揮発性有機化合物の除去方法、ポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法、及び、食品用容器の製造方法

【課題】ポリフェニレンエーテル系樹脂を含有する樹脂粒子から揮発性有機化合物を除去するのに有効な揮発性有機化合物の除去方法を提供し、ひいては、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含有するポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法、並びに、このようなポリスチレン系樹脂発泡シートを用いた食品用容器の製造方法における臭気の問題を改善すること。
【解決手段】ポリフェニレンエーテル系樹脂を含んだ樹脂粒子から揮発性有機化合物を除去する揮発性有機化合物の除去方法であって、前記樹脂粒子のガラス転移温度をT(℃)とした際に、T−70(℃)よりも高温の気体中で前記樹脂粒子を流動させることにより該樹脂粒子に含まれている揮発性有機化合物を前記気体中に放出させて除去することを特徴とする揮発性有機化合物の除去方法などを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含んだ樹脂粒子から揮発性有機化合物を除去する揮発性有機化合物の除去方法、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含んだ樹脂粒子を含む原材料を押出発泡させるポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法、並びに、ポリスチレン系樹脂発泡シートを熱成形して食品用容器を作製する食品用容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリスチレン系樹脂ペレットと、気泡調整剤などを含有するマスターバッチとを押出機に供給して、当該押出機中において炭化水素などの発泡剤とともに溶融混練した後に、この溶融混練物を前記押出機の先端に装着したフラットダイやサーキュラーダイから押出発泡させることによってポリスチレン系樹脂発泡シートを連続的に製造し、得られたポリスチレン系樹脂発泡シートを熱成形して食品用トレーなどの容器を製造することが広く行われている。
【0003】
前記ポリスチレン系樹脂発泡シートは、単体で食品用容器の形成に用いられたり、表面に樹脂フィルムがラミネートされた後に食品用容器の形成に用いられたりしており、例えば、即席麺を収容させた丼容器のようにある程度の強度が求められるような用途においては、ポリスチレン系樹脂発泡シート単体で容器形状を形成させたのでは強度に対する要求を十分に満足させることが難しいことからポリスチレン系樹脂発泡シートにポリスチレン系樹脂フィルムやポリプロピレン樹脂フィルムをラミネートして容器の強度向上を図ることが行われている。
【0004】
なお、食品用容器などにおいては、強度とともに耐熱性に対する要望が強く、熱変形温度を向上させることが求められている。
このような要望に対して、ポリスチレン系樹脂製品の原材料にポリフェニレンエーテル系樹脂を添加して製品の熱変形温度を向上させることが従来検討されている(下記特許文献1参照)。
このポリフェニレンエーテル系樹脂は、それ自体が粉末状態で市販されたりもしているが、ポリフェニレンエーテル系樹脂単体では融点以上の温度においても流動性が低く、取り扱いが困難であるため、ポリフェニレンエーテル系樹脂を製造するメーカーにおいて予めポリスチレン系樹脂などの相溶性の高い樹脂との混合樹脂ペレットが作製されており、ポリフェニレンエーテル系樹脂の多くは、この混合樹脂ペレットの状態で利用されている。
そして、耐熱性が要求されるポリスチレン系樹脂発泡シートなどを作製するのに際して、前記混合樹脂ペレットとポリスチレン系樹脂ペレットとを所定の割合でブレンドし、製品に含有させるポリフェニレンエーテル系樹脂の割合を調整することが従来広く行われている。
【0005】
なお、ポリフェニレンエーテル系樹脂は、揮発性有機化合物を含有し、当該揮発性有機化合物によって臭気を発することが知られている。
このような臭気の発生は、ポリフェニレンエーテル系樹脂単体からなる粉末状の樹脂粒子のみならず前記混合樹脂からなるペレット状の樹脂粒子などにおいても見られ、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含有する樹脂粒子に共通して見られるものである。
そのため、ポリフェニレンエーテル系樹脂の添加によって耐熱性の向上を図ったポリスチレン系樹脂発泡シートを作製する場合には、前記混合樹脂ペレット自体から臭気が発生する上に、押し出されたポリスチレン系樹脂発泡シートからも前記揮発性有機化合物に由来する強い臭気が発生して一般的なポリスチレン系樹脂発泡シートを作製する場合に比べて作業環境を悪化させるおそれを有する。
さらには、ポリスチレン系樹脂発泡シートを熱成形した食品用容器などの成形品をも臭気を発する状態にさせてしまう場合がある。
