説明

搬送装置

【課題】簡単な構造でコンパクトな汎用性の高い搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送装置1は、支持手段21に支持されたトレー11の下方位置で、無端の駆動チェーン33をトレー11の循環経路に沿って走行させて、チェーン案内手段32Bによって直進動作の開始位置から終了位置まで案内し、直進動作の終了位置で駆動チェーン33の走行方向を列方向から横方向に変更し、横進動作の開始位置から終了位置まで案内し、横進動作の終了位置で駆動チェーンの走行方向を横方向から列方向に変更する。そして、トレーブロックへの押し当てが直進動作の開始位置から終了位置までの間と横進動作の開始位置から終了位置までの間で交互に行われるように複数のローラアタッチ34を駆動チェーン33に所定のピッチで設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置に関し、例えば自動車生産工場の車両組立ラインで、作業者に対して車両の仕様に応じた部品を提供するために、かかる部品が収納された部品箱を搬送する部品箱搬送装置として用いられる搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車生産工場の車両組立ラインには、搬送コンベアで搬送される車両に対して部品を取り付けるなどの組立作業が行われる作業者用のプラットホームが設けられている。そして、そのプラットホームには、複数種類の部品の中から車両の仕様に応じた部品を作業者に提供するために、係る部品が収納された部品箱を搬送して供給する部品箱搬送装置が設けられている。
【0003】
図14に示す部品箱搬送装置100は、作業者によって部品箱から部品が取り出される前部がプラットホーム側に位置し、部品箱の補充および空箱の取り出しが行われる後部がプラットホームの外側である部品搬入路側に位置するように配置されている。
【0004】
部品箱搬送装置100は、部品箱をそれぞれ載置可能な6個のトレー101と、各トレー101を同一平面上で循環可能に支持する支持手段111と、支持手段111に支持されたトレー101を押し移動させる駆動手段121と、駆動手段121の動きを制御する制御コントローラを有している。
【0005】
支持手段111は、トレー4個分の長さと、トレー2個分の横幅を有している。そして、3個のトレー101を一列に並べたトレー列を、トレー1個分だけ前方に直進可能に支持する前進通路112と、前進通路112と同様に3個のトレー101を一列に並べたトレー列を、トレー1個分だけ後方に直進可能に支持する後退通路113と、前進通路112の終端部に位置する1個のトレー101を後退通路113の始端部まで横進可能に支持する前横進通路114と、後退通路113の終端点に位置する1個のトレー101を前進通路112の始端点まで横進可能に支持する後横進通路115を有している。
【0006】
駆動手段121は、モータの回転を直線運動に変換してレール上のスライダを往復移動させる電動アクチュエータによって構成されており、前進アクチュエータ122、後退アクチュエータ123、前横進アクチュエータ124、後横進アクチュエータ125の4つのアクチュエータが設けられている。
【0007】
前進アクチュエータ122は、前進通路112の始端部に配置されており、前進通路112の始端部に配置されたトレー101を押し移動させて、前進通路112のトレー列全体をトレー1個分だけ前方に直進させるように構成されている。
【0008】
後退アクチュエータ123は、後退通路113の始端部に配置されており、後退通路113の始端部に配置されたトレー101を押し移動させて、後退通路113のトレー列全体をトレー1個分だけ後方に直進させるように構成されている。
【0009】
前横進アクチュエータ124は、前進通路112の終端部に配置されており、前進通路112の終端部に配置されたトレー101を後退通路113の始端部に向かって押し移動させて、前進通路112のトレー列のうちの先頭のトレー101を横進させるように構成されている。
【0010】
後横進アクチュエータ125は、後退通路113の終端部に配置されており、後退通路113の終端部に配置されたトレー101を前進通路112の始端部に向かって押し移動させ、後退通路113のトレー列のうちの先頭のトレー101を横進させるように構成されている。
【0011】
制御コントローラは、シーケンスプログラムコンピュータやリレー回路等によって構成されており、支持手段の近傍に取り付けられた制御盤131内に設けられている。制御コントローラは、各アクチュエータ122〜125を制御して、前進通路112のトレー列と後退通路113のトレー列を列方向に沿って相反する方向に移動させる直進動作と、各トレー列の先頭のトレー101を列方向に直交する方向に移動させる横動動作とを交互に繰り返し実行させて、各トレー101を循環させる制御を行う。制御コントローラは、各トレー101が干渉してデッドロック状態とならないようにするために、各アクチュエータ122〜125の動作を電気的インターロック回路により独立させており、移動方向前側のスペースが必ず空いてから移動させるようにしている。
【0012】
なお、特許文献1には、周状に形成された搬送路上に載せられた台車をチェーンによって移動させる装置が示されている。台車は、予め設定された周状の搬送経路に沿って移動可能に支持されており、チェーンの走行に応じてチェーンと一体に移動される構造を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2001−191223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、部品箱搬送装置において、上記した直進動作と横進動作を交互に繰り返し実行させるためには、駆動手段121として全部で4つの電動アクチュエータ122〜125を必要とする。したがって、装置100の部品コストが高騰し、装置100を安価に提供することができない。また、部品点数が多く、構造も複雑であり、メンテナンスにも手間がかかることから、装置100の製造コストや維持費用を低減することはできない。
