説明

搬送車システム

【課題】 搬送車に効率的に充電できるシステムを提供する。
【構成】 蓄電部材を電源として走行する複数台の搬送車を、所定の走行経路に沿って、地上側コントローラの制御下に走行させる。走行経路は搬送車の蓄電部材への充電設備を備えた充電エリアを備え、搬送車は位置と蓄電部材の残容量とを地上側コントローラへ報告する。地上側コントローラは、蓄電部材の残容量が閾値以下の搬送車を充電エリアへ走行させて、蓄電部材に充電させると共に、搬送要求に応じて充電エリア内の搬送車を充電エリア外の位置へ走行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は搬送車システムに関し、特に2次電池で走行する搬送車のシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
充電可能な2次電池を天井走行車、有軌道台車、無人搬送車等に搭載して、車載の電源とすることが行われている。この点に関して、特許文献1(JPH05-207611A)は、バッテリ交換機を設けて、天井走行車のバッテリを交換することを提案している。ところで2次電池を用いた搬送車システムのためには、電池の残容量を確実に管理でき、搬送車の充電によるロスタイムを最小限にできるシステムが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】JPH05-207611A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の課題は、搬送車に効率的に充電できるシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、蓄電部材を電源として走行する複数台の搬送車を、所定の走行経路に沿って、地上側コントローラの制御下に走行させる搬送車システムであって、
前記走行経路は、搬送車の蓄電部材への充電設備を備えた充電エリアを備え、
搬送車は、位置と蓄電部材の残容量とを地上側コントローラへ報告する手段を備え、
地上側コントローラは、蓄電部材の残容量が閾値以下の搬送車を充電エリアへ走行させて蓄電部材に充電させる充電管理部と、充電エリア内の搬送車を充電エリア外の位置へ走行させる配車管理部、とを備えていることを特徴とする。
【0006】
この発明では、蓄電部材の残容量が閾値以下になると充電エリアで充電し、搬送指令等に応じて充電エリア外に配車する。充電設備は充電エリアに集中的に設けられ、充電エリアは搬送車への充電と搬送車の待機とを行うエリアとなる。このようにして蓄電部材の残容量と搬送車の待機とを一元的に管理できる。
【0007】
好ましくは、充電管理部は、充電エリアから遠い位置にある搬送車に対して閾値を大きくし、充電エリアから近い位置にある搬送車に対して閾値を小さくする。このようにすると、充電エリアまで走行する間に、電池切れが生じることが無く、また電力不足により低速走行する搬送車による渋滞が生じることもない。
【0008】
好ましくは、蓄電部材は単セルもしくはセルユニットを複数直列に接続した2次電池で、前記搬送車は天井走行車で、単セルもしくはセルユニット毎の起電力と内部抵抗、及び2次電池の充放電量と残容量とを地上側コントローラへ報告し、地上側コントローラは、メンテナンスが必要な2次電池を備えた天井走行車を検出する。起電力と内部抵抗に加えて、単セルもしくはセルユニットの温度も報告することが好ましい。残容量は、2次電池全体の残容量でも、単セルもしくはセルユニット毎の残容量でも良い。天井走行車が単セル毎の起電力と内部抵抗を充電時あるいは放電時に報告すると、異常な単セルもしくはセルユニットが有れば検出できる。さらにどれだけの充電量あるいは放電量に対し、2次電池、単セル、もしくはセルユニットの残容量がどれだけ変化したかを報告すると、2次電池の劣化の有無と程度とを検出できる。従ってメンテナンスが必要な2次電池を備えた天井走行車を確実に検出できる。
【0009】
