説明

携帯情報端末

【課題】アイコンやリンクなどのターゲットとなる画面上の領域を正確にポイントすることが可能な携帯情報端末を提供する。
【解決手段】携帯情報端末100の筐体の傾きを検出する傾斜検出部21と、情報を表示する表示部30と、傾斜検出部21により検出された傾きに応じて、表示部30により表示されるポインタの表示位置を制御するポインタ位置制御部11とを備える。ポインタ位置制御部11は、ポインタの表示位置とターゲット領域301との距離が所定距離以下である場合、ポインタの表示位置をターゲット領域301に移動するよう制御する接近制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末の傾斜角に応じて画面の表示を変化させる携帯情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機などの携帯情報端末では、簡単な操作でキー入力と同等の入力動作が行えるようにするための各種工夫が提案され、一部は実用化されている。例えば、センサーが端末の傾斜角を検出し、その傾斜角に応じて画面のスクロールを行う携帯電話機(例えば、特許文献1参照)や、同じく傾斜角に応じて画面上のポインタを移動させる携帯電話機(例えば、特許文献2参照)などがある。このような携帯電話機によれば、複雑なキー操作を行うことなく、端末を傾けるという動作により直感的に画面操作を行うことができる。
【0003】
【特許文献1】特許第3338777号公報
【特許文献2】特開2006‐252250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の携帯電話機では、単純に、表示画面のスクロールやポインタの移動を行うことはできるものの、画面上に配置されたアイコンやリンクなどのターゲットとなる領域にポインタを的確に合わせることが困難な場合がある。一般に、携帯電話機などにおける入力操作においては、画面やポインタを移動させ、目的とするアイコンやリンク上にポインタを合わせて当該アイコンやリンクを選択し、所定の処理を実行させる。
【0005】
携帯情報端末は、ポインタの動き等を視認する画面が比較的小さく、また端末自体も小さいため、傾斜角の調整が難しい。そのため、例えば、端末の傾斜角が大きすぎるとポインタが大きく移動して目的とする位置を行き過ぎてしまう。これを修正するため、端末を反対側に傾けるときの傾斜角が大きいとまた逆に行き過ぎてしまう。特に、アイコンやリンクなどのターゲットとなる領域が小さいほどその度合いは顕著となる。
【0006】
これは、矢印キーなどは押下する毎に移動する行数や移動量が予め決まっており、画面のスクロールやポインタの移動をキーの押下の回数等で調整できるのに対し、上記の携帯情報端末では傾斜角に応じて連続的な移動を行うため、携帯情報端末の操作者が意図した位置で停止させにくいことに起因する。このような事情は、アイコンやリンクなどのターゲットとなる領域の近傍において、画面上を移動するポインタの移動を制御することにより解消するものと期待される。
【0007】
そこで本発明は上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、端末を傾けて画面上のポインタを移動させる場合であっても、アイコンやリンクなどのターゲットとなる画面上の領域を正確にポイントすることが可能な携帯情報端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の携帯情報端末は、筐体の傾きを検出する傾斜検出手段と、情報を表示する表示手段と、前記傾斜検出手段により検出された傾きに応じて、前記表示手段により表示されるポインタの表示位置を制御するポインタ位置制御部とを備え、前記ポインタ位置制御部は、前記ポインタの表示位置と前記表示手段により表示される所定の選択可能な情報の表示領域との距離が所定距離以下である場合、前記ポインタの表示位置を前記所定の選択可能な情報の表示領域に移動するよう制御する接近制御を行う。
【0009】
上記構成によれば、ポインタが、アイコンやリンクなどのターゲットとなる画面上の領域に近接した場合、その領域へ自動的にポインタが移動するため、携帯情報端末の操作者は、アイコンやリンクなどを正確にポイントすることができる。
【0010】