【0015】
また、部品箱搬送装置100は、直進時に2つの電動アクチュエータ122、123を駆動させ、横進時に別の2つの電動アクチュエータ124、125を駆動させる必要がある。したがって、これら電動アクチュエータ122〜124の駆動を制御するための制御コントローラや位置検知機器の取り付けが必要となり、制御が複雑化し、大きな制御盤131が必要となる。
【0016】
また、部品箱搬送装置100では、電動アクチュエータ122〜125を用いているが、電動アクチュエータ122〜125は、支持手段111の下部に、より大きな取付スペースを確保しなければならず、装置100の全体高さが高くなり、装置100が大型化するおそれがある。したがって、設置スペースが制限される車両組立ラインの部品棚への併設が困難である。
【0017】
以上、従来の部品箱搬送装置の課題について述べたが、上記課題は直進動作と横進動作を交互に繰り返し実行させて、トレーの上に載せた物体を搬送する一般的な搬送装置にも同様に存在するものである。
【0018】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構造でコンパクトな汎用性の高い搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決する本発明の搬送装置は、複数のトレーが平面上で二列に整列されてなる一対のトレー列を列方向に沿って相反する方向に移動させて各トレー列の列方向先頭のトレーを他方のトレー列よりも突出させる直進動作と、該各トレー列の列方向先頭のトレーを列方向に直交する横方向に移動させて他方のトレー列に移動させる横進動作とを交互に繰り返して前記複数のトレーを循環させる搬送装置であって、前記複数のトレーを列方向および横方向に移動可能に支持する支持手段と、該支持手段に支持されたトレーの下方位置で前記トレーの循環経路に沿って走行するように駆動される無端の駆動チェーンと、前記トレーから下方に突出するトレーブロックと、前記列方向に沿って予め設定された直進動作の開始位置から終了位置まで前記駆動チェーンを案内して直進動作の終了位置で前記駆動チェーンの走行方向を前記列方向から前記横方向に変更し、前記横方向に沿って予め設定された横進動作の開始位置から終了位置まで前記駆動チェーンを案内して横進動作の終了位置で前記駆動チェーンの走行方向を前記横方向から前記列方向に変更するチェーン案内手段と、前記駆動チェーンから上方に向かって突出して、前記直進動作の開始位置から終了位置までの間と前記横進動作の開始位置から終了位置までの間で前記トレーブロックに押し当てられ、該トレーブロックへの押し当てが前記直進動作の開始位置から終了位置までの間と前記横進動作の開始位置から終了位置までの間で交互に行われるように、前記駆動チェーンに所定のピッチで設けられた複数のローラアタッチとを有することを特徴としている。
【0020】
本発明の搬送装置は、支持手段に支持されたトレーの下方位置で、無端の駆動チェーンをトレーの循環経路に沿って走行するように駆動させて、チェーン案内手段によって直進動作の開始位置から終了位置まで案内し、直進動作の終了位置で駆動チェーンの走行方向を列方向から横方向に変更すると共に、横進動作の開始位置から終了位置まで案内し、横進動作の終了位置で駆動チェーンの走行方向を横方向から列方向に変更する。
【0021】
そして、直進動作の開始位置から終了位置までの間と横進動作の開始位置から終了位置までの間でトレーブロックにローラアタッチを押し当てて、そのローラアタッチのトレーブロックへの押し当てが直進動作の開始位置から終了位置までの間と前記横進動作の開始位置から終了位置までの間で交互に行われるように、複数のローラアタッチを駆動チェーンに所定のピッチで設けている。
【0022】
したがって、無端の駆動チェーンを用いて、直進動作と横進動作を交互に繰り返し実行させて、一対のトレー列を平面上で循環させることができる。したがって、例えば車両組立ラインに設定した場合に、部品搬入路側からトレーの上に部品箱Bを載せることで、前進通路を介してプラットホーム側に部品箱を搬送することができ、部品が取り出された空箱を、後退通路を介してプラットホーム側から部品搬入路側に搬送することができる。
【0023】
また、複数の電動アクチュエータを用いた従来装置と比較して、極めてシンプルな構造とすることができ、部品コストを低減して、装置を安価に提供することができる。そして、部品点数が少なく、構造も簡単であることから、メンテナンスが容易であり、装置の製造コストや維持費用を低く抑えることができる。そして、高価な制御コントローラや位置検知機器等を設ける必要がなく、制御盤も省略することができる。したがって、従来装置と比較して、装置の上下方向の高さ幅を小さくすることができ、例えば設置スペースが制限される車両組立ラインの部品棚に容易に併設することができ、高い汎用性を有する。
【0024】
