説明

搬送装置及びこれを用いた検体分析装置

【課題】検査効率を向上させることができる搬送装置及びこれを用いた検体分析装置を提供する。
【解決手段】検体を収容した検体容器を保持する複数の検体ラックを、検体測定装置に供給するよう搬送するため搬送装置であって、搬送路下方に配置され、互いに異なる検体ラックとそれぞれ固定的に係合する第一及び第二係合ユニットと、第一及び第二係合ユニットを、それぞれ独立して移動させるための第一及び第二移動機構と、を備える搬送装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液等の検体を収容した検体容器を保持する検体ラックを搬送するための搬送装置及びこれを用いた検体分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血液分析装置や凝固分析装置等の検体の成分を分析する検体分析装置には、検体ラックを用いて検体の供給を行うものがある。この検体ラックは、検体が収容された複数の検体容器を一列に保持した状態で検体分析装置の搬送装置にセットされ、各検体容器が順次所定の検体吸引位置に位置づけられるように搬送装置によって搬送される。そして、検体分析装置は、検体吸引位置に位置づけられた各検体容器から検体を吸引し、その検体の成分を測定するとともに、測定結果に基づいて所定の分析を行う。
【0003】
特許文献1には、このような検体ラックの搬送装置を備えた検体分析装置が開示されている。この搬送装置は、検体ラックを横方向に搬送する横送り部を備え、この横送り部による検体ラックの搬送路上に検体吸引位置が設定されている。横送り部は、検体ラックに係合可能な係合部材を有するラック搬送部と、このラック搬送部を横方向(搬送方向)に移動させる駆動部とを備え、検体ラックの搬送路の下方に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−275567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1において、検体ラックの搬送路上には、分析装置により検体が吸引されていない検体ラックが配置される搬送開始位置と、分析装置による検体の吸引が完了した分析後検体ラックが配置される搬送終了位置と、が設定されている。上記搬送装置は、横送り部によって、横送り開始位置に配置された一の検体ラックを検体吸引位置に位置づけ、分析装置によって一の検体ラックに保持された全ての検体容器から検体が吸引された後、一の検体ラックを搬送終了位置に搬送する。
【0006】
このため、上記搬送装置によって複数の検体ラックを連続的に順次搬送する場合において、分析装置が次の検体ラックを処理可能な状態となったとしても、まず、横送り部によって一の検体ラックを検体吸引位置から搬送終了位置に搬送し、その後、横送り部によって次の検体ラックを搬送開始位置から検体吸引位置に搬送する必要があった。
【0007】
本発明は、複数の検体ラックを順次搬送することが可能であり、検査効率をより向上させることができる搬送装置およびこれを用いた検体分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の観点に係る搬送装置は、検体を収容した検体容器を保持する複数の検体ラックを、順次搬送路上を搬送することで、検体を測定する測定装置に検体を供給するための搬送装置であって、搬送路下方に配置され、互いに異なる検体ラックとそれぞれ固定的に係合する第一及び第二係合ユニットと、第一及び第二係合ユニットを、それぞれ独立して移動させるための第一及び第二移動機構と、を備える。
【0009】
上記構成において、第一及び第二係合ユニットは、それぞれ検体ラックと係合するための一対の係合部材と、検体ラックと固定的に係合するために前記一対の係合部材を動作させる駆動部と、備えていてもよい。
【0010】
また、上記構成において、前記搬送路には、検体ラックと係合した第一係合ユニットの第一移動機構による移動を許容する第一溝と、検体ラックと係合した第二係合ユニットの第二移動機構による移動を許容する第二溝と、が形成されていてもよい。
【0011】
また、上記構成において、一対の係合部材は、検体ラックの搬送方向に関して互いに離反可能に設けられ、駆動部は、一対の係合部材を互いに離反させることで検体ラックの底部に設けられた凹部に対して隙間無く係合させてもよい。
【0012】
また、上記構成において、駆動部は、一対の係合部材を上昇させることで、第一溝又は第二溝を介して、一対の係合部材を凹部に進入させてもよい。
【0013】
また、上記構成において、第一移動機構は、第一溝を介して第一検体ラックと係合した第一係合ユニットを移動させることで、第一検体ラックを搬送路において搬送し、第二移動機構は、第二溝を介して第二検体ラックと係合した第二係合ユニットを移動させることで、第一検体ラックに続いて第二検体ラックを搬送路において搬送してもよい。
【0014】
また、上記構成において、第一及び第二移動機構は、第一及び第二係合ユニットのそれぞれを、検体ラックの搬送方向及び検体ラックの搬送方向とは逆方向に移動させることができてもよい。
【0015】
また、上記構成において、搬送路の搬送開始位置に検体ラックを供給する検体ラック供給部と、検体ラック供給部により第一検体ラックを搬送路の搬送開始位置に供給し、第一係合ユニット及び第一移動機構により第一検体ラックを測定装置に供給するよう搬送し、検体ラック供給部により第二検体ラックを搬送開始位置に供給し、第二係合ユニット及び第二移動機構により第二検体ラックを測定装置に供給するよう搬送するように、第一及び第二係合ユニット、第一及び第二移動機構、及び検体ラック供給部を制御する制御部と、をさらに備えていてもよい。
【0016】
また、上記構成において、搬送路の搬送終了位置から検体ラックを回収する検体ラック回収部をさらに備え、制御部は、第一係合ユニット及び第一移動機構により第一検体ラックを搬送終了位置に搬送し、検体ラック回収部により搬送終了位置から第一検体ラックを回収し、検体ラック供給部により第三検体ラックを搬送開始位置に供給し、第一係合ユニット及び第一移動機構により第三検体ラックを測定装置に供給するよう搬送するように、さらに検体ラック回収部を制御してもよい。
【0017】
本発明の第二の観点に係る検体分析装置は、上記第一の観点に係る搬送装置と、搬送装置の動作を制御する制御部と、搬送装置によって搬送された検体ラックの検体容器から検体を分注し、分注した検体を測定する測定装置と、測定装置による測定結果を分析する分析部と、を備える。
【0018】
上記構成において、搬送路の搬送読取位置の検体容器から識別情報を読み取る読取部をさらに備え、測定装置は、搬送路の検体分注位置の検体容器から検体を分注し、制御部は、第一係合ユニット及び第一移動機構により第一検体ラックの検体容器を検体分注位置に搬送する動作と、第二係合ユニット及び第二移動機構により第二検体ラックの検体容器を情報読取位置に搬送する動作と、を並行して行わせるように搬送装置を制御してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の搬送装置及びこれを用いた検体分析装置によれば、複数の検体ラックを順次搬送することが可能であり、検査効率をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態に係る検体分析装置の全体図である。
【図2】図1に示される検体分析装置における測定装置の全体の概略構成を示す平面図である。
【図3】図2に示される測定装置のブロック図である。
【図4】図3に示される制御ユニットのブロック図である。
【図5】検体容器を保持した状態の検体ラックの斜視図である。
【図6】同検体ラックの正面図である。
【図7】検体ラックの他の例を示す斜視図である。
【図8】検体容器の他の例を示す斜視図である。
【図9】ラック横送り機構を概略的に示す平面図である。
【図10】係合ユニットの要部を概略的に示す側面説明図である。
【図11】係合ユニットが検体ラックに係合する前の状態を示す係合ユニットの正面図である。
【図12】係合ユニットが検体ラックに係合した後の状態を示す係合ユニットの正面図である。
【図13】係合ユニットが他の例に係る検体ラックに係合した後の状態を示す係合ユニットの正面図である。
【図14】係合ユニットの基体を示す斜視図である。
【図15】係合ユニットの作用部材を示す斜視図である。
【図16】一対の係合部材を示す正面説明図である。
【図17】情報処理装置のブロック図である。
【図18】搬送ユニットによって検体ラックを搬送する工程を示す概略平面図である。
【図19】搬送ユニットによって検体ラックを搬送する工程を示す概略平面図である。
【図20】搬送ユニットによって検体ラックを搬送する工程を示す概略平面図である。
【図21】搬送ユニットによる搬送処理動作の手順を示すフローチャートである。
【図22】搬送ユニットによる搬送処理動作の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を用いて、本発明の搬送装置およびこれを用いた検体分析装置の実施の形態を説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
