揺動装置
【課題】比較的荷重の大きい揺動対象物(重荷重の揺動対象物)の揺動を効率良く行うことができ、かつ長期にわたって揺動性能を安定に維持でき、しかも構造が簡単で低コスト化を容易に実現できる揺動装置を提供する。
【解決手段】機台7と、該機台上に設けられ揺動対象物が載置される天板8と、前記機台に設けられ、前記天板を円形の移動軌跡で移動させる揺動用駆動ユニットと、前記機台に設けられた受け部材43の上面上を転動するボール53を下部に有し上端部が前記天板に取り付けられ前記天板と一体に移動可能とされた可動支持体50とを具備することを特徴とする揺動装置1を提供する。
【解決手段】機台7と、該機台上に設けられ揺動対象物が載置される天板8と、前記機台に設けられ、前記天板を円形の移動軌跡で移動させる揺動用駆動ユニットと、前記機台に設けられた受け部材43の上面上を転動するボール53を下部に有し上端部が前記天板に取り付けられ前記天板と一体に移動可能とされた可動支持体50とを具備することを特徴とする揺動装置1を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、いわゆるペール缶、一斗缶、ドラム缶などの容器内の液体の攪拌及び/又は脱泡のために前記容器を円形の移動軌跡を描くように移動して揺動させること等、比較的重量が大きい揺動対象物の揺動に好適に使用できる揺動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
実験室レベルにおいては、ビーカー内の液体の攪拌等のため、ビーカーを揺動させる小型の揺動装置(いわゆる振とう器)が知られている。しかしながら、この小型の揺動装置は、例えば液晶ディスプレイの生産ラインにおける液晶の攪拌、脱泡等、数リットルあるいはそれ以上の比較的多量の液体の攪拌、脱泡に適用できるものではない。
【0003】
工場内にて数リットル〜数十リットル程度の液体を攪拌する方法としては、例えば、液体を収容した容器にその上部開口部から入れたスクリューを電動モータ等によって回転駆動してシェイクする方法がある。しかしながら、この方法には以下の(a)、(b)のような不都合がある。
(a)攪拌完了後の容器の搬送時などにスクリューの昇降が必要である。特に容器の搬入と攪拌後の容器の搬出とを繰り返し行って、複数の容器について攪拌作業を順次行う場合には、容器交換の度にスクリューを昇降させる必要がある。また、攪拌の度にスクリューを容器に対して適切な高さに支持する必要がある。
(b)容器寸法、液体の粘度等に応じて適切なスクリューを必要とするため、容器の変更等に容易に対応できないケースがある。また、液量が少なく液位が低いと攪拌出来ないケースが発生する。
また、容器内の液体の脱泡のための渦流形成にスクリューを用いる場合も、上述の(a)、(b)の不都合が存在することは、攪拌の場合と同様である。但し、スクリューを用いた渦流形成は、スクリューの回転による液体への気泡巻き込みを防ぐ必要から、スクリュー回転速度等の条件が厳しく、脱泡効率を高めることが容易でないといった問題もある。
【0004】
上述のスクリューを用いる方法以外では、例えば、真っ直ぐな案内レールにその長手方向に移動自在に設けられたスライドユニットを駆動機構によって往復動させる構成の装置(以下、直動装置ともいう)を複数(例えば4台)用いて井桁状に組み上げた揺動機構部上に容器載せ台を有する構造の揺動装置を用いる方法も検討されている。
前記直動装置としては、例えば、前記スライドユニットと前記案内レールとの間に介在させる多数のボールを有し、スライドユニットの移動に伴い転動する前記ボールを前記スライドユニットに設けられた循環路を介してスライドユニットと案内レールとの間に戻して循環させる構成のもの(例えば特許文献1)が用いられる。
前記揺動装置は、揺動機構部の各直動装置の駆動制御によって、複数の直動装置のスライドユニットの往復運動を容器載せ台の回転運動に変換して、容器載せ台上に載置された容器を容器載せ台とともに揺動する構成となっている。この揺動装置は、揺動機構部の制御によって容器載せ台に所定円周上を移動する回転運動を与えることで、容器載せ台上に載置された容器内の液体全体を回転させて攪拌あるいは脱泡のための渦流形成を行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05−126148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、液晶等、工業的に使用される液体材料にあっては、数リットル〜数十リットル程度の液量の攪拌や脱泡を容器内の液体に渦流を形成して行うことが求められる場合がある。
既述の直動装置を用いた揺動装置による容器内の液体の渦流形成は、容器載せ台に直径数mm程度の仮想円周上を移動する回転運動を与えて行う。
【0007】
しかしながら、従来の揺動装置は、各直動装置のスライドユニットの往復運動を回転運動に変換する構成であり、上述のように容器内の液体に渦流を形成する場合は、それぞれの直動装置のスライドユニットの往復動範囲が数mm程度となる。このためスライドユニットとレールとの間に介在されたボールが狭い転動範囲を繰り返し往復動して循環しない結果、早期に焼き付きを生じて、装置がロックするという問題を有している。
【0008】
前記焼き付きの対策としては、直動装置のボールの移動経路への潤滑用グリスの供給を挙げることができる。直動装置としては、ボールの移動経路に潤滑用グリスを供給するために、グリスニップル等の潤滑剤供給手段が設けられたものが広く提供されている。しかしながら、直動装置は、ボールの移動経路の一部に供給した潤滑用グリスを、スライドユニットの移動に伴うボールの循環によってボールの移動経路全体に行き渡らせる構造が一般的である。このため、上述のようにボールが狭い転動範囲を繰り返し往復動する状況では、ボールの循環によるボール移動経路全体へのグリスの供給を実現できず、ボール移動経路の一部に油ぎれを生じやすいことから、焼き付きを防止することが困難であることが実情である。
また、従来の揺動装置は、構造が複雑である、高価な直動装置を複数使用するためコストが嵩むといった問題もある。
【0009】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、数リットル〜数十リットル程度の液体を収容した容器等、比較的荷重の大きい揺動対象物(重荷重の揺動対象物)の揺動を効率良く行うことができ、かつ長期にわたって揺動性能を安定に維持でき、しかも構造が簡単で低コスト化を容易に実現できる揺動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述の課題を解決するべく以下の構成を提供する。
第1の発明は、機台と、該機台上に設けられ揺動対象物が載置される載置台と、前記機台に設けられ、前記載置台を円形の移動軌跡で移動させる揺動用駆動ユニットと、前記機台に設けられた受け部材の上面上を転動するボールを下部に有し上端部が前記載置台に取り付けられ前記載置台と一体に移動可能とされた可動支持体とを具備することを特徴とする揺動装置を提供する。
第2の発明は、前記可動支持体は、前記載置台に上端部が固定された支柱の下端部に、前記ボールの外径に比べて厚み寸法が小さいプレート状部材であり前記受け部材上の前記ボールを回転自在に収納するボール孔が複数形成されたプレート状のリテーナを有し、前記支柱に垂直に固定して前記リテーナよりも上側に配置した上側受け板を前記ボール上に載置していることを特徴とする第1の発明の揺動装置を提供する。
第3の発明は、前記リテーナはリング板状であり、前記支柱の下端部に該支柱の軸線に直交する方向に移動可能に外挿されていることを特徴とする第2の発明の揺動装置を提供する。
第4の発明は、底部に前記受け部材を有し前記機台に取り付けられたケース内に、前記可動支持体の前記上側受け板及び該上側受け板から下側の部分を、前記受け部材上面に沿う移動を許容して収納し、前記可動支持体の支柱を前記ケースの上板に開口された窓部に通して前記ケースから上方に突出させた補助支持ユニットを有し、前記ケースは、その外側から内側に潤滑用グリスを注入するためのニップルを有することを特徴とする第2又は3の発明の揺動装置を提供する。
第5の発明は、前記ケースが、その内部に潤滑用グリスを貯留可能な潤滑剤貯留容器とされていることを特徴とする第3又は4の発明の揺動装置を提供する。
第6の発明は、前記揺動用駆動ユニットが前記載置台の下側に設けられて前記載置台を円形の移動軌跡で移動させるものであり、前記揺動用駆動ユニットは、回転駆動源と、この回転駆動源が発生する回転駆動力によって上下方向の回転軸線を以て回転駆動される回転部材上に前記回転軸線に対して平行かつ偏心させて立設した軸体の上端部を前記載置台に設けて前記軸体から前記載置台に前記回転駆動源の回転駆動力を伝達可能とした複数の回転ユニットとを有し、前記複数の回転ユニットは、前記回転部材の回転軸線が互いに平行かつ前記回転軸線に対する前記軸体の偏心量が互いに同じに揃えられ、しかも前記軸体は前記載置台及び前記回転部材の少なくとも一方に対して該軸体の軸線を中心に回転可能に設けられ、全ての前記軸体が互いの相対的な位置関係を保ったまま前記回転駆動源の回転駆動力によって一括して回転駆動されることを特徴とする第1〜5のいずれか1つの発明の揺動装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の揺動装置によれば、載置台が揺動用駆動ユニットによって円形の移動軌跡を描くように回転運動されるに伴い、可動支持体も円形の移動軌跡を描くように回転運動される。載置台の回転運動中、可動支持体のボールは、機台に設けられた受け部材上を連続的に転動し、受け部材におけるボールの接触部分が変わるから、焼き付きの原因となる局所的な加熱(接触摩擦によって局所的に高温になる)が生じにくい。その結果、この揺動装置は、従来の揺動装置のように焼き付きによって作動がロックするといった不都合が生じにくく、長期にわたって揺動性能を安定に維持できる。
また、この揺動装置は、受け部材上でのボールの転動によって機台に対して移動可能な可動支持体によって載置台を安定支持できる。また、可動支持体の設置数は、載置台を安定支持するために、載置台のサイズ等に応じて適宜設定できる。このため、この揺動装置は、例えば数リットル〜数十リットル程度の液体を収容した容器等、比較的荷重の大きい揺動対象物(重荷重の揺動対象物)の揺動を安定に効率良く行うことができる。
また、この揺動装置は、従来の直動装置を複数用いる従来の揺動装置に比べて、構造が簡単で、低コスト化を容易に実現できる
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態の揺動装置を上方から示す斜視図である。
【図2】図1の揺動装置の平面図である。
【図3】図1の揺動装置の側面図である。
【図4】図1の揺動装置における揺動用駆動ユニットを示す断面図である。
【図5】図1の揺動装置における補助支持ユニットの断面図である。
【図6】図1の揺動装置における補助支持ユニットの内部構造を示す図であって、(a)は縦断面図、(b)は平断面図である。
【図7】図1の揺動装置の動作を説明するモデル図である。
【図8】別態様の補助支持ユニットを示す断面図である。
【図9】本発明の一実施形態の揺動装置の制御部の一例を示す正面図である。
【図10】図1の揺動装置の使用状態の一例を示す側面図である。
【図11】図1の揺動装置の使用状態の一例であり、液体を収容し、可撓性配管を介して真空装置と接続した容器を載置台(天板)上に載置した状態を示す全体図である。
【図12】図1の揺動装置の使用状態の一例であり、液導入配管及び液排出配管を接続し、開閉可能な蓋が存在しない容器を、載置台(天板)上に載置した状態を示す全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る1実施形態の揺動装置を図面を参照して説明する。
なお、図1−図5、図6(b)、図8−図10において、上側を上、下側を下として説明する。
図1に示すように、前記揺動装置1は、機台7と、該機台7上に設けられた天板8と、前記機台7に設けられ、前記天板7を円形の移動軌跡で移動させる揺動用駆動ユニット2と、前記機台7上に設けられ前記天板8を支持する複数(図示例では3つ)の補助支持ユニット3とを具備して構成されている。
【0014】
図示例の前記天板8は円板状に形成されている。この天板8は、揺動対象物を載せる載置台として機能するものである。図10に示すように天板8には、該天板8上に設けられた円板状のカバープレート10を介して、揺動対象物として例えばドラム缶やペール缶等の容器9が載置される。円板状の天板8、カバープレート10の使用は、丸形の底面を有する容器9の載置に好適である。
【0015】
前記カバープレート10は、天板8上の複数箇所に突設された支持突部8a上に載置することで、ねじ24の頭部24a等の前記天板8上の突出物よりも上側に配置され、天板8上に揺動対象物を載置するための平坦な載置面10aを形成する。ねじ24の頭部24a等の突出物が天板8上に存在しない場合や、揺動対象物が天板8上の突出物との接触を回避できる形状になっている場合、天板8上の突出物が天板8に対する揺動対象物の固定に利用されるものである場合などは、カバープレート10の使用を省略して、天板8上に揺動対象物を直接載置することも可能である。
【0016】
なお、天板8やカバープレート10は円板状のものに限定されず、揺動対象物の形状等に応じて、種々の形状のものを適宜選択使用できる。天板8やカバープレート10としては例えば矩形板状、六角形板状のもの等も採用可能である。
【0017】
前記揺動装置1は、例えば液体を収容した容器9を天板8上に載置した状態で揺動用駆動ユニット2によって前記天板7を円形の移動軌跡で移動させることで、前記容器9内の液体を揺動して、攪拌あるいは液体内からの空気の脱泡を行うことが可能となっている。
【0018】
図1、図10に示すように、前記機台7は、プレート状のベース台5上に複数のポスト6を介して台板7aをベース台5上面に平行に支持した構成になっている。また、機台7は、該揺動装置1を設置する設置床上方に前記ベース台5を支持するための複数の脚部(図示略)を有している。
この揺動装置1は、前記機台7のベース台5を設置床上に水平設置することで台板7aが水平になり、揺動用駆動ユニット2及び補助支持ユニット3によって前記機台7上方に前記台板7aと平行に支持された天板8も水平となる。
【0019】
図4に示すように、揺動用駆動ユニット2は、回転駆動源として機台7に取り付けられたモータ11(例えば電動モータ)と、機台7に上下方向の回転軸線を以て回転自在に設けられた回転部材K上にその回転軸線に対して平行かつ偏心させて軸体Jが立設され前記モータ11の回転駆動力によって回転される複数(図示例では2つ)の回転ユニット2A、2Bとを具備して構成されている。
【0020】
また、図示例の揺動用駆動ユニット2は、2つの回転ユニット2A、2Bの一方(符号2Aの回転ユニット。以下、原動側回転ユニットとも言う)に固定されたプーリ20(以下、原動プーリとも言う)と、他方の回転ユニット2B(以下、従動側回転ユニットとも言う)に固定されたプーリ28(以下、従動プーリとも言う)とに巻き掛けられた無端状の駆動力伝達ベルト32を有している。そして、この揺動用駆動ユニット2は、前記モータ11から与えられた回転駆動力によって回転駆動する前記原動側回転ユニット2Aの回転駆動力を駆動力伝達ベルト32を介して従動側回転ユニット2Bへ伝達して、ひとつのモータ11によって複数の回転ユニットを回転駆動可能となっている。
【0021】
図4に示すように、モータ11はフランジ部11aを有し、このフランジ部11aを機台7に垂下するように取り付けられたモータ支持バー16に固定して、機台7のベース台5の下方に配置されている。モータ11の駆動軸12はモータ11上側に突出されて機台7のベース台5及び台板7aを上下に貫通している。この駆動軸12のモータ11上側に突出された部分は、その外周がベアリング17によって回転自在に支持されている。
【0022】
図4に示すように、原動側回転ユニット2Aの回転部材K(図中符号18を付記する)は、具体的には、前記モータ11の駆動軸12の先端(上端)に固定して、前記機台7の台板7aに沿って設けられた円板状の部材(以下、原動側回転板とも言う)である。この原動側回転板18は、前記モータ11の駆動軸12を回転駆動したときに、該駆動軸12の軸線12cを回転軸線として、該軸線12cを中心に回転する。
【0023】
図示例の揺動用駆動ユニット2の原動側回転ユニット2Aは、具体的には、前記原動側回転板18上にリング状の前記原動プーリ20を固定し、この原動プーリ20の内側に収納したリング状のベアリング22(以下、第1ベアリングとも言う)の内側に、前記軸体J(図中符号13を付記する。以下、第1移動軸とも言う。)を挿入して前記原動側回転板18上に立設した構成となっている。
【0024】
前記第1移動軸13は、その下端部が内挿された前記第1ベアリング22を介して、リング状の前記原動プーリ20の軸線上に同軸に軸回り回転可能に支持されている。前記原動プーリ20及び第1ベアリング22は、その軸線を、前記原動側回転板18の回転軸線(駆動軸12の軸線12c)に平行かつ偏心させて前記原動側回転板18上に取り付けられている。前記第1移動軸13は、その軸線13cが前記原動側回転板18の回転軸線(駆動軸12の軸線12c)に平行かつ偏心した状態で立設され、前記ベアリング22及び前記原動プーリ20の上方に突出されている。
【0025】
図4に示すように、前記原動プーリ20は、ねじ21によって前記原動側回転板18に固定(ねじ止め)されている。
リング状の前記ベアリング22は、原動プーリ20の内側に原動プーリ20と同軸として内挿されている。このベアリング22の上側には、前記原動プーリ20の上端部内周側に張り出すリブ状の押さえ突片20aが配置され、前記ベアリング22は前記押さえ突片20aによって原動プーリ20から上方への抜け出しが規制されている。
【0026】
原動プーリ20の前記押さえ突片20aは、原動プーリ20内周面からの突出寸法の設定によって、前記ベアリング22のうちその外周の外側ケース部材22aのみに接触可能となっている。前記押さえ突片20aは、ベアリング22において前記外側ケース部材22aに対してボール22bを介して回転自在の内側ケース部材22cには接触しない。
