説明

携帯型取引装置、及び該携帯型取引装置を保有する保有者の本人確認システム

【課題】 入金取引時に顧客から渉外員に対して偽造券を渡された場合であっても、渉外員はその場でただちに判別することができる携帯型取引装置を提供する。
【解決手段】 通帳への情報の印字を行うと共に、通帳に設けられた磁気ストライプへの情報の書き込み、及び該磁気ストライプからの情報の読み取りが可能な通帳記帳ユニット10と、紙幣の真偽判定を行う紙幣判別ユニット12と、情報を装置外部に表示する表示部22と、紙幣判別ユニット12での判定結果を表示部22に表示させるコントローラ部11、情報処理部20とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型取引装置、及び該携帯型取引装置を保有する保有者の本人確認システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行等の金融機関においては、渉外員が顧客先に出向いて入金取引を行う場合、渉外員は顧客から通帳、及び現金を受け取り銀行まで持ち帰る。そして銀行に設置されているATM等で入金、及び出金の手続き、また通帳への取引の記帳を行い、顧客の元に通帳を届けていた。
【0003】
また近年、通帳への印字機能を備えた印字部と、通帳に設けられた磁気ストライプからの情報の読み取り、及び情報の書き込み機能を備えた磁気ヘッドを備えた携帯端末装置があり、顧客元で通帳への記帳が行えるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−030542号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の携帯端末装置においては、紙幣真偽認識部を備えていないので、入金取引時に顧客から渉外員に対して偽造券を渡されても、渉外員はその場でただちに判別することができないという問題点があった。
【0005】
また、顧客から預かった紙幣は、渉外員がその場で集計するが、手作業で行うため煩雑であり、また集計ミスが発生する可能性があるという問題点があった。
【0006】
更に、顧客から預かった紙幣、及び通帳を渉外員が紛失してしまう可能性があった。
【0007】
また、渉外員の本人確認を行う手段が無いので、入金取引を行うために顧客が渉外員へ現金を渡す際に、渉外員になりすました人物に誤って現金を渡してしまう可能性があるという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明で設けた第1の解決手段は、通帳への情報の印字を行うと共に、通帳に設けられた情報記憶領域への情報の書き込み、及び該情報記憶領域からの情報の読み取りが可能な通帳処理部と、紙幣の真偽判定を行う紙幣判別部と、情報を装置外部に表示する表示部と、前記紙幣判別部での判定結果を前記表示部に表示させる制御部とを備えたものである。
【0009】
上記課題を解決するために本発明で設けた第2の解決手段は、紙幣判別部は、紙幣の種別を判定する機能と、1取引において判定を行った紙幣の枚数を金種別に計数する機能を備え、制御部は、前記紙幣判別部で計数した紙幣の金種別の枚数を、真券と偽券とに分けて表示部に表示させるものである。
【0010】
上記課題を解決するために本発明で設けた第3の解決手段は、施錠可能であり、紙幣を保管する紙幣保管部を備え、前記紙幣保管部の施錠、及び施錠の解除は制御部の指示により実行されるものである。
【0011】
上記課題を解決するために本発明で設けた第4の解決手段は、施錠可能であり、通帳を保管する通帳保管部を備え、前記通帳保管部の施錠、及び施錠の解除は制御部の指示により実行されるものである。
【0012】
上記課題を解決するために本発明で設けた第5の解決手段は、通帳への情報の印字を行うと共に、通帳に設けられた情報記憶領域への情報の書き込み、及び該情報記憶領域からの情報の読み取りが可能な通帳処理部を備えた携帯型取引装置と、前記携帯型取引装置と接続されると共に、前記携帯型取引装置を保有する保有者の本人確認情報を記憶する保有者情報記憶部を備えた上位装置と、前記上位装置と接続された通信手段とから構成され、前記通信手段を前記上位装置と接続し、該上位装置の前記保有者情報記憶部から前記本人確認情報を読み出し、前記通信手段に送信するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、紙幣判別部において紙幣の真偽判定を行うことにより、入金取引時に顧客から渉外員に対して偽造券を渡された場合であっても、渉外員はその場でただちに判別することができる。
