説明

損紙処理装置及び損紙処理方法

【課題】 紙幣、株券、商品券、郵券、有価証券をはじめとする貴重印刷物などの損紙処理に関するものである。
【解決手段】 損紙を供給する供給手段と、前記損紙を搬送する搬送手段と、前記搬送された損紙が欠損紙であるか汚損紙であるかを検査する検査手段と、前記検査する手段にて判断された欠損紙を排出する欠損紙排出手段と、前記検査する手段にて判断された汚損紙を前記欠損紙排出手段とは別に排出する汚損紙排出手段を備える損紙処理装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紙幣、株券、商品券、郵券、有価証券をはじめとする貴重印刷物などの損紙処理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、紙幣、株券、商品券、郵券、有価証券をはじめとする貴重印刷物などは、製造工程における品質検査において、製品に求められる任意の品質基準を満たす必要があり、貴重印刷物の製造工程中で機械的、人為的な原因により欠陥が発生し、品質基準を満たさないものは、損紙(製品として流通できないもの)として取り扱われる。
【0003】
また、通常、印刷業界では、製造工程において機械調整に使用する紙や、印刷工程の本刷りの前に印刷の色味を調整するために使用する紙(調整紙)、また、加工工程での本加工の前に試し加工用として使用する紙なども損紙として取り扱われる。
【0004】
ここで、これらの損紙には、大きく分けて以下の2種類がある。
欠損紙:用紙に破れ、折れ、穴あき、テープ付着、異物付着などのように、用紙基材の形状自体に異状があるもの(一度、基材形状が壊れた後、形状を復元したものも含む。)
汚損紙:用紙に印刷ミス、インキ汚れ、インキの転移不良、濃度不良、色調不良などのように、用紙基材の形状自体には異状がないもの
【0005】
これらの損紙は、たとえ損紙とはいえども、厳重な数量確認(明細書において、「数量確認」とは、損紙の枚数を確認することをいう。)を行い処分することが必要であり、損紙の製品(良紙)への混入、損紙の紛失、流出等があってはならない。したがって、従来では、損紙の端面や損紙の角を計数し、数量を保証してから処分を行っていた。
【0006】
一方、市場に流通している紙幣等の汚損状態を検出するため、定められた基準によって合否判定を行い、合なるものは再度流通させ、否なるものについては、枚数を計数した上で、処分するものがある。(特許文献1)
【0007】
【特許文献1】特許3540526(第13頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、損紙端面や角を計数して処分しただけでは、損紙の数量確認は行えても、損紙の端面や角以外の部分(例えば、損紙の表面中央部)に穴あきや破れなどがあった場合に、その用紙基材を構成する全ての紙片があるか否かの確認が行えないため、異常紙片の製品(良紙)への混入、紛失、流出等、製造工程上重大な問題を起こす恐れがあった。そのため、損紙の処理においては、数量確認とともに、形状確認(明細書において、「形状確認」とは、用紙の基材形状に異常はないかを確認することをいう。)を行う必要があり、それを行うには、目視検査に頼らなければならなかった。
【0009】
ところで、前述したように、損紙は、汚損紙と欠損紙に分けられ、欠損紙については、基材形状に異常があるため、数量確認とともに、形状確認が必要となるが、汚損紙は基材形状には異常がないため、数量管理してから粉砕、断裁、シュレッダ、焼却、蒸煮処理などの元に復することのできないような処理を行えばよく、本来、形状確認を行う必要はない。
【0010】
しかし、損紙は、欠損紙と汚損紙が混ざっていることがあるため、全ての損紙について目視検査で形状確認を行う必要があり、それゆえ、損紙の処理には多大な時間とコストを要していた。また、検査工程などにおいては、紙の運搬や積み替え等、多くの作業を必要とするために、製品への損紙混入、損紙の紛失、損紙の流出等の危険性が高まる問題もあった。
【0011】
更に、人の目視検査においては、見逃しや判定基準のばらつきが発生し、用紙基材のわずかな穴あきや角折れ等を検出できないこともあり、製造工程上重大な問題を起こすことがあった。
