説明

携帯型センサ装置及び患者モニタ

【課題】携帯型センサ装置による患者モニタの操作性を改善する。
【解決手段】携帯型センサ装置1aはホース2aにて動脈カテーテル3aに接続される。電子圧力センサ13aはハウジング12aに収容される。センサ信号は患者モニタインターフェース14aに接続されたケーブル10aを経て患者モニタ15に出力される。アナログセンサ信号のチャンネルの他、センサ装置1aと患者モニタ15で通信すべく追加的チャンネルが備わる。双方向チャンネルは性別、身長/体重等の患者データを記録するメモリモジュール18aへの書込及び検索に使う。識別チャンネルを経て識別信号が識別コンポーネント20aにより読出される。どのタイプのセンサ装置かを患者モニタ15に識別させるセンサタイプ識別子であると有利である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯型センサ装置に関し、特に、患者の体の測定位置において生理学的変数を測定する電子センサコンポーネント、前記電子センサコンポーネントと前記測定位置の間の測定接続を確立するための測定位置接続手段に前記電子センサコンポーネントを接続する測定位置インターフェース、前記電子センサコンポーネントと患者モニタの間の信号接続を確立するための患者モニタ接続手段に前記電子センサコンポーネントを接続する患者モニタインターフェース、並びに、前記電子センサコンポーネント、前記測定位置インターフェース及び前記患者モニタインターフェースを収容するセンサハウジングを備える携帯型センサに関する。
【0002】
更に、この発明は、患者モニタに関し、特に、最初に述べたタイプの携帯型センサ装置と患者モニタの間の信号接続を確立するために患者モニタ接続手段に接続するセンサインターフェースを備える患者モニタに関する。
【背景技術】
【0003】
このような携帯型センサ装置及び関連する患者モニタは、臨床用途から種々の形態で周知である。とりわけ、動脈カテーテルを用いる血管内血圧測定方法で測定された血圧をモニタする患者モニタは、従来より広く普及している。この技術では、測定位置における液圧は圧力ホースを通って携帯型センサ装置に伝わる。この携帯型センサ装置は、基本的にはハウジングに包まれた電子圧力センサから成り、適宜のケーブルを用いてセンサ信号を出力するために患者モニタにプラグ接続される。
【0004】
該当するセンサ装置及び患者モニタは、例えば、本出願人プウルジョン メデカル システムズ アクチエンゲゼルシャフト(PULSION Medical Systems AG)から、「PiCCo technology」(登録商標)として市販されている。
【0005】
最初に述べたタイプの携帯型センサ装置及び関連する患者モニタの臨床用途において、センサ装置の使用に関連する、又は、その使用のために実際に要求されるデータを患者モニタに入力しなければならない結果として、臨床現場人員に追加的な重圧になるという問題が生じる。それらデータは、例えば、患者のデータ、キャリブレーションデータ、あるいは、センサタイプのデータなどである。かかるデータ入力は、臨床現場人員に時間と駐印を要求するのであり、従って、それに相応して、時間と患者への注意力とを減らす。データ入力に要求される時間の消費とそれに付随する雑念は、しばしば許容できるかもしれないが、一般には、間違いやすさを増す。そして、より頻繁にデータ入力する必要があるほど、そうなる。
【0006】
不正確なデータ入力は、さらに、例えば、生理学的パラメータが不正確な患者の体重で正規化されてしまうなど、不正確な診断結果につながる。
【0007】
しばしば、患者は、臨床において幾つかのステージを通過する。例えば、緊急入院、集中治療室における術前滞在、手術室における外科処置、及び、集中治療室における術後滞在のように、患者モニタ手段を用いて生理学的変数をモニタすることを要求するステージである。当該患者モニタに対する包括的なデータの入力が、その都度要求されるならば、上述した問題は、より一層著しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の問題に鑑みて、本発明は、データ入力の手間を少なくした携帯型センサ装置及び関連する患者モニタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明によれば、データ信号の送信のためのチャンネルとともに、センサ装置と患者モニタの間でデータを送信するために提供された追加的なチャンネルを提供することにより、この目的は達せられる。ここで、単にデータ信号をセンサ装置から患者モニタへ送るデータの送信を可能にする実施形態に限らず、患者モニタからセンサ装置へのデータの送信を可能にする実施形態もまた有利である。これら2つの実施形態を組み合わせることが特に好ましい。
