説明

損傷毛髪改善剤及びそれらを配合した毛髪化粧料

【課題】 損傷した毛髪内部、外部、及び表層部に働きかけて、毛髪の表面摩擦、表面反射、及び水分保持性を改善することであり、毛髪の損傷を補修する事を目的とした損傷毛髪改善剤を提供し、それら損傷毛髪改善剤を配合することにより、損傷毛髪改善効果に優れた毛髪化粧料を提供すること。
【解決手段】 コメのとぎ汁に含まれる成分を含有することを特徴とする損傷毛髪改善剤、及び、それら損傷毛髪剤を配合したことを特徴とする毛髪化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪の損傷を補修する事を目的とした損傷毛髪改善剤及びそれらを配合した毛髪化粧料に関する。詳しくは毛髪の表面摩擦、表面反射、及び、水分保持性を改善し、毛髪の損傷を補修する事を目的とした損傷毛髪改善剤及びそれらを配合した毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪は、パーマネントウェーブやブリーチ・ヘアカラー、紫外線、ドライヤーの熱など化学的または物理的刺激により損傷を受け、枝毛、切れ毛、ぱさつき、ツヤの低下などが生じる。これらは、化学的、物理的刺激により、毛髪内部、及び、外部、表層部の構造が変化してしまうことによるものである。毛髪の内部からはシャンプーなどの洗浄行為によって脂質やたんぱく質の流出が生じてしまう。また、毛髪表面では疎水膜の欠落によって親水化が生じてしまうことや、キューティクルの剥がれ、脱落が生じてしまうことがある。このような損傷状態を治癒する手法として、可溶性シルクペプチド、コラーゲン、ケラチン又はコンキオリンなどのタンパク質や、アミノ酸、植物抽出物、ツバキ油やオリーブ油などの植物油、第4級アンモニウム塩、3級アミン、カチオン性ポリマー、セラミド、両親媒性アミド、シリコーンなどを配合した毛髪化粧料が提案されており、例えば、不揮発性シリコーン類及び植物抽出物を配合した毛髪化粧料(例えば、特許文献1参照。)、カチオン化蛋白誘導体及び中性アミノ酸を配合した毛髪化粧料(例えば、特許文献2参照。)、可溶性シルクペプチド、糖アルコール及び中性アミノ酸を配合した毛髪化粧料(例えば、特許文献3参照。)、両親媒性アミド脂質及び三級アミンを配合した毛髪化粧料(例えば、特許文献4参照。)などが開示されている。しかしながらこれら単独の使用では、指どおりや櫛どおり、ツヤの改善、うるおい感、まとまり感の付与などすべてを兼ね備えているものはなく、それぞれを組み合わせた場合でも、期待する相乗効果を発揮しない、もしくはお互いの効果を打ち消しあったりするなどの問題点があった。
【0003】
【特許文献1】特開平8−231348号公報
【特許文献2】特開平10−175824号公報
【特許文献3】特開2000−191446号公報
【特許文献4】特開2004−217643号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、上記背景技術を鑑みて鋭意検討を重ねた結果、コメのとぎ汁含有成分が、損傷した毛髪に働きかけて毛髪の損傷を補修するとともに、それらを配合した毛髪化粧料が損傷した毛髪を改善する効果に優れることを見出し本発明を完成した。
【0005】
すなわち、本発明の目的とするところは、損傷した毛髪内部、外部、及び表層部に働きかけて、毛髪の表面摩擦、表面反射、及び水分保持性を改善することであり、毛髪の損傷を補修する事を目的とした損傷毛髪改善剤を提供し、それらを配合することにより、損傷毛髪改善効果に優れた毛髪化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、コメのとぎ汁に含まれる成分を含有することを特徴とする損傷毛髪改善剤である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の損傷毛髪改善剤は、損傷した毛髪内部、外部、及び表層部に働きかけて、毛髪の表面摩擦、表面反射、及び水分保持性を改善し、毛髪の損傷を補修する事ができる。また、それらを配合することにより、損傷毛髪改善効果に優れた毛髪化粧料となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0009】