【0014】
また、紙幣判別部において、紙幣の種別を判定し、1取引において判定を行った紙幣の枚数を金種別に計数することにより、顧客から預かった紙幣の集計ミスを防止することができ、また煩雑さを軽減することができる。
【0015】
更に、顧客から預かった紙幣を施錠可能な紙幣保管部に保管し、通帳を施錠可能な通帳保管部に保管することにより、紙幣、及び通帳を渉外員が紛失してしまうことがない。
【0016】
また、通信手段を上位装置と接続し、上位装置に設けられた、携帯型取引装置を保有する保有者の本人確認情報を記憶する保有者情報記憶部から本人確認情報を読み出し、通信手段に送信することにより、顧客は渉外員に現金を渡す前に渉外員の本人確認を行うことができるので、顧客は安心して渉外員に現金を渡すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施例を図面に従って説明する。なお、各図面に共通する要素には同一の符号を付す。
【実施例1】
【0018】
始めに取引システムの構成について説明する。図1は実施例1の取引システムの構成を示す説明図である。
【0019】
図1において、取引システム1は、携帯型取引装置30と、基地局4と、通信制御装置5と、上位装置である集中制御装置6とから構成されている。なお、携帯型取引装置30は携帯型通帳記帳機2と、携帯型情報端末装置3とから構成されており、携帯型通帳記帳機2と、携帯型情報端末装置3はケーブル7で接続されている。そしてこの携帯型取引装置30は渉外員が携帯する。携帯型情報端末装置3と、基地局4とは無線により通信可能となっており、基地局4と、集中制御装置6は通信制御装置5を介して接続されている。
【0020】
携帯型通帳記帳機2は、通帳処理部である通帳記帳ユニット10と、携帯型通帳記帳機2全体の動作を制御する制御部であるコントローラ部11と、紙幣判別部である紙幣判別ユニット12とから構成されている。そして通帳記帳ユニット10は、通帳に設けられた情報記憶領域である磁気ストライプに情報を書き込む、あるいは磁気ストライプから顧客情報(口座番号、氏名等)を読み取る磁気ストライプリーダ・ライタ部13と、通帳に通帳記帳情報を印字するプリンタ部14とから構成されている。
【0021】
紙幣判別ユニット12は、各紙幣の金種(千円券、二千円券、五千円券、一万円券)を認識する紙幣種別認識部15と、各紙幣の真偽判定を行う紙幣真偽認識部16と、紙幣の番号を読取る紙幣データ読取部17と、金種判定、及び真偽判定された紙幣を、金種別に真偽それぞれの紙幣の枚数を計数する紙幣集計部18とから構成されている。なお、1回の入金取引における、金種別に真偽それぞれの紙幣の枚数と、真偽それぞれの紙幣の番号は、コントローラ部11に送信され、図示せぬ記憶部に一旦記憶される。そしてコントローラ部11は金種別に真偽それぞれの紙幣の枚数と、真偽それぞれの紙幣の番号をケーブル7を介して携帯型情報端末装置3に送信する。
【0022】
携帯型情報端末装置3は、通信制御部19と、制御部である情報処理部20と、データ保存部21と、タッチパネル機能を備えた表示部22と、渉外員が情報の入力を行なう入力部23とから構成され、通信制御部19は、携帯型通帳記帳機2、及び基地局4とのデータの送受信を制御し、情報処理部20は、1回の取引におけるデータ(取引日時と、顧客情報と、合計金額と、金種別に真偽それぞれの紙幣の枚数と、対応する紙幣の番号と、金種別に硬貨の枚数と、取引種別)をデータ保存部21に記憶する。
【0023】
集中制御装置6には、保有者情報記憶部である渉外員情報データベース25と、顧客情報データベース26が設けられており、渉外員情報データベース25には、渉外員毎に付与された渉外員コードと、該渉外員コードが付与された渉外員の氏名と、生年月日が渉外員別に記憶される。なお、渉外員コードと、渉外員の氏名と、生年月日で本人確認情報が構成される。また顧客情報データベース26には、携帯型情報端末装置3のデータ保存部21に保存されるデータと同一のデータ、すなわち1回の取引における合計金額と、顧客情報(口座番号、氏名等)と、金種別に真偽それぞれの紙幣の枚数と、対応する紙幣の番号と、金種別に硬貨の枚数と、取引種別と、取引日時が記憶される。なお、集中制御装置6には更に、顧客に対する説明メッセージが記憶されている図示せぬ記憶部が設けられている。また集中制御装置6は公衆回線8を介して顧客先に設置されている通信手段、例えば電話機9と通信可能となっている。
【0024】