また、前記ベアリング22は、その外側ケース部材22aを、前記原動プーリ20下部内周の溝20bに嵌め込んで取り付けられたリング板状の止め輪31a上に載置している。前記ベアリング22は、前記外側ケース部材22aが前記止め輪31aと前記原動プーリ20の押さえ突片20aとの間に挟み込まれて保持されている。前記ベアリング22の前記内側ケース部材22cは、前記止め輪31a内側の開口部上に位置しており、前記止め輪31aに対して回転自在になっている。
【0027】
図4に示すように、従動側回転ユニット2Bの回転部材K(図中符号25を付記する)は、具体的には、前記機台7に固定されたリング状のベアリング26によって、前記原動側回転ユニット2Aの回転部材K(原動側回転板18)の回転軸線12cと平行な上下方向の回転軸線25cを以て回転自在に支持された軸部25aの上端に円板状の従動側回転板25bが一体に設けられた構成になっている。そして、前記従動側回転ユニット2Bは、前記従動側回転板25b上にリング状の前記従動プーリ28を固定し、この従動プーリ28の内側に収納したリング状のベアリング30(以下、第2ベアリングとも言う)の内側に、前記軸体J(図中符号15を付記する。以下、第2移動軸とも言う。)を挿入して前記従動側回転板25b上に立設した構成となっている。
【0028】
図4に示すように、前記第2移動軸15は、その下端部が内挿された前記ベアリング30(第2ベアリング)を介して、リング状の前記従動プーリ28の軸線上に同軸に軸回り回転可能に支持されている。前記従動プーリ28及び第2ベアリング30は、その軸線を、前記従動側回転部材25の回転軸線25cに平行かつ偏心させて前記従動側回転板25b上に取り付けられている。前記第2移動軸15は、その軸線15cが前記従動側回転部材25の回転軸線25cに平行かつ偏心した状態で立設され、前記ベアリング30及び前記従動プーリ28の上方に突出されている。
【0029】
図4に示すように、前記従動プーリ28は、ねじ29によって前記従動側回転部材25の回転板25b(従動側回転板)に固定(ねじ止め)されている。
リング状の前記ベアリング30は、従動プーリ28の内側に該従動プーリ28と同軸として内挿されている。このベアリング30の上側には、前記従動プーリ28の上端部内周側に張り出すリブ状の押さえ突片28aが配置され、前記ベアリング30は前記押さえ突片28aによって原動プーリ20から上方への抜け出しが規制されている。
【0030】
前記従動プーリ28の前記押さえ突片28aは、従動プーリ28内周面からの突出寸法の設定によって、前記ベアリング30のうちその外周の外側ケース部材30aのみに接触可能となっている。前記押さえ突片28aは、前記ベアリング30において前記外側ケース部材30aに対してボール30bを介して回転自在の内側ケース部材30cには接触しない。
また、前記ベアリング30は、その外側ケース部材30aを、前記従動プーリ28下部内周の溝28bに嵌め込んで取り付けられたリング板状の止め輪31b上に載置している。前記ベアリング30は、前記外側ケース部材30aが前記止め輪31bと前記従動プーリ20の押さえ突片20aとの間に挟み込まれて保持されている。前記ベアリング30の前記内側ケース部材30cは、前記止め輪31b内側の開口部上に位置して止め輪31bに接触せず、前記止め輪31bに対して回転自在になっている。
【0031】
図4に例示する揺動用駆動ユニット2において、第1移動軸13及び第2移動軸15は、天板8に開口された軸挿通孔8bに挿入された上端部が、前記天板8上に固定された軸取り付け板23に固定(図示例ではねじ24によるねじ止め)されて天板8から垂下状態に支持されている。また、第1移動軸13及び第2移動軸15は、その下端部が回転部材(図示例では原動側回転板18、25b)から上方に位置して回転部材に接触していない。
このため、回転ユニットは天板8及び天板8上に載置した揺動対象物等の載置物(例えば図10に例示した容器9、カバプレート10)の重量を負担しない。この揺動装置1は、揺動用駆動ユニット2の各回転ユニットのベアリング22、30が、天板8及び天板8上に載置した揺動対象物等の載置物の重量を負担しない構造となっている。
また、前記軸体Jは、揺動用駆動ユニット2の各回転ユニットのベアリング22、30に固定されておらず、その外周面が、ベアリング22、30の内側ケース部材22c、30cの内周面に対して摺動可能になっている。
【0032】
なお、揺動用駆動ユニットの回転ユニットとしては、天板8に固定されて垂下状態に設けられた軸体の下端部が回転部材に接触していない構成に限定されず、前記軸体の下端部が回転部材に接触している構成も採用である。
【0033】
揺動用駆動ユニット2の各回転ユニットのプーリ20、28はその径が同じに揃えられている。
また、図示例の揺動用駆動ユニット2の原動側、従動側の回転ユニットにあっては、それぞれベアリング22、30を2つ段積みしているが、軸体を回転自在に支持するためのベアリングの設置数については特には限定は無い。
【0034】
揺動用駆動ユニット2では、各回転ユニットの回転軸線(回転部材の回転軸線)は互いに平行である。また、各回転ユニットについて、前記回転軸線に対する軸体Jの偏心量は、互いに同じに揃えられている。また、各回転ユニットにおける該回転ユニットの回転軸線に対する軸体Jの偏心方向は同じに揃えられている。
【0035】
つまり、図7に示すように、平面視において、各回転ユニットの軸体Jは、回転ユニットの回転軸線に対する偏心ベクトルが同じ(平面視における偏心方向、偏心量が同じ)に揃えられている。
平面視において各軸体Jは、複数の回転ユニットの回転軸線が配列されている仮想直線と平行な直線上に前記複数の回転ユニットの回転軸線と同じ配列ピッチで配列されている。各回転ユニットをモータ11によって回転駆動したとき、複数の回転ユニットの軸体Jは、揺動装置の平面視において各回転ユニットの回転軸線が配列されている仮想直線と平行な直線上に各回転ユニットの回転軸線と同じ配列ピッチで配列された状態を保ったまま、それぞれ回転ユニットの回転軸線を中心に回転移動される。つまり、複数の回転ユニットの軸体Jは、各軸体Jの軸線と重なる仮想平面が、各回転ユニットの回転軸線と重なる仮想平面と平行な状態を保ったまま、それぞれ回転ユニットの回転軸線を中心に回転移動する。
【0036】
したがって、この揺動用駆動ユニット2にあっては、全ての前記軸体Jが互いの相対的な位置関係を保ったままモータ11の回転駆動力によって一括して回転駆動される。また、この揺動装置1は、揺動用駆動ユニット2の駆動によって該揺動用駆動ユニット2の複数の軸体Jを回転移動したとき、天板8も各軸体Jの回転移動に追従して回転移動する。
なお、各回転ユニットにおける軸体Jの回転ユニットの回転軸線に対する偏心量は、天板8の平面視サイズ(例えば円板状の天板8の外径)に比べて格段に小さい。
【0037】
図1、図2、図7等に示す図示例の揺動装置1は、円板状の天板8の中心を、モータ11の駆動軸12及び原動側回転ユニット2Aの回転軸線12cに位置合わせしている。この揺動装置1において、モータ11を駆動したときの天板8の回転移動は、モータ11の駆動軸12及び原動側回転ユニット2Aの回転軸線12cを中心とする回転移動とみなすことができる。
【0038】
図1、図4等に示すように、図示例の揺動装置1の揺動用駆動ユニット2は、第1移動軸13及び第2移動軸15を連結する連結板33、及び前記駆動力伝達ベルト32に張力を与えて弛みを防止するテンションローラ34を有している。
【0039】
前記連結板33は、その面方向の互いに異なる位置に貫設された軸収納孔33a、33bを有している。第1移動軸13及び第2移動軸15はプーリ20、28から上方に延出した部分を前記連結板33の軸収納孔33a、33bにそれぞれ軸回り回転自在に内挿している。第1移動軸13及び第2移動軸15は、軸収納孔33a、33bの内周面に摺動してそれぞれ軸回り回転する。連結板33は、前記軸収納孔33a、33bに通された第1移動軸13及び第2移動軸15を一括保持して、その軸線13c、15cが互いに平行な状態に保つ機能を果たす。
【0040】
図4に示すように、連結板33は、第1移動軸13及び第2移動軸15に外挿して原動側及び従動側の回転ユニット2A、2Bのベアリング22、30(詳細にはその内側ケース部材22c、30c)と該連結板33との間に介在された円筒状のスペーサ36上に載置して、揺動用駆動ユニット2の複数の回転ユニットの回転部材Kの上方に設けられている。
揺動用駆動ユニット2は、原動側及び従動側の回転ユニット2A、2Bがモータ11からの回転駆動力によって回転されたときに、各回転ユニットの軸体J及び天板8とともに、前記連結板33も、各回転ユニット2A、2Bの回転軸線を中心に回転移動される。
【0041】
図示例の揺動装置1において、前記テンションローラ34はリング状部材であるローラ本体34aをボルト35の軸部35aに外挿して回転自在に軸支した構成になっている。このテンションローラ34は、前記連結板33の一対の軸収納孔33a、33bの間に位置に垂下状態に取り付けられ、前記ローラ本体34aの回転軸線が連結板33に垂直となる向きで設けられている。
【0042】
図1、図4に示すように、前記テンションローラ34は、具体的には、前記ボルト35の軸部35aを前記連結板33における一対の軸収納孔33a、33bの中間位置に貫設されたボルト孔33cに通し、前記軸部35aの連結板33上に突出させた先端部に前記ボルト孔33cに入り込まない大きさのナット37を螺着して前記連結板33に垂下状態に取り付けられている。
また、前記ボルト35の軸部35aに外挿したローラ本体34aは、前記ボルト35の軸部35a下端部(基端部)に前記軸部35aよりも太く形成された頭部35bによって抜け止めされて、ボルト35から下方へ脱落しない。テンションローラ34は、ナット37の締め付けによって連結板33に固定される。
【0043】
図2に示すように、前記駆動力伝達ベルト32は、プーリ20、28間に延在する2つのプーリ間延在部32aの片方を前記テンションローラ34のローラ本体34aの外周面に接触させて屈曲状態として張力を与えている。
図2に示すように、連結板33のボルト孔33cは、揺動装置1の平面視において連結板33に互いに離隔させて形成された一対の軸収納孔33a、33bの間隔方向に直交する方向に延在する長孔になっている。テンションローラ34は、連結板33に対するボルト35の固定位置を前記ボルト孔33cの平面視長手方向に調整することで、駆動力伝達ベルト32に与える張力を調整できる。
【0044】
図1、図4に示すように、図示例の揺動装置1の前記テンションローラ34は、具体的には、ローラ本体34aとしてリング状のベアリングを用い、このベアリングをボルト35の軸部35aに複数外挿した構成となっている。但し、ボルト35の軸部35aに外挿するローラ本体34aの数は1以上であれば良く、適宜設定可能である。
【0045】
次に、補助支持ユニット3について説明する。
図1及び図2に示すように、補助支持ユニット3は、揺動用駆動ユニット2の周囲に複数(3個)が配置されている。複数の補助支持ユニット3は、天板8の平面視中央を中心とした円周上の等分位置に配置されており、それぞれが天板8を支持するようになっている。
【0046】
図5及び図6(a)、(b)に示すように、前記補助支持ユニット3は、前記機台7上に固定されたケース40と、このケース40の底部の受け部材43の上面(受け面)上を転動するボール53及び前記ケース40上部の上板41に開口された窓部41aから上方に突出する支柱51を有する可動支持体50とを具備する構成となっている。
【0047】
前記可動支持体50は、前記支柱51の上端部を前記天板8に固定して前記天板8と一体に移動可能に設けられている。
この可動支持体50の支柱51の下端部には、プレート状のリテーナ52が前記受け部材43上面に沿う向きで設けられている。前記可動支持体50は、前記リテーナ52の複数箇所に貫設されたボール孔52aにそれぞれ回転自在に収納された前記ボール53を有する。また、図5及び図6(a)に示すように、前記可動支持体50は、前記支柱51に固定して前記リテーナ52よりも上側に前記支柱51に垂直に設けられた上側受け板54を有し、この上側受け板54を前記ボール53上に載置した構成となっている。
【0048】
図5及び図6(a)に示すように、前記支柱51は、具体的にはねじ(ボルト)であり、その軸部51aの片端に該軸部51aに比べて太く形成された頭部51bを有する。
また、前記可動支持体50は、前記支柱51に外挿し該支柱51の頭部51bに固定して支柱51に垂直に設けられた天板連結用プレート55を有している。
【0049】
図6(a)に示すように、天板連結用プレート55は、その中央部に前記支柱51の軸部51aを挿通可能な貫通孔55aを有している。そして、この天板連結用プレート55は、前記貫通孔55aの片端を拡張したザグリ部55bに前記支柱51の頭部51bを収納して、前記支柱51に外挿して設けられている。
前記天板連結用プレート55は、前記支柱51の上端部(頭部51b付近)に固定して、前記ケース40上方に配置されている。
【0050】
図6(a)に示すように、前記可動支持体50の支柱51の軸部51aはその外周にねじ山が螺設された雄ねじ軸とされている。この軸部51aの下端部にはナット56が螺着されている。
前記可動支持体50は、前記軸部51aに外挿して前記ナット56上に載置されたワッシャ57と、前記軸部51aに外挿して前記ワッシャ57上に載置された円筒状の第1カラー58と、前記第1カラー58に外挿して前記ワッシャ57上に載置されたリング板状の前記リテーナ52とを有する。但し、前記リテーナ52の厚みは第1カラー58の軸線方向の寸法に比べて若干小さい。
さらに、この可動支持体50は、円板状の前記上側受け板54をその中央部を貫通する貫通孔54aに軸部51aを通すことで前記軸部51aに外挿して前記第1カラー58上に載置し、この上側受け板54と前記天板連結用プレート55との間に前記軸部51aに外挿した筒状の第2カラー59を介挿した構成となっている。
【0051】
そして、この可動支持体50は、前記ナット56の締め付け力によって、該ナット56と支柱51の頭部51bとの間に、ワッシャ57、第1カラー58、上側受け板54、第2カラー59、天板連結用プレート55を固定している。前記天板連結用プレート55は、前記ナット56の締め付け力によって、前記支柱51の頭部51bに押し付けられて固定されている。
【0052】
前記天板連結用プレート55を支柱51の上端部に固定するための構造としては、上述の構成に限定されない。例えば、支柱51の軸部51aに螺着したナットの締め付け力によって支柱51の頭部51bに押し付けて固定した構成等も採用可能である。
また、上側受け板54を支柱51に固定するための構造としても図示例の構造に限定されるものではなく、例えば支柱51の軸部51aに複数螺着したナットによって上側受け板54を両側から締め付けて固定する構造等を採用することも可能である。
【0053】
図5に示すように、前記可動支持体50は、前記天板8下面に固定(図示例ではねじ61aを用いたねじ止め固定)されたスペーサ61に前記天板連結用プレート55を固定して天板8に取り付けられている。この可動支持体50は、前記支柱51の上端部(頭部51b付近)を天板連結用プレート55及びスペーサ61を介して天板8に固定して設けられている。
なお、図5では、天板連結用プレート55及びスペーサ61は、天板8を貫通するねじ孔に挿入して前記スペーサ61に貫設されたねじ用貫通孔に貫通させた前記ねじ61aの先端を前記天板連結用プレート55に形成された雌ねじ孔55cにねじ込んで締め付けた締め付け力によって前記天板8に締結固定されている。
【0054】
前記スペーサ61は、揺動用駆動ユニット2と各補助支持ユニット3との高さの違いに鑑みて、天板8を揺動用駆動ユニット2の回転部材Kの回転軸線に垂直の向きに支持するために必要に応じて設ける。したがって、スペーサ61の設置は必須ではなく、適宜省略したり、適切サイズのものに変更するといったことが可能である。
【0055】
なお、支柱51上端部を天板8に対して固定するための固定構造としては、前記天板連結用プレート55を介して固定する構成に限定されない。この固定構造としては、例えば、支柱51上端部に螺着したナットの締め付けによって、支柱51上端部を天板8あるいは前記スペーサ61に直接固定する構造等も採用可能である。
【0056】
図5及び図6(a)に示すように、前記可動支持体50のうち、前記上側受け板54及び該上側受け板54から下側の部分は、前記ケース40内に収納されている。
前記上側受け板54は、前記ケース40の上板41の下側に僅かに離隔して配置され、上板41に接触しない。
【0057】
前記リテーナ52は、既述のように、その厚み(リテーナ52の外周部の厚肉部(後述)から内側部分の厚み寸法。但し、後述のリング状突部52eを含む)が第1カラー58の軸線方向の寸法に比べて若干小さいリング板状の部材である。このリテーナ52は、支柱51に対してその軸線に垂直の向きで固定された前記ワッシャ57上に重なるように載置された状態において、上側受け板54との間に若干のクリアランスを介して上側受け板54下側に該上側受け板54と平行に配置される。
図6(a)に示すように、リテーナ52の下面側の外周部には、その全周にわたって突部(外周突部52c)が周設されており、リテーナ52はその外周部に、前記外周突部52cの分だけ厚肉になった厚肉部を有している。そして、リテーナ52は、その径方向において前記厚肉部から内側部分(主板部52e)の下面であるワッシャ当接面52dを前記ワッシャ57に当接させてワッシャ57上に載置されている。外周突部52cの内径、すなわちリテーナ52下面側における外周突部52c内側の凹所(ワッシャ収容凹所)の内径は、ワッシャ57外径に比べて大きい。
図示例のリテーナ52は、具体的には、その上面上(具体的には主板部52e上)に、リテーナ52の内側孔52bの周囲に突設されたリング状突部52fを有する。リテーナ52は、主板部52eの厚みに、リング状突部52fのリテーナ52上面からの突出寸法を加えた寸法(図示例では主板部52eからの突出寸法)が、第1カラー58の軸線方向の寸法に比べて若干小さい。
【0058】
また、このリテーナ52の内径、すなわちリング板状のリテーナ52の内側孔52bの内径は前記第1カラー58の外径に比べて格段に大きい。リテーナ52は、前記支柱51に対して固定されておらず、支柱51に対して、該支柱51の軸線に垂直方向の移動及び若干の揺動を許容して設けられている。
