説明

搬送装置およびその制御方法

【課題】設置が容易であり、稼働エネルギ効率の改善を図れる搬送装置を提供する。
【解決手段】空気とともに切粉Aを吸引するブロアファン58に、空気中から切粉Aを分離回収する切粉分離回収装置30を接続する。この切粉分離回収装置30を介して、切粉Aの搬送流路となる主管路21を接続し、この主管路21に複数の支流管路11を並列接続する。各支流管路11に、各支流管路を開閉する複数のゲート弁17を設ける。各支流管路11の先端に、切粉Aを吸込む複数の切粉吸込口5を開口させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送物が供給される複数の搬送物吸込口を備えた搬送装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動工作機械から排出される切屑を回収する切屑回収手段としては、この自動工作機械に取付けられているコンベヤを用いて、この自動工作機械から発生する切屑を外部へと搬出させて、この切屑を自動工作機械の近くに設置されている運搬用のチップバスケットへと搬送して回収させている構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
そして、これら自動工作機械を複数台用いている工場などでは、これら自動工作機械のそれぞれに設置されているチップバスケットにて回収された切屑が所定量以上となった場合に、このチップバスケットを手作業で最終収集場所まで運搬して排出させている。このため、これら自動工作機械の設置台数が多くなると、チップバスケットの運搬に手間が掛かり、労力を要してしまう。
【0004】
そこで、これら自動工作機械から排出される切屑を回収する方法としては、パイプ内に複数枚のプレートが等間隔に取付けられたチェーンを通し、このチェーンを移動させることによって、このパイプ内へと搬送された切屑を下流側の回収タンクへと搬送して回収させるパイプコンベヤが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2003−25182号公報
【特許文献2】特開平11−301830号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のようにパイプコンベヤを用いて複数の自動工作機械のそれぞれから排出される切屑を回収する場合には、このパイプコンベヤに用いられているパイプ内にプレートが取付けられているチェーンを通さなければならない関係から、このパイプをある程度太くせざるを得ない。このため、このある程度太いパイプを複数の自動工作機械それぞれの周囲に配管しなければならないから、このパイプを配管するスペースが必要となり、自動工作機械の位置関係に制限が多くなるので、このパイプコンベヤの設置が容易ではないという問題を有している。
【0006】
また、パイプコンベヤは、パイプ内のチェーン全体を移送駆動する必要があり、負荷を分担できないので、最大負荷に対応できる大型の駆動モータを必要とするなど、稼働エネルギ効率に改善すべき点がある。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、設置が容易であるとともに稼働エネルギ効率の改善を図れる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、空気とともに搬送物を吸引する吸引手段と、吸引手段に接続され空気中から搬送物を分離回収する搬送物分離回収手段と、搬送物分離回収手段に接続され搬送物の搬送流路となる主管路と、主管路に並列接続された複数の支流管路と、各支流管路に設けられて各支流管路を開閉する複数の管路開閉手段と、各支流管路の先端に開口されて搬送物を吸込む複数の搬送物吸込口とを具備した搬送装置である。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の搬送装置における搬送物分離回収手段が、タンク本体と、タンク本体の内部で搬送物を空気から分離して内部に堆積させるフィルタ機構と、タンク本体の内部に堆積した搬送物を外部へ排出するためのシャッタ機構とを具備したものである。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の搬送装置における支流管路が、主管路よりも細く形成され、主管路に対する支流管路の接合部分は、主管路の下流側に対して鈍角の接合角で接合されたものである。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3いずれか記載の搬送装置における支流管路が、上流側にて屈曲形状に形成された屈曲部を具備したものである。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4いずれか記載の搬送装置において、搬送物吸込口に対して搬送物を供給する搬送物供給手段を具備したものである。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5いずれか記載の搬送装置において、主管路の搬送物分離回収手段への接続端と反対側の端部に設けられて主管路内の流量を調整する流量調整手段を具備したものである。
【0014】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6いずれか記載の搬送装置における管路開閉手段が、弁本体と、弁本体に対し摺動自在に設けられて支流管路を開閉する開閉弁体と、弁本体と開閉弁体との摺動間隙に圧搾空気を供給して摺動間隙内に侵入した搬送物を摺動間隙内から排除するエアパージ機構とを具備したものである。
【0015】
請求項8記載の発明は、請求項5乃至7いずれか記載の搬送装置において、吸引手段、搬送物分離回収手段、管路開閉手段および搬送物供給手段を制御し、これらの動作状態および異常時の状態の少なくとも一方を表示し警告する制御装置を具備したものである。
【0016】
請求項9記載の発明は、請求項1乃至8いずれか記載の搬送装置を制御する制御方法であって、吸引手段を駆動するときに、複数の管路開閉手段のいずれか一つを開放させる搬送装置の制御方法である。
【0017】
請求項10記載の発明は、請求項9記載の搬送装置の制御方法における管路開閉手段の開放が、搬送物の発生および堆積の少なくとも一方が確認された地点と対応する支流管路のみに適用される搬送装置の制御方法である。
【0018】
請求項11記載の発明は、請求項9または10記載の搬送装置の制御方法において、請求項7記載のエアパージ機構を備えた搬送装置の制御方法であって、管路開閉手段の開閉弁体を開放動作する一定時間前にエアパージを開始し、管路開閉手段の開閉弁体を閉鎖動作する一定時間後にエアパージを終了する搬送装置の制御方法である。
【0019】
請求項12記載の発明は、請求項9乃至11いずれか記載の搬送装置の制御方法において、管路開閉手段の開放完了および閉鎖完了を確認し、開放完了を確認できなかった場合は管路開閉手段を閉鎖してから開放する動作を繰返し、閉鎖完了を確認できなかった場合は管路開閉手段を開放してから閉鎖する動作を繰返す搬送装置の制御方法である。
【0020】
請求項13記載の発明は、請求項9乃至12いずれか記載の搬送装置の制御方法において、吸引手段が停止してから一定時間経過後に、搬送物分離回収手段の下部を開放して、搬送物分離回収手段内の搬送物を外部へ排出する搬送装置の制御方法である。
【0021】
請求項14記載の発明は、請求項9乃至12いずれか記載の搬送装置の制御方法において、搬送物分離回収手段の内部に堆積された搬送物の堆積量を測定し、堆積量が所定値以上になったときに、吸引手段が停止していることを条件として、搬送物分離回収手段の下部を開放して、搬送物を外部へ排出する搬送装置の制御方法である。
【0022】
請求項15記載の発明は、請求項9乃至14いずれか記載の搬送装置の制御方法において、搬送物吸込口に搬送物を供給する搬送物供給手段の稼働と同期して、吸引手段を駆動するとともに、管路開閉手段を開放させる搬送装置の制御方法である。
【0023】
請求項16記載の発明は、請求項9乃至15いずれか記載の搬送装置の制御方法における各手段の動作が、その終了時点で正常に終了していることを確認し、正常に終了していない場合は、運転を停止するとともに、異常内容を表示する搬送装置の制御方法である。
【0024】
請求項17記載の発明は、請求項9乃至16いずれか記載の搬送装置の制御方法において、複数の機械装置から排出された搬送物を、各機械装置に対応して設置された複数の搬送物吸込口のいずれかを経て回収する搬送装置の制御方法である。
【発明の効果】
【0025】
