説明

搬送システム

【課題】一度に大量の板状部材を搬送しつつ、短時間で、かつ省スペースでその板状部材を目的の収納順序に入れ替えることができるシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】液晶ガラス2を載置した収納容器20が搬送される搬送システム1において、前記収納容器20は、液晶ガラス2が一枚載置され、積層された状態で搬送され、積層された収納容器20の積層順を入れ替える入れ替え装置4が配設され、前記入れ替え装置4は、積層された収納容器20から目的の収納容器20を分離する分離装置5と、目的の収納容器20を一時待避させる待避装置6と、前記分離装置5から前記待避装置6へ目的の収納容器20を搬出するコンベア50・50と、目的の収納容器20を前記分離装置5とは異なる積層順となるように目的の収納容器20を搬入するための空間を形成する空間形成装置7と、前記待避装置6から前記空間形成装置7へ搬入するコンベア60とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送システムに関し、より詳細には、板状部材の収納順序を入れ替える入れ替え装置を備えた搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、及び有機EL(Electro Luminescence)などの電子ディスプレイには、液晶ガラスなどの板状部材が用いられるため、電子ディスプレイの搬送システムにおいては、板状部材が収納容器に載置若しくは収納されて、この収納容器が搬送経路に沿って順に搬送される。そして、検査用のサンプリングや品質のグレード分けなどで、収納容器から板状部材をランダムに抜き取り、別の収納容器に移し替える運用が求められる。
【0003】
従来、板状部材を一枚ずつ載置して搬送する収納容器を用いた搬送システムが公知である。このような搬送システムにおいて、例えば、特許文献1には、先端部に板状部材の載置用のフォークが付設された水平多関節式のロボットアームを備えた移載装置によって、積層保持された各収納容器から、移載装置によって所定の板状部材のみを抜き取り、所定の収納容器に板状部材を受け渡す構成が開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−168483号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に開示されるように、板状部材を一枚ずつ載置して搬送する収納容器を用いた搬送システムでは、板状部材の収納順序の入れ替えやランダムアクセスは容易であるが、板状部材の大型化に伴って、収納容器内の収納ピッチを増加させる必要があり、大型化した板状部材の収納効率が悪かった。また、積層保管された収納容器に板状部材を搬入出するための移載装置の構成が複雑であり、装置構成の大型化に伴って、製造コストが増大していた。
【0005】
一方で、一度に複数の板状部材を収納・搬送できるカセット型の収納容器を用いた搬送システムも公知である。このカセット型の収納容器を用いた搬送システムにおいては、板状部材の大型化への対応は容易で、一度に多量の板状部材を搬送できるため搬送効率が高いという利点を有している。
【0006】
しかし、このカセット型の収納容器を用いた搬送システムでは、通常、収納容器を下降させながら搬送ローラによって板状部材を一枚ずつ順に抜き取る構成であるため、最初に搬入した板状部材を最後に搬出することしかできず(先入れ後出し)、ランダムアクセスができなかった。そのため、収納容器内の板状部材をソーティングするには、全ての板状部材を搬入した順に取り出さなければならず、時間がかかるとともに、大きな装置スペースが必要であった。
【0007】
そこで、本発明は、搬送システムに関し、前記従来の課題を解決するもので、一度に大量の板状部材を搬送しつつ、短時間で、かつ省スペースでその板状部材を目的の収納順序に入れ替えることができるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