このことに対して、例えば、下記特許文献1には、ポリフェニレンエーテル系樹脂とポリスチレン系樹脂とを含有する原材料を押出発泡させてポリスチレン系樹脂発泡シートを作製するのに際して、疎水性ゼオライトを消臭剤として前記原材料に所定量含有させてポリスチレン系樹脂発泡シートの臭気を抑制させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−094919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1のように、疎水性ゼオライトに揮発性有機化合物を吸着させる方法は、ある程度の消臭効果を得ることができるものの疎水性ゼオライトのような無機粉末を加えると、前記疎水性ゼオライトが気泡調整剤のごとく機能してしまいポリスチレン系樹脂発泡シートの発泡状態に影響を与えるおそれがある。
また、非発泡な成形品を形成させる場合であっても疎水性ゼオライトが成形品の物性に影響するおそれを有する。
このような点から、従来、疎水性ゼオライトを一定以上の添加量でポリスチレン系樹脂発泡シートの原材料に含有させることが困難な状況になっており、ポリスチレン系樹脂発泡シートに対する消臭効果にも限界を生じさせている。
しかも、疎水性ゼオライトを添加する方法は、混合樹脂ペレットやポリスチレン系樹脂発泡シートの消臭には、ある程度の効果を期待することができるもののポリフェニレンエーテル系樹脂粒子のみからなる粉末状の樹脂粒子が発する臭気の抑制には利用することができない。
【0008】
ここで、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含有する樹脂粒子から直接的に揮発性有機化合物を除去することが可能であれば、ポリスチレン系樹脂発泡シートの製造作業環境の改善を図り得るとともに得られる製品に従来以上の消臭効果が発揮されることを期待することができる。
しかし、これまでポリフェニレンエーテル系樹脂を含有する樹脂粒子から揮発性有機化合物を除去するのに有効な方法が見出されておらず、このような効果を期待することは困難である。
そのため、従来、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含有させたポリスチレン系樹脂発泡シートや、このようなポリスチレン系樹脂発泡シートを熱成形して得られる食品用容器を製造する作業環境を改善することが困難な状況になっている。
【0009】
本発明は、上記のような問題点に鑑み、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含有する樹脂粒子から揮発性有機化合物を除去するのに有効な揮発性有機化合物の除去方法を提供し、ひいては、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含有するポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法、並びに、このようなポリスチレン系樹脂発泡シートを用いた食品用容器の製造方法における臭気の問題を改善することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含有する樹脂粒子から揮発性有機化合物を除去する方法について鋭意検討を行った結果、前記樹脂粒子を流動させることで当該樹脂粒子から周囲の気体中に揮発性有機化合物が発散され、しかも、前記気体の温度を所定以上にすることで揮発性有機化合物の発散をより促進させうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち、揮発性有機化合物の除去方法に係る本発明は、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含んだ樹脂粒子から揮発性有機化合物を除去する揮発性有機化合物の除去方法であって、前記樹脂粒子のガラス転移温度をT(℃)とした際に、T−70(℃)よりも高温の気体中で前記樹脂粒子を流動させることにより該樹脂粒子に含まれている揮発性有機化合物を前記気体中に放出させて除去することを特徴としている。
【0012】
また、ポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法に係る本発明は、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含んだ樹脂粒子に、上記のような揮発性有機化合物の除去方法による揮発性有機化合物の低減化処理を実施し、得られた樹脂粒子を含む原材料を押出発泡させてポリスチレン系樹脂発泡シートを作製することを特徴としており、食品用容器の製造方法に係る本発明は、上記のようなポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法によって作製されたポリスチレン系樹脂発泡シートを熱成形して食品用容器を作製することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の揮発性有機化合物の除去方法によれば、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含有する樹脂粒子から多くの揮発性有機化合物が除去されることから、樹脂粒子の発する臭気を低減させることができる。
したがって、該樹脂粒子を含む原材料を押出発泡させてポリスチレン系樹脂発泡シートを作製する際の作業環境や、該ポリスチレン系樹脂発泡シートを熱成形して食品用容器を製造する際における臭気の発生を抑制させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】揮発性有機化合物の除去設備の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の好ましい実施の形態について図を参照しつつ説明する。