請求項1記載の発明によれば、吸引手段から搬送物分離回収手段を経て主管路に及ぼされる吸引力を、この主管路に並列接続された複数の支流管路の各管路開閉手段により選択して、それぞれの搬送物吸込口に作用させるので、複数の搬送物吸込口から一つの搬送物分離回収手段に搬送物を確実に回収できる搬送装置を、配管により容易に設置できるとともに、吸引手段の吸引負荷を複数の管路開閉手段により、必要とする搬送物吸込口に振分けるので、吸引手段の稼働エネルギ効率を改善できる。
【0026】
請求項2記載の発明によれば、搬送物分離回収手段では、フィルタ機構により空気から分離された搬送物をタンク本体の内部に堆積させて、シャッタ機構により一度に取出すので、搬送物を効率良く回収できる。
【0027】
請求項3記載の発明によれば、主管路よりも細い支流管路を接続したので、支流管路内にはエジェクタ効果による吸込圧力が発生し、この吸込圧力により支流管路内の搬送物を確実に搬送できる。さらに、主管路の下流側に対して各支流管路が鈍角となるように接続させたので、これら支流管路から主管路への吸込風の流れが円滑となるとともに、この吸込風とともに搬送物が円滑に支流管路から主管路へと流れるので、搬送物をより効率良く搬送できる。
【0028】
請求項4記載の発明によれば、上流側の屈曲部に、搬送物中に混入した工具、材料などの長尺物が引掛かるので、この長尺物が下流側のコンポーネントを損傷するおそれを防止できる。
【0029】
請求項5記載の発明によれば、搬送物供給手段の稼働時間などにより搬送物吸込口への搬送物供給量を制御できる。
【0030】
請求項6記載の発明によれば、主管路の最上流側の端部に位置する流量調整手段により、主管路および支流管路内で真空度が必要以上に上昇することを防止でき、搬送物の搬送および分離回収に最適な流量を確保できる。
【0031】
請求項7記載の発明によれば、弁本体と開閉弁体との摺動間隙への搬送物の噛込を圧搾空気の排除圧により解消または防止できるとともに、エアベアリング作用により開閉弁体を円滑に作動させることができる。
【0032】
請求項8記載の発明によれば、制御装置により、吸引手段、搬送物分離回収手段、管路開閉手段および搬送物供給手段を自動的に制御できるとともに、これらの各手段の動作状態などを監視するので、省力化を図れるとともに、信頼性が得られる。
【0033】
請求項9記載の発明によれば、管路開閉手段のいずれか一つの開放と吸引手段の駆動とを同期させることで、吸引手段が無駄な駆動エネルギを消費することを防止できる。
【0034】
請求項10記載の発明によれば、搬送物の発生および堆積の少なくとも一方が確認された地点と対応する支流管路のみの管路開閉手段を開放するので、吸引流量が少流量で済み、搬送物を確実に搬送可能な吸引力を確保でき、搬送物を確実に回収できるとともに、吸引手段の容量を小型にできる。
【0035】
請求項11記載の発明によれば、管路開閉手段の開閉弁体を開放動作する間だけでなく、その前後一定時間もエアパージをすることで、開閉弁体の摺動間隙への搬送物の噛込を防止するエアパージ効果を確実なものにできる。
【0036】
請求項12記載の発明によれば、管路開閉手段の開放動作および閉鎖動作を反対動作させてから繰返すことにより、搬送物の噛込などによる管路開閉手段の作動不良を解消できるとともに、管路開閉手段の開放完了および閉鎖完了を確認することで、管路開閉手段が動作不十分なまま次ステップに進むことを防止できる。
【0037】
請求項13記載の発明によれば、吸引手段の停止から一定時間経過後に搬送物分離回収手段の下部を開放するので、一定時間経過する間に搬送物分離回収手段内で沈静化した搬送物を、開放された下部より外部へ排出でき、搬送物分離回収手段の内部から搬送物が外部に飛散することを防止できる。
【0038】
請求項14記載の発明によれば、搬送物分離回収手段内の搬送物の堆積量が所定値以上になったときに、吸引手段の停止を条件に、搬送物分離回収手段の下部を開放して、搬送物を外部へ排出するので、所定量の搬送物が堆積してから、それをまとめて効率良く排出処理できる。
【0039】
請求項15記載の発明によれば、搬送物供給手段から搬送物吸込口に搬送物を供給したときのみ、吸引手段および管路開閉手段を同期作動させるので、搬送物吸込口に搬送物が供給されたときは、その搬送物を直ちに回収でき、搬送物による搬送物吸込口の詰まりを防止できるとともに、搬送物吸込口に搬送物が供給されないときは無駄な運転を停止して、省エネ運転を図れる。
【0040】
請求項16記載の発明によれば、動作の正常な終了を確認できない場合は運転を停止するとともに、異常内容を表示するので、搬送装置の異常な運転を防止できるとともに、表示された異常内容から保守点検を容易にできる。
【0041】
請求項17記載の発明によれば、複数の機械装置から排出された搬送物を、各機械装置に対応して設置された複数の搬送物吸込口のいずれかを経て一つの搬送物分離回収手段に確実に回収できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明に係る搬送装置の第1の実施の形態を図1および図2を参照しながら、本発明に係る搬送装置の制御方法の一実施の形態を図3および図4を参照しながら、本発明に係る搬送装置の制御方法の他の実施の形態を図5を参照しながら、本発明に係る搬送装置の第2の実施の形態を図6を参照しながら、それぞれ詳細に説明する。
【0043】
図1は、本発明に係る搬送装置1の第1の実施の形態を示す説明構成図を示し、この搬送装置1は、バキューム方式を利用した空気搬送システムである、そして、この搬送装置1は、空気の吸い込み力を利用して複数台、例えば7台の機械装置としての自動工作機械2a,2b,……,2gから排出された搬送物としての金属屑である切粉Aを搬送して回収させる空気搬送装置である。ここで、これら自動工作機械2a,2b,……,2gとしては、例えば鋳物などの材料を切削加工して製品とする切削ユニットなどである。さらに、これら自動工作機械2a,2b,……,2gは、図示しない工場内に点在されて設置されており、これら自動工作機械2a,2b,……,2gのそれぞれが、独立して駆動可能に構成されている。
【0044】
また、これら自動工作機械2a,2b,……,2gそれぞれには、これら自動工作機械2a,2b,……,2gの稼働による切削加工によって排出される切粉Aを搬送する搬送物供給手段としての切粉運搬コンベヤであるチップコンベヤ3が取付けられている。すなわち、これらチップコンベヤ3は、これらチップコンベヤ3の搬送上流側を、自動工作機械2a,2b,……,2gから切粉Aが排出される排出地点の下方に設置させた状態で取付けられたスクリュコンベヤである。さらに、これらチップコンベヤ3の搬送下流側には、これらチップコンベヤ3にて搬送された切粉Aが搬送されるシュート体4がそれぞれ取付けられている。これらシュート体4は、直線状の軸方向を有する円筒状であるとともに、上方に向けて同心状に拡開したテーパ状、すなわち漏斗状に形成されている。すなわち、これらシュート体4は、自動工作機械から排出される切粉を搬送させるものである。
【0045】
そして、これらシュート体4の軸方向の一端側である上端側には、チップコンベヤ3にて搬送された切粉Aが自由落下にて供給される搬送物吸込口としての切粉吸込口5が開口している。これら切粉吸込口5は、上方に向けて開口し、チップコンベヤ3より下方であって、このチップコンベヤ3の搬送下流端に対向する位置に設置されている。すなわち、これら切粉吸込口5は、チップコンベヤ3にて搬送され、このチップコンベヤ3の搬送下流端より下方へと自由落下する切粉Aが確実に入り込む位置に取付けられている。さらに、各シュート体4の軸方向の下端側には、これら各シュート体4の切粉吸込口5へと搬送された切粉が通過する通過口としての接続口6が開口されている。これら接続口6は、下方に向けて開口しており、各シュート体4へと搬送された切粉Aが、自重にて接続口6より下方に排出されるように構成されている。
【0046】
さらに、これら各シュート体4の接続口6には、吸入路である細長円筒状の支流管路11の上流端がそれぞれ気密に連通接続されている。これら支流管路11は、シュート体4の接続口6の開口寸法に略等しい外径寸法を有する細長円筒状の分岐管としてのパイプ体であって、これらシュート体4へと搬送された切粉Aを搬送させる搬送路である。そして、これら支流管路11の軸方向の一端側である上流端部には、略U字状に湾曲された屈曲部としての湾曲管部12が設けられている。これら湾曲管部12は、各シュート体4の切粉吸込口5に取付けられている側の直後である各支流管路11の上流端を屈曲させて略円弧状に湾曲させて形成されている。さらに、これら湾曲管部12は、軸方向の一端側の上流端と、他端側の下流端とのそれぞれを上方に向けた状態で設置されている。また、これら湾曲管部12は、これら湾曲管部12の上流端がシュート体4の接続口6に連通接続されている。すなわち、これら湾曲管部12は、シュート体4に切粉A以外の大きな異物、例えば折れた切削ドリルなどが誤って搬送された際に、この切削ドリルが湾曲管部12内で引っ掛かるなどして、これら湾曲管部12の下流端を通過して支流管路11の下流側へと搬送させないためのものである。
