説明

携帯機

【課題】ノイズ等の外乱に起因する通信不良の発生を抑制することができる携帯機を提供する。
【解決手段】携帯機10は、操作部14の操作に基づく施解錠操作信号を複数種の周波数で送信可能な送信部13と、複数の周波数のうちの一つを送信周波数として設定して該施解錠操作信号を送信部13から送信させる送信制御を行うとともに、操作部14により予め設定された周波数変更操作が行われた際に、施解錠操作信号の送信周波数を他の周波数に変更する周波数変更制御を行う送信制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両のドア錠の施解錠制御を行うドア錠施解錠装置などとして適用される通信制御装置との無線通信が可能な無線通信機能を有する携帯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、セキュリティ機器を無線通信によって遠隔操作する通信制御システムとして、例えば特許文献1に記載される車両用通信制御システムが提案されている。
この車両用通信制御システムでは、車両ユーザによって所持される携帯機と、車両に搭載された通信制御装置との間で無線による相互通信を行わせることにより、車両のドア錠を自動的に施解錠させたり、エンジンの始動を許可したりするようになっている。
【0003】
詳しくは、通信制御装置は、車両周辺の所定領域や車両室内の所定領域にリクエスト信号を送信するようになっている。また、携帯機は、対応する通信制御装置から送信されたリクエスト信号を受信すると、自身に予め設定された識別コード(IDコード)を含むIDコード信号を自動的に返信するようになっている。そして、通信制御装置は、IDコード信号を受信すると、該IDコード信号のIDコードと自身に予め設定されたIDコードとの比較(照合)を行い、該IDコード同士が一致したことを条件として、ドア錠を自動的に解錠させる等の制御を行うようになっている。
【0004】
また、携帯機にはユーザによって操作可能な操作部が設けられ、その操作部が操作されると、携帯機は施解錠操作信号を無線送信する。そして、通信制御装置は、その施解錠操作信号を受信すると、該施解錠操作信号に基づいてドア錠の施解錠を行う。すなわち、携帯機から通信制御装置に対する単方向通信によっても通信制御装置の遠隔操作が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−107906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、例えば携帯機から送信されるIDコード信号や施解錠操作信号にノイズ等の外乱が混入した場合には、それら信号に含まれるデータが変質してしまい、通信制御装置は、本来のデータを認識することができない。特に、周期的に発生するノイズがIDコード信号や施解錠操作信号の送信周期と同期した場合などには、従来の通信制御システムでは連続的に通信不良が生じてしまうおそれがある。このため、該従来の通信制御システムでは、ノイズ耐性の点において改善の余地が残されている。
【0007】
本発明はこうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ノイズ等の外乱に起因する通信不良の発生を抑制することができる携帯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、対応する通信制御装置と無線通信を行い、該通信制御装置に対して操作信号を送信することにより該通信制御装置を遠隔制御する携帯機であって、前記操作信号を複数種の周波数で送信可能な送信手段と、予め設定された送信操作が行われた際に対応する前記操作信号を、前記複数の周波数のうちの一つを送信周波数として設定して前記送信手段から送信させる送信制御を行うとともに、予め設定された周波数変更操作が行われた際に、前記操作信号の送信周波数を他の周波数に変更する周波数変更制御を行う送信制御手段とを備え、さらに、前記送信操作及び前記周波数変更操作を行うための共通の操作手段として単一の操作手段を備え、前記操作手段による前記周波数変更操作は、前記操作手段による前記送信操作とは異なる操作として規定され、その操作は、前記単一の操作手段を複数回操作することであり、前記送信制御手段は、前記周波数変更操作が行われた際に、前記周波数変更制御を行うことを要旨とする。
【0009】
上記構成によると、周波数変更操作が行われると、送信手段から送信される操作信号の送信周波数が他の周波数に変更される。このため、たとえ操作信号にノイズ等の外乱が混入したことに起因して通信制御装置が該操作信号を正常に受信できなかったとしても、操作信号の送信周波数を別の周波数に変更することにより、通信制御装置との通信を成立させることができる。よって、外乱の混入に起因する通信制御装置との通信不良を抑制することができる。
【0010】
また、送信操作及び周波数変更操作は共通の操作手段である単一の操作手段をそれぞれ異なる態様で操作することによって行われ、送信制御手段は、それら操作態様を判別することによって送信制御と周波数変更制御とを行う。このため、送信操作を行うための操作手段と周波数変更操作を行うための操作手段とを個別に携帯機に設ける必要がなく、該携帯機の構造を簡素化することができる。また、単一の操作手段を複数回操作するといったように、送信操作に比べて周波数変更操作を複雑な操作に設定すれば、ユーザの意に反して周波数変更操作が行われてしまうことも抑制可能となる。しかもこの場合、ユーザは、周波数変更操作を送信操作の延長上の操作で行うことができるため、該周波数変更操作をあまり意識することなく行うことができる。よって、携帯機のユーザビリティが格段に向上することとなる。
【0011】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の携帯機において、前記送信制御手段は、前記周波数変更操作が行われた際に、前記周波数変更制御を行うとともに、該変更した送信周波数で前記操作信号を前記送信手段から送信させる送信制御を行うことを要旨とする。
【0012】
上記構成によると、送信制御手段は、周波数変更操作が行われると、操作信号の送信周波数を変更するとともに、その変更した送信周波数で操作信号を送信する。すなわち、送信制御手段は、周波数変更操作が行われると、送信周波数の変更処理とともに、操作信号の送信処理をも行う。このため、ユーザは、周波数変更操作を行った後に操作信号を送信するための操作を行う必要がなくなる。よって、携帯機のユーザビリティが向上することとなる。
【0013】
請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の携帯機において、前記通信制御装置と相互通信を行うべく該通信制御装置から送信される無線信号を受信する受信手段を備えるとともに、該相互通信時に当該携帯機から送信される送信信号を正常に受信したことを条件として前記通信制御装置から送信される通信成立信号を、前記受信手段によって受信した際に、該相互通信時に前記送信手段から送信した送信信号の周波数を周波数履歴情報として記録する記録手段を備え、前記送信制御手段は、前記記録手段に記録された前記周波数履歴情報に基づき、変更可能な前記送信手段の周波数に対して優先順位を付与するとともに、周波数変更制御時には、優先順位の高い周波数から順に変更することを要旨とする。
【0014】
上記構成によると、操作信号の送信周波数の変更時には優先順位の高い周波数が優先的に選択される。この優先順位は、通信成立の実績である周波数履歴情報に基づいて付与されるため、通信成立確率の高い周波数が優先的に選択されることとなる。よって、通信を成立させるまでに必要な周波数の変更操作回数を少なくすることができ、通信成立までの時間が遅延してしまうことを好適に抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上詳述したように、本発明によれば、ノイズ等の外乱に起因する通信不良の発生を抑制することができる携帯機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態の通信制御システムの概略構成を示すブロック図。
【図2】(a)〜(c)は、携帯機の送信手段の構成例をそれぞれ示すブロック図。
【図3】同実施形態の携帯機の送信制御手段によって行われる処理を示すフローチャート。
【図4】(a)〜(c)は、通信制御装置の受信手段の構成例をそれぞれ示すブロック図。
【図5】同実施形態の通信制御装置の通信制御手段によって行われる処理を示すフローチャート。
【図6】同実施形態の通信制御手段によって行われる単方向通信処理を示すフローチャート。
【図7】同実施形態の通信制御手段によって行われる双方向通信処理を示すフローチャート。
【図8】(a),(b)は、同実施形態の双方向通信例を示すタイムチャート。
【図9】第2実施形態の通信制御手段によって行われる双方向通信処理を示すフローチャート。
【図10】(a),(b)は、同実施形態の双方向通信例を示すタイムチャート。
【図11】第3実施形態の通信制御手段によって行われる双方向通信処理を示すフローチャート。
【図12】同実施形態の携帯機の送信制御手段によって行われる処理を示すフローチャート。
【図13】同実施形態の双方向通信例を示すタイムチャート。
【図14】第4実施形態の通信制御手段によって行われる双方向通信処理を示すフローチャート。
【図15】同実施形態の携帯機の送信制御手段によって行われる処理を示すフローチャート。
【図16】他の実施形態の周波数選別例を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明を車両用通信制御システムとして具体化した第1実施形態を図1〜図8に基づき詳細に説明する。
【0018】
図1に示すように、車両用通信制御システム1は、車両2の所有者(ユーザ)によって所持される携帯機10と、該車両2に配設される通信制御装置20とを備えている。
<携帯機10の構成>
携帯機10は無線通信機能を有し、通信制御装置20と相互通信可能となっている。詳しくは、携帯機10は、CPU、ROM、RAM等からなるコンピュータユニットによって構成された制御部11と、その制御部11に電気的に接続された受信回路12及び送信部13と、該携帯機10の意匠面に設けられてユーザによって操作可能な操作手段としての操作部14とを備えている。
【0019】