顧客は電話機9からダイヤル入力することにより電話機9を集中制御装置6に接続することができ、集中制御装置6はダイヤル入力により電話機9から送信されてくる情報に応じて、説明メッセージを電話機9に送信するか、あるいは渉外員情報データベース25、及び顧客情報データベース26を参照して顧客への回答を作成し、該作成した回答を電話機9に送信する。なお、顧客は予め電話機9を集中制御装置6に接続するための連絡番号を知っているものとする。
【0025】
そして携帯型取引装置30と、集中制御装置6と、電話機9とにより携帯型取引装置を保有する保有者の本人確認システム37が構成されている。
【0026】
次に上記構成における携帯型取引装置30を保有する保有者の本人確認システム37の、顧客による渉外員の本人確認を行う際の動作について説明する。
【0027】
図1において、渉外員が顧客先に出向いて入金取引を行う場合、顧客は現金を渉外員に渡す前に渉外員の本人確認を行う。そのために顧客は渉外員から渉外員コードを教えてもらい、また電話機9を公衆回線8を介して集中制御装置6に接続する。集中制御装置6は電話機9からの接続を認識すると、顧客が取引を行おうとしている口座の口座番号を入力することを促す説明メッセージを電話機9へと送信する。
【0028】
顧客が口座番号をダイヤル入力すると、該口座番号は集中制御装置6へと送信され、集中制御装置6は顧客情報データベース26を参照し、受信した口座番号と同一の口座番号が顧客情報データベース26の顧客情報に記憶されているか否かを判断し、同一の口座番号が記憶されていると判断した場合には、渉外員コードを入力することを促す説明メッセージを電話機9へと送信する。一方、同一の口座番号が顧客情報データベースに記憶されていないと判断した場合には、取引を行うことができないことを示す説明メッセージを電話機9へと送信する。
【0029】
顧客が渉外員に事前に教えてもらった渉外員コードをダイヤル入力すると、該渉外員コードは集中制御装置6へと送信され、集中制御装置6は渉外員情報データベース25を参照し、受信した渉外員コードに対応して記憶されている渉外員の氏名と、生年月日を読み出し、電話機9へと送信する。
【0030】
顧客は渉外員から例えば免許証を提示してもらう、あるいは渉外員に氏名と生年月日を言ってもらうことにより、集中制御装置6から受信した情報との照合を行い渉外員の本人確認を行う。
【0031】
なお、渉外員は外出する際に集中制御装置6に対して渉外員コードと共に外出していることを示す「外出モード」の入力を行ない、そして店舗に戻って来た際に「外出モード」の解除を行うようにしても良い。このようにすることで、渉外員情報データベース25を参照すれば、渉外員が外出しているか、あるいは店舗内に居るかをすぐに知ることができる。
【0032】
次に上記構成における取引システム1の入金取引動作について、図1、図2、図3、図4、図5を参照し、図6、図7、図8に示すフローチャートに従って説明する。図2、図3は実施例1の紙幣入金取引時の表示画面を示す説明図、図4は実施例1の硬貨入金取引時の表示画面を示す説明図、図5は実施例1の入金取引時の表示画面を示す説明図、図6、図7、図8は実施例1の携帯型自動取引装置の入金取引動作を示すフローチャートである。
【0033】
図1において、始めに、渉外員は顧客から紙幣と入金を行いたい口座の通帳を受け取る。次に渉外員は携帯型情報端末装置3の入力部23の紙幣入金取引ボタンを押下する。紙幣入金取引ボタンが押下されたことは入力部23から情報処理部20へと送信され、情報処理部20は図6、図7、図8に示すフローチャートを開始する。ステップS101で情報処理部20は紙幣入金取引が行われることを通信制御部19によりケーブル7を介して携帯型通帳記帳機2に送信する。そしてステップS102へと進み、携帯型通帳記帳機2から紙幣鑑別情報が送信されてくるのを待つ状態へと移行する。
【0034】
一方、携帯型通帳記帳機2のコントローラ部11は、携帯型情報端末装置3から紙幣入金取引が行われることを示すデータを受信すると、図6、図7、図8に示すフローチャートを開始する。ステップS1でコントローラ部11は紙幣判別ユニット12を動作可能状態としてステップS2へと進み、紙幣が紙幣載置部に載せられるのを待ち、紙幣が紙幣載置部に載せられたことを認識するとステップS3へと進む。ステップS3でコントローラ部11は、紙幣を1枚ずつ分離して紙幣判別ユニット12まで搬送する。そして紙幣種別認識部15が各紙幣の金種(千円券、二千円券、五千円券、一万円券)を判定し、ステップS4で紙幣真偽認識部16が紙幣の真偽判定を行う。また同時に、紙幣データ読取部17が紙幣の番号を読み取る。