図1は、本発明の一実施の形態に係る検体分析装置の全体図である。本実施の形態の検体分析装置1は、凝固時間法、合成基質法、免疫比濁法および血小板凝集法を用いて検体の光学的な測定および分析を行う血液凝固測定装置である。検体分析装置1は、検体(血液)に含まれる成分を光学的に測定する測定装置2と、測定装置2による測定データを分析する情報処理装置3とによって構成されている。
【0023】
〔測定装置の構成〕
図2は、図1に示した測定装置2の全体の概略構成を示す平面図である。測定装置2は、搬送ユニット(搬送装置)201と、バーコードリーダユニット(読取部)202と、センサユニット203と、第一分注ユニット(分注部)204と、第二分注ユニット(分注部)205と、試薬テーブル206dおよびキュベットテーブル206cを備える第一テーブルユニット206と、第二テーブルユニット207と、キュベット供給ユニット208と、第一キャッチャユニット209と、加温テーブルユニット210と、第二キャッチャユニット211と、第一試薬分注ユニット212と、第三キャッチャユニット213と、第二試薬分注ユニット214と、第三試薬分注ユニット215と、検出ユニット216と、制御ユニット200(図3参照)と、を備えている。
【0024】
図3は図2で示した測定装置2のブロック図である。図3に示すように、制御ユニット200は、搬送ユニット201、バーコードリーダユニット202、センサユニット203、第一分注ユニット204、第二分注ユニット205、第一テーブルユニット206、第二テーブルユニット207、キュベット供給ユニット208、第一キャッチャユニット209、加温テーブルユニット210、第二キャッチャユニット211、第一試薬分注ユニット212、第三キャッチャユニット213、第二試薬分注ユニット214、第三試薬分注ユニット215、および、検出ユニット216と相互に接続されており、各ユニットの動作を制御可能に構成されている。また、制御ユニット200は情報処理装置3と相互に通信可能であるように接続されている。
【0025】
(制御ユニットの構成)
図4は、図3で示した制御ユニット200のブロック図である。制御ユニット200は、図4に示すように、CPU200aと、入出力インターフェース200bと、RAM200cと、通信インターフェース200dと、ROM200eと、により構成されている。CPU200a、入出力インターフェース200b、RAM200c、通信インターフェース200d、および、ROM200eは、バス200fによって接続されている。
【0026】
CPU200aは、ROM200eに記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM200cにロードされたコンピュータプログラムを実行するために設けられている。
ROM200eは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROM等によって構成されており、CPU200aに実行されるコンピュータプログラムおよびこれに用いるデータ等が記録されている。
【0027】
RAM200cは、SRAM又はDRAM等によって構成されている。RAM200c、ROM200eに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU200aの作業領域として利用される。
【0028】
入出力インターフェース200bは、測定装置2の各部へCPU200aからの命令を出力する。また、各部から送信される情報を受信し、それをCPU200aへ送信する。
【0029】
通信インターフェース200dは、Ethernet(登録商標)インターフェースであり、測定装置2は、通信インターフェース200dにより、所定の通信プロトコル(TCP/IP)を使用してLANケーブルにより接続された情報処理装置3との間でデータの送受信が可能である。
【0030】
ここで、検体分析装置1の分析対象となる検体を収容する検体容器と、この検体容器を保持する検体ラックについて説明する。図5は、検体容器を保持した状態の検体ラックの斜視図、図6は正面図である。
検体容器401は、病院等において採取された検体(血液)が収容されている。さらに、検体容器401には、検体容器401を識別するための識別情報が含まれたバーコード402が貼付されている。また、検体容器401には、蓋403が取り付けられている場合もある。
【0031】
検体ラック404には、10個の保持部404aが一列に並べて設けられている。この10個の保持部404aにそれぞれ検体容器401が1本ずつ収容される。保持部404aの大きさより検体容器401の大きさが小さい場合には、アダプタ(図示しない)によって検体容器401の傾斜および転倒を防止する。
【0032】
検体ラック404には検体容器401のバーコード402をバーコードリーダユニット202(図2参照)によって読み取り可能にするための開口部402bが設けられている。さらに、検体ラック404には、検体ラック404を識別するための識別情報が含まれたバーコード405が貼付されている。
【0033】
図6に示すように、検体ラック404の底面には、下方開放状の凹部404bが検体ラック404の長手方向に沿って複数(保持部404aと同数の10個)形成されている。
各凹部404bは、検体ラック404の下部外周壁を構成する壁部404cと、各凹部404b間に配置された壁部404dとによって区画されている。
【0034】
図8は、検体容器の他の例を示す斜視図である。本実施の形態では、図8に示す検体容器406も使用可能とされている。この検体容器406は、図5および図6に示された検体容器401よりも上下方向に短く形成され、容量も小さい。そして、この検体容器406は、下部側406aが検体ラック404の保持部404aに挿入されるとともに、上部側406bが保持部404aの上端縁に係合(載置)されることによって、検体ラック404に保持される。
この検体容器406は、例えば、患者から微量の検体しか採取できない場合や一回の測定しか行わない場合等に使用される。特に、この検体容器406は、後述する微量測定を行う場合に用いることができる。
【0035】
図7は、検体ラックの他の例を示す斜視図である。この検体ラック407は、検体容器401を収容する保持部407aが一列に並べて5個形成され、各保持部407aに1本ずつ検体容器401が収容される。また、検体ラック407の底部には凹部407bが1つだけ形成されている。
【0036】
(搬送ユニットの構成)
図2に示すように、搬送ユニット201は、検体容器401が保持された検体ラック404を搬送可能に構成されている。搬送ユニット201には、検体容器401が保持された検体ラック404を載置可能なラックセット領域A、搬送領域B、およびラック貯留領域Cが設けられている。各領域A〜Cにおいて、検体ラック404は、その長手方向を左右方向に向けた状態で配置される。
【0037】
搬送ユニット201は、ラックセット領域Aにセットされた検体ラック404を矢印Y1の方向(後方)へ搬送し、搬送領域Bに入った検体ラック404を矢印X1,X2の方向(左右方向)へ搬送し、さらにラック貯留領域Cに入った検体ラック404を矢印Y2の方向(前方)へ搬送するように構成されている。
【0038】
ラックセット領域Aは、複数の検体ラック404を前後方向に並べた状態で載置可能に構成されている。また、ラックセット領域Aには、載置された検体ラック404を矢印Y1方向へ搬送するラック送り込み機構(第一ラック搬送機構)A1が設けられている。ラック送り込み機構A1は、ラックセット領域Aに配置された検体ラック404に係合可能に設けられた送り込み部材A11と、この送り込み部材A11をY1方向およびその逆方向(Y2方向)に移動させる移動機構(図示略)とを備えている。送り込み部材A11は、ラックセット領域A上の検体ラック404うち、最もY1方向の上流側に配置された検体ラック404の長手方向両端部の背面側に係合するように配置されている。そして、ラック送り込み機構A1は、移動機構によって送り込み部材A11をY1方向に移動させることで、検体ラック404を矢印Y1方向に搬送し、搬送領域Bに送り込むように構成されている。したがって、ラック送り込み機構A1は、搬送領域Bにおける搬送開始位置に対して検体ラック404を供給する検体ラック供給部を構成する。
【0039】
また、ラックセット領域Aには、同領域Aにおける検体ラック404の有無を検出する検出センサA2が設けられている。検出センサA2は、ラックセット領域AのY1方向の上流端および下流端に設けられた透過型のフォトセンサ等からなり、ラックセット領域Aに検体ラック404が存在すると遮光状態になり、検体ラック404が存在しないと透過状態になるように構成されている。
【0040】
搬送領域Bは、1個の検体ラック404を左右方向に移動させることができる前後幅と、検体ラック404の長さの3倍以上の左右方向の幅とを有する載置スペースを有している。また、搬送領域Bには、ラックセット領域Aと、ラック貯留領域Cとの間において検体ラック404をX1方向およびX2方向に搬送するラック横送り機構(第二ラック搬送機構)B1が設けられている。
【0041】
以下、図2および図9〜図16を参照して、ラック横送り機構B1の詳細な構成について説明する。
図2に示すように、搬送ユニット201の搬送領域Bには、検体ラック404を下方から支持する載置板B2が設けられ、この載置板B2によって検体ラック404の搬送路が形成されている。そして、ラック横送り機構B1は、この載置板B2の下方に配置されている。
【0042】
