説明

搬送ロボット

【課題】シンプルな構造で複数の種類のワークを搬送することができる搬送ロボットを提供する。
【解決手段】三次元に移動可能な移動部11を備えた搬送ロボット1である。移動部11は、第1ワーク8を把持するための第1把持部3と第2ツール4を接続するための第1接続部23とを設けた第1ツールを有しする。第2ツール4は、第1接続部23に着脱可能に係合する第2接続部43を有すると共に、第2ワーク9を把持するための第2把持部5を有する。第1接続部23と第2接続部43は鉛直方向に互いに嵌合することにより水平方向の位置決めを行う位置決め部24、44を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産ライン等でワークを搬送するために用いられる搬送ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
搬送ロボットは、従来から工場の生産ライン等においてワークを移動させるために用いられている。
例えば、生産ラインにおいて、パレットに積載されたワークの搬送を行う際には、上記搬送ロボットのアーム先端に設けた吊下げ部を有するツールにより、ワークに設けられた吊下げフックを吊り上げ、搬送を行う。そして、上記パレット上のワークを搬送した後に空となったパレットを移動する必要がある。このとき、上記アームからワークの搬送に用いたツールを取り外し、パレット搬送用ツールに交換することによって、パレットの移送作業を行うことで生産ラインの合理化を図ることができる。
このように、一台の搬送ロボットのツールを交換することにより、一台の搬送ロボットによりワークやパレットなど異なるものを搬送する方法が従来から知られている。
【0003】
上記のツール交換の方法としては、上記搬送ロボットおよびツールにアダプタを設け、ツールチェンジャーによって、ツールを交換する方法が知られている(特許文献1参照)。
また、その他の方法としては、一つのツールに対して主目的の作業を行うメインツールと、その他の作業を行うサブツールを設ける方法がある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−207675号公報
【特許文献2】特開平9−142662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の方法には、以下の問題点がある。
ツールチェンジャーを用いる方法においては、ロボットおよびツールにアダプタを設ける必要があり、ツールの構造が複雑となる。また、ツールを駆動させるアクチュエータや、ワーク等を検知するセンサー類を設けた場合には、配管、配線の接続構造を設ける必要がある。そのため、更に構造が複雑となり、ツール交換の作業効率が悪化する場合がある。
【0006】
また、一つのツールにメインツールとサブツールを設ける方法においては、メインツールの機能性を害さないように、サブツールを設ける必要がある。そのため、サブツールの配設位置や大きさが制限され、機能的に不十分となる場合や、機能性を満たすために構造が複雑となる場合がある。
したがって、これらの問題を発生することなく、一台の搬送ロボットにおいて複数の種類のワークを搬送することが強く望まれている。
【0007】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、シンプルな構造で複数の種類のワークを搬送することができる搬送ロボットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、三次元に移動可能な移動部を備えた搬送ロボットにおいて、
上記移動部は、第1ワークを把持するための第1把持部と第2ツールを接続するための第1接続部とを設けた第1ツールを有しており、
上記第2ツールは、上記第1接続部に着脱可能に係合する第2接続部を有すると共に、第2ワークを把持するための第2把持部を有しており、
上記第1接続部と上記第2接続部は鉛直方向に互いに嵌合することにより水平方向の位置決めを行う位置決め部を有していることを特徴とする搬送ロボットにある。
【発明の効果】
【0009】
次に本発明の作用効果を説明する。
本発明の搬送ロボットにおいては、第1ワークを把持するための第1把持部と第2ツールを接続するための第1接続部とを設けた第1ツールを有している。また、上記第2ツールは、上記第1接続部に着脱可能に係合する第2接続部を有すると共に、第2ワークを把持するための第2把持部を有している。