本発明の損傷毛髪改善剤は、コメのとぎ汁に含まれる成分を含有するものである。このコメのとぎ汁に含まれる成分の構成割合は、(a)成分としてコメヌカ油とコメ胚芽油の少なくとも一方を5〜60%、(b)成分としてイノシトールとフィチン酸の少なくとも一方を25〜80%、(c)成分としてコメタンパク質を15〜70%であることが好ましい。更に好ましくは上記(a)成分が10〜50%、上記(b)成分が30〜70%、上記(c)成分が20〜60%である。それらとぎ汁含有成分の損傷毛髪に対する効果は、毛髪の表面摩擦、表面反射、及び、水分保持性のすべてを改善するものである。(a)成分が少ない場合表面摩擦改善の効果が得られ難く、多い場合ツヤ付与や水分保持の効果が得られ難くなる可能性があり、また(b)成分が少ない場合ツヤ付与の効果が得られ難く、多い場合表面摩擦低減の効果が得られ難くなる可能性があり、また(c)成分が少ない場合水分保持の効果が得られ難く、多い場合ツヤ付与の効果が得られ難くなる可能性があるため、上記構成割合が望ましい。
【0010】
更に、本発明の損傷毛髪改善剤に用いる上記コメのとぎ汁に含まれる成分は、水不溶性のデンプンを含有しないことが好ましい。コメのとぎ汁に含まれる成分として、水不溶性のデンプンが含まれていると、毛髪化粧料に配合した場合に、使用後の毛髪が粉吹き様に白くなる可能性が危惧されるためである。
【0011】
これら損傷毛髪改善剤はそのまま若しくは、水やアルコールなどの溶媒に希釈して直接毛髪に使用する事も出来るが、通常の毛髪化粧料に配合して使用する事も出来る。毛髪化粧料としては、ヘアーシャンプーのような洗浄剤;塗布後洗い流して使用するヘアーリンス剤又はヘアートリートメント剤、つけっ放しで使用するトリートメント剤、ヘアーミルク、ヘアークリーム、ヘアーワックス、ヘアージェル、ヘアーローション、トリガースプレータイプ癖下直しスプレー、ノンエアゾール型フォーム及びヘアースプレーやヘアーフォームなどのエアゾール剤形のヘアースタイリング剤等があり、損傷した毛髪に使用する事により、毛髪の表面摩擦、表面反射、及び、水分保持性を改善し、枝毛、切れ毛、ぱさつき、ツヤの低下などの損傷した毛髪を改善することができる。
【0012】
損傷毛髪改善剤を配合した毛髪化粧料には、通常毛髪化粧料に用いられる成分を配合する事ができる。例えば、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、グアニジノ誘導体、三級アミン化合物などのような界面活性剤がある。
【0013】
具体的には、アニオン性界面活性剤としては、硫酸塩、スルホン酸塩、トリエタノールアミン塩又はカルボン酸塩等が挙げられる。詳細には、平均炭素数10〜16のアルキル基を有する直鎖又は分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩;平均炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドから選ばれる1種または2種以上のアルキレンオキサイドを、1分子内に平均0.5〜8モル付加したアルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩;平均炭素数10〜20のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニル硫酸塩;平均10〜20の炭素原子を1分子中に有するオレフィンスルホン酸塩;平均10〜20の炭素原子を1分子中に有するアルカンスルホン酸塩;平均10〜20の炭素原子を1分子中に有する飽和又は不飽和脂肪酸塩;平均炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基
を有し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドから選ばれる1種または2種以上のアルキレンオキサイドを、1分子内に平均0.5〜8モル付加したアルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩;平均10〜20の炭素原子から成るアルキル基又はアルケニル基を有するα―スルホン酸脂肪酸塩又はエステル;炭素数8〜24のアシル基および遊離カルボン酸残基を有するN−アシルアミノ酸型界面活性剤;炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基を有するリン酸モノ又はジエステル型界面活性剤;炭素数8〜22の高級アルコール若しくはそのエトキシレートなどのスルホコハク酸エステル又は高級脂肪酸アミド由来のスルホコハク酸エステル;平均炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有したサルコシン塩;炭素数8〜20の高級脂肪酸モノエタノールアマイド若しくはジエタノールアマイド又はそれらのエトキシレートなどのスルホン酸塩;炭素数8〜20のモノグリセライドのスルホン酸塩;炭素数8〜20の高級脂肪酸とイセチオン酸との縮合物の塩;などがある。