図9は、ラック横送り機構B1を概略的に示す平面図である。本実施の形態のラック横送り機構B1は、前後に2つ並設されている。各ラック横送り機構B1は、検体ラック404に対して係合可能な係合ユニットB3と、この係合ユニットB3をX1方向およびX2方向に移動させる移動機構B4とを備えている。
【0043】
移動機構B4は、搬送領域Bの両端部に配置された一対のプーリB41と、このプーリB41に掛け渡された搬送ベルトB42と、一方のプーリB41を回転させる電動モータB43と、この電動モータB43の回転数を検出するエンコーダ(位置検出器)B44とを備えている。また、2つのラック横送り機構B1の移動機構B4の搬送ベルトB42はX1,X2方向に沿って互いに平行になるように配置されている。
【0044】
係合ユニットB3は、移動機構B4の搬送ベルトB42に連結され、電動モータB43を作動させることによってX1方向およびX2方向に移動するように構成されている。また、係合ユニットB3の移動量は電動モータB43の回転数としてエンコーダB44によって検出される。電動モータB43は、エンコーダB44の検出結果に基づいて制御ユニット200により動作制御される。また、係合ユニットB3の移動始点位置(スタンバイポジション)と移動終点位置とがX1方向の上流側と下流側とにそれぞれに設定されており、この始点位置および終点位置に配置された係合ユニットB3を検出する透過型のフォトセンサ等からなる検出センサB85,B86が係合ユニットB3に対応して配置されている。
【0045】
図10は、係合ユニットの要部を概略的に示す側面説明図であり、図11は、係合ユニットが検体ラックに係合する前の状態を示す係合ユニットの正面図であり、図12は、係合ユニットが検体ラックに係合した状態を示す係合ユニットの正面図である。
係合ユニットB3は、基体B31と、一対の係合部材B32と、駆動部B33と、昇降ガイドB34と、抵抗付与部材B35と、昇降検出センサB36と、を備えている。
【0046】
図14は、係合ユニットB3の基体B31とこれに取り付けられた部品を示す斜視図である。
図11および図14に示すように、基体B31は、ステンレス等の板材により構成されている。基体B31の上部は、板面が搬送方向X1,X2に沿うように配置されている。
基体B31の上部にはガイドシューB31aが取り付けられ、このガイドシューB31aは、搬送路B2の下方においてX1,X2方向に沿って配置されたガイドレールB5に摺動自在に嵌合している。このガイドレールB5によって、基体B31はX1,X2方向に移動自在に支持されている。
【0047】
また、基体B31の上部には、X1,X2方向に直交する前後方向の軸心回りに回動自在に一対の係合部材B32が取り付けられている。図16は、一対の係合部材B32を示す正面図である。一対の係合部材B32は、X1,X2方向(左右方向)に関して互いに対向するように配置されている。また、一対の係合部材B32は、ステンレス等の板材により形成されており、その板面がX1,X2方向に沿うように配置されている。
【0048】
一対の係合部材B32の上部には係合爪B32aが設けられ、下部には被操作部B32bが設けられ、係合爪B32aと被操作部B32bとの間には左右外側に突出するアーム部B32cが設けられている。
【0049】
アーム部B32cの先端部は、ボルトおよびナットからなる取付具B31bによって基体B31に回動自在に取り付けられている。被操作部B32bの下端には係合ローラB32dが設けられており、この係合ローラB32dは、基体B31に形成された規制孔B31cに移動可能に嵌合されている。規制孔B31cは、取付具B31bを中心とした円弧状(又はこれに類似する長孔状)に形成され、一対の係合部材B32の回動範囲(係合ローラB32dの移動範囲)を所定に規制している。
【0050】
図11および図14に示すように、基体B31の下部には、駆動部B33の駆動源を構成するエアシリンダ(駆動源)B33aがブラケットB33bを介して取り付けられている。このエアシリンダB33aには図示しないコンプレッサから圧縮空気が供給される。
また、エアシリンダB33aは、圧縮空気の供給によって上下方向に昇降運動するロッドB33cを備えている。
【0051】
エアシリンダB33aのロッドB33cの上端には、このエアシリンダB33aと共に駆動部B33を構成する作用部材B33dが固定されている。図15は作用部材B33dを示す斜視図である。この作用部材B33dは、ステンレス板等の板材によって形成され、上部には、一対の係合部材B32の係合ローラB32dが係合する左右方向に長い矩形状の係合孔B33eが形成されている。また、作用部材B33dの下部は、取付ねじB33fによってエアシリンダB33aのロッドB33cに連結されている。
【0052】
エアシリンダB33aのロッドB33cが上下に昇降すると、作用部材B33dが共に上下に昇降し、係合孔B33eに係合された係合ローラB32dを介して一対の係合部材B32が上下に回動する。そして、一対の係合部材B32の係合爪B32aは、上昇しながら互いに離反する動作(図16(b)参照)と、下降しながら互いに接近する動作(図16(a)参照)とを行う。
【0053】
図11に示すように、一対の係合部材B32が下方向に回動している状態では、係合爪B32aが搬送路(載置板)B2より下方に位置しており、検体ラック404には係合しない。そして、図12に示すように、一対の係合部材B32が上方向に回動すると、係合爪B32aが搬送路B2から突出すると共に、検体ラック404の底部に形成された凹部404b内に進入し、一対の係合爪B32aが互いに離反することによって、凹部404bにおけるX1,X2方向両側の壁部404c、404dに当接する。これにより、一対の係合部材B32が検体ラック404に係合し、検体ラック404を搬送可能な状態となる。また、この際、一対の係合部材B32は、検体ラック404に固定的に係合、すなわちX1,X2方向に関して隙間無く係合する。
【0054】
なお、図2および図10に示すように、搬送路B2には、前後に2つの溝B21がX1,X2方向に沿って形成されており、一対の係合部材B32の係合爪B32aは、この溝B21を貫通して搬送路B2上に突出し、この溝B21に沿ってX1,X2方向へ移動可能とされている。
【0055】
係合ユニットB3の昇降ガイドB34は、作用部材B33dの下部の左右一側部(左側)に設けられた上下方向に延びる断面コ字状のガイドレールB34aと、基体B31の下部の左右一側(左側)に設けられ、ガイドレールB34aに摺動可能に嵌合するガイドブロックB34bとからなる。この昇降ガイドB34は、基体B31に対する作用部材B33dの上下昇降運動を案内する。
【0056】
抵抗付与部材B35は、駆動部B33による一対の係合部材B32の回動動作、すなわち検体ラック404に対する係合・離脱動作に抵抗を付与するためのものである。この抵抗付与部材B35は、基体B31に形成された取付片B31dにナットにより固定されたオイル式のショックアブソーバであり、上下方向に向けて配置された外筒B35aと、この外筒の下端部から下方に突出するロッド部B35bとを備えている。ロッド部B35bは、外筒B35a内部に充填されたオイルによって下方への付勢力が付与されており、作用部材B33dの左右他側部(右側)に設けられた当接片B33gに当接している。
【0057】
エアシリンダB33aの作動によって作用部材B33dが上昇すると、抵抗付与部材B35のロッド部B35bがともに上昇するが、下方への付勢力によって作用部材B33dの上昇速度が減速されるように構成されている。したがって、一対の係合部材B32が検体ラック404への係合方向に回動するときの勢いが緩和され、一対の係合部材B32が検体ラック404に強く衝突するのを防止することができる。
【0058】
昇降検出センサB36は、基体B31の左右他側部(右側)に固定された透過型センサ等からなり、エアシリンダB33aの作動によって作用部材B33dが下降すると、この作用部材B33dに形成された検出片B33hによって遮光されるように構成されている。したがって、昇降検出センサB36が透過状態にあると一対の係合部材B32が上昇して検体ラック404に係合していると判断することができ、昇降検出センサB36が検出片B33hによって遮光されると一対の係合部材B32が検体ラックから離脱していると判断することができる。
【0059】
一対の係合部材B32は、X1,X2方向に板面が沿うように配置され、前後方向に関して薄く形成されている。また、係合ユニットB3を構成するエアシリンダB33a、昇降ガイドB34、昇降検出センサB36、および抵抗付与部材B35は、X1,X2方向に並べて配置されている。このような配置によって、係合ユニットB3の全体が前後に薄型化されており、搬送路B2の下方の前後方向に狭い収容スペースに、2つの係合ユニットB3を並設することが可能となっている。
【0060】
図2に示すように、搬送領域Bには第一の検体吸引位置B91と第二の検体吸引位置B92とが設定されている。ラック横送り機構B1によって、これらの位置に位置づけられた検体容器401の検体は、それぞれ第一の分注ユニット204および第二の分注ユニット205によって吸引される。
また、搬送領域Bには検体容器401および検体ラック404にそれぞれ貼付されたバーコード402およびバーコード405を読み取るためのバーコード読取位置B93が設定されている。
【0061】