好ましくは、充電設備は非接触給電線とその電源で、特に急速充電機能に対応した給電電力が大きな非接触給電線とその電源で、充電エリア、及び充電エリア以外の走行経路での直線区間の一部、に設けられている。天井走行車は2次電池の残容量が閾値以下で充電エリアで充電し、2次電池の残容量が閾値以上で充電エリア以外の直線区間で充電する。非接触給電線から急速充電すると、天井走行車は停止せずに充電できるので、天井走行車は充電エリア内のほぼ任意の位置で充電できる。また充電エリア外でも非接触給電線が設けられた区間で充電し、充電エリアでの充電をバックアップすると共に、電池容量が異常に低下した場合でも、充電エリアまで走行させることができる。そして充電エリアでは長い時間をかけて、配車が必要になるまでの範囲で、例えば残容量が100%に達するまで充電する。一方充電エリアの外部では、渋滞を起こさない範囲で充電する。残容量が閾値まで低下した際に充電エリアで充電し、閾値まで低下しない場合でも充電エリア外で充電する。なお残容量が大きい天井走行車は、充電エリア外での充電を行わないようにしても良い。
【0010】
好ましくは、天井走行車は、走行モータからの回生電力で2次電池を充電する手段を備えている。天井走行車のモータからの回生電力により2次電池を充電すると、2次電池の残容量の低下を遅らせ、充電回数を減らすことができる。
【0011】
好ましくは、地上側コントローラは、搬送指令の発生頻度が高い時期に前記閾値を小さくし、発生頻度が低い時期に前記閾値を大きくする。搬送指令の発生頻度が高い時期に充電エリアでの充電開始の閾値を小さくし、低い時期に閾値を大きくすると、搬送指令が少ない時期に充電することにより、搬送指令が多い時期に備えることができる。

【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例の天井走行車システムのレイアウトを示す平面図
【図2】実施例での天井走行車のブロック図
【図3】実施例での地上側コントローラのブロック図
【図4】実施例での2次電池の管理を示すブロック図
【図5】実施例での充電のルールを示す図
【図6】実施例での電池寿命の管理アルゴリズムを示す図
【図7】変形例の天井走行車システムのレイアウトを示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明を実施するための最適実施例を示す。この発明の範囲は、特許請求の範囲の記載に基づき、明細書の記載とこの分野での周知技術とを参酌し、当業者の理解に従って定められるべきである。
【実施例】
【0014】
図1〜図6に、実施例の天井走行車システム2を示すが、地上走行の有軌道台車システム、あるいは無軌道の無人搬送車システムなどに適用してもよい。各図において、4はインターベイルート、6はイントラベイルート、8は充電ベイルート、10はメンテナンスベイルートで、12は例えばルート4,6に設けたショートカットである。イントラベイルート6,6間をインターベイルート4で接続し、全てのルート4〜10間に渡って天井走行車が走行できる。なお充電ベイルート8とメンテナンスベイルート10を兼用しても良い。またインターベイルート4,イントラベイルート6等の一部に、例えばルート4,6と平行に、入口側でルート4,6から分岐し、出口側でルート4,6と合流する、充電と退避専用のルート9を設け、ルート9に沿って急速充電対応の非接触給電線14を設けて、充電専用のエリアとしてもよい。ルート8,9に関して重要な点は、充電と退避の専用ルートを設け、天井走行車16が長時間ルート8,9を塞いでも、搬送指令の妨げとならないようにすることである。充電ベイルート8と専用のルート9の何れか一方を設ければ良く、実施例では充電ベイルート8を設けるものとして説明する。
【0015】
充電ベイルート8は天井走行車16の2次電池への充電と、配車前の待機等を行うルートで、受電が難しいカーブ区間と分岐部及び合流部を除いて、急速充電対応の非接触給電線14を走行レール内に設置する。なおカーブ区間等にも非接触給電線14を設けても良い。メンテナンスベイルート10は天井走行車16のメンテナンスを行うルートで、メンテナンスを待つ間、あるいはメンテナンス後の試験走行時等に充電できるように、メンテナンスベイルート10の一部に急速充電対応の非接触給電線14を設ける。な天井走行車16を昇降させるリフター、作業者が天井走行車16を整備するエリア、及びカーブ区間と分岐合流部には非接触給電線14を設けない。ルート8,10の他にルート4,6の直線区間に非接触給電線14を設け、天井走行車16の2次電池を急速充電する。なお2次電池に代えてキャパシタを用いても良く、2次電池の種類は好ましくはリチウムイオン2次電池とする。