【0014】
両性界面活性剤としては、炭素数8〜24のアルキル基、アルケニル基若しくはアシル基を有するα位付加型、2級アミド若しくは3級アミド型のイミダゾリン系両性界面活性剤;炭素数8〜24のアルキル基、アルケニル基若しくはアシル基を有するカルボキシベタイン系、アミドベタイン系、スルホベタイン系、ヒドロキシスルホベタイン系、若しくはアミドスルホベタイン系両性界面活性剤などがある。これら両性界面活性剤の対イオンとしては、アニオン性残基では、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数2又は3のアルカノール基を1〜3個有するアルカノールアミンを挙げることができる。又、カチオン性残基の対イオンとしては、塩素、臭素、沃素等のハロゲンイオン及びメトサルフェート等が挙げられる。
【0015】
非イオン性界面活性剤としては、平均炭素数10〜24のアルキル基又はアルケニル基を有し、1〜20モルのエチレンオキサイドを付加したポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル;平均炭素数10〜24のアルキル基又はアルケニル基を有し、1〜20モルのプロピレンオキサイドを付加したポリオキシプロピレンアルキル又はアルケニルエーテル;平均炭素数10〜24のアルキル基又はアルケニル基を有し、1〜20モルのブチレンオキサイドを付加したポリオキシブチレンアルキル又はアルケニルエーテル;平均炭素数10〜24のアルキル基又はアルケニル基を有し、総和で1〜30モルのエチレンオキサイドとプロピレンオキサイド又はプロピレンオキサイドとブチレンオキサイドを付加した非イオン界面活性剤;下記一般式(1)で表される高級脂肪酸アルカノールアミド又はそのアルキレンオキサイド付加物;平均炭素数10〜20の脂肪酸とショ糖からなるショ糖脂肪酸エステル;平均炭素数10〜20の脂肪酸とグリセリンからなる脂肪酸グリセリンモノエステル;下記一般式(2)で表されるアルキルグルコシド;等が挙げられる。
【0016】
【化1】

(式中、R1は炭素数7〜21のアルキル基又はアルケニル基を示し、R2は水素原子またはメチル基を示し、aは1〜3の整数を示し、bは0〜3の整数を示す。)
【0017】
[化2]
3O−(R4O)c−(G)d …(2)
(式中、R3は炭素数6〜18の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、R4は炭素数2〜4のアルキレン基を示し、Gは炭素数5又は6の還元糖を示し、dは1〜10の数を表す。)
【0018】
カチオン界面活性剤、グアニジノ誘導体及び三級アミン化合物としては、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、ジステアロイルエチルヒドロキシエチルアンモニウムメトサルフェート、ジココイルエチルヒドロキシエチルアンモニウムメトサルフェート、N−[3−アルキル(12,14)オキシ−2−ヒドロキシプロピル]−L−アルギニン酸塩、酢酸ラウリン酸アミドブチルグアニジン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、N,N−ジメチルオクタデシロキシプロピルアミン、ステアリルPGジメチルアミン等が挙げられる。三級アミン型化合物は、酸性アミノ酸、有機酸又は無機酸により中和して使用される事が好ましく、具体的には、グルタミン酸、アスパラギン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、リン酸、塩酸等がある。又、カチオン性ポリマーが配合される場合がある。
【0019】
感触向上剤として、カチオン性ポリマーやシリコーン誘導体が配合される。カチオン性ポリマーとしては、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシセルロース、グアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロリド、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/アクリレートコポリマー、アクリルアミド/ジメチルジアリルアンモニウムクロリドポリマー、メチルビニルイミダゾリニウムクロリド/ビニルピロリドンコポリマー、ヒドロキシエチルセルロース/ジアリルジメチルアンモニウムクロリドコポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマーのジエチル硫酸塩、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、ビニルピロリドン/アルキルアミノメタクリレート/ビニルカプロラクタムコポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドコポリマー等が挙げられ、これらカチオン性ポリマーは2種以上を併用してもよい。
