説明

携帯情報装置

【課題】携帯情報装置の消費電力を抑える。
【解決手段】画素内に複数の記憶回路を配置し、画素毎にデジタル映像信号を記憶させる。静止画の場合、一度書き込みを行えば、それ以降、画素に書き込まれる情報は同様であるので、フレーム毎に信号の入力を行わなくとも、記憶回路に記憶されている信号を読み出すことによって静止画を継続的に表示することができる。すなわち、静止画を表示する際は、最低1フレーム分の信号の処理動作を行って以降は、ソース信号線駆動回路を停止させておくことが可能となり、それに伴って電力消費を大きく低減することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯情報装置に関し、特に、EL、有機ELなどを用いたフラットディスプレイを有する、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯パソコン、携帯ゲーム装置、携帯ナビゲーションシステム、電子書籍などの携帯情報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信技術の発展によって、携帯電話が普及している。今後はさらに動画の電送や、より多量の情報伝達が予想される。一方パーソナルコンピュータもその軽量化によって、モバイル対応の製品が生産されている。電子手帳にはじまったパーソナルデジタルアシスタントと呼ばれる情報機器も多数生産され、普及しつつある。また、EL表示装置などの発展により、それらの携帯機器にはほとんどのものにフラットディスプレイが装備されている。
【0003】
さらに最近の技術として、アクティブマトリクス型の表示装置が、それら携帯機器に用いられ始めている。アクティブマトリクス型の表示装置は、画素1つずつに対して、TFTを1つずつ配置し、そのTFTによって、画面を制御している。この様なアクティブマトリクス型の表示装置はパッシブマトリクス型の表示装置に比較して、画像の高精細化に対応でき、画質を向上させることができ、動画に対応できるなどの長所を持っている。それ故に今後は携帯情報機器の表示装置はパッシブマトリクス型からアクティブマトリクス型に変化していくと思われる。
【0004】
また、アクティブマトリクス型表示装置のなかでも、近年、低温ポリシリコンを用いた、表示装置の製品化が行われている。低温ポリシリコン技術によって、画素を構成する画素TFTの他に、画素部の周辺部に、TFTを用いて駆動回路を同時形成することができる。そのため、装置の小型化、低消費電力化に大いに貢献し、それに伴って、近年その応用分野の拡大が著しいモバイル機器の表示部等に、EL表示装置(EL素子を有する表示装置)は不可欠なデバイスとなってきている。
【0005】
図10に従来の携帯情報端末のブロック図を示す。1204は電源である。携帯情報端末では、ユーザーが必要に応じて求める情報を引き出すことが要求される。その情報とは、携帯情報端末内の記憶装置(DRAM1209、フラッシュメモリ1210など)に記憶されているもの、携帯情報端末に差し込まれるメモリーカード1203に記憶されているもの、外部インターフェイスポート1205を介して外部機器と接続して得れるものなどがある。
【0006】
ペン入力タブレット1201より入力されるユーザーの指示を、検出回路1202において電子情報として読み込む。そして該電子情報はタブレットインターフェース1218によって映像信号処理回路1207に送られる。映像信号処理回路1207は、読み込まれた電子情報を、VRAM1211に格納してある画像フォーマットに基づいて画像データに変換し、コントローラ1212に送付する。ここでコントローラ1212は表示装置1213を駆動する信号を生成し、表示装置1213を駆動し、表示を行っていた。
【0007】
図11に従来の携帯電話のブロック図を示す。図10に示した携帯情報端末で既に図示しているものは同じ符号を付ける。
【0008】
携帯電話は電波を送受信する送受信回路1224と、受信した信号を音声処理する音声処理回路1221、スピーカー1223、マイク1222、またデータを入力するキーボード1220、表示を行う表示装置1213、そのELコントローラ1212、記憶装置(VRAM1211、DRAM1209、フラッシュメモリ1210など)から成っている。
【0009】
図11に示した携帯電話において、キーボードインターフェース1238と、映像信号処理回路1207と、VRAM1211と、ELコントローラー1212の動作は、図10に示した携帯情報端末の場合と同じである。ただ違うのは、ユーザーの指示がキーボード1220において電子情報として読み込まれるところである。
【0010】
図11における送受信回路1224の詳しい構成を、図12に示す。アンテナ1302において音声情報を有する電子情報が受信される。そして、フィルタ1303において該電子情報のうち必要なデータだけが取り出され、スイッチ1304を介してアンプ1305に入力される。アンプ1305に入力されたデータは増幅されてフィルタ1307に入力される。フィルタ1303において不必要な情報がカットされたデータは、第1周波数変換回路1309において周波数を高くされ、フィルタ1312に入力される。
【0011】
フィルタ1312において不必要な情報がカットされたデータは、第2周波数変換回路1313において再びその周波数を高くされ、フィルタ1316に入力される。
【0012】
フィルタ1316において不必要な情報がカットされたデータは、アンプ1317において増幅され、データ復調回路1318に入力される。
【0013】
データ復調回路1318は符号化されたデータを解いてCPU1206に入力する。
【0014】
逆にCPUから送られてきたデータは、データ変調回路1319に入力され符号化される。符号化されたデータは直交変換器1315において位相が調整され、かつその周波数を高くされて、周波数変換回路1311に入力される。
【0015】
周波数変換回路1311に入力されたデータは、その周波数を高くされてフィルタ1308に入力される。フィルタ1308において不必要な情報がカットされたデータは、アンプ1306において増幅され、スイッチ1304を介してフィルタ1303に入力される。
【0016】
フィルタ1303において不必要な情報がカットされたデータは、アンテナ1302において発信される。
【0017】
従来のデジタル方式で駆動する、EL素子を有する表示装置の概略図を、図13に示す。表示装置は、画素部9003と、ソース信号線駆動回路9001と、ゲート信号線駆動回路9002とが配置されている。
【0018】
画素部9003は、複数の画素9004を有している。ソース信号線駆動回路9001は、シフトレジスタ回路9001−1、ラッチ回路A9001−2、ラッチ回路B9001−3を有している。またゲート信号線駆動回路9002は、シフトレジスタ回路9002−1、バッファ回路9002−1を有している。
【0019】
図14に画素9004の回路図を示す。画素9004は、ソース信号線9005の1つと、電源供給線9006の1つと、ゲート信号線9007の1つとを有している。また画素9004はスイッチング用TFT9008とEL駆動用TFT9009とを有している。スイッチング用TFT9008のゲート電極は、ゲート信号線9007に接続されている。スイッチング用TFT9008のソース領域とドレイン領域は、一方がソース信号線9005に、もう一方がEL駆動用TFT9009のゲート電極、各画素が有するコンデンサ9010にそれぞれ接続されている。
