説明

携帯型情報表示器及び情報表示システム

【課題】多数の電気的なラインの接続の問題がなく情報表示器と駆動装置とを着脱自在に構成して携帯性を有し、表示メモリー性を充分に発揮することができ、さらに情報表示器を取扱う際の自由度が高い情報表示器およびそれを用いた情報表示システムを提供する。
【解決手段】表示メモリー性を有する情報表示用パネル12と、前記情報表示用パネルに印加する駆動電圧を制御するドライバーIC13(14)と、外部からのシリアル信号をパラレル信号に変換し、変換したパラレル信号を前記ドライバーICに伝達するシリアル‐パラレル変換手段15と、前記外部からのシリアル信号を受け取る情報表示器側コネクター16とを備え、前記情報表示器側コネクターが少なくとも二個設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報を表示するために用いられる情報表示器、及び、その情報表示器を駆動装置に接続して情報表示器に表示する情報を書き換える情報表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2枚の基板間に表示メモリー性のある表示媒体を封入し、この表示媒体を駆動させて画像等の情報を表示する情報表示システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。この情報表示システムは、表示媒体を封入したパネル構造体である情報表示用パネルと、駆動用のドライバーIC、CPU、メモリー、電源といった要素が全て一体になったものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−148302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の情報表示システムでは、情報表示器と駆動装置とが一体であるため、当該情報表示システムは、専ら、当該情報表示システムが搭載している情報表示器内の、情報表示用パネルの情報のみを書き換えるだけであった。
また、情報表示システム全体を軽量化し、携帯性を持たせることへの要求があるが、情報表示器と駆動装置との間には、情報表示用パネルの表示画素に延びる多数の電極との電気的接続が必要であり、情報表示器を駆動装置に一度接続した後、両者を切り離し、これを再度接続することは現実的に困難であった。
【0005】
本発明の目的は、上述の問題点を解消して、従来は一体となっていた情報表示システムを、情報表示器と駆動装置とに分け得る構造を提供するとともに、両者の接続時に必要な電極相互の電気的接続を簡便にし、しかも操作性を犠牲にすることなしに行うことができる、着脱自在な構成とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の要旨構成は、以下のとおりである。
(1)表示メモリー性を有する情報表示用パネルと、
前記情報表示用パネルに印加する駆動電圧を制御するドライバーICと、
外部からのシリアル信号をパラレル信号に変換し、変換したパラレル信号を前記ドライバーICに伝達するシリアル‐パラレル変換手段と、
前記外部からのシリアル信号を受け取る情報表示器側コネクターと、を備え、
前記情報表示器側コネクターが少なくとも二個設けられたことを特徴とする情報表示器。
【0007】
(2)上記(1)に記載の情報表示器と、前記情報表示器側コネクターに接続するための駆動装置側コネクター、シリアル信号を出力するパラレル‐シリアル変換手段、CPU、メモリー及び電源供給手段を有する駆動装置と、を備えることを特徴とする情報表示システム。
【0008】
(3)表示メモリー性を有する情報表示用パネルと、
書き換え情報の入力に用いる位置座標検出手段と、
前記情報表示用パネルに印加する駆動電圧を制御するドライバーICと、
外部からのシリアル信号を受け取る情報表示器側コネクターと、
シリアル信号とパラレル信号とを双方向に変換するシリアル‐パラレル双方向変換手段であって、前記位置座標検出手段に入力されたパラレル信号をシリアル信号に変換し、変換したシリアル信号を前記情報表示器側コネクターに伝送するとともに、前記外部からのシリアル信号をパラレル信号に変換し、変換したパラレル信号を前記ICドライバーに伝送する、シリアル‐パラレル双方向変換手段とを備え、
前記情報表示器側コネクターが少なくとも二個設けられたことを特徴とする情報表示器。
【0009】
(4)上記(3)に記載の情報表示器と、シリアル‐パラレル双方向変換手段、前記情報表示器側コネクターと接続するための駆動装置側コネクター、CPU、メモリー及び電源供給手段を有する駆動装置と、を備え、
前記情報表示器側コネクター及び前記駆動装置側コネクター間でシリアル信号が伝送されることを特徴とする情報表示システム。
【0010】
なお、本発明において、「パラレル−シリアル変換」は、2bit以上同期して伝送されるデジタル信号に対して、時間軸上に同期データを分散させることによって同期して伝送するデータのbit数を減らすことを目的として実施され、伝送線路の数が減少するなどのメリットがある。また、「シリアル−パラレル変換」とは、パラレル−シリアル変換の逆変換を意味する。さらに、「パラレル信号」とは、2bit以上同期して伝送されるデジタル信号を意味し、「シリアル信号」とは、パラレル−シリアル変換によって変換されたデジタル信号を意味する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の情報表示システムに供する情報表示部は、情報表示システムにおける情報表示器と駆動装置とを、それぞれ切り離すことができるようにした。これにより、表示した情報を書き換えるときに、コネクターを用いて情報表示器と駆動装置とを接続して、情報表示器が搭載している情報表示用パネルを駆動してその表示情報を書き換え、その後、表示メモリー性を利用して表示させた情報を維持させた状態で、情報表示器を駆動装置から取り外し、情報表示器だけを持ち運ぶことができるようになった。
【0012】
また、本発明の情報表示システムに供する情報表示部に、シリアル信号をパラレル信号に変換するシリアル−パラレル変換手段を搭載し、駆動装置から情報表示器に送る信号をシリアル信号とするようにしたので、情報表示器と駆動装置との電気的接続において少数の電極を接続するだけで済むようになり、情報表示器を駆動装置に自在に着脱できるようになった。これにより、1つの駆動装置に対して複数の情報表示器を順次接続して、1つの駆動装置で、複数の情報表示器への情報表示ができるようになった。
【0013】
また、本発明の情報表示システムに供する情報表示器に設けられた情報表示部側コネクターを、少なくとも二個設けるようにしたため、状況に応じて、外部と接続使用する情報表示部側コネクターを適宜選択することができ、情報表示器を取扱う際の自由度が高い情報表示器を提供することが可能となった。
【0014】
さらに、本発明の情報表示システムに供する情報表示部では、書き換え情報の入力に用いる位置座標検出手段として、情報表示用パネルの前面側に配置する方式のタッチパネルや、情報表示用パネルの背面側に配置する方式のタッチパネルを備えるようにした。これにより、情報表示器からの入力情報を、駆動装置側へ伝送することが可能となった。