【0010】
前記患者モニタにおけるデータ入力は、しばしば、患者モニタとセンサ装置の相互作用の役に立つ。この相互作用は、この発明によれば、単にデータ信号(例えばセンサタイプ識別子またはキャリブレーション値)をセンサ装置から患者モニタへ送るところのデータの送信を用いて改善できるのみならず、患者モニタからセンサ装置へのデータの送信を用いても改善できる。
【0011】
この発明の一面によれば、根底にある目的は、したがって、上述されたセンサ装置であって、患者モニタからのデータ信号を受信するための入力チャンネルを含む患者モニタインターフェースと、データ信号によって影響される少なくとも1つの追加的電子コンポーネントを含む携帯型センサ装置を提供することにより達成される。
【0012】
前記データ信号は、好ましくは、デジタル信号であるが、この発明は、アナログ信号(例えば変調信号)でも有利に実施できる。
【0013】
この発明の別の一面によれば、根底にある目的は、この発明に係る携帯型センサ装置との信号接続を確立するための患者モニタ接続手段を接続するセンサインターフェースを含む患者モニタであって、前記センサインターフェースが、前記携帯型センサ装置に、前記患者モニタ接続手段を経由して、データ信号を出力するためのデータ出力チャンネルを有するものを提供することにより達成される。
【0014】
好ましくは、センサ装置の少なくとも1つの追加的電子コンポーネントが、患者データを記憶するメモリであるか、又は、該メモリを含む。こうして、年齢、性別、身長、あるいは、体重などのような患者データであるとか、さらには、適用できるならば肥満指数、特定の体表面積など患者データに基づく変数であって、患者モニタに事前に入力されるか、又は、前記モニタによって算出されるものを、センサ装置に読み出すことができる。患者が、臨床において、例えば、緊急入院、集中治療室における術前滞在、手術室における外科処置、及び、集中治療室における術後滞在などのような、幾つかのステージを通過するのであっても、それぞれの患者モニタに、その都度データを入力する必要がない。それどころか、最初に使用される患者モニタにデータを入力するだけで十分である。携帯型センサ装置は、電子的な患者ID(例えば、患者のベッド脇のホルダー、患者の上腕部のストラップ又は胸部ストラップなど)として、患者のもとに残してよく、且つ、使用される他の全ての患者モニタにデータを提供できる。上述したタイプの患者データは、規定された生理学的パラメータを適宜の方法で正規化するためであるとか、あるいは、診断上のサポートとなる或る出力を可能にするために、、すなわち、例えば所定のパラメータが危険な値であると推測されるときや、所定のパラメータが或る状況において確かに計算できないときに警報を発するために、ときとして、患者モニタに必要となる。例えば、その閾値より上(又は下)で特定の血行動態パラメータが危険とみなされる閾値に関して、全く違う閾値が小児患者又は老人患者に用いうるし、あるいは、或るパラメータは、身長、体重、肥満指数などで正規化されている場合だけ、診断上で有意義である。
【0015】
前述した特殊の実施形態は、記憶されたデータを他の患者モニタに出力するためのチャンネルを必要とするものであるが、記憶されたデータを患者モニタに出力するためのチャンネルが提供されなくとも、患者モニタからセンサ装置へのデータの送信は、臨床人員におけるストレスを減らす。例えば、以下に説明されるように、患者データに依拠する警報機能は、患者モニタにではなく、センサ装置に実装できる。患者モニタとセンサ装置の間の正しい通信のためのアダプテーション機能は、モニタ側にではなくて、センサ側に実装できる(例えば、当該患者モニタ接続の入力インピーダンスのセンサ接続アダプテーションに代えて、センサ装置の出力インピーダンスのモニタ接続アダプテーション)。
【0016】
好ましい実施形態によれば、センサ装置は、視覚及び聴覚の少なくとも一方に係る出力装置を有する。好ましくは、出力装置は、例えば、1又は複数の発光ダイオード、小型の液晶ディスプレイ、対応するスピーカを有する電子的サウンドチップなどである。センサ装置が、どのように電子的に装備されているかに拠って、かかる出力装置は、対応するセンサ装置の対応するコンポーネントによって又は患者モニタにより直接的に、センサ装置の入力チャンネルを介して、制御される。これにより、例えば、生理学的パラメータの危険な閾値に到達していない又は超過しているかどうかの警報、患者モニタとセンサ装置間の通信問題の場合の警報、或いは、その他の技術的問題の場合の警報など、種々の警報機能が有利に実装できる。単なる警報機能に代えて、又は、それに加えて、例えば、液晶ディスプレイによる患者データの表示など、より複雑な表示機能が実装されてもよい。かかる出力装置は、センサハウジング内に統合することができる。しかし、そのようにする必要もなく、例えば、プラグイン式の追加的モジュールなどを適用してもよい。