また、本発明の携帯情報端末は、前記ポインタ位置制御部が、前記ポインタの表示位置と前記所定の選択可能な情報の表示領域との距離が所定距離となるときの前記ポインタの移動速度に基づいて、前記接近制御を行う際の移動速度を決定する。
【0011】
上記構成によれば、ポインタがターゲットとなる画面上の領域の近傍に進入する際の速度に応じて、ポインタが自動的に移動する際の速度が決定される。従って、携帯情報端末の操作者は、ポインタがアイコンやリンクへ自動的に移動する状況を違和感なく視認することができる。
【0012】
また、本発明の携帯情報端末は、前記接近制御を行う際の移動速度が、前記ポインタの表示位置と前記所定の選択可能な情報の表示領域との距離が所定距離となるまでの前記ポインタの移動速度よりも大きい。
【0013】
上記構成によれば、ポインタが自動的に移動する際、自動的に移動する前より速い速度で移動する。従って、携帯情報端末の操作者は、ポインタが通常のポインタ制御とは異なる接近制御中であることを視認することができる。
【0014】
また、本発明の携帯情報端末は、前記ポインタ位置制御部が、前記ポインタの表示位置が前記所定の選択可能な情報の表示領域に含まれる場合、前記接近制御を解除する。
【0015】
上記構成によれば、接近制御実行後、ターゲットとする画面上の領域内では接近制御を解除して強制的にポインタが移動することを終了し、ポインタを自在に移動させることができる。従って、携帯情報端末の操作者は、領域内のアイコンやリンクを選択して実行したり、それ以外のアイコンやリンクへポインタを移動させたりすることもできる。
【0016】
また、本発明の携帯情報端末は、前記ポインタ位置制御部が、前記接近制御後には、前記傾斜検出手段により検出された傾斜角が所定の傾斜角以下となるまで、前記傾斜検出手段により検出された傾斜角に応じた前記ポインタの表示位置の制御を中断する。
【0017】
上記構成によれば、接近制御によりポインタがターゲットとなる画面上の領域内へ移動した後、携帯情報端末の傾きを一旦元に戻すまではポインタを移動することができない。従って、ターゲットとなる領域内において無用なポインタの動きが防止される。
【0018】
また、本発明の携帯情報端末は、前記ポインタ位置制御部が、前記所定の選択可能な情報の表示領域内でのみ前記ポインタの表示位置の制御を行う。
【0019】
上記構成によれば、接近制御によりポインタがターゲットとなる画面上の領域内へ移動した後、ポインタはその領域内のみで移動する。この場合、例えば当該領域の周縁に接触した場合にはポインタが反射したり跳ね返ったりバウンドしたりその場所で停止したりすることが考えられる。また、ターゲットとなる領域外へポインタが移動することが防止されるので、携帯情報端末の操作者は、アイコンやリンクなどを正確にポイントすることができる。
【0020】
また、本発明の携帯情報端末は、前記ポインタ位置制御部が、前記ポインタの表示位置が前記所定の選択可能な情報の表示領域の周縁に接した場合、前記所定の選択可能な情報について所定の処理を実行する。
【0021】
上記構成によれば、例えば、選択可能な情報がリンクである場合に、ポインタが、ターゲットとなる画面上の領域の末端位置まで移動したときにリンク先へジャンプする。従って、携帯情報端末の操作者は、アイコンやリンクなどを的確に指示することができ、更に対応する処理の実行まで行うことができる。
【0022】
また、本発明の携帯情報端末は、前記筐体の加速度を検出する加速度検出手段を備え、前記ポインタ位置制御部が、前記接近制御中に、前記加速度検出手段により検出された加速度が所定加速度以上であると判定した場合、前記接近制御を解除する。
【0023】
上記構成によれば、携帯情報端末を急に動かす(例えば、水平方向に振る)ことで接近制御を解除することができる。従って、携帯情報端末の操作者は、たとえ意図しないアイコンやリンクにポインタが移動したとしても、簡単な操作で他のアイコンやリンクをポイントできる状態(通常のポインタ制御)に復帰することができる。
【0024】
また、本発明の携帯情報端末は、前記ポインタ位置制御部が、前記接近制御中に、前記傾斜検出手段により検出された傾斜角が、前記ポインタの表示位置を制御するための傾斜角よりも大きな所定の傾斜角以上であると判定した場合、前記接近制御を解除する。
【0025】
上記構成によれば、携帯情報端末を所定の傾斜角以上傾けることで接近制御を解除することができる。従って、携帯情報端末の操作者は、たとえ意図しないアイコンやリンクにポインタが移動したとしても、簡単な操作で他のアイコンやリンクをポイントできる状態(通常のポインタ制御)に復帰することができる。
