設置される換気装置において、前記バックアップ電源3を各換気装置に設けることで、換気装置が一時的な放電を同系統に給電をすることで、直流配電システムの給電能力の低下や優先順位により系統への電源供給の遮断の場合でも、同系統の端末機器の駆動を継続することができる。
【0074】
また、系統の短絡障害等では、換気装置に蓄えた電力を系統に放電しないため、無駄に蓄えた電力を消費することがないようにできる。
【0075】
(実施の形態2)
図2において、実施の形態1と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0076】
図2に示すように、本発明の直流電源で駆動する換気装置は、前記バックアップ電源3の系統への放電経路に直列に抵抗値が正の温度係数を有する抵抗素子であるパワーサーミスタ8とを設けた構成を有する。
【0077】
上記構成において、前記パワーサーミスタ8に電流が流れると抵抗素子自身の温度が上昇して抵抗値が大きくなる特性があり、電流を抑制する効果がある。前記パワーサーミスタ8を前記バックアップ電源3から直流配電システムの系統への放電経路に設けることで、直流配電システムの系統に接続された機器や配線の短絡障害が発生した場合、前記制御手段7aが前記バックアップ電源3を前記放電開閉手段5により直流配電システムの系統から切り離すまでの間に急激な放電電流が流れると、前記パワーサーミスタ8自身が発熱して、自身の抵抗値を高くすることで放電電流を抑制することができる。
【0078】
これにより、直流配電システムの系統の短絡障害が発生した場合、前記バックアップ電源3を前記放電開閉手段5により直流配電システムの系統から切り離すまでの間において、急激な放電電流が流れるのを防止できるため、前記放電開閉手段5の接点の定格電流を低くでき、接点寿命を延ばすことができるため安価な接点を採用できる。
【0079】
(実施の形態3)
図3において、実施の形態1と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0080】
図3に示すように、本発明の直流電源で駆動する換気装置は、前記バックアップ電源3の放電経路の放電電流値を少なくとも一つ以上の閾値の電流値を検知する放電電流検知手段9と、
前記放電電流検知手段9の電流値により前記制御手段7bが過放電電流と判断すると、前記バックアップ電源3の放電電流値を少なくとも一つ以上の閾値の電流を抑制する放電電流抑制手段10とを設けた構成を有する。
【0081】
上記構成において、前記制御手段7bは前記放電電流検知手段9が所定の電流値以上を検知すると、前記バックアップ電源3の放電電流を前記放電電流抑制手段10により抑制する。
【0082】
その後、前記制御手段7bは前記放電電流検知手段9が所定の電流値以下を検知すると、
前記放電電流抑制手段10の放電電流の抑制を解除させる。
【0083】
これにより、前記バックアップ電源3の放電電流を前記放電電流抑制手段10により抑制することで、過放電電流による前記バックアップ電源3の寿命劣化を軽減することができる。
【0084】
(実施の形態4)
図4において、実施の形態1と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0085】
図4に示すように、本発明の直流電源で駆動する換気装置は、室内の人の在室を検知できる人感センサー11とを設けた構成を有する。
【0086】
上記構成において、前記制御手段7cは前記電源検知手段2が所定の電圧値以下を検知し、前記バックアップ電源3を前記放電開閉手段5により直流配電システムの系統に放電している時、前記人感センサー11による室内で人が不在と判断すると、換気のためのファンモータの運転を停止させる。
【0087】
これにより、直流配電システムの電源供給能力の低下時に、一時的に室内の人が不在の場合に換気運転を停止させ消費電力を抑えることで、同系統の他の端末機の運転を長くすることができる。
【0088】
(実施の形態5)
図5において、実施の形態1と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0089】
図5に示すように、本発明の直流電源で駆動する換気装置は、前記バックアップ電源3の充電の開始制御をする充電開始手段12とを設けた構成を有する。
【0090】
