説明

携帯型画像送受信機

【課題】撮影した画像をFAX装置用の信号に変換してFAX装置に対して送信および受信可能であり、かつ画像ファイルの送信および受信が可能な携帯型画像送受信機を提供すること。
【解決手段】
携帯型画像送受信機であって、写真画像を取得する撮影手段と、前記撮影手段によって取得した画像をFAX信号に変換するFAX信号生成手段と、前記撮影手段によって取得した画像を画像ファイルに変換する画像ファイル生成手段と、前記FAX信号生成手段によって生成されたFAX信号または前記画像ファイル生成手段によって生成された画像ファイルの何れかを選択する選択手段を有し、前記選択手段によって選択されたFAX信号または画像ファイルを送信する送信手段を有していること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影した画像をFAX信号または画像ファイルとして送信または受信することができる携帯型画像送受信機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機本体に磁気ディスクカメラを内蔵して送信用書面の画像読み取り並びに磁気ディスクへの書き込みからなる情報入力手段を具備し、且つ入力情報を電気信号に変換する変換手段を備え、該電気信号を伝送路を介して送信先のファックス機に送信し画像再生ならしめるファックス機能を持たせたことを特徴とする、特許文献1記載のファックス機能付き携帯電話が知られている。
【特許文献1】実用新案登録第2587259号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記特許文献1記載のファックス機能付き携帯電話は、撮影した画像をFAX装置用の信号に変換した後に、当該変換した信号をFAX装置に対して送信できるように構成されたものである。一方、現在では携帯電話の電子メール機能によって画像ファイルの添付が行えるようになっている。当該電子メールで添付された画像ファイルは、携帯電話の表示画面上で確認するか、パソコンを介して印刷することによって画像の内容を見ることが出来るものである。
しかし、文字を主とした原稿を撮影して携帯電話に送信した場合、原稿に記載されている文字情報を読み取るには、携帯電話が備える画像の拡大表示機能を利用して文字部分の画像を拡大し、その拡大部分をスクロールさせながら視認する必要があった。しかし、このように画像を拡大し、かつスクロールさせながら画像に記載されている文書を読み取るのは煩わしい操作であり、文書の読み返しを行う場合にはその都度操作を繰り返さなければならなかった。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑み発明されたものであって、撮影した画像をFAX装置用の信号に変換した後にFAX装置に対して送信可能であり、かつ、画像ファイルを送る場合には、撮影した原稿に含まれる文字の全部または選択した一部をOCR処理によってテキストデータとして取得して前記画像ファイルとともに送信することにより、画像の拡大とスクロールを必要とすることなく原稿に含まれている文字情報をテキスト文書として読み取ることが出来る携帯型画像送受信機を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本願請求項1記載の発明は以下の構成を有する。すなわち、
写真画像を取得する撮影手段と、
前記撮影手段によって取得した画像をFAX信号に変換するFAX信号生成手段と、
前記撮影手段によって取得した画像を画像ファイルに変換する画像ファイル生成手段と、
前記FAX信号生成手段によって生成されたFAX信号または前記画像ファイル生成手段によって生成された画像ファイルの何れかを選択する選択手段を有し、
前記選択手段によって選択されたFAX信号または画像ファイルを送信する送信手段を有していることを特徴とする携帯型画像送受信機。
【0006】
また、請求項2記載の発明は請求項1記載の携帯型画像送受信機であって、
前記撮影手段によって撮影した画像の全部または一部の領域を選択するエリア選択手段と、前記当該エリア選択手段によって選択された領域に含まれる文字をテキストデータに変換しテキストファイルを生成するOCR手段を有したことを特徴とする。
【0007】
また、請求項3記載の発明は請求項2記載の携帯型画像送受信機であって、
前記画像ファイルに関連するテキストファイルが生成されている場合には、前記画像ファイルの送信と同時にテキストファイルが送信されるようになっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る送受信機は、FAX装置に対するFAX信号の送信と、画像ファイルの送信の何れかを任意に選択して行うことが出来るようになっている。また、画像ファイルを送信する場合には、当該送信画像が文章等の文字データを含むものであれば、当該文章をOCR処理することによってテキストデータを生成して同時に送信することにより、読みやすいテキスト文章として視認させることが出来るという効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本実施の形態にかかる携帯型画像送受信機(以下単に「送受信機」という)1のシステムを説明するためのブロック図である。当該送受信機1は、片手で持つことが出来る携帯電話程度の大きさに形成されている。