【0015】
そして、上記のような機能を有する情報表示部と、これと電気的に接続される駆動装置とを備える、情報システムを提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)、(b)はそれぞれ本発明の情報表示器で用いる表示メモリー性のある表示媒体として帯電性粒子を含んだ粒子群を用いた情報表示用パネルの一例を説明するための図である。
【図2】(a)、(b)はそれぞれ本発明の情報表示器で用いる表示メモリー性のある表示媒体として帯電性粒子を含んだ粒子群を用いた情報表示用パネルの他の例を説明するための図である。
【図3】本発明の情報表示器で用いる表示メモリー性のある表示媒体として帯電性粒子を含んだ粒子群を用いた情報表示用パネルの他の例を説明するための図である。
【図4】本発明の情報表示器で用いる表示メモリー性のある表示媒体として帯電性粒子を含んだ粒子群を用いた情報表示用パネルのさらに他の例を説明するための図である。
【図5】本発明の情報表示器の第一実施形態を説明するための図である。
【図6】図5に示す情報表示器の、各構成要素の接続関係を説明するためのブロック図である。
【図7】本発明の第一実施形態の情報表示システムの一例を説明するためのブロック図である。
【図8】本発明の第一実施形態の情報表示システムの他の例を説明するためのブロック図である。
【図9】本発明の情報表示器の選択可能な情報表示器側コネクターの配置例を示す図である。
【図10】(a)、(b)はそれぞれ、本発明の情報表示器の第二実施形態を説明するための図である。
【図11】図10(a)、(b)に示す情報表示器の、各構成要素の接続関係を説明するためのブロック図である。
【図12】(a)、(b)はそれぞれ、本発明の情報表示器の第二実施形態の、他の例を説明するための図である。
【図13】図12(a)、(b)に示す情報表示器の、各構成要素の接続関係を説明するためのブロック図である。
【図14】本発明の第二実施形態の情報表示システムの一例を説明するためのブロック図である。
【図15】本発明の第二実施形態の情報表示システムの他の例を説明するためのブロック図である。
【図16】本発明の第二実施形態の情報表示システムのさらに他の例を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の情報表示器は、表示メモリー性を有する情報表示用パネルと、当該情報表示用パネルに印加する駆動電圧を制御するドライバーICと、外部からのシリアル信号をパラレル信号に変換し、変換したパラレル信号を前記ドライバーICに伝達するシリアル‐パラレル変換手段と、外部からのシリアル信号を受け取る情報表示器側コネクターとを備える。
以下では、本発明の情報表示器の基本的な構成について、幾つかの実施形態に基づき、図面を参照しつつ、各々説明する。
【0018】
<情報表示器を構成する情報表示用パネルについて>
まず、本発明の情報表示器を構成する情報表示用パネルのうち、帯電性粒子を含んだ粒子群を表示媒体として用いる情報表示用パネルの一例について説明する。
【0019】
上記情報表示用パネルでは、対向する2枚の基板間の空間に封入した表示媒体に電界が付与される。付与された電界方向に沿って、表示媒体が電界による力やクーロン力などによって引き寄せられ、表示媒体が電界方向の変化によって移動することにより、画像等の情報表示がなされる。従って、表示媒体が、均一に移動し、かつ、繰り返し表示情報を書き換える時あるいは表示情報を継続して表示する時の安定性を維持できるように、表示パネルを設計する必要がある。ここで、表示媒体を構成する粒子にかかる力は、粒子同士のクーロン力により引き付けあう力の他に、電極や基板との電気鏡像力、分子間力、液架橋力、重力などが考えられる。
【0020】
本発明の情報表示システムで用いる情報表示器を構成する情報表示用パネルのうち、帯電性粒子を含んだ粒子群を表示媒体として用いる情報表示用パネルの例を、図1(a)、(b)〜図4に基づき説明する。
【0021】
図1(a)、(b)に示す例では、少なくとも光学的反射率及び帯電性を有する粒子を含んだ粒子群として構成した少なくとも2種類の表示媒体(ここでは負帯電性白色粒子3Waを含んだ粒子群として構成した白色表示媒体3Wと正帯電性黒色粒子3Baを含んだ粒子群として構成した黒色表示媒体3Bを示す)を、隔壁4で形成された各セル7において、背面側の基板1に設けた電極5(ストライプ電極)と少なくとも表示画面領域が透明な観察側の基板2に設けた透明電極6(ストライプ電極)とが対向交差(好ましくは対向直交交差)して形成する画素電極対の間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2との間で移動させる。そして、図1(a)に示すように白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色の表示を、あるいは、図1(b)に示すように黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色の表示を、白黒のドットでマトリックス表示している。なお、8は接着剤である。さらに、ここではセルと画素(ドット)とが1対1に対応する例を示しているが、セルと画素(ドット)とを1対1に対応させなくてもよい。さらにまた、ここではセル内を空気で満たしているが、他の気体で満たしたり、真空としたりしてもよい。また、絶縁液体を満たしてもよい。
【0022】
図2(a)、(b)に示す例では、少なくとも光学的反射率及び帯電性を有する粒子を含んだ粒子群として構成した少なくとも2種類の表示媒体(ここでは負帯電性白色粒子3Waを含んだ粒子群として構成した白色表示媒体3Wと正帯電性黒色粒子3Baを含んだ粒子群として構成した黒色表示媒体3Bを示す)を、隔壁4で形成された各セルにおいて、基板1に設けた電極5(TFT(薄膜トランジスタ)付き画素電極)と少なくとも表示画面領域が透明な観察側の基板2に設けた透明電極6(共通電極)との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2との間で移動させる。そして、図2(a)に示すように白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色の表示を、あるいは、図2(b)に示すように黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色の表示を、白黒のドットでマトリックス表示している。なお、8は接着剤である。さらに、ここではセルと画素(ドット)とが1対1に対応する例を示しているが、セルと画素(ドット)とを1対1に対応させなくてもよい。さらにまた、ここではセル内を空気で満たしているが、他の気体で満たしたり、真空としたりしてもよい。また、絶縁液体を満たしてもよい。
【0023】
図3に示す例では、図2に示した構成の変形例を示しており、2種類の表示媒体を、透明な絶縁液体とともにマイクロカプセル内に封入し、このマイクロカプセルを電極間に配置した構成である。図2で示した情報表示用パネルと同様にして情報表示を行なえる。
【0024】