【0026】
また、本発明の携帯情報端末は、前記ポインタ位置制御部が、前記接近制御を解除するとき、前記ポインタの表示位置を前記所定の選択可能な情報の表示領域から前記所定距離の位置に移動するよう制御する離脱制御を行う。
【0027】
上記構成によれば、接近制御の解除時に、ターゲットとなる画面上の領域より所定距離以上外側へポインタが移動する。従って、携帯情報端末の操作者は、接近制御の解除後には他のアイコンやリンクをポイントできる状態(通常のポインタ制御)に復帰することができる。
【0028】
また、本発明の携帯情報端末は、前記ポインタ位置制御部が、前記離脱制御後には、前記傾斜検出手段により検出された傾斜角が前記所定の傾斜角以下となるまで、前記傾斜検出手段により検出された傾斜角に応じた前記ポインタの表示位置の制御を中断する。
【0029】
上記構成によれば、離脱制御後に、携帯情報端末の傾きに対応してポインタが大きく移動してしまうことが防止される。従って、携帯情報端末の操作者は、離脱制御後にも他のアイコンやリンクなどを正確にポイントすることができる。
【0030】
また、本発明の携帯情報端末は、前記ポインタ位置制御部が、前記接近制御を解除するときの前記加速度検出手段により検出された加速度に基づいて、前記離脱制御を行う際の移動速度を制御する。
【0031】
上記構成によれば、ターゲットとなる画面上の領域より外側へポインタを移動させる際の移動速度が加速度に応じて決定される。従って、例えば携帯情報端末が離脱制御を行うように端末を振った場合には、振る速度が離脱制御における速度に反映され、より自然にターゲットとなる領域を離脱しているように表示することができる。
【0032】
また、本発明の携帯情報端末は、前記ポインタ位置制御部が、前記接近制御を解除するときの前記傾斜検出手段により検出された傾斜角に基づいて、前記離脱制御を行う際の移動速度を制御する。
【0033】
上記構成によれば、ターゲットとなる画面上の領域より外側へポインタを移動させる際の移動速度が端末を傾ける際の傾斜角に応じて決定される。例えば携帯情報端末が離脱制御を行うように端末を傾けた場合には、傾けた角度が離脱制御における速度に反映され、より自然にターゲットとなる領域を離脱しているように表示することができる。
【0034】
また、本発明の携帯情報端末は、前記ポインタ位置制御部が、前記接近制御を解除するときの前記加速度検出手段により検出された加速度の方向に基づいて、前記離脱制御を行う際の移動方向を決定する。
【0035】
上記構成によれば、ターゲットとなる画面上の領域より外側へポインタを移動させる際の移動方向が加速度の方向に応じて決定される。従って、携帯情報端末の操作者は、ポインタの移動先を直感的に把握することができる。
【0036】
また、本発明の携帯情報端末は、前記ポインタ位置制御部が、前記接近制御を解除するときの前記傾斜検出手段により検出された傾きの方向に基づいて、前記離脱制御を行う際の移動方向を決定する。
【0037】
上記構成によれば、ターゲットとなる画面上の領域より外側へポインタを移動させる際の移動方向が端末を傾ける際の傾斜の方向に応じて決定される。従って、携帯情報端末の操作者は、ポインタの移動先を直感的に把握することができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、端末を傾けて画面上のポインタを移動させる場合であっても、アイコンやリンクなどのターゲットとなる画面上の領域を正確にポイントすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態における携帯情報端末について図面を用いて詳細に説明する。
【0040】
図1は、本発明の実施形態のおける携帯情報端末の概略構成を示すブロック図である。携帯情報端末100は、制御部10、センサー部20、表示部30、記憶部40を備える。
【0041】
制御部10は、携帯情報端末100の動作全般を統括制御する。例えば、後述するように、携帯情報端末100の傾き(傾斜角や傾斜方向)に応じて画面上に表示するポインタを移動させたり、画面表示範囲を変更(画面のスクロール)したりする。制御部10は、更に、ポインタ位置制御部11を含む。
【0042】