ラック貯留領域Cは、複数の検体ラック404を前後方向に並べた状態で載置可能に構成されている。また、ラック貯留領域Cには、載置された検体ラック404を矢印Y2方向へ搬送するラック送り出し機構(第三ラック搬送機構)C1が設けられている。ラック送り出し機構C1は、搬送領域Bの搬送終端(左端)に配置された検体ラック404に当接する送り出し部材C11と、この送り出し部材C11をY2方向およびその逆方向(Y1方向)に移動させる移動機構(図示略)とを備えている。そして、ラック送り出し機構C1は、移動機構によって送り出し部材C11をY2方向に移動させることで、検体ラック404をY2方向に1ピッチ分(検体ラック404の短手方向の幅分)移動させ、検体ラック404を搬送領域Bからラック貯留領域Cへ送り出すように構成されている。したがって、ラック送り出し機構C1は、搬送領域Bにおける搬送終了位置から検体ラック404を送り出してラック貯留領域Cに回収する検体ラック回収部を構成する。
【0062】
ラック貯留領域Cには、検体ラック404の有無を検出する検出センサC2が設けられている。この検出センサC2は、透過型又は反射型のフォトセンサ等からなり、ラック貯留領域Cの最も下流側(搬送終端)まで送り出された検体ラック404を検出するように構成されている。
【0063】
(バーコードリーダユニットの構成)
図2に示すように、バーコードリーダユニット202は、バーコード読取位置B93に配置されたバーコード402,405を読み取り可能に構成されている。そして、バーコードリーダユニット202はそれぞれのバーコード402,405に含まれた識別情報を制御ユニット200へ送信可能である。
なお、第一の検体吸引位置B91、第二の検体吸引位置B92、およびバーコード読取位置B93には、それぞれに対応する検出センサB81,B82,B83が設けられている。各検出センサB81,B82,B83は、透過型又は反射型のフォトセンサ等からなり、各位置B91,B92,B93に搬送された検体ラック404および検体容器401を検出するように構成されている。また、搬送領域BにおけるX1方向の上流端(右端)に配置された検体ラック404を検出するための透過型又は反射型のフォトセンサ等からなる検出センサB84が設けられている。
【0064】
(センサユニットの構成)
図2に示すように、センサユニット203は、検体容器401の蓋403の有無を制御ユニット200が判定するための情報を取得可能に構成されている。センサユニット203は、発光器によって検体容器401の上方から発光された光が検体容器401の下方に配置された受光器によって受光されたか否かによって蓋403の有無を検出するように構成されている。
【0065】
(分注ユニットの構成)
図2に示すように、第一分注ユニット204は、搬送ユニット201によって第一の検体吸引位置B91に搬送された検体容器401から検体を吸引し、キュベットテーブル206c上の容器位置206aにあるキュベット217に検体を吐出することが可能なように構成されている。第一分注ユニット204は、ピペットを備えたアーム204aを第一の検体吸引位置B91にまで回動させ、ピペットを介して当該位置B91にある検体容器401から検体を吸引し、さらにアーム204aを容器位置206aにまで回動させて、当該容器位置206aにあるキュベット217に吸引した検体を吐出する。なお、検体容器401に蓋403が取り付けられている場合に、第一分注ユニット204は、蓋403にピペットを貫通させることによって検体を吸引することが可能となっている。
【0066】
第二分注ユニット205は、搬送ユニット201によって第二の検体吸引位置B92に搬送された検体容器401から検体を吸引し、第二テーブルユニット207に保持されたキュベット217に検体を吐出することが可能なように構成されている。また、第二分注ユニット205は、第一分注ユニット204によって検体が分注されかつ容器位置206bに配置されたキュベット217から、測定項目によって予め決定された所定量だけ検体を吸引し、第二テーブルユニット207上のキュベット217に吐出することが可能なように構成されている。
【0067】
第二分注ユニット205は、ピペットを備えたアーム205aを第二の検体吸引位置B92又は容器位置206bにまで回動させ、ピペットを介して当該位置B92又は206bにある検体容器401又はキュベット217から検体を吸引し、さらに、アーム205aを回動させて、第二テーブルユニット207上のキュベット217に検体を吐出する。
【0068】
なお、本実施の形態の検体分析装置1は、標準測定と、微量測定との2種類の測定が可能なように構成されている。標準測定とは、一の測定項目について複数回の測定(通常測定とリフレックステスト等)が可能な量の検体を検体容器401から分注する処理を含む測定処理である。また、微量測定は、一の測定項目について一回の測定が可能な量の検体を検体容器401から分注する処理を含む測定処理である。
【0069】
第一分注ユニット204は、標準測定を行う際に、搬送ユニット201上の第一の検体吸引位置B91で検体容器401から検体を吸引するために用いられる。
また、第二分注ユニット205は、標準測定を行う際に、キュベットテーブル206c上の容器位置206bにおいてキュベット217から検体を吸引するために用いられ、さらに微量測定を行う際に、搬送ユニット201上の第二の検体吸引位置B92において検体容器401から検体を吸引するために用いられる。
【0070】
(テーブルユニットの構成)
図2に示すように、第一テーブルユニット206の試薬テーブル206dは、第一試薬が収容された第一試薬容器212b、第二試薬が収容された第二試薬容器214b、および第三試薬が収容された第三試薬容器215bを保持可能に構成された円形状のテーブルである。試薬テーブル206dは、時計回り方向および反時計回り方向の両方に回転可能である。
【0071】
第一テーブルユニット206のキュベットテーブル206cは、試薬テーブル206dの外側に配置され、複数設けられた挿入孔(図示しない)によってキュベット217を保持可能に構成された円環形状のテーブルである。キュベットテーブル206cは、キュベット217を容器位置206aおよび容器位置206bへ時計回り方向および反時計回り方向の両方に回転して移送可能である。
【0072】
第二テーブルユニット207は、設けられた挿入孔(図示しない)によってキュベット217を保持可能であり、かつスライドレール207a上を左右方向にスライド可能に構成されている。第二テーブルユニット207は、空のキュベット217をスライドレール207aの左端で保持したまま待機し、第二分注ユニット205によって検体が分注されたキュベット217を保持したままスライドレール207aの右端に移動することが可能である。
【0073】
(キュベット供給ユニットの構成)
図2に示すように、キュベット供給ユニット208は、ユーザによって無造作に投入された複数のキュベット217を、キュベット貯留部208aに順次供給することが可能に構成されている。キュベット貯留部208aに供給されたキュベット217は、第二キャッチャユニット211によってキュベットテーブル206cへ、第一キャッチャユニット209によって第二テーブルユニット207へそれぞれ移送される。
【0074】
(キャッチャユニットおよび加温テーブルユニットの構成)
図2に示すように、第一キャッチャユニット209は、スライドレール207aの右端に移動した第二テーブルユニット207に保持されたキュベット217を、加温部210の容器位置210aに移送することが可能に構成されている。また、第一キャッチャユニット209は、スライドレール207aの右端に移動した第二テーブルユニット207にキュベット217が保持されていない場合、キュベット貯留部208aに貯留されたキュベット217を、第二テーブルユニット207に移送する。
【0075】
加温テーブルユニット210は、キュベット217を保持し、キュベット217に収容された検体を所定の温度まで加温可能に構成されている。加温テーブルユニット210は、キュベット217を保持するための挿入孔(図示しない)が複数設けられた円環形状のテーブルであり、時計回り方向および反時計回り方向の両方に回転可能である。加温テーブルユニット210は、容器位置210aにあるキュベット217を、加温するための容器位置(図示しない)および容器位置210bに移送することが可能である。また、加温テーブルユニット210にはヒーター(図示しない)が備えられており、これにより、加温テーブルユニット210に保持されたキュベット217に収容された検体を加温することが可能となる。
【0076】
第二キャッチャユニット211は、円環形状の加温テーブルユニット210に囲まれた位置に設けられ、キュベット217を移送することが可能に構成されている。第二キャッチャユニット211は、加温テーブルユニット210からキュベット217を第一試薬位置212aの上方に移送し、かつその位置にキュベット217を保持可能である。また、第二キャッチャユニット211は、第一試薬が分注されたキュベット217を第一試薬位置212aの上方から加温テーブルユニット210に移送可能である。さらに、第二キャッチャユニット211は、キュベット貯留部208aに貯留されたキュベット217を、キュベットテーブル206cに移送可能である。
【0077】
第三キャッチャユニット213は、第二テーブルユニット207のスライドレール207aと平行に設けられたスライドレール213a上を左右にスライド可能に構成されている。第三キャッチャユニット213は、加温テーブルユニット210上の容器位置210bにあるキュベット217を第二試薬分注位置214a又は第三試薬分注位置215aの上方に移送し、かつその位置に保持可能である。さらに、第三キャッチャユニット213は、第二試薬分注位置214a又は第三試薬分注位置215aの上方にあるキュベット217を検出ユニット216に移送することも可能である。