【0035】
そしてステップS5で紙幣集計部18が今回判定した紙幣において、金種と真偽を対応させて紙幣の枚数をカウントアップする。なお、1回の入金取引における、金種別に真偽それぞれの紙幣の枚数と、対応する紙幣の番号はコントローラ部11に送信され、図示せぬ記憶部に一旦記憶される。そしてステップS6で判定が終了した紙幣を携帯型通帳記帳機2外に排出する。ステップS7でコントローラ部11はまだ判定を行っていない紙幣が紙幣載置部にあるか否かを判断する。ここで、まだ紙幣があると判断した場合には、ステップS3へと戻り、全ての紙幣の判定が終了するまで、ステップS3からステップS7までの処理を繰り返す。一方、「否」の場合にはステップS8へと進む。
【0036】
ステップS8でコントローラ部11は金種別に真偽それぞれの紙幣の枚数と、対応する紙幣の番号を、紙幣鑑別情報としてケーブル7を介して携帯型情報端末装置3に送信する。そしてステップS9へと進み、携帯型情報端末装置3から通帳記帳情報が送信されてくるのを待つ状態へと移行する。
【0037】
携帯型情報端末装置3の情報処理部20は、ケーブル7を介して通信制御部19により紙幣鑑別情報を受信すると、ステップS102からステップS103へと進む。ステップS103で情報処理部20は携帯型通帳記帳機2から受信した、1回の入金取引における、金種別に真偽それぞれの紙幣の枚数と、対応する紙幣の番号を処理し、1回の入金取引における、合計金額と、金種別に真偽それぞれの紙幣の枚数と、対応する紙幣の番号と、取引種別を1取引毎にデータ保存部21に記憶する。
【0038】
そしてステップS104で情報処理部20はデータ保存部21に記憶された情報の中に偽券情報が含まれているか否かを判断し、偽券情報が含まれていると判断した場合にはステップS110へと進み、一方「否」の場合にはステップS105へと進む。ステップS104からステップS105へと進んだ場合、情報処理部20は表示部22に、図2に示すように、合計金額と、金種別の紙幣の枚数と、硬貨入金ボタン27と、通帳記帳ボタン24を表示させる。そしてステップS106へと進む。
【0039】
一方ステップS104からステップS110へと進んだ場合には、情報処理部20は表示部22に、図3に示すように、合計金額と、金種別の紙幣の枚数と、「偽券が含まれています。」等の偽券が含まれていることを示すメッセージと、偽券の番号と、硬貨入金ボタン27と、通帳記帳ボタン24を表示させる。そしてステップS106へと進む。ここで、渉外員は硬貨の入金取引を行う場合には硬貨入金ボタン27を押下し、硬貨の入金取引を行わない場合には通帳記帳ボタン24を押下する。
【0040】
硬貨入金ボタン27が押下された場合には、ステップS106からステップS107へと進み、一方「否」の場合、すなわち通帳記帳ボタン24が押下された場合には硬貨の入金は無いので、ステップS111へと進む。
【0041】
ステップS106からステップS107へと進んだ場合、情報処理部20は表示部22に、図4に示すように、渉外員が金種毎に硬貨の枚数を入力することができる画面と、確定ボタン28を表示させる。そしてステップS108へと進み、硬貨の枚数の入力、及び確定ボタン28が押下されるのを待つ。渉外員は図4に示す画面に対して金種毎に入力部23から硬貨の枚数を入力していき、全ての硬貨の枚数の入力が終了すると、確定ボタン28を押下する。なお、硬貨の枚数が入力される毎に、情報処理部20は硬貨の合計金額を算出し、該合計金額を表示部22に表示させる。
【0042】
そして確定ボタン28が押下されるとステップS109へと進み、情報処理部20は今回の入金取引における、金種別の硬貨の枚数と、硬貨の合計金額を、既にデータ保存部21に記憶されている同一入金取引における紙幣の入金データと合わせてデータ保存部21に記憶すると共に、表示部22に、図5に示すように、紙幣の入金合計金額と硬貨の入金合計金額を合わせた金額と、通帳記帳ボタン29を表示させる。
【0043】
そしてステップS111へと進み、通帳記帳ボタン29が押下されるのを待つ。通帳記帳ボタン29が押下されると、押下されたことを示すデータが表示部22から情報処理部20へと送信され、ステップS111からステップS112へと進む。
【0044】
一方、ステップS106で硬貨入金ボタン27が押下されずにステップS111へと進み、通帳記帳ボタン24が押下された場合も押下されたことを示すデータが表示部22から情報処理部20へと送信され、ステップS111からステップS112へと進む。
【0045】