一般にポリフェニレンエーテル系樹脂は、通常、次の一般式で表される。
【化1】

【0016】
ここでR1及びR2は、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子を示し、nは重合度を表す正の整数である。
例示すれば、ポリ(2,6−ジメチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2,6−ジエチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2,6−ジクロルフェニレン−1,4−エーテル)等が知られている。
また、重合度nは、通常、10〜5000の範囲内である。
【0017】
そして、このようなポリフェニレンエーテル系樹脂のみからなる樹脂粒子には、トルエン、エチルベンゼンなどの揮発性有機化合物が含まれており、熱分解などによってブチルアミン、ブタンニトリル、ブチルメチルアミン、ブチルジメチルアミン、ノルマル酪酸、ジブチルアミンなどの揮発性有機化合物を発生させる場合がある。
また、例えば、樹脂粒子が、ポリフェニレンエーテル系樹脂とポリスチレン系樹脂とが予め溶融混練されてなる混合樹脂ペレットであれば、当該樹脂粒子には、通常、ポリスチレン系樹脂由来のスチレンモノマーなどの揮発性有機化合物がさらに含有されることになる。
【0018】
また、ポリスチレン系樹脂としては、スチレン単独重合体以外にも、例えば、メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、パラメチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレンなどのスチレン系単量体の単独重合体が知られており、このようなスチレン系単量体と他の単量体との共重合体などもポリスチレン系樹脂として広く利用がされている。
したがって、これらのポリスチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂との混合樹脂粒子であれば、上記のようなモノマーや、上記モノマーによる2量体、3量体といった成分も揮発性有機化合物として樹脂粒子に含有される場合がある。
本実施形態における揮発性有機化合物の除去方法は、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含んだ樹脂粒子に対して、上記のような成分を除去して樹脂粒子の消臭化を図るべく実施されるものである。
【0019】
なお、上記のような成分の内、ポリフェニレンエーテル系樹脂のみからなる樹脂粒子に対して本実施形態の揮発性有機化合物の除去方法を適用することで、ポリフェニレンエーテル系樹脂に由来する臭気成分の発生をより効果的に低減させ得る。
また、ポリフェニレンエーテル系樹脂とポリスチレン系樹脂との混合樹脂からなる樹脂粒子においては、スチレンモノマーなどの成分が多く含有されているため、当該混合樹脂粒子に対して本実施形態の揮発性有機化合物の除去方法を適用することで、ポリフェニレンエーテル系樹脂由来の揮発性有機化合物のみならず、ポリスチレン系樹脂由来の揮発性有機化合物を併せて除去することができることになる。
【0020】
まず、上記のようなポリフェニレンエーテル系樹脂を含んだ樹脂粒子に対して揮発性有機化合物の低減化処理を実施するための脱臭設備の一例について説明する。
図1は、揮発性有機化合物の除去に用いる脱臭設備を示した概略構成図であり図中の符号1は、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含んだ樹脂粒子が収容され、その内部において収容させた樹脂粒子から揮発性有機化合物を除去するためのチャンバーを表している。
また、符号2は、前記チャンバー1に空気を送り込むためのブロアを表しており、符合3は、前記ブロア2から前記チャンバー1に送り込まれる空気を加熱するための熱交換器を表している。
なお、以降において特段のことわりが無い限りにおいて“樹脂粒子”とは、“ポリフェニレンエーテル系樹脂を含んだ樹脂粒子”を意味する。
【0021】
前記チャンバー1は、縦置きされた円筒状の容器からなる本体部を有し、該容器の内部には、内部空間を上下に仕切る仕切板10が備えられている。
該仕切板10は、パンチングメタルやワイヤーメッシュなどの通気性の部材で構成されており、該仕切板10で区画されている上部スペース1aと下部スペース1bとの間を空気が往来可能となるよう設けられている。
前記上部スペース1aは、樹脂粒子Aを収容させるための空間であり、前記下部スペース1bは、前記ブロア2が大気中から吸引した空気を送り込むための空間として利用される。
【0022】
前記上部スペース1aは、仕切板10に近い下部側の一定領域においては、下部スペース1bと略同一の内径を有しているが、上下方向中間部において拡径されており、前記下部スペース1bと略同一の内径を有している領域の上側に、より大径な領域が形成されている(以下、下部側の小径な部分を「小径領域(1a’)」、上部側の大径な部分を「大径領域(1a”)」ともいう)。
【0023】