【0078】
(試薬分注ユニットの構成)
図2に示すように、第一試薬分注ユニット212は、第二キャッチャユニット211によって第一試薬分注位置212aへ移送され、かつ保持されたキュベット217に、第一試薬容器212bに収容された第一試薬を分注可能に構成されている。
【0079】
第二試薬分注ユニット214は、第三キャッチャユニット213によって第二試薬分注位置214aへ移送され、かつその位置に保持されたキュベット217に、第二試薬容器214bに収容された第二試薬を分注することが可能に構成されている。
【0080】
第三試薬分注ユニット215は、第三キャッチャユニット213によって第三試薬分注位置215aの上方へ移送され、かつその位置に保持されたキュベット217に、第三試薬容器215bに収容された第三試薬を分注することが可能に構成されている。
【0081】
(検査ユニットの構成)
図2に示すように、検出ユニット216は、第三キャッチャユニット213によって移送されたキュベット217に収容され、試薬が添加された検体に対して光学的な測定を行うことで、検体の光学的情報を検出することが可能に構成されている。検出ユニット216には、キュベット217を挿入するための挿入孔(図示しない)が複数設けられている。検出ユニット216は、挿入孔に挿入されたキュベット217の検体に光を照射したときに、透過光および散乱光を検出するとともに、検出した透過光に対応する電気信号を出力可能である。
【0082】
〔情報処理装置の構成〕
図1に示すように、情報処理装置3は、コンピュータから構成されている。また、情報処理装置3は、制御部301と、表示部302と、入力デバイス303とを含んでいる。
情報処理装置3は、測定装置2へ測定開始信号を送信したり、測定装置2から受信した識別情報に基づき、ホストコンピュータに対し、測定項目および再測定要否の判定等の情報が含まれた測定オーダを問い合わせたり、受信した測定項目および再測定要否の判定の情報を測定装置2に送信したり、測定装置2から受信した測定結果を分析したりする。
【0083】
図17は、情報処理装置3のブロック図である。制御部301は、CPU301aと、ROM301bと、RAM301cと、ハードディスク301dと、読出装置301eと、入出力インターフェース301fと、画像出力インターフェース301gと、通信インターフェース301iとにより構成されている。CPU301a、ROM301b、RAM301c、ハードディスク301d、読出装置301e、入出力インターフェース301f、画像出力インターフェース301gおよび通信インターフェース301iは、バス301hによって接続されている。
【0084】
CPU301aは、ROM301bに記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM301cにロードされたコンピュータプログラムを実行するために設けられている。
ROM301bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROM等によって構成されており、CPU301aに実行されるコンピュータプログラムおよびこれに用いるデータ等が記録されている。
【0085】
RAM301cは、SRAM又はDRAM等によって構成されている。RAM301cは、ROM301bおよびハードディスク301dに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU301aの作業領域として利用される。
【0086】
ハードディスク301dは、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラム等、CPU301aに実行させるための種々のコンピュータプログラムおよびそのコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。
【0087】
読出装置301eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、又はDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体304等に記録されたコンピュータプログラム又はデータを読み出すことができる。
【0088】
また、ハードディスク301dには、例えば、米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のグラフィカルユーザインターフェース環境を提供するオペレーティングシステムがインストールされている。
【0089】
入出力インターフェース301fは、例えば、USB、IEEE1394、RS−232C等のシリアルインターフェース、SCSI、IDE、IEEE1284等のパラレルインターフェース、およびD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインターフェース等から構成されている。入出力インターフェース301fには、キーボードおよびマウスからなる入力デバイス303が接続されており、ユーザがその入力デバイス303を使用することにより、情報処理装置3にデータを入力することが可能である。また、入出力インターフェース301fには、プリンタ等からなる出力デバイス306が接続されている。
【0090】
通信インターフェース301iは、Ethernet(登録商標)インターフェースであり、情報処理装置3は、通信インターフェース301iにより、所定の通信プロトコル(TCP/IP)を使用してLANケーブルにより接続された測定装置2との間でデータの送受信が可能である。
【0091】
画像出力インターフェース301gは、LCD又はCRT等で構成された表示部302に接続されており、CPU301aから与えられた映像信号を表示部302に出力するようになっている。表示部302は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0092】
(測定装置および情報処理装置の動作)
次に、測定装置2によって検体容器401から検体を吸引し、所定の測定を行うと共に、情報処理装置3によって測定結果の分析を行う動作について簡単に説明する。なお、以下の動作は、測定装置2のCPU200aおよび情報処理装置3のCPU301aの制御によって行われる。また、ここでは搬送ユニット201の動作は省略し、後で詳しく説明する。
【0093】
図2に示すように、測定装置2の起動後、まず、キュベット217は、キュベット供給ユニット208によってキュベット貯留部208aに供給され、このキュベット貯留部208aに貯留されたキュベット217は、第一キャッチャユニット209によって第二テーブルユニット207へ移送されるとともに、第二キャッチャユニット211によってキュベットテーブル206cへ移送される。
【0094】
標準測定を行う場合、キュベットテーブル206cのキュベット217は容器位置206aに移送される。そして、第一分注ユニット204によって、第一の検体吸引位置B91に配置された検体容器401から検体が吸引され、吸引された検体は、キュベットテーブル206cの容器位置206aに配置されたキュベット217に吐出される。
【0095】
その後、キュベットテーブル206cによって、容器位置206aにおいて検体が分注されたキュベット217が容器位置206bに移送される。次に第二分注ユニット205によって、容器位置206bに移送されたキュベット207bの検体のうち30パーセント乃至40パーセントの量の検体が吸引され、第二テーブルユニット207に保持されたキュベット217に吐出される。
【0096】
一方、微量測定を行う場合、第二分注ユニット205によって、第二の検体吸引位置B92に配置された検体容器401から検体が吸引され、吸引された検体は、第二テーブルユニット207に保持されたキュベット217に吐出される。
【0097】
第二テーブルユニット207は、スライドレール207aの右端まで移動し、第二テーブルユニット207に保持されているキュベット217は、第一キャッチャユニット209によって加温テーブルユニット210に移送される。次に、加温部に移送されたキュベット217は、第二キャッチャユニット211によって第一試薬分注位置212aの上方へ移送される。そして、第一試薬分注ユニット212によって、第二キャッチャユニット211によって保持されているキュベット217に第一試薬が分注される。
【0098】
第一試薬が分注されると、第一試薬分注位置212aの上方に保持されているキュベット217は、第二キャッチャユニット211によって再び加温テーブルユニット210に移送される。加温テーブルユニット210は、キュベット217の検体を一定時間加温する。
【0099】
加温テーブルユニット210において加温されているキュベット217の検体が所定の温度に達すると、このキュベット217には第二試薬又は第三試薬が分注される。
第二試薬を分注する場合、キュベット217は、第三キャッチャユニット213によって加温テーブルユニット210の容器位置210bから第二試薬分注位置214aの上方に移送され、第二試薬分注ユニット214によってこのキュベット217に第二試薬が分注される。
【0100】