受信回路12は、通信制御装置20から送信される種々の無線信号(WAKE信号、リクエスト信号)を受信すると、該無線信号をパルス信号に復調して制御部11に出力する。
【0020】
送信部13は、制御部11から入力されるIDコード信号、施解錠操作信号または再送信号からなるデータ信号を所定周波数の電波に変調して外部に送信する。また、この送信部13は、該データ信号を複数種の周波数の電波に変調可能となっており、制御部11から入力される周波数制御信号に基づいて送信周波数を変更可能となっている。
【0021】
詳しくは、送信部13は、例えば図2(a)に示すように、複数(ここでは二つ)の送信回路(第1送信回路31及び第2送信回路32)と、それら送信回路31,32と制御部11との間に設けられた第1切換スイッチ33と、該送信回路31,32と送信アンテナ13aとの間に設けられた第2切換スイッチ34とを備えている。第1送信回路31は、制御部11から入力されるデータ信号を第1周波数faに変調して送信アンテナ13aを介して外部に送信する。一方、第2送信回路32は、制御部11から入力されるデータ信号を前記第1周波数faとは異なる第2周波数fbに変調して送信アンテナ13aを介して外部に送信する。また、この例において各切換スイッチ33,34は単極双投型のスイッチによって構成され、制御部11からの周波数制御信号(切換制御信号)に基づいて接点の接続状態を切り換えるようになっている。そして、これら切換スイッチ33,34の接続状態の切り換えにより、「制御部11−第1送信回路31−送信アンテナ13a」となる接続状態と、「制御部11−第2送信回路32−送信アンテナ13a」となる接続状態とのうちの一方が選択される。
【0022】
なお、送信部13は、こうした構成に限定されるものではなく、例えば図2(b)や図2(c)に示すような構成となっていてもよい。
すなわち、図2(b)に示すように、送信部13は、一つの発振回路41と、それぞれ異なる周波数の複数(ここでは二つ)の振動子(第1振動子42(周波数fa)及び第2振動子43(周波数fb))と、該発振回路41と各振動子42,43との間に設けられた切換スイッチ44とを備えた構成をなしていてもよい。この場合、制御部11から出力される周波数制御信号(切換制御信号)に基づいて切換スイッチ44の接続状態が切り換わり、「発振回路41−第1振動子42」となる接続状態と、「発振回路41−第2振動子43」となる接続状態とが選択的に切り換わる。そして、発振回路41は、選択された振動子42,43の周波数fa,fbに基づいて制御部11からのデータ信号を変調し、その変調信号を送信アンテナ13aから外部に送信する。
【0023】
また、図2(c)に示すように、送信部13は、一つの送信回路51と、その送信回路51の送信周波数を変更するPLL回路52とを備えた構成をなしていてもよい。この場合、制御部11から出力される周波数制御信号に基づいてPLL回路52から送信回路51に対する出力周波数が決定され、送信回路51は、その出力周波数に基づいて制御部11からのデータ信号を変調して送信アンテナ13aから外部に送信する。
【0024】
操作部14は、例えば押しボタンスイッチによって構成され、解錠操作を行うための解錠操作スイッチと、施錠操作を行うための施錠操作スイッチとによって構成されている。そして、該操作部14が操作されると、その操作信号(施錠操作信号、解錠操作信号)が制御部11に入力される。
【0025】
制御部11は不揮発性のメモリ11Mを備え、そのメモリ11Mには予め設定された固有のIDコードと、施錠コード及び解錠コードとが記録されている。そして、制御部11は、操作部14から操作信号が入力されたり、受信回路12から種々の復調信号が入力されたりすると、対応するデータ信号(ACK信号、IDコード信号、施解錠操作信号)の出力制御を行う。具体的には、制御部11は、操作部14から操作信号が入力されると対応する施解錠操作信号を出力する。また、制御部11は、受信回路12から第1応答要求信号(無線信号)としてのWAKE信号が入力されると第1応答信号(送信信号)としてACK信号を出力し、該受信回路12から第2応答要求信号及び次段送信信号(通信成立信号)としてのリクエスト信号が入力されると第2応答信号としてIDコード信号を出力する。なお、ACK信号とはWAKE信号に対応する応答コードを含む信号であり、施解錠操作信号とは施錠コードまたは解錠コードとIDコードとを含む信号であり、IDコード信号とはIDコードを含む信号である。
【0026】
ところで、制御部11は、受信回路12によるリクエスト信号の受信タイミングや、操作部14の操作態様に基づき、ACK信号、IDコード信号及び施解錠操作信号の送信周波数を変更する周波数変更制御を行う。そこで、制御部11によって行われる周波数変更制御を、図3に示すフローチャートに従って説明する。
【0027】
<相互通信制御時における処理>
まず、ステップS1において制御部11は、操作部14から操作信号が入力されたか否かを判断する。そして、制御部11は、操作部14から操作信号が入力されていないと判断すると、ステップS2において受信回路12によって通信制御装置20からのWAKE信号を受信したか否かを判断する。その結果、制御部11は、受信回路12によって通信制御装置20からのWAKE信号を受信していないと判断するとここでの処理を一旦終了する。これに対し、受信回路12によって該WAKE信号を受信したと判断すると、ステップS3において制御部11は、送信周波数を第1周波数faにする旨を示す周波数制御信号を送信部13に対して出力するとともに、該送信部13にACK信号を出力する。これにより、該送信部13から送信アンテナ13aを介して、第1周波数faのACK信号が外部に送信される。
【0028】
続いてステップS4において制御部11は、ACK信号の送信処理後のリクエスト受信待機時間Δt1内に、通信制御装置20からのリクエスト信号を受信回路12によって受信したか否かを判断する。その結果、制御部11は、該リクエスト受信待機時間Δt1内にリクエスト信号を受信したと判断すると、ステップS5においてメモリ11Mに記録されたIDコードを含むIDコード信号を送信部13から送信アンテナ13aを介して、第1周波数faで外部に送信させる。
【0029】
これに対し、該リクエスト受信待機時間Δt1内にリクエスト信号を受信できない場合、ステップS6において制御部11は、送信したACK信号の送信周波数が第2周波数fbであるか否かを判断する。そして、制御部11は、該送信周波数が第2周波数fbである場合にはここでの処理を一旦終了し、該送信周波数が第2周波数fbではない場合、すなわち第1周波数faである場合には、ステップS7の処理へ移行する。
【0030】
ステップS7において制御部11は、送信周波数を第2周波数fbにする旨を示す周波数制御信号を送信部13に対して出力するとともに、該送信部13にACK信号を出力する。このため、第1周波数faでACK信号が送信されてからリクエスト受信待機時間Δt1が経過すると、該送信部13から送信アンテナ13aを介して、第2周波数fbのACK信号が外部に送信されることとなる。そして、制御部11は、このステップS7の処理が終了すると、再びステップS4の処理へ移行する。すなわち、制御部11は、第1周波数faでACK信号を送信した後、リクエスト受信待機時間Δt1内にリクエスト信号を受信できない場合には、送信周波数を第2周波数fbに変更して再びACK信号を送信する再送制御を行う。
【0031】
<単方向通信制御時における処理>
ところで、制御部11は、前記ステップS1において操作部14から操作信号が入力されたと判断した場合には、ステップS8の処理へ移行する。そして、ステップS8において制御部11は、その操作信号が、施解錠操作と判断しうる操作信号であるか否かを判断する。なお、施解錠操作と判断しうる操作信号とは、例えば施錠操作信号や解錠操作信号が連続的に入力されず、単発的に短時間だけ入力された場合の施錠操作信号や解錠操作信号を示す。具体例としては、制御部11は、1秒間に1回だけ施解錠操作信号が入力された場合には施解錠操作と判断し、1秒間に2回以上施解錠操作信号が入力された場合や、2秒以上継続して施解錠操作信号が入力された場合には施解錠操作とは判断しないことなどが挙げられる。
【0032】
その結果、制御部11は、施解錠操作が行われたと判断した場合には、ステップS9において、その時点で設定されている送信周波数(初期時においては第1周波数fa)で施解錠操作信号を、送信部13から送信アンテナ13aを介して外部に送信させる送信制御を行った後にステップS10の処理へ移行する。一方、制御部11は、施解錠操作が行われたと判断できない場合には、ステップS9の行わずにステップS10の処理へ移行する。
【0033】
ステップS10において制御部11は、入力された操作信号が、送信周波数を変更するための周波数変更操作であるか否かの判断を行う。具体的には、制御部11は、操作部14から予め設定された態様で施錠操作信号または解錠操作信号からなる施解錠操作信号が入力されると、送信部13の送信周波数を変更する周波数変更操作が操作部14によって行われたと判断する。なお、周波数変更操作の具体例としては、操作部14の施錠操作スイッチ及び解錠操作スイッチを3秒間に交互に3回ずつ操作することや、施錠操作スイッチまたは解錠操作スイッチの一方を3秒以上長押しすることなど、通常の施解錠操作とは異なる操作が挙げられる。
【0034】
そして、制御部11は、該操作部14からの操作信号に基づき、該操作が周波数変更操作であると判断すると、ステップS11において送信周波数の変更処理を行って、次いでステップS12において、該変更した送信周波数で施解錠操作信号を、送信部13から送信アンテナ13aを介して外部に送信させる送信制御を行った後に、ここでの処理を一旦終了する。すなわち、ステップS11において制御部11は、その時点での送信周波数が第1周波数faの場合には第2周波数fbとする旨の周波数制御信号を送信部13に対して出力し、その時点での送信周波数が第2周波数fbの場合には第1周波数faとする旨の周波数制御信号を送信部13に対して出力する周波数変更制御を行う。
【0035】
このため、単方向通信制御時においては、操作部14によって周波数変更操作を行うことにより、施解錠操作信号の送信周波数を自由に変更することが可能となる。
<通信制御装置20の構成>
図1に示すように、通信制御装置20は、CPU、ROM、RAM等からなるコンピュータユニットによって構成されたデータ処理手段としての通信制御部21を備えている。この通信制御部21には、送信回路22及び受信手段としての受信部23が電気的に接続されている。