但し、リテーナ52の内径は前記ワッシャ57の外径よりも小さい。このため、リテーナ52は支柱51の軸線に垂直方向の移動によってワッシャ57から下方に脱落することはない。リテーナ52は、ワッシャ57上を摺動して、支柱51に対してその軸線に垂直の方向に移動できる。
なお、図6(a)等に例示した可動支持体50は、リテーナ52の内側孔52bの内径と第1カラー58外径との差を、リテーナ52の外周突部52cの内径とワッシャ57外径との差に比べて若干小さくしてある。但し、可動支持体50の構成は、これに限定されず、リテーナ52の内側孔52bの内径と第1カラー58外径との差を、リテーナ52の外周突部52cの内径とワッシャ57外径との差に比べて同じ、あるいはそれよりも大きくした構成も採用可能である。
【0059】
図6(a)に示すように、前記ボール53の外径はリテーナ52の厚みよりも大きい。また、ボール53は、リテーナ52のボール孔52aに上下動可能に収納されている。図6(a)、(b)に示すリテーナ52のボール孔52aはボール53の外径に比べて若干大きい内径の丸孔に形成されている。
【0060】
前記可動支持体50は、その全重量がボール53を介して受け部材43によって支持されている。この可動支持体50は、前記ボール53上に載置された上側受け板54を介して、支柱51及び該支柱51に固定された全ての構成部材の重量が受け部材43上のボール53に作用する。また、可動支持体50は、前記上側受け板54が前記ボール53上に載置された状態で、前記ワッシャ57上に重なるように載置されたリテーナ52が、前記受け部材43よりも上、前記上側受け板54よりも下に位置し、前記ボール53がリテーナ52の上下に突出する構成となっている。
【0061】
図6(b)に例示したリテーナ52は、その外周部の6箇所に形成されたボール孔52aにボール53をひとつずつ収納した構成になっている。
但し、リテーナ52のボール孔52aは、リテーナ52の中心(リング板状のリテーナ52の開口部の中心)の周囲の3以上の箇所に均等に形成されていれば良く、その形成数は4又は5箇所、あるいは7以上の箇所であっても良い。
【0062】
次に、この実施形態の揺動装置1の動作を図7を参照して説明する。
モータ11の駆動によって駆動軸12が回転すると、原動プーリ20が回転し、駆動力伝達ベルト32を介して従動プーリ28が追随回転する。原動プーリ20及び従動プーリ28が回転することにより、第1移動軸13及び第2移動軸15が、それぞれ回転部材18、25の回転軸線12c、25cからの偏心量を安定に維持したまま前記回転軸線12c、25cを中心とする円の軌跡を描いて回転移動する。
【0063】
図7における符号131、132、133は、第1移動軸13の移動軌跡を示している。第2移動軸15も符号151、152、153で示すように第1移動軸13の移動に追随して円形の移動軌跡を描いて移動する。第1移動軸13及び第2移動軸15の円形の移動軌跡を描く移動により、天板8も符号81、82、83で示すように円形の移動軌跡を描いて移動する。このような天板8の円形の移動軌跡を描く移動はモータ11が駆動している間、継続する。図7における符号201、202、203は原動プーリの移動軌跡、符号、可動支持体50の上側受け板54の移動軌跡を示している。
【0064】
また、揺動用駆動ユニット2の駆動によって天板8が回転移動されたとき、可動支持体50も、揺動用駆動ユニット2の各回転ユニットにおける回転部材Kの回転軸線に対する軸体Jの偏心量に相当する回転半径の円の軌跡を描いて、天板8と一体的に回転移動される。図7における符号541、542、543は、可動支持体50の上側受け板54の移動軌跡を示している。
可動支持体50の回転移動も、モータ11が駆動している間、継続する。
【0065】
前記可動支持体50は、前記揺動用駆動ユニット2の駆動によって天板8が回転移動されるに伴い、前記ケース40底部の受け部材43の平坦な上面(受け面)上での前記ボール53の転動によって、前記天板8と一体的に回転移動する。各補助支持ユニット3の受け部材43の上面は、揺動用駆動ユニット2の各回転ユニットにおける回転部材Kの回転軸線に直交する1平面の延長上に位置する。
【0066】
揺動用駆動ユニット2の駆動によって天板8が回転移動されたときの可動支持体50の回転移動は、揺動用駆動ユニット2の各回転ユニットにおける回転部材Kの回転軸線に対する軸体Jの偏心量に相当する回転半径の円の軌跡を描く回転移動である。
この揺動装置1は、揺動用駆動ユニット2の駆動による可動支持体50の回転移動の継続中、受け部材43及び上側受け板54に対するボール53の転動が継続する。このときボール53は上側受け板54の回転移動に伴い受け部材43上を転動しながら、円形の軌跡を描いて連続的に回転移動する。この揺動装置1は、揺動用駆動ユニット2の駆動が継続している間、ボール53が転動を継続して受け部材43及び上側受け板54に対して相対的に移動し続けるため、焼き付きの原因となる局所的な加熱(接触摩擦によって局所的に高温になる)が生じにくい。その結果、この揺動装置は、直動装置を複数利用する従来構成の揺動装置のように焼き付きによって作動がロックするといった不都合が生じにくく、長期にわたって揺動性能を安定に維持できる。
【0067】
また、既述の通り、直動装置を複数利用する従来構成の揺動装置は、直動装置のボールが非常に狭い転動範囲で往復動を繰り返すため、ボールに局所的な摩耗進行が生じやすい。これに対して、前記揺動装置1は、可動支持体50のボール53の局所的な摩耗進行が生じにくく、従来構成の揺動装置における直動装置のボールに比べて、ボール53表面全体にわたって摩耗を平均化できるから、局所的な摩耗進行に起因する接触摩擦の増大やそれによる発熱の抑制にも有効に寄与する。
【0068】
図1、図6(a)等に示すように前記ケース40は円筒状の外周壁42を有する。図6(a)、(b)に示すように、この揺動装置1において、揺動用駆動ユニット2の駆動による可動支持体50の上側受け板54の可動範囲(回転移動範囲)は、上側受け板54がケース40の外周壁42に接触しない範囲に設定される。
ケース40上部の上板41に開口された窓部41aには、揺動用駆動ユニット2の駆動によって天板8が回転移動されたときの可動支持体50の支柱51の回転移動範囲(可動範囲)よりも大きい開口寸法が確保されている。揺動用駆動ユニット2によって天板8が回転移動されたとき、支柱51は、前記上板41に接触することなく、前記窓部41a内を自由に回転移動できる。
【0069】
図6(a)、(b)に示すように、この揺動装置1において、揺動用駆動ユニット2の駆動によって回転移動する可動支持体50のボール53の可動範囲は、ケース40の外周壁42内径よりも外径が若干小さい円板状の受け部材43(下側受け板)の上面上に限定されている。
ボール53及び該ボール53に直接接触する上側受け板54及び受け部材43としては、例えば熱処理(焼入・焼もどし)を施したSUS440C等のマルテンサイト系ステンレスといった、高強度、高硬度の材料を好適に採用できる。このような高強度、高硬度の材料の採用は、ボール53の接触摩擦による発熱を抑え、焼き付きによる揺動装置の作動のロックといった不都合を生じにくくし、メンテナンスコストの低減、製品寿命の延長の点で有利である。
なお、ボール53、上側受け板54、受け部材43の材質としては上述のものに限定されず、上述以外の金属材料、セラミックス等も採用可能である。
【0070】
既述のように、前記リテーナ52は、前記支柱51に対して固定されておらず、支柱51に対して、該支柱51の軸線に垂直方向の移動及び若干の揺動を許容して浮動可能に設けられている。図6(a)、(b)に示すように、可動支持体50は、揺動用駆動ユニット2の駆動によって回転移動されて、リテーナ52のボール孔52a内で回転する前記ボール53がボール孔52a内周面に接触したとき、リテーナ52が浮動することで、リテーナ52とボール53との接触摩擦の増大を抑制でき、ボール53が円滑に回転する状態を安定に維持できる。
また、リテーナ52としては、ボール孔52a内面とボール53との接触抵抗の低減に鑑みて、表面の滑り性が良いもの、例えばポリアセタール等のプラスチック材料で形成された部材を好適に採用できる。
【0071】
図6(a)、(b)に示すように、前記ケース40の外周壁42(側壁)には、該ケース40の外側から内側に潤滑用グリスを注入するためのニップル44が設けられており、補助支持ユニット3は、可動支持体50のボール53への潤滑用グリスの供給を簡単に行える。
前記ケース40は、前記外周壁42下端からその内周側全周に張り出すリブ状の外周底壁42aをベースプレート47上に固定し、前記外周底壁42aの内側に円板状の受け部材43を嵌め込んで、ベースプレート47上に載置した構成となっている。前記受け部材43の上面は、外周底壁42aの上面と面一あるいは僅かに下側に位置し(図示例では面一)、前記ニップル44を介してケース40内に注入した潤滑用グリスが前記受け部材43上に拡がるようにしてある。このため、補助支持ユニット3は、可動支持体50のボール53への潤滑用グリスの供給を効率良く行える。
また、補助支持ユニット3にあっては、既述のように、揺動用駆動ユニット2の駆動中、受け部材43及び上側受け板54に対してボール53が転動し続けるため、このボール53の転動、移動によって、受け部材43上に潤滑用グリスを効率良く拡げることができ、全てのボール53に潤滑用グリスを満遍なく行き渡らせることができる。
【0072】
なお、図示例のケース40は、円筒状の外周壁42と、その上部のリング板状の上板と、下部のリング板状の外周底壁42aとを一体成形した部材であるケース本体40aを有する。そして、このケース40は、ケース本体40aの外周底壁42aをねじ45を用いてベースプレート47上に固定し、外周底壁42aの内側に嵌め込んだ受け部材43をケース本体40aによって前記ベースプレート47上の所定位置に保持した構成となっている。また、図5に示すように、このケース40は、前記ベースプレート47をねじ46を用いて機台7の台板7a上に固定して、機台7上の所望位置に取り付けられている。
【0073】
また、前記ケース40は、図8に示すように、前記上板41から下側全体を潤滑用グリスを貯留可能な容器(潤滑剤貯留容器)とし、その内部に潤滑用グリス62を貯留し、前記潤滑用グリス62に可動支持体50のボール53の一部又は全部を埋没させる液深を確保した構成としても良い。図8に示すケース40に符号40Aを付記する。
このケース40Aを採用した補助支持ユニット3Aは、ボール53の転動に伴う油ぎれに起因する焼き付きを確実に防止できる。
なお、図8に例示したケース40Aは、全体が一体成形された1部材となっているが、これに限定されず、複数部材によって構成したものであっても良い。
【0074】
ケースとしては、機台7の台板7a自体を受け部材として用いた構成も採用可能である。この場合、機台7の台板7a以外に別途受け部材を設ける必要が無く、部品点数の削減、低コスト化を実現できる。
【0075】
揺動用駆動ユニット2のベアリング22、30は、前記モータ11の駆動によって天板8を回転移動したときにそれぞれ回転ユニット2A、2Bの回転軸線12c、25cを中心に回転移動されることで、軸体Jの下端部外周面との接触により内側ケース部材22c、30c(図4参照)が外側ケース部材22a、30aに対して相対回転する。
但し、図示例の揺動用駆動ユニット2は、回転ユニット2A、2Bの回転に伴い回転移動するベアリング22、30の移動半径(回転半径。換言すれば回転軸線12c、25cに対する偏心量)を、天板8の回転移動に伴い回転移動する可動支持体50の移動半径(回転半径)に比べて格段に小さくしてある。このため、モータ11の駆動によって天板8を回転移動したときに回転移動するベアリング22、30の移動速度は可動支持体50の移動速度に比べて格段に遅い。したがって、ベアリング22、30については、モータ11の駆動による天板8の回転移動を継続しても、内側ケース部材22c、30cと外側ケース部材22a、30aとの接触摩擦、内側ケース部材22c、30cや外側ケース部材22a、30aに対するボール22b、30bの接触摩擦による発熱は小さく、焼き付きを生じる心配が無い。
【0076】
また、前記ベアリング22、30内には潤滑用のグリスが充填されている。このことも、揺動用駆動ユニット2による天板8の回転移動を継続したときのベアリング22、30の発熱抑制に有効に寄与する。
但し、ベアリング22、30は、上述のように、回転ユニット2A、2Bの回転に伴う回転移動の移動半径を可動支持体50の移動半径に比べて格段に小さくすることで、回転移動による発熱を抑えることができるため、グリスを充填していないものを使用することも可能である。
【0077】
この揺動装置1では、図10に示すように、揺動対象物として例えば液体を収容した容器9を天板8上に載置した状態で、揺動用駆動ユニット2を駆動して天板8を回転移動することで、容器9内の液体の攪拌や、脱泡のための渦流形成を行える。
また、この揺動装置1は、天板8及び天板8上に載置した揺動対象物等の載置物の重量を、複数の補助支持ユニット3、さらに具体的には各補助支持ユニット3の可動支持体50によって分散して支持できる。このため、この揺動装置1は、例えば数リットル〜数十リットルの液体を収容した容器9(図10参照)といった重荷重の揺動対象物を天板8上に載置した場合であっても、複数の可動支持体50によって天板8を安定支持できる。しかも、この揺動装置1は、天板8を支持する複数の可動支持体50がそれぞれケース40底部の受け部材43上を転動するボール53によって受け部材43上を移動自在になっているから、揺動用駆動ユニット2を駆動したときの天板8及び揺動対象物の回転移動、該回転移動による揺動対象物の揺動を円滑に行える。したがって、この揺動装置1は、例えば数リットル〜数十リットルの液体を収容した容器9(図10参照)といった重荷重の揺動対象物を天板8上に載置した場合であっても、容器9内の液体の攪拌や脱泡を簡単かつ安定に行える。
【0078】
また、この揺動装置1は、揺動対象物を天板8上に載せ、揺動用駆動ユニット2を駆動させるだけで、揺動対象物の揺動を簡単に行える。しかも、この揺動装置1は、高価な直動装置を複数用いて組み立てられる従来構成の揺動装置に比べて構造を単純化でき、低コスト化を容易に実現できる。
【0079】
また、前記揺動装置1は、容器9内の液体が1リットル未満で液深が浅い(例えば1cm未満)場合であっても、容器9内の液体の攪拌や脱泡を行える。
【0080】
例えば数リットル〜数十リットルの液体の攪拌等を行う技術としては、液体を収容した容器の内側底部に設けたプロペラを液中で回転駆動させる装置もある。この装置は、容器下側に配置した回転駆動機構の回転駆動力によって、容器底壁を上下に貫通する貫通孔に通したシャフトとともに該シャフトに固定されたプロペラを一体的に回転させるものである。しかしながら、この装置は、容器底壁の貫通孔(シャフト挿通孔)のシールが必要である。このため、この装置は、シール部材から容器内の液体への汚染物質の放出や、シール部材とシャフトとの摺動により生じる摩耗粉が、容器内の液体のコンタミネーションの原因になる可能性があり、特に高い清浄度(低コンタミネーション)が求められる液体の揺動や攪拌等には不適であった。
これに対して、前記揺動装置1は、該揺動装置1とは別体の容器9に収容した液体を容器9とともに揺動する構成であるため、高い清浄度(低コンタミネーション)が求められる液体の揺動、攪拌や脱泡のための渦流形成に好適に用いることができる。
【0081】
また、この揺動装置1は、揺動用駆動ユニット2による天板8の回転移動速度等を設定(指令入力)するための操作部63を有する。
図9に操作部63の一例を示す。図9に示す操作部63は押しボタン式のタッチスイッチが複数配列されたスイッチパネルである。この操作部63には、天板8の回転移動速度を互いに異なる複数(図9に示す操作部63においては高速、中速、低速の3つ)のいずれかに設定するための複数(図示例では3つ)の速度設定用スイッチ64a、64b、64cと、揺動用駆動ユニット2による天板8の回転動作を設定(指令入力)するための複数(図示例では2つ)の動作選択スイッチ65a、65bとが設けられている。また、この操作部63は、設定リセットスイッチ66、スタートボタン67、ストップボタン68も有している。3つの速度設定用スイッチ64a、64b、64c、2つの動作選択スイッチ65a、65b、設定リセットスイッチ66、スタートボタン67、ストップボタン68は、それぞれ押し込み操作によってスイッチオンする押しボタン式のタッチスイッチである。
【0082】
この揺動装置1は、作業者が、前記操作部63の3つの速度設定用スイッチ64a、64b、64cのいずれか一つを押し込み操作することで、揺動用駆動ユニット2による天板8の回転移動速度を、押し込み操作された速度設定用スイッチ64a、64b、64cに応じて高速、中速、低速の3段階のいずれかに設定できる。この揺動装置1は、押し込み操作された速度設定用スイッチ64a、64b、64cに応じて揺動用駆動ユニット2のモータ11の回転数が設定される結果、天板8の回転移動速度がモータ11の設定回転数に応じた速度に設定される。
モータ11の回転数を設定することで天板8の回転移動速度を設定できる揺動装置1の構成は、直動装置を複数用いて組み立てられる従来構成の揺動装置に比べて作動制御が単純で済むといった利点がある。
【0083】
この揺動装置1は、揺動用駆動ユニット2による天板8の回転動作として、天板8を一定方向に連続して回転移動する連続回転動作(図9中「連続回転」)、及び天板8を一定方向に予め設定した回転量だけ回転移動した後、回転方向を反転して予め設定した回転量だけ回転移動することを繰り返す繰り返し反転動作(図9中「正逆反転」)とを行うことが可能である。
そして、この揺動装置1は、操作部63の符号65aの動作選択スイッチを押し込み操作することで連続回転動作を選択、設定でき、符号65bの動作選択スイッチを押し込み操作することで繰り返し反転動作を選択、設定できる。
【0084】
