説明

携帯機器のために位置認識Wi−Fiアクセスを提供するためのシステムおよび方法

携帯機器のために位置認識Wi-Fiアクセスを提供するための方法およびシステムは、該携帯機器の初期位置を特定することと、その初期位置をWi-Fi位置プロバイダに送信することを含む。該Wi-Fi位置プロバイダは、複数のWi-Fiアクセスポイントの位置およびWi-Fiパラメータを保有し、各Wi-Fiアクセスポイントは、1つの対応する無線通信範囲を有する。次いで、該Wi-Fi位置プロバイダからは、携帯機器の初期位置から一定の半径内にある一組のWi-Fiアクセスポイントの位置およびWi-Fiパラメータが受信される。前記一組のWi-Fiアクセスポイントのうち、その無線通信範囲内に前記携帯機器が入っている少なくとも1つのWi-Fiアクセスポイントを求めて走査がおこなわれる。次いで、前記携帯機器は、前記少なくとも1つのWi-Fiアクセスポイントに接続され、それによってWi-Fi接続が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2008年5月9日に出願され、本出願の承継人に譲渡された米国暫定特許出願第61/051,725号による優先権を主張するものであり、この出願は、この引用により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
「スマートフォン」として知られてもいるある種の携帯電話装置は、ワイヤレスフィデリティ(「Wi-Fi」登録商標)送受信機および全地球測位システム(「GPS」)送受信機を、長距離通信技術に加えて備えることができる。長距離通信技術は、一般的に移動通信用グローバルシステム(「GSM」)方式または符号分割多重アクセス(「CDMA」)方式の携帯電話標準規格に基づいている。GSMおよびCDMA方式が、一般的に音声通信サービスを取り扱うために用いられるのに対し、他の、Enhanced Data rates for GSM Evolution(「EDGE」)方式、汎用パケット無線サービス(「GPRS」)方式、高速ダウンリンクパケットアクセス(「HSDPA」)方式などの技術は、一般的にデータ通信サービスに利用されている。しかし可能ならば、音声およびデータ通信サービスに、短距離用技術であるWi-Fiを用いるほうが概して好ましい。なぜなら、Wi-Fiは、一般的に上記の技術より低コストで利用できると共に、より高いスループットを提供できるからである。
【0003】
Wi-Fiは、能力的に利用可能範囲に限界がある短距離用技術であるため、従来の携帯電話のユーザーは、Wi-Fiが提供できる恩恵を享受するのが難しい場合がある。ユーザーがWi-Fi技術を利用できるようにする1つの方法は、Wi-Fiのアクセスポイントを探し当てるために色々な場所で試行錯誤してWi-Fiへのアクセスを手動で探すことである。これは、ユーザーによる操作が必要であるため不利といえ、時間がかかることもあり、ユーザーがWi-Fiのアクセスポイントの位置を知らないと、概して非効率的である。携帯電話のユーザーが利用できる別のアプローチは、その携帯電話のWi-Fi送受信機を、装置が利用可能なアクセスポイントを探知する状態の連続走査モードにしておくことである。連続走査モードを利用すればユーザーがしなければならないことは僅かになるが、連続走査モードでは消費電力が高くなり、携帯電話の電池の寿命を縮める可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
携帯機器のために位置認識Wi-Fiアクセスを提供するための方法およびシステムは、携帯機器の初期位置を特定することと、その初期位置をWi-Fi位置プロバイダに送信することを含み、前記Wi-Fi位置プロバイダは、複数のWi-Fiアクセスポイントの位置情報およびWi-Fiパラメータを格納しており、各Wi-Fiアクセスポイントは、1つの対応する無線通信範囲を有する。次に、前記携帯機器の前記初期位置から一定の半径内にある一組のWi-Fiアクセスポイントの位置およびWi-Fiパラメータが、前記Wi-Fi位置プロバイダから受信される。一組のWi-Fiアクセスポイントのうち、その無線通信範囲内に前記携帯機器が入っている少なくとも1つのWi-Fiアクセスポイントが走査される。次いで前記携帯機器は、前記少なくとも1つのWi-Fiアクセスポイントに接続され、これにより、Wi-Fi接続が形成される。
【0005】