【0036】
送信回路22は、通信制御部21から応答要求信号(WAKE信号、リクエスト信号)が入力されると、それら応答要求信号を所定周波数の電波に変調して車両2の周辺に送信する。なお、送信回路22は、車両2の周辺の1〜2m程度の狭領域において携帯機10との通信が可能となる強度で、該応答要求信号を送信する。
【0037】
受信部23は、携帯機10から送信される施解錠操作信号、IDコード信号及び再送信号を受信可能となっている。そして、受信部23は、それら信号をパルス信号に復調して通信制御部21に出力する。
【0038】
具体的には、受信部23は、スーパーへテロダイン受信機によって構成されている。より具体的には、例えば図4(a)に示すように、受信部23は、受信アンテナ23aから通信制御部21に順に接続された、高周波フィルタ61、高周波増幅器62、イメージキャンセルミキサ63、中間波フィルタ64、中間波増幅器65及び復調回路66と、イメージキャンセルミキサ63に接続された切換スイッチ67と、その切換スイッチ67に接続された第1局部発振器68a及び第2局部発振器68bとを備えている。この例において切換スイッチ67は単極双投型のスイッチによって構成され、通信制御部21からの周波数制御信号(切換制御信号)に基づいて接点の接続状態を切り換えるようになっている。そして、この切換スイッチ67の接続状態の切り換えにより、「イメージキャンセルミキサ63−第1局部発振器68a」となる接続状態と、「イメージキャンセルミキサ63−第2局部発振器68b」となる接続状態とのうちの一方が選択される。また、第1局部発振器68aと第2局部発振器68bとは、それぞれ異なる発振周波数に設定されている。
【0039】
このため、切換スイッチ67によってイメージキャンセルミキサ63と第1局部発振器68aとが接続された状態と、該イメージキャンセルミキサ63と第2局部発振器68bとが接続された状態とでは、2種類の異なる周波数の電波を受信(検波)可能となる。すなわち、受信部23は、イメージキャンセルミキサ63と第1局部発振器68aとが接続された状態においては第1周波数faの電波を検波可能となり、イメージキャンセルミキサ63と第2局部発振器68bとが接続された状態においては第2周波数fbの電波を検波可能となる。
【0040】
具体的には、例えば第1局部発振器68aの局部発振周波数が312.605MHz、第2局部発振器68bの局部発振周波数が313.515MHz、中間周波数が455kHzにそれぞれ設定されている場合、第1局部発振器68aが選択された状態においては「第1周波数fa=312.150MHz」の電波を検波可能となる。これに対し、第2局部発振器68bが選択された状態においては、「第2周波数fb=313.060MHz」の電波を検波可能となる。すなわち、受信部23は、通信制御部21によって切換スイッチ67の接続状態が切換制御されることにより、2種類の周波数の電波を検波可能となる。なお、受信部23を構成する各部61〜66はそれぞれ周知の構成をなしており、その機能も周知であることから、ここでの詳細な説明を割愛する。
【0041】
ところで、受信部23は、こうした構成に限定されるものではなく、例えば図4(b)や図4(c)に示すような構成となっていてもよい。
すなわち、図4(b)に示すように、受信部23は、高周波フィルタ61、高周波増幅器62、イメージキャンセルミキサ63、二つの中間波フィルタ(第1中間波フィルタ64a及び第2中間波フィルタ64b)、中間波増幅器65及び復調回路66と、イメージキャンセルミキサ63に接続された一つの局部発振器68と、該イメージキャンセルミキサ63と各中間波フィルタ64a,64bとの間に接続され、通信制御部21からの周波数制御信号(切換制御信号)に基づいて接点の接続状態を切り換える切換スイッチ69とを備えた構成となっていてもよい。そして、この切換スイッチ69の接続状態の切り換えにより、「イメージキャンセルミキサ63−第1中間波フィルタ64a」となる接続状態と、「イメージキャンセルミキサ63−第2中間波フィルタ64b」となる接続状態とのうちの一方が選択される。このため、各中間波フィルタ64a,64bの通過周波数を異なる周波数に設定することにより、受信部23は、切換スイッチ69の接続状態に応じて、2種類の異なる周波数の電波を検波可能となる。なお、この例において中間波増幅器65は広帯域対応となっている。
【0042】
具体的には、例えば局部発振器68の局部発振周波数が315.515MHz、第1中間波フィルタ64aの通過周波数が1365kHz、第2中間波フィルタ64bの通過周波数が455kHzにそれぞれ設定されている場合、第1中間波フィルタ64aが選択された状態においては「第1周波数fa=312.150MHz」、第2中間波フィルタ64bが選択された状態においては「第2周波数fb=313.060MHz」の電波を検波可能となる。
【0043】
また、図4(c)に示すように、受信部23は、高周波フィルタ61、高周波増幅器62、イメージキャンセルミキサ63、一つの中間波フィルタ64、中間波増幅器65及び復調回路66と、イメージキャンセルミキサ63に接続された一つの局部発振器68とを備えた構成となっていてもよい。但しこの場合、イメージキャンセルミキサ63は、通信制御部21からの周波数制御信号(切換制御信号)に基づいて、キャンセルすべきイメージ周波数の切り換えを行うようになっている。すなわち、イメージキャンセルミキサ63は、切換制御信号に基づいてHI(High)/LO(Low)の切り換えを行い、受信アンテナ23aによって受信した信号帯域のうち、局部発振器68からイメージキャンセルミキサ63に入力される局部発振信号の上側または下側のどちらか一方を受信し、他方をイメージ信号としてキャンセルするようになっている。このため、HIに設定された状態においてイメージキャンセルミキサ63は、局部発振信号の上側の信号をイメージ信号としてキャンセルすることとなり、受信信号帯域は局部発振信号よりも低くなる。これに対し、LOに設定された状態においてイメージキャンセルミキサ63は、局部発振信号の下側の信号をイメージ信号としてキャンセルすることとなり、受信信号帯域は局部発振信号よりも高くなる。
【0044】
具体的には、例えば局部発振器68の局部発振周波数が312.605MHz、中間周波数が455kHzに設定されている場合、通信制御部21からの切換制御信号によってイメージキャンセルミキサ63がHIに設定されている場合には、「第1周波数fa=312.150MHz」の電波を検波可能となる。また、該切り換え制御信号によってイメージキャンセルミキサ63がLOに設定されている場合には、「第2周波数fb=313.060MHz」の電波を検波可能となる。よって、こうした構成を用いた場合には、前記図4(a),(b)に示した構成に比べて、受信部23の部品点数が少なくて済むといった利点がある。
【0045】
さらに、受信部23は、図2(c)に示した前記携帯機10の送信部13のように、PLL回路を用いた構成となっていてもよく、こうしたPLL回路によって局部発振周波数を可変とすることにより、2種類の異なる周波数の電波を検波可能となっていてもよい。
【0046】
通信制御部21は不揮発性のメモリ21Mを備え、そのメモリ21Mには、対応する携帯機10に設定されたACKコードと同等のACKコード、及びIDコードと同等のIDコードが記録されている。また、通信制御部21には、ドアロック装置24が電気的に接続されている。なお、ドアロック装置24は、アクチュエータを用いてドア錠を自動的に施解錠する装置であり、通信制御部21から解錠信号が入力されるとドア錠を解錠し、施錠信号が入力されるとドア錠を施錠するとともに、ドア錠の施解錠状態を示す施解錠状態信号を通信制御部21に出力する。このため、通信制御部21は、ドアロック装置24から入力される施解錠状態信号に基づいて、ドア錠の施解錠状態を認識可能となる。
【0047】
こうした通信制御部21は、応答要求信号(WAKE信号及びリクエスト信号)の送信制御を行うとともに、外部に送信したWAKE信号及びリクエスト信号に基づく携帯機10との相互通信が成立したことを条件として、ドアロック装置24を駆動制御するドア錠制御を行う。詳しくは、通信制御部21は、送信回路22に対してWAKE信号やリクエスト信号を出力することにより、それら信号を外部に送信させる。そして、それら信号に応答して送信された携帯機10からの応答信号(ACK信号、IDコード信号)が受信部23によって受信されると、通信制御部21は、それら応答信号が対応する携帯機10から送信されたものであるか否かの判断処理を行う。具体的には、通信制御部21は、ACK信号の受信時には該ACK信号に含まれるACKコードとメモリ21Mに記録されたACKコードとの比較を行い、両ACKコードが一致した場合に対応する携帯機10からのACK信号であると認識する。また、通信制御部21は、IDコード信号の受信時には該IDコード信号に含まれるIDコードとメモリ21Mに記録されたIDコードとの比較(IDコード照合)を行う。その結果、該IDコード照合が成立すると、通信制御部21は、携帯機10との相互通信が成立したと判断して、ドアロック装置24の駆動制御を許可した状態となる。そして、こうしたドアロック装置24の駆動許可状態において、予め設定された車両操作が行われた際に、通信制御部21は、ドアロック装置24に対して施錠信号または解錠信号を出力してドア錠を施錠または解錠させる。
【0048】
なお、予め設定された車両操作とは、例えばアウトサイドドアハンドルに設けられたドアハンドルセンサに対する接触操作や、アウトサイドドアハンドルに設けられたロックスイッチの操作等を示す。また、通信制御部21は、こうした車両操作が行われた場合に限らず、IDコード照合が一致した際に自動的にドア錠を解錠させたり、該IDコード照合が一致しなくなった際に自動的にドア錠を施錠させたりするようになっていてもよい。
【0049】
ところで、携帯機10からのACK信号やIDコード信号にノイズ等の外乱が混入した場合、それら信号に含まれるACKコードやIDコードが変質してしまい、通信制御部21は、それら信号を正常に認識(受信)することができなくなってしまうおそれがある。すなわち、外乱の混入に起因して携帯機10と通信制御装置20との間の相互通信が阻害されてしまうおそれがある。そこで、通信制御部21は、こうした外乱の混入に起因した通信不良を抑制するべく受信周波数を変更する受信周波数変更制御を行う。以下、こうした通信制御部21によって行われる受信周波数変更制御を含む通信処理を、図5〜7に示すフローチャートに従って説明する。