同図において2は、送受信機1を構成する各手段の制御およびデータの入出力を行う制御手段であり、CPUとしての機能を備えたワンチップ型のデバイス若しくは複数のデバイスを統合して形成したものとなっている。そして、送受信機1は前記制御手段2と一体若しくは制御手段2に接続された各種の手段を有している。以下、当該各手段について個々に具体的に説明する。
【0010】
送受信機1は、撮影手段3、記憶手段4、表示手段5、操作キー6、送信手段7および受信手段8を有している。
撮影手段3はCCD,CMOS等の撮像素子によって構成されたものであり、撮影した像を画像データとして出力するものである。
記憶手段4は、前記撮影手段3によって撮影した像を画像データとして記憶する他、各種データ処理を行う際の一時的なバッファ、生成したデータの記憶、各種デバイスを動作させるためのプログラムを記憶するものである。なお、記憶手段4は、制御手段2と別体のメモリICとして設ける他、前記制御手段2内に組み込まれた記憶領域を使用しても差し支えない。
【0011】
表示手段5は、液晶ディスプレイ、有機EL等の画像表示装置によって構成されたものであり、前記撮影手段3によって撮影した画像の表示、受信したデータや画像の表示、送受信機1が有する各種機能によって生成される画像を表示するものである。
操作キー6は、0〜9のテンキー、その他各種の機能が割り当てられたファンクションキー等のキー群から構成されており、制御手段2に対する操作指示、制御手段2によって実行される各種動作の指示、選択を行う操作キーとなっている。
送信手段7は、電話回線に接続するための接続信号、FAX信号、データファイル等を無線信号に変換して送信する手段であり、受信手段8は、電話回線を介してFAX信号、データファイル等の無線信号を受信する手段である。
【0012】
また、制御手段2内には、画像ファイル生成手段9、送信モード選択手段10、FAX信号生成手段11、OCR処理選択手段12が設けられている。当該各手段は、予め記憶されているプログラムの実行に伴って所定の機能を発揮するものである。
【0013】
次に、図2に示した制御フローチャートを用いて、送受信機1が備える画像の送信に関する動作を説明する。なお、送受信機1は、電話機能や電子メールの送受信等、携帯電話と同等の機能を有したものであるが、当該明細書においては、電話機能や電子メールの送受信等についての説明は省略する。
ビジネス文書等、活字による文章が印刷された書面原稿を送受信機1によって送信する場合、はじめに送受信機1に設けられている撮影手段3によって原稿を撮影する(ステップS1)。なお、当該原稿の撮影の際には適切な大きさと姿勢で撮影が行われるように、A4用紙の形状若しくは設定された用紙形状に合わせたガイドとなる枠線や照準をファインダー画像に表示する。
撮影された画像は、画像ファイル生成手段9によって添付ファイルとして送信可能なjpg等の画像ファイル形式に変換され記憶手段4に記憶される。
【0014】
次に、撮影した画像をFAX信号として送信するか、画像ファイルとして送信するかを使用者に選択させる(ステップS2)。
当該選択は、送信モード選択手段10の機能として行われるものであり、表示手段5による操作指示、および何れかの操作キー6に割り当てられたYes、Noの選択によって行われるようになっている。当該ステップS2においてYesが選択されると、FAX信号生成手段11が記憶手段4に記憶された画像を変換してG3規格のFAX信号を生成し(ステップS3)、送信先のFAX装置に対して送信可能な状態になるまで待機する。次に、操作キー6を使用して受信側のFAX装置に対してダイヤルをすると(ステップS4)、一般的なFAX通信と同様に、送受信機1から受信側のFAX装置に対してFAX信号が送信される(ステップS5)。
このように、本実施の形態にかかる送受信機1は、撮影手段3によって撮影した画像を一般的なG3規格のFAX信号に変換して送信し、受信側のFAX装置が備える印字手段を介して撮影した画像を出力させることができるようになっている。
【0015】
次に、送信モード選択手段10によって行われる選択時(ステップS2)に、使用者が画像ファイルの送信を選択した場合について説明する。
前記選択ステップS2においてNoが選択されると、次にOCR処理選択手段12によって画像中に含まれる文章をテキストデータに変換するか否かの選択が可能となる(ステップS6)。
OCR処理を行わない(No)の場合、制御手段2は記憶手段4から送信する画像データを読み込み(ステップS7)、当該送受信機1と同様の装置である専用端末用の送信フォーマットにデータを変換し(ステップS8)、専用端末の公衆電話回線番号をダイヤルして(ステップS4)接続した後にデータを送信する(ステップS5)。このようにして送信され、受信された画像は受信した専用端末が備えるLCD等の表示手段によって視認することができる。また、当該受信した画像を再度FAX送信することも可能であるから、印字が必要な場合にはFAX装置を介して出力させることができる。また、専用のプリンターを作成し、赤外線通信、近距離無線通信(Bluetooth(ブルートゥース))等の通信手段14によってデータを転送し印字するように構成しても差し支えない。