図4に示す例では、図2に示した構成の変形例を示しており、2種類の表示媒体を、白色表示媒体(白色粒子群)と青色表示媒体(青色絶縁液体)として、電極付き基板間のセル内に封入した構成である。白色粒子群を基板間で移動させて、観察側に移動させた白色粒子群を観察者に視認させて白色の表示を、白色粒子群を背面側に移動させて、青色絶縁液体を観察者に視認させて青色の表示を、白青のドットでマトリックス表示している。
【0025】
次に、本発明が備える情報表示用パネルの各部材について説明する。
<情報表示用パネルについて>
上記情報表示用パネルの基板は、2枚のフレキシブルな基板1、2で構成することができる。このような構成にすることで、薄くて軽く、携帯性に優れた電子ペーパーに好適な情報表示用パネルとすることができるので好ましい。この情報表示用パネルの基板1、2には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)などの樹脂シートが好適に用いられる。ガラス基板を用いることもできるが、割れやすいこともあり、携帯型電子ペーパーには、樹脂シートの方が好ましい。観察面となる前面側には、少なくとも表示画面領域が透明なものを用いる。観察面となる前面側であっても表示画面領域外であれば透明でなくてもよい。また、背面側に用いる基板は透明であってもよいし、透明でなくてもよい。
【0026】
基板1、2の厚さは、25μm〜200μmの範囲であることが好ましいい。厚さが200μmを超えると、情報表示用パネルの電子ペーパーを薄型にできずに携帯性に不具合がでるおそれがあり、一方、厚さが25μm未満では、製造時のハンドリングが難しくなる。観察側とする基板2の透明な表示画面領域の最外表面には、外部からの損傷を受けにくくするためにハードコート層を設けるのが好ましい。ハードコート層には一般的なハードコート材料を用いることができる。
【0027】
情報表示用パネルの2枚の基板間ギャップを確保するためのスペーサーとなる隔壁や、表示媒体とする粒子群を収納するセルを形成するために設ける隔壁は、レジスト材を用いたフォトリソグラフィー技術で形成する。レジスト材としてはドライフィルムレジスト材がハンドリングの点で好ましく、例えば、アルフォNIT2(ニチゴーモートン社製)やPDF300(新日鐵化学社製)をドライフィルムレジスト材として使用する。
【0028】
上記隔壁において、基板間ギャップ確保用のスペーサーとなる隔壁の幅は、20μm〜100μmの範囲とし、セル形成用の隔壁の幅は、5μm〜30μmの範囲とすることが好ましい。また、隔壁の高さは、5μm〜100μmの範囲とし、帯電性粒子を含んだ粒子群を表示媒体とする方式の情報表示用パネルでは、隔壁の高さを、10μm〜100μmの範囲とすることが好ましい。基板間ギャップ確保用のスペーサーとしては上記隔壁のほかに、柱状スペーサー、球状スペーサーのようなドット状スペーサーを用いることもできる。
【0029】
<電極材料について>
本発明の情報表示器が備える情報表示用パネルに電極を設ける場合、電極の形成材料としては、アルミニウム、銀、ニッケル、銅、金等の金属類や酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、アンチモン錫酸化物(ATO)、導電性酸化錫、導電性酸化亜鉛等の透明導電金属酸化物類、ポリアニリン、ポリピロール、poly-(3, 4-ethylenedioxythiophene)-poly-
(styrenesulfonate)(PEDOT:PSS)等のポリチオフェン類などの透明導電性高分子類が例示され適宜選択して用いられる。
電極の形成方法としては、上記例示の材料をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD(化学蒸着)法、塗布法等で薄膜状に形成する方法や、導電剤を溶媒や合成樹脂バインダーに混合して塗布したりする方法が用いられる。
情報表示用パネルの基板に設ける電極であって、観察側となる基板の表示画面領域に設ける電極は透明である必要があるが、それ以外の領域に設ける電極は透明である必要はない。いずれの場合もパターン形成可能で導電性である上記材料を好適に用いることができる。なお、電極厚みは、導電性が確保できれば良く、好ましくは0.05μm〜10μmであり、より好ましくは0.1μm〜5μmである。
情報表示用パネルの基板に設ける電極であって、観察側となる基板の表示画面領域に設ける電極の材質や厚みは、上述した以外に光透過性を考慮して決められ、例示した材料のうち酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、アンチモン錫酸化物(ATO)、導電性酸化錫、導電性酸化亜鉛等の透明導電金属酸化物類、ポリアニリン、ポリピロール、poly-(3,4-ethylenedioxythiophene)-poly-(styrenesulfonate)(PEDOT:PSS)等のポリチオフェン類などの透明導電性高分子類が例示され適宜選択して用いられる。
【0030】
<表示媒体について>
表示媒体として帯電性粒子を含んだ粒子群を用いる場合、表示媒体用粒子には、その主成分となる樹脂に、必要に応じて、荷電制御剤、着色剤、無機添加剤等を含ませることができる。帯電性粒子を含んだ粒子群以外にも、例えば、導電性粒子、コレステリック液晶などを用いてもよい。半分ずつ2色かつ異なる帯電極性を施された粒子を電界で回転させて表示する方式、コレステリック液晶に電圧を付与して相状態を変化させて表示する方式を採用することもできる。上記した表示媒体及び表示方式を採用することで、一度表示させた状態を、次に書き換えるまで保持する表示メモリー性を得ることができる。
したがって、これら表示媒体及び表示方式は、電子ペーパーとしての使用に適している。このうち、帯電性粒子を含んだ粒子群を、気体中(真空を含む)で移動する方式は、粒子群を配置した情報表示用パネル内面において粒子群が移動した基板に付着するメカニズムが働くので高い表示メモリー性が得られるため、特に好ましい。
【0031】
次に、本発明に従う情報表示器および情報表示システムの各構成を、二つの実施形態に基づいて詳細に説明する。但し、ここで示す実施形態は本発明の一実施形態であって、これらに限定されるわけではない。
【0032】
1.第一実施形態
<情報表示器について>
図5は本発明の情報表示器の第一の実施形態を説明するための図である。本実施形態では、情報表示用パネルとして図1(a)、(b)に示す構造のものを使用しており、図1(a)、(b)に示す実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。図5に示す例において、本発明の情報表示器11は、情報を表示する情報表示部として機能する情報表示用パネル12と、ロウ方向の複数本のストライプ電極5ごとに、表示すべき情報の駆動電圧を供給するドライバーIC13と、カラム方向の複数本のストライプ電極6ごとに、表示すべき情報の駆動電圧を供給するドライバーIC14と、シリアル信号をパラレル信号に変換するシリアル−パラレル変換手段15と、外部から伝送されるシリアル信号、ここでは別体の駆動装置から伝送されるシリアル信号を受け取る、後述する二個の情報表示器側コネクター16、16と、を備えている。図5には、ドライバーICを2枚の基板のそれぞれに直接実装した例を示したが、ドライバーICを実装したフレキシブル基板を2枚の基板のそれぞれに実装した構成にすることもできる。