また、本発明の搬送装置は、好ましくは、前記支持手段が、一方のトレー列を列方向に沿って前方に移動可能に支持する前進通路と、該前進通路の側方に沿って設けられて、他方のトレー列を列方向に沿って後方に移動可能に支持する後退通路と、前進通路の終端部に位置する前記前進通路の列方向先頭のトレーを後退通路の始端部に向かって横方向に移動可能に支持する前横進通路と、後退通路の終端部に位置する前記後退通路の列方向先頭のトレーを前進通路の始端部に向かって横方向に移動可能に支持する後横進通路を有し、前記チェーン案内手段が、駆動チェーンを、前進通路の始端部に設定された前記直進動作の開始位置からトレー1個分だけ前方に偏位した位置に設定された前記直進動作の終了位置まで案内し、前進通路の終端部に設定された横進動作の開始位置から後退通路の始端部に設定された横進動作の終了位置まで案内し、後退通路の始端部に設定された前記直進動作の開始位置からトレー1個分だけ後方に偏位した位置に設定された前記直進動作の終了位置まで案内し、後退通路の終端部に設定された横進動作の開始位置から前進通路の始端部に設定された横進動作の終了位置まで案内することを特徴としている。
【0025】
本発明の搬送装置は、好ましくは、前記チェーン案内手段が、前記前進通路の終端部で前記駆動チェーンの走行方向を前方方向から側方方向に変更させる第1スプロケットと、前記後退通路の始端部で前記駆動チェーンの走行方向を側方方向から後方方向に変更させる第2スプロケットと、該第2スプロケットからトレー1個分だけ後方に偏位した位置で前記駆動チェーンの走行方向を後方方向から側方方向に変更させる第3スプロケットと、該第3スプロケットの側方位置で前記駆動チェーンの走行方向を側方方向から前方方向に変更させる第4スプロケットと、前記後退通路の終端部で前記駆動チェーンの走行方向を後方方向から側方方向に変更させる第5スプロケットと、前記前進通路の始端部で前記駆動チェーンの走行方向を前方に変更させる第6スプロケットと、該第6スプロケットからトレー1個分だけ前方に変位した位置で前記駆動チェーンの走行方向を前方方向から側方方向に変更させる第7スプロケットと、該第7スプロケットの側方位置で前記駆動チェーンの走行方向を側方方向から前方方向に向かって変更させる第8スプロケットを有することを特徴としている。
【0026】
本発明の搬送装置は、好ましくは、前記支持手段が、前進通路、後退通路、前横進通路、後横進通路において、前記トレーの逆送を防止するアンチバックを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、直進動作と横進動作とを交互に繰り返し実行させて複数のトレーを循環させる動きを、1条の無端の駆動チェーンによって行わせることができるので、構造が簡単で全体の大きさをコンパクトにすることができる。したがって、スペースが制限される車両生産ラインの部品棚に併設でき、作業者に適切な部品箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】部品箱搬送装置の構成を説明する図。
【図2】支持手段の構成を説明する図。
【図3】トレーの構成を説明する図。
【図4】図1のX方向矢視図。
【図5】部品搬送装置の動作を説明する図。
【図6】前進通路におけるトレーブロックとローラアタッチとの位置関係を説明する図。
【図7】前進通路のトレーを直進動作させた状態を示す図。
【図8】前進通路におけるトレーブロックとローラアタッチとの位置関係を説明する図。
【図9】後退通路のトレーを直進動作させた状態を示す図。
【図10】前進通路の終端部におけるトレーブロックとローラアタッチとの位置関係を説明する図。
【図11】前進通路の終端部から後退通路の始端部にトレーを横進動作させた状態を示す図。
【図12】後退通路の終端部におけるトレーブロックとローラアタッチとの位置関係を説明する図。
【図13】後退通路の終端部から前進通路の始端部にトレーを横進移動させた状態を示す図。
【図14】従来技術を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、本発明の実施の形態について図面を用いて以下に説明する。
図1は、部品箱搬送装置の構成を説明する図、図2は、部品箱搬送装置の支持手段の構成を説明する図、図3は、トレーの構成を説明する図である。
【0030】
部品箱搬送装置1は、本発明の搬送装置が適用された一例を示すものであり、自動車生産工場の車両組立ラインに設けられている。車両組立ラインには、上記の背景技術で述べたようにプラットホームが設けられており、部品箱搬送装置1は、部品箱から部品が取り出される前部がプラットホーム側に位置し、部品箱の補充および空箱の排出が行われる後部が部品搬入路側に位置するように配置されている。なお、本実施の形態では、説明の便宜上、部品箱搬送装置1のプラットホーム側を前方、部品搬入路側を後方、前方に向かって横方向右側を右側、前方に向かって横方向左側を左側という。
【0031】
部品箱搬送装置1は、ローラアタッチ34が一定のピッチで取り付けられた1条の無端の主務チェーン33を用いて、複数のトレー11が平面上で二列に整列されてなる一対のトレー列を列方向に沿って相反する方向に移動させて各トレー列の列方向先頭のトレー11を他方のトレー列よりも突出させる直進動作と、各トレー列の列方向先頭のトレー11を列方向に直交する横方向に移動させて他方のトレー列に移動させる横進動作とを交互に繰り返して、複数のトレー11を平面上で循環させるように構成されている。
【0032】
部品箱搬送装置1は、図1および図2に示すように、複数のトレー11と、各トレー11を同一平面上に同数二列に並べて一対のトレー列とした状態で支持する支持手段21と、支持手段21に支持されたトレー11を直進動作および横進動作させる駆動手段31を有している。
【0033】
トレー11は、部品箱Bを載置可能な大きさを有しており、図3(a)の平面図に示すように平面視略矩形でかつ、図3(b)の正面図に示すように所定の板厚を有する平板部12を有している。平板部12は、図3(a)で左右に示される前端部12aと後端部12b、および、図3(a)で上下に示される左端部12cと右端部12dを有している。
【0034】