【0010】
そのため、上記第1ツールに上記第2ツールを接続することなく、第1ツールをそのまま使用する場合には、上記第1ワークを上記第1ツールの上記第1把持部によって把持することができる。また、上記第1ツールに設けた上記第1接続部に、上記第2接続部を係合し上記第2ツールを接続した場合には、上記第2ワークを上記第2ツールに設けた上記第2把持部によって把持することができる。すなわち、上記移動部から上記第1ツールを取り外すことなく、上記第2ツールを係合することによって異なるワークの搬送を行うことができる。それゆえ、ツールチェンジャーを用いてツールを交換する場合に比べ、段取り替えの時間を大幅に短縮することができ、生産工程の効率向上を図ることができる。
【0011】
また、上記第1ツールと上記第2ツールとは、上記第1接続部に対して上記第2接続部を上記のごとく互いに嵌合することによって接続することができる。そのため、上記第1接続部と上記第2接続部の構造をシンプルにすることができ、かつ上記第2ツールの着脱を、短時間で容易に行うことができる。それゆえ、さらなる生産工程の効率向上を図ることができる。
【0012】
本発明によれば、シンプルな構造で複数の種類のワークを搬送することができる搬送ロボットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1における搬送ロボットを示す説明図。
【図2】実施例1における第1ツールを示す正面視図。
【図3】実施例1における第1ツールを示す右側面視図。
【図4】実施例1における第1ツールを示す上面視図。
【図5】実施例1における第1ツールの係合部を示す説明図。
【図6】実施例1における第1ツールの接続部の(a)上面視を示す説明図、(b)A−A線矢視断面を示す説明図。
【図7】実施例1における第2ツールを示す正面視図。
【図8】実施例1における第2ツールを示す右側面視図。
【図9】実施例1における第2ツールを示す上面視図。
【図10】実施例1における第2ツールの接続部の(a)下面視を示す説明図、(b)B−B線矢視断面を示す説明図。
【図11】実施例1における第1接続部と第2接続部の(a)結合前を示す説明図、(b)結合後を示す説明図。
【図12】実施例1における第1ツールと第2ツールの結合状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明において、上記搬送ロボットとしては、例えば、三次元に移動するアーム部分を備えると共に、その全体が所定の方向に移動するような走行部分を備えたものなど、公知の種々の形態の搬送装置を適用できる。少なくともワークをハンドリングするために三次元に移動可能な移動部を備えていればよい。
【0015】
また、上記第1ツールに把持させる第1ワークとしては、例えば、エンジン等の自動車部品をはじめ、種々のワークを適用させることができる。
また、上記第1ツールは、被搬送物である第1ワークの形態に合わせて、種々の形態をとることができる。例えば、門型、フォーク型、その他種々の形態がある。いずれの形態であっても、上記第1接続部および上記第1把持部を備える必要がある。
【0016】
また、上記第2ツールに把持させる第2ワークとしては、例えば、上記自動車用部品を積載するパレットをはじめ、種々のワークを適用させることができる。
また、上記第2ツールは、被搬送物である第2ワークの形態に合わせて、種々の形態をとることができる。例えば、門型、フォーク型、その他種々の形態がある。いずれの形態であっても、上記第2接続部および上記第2把持部を備える必要がある。
【0017】
本発明の上記搬送ロボットにおいて、上記第1接続部と上記第2接続部とは、少なくとも一方が水平方向に突出した形状を呈していると共に、鉛直方向において対面し当接しうる対向面部を互いに有しており、該対向面部に上記位置決め部を設けてあること好ましい(請求項2)。
この場合、上記第1接続部と上記第2接続部とにおける上記対向面同士を鉛直方向において接近させることにより、上記対向面部に設けた上記位置決め部が機能する。そのため、上記第1接続部と上記第2接続部との位置決めを容易に行うことができる。
【0018】