【0033】
図6は、図5に示す本発明の情報表示器の、各構成要素の接続関係を説明するためのブロック図である。図6に示す例において、図5に示す例と同一の部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。
ドライバーIC13およびドライバーIC14はそれぞれロウ側ストライプ電極数以上の出力側端子、カラム側ストライプ電極数以上の出力側端子を有するものを用いる。シリアル−パラレル変換手段とドライバーICとの接続は、同じ基板上であれば基板に形成した電極線を用い、基板間での接続となる場合はフレキシブルケーブルやフレキシブル回路基板(FPC)を用いる。
なお、ドライバーIC13、14やシリアル−パラレル変換手段15は、通常であれば額縁状にラミネートされ、情報表示器側コネクター16以外は露出されないが、図6では説明の簡単のために露出した状態で示している。
【0034】
複数のドライバーIC13および複数のドライバーIC14と、シリアル−パラレル変換手段15のパラレルポート間では、駆動装置側から受け取ったシリアル信号を変換したパラレル信号が伝送される。このとき、複数のドライバーIC13および複数のドライバーIC14に対してシリアル−パラレル変換手段15を1つ配置して、さらにこのシリアル−パラレル変換手段15の先に、駆動装置とのコネクターを1つ配置する構成にすることもできるし、複数のドライバーIC13および複数のドライバーIC14それぞれに対してシリアル−パラレル変換手段15を配置して、さらにこの複数のシリアル−パラレル変換手段15の先に、駆動装置とのコネクターをそれぞれ配置する構成にすることもできる。情報表示器を駆動装置に着脱するときの容易性や情報を書き換える際の書き換え速度を勘案して、どちらかを選択して採用することができる。
【0035】
なお、上述した例では、情報表示器が搭載する情報表示用パネルとして図1(a)、(b)に示す複数のストライプ電極に信号を伝送するパッシブ駆動方式のものを使用したが、情報表示用パネルとして図2(a)、(b)、図3、4に示した情報表示用パネルを用いた場合でも、TFT付き電極に伝達する信号を上述した例と同様に処理することで、本発明を好適に適用することができる。
【0036】
<情報表示システムについて>
次に示す図7は、第一の実施形態の情報表示器を備える、情報表示システムの第一の実施形態を示す図であって、各構成要素の接続関係を示すブロック図である。図7に示す例では、情報表示システムは、情報表示器11と駆動装置21とから構成されている。情報表示器11は、図5および6に基づき説明した実施形態と同様の構成であり、ここではその説明を省略する。
【0037】
図7に示す例では、駆動装置21は、パラレル信号をシリアル信号に変換するパラレル−シリアル変換手段22と、ロジックコントローラ23と、電源供給手段となるバッテリー24と、データ信号を表示媒体駆動に必要な電圧レベルに昇圧する昇圧回路28と、CPU25と、各種のデータを記憶するメモリー26と、外部からデータを少なくとも受信できる通信手段27と、情報表示器11の情報表示器側コネクター16と接続するための対応する駆動装置側コネクター29とを備えている。ロジックコントローラ23、昇圧回路28、通信手段27を有しない構成にすることもできる。なお、電源供給手段24は、バッテリーでなく、外部電源に接続して外部から電源供給されるような構成でもよい。
【0038】
駆動装置21内でのデータ信号のやり取りはパラレルで行い、駆動装置21側ではデータ信号の出口に配置したパラレル−シリアル変換手段22で、データ信号をパラレル信号からシリアル信号に変換する。すなわち、パラレル−シリアル変換手段22においては、パラレルポートから入ったパラレル信号を変換して、シリアルポートからシリアル信号として送り出すことになる。
一方、情報表示器11側では、データ信号の入り口に配置したシリアル−パラレル変換手段15のシリアルポートから入ったシリアル信号を変換して、パラレルポートからパラレル信号として送り出すことになる。
情報表示器11と駆動装置21とを接続してデータ信号伝送ラインを確保するコネクターは、駆動装置21側の駆動装置側コネクター29と、情報表示器11側の情報表示器側コネクター16とでシリアル信号を伝達するための信号線数および1本のグランド信号線を有していればよいため、接続する必要のある信号線端子数を少なくすることができる。コネクターとしては、例えば、市販のUSBコネクターのような、端子数が4本のコネクターを採用することができるほか、極端な例では、データ信号線とグランド端子線との2端子数のコネクターを用いることもできる。また、例えばSATAコネクターや、SDカード、miniSDカード、マイクロSDカードなどの電極の接続形状を用いることもできる。コネクターの端子数は少ない方が接続を容易にできるが、一方で、データ信号を伝達するのに時間が掛かるようになり表示書き換えに時間を要することになるため、端子数は4本〜16本の範囲にする。
【0039】
図7では、シリアル−パラレル変換手段15を情報表示器内のドライバーICの手前に配置する本発明の情報表示器の基本的な構成を示しているが、このシリアル−パラレル変換手段15の機能をドライバーICに含ませることもできる。この場合、図8に示すように、情報表示器側において、シリアル−パラレル変換手段は独立しては用いられないが、シリアル−パラレル変換手段付きのドライバーICとしてその機能は情報表示器に付与されていることになる。ドライバーICの入力側から入ったシリアル信号が、ドライバーICのシリアル−パラレル変換機能によってパラレル信号に変換され、ドライバーICの出力側から送り出される。
【0040】
図7、図8に示す情報表示システムにおいては、情報表示器11と駆動装置21との間でデータ信号をシリアル信号として伝送することで、情報表示器11と駆動装置21との接続に用いる信号線を少なくすることができるため、簡単な構成で情報表示器11と駆動装置21との着脱自在な接続を達成することができる。
また、1つの駆動装置21を用いて情報表示器11を付け替えることで、複数の情報表示器11に対し1つの駆動装置21のみで情報の表示を行うことができる。
【0041】
図7、図8に示す本発明の情報表示システムにおいて、駆動装置21として、携帯電話機に代表される携帯型端末機や、PC(Personal Computer:パソコンともいう)等を採用することもできる。この場合、この駆動装置、例えば携帯電話機の場合には、携帯電話機の表示画面に情報を表示する機能が付与されているが、本発明の情報表示器を接続して駆動させるために必要な手段として、さらに、前述した少なくとも、ロジックコントローラ23、昇圧回路28およびパラレル−シリアル変換手段22を付加する必要がある。これらの機能は小型で軽量のため携帯電話機を小型で軽量の駆動装置とすることができ、携帯電話機の携帯性の妨げにはならないので、情報表示器とともに持ち歩くことも容易であり、携帯電話機の表示画面のように小さな画面では見にくい情報も、別体の大画面の情報表示器を接続して、情報表示器の画面で見やすくすることができる。また、この場合も、必要な情報を表示させた情報表示器を携帯電話機から取り外し、別の情報表示器を接続して、別に必要な情報を表示させてから取り外す、という作業を行なって、必要な情報を表示させた複数枚の情報表示器を並べて、全情報を一望に見たり、必要な情報を表示させた複数枚の情報表示器を重ねて全情報を、ページを捲るような感覚で見たりすることができる。