別の実施形態において、前記携帯機器は、前記一組のWi-Fiアクセスポイントの位置およびWi-Fiパラメータを受信すると、走査の前に、前記携帯機器の位置が前記少なくとも1つのWi-Fiアクセスポイントの無線通信範囲内に在り、且つ前記携帯機器が所定の速度を下回る速度で移動している場合に、Wi-Fi送受信機をONに切り替えるようにしてもよい。これらの条件が満たされない場合は、前記Wi-Fi送受信機がOFFのままなので、結果的に前記携帯機器を節電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】携帯機器のために位置認識Wi-Fiアクセスを提供するためのシステムの実施例を示す図である。
【図2】携帯機器のために位置認識Wi-Fiアクセスを提供するためのプロセスの実施例を示す図である。
【図3】携帯機器のために位置認識Wi-Fiアクセスを提供するためのシステムの実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、携帯機器のために位置認識Wi-Fiアクセスを提供することに関する。以下の記載は、当業者が本発明を成し且つ利用できるように提示され、特許出願のため、その必要事項に沿って提供されるものである。本明細書に記載の実施形態並びに発明要件でない原理および特徴の様々な変更が可能である。つまり、本発明は、提示された実施形態に限定されるべきものではなく、本明細書に記載の原理および特徴に矛盾しない最も広い範囲に適用されるべきである。
【0008】
図1は、携帯機器のために位置認識Wi-Fiアクセスを提供するためのシステムの実施例を示す。このシステムは、携帯機器100と、長距離ネットワーク接続102と、基地局104と、ネットワーク接続106と、サーバ108と、Wi-Fi位置プロバイダ110とを含み得る。携帯機器100は、Wi-Fi接続を介して音声サービスおよびデータサービスを提供するよう動作し、それ自体の位置を(例えばGPS技術、携帯電話中継塔三角測量等の位置情報提供技術を用いて)確認することができる電子機器であれば如何なるものでもよい。携帯機器100は、一般的に、上記のように動作する任意の携帯型または移動型または小型の無線電子機器(例えば、携帯電話、小型携帯用コンピュータ等)であってよい。携帯機器100は、Wi-Fi接続を介しての通信に用いることができるWi-Fi送受信機101と、携帯機器100の位置情報を提供することができるGPS送受信機103を備え得る。Wi-Fi送受信機101とGPS送受信機103は、各々プロセッサ112に接続することができ、プロセッサ112は後述するように構成することができる。携帯機器100は、更に、後述するように、携帯機器100に関するデータを記憶するために用いることができる不揮発性メモリ114を備え得る。
【0009】
携帯機器100は、長距離ネットワーク接続102を介して基地局104と交信することができる。長距離ネットワーク接続102は、Wi-Fi接続より大きな範囲のネットワーク接続といえ、上記のような長距離通信技術(例えば、GSM、CDMA、EDGE、HSDPAおよび/またはGPRS)に基づくものとすることができる。基地局104は、送受信機として機能することができ、長距離ネットワーク接続102を用いて携帯機器100からの送信信号を受信したり携帯機器100に送信を行ったりすることができる。基地局104は、携帯電話通信に用いられる実施例においては、送受信基地局とすることができる。
【0010】
基地局104は、ネットワーク接続106を用いてサーバ108と交信することができる。ネットワーク接続106は、インターネットまたはその他の任意の種類の公共または私用の有線または無線ネットワークを介して実施することができる。サーバ108は、Wi-Fi位置プロバイダ110と通信することができる。一実施形態において、Wi-Fi位置プロバイダは、サーバ108により実行ないしアクセスされるアプリケーションとすることができる。別の実施形態において、Wi-Fi位置プロバイダはウェブサービスであってもよい。Wi-Fi位置プロバイダ110は、複数のWi-Fiアクセスポイントの位置およびWi-Fiパラメータを記憶するデータベース(不図示)を備えたものとすることができ、一実施例において、携帯電話標準規格(例えばGSMまたはCDMA)を用いてアクセス可能である。Wi-Fi位置プロバイダ110は、一実施例において、サーバ108とは別のサーバ(例えば、前記データベースを含むウェブページを保存するサーバ、またはサーバ108と同じネットワーク上にある別のサーバ)に設置することができる。あるいは、Wi-Fi位置プロバイダ110をサーバ108に設けてもよい。
【0011】
図1に示すシステムは、携帯機器100のための位置認識Wi-Fiアクセスを提供することができる。携帯機器100の位置は、携帯機器100の近隣の、Wi-Fiアクセスが可能な領域を特定するために用いることができる。位置認識Wi-Fiアクセスは、手動操作を行うことなく提供することができ、Wi-Fiアクセスが可能なときのみWi-Fi送受信機101の電源をONにすることができるので、無駄に電力を消費することのある連続走査を行わなくてもよくなる。