ポインタ位置制御部11は、画面上に表示されるポインタの位置把握や、画面表示範囲内にあるアイコンやリンクなどの選択可能な情報の表示領域であるターゲット領域の位置把握、ポインタとターゲット領域との距離算出、算出後のポインタの移動制御など、ポインタの移動に係る制御を行う。また、ポインタ位置制御部11は、ポインタの表示位置とターゲット領域との距離が所定距離以下である場合に、ポインタの表示位置をターゲット領域に移動するよう制御する「接近制御」を行う。さらに、ポインタ位置制御部11は、ポインタの表示位置をターゲット領域から所定距離の位置に移動するように制御する「離脱制御」を行う。尚、制御部10はCPUなどで形成され、各種の制御は予め設定された各種プログラムをCPUで実行することにより実現される。
【0043】
センサー部20は、3軸ジャイロセンサーおよび3軸加速度センサーなどで形成され、携帯情報端末100(携帯情報端末100の筐体)の傾斜角を検出する傾斜検出部21と、携帯情報端末100本体の加速度を検出する加速度検出部22とを構成する。傾斜検出部21は、携帯情報端末100を傾けた際の傾斜方向および傾斜角を検出する。また、加速度検出部22は、例えば携帯情報端末を急に動かした(振った)際などの加速度の大きさおよび方向を検出する。
【0044】
表示部30は、制御部10が記憶部40から取得した画像情報を表示画面に表示するなど、情報を表示する。また、ポインタ位置制御部11の制御に応じたポインタの移動や画面のスクロールを表示する。
【0045】
記憶部40は、表示部30の画面上に表示させる画像情報や、当該画像上のアイコンやリンクなどのターゲット領域の位置に関する情報などを記憶する。このターゲット領域の位置に関する情報は、ポインタ位置制御部11により参照されるものであり、現在表示されている画面上に存在するターゲット領域の位置を把握するために使用される。
【0046】
次に、携帯情報端末100の動作について説明する。
【0047】
図2および図3は、携帯情報端末100の表示制御手順を示すフローチャートである。図2は、本発明の実施形態における携帯情報端末の画面表示動作手順を示すフローチャートである。
【0048】
まず、制御部10は、傾斜検出部21で携帯情報端末100の傾き(傾斜角及び傾斜方向)を検知する(ステップS101)。そして、制御部10は、検出した傾きに応じてポインタの移動表示(位置制御)を行う(ステップS102)。例えば、携帯情報端末100の操作面(または表示部30の画面)が地面に対して平行である状態(水平状態)を基準として、端末100を前方に傾けた場合、ポインタは画面上を上方へ移動し、左側へ傾けた場合、画面上を左側へ移動する。このとき、ポインタの移動速度は、傾斜角の大きさに応じて予め設定されていてもよい。そして、ポインタ位置制御部11は、所定の周期で画面上のポインタの位置を検出し、把握する(ステップS103)。
【0049】
制御部10は、ポインタの位置制御(ステップS102)と並行して、画面の表示範囲の制御を行う(ステップS104)。具体的には、ポインタの位置が画面の上下左右の周縁を越え、現在の画面表示の範囲外へ移動しようとする場合、ポインタが移動する方向へ画面表示の範囲を移動させる(つまり、ポインタの移動方向へスクロールさせる)。例えば、ポインタが画面の右方向へ移動して画面上から消失しそうになる場合、制御部10は、現在の表示範囲の右側に相当する画像情報を記憶部40から取得して、新たに表示部30に表示する。そして、ポインタ位置制御部11は、所定の周期で画面上にあるアイコンやリンクなどのターゲット領域の位置を検出し、把握する(ステップS105)。
【0050】
ここで、ターゲット領域とは、実行動作を指示したときに内容に応じた処理が実行される範囲をいう。具体的には、ポインタを合わてクリックしたとき、対応する処理が実行されるアイコンやリンクなどが示す範囲である。図4は、ターゲット領域を説明するための模式図である。例えば、画面110上に四角形のアイコン300が表示されている場合、アイコン300がクリックされると、そのアイコンに対応する動作が実行される。クリックは図示しない入力部により実行される。
【0051】
また、ターゲット領域は、そのアイコンよりも若干大きめに設定されていてもよい。この場合には図中点線で示す範囲301がターゲット領域となる。したがって、アイコン300の上に正確にポインタ200が合っていなくても、ターゲット領域301内であればクリックして処理を実行できる。つまり、図4に示すような位置にポインタ200がある場合でも、クリックすればアイコンに対応する処理が実行される。