【0042】
駆動装置21に設けるパラレル−シリアル変換手段22および情報表示器11に設けるシリアル−パラレル変換手段15は、情報表示器11に搭載した1個のドライバーICについて各1個設ける構成から、全てのドライバーICについて1個設ける構成の範囲で採用できる。各ドライバーICの数だけ設ける構成では、コネクターがその数必要になり、接続がやや困難になるが、データ信号の伝送を速くできるメリットがあり、全てのドライバーICについてコネクターを1個設ける構成では、接続は容易になるが、データ信号の伝送が遅くなるデメリットがある。
【0043】
以上のような、本発明に従う情報表示器及びこれを含む情報表示システムを形成することにより、以下の効果を得ることができる。
【0044】
一つ目は、メモリー性を有する情報表示用パネルを用いる場合、一度画像を表示すれば、書き換えるまでその画像が位置される。そこで、一つの駆動装置を用いて情報表示器を付け替えることで、複数の情報表示用パネルに表示が可能となる。すなわち、駆動装置のメモリー性を充分に利用することができる。
さらに、駆動装置と切り離して、軽量で薄型の情報表示用パネルを情報表示器として採用することができるので、情報表示器を複数用いるメリットがさらに大きくなり、一つの駆動装置に複数の情報表示器を付け替えるメリットが増加する。
【0045】
二つ目は、本発明によれば、第一に、情報表示器側にドライバーICを搭載することで、実際の画素の電極側にドライバーICの出力側を接続し、出力側よりも端子数の少ない入力側を駆動装置と接続するようにして、情報表示器と駆動装置との間で接続する電極数を大幅に減少することによって、第二に、ドライバーICへの伝送信号をシリアル信号にすることによって、情報表示器と駆動装置との間を接続する電極数をさらに少なくするようにした。
このように、情報表示器にドライバーICの機能とシリアル‐パラレル変換の機能を一体化することで、それ以外の駆動装置(CPUやメモリー、電源供給手段、昇圧手段、入力装置、通信機能)と極めて少ない本数の端子により、電気的な接続ができるようになった。その結果、表示した情報を書き換える際に、駆動装置に簡単に接続して情報を書き換え、書き換えた後は駆動装置から簡単に取り外して、情報が表示されたまま持ち歩ける情報表示器とできる、情報表示器と駆動装置とで構成した情報表示システムとなった。
【0046】
上記のようにして、情報表示器11と駆動装置21とが切り離し可能とすることによって、情報表示器11の携帯性が向上したことから、情報表示器11に駆動装置21を接続する際の利便性を持たせることが、当該システムの完成に極めて有効である。
すなわち、情報表示器11の携帯性が向上したことに伴い、情報表示器11を手に持って使用する頻度が高くなる。この際、情報表示器11を、例えば使用者が左手で持った状態で情報表示器側コネクター16を駆動装置21と接続しようとしたときに、情報表示器側コネクター16も左側に位置している場合には、情報表示器側コネクター16の口が使用者の左手で塞がった状態となる。この場合、使用者は、左手を情報表示器11から外して、情報表示器11本体を回転させる等して、情報表示器11側の情報表示器側コネクター16と駆動装置21とを接続する必要がある。また、情報表示器11をパソコン等と接続しようとする際に、パソコン周辺のスペースや設計上の問題で、情報表示器11を配置する方向が限られる場合がある。
このように、接続する電極数を減少させるという観点から情報表示器に設けられるコネクター数を最小限の一個としてしまうと、今度は、利便性の観点から不都合が生じる場合がある。
【0047】
従って、本発明では、上述の情報表示器11の構成に加えて、使用者が状況に応じて自由に選択することができる情報表示器側コネクター16が、少なくとも二個設けられることが肝要である。図9(a)〜(c)を用いて、情報表示器11に設けられる情報表示器側コネクター16の配置のいくつかの例を示す。
【0048】
図9(a)では、二個の情報表示器側コネクター16C、16Cが、情報表示器11上の相互に隣接する角部に配置されている。
このように配置することによって、例えば、使用者が右手で情報表示器側コネクター16C近傍を持っていた場合、そのままの状態で、左手で情報表示器側コネクター16Cに駆動装置21からのコネクターコードを接続することができる。反対に、使用者が左手で情報表示器側コネクター16C近傍を持っていた場合には、そのままの状態で、右手で情報表示器側コネクター16Cに駆動装置21を接続することができる。
【0049】
この場合、二個の情報表示器側コネクター16C、16Cは、情報表示器側コネクター16Cに駆動装置21を接続した場合には使用していない情報表示器側コネクター16Cが、情報表示器側コネクター16Cに駆動装置21を接続した場合には使用していない情報表示器側コネクター16Cが、外部との接続機能が自動的にOFFに切り替えられる、自動切り替え手段を有してもよい。
【0050】
なお、図9(a)のように、二個の情報表示器側コネクターを同一辺上に配置する場合には、利便性の観点から、両情報表示器側コネクター間の距離が比較的大きくなるように、両情報表示器側コネクターを、その辺の端部側に配置することが好ましい。
また、図9(a)に示した例では、情報表示器側コネクター16C、16Cが雌口である場合を示したが、情報表示器側コネクター16C、16Cは雄口であってもよい。
【0051】
また、次に示す図9(b)に示すように、情報表示器11が長方形である場合に、情報表示器側コネクター16Cを長辺a上に、情報表示器側コネクター16Cを短辺b上に、それぞれ配置するようにすることもできる。
例えば、情報表示器11を、駆動装置21となるパソコンに直接接続する場合に、パソコン周辺のスペースとの関係で、パソコン側面に対して情報表示器11の短辺b側しか近づけることができない場合がある。この場合、長辺a上の情報表示器側コネクター16Cではなく、短辺b上の情報表示器側コネクター16Cを選択して、パソコンと直接接続するようにすることができる。
反対に、パソコンに対して情報表示器11の長辺a側しか近づけることができない場合には、情報表示器側コネクター16Cを使用することもできる。
【0052】
この場合も、図9(a)で示した例と同様に、情報表示器側コネクター16Cに駆動装置21を接続した場合には使用していない情報表示器側コネクター16Cが、情報表示器側コネクター16Cに駆動装置21を接続した場合には使用していない情報表示器側コネクター16Cが、外部との接続機能が自動的にOFFに切り替えられる、自動切り替え手段を有してもよい。
【0053】