【0017】
この発明のとりわけ好ましい実施形態によれば、電子センサコンポーネントは、圧力及び流動(血圧及び血流)の少なくとも何れか一方を測定するよう構成される。一般に、従来技術から周知のセンサ技術は、この目的のために提供される。すなわち、例えば静電容量膜圧力変換器、或いは、ピエゾ圧力変換器などである。
【0018】
好ましくは、測定位置インターフェースは、電子センサコンポーネントと測定位置の間の液圧的接続を確立する圧力伝達ホース部材を接続するよう構成される。例えば、ルアーロックコネクタとしての実装が可能である。好ましくは、圧力管路インターフェースは、圧力伝送ホース部材と追加的センサの間の液圧的接続を確立するための第2のセンサ接続手段に携帯型センサ装置を接続するよう提供される。これにより、2つの圧力センサが圧力管路に接続される、すなわちこの発明に係るセンサ装置が、例えば従来のセンサ装置と圧力測定カテーテルの間に接続されるので、2つのモニタ(例えば、パルス輪郭分析を用いて血行パラメータを特定するための患者モニタと、よりシンプルな血圧モニタ)が同時に、対応する互換性のあるセンサとともに動作させうる。
【0019】
好ましくは、携帯型センサ装置は、その最大の広さでは100ミリメートルより小さいもの及び100グラムよりも軽量であるものの少なくとも何れか一方であり、そのことは、例えば上述したように、交換する患者モニタへの患者データの移動をできるようにするべく、センサが幾つかの部署にわたり患者とともにあるものと想定するならば、とりわけ有利である。患者のベット脇に取り付けられるように、センサハウジングは、好ましくは機械的なホルダコネクタを有しており、そのホルダコネクタが患者のベッド脇のホルダにセンサ装置を好ましくは道具無しで取り付けること、並びに、好ましくは道具無しで、このホルダからセンサ装置を取り外すことを可能とする。とりわけ好ましい実施形態によれば、ホルダコネクタは、臨床実務で使用される種々のホルダ板システムへの接続性がとりわけ保証できるよう、種々のホルダと接続できるアダプタシステムと結合される。
【0020】
好ましくは、センサ装置は、手術部門でも使用できるよう、無菌である。この目的のために、携帯型センサ装置は、使用前には、無菌パッケージにしまっておくとよい。
【0021】
とりわけ好ましい実施形態によれば、患者モニタインターフェースは、電子センサコンポーネントと患者モニタの間でアナログ信号を伝送するためのアナログ信号接続を確立するよう提供されており、携帯型センサ装置が前記アナログ信号接続により伝送されるセンサ信号のプロパティ(特質)を識別する識別信号を利用可能にするための電子的識別コンポーネントを有しており、且つ、前記患者モニタインターフェースが、患者モニタへの識別信号の出力のために独立した識別チャンネルを有している。
【0022】
より一般的には、すなわち、独立であろうがなかろうが患者モニタインターフェースは患者モニタからのデータ信号を受信する入力チャンネルを有しており、この発明の一面によれば、以下を有する携帯型センサ装置が利用可能である。患者の体の測定位置で生理学的変数を測定する電子センサコンポーネント、前記電子センサコンポーネントと前記測定位置の間の測定接続を確立する測定位置接続手段に電子センサコンポーネントを接続するための測定位置インターフェース、アナログ信号を伝送するための前記電子センサコンポーネントと前記患者モニタの間のアナログ信号接続を確立する患者モニタ接続手段に電子センサコンポーネントを接続するための患者モニタインターフェース、及び、前記電子センサコンポーネント、前記測定位置インターフェース及び患者モニタインターフェースを収容するセンサハウジング。ここにおいて、前記携帯型センサ装置は、識別信号を利用可能にする識別コンポーネントを有し、該電子識別コンポーネントは、アナログ信号接続によって伝送されるセンサ信号のプロパティを識別し、患者モニタインターフェースは、患者モニタに識別信号を出力するための独立した識別チャンネルを有している。
【0023】