【0016】
20は地上側コントローラで、天井走行車16と通信し、搬送指令を割り付ける他に、充電ベイルート8での充電、メンテナンスベイルート10への走行、充電ベイルート8以外の直線区間での充電、ルート4,6への配車、などを指令する。また天井走行車16はルート4,6を走行しながら、直線区間で非接触給電線14から充電すると共に、減速時に走行モータあるいは移載用の昇降モータなどのモータからの回生電力で2次電池を充電する。天井走行車16は、2次電池の残容量が所定の閾値以下に低下すると、コントローラ20からの指示で充電ベイルート8へ走行し充電する。さらに、2次電池の異常、その他のトラブル、及び定期の診断の際に、コントローラ20の指示により、メンテナンスベイルート10へ走行しメンテナンスを受ける。
【0017】
図2に天井走行車16の構成を示す。機上コントローラ22は、地上側コントローラ20と通信すると共に、天井走行車16の全体を制御する。走行モータ等を備えた走行部24により、天井走行車16は天井空間に設けた走行レールに沿って走行する。天井走行車16の移載部26は、図示しない昇降駆動部の横移動、昇降駆動部の鉛直軸回りの回動、昇降駆動部による昇降台の昇降、昇降台に設けたチャックの開閉などにより、図示しないロードポート、バッファ,ストッカなどとの間で、物品を移載する。そして走行部24,移載部26での回生電力で、2次電池28を充電する。2次電池28は例えばリチウムイオン2次電池で、これ以外にニッケル水素電池などでもよく、充電器32とインバータ36とを介して、非接触給電線14から充電され、同様にインバータ36を介して走行部24,移載部26を駆動し、回生電力により充電される。位置センサ34は天井走行車16のルート4〜10に沿った位置を求め、走行部24,移載部26は位置データに基づいて走行や移載の制御を行う。
【0018】
電池管理部30は2次電池28の状態を管理する。2次電池28は単セル、あるいは単セルを複数個直列に接続したセルユニットを、複数個直列に接続したものである。例えば各単セル毎、もしくはセルユニット毎の起電力と内部抵抗及び温度を測定する。内部抵抗は例えば負荷をオン/オフした際、もしくは充電をオン/オフした際の、各電圧変化から測定できる。また直列に接続した複数の単セル、あるいはセルユニットの合計電圧を、2次電池28の出力電圧とする。電池管理部30は、単セル毎もしくはセルユニット毎の状態(起電力、内部抵抗、温度)の他に、2次電池28全体の出力電圧、もしくはセルユニット毎の出力電圧を監視している。電池管理部30はさらに、2次電池28から充放電する際に、充電電流の積算値あるいは放電電流の積算値を記憶し、これに伴う各単セルもしくはセルユニットの状態の変化と、2次電池の出力電圧の変化などを記憶する。2次電池の出力電圧は、電池全体の電圧として管理しても、セルユニット単位の電圧として加算しても良い。温度は単セルあるいはセルユニット毎のデータとして管理しても、2次電池全体のデータとして管理しても良い。
【0019】
2次電池28のトラブルの多くは電池全体の問題ではなく、いずれかの単セル、もしくはセルユニットの問題である。問題の生じた単セルあるいはセルユニットを、メンテナンスベイルート10で点検し、交換等を行う。このため、どの単セルあるいはどのセルユニットのメンテナンスが必要かを特定する。問題のある単セルでは起電力が低下する、内部抵抗が増加する、温度が上昇する、容量が減少する。などの兆候がある。このような単セルを含むセルユニットでも起電力の低下、内部抵抗の増加、温度の上昇、容量の減少などの兆候が生じる。2次電池28の残容量(実際の容量と最大限充電した際の容量の比)は、出力電圧あるいは起電力と、内部抵抗、温度、過去の充電電流の積算値と放電電流の積算値などから推定できる。2次電池に最大限に充電した際の容量(最大容量)は、充電電流の積算値あるいは放電電流の積算値に対して、残容量がどのように変化したかから推定できる。即ち最大容量が低下すると、充電量あるいは放電量当たりの残容量の変化が大きくなり、残容量の変化は起電力の変化、内部抵抗の変化等から求めることができる。なお充電電流あるいは放電電流を積算する代わりに、定電流で充放電が行われているものとして、充電時間などを用いてもよい。