【0047】
そして、これら湾曲管部12の下流端には、直線状の軸方向を有する細長円筒状の支流本管部13の軸方向の一端部である上流端に連通接続されている。ここで、これら湾曲管部12の下流端と、支流本管部13の上流端とは、パイプ継手14を介して分割可能に気密に連通接続されている。さらに、これら支流本管部13は、これら支流本管部13の軸方向を上下方向に沿わせつつ、これら支流本管部13の軸方向の他端部である下流端を上方に向けた状態で設置されている。そして、これら支流本管部13の下流端には、直線状の軸方向を有する細長円筒状の第1の接続管部15の軸方向の一端部である上流端がパイプ継手14を介して分割可能に気密に連通接続されている。これら第1の接続管部15の軸方向の他端部である下流端には、直線状の軸方向を有する細長円筒状の第2の接続管部16の軸方向の一端部である上流端が連通接続されている。
【0048】
ここで、これら第1の接続管部15の下流端と第2の接続管部16の上流端との間には、これら第1の接続管部15の下流端と第2の接続管部16の上流端との間の管路を開閉可能な管路開閉手段としてのゲート弁17が取付けられている。これらゲート弁17は、各自動工作機械2a,2b,……,2gから排出された切粉Aを搬送する際に開放動作され、これら自動工作機械2a,2b,……,2gから排出された切粉Aを搬送しない際に閉鎖動作される切換バルブである。すなわち、これらゲート弁17は、これらゲート弁17が取付けられている各支流管路11の一部を開閉可能にさせる。
【0049】
図2に示されるように、これらゲート弁17は、弁本体としての矩形平板状体である一対の保持プレート17aが平行に対向して配設されており、これら一対の保持プレート17aの間に矩形平板状の開閉弁体としてのスライドプレート17bが摺動自在に設けられ、このスライドプレート17bには、定位置に配置されたエアシリンダであるバルブシリンダ17cのピストンロッドが接続されている。
【0050】
これら一対の保持プレート17aとスライドプレート17bとの摺動間隙に対して、これらの摺動間隙に圧搾空気を供給して摺動間隙内に侵入した搬送物を摺動間隙内から排除するエアパージ機構17pが設けられている。
【0051】
このエアパージ機構17pは、一対の保持プレート17aとスライドプレート17bとの摺動間隙に通気溝部17dがそれぞれ無端状に設けられ、これら通気溝部17dに切換弁17eの出口ポートが連通され、この切換弁17eの入口ポートにコンプレッサなどの空圧源17fが接続されたものである。スライドプレート17bの閉鎖完了および開放完了は、例えばバルブシリンダ17cのピストン位置などを検出するセンサ17g,17hにより検出される。
【0052】
そして、エアパージ機構17pによりこれら一対の保持プレート17aとスライドプレート17bとの摺動間隙に空気を注入させることによって、これら一対の保持プレート17aとスライドプレート17bとの間の隙間を浮かせて、これら一対の保持プレート17aとスライドプレート17bとの間の隙間に入り込んだ切粉Aを保持プレート17aの接続口あるいはスライドプレート17bの連通口内へと排出させ、このスライドプレート17bの摺動を円滑にさせる。
【0053】
さらに、各第2の接続管部16の軸方向の他端である下流端には、直線状の軸方向を有する細長円筒状の第3の接続管部18の軸方向の一端部である上流端がパイプ継手14を介して分割可能に気密に連通接続されている。そして、これら第3の接続管部18それぞれの軸方向の他端部である下流端は、直線状の軸方向を有する吸込用パイプとして本管である細長円筒状の主管路21の側面部に所定の間隔を介して並列に連通接続されている。
【0054】
主管路21に対する各支流管路11の接合部分である第3の接続管部18は、図2に示されるように主管路21の上流側との成す角度が鋭角となるように、言い換えると、主管路21の下流側との成す角度が鈍角となる接合角で、主管路21の周面部に連結されている。
【0055】
そして、この主管路21は、この主管路21の内径寸法が、支流管路11の内径寸法より小さく形成されており、この主管路21の軸方向が水平となるように設置されている。すなわち、この主管路21は、この主管路21に接続されている各支流管路11のそれぞれよりも太く形成されている。また、この主管路21は、この主管路21の側面部の各第3の接続管部18が連結されている部分それぞれの間にパイプ継手14が取付けられて分割可能に連結されている。さらに、この主管路21の上流端部には、この主管路21での空気の流量である吸気流量が調整可能な流量調整手段としての吸気弁であるボールバルブ22が取付けられている。このボールバルブ22は、主管路21をエジェクタの本体管路として機能させる際の主流量調整バルブとして用いる。
【0056】
さらに、この主管路21の下流端部には、軸方向が直角に屈曲した側面視L字状のエルボ体である第1の継手体23の軸方向の一端である上流端がパイプ継手14を介して分割可能に気密に連通接続されている。この第1の継手体23は、この第1の継手体23の軸方向の他端である下流端を下方に向けた状態で取付けられている。そして、この第1の継手体23の下流端には、直線状の軸方向を有する細長円筒状の連結管部24の軸方向の一端である上流端がパイプ継手14を介して分割可能に気密に連通接続されている。この連結管部24は、主管路21の一部を構成しており、この主管路21に等しい内径寸法を有している。
【0057】
また、この連結管部24の軸方向の他端である下流端には、軸方向が直角に屈曲した側面視L字状のエルボ体である第2の継手体25の軸方向の一端である上流端がパイプ継手14を介して分割可能に気密に連通接続されている。この第2の継手体25は、この第2の継手体25の軸方向の他端である下流端を水平方向に向けた状態で取付けられている。そして、この第2の継手体25の下流端には、支流管路11および主管路21を介して空気とともに吸い込まれて搬送された切粉Aを空気から分離して回収する搬送物分離回収手段としての切粉分離回収装置30が取付けられている。
【0058】
ここで、この切粉分離回収装置30は、上下方向に沿った軸方向を有する細長円筒状のタンク本体31と、このタンク本体31の内部で切粉Aを空気から分離して内部に堆積させるフィルタ機構32と、タンク本体31の内部に堆積した切粉Aを外部へ排出するためのシャッタ機構41とを具備している。
【0059】
タンク本体31の軸方向の一端側である下端側には、円筒状の旋回部33が設けられている。さらに、この旋回部33の上側には、上方に向けてテーパ状に拡開した円筒状のテーパ部34が同心状に連通されて接続されている。そして、このテーパ部34の上側には、このテーパ部34の上端部の内径寸法および外径寸法のそれぞれに等しい円筒状の拡開部35が同心状に連通されて接続されている。
【0060】
ここで、タンク本体31の旋回部33の外周面には、細長円筒状の吸込管部36が一体的に連通接続されている。この吸込管部36の軸方向の一端部である先端部には、第2の継手体25の軸方向の他端である下流端がパイプ継手14を介して分割可能に気密に連通接続されている。さらに、この吸込管部36は、この吸込管部36の軸方向をタンク本体31の外周面の接線方向に沿わせるとともに、この吸込管部36の外周面の外側部とタンク本体31の外周面とが面一となるように、このタンク本体31の周面部に取付けられている。また、この吸込管部36は、この吸込管部36の軸方向をタンク本体31の軸方向に直交させつつ水平方向に沿わせた状態で取付けられている。したがって、この吸込管部36は、この吸込管部36から旋回部33内へと吸い込まれる吸気風を、この旋回部33内で渦巻き状に旋回させてサイクロン状態の旋回風にする。さらに、この吸込風は、旋回部33内で旋回風にされてからテーパ部34内にて旋回速度が徐々に減速される。そして、この吸込風とともに吸い込まれた切粉Aをタンク本体31の拡開部35の内周面に衝突させて自重落下させて、この切粉を遠心分離させる。
【0061】