こうして、例えば前記センサ装置に記憶されたキャリブレーションデータ(較正用データ)は、正確なセンサ信号の評価ができるよう患者モニタに伝送される。こうして、フレキシブルな接続システムを有利に実装することができ、この接続システムにおいては、複数及び/又は種々のセンサが1つの患者モニタに接続されることができ、該モニタはそれぞれの信号がどのように処理されるべきかを認識する。
【0024】
前記識別信号は、好ましくは、デジタル信号であるが、この発明は、アナログ識別信号(例えば変調信号)でも有利に実施できる。
【0025】
対応する有利な患者モニタでは、患者モニタ接続手段に接続するための前記センサインターフェースは、このようなセンサ装置と前記患者モニタの間のアナログ信号接続を確立するよう構成され、且つ、該患者モニタが、当該患者モニタに識別信号を読み込むための独立した認識チャンネルを有する。前記患者モニタは、前記識別信号に拠ってアナログ信号接続を用いて伝送されるべきセンサ信号を処理することに適応される。
【0026】
例えば、かかる患者モニタは複数のセンサコネクタを具備してよく、個々のセンサコネクタのいずれが特定のセンサ装置に使用されているかは重要ではない。というのも、患者モニタは、対応する識別信号を認識し、そして、対応するセンサコネクタ経由で来るセンサ信号を正しく割り当てて処理するからである。
【0027】
この発明の更に進んでとりわけ有利な実施形態によれば、前記識別コンポーネントは、ゼロ調整を認識するためのゼロ認識手段を備え、前記識別信号はセンサ信号をゼロ信号であると認めるものである。有利な方法では、センサ信号をゼロ信号であると識別する機能は、センサタイプを伝えるもの等、他の識別信号と組み合わされる。
【0028】
前記ゼロ認識手段は種々の方法で実装されうる。この発明のセンサ装置の電子センサコンポーネントが圧力センサにより構成され、且つ、センサ装置が気圧に対してゼロ合わせするために手動で(例えば三方コック)操作されるバルブ装置を含む場合、前記バルブ装置は、その場の空気への接続が確立されるバルブ設定を認識する切り替え接点を備える。あるいは、マイクロコントローラ、DSP等がセンサ装置に備わり、典型的にはゼロ測定又はキャリブレーション測定であり、例えば所定制限内の持続的な圧力に続く突然の血圧低下及び或る値を超える血圧低下の少なくとも何れか一方の信号プログレッション(変遷)を認識する
【0029】
さらに、センサ装置は、ゼロ測定(すなわちキャリブレーション測定)が行われるときに手動で作動されるべきスイッチボタン又はその他なんらかのスイッチング装置を備える。患者モニタへの入力に比べると、このことは、著しく取り扱いを簡素化するという利点がある。というのも、キャリブレーション測定が行われるとき、センサ装置と患者モニタとを同時に扱うのではなく、センサ装置を扱うだけでよいからである。
【0030】
一般に、この出願の明細書に記載もしくは示された発明のいずれの実施形態も、それぞれの場合における経済的及び技術的状況次第で、とりわけ有利になりうる。正反対又は一般に技術的に実装される範囲が何か述べられているのでない限り、記載された実施形態の個々の特徴は、お互いに交換されたり又は組み合わせたりでき、同様に従来技術から周知の特徴も、お互いに交換されたり又は組み合わせたりできる。
【0031】
以下に、図面を参照して、この発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0032】
図面は概略図であり、図示の便宜上、スケールを正確には再現していない。とりわけ、互いに関連する寸法の関係は、大きな度合いですら、現実の実施形態から逸脱しうる。
【0033】
各図面に示された各要素は、それぞれの図面において、同じ参照番号が付与される。しかしながら、適切な概要との理由から、図2に示された全ての要素が図1において参照番号を付与されるのではない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明に係る2つのセンサ装置を、関連する患者モニタ、更なるセンサ、並びに、前記更なるセンサに接続された付加的な血圧モニタを組みあせた配置で示す。
【図2】図1に示したセンサ装置の1つを拡大した概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
携帯型センサ装置1aは、測定位置4aにおいて動脈血圧を測定するために、圧力ホース2aを介して、動脈カテーテル3aに接続される。圧力ホース2aは、ルアーロックコネクタにより形成された測定位置インターフェース6aを介して、センサ装置1aに接続される。電子圧力センサ13aは、センサ装置1aのセンサハウジング12aに収容される。圧力センサ13aのアナログセンサ信号は、患者モニタインターフェース14aに接続されたケーブル10aを通って、患者モニタ15に出力される。