【0012】
一方、これまで特許文献1のように流通している紙幣のリサイクルを目的とするために、良否判別するものはあったが、損紙の処理を目的にしたものはなかった。
【0013】
そこで、本発明は、従来技術の問題点にかんがみてなされたもので、貴重印刷物の製造工程において発生した損紙を、人の目視検査や履歴確認などの原因追求を必要とする欠損紙と、人の目視検査や履歴確認を必要とせずに処分することのできる汚損紙に機械的に分別することにより、損紙処理に対して時間、コストをかけずに、損紙の製品への混入、損紙の紛失、流失等のおこらない確実な損紙処理を可能とする損紙処理装置及び損紙処理方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明は、損紙を供給する供給手段と、前記損紙を搬送する搬送手段と、前記搬送された損紙が欠損紙であるか汚損紙であるかを検査する検査手段と、前記検査する手段にて判断された欠損紙を排出する欠損紙排出手段と、前記検査する手段にて判断された汚損紙を前記欠損紙排出手段とは別に排出する汚損紙排出手段を備える損紙処理装置である。
【0015】
本発明は、損紙を供給する供給手段と、前記損紙を搬送する搬送手段と、前記搬送された損紙が欠損紙であるか汚損紙であるかを検査する検査手段と、前記検査する手段にて判断された欠損紙を排出する欠損紙排出手段と、前記検査する手段にて判断された汚損紙を前記欠損紙排出手段とは別に排出する汚損紙排出手段と、前記汚損紙排出手段から排出された汚損紙を処分する処分手段を備える損紙処理装置である。
【0016】
本発明は、損紙を供給する供給手段と、前記損紙を搬送する搬送手段と、前記搬送された損紙が欠損紙であるか汚損紙であるかを検査する検査手段と、前記検査する手段にて判断された欠損紙を排出する欠損紙排出手段と、前記検査する手段にて判断された汚損紙を前記欠損紙排出手段とは別に排出する汚損紙排出手段を備え、前記供給手段と前記搬送手段と前記検査手段のうち少なくとも1つ以上に計数手段及び/又は計量手段を備え、前記欠損紙排出手段と汚損紙排出手段のうち少なくとも1つ以上に計数手段及び/又は計量手段を備える損紙処理装置である。
【0017】
本発明は、損紙を供給する供給手段と、前記損紙を搬送する搬送手段と、前記搬送された損紙が欠損紙であるか汚損紙であるかを検査する検査手段と、前記検査する手段にて判断された欠損紙を排出する欠損紙排出手段と、前記検査する手段にて判断された汚損紙を前記欠損紙排出手段とは別に排出する汚損紙排出手段と、前記汚損紙排出手段から排出された汚損紙を処分する処分手段を備え、前記供給手段と前記搬送手段と前記検査手段のうち少なくとも1つ以上に計数手段及び/又は計量手段を備え、前記欠損紙排出手段と汚損紙排出手段と前記処分手段のうち少なくとも1つ以上に計数手段及び/又は計量手段を備える損紙処理装置である。
【0018】
本発明は、損紙を供給する供給工程と、前記損紙を搬送する搬送工程と、前記搬送された損紙が欠損紙であるか汚損紙であるかを検査する検査工程と、前記検査する工程にて判断された欠損紙を排出する欠損紙排出工程と、前記検査する工程にて判断された汚損紙を前記欠損紙排出工程とは別に排出する汚損紙排出工程を有する損紙処理方法である。
【0019】
本発明は、損紙を供給する供給工程と、前記損紙を搬送する搬送工程と、前記搬送された損紙が欠損紙であるか汚損紙であるかを検査する検査工程と、前記検査する工程にて判断された欠損紙を排出する欠損紙排出工程と、前記検査する工程にて判断された汚損紙を前記欠損紙排出工程とは別に排出する汚損紙排出工程と、前記汚損紙排出工程から排出された汚損紙を処分する処分工程を有する損紙処理方法である。
【0020】
本発明は、損紙を供給する供給工程と、前記損紙を搬送する搬送工程と、前記搬送された損紙が欠損紙であるか汚損紙であるかを検査する検査工程と、前記検査する工程にて判断された欠損紙を排出する欠損紙排出工程と、前記検査する工程にて判断された汚損紙を前記欠損紙排出工程とは別に排出する汚損紙排出工程を備え、前記供給工程と前記搬送工程と前記検査工程のうち少なくとも1箇所以上に計数工程及び/又は計量工程を備え、前記欠損紙排出工程と汚損紙排出工程のうち少なくとも1箇所以上に計数工程及び/又は計量工程を有する損紙処理方法である。