【0016】
また、画像ファイルの送信を選択した後、OCR処理の選択ステップS6においてYesが選択されると、OCR処理が行われる(ステップS9)。OCR処理とは画像中に含まれる文字の認識を行い、認識した文字を文字コード(テキスト)に変換する処理である。また、本実施の形態では、OCR処理を行う領域を任意に調整することができるエリア選択手段13を設けている。すなわち、読み取った画像の全領域をOCR処理しても構わないし、任意に設定した一領域のみについてOCR処理をすることができる。また、OCR処理によって、誤認識した文字についてはエディター機能によって正しい内容に修正することができるようになっている。
【0017】
このようにして読み取られた文字(テキスト)データは、読み取った画像データとの関連づけがおこなわれ、画像データとテキストデータを混合した送信用データの生成が行われる(ステップS10)。そして、以下、前述の画像ファイルの送信と同様にデータの送信を行う。
画像データとテキストデータの送信は、電子メールのように即時に視認できるテキスト文章が送信されるとともに画像ファイルが添付される形で行われる。画像ファイルを視認して文章を読む場合には、面積の小さい表示手段に画像を表示した後、適宜拡大およびスクロールをしながら順次、文章を表示し、内容を視認する必要がある。しかし、同時にテキスト文章を送信すると、特に画像の拡大などをする必要なく、スムーズに文章を読むことが出来る。これによって、送信した情報の大方を把握することができる。なお、画像に含まれている写真、絵、図形、グラフ等が必要な場合には、画面で確認する他前述したように印字して内容を確認することができる。
【0018】
前記説明した送受信機1は、画像を送信することができるものであるが、第1にFAX装置に対するFAX信号の送信と、画像ファイルの送信の何れかを選択することができるようになっている。したがって、送信相手が当該送受信機1と同様の機能を備える装置を所持していない場合であっても、FAX画像として撮影した画像を送信できるものである。
また、画像ファイルを送信した場合であっても、当該送信画像が文章等の文字データを含むものであれば、当該文章をOCR処理することによってテキストデータを生成し、読みやすいテキスト文章として視認させることが出来るようになっている。
なお、上記の説明は、送受信機に関するFAX信号および画像ファイルの送信を中心に説明しているが、当該送受信機はFAX信号および画像ファイルのいずれをも受信できる装置として構成されているものである。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、撮影した画像をFAX装置または専用の送受信装置に対して送信または受信することができる送受信機に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明にかかる送受信機の回路ブロック図である。
【図2】本発明にかかる送受信機の画像送信に関する処理内容を表したフローチャートである。
【符号の説明】
【0021】
1 送受信機
2 制御手段
3 撮影手段
4 記憶手段
5 表示手段
6 操作キー
7 送信手段
8 受信手段
9 画像ファイル生成手段
10 送信モード選択手段
11 FAX信号生成手段
12 OCR処理選択手段
13 エリア選択手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
写真画像を取得する撮影手段と、
前記撮影手段によって取得した画像をFAX信号に変換するFAX信号生成手段と、
前記撮影手段によって取得した画像を画像ファイルに変換する画像ファイル生成手段と、
前記FAX信号生成手段によって生成されたFAX信号または前記画像ファイル生成手段によって生成された画像ファイルの何れかを選択する選択手段を有し、
前記選択手段によって選択されたFAX信号または画像ファイルを送信する送信手段を有していることを特徴とする携帯型画像送受信機。
【請求項2】
前記撮影手段によって撮影した画像の全部または一部の領域を選択するエリア選択手段と
前記当該エリア選択手段によって選択された領域に含まれる文字をテキストデータに変換しテキストファイルを生成するOCR手段を有したことを特徴とする請求項1記載の携帯型画像送受信機。
【請求項3】
前記画像ファイルに関連するテキストファイルが生成されている場合には、前記画像ファイルの送信と同時にテキストファイルが送信されるようになっていることを特徴とする請求項2記載の携帯型画像送受信機。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−98703(P2010−98703A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−270399(P2008−270399)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(508314054)
【Fターム(参考)】