本実施形態における脱臭設備には、前記ブロア2に空気を吸引させるための吸気経路L1と、前記ブロア2の空気吹出し口から前記下部スペース1bへと通じる空気供給経路L2とがさらに備えられており、前記熱交換器3は、該空気供給経路L2の途中箇所に設置され、該空気供給経路L2を通じて前記下部スペース1bに供給される空気を加熱し得るように備えられている。
【0024】
また、本実施形態における脱臭設備には、前記上部スペース1aの空気をその上端部の大径領域1a”から系外に放出するための排気経路L3がさらに備えられている。
すなわち、本実施形態における前記チャンバー1は、下部スペース1bに導入した空気で上部スペース1aに上昇流を形成させ前記排気経路L3を通じて系外に排気し得るように形成されており、該上部スペース1aの上部側を径大にさせていることで、仮に前記上昇流によって樹脂粒子が舞い上げられたとしても、この大径領域1a”で空気の流速を低下させて樹脂粒子を落下させ得るように形成されている。
【0025】
このような脱臭設備を用いた樹脂粒子の脱臭方法としては、例えば、樹脂粒子Aを通過させない程度の目の細かなメッシュスクリーンなどを前記仕切板10の構成部材に採用した上で、前記上部スペース1aにおける小径領域1a’に樹脂粒子を収容させ、前記ブロア2によって前記チャンバー1内に上昇流となる気流Fを発生させて実施することができる。
この時、この気流Fの風圧によって前記樹脂粒子Aを下側から持ち上げて攪拌させ、所謂流動層を形成させるとともにこの流動層において樹脂粒子間を通過する空気の温度を、前記樹脂粒子Aを構成している樹脂組成物のガラス転移温度をT(℃)とした際に、T−70(℃)よりも高温になるように前記熱交換器3の温度を調整することが前記樹脂粒子Aから揮発性有機化合物を効率良く除去する上で重要である。
【0026】
このように樹脂粒子を流動させることで揮発性有機化合物を殆ど含有していない空気に樹脂粒子の表面が曝露されることになり、樹脂粒子中に含有されている揮発性有機化合物が樹脂粒子を取り巻く気体中に放出されることになる。
また、樹脂粒子の粒子間を通過させる空気の温度を上記のような温度とすることで樹脂粒子中の揮発性有機化合物の拡散速度を向上させることができ揮発性有機化合物をより効率良く樹脂粒子外に放出させることができる。
【0027】
このとき、温度が高い方が短時間で揮発性有機化合物を除去することができ、効率的に揮発性有機化合物を除去できる反面、過度に温度が高いと、特に混合樹脂ペレットにおいては、樹脂粒子どうしが付着してしまうおそれを有する。
このような観点から、樹脂粒子間を通過させる空気の温度は、樹脂粒子の軟化温度未満とすることが好ましい。
すなわち、樹脂粒子の軟化温度をT1(℃)とし、樹脂粒子間を通過させる空気の温度をT0(℃)とした場合に、該空気の温度(T0)は、以下の関係式(1)を満足させることが好ましい。

(T−70℃)<T0<T1 ・・・(1)
【0028】
なお、この樹脂粒子のガラス転移温度(T)についてはJIS K7121 9.3(1)に基づき求めることができ、「中間点ガラス転移温度(Tmg)」を測定することによって求めることができる。
例えば、樹脂粒子から6.5±0.5mg程度のサンプルを採取し、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、示差走査熱量計装置、型名「DSC6220」に前記サンプルをセットしてJIS K7121に基づく示差走査熱量分析を実施して求めることができる。
【0029】
また、上記軟化温度(T1)は、熱機械分析(TMA)によって求めることができ、JIS K7196「熱可塑性プラスチックフィルム及びシートの熱機械分析による軟化温度試験方法」記載の方法に準拠して求めることができる。
例えば、樹脂粒子を熱プレスするなどして、厚み3mmのプレート状成形体を作製した後、縦5mm×横5mm×厚み3mmの試験片を切り出し、 熱・応力・歪み測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、商品名「EXSTRAR TMA/SS6100」)を用い、針入試験モード(針の先端 1mmφ)、荷重500mNで、試験片に針を当てて、昇温速度5℃/分で温度を上げ、TMA曲線で、圧子(針)が侵入を始めるよりも低温側に認められる直線部分を高温側に延長し、侵入速度が最大となる部分の接線の低温側への延長線との交点を針入温度とし、その針入温度をこの樹脂粒子の軟化温度として求めることができる。
なお、上記軟化温度が2点ある場合は、樹脂粒子間を通過させる空気の温度は、少なくとも高温側の軟化温度以下とすることが好ましく低温側の軟化温度以下とすることがさらに好ましい。
【0030】
樹脂粒子間を通過する空気の温度(T0)については、チャンバー1の小径領域1a’に温度センサーをセットするなどして直接的に求めることも可能であるが、前記下部スペース1bの気温と、前記大径領域1a”の気温との間に実質的な温度差がなければ、樹脂粒子間を通過する空気の温度もこれらの温度と同じであるとみなすことができる。
【0031】
前記チャンバー内における空気の流速は、樹脂粒子を流動させることができる流速から適宜選択が可能であり、通常、容器内の樹脂粒子の形状、粒子径、及び、収容量などにより調整され得る。
樹脂粒子を流動させるためのチャンバー内における空気の流速は、通常、0.1〜5.0m/秒程度である。