【0021】
本発明は、損紙を供給する供給工程と、前記損紙を搬送する搬送工程、前記搬送された損紙が欠損紙であるか汚損紙であるかを検査する検査工程、前記検査する工程にて判断された欠損紙を排出する欠損紙排出工程と、前記検査する工程にて判断された汚損紙を前記欠損紙排出工程とは別に排出する汚損紙排出工程、前記汚損紙排出工程から排出された汚損紙を処分する処分工程を備え、前記供給工程と前記搬送工程と前記検査工程のうち少なくとも1箇所以上に計数工程及び/又は計量工程を備え、前記欠損紙排出工程と汚損紙排出工程と前記処分工程のうち少なくとも1箇所以上に計数工程及び/又は計量工程を有する損紙処理方法である。
【0022】
ここで、欠損紙とは、用紙に破れ、折れ、穴あき、テープ付着、異物付着等のように、用紙基材の形状自体に異状がある損紙を意味するものであって、必ずしも用紙基材に用紙の不足部分があるものに限られるものではなく、例えば、一度、基材形状が壊れた後、形状をテープ等で補修したものも含む。
【0023】
また、ここで、汚損紙とは、用紙に図柄模様が一部でもないもの、ズレ、汚れ、インクの転移不良、刷色不良、記番号の印刷ミス等のように、用紙基材の形状自体には異状がない損紙を意味する。
【発明の効果】
【0024】
上記のように構成された本発明の損紙処理装置又は損紙処理方法によれば、貴重印刷物などの製造工程において発生した損紙を目視検査及び履歴確認などの原因追求を要する欠損紙と、目視検査及び履歴確認を必要とせずに処分できる汚損紙に機械的に分別することが可能となるので、時間、コストをかけずに損紙の処理が行え、損紙の製品への混入、損紙の紛失、流出等のおこらない確実な損紙処理を行うことができる。
なお、上記のように構成された損紙処理装置や損紙処理方法に処分手段や処分工程を設けたときは、数量管理上、より確実に損紙の処理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下に述べる実施するための最良の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
【0026】
図1は、本発明の損紙処理装置の構成を示すブロック図である。
【0027】
この損紙処理装置は、損紙を供給する供給手段と、前記損紙を搬送する搬送手段と、前記搬送された損紙が欠損紙であるか汚損紙であるかを検査する検査手段と、前記検査手段にて判別された欠損紙を排出する欠損紙排出手段と、前記検査手段にて判別された汚損紙を排出する汚損紙排出手段とを具備して構成されたものである。
【0028】
また、本発明による損紙処理装置は、前記損紙処理装置に処分手段を具備して構成されたものである。
【0029】
また、本発明による損紙処理装置は、計数手段又は計量手段を具備して構成されたものである。
【0030】
図2は、本発明による損紙処理装置概略図である。
【0031】
図2に示すように、損紙処理装置1には、積層された損紙7を上面部側から1枚ずつ取り出すための供給手段2(詳細は図示せず)が設けられており、1枚ずつ搬送手段3に損紙7を供給するようになっている。
【0032】
供給手段2としては、サッカー方式(一吸や二吸を用いた後ろ取り方式や、一吸による前取り方式のフィーダ)やローラ(コピー機や市販のプリンタに採用されている方式)等を用いることができ、損紙を上面部側のものから1枚ずつ取り出すことができる構成であれば、いかなる形態でもよい。また、供給手段としては、図で示しているような枚葉式フィーダに限定されるものではなく、巻取紙を使用した連続印刷物を供給するフィーダでも利用可能である。
【0033】
供給手段において供給されるのは、製造工程において人為的、機械的な原因で生じた損紙や、製造工程での機械調整や印刷における色味の調整等に使用する紙(調整紙)などである。損紙の大きさは、図3(a)に示すように小切れ1面が複数面に多面割り付けされている枚葉紙でもよいし、紙幣あるいは商品券などのような小切れ券でもよく、いかなるサイズでも制限なく処理することができる。