さらに、このタンク本体31は、このタンク本体31の軸方向の一端部である下端部が開口して排出口37が設けられている。この排出口37は、タンク本体31内へと吸い込まれて吸込風から分離された切粉Aを自重による自由落下にて排出させる切粉排出口である。さらに、この排出口37は、吸込管部36が接続されている側から、この吸込管部36に対向する側に向けて上方に向けて傾斜している。そして、この排出口37の下方には、この排出口37から排出された切粉Aを回収するための切粉箱38が設置されている。この切粉箱38は、移動可能に構成されており、タンク本体31内に回収されて排出口37から排出された切粉Aが切粉箱38内に所定量堆積した場合に、この切粉箱38を排出口37の下から移動させて、この切粉箱38内に堆積した切粉Aを所定の回収場所へと排出させる。
【0062】
また、切粉分離回収装置30の排出口37には、この排出口37を開閉可能な前記シャッタ機構41が取付けられている。このシャッタ機構41は、タンク本体31内に空気とともに吸い込まれた図示しない切削油を先端側に向けて流動させて排出させるために、排出口37の傾斜方向に面方向を沿わせた状態で摺動可能に取付けられた略矩形平板状のシャッタ体42を備えている。
【0063】
このシャッタ体42には、タンク本体31内に回収された切粉Aの堆積量を測定する堆積量測定装置、たとえば図示しない荷重センサなどが取付けられている。
【0064】
シャッタ体42は、傾斜した排出口37の開口縁に沿って摺動可能に取付けられ、この排出口37を開閉可能にさせる蓋体として機能する。さらに、このシャッタ体42の排出口37の上端縁に対向する側には、このシャッタ体42を面方向に沿って移動させる駆動装置としての第1のエアシリンダ43が取付けられている。この第1のエアシリンダ43は、吸込管部36が取付けられている側に向けて下方に傾斜している排出口37の下端側から上端側に向けてシャッタ体42を摺動させて、このシャッタ体42にて閉塞されていた排出口37を開口させる。さらに、この第1のエアシリンダ43は、排出口37の上端側から下端側にシャッタ体42を摺動させて、このシャッタ体42にて排出口37を閉塞させる。
【0065】
また、タンク本体31の吸込管部36が取付けられている側の反対側の側面部には、切粉掻取装置としてのスクレーパ機構44が取付けられている。このスクレーパ機構44は、第1のエアシリンダ43にてシャッタ体42を開放動作させる際に、このシャッタ体42の一側面である表面に堆積して付着した切粉Aや、この切粉Aとともにタンク本体内へと吸い込まれた作業油としての切削油などを掻き取って、このシャッタ体42の表面の先端縁から落下させて排出させるスクレーパ45を備えている。このスクレーパ45の上端側には、このスクレーパ45を上下方向に沿って移動させる駆動装置としての第2のエアシリンダ46が取付けられている。この第2のエアシリンダ46は、第1のエアシリンダ43にてシャッタ体42を開放動作させる前にスクレーパ45を下方へと移動させて、このスクレーパ45の下端縁をシャッタ体42の表面に接触させる。さらに、この第2のエアシリンダ46は、第1のエアシリンダ43によるシャッタ体42の開放動作が完了した後にスクレーパ45を上方に移動させて、このスクレーパ45の下端縁によるシャッタ体42の表面への接触を解除させる。
【0066】
前記フィルタ機構32は、タンク本体31の拡開部35の軸方向の他端である上端側が開口して開口部51が設けられている。この開口部51には、円盤状の複数のフィルタ体52が一対のメッシュ体53にて挟まれた状態で取付けられている。そして、これらフィルタ体52は、タンク本体31内での遠心分離では分離できない細かい切粉Aを吸込風から分離するために取付けられている。さらに、この開口部51には、円盤状の蓋体54が開閉可能に取付けられており、この蓋体54にて開口部51が閉塞されている。そして、この蓋体54の中央部には、円形状の挿通口55が同心状に開口されている。この挿通口55には、細長円筒状の排気管部56の一端側である上流側が連通接続されており、この排気管部56の他端側である下流側が開口されて排気口57が開口されている。
【0067】
さらに、この排気管部56の中央部には、切粉吸込口5より空気とともに搬送物を吸引する吸引手段としてのブロアファン58が取付けられている。このブロアファン58は、切粉分離回収装置30のタンク本体31および排気管部56のそれぞれを介して、主管路21の下流側に連通接続されたバキューム用のファンであり、ファン駆動用の電動モータを一体に備えている。
【0068】
このブロアファン58は、排気管部56、タンク本体31、主管路21および支流管路11のそれぞれを介して自動工作機械2a,2b,……,2gから排出されてシュート体4内へと搬送された切粉Aをタンク本体31内へと搬送させて、このタンク本体31内に切粉Aを堆積させるバキューム装置である。
【0069】
そして、自動工作機械2a,2b,……,2g、チップコンベヤ3、ゲート弁17、切粉分離回収装置30およびブロアファン58のそれぞれは、これら自動工作機械2a,2b,……,2g、チップコンベヤ3、ゲート弁17、切粉分離回収装置30およびブロアファン58の駆動や作動を制御する制御装置としてのコントロールユニット59に接続されている。
【0070】
このコントロールユニット59には、スイッチ類およびランプ類が配列された操作パネル部59aと、液晶ディスプレイなどを用いた表示部59bと、所謂パトランプなどを用いた警告ランプ59cとが設けられ、表示部59bに、制御段階のプロセスを表示するとともに、異常な状態が発生したときは、警告ランプ59cおよび警報アラーム(図示せず)を作動するとともに、その異常時の状態を表示部59bに表示する。
【0071】
このコントロールユニット59は、ブロアファン58を駆動させた状態で、ゲート弁17のいずれか一つを開放動作させて、このゲート弁17が取付けられている支流管路11の上流側に設置されている自動工作機械2a,2b,……,2gのうちのいずれか一つから排出される切粉Aを切粉分離回収装置30のタンク本体31内へと吸い込ませる。
【0072】
次に、図1および図2に示された実施の形態のコントロールユニット59による制御方法を、図3および図4を参照して説明する。なお、図3中に表わした丸数字は、ステップ番号を示す。
【0073】
まず、図3に示すように、各チップコンベヤ3、各ゲート弁17、切粉分離回収装置30のシャッタ機構41、スクレーパ機構44およびブロアファン58のそれぞれが初期状態としての原点であるか否かを判別する(ステップ1)。このとき、これら各チップコンベヤ3の初期状態とは、これら各チップコンベヤ3の駆動が停止されている状態である。また、各ゲート弁17の初期状態とは、これら各ゲート弁17が閉塞動作されて支流管路11が閉塞されている状態である。さらに、切粉分離回収装置30のシャッタ機構41およびスクレーパ機構44の初期状態とは、このシャッタ機構41にてタンク本体31の排出口37が閉塞され、スクレーパ機構44のスクレーパ45が上方に移動してシャッタ体42の表面に接触していない状態である。また、ブロアファン58の初期状態とは、このブロアファン58の駆動が停止している状態である。
【0074】
そして、このステップ1での判別で、各チップコンベヤ3、各ゲート弁17、切粉分離回収装置30のシャッタ機構41、スクレーパ機構44およびブロアファン58のいずれかが初期状態ではない場合には、これら各チップコンベヤ3、各ゲート弁17、切粉分離回収装置30のシャッタ機構41、スクレーパ機構44およびブロアファン58それぞれの駆動が異常状態であると判断して、これら各チップコンベヤ3、各ゲート弁17、切粉分離回収装置30のシャッタ機構41、スクレーパ機構44およびブロアファン58それぞれの駆動、すなわち搬送装置1全体の駆動を停止させる(ステップ2)。
【0075】
この後、コントロールユニット59からアラーム信号を出力させてアラームを作動させて、このコントロールユニット59に取付けられている図示しない表示装置に異常内容を表示させる(ステップ3)。
【0076】
次いで、ステップ1での判別で、各チップコンベヤ3、各ゲート弁17、切粉分離回収装置30のシャッタ機構41、スクレーパ機構44およびブロアファン58のそれぞれが初期状態となっている場合には、ブロアファン58のタイマ(Tf)をリセット(Tg=0)させてから(ステップ4)、次に駆動させるN番目の自動工作機械2nが稼働中か否かを判別する(ステップ5)。
【0077】
この後、このN番目の自動工作機械2nに接続された支流管路11に取付けられているゲート弁17のエアパージ機構を駆動させるとともに、このゲート弁17のタイマ(Tg)をリセット(Tg=0)する(ステップ6)。このとき、このゲート弁17のエアパージ機構の駆動によって、このゲート弁17の隙間に入り込んでいる切粉Aが支流管路11内へと吸い込まれて排出される。
【0078】