【0012】
図2は、携帯機器のために位置認識Wi-Fiアクセスを提供するためのプロセスの実施例を示す。このプロセスは、携帯機器100の初期位置を特定することから開始し得る(ブロック200)。携帯機器100の初期位置は、例えば、GPS送受信機103を用いて特定することができ、あるいは、携帯電話中継塔三角測量を用いて特定してもよい。携帯機器100の初期位置は、座標値(xpd,ypd,zpd)で表すことができる。
【0013】
一実施例において、携帯機器100は、Wi-Fiの使用を要求する入力を受け取ることができる。一実施形態では、Wi-Fiの使用を要求する入力は、携帯機器100へのグラフィックユーザーインターフェースを用いてユーザーにより手動入力することができる。これは、例えば、携帯機器がWi-Fiアクセスポイントの近くに位置していることをユーザーが認識しており、Wi-Fi技術により提供可能な優れた音声および/またはデータサービスをユーザーが活用したいときに行うことができる。他の実施形態において、Wi-Fiの使用を要求する入力は、音声および/またはデータサービスの利用をユーザーが要求したときに自動的に行うようにしてもよい。
【0014】
初期位置は、Wi-Fi位置プロバイダの1つ(例えばWi-Fi位置プロバイダ110)に送信される。Wi-Fi位置プロバイダは、複数のWi-Fiアクセスポイントの位置およびWi-Fiパラメータを記憶しており、各Wi-Fiアクセスポイントは、1つの対応する無線領域を有する(ブロック202)。例えば、長距離ネットワーク接続102を用いて携帯機器初期位置(xpd,ypd,zpd)を基地局104に送信することができる。一実施例において、初期位置は、自動的に生成される(ユーザーが座標値を入力する必要のない)シンプルメッセージサービス(「SMS」)テキストメッセージを用いて基地局104に送信することができる。それから携帯機器初期位置(xpd,ypd,zpd)を、Wi-Fi位置プロバイダ110にアクセス可能なサーバ108に転送することができる。また、別の実施形態によれば、初期位置を、Wi-Fiの使用を要求する入力に応答してWi-Fi位置プロバイダに送信するようにしてもよい。
【0015】
Wi-Fi位置プロバイダのデータベース内の各Wi-Fiアクセスポイントの位置は、座標値(xap−i,yap−i,zap−i)の形で表すことができる。ここにおいて、「i」は各Wi-Fiアクセスポイントを識別する固有の連番を指す。無線通信範囲は、Wi-Fiアクセスポイント(xap−i,yap−i,zap−i)を中心とした、半径rの円とすることができ、これを、一実施例において、Wi-Fi位置プロバイダに記憶するようにすることができる。別の実施形態では、全てのWi-Fiアクセスポイントの半径rを、Wi-Fi位置プロバイダのデータベースに記憶する代わりに、典型的範囲(例えば、50メートル、携帯機器100メートル、500メートル、またはその他の有効にデータ送信を行える適当な範囲)として推定してもよい。
【0016】
Wi-Fiパラメータは、携帯機器がWi-FiアクセスポイントとのWi-Fi接続を確立するのに必要な情報を含み得る。例えば、Wi-Fi位置プロバイダデータベースに保存されたWi-Fiパラメータは、SSID、チャンネル番号、帯域、セキュリティキー、地域情報要素およびサービスパラメータの質のうちの少なくとも1つを含む。
【0017】
位置とWi-Fiパラメータは、一組のN個のWi-Fiアクセスポイントに関してWi-Fi位置プロバイダから受信され、その一組のN個のWi-Fiアクセスポイントとは、当該携帯機器の初期位置の半径R範囲内にあるアクセスポイントである(ブロック204)。一実施形態において、この過程は、サーバ108がWi-Fi位置プロバイダに、携帯機器の初期位置から最も近いWi-Fiアクセスポイントを問い合わせることによって行われるようにすることができる。Nは、任意の所定の望ましい数に設定できる。
【0018】
一実施例において、サーバ108は、一組のN個のWi-Fiアクセスポイントを受信すると同時に、例えば、携帯機器100とN個のWi-Fiアクセスポイントのうち最も遠いものの中心との間の距離に相当する半径Rを計算することができる。一実施例において、Rは、次の式を用いて算定できる:
R=max(平方根(xap−i−xpd+(yap−i−ypd+(zap−i−zpd
ここにおいて、1<i<Nであり、(xap−i,yap−i,zap−i)はi番目のWi-Fiアクセスポイントの座標値であり、(xpd,ypd,zpd)は携帯機器100の位置の座標値である。
【0019】