この揺動装置1は、回転駆動源(図示例ではモータ11)の回転駆動を制御する制御部(図示略)を有する。この揺動装置1は、作業者が、操作部63の速度設定用スイッチ及び動作選択スイッチを使用して揺動用駆動ユニット2による天板8の回転移動速度及び天板8の回転動作を選択、設定した後、スタートボタン67を押し込み操作することで、前記制御部が回転駆動源の駆動を制御して、操作部63の操作によって選択、設定された回転移動速度及び回転動作での天板8の回転移動を開始する。なお、スタートボタン67を押し込み操作する前に設定リセットスイッチ66を押し込み操作すれば、回転移動速度及び回転動作の設定はキャンセルされる。
また、揺動用駆動ユニット2による天板8の回転移動動作は、動作開始後にストップボタン68を押し込み操作することで停止する。
【0085】
なお、操作部63としては、揺動用駆動ユニット2による天板8の回転移動速度及び回転動作の設定を行えるものであれば良く、上述のスイッチパネルに限定されない。操作部63としては、例えば、タッチパネル式の操作パネル、速度設定用スイッチや動作選択スイッチとしてダイヤル式の切り替えスイッチを採用した構成等であっても良い。
揺動用駆動ユニット2による天板8の回転移動速度の設定は、スイッチ方式のものに限定されず、例えば、ダイヤルの回転操作によって、揺動用駆動ユニット2による天板8の回転移動速度を、段階的ではなく、無段階に変更できる無段階ダイヤル式のものも採用可能である。
【0086】
また、揺動用駆動ユニット2による天板8の回転移動動作としては、上述の連続回転動作、繰り返し反転動作に限定されない。例えば、天板8の一定方向への回転移動と、天板8の回転意動を一定時間停止する一時停止状態とを繰り返す間歇回転動作、天板8の一定方向(正方向)への回転移動と、天板8の回転移動を一定時間停止する一時停止状態と、天板8の正方向とは逆の方向への回転移動とをこの順で繰り返し実行する間歇反転動作等も採用可能である。
操作部は、互いに異なる3以上の回転移動動作からひとつを選択、設定(指令入力)できる構成であっても良い。
【0087】
但し、この揺動装置1の前記回転移動動作において、回転駆動源が駆動停止状態から駆動を開始して天板8の回転移動の一時停止あるいは回転移動方向の反転を行うまでの天板8の回転量(回転角度)は、天板8の回転移動に伴う可動支持体50の回転移動量が可動支持体50のボール53の外周長(ボール53外径に円周率πを乗じた値)の数倍あるいはそれよりも大きくなるように設定する。つまり、揺動装置1の前記回転移動動作は、天板8の回転移動の開始から回転移動の一時停止あるいは回転移動方向の反転までの天板8の回転量を、天板8の回転移動に伴う可動支持体50の回転移動によって、可動支持体50のボール53が数回程度あるいはそれ以上の回数を回転するように設定する。
【0088】
図9では操作部63を機台7に取り付けた構成を例示したが、操作部63は揺動装置1における該操作部63を除く部分(機体)から離隔させることが可能な構成としても良い。この場合、前記操作部としては、機体に設けられた制御部に対して、例えば信号線による電気信号の伝送、あるいは電波信号、光信号等を利用した無線での信号伝送により、揺動用駆動ユニット2による天板8の回転移動速度及び回転動作の設定(指令入力)を行える構成を採用できる。
【0089】
また、揺動装置としては、前記操作部63を有しておらず、揺動用駆動ユニット2による天板8の回転移動速度が予め一定に設定された構成のものであっても良い。
【0090】
可動支持体50は、リテーナ52として、例えばプラスチック製のものを好適に用いることができる。また、可動支持体50は、ボール孔52aが形成されたプラスチック製プレート状のリテーナ52に、連続気泡の発泡樹脂フォームに潤滑用グリスを含浸した給油用接触部材をボール53に接触可能に取り付けた給油部材付きリテーナを採用することも可能である。可動支持体50のリテーナとして給油部材付きリテーナを採用した場合、補助支持ユニット3は、ケース40を省略してもボール53への給油が可能であり、ケース40を省略した単純な構成としても良い。
【0091】
ベアリング22、30、可動支持体50への潤滑用グリスの供給は、焼き付きによる作動のロックをより確実に防止する点、製品(揺動装置)の長寿命化の点で有効である。
但し、可動支持体50は、揺動用駆動ユニットによる天板8の回転移動の継続中に、下部のボール53が機台7に設けられた受け部材上を連続転動する構造であり、ボール53、上側受け板54、受け部材に、焼き付きの原因となる局所的な加熱が生じにくいことから、ボール53への潤滑用グリスの供給を省略することも可能である。
また、前記ベアリング22、30についてその内部に潤滑用グリスを充填していないものを使用することが可能であることは既述の通りである。
【0092】
前記揺動装置は、上述のように揺動用駆動ユニット2のベアリング22、30、可動支持体50に潤滑用グリスを設けず、装置全体について潤滑用グリスを使用しないグリスレス化を図ることが可能である。特に、天板を比較的低速で回転移動させる場合は、装置全体のグリスレス化を容易に実現できる。
揺動装置は、装置全体について潤滑用グリスを使用しないグリスレス化を実現することで、例えばフラットパネルディスプレイ(例えば液晶ディスプレイ)の生産ライン、食品工場、製薬工場などにおけるクリーンルーム等の清浄空間内でも好適に使用できる。
【0093】
前記揺動装置の天板8上に載置する揺動対象物としては、液体を収容した容器9に限定されない。前記揺動装置は、容器9に収容した液体の攪拌、脱泡の他、例えば、容器に収容した液体に該液体に対する可溶性を有する粉状、粒状、ブロック状の材料を投入して溶解させる作業や、容器内の液体へのガスの溶解、工業製品の揺動試験等にも使用できる。また、この揺動装置は、例えば、天板8上に篩いを設置することで粉体や粒体を篩うための篩い装置としても利用できる。
また、前記揺動装置の天板8上に設置する容器9内に収容して揺動させる液体としては、液晶ディスプレイの生産ラインにて使用される液晶材料等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。前記液体としては、例えば調味液等の食品製造用液体材料、液体の製薬材料、加熱溶融した熱可塑性樹脂等であっても良い。
【0094】
例えば、電動モータ等によって回転駆動したスクリュー等によって容器内の液体をシェイクする攪拌方法は、容器内の液体に剪断力を与えて液体の性状に影響を与える場合がある。これに対して、本発明に係る実施形態の揺動装置は、容器自体の連続的な回転移動によって容器内の液体を揺動させる構成であるため、容器内の液体をその性状に影響を与えることなく揺動させることができる。
【0095】
また、本発明に係る実施形態の揺動装置は、載置台(図示例では天板8)上に載置した容器を揺動させるだけで容器内の液体を揺動させることができるため、例えば、容器上方から容器内へのスクリューの挿脱などを行う必要が無い。このため、本発明に係る実施形態の揺動装置は、高い密閉性を確保できる容器を用いて、この容器を密閉状態を保ったまま揺動させて、その内部の液体の揺動を行うといった用途に好適に用いることができる。
【0096】
その一例を図11に示す。図11は、本発明に係る実施形態の揺動装置1の天板8上にカバープレート10を設け、このカバープレート10上に、可撓性ホース等の可撓性配管71を介して真空装置72と接続した容器91を載置して、容器91とともに該容器91内の液体を揺動させる場合を示す。容器91は、天板8とカバープレート10とからなるカバープレート付き載置台上に載置され、必要に応じて固定具等を用いて天板8に固定される。この場合、例えば、真空装置72によって容器91内を減圧した状態のまま、揺動装置1によって容器91を揺動させることで、容器91内の液体からの脱泡を効率良く行える。
【0097】
なお、図示例では、揺動装置1の機台7を支持フレームF上に設置し、前記機台7から下方に突出するモータ11を支持フレームF内側に入り込ませているが、揺動装置1におけるモータ11の設置位置は適宜変更可能であり、例えば機台7側部であっても良い。揺動装置1は、モータ11が機台7下側に突出していない構成とすることも可能である。モータ11が機台7下側に突出していない構成の揺動装置1は、必ずしもその機台7を支持フレームF上に設置する必要は無く、例えば支持フレームFを省略して機台7を設置床上に直接設置することもできる。
【0098】
また、図11は、容器91内に、液体を入れた内部容器73をその上部開口部を開放状態のまま収容した構成を例示している。内部容器73は、必要に応じて容器91内に設けた固定具によって容器91に固定する。図11の構成の場合は、例えば、真空装置72によって容器91内を減圧した状態のまま、揺動装置1によって容器91を揺動させることで、容器91内側の内部容器73内の液体からの脱泡を効率良く行える。
容器91は、内部容器73を収容する容器本体91aの上部に設けられた開閉蓋91bを開放することで、該容器91内への内部容器73の収納、及び容器91内の内部容器73の取り出し等を行える。容器91は、開閉蓋91bを容器本体91aに対して閉じることで配管接続箇所以外を確実に密閉できる。
【0099】
図12は、揺動装置1の載置台(図示例では天板8)上に、液導入配管74及び液排出配管75を接続した容器92を載置した構成を例示する。液導入配管74及び液排出配管75は、可撓性ホース等の可撓性配管である。
また、図12は、容器92内に液導入配管74から送り込んで貯留した液体の脱泡を行う脱泡装置を例示している。容器92には、該容器92と図示略の真空装置とを接続する脱泡用のガス吸引配管76も接続されている。このガス吸引配管76は可撓性配管であり、容器92に対してその上部に接続されている。この脱泡装置は、揺動装置1の駆動によって容器92を揺動させることで、容器92内の液体からの脱泡を効率良く行える。また、この脱泡装置は、脱泡を完了した容器92内の液体を、容器92から液排出配管75へ簡単に排出できる。
なお、液導入配管74、液排出配管75、ガス吸引配管76には、開閉弁74a、75a、76aが設けられている。
【0100】
この図12の構成では、開閉可能な蓋を有していない容器92を用いることができる。このため、この構成は、例えば、飲料やスープ等の液状の食品の製造といった、無菌状態での加工が要求される場合にも好適に適用できる。
但し、容器92としては開閉可能な蓋を有するものを用いても良い。
【0101】
図12の脱泡装置の容器92には、液導入配管74を複数本接続しても良い。この場合、複数の液導入配管74から容器92に送り込まれた液体を、揺動装置1の駆動によって容器92を揺動することで、容器92内にて混合する混合装置を構成できる。
【0102】
図11、図12の容器91、92には、該容器と真空装置とを接続する脱泡用のガス吸引配管に代えて、容器内にガスを送り込むガス供給配管を接続しても良い。この構成の場合は、ガス供給配管から容器内に送り込んだガスを容器91、92内の液体へ溶解させることに利用(ガス溶解装置としての利用)することも可能である。
ガス溶解装置としては、容器に、該容器と真空装置とを接続する脱泡用のガス吸引配管を接続した構成も採用可能である。
また、ガス溶解装置としては、容器92に、液導入配管74を複数本接続した混合装置を兼ねた構成も採用可能である。
【0103】
また、揺動装置1によって揺動される容器92に、複数本と液導入配管74と液排出配管75とを接続した混合装置としては、容器92に、液導入配管74、液排出配管75以外には、液体あるいは気体である流体の供給用又は排出用の配管が接続されていない構成も採用可能である。
【0104】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更可能である。
例えば、上述の実施形態では、揺動用駆動ユニット2として、原動側回転ユニット2Aに与えた回転駆動源(図示例ではモータ11)の回転駆動力を駆動力伝達ベルトを介して従動側回転ユニット2Bに伝達して、原動側、従動側の回転ユニットを同期回転させる構成を例示したが、回転駆動源から原動側回転ユニット2Aに与えた回転駆動力を従動側回転ユニット2Bに伝達するための構成(駆動力伝達部)としては駆動力伝達ベルトに限定されず、例えば複数のギアを用いた構成、複数のギアとシャフトとを用いて構成したシャフトドライブ等も採用可能である。
【0105】
また、揺動用駆動ユニットとしては、回転ユニットを3以上具備し、これら回転ユニットを回転駆動源によって同期回転させる構成であっても良い。
但し、揺動装置全体の小型化、低コスト化の点では、揺動用駆動ユニットはひとつの回転駆動源によって複数の回転ユニットを回転させる構成であることが好ましい。また、揺動用駆動ユニットにおいて、ひとつの回転駆動源の回転駆動力を複数の回転ユニットに伝達するための構成(駆動力伝達系)としては、揺動用駆動ユニットの全ての回転ユニットを同期回転させることが可能なものであれば良く、特に限定は無い。
【0106】
揺動用駆動ユニットの軸体は、回転ユニットの回転部材及び天板の一方又は両方に該軸体の軸線を中心とする軸回り回転を許容して設けられた構成であれば良く、上述の実施形態のようにその下端部を前記回転部材に軸回り回転可能、上端部を天板8に固定した構成に限定されない。前記軸体は、例えば、その上端部が軸線回り回転可能として天板に設けられ下端部が回転ユニットの回転部材に固定された構成や、回転部材及び天板に対して軸回り回転可能に設けられた構成のいずれも採用可能である。
また、回転ユニットの回転部材、天板において、軸体の端部(上端部あるいは下端部)をその軸線回りに回転可能かつ前記軸体が上下に延在する状態に支持するための構造(軸支持構造)としては、上述の実施形態の回転ユニットのように、リング状のベアリングの内側に前記軸体下端部を軸回り回転可能に収納して支持した構成に限定されない。軸支持構造としては、例えば、軸体外周面が滑動する内周面を有する筒体を用いた構成、回転ユニットの回転部材及び/又は天板に軸体の端部をその軸回りに回転可能に収納する穴(以下、軸収納孔)を形成し、該軸収納孔に軸体の端部を挿入した構成等も採用可能である。
【0107】
図1、図2、図7等に示す実施形態の揺動装置1は、既述の通り、円板状の天板8の中心を、原動側回転ユニット2Aの回転軸線12cに位置合わせした構成になっている。但し、揺動用駆動ユニットの各回転ユニットの天板の面方向における設置位置は特には限定は無い。
【0108】
また、揺動用駆動ユニットとしては、天板(載置台)を円形の移動軌跡で移動させる構成のもの、すなわち載置台を上下方向の軸線回りの円周上に移動(回転移動)させる構成であれば良く、その具体的構成は特には限定は無い。
載置台としては、全体として、揺動対象物を載置可能な板状あるいは盤状に構成されているものであれば良く、天板に限定されない。
【符号の説明】
【0109】
1…揺動装置、2…揺動用駆動ユニット、2A…回転ユニット(原動側回転ユニット)、2B…回転ユニット(従動側回転ユニット)、3…補助支持ユニット、7…機台、8…載置台(天板)、8A…載置台(カバープレート付き載置台)、9…揺動対象物(容器)、11…回転駆動源(モータ)、12…駆動軸、12c…回転軸線、13…軸体(第1移動軸)、13c…(軸体の)軸線、15…軸体(第2移動軸)、15c…(軸体の)軸線、18…回転部材(原動側回転板)、25…回転部材(従動側回転部材)、25c…回転軸線、40…ケース、40A…ケース(潤滑剤貯留容器)、41…上板、41a…窓部、43…受け部材、44…ニップル、50…可動支持体、51…支柱、52…リテーナ、52a…ボール孔、53…ボール、54…上側受け板、91…揺動対象物(容器)、92…揺動対象物(容器)、J…軸体、K…回転部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、いわゆるペール缶、一斗缶、ドラム缶などの容器内の液体の攪拌及び/又は脱泡のために前記容器を円形の移動軌跡を描くように移動して揺動させること等、比較的重量が大きい揺動対象物の揺動に好適に使用できる揺動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
実験室レベルにおいては、ビーカー内の液体の攪拌等のため、ビーカーを揺動させる小型の揺動装置(いわゆる振とう器)が知られている。しかしながら、この小型の揺動装置は、例えば液晶ディスプレイの生産ラインにおける液晶の攪拌、脱泡等、数リットルあるいはそれ以上の比較的多量の液体の攪拌、脱泡に適用できるものではない。
【0003】
工場内にて数リットル〜数十リットル程度の液体を攪拌する方法としては、例えば、液体を収容した容器にその上部開口部から入れたスクリューを電動モータ等によって回転駆動してシェイクする方法がある。しかしながら、この方法には以下の(a)、(b)のような不都合がある。
(a)攪拌完了後の容器の搬送時などにスクリューの昇降が必要である。特に容器の搬入と攪拌後の容器の搬出とを繰り返し行って、複数の容器について攪拌作業を順次行う場合には、容器交換の度にスクリューを昇降させる必要がある。また、攪拌の度にスクリューを容器に対して適切な高さに支持する必要がある。
(b)容器寸法、液体の粘度等に応じて適切なスクリューを必要とするため、容器の変更等に容易に対応できないケースがある。また、液量が少なく液位が低いと攪拌出来ないケースが発生する。
また、容器内の液体の脱泡のための渦流形成にスクリューを用いる場合も、上述の(a)、(b)の不都合が存在することは、攪拌の場合と同様である。但し、スクリューを用いた渦流形成は、スクリューの回転による液体への気泡巻き込みを防ぐ必要から、スクリュー回転速度等の条件が厳しく、脱泡効率を高めることが容易でないといった問題もある。
【0004】
上述のスクリューを用いる方法以外では、例えば、真っ直ぐな案内レールにその長手方向に移動自在に設けられたスライドユニットを駆動機構によって往復動させる構成の装置(以下、直動装置ともいう)を複数(例えば4台)用いて井桁状に組み上げた揺動機構部上に容器載せ台を有する構造の揺動装置を用いる方法も検討されている。
前記直動装置としては、例えば、前記スライドユニットと前記案内レールとの間に介在させる多数のボールを有し、スライドユニットの移動に伴い転動する前記ボールを前記スライドユニットに設けられた循環路を介してスライドユニットと案内レールとの間に戻して循環させる構成のもの(例えば特許文献1)が用いられる。