【0050】
<通信制御部21による通信処理>
図5に示すように、通信制御部21は、ステップS20において単方向通信処理を行うとともに、ステップS30において双方向通信処理を行う。
【0051】
[単方向通信処理]
図6に示すように、まず、ステップS21において通信制御部21は、受信部23の受信周波数を第1周波数faに設定する。すなわち、例えば受信部23が図4(a)で示したように切換スイッチ67と二つの局部発振器68a,68bを備えている場合、通信制御部21は、切換スイッチ67に対して切換制御信号を出力して第1局部発振器68aをイメージキャンセルミキサ63に接続する。これにより、受信部23の受信周波数が第1周波数faに設定される。
【0052】
続くステップS22において通信制御部21は、携帯機10から第1周波数faで送信された施解錠操作信号を受信部23によって受信したか否かを判断する。その結果、該施解錠操作信号を受信したと判断した場合、通信制御部21は、ステップS23の処理へ移行し、受信した施解錠操作信号に含まれる施解錠コードに基づいてドアロック装置24を制御してドア錠を施錠または解錠させ、ここでの処理を一旦終了する。
【0053】
これに対し、該施解錠操作信号を受信していないと判断した場合、通信制御部21は、ステップS24の処理へ移行し、受信周波数を第1周波数faから第2周波数fbに切り換える。すなわち、通信制御部21は、切換スイッチ67に対して切換制御信号を出力して第2局部発振器68bをイメージキャンセルミキサ63に接続する。
【0054】
そして、ステップS25において通信制御部21は、携帯機10から第2周波数fbで送信された施解錠操作信号を受信部23によって受信したか否かを判断する。その結果、該施解錠操作信号を受信したと判断した場合、通信制御部21は、ステップS23の処理へ移行する。これに対し、通信制御部21は、該施解錠操作信号を受信していないと判断した場合にはここでの処理を一旦終了して続くステップS30の双方向通信処理へ移行する。
【0055】
[双方向通信処理]
通信制御部21は、双方向通信処理へ移行すると、図7に示すように、まずステップS31において、送信回路22に対してWAKE信号を出力し、その送信回路22から該WAKE信号を外部に送信させる。また、ステップS32において通信制御部21は、受信部23の受信周波数を第1周波数faに設定する。なお、このステップS31,32の処理の順番は逆になっていてもよい。
【0056】
そして、ステップS33において通信制御部21は、WAKE信号の送信処理後のACK受信待機時間Δt2内に、携帯機10からのACK信号を受信したか否かを判断する。その結果、該ACK受信待機時間Δt2内に携帯機10からのACK信号を受信したと判断すると、通信制御部21は、ステップS34の処理へ移行し、リクエスト信号を送信回路22に出力してそのリクエスト信号を該送信回路22から外部に送信させる。そして、通信制御部21は、該リクエスト信号に応答して携帯機10から送信されるIDコード信号の受信待機状態となる。なお、このIDコード信号の受信待機状態においては、受信部23の受信周波数をそのまま維持する。すなわち、受信部23の受信周波数は、ACK信号を受信したときの受信周波数に維持される。なお、本実施形態においてACK受信待機時間Δt2は、例えば図8(a),(b)に示すように、携帯機10におけるACK信号の送信時間とリクエスト受信待機時間Δt1とを加算した時間と等しくなるように設定されている。このため、携帯機10の送信周波数の変更パターン及び変更時間と、通信制御装置20の受信周波数の変更パターン及び変更時間とが同期することとなる。
【0057】
続くステップS35において通信制御部21は、対応する携帯機10からのIDコード信号を受信部23によって受信したか否かを判断する。その結果、通信制御部21は、該IDコード信号を受信していないと判断した場合にはここでの処理を一旦終了し、該IDコード信号を受信したと判断した場合には、ステップS36においてドアロック装置24によるドア錠の施解錠制御を許可する施解錠制御許可状態となり、ここでの処理を一旦終了する。
【0058】
一方、ステップS33においてACK受信待機時間Δt2内にACK信号を受信できないと判断した場合、通信制御部21は、ステップS37の処理へ移行する。そして、ステップS37において通信制御部21は、現時点での受信部23の受信周波数が第2周波数fbに設定されているか否かを判断する。その結果、通信制御部21は、受信部23の受信周波数が第2周波数fbに設定されている場合にはここでの処理を一旦終了し、該受信周波数が第2周波数fbに設定されていない場合、すなわち第1周波数faに設定されている場合には、ステップS38の処理へ移行する。そして、ステップS38において通信制御部21は、受信部23の受信周波数を第2周波数fbに設定する。すなわち、通信制御部21は、受信部23の切換スイッチ67に対して切換制御信号を出力し、第1局部発振器68aとイメージキャンセルミキサ63との接続状態から、第2局部発振器68bとイメージキャンセルミキサ63との接続状態に切り換えることにより、受信部23の受信周波数を第1周波数faから第2周波数fbに切り換える。つまり、通信制御部21は、WAKE信号を受信した後、ACK受信待機時間Δt2内にACK信号を受信できないと、受信部23の受信周波数を変更する受信周波数変更制御を行う。
【0059】
次に、このように構成された通信制御システム1の動作を、図8(a),(b)に示すタイムチャートを用いて説明する。
<外乱なし状態における相互通信成立例>
図8(a)にポイントP1で示すように、通信制御装置20の送信回路22からWAKE信号が送信され、そのWAKE信号が携帯機10の受信回路12によって受信されると、ポイントP2で示すように、携帯機10の送信部13から第1周波数faでACK信号が送信される。
【0060】
通信制御装置20の受信部23はWAKE信号の送信後のACK受信待機時間Δt2内においては受信周波数が第1周波数faに設定されるため、該携帯機10から第1周波数faで送信されたACK信号を受信可能となっている。そして、該ACK信号が通信制御装置20の受信部23によって正常に受信されると、ポイントP3で示すように送信回路22からリクエスト信号が送信される。
【0061】
そして、そのリクエスト信号がACK信号の送信後のリクエスト受信待機時間Δt1内に携帯機10の受信回路12によって受信されると、ポイントP4で示すように送信部13から第1周波数faでIDコード信号が送信される。通常、通信制御装置20の受信部23によって第1周波数faのACK信号が正常に受信された場合には、同じ周波数で送信されたIDコード信号についても正常に受信できる確率が高いため、該受信部23によって該IDコード信号が高確率で正常に受信される。それゆえ、通信制御装置20は、該IDコード信号を正常に受信することにより、施解錠制御許可状態となる。
【0062】
よって、携帯機10から第1周波数faで送信されたACK信号が通信制御装置20によって正常に受信された場合には、携帯機10及び通信制御装置20の各制御部11,21は、周波数変更制御を行うことなく相互通信を完了することとなる。
【0063】
<外乱あり状態における相互通信成立例>
一方、図8(b)にポイントP11で示すように、WAKE信号に応答して第1周波数faで送信された携帯機10からのACK信号を通信制御装置20の受信部23によって正常に受信できない場合には、該通信制御装置20からはリクエスト信号が送信されない。
【0064】
そして、ポイントP12で示すように、携帯機10は、第1周波数faでACK信号を送信した後、リクエスト信号を受信できない状態でリクエスト受信待機時間Δt1を経過すると、第2周波数fbでACK信号を送信する。また、通信制御装置20は、WAKE信号を送信した後、第1周波数faでACK信号を受信できない状態でACK受信待機時間Δt2を経過すると、受信部23の受信周波数を第2周波数fbに変更する。すなわち、携帯機10の送信部13の送信周波数と、通信制御装置20の受信部23の受信周波数とが、ほぼ同期して変更される。このため、通信制御装置20は、第2周波数fbで送信された携帯機10からのACK信号を受信可能となる。そして、この第2周波数fbで送信されたACK信号が通信制御装置20の受信部23によって正常に受信されると、ポイントP13で示すように送信回路22からリクエスト信号が送信される。
【0065】
このリクエスト信号が携帯機10の受信回路12によって受信されると、ポイントP14で示すように送信部13から第2周波数fbでIDコード信号が送信される。そして、通信制御装置20は、該IDコード信号を正常に受信することにより、施解錠制御許可状態となる。
【0066】
したがって、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
(1)携帯機10の操作部14によって周波数変更操作が行われると、送信部13から送信される施解錠操作信号の送信周波数が他の周波数に変更される。このため、たとえ施解錠操作信号にノイズ等の外乱が混入したことに起因して通信制御装置20が該施解錠操作信号を正常に受信できなかったとしても、施解錠操作信号の送信周波数を別の周波数に変更することにより、通信制御装置20との通信を成立させることができる。よって、外乱の混入に起因する携帯機10と通信制御装置20との通信不良を抑制することができる。
【0067】
(2)携帯機10において、施解錠操作信号を送信するための操作(送信操作)と、該施解錠操作信号の送信周波数を変更するための操作(周波数変更操作)とは、共通の操作部14をそれぞれ異なる態様で操作することによって行われ、制御部11は、それら操作態様を判別することによって送信制御と周波数変更制御とを行う。このため、送信操作を行うための操作部と周波数変更操作を行うための操作部とを個別に携帯機10に設ける必要がなく、該携帯機10の構造を簡素化することができる。また、送信操作に比べて周波数変更操作が複雑な操作に設定されているため、ユーザの意に反して周波数変更操作が行われてしまうことも好適に抑制することができる。
【0068】