【0020】
コンデンサ9010はスイッチング用TFT9008が非選択状態(オフ状態)にある時、EL駆動用TFT9009のゲート電圧(ゲート電極とソース領域間の電位差)を保持するために設けられている。
【0021】
また、EL駆動用TFT9009のソース領域とドレイン領域は、一方が電源供給線9006に接続され、もう一方はEL素子9011に接続される。電源供給線9006はコンデンサ9010に接続されている。
【0022】
EL素子9011は陽極と陰極と、陽極と陰極との間に設けられたEL層とからなる。陽極がEL駆動用TFT9009のソース領域またはドレイン領域と接続している場合、陽極が画素電極、陰極が対向電極となる。逆に陰極がEL駆動用TFT9009のソース領域またはドレイン領域と接続している場合、陰極が画素電極、陽極が対向電極となる。
【0023】
EL素子9011の対向電極には対向電位が与えられている。また電源供給線Vは電源電位が与えられている。電源電位と対向電位は、表示装置の外付けのICに設けられた電源によって与えられる。
【0024】
ソース信号線駆動回路9001が有するシフトレジスタ回路9001−1にクロック信号(CK)、スタートパルス(SP)が入力される。シフトレジスタ回路9001−1は、これらのクロック信号(CK)およびスタートパルス(SP)に基づきタイミング信号を順に発生させ、ラッチ回路A9001−2へタイミング信号を順次供給する。
【0025】
ラッチ回路A9001−2は、デジタルビデオ信号を記憶する複数のラッチを有している。ラッチ回路A9001−2は、前記タイミング信号が入力されると、デジタルビデオ信号を各ラッチに順次取り込み、保持する。
【0026】
ラッチ回路A9001−2の全てのラッチにデジタルビデオ信号の書き込みが一通り終了するまでの時間は、ライン期間と呼ばれる。実際には、上記ライン期間に水平帰線期間が加えられた期間をライン期間と呼ぶこともある。
【0027】
1ライン期間の終了後、ラッチ回路B9001−3にラッチシグナル(Latch Signal)が供給される。この瞬間、ラッチ回路A9001−2に書き込まれ保持されているデジタルビデオ信号は、ラッチ回路B9001−3に一斉に送出され、ラッチ回路B9001−3の全てのラッチに書き込まれ、保持される。
【0028】
デジタルビデオ信号をラッチ回路B9001−3に送出し終えたラッチ回路A9001−2に、シフトレジスタ回路9001−1からのタイミング信号に基づき、再びデジタルビデオ信号が順次書き込まれる。
【0029】
この2順目の1ライン期間中には、ラッチ回路B9001−3に書き込まれ、保持されているデジタルビデオ信号が、順次ソース信号線9005に供給される。
【0030】
一方ゲート信号線駆動回路9002内のシフトレジスタ回路9002−1にクロック信号(CLK)、スタートパルス信号(SP)が入力されると、スイッチング用TFT9008のスイッチングを制御する選択信号が生成される。選択信号はバッファ回路9002−2において緩衝増幅され、ゲート信号線9007に入力される。
【0031】
ゲート信号線9007に入力された選択信号によって、スイッチング用TFT9008がオンの状態になり、ソース信号線に入力されたデジタルビデオ信号がスイッチング用TFTを介してEL駆動用TFT9009のゲート電極に入力される。
【0032】
EL駆動用TFT9009のゲート電極に入力されたデジタルビデオ信号が有する、1または0の情報によって、EL駆動用TFTのスイッチングが制御される。EL駆動用TFTがオフの状態のときは電源供給線9006の電位がEL素子9011が有する画素電極に与えられないので、EL素子は発光しない。またEL駆動用TFTがオンの状態のときは電源供給線9006の電位がEL素子9011が有する画素電極に与えられ、EL素子が発光する。
【0033】
各画素において上記動作が行われることで1つの画像が表示される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
以上に述べたような従来の情報端末機器では、表示画面を表示する場合、たとえその画面が静止画面であっても、同一の映像のデータを1秒間に60回づつ、表示装置に送くり続けていた。即ち、CPU1206にある映像信号処理回路1207、VRAM1211、コントローラ1212、および表示装置1213が有するソース信号線駆動回路、ゲート信号線駆動回路は表示を行っている限り、動作を行っていた。
【0035】
画素数の少ないパッシブ型の表示装置においては、メモリを表示装置のドライバICもしくはELコントローラの中に内蔵し、VRAMを停止するものも存在するが、アクティブマトリクスのような多数の画素を用いる表示装置では、ドライバ内もしくはコントローラ内にメモリを有するのはチップサイズの観点から、非現実的である。よって、従来の情報端末機器では、静止画を表示する場合においても、多くの回路は動作を続けねばならず、消費電力の低減に対して、妨げとなっていた。
【0036】
携帯情報端末においては、低消費電力化が大きく望まれている。さらに、このモバイル機器においては、静止画モードで使用されることが大部分を占めているにもかかわらず、前述のように駆動回路は静止画表示の際にも動作し続けているため、低消費電力化への足かせとなっている。
【0037】
本発明は前述のような問題点を鑑み、新規の回路を用いることにより、静止画の表示時における駆動回路の消費電力を低減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0038】
前述の課題を解決するために、本発明では次のような手段を用いた。
【0039】
画素内に複数の記憶回路を配置し、画素毎にデジタル映像信号を記憶させる。
静止画の場合、一度書き込みを行えば、それ以降、画素に書き込まれる情報は同様であるので、フレーム毎に信号の入力を行わなくとも、記憶回路に記憶されている信号を読み出すことによって静止画を継続的に表示することができる。すなわち、静止画を表示する際は、最低1フレーム分の信号の処理動作を行って以降は、ソース信号線駆動回路を停止させておくことが可能となり、それに伴って電力消費を大きく低減することが可能となる。
【0040】
以下に、本発明のEL表示装置の構成について記載する。
【0041】
本発明によって、 表示装置とそのコントローラを有する携帯情報装置において、 前記表示装置は記憶回路とEL素子とをそれぞれ含む複数の画素を有し、 前記表示装置が静止画を表示するとき、前記表示装置と前記コントローラ以外の映像表示機能を停止することを特徴とした携帯情報装置が提供される。
【0042】
本発明によって、 表示装置とそのコントローラを有する携帯情報装置において、 前記表示装置は記憶回路とEL素子と前記EL素子に流れる電流を制御するTFTとをそれぞれ含む複数の画素を有し、 前記表示装置が静止画を表示するとき、前記表示装置と前記コントローラ以外の映像表示機能を停止することを特徴とした携帯情報装置が提供される。
【0043】