すなわち、請求項1においては、板状部材を載置した収納容器が搬送される搬送システムにおいて、前記収納容器は、板状部材が一枚載置され、積層された状態で搬送され、積層された収納容器の積層順を入れ替える入れ替え装置が配設され、前記入れ替え装置は、積層された収納容器から目的の収納容器を分離する分離手段と、目的の収納容器を一時待避させる待避場所と、前記分離手段から前記待避場所へ目的の収納容器を搬出する搬出手段と、目的の収納容器を前記分離手段とは異なる積層順となるように目的の収納容器を搬入するための空間を形成する空間形成手段と、前記待避場所から前記空間形成手段へ搬入する搬入手段とを備えたものである。
【0010】
請求項2においては、上記分離手段は、積層された収納容器を、目的の収納容器よりも上にある収納容器と下にある収納容器とに上下方向に分離して、目的の収納容器を搬出する際に干渉しない位置で支持する支持手段を備えるものである。
【0011】
請求項3においては、上記空間形成手段は、積層された収納容器を、目的の積層位置よりも上にある収納容器と下にある収納容器とに上下方向に分離して、目的の収納容器を搬入する際に干渉しない位置で支持する支持手段を備えるものである。
【0012】
請求項4においては、上記分離手段は、上記空間形成手段を兼ねるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0014】
請求項1に示す構成としたので、積層された収納容器によって、一度に大量の板状部材を搬送できる。また、積層された収納容器の積層順を入れ替えることで、板状部材の収納順を容易に入れ替えることができるとともに、省スペースでかつ短時間で板状部材を目的の順序に入れ替えることができる。
【0015】
請求項2に示す構成としたので、分離手段において、収納容器を上下に分離して任意の収納容器を取り出すため、入れ替え装置をコンパクトに構成できる。
【0016】
請求項3に示す構成としたので、空間形成手段において、収納容器を上下に分離して任意に収納容器を再積層するため、入れ替え装置をコンパクトに構成できる。
【0017】
請求項4に示す構成としたので、積層された収納容器を上下に分離するスペースと、待避場所のスペースを確保すればよく、省スペース化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係る搬送システムの全体的な構成を示した平面図、図2は収納容器の斜視図、図3は積層体の斜視図、図4は第一実施例の入れ替え装置の平面図、図5は同じく第一実施例の入れ替え装置の斜視図、図6は第二実施例の入れ替え装置の斜視図、図7は第三実施例の入れ替え装置の平面図、図8は同じく第三実施例の入れ替え装置の斜視図である。
【0019】
図1に示すように、本実施例に係る搬送システム1は、液晶ガラス2を一枚ずつ収納容器20に載置し、この収納容器20は上下方向に積層されて積層体100が構成され、この積層体100が搬送経路3に沿って搬送するように構成されている。この積層体100は、積層体100を構成する収納容器20の個数と同じ枚数だけ、液晶ガラス2を収容可能である。収納容器20を積層して積層体100を形成することについては後述する。
【0020】
この搬送経路3には、搬送方向(図1においてX方向)に対して略垂直方向に所定の処理装置(図略)が配設され、搬送経路3上の積層体100と処理装置との間で液晶ガラス2を搬送する連絡経路31が設けられている。搬送経路3の中途部に、積層体100から液晶ガラス2を取り出すステーション32と、液晶ガラス2を載置しない状態の空の積層体100に液晶ガラス2を載置するステーション33とが構成されている。
【0021】
そして、搬送方向下流側には、積層体100の収納容器20の積層順を入れ替えて再積層して、積層体100における液晶ガラス2の収納順序を入れ替える入れ替え装置4が配設される。この入れ替え装置4の側方には、スタッカクレーン・軌道台車・無人走向車(AGV)等が配設され、再積層された積層体100がスタッカクレーン等によって別の搬送システムや自動倉庫等に供給される。
【0022】
収納容器20に載置されて搬送される板状部材として、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、及び有機EL(Electro Luminescence)などの電子ディスプレイに用いられるガラス基板等が挙げられる。本実施例では、板状部材として液晶ガラス2を用いる場合について説明するが、板状部材としては特にこれに限定されるものではない。液晶ガラス2は、ガラス基板単体や、ガラス基板をアレイ化するアレイ製造工程及びガラス基板上にカラーフィルタを積層させるカラーフィルタ製造工程等における各ガラス基板や、これらを組み合わせたガラス基板等の総称をいう。