図3は、携帯機器のために位置認識Wi-Fiアクセスを提供するためのシステムの実施例を示す。図3は、携帯機器により受信された一組のN個のアクセスポイントの一例を示す。
【0020】
図3に示すシステムにおいて、サーバ108は、携帯機器300に、携帯機器300の近隣のN=6個の一組のWi-Fiアクセスポイントの位置(座標値の形での)とWi-Fiパラメータとを返信する。各アクセスポイントAP1_302,AP2_304,AP3_306,AP4_308,AP5_310,AP6_312は、それぞれ対応する無線通信範囲r、r、r、r、r、rを有し、これらの範囲もサーバ108によって返信される。また一実施例において、携帯機器300と一組の返信されたアクセスポイントのうち最も遠いアクセスポイントAP5_310との間の距離に等しい半径R_314も、サーバ108から返信される。アクセスポイントAP1_302,AP2_304,AP3_306,AP4_308,AP5_310,AP6_312の位置とWi-Fiパラメータと無線通信範囲、ならびに半径R_314は、長距離ネットワーク接続102を用いて携帯機器300に送ることができ、当該実施例において、SMSテキストメッセージを用いて送ることがきる。
【0021】
再び図2を参照すると、走査は、一組のN個のWi-Fiアクセスポイントのうち、その無線通信範囲内に当該携帯機器が入っている少なくとも1つのWi-FiアクセスポイントAPT1を求めて行われる(ブロック206)。
【0022】
別の実施形態によれば、携帯機器は、一組のWi-Fiアクセスポイントの位置およびWi-Fiパラメータを受信すると、走査の前に、携帯機器100の現在地が少なくとも1つのWi-Fiアクセスポイントの無線通信範囲内に在り、且つ携帯機器100が所定の速度Vを下回る速度で移動しているときに、Wi-Fi送受信機101の電源を選択的にONにするようにしてもよい。携帯機器100が所定の速度Vより遅く移動しているかどうかを判定するのに、一実施例において、携帯機器100は、GPS送受信機103を用いることができる。閾値速度Vは設定可能であり、一実施例において、ユーザーの歩く速度の近似値である毎秒2メートルに設定することができる。しかし、該閾値速度Vは、例えば、毎秒2〜4メートルに設定してもよい。例えば、携帯機器300がV=2メートル/秒より低い速度で移動されて、携帯機器300の位置がアクセスポイントAPT2の無線通信範囲に入ったならば、携帯機器300のWi-Fi送受信機がONにされる。上記の条件が満たされない場合、Wi-Fi送受信機がOFFのままとされるので、結果的に携帯機器を節電することができる。
【0023】
携帯機器100が単に1つのWi-Fiアクセスポイントの無線通信範囲内に在るとき、該携帯機器は、Wi-Fi位置プロバイダ110から受け取ったチャンネル上でそのWi-Fiアクセスポイントを求めて走査するようにWi-Fi送受信機101を設定することができる。携帯機器100が複数のWi-Fiアクセスポイントの無線通信範囲内に在る場合、一実施例において、論理を用いて、これらのWi-Fiアクセスポイントに優先順位をつけることができる(例えば、携帯機器100から最も近いアクセスポイントを求めて走査する、データ転送速度が最も高いアクセスポイントを求めて走査する等)。1つのWi-Fiアクセスポイントを選択したら、Wi-Fi位置プロバイダ110から受け取ったチャンネルを用いて該走査を実行することができる。
【0024】
一実施例において、N個のWi-Fiアクセスポイントのうちの当該携帯機器をその無線通信範囲内に含む少なくとも1つを求めての走査は、所定の時間T行うようにし、その後、そのような少なくとも1つのWi-Fiアクセスポイントからの応答が受信されなかった場合、Wi-Fi送受信機をOFFにする。応答を受信できなかったということは、走査を試みた範囲ではWi-Fiアクセスポイントが1つも存在していないかもしくは機能していないと解釈できる。一実施例において、Wi-Fi接続を確立できなかったことを、例えば自動的に生成され送信されるSMSテキストメッセージを用いて、Wi-Fi位置プロバイダ110に通知してもよい。Wi-Fi接続確立の失敗に関するSMSテキストメッセージを送信することは、そのようなSMSテキストメッセージの送信によりWi-Fi位置プロバイダデータベースを更新でき、以後、機能していないWi-Fiアクセスポイントにアクセスを試みることがないようにできるので有利といえる。
【0025】
少なくとも1つのWi-FiアクセスポイントAPT1に対して接続が確立され、これによりWi-Fi接続が形成される(ブロック208)。一実施例において、携帯機器100が複数のWi-Fiアクセスポイントの無線通信範囲内にある場合、上記のように、論理を用いて、接続を形成するWi-Fiアクセスポイントを選択することができる。該Wi-Fi接続を用いて、Wi-Fi技術が提供し得る低コストで高いスループットの音声サービスおよびデータサービスの恩恵を享受することができる。