そして、このゲート弁17のタイマ(Tg)が3秒以上か(Tg≧3秒)否かを判別し(ステップ7)、このステップ7でのゲート弁17のタイマが3秒以上となった場合に、ブロアファン58を稼働させるとともにゲート弁17を開放動作させ、このゲート弁17が取付けられた支流管路11が接続されているチップコンベヤ3を稼働させ、ブロアファン58の稼働時間(Tf)をスタートさせ、G=1とする(ステップ8)。
【0079】
この結果、このN番目以外の自動工作機械2a,2b,……,2gのそれぞれに取付けられているゲート弁17がそれぞれ閉塞されている状態で、このN番目の自動工作機械2nに取付けられているゲート弁17のみが開放動作される。したがって、このN番目の自動工作機械2nから排出される切粉Aのみが、ブロアファン58による吸込によって支流管路11および主管路21を介してタンク本体31内へと吸い込まれ、このタンク本体31内での吸込風の旋回によって、この吸込風とともにタンク本体31内へと吸い込まれた切粉Aが遠心分離にて、このタンク本体31内に回収される。
【0080】
この後、このN番目のゲート弁17を開放させた開放信号の入力があるか否かを判別し(ステップ9)、このステップ9にてゲート弁17の開放信号の入力がない場合には、G=G+1とするとともに、このゲート弁17を閉鎖動作させる(ステップ10)。
【0081】
そして、このステップ10の結果、G=3となった場合には、異常状態と判断し(ステップ11)、各チップコンベヤ3、各ゲート弁17、切粉分離回収装置30のシャッタ機構41、スクレーパ機構44およびブロアファン58それぞれの駆動を停止させて(ステップ2)から、コントロールユニット59のアラームを作動させる(ステップ3)。
【0082】
さらに、このステップ10の結果、G=3とならない場合には(ステップ11)、N番目のゲート弁17を、エアパージ機構を駆動させた状態で再度開放動作させて、このN番目のゲート弁17の開放動作を繰返してから(ステップ12)、ステップ9へ進む。
【0083】
また、このステップ9にてN番目のゲート弁17の開放信号の入力があった場合には、ブロアファン58のタイマ(Tf)が20秒以上か(Tf≧20秒)否かを判別し(ステップ13)、このステップ13にてブロアファン58のタイマが20秒以上となった場合、すなわちこのブロアファン58の稼働を開始してから20秒が経過した後に、このブロアファン58の稼働を停止させるとともに、このブロアファン58の稼働の停止に連動させて、N番目のゲート弁17を閉塞動作させるとともに、N番目のチップコンベヤ3の稼働を停止させて、G=1とする(ステップ14)。
【0084】
このとき、このN番目のゲート弁17を閉塞させた閉塞信号の入力があるか否かを判別し(ステップ15)、このステップ15にてゲート弁17の閉塞信号の入力がない場合には、G=G+1とするとともに、このゲート弁17を開放動作させる(ステップ16)。
【0085】
そして、このステップ16の結果、G=4となった場合には、異常状態と判断し(ステップ17)、各チップコンベヤ3、各ゲート弁17、切粉分離回収装置30のシャッタ機構41、スクレーパ機構44およびブロアファン58それぞれの駆動を停止させて(ステップ2)から、コントロールユニット59のアラームなどを作動させる(ステップ3)。
【0086】
さらに、このステップ16の結果、G=4とならない場合には(ステップ17)、N番目のゲート弁17を再度閉塞動作させて、このN番目のゲート弁17の閉塞動作を繰返してから(ステップ18)、ステップ15へ進む。
【0087】
また、このステップ15にてN番目のゲート弁17の閉塞信号の入力があった場合には、ゲート弁17のタイマ(Tg)をリセット(Tg=0)させてから、このTgをスタートさせる(ステップ19)。
【0088】
そして、このゲート弁17のタイマ(Tg)が3秒以上(Tg≧3秒)か否かを判別し(ステップ20)、このステップ20でのゲート弁17のタイマが3秒以上となった場合に、このゲート弁17のエアパージ機構を閉塞して停止させてから(ステップ21)、ブロアファン58のタイマ(Tf)が40秒以上(Tf≧40秒)か否かを判別して、このブロアファン58の稼働が停止してから20秒以上経過したかを判別する(ステップ22)。
【0089】
この後、このステップ22にてブロアファン58のタイマ(Tf)が40秒以上となった場合に、切粉分離回収装置30のスクレーパ45を第2のエアシリンダ46の駆動にて下方に移動させて、このスクレーパ45の下端縁をシャッタ体42の表面に接触させる(ステップ23)。
【0090】
この状態で、この切粉分離回収装置30のシャッタ体42を第1のエアシリンダ43の駆動にて開放動作させて、この切粉分離回収装置30のタンク本体31内へと吸い込まれたN番目の自動工作機械2nから排出された切粉Aを、このタンク本体31の排出口37から自由落下させて切粉箱38内へと排出させるとともに、シャッタ機構41のタイマ(Ts)をスタートさせる(ステップ24)。
【0091】
このとき、このシャッタ機構41のシャッタ体42を開放完了させた開放信号があるか否かを判別し(ステップ25)、このステップ25にてシャッタ体42の開放信号がない場合には、このシャッタ機構41のタイマ(Ts)が30秒以上となっているか否かを判断し(ステップ26)、このシャッタ機構41のタイマが30秒以上(Ts≧30秒)となった場合には、異常状態と判断し、各チップコンベヤ3、各ゲート弁17、切粉分離回収装置30のシャッタ機構41、スクレーパ機構44およびブロアファン58それぞれの駆動を停止させてから(ステップ2)、コントロールユニット59のアラームなどを作動させる(ステップ3)。
【0092】
さらに、このステップ26での判断で、シャッタ機構41のタイマ(Ts)が30秒以上となっていない場合には、ステップ25に戻る。
【0093】
このステップ25にてシャッタ機構41の開放完了信号があった場合には、このシャッタ機構41によるタンク本体31内の切粉Aの排出が完了したと判断して、スクレーパ機構44のスクレーパ45を第2のエアシリンダ46の駆動にて上方に移動させるとともに、シャッタ機構41のタイマ(Ts)をリセット(Ts=0)してから、このタイマ(Ts)をスタートさせる(ステップ27)。
【0094】
この後、このスクレーパ45の移動位置が原点である初期状態となっているかを判断し(ステップ28)、このステップ28にてスクレーパ45の移動位置が初期状態となっていない場合には、シャッタ機構41のタイマ(Ts)が30秒以上となっているか否かを判断し(ステップ29)、このシャッタ機構41のタイマが30秒以上(Ts≧30秒)となった場合に、異常状態と判断し、各チップコンベヤ3、各ゲート弁17、切粉分離回収装置30のシャッタ機構41、スクレーパ機構44およびブロアファン58それぞれの駆動を停止させてから(ステップ2)、コントロールユニット59のアラームなどを作動させる(ステップ3)。
【0095】
さらに、ステップ29での判断で、シャッタ機構41のタイマ(Ts)が30秒以上となっていない場合には、ステップ28に戻る。
【0096】
そして、このステップ28にてスクレーパ45の移動位置が初期状態となっていると判断された場合には、シャッタ機構41のシャッタ体42を第1のエアシリンダ43の駆動にて閉塞動作させて、このシャッタ体42にてタンク本体31の排出口37を閉塞させるとともに、シャッタ機構41のタイマ(Ts)をリセット(Ts=0)してから、このタイマ(Ts)をスタートさせる(ステップ30)。
【0097】
この後、シャッタ体42が排出口37を閉鎖完了した信号が検出されたか否かを判断し(ステップ31)、このステップ31にてシャッタ体42が排出口37を閉鎖した信号が検出されない場合には、シャッタ機構41のタイマ(Ts)が30秒以上となっているかを判断し(ステップ32)、このシャッタ機構41のタイマが30秒以上(Ts≧30秒)となった場合に、異常状態と判断し、各チップコンベヤ3、各ゲート弁17、切粉分離回収装置30のシャッタ機構41、スクレーパ機構44およびブロアファン58それぞれの駆動を停止させてから(ステップ2)、コントロールユニット59のアラームなどを作動させる(ステップ3)。
【0098】
さらに、ステップ32での判断で、シャッタ機構41のタイマ(Ts)が30秒以上となっていない場合には、ステップ31に戻る。
【0099】
ステップ31にてシャッタ機構41のシャッタ体42の閉鎖完了信号があった場合は、ブロアファン58のタイマ(Tf)が60秒以上となっているかを判断する(ステップ33)。
【0100】
そして、このステップ33にてブロアファン58のタイマが60秒以上(Tf≧60秒)となった場合には、N=N+1とし(ステップ34)、このNが自動工作機械2a,2b,……,2gの設置台数(n=7)となったか否かを判断し(ステップ35)、N=nとなった場合は、Nm=nとするとともにN=1とし、さらにシャッタ機構41のタイマ(Ts)をリセット(Ts=0)とし(ステップ0)、ステップ1に戻る。