平板部12の上面には、部品箱Bを位置決め保持するための部品箱ガイド13が取り付けられている。そして、平板部12の底面には、駆動手段31の主務チェーン33によってトレー11を移動させるためのトレーブロック14〜17が取り付けられている。トレーブロック14〜17は、前進用、後退用、前横進用、後横進用として予め設定された位置にそれぞれ設けられている。
【0035】
前進用のトレーブロック14は、平板部12の下面中央に対して前左側に偏位した位置に配置されており、一定の高さ幅で左右に延在しかつ後方に面する後側面14aを有している。後退用のトレーブロック15は、平板部12の下面中央に対して後右側に偏位した位置に配置されており、一定の高さ幅で左右に延在しかつ前方に向かって面する前側面15aを有している。
【0036】
前横進用のトレーブロック16は、平板部12の下面中央に対して前右側に偏位した位置に配置されており、一定の高さ幅で前後に延在しかつ右側に面する右側面16aを有している。そして、後横進用のトレーブロック17は、平板部12の下面中央に対して後左側に偏位した位置に配置されており、一定の高さ幅で前後に延在しかつ左側に面する左側面17aを有している。
【0037】
支持手段21は、図2(a)の平面図に示すように、ガイドレール25A〜25Dで囲まれる平面視略矩形の枠内に、一方のトレー列を前方に向かって移動可能に支持する前進通路21Aと、前進通路21Aの側方に沿って設けられて他方のトレー列を後方に向かって移動可能に支持する後退通路21Bと、前進通路21Aの終端部21Abに位置するトレー列の列方向先頭のトレーを後退通路21Bの始端部21Baに向かって横方向に移動可能に支持する前横進通路21Cと、後退通路21Bの終端部21Bbに位置するトレー列の列方向先頭のトレーを前進通路21Aの始端部21Aaに向かって横方向に移動可能に支持する後横進通路21Dを形成するように構成されている。
【0038】
支持手段21は、図2(b)に示すように、平板形状を有するベースプレート22と、ベースプレート22の上面に沿って予め設定された高さ位置に設定された搬送面S上でトレー11を水平方向に移動可能に支持するボールキャスター23とローラコンベア24を備えている。
【0039】
ベースプレート22は、図1および図2(a)に示すように、トレー4個分の長さとトレー2個分の横幅を有しており、合計でトレー8個分の大きさを有している。ボールキャスター23は、前進通路21Aの始端部21Aaおよび終端部21Abと、後退通路21Bの始端部21Baおよび終端部21Bbにおいて、複数個が所定間隔をおいて配置されている。ボールキャスター23は、ベースプレート22に脚部が固定され、脚部の先端部にボール部が360度任意の方向に回転自在に支持されており、搬送面Sに沿って任意の方向にトレー11を移動させることができる。
【0040】
ローラコンベア24は、左右に対をなして、前進通路21Aの始端部21Aaと終端部21Abとの間、および、後退通路21Bの始端部21Baと終端部21Bbとの間に亘って配置されている。ローラコンベア24は、前進通路21Aの始端部21Aaと終端部21Abとの間、および、後退通路21Bの始端部21Baと終端部21Bbとの間に亘って支持フレームがそれぞれ配置され、支持フレームの長手方向に所定間隔をおいて複数のローラが回転可能に支持されており、搬送面S上でトレー11を直進させることができる。
【0041】
ベースプレート22には、矩形の枠体を形成してその内部でトレー11を案内するガイドレール25A〜25Eと、トレー11の逆送を防止するアンチバック26A〜26Dが設けられている。
【0042】
各ガイドレール25A〜25Eは、ベースプレート22の上面に沿って搬送面Sと同じ高さ位置で水平に延在して、トレー11の端部12a〜12dに当接してトレー11を直進および横進可能に案内する。
【0043】
ガイドレール25Aは、ベースプレート22の右端部に沿って延在し、前進通路21Aのトレー11の右端部12dに対向して当接するように配置されている。ガイドレール25Bは、ベースプレート22の左端部に沿って延在し、後退通路21Bのトレー11の左端部12cに対向して当接するように配置されている。
【0044】
ガイドレール25Cは、ベースプレート22の前端部に沿って延在し、前横進通路21Cのトレー11の前端部12aに対向して当接するように配置されている。ガイドレール25Dは、ベースプレート22の後端部に沿って延在し、後横進通路21Dのトレー11の後端部12bに対向して当接するように配置されている。
【0045】
ガイドレール25Eは、ベースプレート22の左右方向中央位置で前後方向に延在し、前進通路21Aのトレー11の左端部12cに対向して当接し、後退通路21Bのトレー11の右端部12dに対向して当接するように配置されている。また、ガイドレール25Eは、前横進通路21Cを横進するトレー11の後端部12bに前端部が対向して当接し、後横進通路21Dを横進するトレー11の前端部12aに後端部が対向して当接する構成を有している。
【0046】
したがって、ガイドレール25Aとガイドレール25Eとの間に前進通路21Aが形成され、ガイドレール25Bとガイドレール25Eとの間に後退通路21Bが形成される。そして、ガイドレール25Cとガイドレール25Eの前端部との間に前横進通路21Cが形成され、ガイドレール25Dとガイドレール25Eの後端部との間に後横進通路21Dが形成される。
【0047】
アンチバック26Aは、前進通路21Aにおけるトレー11の逆送を防止するためのものであり、前進通路21Aの始端部21Aaに設けられている。アンチバック26Aは、前進通路21Aで前進通路21Aの始端部21Aaから前方にトレー11が移動するのを許容し、前進通路21Aの始端部21Aaからトレー1個分だけ前方に移動したトレー11の後端部12bに対向して、トレー11の後方への移動を禁止する構成を有している。
【0048】