また、図9(b)に示した例では、パソコンのUSB口に対して接続することができるように、情報表示器側コネクター16C、16Cを雄口とすることができるが、情報表示器側コネクター16C、16Cは雌口であってもよい。
【0054】
さらに、図9(a)、(b)で示す例では、情報表示器に設けられる情報表示器側コネクターの数を二個としたが、情報表示器側コネクターの数を、図9(c)に示すように三個、それ以上としてもよい。情報表示器の大きさや用途に応じて、最適な位置及び数の情報表示器側コネクターを設けることができる。
【0055】
このように、本発明の情報表示器によれば、少なくとも二個の情報表示器側コネクターが設けられていることにより、状況に応じて、外部と接続使用する情報表示器側コネクターを適宜選択することができ、情報表示器を取扱う際の自由度が高い情報表示器を提供することが可能となる。
【0056】
次に、本発明に従う第二実施形態を示す。第二実施形態は、情報表示用パネルに、タッチパネル等の位置座標検出手段を設け、シリアル‐パラレル変換手段をシリアル−パラレル双方向変換手段とした点が、上記の第一実施形態と異なる。
【0057】
2.第二実施形態
<情報表示器について>
図10(a)、(b)はそれぞれ本発明の情報表示器の第二の実施形態を説明するための図である。本実施形態では、情報表示用パネルとして図1(a)、(b)に示す構造のものを使用しており、図1(a)、(b)に示す実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。図10(a)、(b)に示す例において、本発明の情報表示器11は、情報を表示する情報表示部として機能する情報表示用パネル12と、ロウ方向の複数本のストライプ電極5ごとに、表示すべき情報の駆動電圧を供給するドライバーIC13と、カラム方向の複数本のストライプ電極6ごとに、表示すべき情報の駆動電圧を供給するドライバーIC14と、シリアル信号とパラレル信号とを双方向に変換するシリアル−パラレル双方向変換手段35と、外部から伝送されるシリアル信号、ここでは別体の駆動装置から伝送されるシリアル信号を受け取るとともに、位置座標変換手段ここではタッチパネル17からの位置情報を別体の駆動装置に送る、二個の情報表示器側コネクター16、16と、情報を書き込んだり、情報を書き換えたりするときに情報入力に用いる位置座標検出手段としてのタッチパネル17と、を備えている。なお、本例では、タッチパネル17を抵抗膜方式タッチパネルとして、情報表示用パネル12の表示面側(前面側)に設けたが、位置座標検出方式によって裏面側に設けることもできる。例えば電磁誘導方式タッチパネル(電磁誘導式デジタイザとも呼ばれる)は裏面側に設ける。
【0058】
また、情報表示用パネルをフレキシブルな基板を用いて薄型(例えば、総厚が50μm〜500μm)でフレキシブルな構造に構成すれば、情報表示用パネル越しに操作することもできる。このフレキシブルな情報表示用パネルであれば、電磁誘導方式でなくても、例えば、抵抗膜方式、マトリクススイッチ方式、メンブレンスイッチ方式のタッチパネルを背面側に配置し、情報表示用パネル越しに操作することもできる。情報表示用パネルの背面側に配置した位置座標検出手段は、情報表示用パネルの視認性を損なうことがないので好ましい。
【0059】
図11は図10(a)、(b)に示す情報表示器の、各構成要素の接続関係を説明するためのブロック図である。図10に示す例において、図10(a)、(b)に示す例と同一の部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。図11に示す例において、前面側基板の画素用電極は異方導電膜(ACF)で背面側基板側電極と基板間導通している。情報表示用パネル12の前面側基板に形成されたロウ方向のストライプ電極5は、背面側基板の接続用電極にACF接続で引き回され、背面側基板に形成されたカラム方向のストライプ電極6は背面側基板の接続用電極に引き回され、ドライバーIC13およびドライバーIC14はいずれも、ドライバーICチップを直接基板に実装するチップ・オン実装技術で背面側基板上に実装されている。ドライバーIC13およびドライバーIC14はそれぞれロウ側ストライプ電極数以上の出力側端子、カラム側ストライプ電極数以上の出力側端子を有するものを用いる。
【0060】
ドライバーICは基板に直接実装するほかにも、ドライバーICが搭載されたフレキシブル基板(テープキャリアパッケージ:TCPと言うこともある)やドライバーICが搭載されたフレキシブルケーブルを情報表示用パネルの基板に実装する方法を採ることもできる。
【0061】
複数のドライバーIC13および複数のドライバーIC14と、シリアル−パラレル双方向変換手段35のパラレルポート間では、駆動装置側から受け取ったシリアルデータ信号を変換したパラレルデータ信号が伝送される。このとき、複数のドライバーIC13および複数のドライバーIC14に対してシリアル−パラレル双方向変換手段35を1つ配置して、さらにこのシリアル−パラレル双方向変換手段35の先に、駆動装置とのコネクターを1つ配置する構成にすることもできるし、複数のドライバーIC13および複数のドライバーIC14それぞれに対してシリアル−パラレル双方向変換手段35を配置して、さらにこの複数のシリアル−パラレル双方向変換手段35の先に、駆動装置とのコネクターをそれぞれ配置する構成にすることもできる。情報表示器を駆動装置に着脱するときの容易性や情報を書き換える際の書き換え速度を勘案して、どちらかを選択して採用することができる。
【0062】
さらに、位置座標検出手段としてのタッチパネル17と、シリアル−パラレル双方向変換器35のパラレルポートとは、パラレル信号の伝送が行えるようパラレル接続されている。この場合、タッチパネル17専用のシリアル−パラレル双方向変換器35を用いても良いし、ドライバー回路13、14用のシリアル−パラレル双方向変換器35を共用しても良い。専用の場合は、情報表示器側コネクター16にタッチパネル17専用の信号線を形成することとなり、共用の場合は情報表示器側コネクター16のドライバー回路13、14用の信号線を共用することとなる。
【0063】
図10(a)、(b)および図11に示す情報表示器11においては、情報表示器側コネクター16を用いることで、情報を表示するとき、および、タッチパネル17で入力した書き換え情報の信号を伝送したり、入力した位置情報の信号を伝送したりするときに駆動装置(別体の装置の一例でここでは図示せず)と接続して入力した情報に従った表示を行い、表示メモリー性を利用して、表示させた情報を維持させた状態で、駆動装置とは切り離して単独で情報の表示を行うことができる。
【0064】
なお、上述した例では、情報表示器が搭載する情報表示用パネルとして図1(a)、(b)に示す複数のストライプ電極に信号を伝送するパッシブ駆動方式のものを使用したが、情報表示用パネルとして図2(a)、(b)、図3、4に示した情報表示用パネルを用いた場合でも、TFT付き電極に伝送する信号を上述した例と同様に処理することで、本発明を好適に適用することができる。
【0065】