ステップS112で情報処理部20は通帳記帳が選択されたことを示すデータと、データ保存部21から取得した取引種別(今回は入金取引)と、合計金額(紙幣の入金合計金額と、硬貨の入金合計金額を合わせた金額)を通帳記帳情報として通信制御部19によりケーブル7を介して携帯型通帳記帳機2へと送信する。そしてステップS113へと進み、携帯型通帳記帳機2から顧客情報が送信されてくるのを待つ状態へと移行する。
【0046】
携帯型通帳記帳機2は携帯型情報端末装置3から通帳記帳情報を受信するとステップS9からステップS10へと進み、ステップS10でコントローラ部11は、受信したデータを図示せぬ記憶部に記憶すると共に通帳記帳ユニット10を動作可能状態としてステップS11へと進み、通帳が挿入されるのを待ち、通帳が装置内に挿入されたことを認識するとステップS12へと進む。ステップS12でコントローラ部11はプリンタ部14で、取引日時、携帯型情報端末装置3から受信した取引種別(今回は入金取引)と、合計金額等所定の通帳記帳情報を通帳に印字する。
【0047】
そしてステップS13でコントローラ部11は磁気ストライプリーダ・ライタ部13で、通帳に設けられた磁気ストライプから顧客情報(口座番号、氏名等)を読取ると共に、磁気ストライプに対して今回の取引による情報の更新を行う。そしてステップS14で通帳記帳ユニット10は通帳を携帯型通帳記帳機2から排出し、ステップS15でコントローラ部11は通帳の磁気ストライプから読取った顧客情報をケーブル7を介して携帯型情報端末装置3に送信する。そして今回の取引の処理を終了する。
【0048】
携帯型情報端末装置3の情報処理部20は、ケーブル7を介して通信制御部19により顧客情報を受信すると、ステップS113からステップS114へと進む。ステップS114で情報処理部20は携帯型通帳記帳機2から受信した、顧客情報を、既に今回の取引情報としてデータ保存部21に保存されている、合計金額(紙幣の入金合計金額と、硬貨の入金合計金額を合わせた金額)と、金種別に真偽それぞれの紙幣の枚数と、対応する紙幣の番号と、金種別に硬貨の枚数と、取引種別と合わせてデータ保存部21に記憶する。そしてステップS115で情報処理部20は表示部22に対して取引の終了を送信する。表示部22は情報処理部20からデータを受信すると、取引の終了を表示し、渉外員に知らせる。そして今回の取引の処理を終了する。
【0049】
渉外員は一連の処理が終了した時点で、入力部23から集中制御装置6へのデータの送信を入力する。この情報の入力は入力部23から情報処理部20へと送信され、情報処理部20は、データ保存部21に保存されている今回の取引に関するデータ(取引日時と、顧客情報と、合計金額と、金種別に真偽それぞれの紙幣の枚数と、対応する紙幣の番号と、金種別に硬貨の枚数と、取引種別)を取引情報として通信制御部19により基地局4へと送信する。該基地局4は取引情報を受信すると通信制御装置5へと送信し、通信制御装置5は更に集中制御装置6へと送信する。
【0050】
集中制御装置6は取引情報を受信すると、該受信した取引情報を顧客情報データベース26に記憶し、口座番号別に情報の更新を行う。そして今回の取引の処理を終了する。
【0051】
なお、通帳に通帳記帳情報を印字する前に、集中制御装置6に該通帳の口座番号を送信し、まだ印字されずに集中制御装置6の顧客データベースに記憶されている未記帳情報があるか否かを問い合わせ、未記帳情報がある場合には、集中制御装置6から携帯情報端末装置3を介して携帯型通帳記帳機2に未記帳情報を送信し、今回の取引の通帳記帳情報と合わせて通帳に記帳するようにしてもよい。
【0052】
以上本発明の実施例1においては、紙幣判別ユニット12において紙幣の真偽判定を行うことにより、入金取引時に顧客から渉外員に対して偽造券を渡された場合であっても、渉外員はその場でただちに判別することができる。
【0053】
また、紙幣判別ユニット12において、紙幣の種別を判定し、1取引において判定を行った紙幣の枚数を金種別に計数することにより、顧客から預かった紙幣の集計ミスを防止することができ、また煩雑さを軽減することができる。
【0054】
更に、電話機9を集中制御装置6と接続し、集中制御装置6に設けられた、携帯型取引装置30を保有する渉外員の本人確認情報を記憶する渉外員情報データベース25から本人確認情報を読み出し、電話機9に送信することにより、顧客は渉外員に現金を渡す前に渉外員の本人確認を行うことができるので、顧客は安心して渉外員に現金を渡すことができる。
【0055】