【0052】
ステップS103及びS105に続いて、ポインタ位置制御部11は、ポインタの現在位置とターゲット領域との距離を算出する(ステップS106)。尚、ターゲット領域は面積を有する範囲であるので、その範囲への最短距離が距離として算出される。
【0053】
続いて、ポインタ位置制御部11は、算出された距離が予め設定された所定の閾値より小さいか否か、即ち、ポインタが、ターゲット領域から所定の距離だけ離れた範囲内にあるか否かを判断する(ステップS107)。
【0054】
ここで、図5は、ターゲット領域およびターゲット周辺領域を説明するための模式図である。図中点線で示すターゲット領域301から所定の距離だけ離れた位置(点)をつなぐと、図中一点鎖線で示す範囲302となる。この範囲302をターゲット周辺領域と称し、ステップS107の判定において、ポインタがターゲット周辺領域302の外に位置している場合(例えば、図中の201に示す位置にポインタがあるとき)は「重なりなし」と判定し、ポインタがターゲット周辺領域302内に位置している場合(例えば、図中の202に示す位置にポインタがあるとき)は「重なりあり」と判定する。
【0055】
ポインタ位置制御部11は、ステップS107の判定で、重なりありと判定した場合、後述するポインタ制御を実行してから(ステップS108)、ステップS101へ戻り、上記の手順を繰り返す。一方、重なりなしと判定した場合、後述するポインタ制御を実行せずにステップS101へ戻り、上記の手順を繰り返す。
【0056】
図3は、本発明の実施形態における携帯情報端末100のポインタ制御手順を示すフローチャートである。
【0057】
ポインタがターゲット周辺領域302内にあると判定された場合、まず、ポインタ位置制御部11は、制御部10が所定以上の加速度または傾斜角を検出したか否かを判定する(ステップS201)。
【0058】
ここで、所定以上の傾斜角とは、通常のポインタ移動動作(画面上のポインタを上下左右に移動させるために行う端末100を傾ける動作)における傾斜角範囲を超過した角度のことである。所定以上の加速度または傾斜角の検出は、携帯情報端末100が急に動かされた(振られた)動作または大きく傾けられた動作等の検知であり、後述するように、この動作は、ポインタをターゲット領域301内へ自動的に移動させる接近制御の解除等を意図する動作である。
【0059】
所定以上の加速度または傾斜角を検出しない場合、ポインタ位置制御部11は、ポインタをターゲット領域301内へ自動的に移動させる接近制御を行う(ステップS202)。そして、ポインタ位置制御部11は、ポインタがターゲット領域301内にまで到達したか否かを判定し(ステップS203)、到達していない場合は、上記のステップS201からステップS202までの手順を繰り返す。
【0060】
ここで、図6は、接近制御におけるポインタの動きを説明するための模式図である。例えば、端末100を所定範囲内の角度に傾けるなどの操作により、201の位置から202の位置へ移動し、ポインタ位置制御部11は、ターゲット周辺領域302内へ進入したと判定されたポインタが、図中の矢印に示すように、ターゲット領域301内の位置203へ自動的に移動するよう制御する。
【0061】
尚、ポインタ位置制御部11がポインタ202を203の位置へ移動させる場合、その方向はこれまで移動してきた方向(図中の例では、201の位置から202の位置へ進む方向)と同じであってもよい。また、移動させる際のポインタの移動速度は、ターゲット領域へ進入する際の移動速度もしくは移動加速度(図中の例では、201の位置から202の位置へ進む移動速度もしくは移動加速度)に応じて決定され、接近制御が行われる以前の移動速度より速いことが好ましい。これにより、携帯情報端末100の操作者が、接近制御が実行されたことを認識しやすくなる。ただし、上記の移動速度にかかわらず、一定速度でポインタがターゲット領域301へ移動するようにしてもよい。また、接近制御によるポインタの移動先は、例えば、接近制御の開始地点からターゲット領域301内の最も近い位置とすることができる。
【0062】