アンチバック26Bは、後退通路21Bにおけるトレー11の逆送を防止するためのものであり、後退通路21Bの始端部21Baに設けられている。アンチバック26Bは、後退通路21Bで後退通路21Bの始端部21Baから後方にトレー11が移動するのを許容し、後退通路21Bの始端部21Baからトレー1個分だけ後方に移動したトレー11の後端部12bに対向して、トレー11の前方への移動を禁止する構成を有している。
【0049】
アンチバック26Cは、前横進通路21Cを通過したトレー11の逆送を防止するためのものであり、前横進通路21Cに設けられている。アンチバック26Cは、前横進通路21Cを通過して前進通路21Aの終端部21Abから後退通路21Bの始端部21Baにトレー11が移動するのを許容し、後退通路21Bの始端部21Baに移動したトレー11の右端部12dに対向して、トレー11の前進通路21A側への移動を禁止する構成を有している。
【0050】
アンチバック26Dは、後横進通路21Dを通過したトレー11の逆送を防止するためのものであり、後横進通路21Dに設けられている。アンチバック26Dは、後横進通路21Dを通過して後退通路21Bの終端部21Bbから前進通路21Aの始端部21Aaにトレー11が移動するのを許容し、前進通路21Aの始端部21Aaに移動したトレー11の左端部12cに対向して、トレー11の後退通路21B側への移動を禁止する構成を有している。
【0051】
駆動手段31は、主務チェーン33に設けられたローラアタッチ34をトレー11のトレーブロック14〜17に押し当ててトレー11を押し移動させる構成を有している。トレー11の移動は、主務チェーン33をトレー11の移動方向に沿って走行させ、ローラアタッチ34をトレーブロック14〜17に押し当てることによって開始され、主務チェーン33の走行方向をトレー11の移動方向に対して直交する方向に変更してトレーブロック14〜17への押し当てを解除することによって終了される。
【0052】
駆動手段31は、図2に示すように、複数のチェーンスプロケット32A〜32Hと、これら複数のチェーンスプロケット32A〜32Hの間に架け渡される1条の主務チェーン33と、主務チェーン33を一方方向に走行させる駆動モータ35を有している。
【0053】
複数のチェーンスプロケット32A〜32Hは、チェーン案内手段を構成するものであり、トレー11を予め設定された循環経路に沿って移動させるためにベースプレート22の全8箇所に配置され、それぞれ回転自在に支持されている。
【0054】
第1スプロケット32Aは、前進通路21Aの終端部21Abに設けられており、前進通路21Aに沿って前方方向Ffに向かって走行する主務チェーン33の走行方向を前方方向Ffから左側方方向Flに変更させる。
【0055】
第2スプロケット32Bは、後退通路12Bの始端部12Baに設けられており、後退通路21Bに沿って後方方向Fbに向かって走行する主務チェーン33の走行方向を左側方方向Flから後方方向Fbに変更させる。
【0056】
第3スプロケット32Cと第4スプロケット32Dは、後退通路21Bの始端部21Baと終端部21Bbとの間の中間位置でかつ後退通路21Bの始端部21Baからトレー1個分だけ後方に偏位した位置に設けられている。
【0057】
第3スプロケット32Cは、後退通路21Bに沿って後方方向Fbに向かって走行する主務チェーン33の走行方向を後方方向Fbから左側方方向Flに変更させる。第4スプロケット32Dは、第3スプロケット32Cの左側方に設けられており、左側方方向Flに向かって走行する主務チェーン33の走行方向を左側方方向Flから後方方向Fbに変更させる。
【0058】
第5スプロケット32Eは、後退通路21Bの終端部21Bbに設けられており、後退通路21Bに沿って後方方向Fbに向かって走行する主務チェーン33の走行方向を後方方向Fbから右側方方向Frに変更させる。
【0059】
第6スプロケット32Fは、前進通路21Aの始端部21Aaに設けられており、前横進通路21Dに沿って右側方方向Frに向かって走行する主務チェーン33の走行方向を右側方方向Frから前方方向Ffに変更させる。
【0060】
第7スプロケット32Gと第8スプロケット32Hは、前進通路21Aの始端部21Aaと終端部21Abとの中間位置でかつ前進通路21Aの始端部21Aaからトレー1個分だけ前方に偏位した位置に設けられている。
【0061】
第7スプロケット32Gは、前進通路21Aに沿って前方方向Ffに向かって走行してきた主務チェーン33の走行方向を前方方向Ffから右側方方向Frに変更させる。第8スプロケット32Hは、第7スプロケット32Gの右側方に設けられており、右側方方向Frに向かって走行する主務チェーン33の走行方向を右側方方向Frから前方方向Ffに変更させる。
【0062】
主務チェーン33は、外リンクと内リンクを交互に組み合わせて互いにピン結合した一般的な構成を有する無端のローラチェーンであり、ベースプレート22と搬送面Sとの間で水平に延在し、各スプロケット32A〜32Hによって形成された走行経路に沿って走行可能に支持されている。駆動モータ35は、第1スプロケット32Aに連結されており、電源の供給により第1スプロケット32Aを一方方向に走行させて、主務チェーン33を反時計回りに走行させる。
【0063】
主務チェーン33には、所定のピッチを有して合計で4個のローラアタッチ34が取り付けられている。ローラアタッチ34は、主務チェーン33から上方に向かって突出して、トレーブロック14〜17に押し当てられて、トレー11を押し移動させるように構成されている。ローラアタッチ34は、例えば図1のX方向矢視図である図4に示すように、主務チェーン33から上方に向かって軸部34aが突出し、その軸部34aに対して回転自在にローラ部34bが支持されている。
【0064】
主務チェーン33の長さは、下記の式(1)で定義される。