【0023】
図1に示すように、搬送経路3には、積層体100を載置して一定方向に連続搬送する左右一対のコンベア30・30が設けられている。本実施例におけるコンベア30・30は、ローラコンベアとして、モータ等の駆動装置(図略)によって一方向に回転駆動され、積層体100が一方向に搬送されるように構成されている。コンベア30・30は、ローラコンベアの他に、ベルトコンベアやチェーンコンベアなどを用いることができる。
【0024】
図2及び図3に示すように、収納容器20は、上面が開放されて平面視略矩形に形成され、液晶ガラス2が一枚ずつ載置される載置部21と、載置部21の外側に形成される四つの側壁22と、対向する位置に形成されコンベア30・30上の載置部となるガイドフレーム23・23と、対向する位置に形成され図示せぬ積層装置によってチャックされるサイドフレーム24・24と、載置部21の下方であって側壁22間を連結する支持フレーム25等とから構成されている。前記一対のガイドフレーム23・23は、対向する一対の側壁22・22の外側面に形成され、前記サイドフレーム24・24も、対向する一対の側壁22・22の外側面に形成されている。
【0025】
載置部21は、側壁22の対向する一辺(本実施例ではサイドフレーム24・24が形成される側の辺)の間に、複数の線条部材26がそれぞれ略平行となるように張設され、略平滑面が形成される。線条部材26によって形成された載置部21の上面に、液晶ガラス2が水平状態で載置される。線条部材26としては、断面が円形のものが用いられ、例えば、ワイヤ等が用いられる。
【0026】
側壁22は、載置部21の外周を囲繞するように形成され、本実施例では、上端が載置部21の水平面よりも上方に位置するように形成されている。このように、側壁22は、載置部21に載置された液晶ガラス2が水平方向にずれて収納容器20から落脱するのを防止する落脱防止壁としての役割も担っている。側壁22の上端には、突起28・28・・・が設けられており、下端には突起28・28・・・に対応する位置に嵌合孔(図略)が穿設されている。収納容器20は、この突起28・28・・・を嵌合孔に嵌合させることで、上下に積層されて積層体100が形成される。各突起28・28・・・が嵌合孔に嵌合されるので、各収納容器20が水平方向にずれるのを防止できる。
【0027】
側壁22の対向する一辺は、側壁22の上端がこの部分で低くなるように形成され、液晶ガラス2が水平状態で通過可能な移載口27が開口されている。本実施例では、移載口27は、ガイドフレーム23・23が形成される側の側壁22に開口される。そのため、搬送経路3を搬送される収納容器20において、搬送経路3に対して直行する方向から液晶ガラス2が搬入出される。ただし、移載口27の開口位置は、これに限定されない。また、この移載口27は、収納容器20が積層された状態において液晶ガラス2が通過可能に形成され、移載口27の上下方向高さ、すなわち側壁22と上段に積層された側壁22との間の間隙が、少なくとも液晶ガラス2の搬入出を妨げない程度に確保されている。
【0028】
ガイドフレーム23・23は、側壁22の外周面から突出されたフランジ状部材であって、突出部が平坦となるように側壁22の外周面から略水平方向に突出されている。ガイドフレーム23・23を平滑面とすることで、上述したように、液晶ガラス2を移載口27に容易に通過させることができ、液晶ガラス2に傷が付くのを防止できるとともに、収納容器20をコンベア30に沿って安定して搬送させることができる。ガイドフレーム23・23は、収納容器20が搬送経路3上に載置される際に、左右のコンベア30・30にそれぞれ上方から当接される。ただし、ガイドフレーム23・23は、側壁22と一体に形成されてもよい。
【0029】
サイドフレーム24・24は、側壁22の外周面から側方に向けて開口するように側面視略コ字状に突出され、積層体100の段積み時もしくは段ばらし時には、図示せぬ積層装置のチャック装置によってチャックされる。サイドフレーム24・24は、収納容器20の隅部の近傍に相当する位置のみに形成されてもよく、また、側壁22と一体に形成され、さらに、収納容器20の隅部近傍に相当する箇所に凹部が形成されて、この凹部がチャックされるようにしてもよい。サイドフレーム24とガイドフレーム23とが、それぞれ兼用されるように形成されてもよい。このように、サイドフレーム24・24を設けておくことで、収納容器20を容易に積層したりばらしたりすることができる。