前記コントローラは表示装置のクロック発生回路であっても良い。
【0044】
本発明によって、 表示装置を有する携帯情報装置において、 前記表示装置は記憶回路とEL素子とをそれぞれ含む複数の画素を有し、 前記表示装置が静止画を表示するとき、映像情報を有する信号が前記表示装置の外部から前記表示装置に入力されないことを特徴とした携帯情報装置が提供される。
【0045】
本発明によって、 表示装置を有する携帯情報装置において、 前記表示装置は記憶回路とEL素子と前記EL素子に流れる電流を制御するTFTとをそれぞれ含む複数の画素を有し、 前記表示装置が静止画を表示するとき、映像情報を有する信号が前記表示装置の外部から前記表示装置に入力されないことを特徴とした携帯情報装置が提供される。
【0046】
本発明によって、 表示装置とCPUを有する携帯情報装置において、 前記表示装置は、記憶回路とEL素子とをそれぞれ含む複数の画素を有し、 前記表示装置が静止画を表示するとき、前記CPUの映像表示機能を停止することを特徴とした携帯情報装置が提供される。
【0047】
本発明によって、 表示装置とCPUを有する携帯情報装置において、 前記表示装置は、記憶回路とEL素子と前記EL素子に流れる電流を制御するTFTとをそれぞれ含む複数の画素を有し、 前記表示装置が静止画を表示するとき、前記CPUの映像表示機能を停止することを特徴とした携帯情報装置が提供される。
【0048】
本発明によって、 表示装置とVRAMを有する携帯情報装置において、 前記表示装置は、記憶回路とEL素子とをそれぞれ含む複数の画素を有し、 前記表示装置が静止画を表示するとき、前記VRAMに記憶されているデータの呼び出しを停止することを特徴とした携帯情報装置が提供される。
【0049】
本発明によって、 表示装置とVRAMを有する携帯情報装置において、 前記表示装置は、記憶回路とEL素子と前記EL素子に流れる電流を制御するTFTとをそれぞれ含む複数の画素を有し、 前記表示装置が静止画を表示するとき、前記VRAMに記憶されているデータの呼び出しを停止することを特徴とした携帯情報装置が提供される。
【0050】
本発明によって、 表示装置を有する携帯情報装置において、 前記表示装置は、記憶回路とEL素子とをそれぞれ含む複数の画素を有し、 前記表示装置が静止画を表示するとき、前記表示装置のソース信号線駆動回路を停止することを特徴とした携帯情報装置が提供される。
【0051】
本発明によって、 表示装置を有する携帯情報装置において、 前記表示装置は、記憶回路とEL素子と前記EL素子に流れる電流を制御するTFTとをそれぞれ含む複数の画素を有し、 前記表示装置が静止画を表示するとき、前記表示装置のソース信号線駆動回路を停止することを特徴とした携帯情報装置が提供される。
【0052】
前記記憶回路が1フレーム期間に1度呼び出されることを特徴としていても良い。
【0053】
本発明によって、 表示装置を有する携帯情報装置において、 前記表示装置は複数の画素を有し、 前記複数の画素は、記憶回路とEL素子とを有し、 前記複数の画素のうち、特定の行または列の画素が有する記憶回路に記憶されているデータを書き換える手段を有することを特徴とした携帯情報装置が提供される。
【0054】
本発明によって、 表示装置を有する携帯情報装置において、 前記表示装置は複数の画素を有し、 前記複数の画素は、記憶回路とEL素子と前記EL素子に流れる電流を制御するTFTとを有し、 前記複数の画素のうち、特定の行または列の画素が有する記憶回路に記憶されているデータを書き換える手段を有することを特徴とした携帯情報装置が提供される。
【0055】
前記携帯情報装置は、携帯電話、パーソナルコンピュータ、ナビゲーションシステム、PDAまたは電子書籍であっても良い。
【発明の効果】
【0056】
各画素の内部に配置された複数の記憶回路を用いてデジタル映像信号の記憶を行うことにより、静止画を表示する際に各フレーム期間で記憶回路に記憶されたデジタル映像信号を反復して用い、継続的に静止画を表示する際に、ソース信号線駆動回路を停止させておくことが可能となる。よって、EL表示装置全体の低消費電力化に大きく貢献することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の携帯情報端末の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の携帯電話の構成を示すブロック図。
【図3】本発明の表示装置の画素回路図。
【図4】本発明の表示装置の駆動回路のブロック図。
【図5】本発明の表示装置の上面図と断面図。
【図6】本発明の構成を有する携帯電話の外観図。
【図7】本発明の構成を有する携帯電話の外観図。
【図8】本発明の構成を有する携帯電話の外観図。
【図9】本発明の構成を有する携帯電話の外観図。
【図10】従来の携帯情報端末の構成を示すブロック図。
【図11】従来の携帯電話の構成を示すブロック図。
【図12】送受信回路の構成を示すブロック図。
【図13】従来の表示装置のブロック図。
【図14】従来の表示装置の画素回路図。
【図15】3重項EL材料の応答時間を示す図。
【図16】本発明の表示装置の画素上面図。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図1は本発明の構成を示したものである。本発明では、静止画を表示する場合、表示装置2213の画素の内部にある記憶回路に映像信号を記憶させ、記憶した映像信号を呼び出すことによって、表示を行う。よって、従来、動作させていたCPU2106の内部回路のうち、映像信号処理回路2107、VRAM2111、表示装置2213の中のソース信号線駆動回路を駆動させなくても、静止画像を表示することが可能となる。なお、外部インターフェイスポート2105を介して、外部機器からユーザーが必要に応じて求める情報を引き出すことができる。
また携帯情報端末に差し込まれるメモリーカード2103に記憶されている情報も引き出すことが可能である。2104は電源である。
【0059】
以下その内容について、具体的に説明を行う。
【0060】
ペン入力タブレット2101からの入力が一定時間の間行われない、もしくは外部入力端子から映像表示を変えなければならないような信号入力が一定時間されない場合、CPU2106は静止画モードであると判断を行う。
【0061】
CPU2106がそのような判断を行った場合、CPU2106は以下のような動作を行う。ELコントローラ2112を介して、表示装置2213のソース信号線駆動回路を停止させる。具体的には、ソース信号線駆動回路へのスタートパルス、クロック信号、映像データ信号の供給を停止することによって、ソース信号線駆動回路の動作を停止させることができる。このときゲート信号線駆動回路は停止はせずに、信号の供給を受け、表示装置2213内の画素部に設けられた記憶回路のデータを、各画素の画素電極に供給する作用を行う。
【0062】
ゲート信号線駆動回路はソース信号線駆動回路にくらべて、一般的には、1/100以下の周波数で駆動されるため、動作を停止しなくとも、消費電力の面では問題にならない。もちろん、ゲート信号線駆動回路を停止してもよい。このような動作によって、表示装置はゲート信号線駆動回路のみ、または、両方の信号線駆動回路を停止させて、表示を行う。