第三試薬を分注する場合、キュベット217は、第三キャッチャユニット213によって加温テーブルユニット210の容器位置210bから第三試薬分注位置215aの上方に移送され、第三試薬分注ユニット215によってこのキュベット217に第三試薬が分注される。
【0101】
次に、第二試薬又は第三試薬が分注されたキュベット217は、第三キャッチャユニット213によって第二試薬分注位置214a又は第三試薬分注位置215aの上方から検出ユニット216に移送される。次に、検出ユニット216によって、キュベット217の検体に対して光学的な測定が行われる。検出ユニット216は、キュベット217の検体に光を照射したときに検出される透過光および散乱光に対応する電気信号を出力する。
測定装置2は、測定結果を情報処理装置3に送信する。
【0102】
情報処理装置3は、測定装置2から送信された測定結果の分析処理を行う。例えば、測定された各検体の散乱光および透過光等の光学的情報に基づき、検体のプロトロンビン時間(PT)やフィブリノーゲン(Fbg)等の分析結果を算出し、表示部302にその分析結果を表示する。
【0103】
(搬送ユニットの動作)
図21,図22は、搬送ユニット201による検体ラック404の搬送動作の処理手順を示すフローチャートである。また、図18〜図20は、搬送ユニット201によって検体ラック404を搬送する動作を順を追って示す概略平面図である。このフローチャートと、図18〜図20とを参照して搬送ユニット201の動作について説明する。
【0104】
図21のステップS1において、ユーザは、検体容器401を保持した検体ラック404を搬送ユニット201に手動でセットする。図18には、2つの検体ラック404をラックセット領域Aにセットした状態を示す。ついでS2において、ユーザは、手動にて測定装置2及び情報処理装置3を起動する。
【0105】
ステップS3において、測定装置2のCPU200aは、搬送ユニット201のラックセット領域Aにおける検体ラック404の有無を判断する処理を行う。この処理は、検出センサA2によって検体ラック404が検出されたか否かに基づいて行われる。CPU200aは、ラックセット領域Aに検体ラック404がないと判断した場合(No)には、ステップS4に処理を進め、ラック送り込み機構A1によるラック送り込み動作を停止し、送り込み部材A11をY1の反対方向(Y2方向)に後退させる処理を行う。
【0106】
CPU200aは、ラックセット領域Aに検体ラック404があると判断した場合(Yes)には、ステップS5に処理を進め、搬送領域Bにおいて、ラック横送り機構B1の係合ユニットB3を移動始点位置(スタンバイポジション)へ移動させる処理を行う。図18(a)に、係合ユニットB3が移動始点位置に戻された状態を示す。
【0107】
ついでステップS6において、CPU200aは、ラック送り込み機構A1によってラックセット領域Aにセットされた検体ラック404の搬送を開始する処理を行う。この搬送は、図18(a)に示すように、Y1方向の最上流側の検体ラック404の両端部背面に送り込み部材A11を係合させ、この送り込み部材A11をY1方向に移動させることにより行う。
【0108】
ついでステップS7において、CPU200aは、搬送ユニット201のラックセット領域Aにおける検体ラック404の有無を判断する処理を再度行う。この処理は、ラック送り込み機構A1による検体ラック404の搬送途中で、ユーザがラックセット領域Aから検体ラック404を抜き取ってしまった場合等に対応するために行われる。CPU200aは、ラックセット領域Aに検体ラック404がないと判断した場合(No)には、ステップS4に処理を進め、ラック送り込み機構A1によるラック送り込み動作を停止した後、送り込み部材A11をY1の反対方向(Y2方向)に後退させる。
【0109】
ステップS7において、CPU200aが、ラックセット領域Aに検体ラック404があると判断した場合(Yes)には、ステップS8に処理を進め、このステップS8において、検出センサ(ラック到着センサ)B84によって検体ラック404が検出されたか否かを判断する処理を行う。CPU200aは、検出センサB84によって検体ラック404が検出されなかったと判断した場合(No)には、ステップS9に処理を進め、検出センサB84によって検体ラック404が検出されたと判断した場合(Yes)には、ステップS10に処理を進める。
【0110】
ステップS9において、CPU200aは、ラック送り込み機構A1による検体ラック404の送り込み動作を停止し、その数秒後(例えば5秒後)に送り込み動作のエラーを報知するための警報を鳴動させる処理を行う。
【0111】
ステップS10において、CPU200aは、ラック送り込み機構A1による検体ラック404の送り込み動作を停止する処理を行う。
ついでステップS11において、CPU200aは、ラック送り込み機構A1によって検体ラック404を追加的に送り込む動作を行う。この動作は、移動機構の電動モータを数パルス回転させることによって行われ、検体ラック404は、完全に搬送領域Bに送り込まれる。図18(b)に、最もY1方向の下流側に位置する検体ラック404が、完全に搬送領域Bに送り込まれた状態を示す。
【0112】
ついでステップS12において、CPU200aは、検体ラック404が搬送領域Bに完全に送り込まれてから所定時間経過後に、ラック横送り機構B1による検体ラック404の搬送動作を開始し、検体ラック404をバーコード読取位置B93へ向けて移動させる。
この動作は、まず、図11および図12に示すように一方の係合ユニットB3におけるエアシリンダB33aを作動し、同係合ユニットB3の一対の係合部材B32の係合爪B32aを上昇させることによって検体ラック404の底部に設けられた凹部404bのうちX1方向の下流側に配置された凹部404b内に進入させ、さらに一対の係合爪B32aを互いに離反させることによって凹部404bの対向壁部404c、404dに一対の係合爪B32aを当接させる。これにより、一対の係合部材B32は、検体ラック404に対してX1,X2方向に隙間なく係合し、検体ラック404を確実に把持する。そして、移動機構B4の電動モータB43(図9参照)を所定パルス回転させ、係合ユニットB3をX1方向に移動させることによって検体ラック404を搬送する。
【0113】
ステップS13において、CPU200aは、検体ラック404がバーコードリーダユニット202によるバーコード読取位置B93にまで搬送されたか否かを判断する処理を行う。この判断は、検出センサB83によって検体ラック404が検出されたか否かに基づいて行われる。図19(a)には、検体ラック404の先頭の検体容器401がバーコード読取位置B93に位置づけられた様子を示している。
CPU200aは、検体ラック404がバーコードリーダユニット202によるバーコード読取位置B93に搬送されたと判断した場合(Yes)には、ステップS15に処理を進め、バーコード読取位置B93に搬送されていないと判断した場合(No)には、ステップS14に処理を進める。
【0114】
ステップS14において、CPU200aは、ラック横送り機構B1の移動機構B4の動作を停止し、エラーを報知するための警報を鳴動する処理を行う。
【0115】
ステップS15において、CPU200aは、バーコードリーダユニット202によって検体ラック404および全ての検体容器401に貼付されたバーコード405,402を読み取る処理を行う。本実施の形態では、ラック横送り機構B1の係合ユニットB3の一対の係合部材B32が検体ラック404の凹部404bにX1,X2方向に関して隙間無く係合しているので、検体ラック404を精度良く微量ずつ搬送し、この搬送の過程でバーコード405,402をバーコードリーダユニット202によって正確に読み取ることができる。本実施の形態では、検体ラック404の搬送中にバーコードリーダユニット202によって各バーコード405,402を4回ずつ読み取ることによって正確性をより高めている。
【0116】
ついで、ステップS16において、CPU200aは、バーコードリーダユニット202によって読み取られた情報をホストコンピュータに送信し、測定オーダの問い合わせ処理を行う。ホストコンピュータには、検体ラック404に保持されている検体容器401に収容された検体の測定項目およびリフレックステストの有無等の情報が含まれる測定オーダが登録されている。ホストコンピュータは、CPU200aから問い合わせに応じて測定オーダを送信する。
【0117】
ステップS17において、CPU200aは、ホストコンピュータから測定オーダが送信されたか否かを判断する処理を行い、測定オーダが送信されたと判断した場合には、ステップS18に処理を進める。
【0118】
図22のステップS18において、CPU200aは、ステップS17において受信された測定オーダに基づき、ラック404に保持された各検体容器401を、第一の検体吸引位置B91及び第二の検体吸引位置B92のどちらに移動させるかを決定する処理を行う。ステップS19において、CPU200aは、ラック横送り機構B1によるラック404の横送り動作を開始する処理を行う。
【0119】
ステップS20において、CPU200aは、センサユニット203によって、センサユニット203の下方を通過する検体容器401に蓋403が付いているか否かを確認する処理を行う。ステップS21において、CPU200aは、ステップS20の処理の結果に基づき、検体容器401に蓋403がついているか否かを判定する処理を行う。