一方、ステップS201において所定以上の加速度または傾斜角が検出された場合、ポインタ位置制御部11は、接近制御を解除する動作を実行する(ステップS204)。所定以上の傾斜角とは、通常のポインタ制御状態(端末100の傾斜角に応じてポインタを制御する状態)においてポインタ制御を行うよりも大きな傾斜角である。例えば、接近制御によりポインタがターゲット領域301外からターゲット領域301内へ移動している途中に所定以上の加速度または傾斜角が検出された場合、接近制御を解除することになる。接近制御を解除すると、ターゲット領域301外における通常のポインタ制御を行うことになる。
【0063】
ここで、図7は、接近制御を解除する動作におけるポインタの動きを説明するための模式図である。例えば、端末100を所定範囲内の角度に傾けるなどの操作により、ポインタが201の位置から202の位置へ移動し、ターゲット周辺領域302内へ進入しても、その時点で携帯情報端末100が強く振られると、ポインタ位置制御部11は、接近制御を解除する。解除する場合には、単にポインタが強制的にターゲット領域301へ移動することを中止するのみでもよいし、さらにポインタが204の位置などのターゲット周辺領域302外へ強制的に移動する離脱制御を行うようにしてもよい。接近制御を解除するのみの場合には、通常の傾きに応じたポインタ制御に復帰することができる。また、たとえ意図しないターゲット領域に接近制御がされた場合であっても、簡単な操作で他のアイコンやリンクをポイントできる状態に復帰することができる。
【0064】
尚、ポインタ位置制御部11がポインタ202を204の位置へ移動(離脱)させる離脱制御を行う場合、その方向はこれまでの移動方向と逆の向き(図中の例では、202の位置から201の位置へ戻る方向)、または、離脱制御時の加速度検出部22で検出された加速度の方向(即ち、携帯情報端末100を振った方向)、または、離脱制御時の傾斜検出部21で検出された傾斜の方向(即ち、携帯情報端末100を大きく傾けた方向)と同じ向きであることが好ましい。これにより、離脱制御によるポインタの移動先を直感的に把握することが可能となる。また、携帯情報端末100を振った方向が表示画面における前方向である場合にはポインタを大きくしたり、後方向である場合にはポインタを小さくしたりするようにしてもよい。この場合には、3次元的に離脱制御時のポインタ表示を行うことが可能である。
【0065】
また、移動させる際のポインタの移動速度は、それまでの移動速度(図中の例では、201の位置から202の位置へ進む移動速度)に応じて、または、離脱制御時の加速度検出部22で検出された加速度の大きさ(即ち、携帯情報端末100を振った速さ)、または、離脱制御時の傾斜検出部21で検出された傾斜角(即ち、携帯情報端末100を大きく傾けた角度)に応じて決定されることが好ましい。これにより、振る速度や傾けた角度の大きさが離脱制御における移動速度に反映され、より自然に離脱しているようにポインタを表示することが可能となる。
【0066】
尚、携帯情報端末100を所定以上の傾斜角に傾けることで離脱制御を行った場合、ターゲット周辺領域302外へ離脱したポインタはその位置で停止し、端末100の傾斜角を所定傾斜角以下に一旦戻した後に再び傾けることでポインタが移動するようにすることが好ましい。これにより、大きな傾斜角に対応してポインタがそのまま移動し続けることを防止することができる。
【0067】
次に、接近制御によりターゲット領域301内へ移動したポインタの以降の移動について説明する。
【0068】
図8は、接近制御によりターゲット領域301内へ移動したポインタの以降の移動を説明するための模式図である。例えば、ポインタ位置制御部11は、接近制御によりターゲット領域301内へ移動したポインタ205については、接近制御を解除し、ターゲット周辺領域302外にある場合と同様に、通常のポインタ制御を行う。ただし、通常のポインタ制御であっても、携帯情報端末100をそのままの状態で保持していると、傾斜方向へ傾斜角に応じた移動速度で移動し続けてしまう。そのため、一旦移動を停止し、端末100の傾斜角を所定傾斜角以下に一旦戻した後にポインタが移動できるようにすることが好ましい。また、ポインタ位置制御部11は、ポインタをターゲット領域301内のみにおいて移動するように設定することが好ましい。これにより、携帯情報端末100の操作者がアイコンやリンクなどのターゲットを的確に指示することができる。
【0069】
尚、例えば、ポインタ206を、このターゲット領域301内からターゲット周辺領域302外の207の位置へ脱出させたい場合には、加速度検出部22が所定以上の加速度を検出するように携帯情報端末100を振ったり、所定以上の傾斜角に傾けたりして、離脱制御を実行すればよい。その後、ポインタが再びターゲット周辺領域302内へ進入すると、接近制御により、ポインタはターゲット領域301内へ自動的に移動される。