【0026】
一実施例において、携帯機器100には更に不揮発性メモリ114が設けられ、その不揮発性メモリに、Wi-Fi接続のためのプロファイルを保存することができる。ここで該プロファイルには、最初にWi-Fi接続が形成されたときの携帯機器の位置と、そのWi-Fi接続が形成されたWi-FiアクセスポイントのWi-Fiパラメータとが含まれる。ある時間後に、携帯機器が、最初にWi-Fi接続が形成されたときの携帯機器の現在地から距離2dの範囲内にあるとき、Wi-Fi送受信機をONにして、Wi-Fi接続用プロファイル内に保存されたWi-Fiパラメータを用いて、Wi-Fiアクセスポイントに再び接続する試みを自動的に行うようにすることができる。距離dは設定可能であり、例えば、Wi-Fiアクセスポイントの一般的通信範囲である100メートルとすることができる。しかし、dは、例えば50メートルから200メートルの間の任意の距離に設定することもできる。
【0027】
Wi-Fi接続のためのプロファイルを携帯機器100に記憶しておくことで、携帯機器100は、後にWi-Fi位置プロバイダ110からWi-Fiアクセスポイントの位置とWi-Fiパラメータを受信する必要なく、そのWi-Fiアクセスポイントに再び接続することができる。これは、時間と電力の節約という点で有利である。プロファイルは、Wi-Fi位置プロバイダ110を用いて探し出したWi-Fiアクセスポイントに関するものだけでなく、携帯機器100により利用された他の任意のWi-Fiアクセスポイントに関するものも携帯機器100に記憶しておくことができる。そのようなWi-Fiアクセスポイントには、ユーザーによって手動で、またはWPS(Wi-Fi Protected Setup)による無線LANを用いて接続を確立したものが含まれる。
【0028】
一実施例において、携帯機器のユーザーに、Wi-Fi接続の質を高めるために、携帯機器の現在地を提案された場所に変えるよう指示を出してもよい。提案された位置とは、例えば、Wi-Fi位置プロバイダ110により提供されるWi-Fiアクセスポイントの座標値により近い位置とすることができる。ユーザーに、ユーザーがWi-Fiアクセスポイントに再接続を試みる前に、そのような提案された位置にいることを確認する入力を行うよう促してもよい。これは、図3に示すように有利である。携帯機器300のユーザーに、グラフィカルユーザーインターフェースを用いて、最も近いWi-FiアクセスポイントAP2_304に近づくよう指示することができる。該ユーザーは、Wi-FiアクセスポイントAP2_304の無線通信範囲に入ったら携帯機器300のボタンを押して、携帯機器にWi-FiアクセスポイントAP2_304に再接続する試みを行わせるようにすることができる。
【0029】
一実施例において、携帯機器300は、携帯機器300の初期位置から半径Rよりも遠い第2の位置に移動した場合に、そのWi-Fiアクセスポイント記録を更新することができる。それにより、該携帯機器に、その第2の位置から半径Rの範囲内にある新たな一組のWi-Fiアクセスポイントを提供することができる。
【0030】
上記のように携帯機器の初期位置から半径Rよりも遠い位置にある第2の位置は、Wi-Fi位置プロバイダ110に送信することができる。Wi-Fi位置プロバイダ110からは、携帯機器の第2の位置の半径R2内にある一組のN2個のWi-Fiアクセスポイントを受信することができる。
【0031】
これにより、携帯機器が所定の速度Vを下回る速度で移動しており、該携帯機器の位置が前記一組のN2個のWi-Fiアクセスポイントのうちの少なくとも1つのWi-FiアクセスポイントAPT2の無線通信範囲内に在るとき、Wi-Fi送受信機をONにすることができる。該携帯機器をその無線通信範囲内に含む少なくとも1つのWi-FiアクセスポイントAPT2への走査は、Wi-Fi送受信機を選択的にONにした後に行うことができる。該携帯機器をその無線通信範囲内に含むWi-FiアクセスポイントAPT2のうちの1つと接続することができ、それにより、上記のようなWi-Fi接続が改めて形成される。
【0032】
以上、携帯機器のために位置認識Wi-Fiアクセスのための方法およびシステムを開示した。本発明は、主に特定の実施態様における特定のシステムについて説明されている。しかし、この方法およびシステムは、その他の実施態様においても有効であるといえる。例えば、本発明と共に用いることのできるシステム、装置、およびネットワークは、いくつかの形態をとり得る。本発明は、幾つかのステップを有する特定の方法としても説明される。しかし、本発明の方法およびシステムは、その他の、異なるおよび/または更なるステップまたは順序の異なるステップを有する、本発明と矛盾しない方法に対しても有効であるといえる。