【0030】
支持フレーム25は、棒状の部材が略平行及び略直角に交差されており、側壁22の対向する一辺の間(本実施例ではガイドフレーム23・23が形成される側の辺と、サイドフレーム24・24が形成される側の辺との間)に設けられている。このように、支持フレーム25を設けることで、収納容器20が側壁22と線条部材26とによって形成された場合に剛性を高めることができる。特に、複数の収納容器20が積層された際であっても、最下位に位置された収納容器20の変形等を防止し、また、収納容器20の下面を支持して上下方向に昇降させる際にも側壁22等が歪んで変形するのを防止できる。ただし、この支持フレーム25は、必ずしも設けなくてもよい。
【0031】
以上のように構成される収納容器20を用いることで、簡易な構成で収納容器20への液晶ガラス2の搬入出を実現できる。また、本実施例では、収納容器20が上下に積層可能に構成されることから、搬送経路3中に、収納容器20を所定の順に段積みして積層体100を構成し、又は積層体100を段ばらしして所定の収納容器20を取り出す積層装置(図略)が配設される。この積層装置は、公知の構成のものを採用できる。そして、積層体100とすることで一度に大量の液晶ガラス2を搬送でき、搬送効率を向上できる。さらに、載置部21を線条部材26で形成することで、収納容器20の高さ方向を短く構成でき、積層体100の液晶ガラス2の収納枚数をより増大して、搬送効率を向上でき、液晶ガラス2を均一に支持して撓み等を防止でき、液晶ガラス2の大型化にも対応できる。
【0032】
次に、入れ替え装置4の第一実施例について、以下に説明する。
図1、図4及び図5に示すように、入れ替え装置4は、積層体100の収納容器20の積層順を入れ替えて再積層させる装置であって、積層体100から一の収納容器20を取り出す分離手段としての分離装置5と、目的の収納容器20を一時待避させて支持する待避場所としての待避装置6と、分離装置5から待避装置6へ目的の収納容器20を搬出する搬出手段としてのコンベア50と、目的の収納容器20を分離装置5とは異なる積層順となるように収納容器20を搬入するための空間を形成する空間形成装置7と、待避装置6から目的の収納容器20を空間形成装置7へ搬入する搬入手段としてのコンベア60等とで構成されている。
【0033】
なお、第一実施例における分離装置5及び空間形成装置7は、同一の構成であるが、分離装置5は、積層体100から収納容器20を任意の順で取り出し可能な装置として利用され、空間形成装置7は、分離装置5から搬出された順序どおりに収納容器20を積層する装置として利用されている。ただし、空間形成装置7としては、搬入順にのみ積層が可能な単なる段積み装置であってもよい。
【0034】
分離装置5は、左右一対のコンベア50・50と、コンベアを待避させるシリンダ51と、積層体100(収納容器20)を支持するチャック52と、積層体100(収納容器20)の昇降を行うリフタ53等とで構成されている。コンベア50・50は、ローラコンベアが用いられ、シリンダ51によって搬送経路3の幅方向(搬送方向に直角な方向)に移動させて待避できるように構成され、収納容器20のガイドフレーム23を支持する状態(搬送状態)と、収納容器20に干渉しない位置まで待避される状態(待避状態)とに切り換えられる。
【0035】
支柱54が収納容器20の四隅に近接する位置に配置され、支柱54にチャック駆動部55が配設される。なお、チャック駆動部55は、支柱54に昇降自在でも、高さ位置が固定されてもよい。以下、主にチャック駆動部55は、高さ位置が固定された構成について説明するが、この構成に限定されない。チャック52は、チャック駆動部55により水平面内で回動可能とされ、収納容器20のサイドフレーム24・24を支持した状態と支持しない状態との間で切り換え自在に構成されている。リフタ53は、コンベア50・50よりも下方で待機されて、収納容器20を上下昇降させるように構成されている。
【0036】