なお、チャンバー内を通過させる空気の流速を上げるほど揮発性有機化合物を短時間に除去することができる反面、過度に流速を上げるとブロア2の運転に必要なエネルギーが過大になるとともに樹脂粒子どうし、或いは、樹脂粒子とチャンバー1の内壁面とが激しく衝突して樹脂粒子の微粉末を発生させるおそれを有する。
このようなことから、チャンバー内を通過する空気の流速は0.2〜2.5m/秒であることが好ましい。
この空気の流速は、チャンバー内を単位時間当たりに通過する常圧換算の空気の流量を、樹脂粒子Aが収容されている箇所におけるチャンバー内部空間の断面積で除して求めることができる。
【0032】
なお、チャンバー内を通過させる空気の量については、樹脂粒子が収容されている領域を通過するときに生じる圧力損失でも適正化を図ることが出来る。
例えば、チャンバー内の下部スペース1bと、樹脂粒子が収容されている領域よりも上側の上部スペース1aとの差圧(樹脂粒子を通過する際の圧損)が1〜500kPaの範囲内になるように調整することが好ましく、100〜400kPaの範囲内になるように調整することがより好ましい。
【0033】
また、このような気体を流通させる時間は、気体の温度や流速、求める揮発性有機化合物の除去効果等によって適宜変更が可能ではあるが、通常、数時間程度とされる。
例えば、気体を流通させる時間、すなわち、揮発性有機化合物の除去を行う処理時間は、0.5〜12時間の範囲から適宜選択されうる。
【0034】
なお、このような揮発性有機化合物を低減化させる処理を、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含有する樹脂粒子に対して実施することで揮発性有機化合物を含有した排気がチャンバー1から排気経路L3を通じて排出されることになるが、この排気については、別途スクラバーなどを用いて含有する揮発性有機化合物を除去させることができる。
【0035】
このようにして揮発性有機化合物の低減化処理がポリフェニレンエーテル系樹脂を含有する樹脂粒子に対して実施されることで、当該樹脂粒子が発する臭気がその使用前に低減されることになる。
したがって、このような樹脂粒子を取り扱う作業環境を良好なものとすることができる。
【0036】
なお、上記の実施形態においては、加熱した空気で上昇流を形成させ、該上昇流によって樹脂粒子を攪拌させて流動層を形成させる場合を例示しているが、空気以外の、例えば、窒素などの気体を用いても上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、必ずしも、気体の上昇流によって樹脂粒子を攪拌させる必要はなく、プロペラ攪拌翼などによって樹脂粒子を攪拌しつつ樹脂粒子の間にガラス転移温度(T)−70℃よりも高温の気体を通過させて樹脂粒子が含有している揮発性有機化合物を樹脂粒子から除去するようにしてもよい。
その場合、気体の流れは上昇流である必要はなく、下降流であってもよい。
【0037】
また、ポリフェニレン系樹脂を含有する樹脂粒子からの揮発性有機化合物の除去方法として上記実施形態においては、回分式(バッチ式)の方法を挙げているが、例えば、粒子サイズの分別等に使用されているトロンメル式回転篩のような設備を採用することで連続式の方法とすることもできる。
【0038】
すなわち、トロンメル式回転篩においては、横置きした円筒状の篩を回転させ、該篩の一端側から被分別物を導入して、前記篩の回転によって前記被分別物を篩の回転方向に持ち上げた後に自然落下させつつ他端側に移動させ、該移動中に篩の目を通過するものと通過しないものとに分別するような用途に利用されているが、例えば、ポリフェニレン系樹脂を含有する樹脂粒子よりも細かな目開きのトロンメル式回転篩内の一端側に樹脂粒子を連続的に供給してトロンメル式回転篩の回転により樹脂粒子を流動させつつ他端側に移動させ、しかも、該トロンメル式回転篩の内部に樹脂粒子のガラス転移温度(T)−70℃よりも高温な気体を流通させて、揮発性有機化合物の除去を行うことで樹脂粒子に対する揮発性有機化合物の低減化処理を連続的に実施させることができる。
【0039】
次いで、このような揮発性有機化合物の低減化処理が施された樹脂粒子を用いてポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法について説明する。
本実施形態においては、揮発性有機化合物の低減化処理を樹脂粒子に施す点以外については、ポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法として、従来採用されている方法を採用することができる。
例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂とポリスチレン系樹脂とが溶融混練されてなる混合樹脂ペレットと、ポリスチレン系樹脂ペレットとを所定の割合でブレンドし、これに、タルクなどの気泡調整剤を含んだマスターバッチをさらに加え、必要に応じて疎水性ゼオライトなどの消臭剤を含んだ消臭剤マスターバッチを加えて原材料の配合を調整し、該原材料を押出機に供給して該押出機中において炭化水素などの発泡剤をさらに加えて溶融混練し、該溶融混練された混練物を押出機の先端部に設けたサーキュラーダイの円環状のダイスリットから吐出させて押出発泡させる方法を採用することが可能である。
【0040】