【0034】
図2の供給手段2で取り出された損紙6は、順次、搬送手段となる搬送路3に送られ、一定の速度で搬送路に沿って搬送される。搬送路3としては、ベルト搬送、コロ搬送、グリッパ搬送など損紙を搬送できる構成であればいかなる形態でもよい。
【0035】
検査手段4は、搬送路3の途中に設けられており、検査手段4は、検出部と判別部(いずれも図示せず)を備えている。検出部には、搬送路3の直上に1台以上の検出器が最も適した角度で配置されており、これにより検出部では、一定速度で搬送される損紙一面の状態を検出できるようになっている。そして、検出部によって検出された検出結果は、判別部にて損紙に欠損があるか否かの判別がなされる。
【0036】
図3は、供給される損紙の状態を示したものである。
【0037】
損紙には、前述したとおり、大きく分けて、図3(b)に示すような基材形状自体には欠陥がない汚損紙と、(c)穴あき、(d)折れ、(e)破れ、(f)しわ、(g)用紙に一旦破れや穴あきが生じ、テープ等で修復した用紙に示すような基材形状自体に欠陥を有する欠損紙の2種類があり、これらの汚損紙と欠損紙が混在している場合が多い。
【0038】
ここで、これらの汚損紙8と欠損紙9を判別するための検出器として、CCDカメラを用いた場合について説明する。図4に示すように、検出器としてのCCDカメラは、損紙の上方に損紙全体を検出範囲とするように必要数配置されている。そして、搬送路から検査手段に搬送されてきた損紙が、図3の(b)に示すような汚損紙8である場合には、CCDカメラで損紙画像を取り込み、2値化処理(濃淡画像を2値画像に変換する処理)を行うと、図4(b)に示す状態となり欠損部位が確認されないため、判別部にて汚損紙8と判別される。一方で、搬送路から検査手段に搬送されてきた損紙が、図3の(c)に示すような欠損紙9である場合には、CCDカメラで損紙画像を取り込み、2値化処理を行うと、図4(c)に示す状態となり欠損部位(穴あき)が確認されるため、判別部にて欠損紙9と判別される。
【0039】
上記のように欠損紙と汚損紙が判別できるのは、図3(c)の穴あきの箇所12とその他の箇所では、用紙の反射率や、撮像される画像が異なるため、明度、彩度、濃度を基本とした画像処理を行うことによって、穴あき12を顕在化することができるからである。また、図4(b)の状態では、2値化処理後の穴あき画素数が0個であるのに対し、図4(c)の状態では、穴あき画素数が0以上となるため、画素数の閾値を0以上の任意の範囲に設定することで、欠損の大きさを選別することもできる。
【0040】
次に、汚損紙8と欠損紙9を選別するための検出器として、回帰型レーザセンサを使用した場合について説明する。
図5は回帰型レーザセンサを使用して汚損紙8と欠損紙9を判別する方式である。回帰型レーザセンサは特殊な反射板21を利用したセンサであり、回帰型投光センサ19と回帰型受光センサ20からなっている。回帰型レーザセンサを使用した場合、回帰型投光センサ19からレーザ光が照射され、特殊反射板21により反射される光については、回帰型受光センサ20で検知されるが、それ以外の光は回帰型受光センサ20で検知されない。そのため、図5に示すように、損紙の上方に回帰型レーザセンサが配置され、搬送路から検査手段に搬送されてきた損紙が、図3の(b)に示すような汚損紙8である場合には、回帰型投光センサにてレーザ光を照射しても、特殊反射板21からの反射光が検出されないため、波形が現れない(図5(b))。しかし、搬送路から検査手段に搬送されてきた損紙が、例えば、図3(b)のような欠損紙9(穴あき)である場合、回帰型投光センサにてレーザ照射すると、特殊反射板からの光が検出されるため、欠損紙を検出することができ(図5(c))、これによって、汚損紙8と欠損紙9を判別することができる。
【0041】
回帰型レーザセンサを用いると、穴あきや破れた個所から特殊反射板21の反射光のみを検出するので、損紙表面に光学的変化要素(ホログラムや光学的変化インキ)が付与されている場合においても、その表面の光学変化要素に影響を受けることなく選別することができる。
【0042】