この分離装置5は、搬送経路3に沿って搬送されてきた積層体100から目的とする収納容器20を任意に取り出すことができるように構成されている。すなわち、積層体100の内、目的とする収納容器20よりも上方にある上積層体110(収納容器20)をチャック52によって支持するとともに、下方にある下積層体120(収納容器20)をリフタ53によって支持し、分離装置5から目的とする収納容器20を搬出する際に、上積層体110及び下積層体120をそれぞれ干渉しない位置で支持するように構成されている(図5参照)。
【0037】
具体的には、分離装置5は、コンベア30及びコンベア50によって積層体100が搬送されて停止されると、まず、コンベア50がシリンダ51によって待避されるとともに、リフタ53により積層体100が支持される。次いで、リフタ53が、積層体100を上方に持ち上げながら上昇される。このリフタ53によって、積層体100の内目的とする収納容器20の一段上の収納容器20が、チャック52によって支持可能な位置まで上昇される。そして、チャック52によって目的とする収納容器20の一段上の収納容器20が支持される。つまり、チャック52によって、上積層体110が支持される。その後、リフタ53が下降され、目的とする収納容器20のガイドフレーム23・23がコンベア50・50の搬送面よりやや高い位置で下降が停止され、シリンダ51によってコンベア50が搬送位置(搬送可能な位置)に前進される。この時、リフタ53には、下積層体120が支持されている。リフタ53が再度下降されることで、目的の収納容器20のみがコンベア50に載置され、コンベア50が駆動されて、目的とする収納容器20のみが分離装置5より搬出される。
【0038】
また、チャック52によって支持された上積層体110の中から目的の収納容器20を取り出す場合には、リフタ53を上昇させるとともに、チャック52を待避させて、下積層体120と上積層体110とを合体させる。次いで、目的とする収納容器20の一段上の収納容器がチャック52によって再び支持された後に、リフタ53を下降させて、目的の収納容器20をコンベア50に載置させればよい。なお、リフタ53によって支持された下積層体120から目的の収納容器20を取り出す場合も、一度リフタ53を上昇させて上積層体110と下積層体120とを合体させて任意の収納容器20が取り出される。
【0039】
図4及び図5に示すように、待避装置6は、分離装置5と空間形成装置7とを連結し、待避装置6から空間形成装置7へ収納容器20を搬入する搬入手段としてのコンベア60・60等とで構成され、分離装置5から搬出された収納容器20を待避させつつ、空間形成装置7まで連絡して搬送するように構成されている。このコンベア60・60は、ローラコンベアが用いられ、分離装置5のコンベア50・50及び後述するように空間形成装置7のコンベア70・70と略同一平面に位置され、収納容器20のガイドフレーム23を支持して分離装置5から空間形成装置7にまで駆動搬送するように構成されている。
【0040】
図4及び図5に示すように、空間形成装置7は、左右一対のコンベア70・70と、コンベアを待避させるシリンダ71と、収納容器20を支持するチャック72と、収納容器20の昇降を行うリフタ73等とで構成されている。コンベア70・70は、ローラコンベアが用いられ、シリンダ71によって幅方向(搬送方向に直角な方向)に移動させて待避できるように構成され、収納容器20のガイドフレーム23を支持する状態と、収納容器20に干渉しない位置まで待避される状態とに切り換えられる。
【0041】
支柱74が収納容器20の四隅に近接する位置に配置され、支柱74にチャック駆動部75が配設される。なお、チャック駆動部75は、支柱74に昇降自在でも、高さ位置が固定されてもよい。以下、主にチャック駆動部75は、高さ位置が固定された構成について説明する。チャック72は、チャック駆動部75により水平面内で回動可能とされ、収納容器20のサイドフレーム24・24を支持した状態と支持しない状態との間で切り換え自在に構成されている。リフタ73は、コンベア70・70よりも下方で待機されて、収納容器20を上下昇降させるように構成されている。
【0042】
この空間形成装置7は、待避装置6によって搬入された収納容器20を、搬入された順に再積層させるように構成されている。すなわち、空間形成装置7は、コンベア60及びコンベア70によって収納容器20が搬送されて停止されると、まず、リフタ73が上昇されて収納容器20が支持された後、コンベア70がシリンダ71によって待避され、リフタ73が収納容器20を上方に持ち上げながら上昇される。このリフタ73によって、収納容器20がチャック72に支持される位置まで上昇され、収納容器20がチャックされた後にリフタ73が下降される。