【0063】
次に、CPU2106は、CPU2106内部の信号処理回路および、VRAM2111を停止する。前述したように、表示装置2213は、その内部の記憶回路に蓄えられた映像データで表示を行っているので、静止画を表示する場合、新たに映像データを表示装置2213に送り込む必要性がない。よって、映像データを発生、加工する映像信号処理回路2107、タブレットインターフェース2118、VRAM2111などは動作していなくとも良い。またDRAM2109とフラッシュメモリ2110などの、ユーザーの求める情報を保持している記憶回路にアクセスする必要もない。
【0064】
以上により、CPU2106内部の電力削減、VRAM2111の電力削減、ソース信号線駆動回路の電力削減が達成される。
【0065】
また、ペン入力タブレット2101などの外部入力端子から再び信号が入力された場合は、ペン入力タブレット2101の検出回路2102からCPU2106に対して、表示内容を変えるような指示が出される。するとCPU2106は停止していたVRAM2111、タブレットインターフェース2118、映像信号処理回路2107を動作させる。そして、ELコントローラ2112を介して、表示装置2213のソース信号線駆動回路にスタートパルス、クロック信号、映像データを供給し、新たな映像信号を画素に書き込むことができる。
【0066】
図2は本発明を使用した携帯電話の例である。動作概要は図1の携帯情報端末とおおよそ同じである。携帯情報端末と異なるのは、携帯電話では、入力は、キーボードによって行われ、外部からのデータは、電話会社の通信系を介して、アンテナに入力され、図12に示す送受信回路で増幅されたのち、CPUで制御され、表示装置に送られることである。静止画を表示する場合は、携帯情報端末と同様に、映像信号処理回路、VRAM、ソース信号線駆動回路などは停止させることができる。
【0067】
以下に本発明の実施例について記述する。
【実施例1】
【0068】
本実施例では、本発明の構成を有する携帯電話の構成について説明する。
【0069】
図2に本実施例の携帯電話のブロック図を示す。図1に示した携帯情報端末で既に図示しているものは同じ符号を付ける。
【0070】
携帯電話は電波を送受信する送受信回路2124と、受信した信号を音声処理する音声処理回路2121、スピーカー2123、マイク2122、またデータを入力するキーボード2120、表示を行う表示装置2113、そのELコントローラ2112、記憶装置(VRAM2111、DRAM2109、フラッシュメモリ2110など)から成っている。
【0071】
図2に示した携帯電話において、キーボードインターフェース2138と、映像信号処理回路2107と、VRAM2111と、ELコントローラー2112の動作は、図1に示した携帯情報端末の場合と同じである。ただ違うのは、ユーザーの指示がキーボード2120において電子情報として読み込まれるところである。また外部からのデータは、電話会社の通信系を介して、アンテナに入力され、図2に示す送受信回路2224で増幅されたのち、CPU2106で制御され、表示装置2213に送られる。
【0072】
キーボード2220からの入力が一定時間の間行われない、もしくは外部入力端子から映像表示を変えなければならないような信号入力が一定時間されない場合、CPU2106は静止画モードであると判断を行う。
【0073】
CPU2106がそのような判断を行った場合、CPU2106は以下のような動作を行う。ELコントローラ2112を介して、表示装置2213のソース信号線駆動回路を停止させる。具体的には、ソース信号線駆動回路へのスタートパルス、クロック信号、映像データ信号の供給を停止することによって、ソース信号線駆動回路の動作を停止させることができる。このときゲート信号線駆動回路は停止はせずに、信号の供給を受け、表示装置2213内の画素部に設けられた記憶回路のデータを、各画素の画素電極に供給する作用を行う。
【0074】
ゲート信号線駆動回路はソース信号線駆動回路にくらべて、一般的には、1/100以下の周波数で駆動されるため、動作を停止しなくとも、消費電力の面では問題にならない。もちろん、ゲート信号線駆動回路を停止してもよい。このような動作によって、表示装置はゲート信号線駆動回路のみ、または、両方の信号線駆動回路を停止させて、表示を行う。
【0075】
次に、CPU2106は、CPU2106内部の信号処理回路および、VRAM2111を停止する。前述したように、表示装置2213は、その内部の記憶回路に蓄えられた映像データで表示を行っているので、静止画を表示する場合、新たに映像データを表示装置2213に送り込む必要性がない。よって、映像データを発生、加工する映像信号処理回路2107、キーボードインターフェース2138、VRAM2111などは動作していなくとも良い。またDRAM2109とフラッシュメモリ2110などの、ユーザーの求める情報を保持している記憶回路にアクセスする必要もない。
【0076】
以上により、CPU2106内部の電力削減、VRAM2111の電力削減、ソース信号線駆動回路の電力削減が達成される。
【0077】
また、キーボード2220などの外部入力端子から再び信号が入力された場合は、キーボード2220からCPU2106に対して、表示内容を変えるような指示が出される。するとCPU2106は停止していたVRAM2111、キーボードインターフェース2138、映像信号処理回路2107を動作させる。そして、ELコントローラ2112を介して、表示装置2213のソース信号線駆動回路にスタートパルス、クロック信号、映像データを供給し、新たな映像信号を画素に書き込むことができる。
【実施例2】
【0078】
本実施例では、本発明で用いられる表示装置が有する画素部の詳しい構成について説明する。
【0079】
画素部にはマトリクス状に複数の画素が配列される。本実施例の画素704の拡大図を図3に示す。画素704には、スイッチング用TFT705と、EL駆動用TFT706と、SRAM707と、対向電極と画素電極の間にELを挟んだEL素子708とが設けられている。
【0080】
スイッチング用TFT705のゲート電極は、ゲート信号線709に接続されている。また、スイッチング用TFT705のソース領域とドレイン領域は、一方はソース信号線710に、もう一方はSRAM707の入力側に接続されている。
【0081】
SRAM707はpチャネル型TFTとnチャネル型TFTを2つづつ有しており、pチャネル型TFTのソース領域は高電圧側電源線711に接続され、電圧Vddhに保たれている。またnチャネル型TFTのソース領域は低電圧側電源線712に接続されており、電圧Vssに保たれている。なおVddh>Vssである。1つのpチャネル型TFTと1つのnチャネル型TFTとが対になっており、1つのSRAMの中にpチャネル型TFTとnチャネル型TFTとの対が2組存在することになる。
【0082】
対になったpチャネル型TFTとnチャネル型TFTは、そのドレイン領域が互いに接続されている。また対になったpチャネル型TFTとnチャネル型TFTは、そのゲート電極が互いに接続されている。そして互いに一方の対のpチャネル型及びnチャネル型TFTのドレイン領域が、もう一方の対のpチャネル型及びnチャネル型TFTのゲート電極と同じ電位に保たれている。そして一方の対のpチャネル型及びnチャネル型TFTのドレイン領域は入力の信号(Vin)が入る入力側であり、もう一方の対のpチャネル型及びnチャネル型TFTのドレイン領域は出力の信号(Vout)が出力される出力側である。