【0120】
ステップS21において、検体容器401に蓋403が付いていると判定された場合(Yes)、ステップS22において、CPU200aは、蓋403が付いている検体容器401の、ステップS18の処理において決定された検体吸引位置が、第一の検体吸引位置(通常吸引位置)B91であるか否かを判定する処理を行う。
【0121】
ステップS22において、検体容器401の検体吸引位置が第一の検体吸引位置B91ではないと判定された場合(No)、ステップS23において、CPU200aは、ラック横送り機構B1による搬送を停止する処理を行う。この場合、移動機構B4の電動モータB43を停止することによって係合ユニットB3の移動を停止させるとともに、この係合ユニットB3のエアシリンダB33aに対する圧縮空気の供給を停止する。
【0122】
ステップS21において、検体容器401に蓋403が付いていないと判定された場合(No)、又は、ステップS22において、検体容器401の検体吸引位置が第一の検体吸引位置B91であると判定された場合(Yes)は、ステップS24において、CPU200aは、ラック横送り機構B1によって、検体容器401毎の測定オーダに応じて検体ラック404に保持された各検体容器401を第一,第二の検体吸引位置B91,B92に搬送する処理を行う。図19(b)には、検体ラック404の先頭の検体容器401が第一の検体吸引位置B91に位置づけられている状態を示している。
【0123】
例えば、測定オーダが、検体ラック404の1本目の検体容器401(左端の検体容器401)に対して標準測定を行い、2本の検体容器401に対して微量測定を行い、3本目の検体容器401に対して標準測定を行うというものである場合、ラック横送り機構B1は、1本目の検体容器401を第一の検体吸引位置B91に位置づけ、2本目の検体容器401を第二の検体吸引位置B92に位置づけ、3本目の検体容器401を第一の検体吸引位置B91に位置づけるように検体ラック404を搬送する。
【0124】
この場合、ラック横送り機構B1は、検体ラック404をバーコード読取位置B93から第一の検体吸引位置B91までX1方向に搬送し、その後、第一の検体吸引位置B91から第二の検体吸引位置B92までX2方向に搬送し、その後、第二の検体吸引位置B92から第一の検体吸引位置B91までX1方向に搬送する。すなわち、ラック横送り機構B1は、検体ラック404を第一の検体吸引位置B91と第二の検体吸引位置B92との間で往復搬送する。
【0125】
本実施の形態では、ラック横送り機構B1の係合ユニットB3の一対の係合部材B32が、検体ラック404に対してX1,X2方向に隙間無く係合しているので、上記のように第一,第二の検体吸引位置B91,B92の間で検体ラック404を往復搬送しても、搬送ピッチがずれることがない。したがって、検体ラック404に保持された検体容器401を、各検体吸引位置B91,B92に対して直接的に正確に位置づけることが可能となっている。
【0126】
ステップS25において、CPU200aは、各検体容器401が検体吸引位置B91,B92に位置ズレすることなく到着したか否かを判断する処理を行う。この処理は、各検体吸引位置B91,B92に対応して設けられた検出センサB81,B82によって検体容器401が検出されたか否かに基づいて行われる。あるいは、移動機構B4の電動モータB43が搬送すべき距離に相当するパルス数だけ動作したか否かに基づいて行われる。CPU200aは、検体容器401が所定の検体吸引位置B91,B92に位置ズレすることなく到着したと判断した場合(Yes)には、ステップS27に処理を進め、到着していないと判断した場合(No)にはステップS26に処理を進める。
【0127】
ステップS26において、CPU200aは、ラック横送り機構B1による搬送を停止する処理を行う。この場合、移動機構B4の電動モータB43を停止することによって係合ユニットB3の移動を停止させるとともに、この係合ユニットB3のエアシリンダB33aに対する圧縮空気の供給を停止する。これにより、エアシリンダB33aのロッドB33cが下降し、一対の係合部材B32が検体ラック404から離脱するとともに、搬送領域Bの搬送路B2の下方に待避する。したがって、ユーザは異常発生に係る検体ラック404を搬送領域Bから簡単に取り除くことができる。
【0128】
ステップS27において、CPU200aは、第一,第二分注ユニット204,205によって第一,第二の検体吸引位置B91,B92に位置づけられた検体容器401から検体を吸引する処理を行う。また、全ての検体容器401から検体を吸引する処理が完了する前(ステップS27の処理が完了する前)に、CPU200aは、ラックセット領域Aで待機している次の検体ラック404に対して図21のステップS3以降の処理を開始する。
【0129】
すなわち、本実施の形態では、搬送領域Bに2つのラック横送り機構B1が設けられているので、2つの検体ラック404を同時に搬送することができ、一方のラック横送り機構B1によって検体容器401から検体を吸引するための動作を行い、他方のラック横送り機構B1によって検体ラック404および検体容器401に貼付されたバーコード405,402をバーコードリーダユニット202によって読み取るための動作を行うことができる。
【0130】
なお、次の検体ラック404に対しては、先の検体ラック404に対する検体吸引動作の邪魔にならない処理まで、具体的には、検体ラック404および検体容器401のバーコード405,402を読み取り、ホストコンピュータに測定オーダの問い合わせをする処理までを行う(S3〜S17)。双方の検体ラック404を搬送している状態を図20(a)に示す。
【0131】
ついでステップS28において、CPU200aは、検体吸引処理が終了した検体ラック404をX1方向の終点位置(左端)である待避位置まで搬送する。
ついで、ステップS29において、CPU200aは、第一,第二分注ユニット204,205によって吸引した検体に対する全ての測定が終了し、測定結果が取得されたか否かを判断する処理を行う。全ての測定結果が取得されたと判断した場合にはステップS30に処理を進める。
【0132】
ステップS30において、CPU200aは、ラック貯留領域Cに検体ラック404の貯留スペースが残っているか否かを判断する処理を行う。この処理は、検出センサC2によってラック貯留領域CのY2方向の下流端で検体ラック404が検出されたか否かに基づいて行われる。ラック貯留領域Cでは、検体ラック404が1ピッチずつY2方向に搬送されるので、Y2方向の下流端に検体ラック404が存在していればラック貯留領域Cは検体ラック404で埋め尽くされていることになるからである。
【0133】
CPU200aは、ラック貯留領域Cに検体ラック404の貯留スペースが残っていると判断した場合(Yes)には処理をステップS32に進め、貯留スペースが残っていないと判断した場合(No)にはステップS31に処理を進める。このステップS31では、CPU200aは、ラック貯留領域Cが検体ラック404で埋め尽くされている(満タンである)ことを示すエラーを報知するための警報を鳴動する処理を行う。さらに、CPU200aは、ラック横送り機構B1によって、次の検体ラック404を先の検体ラック404と干渉しない位置(例えば、第一の検体吸引位置B91)で停止させる処理を行う。
【0134】
ステップS32において、CPU200aは、ラック送り出し機構C1の送り出し部材C11をY2方向に移動させることによって、検体ラック404をY2方向へ送り出す処理を行う。そして、ステップS33においてラック送り出し機構C1の送り出し部材C11をスタンバイポジションに戻し、動作を完了する。図20(b)には、先の検体ラック404をY2方向に1ピッチ分だけ送り出した状態を示し、次の検体ラック404を検体吸引動作のために第一の検体吸引位置B91に位置づけた状態を示す。
【0135】
以上説明したように、本実施の形態の検体分析装置1は、搬送ユニット201のラック横送り機構B1が、互いの離反動作によって検体ラック404に係合する一対の係合部材B32を備え、この一対の係合部材B32が検体ラック404の凹部404b内にX1,X2方向に関して隙間無く係合するので、一対の係合ユニットB3の移動に精度良く追従させて検体ラック404を搬送することができる。したがって、検体ラック404をX1,X2方向のいずれに搬送する場合でも搬送ピッチが狂うことがない。そのため、標準測定と微量測定とを行うために、第一の検体吸引位置B91と第二の検体吸引位置B92との間で検体ラック404を往復搬送させたとしても、各吸引位置B91,B92に正確に検体容器401を位置づけることができる。
【0136】
また、一対の係合部材B32が検体ラック404の凹部404bに対してX1,X2方向に隙間無く係合し、実質的に検体ラック404を把持しているので、搬送中、検体ラックが前後に傾く(検体ラック404が尻振りする)ことが少なくなる。そのため、各係合部材B32を、前後に薄肉の板材によって構成することができ、係合ユニットB3を前後方向にコンパクトに構成することができる。これにより2つのラック横送り機構B1を並設することが可能となる。
【0137】