図12(a)、(b)はそれぞれ本発明の情報表示器の他の例を説明するための図であり、図13は、図12(a)、(b)に示す情報表示器の、各構成要素の接続関係を説明するためのブロック図である。図12(a)、(b)および図13に示す例は、基本的に図10(a)、(b)および図11に示す例と同じ構成であり、同一の部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。図12(a)、(b)および図13に示す例において、図10(a)、(b)および図11に示す例と異なる点は、情報表示用パネルをフレキシブルに構成するとともに、位置座標検出手段としてメンブレンスイッチ方式タッチパネル18を情報表示用パネル12の背面側に配置した点である。図12(a)、(b)および図13に示す例においても、図10(a)、(b)および図11に示す例と同様に、情報表示器側コネクター16を用いることで、情報を表示するとき、および、メンブレンスイッチ方式タッチパネル18で情報表示用パネルに入力した書き換え情報の信号を伝送するときに駆動装置(別体の装置の一例でここでは図示せず)と接続して入力した情報に従った表示を行い、表示メモリー性を利用して、表示させた情報を維持させた状態で、駆動装置とは切り離して単独で情報の表示を行うことができる。
【0066】
<情報表示システムについて>
次に示す図14は、第二の実施形態の情報表示器を備える、情報表示システムの第二の実施形態を示す図であって、各構成要素の接続関係を示すブロック図である。図14に示す例では、情報表示システムは、情報表示器11と駆動装置21とで構成されている。本例において、情報表示器11は位置座標検出手段として電磁誘導方式タッチパネルを用い情報表示用パネルの背面側に配置した以外は、図10(a)、(b)および図11に基づき説明した例と同様の構成であり、ここではその説明を省略する。この場合、情報表示用パネルはフレキシブルに構成されていてもよいし、フレキシブルに構成されていなくてもよい。
【0067】
図14に示す例において、駆動装置21は、パラレル信号とシリアル信号とを双方向に変換するパラレル−シリアル双方向変換手段32と、ロジックコントローラ23と、電源供給手段24と、データ信号を表示媒体駆動に必要な電圧レベルに昇圧する昇圧回路28と、CPU25と、各種のデータを記憶するメモリー26と、外部とデータを少なくとも受信できる通信手段27と、情報表示器11の情報表示器側コネクター16と接続するための対応する駆動装置側コネクター29とを備えている。通信手段27、ロジックコントローラ23、昇圧回路28を有しない構成にすることもできる。
【0068】
駆動装置21内でのデータ信号のやり取りはパラレルで行い、駆動装置21からのデータ信号の出口に配置したパラレル−シリアル双方向変換手段32で、データ信号をパラレル信号からシリアル信号に変換する。すなわち、パラレル−シリアル双方向変換手段32においては、パラレルポートから入ったパラレル信号を変換して、シリアルポートからシリアル信号として駆動装置21側の駆動装置側コネクター29に送り出すことになる。
一方、情報表示器11側では、駆動装置21で形成されたデータ信号の入り口に配置したシリアル−パラレル双方向変換手段35のシリアルポートから入ったシリアル信号を変換して、パラレルポートからパラレル信号として送り出すことになる。
情報表示器11と駆動装置21とを接続してデータ信号伝送ラインを確保するコネクターは、駆動装置21側のコネクター29と情報表示器11側のコネクター16とでシリアル信号を伝送するための信号線数および1本のグランド信号線を有していればよいため、接続する必要がある信号線端子数を少なくすることができる。コネクターとしては、例えば、市販のUSBコネクターのような、端子数が4本のコネクターを採用することができるほか、極端な例では、データ信号線とグランド端子線との2端子数のコネクターを用いることもできる。また、例えばSATAコネクターや、SDカード、miniSDカード、マイクロSDカードなどの電極の接続形状を用いることもできる。コネクターの端子数は少ない方が接続を容易にできるが、一方で、データ信号を伝達するのに時間が掛かるようになり表示書換えに時間を要することになるため、端子数は4本〜16本の範囲にする。
【0069】
なお、情報表示器11の位置座標変換手段としてのタッチパネル17(ここでは電磁誘導方式タッチパネルを示した)で入力した位置情報の信号を別体の駆動装置21に伝送する操作は、上述した情報表示器11のシリアル−パラレル双方向変換手段35と駆動装置21のパラレル−シリアル双方向変換手段32を利用して、上述した操作と反対の操作となる。
【0070】
図14では、シリアル−パラレル双方向変換手段35を情報表示器内のドライバーICの手前に配置する本発明の情報表示器11の基本的な構成を示しているが、このシリアル−パラレル双方向変換手段35の機能をドライバーICに含ませることもできる。この場合、図11に示すように、情報表示器11側において、シリアル−パラレル双方向変換手段はシリアル−パラレル双方向変換機能として情報表示器に付与されていることになる。ドライバーICの入力側から入ったシリアル信号が、ドライバーICのシリアル−パラレル双方向変換機能によってパラレル信号に変換され、ドライバーICの出力側から送り出される。また、位置座標変換手段としてのタッチパネル17(ここでは抵抗膜方式タッチパネルを示した)で入力した位置情報の信号は、上述した操作を反対の操作により、駆動装置21に伝送される。
【0071】
次に示す図16は、本発明の第二実施形態の情報表示システムのさらに他の例を説明するためのブロック図である。図16に示す例において、情報表示システムは、情報表示器11と駆動装置21とで構成されている。本例において、情報表示器11は図12(a)、(b)および図13に基づき説明した例と同様の構成であるが、情報表示用パネルをフレキシブルに構成してある。また、図16に示す情報表示システムは、情報表示器11の位置座標検出手段にメンブレンスイッチ方式タッチパネル18を使用した以外、図14に示す情報表示システムと同じ構成であり、上述した図14に示す例と同様の作用および効果を有しているが、情報表示器側から、手書き入力を行って情報を書き込むことはできない。
【0072】
<タッチパネルの方式について>
マトリクススイッチ方式は、碁盤の目のように配列された電極によるスイッチが並んでおり、操作は、その面の一部を押さえると、上下2層の電極が接触することで電気回路が構成され、縦と横の位置情報を検出する仕組みである。透明電極で構成することによって、情報表示用パネルの前面側に配置できる。
【0073】
抵抗膜方式は、対向する2枚の抵抗膜のうち1枚に対して電圧をかけておくと、操作した位置に応じた電圧が2枚目に発生する。電圧を検知する事によりアナログ量として操作した場所を検知することができる。透明電極で構成することによって、情報表示用パネルの前面側に配置できる。
【0074】
表面弾性波方式は超音波方式とも呼ばれ、以下の原理で位置を検出する。まず、剛性の高いガラスなどの基板の複数の隅に圧電素子を取り付けて振動波を発生させる。板に触れていると固定点となり、振動波はそこで吸収され一部は跳ね返る。跳ね返りを圧電素子の電圧の発生によって検出する。各々の反射時間を計測して指などが接触した場所を検知することができる。抵抗膜方式に比べて視認性に優れるので、情報表示用パネルの前面側に好ましく配置できる。構造的にも堅牢で寿命が長く出来る。抵抗膜方式同様に、押さえるものは必ずしも指でなくても良い。