上記構成において、長時間給電が遮断されて前記バックアップ電源3の充電量を消耗した場合、前記制御手段7dは前記電源検知手段2が所定の電圧値まで電圧の復帰を検知すると、直流配電システムが正常な給電状態と判断して前記放電開閉手段5を閉状態にすることにより、前記ダイオード4を経由せず前記ファンモータ1は直流配電システムからの電圧に対して前記ダイオード4の電圧降下がなく運転される。
【0091】
そして、前記制御手段7dは所定の時間経過後に前記充電開始手段12に前記バックアップ電源3の充電を開始させる。
【0092】
これは直流配電システムの給電復帰時には同系統に接続された端末機器の同時運転により消費が増えるため、すぐに前記バックアップ電源3への充電を開始すると、さらに電流が増えることになる。
【0093】
そのために、直流配電システムの復電直後に充電を遅延させることで、直流配電システムの負荷を軽減でき、電源容量の大きさやコストアップの防止ができる。
【0094】
(実施の形態6)
図6において、実施の形態1と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0095】
図6に示すように、本発明の直流電源で駆動する換気装置は、
前記バックアップ電源3の放電電圧を少なくとも一つ以上の閾値の電圧を検知するバックアップ電圧検知手段13とを設けた構成を有する。
【0096】
上記構成において、運転開始時には前記制御手段7eは前記放電開閉手段5や前記放電抑制開閉手段6が開状態、すなわち前記ダイオード4のみが直流配電システムから前記ファンモータ1に接続された状態にする。
【0097】
そして、前記電源検知手段2による直流配電システムの供給電圧と、バックアップ電圧検知手段13による前記バックアップ電源3の放電電圧を比較することで、どちらの電圧が高いかを判断する。
【0098】
前記バックアップ電源3の放電電圧の方が高く、前記ファンモータ1の所定の起動保証電圧の場合は、前記放電開閉手段5や前記放電抑制開閉手段6が開状態で前記ファンモータ1起動させる。
【0099】
これは、一般にファンモータは起動時には瞬時だが通常時より消費電流が増加する傾向がある。
【0100】
これにより、換気装置に蓄えた電力を有効に使用して、直流配電システムの負荷軽減ができる。
【0101】
(実施の形態7)
図7において、実施の形態1と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0102】
図7に示すように、本発明の直流電源で駆動する換気装置は、
施工時に施工業者が設定変更でき、復電まで換気運転を一時的に停止させて前記バックアップ電源3の蓄えた電力を放電のみを優先させることができる設定SW14とを設けた構成を有する。
【0103】
上記構成において、施工業者が前記設定SW14により、前記電源検知手段2による直流配電システムの電力供給の遮断を前記制御手段7fが判断した場合に、復電まで換気運転を一時的に停止させて前記バックアップ電源3の蓄えた電力を放電のみに使用させる。
【0104】
すなわち、前記ファンモータ1を停止状態にする。
【0105】
これにより、施工業者が各配線系統で優先が高い配線系統に換気装置を接続しても、無駄な消費をせず、蓄えた電力を系統に給電することで、各部屋の配線系統の制約を受けずに換気装置の設置ができ、施工性の向上ができる。
【0106】
(実施の形態8)
図8において、実施の形態1と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0107】
図8に示すように、本発明の直流電源で駆動する換気装置は、
使用者に知らせるためのLEDあるいはブザーの一方または両方による報知手段15とを設けた構成を有する。
【0108】
上記構成において、前記制御手段7gが直流配電システムの系統に接続された端末機器や配線の短絡障害が発生した場合には、前記バックアップ電源3の蓄えた電力を直流配電システムの系統に放電できないと判断した場合、すなわち前記放電開閉手段5や前記放電抑制開閉手段6が開状態にすると共に、前記報知手段15により使用者に報知する。
【0109】
これは一般住宅の直流配電システムでは、端末機器や配線のメンテナンスが頻繁におこなわれるものでなく、使用者がトラブルを気づくことも少ない。
【0110】