また、係合ユニットB3の一対の係合部材B32は、上昇しつつ互いに離反することによって検体ラック404の凹部404bに係合するように構成されており、凹部404b内に進入する前の段階では、凹部404bの対向壁部404c、404dの間隔よりも一対の係合部材B32の左右幅が小さく、凹部404b内に進入してから一対の係合部材B32の左右幅を拡大して壁部404c、404dに当接させるようになっている。そのため、一対の係合部材B32を確実に凹部404b内に進入させてからX1,X2方向に隙間無く係合させることができる。また、図7に示したような、凹部の形状や大きさが異なる検体ラック407に対しても一対の係合部材B32を係合させることができる(図13参照)。
【0138】
また、一対の係合部材B32は、基体B31に回動自在に設けられているので、互いの接近・離反動作と上下昇降動作との2種の動作を簡単な構造で同時に行うことができる。
また、これらの動作を1つのエアシリンダB33aによって行うことができるので、係合ユニットB3の構造をより簡素化することができる。
【0139】
なお、本発明は上記実施の形態に限らず、様々な変形が可能である。
例えば、上記実施の形態では、係合ユニットB3の駆動源がエアシリンダB33aにより構成されているが、液圧シリンダB33aや電磁ソレノイドによって構成することもできる。これらの場合も、検体ラック404の搬送中にエラーが生じたときに駆動源の動力を解除することによって一対の係合部材B32を検体ラック404から係合部材を離脱させることができ、ユーザは搬送領域Bから容易に検体ラックを取り除くことができる。
【0140】
また、係合ユニットB3の一対の係合部材B32は、互いに接近させることによって検体ラック404に係合するように構成してもよい。この場合、一対の係合部材B32をそれぞれ検体ラック404の隣接する2つの凹部404bに進入させ、この2つの凹部404bの境界にある壁部404dを挟み込むようにして一対の係合部材B32を係合させればよい。ただし、上記実施の形態のように、一対の係合部材B32を互いに離反させて検体ラック404に係合させると、凹部が1つだけ形成されたような検体ラック(例えば図7の検体ラック407)に対しても一対の係合部材B32を係合させることが可能となる。
【0141】
上記実施形態では、ラック横送り機構B1が前後に2つ並設されているが、配置スペースがあれば3つ以上併設してもよく、あるいは、ラック横送り機構B1を1つだけとしてもよい。また、上記実施形態では、検体吸引位置B91,B92を2箇所に設定しているが、1箇所又は3箇所以上に設定してもよい。
【0142】
上記実施形態では、測定オーダが操作者によってホストコンピュータに登録されているが、本発明はこれに限らず、測定オーダが操作者によって情報処理装置3に登録されていてもよい。
【0143】
上記実施形態では、検体分析装置は血液凝固測定装置として構成されているが、本発明はこれに限らず、血球計数装置、免疫分析装置又は生化学分析装置として構成されていてもよい。また、上記実施形態では、検体分析装置に搬送ユニットが設けられているが、本発明はこれに限らず、例えば塗抹標本作成装置に搬送ユニットが設けられていてもよい。
【0144】
上記実施の形態では、測定装置に設けられた制御ユニットによって搬送ユニットの搬送機構を動作制御しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、測定装置に設けられた制御ユニットとは別に、搬送ユニット自体に制御ユニットを設けるとともに、この制御ユニットによって搬送ユニットの搬送機構を動作制御してもよい。
【0145】
上記実施の形態では、検体ラック404の底部に形成された凹部404b内に、一対の係合部材B32を進入させ、一対の係合爪B32aを、互いに離反させることによって、凹部404bにおけるX1,X2方向両側の壁部404c、404dに当接させ、これにより、係合ユニットB3を検体ラック404に係合させているが、本発明はこれに限定されるものではなく、検体ラック404の短手方向又は長手方向の下部外周壁を構成する壁部404cの外周部に一対の係合爪B32aをそれぞれ当接させることで係合ユニットB3を検体ラック404に係合させても良い。
【符号の説明】
【0146】
1 検体分析装置
2 測定装置
201 搬送ユニット
202 バーコードリーダユニット
204 第一分注ユニット
205 第二分注ユニット
401 検体容器
404 検体ラック
B1 ラック横送り機構
B3 係合ユニット
B32 係合部材
B33 駆動部
B33a エアシリンダ(駆動源)
B35 抵抗付与部材
B4 移動機構
B91 第一検体吸引位置
B92 第二検体吸引位置
B93 バーコード読取位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を収容した検体容器を保持する複数の検体ラックを、順次搬送路上を搬送することで、検体を測定する測定装置に検体を供給するための搬送装置であって、
搬送路下方に配置され、互いに異なる検体ラックとそれぞれ固定的に係合する第一及び第二係合ユニットと、
第一及び第二係合ユニットを、それぞれ独立して移動させるための第一及び第二移動機構と、を備える搬送装置。
【請求項2】
第一及び第二係合ユニットは、それぞれ検体ラックと係合するための一対の係合部材と、検体ラックと固定的に係合するために前記一対の係合部材を動作させる駆動部と、備える請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記搬送路には、検体ラックと係合した第一係合ユニットの第一移動機構による移動を許容する第一溝と、検体ラックと係合した第二係合ユニットの第二移動機構による移動を許容する第二溝と、が形成されている請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
一対の係合部材は、検体ラックの搬送方向に関して互いに離反可能に設けられ、
駆動部は、一対の係合部材を互いに離反させることで検体ラックの底部に設けられた凹部に対して隙間無く係合させる請求項2又は3に記載の搬送装置。
【請求項5】
駆動部は、一対の係合部材を上昇させることで、第一溝又は第二溝を介して、一対の係合部材を凹部に進入させる請求項3又は4に記載の搬送装置。
【請求項6】
第一移動機構は、第一溝を介して第一検体ラックと係合した第一係合ユニットを移動させることで、第一検体ラックを搬送路において搬送し、
第二移動機構は、第二溝を介して第二検体ラックと係合した第二係合ユニットを移動させることで、第一検体ラックに続いて第二検体ラックを搬送路において搬送する請求項3から5のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項7】
第一及び第二移動機構は、第一及び第二係合ユニットのそれぞれを、検体ラックの搬送方向及び検体ラックの搬送方向とは逆方向に移動させることができる請求項1から6のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項8】
搬送路の搬送開始位置に検体ラックを供給する検体ラック供給部と、
検体ラック供給部により第一検体ラックを搬送路の搬送開始位置に供給し、第一係合ユニット及び第一移動機構により第一検体ラックを測定装置に供給するよう搬送し、検体ラック供給部により第二検体ラックを搬送開始位置に供給し、第二係合ユニット及び第二移動機構により第二検体ラックを測定装置に供給するよう搬送するように、第一及び第二係合ユニット、第一及び第二移動機構、及び検体ラック供給部を制御する制御部と、をさらに備える請求項1から7のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項9】
搬送路の搬送終了位置から検体ラックを回収する検体ラック回収部をさらに備え、
制御部は、第一係合ユニット及び第一移動機構により第一検体ラックを搬送終了位置に搬送し、検体ラック回収部により搬送終了位置から第一検体ラックを回収し、検体ラック供給部により第三検体ラックを搬送開始位置に供給し、第一係合ユニット及び第一移動機構により第三検体ラックを測定装置に供給するよう搬送するように、さらに検体ラック回収部を制御する請求項8に記載の搬送装置。
【請求項10】
請求項1から7のいずれかに記載の搬送装置と、
搬送装置の動作を制御する制御部と、
搬送装置によって搬送された検体ラックの検体容器から検体を分注し、分注した検体を測定する測定装置と、
測定装置による測定結果を分析する分析部と、を備える検体分析装置。
【請求項11】
搬送路の搬送読取位置の検体容器から識別情報を読み取る読取部をさらに備え、
測定装置は、搬送路の検体分注位置の検体容器から検体を分注し、
制御部は、第一係合ユニット及び第一移動機構により第一検体ラックの検体容器を検体分注位置に搬送する動作と、第二係合ユニット及び第二移動機構により第二検体ラックの検体容器を情報読取位置に搬送する動作と、を並行して行わせるように搬送装置を制御する請求項10に記載の検体分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−139502(P2010−139502A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259105(P2009−259105)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【分割の表示】特願2009−258706(P2009−258706)の分割
【原出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】