主務チェーンの長さ=ローラアタッチの取り付けピッチ×ローラアタッチの取り付け数・・・(1)
(なお、ローラアタッチの取り付け数は4個)
【0065】
ローラアタッチ34の取り付けピッチは、主務チェーン33を走行させた場合に、前進通路21Aおよび後退通路21bにおける直進動作と、前横進通路21Cおよび後横進通路21Dにおける横進動作とが交互に繰り返し行われるように設定されている。ローラアタッチ34の取り付けピッチは、下記の式(2)で算出される。
ローラアタッチの取り付けピッチ=主務チェーンの横方向移動長さ+主務チェーンの前後方向移動長さ+チェーンスプロケットの円周の1/2+α ・・・(2)
(但し、αはローラ部の直径)
【0066】
次に、上記構成を有する部品搬送装置1の動作について説明する。
図5〜図13は、部品搬送装置の動作を詳細に説明するための図である。例えば、図5には、3個のトレー11−1〜11−3が前進通路21Aに順番に配置されてトレー11−3が前進通路21Aの始端部21Aaに位置し、かつ3個のトレー11−4〜11−6が後退通路21Bに順番に配置されてトレー11−6が後退通路21Bの始端部21Baに位置する配置状態が示されている。
【0067】
かかる配置状態で、駆動モータ35に電源が供給されると、駆動モータ35が回転駆動され、主務チェーン33が反時計回りに走行される。ローラアタッチ34Aは、主務チェーン33の動きに沿って移動される。そして、図6(a)に示すように、前進通路21Aの始端部21Aaにおいて第6スプロケット32Fからトレー11−3の移動方向である前方方向Ffに向かって移動され、図6(b)に示すように、予め設定された開始位置a点で前進通路21Aの始端部21Aaに位置するトレー11−3のトレーブロック14に押し当てられ、トレー11−3を、トレー11−1、11−2と共に列方向に沿って前方に移動させる直進動作が開始される。
【0068】
ローラアタッチ34Aは、図6(c)に示すように、トレー11−3を前進通路21Aの始端部21Aaからトレー1個分だけ移動させた終了位置b点で、第7スプロケット32Gによって走行方向が前方方向Ffから右側方方向Frに変更される。これにより、ローラアタッチ34Aは、トレー11−3のトレーブロック14の後側面14aから離れて、直進動作が終了される。
【0069】
かかる直進動作によって、図7に示すように、前進通路21Aで列方向に沿って前方に移動されたトレー列(トレー11−1〜11−3)は、アンチバック26Aによって逆送が防止され、移動方向先頭のトレー11−1が前進通路の終端部21Abに位置し、前進通路21Aの始端部21Aaにトレー1個分のスペースが形成された配置状態とされる。
【0070】
一方、ローラアタッチ34Cは、図8(a)に示すように、後退通路21Bの始端部21Baにおいて第2スプロケット32Bからトレー11−6の移動方向である後方方向Fbに向かって移動され、ローラアタッチ34Aと同じタイミングで、図8(b)に示すように、予め設定された開始位置e点で後退通路21Bの始端部21Baに位置するトレー11−6のトレーブロック15に押し当てられ、トレー11−6をトレー11−4、11−5と共に列方向に沿って後方に移動させる直進動作が開始される。
【0071】
ローラアタッチ34Cは、図8(c)に示すように、トレー11−6を後退通路21Bの始端部21Baからトレー1個分だけ後方に移動させた終了位置fで、第3スプロケット32Cによって走行方向が後方方向Fbから左側方方向Flに変更される。これにより、ローラアタッチ34Cは、トレー11−6のトレーブロック15の前側面15aから離れて、直進動作が終了される。
【0072】
かかる直進動作によって、図9に示すように、後退通路21Bで列方向に沿って後方に移動されたトレー列(トレー11−4〜11−6)は、アンチバック26Bによって逆送が防止され、移動方向先頭のトレー11−4が後退通路12Bの終端部21Bbに位置し、後退通路21Bの始端部21Baにトレー1個分のスペースが形成された配置状態とされる。
【0073】
このように、ローラアタッチ34A、34Cによって、前進通路21Aの3個のトレー11−1〜11−3を前方に移動させると同時に、後退通路21Bの3個のトレー11−4〜11−6を後方に移動させることができる。
【0074】
したがって、図5に示すように一方のトレー列の列方向先端のトレー11(トレー11−1、11−4)よりも、他方のトレー列の列方向最後尾のトレー11(トレー11−3、11−6)が突出した第1の配置状態から、図7および図9に示すように、一方のトレー列の列方向先頭のトレー11(トレー11−1、11−4)が他方のトレー列の列方向最後尾のトレー11(トレー11−3、11−6)よりも突出した第2の配置状態に配置させることができる。
【0075】
なお、ローラアタッチ34Aは、図6(c)に示すように、終了位置b点を通過して前進通路21Aにおける直進動作を終了すると、トレー11−3のトレーブロック14と17の間、および、トレーブロック15と16の間を通り抜けて、トレーブロック16よりも右側方方向Frの位置まで移動され、第8スプロケット32Hによってその走行方向が右側方方向Frから前方方向Ffに変更され、第1スプロケット32Aに向かって移動される。
【0076】
そして、ローラアタッチ34Cは、図8(c)に示すように、終了位置f点を通過して後退通路21Bにおける直動動作を終了すると、トレー11−6のトレーブロック15と16の間、および、トレーブロック14と17の間を通り抜けて、トレーブロック16よりも左側方方向Flの位置まで移動され、第4スプロケット32Dによってその走行方向が左側方方向Flから後方方向Fbに変更され、第5スプロケット32Eに向かって移動される。
【0077】