【0101】
さらに、ステップ35にて、Nが自動工作機械2a,2b,……,2gの設置台数(n=7)とならない場合(N≠n)には、ステップ1に戻り、この後、図3に示すように、ステップ1からステップ35までが繰返されて、N+1番目の自動工作機械2n+1、またはN+1が7より大きい場合には1番目の自動工作機械2aから排出される切粉Aがブロアファン58による吸込によって切粉分離回収装置30へと回収されて切粉箱38内へと排出されて回収される。
【0102】
さらに、ステップ5にてN番目の自動工作機械2nから排出される切粉Aのストックが確認される場合、具体的にはN番目の自動工作機械2nが稼働中でない場合には、ブロアファン58のタイマ(Tf)をスタートさせて(ステップ36)、このタイマ(Tf)が60秒以上となっているかを判断し(ステップ37)、このタイマが60秒以上(Tf≧60秒)となった場合に、ステップ34へと進ませて、このN番目の自動工作機械2nが稼働中でない場合に、このN番目の自動工作機械2nから排出される切粉Aを回収せずに、N+1または1番目の自動工作機械2n+1または2aの切粉Aを回収する工程に移る。
【0103】
次に、上記第1の実施の形態による作用効果を説明する。
【0104】
ブロアファン58から切粉分離回収装置30を経て主管路21に及ぼされる吸引力を、この主管路21に接続された複数の支流管路11の各ゲート弁17により選択して、それぞれの切粉吸込口5に作用させるので、複数の切粉吸込口5から一つの切粉分離回収装置30に切粉Aを確実に回収できる搬送装置を、配管により容易に設置できるとともに、ブロアファン58の吸引モータ負荷を複数のゲート弁17により、必要とする切粉分離回収装置30に振分けるので、ブロアファン58の稼働エネルギ効率を改善でき、ブロアファン58を小型にできる。
【0105】
そして、複数の自動工作機械2a,2b,……,2gから排出される切粉Aを、自動的に一箇所の切粉箱38に収集できるので、これら自動工作機械2a,2b,……,2gそれぞれから切粉箱38を運搬するなどの手間を無くすことができる。よって、これら切粉箱38を自動工作機械2a,2b,……,2g毎に搬送することなどの手作業を少なくできるので、これら自動工作機械2a,2b,……,2gから排出される切粉Aの回収の作業性を向上できる。
【0106】
切粉分離回収装置30では、フィルタ機構32により空気から分離された切粉Aをタンク本体31の内部に堆積させて、シャッタ機構41により一度に取出すので、切粉Aを効率良く回収できる。
【0107】
主管路21よりも細い支流管路11を接続したので、支流管路11内にはエジェクタ効果による吸込圧力が発生し、この吸込圧力により支流管路11内の搬送物を確実に搬送できる。さらに、主管路21に対して各支流管路11それぞれの第3の接続管部18を、これら第3の接続管部18と主管路21の下流側との成す角度が鈍角となるように接続させたので、これら支流管路11から主管路21への吸込風の流れが円滑となるとともに、この吸込風とともに吸い込まれて搬送される切粉Aが円滑に支流管路11から主管路21へと流れるので、この切粉Aをより効率良く搬送できる。
【0108】
切粉吸込口5を上方に向けて開口させたシュート体4の下端側の接続口6に接続される各支流管路11の上流側をU字状に湾曲させて湾曲管部12を設けたことにより、これら湾曲管部12の湾曲角度や太さなどを適宜調整することによって、各シュート体4の切粉吸込口5内へと切粉A以外の、例えば切削ドリルの先端部などの長尺物が誤って搬送された場合であっても、この長尺物が支流管路11の湾曲管部12内で詰まるなどして通過できなくできる。したがって、これら長尺物などの異物がシュート体4の切粉吸込口5内に落下しても、これら異物が湾曲管部12より下流側の支流管路11、主管路21およびタンク本体31内へと搬送されなくなり、この長尺物が下流側のコンポーネントを損傷するおそれを防止できるとともに、これら異物が湾曲管部12より下流側の支流管路11内や主管路21内で詰まるなどを防止できるので、搬送装置1のメンテナンス性を向上できる。
【0109】
チップコンベヤ3の稼働時間、駆動速度などを制御することにより切粉吸込口5への切粉供給量を制御できる。
【0110】
主管路21の最上流側の端部に位置するボールバルブ22を調整することにより、主管路21および支流管路11内で真空度が必要以上に上昇することを防止でき、切粉Aの搬送および分離回収に最適な流量を確保できる。
【0111】
ゲート弁17の一対の保持プレート17aとスライドプレート17bとの摺動間隙への切粉Aの噛込を圧搾空気の排除圧により解消または防止できるとともに、エアベアリング作用によりスライドプレート17bを円滑に作動させることができる。
【0112】
その際、ステップ6〜21に示されるように、ゲート弁17のスライドプレート17bを開放動作する間だけでなく、その前後一定時間もエアパージをすることで、スライドプレート17bの摺動間隙への切粉Aの噛込を防止するエアパージ効果を確実なものにできる。
【0113】
ステップ9〜12、15〜18に示されるように、ゲート弁17の開放動作および閉鎖動作を反対動作させてから繰返すことにより、切粉Aの噛込などによるゲート弁17の作動不良を解消できるとともに、ゲート弁17の開放完了および閉鎖完了を確認することで、ゲート弁17が動作不十分なまま次ステップに進むことを防止できる。すなわち、いずれか一つのゲート弁17を開放動作あるいは閉塞動作させた場合に、このゲート弁17の開放状態あるいは閉塞状態を確認できないときに、このゲート弁17の開放動作あるいは閉塞動作を繰返させるゲート弁開閉チェックステップを設けたことにより、これらゲート弁17の開放動作および閉塞動作の誤作動を少なくできる。
【0114】
ステップ14〜24に示されるように、ブロアファン58の停止から一定時間経過後に切粉分離回収装置30の下部のシャッタ機構41を開放するので、一定時間経過する間に切粉分離回収装置30内で沈静化した切粉Aを、開放された下部より外部へ排出でき、切粉分離回収装置30の内部から切粉Aが外部に飛散することを防止できる。
【0115】
ステップ8に示されるように、チップコンベヤ3から切粉吸込口5に切粉Aを供給したときのみ、ブロアファン58およびゲート弁17を同期作動させるので、切粉吸込口5に切粉Aが供給されたときは、その切粉Aを直ちに回収でき、切粉Aによる切粉吸込口5の詰まりを防止できるとともに、切粉吸込口5に切粉Aが供給されないときは無駄な運転を停止して、省エネ運転を図れる。
【0116】
ステップ2、3に示されるように、コントロールユニット59は、動作の正常な終了を確認できない場合は運転を停止するとともに、警告ランプ59cおよび警報アラーム(図示せず)を作動するとともに、その異常内容を表示部59bに表示するので、搬送装置1の異常な運転を防止できるとともに、表示された異常内容から保守点検を容易にできる。
【0117】
ステップ5、36、37、34に示されるように、いずれか一つの自動工作機械2a,2b,……,2gが稼働中でない場合に、この自動工作機械から排出される切粉Aを回収せずに、この自動工作機械以外の自動工作機械の切粉Aを回収する工程に移る構成としたので、稼働していない自動工作機械を飛ばして、その他の稼働中の自動工作機械から排出される切粉Aのみを効率良く回収できる。
【0118】
コントロールユニット59にていずれか一つの自動工作機械2a,2b,……,2g以外のそれぞれの自動工作機械2a,2b,……,2gに連結されている支流管路11のゲート弁17のそれぞれを閉塞動作させた状態で、いずれか一つの自動工作機械2a,2b,……,2gに接続されている支流管路11のゲート弁17を開放動作させてから、ブロアファン58を稼働させる構成とした。この結果、いずれか一つの自動工作機械2a,2b,……,2gから排出される切粉Aをブロアファン58にて吸い込んでいるときに、その自動工作機械以外の自動工作機械に接続された支流管路11のゲート弁17がそれぞれ閉じられて、常に一箇所の支流管路11のみからしか切粉Aが吸い込まれなくなる。
【0119】
さらに、これらゲート弁17の開閉動作を切り換えて、ブロアファン58による切粉Aの吸い込み動作を変化させるので、各自動工作機械2a,2b,……,2gから排出される切粉Aを1台ずつ支流管路11および主管路21を介して切粉分離回収装置30のタンク本体31内へと搬送して回収できる。
【0120】