そして、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含んだ混合樹脂ペレット、ポリスチレン系樹脂ペレット、気泡調整剤マスターバッチ、並びに、消臭剤マスターバッチをブレンドする際には、これらの樹脂粒子をタンブラーミキサーやリボンブレンダーなどの混合装置で均一混合させる工程が採用されることになるが、本実施形態に係る揮発性有機化合物の除去方法による揮発性有機化合物の低減化処理を前記混合樹脂ペレットに実施しておくことで、このようなブレンドを行う工程における臭気の発生を抑制させることができる。
【0041】
また、揮発性有機化合物は、押出機などの高温環境下において当該揮発性有機化合物の分解生成物や反応生成物といった別の揮発性有機化合物を形成させる原因になるおそれを有するが、本実施形態のポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法においては、予め樹脂粒子に揮発性有機化合物の低減化処理を施すことから押出時に揮発性有機化合物の分解生成物などによる臭気が発生することを抑制させうるとともに得られるポリスチレン系樹脂発泡シートからの臭気の発生を抑制させる効果を期待することができる。
すなわち、このようなポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法においては、上記に示したような揮発性有機化合物の除去方法による揮発性有機化合物の低減化処理がポリフェニレンエーテル系樹脂を含有する樹脂粒子に施された後で、該樹脂粒子を他の原材料とともに押出発泡させることにより従来のポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法に比べて改善された作業環境とすることができる。
【0042】
なお、このような効果については、ポリフェニレンエーテル系樹脂のみからなる粉末状樹脂粒子を、予めポリスチレン系樹脂ペレットとブレンドすることなく、他の原材料とは別に定量フィーダーなどによって直接押出機に供給してポリスチレン系樹脂発泡シートを作製するような場合においても同様に得られるものであり、このような場合も本発明が意図する範囲内のものである。
【0043】
次いで、このようなポリスチレン系樹脂発泡シートを用いた食品用容器の製造方法について説明する。
従来の食品用容器の製造方法においては、ポリスチレン系樹脂発泡シートに必要に応じて樹脂フィルムなどをラミネートした後で、プレス成形、真空成形、圧空成形、真空・圧空成形などの熱成形を施す方法が、広く採用されている。
本実施形態においては、上記のように用いる樹脂粒子に対して予め揮発性有機化合物の低減化処理を実施して作製されたポリスチレン系樹脂発泡シートを使用する点を除いて、従来の食品用容器の製造方法と同様の方法を採用することができる。
すなわち、本実施形態における食品用容器の製造方法としては、上記製造方法によって得られたポリスチレン系樹脂発泡シートに前記熱成形を実施して食品用容器を製造する方法を採用することができる。
このとき前記ポリスチレン系樹脂発泡シートは、当該ポリスチレン系樹脂発泡シート単独で前記熱成形を実施することもでき、樹脂フィルムなどをラミネートした積層発泡シートの状態で前記熱成形を実施することもできる。
本実施形態の食品用容器の製造方法においては、上記のような製造方法で得られたポリスチレン系樹脂発泡シートを使用することから、熱成形前のポリスチレン系樹脂発泡シートが発する臭気や、熱成形において発生する臭気の低減を期待することができるばかりか得られる食品用容器が発する臭気も低減させ得る。
なお、このような効果については、必ずしも食品用容器に限らず、ポリスチレン系樹脂発泡シートを熱成形して得られる成形品全般において期待することができるものではあるが、食品用容器は、他の成形品に比べて容器自体の臭気の有無が特に重要視されることから、このような効果がより顕著に発揮されるものであるといえる。
【0044】
特に、収容させた食品を電子レンジで加熱調理するためのレンジアップ容器においては優れた耐熱性が求められているが、容器自体も加熱されるレンジアップ容器においては揮発性有機化合物を含有していると加熱調理時に臭気が発生させるおそれがあることから、これまでポリフェニレンエーテル系樹脂を原材料に加えて耐熱性を付与することが難しい状況になっていた。
一方で、本実施形態における揮発性有機化合物の除去方法によって揮発性有機化合物の低減化処理を樹脂粒子に対して実施することでポリフェニレンエーテル系樹脂を含有させつつ上記レンジアップ容器の形成材料として適したポリスチレン系樹脂発泡シートを作製することができる。
すなわち、揮発性有機化合物の低減化処理された樹脂粒子を含むポリスチレン系樹脂発泡シートを熱成形してレンジアップ容器を作製することで、優れた耐熱性を有しつつも臭気の発生が抑制された製品を作製することができる。
【0045】
なお、本発明は、これまでに例示の態様に限定されるものではなく、揮発性有機化合物の除去方法、ポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法、及び、食品用容器の製造方法において従来公知の事象を上記例示の具体的方法にさらに採用することが可能なものである。
【実施例】
【0046】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0047】
(実験方法)