また、上記搬送ロボットにおいて、上記第1接続部と上記第2接続部における一方の上記対向面部には、他方の上記対向面部を対向させた際にその両側端に対面するガイド壁が設けられており、一方の上記対向面部を相対的に移動させて上記ガイド壁の内部に配置し、その後、上記第1接続部の上記対向面部を相対的に上昇させることによって、上記位置決め部を鉛直方向に嵌合しうるよう構成されていることが好ましい(請求項3)。
【0019】
この場合、上記ガイド壁に沿って上記対向面部を移動させるため、上記ガイド壁の内部に一方の上記対向面部を配置することにより、上記第1接続部と上記第2接続部の水平方向の相対的な位置が決まる。したがって、位置決めをより容易に行うことができる。また、上記第1接続部の上記対向面部を相対的に上昇させ、上記第1接続部と上記第2接続部とを接近係合させることにより、上記位置決め部を鉛直方向に嵌合することができる。それゆえ、上記第1接続部と上記第2接続部の位置決めをより容易に、かつ確実に行うことができる。
【0020】
また、上記搬送ロボットにおいて、上記位置決め部は、上記第1接続部と上記第2接続部の一方に設けた断面が略V字の凹形状を有する凹溝部と、他方に設けた断面が略山型の凸形状を有する凸状突起部とからなることが好ましい(請求項4)。
この場合、上記第1接続部に設けた位置決め部と上記第2接続部に設けた位置決め部とが嵌合する際に、上記凹溝部と上記凸状突起部とが噛み合うことにより位置決めされる。そのため、確実に位置決めを行うことができ、嵌合後の位置ずれを防止することができる。また、上記凹溝部の断面形状を略V字形状とし、上記凸状突起部の断面形状を略山形状として斜面を設けてある。そのため、上記凹溝部と上記凸状突起部の嵌合をより確実に行うことができる。
【0021】
また、上記凹溝部および上記凸状突起部が嵌合状態において互いにスライドしうる形態、例えば直線レール状の場合には、その配設方向が2方向以上の方向性を有するように設定することが好ましい。つまり、上記凹溝部および上記凸状突起部の配列が、複数の直線により表される場合には、これが平行でなく、異なる方向に向いた2以上の直線の組み合わせとすることが好ましい。
【0022】
これにより、上記凹溝部と上記凸状突起部とを嵌合させた状態で、上記凹溝部の底部と上記凸状突起部の頂点部に沿ってスライドすることを確実に防止することができ、嵌合後のズレをより確実に防止することができる。具体的には、上記位置決め部の嵌合部を上方から透視した場合の形態が、例えば、V字型、十字型、H字型、コ字型、口字型等などを形成する形態であることが好ましい。
【実施例】
【0023】
(実施例1)
本発明にかかる搬送ロボット1について、図1〜図12を用いて説明する。
本例の搬送ロボット1は、図1に示すごとく、三次元に移動可能な移動部11を備えており、移動部11は、第1ワーク8を把持するための第1把持部3と第2ツール4を接続するための第1接続部23とを設けた第1ツール2を有している。第2ツール4は、第1接続部23に着脱可能に係合する第2接続部43を有すると共に、第2ワーク9を把持するための第2把持部5を有している。また、第1接続部23と第2接続部43は、鉛直方向に互いに嵌合することにより水平方向の位置決めを行う位置決め部24、44を有している。
【0024】
また、位置決め部24は、図6に示すごとく、第1接続部23の上面に設けてあり、断面が略山形状の溝を形成した凸状突起部241からなる。また位置決め部44は、図10に示すごとく、第2接続部43の下面に設けてあり、断面が略V形状の凹溝部441からなる。
また、第1ワーク8は2つのフック81、82を有する自動車用エンジンであり、上記第1把持部3は、フック81、82と係合可能な吊下げ部31、33からなる。また、第2ワーク9は第1ワーク8を積載したパレットであり、上記第2把持部5は、パレットを載置する2本のフォーク部42からなる。
【0025】
以下詳説する。
搬送ロボット1は、図1に示すごとく、アーム形状を有する移動部11と、移動部11の一端に配設されたリンク部14と、リンク部14の基端側に配設された駆動部15を有している。移動部11は、リンク部14と結合したアーム部12と、アーム部12の先端側に結合した手首部13を有しており、手首部13には、ジョイント部16を介して第1ツール2を配設してある。
【0026】