よって、1箇所の支流管路11からしか切粉Aが吸入されなくなるので、これら支流管路11および主管路21を介して切粉Aを搬送するために必要な空気の吸入流量を少なくできる。したがって、ブロアファン58への負荷を低減でき、比較的小型で小パワーなブロアファン58でより多くの自動工作機械2a,2b,……,2gから排出される切粉Aを効率良く回収して収集できる。
【0121】
また、これら自動工作機械2a,2b,……,2gから排出される切粉Aのそれぞれをブロアファン58の稼働にて一度に吸い込ませて回収させる場合に比べ、支流管路11および主管路21のそれぞれをより細くできる。このため、これら支流管路11および主管路21を細くすることによって、これら支流管路11および主管路21の設置スペースを少なくできる。よって、これら支流管路11および主管路21を狭い隙間などにも配管できるので、搬送装置1の設置を容易にできる。
【0122】
また、いずれか一つの自動工作機械2a,2b,……,2gに接続されている支流管路11のゲート弁17の開放動作と同時に、この自動工作機械2a,2b,……,2gに取付けられているチップコンベヤ3が駆動されて、この自動工作機械2a,2b,……,2gから排出された切粉Aがチップコンベヤ3にて搬送されてシュート体4の切粉吸込口5内へと搬送される。さらに、このゲート弁17の閉塞動作と同時に、このゲート弁17が取付けられている支流管路11の上流側に設置されている自動工作機械2a,2b,……,2gのチップコンベヤ3の駆動が停止される構成とした。
【0123】
この結果、ゲート弁17が開放動作されていないときに、このゲート弁17が取付けられた支流管路11の上流側に設置されているチップコンベヤ3が駆動されず、このチップコンベヤ3にてシュート体4の切粉吸込口5に切粉Aが搬送されない。したがって、このゲート弁17の開放動作とは無関係に、各チップコンベヤ3を連続的に駆動させることによって生じ得る、各シュート体4の切粉吸込口5内に切粉Aが過剰に搬送されて、この切粉吸込口5が切粉Aによって詰まることを防止できる。
【0124】
このようにして、コントロールユニット59により、ブロアファン58、切粉分離回収装置30、ゲート弁17およびチップコンベヤ3を自動的に制御できるとともに、これらの各手段の動作状態などを監視するので、省力化を図れるとともに、信頼性が得られる。そして、複数の自動工作機械2a,2b,……,2gから排出された搬送物を、各自動工作機械2a,2b,……,2gに対応して設置された複数の切粉吸込口5のいずれかを経て、一つの切粉分離回収装置30に確実に回収できる。
【0125】
次に、図5により、搬送装置1の制御方法の他の実施の形態を説明する。
【0126】
上記図3および図4に示された一実施の形態では、ブロアファン58の駆動を停止させてから所定時間が経過した後に、切粉分離回収装置30のシャッタ機構41を開放動作させてタンク本体31の排出口37を開口させて、このタンク本体31内へと吸い込まれて回収された切粉Aを自由落下にて切粉箱38へと排出させる制御方法としたが、図5に示す搬送装置1の制御方法は、このタンク本体31内に回収された切粉Aの堆積量を、シャッタ機構41に取付けた図示しない堆積量測定装置にて測定し、このタンク本体31内の切粉Aの堆積量が所定量A以上(堆積量≧A)となった場合にのみ、このタンク本体31の排出口37をシャッタ機構41によるシャッタ体42の開放動作にて開口させて、切粉箱38へと排出させるようにしたものである。
【0127】
この場合、ステップ22にてブロアファン58のタイマ(Tf)が40秒以上となった場合に、タンク本体31内に回収されて堆積されている切粉Aの堆積量を堆積量測定装置にて測定する(ステップ41)。
【0128】
そして、このステップ41にて測定された切粉Aの堆積量が所定量Aより少ない(堆積量<A)場合には、ステップ33へと進んでブロアファン58のタイマ(Tf)が60秒以上となっているかが判断される。
【0129】
これに対し、ステップ41にて測定された切粉Aの堆積量が所定量A以上(堆積量≧A)の場合には、ステップ23以降へと進んでシャッタ体42を開放させる。
【0130】
この結果、タンク本体31内に回収された切粉Aの堆積量が所定量以上とならない限り、このタンク本体31内に堆積した切粉Aが排出口37から排出されないので、このタンク本体31のシャッタ機構41およびスクレーパ機構44の駆動頻度を少なくできるとともに、これらシャッタ機構41およびスクレーパ機構44のそれぞれを必要最小限の頻度で駆動できるから、複数の自動工作機械2a,2b,……,2gから排出されて切粉分離回収装置30のタンク本体31内に回収された切粉Aの排出作業をより効率良くできる。
【0131】
言い換えれば、ステップ41を加入したことにより、切粉分離回収装置30内の切粉Aの堆積量が所定値以上になったときに、ブロアファン58の停止を条件に、切粉分離回収装置30の下部を開放して、切粉Aを外部へ排出するので、所定量の切粉Aが堆積してから、それをまとめて効率良く排出処理できる。
【0132】
なお、上記各実施の形態では、自動工作機械2a,2b,……,2gが稼働中でない場合の判断として、これら自動工作機械2a,2b,……,2gから排出される切粉Aのストックが確認される場合としたが、この自動工作機械2a,2b,……,2gに取付けられているチップコンベヤ3の稼働によって出力される稼働シグナルに基づいて、これら自動工作機械2a,2b,……,2gが稼働中か否かを判断する構成とすることもできる。
【0133】
また、切粉Aを支流管路11および主管路21を介してタンク本体31内へと回収する媒体として空気を用いたが、この空気以外の媒体を用いて各自動工作機械2a,2b,……,2gから排出される切粉Aを支流管路11および主管路21を介してタンク本体31内へと回収させる構成とすることもできる。また、各自動工作機械2a,2b,……,2gから排出される切粉A以外の搬送物であっても、この搬送物が複数の個所で排出されたり搬送されたりするものであれば、対応させて用いることができる。
【0134】
さらに、このタンク本体31内に回収された切粉Aの堆積量以外に、このタンク本体31内に回収された切粉Aの重量や体積などを検出して、これら切粉Aの重量あるいは体積が、予め定めた規定値以上に達して確認されたときに、ブロアファン58の稼働を停止させて、このタンク本体31の排出口37をシャッタ機構41によるシャッタ体42の開放動作にて開口させ、切粉箱38へと排出させる構成とすることもできる。
【0135】
また、ゲート弁17を一つずつ開放動作させて、自動工作機械2a,2b,……,2gから排出される切粉Aを、一台の自動工作機械2a,2b,……,2g毎に回収する構成としたが、この切粉Aを吸い込ませるブロアファン58の出力が大きい場合や、支流管路11および主管路21の管路が複雑な場合などには、これら自動工作機械2a,2b,……,2gに接続された支流管路11のそれぞれに取付けられているゲート弁17を、一つずつではなく適宜選択的に複数、例えば2台ずつ開放動作させることもできる。
【0136】
次に、図6は、本発明に係る搬送装置の第2の実施の形態を示すもので、図1に示された第1の実施の形態と同一部分には、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0137】
搬送物分離回収手段としての切粉分離回収装置60は、サイクロン式集塵装置であって、上下方向に沿った軸方向を有する円筒状のタンク本体61は、空気とともに切粉Aや、切削油などの切削液Eが吸い込まれる円筒状の旋回部62と、この旋回部62の上側に連続的に設けられテーパ状に拡開した風速低下部63と、この風速低下部63の上側に形成された円筒状の軸方向分離部64とを備えている。タンク本体61内へと吸い込まれた空気および切粉Aは、旋回部62にて旋回され、風速低下部63にて旋回速度が低下され、軸方向分離部64にて上方へ向かう旋回風と、下方へ向かう切粉Aとが分離される。
【0138】
さらに、この軸方向分離部64の上側開口部には、円盤状の複数のフィルタ体を備えたフィルタ機構65が取付けられている。これらフィルタ機構65は、タンク本体61内での遠心分離では分離できない細かい切粉Aを吸込風から物理的にろ過して分離させる。
【0139】
タンク本体61の軸方向分離部64の上側開口部には、上方に向けて内側にテーパ状に傾斜して縮径させた蓋体66が開閉可能に取付けられ、この蓋体66の上面中央部に設けられた連通口67には、排気管部56の一端開口が連通接続され、排気管部56の他端には排気口57が開口され、排気管部56の中央部には、吸引手段としてのブロアファン58が取付けられている。
【0140】