【0020】
図3は地上側コントローラ20の構成を示す。搬送指令管理部40は図示しない上位コントローラからの搬送要求に応じて、天井走行車16に搬送指令を割り当て、その実行状況を管理する。充電管理部42は、天井走行車16毎に、2次電池の残容量を管理し、残容量が所定の閾値P1以下で充電ベイルート8へ走行し充電することを指令し、閾値P2以下でルート4,6の直線区間に設けた非接触給電線14から充電することを指示する。なお閾値P1は例えば20〜40%程度、閾値P2は例えば30〜60%程度で、閾値P2は閾値P1よりも大きな値とする。好ましくは閾値P1を充電ベイルート8から離れた位置ほど高くし、充電ベイルート8に近い位置ほど低くする。また閾値P2を100%とし、ルート4,6に面した非接触給電線14があれば、常時充電するものとしてもよい。
【0021】
配車管理部44は充電ベイルート8から天井走行車16を、ルート4,6へ配車し、搬送指令を割り付け可能にする。例えば先に充電ベイルート8に入った天井走行車16から先に配車すると、充電の進んだ天井走行車16から配車できる。充電ベイルート8を図1のように周回ルートで構成すると、2次電池の残容量が所定値以上の天井走行車16を選択的に配車できる。充電ベイルート8での充電の目標値は残容量が100%であるが、残容量が100%未満でも、必要に応じて配車する。充電電源管理部46は非接触給電線14への電源を管理し、特にルート4,6に設けた非接触給電線14に、天井走行車16が走行して充電を受ける時のみ、給電するように制御する。
【0022】
電池寿命管理部48は2次電池の寿命を管理する。天井走行車16の電池管理部30は単セル毎、あるいはセルユニット毎の起電力、内部抵抗、温度を求め、また残容量と充電量及び放電量の関係を求める。これらのデータは、機上コントローラ22等を介して電池寿命管理部48へ入力され、メンテナンスが必要な単セル、あるいはセルユニットを特定する。また2次電池全体としての最大容量の変化等から、電池の寿命を検出する。なお充電量と放電量の双方を管理せずに、一方のみを管理してもよい。これらのことから、2次電池の単セル毎、もしくはセルユニット毎のメンテナンスの必要性と、2次電池全体としてのメンテナンスの必要性を求めることができる。これらのデータに基づいて、電池寿命管理部48は、メンテナンスが必要な2次電池を備えた天井走行車16を、メンテナンスベイルート10へ走行させる。
【0023】
地上側コントローラ20内の搬送指令ファイル50は、搬送指令とその実行状況とを記憶する。台車情報ファイル52は、各天井走行車16の現在位置と速度、行先、搬送指令の割付の有無、その他の台車情報を記憶する。電池履歴ファイル54は、天井走行車16毎に、単セルまたはセルユニット毎の起電力、内部抵抗、温度の履歴と、充放電量と残容量の変化の履歴等を記憶する。これらのデータは天井走行車16の台車情報の一部で、台車状態ファイル52に記憶しても良い。
【0024】
図4は2次電池28とその管理とを示し、2次電池28へは非接触給電線14から充電器32を介し、インバータ36により充電が行われる。63は非接触給電線14への高周波電源である。インバータ36は2次電池28の出力により、また非接触給電線14のある区間では給電線14からの電力により、走行モータ60と昇降モータなどの移載系モータ61を駆動し、それらの回生電力により2次電池28を充電する。2次電池28の単セル毎、もしくはセルユニット毎の起電力、内部抵抗、温度、2次電池全体の残容量と充放電量などを電池管理部30が求め、これらを充電管理部42と電池寿命管理部48とに報告する。充電管理部42は2次電池の残容量に基づき、充電エリアでの充電、あるいは走行中の充電とを指令する。また電池寿命管理部48はメンテナンスベイルートでのメンテナンスを指令し、地上側コントローラ20のモニターには、どの天井走行車16に対し、2次電池にどのようなメンテナンスを施すかが表示され、係員がメンテナンスを行う。充電電源管理部46は台車の位置と電池の残容量などに基づき、ルート4,6の直線区間に設けた非接触給電線14への給電をオン/オフさせる。