【0083】
SRAMはVinを保持し、Vinを反転させた信号であるVoutを出力するように設計されている。つまり、VinがHiだとVoutはVss相当のLoの信号となり、VinがLoだとVoutはVddh相当のHiの信号となる。
【0084】
SRAM707の出力側は、EL駆動用TFT706のゲート電極に接続されている。EL駆動用TFT706のソース領域は電源供給線713に、ドレイン領域はEL素子708が有する画素電極に接続されている。
【0085】
ゲート信号線709に入力される選択信号により、スイッチング用TFT705はオンの状態になる。そしてソース信号線710に入力されたデジタルビデオ信号は、スイッチング用TFT705を介してSRAM707の入力側にVinとして入力される。
【0086】
入力されたデジタルビデオ信号は、次のデジタルビデオ信号が入力されるまで保持される。またSRAMはDRAMに比べてデジタルビデオ信号の書き込みにかかる時間が短く、高速でデータの書き込みを行うことが可能である。
【0087】
デジタルビデオ信号は、1または0の情報を有しており、SRAM707に入力されたデジタルビデオ信号は、その情報が反転して出力される。例えば1の情報を有するデジタルビデオ信号がSRAM707に入力されると、0の情報を有するデジタルビデオ信号がSRAM707の出力側からVoutとして出力される。逆に0の情報を有するデジタルビデオ信号がSRAM707に入力されると、1の情報を有するデジタルビデオ信号がSRAM707の出力側からVoutとして出力される。
【0088】
SRAM707の出力側から出力されたデジタルビデオ信号は、EL駆動用TFT706のゲート電極に入力される。そしてEL駆動用TFT706は、ゲート電極に入力されたデジタルビデオ信号が有する1または0の情報に従って、オンまたはオフの状態になる。
【0089】
EL駆動用TFT706がオフの状態になると、電源供給線713の電源電位がEL素子708の画素電極に与えられないので、EL素子708は発光しない。逆にEL駆動用TFT706がオンの状態になると、電源供給線713の電源電位がEL素子708の画素電極に与えられるので、EL素子708は発光する。
【0090】
そして同様に、全ての画素にデジタルビデオ信号が入力されることによって、各画素の有するEL素子が発光するかしないかが選択される。
【0091】
さらに全てのビットのデジタルビデオ信号が全ての画素に入力されると、1つの画像が表示される。1フレーム期間中に各画素のEL素子が発光する長さを制御することによって階調表示を行ってもよいし、複数の画素を1つの単位とし、発光しているEL素子を有する画素の面積を制御することで階調表示を行っても良い。
【0092】
本発明においてSRAMを画素中に設けることで、画素に入力されたデジタルビデオ信号を、次のデジタルビデオ信号が入力されるまでより確実に保持することが可能になる。すなわち、EL駆動用TFTのゲート電極において保持される電荷がスイッチング用TFTのリーク電流によって減少するのを防ぎ、EL素子の発光輝度が低下することを防ぐことが可能になる。
【0093】
なお揮発性のメモリはTFTを用いて形成することが可能なため、スイッチング用TFT及びEL駆動用TFTと同時に形成することが可能である。
【0094】
なお本願発明において、保持容量は積極的に設けなくとも良い。保持容量を設けない場合、デジタルビデオ信号を画素に入力する時間を短くすることが可能になる。そのためELディスプレイの画素数が増加しても、書き込み期間の長さを抑えることができる。
【0095】
なお本実施例は、実施例1に示した構成と自由に組み合わせて実施することが可能である
【実施例3】
【0096】
本実施例では、本発明で用いられる表示装置の駆動回路について説明する。図4(A)にソース信号線駆動回路のブロック図を示す。
【0097】
ソース信号線駆動回路は、シフトレジスタ回路761、ラッチ回路A 762、ラッチ回路B763、D/A変換回路764を有している。
【0098】
ソース信号線駆動回路が有するシフトレジスタ回路761にクロック信号(CK)、スタートパルス(SP)が入力される。シフトレジスタ回路761は、これらのクロック信号(CK)およびスタートパルス(SP)に基づきタイミング信号を順に発生させ、ラッチ回路A762へタイミング信号を順次供給する。
【0099】
ラッチ回路A762は、デジタルビデオ信号を記憶する複数のラッチを有している。ラッチ回路A762は、前記タイミング信号が入力されると、デジタルビデオ信号を各ラッチに順次取り込み、保持する。
【0100】
ラッチ回路A762の全てのラッチにデジタルビデオ信号の書き込みが一通り終了するまでの時間は、ライン期間と呼ばれる。実際には、上記ライン期間に水平帰線期間が加えられた期間をライン期間と呼ぶこともある。
【0101】
1ライン期間の終了後、ラッチ回路B763にラッチシグナル(Latch Signal)が供給される。この瞬間、ラッチ回路A762に書き込まれ保持されているデジタルビデオ信号は、ラッチ回路B763に一斉に送出され、ラッチ回路B763の全てのラッチに書き込まれ、保持される。
【0102】
デジタルビデオ信号をラッチ回路B763に送出し終えたラッチ回路A762に、シフトレジスタ回路761からのタイミング信号に基づき、再びデジタルビデオ信号が順次書き込まれる。
【0103】
この2順目の1ライン期間中には、ラッチ回路B763に書き込まれ、保持されているデジタルビデオ信号が、順次ソース信号線に供給される。
【0104】
図4(B)にゲート信号線駆動回路のブロック図を示す。ゲート信号線駆動回路は、シフトレジスタ回路766、バッファ回路767を有している。ゲート信号線駆動回路内のシフトレジスタ回路766にクロック信号(CLK)、スタートパルス信号(SP)が入力されると、画素TFTのスイッチングを制御する選択信号が生成される。選択信号はバッファ回路767において緩衝増幅され、ゲート信号線に入力される。
【0105】
なお本実施例は、実施例1または実施例2と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【実施例4】
【0106】
本実施例では、本発明を用いてEL表示装置を作製した例について、図5を用いて説明する。
【0107】
図5(A)は、EL素子が設けられたTFT基板をシーリング材によって封止することによって形成されたEL表示装置の上面図であり、図5(B)は、図5(A)のA−A’における断面図、図5(C)は図5(A)のB−B’における断面図である。
【0108】
基板4001上に設けられた画素部4002と、ソース信号線駆動回路4003と、第1及び第2のゲート信号線駆動回路4004a、bとを囲むようにして、シール材4009が設けられている。また画素部4002と、ソース信号線駆動回路4003と、第1及び第2のゲート信号線駆動回路4004a、bとの上にシーリング材4008が設けられている。よって画素部4002と、ソース信号線駆動回路4003と、第1及び第2のゲート信号線駆動回路4004a、bとは、基板4001とシール材4009とシーリング材4008とによって、充填材4210で密封されている。
