説明

携帯型電子機器

【課題】携帯型電子機器において、衝撃力を受けた場合にも応力集中の発生による平面型ディスプレイの損傷を効果的に防止する。
【解決手段】本発明に係る携帯型電子機器においては、扁平なケーシングの内部に、平面型のディスプレイ5が設置されると共に、該ディスプレイ5の背面を覆ってフレーム6が設置され、該フレーム6は前記ケーシングに固定されている。ディスプレイ5は、それぞれの背面が同一平面上に揃った大きな厚さの画像表示部51と小さな厚さの部品搭載部52を具えている。ここで、ディスプレイ5の表面とケーシングの内面との間には、前記画像表示部51と部品搭載部52との境界部分の近傍位置に、クッション部材8が介在している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機の如く、扁平なケーシングの内部に平面型のディスプレイが設置されている携帯型電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、折り畳み式の携帯電話機は、操作側本体と表示側本体とをヒンジ機構を介して互いに開閉可能に連結して構成されており、図4に示す如く表示側本体(20)は、樹脂製の表面側筐体(91)及び背面側筐体(9)によって扁平なケーシングを形成し、該ケーシングの内部に液晶ディスプレイ(5)が設置されている。
【0003】
液晶ディスプレイ(5)は、それぞれの背面が同一平面上に揃った大きな厚さの画像表示部(51)と小さな厚さの部品搭載部(52)を具え、画像表示部(51)は底面側板ガラスと表面側ガラス板の間に液晶部を有し、該底面側ガラス板は表面側ガラス板の端部から突出し、その底面側ガラス板の突出部分によって部品搭載部(52)が構成され、該部品搭載部(52)には駆動用IC(53)が搭載されている(特許文献1参照)。
【0004】
図4に示す表示側本体(20)においては、表面側筐体(91)に、液晶ディスプレイ(5)の表面を覆うスクリーン(40)が取り付けられている。
液晶ディスプレイ(5)の背面側には、強化フレーム(60)が設置され、液晶ディスプレイ(5)を補強している。ここで、液晶ディスプレイ(5)と強化フレーム(60)とは、周囲複数箇所に設けたフック機構(図示省略)によって互いに係合している。
又、液晶ディスプレイ(5)の駆動用IC(53)から引き出されたフレキシブルリード(54)は、強化フレーム(60)の背面側へ延び、その先端部が回路基板(図示省略)に接続されている。
【0005】
そして、複数本のビス(63)を表面側筐体(91)から背面側筐体(9)のナット付ボス(64)にねじ込むことによって、表面側筐体(91)を背面側筐体(9)に固定すると共に、強化フレーム(60)を背面側筐体(9)に固定している。
【0006】
図4に示す携帯電話機においては、液晶ディスプレイ(5)が強化フレーム(60)によって補強されているため、例えば携帯電話機が閉じた状態で床面に落下して衝撃力を受けたとしても、液晶ディスプレイ(5)の破損が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−184405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の携帯電話機においては、落下によって液晶ディスプレイ(5)が損傷する事例が多く発生していた。
そこで、本発明者らがその原因を究明するべく鋭意研究を重ねた結果、次の様な理由で液晶ディスプレイが損傷を受けていたことが判明した。
【0009】
即ち、操作側本体に対して表示側本体(20)が開いた状態で携帯電話機が床面に落下した場合、図4に矢印で示す様に、表示側本体(20)の端部に対し、表面側から背面側へ向かう衝撃力Fが作用することがある。これによって、表示側本体(20)を上向きに膨らむ弓なりに変形させる曲げ力が生じ、この曲げ力が液晶ディスプレイ(5)にも加わることになる。この曲げ力は、ディスプレイ(5)の画像表示部(51)と部品搭載部(52)の境界部分の背面領域を強化フレーム(60)の内面から離間させるものである。
【0010】
この際、液晶ディスプレイ(5)の部品搭載部(52)は、フレキシブルリード(54)によって大きな変位が阻止されるが、ディスプレイ(5)の画像表示部(51)と部品搭載部(52)の境界部分は、その変位を阻止するものがないため、強化フレーム(60)の内面から離間してしまうことなる。
この様な変形の結果、液晶ディスプレイ(5)の画像表示部(51)と部品搭載部(52)の境界部分(段差部分)に応力が集中し、その応力集中部分に損傷が生じるのである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明においては、外部から衝撃力が加わった場合、ディスプレイ(5)の画像表示部(51)と部品搭載部(52)の境界部分に応力が集中するという知見に基づいて、平面型のディスプレイ(5)をフレーム(6)に固定すると共に、ディスプレイ(5)の表面とケーシングの内面との間には、画像表示部(51)と部品搭載部(52)の境界部分の近傍位置に、クッション部材(8)を介在させたものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る折り畳み式携帯電話機の斜視図である。
【図2】図2は、図1のA−A線に沿う拡大断面図である。
【図3】図3は、表示側本体の分解斜視図である。
【図4】図4は、従来の折り畳み式携帯電話機の図2に対応する拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を折り畳み式携帯電話機に実施した形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
本発明に係る折り畳み式携帯電話機は、図1に示す如く、操作側本体(1)と表示側本体(2)とをヒンジ機構(3)を介して互いに開閉可能に連結したものであって、操作側本体(1)の表面には複数の操作キー(11)が配備され、表示側本体(2)の表面には画像表示のためのスクリーン(4)が配備されている。
【0014】
表示側本体(2)は、図2に示す如く、それぞれ合成樹脂製の表面側筐体(23)と背面側筐体(22)とを互いに接合して扁平なケーシングを構成しており、該ケーシングの内部に液晶ディスプレイ(5)が設置されている。尚、背面側筐体(22)は、2つの筐体部(22a)(22b)を互いに重ね合わせて構成されている。