なお、回帰型レーザセンサの種類、設置条件等については、検査対象や求める検出範囲によって適宜配置すればよい。例えば、回帰型レーザセンサとしてキーエンス社製のLV−H65タイプを損紙表面から20cmから30cm離した場所に設置し、レーザ光を損紙に照射すると、15mmから17mmの範囲を対象として検出することができる。用紙搬送速度が1分間当たり120枚程度(60m/min相当)の場合は、1辺5mmの正方形以上の欠損部分を検出することができる。
【0043】
次に、検出器として超音波式センサを用いた場合について説明する。図6は超音波式センサを使用して汚損紙8と欠損紙9を検出する方式である。超音波式センサを用いると、検査対象である損紙の厚みによって強弱の波形を示すため、その波形に任意の閾値を設けておくことで、汚損紙8と欠損紙9を選別することができる。すなわち、図6に示すように、超音波式センサの送信センサ22が損紙の上方に必要数配置され、搬送路から検査手段に搬送されてきた損紙が図3の(b)に示すような汚損紙8である場合には、受信センサ23において受信する超音波受信号が図6(b)のように通常レベルの波形を示すので、汚損紙であると判定する。しかし、搬送路上から検査手段に搬送されてきた損紙が、例えば、図3(c)に示すような欠損紙(穴あき12)である場合、穴あき12の欠損部位の超音波受信号は図6(c)のように通常レベルより高い波形を示すので、損紙に欠損部位があることがわかる。また、図3(g)のようにテープ等の異物が付着した損紙である場合には、図6(g)に示すように通常レベルの波形よりも低い波形を示すため、損紙に付着物等の異常がある欠損紙9であることがわかる。
【0044】
なお、超音波式センサとしては、たとえば、2枚差し用紙検出装置に使用されるニレコ社製PC−200やPC−300等さまざまなタイプが利用可能である。超音波式センサを用いると、検出対象である損紙の図柄等に影響を受けることがないため、検出精度が高い。
【0045】
なお、前述した超音波式センサと同様に、検出器として接触式センサを用いて、用紙表面の凹凸を接触によって検出することもできる。図7に示すように、接触式センサ24を用いて、図3(b)を検出すると、通常レベルの波形が検出されるが、図3(c)、(g)のような欠損紙を検出すると、図7(c)、(g)にそれぞれ示すように通常レベルの波形が検出されないため、閾値を設けることで欠損紙を判別することができる。
【0046】
このように、汚損紙と欠損紙を選別するための検出器としては、損紙の大きさや、損紙状態に応じて、適宜選択することが可能である。たとえば、検出器として、超音波センサを単独で用い、それぞれの閾値を設けることで、欠損紙のなかでも性質の異なる穴あきとテープ付着の両方を検出することも可能であるし、センサの応答速度の問題や、穴あきやテープ付着が同じタイミングで発生した場合の不具合を解消するために、超音波式センサと回帰型レーザセンサを併用するなどしてもよい。
【0047】
判別部における欠陥の有無の判別結果は、制御部(図示せず)に送信され、制御部によって汚損紙として汚損紙排出手段5に排出するか、欠損紙として欠損紙排出手段6に排出するか、いずれかの切り替えが行われる。検査手段4で欠損がないと判断されたものは、前記切り替えによって、汚損紙8として第1の方向(図2の矢印1)に沿って汚損紙排出手段5に排出され、検査手段4で欠損があると判断されたものは、欠損紙9として第2の方向(図2の矢印2)に沿って欠損紙排出手段6に排出される。この構成をとると、欠損紙と汚損紙をマーキングなどによって分類し、同一排出手段に排出したものを、手作業にて分類する等に比べて手間がかからないので、分類作業を削減することができる。
【0048】
汚損紙排出手段5に排出された汚損紙8及び欠損紙排出手段6に沿って排出された欠損紙9は、順次積載台などに積層されてもよいし、引き続きその後の工程がある場合には、積層されずに、前述した搬送路3と同様な形態において後工程に搬送されてもよい。
【0049】
欠損紙排出手段6に沿って排出された欠損紙9は、作業者等による欠損状態の確認や、製造工程の履歴追跡などの確認作業が行われる。
【0050】