【0036】
アナログセンサ信号のためのチャンネル16の他に、センサ装置1aと患者モニタ15の間で通信するために、複数の追加的チャンネルが具備される。双方向チャンネル17は、患者データが記録されるメモリモジュール18aへの書き込み及び検索のために使われる。識別チャンネル19を経由して、識別信号が識別コンポーネント20aにより読み出される。識別信号は、好ましくは、どのタイプのセンサ装置1aが組み込まれているかを患者モニタ15に識別させるセンサタイプ識別子である。識別信号は、また、偽造防止方法で(例えば周知の暗号化手法を用いて)コード化されてよく、それにより、患者モニタ15が正しくコード化された識別信号を提示できるセンサ装置1a,1bからのみセンサ識別信号を享け入れるという点で、適切なセンサ装置1a,1bのみが患者モニタ15とともに動作させることを保証できる。患者にとって危険ですらありうる許可されていないセンサ装置の作動は、この方法により確実に回避できる。2つの発光ダイオード23を有する出力装置22aは、さらなるチャンネル21を介して制御される。こうして、例えば所定の生物学的パラメータが危険な値と推測されるときに患者モニタの警報信号が、例えば赤色発光ダイオード23により、患者のすぐそばで出力される。例えば緑色の、もう一方の発光ダイオード23は、患者モニタインターフェース14aと患者モニタ15のセンサインターフェースの間のケーブル10aを介した接続が正確に実施されていることを表示できる。
【0037】
センサ装置1aは、気圧に対して電子センサ13aをキャリブレーション(較正)する、言い換えれば、ゼロ合わせするために用いるバルブ装置24aを含む。この目的のために、キャリブレーション穴25aが具備される。バルブ装置24aは、「M」(測定動作)と「0」(キャリブレーション測定)の設定状態を有する三方コックを含む。コネクタ26は、設定状態「0」において接点27と接続される。これによりもたらされた接点切り替えは検出器29(例えば静電容量を測定する)により検出され、対応する信号がチャンネル28を介して患者モニタ15に送信される。これにより、センサ装置1aのゼロ合わせが自動的に患者モニタ15に表示される。
【0038】
センサ装置1aは、道具なしで、センサハウジング12aの背面に具備されたホルダ板アダプタ28aを用いて患者のベッド脇のホルダ板に取り付けでき、そして、好ましくは道具無しに、この板から外すことができる。
【0039】
測定位置インターフェース6aから、追加的な従来の圧力センサ9であってケーブル10cを介して血圧モニタ11に接続された圧力センサ9までの液圧的接続30は、ルアーロックコネクタにより形成される圧力管路インターフェース7及び、更なる圧力ホース8を介して確立される。
【0040】
更に、この発明に係る第2のセンサ装置1bは患者モニタ15に接続される。携帯型センサ装置1bは、測定位置4bにおいて患者5の上大静脈の静脈血圧を測定するために、圧力ホース2aを介して、中心静脈カテーテル3bに接続される。圧力ホース2bは、ルアーロックコネクタにより形成された測定位置インターフェース6bを介して、センサ装置1bに接続される。電子圧力センサ13bは、センサ装置1bのセンサハウジング12bに収容される。圧力センサ13bのアナログセンサ信号は、患者モニタインターフェース14bに接続されたケーブル10bを通って、患者モニタ15に出力される。
【0041】
センサ装置1aと同様に、センサ装置1bは、患者データ、キャリブレーションデータなどを記憶できるメモリモジュール18bと、センサタイプ識別子が記憶されており、どのタイプのセンサ装置1aが組み込まれているかを識別するために患者モニタ15から問い合わせされる識別コンポーネント20bとを有する。更に、患者モニタ15により制御される出力装置22bが具備される。センサ装置1bは、また、その背面にホルダ板アダプタ28bを有しており、ホルダ板アダプタ28bを介して、道具なしで、患者ベッド脇のホルダ板に取り付けでき、また、道具なしで、そこから外すことができる。
【0042】
患者モニタ15は、圧力センサ13a及び13bのアナログ信号の数値を出すことができる。ここにおいて、患者モニタ15のセンサインターフェースのコネクタ31a,31bのどちらが、それぞれセンサケーブル10a,10bに接続されているかは、重要ではない。というのも、患者モニタ15は、それぞれの識別信号に基づいて、それぞれ、どちらのセンサ装置1a,1bからセンサ信号が来ているかを識別するからである。
【0043】