【0033】
本発明を図示の実施形態に沿って説明してきたが、これらの実施形態は変更が可能であり、いずれの変更も本発明の範囲に入る。例えば、本発明は、ハードウエア、ソフトウエア、プログラム命令を記憶したコンピュータにより読み取り可能な媒体、またはそれらの組み合わせをもちいて実施することができる。本発明に沿って書き込まれるソフトウエアは、メモリまたはCD−ROMのような、なんらかの形態のコンピュータで読み取り可能な媒体に記憶されたものとするか、もしくは、ネットワークを介して送信されプロセッサで実行されるものとする。したがって、コンピュータで読み取り可能な媒体には、コンピュータで読み取り可能な信号が含まれるものとし、その信号は、例えばネットワークを介して送信されるものであってもよい。以上のように、添付の請求の範囲から逸脱することなく多様な変更を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯機器のために位置認識Wi-Fiアクセスを提供するための方法であって、
前記携帯機器の初期位置を特定することと、
前記初期位置を、各Wi-Fiアクセスポイントが1つの対応する無線通信範囲を有する複数のWi-Fiアクセスポイントの位置およびWi-Fiパラメータを保有するWi-Fi位置プロバイダに送信することと、
前記携帯機器の前記初期位置から一定の半径内にある一組のWi-Fiアクセスポイントの位置およびWi-Fiパラメータを、前記Wi-Fi位置プロバイダから受信することと、
前記一組のWi-Fiアクセスポイントのうち、その無線通信範囲内に前記携帯機器が入っている少なくとも1つのWi-Fiアクセスポイントを走査することと、
前記携帯機器を、前記少なくとも1つのWi-Fiアクセスポイントに接続し、これにより、Wi-Fi接続を形成すること、と
を含む方法。
【請求項2】
前記一組のWi-Fiアクセスポイントの位置およびWi-Fiパラメータを受信することに応答して、前記携帯機器の現在地が前記少なくとも1つのWi-Fiアクセスポイントの無線通信範囲内に在り、且つ前記携帯機器が所定の速度を下回る速度で移動しているときに、前記携帯機器のWi-Fi送受信機の電源を選択的にONにすることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
一定時間後に、前記携帯機器が、最初にWi-Fi接続が形成されたときの前記携帯機器の現在地から距離2dの範囲内にあるとき、前記Wi-Fi送受信機の電源をONにすることと、前記Wi-Fi接続用のプロファイル内に保存された前記Wi-Fiパラメータを用いて、前記少なくとも1つのWi-Fiアクセスポイントに再接続する試みを自動的に行うことを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
dが設定可能である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記携帯機器のユーザーに、前記Wi-Fi接続の質を高めるために、前記携帯機器の現在地を提案された位置に変えるよう指示を出すことと、前記ユーザーが前記少なくとも1つのWi-Fiアクセスポイントに再接続を試みる前に、前記ユーザーに、前記提案された位置にいることを確認する入力を行うよう促すこととを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのWi-Fiアクセスポイントを求めての走査が所定の時間行われ、前記携帯機器をその無線通信範囲内に含む前記少なくとも1つのWi-Fiアクセスポイントからの応答が受信されなかった場合、その所定時間後に前記Wi-Fi送受信機がOFFにされる、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
Wi-Fi位置プロバイダへの前記初期位置の送信がSMSメッセージを用いて行われ、前記SMSメッセージには前記携帯機器の座標値が含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記Wi-Fiパラメータが、SSID、チャンネル番号、帯域、セキュリティーキー、地域情報要素、およびサービスパラメータの質のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記半径が、前記携帯機器と、前記一組のWi-Fiアクセスポイントのうち最も遠いアクセスポイントとの間の距離を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記携帯機器が不揮発性メモリを備えており、前記不揮発性メモリに前記Wi-Fi接続のためのプロファイルを記憶することを更に含む方法であって、前記プロファイルには、前記Wi-Fi接続が最初に形成されたときの前記携帯機器の初期位置と、前記Wi-Fi接続が形成された前記少なくとも1つのWi-Fiアクセスポイントの前記Wi-Fiパラメータとが含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