また、搬送ロボット1は、移動部11、リンク部14、駆動部15の各部に合計6つの回転軸J1〜J6を有しており、駆動部14に設けた電動アクチュエータ(図示略)を駆動源とし、移動部11を三次元に移動させることができる。
搬送ロボット1は、駆動部15の底部に搬送スライダー17を設けてあり、床面に配設された搬送レール18上に搬送スライダー17を介して移動可能に配設されている。搬送ロボット1は、搬送スライダー17に設けた電動アクチュエータ(図示略)を駆動源として、搬送レール16上を移動しワークを搬送することができる。
【0027】
第1ツール2は、図2〜図4に示すごとく、ジョイント部16と結合したベース部21と、ベース部21の長手方向(水平方向)と直交するよう、その下面に設けたレール部25、26とを有する。また、レール部25、26は、その下面にレールを有し、該レール上を移動可能に配設された可動ユニット27を有している。また、ベース部21は、その側面に2つの吊下げ部31、32を設けてあり、可動ユニット27の下面には、3つの吊下げ部33〜35が設けてある。
【0028】
吊下げ部31は、図5に示すごとく、いずれも第1ワーク8に設けたフック81を挿入可能な間隙を介して対峙するよう垂下した一対の支柱部36と、この支柱部36の下端部において水平方向に架け渡された架設部37を有してなる。尚、他の吊下げ部32〜35についても吊り部31と同様の構造を有している。また、フック81、82の先端部は、吊下げ部31〜35の架設部37と係合可能な湾曲形状を有している。
【0029】
図2〜図4に示すごとく、可動ユニット27は、レール部25に設けた電動アクチュエータ28を駆動源として上記レール上を移動することができる。可動ユニット27を移動することにより、ベース部21に設けた吊下げ部31、32と、可動ユニット27に設けた吊下げ部33〜35との間隔を調整し、第1ワーク8に設けたフック81、82への引掛け作業性の向上および異なる大きさのワークへの対応を行うことができる。
本例では、可動ユニットの駆動源として電動アクチュエータを用いたが、液圧アクチュエータ、空気圧アクチュエータ等を用いることも可能である。
【0030】
また、図2に示すごとく、ジョイント部16の下側の位置には、第2ツール4を接続するための第1接続部23が設けてある。また、第1接続部23の両側端には、ガイド壁231を有し、開口部を形成している。第1接続部23が第2接続部43に対向しうる対向面部である上面には、図6に示すごとく、断面が略山形状からなる5つの凸状突起部241を略H形状に配設した位置決め部24を設けてある。また、第1ツール2が有するジョイント部16の下側の位置において、第2接続部を接続した際に第2接続部の上面と対向する部位には、第1接続部23と係合した第2接続部43の外れを防止するための当て部29を設けてある。
【0031】
本例の第2ツール4は、図7〜図9に示すごとく、本体部41の上部に第1接続部23と係合させるための第2接続部43を有している。本体部41は上下方向に延びる縦片部411と、該縦片部411の下端において左右方向に延びる、横片部412とを連ねて略逆T字形状を呈している。本体部41の下部の横片部412の両端には、前方に略平行に延びる2本のフォーク部42を設けてある。第2接続部43は、水平方向に延びた板状形状を呈し、接続部23に対向しうる対向面部である下面には、図10に示すごとく、略V字形状からなる5つの凹溝部441を略H形状に配設した位置決め部44を設けてある。
【0032】
本例において、搬送ロボット1を用いて第1ワーク8および第2ワーク9を搬送する方法を説明する。
第1ツール2を用いて第1ワーク8を搬送する際には、第1ツール2に設けたカメラ(図示略)を用いて、搬送起点に載置された第1ワーク8が有する2つのフック81、82の位置を認識する。移動部11は、第1ツールに設けた吊下げ部31、33とフック81、82とを係合するために、吊下げ部31、33とフック81、82の水平方向位置を合わせつつ、第1ワーク8の上方へと第1ツール2を移動する。このとき、可動ユニット23を移動することにより、吊下げ部31、33の間の距離をフック81、82の間の距離よりも広くしてある。
【0033】
移動部11は、吊下げ部31が下方となるように第1ツール2を傾斜させ、吊下げ部31とフック81とを係合することができる高さまで第1ツール2を下降させる。そして、移動部11は、第1ツール2を横方向に移動し、吊下げ部31をフック81の湾曲部の下方へと移動する。次に、移動部11は、第1ツール2を略水平とし、吊下げ部33をフック82に係合することができる高さへと移動させる。