【0020】
シリコーン誘導体としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン、オキサゾリン変性シリコーン等が挙げら、これらシリコーン誘導体は2種以上を併用してもよい。
【0021】
又、上記以外の成分として、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステリルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、バチルアルコールなどの高級アルコール、コレステロール及びその誘導体、蜜蝋、キャンデリラワックス、カルナバワックス、固形パラフィン、流動パラフィン、ワセリン、ラノ
リン誘導体、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル類等の油性成分、ポリカルボン酸エステル共重合体、架橋型カルボン酸/カルボン酸エステル共重合体、架橋型アクリル酸/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/ブタンスルホン酸アクリルアミド共重合体等の高分子化合物、グリセリン、プロピレングリコール、1,3ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、マンニトール等の多価アルコール、エチレンジアミン四酢酸等のキレート剤、グルタミン酸、グリシン、プロリン、アルギニン等のアミノ酸及びその塩、動植物由来の抽出エキス、紫外線吸収剤、パール化剤、メチルパラベンやフェノキシエタノール等の防腐剤、殺菌剤、抗炎症剤、抗フケ剤、pH調整剤、LPG、DME、窒素、炭酸ガスなどのエアゾール噴射剤、色素、香料など目的に応じて配合される。
【実施例】
【0022】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明する。尚、本発明はこれによって限定されるものではない。配合量は、すべて質量%である。
【0023】
[実施例1〜4、比較例1〜6]
コメのとぎ汁に含まれる成分として表1に示す構成割合で成分(a)〜(c)を含有する損傷毛髪改善剤を調製して得られた実施例1〜4、及び、比較例1〜6の評価結果を併せて表1に示す。
<調製方法>
本実施例において、損傷毛髪改善剤は(a)〜(c)の混合物、及び、ポリオキシエチレンラウリルエーテルを予め1:1で混合した組成物を作製し、その組成物が有効成分濃度2%になるように水溶液を調整した。この調製した水溶液を毛髪に塗布し、以下の評価を行った。
<表面摩擦の評価>
動摩擦係数計(NRF型:エルクエスト社製)を使用して、毛髪表面の動摩擦係数を測定し、以下の式(1)に従い動摩擦係数比を算出した。この動摩擦係数比が1以上のとき損傷毛の改善効果が見られることになる。
[式1]
損傷毛髪改善剤未処理の損傷毛髪の動摩擦係数(μk) …(1)
損傷毛髪改善剤処理した損傷毛髪の動摩擦係数(μk)
【0024】
<表面反射の評価>
ゴニオフォトメーター(GP−200型:村上色彩研究所社製)を使用して、毛髪表面のツヤ値を算出、以下の式(2)に従いツヤ比を算出した。このツヤ比が1以上のとき損傷毛の改善効果が見られることになる。
[式2]
損傷毛髪改善剤処理した損傷毛髪のツヤ値 …(2)
損傷毛髪改善剤未処理の損傷毛髪のツヤ値
【0025】
<水分保持性の評価>
赤外線水分計(FD型:ケット科学研究所社製)を使用して、毛髪の全水分量を測定し、以下の式(3)に従い水分量相対比を算出した。この水分量相対比が1以上のとき損傷毛の改善効果が見られることになる。
[式3]
損傷毛髪改善剤処理した損傷毛髪の全水分量 …(3)
損傷毛髪改善剤未処理の損傷毛髪の全水分量
【0026】
【表1】

【0027】
表1より、比較例で示したものでは評価項目のうち1つないしは2つの項目で損傷毛髪の改善が見られるが、3つすべての項目で改善はみられなかった。一方、実施例で示した本発明により得られた損傷毛髪改善剤は、3つすべての項目で損傷した毛髪を改善するものである。本発明範囲の毛髪改善剤を配合した毛髪化粧料の他の実施例を下記に具体的に示す。実施例で用いた香料は表2で示したものを用いた。尚、評価方法は、使用前後で枝毛、切れ毛、ぱさつき、ツヤの低下の減少等、毛髪の損傷が改善されたかをアンケートにより実施した。