前記揺動装置は、揺動機構部の各直動装置の駆動制御によって、複数の直動装置のスライドユニットの往復運動を容器載せ台の回転運動に変換して、容器載せ台上に載置された容器を容器載せ台とともに揺動する構成となっている。この揺動装置は、揺動機構部の制御によって容器載せ台に所定円周上を移動する回転運動を与えることで、容器載せ台上に載置された容器内の液体全体を回転させて攪拌あるいは脱泡のための渦流形成を行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05−126148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、液晶等、工業的に使用される液体材料にあっては、数リットル〜数十リットル程度の液量の攪拌や脱泡を容器内の液体に渦流を形成して行うことが求められる場合がある。
既述の直動装置を用いた揺動装置による容器内の液体の渦流形成は、容器載せ台に直径数mm程度の仮想円周上を移動する回転運動を与えて行う。
【0007】
しかしながら、従来の揺動装置は、各直動装置のスライドユニットの往復運動を回転運動に変換する構成であり、上述のように容器内の液体に渦流を形成する場合は、それぞれの直動装置のスライドユニットの往復動範囲が数mm程度となる。このためスライドユニットとレールとの間に介在されたボールが狭い転動範囲を繰り返し往復動して循環しない結果、早期に焼き付きを生じて、装置がロックするという問題を有している。
【0008】
前記焼き付きの対策としては、直動装置のボールの移動経路への潤滑用グリスの供給を挙げることができる。直動装置としては、ボールの移動経路に潤滑用グリスを供給するために、グリスニップル等の潤滑剤供給手段が設けられたものが広く提供されている。しかしながら、直動装置は、ボールの移動経路の一部に供給した潤滑用グリスを、スライドユニットの移動に伴うボールの循環によってボールの移動経路全体に行き渡らせる構造が一般的である。このため、上述のようにボールが狭い転動範囲を繰り返し往復動する状況では、ボールの循環によるボール移動経路全体へのグリスの供給を実現できず、ボール移動経路の一部に油ぎれを生じやすいことから、焼き付きを防止することが困難であることが実情である。
また、従来の揺動装置は、構造が複雑である、高価な直動装置を複数使用するためコストが嵩むといった問題もある。
【0009】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、数リットル〜数十リットル程度の液体を収容した容器等、比較的荷重の大きい揺動対象物(重荷重の揺動対象物)の揺動を効率良く行うことができ、かつ長期にわたって揺動性能を安定に維持でき、しかも構造が簡単で低コスト化を容易に実現できる揺動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述の課題を解決するべく以下の構成を提供する。
第1の発明は、機台と、該機台上に設けられ揺動対象物が載置される載置台と、前記機台に設けられ、前記載置台を円形の移動軌跡で移動させる揺動用駆動ユニットと、前記機台に設けられた受け部材の上面上を転動するボールを下部に有し上端部が前記載置台に取り付けられ前記載置台と一体に移動可能とされた可動支持体とを具備することを特徴とする揺動装置を提供する。
第2の発明は、前記可動支持体は、前記載置台に上端部が固定された支柱の下端部に、前記ボールの外径に比べて厚み寸法が小さいプレート状部材であり前記受け部材上の前記ボールを回転自在に収納するボール孔が複数形成されたプレート状のリテーナを有し、前記支柱に垂直に固定して前記リテーナよりも上側に配置した上側受け板を前記ボール上に載置していることを特徴とする第1の発明の揺動装置を提供する。
第3の発明は、前記リテーナはリング板状であり、前記支柱の下端部に該支柱の軸線に直交する方向に移動可能に外挿されていることを特徴とする第2の発明の揺動装置を提供する。
第4の発明は、底部に前記受け部材を有し前記機台に取り付けられたケース内に、前記可動支持体の前記上側受け板及び該上側受け板から下側の部分を、前記受け部材上面に沿う移動を許容して収納し、前記可動支持体の支柱を前記ケースの上板に開口された窓部に通して前記ケースから上方に突出させた補助支持ユニットを有し、前記ケースは、その外側から内側に潤滑用グリスを注入するためのニップルを有することを特徴とする第2又は3の発明の揺動装置を提供する。
第5の発明は、前記ケースが、その内部に潤滑用グリスを貯留可能な潤滑剤貯留容器とされていることを特徴とする第3又は4の発明の揺動装置を提供する。
第6の発明は、前記揺動用駆動ユニットが前記載置台の下側に設けられて前記載置台を円形の移動軌跡で移動させるものであり、前記揺動用駆動ユニットは、回転駆動源と、この回転駆動源が発生する回転駆動力によって上下方向の回転軸線を以て回転駆動される回転部材上に前記回転軸線に対して平行かつ偏心させて立設した軸体の上端部を前記載置台に設けて前記軸体から前記載置台に前記回転駆動源の回転駆動力を伝達可能とした複数の回転ユニットとを有し、前記複数の回転ユニットは、前記回転部材の回転軸線が互いに平行かつ前記回転軸線に対する前記軸体の偏心量が互いに同じに揃えられ、しかも前記軸体は前記載置台及び前記回転部材の少なくとも一方に対して該軸体の軸線を中心に回転可能に設けられ、全ての前記軸体が互いの相対的な位置関係を保ったまま前記回転駆動源の回転駆動力によって一括して回転駆動されることを特徴とする第1〜5のいずれか1つの発明の揺動装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の揺動装置によれば、載置台が揺動用駆動ユニットによって円形の移動軌跡を描くように回転運動されるに伴い、可動支持体も円形の移動軌跡を描くように回転運動される。載置台の回転運動中、可動支持体のボールは、機台に設けられた受け部材上を連続的に転動し、受け部材におけるボールの接触部分が変わるから、焼き付きの原因となる局所的な加熱(接触摩擦によって局所的に高温になる)が生じにくい。その結果、この揺動装置は、従来の揺動装置のように焼き付きによって作動がロックするといった不都合が生じにくく、長期にわたって揺動性能を安定に維持できる。
また、この揺動装置は、受け部材上でのボールの転動によって機台に対して移動可能な可動支持体によって載置台を安定支持できる。また、可動支持体の設置数は、載置台を安定支持するために、載置台のサイズ等に応じて適宜設定できる。このため、この揺動装置は、例えば数リットル〜数十リットル程度の液体を収容した容器等、比較的荷重の大きい揺動対象物(重荷重の揺動対象物)の揺動を安定に効率良く行うことができる。
また、この揺動装置は、従来の直動装置を複数用いる従来の揺動装置に比べて、構造が簡単で、低コスト化を容易に実現できる
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態の揺動装置を上方から示す斜視図である。
【図2】図1の揺動装置の平面図である。
【図3】図1の揺動装置の側面図である。
【図4】図1の揺動装置における揺動用駆動ユニットを示す断面図である。
【図5】図1の揺動装置における補助支持ユニットの断面図である。
【図6】図1の揺動装置における補助支持ユニットの内部構造を示す図であって、(a)は縦断面図、(b)は平断面図である。
【図7】図1の揺動装置の動作を説明するモデル図である。
【図8】別態様の補助支持ユニットを示す断面図である。
【図9】本発明の一実施形態の揺動装置の制御部の一例を示す正面図である。
【図10】図1の揺動装置の使用状態の一例を示す側面図である。
【図11】図1の揺動装置の使用状態の一例であり、液体を収容し、可撓性配管を介して真空装置と接続した容器を載置台(天板)上に載置した状態を示す全体図である。
【図12】図1の揺動装置の使用状態の一例であり、液導入配管及び液排出配管を接続し、開閉可能な蓋が存在しない容器を、載置台(天板)上に載置した状態を示す全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る1実施形態の揺動装置を図面を参照して説明する。
なお、図1−図5、図6(b)、図8−図10において、上側を上、下側を下として説明する。
図1に示すように、前記揺動装置1は、機台7と、該機台7上に設けられた天板8と、前記機台7に設けられ、前記天板7を円形の移動軌跡で移動させる揺動用駆動ユニット2と、前記機台7上に設けられ前記天板8を支持する複数(図示例では3つ)の補助支持ユニット3とを具備して構成されている。
【0014】
図示例の前記天板8は円板状に形成されている。この天板8は、揺動対象物を載せる載置台として機能するものである。図10に示すように天板8には、該天板8上に設けられた円板状のカバープレート10を介して、揺動対象物として例えばドラム缶やペール缶等の容器9が載置される。円板状の天板8、カバープレート10の使用は、丸形の底面を有する容器9の載置に好適である。
【0015】
前記カバープレート10は、天板8上の複数箇所に突設された支持突部8a上に載置することで、ねじ24の頭部24a等の前記天板8上の突出物よりも上側に配置され、天板8上に揺動対象物を載置するための平坦な載置面10aを形成する。ねじ24の頭部24a等の突出物が天板8上に存在しない場合や、揺動対象物が天板8上の突出物との接触を回避できる形状になっている場合、天板8上の突出物が天板8に対する揺動対象物の固定に利用されるものである場合などは、カバープレート10の使用を省略して、天板8上に揺動対象物を直接載置することも可能である。
【0016】
なお、天板8やカバープレート10は円板状のものに限定されず、揺動対象物の形状等に応じて、種々の形状のものを適宜選択使用できる。天板8やカバープレート10としては例えば矩形板状、六角形板状のもの等も採用可能である。
【0017】
前記揺動装置1は、例えば液体を収容した容器9を天板8上に載置した状態で揺動用駆動ユニット2によって前記天板7を円形の移動軌跡で移動させることで、前記容器9内の液体を揺動して、攪拌あるいは液体内からの空気の脱泡を行うことが可能となっている。
【0018】
図1、図10に示すように、前記機台7は、プレート状のベース台5上に複数のポスト6を介して台板7aをベース台5上面に平行に支持した構成になっている。また、機台7は、該揺動装置1を設置する設置床上方に前記ベース台5を支持するための複数の脚部(図示略)を有している。
この揺動装置1は、前記機台7のベース台5を設置床上に水平設置することで台板7aが水平になり、揺動用駆動ユニット2及び補助支持ユニット3によって前記機台7上方に前記台板7aと平行に支持された天板8も水平となる。
【0019】
図4に示すように、揺動用駆動ユニット2は、回転駆動源として機台7に取り付けられたモータ11(例えば電動モータ)と、機台7に上下方向の回転軸線を以て回転自在に設けられた回転部材K上にその回転軸線に対して平行かつ偏心させて軸体Jが立設され前記モータ11の回転駆動力によって回転される複数(図示例では2つ)の回転ユニット2A、2Bとを具備して構成されている。
【0020】
また、図示例の揺動用駆動ユニット2は、2つの回転ユニット2A、2Bの一方(符号2Aの回転ユニット。以下、原動側回転ユニットとも言う)に固定されたプーリ20(以下、原動プーリとも言う)と、他方の回転ユニット2B(以下、従動側回転ユニットとも言う)に固定されたプーリ28(以下、従動プーリとも言う)とに巻き掛けられた無端状の駆動力伝達ベルト32を有している。そして、この揺動用駆動ユニット2は、前記モータ11から与えられた回転駆動力によって回転駆動する前記原動側回転ユニット2Aの回転駆動力を駆動力伝達ベルト32を介して従動側回転ユニット2Bへ伝達して、ひとつのモータ11によって複数の回転ユニットを回転駆動可能となっている。
【0021】
図4に示すように、モータ11はフランジ部11aを有し、このフランジ部11aを機台7に垂下するように取り付けられたモータ支持バー16に固定して、機台7のベース台5の下方に配置されている。モータ11の駆動軸12はモータ11上側に突出されて機台7のベース台5及び台板7aを上下に貫通している。この駆動軸12のモータ11上側に突出された部分は、その外周がベアリング17によって回転自在に支持されている。
【0022】
図4に示すように、原動側回転ユニット2Aの回転部材K(図中符号18を付記する)は、具体的には、前記モータ11の駆動軸12の先端(上端)に固定して、前記機台7の台板7aに沿って設けられた円板状の部材(以下、原動側回転板とも言う)である。この原動側回転板18は、前記モータ11の駆動軸12を回転駆動したときに、該駆動軸12の軸線12cを回転軸線として、該軸線12cを中心に回転する。
【0023】
図示例の揺動用駆動ユニット2の原動側回転ユニット2Aは、具体的には、前記原動側回転板18上にリング状の前記原動プーリ20を固定し、この原動プーリ20の内側に収納したリング状のベアリング22(以下、第1ベアリングとも言う)の内側に、前記軸体J(図中符号13を付記する。以下、第1移動軸とも言う。)を挿入して前記原動側回転板18上に立設した構成となっている。
【0024】
前記第1移動軸13は、その下端部が内挿された前記第1ベアリング22を介して、リング状の前記原動プーリ20の軸線上に同軸に軸回り回転可能に支持されている。前記原動プーリ20及び第1ベアリング22は、その軸線を、前記原動側回転板18の回転軸線(駆動軸12の軸線12c)に平行かつ偏心させて前記原動側回転板18上に取り付けられている。前記第1移動軸13は、その軸線13cが前記原動側回転板18の回転軸線(駆動軸12の軸線12c)に平行かつ偏心した状態で立設され、前記ベアリング22及び前記原動プーリ20の上方に突出されている。
【0025】
図4に示すように、前記原動プーリ20は、ねじ21によって前記原動側回転板18に固定(ねじ止め)されている。
リング状の前記ベアリング22は、原動プーリ20の内側に原動プーリ20と同軸として内挿されている。このベアリング22の上側には、前記原動プーリ20の上端部内周側に張り出すリブ状の押さえ突片20aが配置され、前記ベアリング22は前記押さえ突片20aによって原動プーリ20から上方への抜け出しが規制されている。
【0026】
原動プーリ20の前記押さえ突片20aは、原動プーリ20内周面からの突出寸法の設定によって、前記ベアリング22のうちその外周の外側ケース部材22aのみに接触可能となっている。前記押さえ突片20aは、ベアリング22において前記外側ケース部材22aに対してボール22bを介して回転自在の内側ケース部材22cには接触しない。
また、前記ベアリング22は、その外側ケース部材22aを、前記原動プーリ20下部内周の溝20bに嵌め込んで取り付けられたリング板状の止め輪31a上に載置している。前記ベアリング22は、前記外側ケース部材22aが前記止め輪31aと前記原動プーリ20の押さえ突片20aとの間に挟み込まれて保持されている。前記ベアリング22の前記内側ケース部材22cは、前記止め輪31a内側の開口部上に位置しており、前記止め輪31aに対して回転自在になっている。
【0027】
図4に示すように、従動側回転ユニット2Bの回転部材K(図中符号25を付記する)は、具体的には、前記機台7に固定されたリング状のベアリング26によって、前記原動側回転ユニット2Aの回転部材K(原動側回転板18)の回転軸線12cと平行な上下方向の回転軸線25cを以て回転自在に支持された軸部25aの上端に円板状の従動側回転板25bが一体に設けられた構成になっている。そして、前記従動側回転ユニット2Bは、前記従動側回転板25b上にリング状の前記従動プーリ28を固定し、この従動プーリ28の内側に収納したリング状のベアリング30(以下、第2ベアリングとも言う)の内側に、前記軸体J(図中符号15を付記する。以下、第2移動軸とも言う。)を挿入して前記従動側回転板25b上に立設した構成となっている。
【0028】
図4に示すように、前記第2移動軸15は、その下端部が内挿された前記ベアリング30(第2ベアリング)を介して、リング状の前記従動プーリ28の軸線上に同軸に軸回り回転可能に支持されている。前記従動プーリ28及び第2ベアリング30は、その軸線を、前記従動側回転部材25の回転軸線25cに平行かつ偏心させて前記従動側回転板25b上に取り付けられている。前記第2移動軸15は、その軸線15cが前記従動側回転部材25の回転軸線25cに平行かつ偏心した状態で立設され、前記ベアリング30及び前記従動プーリ28の上方に突出されている。
【0029】
図4に示すように、前記従動プーリ28は、ねじ29によって前記従動側回転部材25の回転板25b(従動側回転板)に固定(ねじ止め)されている。
リング状の前記ベアリング30は、従動プーリ28の内側に該従動プーリ28と同軸として内挿されている。このベアリング30の上側には、前記従動プーリ28の上端部内周側に張り出すリブ状の押さえ突片28aが配置され、前記ベアリング30は前記押さえ突片28aによって原動プーリ20から上方への抜け出しが規制されている。
【0030】
前記従動プーリ28の前記押さえ突片28aは、従動プーリ28内周面からの突出寸法の設定によって、前記ベアリング30のうちその外周の外側ケース部材30aのみに接触可能となっている。前記押さえ突片28aは、前記ベアリング30において前記外側ケース部材30aに対してボール30bを介して回転自在の内側ケース部材30cには接触しない。
また、前記ベアリング30は、その外側ケース部材30aを、前記従動プーリ28下部内周の溝28bに嵌め込んで取り付けられたリング板状の止め輪31b上に載置している。前記ベアリング30は、前記外側ケース部材30aが前記止め輪31bと前記従動プーリ20の押さえ突片20aとの間に挟み込まれて保持されている。前記ベアリング30の前記内側ケース部材30cは、前記止め輪31b内側の開口部上に位置して止め輪31bに接触せず、前記止め輪31bに対して回転自在になっている。
【0031】
図4に例示する揺動用駆動ユニット2において、第1移動軸13及び第2移動軸15は、天板8に開口された軸挿通孔8bに挿入された上端部が、前記天板8上に固定された軸取り付け板23に固定(図示例ではねじ24によるねじ止め)されて天板8から垂下状態に支持されている。また、第1移動軸13及び第2移動軸15は、その下端部が回転部材(図示例では原動側回転板18、25b)から上方に位置して回転部材に接触していない。
このため、回転ユニットは天板8及び天板8上に載置した揺動対象物等の載置物(例えば図10に例示した容器9、カバプレート10)の重量を負担しない。この揺動装置1は、揺動用駆動ユニット2の各回転ユニットのベアリング22、30が、天板8及び天板8上に載置した揺動対象物等の載置物の重量を負担しない構造となっている。