また、主務チェーン33のローラアタッチ34Bは、図7および図10に示すように、前進通路21Aの終端部21Abにおいて第1スプロケット32Aからトレー11−1の移動方向である左側方方向Flに向かって移動される。そして、図10に示すように、予め設定された開始位置c点で前進通路21Aの終端部21Bbに位置するトレー11−1のトレーブロック16に押し当てられ、トレー11−1を左側方方向Flに移動させる横進動作が開始される。
【0078】
ローラアタッチ34Bは、図11に示すように、トレー11−1を前進通路21Aの終端部21Abから後退通路21Bの始端部21Baまで移動させた終了位置d点で、第2スプロケット32Bによって走行方向が左側方方向Flから後方方向Fbに変更される。これにより、ローラアタッチ34Bは、トレーブロック16の右側面16aから離れて、横進動作が終了される。
【0079】
かかる横進動作によって、前横進通路21Cを通過したトレー11−1は、図11に示すように、アンチバック26Cによって逆送が防止され、後退通路21Bの始端部21Baに位置し、前進通路21Aの終端部21Abにトレー1個分のスペースが形成された配置状態とされる。
【0080】
一方、ローラアタッチ34Dは、図9および図13に示すように、後退通路21Bの終端部21Bbにおいて第5スプロケット32Eからトレー11−4の移動方向である右側方方向Frに向かって移動される。そして、図12に示されるように、予め設定された開始位置g点で後退通路21Bの終端部21Bbに位置するトレー11−4のトレーブロック17に押し当てられ、トレー11−4を右側方方向Frに横進させる横進動作が開始される。
【0081】
ローラアタッチ34Dは、図13に示すように、トレー11−4を後退通路21Bの終端点21Bbから前進通路21Aの始端部21Aaまで移動させた終了位置h点で、第6スプロケット32Fによって走行方向が右側方方向Frから前方方向Ffに変更される。これにより、ローラアタッチ34Dは、トレーブロック17の左側面17aから離れて、横進動作が終了される。
【0082】
かかる横進動作によって、後横進通路21Dを通過したトレー11−4は、図13に示すように、アンチバック26Dによって逆送が防止され、前進通路21Aの始端部21Aaに位置し、後退通路21Bの終端部21Bbにトレー1個分のスペースが形成された配置状態とされる。
【0083】
このように、ローラアタッチ34B、34Dによって、トレー11−4を前進通路21Aの終端部21Abから後退通路21Bの始端部21Baに移動させると同時に、トレー11−4を後退通路21Bの終端部21Bbから前進通路21Aの始端部21Aaに移動させることができる。
【0084】
したがって、図7および図9に示す第2の配置状態から、各トレー列の列方向先頭に位置するトレー11(トレー11−1、11−4)を他方のトレー列の移動方向最後尾に移動させ、図11および図13に示す第1の配置状態に配置させることができる。
【0085】
なお、ローラアタッチ34Bは、図11に示すように、終了位置d点を通過して前横進通路21Cにおける横進動作を終了すると、後退通路21Bの始端部21Bbにおいて第2スプロケット32Bによってその走行方向が左側方方向Flから後方方向Fbに変更され、トレー11−1のトレーブロック15の前側面15aに押し当てられる。したがって、横進動作に引き続き、ローラアタッチ34Bによるトレー11−1の後方への直進動作を行わせることができる。
【0086】
同様に、ローラアタッチ34Dは、図13に示すように、終了位置h点を通過して後横進通路21Dにおける横進動作が終了すると、前進通路21Aの始端部21Aaにおいて第6スプロケット32Fによってその走行方向が右側方方向Frから前方方向Ffに変更され、トレー11−4のトレーブロック14の後側面14aに押し当てられる。したがって、右側方への横進動作に引き続き、ローラアタッチ34Dによるトレー11−4の前方への直進動作を行わせることができる。
【0087】
したがって、ローラアタッチ34A〜34Dは、直進動作の開始位置から終了位置までの間のトレーブロックへの押し当てと、横進動作の開始位置から終了位置までの間のトレーブロックへの押し当てが交互に行われる。
【0088】
上記構成を有する部品箱搬送装置1によれば、無端の主務チェーン33を用いて、直進動作と横進動作を交互に繰り返し実行させて、一対のトレー列を平面上で循環させることができる。したがって、部品搬入路側からトレー11の上に部品箱Bを載せることで、前進通路21Aを介してプラットホーム側に部品箱Bを搬送することができ、部品が取り出された空箱を、後退通路21Bを介してプラットホーム側から部品搬入路側に搬送することができる。
【0089】
また、例えば複数の電動アクチュエータを用いた従来装置と比較して、極めてシンプルな構造とすることができ、部品コストを低減して、装置を安価に提供することができる。
【0090】
また、部品点数が少なく、構造も簡単であることから、メンテナンスが容易であり、装置の製造コストや維持費用を低く抑えることができる。そして、高価な制御コントローラや位置検知機器等を設ける必要がなく、制御盤も省略することができる。
【0091】
そして、従来装置と比較して、装置の上下方向の高さ幅を小さくすることができ、例えば設置スペースが制限される車両組立ラインの部品棚に容易に併設することができ、高い利用価値が得られる。
【0092】
また、動作機構がほとんどない極めてシンプルな構造のために、余分なスペースが不要となり、装置の大きさを小さくでき、生産ラインの作業者の近くに設置できる。
【0093】
ライン側の部品棚に使用した場合に使用頻度の高い間口は専用部品化し、使用頻度の低い間口を汎用間口とし、本装置1に集中保管し、搬送することで、部品棚設置スペースを格段に小さくすることができる。