位置を認識するWi-Fiアクセスを提供する携帯機器であって、
Wi-Fi送受信機と、
プロセッサと
を備え、
前記プロセッサが、
前記携帯機器の初期位置を特定し、
前記初期位置を、各Wi-Fiアクセスポイントが1つの対応する無線通信範囲を有する複数のWi-Fiアクセスポイントの位置およびWi-Fiパラメータを保有するWi-Fi位置プロバイダに送信し、
前記携帯機器の前記初期位置から一定の半径内にある一組のWi-Fiアクセスポイントの位置およびWi-Fiパラメータを、前記Wi-Fi位置プロバイダから受信し、
前記一組のWi-Fiアクセスポイントのうち、その無線通信範囲内に前記携帯機器が入っている少なくとも1つのWi-Fiアクセスポイントを走査し、
前記少なくとも1つのWi-Fiアクセスポイントに接続し、これによりWi-Fi接続を形成するように構成されている、携帯機器。
【請求項12】
前記一組のWi-Fiアクセスポイントの位置およびWi-Fiパラメータを受信することに応答して、前記携帯機器の現在地が前記少なくとも1つのWi-Fiアクセスポイントの無線通信範囲内に在り、且つ前記携帯機器が所定の速度を下回る速度で移動しているときに、前記携帯機器のWi-Fi送受信機の電源を選択的にONにすることを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
一定時間後に、前記携帯機器が、最初に前記Wi-Fi接続が形成されたときの前記携帯機器の現在地から距離2dの範囲内にあるとき、前記Wi-Fi送受信機の電源がONにされ、前記Wi-Fi接続用のプロファイル内に保存された前記Wi-Fiパラメータを用いて、前記少なくとも1つのWi-Fiアクセスポイントに再接続する試みを自動的に行う、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
dが設定可能である、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記携帯機器のユーザーに、前記Wi-Fi接続の質を高めるために、前記携帯機器の現在地を提案された位置に変えるよう指示を出すことと、前記ユーザーが前記少なくとも1つのWi-Fiアクセスポイントに再接続を試みる前に、前記ユーザーに、前記提案された位置にいることを確認する入力を行うよう促すこととを更に含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記少なくとも1つのWi-Fiアクセスポイントを求めての走査が所定の時間行われ、前記携帯機器をその無線通信範囲内に含む前記少なくとも1つのWi-Fiアクセスポイントからの応答が受信されなかった場合、その所定時間後にWi-Fi送受信機がOFFにされる、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
Wi-Fi位置プロバイダへの前記初期位置の送信がSMSメッセージを用いて行われ、前記SMSメッセージには前記携帯機器の座標値が含まれる、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記Wi-Fiパラメータが、SSID、チャンネル番号、帯域、セキュリティーキー、地域情報要素、およびサービスパラメータの質のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
前記半径が、前記携帯機器と、前記一組のWi-Fiアクセスポイントのうち最も遠いアクセスポイントとの間の距離を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
前記携帯機器が不揮発性メモリを備えており、前記不揮発性メモリに前記Wi-Fi接続のためのプロファイルを記憶することを更に含み、前記プロファイルには、前記Wi-Fi接続が最初に形成されたときの前記携帯機器の初期位置と、前記Wi-Fi接続が形成された前記少なくとも1つのWi-Fiアクセスポイントの前記Wi-Fiパラメータとが含まれる、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