また、前記軸体Jは、揺動用駆動ユニット2の各回転ユニットのベアリング22、30に固定されておらず、その外周面が、ベアリング22、30の内側ケース部材22c、30cの内周面に対して摺動可能になっている。
【0032】
なお、揺動用駆動ユニットの回転ユニットとしては、天板8に固定されて垂下状態に設けられた軸体の下端部が回転部材に接触していない構成に限定されず、前記軸体の下端部が回転部材に接触している構成も採用である。
【0033】
揺動用駆動ユニット2の各回転ユニットのプーリ20、28はその径が同じに揃えられている。
また、図示例の揺動用駆動ユニット2の原動側、従動側の回転ユニットにあっては、それぞれベアリング22、30を2つ段積みしているが、軸体を回転自在に支持するためのベアリングの設置数については特には限定は無い。
【0034】
揺動用駆動ユニット2では、各回転ユニットの回転軸線(回転部材の回転軸線)は互いに平行である。また、各回転ユニットについて、前記回転軸線に対する軸体Jの偏心量は、互いに同じに揃えられている。また、各回転ユニットにおける該回転ユニットの回転軸線に対する軸体Jの偏心方向は同じに揃えられている。
【0035】
つまり、図7に示すように、平面視において、各回転ユニットの軸体Jは、回転ユニットの回転軸線に対する偏心ベクトルが同じ(平面視における偏心方向、偏心量が同じ)に揃えられている。
平面視において各軸体Jは、複数の回転ユニットの回転軸線が配列されている仮想直線と平行な直線上に前記複数の回転ユニットの回転軸線と同じ配列ピッチで配列されている。各回転ユニットをモータ11によって回転駆動したとき、複数の回転ユニットの軸体Jは、揺動装置の平面視において各回転ユニットの回転軸線が配列されている仮想直線と平行な直線上に各回転ユニットの回転軸線と同じ配列ピッチで配列された状態を保ったまま、それぞれ回転ユニットの回転軸線を中心に回転移動される。つまり、複数の回転ユニットの軸体Jは、各軸体Jの軸線と重なる仮想平面が、各回転ユニットの回転軸線と重なる仮想平面と平行な状態を保ったまま、それぞれ回転ユニットの回転軸線を中心に回転移動する。
【0036】
したがって、この揺動用駆動ユニット2にあっては、全ての前記軸体Jが互いの相対的な位置関係を保ったままモータ11の回転駆動力によって一括して回転駆動される。また、この揺動装置1は、揺動用駆動ユニット2の駆動によって該揺動用駆動ユニット2の複数の軸体Jを回転移動したとき、天板8も各軸体Jの回転移動に追従して回転移動する。
なお、各回転ユニットにおける軸体Jの回転ユニットの回転軸線に対する偏心量は、天板8の平面視サイズ(例えば円板状の天板8の外径)に比べて格段に小さい。
【0037】
図1、図2、図7等に示す図示例の揺動装置1は、円板状の天板8の中心を、モータ11の駆動軸12及び原動側回転ユニット2Aの回転軸線12cに位置合わせしている。この揺動装置1において、モータ11を駆動したときの天板8の回転移動は、モータ11の駆動軸12及び原動側回転ユニット2Aの回転軸線12cを中心とする回転移動とみなすことができる。
【0038】
図1、図4等に示すように、図示例の揺動装置1の揺動用駆動ユニット2は、第1移動軸13及び第2移動軸15を連結する連結板33、及び前記駆動力伝達ベルト32に張力を与えて弛みを防止するテンションローラ34を有している。
【0039】
前記連結板33は、その面方向の互いに異なる位置に貫設された軸収納孔33a、33bを有している。第1移動軸13及び第2移動軸15はプーリ20、28から上方に延出した部分を前記連結板33の軸収納孔33a、33bにそれぞれ軸回り回転自在に内挿している。第1移動軸13及び第2移動軸15は、軸収納孔33a、33bの内周面に摺動してそれぞれ軸回り回転する。連結板33は、前記軸収納孔33a、33bに通された第1移動軸13及び第2移動軸15を一括保持して、その軸線13c、15cが互いに平行な状態に保つ機能を果たす。
【0040】
図4に示すように、連結板33は、第1移動軸13及び第2移動軸15に外挿して原動側及び従動側の回転ユニット2A、2Bのベアリング22、30(詳細にはその内側ケース部材22c、30c)と該連結板33との間に介在された円筒状のスペーサ36上に載置して、揺動用駆動ユニット2の複数の回転ユニットの回転部材Kの上方に設けられている。
揺動用駆動ユニット2は、原動側及び従動側の回転ユニット2A、2Bがモータ11からの回転駆動力によって回転されたときに、各回転ユニットの軸体J及び天板8とともに、前記連結板33も、各回転ユニット2A、2Bの回転軸線を中心に回転移動される。
【0041】
図示例の揺動装置1において、前記テンションローラ34はリング状部材であるローラ本体34aをボルト35の軸部35aに外挿して回転自在に軸支した構成になっている。このテンションローラ34は、前記連結板33の一対の軸収納孔33a、33bの間に位置に垂下状態に取り付けられ、前記ローラ本体34aの回転軸線が連結板33に垂直となる向きで設けられている。
【0042】
図1、図4に示すように、前記テンションローラ34は、具体的には、前記ボルト35の軸部35aを前記連結板33における一対の軸収納孔33a、33bの中間位置に貫設されたボルト孔33cに通し、前記軸部35aの連結板33上に突出させた先端部に前記ボルト孔33cに入り込まない大きさのナット37を螺着して前記連結板33に垂下状態に取り付けられている。
また、前記ボルト35の軸部35aに外挿したローラ本体34aは、前記ボルト35の軸部35a下端部(基端部)に前記軸部35aよりも太く形成された頭部35bによって抜け止めされて、ボルト35から下方へ脱落しない。テンションローラ34は、ナット37の締め付けによって連結板33に固定される。
【0043】
図2に示すように、前記駆動力伝達ベルト32は、プーリ20、28間に延在する2つのプーリ間延在部32aの片方を前記テンションローラ34のローラ本体34aの外周面に接触させて屈曲状態として張力を与えている。
図2に示すように、連結板33のボルト孔33cは、揺動装置1の平面視において連結板33に互いに離隔させて形成された一対の軸収納孔33a、33bの間隔方向に直交する方向に延在する長孔になっている。テンションローラ34は、連結板33に対するボルト35の固定位置を前記ボルト孔33cの平面視長手方向に調整することで、駆動力伝達ベルト32に与える張力を調整できる。
【0044】
図1、図4に示すように、図示例の揺動装置1の前記テンションローラ34は、具体的には、ローラ本体34aとしてリング状のベアリングを用い、このベアリングをボルト35の軸部35aに複数外挿した構成となっている。但し、ボルト35の軸部35aに外挿するローラ本体34aの数は1以上であれば良く、適宜設定可能である。
【0045】
次に、補助支持ユニット3について説明する。
図1及び図2に示すように、補助支持ユニット3は、揺動用駆動ユニット2の周囲に複数(3個)が配置されている。複数の補助支持ユニット3は、天板8の平面視中央を中心とした円周上の等分位置に配置されており、それぞれが天板8を支持するようになっている。
【0046】
図5及び図6(a)、(b)に示すように、前記補助支持ユニット3は、前記機台7上に固定されたケース40と、このケース40の底部の受け部材43の上面(受け面)上を転動するボール53及び前記ケース40上部の上板41に開口された窓部41aから上方に突出する支柱51を有する可動支持体50とを具備する構成となっている。
【0047】
前記可動支持体50は、前記支柱51の上端部を前記天板8に固定して前記天板8と一体に移動可能に設けられている。
この可動支持体50の支柱51の下端部には、プレート状のリテーナ52が前記受け部材43上面に沿う向きで設けられている。前記可動支持体50は、前記リテーナ52の複数箇所に貫設されたボール孔52aにそれぞれ回転自在に収納された前記ボール53を有する。また、図5及び図6(a)に示すように、前記可動支持体50は、前記支柱51に固定して前記リテーナ52よりも上側に前記支柱51に垂直に設けられた上側受け板54を有し、この上側受け板54を前記ボール53上に載置した構成となっている。
【0048】
図5及び図6(a)に示すように、前記支柱51は、具体的にはねじ(ボルト)であり、その軸部51aの片端に該軸部51aに比べて太く形成された頭部51bを有する。
また、前記可動支持体50は、前記支柱51に外挿し該支柱51の頭部51bに固定して支柱51に垂直に設けられた天板連結用プレート55を有している。
【0049】
図6(a)に示すように、天板連結用プレート55は、その中央部に前記支柱51の軸部51aを挿通可能な貫通孔55aを有している。そして、この天板連結用プレート55は、前記貫通孔55aの片端を拡張したザグリ部55bに前記支柱51の頭部51bを収納して、前記支柱51に外挿して設けられている。
前記天板連結用プレート55は、前記支柱51の上端部(頭部51b付近)に固定して、前記ケース40上方に配置されている。
【0050】
図6(a)に示すように、前記可動支持体50の支柱51の軸部51aはその外周にねじ山が螺設された雄ねじ軸とされている。この軸部51aの下端部にはナット56が螺着されている。
前記可動支持体50は、前記軸部51aに外挿して前記ナット56上に載置されたワッシャ57と、前記軸部51aに外挿して前記ワッシャ57上に載置された円筒状の第1カラー58と、前記第1カラー58に外挿して前記ワッシャ57上に載置されたリング板状の前記リテーナ52とを有する。但し、前記リテーナ52の厚みは第1カラー58の軸線方向の寸法に比べて若干小さい。
さらに、この可動支持体50は、円板状の前記上側受け板54をその中央部を貫通する貫通孔54aに軸部51aを通すことで前記軸部51aに外挿して前記第1カラー58上に載置し、この上側受け板54と前記天板連結用プレート55との間に前記軸部51aに外挿した筒状の第2カラー59を介挿した構成となっている。
【0051】
そして、この可動支持体50は、前記ナット56の締め付け力によって、該ナット56と支柱51の頭部51bとの間に、ワッシャ57、第1カラー58、上側受け板54、第2カラー59、天板連結用プレート55を固定している。前記天板連結用プレート55は、前記ナット56の締め付け力によって、前記支柱51の頭部51bに押し付けられて固定されている。
【0052】
前記天板連結用プレート55を支柱51の上端部に固定するための構造としては、上述の構成に限定されない。例えば、支柱51の軸部51aに螺着したナットの締め付け力によって支柱51の頭部51bに押し付けて固定した構成等も採用可能である。
また、上側受け板54を支柱51に固定するための構造としても図示例の構造に限定されるものではなく、例えば支柱51の軸部51aに複数螺着したナットによって上側受け板54を両側から締め付けて固定する構造等を採用することも可能である。
【0053】
図5に示すように、前記可動支持体50は、前記天板8下面に固定(図示例ではねじ61aを用いたねじ止め固定)されたスペーサ61に前記天板連結用プレート55を固定して天板8に取り付けられている。この可動支持体50は、前記支柱51の上端部(頭部51b付近)を天板連結用プレート55及びスペーサ61を介して天板8に固定して設けられている。
なお、図5では、天板連結用プレート55及びスペーサ61は、天板8を貫通するねじ孔に挿入して前記スペーサ61に貫設されたねじ用貫通孔に貫通させた前記ねじ61aの先端を前記天板連結用プレート55に形成された雌ねじ孔55cにねじ込んで締め付けた締め付け力によって前記天板8に締結固定されている。
【0054】
前記スペーサ61は、揺動用駆動ユニット2と各補助支持ユニット3との高さの違いに鑑みて、天板8を揺動用駆動ユニット2の回転部材Kの回転軸線に垂直の向きに支持するために必要に応じて設ける。したがって、スペーサ61の設置は必須ではなく、適宜省略したり、適切サイズのものに変更するといったことが可能である。
【0055】
なお、支柱51上端部を天板8に対して固定するための固定構造としては、前記天板連結用プレート55を介して固定する構成に限定されない。この固定構造としては、例えば、支柱51上端部に螺着したナットの締め付けによって、支柱51上端部を天板8あるいは前記スペーサ61に直接固定する構造等も採用可能である。
【0056】
図5及び図6(a)に示すように、前記可動支持体50のうち、前記上側受け板54及び該上側受け板54から下側の部分は、前記ケース40内に収納されている。
前記上側受け板54は、前記ケース40の上板41の下側に僅かに離隔して配置され、上板41に接触しない。
【0057】
前記リテーナ52は、既述のように、その厚み(リテーナ52の外周部の厚肉部(後述)から内側部分の厚み寸法。但し、後述のリング状突部52eを含む)が第1カラー58の軸線方向の寸法に比べて若干小さいリング板状の部材である。このリテーナ52は、支柱51に対してその軸線に垂直の向きで固定された前記ワッシャ57上に重なるように載置された状態において、上側受け板54との間に若干のクリアランスを介して上側受け板54下側に該上側受け板54と平行に配置される。
図6(a)に示すように、リテーナ52の下面側の外周部には、その全周にわたって突部(外周突部52c)が周設されており、リテーナ52はその外周部に、前記外周突部52cの分だけ厚肉になった厚肉部を有している。そして、リテーナ52は、その径方向において前記厚肉部から内側部分(主板部52e)の下面であるワッシャ当接面52dを前記ワッシャ57に当接させてワッシャ57上に載置されている。外周突部52cの内径、すなわちリテーナ52下面側における外周突部52c内側の凹所(ワッシャ収容凹所)の内径は、ワッシャ57外径に比べて大きい。
図示例のリテーナ52は、具体的には、その上面上(具体的には主板部52e上)に、リテーナ52の内側孔52bの周囲に突設されたリング状突部52fを有する。リテーナ52は、主板部52eの厚みに、リング状突部52fのリテーナ52上面からの突出寸法を加えた寸法(図示例では主板部52eからの突出寸法)が、第1カラー58の軸線方向の寸法に比べて若干小さい。
【0058】
また、このリテーナ52の内径、すなわちリング板状のリテーナ52の内側孔52bの内径は前記第1カラー58の外径に比べて格段に大きい。リテーナ52は、前記支柱51に対して固定されておらず、支柱51に対して、該支柱51の軸線に垂直方向の移動及び若干の揺動を許容して設けられている。
但し、リテーナ52の内径は前記ワッシャ57の外径よりも小さい。このため、リテーナ52は支柱51の軸線に垂直方向の移動によってワッシャ57から下方に脱落することはない。リテーナ52は、ワッシャ57上を摺動して、支柱51に対してその軸線に垂直の方向に移動できる。
なお、図6(a)等に例示した可動支持体50は、リテーナ52の内側孔52bの内径と第1カラー58外径との差を、リテーナ52の外周突部52cの内径とワッシャ57外径との差に比べて若干小さくしてある。但し、可動支持体50の構成は、これに限定されず、リテーナ52の内側孔52bの内径と第1カラー58外径との差を、リテーナ52の外周突部52cの内径とワッシャ57外径との差に比べて同じ、あるいはそれよりも大きくした構成も採用可能である。
【0059】
図6(a)に示すように、前記ボール53の外径はリテーナ52の厚みよりも大きい。また、ボール53は、リテーナ52のボール孔52aに上下動可能に収納されている。図6(a)、(b)に示すリテーナ52のボール孔52aはボール53の外径に比べて若干大きい内径の丸孔に形成されている。
【0060】
前記可動支持体50は、その全重量がボール53を介して受け部材43によって支持されている。この可動支持体50は、前記ボール53上に載置された上側受け板54を介して、支柱51及び該支柱51に固定された全ての構成部材の重量が受け部材43上のボール53に作用する。また、可動支持体50は、前記上側受け板54が前記ボール53上に載置された状態で、前記ワッシャ57上に重なるように載置されたリテーナ52が、前記受け部材43よりも上、前記上側受け板54よりも下に位置し、前記ボール53がリテーナ52の上下に突出する構成となっている。
【0061】
図6(b)に例示したリテーナ52は、その外周部の6箇所に形成されたボール孔52aにボール53をひとつずつ収納した構成になっている。
但し、リテーナ52のボール孔52aは、リテーナ52の中心(リング板状のリテーナ52の開口部の中心)の周囲の3以上の箇所に均等に形成されていれば良く、その形成数は4又は5箇所、あるいは7以上の箇所であっても良い。
【0062】
次に、この実施形態の揺動装置1の動作を図7を参照して説明する。
モータ11の駆動によって駆動軸12が回転すると、原動プーリ20が回転し、駆動力伝達ベルト32を介して従動プーリ28が追随回転する。原動プーリ20及び従動プーリ28が回転することにより、第1移動軸13及び第2移動軸15が、それぞれ回転部材18、25の回転軸線12c、25cからの偏心量を安定に維持したまま前記回転軸線12c、25cを中心とする円の軌跡を描いて回転移動する。
【0063】
図7における符号131、132、133は、第1移動軸13の移動軌跡を示している。第2移動軸15も符号151、152、153で示すように第1移動軸13の移動に追随して円形の移動軌跡を描いて移動する。第1移動軸13及び第2移動軸15の円形の移動軌跡を描く移動により、天板8も符号81、82、83で示すように円形の移動軌跡を描いて移動する。このような天板8の円形の移動軌跡を描く移動はモータ11が駆動している間、継続する。図7における符号201、202、203は原動プーリの移動軌跡、符号、可動支持体50の上側受け板54の移動軌跡を示している。
【0064】
また、揺動用駆動ユニット2の駆動によって天板8が回転移動されたとき、可動支持体50も、揺動用駆動ユニット2の各回転ユニットにおける回転部材Kの回転軸線に対する軸体Jの偏心量に相当する回転半径の円の軌跡を描いて、天板8と一体的に回転移動される。図7における符号541、542、543は、可動支持体50の上側受け板54の移動軌跡を示している。
可動支持体50の回転移動も、モータ11が駆動している間、継続する。
【0065】