患者モニタ15における信号処理及び評価は、一般に、患者モニタの事例で従来技術で周知の方法で行うことができる。患者モニタは、例えば、共通パルス輪郭アルゴリズムを実行するようプログラムされる。更に、患者モニタ15は、更なるセンサを接続し、更なるセンサ信号の評価ができるよう、更なるコネクタ31c、31dを有してもよい。従来技術で周知のとおり、患者モニタ15は、熱希釈法(特に肺内外のもの)を行うこと、プレチスモグラフィ(plethysmography)の信号を処理すること、中心静脈血酸素飽和度の測定などのために装備されている。
【0044】
心拍出量(心拍出量 CO)や心肺量コンパートメントなどのようなセンサ信号から定義された生理学的パラメータは、スクリーン32を用いてグラフィカルに且つ数値的に表示される。
【0045】
カテーテル3a,3bは、1又は、従来から周知のとおり、指示された追加的な測定作業のために、複数の追加的カテーテルポート33a,33bを備えてよい。
【符号の説明】
【0046】
1a,1b センサ装置、2a,2b 圧力ホース、3a 動脈カテーテル、3b 中心静脈カテーテル、4a,4b 測定位置、5 患者、6a,6b 測定位置インターフェース、7 圧力管路インターフェース、8 圧力ホース、9 圧力センサ、10a,10b,10c ケーブル、11 血圧モニタ、12a,12b センサハウジング、13a,13b 電子圧力センサ、14a,14b 患者モニタインターフェース、15 患者モニタ、16 チャンネル、17 双方向チャンネル、18a,18b メモリモジュール、19 識別チャンネル、20a,20b 識別コンポーネント、21 チャンネル、22a,22b 出力装置、23 発光ダイオード、24a,24b バルブ装置、25a,25b キャリブレーション穴、26 コネクタ、27 接点、28 チャンネル、28a,28b ホルダ板アダプタ、29 検出器、30 液圧接続、31a,31b,31c コネクタ、32 スクリーン、33a,33b 追加的カテーテル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体の測定位置において生理学的変数を測定するための電子センサコンポーネントと、
前記電子センサコンポーネントと前記測定位置の間の測定接続を確立するための測定位置接続手段に前記電子センサコンポーネントを接続するための測定位置インターフェースと、
患者モニタと前記電子センサコンポーネントの間の信号接続を確立するための患者モニタ接続手段に前記電子センサコンポーネントを接続するための患者モニタインターフェースと、
前記電子センサコンポーネント、前記測定位置インターフェース及び患者モニタインターフェースを収容するためのセンサハウジング
を具備する携帯型センサ装置において、
前記患者モニタインターフェースが前記患者モニタからデータ信号を受信するための入力チャンネルを有し、且つ、前記携帯型センサ装置が前記データ信号により影響される少なくとも1つの追加的電子コンポーネントを有することを特徴とする携帯型センサ装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの追加的電子コンポーネントが患者データを記憶するメモリを具備することを特徴とする請求項1に記載の携帯型センサ装置。
【請求項3】
視覚及び聴覚の少なくとも一方に係る出力装置を具備することを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯型センサ装置。
【請求項4】
前記電子センサコンポーネントが血圧及び血流の少なくとも一方を測定するよう構成されることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の携帯型センサ装置。
【請求項5】
前記測定位置インターフェースが、前記電子センサコンポーネントと測定位置の間の液圧的接続を確立するための圧力伝達ホース部材を接続するよう構成されることを特徴とする請求項4に記載の携帯型センサ装置。
【請求項6】
前記圧力伝送ホース部材と追加的センサの間の液圧的接続を形成するための第2のセンサ接続手段を接続する圧力管路インターフェースを具備することを特徴とする請求項5に記載の携帯型センサ装置。
【請求項7】
最大の広さの方向で100ミリメートルより小さいことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の携帯型センサ装置。
【請求項8】
100グラムよりも軽量であることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の携帯型センサ装置。
【請求項9】