(3)通信制御装置20は、単方向通信処理時にあっては、携帯機10からの施解錠操作信号の送信時間内に受信周波数を定期的に変更するため、該施解錠操作信号の送信周波数が第1周波数faであっても第2周波数fbであっても、通信制御装置20は該施解錠操作信号を確実に受信することができる。よって、例えば携帯機10から第1周波数faで施解錠操作信号が送信された場合、その第1周波数faの外乱が施解錠操作信号に混入すると、通信制御装置20は該施解錠操作信号を正常に認識することができない。こうした場合には、周波数変更操作によって施解錠操作信号の送信周波数を第2周波数fbに変更して送信させることにより、通信制御装置20は該施解錠操作信号を正常に認識することができるようになる。それゆえ、携帯機10と通信制御装置20との通信不良の発生を好適に軽減させることができる。
【0069】
(4)携帯機10の制御部11は、操作部14によって周波数変更操作が行われると、施解錠操作信号の送信周波数を変更するとともに、その変更した送信周波数で施解錠操作信号を送信する。すなわち、制御部11は、周波数変更操作が行われると、送信周波数の変更処理とともに、施解錠操作信号の送信処理をも行う。このため、ユーザは、周波数変更操作を行った後に施解錠操作信号を送信するための操作を行う必要がなくなる。よって、携帯機10のユーザビリティを向上させることができる。特に、操作部14を構成する施錠操作スイッチ及び解錠操作スイッチのうちの何れか一方が連続的に複数回(例えば3回)操作されたことを周波数変更操作として設定した場合には、ユーザは施錠または解錠のための操作を連続的に複数回行うことにより、送信周波数の変更と施解錠操作信号の送信とを容易に行うことができる。しかもこの場合、ユーザは、送信周波数の変更操作を、施解錠操作信号の送信操作の延長上の操作で行うことができるため、該送信周波数の変更操作をあまり意識することなく行うことができる。よって、携帯機10のユーザビリティが格段に向上することとなる。
【0070】
(5)携帯機10は、通信制御装置20からのWAKE信号に対応したACK信号を第1周波数faで送信したにもかかわらず、該通信制御装置20からのリクエスト信号を受信できない場合には、別の周波数(第2周波数fb)で応答信号を再送信する。このため、携帯機10は、たとえノイズ等の外乱が混入したことに起因して通信制御装置がACK信号を正常に受信できなかったとしても、別の周波数で該ACK信号を再送信することにより、通信制御装置20との通信を成立させることができる。
【0071】
一方、通信制御装置20は、WAKE信号の送信後にあっては、ACK受信待機時間Δt2が経過すると、受信部23の受信周波数を第1周波数faから第2周波数fbに変更し、対応する周波数で送信された携帯機10からのACK信号を受信した際にリクエスト信号を送信する。このため、こうした通信制御装置20によれば、ACK信号の送信周波数を変更する携帯機10との間でも確実に無線通信を行うことができる。しかも、受信可能な周波数帯が増えることから、対外乱性能も向上する。よって、こうした通信制御システム1によれば、携帯機10からのACK信号に外乱が混入することに起因する携帯機10と通信制御装置20との通信不良を抑制することができる。
【0072】
(6)携帯機10は、リクエスト信号を受信した際には、そのリクエスト信号の送信条件を満たしたACK信号の周波数、すなわち最後に送信したACK信号の周波数と同じ周波数でIDコード信号を送信する。一方、通信制御装置20は、WAKE信号に応答して送信された携帯機10からのACK信号を正常に受信した際には、リクエスト信号を送信するとともに、ACK信号の周波数と同じ受信周波数に設定する。通常、ACK信号が正常に受信された際に通信制御装置20からリクエスト信号が送信されるため、そのACK信号と同じ周波数でIDコード信号が携帯機10から送信されるとともに、通信制御装置20の受信周波数がその周波数に設定されることにより、通信制御装置20が該IDコード信号を正常に受信できる確率を高めることができる。すなわち、携帯機10と通信制御装置20との通信不良を抑制することができる。
【0073】
(7)通信制御装置20は、ACK信号を正常に受信すると、その時点で周波数変更制御を終了してリクエスト信号の送信(次段送信制御)を行う。このため、周波数変更制御から次段送信制御に移行する時間を短くすることができ、携帯機10と通信制御装置20との通信応答性の低下を好適に抑制することができる。
【0074】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を図9及び図10に基づいて説明する。なお、本実施形態を含む以下の各実施形態においては、第1実施形態と相違する点を主に述べ、共通する点については同一部材番号を付すのみとしてその説明を省略する。
【0075】
本実施形態において前記第1実施形態と異なる点は、通信制御装置20の機能及び処理についてである。そこで、ここでは通信制御装置20における前記第1実施形態との相違点について述べる。
【0076】
本実施形態において通信制御装置20の受信部23は、受信した電波の受信強度を検出する受信強度検出機能を有している。そして、受信部23は、電波を受信するとその電波の受信強度を検出するとともに、その検出した受信強度を示す強度検出信号を通信制御部21に出力する。このため、通信制御部21は、該受信部23からの強度検出信号に基づき、該受信部23によって受信した電波の強度を認識可能となっている。
【0077】
そして、通信制御部21は、受信部23からの強度検出信号を利用して、受信周波数を変更する受信周波数変更制御を行う。なお、通信制御部21は、単方向通信処理においては前記第1実施形態と同等の処理を行い、双方向通信処理が第1実施形態と異なる。そこで、以下、本実施形態の通信制御部21によって行われる双方向通信処理を、図9に示すフローチャートに従って説明する。
【0078】
<通信制御部21による双方向通信処理>
通信制御部21は、前記第1実施形態と同様に単方向通信処理から双方向通信処理に移行すると、同図に示すように、まずステップS41において、送信回路22に対してWAKE信号を出力し、その送信回路22から該WAKE信号を外部に送信させる。また、ステップS42において通信制御部21は、受信部23の受信周波数を第1周波数faに設定する。なお、このステップS41,42の処理の順番は逆になっていてもよい。
【0079】
そして、ステップS43において通信制御部21は、受信部23から入力される強度検出信号に基づき、WAKE信号の送信処理後のACK受信待機時間Δt2内に受信部23によって受信した電波の受信強度が、予め設定された強度閾値Thよりも大きいか否かを判断する。その結果、通信制御部21は、該受信強度が該強度閾値Th以下であると判断した場合には、ここでの処理を一旦終了する。このため、通信制御部21は、ACK受信待機時間Δt2内において受信部23によって電波が受信されない場合はもちろん、受信された電波の強度が強度閾値Thを超えない場合にはここでの処理を一旦終了する。
【0080】
一方、通信制御部21は、該受信強度が強度閾値Thよりも大きいと判断した場合には、ステップS44の処理へ移行し、その受信した電波が、対応する携帯機10から送信されたACK信号であるか否かを判断する。その結果、通信制御部21は、受信した電波が該ACK信号であると判断した場合には、ステップS45〜S47の処理を条件に応じて順次行い、受信した電波が該ACK信号ではないと判断した場合には、ステップS48,49の処理を条件に応じて順次行う。なお、ステップS45〜S49の処理は、図7に示した前記第1実施形態におけるステップS34〜S38の処理と等しい。また、通信制御部21は、ステップS49の処理が終了すると、前記ステップS43の処理を再び行う。
【0081】
次に、このように構成された通信制御システム1の動作を、図10(a),(b)に示すタイムチャートを用いて説明する。
<外乱なし状態における相互通信成立例>
この場合、図8(a)に示した前記第1実施形態の動作と同等の動作となるため、ここでの詳細な説明を省略する。
【0082】
<外乱なし状態における相互通信非成立例>
図10(a)にポイントP21で示すように、通信制御装置20の送信回路22からWAKE信号が送信された後、ACK受信待機時間Δt2内に強度閾値Thを超える受信強度の電波が受信部23によって受信されない場合には、ポイントP22で示すように、所定の間欠周期で再びWAKE信号が送信される。すなわち、ACK受信待機時間Δt2内に強度閾値Thを超える電波を受信できない場合、通信制御装置20は、通信領域内に携帯機10が存在しないと判断し、周波数変更制御を行わない。
【0083】
<外乱あり状態における相互通信成立例>
一方、図10(b)にポイントP31で示すように、WAKE信号に応答して第1周波数faで送信された携帯機10からのACK信号を通信制御装置20の受信部23によって受信したものの、そのACK信号にノイズ等の外乱が混入するなどして通信制御部21が該ACK信号を認識できない場合には、該通信制御装置20からはリクエスト信号が送信されない。
【0084】
そして、ポイントP32で示すように、携帯機10は、第1周波数faでACK信号を送信した後、リクエスト信号を受信できない状態でリクエスト受信待機時間Δt1を経過すると、第2周波数fbでACK信号を送信する。また、通信制御装置20は、WAKE信号を送信した後、第1周波数faでACK信号を受信できない状態でACK受信待機時間Δt2を経過すると、受信部23の受信周波数を第2周波数fbに変更する。すなわち、携帯機10の送信部13の送信周波数と、通信制御装置20の受信部23の受信周波数とが、ほぼ同期して変更される。このため、通信制御装置20は、第2周波数fbで送信された携帯機10からのACK信号を受信可能となる。そして、この第2周波数fbで送信されたACK信号が通信制御装置20の受信部23によって正常に受信されると、ポイントP33で示すように送信回路22からリクエスト信号が送信される。
【0085】
このリクエスト信号が携帯機10の受信回路12によって受信されると、ポイントP34で示すように送信部13から第2周波数fbでIDコード信号が送信される。そして、通信制御装置20は、該IDコード信号を正常に受信することにより、施解錠制御許可状態となる。
【0086】