図8は、本発明に係る処分手段を備えた損紙処理装置の構成図である(請求項2対応)。処分手段25は、図8に示すように、汚損紙排出手段5の下流に設置され、排出される汚損紙を排出される都度、順次処分するように構成してもよいし、図9に示すように、汚損紙排出手段5により排出された後、積層された汚損紙をまとめて処分手段27にて処分されるように構成してもよい。
【0051】
なお、処分手段としては、一般的な回転刃のついたシュレッダ機構、破砕を行うクラッシュ機構、スリッタ、ギロチン断裁、ロータリーカッタ、チョップカット、煮つぶし装置等が利用可能である。処分手段25を備えた用紙処理装置とすることで、汚損紙の紛失、流出、散逸等の危険性を更になくすことができる。特に、図8の構成は、図9の構成よりも、積層した汚損紙を処分手段まで運搬する工程を省略することができるので、汚損紙の紛失、流出、散逸等の防止に役立つだけでなく、人件費を軽減することにもつながる。
【0052】
本発明の損紙処理装置は、より確実に損紙処理を行うために計数(量)手段を設けることが可能である。(請求項3対応)この計数(量)手段は、たとえば、供給手段2、汚損紙排出手段5及び欠損紙排出手段6にそれぞれ設置される。なお、必要に応じて、搬送路3と検査手段4に計数(量)手段を設置してもよい。それぞれの計数(量)手段は、それぞれ搬送中に通過していく損紙を計数(量)するように設けてもよいし、汚損紙排出手段5及び欠損紙排出手段6からそれぞれ排出後、積載された状態の汚損紙8、欠損紙9を計数(量)するように設けてもよい。
【0053】
計数手段としては、光学式センサ方式により非接触で員数を行う計数カウンタや、真空吸引と一枚ずつ捌くブレードを応用して員数するワイパーブレード方式の接触式員数機などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、比重が大きいものや、水分による影響を受けにくい損紙については、枚数ではなく、用紙処理装置の供給手段での重量と、排出された汚損紙又は欠損紙の重量を計量するように計量装置27を設けることもできる(図9)。
【0054】
また、処分手段を備える損紙処理装置の場合には、供給手段2、搬送路3、検査手段4のいずれか1箇所以上に計数装置が設置され、また、汚損紙排出手段5、欠損紙排出手段6又は処分手段25にそれぞれ計数(量)装置を設置された構成をとることも可能である(請求項4)。
【0055】
そして、供給される損紙枚数又は損紙重量と、汚損紙8及び欠損紙9を加算した損紙枚数又は損紙重量が一致しない場合には、異常を知らせるための表示や警報を発することで、異常を知らせることができる。このような構成をとることで、損紙処理装置における数量管理がより確実に行え、セキュリティ性が向上する。
【0056】
なお、更なるセキュリティ性の向上のため、本発明の損紙処理装置に結束手段を設け、排出されて積載された汚損紙8に、たとえば、図10の結束された汚損紙28に示すように結束装置などによって任意の設定された数量毎にPPバンドや紙バンドによる十字結束や井型結束されるように構成してもよいし、紙やビニール袋により封包されるように構成してもよい。このような構成をとることで、別の場所で用紙の処分を行う場合などの散逸防止などに役立たせることができる。
【0057】
なお、本発明の損紙処理装置は、印刷機に設けることが可能である。このような構成とすることで、印刷工程中の用紙の積載時や積載された用紙の高さを調整するために使用されるクサビの挿入時などによって発生する部分的な用紙の破れや折れなども検出することが可能となる。更に、部分的な用紙の破れや折れ等によって引き起こされる胴刷(用紙が供給されなかったり、供給された用紙に破れや折れ等がある場合、版面又はゴム胴が圧胴と接した胴入れ状態になるため、版面又はゴム胴のインキが紙ではなく圧胴に直接転移されることをいう。)が原因で、圧胴に転写された図柄等がその直後に給紙された用紙の裏面に印刷される用紙を検出することも可能となる。
【0058】
また、本発明の検査手段を印刷機の用紙供給部と実際の印刷部との間に設けることも可能である。このような構成とすることで、用紙への異物(プラスチックや金属片又はテープ)の付着を印刷に入る直前に発見することができるので、印刷時での異物による版面やブランケットなどの損傷を防止することができる。