無菌であることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の携帯型センサ装置。
【請求項10】
前記センサハウジングが、前記患者のベッド脇のホルダに前記センサ装置を一時的に取り付けるための機械的ホルダコネクタを有することを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の携帯型センサ装置。
【請求項11】
前記患者モニタインターフェスが、アナログ信号を伝送するために前記電子センサコンポーネントと前記患者モニタの間でアナログ信号接続を確立するように構成され、
前記携帯型センサ装置が、前記アナログ信号接続により伝送されるセンサ信号のプロパティを識別する識別信号を利用可能にするための電子的識別コンポーネントを具備し、且つ、
前記患者モニタインターフェースが、前記患者モニタに前記識別信号を出力するための独立した識別チャンネルを具備すること特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の携帯型センサ装置。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れかに記載の携帯型センサ装置と前記患者モニタとの間の信号接続を確立するための前記患者モニタ接続手段を接続するためのセンサインターフェースを具備する患者モニタであって、
前記センサインターフェースが、前記携帯型センサ装置に、前記患者モニタ接続手段を経由して、データ信号を出力するためのデータ出力チャンネルを具備することを特徴とする患者モニタ。
【請求項13】
前記センサインターフェースが、請求項11に記載の携帯型センサ装置と前記患者モニタとの間のアナログ信号接続を確立するための患者モニタ接続手段を接続するよう適合されており、
前記センサインターフェースが、当該患者モニタに識別信号を読み込むための独立した認識チャンネルを具備し、
前記患者モニタが、前記識別信号に従って、前記アナログ信号接続により伝送される前記センサ信号を処理するよう適合されていることを特徴とする請求項12に記載の患者モニタ。
【請求項14】
患者の体の測定位置において生理学的変数を測定するための電子センサコンポーネントと、
前記電子センサコンポーネントと前記測定位置の間の測定接続を確立するための測定位置接続手段に該電子センサコンポーネントを接続するための測定位置インターフェースと、
患者モニタと前記電子センサコンポーネントの間でアナログ信号を伝送するためのアナログ信号接続を確立するための患者モニタ接続手段に該電子センサコンポーネントを接続するための患者モニタインターフェースと、
前記電子センサコンポーネント、前記測定位置インターフェース及び患者モニタインターフェースを収容するためのセンサハウジング
を具備する携帯型センサ装置において、
前記携帯型センサ装置が、アナログ信号接続によって伝送されるセンサ信号のプロパティを識別する識別信号を提供するための電子的識別コンポーネントを有し、且つ、
前記患者モニタインターフェースが、前記患者モニタへの前記識別信号の出力のための独立した識別チャンネルを具備することを特徴とする携帯型センサ装置。
【請求項15】
請求項14に記載の携帯型センサ装置と前記患者モニタとの間のアナログ信号接続を確立するための前記患者モニタ接続手段を接続するためのセンサインターフェースを有する患者モニタであって、
前記センサインターフェースが、前記患者モニタに前記識別信号を読み込むための独立した認識チャンネルを有し、且つ、
該患者モニタは、前記識別信号に従って、前記アナログ信号接続を用いて伝送されるセンサ信号を処理するよう適合されていることを特徴とする。
【請求項16】
前記識別コンポーネントが、ゼロ調整を認識するためのゼロ認識手段を備え、且つ、前記識別信号が識別信号はセンサ信号をゼロ信号であると認めるものであることを特徴とする請求項11又は14に記載の携帯型センサ装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−183156(P2011−183156A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47022(P2011−47022)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(500180813)プウルジョン メデカル システムズ アクチエンゲゼルシャフト (14)
【氏名又は名称原語表記】PULSION Medical Systems AG
【Fターム(参考)】