【0043】
そして、この状態で、さらに空間形成装置7に収納容器20が搬入されると、チャック72によって支持された収納容器20の最下段に、搬送された収納容器20が追加される。この場合、コンベア70がシリンダ71によって待避されつつ、リフタ73が収納容器20を上方に持ち上げながら上昇され、チャック72によって支持された収納容器20の積層体の最下段の収納容器20の底面を、リフタ73で上昇中の収納容器20の上面で支持する。チャック72によって支持された収納容器20がリフタ73で支持されると、チャック72が待避されて、リフタ73によって収納容器20の一段分上昇される。そして、チャック72にて収納容器20の積層体が支持され、リフタ73が下降される。
【0044】
このように、分離装置5、待避装置6、及び空間形成装置7より構成される入れ替え装置4によって、積層体100を構成する収納容器20の積層順を入れ替えて再積層させることで、省スペースでかつ短時間で積層体100に収納される液晶ガラス2を目的の順序に入れ替えることができる。また、収納容器20には、液晶ガラス2が一枚ずつ載置されており、この収納容器20を積層体100として搬送することで、一度に大量の液晶ガラス2を搬送できるとともに、収納容器20を入れ替えることで、液晶ガラス2の収納順を容易に入れ替えることができる。
【0045】
特に、分離装置5において、積層体100から任意の収納容器20を分離して取り出すことができる(ランダムアクセスできる)ため、この分離装置5によって取り出された収納容器20を、空間形成装置7において分離して搬送された順に積層させれば、液晶ガラス2の収納順の入れ替えが可能である。また、分離装置5において、チャック52及びリフタ53が、目的の収納容器20よりも上にある収納容器20(上積層体110)と下にある収納容器20(下積層体120)とに上下方向に分離して、目的の収納容器20を搬出する際に干渉しない位置でそれぞれ支持するため、分離装置5をコンパクトに形成でき、省スペースで入れ替え装置4を構成できる。
【0046】
また、待避装置6を設けることで、積層体100から搬送された収納容器20を、分離装置5及び空間形成装置7における分離・再積層の工程を妨げない位置で待避させるとともに、分離装置5及び空間形成装置7の間で収納容器20を搬入する搬入手段としてのコンベア60を配置できるため、入れ替え装置4の省スペース化を図ることができる。
【0047】
次に、入れ替え装置4の第二実施例について、以下に説明する。
図6に示すように、本実施例における入れ替え装置4は、分離装置5が積層体100から収納容器20を積層された順序どおりに取り出すように構成され、空間形成装置7が積層体100から取り出された収納容器20を任意の順で積層可能に構成されている点が、第一実施例と相違する。
【0048】
なお、第二実施例における分離装置5及び空間形成装置7は、第一実施例における分離装置5及び空間形成装置7と同一の構成である。分離装置5は、積層体100から収納容器20を積層された順序どおりに取り出す装置として利用され、空間形成装置7は、積層体100から取り出された収納容器20を任意の順で積層可能な装置として利用されている。分離装置5としては、積層された順序どおりに取り出す単なる段ばらし装置であってもよい。
【0049】
分離装置5は、搬送された積層体100において、最下段の収納容器20から順に空間形成装置7へと搬出するように構成されている。すなわち、分離装置5は、積層体100が分離装置5に搬送されて停止されると、まず、リフタ53が上昇されて積層体100が支持された後、コンベア50がシリンダ51によって待避され、リフタ53が積層体100を上方に持ち上げながら上昇される。次いで、このリフタ53によって、積層体100の最下段よりも一段上の収納容器20が、チャック52によって支持可能な位置まで上昇される。そして、チャック52によって最下段よりも一段上の収納容器20が支持される。その後、リフタ53が再度下降されることで、目的の最下段の収納容器20のみがコンベア50に載置され、コンベア50が駆動されて、目的とする収納容器20のみが取り出される。