【0028】
【表2】

【0029】
実施例5 ヘアーシャンプー
(質量%)
POE(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 5.0
ラウリル硫酸トリエタノールアミン 5.0
ラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム 1.0
N−ラウロイル−N−カルボキシメチル−N−
ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン40%液 2.0
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 5.0
ラウリン酸モノイソプロパーノールアミド 1.0
エチレングリコールジステアレート 2.0
高重合メチルポリシロキサン50%エマルション 1.0
グアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド 0.2
メチルパラベン 0.1
実施例2の損傷毛髪改善剤 0.5
塩化ナトリウム 0.1
クエン酸 0.05
海藻抽出液 0.1
香料 0.5
精製水 残 量
【0030】
<調整方法>
常法によりヘアーシャンプーを調製した。
【0031】
上記ヘアーシャンプー(pH6.0)は、連用使用によるアンケートで枝毛、切れ毛、ぱさつき、ツヤの低下が減少し、毛髪の損傷は改善された。
【0032】
実施例6 ヘアーコンディショナー
(質量%)
ステリルアルコール 2.0
ベヘニルアルコール 2.5
塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム 2.5
ヒドロキシエチルセルロース 0.15
固形パラフィン 1.0
白色ワセリン 0.3
ポリオキシエチレン(5)セチルエーテル 0.2
実施例4の損傷毛髪改善剤 1.0
高重合メチルポリシロキサン/メチルポリ
シロキサン混合物60%エマルション 5.0
メチルパラベン 0.1
香料 0.5
精製水 残 量
【0033】
<調整方法>
常法によりヘアーコンディショナーを調製した。
【0034】
上記ヘアーコンディショナー(pH4.3)は、連用使用によるアンケートで枝毛、切れ毛、ぱさつき、ツヤの低下が減少し、毛髪の損傷は改善された。
【0035】
実施例7 ヘアートリートメント
(質量%)
ステアリルアルコール 9.0
塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム 3.0
セバチン酸ジエチル 3.0
プロピレングリコール 3.0
実施例1の損傷毛髪改善剤 2.0
高重合メチルポリシロキサン/メチルポリ
シロキサン混合物 1.0
アミノエチルアミノプロピルシロキサン・
ジメチルシロキサン共重合物50%エマルション 3.0
メチルパラベン 0.1
フェノキシエタノール 0.2
香料 0.6
精製水 残 量
【0036】
<調整方法>
常法によりヘアートリートメントを調製した。
【0037】
上記ヘアートリートメント(pH5.5)は、連用使用によるアンケートで枝毛、切れ毛、ぱさつき、ツヤの低下が減少し、毛髪の損傷は改善された。
【0038】
実施例8 つけっ放しヘアートリートメント
(質量%)
95°エタノール 5.0
カルボキシビニルポリマー 0.3
トリエタノールアミン 0.25
ポリオキシプロピレンブチル(37)エーテル 1.0
1,3−ブリレングリコール 2.0
高重合メチルポリシロキサン/
メチルポリシロキサン混合物 10.0
実施例3の損傷毛髪改善剤 0.6
ポリオキシエチレン(80)硬化ヒマシ油 0.5
メチルパラベン 0.1
香料 0.05
精製水 残 量
【0039】
<調整方法>
常法によりつけっ放しヘアートリートメントを調製した。
【0040】
上記つけっ放しヘアートリートメント(pH6.7)は、連用使用によるアンケートで枝毛、切れ毛、ぱさつき、ツヤの低下が減少し、毛髪の損傷は改善された。
【0041】
実施例9 ヘアーワックス
(質量%)
ミツロウ 3.0
キュアンデリラワックス 3.0
ワセリン 2.0
セトステリルアルコール 5.0
流動パラフィン 8.0
スクワラン 3.0
ポリオキシエチレン(60)セチルエーテル 3.5
ポリエーテル変性シリコン 1.0