【0059】
次に、本発明による損紙処理方法について、図11に示すフローチャートを用いて説明する。
【0060】
すなわち、本発明による損紙処理方法は、まず、積層されている損紙が上部側のものから順次1枚ずつ搬送路に供給され(ステップS1)、損紙は一定の速度で搬送され(ステップS2)、搬送された損紙は、損紙に欠損又は異物付着があるか否かの検査が行われる(ステップS3)。そして、この検査において、損紙に欠損又は異物付着がない場合は、汚損紙であると判断し(ステップS4)、汚損紙排出方向に排出し(ステップS5)、損紙に欠損又は異物付着がある場合は、欠損紙であると判断し(ステップS6)、欠損紙排出方向に排出する(ステップS7)。
【0061】
本発明による用紙処理方法は、上記ステップS7の後に、排出された汚損紙8を原形が分からなくなるように処分する工程を設けてもよい。
【0062】
また、本発明による損紙処理方法は、より確実に損紙処理を行うために計数(量)工程を有してもよい。計数(量)工程は、ステップS1の前後工程、ステップS2の前後工程、ステップS5及びステップS7の後工程で行うことができるが、最も好ましくは、ステップS1の前に供給する損紙の数量をカウントし、ステップS5の後に汚損紙の数量をカウントし、ステップS7の後に欠損紙の数量をカウントし、供給した損紙の数量と、排出した汚損紙と欠損紙の合計数量が等しいことを確認するとよい。損紙処理方法にこのような方法を更に付加することで、数量管理が厳密に行え、よりセキュリティ性を向上することができる。
【0063】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限られることなく、その要旨の範囲内で種々変形実施可能なことはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明による損紙処理装置構成ブロック図。
【図2】本発明による損紙処理装置概略図。
【図3】本発明による検査手段によって検査される損紙の種類。
【図4】CCDカメラによって穴あき及びテープ付着の損紙を撮像後、2値化処理した状態
【図5】回帰型レーザセンサを用いて穴あき及びテープ付着を検出することを示した図及び反射光量のグラフ。
【図6】超音波式センサを用いて穴あき及びテープ付着を検出することを示した図及び受信号のグラフ。
【図7】接触式センサを用いて穴あき及びテープ付着を検知することを示した図及び変位量のグラフ。
【図8】処分手段を備える損紙処理装置概略図。
【図9】処分手段を備える損紙処理装置の別の形態の概略図。
【図10】計数(量)手段を備える損紙処理装置概略図。
【図11】本発明による損紙処理方法のフローチャート。
【符号の説明】
【0065】
1 損紙処理装置
2 供給手段
3 搬送路(搬送手段)
4 検査手段
5 汚損紙排出手段
6 欠損紙排出手段
7 損紙
8 汚損紙
9 欠損紙
10 積載台
11 汚れ
12 穴あきのある欠損紙の状態
13 折れのある欠損紙の状態
14 破れのある欠損紙の状態
15 しわのある欠損紙の状態
16 テープ付着している欠損紙の状態
17 テープ
18 CCDカメラ
19 回帰型投光センサ
20 回帰型受光センサ
21 特殊反射板
22 送信センサ
23 受信センサ
24 接触式センサ
25 処分手段
26 用紙屑
27 計数(量)手段
28 結束された汚損紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
損紙を供給する供給手段と、前記損紙を搬送する搬送手段と、前記搬送された損紙が欠損紙であるか汚損紙であるかを検査する検査手段と、前記検査する手段にて判断された欠損紙を排出する欠損紙排出手段と、前記検査する手段にて判断された汚損紙を前記欠損紙排出手段とは別に排出する汚損紙排出手段を備えることを特徴とする損紙処理装置。
【請求項2】