したがって、本実施形態によれば、前記第1実施形態における上記(1)〜(7)に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(8)通信制御部21は、受信部23によって受信された検出された受信強度に基づいて無線信号(電波)の受信有無を判定し、その結果、受信閾値を超える電波を受信できない場合には、通信領域に携帯機10が存在しないと判断し、受信周波数変更制御を行わない。このため、通信制御装置20による受信周波数変更制御は必要なときにのみ行われることとなり、通信制御装置20の電力消費量の増大を抑制することができる。
【0087】
(第3実施形態)
次に、本発明を具体化した第3実施形態を図11〜図13に基づいて説明する。
本実施形態において前記第2実施形態と異なる点は、携帯機10の制御部11による通信処理と、通信制御装置20の通信制御部21による双方向通信処理とについてである。そこで、これら制御部11及び通信制御部21の通信処理について説明する。
【0088】
<通信制御部21による双方向通信処理>
まず、通信制御装置20の通信制御部21によって行われる双方向通信処理を、図11に示すフローチャートに従って説明する。
【0089】
通信制御部21は、前記第1実施形態と同様に単方向通信処理から双方向通信処理に移行すると、図11に示すように、まずステップS51において、送信回路22に対してWAKE信号を出力し、その送信回路22から該WAKE信号を外部に送信させる。また、ステップS52において通信制御部21は、受信部23の受信周波数を第1周波数faに設定する。なお、このステップS51,52の処理の順番は逆になっていてもよい。
【0090】
そして、ステップS53において通信制御部21は、WAKE信号を送信してから前記ACK受信待機時間Δt2を経過した際に、受信部23の受信周波数を第2周波数fbに変更する。
【0091】
その後、ステップS54において通信制御部21は、対応する携帯機10から送信されたACK信号を受信したか否かを判断する。その結果、通信制御部21は、該ACK信号を受信していないと判断した場合にはここでの処理を一旦終了し、該ACK信号を受信したと判断した場合には、ステップS55において周波数選定処理を行う。
【0092】
詳しくは、ステップS55において通信制御部21は、第1周波数fa及び第2周波数fbで受信した各ACK信号のパルス長や受信強度に基づき、それら周波数fa,fbから最適な周波数を選定する。すなわち、通信制御部21は、選択可能な全ての周波数(ここでは第1周波数fa及び第2周波数fb)でACK信号を受信部23によって受信し、それらACK信号のうちで最も好適なACK信号となる周波数を選定する。なお、この最適な周波数の選定処理において通信制御部21は、ACK信号のパルス長及び受信強度のうちの一方のみに基づいて最適な周波数を選定するようになっていてもよい。ちなみに、ACK信号のパルス長のみに基づいて通信制御部21が最適な周波数を選定するようになっている場合には、受信部23は、必ずしも受信した電波の受信強度を検出するとともにその強度を示す強度検出信号を通信制御部21に出力するようになっている必要がない。このため、受信部23の構成及び通信制御部21の処理の簡素化を図ることが可能となる。
【0093】
そして、通信制御部21は、ステップS56において受信部23の受信周波数を該選定した周波数に設定するとともに、ステップS57においてその選定した周波数を示す周波数指令コードを含むリクエスト信号を送信回路22から送信させる。
【0094】
その後、ステップS58において通信制御部21は、対応する携帯機10からのIDコード信号を受信部23によって受信したか否かを判断する。その結果、通信制御部21は、該IDコード信号を受信していないと判断した場合にはここでの処理を一旦終了し、該IDコード信号を受信したと判断した場合には、ステップS59においてドアロック装置24によるドア錠の施解錠制御を許可する施解錠制御許可状態となり、ここでの処理を一旦終了する。
【0095】
<制御部11による通信処理>
次に、携帯機10の制御部11によって行われる通信処理を、図12に示すフローチャートに従って説明する。
【0096】
<相互通信制御時における処理>
同図に示すように、ステップS61において制御部11は、操作部14から操作信号が入力されたか否かを判断する。そして、制御部11は、操作部14から操作信号が入力されていないと判断すると、ステップS62において受信回路12によって通信制御装置20からのWAKE信号を受信したか否かを判断する。その結果、制御部11は、受信回路12によって通信制御装置20からのWAKE信号を受信していないと判断するとここでの処理を一旦終了する。これに対し、受信回路12によって該WAKE信号を受信したと判断すると、ステップS63において制御部11は、送信周波数を第1周波数faにする旨を示す周波数制御信号を送信部13に対して出力するとともに、該送信部13にACK信号を出力する。これにより、該送信部13から送信アンテナ13aを介して、第1周波数faのACK信号が外部に送信される。
【0097】
続いてステップS64において制御部11は、第1周波数faでのACK信号の送信処理後、前記リクエスト受信待機時間Δt1が経過すると、送信周波数を第2周波数fbにする旨を示す周波数制御信号を送信部13に対して出力するとともに、該送信部13にACK信号を出力する。これにより、該送信部13から送信アンテナ13aを介して、第2周波数fbのACK信号が外部に送信される。
【0098】
そして、ステップS65において制御部11は、第2周波数fbでのACK信号の送信処理後のリクエスト受信待機時間Δt1内に、通信制御装置20からのリクエスト信号を受信回路12によって受信したか否かを判断する。その結果、制御部11は、該リクエスト受信待機時間Δt1内にリクエスト信号を受信していないと判断した場合にはここでの処理を一旦終了し、該リクエスト信号を受信したと判断するとステップS66の処理へ移行する。
【0099】
ステップS66において制御部11は、該リクエスト信号に含まれる周波数指令コードに基づいて送信部13の送信周波数を設定する。すなわち、制御部11は、周波数指令コードが第1周波数faを示すものであれば該送信周波数を第1周波数faに設定し、周波数指令コードが第2周波数fbを示すものであれば該送信周波数を第2周波数fbに設定する。
【0100】
そして、ステップS67において制御部11は、メモリ11Mに記録されたIDコードを含むIDコード信号を送信部13から送信アンテナ13aを介して、設定した送信周波数で外部に送信させる。
【0101】
<単方向通信制御時における制御>
ところで、制御部11は、前記ステップS61において操作部14から操作信号が入力されたと判断した場合には、ステップS68〜S71の処理を条件に応じて行う。なお、これらステップS68〜S71の処理は、図3に示したステップS8〜S11の処理と同等の処理であるため、ここでの説明を省略する。
【0102】
続いて、このように構成された通信制御システム1の動作を、図13に示すタイムチャートを用いて説明する。
図13にポイントP41で示すように、通信制御装置20の送信回路22からWAKE信号が送信され、そのWAKE信号が携帯機10の受信回路12によって受信されると、ポイントP42で示すように、携帯機10の送信部13から第1周波数faでACK信号が送信される。この時点において通信制御装置20の受信部23の受信周波数は第1周波数faに設定されているため、通信制御装置20は、該第1周波数faで送信されたACK信号を受信可能となる。
【0103】
その後、ポイントP43で示すように、リクエスト受信待機時間Δt1が経過すると、携帯機10の送信部13から第2周波数fbでACK信号が送信される。また、通信制御装置20の受信部23の受信周波数も第2周波数fbに変更されるため、該第2周波数fbで送信されたACK信号を受信可能となる。
【0104】
そして、通信制御装置20によって第1周波数faで送信されたACK信号と第2周波数fbで送信されたACK信号とが受信されると、該通信制御装置20によって周波数選定処理が行われ、ポイントP44で示すように、その結果選定された周波数を示す周波数指令コードを含むリクエスト信号が送信される。
【0105】
そして、そのリクエスト信号がACK信号の送信後のリクエスト受信待機時間Δt1内に携帯機10の受信回路12によって受信されると、ポイントP45で示すように、該リクエスト信号に含まれる周波数指令コードに基づく送信周波数で送信部13からIDコード信号が送信される。
【0106】
したがって、本実施形態によれば、前記第1実施形態における上記(1)〜(7)に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(9)携帯機10は、WAKE信号を受信すると、選択可能な全ての送信周波数でACK信号を送信する。その後、携帯機10は、周波数指令データを含むリクエスト信号を受信すると、その周波数指令データに基づく周波数でIDコード信号を送信する。一方、通信制御装置20は、WAKE信号の送信後、受信周波数変更制御を行うことにより、選択可能な全ての受信周波数でACK信号を受信する。そして、通信制御装置20は、受信した全てのACK信号から最適なACK信号を選定し、該選定したACK信号の周波数を示す周波数指令コードを含むリクエスト信号を送信することにより、該選定した周波数で携帯機10からIDコード信号を送信させる。すなわち、通信制御装置20は、携帯機10から送信されるIDコード信号の送信周波数を制御する。このため、その時点における通信に最適な周波数でIDコード信号を送信させることができ、携帯機10と通信制御装置20との通信精度を向上させることができる。
【0107】
(第4実施形態)
次に、本発明を具体化した第4実施形態を図1、図14及び図15に基づいて説明する。
【0108】
図1に2点鎖線で示すように、本実施形態における通信制御装置20の通信制御部21には、位置情報取得装置71が電気的に接続されている。この位置情報取得装置71は、例えば車両2に搭載されたカーナビゲーションシステムなどからなり、取得した車両2の位置情報を通信制御部21に出力する。
【0109】
また、通信制御部21は、携帯機10から送信されるIDコード信号や施解錠操作信号を正常に受信すると、すなわち携帯機10との通信が成立すると、その通信が成立した際の受信部23の受信周波数と位置情報とを対応付けした通信履歴情報をメモリ21Mに記録する。
【0110】