【0109】
また基板4001上に設けられた画素部4002と、ソース信号線駆動回路4003と、第1及び第2のゲート信号線駆動回路4004a、bとは、複数のTFTを有している。図5(B)では代表的に、下地膜4010上に形成された、ソース信号線駆動回路4003に含まれる駆動TFT(但し、ここではnチャネル型TFTとpチャネル型TFTを図示する)4201及び画素部4002に含まれるEL駆動用TFT(EL素子への電流を制御するTFT)4202を図示した。
【0110】
本実施例では、駆動TFT4201には公知の方法で作製されたpチャネル型TFTまたはnチャネル型TFTが用いられ、EL駆動用TFT4202には公知の方法で作製されたpチャネル型TFTが用いられる。また、画素部4002にはEL駆動用TFT4202のゲートに接続された保持容量(図示せず)が設けられる。
【0111】
駆動TFT4201及びEL駆動用TFT4202上には層間絶縁膜(平坦化膜)4301が形成され、その上にEL駆動用TFT4202のドレインと電気的に接続する画素電極(陽極)4203が形成される。画素電極4203としては仕事関数の大きい透明導電膜が用いられる。透明導電膜としては、酸化インジウムと酸化スズとの化合物、酸化インジウムと酸化亜鉛との化合物、酸化亜鉛、酸化スズまたは酸化インジウムを用いることができる。また、前記透明導電膜にガリウムを添加したものを用いても良い。
【0112】
そして、画素電極4203の上には絶縁膜4302が形成され、絶縁膜4302は画素電極4203の上に開口部が形成されている。この開口部において、画素電極4203の上にはEL(エレクトロルミネッセンス)層4204が形成される。EL層4204は公知の有機EL材料または無機EL材料を用いることができる。また、有機EL材料には低分子系(モノマー系)材料と高分子系(ポリマー系)材料があるがどちらを用いても良い。
【0113】
EL層4204の形成方法は公知の蒸着技術もしくは塗布法技術を用いれば良い。また、EL層の構造は正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層または電子注入層を自由に組み合わせて積層構造または単層構造とすれば良い。
【0114】
EL層4204の上には遮光性を有する導電膜(代表的にはアルミニウム、銅もしくは銀を主成分とする導電膜またはそれらと他の導電膜との積層膜)からなる陰極4205が形成される。また、陰極4205とEL層4204の界面に存在する水分や酸素は極力排除しておくことが望ましい。従って、EL層4204を窒素または希ガス雰囲気で形成し、酸素や水分に触れさせないまま陰極4205を形成するといった工夫が必要である。本実施例ではマルチチャンバー方式(クラスターツール方式)の成膜装置を用いることで上述のような成膜を可能とする。そして陰極4205は所定の電圧が与えられている。
【0115】
以上のようにして、画素電極(陽極)4203、EL層4204及び陰極4205からなるEL素子4303が形成される。そしてEL素子4303を覆うように、絶縁膜4302上に保護膜4303が形成されている。保護膜4303は、EL素子4303に酸素や水分等が入り込むのを防ぐのに効果的である。
【0116】
4005aは電源供給線に接続された引き回し配線であり、EL駆動用TFT4202のソース領域に電気的に接続されている。引き回し配線4005aはシール材4009と基板4001との間を通り、異方導電性フィルム4300を介してFPC4006が有するFPC用配線4301に電気的に接続される。
【0117】
シーリング材4008としては、ガラス材、金属材(代表的にはステンレス材)、セラミックス材、プラスチック材(プラスチックフィルムも含む)を用いることができる。プラスチック材としては、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)板、PVF(ポリビニルフルオライド)
フィルム、マイラーフィルム、ポリエステルフィルムまたはアクリル樹脂フィルムを用いることができる。また、アルミニウムホイルをPVFフィルムやマイラーフィルムで挟んだ構造のシートを用いることもできる。
【0118】
但し、EL素子からの光の放射方向がカバー材側に向かう場合にはカバー材は透明でなければならない。その場合には、ガラス板、プラスチック板、ポリエステルフィルムまたはアクリルフィルムのような透明物質を用いる。
【0119】
また、充填材4103としては窒素やアルゴンなどの不活性な気体の他に、紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂を用いることができ、PVC(ポリビニルクロライド)、アクリル、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)またはEVA(エチレンビニルアセテート)を用いることができる。本実施例では充填材として窒素を用いた。
【0120】
また充填材4103を吸湿性物質(好ましくは酸化バリウム)もしくは酸素を吸着しうる物質にさらしておくために、シーリング材4008の基板4001側の面に凹部4007を設けて吸湿性物質または酸素を吸着しうる物質4207を配置する。そして、吸湿性物質または酸素を吸着しうる物質4207が飛び散らないように、凹部カバー材4208によって吸湿性物質または酸素を吸着しうる物質4207は凹部4007に保持されている。なお凹部カバー材4208は目の細かいメッシュ状になっており、空気や水分は通し、吸湿性物質または酸素を吸着しうる物質4207は通さない構成になっている。吸湿性物質または酸素を吸着しうる物質4207を設けることで、EL素子4303の劣化を抑制できる。
【0121】
図5(C)に示すように、画素電極4203が形成されると同時に、引き回し配線4005a上に接するように導電性膜4203aが形成される。
【0122】
また、異方導電性フィルム4300は導電性フィラー4300aを有している。基板4001とFPC4006とを熱圧着することで、基板4001上の導電性膜4203aとFPC4006上のFPC用配線4301とが、導電性フィラー4300aによって電気的に接続される。
【0123】
なお本実施例は、実施例1〜実施例3と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【実施例5】
【0124】
本発明において、三重項励起子からの燐光を発光に利用できるEL材料を用いることで、外部発光量子効率を飛躍的に向上させることができる。これにより、EL素子の低消費電力化、長寿命化、および軽量化が可能になる。
【0125】
ここで、三重項励起子を利用し、外部発光量子効率を向上させた報告を示す。
(T.Tsutsui, C.Adachi, S.Saito, Photochemical Processes in Organized Molecular Systems, ed.K.Honda, (Elsevier Sci.Pub., Tokyo,1991) p.437.)