【0025】
図5に充電の制御ルールを示す。天井走行車システム2の全体の状態を表すパラメータとして、搬送負荷の大小がある。これは例えば搬送指令の発生頻度、あるいはその予測値である。搬送負荷が大きい場合、充電ベイルート8での充電よりも搬送を優先し、搬送負荷が小さい場合、なるべく多くの天井走行車16を充電ベイルート8で充電する。このようにして、搬送負荷が小さい際に充電して、搬送負荷が大きい期間を乗り切る。このため充電ベイルート(充電エリア)での充電開始の閾値P1を、搬送負荷が大きい場合には小さくし、例えば下限の20%程度とし、搬送負荷が小さい場合には大きくし、例えば上限の40%程度とする。充電エリアでの充電の終了レベルは例えば残容量が100%であるが、配車管理部44は、充電ベイルート8から、残容量が所定値以上、例えば60%以上、80%以上等、の天井走行車16を配車できる。従って搬送負荷が大きい際には、充電レベルがやや低くても配車され、搬送負荷が小さい際には100%まで充電される。
【0026】
図6は電池寿命の管理アルゴリズムを示し、ステップ1で単セル毎の起電力、内部抵抗、温度などをモニターし、異常のある単セルもしくはセルユニットが発生していれば検出する。ステップ2で、電池の充放電履歴と起電力、内部抵抗、温度等から、最大容量の変化を検出する。そして異常な単セルもしくはセルユニットが発生、あるいは電池の最大容量が全体として低下しているなどの際に、メンテナンスベイルート10への走行を指令し、メンテナンスを受けるようにする。
【0027】
実施例では以下の効果が得られる。
(1) 2次電池への充電と天井走行車の待機及び配車の問題を一括して処理できる。
(2) 充電ベイルート8での充電を行うので、台車がルート4,6などで停止して充電する場合と異なり、渋滞を引き起こさない。また1回充電を開始すると容量が充分高くなるまで充電するので、効率的である。
(3) 一般のルート4,6でも直線区間に非接触給電線14を配置するので、天井走行車16が走行する過程で充電でき、また万一電池切れを起こした際でも、充電ベイルート8まで走行できるようにバックアップできる。非接触給電線14は直線区間にのみ設ければ良く、また走行台数の多い区間にのみ設ければよい。
(4) 2次電池28の状態を単セル毎にあるいはセルユニット毎に監視し、2次電池全体の最大容量の変化も監視する。このようにして的確なメンテナンスを行い、かつ電池切れで走行できない天井走行車が生じないようにする。
【0028】
なお実施例では充電に非接触給電線14を用いたが、接触式の充電器を地上側に、充電カプラを天井走行車側に設けても良い。この場合、天井走行車を停止させ、充電カプラを充電器に接続して充電する。接触式の充電器の利点は、非接触給電に比べ大きな電流で充電できることにある。しかし充電器を設けると、充電ベイルート8内で天井走行車16の前詰めを行うため、頻繁に充電を中断する必要がある。また充電カプラをルート4,6に設置すると、天井走行車16が停止するため渋滞の原因となる。
【0029】
図7に変形例の天井走行車システム70を示し、特に指摘した点以外は図1〜図6の実施例と同様で、天井走行車16,地上側コントローラ20等は説明を省略する。専用の充電ベイルート8を設ける変わりに、多数の充電ルート77を配置する。各充電ルート77は両端がインターベイルート4あるいはイントラベイルート6,78に接続されてループを構成し、充電器80が多数設けられている。充電ルート77はルート4,6の内部に設けても、外側に設けても良い。また天井走行車には接触式の充電カプラを設ける。そして充電ルート77を他のルート4,6よりも多数配置したイントラベイルート78を、実施例での充電ベイルート8として運用する。なおイントラベイルート78は、通常のロードポート等を備えたイントラベイルートとしても運用する。このようにして、充電専用のルート8を設けることができない場合に対応する。