そして、通信制御部21は、こうした位置情報取得装置71からの位置情報と、メモリ21Mに記録された通信履歴情報とに基づいて周波数変更制御を行う。そこで、本実施形態における通信制御部21の双方向通信処理を図14に示すフローチャートに従って説明する。なお、単方向通信処理については前記各実施形態と同等であるため、ここでの説明を省略する。
【0111】
<通信制御部21による双方向通信処理>
通信制御部21は、前記第1実施形態と同様に単方向通信処理から双方向通信処理に移行すると、図14に示すように、まずステップS81において通信制御部21は、位置情報取得装置71からの位置情報、メモリ21Mに記録された通信履歴情報に基づき、通信周波数を選定する。詳しくは、通信制御部21は、取得した位置情報と対応する通信履歴情報をメモリ21Mから読み出す。その結果、通信制御部21は、対応する通信履歴情報がメモリ21M内に存在する場合には、該通信履歴情報によって示される周波数を通信周波数として選定する。また、通信制御部21は、該対応する通信履歴情報がメモリ21M内に存在しない場合には、該メモリ21Mに記録された全ての通信履歴情報のうち、最も通信成立回数の多い周波数を通信周波数として選定する。なお、メモリ21Mに通信履歴情報が記録されていない場合には、予め設定された初期周波数(ここでは第1周波数fa)を通信周波数として選定する。
【0112】
そして、続くステップS82において通信制御部21は、選定した通信周波数を示す周波数指令コードを含むWAKE信号を送信回路22から送信させる。それとともに、ステップS83において通信制御部21は、受信部23の受信周波数を該選定した通信周波数に設定する。なお、このステップS82の処理とステップS83の処理とは逆順になっていてもよい。
【0113】
続くステップS84において通信制御部21は、WAKE信号の送信後のACK受信待機時間Δt2内に、対応する携帯機10からのACK信号を受信したか否かを判断する。その結果、通信制御部21は、該ACK受信待機時間Δt2内にACK信号を受信したと判断した場合にはステップS85の処理へ移行し、リクエスト信号を送信回路22から送信させる。そして、通信制御部21は、該リクエスト信号に応答して携帯機10から送信されるIDコード信号の受信待機状態となる。なお、このIDコード信号の受信待機状態においては、受信部23の受信周波数をそのまま維持する。
【0114】
続くステップS86において通信制御部21は、対応する携帯機10からのIDコード信号を受信部23によって受信したか否かを判断する。その結果、通信制御部21は、該IDコード信号を受信していないと判断した場合にはここでの処理を一旦終了し、該IDコード信号を受信したと判断した場合には、ステップS87においてドアロック装置24によるドア錠の施解錠制御を許可する施解錠制御許可状態となり、ここでの処理を一旦終了する。
【0115】
一方、ステップS84においてACK受信待機時間Δt2内にACK信号を受信できないと判断した場合、通信制御部21は、ステップS88の処理へ移行する。そして、ステップS88において通信制御部21は、選択可能な全ての周波数(ここでは第1周波数fa及び第2周波数fb)のうち、通信周波数として未選択の周波数が存在するか否かを判断する。その結果、通信制御部21は、未選択の周波数が存在しない場合にはここでの処理を一旦終了し、該未選択の周波数が存在する場合にはステップS89の処理へ移行し、該未選択周波数のうちの一つを受信周波数に設定する。そして、通信制御部21は、再びステップS84の処理を行う。
【0116】
<制御部11による通信処理>
次に、携帯機10の制御部11によって行われる通信処理を、図15に示すフローチャートに従って説明する。
【0117】
<相互通信制御時における処理>
まず、ステップS91において制御部11は、操作部14から操作信号が入力されたか否かを判断する。そして、制御部11は、操作部14から操作信号が入力されていないと判断すると、ステップS92において受信回路12によって通信制御装置20からのWAKE信号を受信したか否かを判断する。
【0118】
その結果、制御部11は、受信回路12によって通信制御装置20からのWAKE信号を受信していないと判断するとここでの処理を一旦終了する。これに対し、受信回路12によって該WAKE信号を受信したと判断すると、ステップS93において制御部11は、該WAKE信号に含まれる周波数指令コードに基づいて送信部13の送信周波数を設定する。すなわち、例えば周波数指令コードが第1周波数faを示すものであれば、制御部11は、送信部13の送信周波数を第1周波数faに設定する。そして、続くステップS94において制御部11は、該設定した送信周波数で送信部13からACK信号を送信させる。
【0119】
続いてステップS95において制御部11は、ACK信号の送信処理後のリクエスト受信待機時間Δt1内に、通信制御装置20からのリクエスト信号を受信回路12によって受信したか否かを判断する。その結果、制御部11は、該リクエスト受信待機時間Δt1内にリクエスト信号を受信したと判断すると、ステップS96においてメモリ11Mに記録されたIDコードを含むIDコード信号を送信部13から送信させる。このとき制御部11は、ACK信号と同じ送信周波数でIDコード信号を送信させる。そして、ステップS97において制御部11は、送信したIDコード信号の送信周波数を周波数履歴情報としてメモリ11Mに記録する。
【0120】
これに対し、ステップS95において該リクエスト受信待機時間Δt1内にリクエスト信号を受信できない場合、制御部11はステップS98の処理へ移行し、送信周波数として未選択の周波数が存在するか否かを判断する。その結果、制御部11は、未選択の周波数が存在しない場合にはここでの処理を一旦終了し、該未選択の周波数が存在する場合にはステップS99の処理へ移行し、該未選択周波数のうちの一つを送信周波数に設定する。そして、制御部11は、再びステップS94の処理を行う。すなわち、制御部11は、周波数指令コードに基づく周波数でACK信号を送信した後、リクエスト受信待機時間Δt1内にリクエスト信号を受信できない場合には、送信周波数を他の周波数に変更して再びACK信号を送信する再送制御を行う。
【0121】
<単方向通信制御時における制御>
ところで、制御部11は、前記ステップS91において操作部14から操作信号が入力されたと判断した場合には、ステップS100の処理へ移行する。そして、ステップS100において制御部11は、その操作信号が、施解錠操作と判断しうる操作信号であるか否かを判断する。
【0122】
その結果、制御部11は、施解錠操作が行われたと判断した場合には、ステップS101において、メモリ11Mに記録された周波数履歴情報に基づいて送信周波数を選定する。具体的には、メモリ11Mに記録された周波数履歴情報のうち、最も多い周波数を送信周波数として選定する。そして、続くステップS102において制御部11は、選定した周波数で施解錠操作に対応する施解錠操作信号を送信部13から送信させる。
【0123】
また、制御部11は、ステップS102の処理が終了した後や、ステップS100において操作部14からの操作信号が施解錠操作ではないと判断した場合には、ステップS103の処理へ移行し、操作部14からの操作信号が周波数変更操作であるか否かを判断する。その結果、制御部11は、該操作部14からの操作信号が周波数変更操作を示すものではないと判断するとここでの処理を一旦終了し、該周波数変更操作を示すものであると判断すると、ステップS104において送信周波数の変更処理を行ってここでの処理を一旦終了する。すなわち、ステップS104において制御部11は、その時点での送信周波数が第1周波数faの場合には第2周波数fbとする旨の周波数制御信号を送信部13に対して出力し、その時点での送信周波数が第2周波数fbの場合には第1周波数faとする旨の周波数制御信号を送信部13に対して出力する。
【0124】
このため、単方向通信制御時においては、操作部14によって周波数変更操作を行うことにより、施解錠操作信号の送信周波数を自由に変更することが可能となる。
したがって、本実施形態によれば、前記第1実施形態における上記(1)〜(7)に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
【0125】
(10)携帯機10の制御部11は、操作信号の送信周波数の変更時にあっては、メモリ11Mに記録された周波数履歴情報に基づき、優先順位の高い周波数を優先的に選択する。このため、通信成立確率の高い周波数が優先的に選択されて該操作信号の送信周波数として設定されることとなる。よって、通信を成立させるまでに必要な周波数の変更操作回数を少なくすることができ、通信成立までの時間が遅延してしまうことを好適に抑制することができる。
【0126】
(11)通信制御装置20の通信制御部21は、車両2の位置と、その位置において携帯機10との通信が成立した履歴が存在する場合には、その履歴に基づいて通信周波数を選定する。そして、通信制御装置20は、その選出した通信周波数で携帯機10から応答信号(ACK信号、IDコード信号)を送信させるべく、周波数指令データを含むWAKE信号を送信する。一方、携帯機10は、通信制御装置20から位置情報及び通信履歴情報に基づいて選択された周波数指令データを含むWAKE信号の受信時には、その周波数指令データに基づく周波数でACK信号を送信する。そして、そのACK信号に対するリクエスト信号を受信できないときに再送制御を行う。このため、該携帯機10からはその周波数指令データに基づく周波数のACK信号及びIDコード信号が優先的に送信されることとなる。よって、携帯機10と通信制御装置20との通信が早期に成立する確率を高めることができる。
【0127】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 前記第1〜第3実施形態においても、携帯機10の制御部11は、第4実施形態と同様に、通信制御装置20との相互通信が成立した際にそのときの送信周波数を周波数履歴情報としてメモリ11Mに記録するようになっていてもよい。そして、制御部11は、操作部14によって施解錠操作が行われた際に、該周波数履歴情報に基づいて施解錠操作信号の送信周波数を選定するようになっていてもよい。また、制御部11は、操作部14によって周波数変更操作が行われた際に、該周波数履歴情報に基づき、優先順位の高い周波数を優先的に選択して送信周波数として選定するようになっていてもよい。