【0126】
上記の論文により報告されたEL材料(クマリン色素)の分子式を以下に示す。
【0127】
【化1】

【0128】
(M.A.Baldo, D.F.O'Brien, Y.You, A.Shoustikov, S.Sibley, M.E.Thompson, S.R.Forrest, Nature 395 (1998) p.151.)
【0129】
上記の論文により報告されたEL材料(Pt錯体)の分子式を以下に示す。
【0130】
【化2】

【0131】
(M.A.Baldo, S.Lamansky, P.E.Burrrows, M.E.Thompson, S.R.Forrest, Appl.Phys.Lett.,75 (1999) p.4.) (T.Tsutsui, M.-J.Yang, M.Yahiro, K.Nakamura, T.Watanabe, T.tsuji, Y.Fukuda, T.Wakimoto, S.Mayaguchi, Jpn.Appl.Phys., 38 (12B) (1999) L1502.)
【0132】
上記の論文により報告されたEL材料(Ir錯体)の分子式を以下に示す。
【0133】
【化3】

【0134】
以上のように三重項励起子からの燐光発光を利用できれば原理的には一重項励起子からの蛍光発光を用いる場合より3〜4倍の高い外部発光量子効率の実現が可能となる。
【0135】
なお本実施例は、実施例1〜実施例4と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【実施例6】
【0136】
本実施例では、本発明の携帯情報端末の外観図について述べる。図6に示すのは本発明の構成を有する携帯情報端末であり、2701は表示用パネル、2702は操作用パネルである。表示用パネル2701と操作用パネル2702とは接続部2703において接続されている。そして接続部2703における、表示用パネル2701の表示部2704が設けられている面と操作用パネル2702の操作キー2706が設けられている面との角度θは、任意に変えることができる。
【0137】
表示用パネル2701は表示部2704を有している。また図6に示した携帯情報端末は電話としての機能を有しており、表示用パネル2701は音声出力部2705を有しており、音声が音声出力部2705から出力される。表示部2704にはELディスプレイが用いられている。
【0138】
表示部2704のアスペクト比は16:9、4:3など任意に選択することができる。表示部2704のサイズは対角1インチ〜4.5インチ程度が望ましい。
【0139】
操作用パネル2702は操作キー2706、電源スイッチ2707、音声入力部2708を有している。なお図6では操作キー2706と電源スイッチ2707とを別個に設けたが、操作キー2706の中に電源スイッチ2707が含まれる構成にしても良い。音声入力部2708において、音声が入力される。
【0140】
なお図6では表示用パネル2701が音声出力部2705を有し、操作用パネル2702が音声入力部2708を有しているが、本実施例はこの構成に限定されない。表示用パネル2701が音声入力部2708を有し、操作用パネルが音声出力部2705を有していても良い。また音声出力部2705と音声入力部2708とが共に表示用パネル2701に設けられていても良いし、音声出力部2705と音声入力部2708とが共に操作用パネル2702に設けられていても良い。
【0141】
なお図7では図6で示した携帯情報端末の操作キー2706を人差し指で操作している例について示した。また図8では図6で示した携帯情報端末の操作キー2706を親指で操作している例について示した。なお操作キー2706は操作用パネル2702の側面に設けても良い。操作は片手(きき手)の人差し指のみ、または親指のみでも可能である。
【0142】
なお本実施例は、実施例1〜実施例5と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【実施例7】
【0143】
本実施例では、実施例6で示したものとは別の携帯を有する携帯情報端末について説明する。図9に示すのは、本実施例の携帯情報端末の外観図であり、図9(A)は上面図、図9(B)は側面図を示す。
【0144】
2901は表示用パネル、2902は操作用パネルである。表示用パネル2901と操作用パネル2902とは接続部2903において接続されている。そして接続部2903における、表示用パネル2901の表示部2904が設けられている面と操作用パネル2902の操作キー2906が設けられている面との角度は、任意に変えることができる。
【0145】
表示用パネル2901は表示部2904を有している。また図9に示した携帯情報端末は電話としての機能を有しており、表示用パネル2901は音声出力部2905を有しており、音声が音声出力部2905から出力される。表示部2904には本発明の構成を有するEL表示装置が用いられている。
【0146】
操作用パネル2902は操作キー2906、電源スイッチ2907、音声入力部2908を有している。なお図9では操作キー2906と電源スイッチ2907とを別個に設けたが、操作キー2906の中に電源スイッチ2907が含まれる構成にしても良い。音声入力部2908において、音声が入力される。
【0147】
また、CCD受光部2910から画像を電子情報として携帯情報端末に取り入れることができる。
【0148】
2911は外部接続ポートであり、外部からのデータを取り入れることが可能である。また2909はアンテナである。
【0149】
なお図9では表示用パネル2901が音声出力部2905を有し、操作用パネル2902が音声入力部2908を有しているが、本実施例はこの構成に限定されない。表示用パネル2901が音声入力部2908を有し、操作用パネルが音声出力部2905を有していても良い。また音声出力部2905と音声入力部2908とが共に表示用パネル2901に設けられていても良いし、音声出力部2905と音声入力部2908とが共に操作用パネル2902に設けられていても良い。
【0150】
また図9に示した携帯情報端末は操作キー2906がそれぞれLED、液晶またはEL等を有している。そして各操作キー2906が有するLED、液晶またはEL等によって、操作キー2906のそれぞれに、単数または複数の文字、記号、数字等が表示される。そして本実施例の携帯情報端末は、表示部2904に表示される画像の方向及び操作キー2906に表示される文字、数字、記号等の画像の方向を、利用者が適宜変更することが可能である。
【0151】
図9(A)には表示用パネル2901と操作用パネル2902とを横方向に並べたときに、表示部2904に表示される画像の方向と、操作キー2906に表示される文字、数字、記号等の画像の方向とが、利用者側から見て本来の方向にある場合を示した。
【0152】
また図示してはいないが、表示用パネル2901と操作用パネル2902とを縦方向に並べたときに、表示部2904に表示される画像の方向と、操作キー2906に表示される文字、数字、記号等の画像の方向とが、利用者側から見て本来の方向にあるようにしても良い。
【0153】
本発明の携帯情報端末は、利用者の使い勝手に合わせて、表示部2904に表示される画像の方向及び操作キー2906に表示される文字、数字、記号等の画像の方向を切り替えることが可能である。
【0154】
なお図9では表示部2904に表示される画像の方向と、操作キー2906に表示される文字、数字、記号等の画像の方向とが常に同じ場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。表示部2904に表示される画像の方向と、操作キー2906に表示される文字、数字、記号等の画像の方向とが異なっていても良い。