ポリフェニレン系樹脂のみからなる粉末状の樹脂粒子(サビック社製、「Noryl PP0646」:ガラス転移温度=210℃)と、ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE)とポリスチレン樹脂(PS)との混合樹脂(サビック社製、商品名「Noryl EFN4230」、PPE/PS=70/30:ガラス転移温度=170℃)からなるペレット状の樹脂粒子との2種類の樹脂粒子から揮発性有機化合物を除去すべく図1に示すような構成を有する流動層乾燥装置を用いて実験を行った。
【0048】
(粉末状樹脂粒子に対する揮発性有機化合物の低減化処理)
大河原工業社製の流動層乾燥装置「FBS−0.5型」に前記粉末状樹脂粒子(「Noryl PP0646」)4.8kgを収容させた。
なお、この時の装置内における樹脂粒子の堆積高さは200mmであった。
この状態で、200℃前後の温度の空気を循環して樹脂粒子の温度が160℃になった時点で、空気の温度を160℃に維持し、風速0.56m/sの上昇流を装置内に形成させ、該上昇流によって樹脂粒子を流動させて流動層を形成させた。
なお、この時の流動層の圧損は165kPaであった。
この160℃の空気を樹脂粒子の粒子間を通過させるとともに、この空気で樹脂粒子を流動させる処理を6時間実施した。
そして、この処理開始後1時間、3時間、及び、6時間(処理終了時)の樹脂粒子を経時変化を見るためのサンプルとして抜き出した。
【0049】
(ペレット状樹脂粒子に対する揮発性有機化合物の低減化処理)
大河原工業社製の流動層乾燥装置「FB−0.5型」に前記ペレット状樹脂粒子(「Noryl EFN4230」)6.0kgを収容させた。
なお、この時の装置内における樹脂粒子の堆積高さは200mmであった。
この状態で、160℃〜167℃の温度の空気を循環して樹脂粒子の温度が160℃になった時点で、空気の温度を160℃に維持し、風速2.3m/sの上昇流を装置内に形成させ、該上昇流によって樹脂粒子を流動させて流動層を形成させた。
なお、この時の流動層の圧損は365kPaであった。
この160℃の空気を樹脂粒子の粒子間を通過させるとともに、この空気で樹脂粒子を流動させる処理を6時間実施した。
そして、この処理開始後3時間、及び、6時間(処理終了時)の樹脂粒子を経時変化を見るためのサンプルとして抜き出した。
【0050】
(樹脂粒子からの揮発性有機化合物の含有量調査)
樹脂粒子が発するおそれの揮発性有機化合物について調査すべく以下のようなヘッドスペース法によるガスクロマトグラフ質量分析を実施した。

試料約0.1mgを20ml専用ガラスバイアルに精秤密封し、ジエチルベンゼン(DEB)を含んだN,N−ジメチルホルムアミド1mLで溶解させ、90℃×1時間の加熱を行って気層からサンプリングを行い、このサンプリングされた気体中の揮発性有機化合物の含有量を調査した。
より、具体的には、HTA社製ヘッドスペースオートサンプラー「HT200H」を島津製作所製のガスクロマトグラフ「GC−18A」にセットして前記サンプリングした気体中の成分を内部標準法(DEB)により定量した。
なお、検出器には水素炎イオン化検出器(FID)を用い、カラムは株式会社島津ジーエルシーの「ZB−WAX」(0.25μm×0.25mmφ×30m)とした。
そして、測定条件は以下の通りとした。
・カラム温度:
60℃で3分間保持、20℃/分で100℃まで昇温、100℃で3分間保持、40℃/分で220℃まで昇温、220℃で0.5分間保持
・キャリアガス:ヘリウム(流量1.6mL/分)
・注入口温度:150℃
・検出器温度:250℃
・注入量:2mL
・スプリット比:1/70
・ガス圧力:122kPa
【0051】
(熱分解等による揮発性有機化合物の発生量調査)
押出発泡等においては樹脂粒子に加えられる熱によって、元々含有されていた揮発性有機化合物以外にも熱分解によって新たに揮発性有機化合物が形成される可能性がある。
ここでは、以下のようなパージアンドトラップ(P&T)法によるガスクロマトグラフ質量分析を実施して、樹脂粒子を250℃の温度で加熱した際に発生する揮発性有機化合物についての評価を行った。

まず、粉末状樹脂粒子はそのままの状態で、ペレット状樹脂粒子は薄くスライスした後で、試料約10mgを精秤し、アルミホイルに包んでガラスライニングステンレスチューブ(GLT管)にセットした。
この状態でGLT管を250℃の温度で5分間加熱し、発生ガスをクライオフォーカス部にコールドトラップし、その後、熱脱着して揮発成分をガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MAS)に導入させて測定を行った。
なお、測定には、日本電子データム社製のGC/MAS(型名「JMS−Q1000GC」)に、液クロサイエンス社製のP&Tオートサンプラー(型名「TD−4J」)を組み合わせ、Phenomenex社製のカラム(ZB−1(10μm×0.25mmφ×60m))を用いて測定した。

また、P&T条件は以下の通りとした。
PurgeTime(10s),InjectionTime(20s),DesorbTime(300s),DelayStartTime(10s),DesorbHeater(250℃),CryoTempHeating(200℃),CryoTempCooling(−40℃)

さらに、測定条件は以下の通りとした。
・カラム温度:
40℃で3分間保持、15℃/分で200℃まで昇温、25℃/分で250℃まで昇温、250℃で6.33分間保持
・キャリアガス:ヘリウム(流量:1mL/分)