【0050】
そして、この状態からさらに収納容器20を取り出す場合には、コンベア50が待避されてからリフタ53が上昇され、チャック52によって支持された積層体100の最下段の下面にリフタ53が当接すると、チャック52が待避される。そして、リフタ53によって積層体100が支持されながら一段分だけ下降され、目的とする収納容器20の一段上の収納容器がチャック52によって支持された後に、リフタ53が下降され、最下段の収納容器20のみがリフタ53によってコンベア50に載置されて取り出される。このような動作が繰り返されて、最下段の収納容器20から順に取り出される。
【0051】
一方で、空間形成装置7は、分離装置5から待避装置6を介して搬入された収納容器20を搬入するための空間を形成し、任意の順で再積層させるように構成されている。空間形成装置7においては、搬送された収納容器20は、チャック72及びリフタ73によってそれぞれ上積層体110及び下積層体120として支持される。例えば、チャック72によって支持された上積層体110の中に、搬送された収納容器20を積層させる場合には、まず、搬送された収納容器20は、待避装置6のコンベア60上に一時停止されるとともに、リフタ73が上昇されて、チャック72に支持された上積層体110と、リフタ73に支持された下積層体120とが合体される。次いで、チャック72が待避され、目的の積層位置よりも上にある積層体100がチャック72に支持される位置までリフタ73が昇降される。チャック72によって任意の収納容器20(上積層体110)が支持されて分離されると、リフタ73は下積層体120がコンベア70の下方に位置するまで下降される。この状態で、コンベア60・70が前進されて、待避装置6からコンベア70に収納容器20が搬入される。そして、コンベア70が待避されつつ、リフタ73が上昇されることで、目的の収納容器20が上積層体110及び下積層体120と合体されて、目的の積層順となるように収納容器20が積層された積層体100が形成される。
【0052】
上述した第一実施例及び第二実施例に示すように、分離装置5及び空間形成装置7の少なくともいずれか一方が、任意の収納容器20を搬入出可能に構成されることで、積層体100の収納容器20の積層順を入れ替えることが可能であり、装置構成の簡易化及び入れ替え時間の短縮化を図ることができる。ただし、分離装置5及び空間形成装置7にいずれもが、任意の収納容器20を搬入出可能に構成されてもよい。
【0053】
次に、入れ替え装置8の第三実施例について、以下に説明する。
図7及び図8に示すように、本実施例における入れ替え装置8は、上述した分離装置5(空間形成装置7)が空間形成装置7(分離装置5)を兼ねるとともに、ように構成されている点が、上述した第一実施例及び第二実施例と相違する。
【0054】
すなわち、入れ替え装置8は、収納容器20の搬出手段としてのコンベア80・80と、コンベア80を待避させるシリンダ81と、収納容器20を支持するチャック82と、収納容器20の昇降を行うリフタ83等とで構成されている。コンベア80・80は、ローラコンベアが用いられ、シリンダ81によって幅方向(搬送方向に直角な方向)に移動させて待避できるように構成され、収納容器20のガイドフレーム23を支持する状態(搬送状態)と、収納容器20に干渉しない位置まで待避される状態(待避状態)とに切り換えられる。また、このコンベア80・80は、収納容器20の搬送方向を切り換えることができるように構成される。
【0055】
また、入れ替え装置8には、待避装置9が接続され、この待避装置9は、収納容器20の搬入手段としての左右一対のコンベア90・90等とで構成され、入れ替え装置8から搬出された収納容器20を待避させつつ、再度入れ替え装置8に搬入するように構成されている。このコンベア90・90は、ローラコンベアが用いられ、入れ替え装置8のコンベア80・80と略同一平面に位置され、収納容器20のガイドフレーム23を支持して入れ替え装置8へと収納容器20を搬入出するように構成されている。
【0056】