【0070】
図9は、接近制御によりターゲット領域301内へ移動したポインタの以降の移動を説明するための別の模式図である。例えば、ポインタ位置制御部11は、リンクのような横長形状のターゲット領域301である場合、ターゲット領域301内へ移動してターゲット領域301内のみを移動できるように設定されたポインタ208は、その後の移動によりターゲット領域301の周縁の右端縁(ポインタ209)に到達した場合に、当該リンクのリンク先へジャンプするように設定してもよい。これにより、携帯情報端末100の操作者は、アイコンやリンクなどのターゲットを的確に指示し、更に処理の実行まで操作することができる。また、リンク先へジャンプするのではなく、ターゲット領域301の周縁に接した後にポインタが反射やバウンドをするようにしてもよい。また、周縁の接触点においてポインタを停止させたり、図9のような矩形のターゲット領域301では水平方向のみもしくは垂直方向のみに移動したりするにしてもよい。
【0071】
また、本実施形態では、ターゲット周辺領域302、ターゲット領域301が各1つずつの場合を例に示したが、ターゲット周辺領域302が重複しなければ、これらの領域が複数存在してもよい。
【0072】
以上のように本発明の実施形態における携帯情報端末では、端末を傾けて画面上のポインタを移動させる場合であっても、ターゲットとなる画面上の領域を正確にポイントすることができる。従って、携帯電話機などの携帯情報端末の操作性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、ターゲットとなる画面上の領域を正確にポイントすることができるという効果を有し、端末を傾けて画面上のポインタを移動させる携帯情報端末等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施形態のおける携帯情報端末の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態における携帯情報端末の画面表示動作手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態における携帯情報端末のポインタ制御手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】ターゲット領域の一例を説明するための模式図である。
【図5】ターゲット領域及びターゲット周辺領域の一例を説明するための模式図である。
【図6】接近制御におけるポインタの動きの一例を説明するための模式図である。
【図7】接近制御を解除する動作におけるポインタの動きの一例を説明するための模式図である。
【図8】接近制御によりターゲット領域内へ移動したポインタの以降の移動の一例を説明するための模式図である。
【図9】接近制御によりターゲット領域内へ移動したポインタの以降の移動の一例を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0075】
10 制御部
11 ポインタ位置制御部
20 センサー部
21 傾斜検出部
22 加速度検出部
30 表示部
40 記憶部
100 携帯情報端末
110 携帯情報端末の表示画面
200〜209 ポインタ
300 アイコン
301 ターゲット領域
302 ターゲット周辺領域


【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の傾きを検出する傾斜検出手段と、
情報を表示する表示手段と、
前記傾斜検出手段により検出された傾きに応じて、前記表示手段により表示されるポインタの表示位置を制御するポインタ位置制御部と
を備え、
前記ポインタ位置制御部は、前記ポインタの表示位置と前記表示手段により表示される所定の選択可能な情報の表示領域との距離が所定距離以下である場合、前記ポインタの表示位置を前記所定の選択可能な情報の表示領域に移動するよう制御する接近制御を行う
携帯情報端末。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯情報端末であって、