・注入口温度:250℃
・インターフェイス温度:250℃、
・検出器電圧:−1146V
・スプリット比:1/10
・イオン源温度:250℃
・イオン化電流:300μA
・イオン化エネルギー:70eV
【0052】
上記の調査の結果をそれぞれ表1、表2に示す。
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

【0055】
上記評価結果において、表1では、ペレット状樹脂粒子の方が、粉末状樹脂粒子に比べて、揮発性有機化合物の低減化処理前(以下「初期段階」ともいう)におけるトルエン、スチレン、エチルベンゼンなどの含有量が多く観察されている。
これは、粉末状樹脂粒子がポリフェニレンエーテル系樹脂のみからなるものであるのに対して、ペレット状樹脂粒子がポリフェニレンエーテル系樹脂とポリスチレン系樹脂との混合樹脂によって形成されている点に基づくものであると考えられる。
すなわち、ペレット状樹脂粒子におけるトルエン、スチレン、エチルベンゼンなど多くはポリスチレン系樹脂に由来するものであると考えられる。
【0056】
なお、揮発性有機化合物の低減化処理後においては、初期段階に比べて、これらの成分が大きく減少されており、本発明によれば樹脂粒子からの臭気が抑制され得ることがわかる。
【0057】
また、表1と表2とを比較すると、初期段階の樹脂粒子からのトルエン、スチレン、エチルベンゼンの発生量が表1よりも表2の方が大きく低下している。
これは、表2に示す評価においては、250℃の温度で加熱を行っているために、これらの成分が他の成分と反応したり、分解したりしてその分子構造を変化させたためであると考えられる。
先にも述べたように、本発明の揮発性有機化合物の除去方法を実施することによって樹脂粒子が含有するトルエン、スチレン、エチルベンゼンの量が低減化される。
したがって、本発明の揮発性有機化合物の除去方法を実施することによって、例えば、樹脂粒子を押出発泡させるなどした際に、該樹脂粒子に含まれているトルエン、スチレン、エチルベンゼンが反応・分解して別の臭気成分となることが抑制されることになる。
実際、この表2においては、多くの成分が揮発性有機化合物の低減化処理によってその発生量を低下させていることが示されており、本発明によれば樹脂粒子からの臭気の発生のみならず、押出時など樹脂が高い温度で加工させる際における臭気の発生を抑制させ得るものであることがわかる。
すなわち、本発明によれば、ポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法などにおける作業環境の改善効果が期待できることが上記結果からもわかる。
【符号の説明】
【0058】
1:チャンバー、2:ブロア、3:熱交換器、A:樹脂粒子、F:気流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリフェニレンエーテル系樹脂を含んだ樹脂粒子から揮発性有機化合物を除去する揮発性有機化合物の除去方法であって、
前記樹脂粒子のガラス転移温度をT(℃)とした際に、T−70(℃)よりも高温の気体中で前記樹脂粒子を流動させることにより該樹脂粒子に含まれている揮発性有機化合物を前記気体中に放出させて除去することを特徴とする揮発性有機化合物の除去方法。
【請求項2】
前記樹脂粒子が、ポリフェニレンエーテル系樹脂のみからなる樹脂粒子である請求項1記載の揮発性有機化合物の除去方法。
【請求項3】
前記樹脂粒子が、ポリフェニレンエーテル系樹脂とポリスチレン系樹脂との混合樹脂からなる樹脂粒子である請求項1記載の揮発性有機化合物の除去方法。
【請求項4】
前記樹脂粒子を容器内に収容させるとともに前記気体が前記樹脂粒子の下方側から上方側に向けて通過するように前記容器内に上昇流を形成させ、且つ、該上昇流によって前記樹脂粒子を流動させる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の揮発性有機化合物の除去方法。
【請求項5】
ポリフェニレンエーテル系樹脂を含んだ樹脂粒子に、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の揮発性有機化合物の除去方法による揮発性有機化合物の低減化処理を実施し、得られた樹脂粒子を含む原材料を押出発泡させてポリスチレン系樹脂発泡シートを作製することを特徴とするポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法。
【請求項6】
請求項5記載のポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法によって作製されたポリスチレン系樹脂発泡シートを熱成形して食品用容器を作製することを特徴とする食品用容器の製造方法。
【請求項7】
前記食品用容器が、収容させた食品を電子レンジで加熱調理するためのレンジアップ容器である請求項6記載の食品用容器の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−67175(P2012−67175A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212454(P2010−212454)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】