【0034】
可動ユニット27を移動させ、吊下げ部31、33の間の距離とフック81、82の間の距離とを同一とし、吊下げ部33をフック82の湾曲部の下方へと移動する。そして、移動部11は、第1ワーク8を上昇させることにより、吊下げ部31、33とフック81、82とを係合させ、さらに上昇することにより第1ワーク8を吊下げ、搬送を行う。
尚、第1ワーク8を搬送終点に載置する際には、上記とは逆手順の動作を行うことにより、吊下げ部31、32とフック81、82の係合を解除することができる。
【0035】
次に、第2ツール4を用いて第2ワーク9を搬送するために、第1ツール2と第2ツール4の結合を行う。第2ツール4は、上記搬送起点に設けられた第2ツール載置台上に載置された状態にある。搬送ロボット1は、第1ツール2に設けたカメラ(図示略)を用いて、第2ツール4が有する第2接続部43の位置を検知する。移動部11は、第1ツール2を第2ツール4の前方へ移動し、第1接続部23の開口部と第2接続部43の先端部を対向させる。そして、第1ツール2を第2ツール4に向け移動し、第1接続部23の開口部に第2接続部を挿入する。
【0036】
そして、移動部11は、第1ツール2を鉛直方向において上昇させ第1接続部23と第2接続部43を係合させる。このとき、図11に示すごとく、第1接続部23の対向面に設けた位置決め部24と第2接続部43の対向面に設けた位置決め部44とを鉛直方向に嵌合させることにより位置決めを行い、第1ツール2と第2ツール4の結合を行う。結合後においては、第2接続部を第1接続部に押し付ける方向に第2ツール4の自重がかかる共に、第1ツール2に当て部29を設けたことにより、第2ツール4が意図せずに外れることを防止してある。
尚、上記とは逆手順を行うことで、第1ツール2と第2ツール4の結合を解除することができる。
【0037】
第1ツール2に結合した第2ツール4により、第2ワーク9(パレット)を搬送する際には、図12に示すように、第2ツール4が有するフォーク部42を、第2ワーク9が有する差し込み口に挿通させ、移動部11により第2ツール4を上昇させることにより、フォーク部42に載置し搬送を行う。
【0038】
本例の作用効果について説明する。
本例の搬送ロボット1においては、第1ワーク8を吊下げるための吊下げ部31〜35と第2ツール4を接続するための第1接続部23を設けた第1ツール2を有している。また、第2ツール4は、第1接続部23に着脱可能に係合する第2接続部43を有すると共に、第2ワーク9を載置するためのフォーク部42を有している。
【0039】
そのため、第1ツール2に第2ツール4を接続することなく、第1ツール2をそのまま使用する場合には、第1ワーク8を第1ツール2の吊下げ部31〜35のいずれか2箇所によって、把持することができる。また、図12に示すごとく、第1ツール2に設けた第1接続部23に、第2接続部43を係合し第2ツール4を接続した場合には、第2ワーク9を第2ツール4に設けたフォーク部42によって把持することができる。すなわち、移動部11から第1ツール2を取り外すことなく、第2ツール4を係合することによって異なるワークの搬送を行うことができる。それゆえ、ツールチェンジャーを用いてツールを交換する場合に比べ、段取り替えの時間を大幅に短縮することができ、生産工程の効率向上を図ることができる。
【0040】
また、第1ツール2と第2ツール4とは、第1接続部23に対して第2接続部43を上記のごとく互いに嵌合することによって接続することができる。そのため、第1接続部23と第2接続部43の構造をシンプルにすることができ、かつ第2ツール4の着脱を、短時間で容易に行うことができる。それゆえ、さらなる生産工程の効率向上を図ることができる。
【0041】
また、第1接続部23と第2接続部43とは、少なくとも一方が水平方向に突出した形状を呈していると共に、鉛直方向において対面し当接しうる対向面部を互いに有しており、該対向面部に位置決め部24、44を設けてある。
そのため、第1接続部23と第2接続部44とを接続することにより、上記対向面部に設けた位置決め部24、44が機能する。それゆえ、第1接続部23と第2接続部43との位置決めを容易に行うことができる。
【0042】