【0030】
容量が閾値以下に低下した際の充電は基本的にイントラベイルート78で行い、ルート78には充電ルート77が多数有るので、複数のルート77の先端の天井走行車の内で、最も充電が進んだ天井走行車から通常の作業へ復帰させ、いずれかの空きのあるルート77で新たな天井走行車の充電を開始する。またルート77内に新たな天井走行車が進入すると、充電器80を前詰めで使用するように、停止位置を変える。そしてイントラベイルート78は天井走行車の待機ルートを兼ねる。
【0031】
ルート4,6に設けた充電ルート77は、例えば充電容量とは関わりなく、天井走行車の待機場所として使用し、待機中に充電する。また充電の必要がある天井走行車が発生すると、地上側コントローラ20からの追い出し指令により、充電中の天井走行車を移動させて、空きの充電器を発生させる。

【符号の説明】
【0032】
2,70 天井走行車システム
4 インターベイルート
6,78 イントラベイルート
8 充電ベイルート
9 ルート
10 メンテナンスベイルート
12 ショートカット
14 非接触給電線
16 天井走行車
20 地上側コントローラ
22 機上コントローラ
24 走行部
26 移載部
28 2次電池
30 電池管理部
32 充電器
34 位置センサ
36 インバータ
40 搬送指令管理部
42 充電管理部
44 配車管理部
46 充電電源管理部
48 電池寿命管理部
50 搬送指令ファイル
52 台車状態ファイル
54 電池履歴ファイル
60 走行モータ
61 移載系モータ
63 電源
77 充電ルート
80 充電器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電部材を電源として走行する複数台の搬送車を、所定の走行経路に沿って、地上側コントローラの制御下に走行させるシステムであって、
前記走行経路は、搬送車の蓄電部材への充電設備を備えた充電エリアを備え、
搬送車は、位置と蓄電部材の残容量とを地上側コントローラへ報告する手段を備え、
地上側コントローラは、蓄電部材の残容量が閾値以下の搬送車を充電エリアへ走行させて蓄電部材に充電させる充電管理部と、充電エリア内の搬送車を充電エリア外の位置へ走行させる配車管理部、とを備えていることを特徴とする、搬送車システム。
【請求項2】
前記充電管理部は、充電エリアから遠い位置にある搬送車に対して前記閾値を大きくし、充電エリアから近い位置にある搬送車に対して前記閾値を小さくすることを特徴とする、請求項1の搬送車システム。
【請求項3】
前記蓄電部材は単セルもしくはセルユニットを複数直列に接続した2次電池で、前記搬送車は天井走行車で、単セルもしくはセルユニット毎の起電力と内部抵抗、及び2次電池の充放電量と残容量とを地上側コントローラへ報告し、
地上側コントローラは、メンテナンスが必要な2次電池を備えた天井走行車を検出することを特徴とする、請求項1または2の搬送車システム。
【請求項4】
前記充電設備は非接触給電線とその電源で、前記充電エリア、及び充電エリア以外の走行経路での直線区間の一部、に設けられ、前記天井走行車は2次電池の残容量が前記閾値以下で充電エリアで充電し、2次電池の残容量が前記閾値以上で充電エリア以外の直線区間で充電することを特徴とする、請求項3の搬送車システム。
【請求項5】
前記天井走行車は、走行モータからの回生電力で2次電池を充電する手段を備えていることを特徴とする、請求項3または4の搬送車システム。
【請求項6】
前記地上側コントローラは、搬送指令の発生頻度が高い時期に前記閾値を小さくし、発生頻度が低い時期に前記閾値を大きくすることを特徴とする、請求項3〜5のいずれかの搬送車システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−38134(P2012−38134A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178463(P2010−178463)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】