前記可動支持体50は、前記揺動用駆動ユニット2の駆動によって天板8が回転移動されるに伴い、前記ケース40底部の受け部材43の平坦な上面(受け面)上での前記ボール53の転動によって、前記天板8と一体的に回転移動する。各補助支持ユニット3の受け部材43の上面は、揺動用駆動ユニット2の各回転ユニットにおける回転部材Kの回転軸線に直交する1平面の延長上に位置する。
【0066】
揺動用駆動ユニット2の駆動によって天板8が回転移動されたときの可動支持体50の回転移動は、揺動用駆動ユニット2の各回転ユニットにおける回転部材Kの回転軸線に対する軸体Jの偏心量に相当する回転半径の円の軌跡を描く回転移動である。
この揺動装置1は、揺動用駆動ユニット2の駆動による可動支持体50の回転移動の継続中、受け部材43及び上側受け板54に対するボール53の転動が継続する。このときボール53は上側受け板54の回転移動に伴い受け部材43上を転動しながら、円形の軌跡を描いて連続的に回転移動する。この揺動装置1は、揺動用駆動ユニット2の駆動が継続している間、ボール53が転動を継続して受け部材43及び上側受け板54に対して相対的に移動し続けるため、焼き付きの原因となる局所的な加熱(接触摩擦によって局所的に高温になる)が生じにくい。その結果、この揺動装置は、直動装置を複数利用する従来構成の揺動装置のように焼き付きによって作動がロックするといった不都合が生じにくく、長期にわたって揺動性能を安定に維持できる。
【0067】
また、既述の通り、直動装置を複数利用する従来構成の揺動装置は、直動装置のボールが非常に狭い転動範囲で往復動を繰り返すため、ボールに局所的な摩耗進行が生じやすい。これに対して、前記揺動装置1は、可動支持体50のボール53の局所的な摩耗進行が生じにくく、従来構成の揺動装置における直動装置のボールに比べて、ボール53表面全体にわたって摩耗を平均化できるから、局所的な摩耗進行に起因する接触摩擦の増大やそれによる発熱の抑制にも有効に寄与する。
【0068】
図1、図6(a)等に示すように前記ケース40は円筒状の外周壁42を有する。図6(a)、(b)に示すように、この揺動装置1において、揺動用駆動ユニット2の駆動による可動支持体50の上側受け板54の可動範囲(回転移動範囲)は、上側受け板54がケース40の外周壁42に接触しない範囲に設定される。
ケース40上部の上板41に開口された窓部41aには、揺動用駆動ユニット2の駆動によって天板8が回転移動されたときの可動支持体50の支柱51の回転移動範囲(可動範囲)よりも大きい開口寸法が確保されている。揺動用駆動ユニット2によって天板8が回転移動されたとき、支柱51は、前記上板41に接触することなく、前記窓部41a内を自由に回転移動できる。
【0069】
図6(a)、(b)に示すように、この揺動装置1において、揺動用駆動ユニット2の駆動によって回転移動する可動支持体50のボール53の可動範囲は、ケース40の外周壁42内径よりも外径が若干小さい円板状の受け部材43(下側受け板)の上面上に限定されている。
ボール53及び該ボール53に直接接触する上側受け板54及び受け部材43としては、例えば熱処理(焼入・焼もどし)を施したSUS440C等のマルテンサイト系ステンレスといった、高強度、高硬度の材料を好適に採用できる。このような高強度、高硬度の材料の採用は、ボール53の接触摩擦による発熱を抑え、焼き付きによる揺動装置の作動のロックといった不都合を生じにくくし、メンテナンスコストの低減、製品寿命の延長の点で有利である。
なお、ボール53、上側受け板54、受け部材43の材質としては上述のものに限定されず、上述以外の金属材料、セラミックス等も採用可能である。
【0070】
既述のように、前記リテーナ52は、前記支柱51に対して固定されておらず、支柱51に対して、該支柱51の軸線に垂直方向の移動及び若干の揺動を許容して浮動可能に設けられている。図6(a)、(b)に示すように、可動支持体50は、揺動用駆動ユニット2の駆動によって回転移動されて、リテーナ52のボール孔52a内で回転する前記ボール53がボール孔52a内周面に接触したとき、リテーナ52が浮動することで、リテーナ52とボール53との接触摩擦の増大を抑制でき、ボール53が円滑に回転する状態を安定に維持できる。
また、リテーナ52としては、ボール孔52a内面とボール53との接触抵抗の低減に鑑みて、表面の滑り性が良いもの、例えばポリアセタール等のプラスチック材料で形成された部材を好適に採用できる。
【0071】
図6(a)、(b)に示すように、前記ケース40の外周壁42(側壁)には、該ケース40の外側から内側に潤滑用グリスを注入するためのニップル44が設けられており、補助支持ユニット3は、可動支持体50のボール53への潤滑用グリスの供給を簡単に行える。
前記ケース40は、前記外周壁42下端からその内周側全周に張り出すリブ状の外周底壁42aをベースプレート47上に固定し、前記外周底壁42aの内側に円板状の受け部材43を嵌め込んで、ベースプレート47上に載置した構成となっている。前記受け部材43の上面は、外周底壁42aの上面と面一あるいは僅かに下側に位置し(図示例では面一)、前記ニップル44を介してケース40内に注入した潤滑用グリスが前記受け部材43上に拡がるようにしてある。このため、補助支持ユニット3は、可動支持体50のボール53への潤滑用グリスの供給を効率良く行える。
また、補助支持ユニット3にあっては、既述のように、揺動用駆動ユニット2の駆動中、受け部材43及び上側受け板54に対してボール53が転動し続けるため、このボール53の転動、移動によって、受け部材43上に潤滑用グリスを効率良く拡げることができ、全てのボール53に潤滑用グリスを満遍なく行き渡らせることができる。
【0072】
なお、図示例のケース40は、円筒状の外周壁42と、その上部のリング板状の上板と、下部のリング板状の外周底壁42aとを一体成形した部材であるケース本体40aを有する。そして、このケース40は、ケース本体40aの外周底壁42aをねじ45を用いてベースプレート47上に固定し、外周底壁42aの内側に嵌め込んだ受け部材43をケース本体40aによって前記ベースプレート47上の所定位置に保持した構成となっている。また、図5に示すように、このケース40は、前記ベースプレート47をねじ46を用いて機台7の台板7a上に固定して、機台7上の所望位置に取り付けられている。
【0073】
また、前記ケース40は、図8に示すように、前記上板41から下側全体を潤滑用グリスを貯留可能な容器(潤滑剤貯留容器)とし、その内部に潤滑用グリス62を貯留し、前記潤滑用グリス62に可動支持体50のボール53の一部又は全部を埋没させる液深を確保した構成としても良い。図8に示すケース40に符号40Aを付記する。
このケース40Aを採用した補助支持ユニット3Aは、ボール53の転動に伴う油ぎれに起因する焼き付きを確実に防止できる。
なお、図8に例示したケース40Aは、全体が一体成形された1部材となっているが、これに限定されず、複数部材によって構成したものであっても良い。
【0074】
ケースとしては、機台7の台板7a自体を受け部材として用いた構成も採用可能である。この場合、機台7の台板7a以外に別途受け部材を設ける必要が無く、部品点数の削減、低コスト化を実現できる。
【0075】
揺動用駆動ユニット2のベアリング22、30は、前記モータ11の駆動によって天板8を回転移動したときにそれぞれ回転ユニット2A、2Bの回転軸線12c、25cを中心に回転移動されることで、軸体Jの下端部外周面との接触により内側ケース部材22c、30c(図4参照)が外側ケース部材22a、30aに対して相対回転する。
但し、図示例の揺動用駆動ユニット2は、回転ユニット2A、2Bの回転に伴い回転移動するベアリング22、30の移動半径(回転半径。換言すれば回転軸線12c、25cに対する偏心量)を、天板8の回転移動に伴い回転移動する可動支持体50の移動半径(回転半径)に比べて格段に小さくしてある。このため、モータ11の駆動によって天板8を回転移動したときに回転移動するベアリング22、30の移動速度は可動支持体50の移動速度に比べて格段に遅い。したがって、ベアリング22、30については、モータ11の駆動による天板8の回転移動を継続しても、内側ケース部材22c、30cと外側ケース部材22a、30aとの接触摩擦、内側ケース部材22c、30cや外側ケース部材22a、30aに対するボール22b、30bの接触摩擦による発熱は小さく、焼き付きを生じる心配が無い。
【0076】
また、前記ベアリング22、30内には潤滑用のグリスが充填されている。このことも、揺動用駆動ユニット2による天板8の回転移動を継続したときのベアリング22、30の発熱抑制に有効に寄与する。
但し、ベアリング22、30は、上述のように、回転ユニット2A、2Bの回転に伴う回転移動の移動半径を可動支持体50の移動半径に比べて格段に小さくすることで、回転移動による発熱を抑えることができるため、グリスを充填していないものを使用することも可能である。
【0077】
この揺動装置1では、図10に示すように、揺動対象物として例えば液体を収容した容器9を天板8上に載置した状態で、揺動用駆動ユニット2を駆動して天板8を回転移動することで、容器9内の液体の攪拌や、脱泡のための渦流形成を行える。
また、この揺動装置1は、天板8及び天板8上に載置した揺動対象物等の載置物の重量を、複数の補助支持ユニット3、さらに具体的には各補助支持ユニット3の可動支持体50によって分散して支持できる。このため、この揺動装置1は、例えば数リットル〜数十リットルの液体を収容した容器9(図10参照)といった重荷重の揺動対象物を天板8上に載置した場合であっても、複数の可動支持体50によって天板8を安定支持できる。しかも、この揺動装置1は、天板8を支持する複数の可動支持体50がそれぞれケース40底部の受け部材43上を転動するボール53によって受け部材43上を移動自在になっているから、揺動用駆動ユニット2を駆動したときの天板8及び揺動対象物の回転移動、該回転移動による揺動対象物の揺動を円滑に行える。したがって、この揺動装置1は、例えば数リットル〜数十リットルの液体を収容した容器9(図10参照)といった重荷重の揺動対象物を天板8上に載置した場合であっても、容器9内の液体の攪拌や脱泡を簡単かつ安定に行える。
【0078】
また、この揺動装置1は、揺動対象物を天板8上に載せ、揺動用駆動ユニット2を駆動させるだけで、揺動対象物の揺動を簡単に行える。しかも、この揺動装置1は、高価な直動装置を複数用いて組み立てられる従来構成の揺動装置に比べて構造を単純化でき、低コスト化を容易に実現できる。
【0079】
また、前記揺動装置1は、容器9内の液体が1リットル未満で液深が浅い(例えば1cm未満)場合であっても、容器9内の液体の攪拌や脱泡を行える。
【0080】
例えば数リットル〜数十リットルの液体の攪拌等を行う技術としては、液体を収容した容器の内側底部に設けたプロペラを液中で回転駆動させる装置もある。この装置は、容器下側に配置した回転駆動機構の回転駆動力によって、容器底壁を上下に貫通する貫通孔に通したシャフトとともに該シャフトに固定されたプロペラを一体的に回転させるものである。しかしながら、この装置は、容器底壁の貫通孔(シャフト挿通孔)のシールが必要である。このため、この装置は、シール部材から容器内の液体への汚染物質の放出や、シール部材とシャフトとの摺動により生じる摩耗粉が、容器内の液体のコンタミネーションの原因になる可能性があり、特に高い清浄度(低コンタミネーション)が求められる液体の揺動や攪拌等には不適であった。
これに対して、前記揺動装置1は、該揺動装置1とは別体の容器9に収容した液体を容器9とともに揺動する構成であるため、高い清浄度(低コンタミネーション)が求められる液体の揺動、攪拌や脱泡のための渦流形成に好適に用いることができる。
【0081】
また、この揺動装置1は、揺動用駆動ユニット2による天板8の回転移動速度等を設定(指令入力)するための操作部63を有する。
図9に操作部63の一例を示す。図9に示す操作部63は押しボタン式のタッチスイッチが複数配列されたスイッチパネルである。この操作部63には、天板8の回転移動速度を互いに異なる複数(図9に示す操作部63においては高速、中速、低速の3つ)のいずれかに設定するための複数(図示例では3つ)の速度設定用スイッチ64a、64b、64cと、揺動用駆動ユニット2による天板8の回転動作を設定(指令入力)するための複数(図示例では2つ)の動作選択スイッチ65a、65bとが設けられている。また、この操作部63は、設定リセットスイッチ66、スタートボタン67、ストップボタン68も有している。3つの速度設定用スイッチ64a、64b、64c、2つの動作選択スイッチ65a、65b、設定リセットスイッチ66、スタートボタン67、ストップボタン68は、それぞれ押し込み操作によってスイッチオンする押しボタン式のタッチスイッチである。
【0082】
この揺動装置1は、作業者が、前記操作部63の3つの速度設定用スイッチ64a、64b、64cのいずれか一つを押し込み操作することで、揺動用駆動ユニット2による天板8の回転移動速度を、押し込み操作された速度設定用スイッチ64a、64b、64cに応じて高速、中速、低速の3段階のいずれかに設定できる。この揺動装置1は、押し込み操作された速度設定用スイッチ64a、64b、64cに応じて揺動用駆動ユニット2のモータ11の回転数が設定される結果、天板8の回転移動速度がモータ11の設定回転数に応じた速度に設定される。
モータ11の回転数を設定することで天板8の回転移動速度を設定できる揺動装置1の構成は、直動装置を複数用いて組み立てられる従来構成の揺動装置に比べて作動制御が単純で済むといった利点がある。
【0083】
この揺動装置1は、揺動用駆動ユニット2による天板8の回転動作として、天板8を一定方向に連続して回転移動する連続回転動作(図9中「連続回転」)、及び天板8を一定方向に予め設定した回転量だけ回転移動した後、回転方向を反転して予め設定した回転量だけ回転移動することを繰り返す繰り返し反転動作(図9中「正逆反転」)とを行うことが可能である。
そして、この揺動装置1は、操作部63の符号65aの動作選択スイッチを押し込み操作することで連続回転動作を選択、設定でき、符号65bの動作選択スイッチを押し込み操作することで繰り返し反転動作を選択、設定できる。
【0084】
この揺動装置1は、回転駆動源(図示例ではモータ11)の回転駆動を制御する制御部(図示略)を有する。この揺動装置1は、作業者が、操作部63の速度設定用スイッチ及び動作選択スイッチを使用して揺動用駆動ユニット2による天板8の回転移動速度及び天板8の回転動作を選択、設定した後、スタートボタン67を押し込み操作することで、前記制御部が回転駆動源の駆動を制御して、操作部63の操作によって選択、設定された回転移動速度及び回転動作での天板8の回転移動を開始する。なお、スタートボタン67を押し込み操作する前に設定リセットスイッチ66を押し込み操作すれば、回転移動速度及び回転動作の設定はキャンセルされる。
また、揺動用駆動ユニット2による天板8の回転移動動作は、動作開始後にストップボタン68を押し込み操作することで停止する。
【0085】
なお、操作部63としては、揺動用駆動ユニット2による天板8の回転移動速度及び回転動作の設定を行えるものであれば良く、上述のスイッチパネルに限定されない。操作部63としては、例えば、タッチパネル式の操作パネル、速度設定用スイッチや動作選択スイッチとしてダイヤル式の切り替えスイッチを採用した構成等であっても良い。
揺動用駆動ユニット2による天板8の回転移動速度の設定は、スイッチ方式のものに限定されず、例えば、ダイヤルの回転操作によって、揺動用駆動ユニット2による天板8の回転移動速度を、段階的ではなく、無段階に変更できる無段階ダイヤル式のものも採用可能である。
【0086】
また、揺動用駆動ユニット2による天板8の回転移動動作としては、上述の連続回転動作、繰り返し反転動作に限定されない。例えば、天板8の一定方向への回転移動と、天板8の回転意動を一定時間停止する一時停止状態とを繰り返す間歇回転動作、天板8の一定方向(正方向)への回転移動と、天板8の回転移動を一定時間停止する一時停止状態と、天板8の正方向とは逆の方向への回転移動とをこの順で繰り返し実行する間歇反転動作等も採用可能である。
操作部は、互いに異なる3以上の回転移動動作からひとつを選択、設定(指令入力)できる構成であっても良い。
【0087】
但し、この揺動装置1の前記回転移動動作において、回転駆動源が駆動停止状態から駆動を開始して天板8の回転移動の一時停止あるいは回転移動方向の反転を行うまでの天板8の回転量(回転角度)は、天板8の回転移動に伴う可動支持体50の回転移動量が可動支持体50のボール53の外周長(ボール53外径に円周率πを乗じた値)の数倍あるいはそれよりも大きくなるように設定する。つまり、揺動装置1の前記回転移動動作は、天板8の回転移動の開始から回転移動の一時停止あるいは回転移動方向の反転までの天板8の回転量を、天板8の回転移動に伴う可動支持体50の回転移動によって、可動支持体50のボール53が数回程度あるいはそれ以上の回数を回転するように設定する。
【0088】
図9では操作部63を機台7に取り付けた構成を例示したが、操作部63は揺動装置1における該操作部63を除く部分(機体)から離隔させることが可能な構成としても良い。この場合、前記操作部としては、機体に設けられた制御部に対して、例えば信号線による電気信号の伝送、あるいは電波信号、光信号等を利用した無線での信号伝送により、揺動用駆動ユニット2による天板8の回転移動速度及び回転動作の設定(指令入力)を行える構成を採用できる。
【0089】
また、揺動装置としては、前記操作部63を有しておらず、揺動用駆動ユニット2による天板8の回転移動速度が予め一定に設定された構成のものであっても良い。
【0090】
可動支持体50は、リテーナ52として、例えばプラスチック製のものを好適に用いることができる。また、可動支持体50は、ボール孔52aが形成されたプラスチック製プレート状のリテーナ52に、連続気泡の発泡樹脂フォームに潤滑用グリスを含浸した給油用接触部材をボール53に接触可能に取り付けた給油部材付きリテーナを採用することも可能である。可動支持体50のリテーナとして給油部材付きリテーナを採用した場合、補助支持ユニット3は、ケース40を省略してもボール53への給油が可能であり、ケース40を省略した単純な構成としても良い。
【0091】
ベアリング22、30、可動支持体50への潤滑用グリスの供給は、焼き付きによる作動のロックをより確実に防止する点、製品(揺動装置)の長寿命化の点で有効である。