本実施例の入れ替え装置8では、例えば、積層体100から任意の収納容器20を取り出して、この収納容器20を一旦待避装置9で待避させた後、入れ替え装置8に搬入されている収納容器20の最下段から順次再積層させるように構成することで、収納容器20の積層順を入れ替えるように構成される。すなわち、この入れ替え装置8では、チャック82及びリフタ83等が、上述した分離手段及び空間形成手段を兼ね、積層体100を上下に分離するスペースと、待避装置9分のスペースを確保すればよく、装置の省スペース化を図ることができる。なお、各チャック82及びリフタ83等の支持手段の構成については、上述した実施例の構成と略同じであるため、説明を省略する。
【0057】
なお、上述した第一実施例乃至第三実施例において、収納容器20を支持する支持手段としては、上述した構成に限定されず、例えば、チャック52・72・82において、チャック駆動部55・75・85がそれぞれ昇降自在に取り付けられてもよい。また、チャック52・72・82若しくはリフタ53・73・83のいずれかを用いずに、収納容器20を分離支持するように構成することも可能である。
【0058】
以上のような入れ替え装置4・8は、例えば、自動倉庫内に配設することで、省スペースで積層体100に収納された液晶ガラス2の収納順を入れ替えることができる。その際に、入れ替え装置4・8に積層体100を渡すことや、空間形成装置7から積層体100を取り出すことはコンベアではなく自動倉庫に設けられているスタッカクレーンで直接おこなってもよい。また、収納容器20を積層体100として積層させることで、収納容器20の保管及び搬送が容易であり、また、自動倉庫内の移載装置等を用いることで、入れ替え装置4から直接液晶ガラス2の収納順が入れ替えられた積層体100を搬出でき、自動倉庫のコンパクト化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施例に係る搬送システムの全体的な構成を示した平面図。
【図2】収納容器の斜視図。
【図3】積層体の斜視図。
【図4】第一実施例の入れ替え装置の平面図。
【図5】同じく第一実施例の入れ替え装置の斜視図。
【図6】第二実施例の入れ替え装置の斜視図。
【図7】第三実施例の入れ替え装置の平面図。
【図8】同じく第三実施例の入れ替え装置の斜視図。
【符号の説明】
【0060】
1 搬送システム
2 液晶ガラス(板状部材)
3 搬送経路
4、8 入れ替え装置
5 分離装置(分離手段)
6、9 待避装置(待避場所)
7 空間形成装置(空間形成手段)
20 収納容器
50、80 コンベア(搬出手段)
60、90 コンベア(搬入手段)
100 積層体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状部材を載置した収納容器が搬送される搬送システムにおいて、前記収納容器は、板状部材が一枚載置され、積層された状態で搬送され、積層された収納容器の積層順を入れ替える入れ替え装置が配設され、前記入れ替え装置は、積層された収納容器から目的の収納容器を分離する分離手段と、目的の収納容器を一時待避させる待避場所と、前記分離手段から前記待避場所へ目的の収納容器を搬出する搬出手段と、目的の収納容器を前記分離手段とは異なる積層順となるように目的の収納容器を搬入するための空間を形成する空間形成手段と、前記待避場所から前記空間形成手段へ搬入する搬入手段とを備えたことを特徴とする搬送システム。
【請求項2】
上記分離手段は、積層された収納容器を、目的の収納容器よりも上にある収納容器と下にある収納容器とに上下方向に分離して、目的の収納容器を搬出する際に干渉しない位置で支持する支持手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
上記空間形成手段は、積層された収納容器を、目的の積層位置よりも上にある収納容器と下にある収納容器とに上下方向に分離して、目的の収納容器を搬入する際に干渉しない位置で支持する支持手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の搬送システム。
【請求項4】
上記分離手段は、上記空間形成手段を兼ねることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−347753(P2006−347753A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−179541(P2005−179541)
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】