【0155】
なお図9に示した操作キーが表示している文字、数字及び記号は一例であり、本発明の携帯情報端末はこれらの文字、数字及び記号に限定されない。
【0156】
また表示部2904に表示される画像の方向と、操作キー2906に表示される文字、数字、記号等の画像の方向とを、接続部103における表示用パネル2901の表示部2904を有する面と操作用パネル2902の操作キー2906を有する面との間の角度によって自動的に切り替えるような構成にしても良い。
これらの構成については、特許願2000−080973に詳しく記載されている。
【0157】
上記構成によって本発明の携帯情報端末を、利用者にとってより使い勝手の良いものとすることができる。
【0158】
なお本実施例は、実施例1〜実施例5と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【実施例8】
【0159】
本実施例では、本発明で用いる、三重項励起子からの燐光を発光に利用できるEL材料の特性について述べる。
【0160】
本発明の表示装置において、任意波形発生器により電源供給線にDC印加、ON-OFFをスイッチングし、応答時間を測定した。ON期間(選択期間)、off期間(非選択期間、電圧0V)はそれぞれ250μsとした。
【0161】
EL素子の発光輝度を測定する光学系として、顕微鏡、顕微鏡鏡筒にフォトマルチプライヤー設置し、フォトマルチプライヤーの出力をオシロスコープで測定した。なお本明細書において応答時間とは、非選択状態から選択状態へのスイッチの立ち上がり、選択状態から非選択状態へのスイッチの立ち下がりと定義する。具体的には、駆動波形のスイッチの瞬間からそれに追従する光学応答の変化がフル応答に対し90%まで変化するのに要する時間を応答時間とした。
【0162】
図15に、測定時における、電源供給線に入力される信号の駆動波形と、EL素子の発光輝度を意味する光学応答波形を示す。上が駆動波形、下が光学応答である。フォトマルチプライヤーはマイナス出力のタイプを使用しており、電圧0Vから6Vまでを印加した。この時応答時間は33μsであった。
【0163】
以上のように三重項励起子からの燐光発光を利用できれば原理的には一重項励起子からの蛍光発光を用いる場合より3〜4倍の高い外部発光量子効率の実現が可能となる。
【0164】
本実施例は、実施例1〜7と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【実施例9】
【0165】
本実施例では、画素部に設けられている記憶回路が、ソース信号線の下に配置されている例について説明する。
【0166】
図16は、下面照射型のEL表示装置の画素の上面図である。画素801は、ソース信号線804の1つと、ゲート信号線803と、電源供給線805の1つとを含む領域であり、画素電極801を有している。なお図16では図示していないが、画素800は、スイッチング用TFTと、EL駆動用TFTとを有している。
【0167】
デザインルールを1μm、画素ピッチを100ppi程度とすれば、本発明において用いる記憶回路をソース信号線804の下に配置することが可能になり、上面照射型だけではなく、下面照射型のEL表示装置にも適応可能である。
【0168】
また、ソース信号線804ではなく、ゲート信号線803の下に記憶回路を配置することも可能である。
【0169】
なお、本実施例の構成は、実施例1〜8において記載された構成と、自由に組み合わせて実施することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CPUと、画素と、ソース信号線駆動回路と、を有し、
前記画素は、回路と、EL素子と、を有し、
前記回路は、映像信号を記憶することができる機能を有し、
前記CPUは、ペンを用いた入力タブレットからの入力が一定時間行われない場合、前記ソース信号線駆動回路を停止させることができる機能を有することを特徴とする携帯情報装置。
【請求項2】
CPUと、画素と、ソース信号線駆動回路と、を有し、
前記画素は、回路と、EL素子と、を有し、
前記回路は、映像信号を記憶することができる機能を有し、
前記CPUは、ペンを用いた入力タブレットからの入力が一定時間行われない場合、前記ソース信号線駆動回路へのスタートパルス、クロック信号及び映像信号を停止することができる機能を有することを特徴とする携帯情報装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
ゲート信号線駆動回路を有し、
前記CPUは、前記入力タブレットからの入力が一定時間行われない場合、前記ゲート信号線駆動回路を停止させないことができる機能を有することを特徴とする携帯情報装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2において、
ゲート信号線駆動回路を有し、
前記CPUは、前記入力タブレットからの入力が一定時間行われない場合、前記ゲート信号線駆動回路を停止させることができる機能を有することを特徴とする携帯情報装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記画素は、第1の配線と電気的に接続され、
前記ソース信号線駆動回路は、前記第1の配線と電気的に接続され、
前記第1の配線は、前記回路と重なる領域を有することを特徴とする携帯情報装置。
【請求項6】
請求項3又は請求項4において、
前記画素は、第1の配線と電気的に接続され、
前記ゲート信号線駆動回路は、前記第1の配線と電気的に接続され、
前記第1の配線は、前記回路と重なる領域を有することを特徴とする携帯情報装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、
検出回路を有し、
前記検出回路は、前記入力タブレットからの入力が行われた場合、前記CPUに対して表示内容を変えるような指示が出すことができる機能を有することを特徴とする携帯情報装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項において、
前記画素及び前記ソース信号線駆動回路が設けられた第1の基板と、
前記第1の基板上の第2の基板と、を有し、
前記第2の基板は、前記第1の基板側に凹部を有し、
前記凹部は、前記ソース信号線駆動回路と重なる領域を有し、
前記凹部には、水又は酸素を吸着することができる機能を有する物質が設けられていることを特徴とする携帯情報装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一項において、
FPCと、引き回し配線と、前記引き回し配線上の導電膜と、を有し、
前記導電膜は、前記EL素子の電極と同じ材料を有し、
前記引き回し配線は、前記画素と電気的に接続され、
前記引き回し配線は、前記FPCの配線と電気的に接続されていることを特徴とする携帯情報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−212147(P2012−212147A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−121695(P2012−121695)
【出願日】平成24年5月29日(2012.5.29)
【分割の表示】特願2001−249158(P2001−249158)の分割
【原出願日】平成13年8月20日(2001.8.20)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】