また、紙幣の番号、顧客情報等を取引情報として集中制御装置6の顧客情報データベース26に記憶することにより、後で偽紙幣が発見された場合であっても、偽紙幣を預けた顧客を容易に特定することができる。
【実施例2】
【0056】
次に本発明の実施例2について説明する。なお、上記実施例1と同様の箇所には同一符号を付し、説明は省略する。図9は実施例2の取引システムの構成を示す説明図である。
【0057】
図9において、本実施例2の取引システム31においては、上記実施例1の携帯型通帳記帳機2において、通帳保管部32と紙幣保管部33を備えており、また集中制御部6において、保管情報データベース34が設けられている。
【0058】
詳しくは、携帯型通帳記帳機2には1台ずつ識別番号である機番が付与されており、図示せぬ記憶部に記憶されている。また通帳保管部32は通帳記帳ユニット10に接続されており、通帳を保管し、また渉外員が施錠を解除することが不可能な錠が設けられている。紙幣保管部33は紙幣判別ユニット12に接続されており、紙幣を保管し、保管された紙幣の分離、及び繰り出し機能を備えている。また紙幣保管部33には通帳保管部32と同様に渉外員が施錠を解除することが不可能な錠が設けられている。
【0059】
通帳保管部32と紙幣保管部33に設けられた錠はコントローラ部11の指示により施錠すること、あるいは施錠を解除することが可能であり、施錠が解除された状態において、通帳保管部32への通帳の出し入れが可能であり、また紙幣保管部33への紙幣の出し入れが可能となる。なお、通帳保管部32と紙幣保管部33に設けられた錠は、渉外員が携帯型取引装置30を銀行に持ち帰った際に、銀行に設けられている装置からの指示により施錠すること、あるいは施錠を解除することもできる。
【0060】
また、保管情報データベース34には、携帯型通帳記帳機2に付与されている機番と、紙幣保管情報と、通帳保管情報と、渉外員コードが対応させて記憶される。また携帯情報端末3のデータ保存部21には、該携帯情報端末3を所持している渉外員に付与された渉外員コードが予め記憶されている。なお、その他の構成は上記実施例1の取引システム1と同様であるので、説明は省略する。
【0061】
次に上記構成における取引システム31の入金取引動作について説明する。図10は実施例2の紙幣と通帳の保管状況を表す表示画面を示す説明図である。また、上記実施例1と同様の動作については説明を省略する。
【0062】
図9において、携帯型通帳記帳機2のコントローラ部11が、携帯型情報端末装置3から紙幣入金取引が行われることを示すデータを受信すると、始めにコントローラ部11は紙幣判別ユニット12を動作可能状態とし、また紙幣保管部33の施錠を解除して紙幣が紙幣載置部に載せられるのを待つ。そして紙幣が紙幣載置部に載せられたことを認識すると、コントローラ部11は、紙幣を1枚ずつ分離して紙幣判別ユニット12まで搬送する。そして紙幣種別認識部15が各紙幣の金種(千円券、二千円券、五千円券、一万円券)を判定し、紙幣真偽認識部16が紙幣の真偽判定を行う。また同時に、紙幣データ読取部17が紙幣の番号を読み取る。
【0063】
そして紙幣集計部18が今回判定した紙幣において、金種と真偽を対応させて紙幣の枚数をカウントアップする。なお、上記実施例1と同様に、1回の入金取引における、金種別に真偽それぞれの紙幣の枚数と、対応する紙幣の番号は、コントローラ部11に送信され、図示せぬ記憶部に一旦記憶される。
【0064】
そして紙幣真偽認識部16で「真券」と判定された紙幣は紙幣保管部33へと搬送して保管し、1枚保管する毎にコントローラ部11は紙幣保管枚数を金種別に1カウントアップする。一方、「偽券」と判定された紙幣は携帯型通帳記帳機3外に排出する。
【0065】
全ての紙幣の判定が終了すると、コントローラ部11は紙幣保管部33を施錠する。そしてコントローラ部11は金種別に真偽それぞれの紙幣の枚数と、対応する紙幣の番号を、紙幣鑑別情報としてケーブル7を介して携帯型情報端末装置3に送信する。
【0066】
なお、紙幣鑑別情報を受信した携帯型情報端末装置3の情報処理部20の処理は、上記実施例1と同様であるので説明は省略する。
【0067】
また、携帯型通帳記帳機2のコントローラ部11が、携帯型情報端末装置3から、通帳記帳が選択されたことを示すデータと、取引種別(今回は入金取引)と、合計金額を受信すると、始めにコントローラ部11は、受信したデータを図示せぬ記憶部に記憶すると共に通帳記帳ユニット10を動作可能状態とし、通帳保管部32の施錠を解除して、通帳が挿入されるのを待つ。
【0068】