切粉分離回収装置60のタンク本体61の下端側には、断面正方形状の排出口部68が設けられ、この排出口部68の下端に、風から分離された切粉Aを自重による自由落下にて排出させる排出口71が傾斜状に開口され、この排出口71を介して両側にスライドガイド72が配置され、このスライドガイド72に沿ってシャッタプレート73が、シャッタシリンダ(図示せず)により傾斜方向Jに摺動自在に取付けられている。
【0141】
このシャッタプレート73には、上下方向に僅かに移動可能な「がた」が設定され、ブロアファン58の吸引力によりタンク本体61の排出口71に密着して、この排出口71を気密に閉塞するとともに、ブロアファン58を停止させてその吸引力を解除することでシャッタプレート73が排出口71から離間させることで、その隙間から切粉A中に混入された切削液Eを排出することができる。
【0142】
シャッタプレート73の上面には、切粉掻取手段としてのスクレーパ機構74が対向して設けられている。このスクレーパ機構74は、硬質ウレタンなどのスクレーパ75に、上下方向に設置されたスクレーパシリンダ76の昇降シャフト77の下端部が連結されたものであり、シャッタプレート73の上面に付着した切粉Aを掻きとって、このシャッタプレート73の上面上から切粉箱38に排出させる。
【0143】
さらに、一対のスライドガイド72の下降側間には、切削液Eを受ける液受プレート78が取付けられ、この液受プレート78の先端側に対向して、受け口79を有する切削液回収管路80が設けられている。そして、ブロアファン58を停止させてシャッタプレート73が排出口71から離間すると、その隙間からシャッタプレート73上の切削液Eを液受プレート78を経て切削液回収管路80へ排出することができる。
【0144】
なお、図示された実施の形態では、主管路21が1つのみであるが、本発明は、2つ以上の主管路21にも適用される。
【0145】
また、本発明に係る搬送装置およびその制御方法は、工作機械以外の機械装置に対しても適用できる。例えば、複数の樹脂成形機械、その他の製造機械などから排出される非金属屑、粒状製品などの搬送にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】本発明に係る搬送装置の第1の実施の形態を示す説明構成図である。
【図2】同上搬送装置の管路開閉手段を示す断面図および配管図である。
【図3】同上搬送装置の制御方法の一実施の形態を示すフローチャートである。
【図4】同上搬送方法の制御タイミングを示すタイミングチャートである。
【図5】同上搬送装置の制御方法の他の実施の形態を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係る搬送装置の第2の実施の形態を示す説明構成図である。
【符号の説明】
【0147】
1 搬送装置
2a〜2g 機械装置としての自動工作機械
3 搬送物供給手段としてのチップコンベヤ
5 搬送物吸込口としての切粉吸込口
11 支流管路
12 屈曲部としての湾曲管部
17 管路開閉手段としてのゲート弁
17a 弁本体としての保持プレート
17b 開閉弁体としてのスライドプレート
17p エアパージ機構
21 主管路
22 流量調整手段としてのボールバルブ
30 搬送物分離回収手段としての切粉分離回収装置
31 タンク本体
32 フィルタ機構
41 シャッタ機構
58 吸引手段としてのブロアファン
59 制御装置としてのコントロールユニット
A 搬送物としての切粉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気とともに搬送物を吸引する吸引手段と、
吸引手段に接続され空気中から搬送物を分離回収する搬送物分離回収手段と、
搬送物分離回収手段に接続され搬送物の搬送流路となる主管路と、
主管路に並列接続された複数の支流管路と、
各支流管路に設けられて各支流管路を開閉する複数の管路開閉手段と、
各支流管路の先端に開口されて搬送物を吸込む複数の搬送物吸込口と
を具備したことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
搬送物分離回収手段は、
タンク本体と、
タンク本体の内部で搬送物を空気から分離して内部に堆積させるフィルタ機構と、
タンク本体の内部に堆積した搬送物を外部へ排出するためのシャッタ機構と
を具備したことを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
支流管路は、主管路よりも細く形成され、
主管路に対する支流管路の接合部分は、主管路の下流側に対して鈍角の接合角で接合された
ことを特徴とする請求項1または2記載の搬送装置。
【請求項4】
支流管路は、
上流側にて屈曲形状に形成された屈曲部
を具備したことを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の搬送装置。
【請求項5】
搬送物吸込口に対して搬送物を供給する搬送物供給手段
を具備したことを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の搬送装置。
【請求項6】
主管路の搬送物分離回収手段への接続端と反対側の端部に設けられて主管路内の流量を調整する流量調整手段
を具備したことを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載の搬送装置。
【請求項7】
管路開閉手段は、
弁本体と、
弁本体に対し摺動自在に設けられて支流管路を開閉する開閉弁体と、
弁本体と開閉弁体との摺動間隙に圧搾空気を供給して摺動間隙内に侵入した搬送物を摺動間隙内から排除するエアパージ機構と
を具備したことを特徴とする請求項1乃至6いずれか記載の搬送装置。
【請求項8】
吸引手段、搬送物分離回収手段、管路開閉手段および搬送物供給手段を制御し、これらの動作状態および異常時の状態の少なくとも一方を表示し警告する制御装置
を具備したことを特徴とする請求項5乃至7いずれか記載の搬送装置。
【請求項9】
請求項1乃至8いずれか記載の搬送装置を制御する制御方法であって、
吸引手段を駆動するときに、複数の管路開閉手段のいずれか一つを開放させる
ことを特徴とする搬送装置の制御方法。
【請求項10】
管路開閉手段の開放は、搬送物の発生および堆積の少なくとも一方が確認された地点と対応する支流管路のみに適用される
ことを特徴とする請求項9記載の搬送装置の制御方法。
【請求項11】
請求項7記載のエアパージ機構を備えた搬送装置の制御方法であって、
管路開閉手段の開閉弁体を開放動作する一定時間前にエアパージを開始し、
管路開閉手段の開閉弁体を閉鎖動作する一定時間後にエアパージを終了する
ことを特徴とする請求項9または10記載の搬送装置の制御方法。
【請求項12】
管路開閉手段の開放完了および閉鎖完了を確認し、
開放完了を確認できなかった場合は管路開閉手段を閉鎖してから開放する動作を繰返し、
閉鎖完了を確認できなかった場合は管路開閉手段を開放してから閉鎖する動作を繰返す
ことを特徴とする請求項9乃至11いずれか記載の搬送装置の制御方法。
【請求項13】
吸引手段が停止してから一定時間経過後に、搬送物分離回収手段の下部を開放して、搬送物分離回収手段内の搬送物を外部へ排出する
ことを特徴とする請求項9乃至12いずれか記載の搬送装置の制御方法。
【請求項14】
搬送物分離回収手段の内部に堆積された搬送物の堆積量を測定し、
堆積量が所定値以上になったときに、吸引手段が停止していることを条件として、搬送物分離回収手段の下部を開放して、搬送物を外部へ排出する
ことを特徴とする請求項9乃至12いずれか記載の搬送装置の制御方法。
【請求項15】
搬送物吸込口に搬送物を供給する搬送物供給手段の稼働と同期して、吸引手段を駆動するとともに、管路開閉手段を開放させる
ことを特徴とする請求項9乃至14いずれか記載の搬送装置の制御方法。
【請求項16】
各手段の動作は、その終了時点で正常に終了していることを確認し、
正常に終了していない場合は、運転を停止するとともに、異常内容を表示する
ことを特徴とする請求項9乃至15いずれか記載の搬送装置の制御方法。
【請求項17】
複数の機械装置から排出された搬送物を、各機械装置に対応して設置された複数の搬送物吸込口のいずれかを経て回収する
ことを特徴とする請求項9乃至16いずれか記載の搬送装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−290830(P2007−290830A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−122060(P2006−122060)
【出願日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【出願人】(000190297)新キャタピラー三菱株式会社 (1,189)
【Fターム(参考)】