損紙を供給する供給手段と、前記損紙を搬送する搬送手段と、前記搬送された損紙が欠損紙であるか汚損紙であるかを検査する検査手段と、前記検査する手段にて判断された欠損紙を排出する欠損紙排出手段と、前記検査する手段にて判断された汚損紙を前記欠損紙排出手段とは別に排出する汚損紙排出手段と、前記汚損紙排出手段から排出された汚損紙を処分する処分手段を備えることを特徴とする損紙処理装置。
【請求項3】
損紙を供給する供給手段と、前記損紙を搬送する搬送手段と、前記搬送された損紙が欠損紙であるか汚損紙であるかを検査する検査手段と、前記検査する手段にて判断された欠損紙を排出する欠損紙排出手段と、前記検査する手段にて判断された汚損紙を前記欠損紙排出手段とは別に排出する汚損紙排出手段を備え、前記供給手段と前記搬送手段と前記検査手段のうち少なくとも1つ以上に計数手段及び/又は計量手段を備え、前記欠損紙排出手段と汚損紙排出手段のうち少なくとも1つ以上に計数手段及び/又は計量手段を備えることを特徴とする損紙処理装置。
【請求項4】
損紙を供給する供給手段と、前記損紙を搬送する搬送手段と、前記搬送された損紙が欠損紙であるか汚損紙であるかを検査する検査手段と、前記検査する手段にて判断された欠損紙を排出する欠損紙排出手段と、前記検査する手段にて判断された汚損紙を前記欠損紙排出手段とは別に排出する汚損紙排出手段と、前記汚損紙排出手段から排出された汚損紙を処分する処分手段を備え、前記供給手段と前記搬送手段と前記検査手段のうち少なくとも1つ以上に計数手段及び/又は計量手段を備え、前記欠損紙排出手段と汚損紙排出手段と前記処分手段のうち少なくとも1つ以上に計数手段及び/又は計量手段を備えることを特徴とする損紙処理装置。
【請求項5】
損紙を供給する供給工程と、前記損紙を搬送する搬送工程と、前記搬送された損紙が欠損紙であるか汚損紙であるかを検査する検査工程と、前記検査する工程にて判断された欠損紙を排出する欠損紙排出工程と、前記検査する工程にて判断された汚損紙を前記欠損紙排出工程とは別に排出する汚損紙排出工程を有することを特徴とする損紙処理方法。
【請求項6】
損紙を供給する供給工程と、前記損紙を搬送する搬送工程と、前記搬送された損紙が欠損紙であるか汚損紙であるかを検査する検査工程と、前記検査する工程にて判断された欠損紙を排出する欠損紙排出工程と、前記検査する工程にて判断された汚損紙を前記欠損紙排出工程とは別に排出する汚損紙排出工程と、前記汚損紙排出工程から排出された汚損紙を処分する処分工程を有することを特徴とする損紙処理方法。
【請求項7】
損紙を供給する供給工程と、前記損紙を搬送する搬送工程と、前記搬送された損紙が欠損紙であるか汚損紙であるかを検査する検査工程と、前記検査する工程にて判断された欠損紙を排出する欠損紙排出工程と、前記検査する工程にて判断された汚損紙を前記欠損紙排出工程とは別に排出する汚損紙排出工程を備え、前記供給工程と前記搬送工程と前記検査工程のうち少なくとも1箇所以上に計数工程及び/又は計量工程を備え、前記欠損紙排出工程と汚損紙排出工程のうち少なくとも1箇所以上に計数工程及び/又は計量工程を有することを特徴とする損紙処理方法。
【請求項8】
損紙を供給する供給工程と、前記損紙を搬送する搬送工程と、前記搬送された損紙が欠損紙であるか汚損紙であるかを検査する検査工程と、前記検査する工程にて判断された欠損紙を排出する欠損紙排出工程と、前記検査する工程にて判断された汚損紙を前記欠損紙排出工程とは別に排出する汚損紙排出工程、前記汚損紙排出工程から排出された汚損紙を処分する処分工程を備え、前記供給工程と前記搬送工程と前記検査工程のうち少なくとも1箇所以上に計数工程及び/又は計量工程を備え、前記欠損紙排出工程と汚損紙排出工程と前記処分工程のうち少なくとも1箇所以上に計数工程及び/又は計量工程を有することを特徴とする損紙処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−241343(P2007−241343A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−58814(P2006−58814)
【出願日】平成18年3月6日(2006.3.6)
【出願人】(303017679)独立行政法人 国立印刷局 (471)
【Fターム(参考)】