そしてコントローラ部11は通帳が装置内に挿入されたことを認識すると、プリンタ部14で、取引日時、携帯型情報端末装置3から受信した取引種別(今回は入金取引)と、合計金額等所定の通帳記帳情報を通帳に印字する。印字が終了すると、コントローラ部11は磁気ストライプリーダ・ライタ部13で、通帳に設けられた磁気ストライプから顧客情報(口座番号、氏名等)を読取ると共に、磁気ストライプに対して今回の取引による情報の更新を行う。そして通帳記帳ユニット10は通帳を携帯型通帳記帳機2から排出し、コントローラ部11は通帳の磁気ストライプから読取った顧客情報をケーブル7を介して携帯型情報端末装置3に送信する。そして今回の取引の処理を終了する。
【0069】
一方、挿入された通帳が最終行まで印字が実行されていて、それ以上取引情報の印字が不可能である場合、渉外員は通帳を銀行に持ち帰り、銀行で新規通帳を発行する。そのためコントローラ部11は磁気ストライプリーダ・ライタ部13で、通帳に設けられた磁気ストライプから顧客情報(口座番号、氏名等)を読取り、図示せぬ記憶部に記憶する。その後、コントローラ部11は該通帳を繰越済み通帳として通帳保管部32へと搬送して保管し、1冊保管する毎にコントローラ部11は通帳保管枚数を1カウントアップする。そしてコントローラ部11は通帳保管部32を施錠する。
【0070】
次にコントローラ部11は、通帳の繰り越しを要求することを示すデータをケーブル7を介して携帯型情報端末装置3に送信する。携帯型情報端末装置3の情報処理部20は、ケーブル7を介して通信制御部19により通帳繰り越し要求を受信すると、情報処理部20は表示部22に、印刷を行う頁が無くなったので、通帳を通帳保管部32に保管したことを示す表示を行わせる。渉外員はこの表示を見て通帳が通帳保管部32に保管されたことを認識することができる。また、コントローラ部11は通帳保管部32に保管されている通帳の磁気ストライプから読取った顧客情報をケーブル7を介して携帯型情報端末装置3に送信する。
【0071】
なお、この後実行される集中制御装置6の顧客情報データベース6に取引データを記憶し、情報の更新を行うまでの動作は実施例1と同様であるので、説明は省略する。
【0072】
次にコントローラ部11は携帯型通帳記帳機2の機番と、紙幣保管部33に保管された紙幣の金種別の枚数と、通帳保管部32に保管した通帳がある場合には保管した通帳の冊数をケーブル7を介して携帯型情報端末装置3に送信する。情報処理部20は携帯型通帳記帳機2から受信した、紙幣保管部33に保管された紙幣の金種別の枚数を紙幣保管情報として、また通帳保管部32に保管された通帳の冊数を通帳保管情報として、機番別にデータ保存部21に累積して記憶する。
【0073】
そして渉外員が保管状況の確認を行う場合には入力部23の保管状況確認ボタンを押下する。保管状況確認ボタンが押下されたことは入力部23から情報処理部20へと送信され、情報処理部20は表示部22に、図10に示すように、携帯型通帳記帳機2の機番と、紙幣保管部33に保管された紙幣の金種別の枚数と、通帳保管部32に保管された通帳の冊数と、確認完了ボタン35を表示させる。そして情報処理部20は確認完了ボタン35が押下されるのを待つ。
【0074】
確認完了ボタン35が押下されると、押下されたことを示すデータが表示部22から情報処理部20へと送信され、情報処理部20は、データ保存部21に保存されている、携帯型通帳記帳機3の機番と、紙幣保管部33に保管された紙幣の金種別の枚数と、通帳保管部32に保管した通帳がある場合には通帳の冊数と、渉外員コードを保管情報として通信制御部19により基地局4へと送信する。該基地局4は保管情報を受信すると通信制御装置5へと送信し、通信制御装置5から更に集中制御装置6へと送信する。
【0075】
集中制御装置6は保管情報を受信すると、該受信した保管情報を保管情報データベース34に記憶し、情報の更新を行う。
【0076】
以上本発明の実施例2においては、顧客から預かった紙幣を施錠可能な紙幣保管部33に保管し、通帳を施錠可能な通帳保管部32に保管することにより、紙幣、及び通帳を渉外員が紛失してしまうことがない。
【0077】
たとえ、渉外員が通帳保管部32、紙幣保管部33を破壊して通帳、あるいは紙幣を盗難した場合であっても、保管情報データベース34に記憶されている情報から、盗難を行った渉外員を特定することができる。
【0078】
なお、本実施例においては紙幣保管部のみ設けた構成としたが、硬貨を保管する硬貨保管部を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】実施例1の取引システムの構成を示す説明図である。