【0094】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述の実施の形態では、自動車生産工場の車両組立ラインに用いられる部品箱搬送装置の場合を例に説明したが、搬送する対象物は、部品箱に限定されず、部品等、他の物品であってもよい。
【符号の説明】
【0095】
1 部品箱搬送装置
11 トレー
14、15、16、17 トレーブロック
21 支持手段
21A 前進通路
21B 後退通路
21C 前横進通路
21D 後横進通路
26A〜26D アンチバック
31 駆動手段
32A 第1スプロケット(チェーン案内手段)
32B 第2スプロケット(チェーン案内手段)
32C 第3スプロケット(チェーン案内手段)
32D 第4スプロケット(チェーン案内手段)
32E 第5スプロケット(チェーン案内手段)
32F 第6スプロケット(チェーン案内手段)
32G 第7スプロケット(チェーン案内手段)
32H 第8スプロケット(チェーン案内手段)
33 主務チェーン(駆動チェーン)
34 ローラアタッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のトレーが平面上で二列に整列されてなる一対のトレー列を列方向に沿って相反する方向に移動させて各トレー列の列方向先頭のトレーを他方のトレー列よりも突出させる直進動作と、該各トレー列の列方向先頭のトレーを列方向に直交する横方向に移動させて他方のトレー列に移動させる横進動作とを交互に繰り返して前記複数のトレーを循環させる搬送装置であって、
前記複数のトレーを列方向および横方向に移動可能に支持する支持手段と、
該支持手段に支持されたトレーの下方位置で前記トレーの循環経路に沿って走行するように駆動される無端の駆動チェーンと、
前記トレーから下方に突出するトレーブロックと、
前記列方向に沿って予め設定された直進動作の開始位置から終了位置まで前記駆動チェーンを案内して直進動作の終了位置で前記駆動チェーンの走行方向を前記列方向から前記横方向に変更し、前記横方向に沿って予め設定された横進動作の開始位置から終了位置まで前記駆動チェーンを案内して横進動作の終了位置で前記駆動チェーンの走行方向を前記横方向から前記列方向に変更するチェーン案内手段と、
前記駆動チェーンから上方に向かって突出して、前記直進動作の開始位置から終了位置までの間と前記横進動作の開始位置から終了位置までの間で前記トレーブロックに押し当てられ、該トレーブロックへの押し当てが前記直進動作の開始位置から終了位置までの間と前記横進動作の開始位置から終了位置までの間で交互に行われるように、前記駆動チェーンに所定のピッチで設けられた複数のローラアタッチと、
を有することを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記支持手段は、一方のトレー列を列方向に沿って前方に移動可能に支持する前進通路と、該前進通路の側方に沿って設けられて、他方のトレー列を列方向に沿って後方に移動可能に支持する後退通路と、前進通路の終端部に位置する前記前進通路の列方向先頭のトレーを後退通路の始端部に向かって横方向に移動可能に支持する前横進通路と、後退通路の終端部に位置する前記後退通路の列方向先頭のトレーを前進通路の始端部に向かって横方向に移動可能に支持する後横進通路を有し、
前記チェーン案内手段は、駆動チェーンを、前進通路の始端部に設定された前記直進動作の開始位置からトレー1個分だけ前方に偏位した位置に設定された前記直進動作の終了位置まで案内し、前進通路の終端部に設定された横進動作の開始位置から後退通路の始端部に設定された横進動作の終了位置まで案内し、後退通路の始端部に設定された前記直進動作の開始位置からトレー1個分だけ後方に偏位した位置に設定された前記直進動作の終了位置まで案内し、後退通路の終端部に設定された横進動作の開始位置から前進通路の始端部に設定された横進動作の終了位置まで案内することを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記チェーン案内手段は、
前記前進通路の終端部で前記駆動チェーンの走行方向を前方方向から側方方向に変更させる第1スプロケットと、前記後退通路の始端部で前記駆動チェーンの走行方向を側方方向から後方方向に変更させる第2スプロケットと、該第2スプロケットからトレー1個分だけ後方に偏位した位置で前記駆動チェーンの走行方向を後方方向から側方方向に変更させる第3スプロケットと、該第3スプロケットの側方位置で前記駆動チェーンの走行方向を側方方向から前方方向に変更させる第4スプロケットと、前記後退通路の終端部で前記駆動チェーンの走行方向を後方方向から側方方向に変更させる第5スプロケットと、前記前進通路の始端部で前記駆動チェーンの走行方向を前方に変更させる第6スプロケットと、該第6スプロケットからトレー1個分だけ前方に変位した位置で前記駆動チェーンの走行方向を前方方向から側方方向に変更させる第7スプロケットと、該第7スプロケットの側方位置で前記駆動チェーンの走行方向を側方方向から前方方向に向かって変更させる第8スプロケットを有することを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記支持手段は、前進通路、後退通路、前横進通路、後横進通路において、前記トレーの逆送を防止するアンチバックを有することを特徴とする請求項2又は3に記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−173687(P2011−173687A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39036(P2010−39036)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】