【0015】
図2及び図3に示す如く、液晶ディスプレイ(5)は、それぞれの背面が同一平面上に揃った大きな厚さの画像表示部(51)と小さな厚さの部品搭載部(52)を具えている。画像表示部(51)は、底面側板ガラスと表面側ガラス板の間に液晶部を挟み込んだ2枚ガラス板部を有し、該底面側ガラス板は表面側ガラス板の端部から突出し、その底面側ガラス板の突出部分(1枚ガラス板部)によって部品搭載部(52)が構成され、該部品搭載部(52)には駆動用IC(53)が搭載されている。又、液晶ディスプレイ(5)は、その背面部分に、バックライト等の付属部品を具えている。
【0016】
表示側本体(2)の表面側筐体(23)には開口部(21)が形成され、該開口部(21)には、液晶ディスプレイ(5)の表面を覆って取り付けられたスクリーン(4)が臨んでいる。尚、図3においてはスクリーン(4)の図示を省略している。
液晶ディスプレイ(5)の背面側には、トレイ状を呈する強化フレーム(6)が設置されており、液晶ディスプレイ(5)と強化フレーム(6)とは、それらの周囲複数箇所に設けたフック機構(図示省略)によって互いに係合している。
【0017】
強化フレーム(6)の内面には、図3の如く、液晶ディスプレイ(5)の画像表示部(51)と部品搭載部(52)の境界部分と対応する位置に、液晶ディスプレイ(5)の左右方向に伸びる帯状の両面粘着テープ(7)が配置されると共に、液晶ディスプレイ(5)の左右両端部と対応する位置に、液晶ディスプレイ(5)の上下方向に伸びる左右一対の両面粘着テープ(71)(71)が配置され、これらの両面粘着テープ(7)(71)(71)によって、強化フレーム(6)の内面に液晶ディスプレイ(5)が貼着固定されている。
尚、両面粘着テープ(7)(71)(71)による接着に替えて、接着剤等の種々の接着材による接着を採用することも可能である。
【0018】
強化フレーム(6)には、その周囲に4つのフレーム固定部(61)(61)(62)(62)が突設される一方、背面側筐体(22)には、4つのナット付ボス(64)〜(64)が配備されており、図2の如く、強化フレーム(6)のフレーム固定部(61)を貫通させて背面側筐体(22)のナット付ボス(64)にビス(63)をねじ込むことによって、背面側筐体(22)に強化フレーム(6)を固定している。
【0019】
液晶ディスプレイ(5)の駆動用IC(53)から引き出されたフレキシブルリード(54)は、強化フレーム(6)の背面側へ延び、その先端部が回路基板(図示省略)に接続されている。
又、液晶ディスプレイ(5)の表面と表面側筐体(23)の内面との間には、画像表示部(51)と部品搭載部(52)の境界部分の近傍位置に、クッション部材(8)が介在している。
【0020】
上記折り畳み式携帯電話機においては、操作側本体(1)と表示側本体(2)が開かれた状態で携帯電話機が床面に落下した場合、図2に矢印で示す様に、表示側本体(2)の端部に対し、表面側から背面側へ向かう衝撃力Fが作用することがある。これによって、表示側本体(2)を上向きに膨らむ弓なりに変形させる曲げ力が生じ、この曲げ力が液晶ディスプレイ(5)にも加わることになる。この曲げ力は、液晶ディスプレイ(5)の画像表示部(51)と部品搭載部(52)の境界部分の背面領域を強化フレーム(6)の内面から離間させようとするものである。
【0021】
しかしながら、上記折り畳み式携帯電話機においては、液晶ディスプレイ(5)の画像表示部(51)と部品搭載部(52)の境界部分の背面領域が両面粘着テープ(7)によって強化フレーム(6)の内面に固定されているので、該背面領域が強化フレーム(6)の内面から離間することとなる変形は阻止される。
従って、液晶ディスプレイ(5)の画像表示部(51)と部品搭載部(52)の境界部分に著しい集中応力が生じることはなく、該集中応力の作用による液晶ディスプレイ(5)の損傷が防止される。
【0022】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。又、本発明は、液晶ディスプレイを具えた携帯電話機に限らず、画像表示部と部品搭載部の間に段差を有するあらゆる平面型ディスプレイを具えた携帯型電子機器に実施することが出来る。
【符号の説明】
【0023】
(1) 操作側本体
(2) 表示側本体
(22) 背面側筐体
(23) 表面側筐体
(4) スクリーン
(5) 液晶ディスプレイ
(51) 画像表示部
(52) 部品搭載部
(54) フレキシブルリード
(6) 強化フレーム
(7) 両面粘着テープ
(71) 両面粘着テープ
(8) クッション部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングの内部に、平面型のディスプレイが設置されると共に、該ディスプレイの背面を覆ってフレームが設置され、該フレームは前記ケーシングに固定されており、前記ディスプレイは、それぞれの背面が同一平面上に揃った大きな厚さの画像表示部と小さな厚さの部品搭載部とを具えている携帯型電子機器において、前記ディスプレイの表面と前記ケーシングの内面との間には、前記画像表示部と部品搭載部との境界部分の近傍位置に、クッション部材が介在していることを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項2】
前記ケーシングは、表面側筐体と背面側筐体とを互いに接合してなり、前記ディスプレイの画像表示部を覆ってスクリーンが設置され、背面側筐体に対して、前記フレームがビス止め固定されている請求項1に記載の携帯型電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−41302(P2013−41302A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−242273(P2012−242273)
【出願日】平成24年11月2日(2012.11.2)
【分割の表示】特願2008−187752(P2008−187752)の分割
【原出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】