【図2】実施例1の紙幣入金取引時の表示画面を示す説明図である。
【図3】実施例1の紙幣入金取引時の表示画面を示す説明図である。
【図4】実施例1の硬貨入金取引時の表示画面を示す説明図である。
【図5】実施例1の入金取引時の表示画面を示す説明図である。
【図6】実施例1の携帯型自動取引装置の入金取引動作を示すフローチャートである。
【図7】実施例1の携帯型自動取引装置の入金取引動作を示すフローチャートである。
【図8】実施例1の携帯型自動取引装置の入金取引動作を示すフローチャートである。
【図9】実施例2の取引システムの構成を示す説明図である。
【図10】実施例2の紙幣と通帳の保管状況を表す表示画面を示す説明図である。
【符号の説明】
【0080】
1 取引システム
2 携帯型通帳記帳機
3 携帯型情報端末装置
6 集中制御装置
9 電話機
10 通帳記帳ユニット
11 コントローラ部
12 紙幣判別ユニット
20 情報処理部
31 取引システム
32 通帳保管部
33 紙幣保管部
37 携帯型取引装置を保有する保有者の本人確認システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通帳への情報の印字を行うと共に、通帳に設けられた情報記憶領域への情報の書き込み、及び該情報記憶領域からの情報の読み取りが可能な通帳処理部と、
紙幣の真偽判定を行う紙幣判別部と、
情報を装置外部に表示する表示部と、
前記紙幣判別部での判定結果を前記表示部に表示させる制御部とを備えたことを特徴とする携帯型取引装置。
【請求項2】
前記紙幣判別部は、紙幣に付与された番号を読み取る機能を備え、
前記制御部は、前記紙幣判別部で偽券と判定された紙幣があった場合、前記紙幣判別部で読み取った偽券の番号を前記表示部に表示させる請求項1記載の携帯型取引装置。
【請求項3】
前記紙幣判別部は、紙幣の種別を判定する機能と、1取引において判定を行った紙幣の枚数を金種別に計数する機能を備え、
前記制御部は、前記紙幣判別部で計数した紙幣の金種別の枚数を、真券と偽券とに分けて前記表示部に表示させる請求項2記載の携帯型取引装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記紙幣判別部における紙幣判定結果を、今回の取引が行われる口座番号と合わせて上位装置へと送信する請求項3記載の携帯型取引装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記口座番号を、前記通帳処理部が通帳に設けられた前記情報記憶領域から読み取ることにより入手する請求項4記載の携帯型取引装置。
【請求項6】
施錠可能であり、紙幣を保管する紙幣保管部を備え、
前記紙幣保管部の施錠、及び施錠の解除は前記制御部の指示により実行される請求項1記載の携帯型取引装置。
【請求項7】
施錠可能であり、通帳を保管する通帳保管部を備え、
前記通帳保管部の施錠、及び施錠の解除は前記制御部の指示により実行される請求項1記載の携帯型取引装置。
【請求項8】
装置毎に異なる機番が付与され、
前記制御部は、前記紙幣保管部に保管された紙幣の枚数を計数し、該紙幣保管部に保管された紙幣の枚数を、前記機番と共に前記上位装置へと送信する請求項6記載の携帯型取引装置。
【請求項9】
装置毎に異なる機番が付与され、
前記制御部は、前記通帳保管部に保管された通帳の冊数を計数し、該通帳保管部に保管された通帳の冊数を、前記機番と共に前記上位装置へと送信する請求項7記載の携帯型取引装置。
【請求項10】
通帳への情報の印字を行うと共に、通帳に設けられた情報記憶領域への情報の書き込み、及び該情報記憶領域からの情報の読み取りが可能な通帳処理部を備えた携帯型取引装置と、
前記携帯型取引装置と接続されると共に、前記携帯型取引装置を保有する保有者の本人確認情報を記憶する保有者情報記憶部を備えた上位装置と、
前記上位装置と接続された通信手段とから構成され、
前記通信手段を前記上位装置と接続し、該上位装置の前記保有者情報記憶部から前記本人確認情報を読み出し、前記通信手段に送信することを特徴とする携帯型取引装置を保有する保有者の本人確認システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−195813(P2006−195813A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−7906(P2005−7906)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】