前記ポインタ位置制御部は、前記ポインタの表示位置と前記所定の選択可能な情報の表示領域との距離が所定距離となるときの前記ポインタの移動速度に基づいて、前記接近制御を行う際の移動速度を決定する
携帯情報端末。
【請求項3】
請求項2に記載の携帯情報端末であって、
前記接近制御を行う際の移動速度は、前記ポインタの表示位置と前記所定の選択可能な情報の表示領域との距離が所定距離となるまでの前記ポインタの移動速度よりも大きい
携帯情報端末。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の携帯情報端末であって、
前記ポインタ位置制御部は、前記ポインタの表示位置が前記所定の選択可能な情報の表示領域に含まれる場合、前記接近制御を解除する
携帯情報端末。
【請求項5】
請求項4に記載の携帯情報端末であって、
前記ポインタ位置制御部は、接近制御後には、前記傾斜検出手段により検出された傾斜角が所定の傾斜角以下となるまで、前記傾斜検出手段により検出された傾斜角に応じた前記ポインタの表示位置の制御を中断する
携帯情報端末。
【請求項6】
請求項4または5に記載の携帯情報端末であって、
前記ポインタ位置制御部は、前記所定の選択可能な情報の表示領域内でのみ前記ポインタの表示位置の制御を行う
携帯情報端末。
【請求項7】
請求項6に記載の携帯情報端末であって、
前記ポインタ位置制御部は、前記ポインタの表示位置が前記所定の選択可能な情報の表示領域の周縁に接した場合、前記所定の選択可能な情報について所定の処理を実行する
携帯情報端末。
【請求項8】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の携帯情報端末であって、更に、
前記筐体の加速度を検出する加速度検出手段を備え、
前記ポインタ位置制御部は、前記接近制御中に、前記加速度検出手段により検出された加速度が所定の加速度以上であると判定した場合、前記接近制御を解除する
携帯情報端末。
【請求項9】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の携帯情報端末であって、
前記ポインタ位置制御部は、前記接近制御中に、前記傾斜検出手段により検出された傾斜角が、前記ポインタの表示位置を制御するための傾斜角よりも大きな所定の傾斜角以上であると判定した場合、前記接近制御を解除する
携帯情報端末。
【請求項10】
請求項9に記載の携帯情報端末であって、
前記ポインタ位置制御部は、前記接近制御を解除した後には、前記傾斜検出手段により検出された傾斜角が前記所定の傾斜角以下となるまで、前記傾斜検出手段により検出された傾斜角に応じた前記ポインタの表示位置の制御を中断する
携帯情報端末。
【請求項11】
請求項8または9に記載の携帯情報端末であって、
前記ポインタ位置制御部は、前記接近制御を解除するとき、前記ポインタの表示位置を前記所定の選択可能な情報の表示領域から前記所定距離の位置に移動するよう制御する離脱制御を行う
携帯情報端末。
【請求項12】
請求項11に記載の携帯情報端末であって、
前記ポインタ位置制御部は、前記接近制御を解除するときの前記加速度検出手段により検出された加速度に基づいて、前記離脱制御を行う際の移動速度を制御する
携帯情報端末。
【請求項13】
請求項11に記載の携帯情報端末であって、
前記ポインタ位置制御部は、前記接近制御を解除するときの前記傾斜検出手段により検出された傾斜角に基づいて、前記離脱制御を行う際の移動速度を制御する
携帯情報端末。
【請求項14】
請求項11または12に記載の携帯情報端末であって、
前記ポインタ位置制御部は、前記接近制御を解除するときの前記加速度検出手段により検出された加速度の方向に基づいて、前記離脱制御を行う際の移動方向を決定する
携帯情報端末。
【請求項15】
請求項11または13に記載の携帯情報端末であって、
前記ポインタ位置制御部は、前記接近制御を解除するときの前記傾斜検出手段により検出された傾きの方向に基づいて、前記離脱制御を行う際の移動方向を決定する
携帯情報端末。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−204810(P2010−204810A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47925(P2009−47925)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】