これにより、系統に障害が発生したことを使用者に早く伝え、サービスメンテの向上ができる。
【0111】
なお、実施の形態では、放電開閉手段5や前記放電抑制開閉手段6に接点スイッチを用いたが、半導体スイッチにかえてもよく、その作用効果に差異を生じない。
【0112】
なお、実施の形態1では、前記電源検知手段2の複数の閾値の電圧としては4つの閾値電圧にしたが、前記バックアップ電源3の充電や放電特性等により、4つ以外にしてもよく、その作用効果に差異を生じない。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明にかかる直流配電システムの換気装置は、近年家庭内のさらなる省エネの促進のため、住宅に設置された太陽光発電設備等により発電・蓄電された直流電力を、電力変換ロスの低減のために家庭内で使用する機器、例えばLED照明や換気扇等に直流電圧を直接供給して駆動させるシステムが検討されている。
【0114】
そのため、直流駆動する機器が個々に一時的な電力の蓄積や起動時の消費低減を行なうことで、システム全体での電源の安定を向上させることに有用である。
【符号の説明】
【0115】
1 ファンモータ
2 電源検知手段
3 バックアップ電源
4 ダイオード
5 放電開閉手段
6 放電抑制開閉手段
7a 制御手段
7b 制御手段
7c 制御手段
7d 制御手段
7e 制御手段
7f 制御手段
7g 制御手段
8 パワーサーミスタ
9 放電電流検知手段
10 放電電流抑制手段
11 人感センサー
12 充電開始手段
13 バックアップ電圧検知手段
14 設定SW
15 報知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源で駆動する換気用のファンモータと、直流電源の入力電圧値を複数の閾値の電圧を検知する電源検知手段と、直流配電システムの系統から直流配電された電力を蓄えるバックアップ電源と、前記バックアップ電源の蓄えた電力を直流配電システムの系統に放電しないための逆流防止用のダイオードと、前記ダイオードと並列に接続され、前記バックアップ電源の電力を直流配電システムの系統に放電することができる放電開閉手段と、前記放電開閉手段と並列に接続され、前記バックアップ電源の電力を直流配電システムの系統に放電する電流を抑制する抵抗値を備えた放電抑制開閉手段と、前記ファンモータの運転/停止、前記電源検知手段の情報により、前記放電開閉手段や前記放電抑制開閉手段を所定の時間により制御する制御手段と設けた換気装置。
【請求項2】
前記バックアップ電源の系統への放電経路に直列に抵抗値が正の温度係数を有する抵抗素子であるパワーサーミスタとを設けた請求項1に記載の換気装置。
【請求項3】
前記バックアップ電源の放電経路の放電電流値を少なくとも一つ以上の閾値の電流値を検知する放電電流検知手段と、前記放電電流検知手段の電流値により前記制御手段が過放電電流と判断すると、前記バックアップ電源の放電電流値を少なくとも一つ以上の閾値の電流を抑制する放電電流抑制手段とを設けた請求項1または2に記載の換気装置。
【請求項4】
室内の人の在室を検知できる人感センサーとを設けた請求項1から3のいずれか一項に記載の換気装置。
【請求項5】
前記バックアップ電源の充電の開始制御をする充電開始手段とを設けた請求項1から4のいずれか一項に記載の換気装置。
【請求項6】
前記バックアップ電源の放電電圧を少なくとも一つ以上の閾値の電圧を検知するバックアップ電圧検知手段とを設けた請求項1から5のいずれか一項に記載の換気装置。
【請求項7】
本発明は施工時に施工業者が設定変更でき、復電まで換気運転を一時的に停止させて前記バックアップ電源の蓄えた電力を放電のみを優先させることができる設定SWとを設けた請求項1から6のいずれか一項に記載の換気装置。
【請求項8】
使用者に知らせるためのLEDあるいはブザーの一方または両方による報知手段とを設けた請求項1から7のいずれか一項に記載の換気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−251702(P2012−251702A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123940(P2011−123940)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】