実施例3の損傷毛髪改善剤 0.5
ジメチルポリシロキサン 1.0
メチルパラベン 0.2
フェノキシエタノール 0.2
香料 0.1
精製水 残 量
【0042】
<調整方法>
常法によりヘアーワックスを調製した。
【0043】
上記ヘアーワックス(pH7.5)は、連用使用によるアンケートで枝毛、切れ毛、ぱ
さつき、ツヤの低下が減少し、毛髪の損傷は改善された。
【0044】
実施例10 癖下直しスプレー
(質量%)
95°エタノール 8.0
1,3―ブチレングリコール 0.5
濃グリセリン 1.0
トリメチルグリシン 1.5
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.2
エチルグルコシド 1.0
実施例1の損傷毛髪改善剤 0.1
メチルパラベン 0.1
香料 0.1
精製水 残 量
【0045】
<調整方法>
常法により調製した上記組成物をトリガータイプの容器に充填し、寝癖直しスプレー(pH6.0)を作製した。
【0046】
上記癖下直しスプレーは、連用使用によるアンケートで枝毛、切れ毛、ぱさつき、ツヤの低下が減少し、毛髪の損傷は改善された。
【0047】
実施例11 ヘアーミスト
<調整方法>
実施例10の寝癖直しスプレーを耐圧容器に充填し、最終圧力が0.8MPaとなるように窒素ガスを封入し、ヘアーミストを作製した。
【0048】
上記ヘアーミストは、連用使用によるアンケートで枝毛、切れ毛、ぱさつき、ツヤの低下が減少し、毛髪の損傷は改善された。
【0049】
実施例12 ノンエアゾールヘアーフォーム
(質量%)
95°エタノール 8.0
ポリエチレングリコール#600 1.0
濃グリセリン 0.5
ジプロピレングリコール 1.0
ポリオキシエチレン(25)イソセチルエーテル 2.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
実施例4の損傷毛髪改善剤 0.5
メチルパラベン 0.1
香料 0.1
精製水 残 量
【0050】
<調整方法>
上記組成物(pH5.5)を、常法により調製した後、ポンプフォーマーなどの容器に入れ、ノンエアゾールヘアーフォームを作製した。
【0051】
このノンエアゾールヘアーフォームは、連用使用によるアンケートで枝毛、切れ毛、ぱさつき、ツヤの低下が減少し、毛髪の損傷は改善された。
【0052】
実施例13 ヘアーフォーム(エアゾール)
<原液> (質量%)
95°エタノール 20.0
ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチル
メタクリレートコポリマーのジエチル硫酸塩 10.0
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.5
ポリオキシエチレン(15)セチルエーテル 0.5
ソルビトール液 1.0
イソステアリルアルコール 1.0
イソステリン酸ジグリセリル 0.5
実施例2の損傷毛髪改善剤 0.5
メチルパラベン 0.1
香料 0.15
精製水 残 量
<製品>
原液 90.0
噴射剤(液化石油ガス) 7.0
噴射剤(DME) 3.0
【0053】
<調整方法>
常法により調製した。
【0054】
上記ヘアーフォーム(pH6.7)は、連用使用によるアンケートで枝毛、切れ毛、ぱさつき、ツヤの低下が減少し、毛髪の損傷は改善された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コメのとぎ汁に含まれる成分を含有することを特徴とする損傷毛髪改善剤。
【請求項2】
コメのとぎ汁に含まれる成分が、
(a)コメヌカ油、及び/又は、コメ胚芽油5〜60%
(b)イノシトール、及び/又は、フィチン酸25〜80%
(c)コメタンパク質15〜70%
の構成割合である請求項1記載の損傷毛髪改善剤。
【請求項3】
水不溶性のデンプンを含有しない請求項1又は2のいずれか一項に記載の損傷毛髪改善剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の損傷毛髪改善剤を配合した毛髪化粧料。

【公開番号】特開2007−332035(P2007−332035A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−161902(P2006−161902)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【出願人】(306018365)クラシエホームプロダクツ株式会社 (188)
【Fターム(参考)】