携帯機器のために位置認識Wi-Fiアクセスを提供するためのプログラム命令を含む、コンピュータで読み取り可能な媒体に保存された実施可能なソフトウエア製品あって、前記プログラム命令が、
携帯機器の初期位置を特定し、
前記初期位置を、各Wi-Fiアクセスポイントが1つの対応する無線通信範囲を有する複数のWi-Fiアクセスポイントの位置およびWi-Fiパラメータを保有するWi-Fi位置プロバイダに送信し、
前記携帯機器の前記初期位置から一定の半径内にある一組のWi-Fiアクセスポイントの位置およびWi-Fiパラメータを、前記Wi-Fi位置プロバイダから受信し、
前記一組のWi-Fiアクセスポイントのうち、その無線通信範囲内に前記携帯機器が入っている少なくとも1つのWi-Fiアクセスポイントを走査し、
前記少なくとも1つのWi-Fiアクセスポイントに接続し、これにより、Wi-Fi接続を形成するためのものである、実行可能なソフトウエア製品。
【請求項22】
前記一組のWi-Fiアクセスポイントの位置およびWi-Fiパラメータを受信することに応答して、前記携帯機器の現在地が前記少なくとも1つのWi-Fiアクセスポイントの無線通信範囲内に在り、且つ前記携帯機器が所定の速度を下回る速度で移動しているときに、前記携帯機器のWi-Fi送受信機の電源を選択的にONにするためのプログラム命令を更に含む、請求項21に記載の実行可能なソフトウエア製品。
【請求項23】
一定時間後に、前記携帯機器が、最初にWi-Fi接続が形成されたときの前記携帯機器の現在地から距離2dの範囲内にあるとき、前記Wi-Fi送受信機の電源をONにし、前記Wi-Fi接続用のプロファイル内に保存された前記Wi-Fiパラメータを用いて、前記少なくとも1つのWi-Fiアクセスポイントに再接続する試みを自動的に行うためのプログラム命令を更に含む、請求項22に記載の実行可能なソフトウエア製品。
【請求項24】
dが設定可能である、請求項23に記載の実行可能なソフトウエア製品。
【請求項25】
前記携帯機器のユーザーに、前記Wi-Fi接続の質を高めるために、前記携帯機器の現在地を提案された位置に変えるよう指示を出し、前記ユーザーが前記少なくとも1つのWi-Fiアクセスポイントに再接続を試みる前に、前記ユーザーに、前記提案された位置にいることを確認する入力を行うよう促すためのプログラム命令を更に含む、請求項22に記載の実行可能なソフトウエア製品。
【請求項26】
前記少なくとも1つのWi-Fiアクセスポイントを求めての走査が所定の時間行われ、前記携帯機器をその無線通信範囲内に含む前記少なくとも1つのWi-Fiアクセスポイントからの応答が受信されなかった場合、その所定時間後にWi-Fi送受信機がOFFにされる、請求項22に記載の実行可能なソフトウエア製品。
【請求項27】
Wi-Fi位置プロバイダへの前記初期位置の送信がSMSメッセージを用いて行われ、前記SMSメッセージには前記携帯機器の座標値が含まれる、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記Wi-Fiパラメータが、SSID、チャンネル番号、帯域、セキュリティーキー、地域情報要素、およびサービスパラメータの質のうちの少なくとも1つを含む、請求項21に記載の実行可能なソフトウエア製品。
【請求項29】
前記半径が、前記携帯機器と、前記一組のWi-Fiアクセスポイントのうち最も遠いアクセスポイントとの間の距離を含む、請求項21に記載の実行可能なソフトウエア製品。
【請求項30】
前記携帯機器が不揮発性メモリを備えており、前記不揮発性メモリに前記Wi-Fi接続のためのプロファイルを記憶するためのプログラム命令を更に含み、前記プロファイルには、前記Wi-Fi接続が最初に形成されたときの前記携帯機器の初期位置と、前記Wi-Fi接続が形成された前記少なくとも1つのWi-Fiアクセスポイントの前記Wi-Fiパラメータとが含まれる、請求項21に記載の実行可能なソフトウエア製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−521549(P2011−521549A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508685(P2011−508685)
【出願日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/043204
【国際公開番号】WO2009/137718
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(502188642)マーベル ワールド トレード リミテッド (302)
【Fターム(参考)】