また、第1接続部23と第2接続部43における一方の上記対向面部には、他方の上記対向面部を対向させた際にその両側端に対面するガイド壁231が設けられており、第2接続部43の上記対向面部を相対的に移動させてガイド壁231の内部に配置し、その後、第1接続部23の上記対向面部を相対的に上昇させることによって、位置決め部24、44を鉛直方向に嵌合しうるよう構成されている。
【0043】
そのため、上記ガイド壁に沿って上記対向面部を移動させるため、ガイド壁231の内部に第2接続部43を配置することにより、第1接続部23と第2接続部43の相対的な位置が決まる。したがって、位置決めをより容易に行うことができる。また、第1接続部23を相対的に上昇させ、第2接続部43と係合することにより、位置決め部24、44を鉛直方向に嵌合することができる。それゆえ、第1接続部23と第2接続部43の位置決めをより容易に、かつ確実に行うことができる。
【0044】
また、位置決め部24、44は、第2接続部43に設けた断面が略V字の凹形状を有する凹溝部と、第1接続部23に設けた断面が略山型の凸形状を有する凸状突起部とからなる。
そのため、位置決め部24と位置決め部44とが嵌合する際に、凹溝部441と凸状突起部241とが噛み合うことにより位置決めされる。そのため、確実に位置決めを行うことができ、嵌合後の位置ずれを防止することができる。また、凹溝部441の断面形状を略V字形状とし、凸状突起部241の断面形状を略山形状として斜面を設けてある。そのため、凹溝部441と凸状突起部241の嵌合をより確実に行うことができる。
【0045】
また、位置決め部24、44を略H形状に配置してある。そのため、凹溝部441と凸状突起部241とを嵌合させた状態で、凹溝部441の底部と凸状突起部241の頂点部に沿ってスライドすることを確実に防止することができ、嵌合後のズレをより確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 搬送ロボット
11 移動部
2 第1ツール
23 第1接続部
24 位置決め部
3 第1把持部
31〜35 吊下げ部
4 第2ツール
42 フォーク部
43 第2接続部
44 位置決め部
5 第2把持部
8 第1ワーク
81、82 フック
9 第2ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元に移動可能な移動部を備えた搬送ロボットにおいて、
上記移動部は、第1ワークを把持するための第1把持部と第2ツールを接続するための第1接続部とを設けた第1ツールを有しており、
上記第2ツールは、上記第1接続部に着脱可能に係合する第2接続部を有すると共に、第2ワークを把持するための第2把持部を有しており、
上記第1接続部と上記第2接続部は鉛直方向に互いに嵌合することにより水平方向の位置決めを行う位置決め部を有していることを特徴とする搬送ロボット。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送ロボットにおいて、上記第1接続部と上記第2接続部とは、少なくとも一方が水平方向に突出した形状を呈していると共に、鉛直方向において対面しうる対向面部を互いに有しており、該対向面部に上記位置決め部を設けてあることを特徴とする搬送ロボット。
【請求項3】
請求項2に記載の搬送ロボットにおいて、上記第1接続部と上記第2接続部における一方の上記対向面部には、他方の上記対向面部を対向させた際にその両側端に対面するガイド壁が設けられており、一方の上記対向面部を相対的に移動させて上記ガイド壁の内部に配置し、その後、上記第1接続部の上記対向面部を相対的に上昇させることによって、上記位置決め部を鉛直方向に嵌合しうるよう構成されていることを特徴とする搬送ロボット。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の搬送ロボットにおいて、上記位置決め部は、上記第1接続部と上記第2接続部の一方に設けた断面が略V字の凹形状を有する凹溝部と、他方に設けた断面が略山型の凸形状を有する凸状突起部とからなることを特徴とする搬送ロボット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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