但し、可動支持体50は、揺動用駆動ユニットによる天板8の回転移動の継続中に、下部のボール53が機台7に設けられた受け部材上を連続転動する構造であり、ボール53、上側受け板54、受け部材に、焼き付きの原因となる局所的な加熱が生じにくいことから、ボール53への潤滑用グリスの供給を省略することも可能である。
また、前記ベアリング22、30についてその内部に潤滑用グリスを充填していないものを使用することが可能であることは既述の通りである。
【0092】
前記揺動装置は、上述のように揺動用駆動ユニット2のベアリング22、30、可動支持体50に潤滑用グリスを設けず、装置全体について潤滑用グリスを使用しないグリスレス化を図ることが可能である。特に、天板を比較的低速で回転移動させる場合は、装置全体のグリスレス化を容易に実現できる。
揺動装置は、装置全体について潤滑用グリスを使用しないグリスレス化を実現することで、例えばフラットパネルディスプレイ(例えば液晶ディスプレイ)の生産ライン、食品工場、製薬工場などにおけるクリーンルーム等の清浄空間内でも好適に使用できる。
【0093】
前記揺動装置の天板8上に載置する揺動対象物としては、液体を収容した容器9に限定されない。前記揺動装置は、容器9に収容した液体の攪拌、脱泡の他、例えば、容器に収容した液体に該液体に対する可溶性を有する粉状、粒状、ブロック状の材料を投入して溶解させる作業や、容器内の液体へのガスの溶解、工業製品の揺動試験等にも使用できる。また、この揺動装置は、例えば、天板8上に篩いを設置することで粉体や粒体を篩うための篩い装置としても利用できる。
また、前記揺動装置の天板8上に設置する容器9内に収容して揺動させる液体としては、液晶ディスプレイの生産ラインにて使用される液晶材料等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。前記液体としては、例えば調味液等の食品製造用液体材料、液体の製薬材料、加熱溶融した熱可塑性樹脂等であっても良い。
【0094】
例えば、電動モータ等によって回転駆動したスクリュー等によって容器内の液体をシェイクする攪拌方法は、容器内の液体に剪断力を与えて液体の性状に影響を与える場合がある。これに対して、本発明に係る実施形態の揺動装置は、容器自体の連続的な回転移動によって容器内の液体を揺動させる構成であるため、容器内の液体をその性状に影響を与えることなく揺動させることができる。
【0095】
また、本発明に係る実施形態の揺動装置は、載置台(図示例では天板8)上に載置した容器を揺動させるだけで容器内の液体を揺動させることができるため、例えば、容器上方から容器内へのスクリューの挿脱などを行う必要が無い。このため、本発明に係る実施形態の揺動装置は、高い密閉性を確保できる容器を用いて、この容器を密閉状態を保ったまま揺動させて、その内部の液体の揺動を行うといった用途に好適に用いることができる。
【0096】
その一例を図11に示す。図11は、本発明に係る実施形態の揺動装置1の天板8上にカバープレート10を設け、このカバープレート10上に、可撓性ホース等の可撓性配管71を介して真空装置72と接続した容器91を載置して、容器91とともに該容器91内の液体を揺動させる場合を示す。容器91は、天板8とカバープレート10とからなるカバープレート付き載置台上に載置され、必要に応じて固定具等を用いて天板8に固定される。この場合、例えば、真空装置72によって容器91内を減圧した状態のまま、揺動装置1によって容器91を揺動させることで、容器91内の液体からの脱泡を効率良く行える。
【0097】
なお、図示例では、揺動装置1の機台7を支持フレームF上に設置し、前記機台7から下方に突出するモータ11を支持フレームF内側に入り込ませているが、揺動装置1におけるモータ11の設置位置は適宜変更可能であり、例えば機台7側部であっても良い。揺動装置1は、モータ11が機台7下側に突出していない構成とすることも可能である。モータ11が機台7下側に突出していない構成の揺動装置1は、必ずしもその機台7を支持フレームF上に設置する必要は無く、例えば支持フレームFを省略して機台7を設置床上に直接設置することもできる。
【0098】
また、図11は、容器91内に、液体を入れた内部容器73をその上部開口部を開放状態のまま収容した構成を例示している。内部容器73は、必要に応じて容器91内に設けた固定具によって容器91に固定する。図11の構成の場合は、例えば、真空装置72によって容器91内を減圧した状態のまま、揺動装置1によって容器91を揺動させることで、容器91内側の内部容器73内の液体からの脱泡を効率良く行える。
容器91は、内部容器73を収容する容器本体91aの上部に設けられた開閉蓋91bを開放することで、該容器91内への内部容器73の収納、及び容器91内の内部容器73の取り出し等を行える。容器91は、開閉蓋91bを容器本体91aに対して閉じることで配管接続箇所以外を確実に密閉できる。
【0099】
図12は、揺動装置1の載置台(図示例では天板8)上に、液導入配管74及び液排出配管75を接続した容器92を載置した構成を例示する。液導入配管74及び液排出配管75は、可撓性ホース等の可撓性配管である。
また、図12は、容器92内に液導入配管74から送り込んで貯留した液体の脱泡を行う脱泡装置を例示している。容器92には、該容器92と図示略の真空装置とを接続する脱泡用のガス吸引配管76も接続されている。このガス吸引配管76は可撓性配管であり、容器92に対してその上部に接続されている。この脱泡装置は、揺動装置1の駆動によって容器92を揺動させることで、容器92内の液体からの脱泡を効率良く行える。また、この脱泡装置は、脱泡を完了した容器92内の液体を、容器92から液排出配管75へ簡単に排出できる。
なお、液導入配管74、液排出配管75、ガス吸引配管76には、開閉弁74a、75a、76aが設けられている。
【0100】
この図12の構成では、開閉可能な蓋を有していない容器92を用いることができる。このため、この構成は、例えば、飲料やスープ等の液状の食品の製造といった、無菌状態での加工が要求される場合にも好適に適用できる。
但し、容器92としては開閉可能な蓋を有するものを用いても良い。
【0101】
図12の脱泡装置の容器92には、液導入配管74を複数本接続しても良い。この場合、複数の液導入配管74から容器92に送り込まれた液体を、揺動装置1の駆動によって容器92を揺動することで、容器92内にて混合する混合装置を構成できる。
【0102】
図11、図12の容器91、92には、該容器と真空装置とを接続する脱泡用のガス吸引配管に代えて、容器内にガスを送り込むガス供給配管を接続しても良い。この構成の場合は、ガス供給配管から容器内に送り込んだガスを容器91、92内の液体へ溶解させることに利用(ガス溶解装置としての利用)することも可能である。
ガス溶解装置としては、容器に、該容器と真空装置とを接続する脱泡用のガス吸引配管を接続した構成も採用可能である。
また、ガス溶解装置としては、容器92に、液導入配管74を複数本接続した混合装置を兼ねた構成も採用可能である。
【0103】
また、揺動装置1によって揺動される容器92に、複数本と液導入配管74と液排出配管75とを接続した混合装置としては、容器92に、液導入配管74、液排出配管75以外には、液体あるいは気体である流体の供給用又は排出用の配管が接続されていない構成も採用可能である。
【0104】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更可能である。
例えば、上述の実施形態では、揺動用駆動ユニット2として、原動側回転ユニット2Aに与えた回転駆動源(図示例ではモータ11)の回転駆動力を駆動力伝達ベルトを介して従動側回転ユニット2Bに伝達して、原動側、従動側の回転ユニットを同期回転させる構成を例示したが、回転駆動源から原動側回転ユニット2Aに与えた回転駆動力を従動側回転ユニット2Bに伝達するための構成(駆動力伝達部)としては駆動力伝達ベルトに限定されず、例えば複数のギアを用いた構成、複数のギアとシャフトとを用いて構成したシャフトドライブ等も採用可能である。
【0105】
また、揺動用駆動ユニットとしては、回転ユニットを3以上具備し、これら回転ユニットを回転駆動源によって同期回転させる構成であっても良い。
但し、揺動装置全体の小型化、低コスト化の点では、揺動用駆動ユニットはひとつの回転駆動源によって複数の回転ユニットを回転させる構成であることが好ましい。また、揺動用駆動ユニットにおいて、ひとつの回転駆動源の回転駆動力を複数の回転ユニットに伝達するための構成(駆動力伝達系)としては、揺動用駆動ユニットの全ての回転ユニットを同期回転させることが可能なものであれば良く、特に限定は無い。
【0106】
揺動用駆動ユニットの軸体は、回転ユニットの回転部材及び天板の一方又は両方に該軸体の軸線を中心とする軸回り回転を許容して設けられた構成であれば良く、上述の実施形態のようにその下端部を前記回転部材に軸回り回転可能、上端部を天板8に固定した構成に限定されない。前記軸体は、例えば、その上端部が軸線回り回転可能として天板に設けられ下端部が回転ユニットの回転部材に固定された構成や、回転部材及び天板に対して軸回り回転可能に設けられた構成のいずれも採用可能である。
また、回転ユニットの回転部材、天板において、軸体の端部(上端部あるいは下端部)をその軸線回りに回転可能かつ前記軸体が上下に延在する状態に支持するための構造(軸支持構造)としては、上述の実施形態の回転ユニットのように、リング状のベアリングの内側に前記軸体下端部を軸回り回転可能に収納して支持した構成に限定されない。軸支持構造としては、例えば、軸体外周面が滑動する内周面を有する筒体を用いた構成、回転ユニットの回転部材及び/又は天板に軸体の端部をその軸回りに回転可能に収納する穴(以下、軸収納孔)を形成し、該軸収納孔に軸体の端部を挿入した構成等も採用可能である。
【0107】
図1、図2、図7等に示す実施形態の揺動装置1は、既述の通り、円板状の天板8の中心を、原動側回転ユニット2Aの回転軸線12cに位置合わせした構成になっている。但し、揺動用駆動ユニットの各回転ユニットの天板の面方向における設置位置は特には限定は無い。
【0108】
また、揺動用駆動ユニットとしては、天板(載置台)を円形の移動軌跡で移動させる構成のもの、すなわち載置台を上下方向の軸線回りの円周上に移動(回転移動)させる構成であれば良く、その具体的構成は特には限定は無い。
載置台としては、全体として、揺動対象物を載置可能な板状あるいは盤状に構成されているものであれば良く、天板に限定されない。
【符号の説明】
【0109】
1…揺動装置、2…揺動用駆動ユニット、2A…回転ユニット(原動側回転ユニット)、2B…回転ユニット(従動側回転ユニット)、3…補助支持ユニット、7…機台、8…載置台(天板)、8A…載置台(カバープレート付き載置台)、9…揺動対象物(容器)、11…回転駆動源(モータ)、12…駆動軸、12c…回転軸線、13…軸体(第1移動軸)、13c…(軸体の)軸線、15…軸体(第2移動軸)、15c…(軸体の)軸線、18…回転部材(原動側回転板)、25…回転部材(従動側回転部材)、25c…回転軸線、40…ケース、40A…ケース(潤滑剤貯留容器)、41…上板、41a…窓部、43…受け部材、44…ニップル、50…可動支持体、51…支柱、52…リテーナ、52a…ボール孔、53…ボール、54…上側受け板、91…揺動対象物(容器)、92…揺動対象物(容器)、J…軸体、K…回転部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機台(7)と、該機台上に設けられ揺動対象物(9)が載置される載置台(8)と、前記機台に設けられ、前記載置台を円形の移動軌跡で移動させる揺動用駆動ユニット(2)と、前記機台に設けられた受け部材(43)の上面上を転動するボール(53)を下部に有し上端部が前記載置台に取り付けられ前記載置台と一体に移動可能とされた可動支持体(50)とを具備することを特徴とする揺動装置(1)。
【請求項2】
前記可動支持体は、前記載置台に上端部が固定された支柱(51)の下端部に、前記ボールの外径に比べて厚み寸法が小さいプレート状部材であり前記受け部材上の前記ボールを回転自在に収納するボール孔(52a)が複数形成されたプレート状のリテーナ(52)を有し、前記支柱に垂直に固定して前記リテーナよりも上側に配置した上側受け板(54)を前記ボール上に載置していることを特徴とする請求項1に記載の揺動装置。
【請求項3】
前記リテーナはリング板状であり、前記支柱の下端部に該支柱の軸線に直交する方向に移動可能に外挿されていることを特徴とする請求項2に記載の揺動装置。
【請求項4】
底部に前記受け部材を有し前記機台に取り付けられたケース(40)内に、前記可動支持体の前記上側受け板及び該上側受け板から下側の部分を、前記受け部材上面に沿う移動を許容して収納し、前記可動支持体の支柱を前記ケースの上板(41)に開口された窓部(41a)に通して前記ケースから上方に突出させた補助支持ユニット(3)を有し、
前記ケースは、その外側から内側に潤滑用グリスを注入するためのニップル(44)を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の揺動装置。
【請求項5】
前記ケースが、その内部に潤滑用グリスを貯留可能な潤滑剤貯留容器(40A)とされていることを特徴とする請求項3又は4に記載の揺動装置。
【請求項6】
前記揺動用駆動ユニットが前記載置台の下側に設けられて前記載置台を円形の移動軌跡で移動させるものであり、
前記揺動用駆動ユニットは、回転駆動源(11)と、この回転駆動源が発生する回転駆動力によって上下方向の回転軸線を以て回転駆動される回転部材(K、18、25)上に前記回転軸線(12c、25c)に対して平行かつ偏心させて立設した軸体(J、13、15)の上端部を前記載置台に設けて前記軸体から前記載置台に前記回転駆動源の回転駆動力を伝達可能とした複数の回転ユニット(2A、2B)とを有し、
前記複数の回転ユニットは、前記回転部材の回転軸線が互いに平行かつ前記回転軸線に対する前記軸体の偏心量が互いに同じに揃えられ、しかも前記軸体は前記載置台及び前記回転部材の少なくとも一方に対して該軸体の軸線を中心に回転可能に設けられ、全ての前記軸体が互いの相対的な位置関係を保ったまま前記回転駆動源の回転駆動力によって一括して回転駆動されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の揺動装置。
【請求項1】
機台(7)と、該機台上に設けられ揺動対象物(9)が載置される載置台(8)と、前記機台に設けられ、前記載置台を円形の移動軌跡で移動させる揺動用駆動ユニット(2)と、前記機台に設けられた受け部材(43)の上面上を転動するボール(53)を下部に有し上端部が前記載置台に取り付けられ前記載置台と一体に移動可能とされた可動支持体(50)とを具備することを特徴とする揺動装置(1)。
【請求項2】
前記可動支持体は、前記載置台に上端部が固定された支柱(51)の下端部に、前記ボールの外径に比べて厚み寸法が小さいプレート状部材であり前記受け部材上の前記ボールを回転自在に収納するボール孔(52a)が複数形成されたプレート状のリテーナ(52)を有し、前記支柱に垂直に固定して前記リテーナよりも上側に配置した上側受け板(54)を前記ボール上に載置していることを特徴とする請求項1に記載の揺動装置。
【請求項3】
前記リテーナはリング板状であり、前記支柱の下端部に該支柱の軸線に直交する方向に移動可能に外挿されていることを特徴とする請求項2に記載の揺動装置。
【請求項4】
底部に前記受け部材を有し前記機台に取り付けられたケース(40)内に、前記可動支持体の前記上側受け板及び該上側受け板から下側の部分を、前記受け部材上面に沿う移動を許容して収納し、前記可動支持体の支柱を前記ケースの上板(41)に開口された窓部(41a)に通して前記ケースから上方に突出させた補助支持ユニット(3)を有し、
前記ケースは、その外側から内側に潤滑用グリスを注入するためのニップル(44)を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の揺動装置。
【請求項5】
前記ケースが、その内部に潤滑用グリスを貯留可能な潤滑剤貯留容器(40A)とされていることを特徴とする請求項3又は4に記載の揺動装置。
【請求項6】
前記揺動用駆動ユニットが前記載置台の下側に設けられて前記載置台を円形の移動軌跡で移動させるものであり、
前記揺動用駆動ユニットは、回転駆動源(11)と、この回転駆動源が発生する回転駆動力によって上下方向の回転軸線を以て回転駆動される回転部材(K、18、25)上に前記回転軸線(12c、25c)に対して平行かつ偏心させて立設した軸体(J、13、15)の上端部を前記載置台に設けて前記軸体から前記載置台に前記回転駆動源の回転駆動力を伝達可能とした複数の回転ユニット(2A、2B)とを有し、
前記複数の回転ユニットは、前記回転部材の回転軸線が互いに平行かつ前記回転軸線に対する前記軸体の偏心量が互いに同じに揃えられ、しかも前記軸体は前記載置台及び前記回転部材の少なくとも一方に対して該軸体の軸線を中心に回転可能に設けられ、全ての前記軸体が互いの相対的な位置関係を保ったまま前記回転駆動源の回転駆動力によって一括して回転駆動されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の揺動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−217954(P2012−217954A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87765(P2011−87765)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(599012765)株式会社井口機工製作所 (9)
【出願人】(511091313)オクダエンジニアリング株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(599012765)株式会社井口機工製作所 (9)
【出願人】(511091313)オクダエンジニアリング株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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