【0075】
静電容量方式のタッチパネルは、指先と導電膜との間での静電容量の変化を捉えて位置を検出する。指がセンサー表面に近づくだけで静電結合が起きるため、接触前でのカーソル表示のようなことが可能となる。押さえるものは指や指と同等の静電的な導電性のものである必要がある。透明電極で構成することによって、情報表示用パネルの前面側に配置できる。
【0076】
電磁誘導方式はタッチパネルよりもデジタイザと呼ばれる方が一般的であるが、電子ペンと呼ばれる専用のペンが必要となる。この方式の位置座標検出手段は、情報表示用パネルがフレキシブルでなくても、センサー部となるタッチパネルを情報表示用パネルの背面側に配置して操作することができる。また、静電容量方式と電磁誘導方式を共に備えたタッチパネルとすれば、ペンでも指先でも操作が可能となり、電子ペンを使えば筆圧やサイドスイッチ等を検出できる。この方式によれば、静電タッチの視認性を犠牲にせず、通常ペン入力が不可能な静電タッチ上で高精細な電磁誘導ペンが使える。
【0077】
メンブレンスイッチ方式タッチパネルは、例えば、ポリエステルフィルムに導電インクをシルクスクリーンにて印刷することにより、2種類の接点パターン(上部接点シート、下部接点シート)を形成し、その間に穴が開いた絶縁物(スペーサー)を挟み貼り合わせ、上部接点を押下して導通させるスイッチ形態を有するタッチパネルで、接触式スイッチ方式となるため、検出できる位置情報の精度には制約がある。
【0078】
上記第二の実施形態のようにして、本発明に従う情報表示器及びこれを含む情報表示システムを形成することにより、第一の実施形態と同様の種々の効果を得ることができる。
すなわち、第二の実施形態によれば、少なくとも二個の情報表示器側コネクターが設けられていることにより、状況に応じて、外部と接続使用する情報表示器側コネクターを適宜選択することができ、情報表示器を取扱う際の自由度が高い情報表示器及びこれを含む情報表示システムを提供することが可能となる。
加えて、第二の実施形態によれば、情報表示器側に、書込み入力となる位置情報を検出して伝送する位置座標検出手段を有することにより、駆動装置に情報表示器を接続した後に、情報表示器側からも情報表示器に表示したい情報を入力及び書き込みをすることができる、入力機能付きの情報表示器及びこれを含む情報表示システムを提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の情報表示器は、駆動装置と容易に着脱できるため種々の利用法が可能となる。駆動装置として、ノートパソコンや電子手帳、携帯情報端末であるPDA(Personal Digital Assistant、あるいは、Personal Data Assistantと表現される)、携帯電話、ハンディーターミナルや携帯型メディアプレーヤーなどが使用できる。これらの機器と接続して用いる場合、これら携帯機器のメインディスプレイとして用いることが可能であるとともに、低消費電力のサブディスプレイとしての利用も可能である。
【0080】
また、本発明の情報表示器は、容易に着脱可能でありメモリー性を有することから、複数枚を着脱しながら用いることで、複数の情報を同時に表示しておく使い方も可能である。さらに、デスクトップパソコンのような固定して使う電子機器を駆動装置として用いる場合は、メモリー性を有することを生かして、表示情報を書き換えた後に取り外すことで、プリントした紙のように用いる、リライタブルペーパーとしても用いることが出来る。これら駆動装置には、パラレル−シリアル変換素子、情報表示用パネルに表示させる情報の画像を形成するためのロジックコントローラおよび昇圧回路、CPU、メモリー、バッテリー、通信機能を全て持たせることが好ましいが、これらの一部の機能を持つ機器に、不足している機能を持った中継機器をつなぎ、その先に本発明の情報表示器を接続して使用することも出来る。
【符号の説明】
【0081】
1、2 基板
3W 白色表示媒体
3Wa 負帯電性白色粒子
3B 黒色表示媒体
3Ba 正帯電性黒色粒子
4 隔壁(スペーサー)
5、6 電極
7 セル
8 接着剤
11 情報表示器
12 情報表示用パネル
13、14 ドライバーIC
15 シリアル−パラレル変換手段
16 情報表示器側コネクター
17 タッチパネル
18 メンブレンスイッチ
21 駆動装置
22 パラレル−シリアル変換手段
23 ロジックコントローラ
24 電源供給手段
25 CPU
26 メモリー
27 通信手段
28 昇圧回路
29 駆動装置側コネクター
32 パラレル−シリアル双方向変換手段
35 シリアル−パラレル双方向変換手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示メモリー性を有する情報表示用パネルと、
前記情報表示用パネルに印加する駆動電圧を制御するドライバーICと、
外部からのシリアル信号をパラレル信号に変換し、変換したパラレル信号を前記ドライバーICに伝達するシリアル‐パラレル変換手段と、
前記外部からのシリアル信号を受け取る情報表示器側コネクターと、を備え、
前記情報表示器側コネクターが少なくとも二個設けられたことを特徴とする情報表示器。
【請求項2】
請求項1に記載の情報表示器と、前記情報表示器側コネクターと接続するための駆動装置側コネクター、シリアル信号を出力するパラレル‐シリアル変換手段、CPU、メモリー及び電源供給手段を有する駆動装置と、を備えることを特徴とする情報表示システム。
【請求項3】
表示メモリー性を有する情報表示用パネルと、
書き換え情報の入力に用いる位置座標検出手段と、
前記情報表示用パネルに印加する駆動電圧を制御するドライバーICと、
外部からのシリアル信号を受け取る情報表示器側コネクターと、
シリアル信号とパラレル信号とを双方向に変換するシリアル‐パラレル双方向変換手段であって、前記位置座標検出手段に入力されたパラレル信号をシリアル信号に変換し、変換したシリアル信号を前記情報表示器側コネクターに伝送するとともに、前記外部からのシリアル信号をパラレル信号に変換し、変換したパラレル信号を前記ICドライバーに伝送する、シリアル‐パラレル双方向変換手段と、を備え、
前記情報表示器側コネクターが少なくとも二個設けられたことを特徴とする情報表示器。
【請求項4】
請求項3に記載の情報表示器と、シリアル‐パラレル双方向変換手段、前記情報表示器側コネクターと接続するための駆動装置側コネクター、CPU、メモリー及び電源供給手段を有する駆動装置と、を備え、
前記情報表示器側コネクター及び前記駆動装置側コネクター間でシリアル信号が伝送されることを特徴とする情報表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−103446(P2012−103446A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251323(P2010−251323)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】