【0128】
・ 前記各実施形態において、携帯機10に設けられた操作部14は、施解錠操作信号を送信させるための操作部と、該施解錠操作信号の送信周波数を変更するための操作部とを共用している。しかしながら、こうした施解錠操作信号を送信させるための操作部と、該施解錠操作信号の送信周波数を変更するための操作部とを個別に設けてもよい。こうした場合、送信周波数を変更するための操作を単純な操作とすることができ、該変更の操作性を向上させることができる。
【0129】
・ 前記各実施形態において、携帯機10の送信部13及び通信制御装置20の受信部23によって変更可能な周波数は、第1周波数fa及び第2周波数fbの2種類に限らず、3種類以上であってもよい。
【0130】
・ また、変更可能な周波数を3種類以上とした場合にあっては、第4実施形態において通信制御装置20の通信制御部21は、図14に示したステップS89において、メモリ21Mに記録された通信履歴情報に基づき、該通信履歴情報のうち通信成立回数が多いものから順に優先的に受信周波数として設定するようになっていてもよい。同様に、携帯機10の制御部11の単方向通信制御時にあっても、該制御部11は、図15に示したステップS104において、メモリ11Mに記録された周波数履歴情報のうち、通信成立回数が多いものから順に優先的に送信周波数として設定するようになっていてもよい。
【0131】
・ さらに、変更可能な周波数を3種類以上とした場合にあっては、第4実施形態において通信制御装置20の通信制御部21は、位置情報及び通信履歴情報に基づき、それら全ての周波数のうちの一部(例えば2種類)のみを選択可能な周波数として絞り込む選別処理を行うようになっていてもよい。それとともに、通信制御部21は、これら選別された周波数にさらに優先順位を付与した周波数指令コードを含むWAKE信号を送信するようになっていてもよい。そして、携帯機10の制御部11は、WAKE信号の受信時にあっては、該周波数指令コードに基づき、変更可能な周波数から選択可能な周波数を選別する処理を行うようになっていてもよい。
【0132】
具体的には、例えば図16に示すように、変更可能な8種類の周波数(第1周波数fa〜第8周波数fh)が存在し、通信制御部21のメモリ21Mに記録された各周波数fa〜fhの各通信成立回数が、「fa=8」、「fb=7」、「fc=6」、「fd=5」、「fe=4」、「ff=3」、「fg=2」、「fh=1」となっている場合、通信制御部21は、それら周波数fa〜fhのうち、通信成立回数が多い上位2種類の周波数(この場合は第1周波数fa及び第2周波数fb)を選択可能な周波数として絞り込む。そして、通信制御部21は、これら選別された第1周波数fa及び第2周波数fbにさらに優先順位を付与した周波数指令コードを含むWAKE信号を送信する。
【0133】
一方、携帯機10の制御部11は、受信回路12によって該WAKE信号を受信すると、そのWAKE信号に含まれる周波数指令コードに基づき、送信周波数として選択可能な周波数を第1周波数fa及び第2周波数fbに絞り込む。
【0134】
このように構成すれば、通信制御部21は、過去の通信履歴から、通信成立確率が高い周波数を事前に絞り込んだ後に、実際の通信状況に応じて最適な通信周波数を選定することとなるため、周波数選定の時間が短縮化される。また、実際の通信状況から通信周波数が最終的に選定されるため、最適な通信周波数を効率的に選定することが可能となる。
【0135】
さらには、特に前記第3実施形態のように、通信制御装置20が、双方向通信処理時において携帯機10から複数種の周波数でACK信号を送信させ、それらACK信号から最適な通信周波数を選定する場合には、携帯機10は、変更可能な全ての周波数でACK信号を送信する必要がなくなる。このため、携帯機10のACK信号の送信時間を短くすることができ、該携帯機10の電力消費量を低減できるとともに、携帯機10と通信制御装置20との通信時間も短くすることができる。しかも、それら全ての周波数のうちの通信成立確率が高いと推定される一部のみが選別されることとなるため、選別された周波数によって通信が成立する確率が高い。よって、こうした変更例によれば、携帯機10と通信制御装置20との通信応答性を高めつつ、通信不良の発生を抑制することができる。
【0136】
なお、選別処理によって絞り込まれる周波数は2種類に限らず、3種類以上であってもよい。また、選別された周波数によって携帯機10との通信が成立しない場合、通信制御部21は、選別されていない他の周波数を選定して携帯機10との通信を行うようになっていてもよい。そして、この場合、通信制御部21は、通信成立回数が多いものを順に選定するようになっていることが望ましい。
【0137】
・ 前記第3実施形態において携帯機10の制御部11は、図3に示した第1実施形態の制御部11と同じ処理態様となっていてもよい。すなわち、前記実施形態において制御部11は、第1周波数faでACK信号を送信させた後、リクエスト信号の受信有無にかかわらず、リクエスト受信待機時間Δt1を経過した際に必ず第2周波数fbでACK信号を送信するようになっている。しかし、制御部11は、第1周波数faでACK信号を送信させた後、リクエスト受信待機時間Δt1内にリクエスト信号を受信したと判断した場合には、第2周波数fbでACK信号を送信させることなくIDコード信号を送信するようになっていてもよい。このようにした場合であっても、第3実施形態の通信制御装置20は、第1周波数faでACK信号を受信してもすぐにはリクエスト信号を送信せず、ACK受信待機時間Δt2間は第2周波数fbで送信されるACK信号を受信しようとするため、結果として制御部11は、第3実施形態と同等の処理を行うこととなる。
【0138】
・ 前記第4実施形態において通信制御装置20の通信制御部21は、必ずしも位置情報と通信履歴情報とから通信周波数を選定しなくてもよく、例えば通信履歴情報のみから通信周波数を選定するようになっていてもよい。このようにすれば、位置情報取得装置71を通信制御部21が不要となるとともに、通信制御部21のメモリ21Mに記録すべき情報量も少なくすることができる。
【0139】
・ 前記各実施形態において、通信制御装置20の通信制御部21は、携帯機10からのACK信号の受信状況に応じて該ACK信号の送信周波数を設定すると、その送信周波数でIDコード信号も送信させるようになっている。しかしながら、通信制御部21は、該IDコード信号の受信状況に応じて該IDコード信号の送信周波数を変更させるとともに、該IDコード信号の受信周波数を変更するようになっていてもよい。
【0140】
・ 前記各実施形態において、携帯機10の制御部11は、通信制御装置20との相互通信制御時にあっては、必ずしも周波数変更処理を行うようになっていなくてもよい。すなわち、制御部11は、施解錠操作信号を送信する単方向通信時にのみ、その施解錠操作信号の送信周波数を変更可能となっていてもよい。
【0141】
・ 前記各実施形態では、通信制御システム1は、車両2のドア錠の施解錠を制御する車両用施解錠制御システムとして具体化されている。しかしながら、こうした通信制御システム1は、必ずしもドア錠の施解錠を制御することに限らず、例えば携帯機10との無線通信に基づいてエンジンの始動許可制御を行うようになっていたり、車両2のセキュリティの設定・解除を行ったりする車両用セキュリティ制御システムとして具体化されてもよい。また、通信制御システム1は、車両2に限らず、住宅等の建物におけるドア錠の施解錠を制御したり、その他のセキュリティの設定・解除を行ったりする建物用セキュリティ制御システムとして具体化されてもよい。さらには、通信制御システム1は、携帯機10との無線通信に基づいて通信制御装置20が何らかの制御を行うようになっていればよく、必ずしもセキュリティ制御を行うようになっていなくてもよい。
【0142】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1) 携帯機において、前記送信操作を行うための送信操作手段と、前記周波数変更操作を行うための変更操作手段とをそれぞれ個別に備え、前記送信制御手段は、それら対応する操作手段の操作態様に基づいて前記送信制御及び前記周波数変更制御を行うこと。この(1)に記載の技術的思想によれば、周波数を変更するための操作を単純な操作にすることができる。
【0143】
(2) 対応する通信制御装置と無線通信を行い、該通信制御装置に対して操作信号を送信する送信機能を有する携帯機と、その携帯機からの操作信号の受信を条件として対応する制御を行う通信制御装置とを備えた通信制御システムであって、前記携帯機は、前記操作信号を複数種の周波数で送信可能な送信手段と、予め設定された送信操作が行われた際に対応する前記操作信号を、前記複数の周波数のうちの一つを送信周波数として設定して前記送信手段から送信させる送信制御を行うとともに、予め設定された周波数変更操作が行われた際に、前記操作信号の送信周波数を他の周波数に変更する周波数変更制御を行う送信制御手段とを備え、前記通信制御装置は、複数の周波数で受信可能な受信手段と、受信周波数を定期的に変更する受信周波数変更制御を行うとともに、該受信手段によって受信した前記携帯機からの操作信号に基づいて対応する制御を行う通信制御手段とを備えることを特徴とする通信制御システム。
【符号の説明】
【0144】
1…通信制御システム、2…車両、10…携帯機、11…送信制御手段としての制御部、11M…記録手段としてのメモリ、12…受信手段としての受信回路、13…送信手段としての送信部、14…操作手段としての操作部、20…通信制御装置、21…通信制御手段としての通信制御部、21M…記録手段としてのメモリ、23…受信手段としての受信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対応する通信制御装置と無線通信を行い、該通信制御装置に対して操作信号を送信することにより該通信制御装置を遠隔制御する携帯機であって、
前記操作信号を複数種の周波数で送信可能な送信手段と、予め設定された送信操作が行われた際に対応する前記操作信号を、前記複数の周波数のうちの一つを送信周波数として設定して前記送信手段から送信させる送信制御を行うとともに、予め設定された周波数変更操作が行われた際に、前記操作信号の送信周波数を他の周波数に変更する周波数変更制御を行う送信制御手段とを備え、
さらに、前記送信操作及び前記周波数変更操作を行うための共通の操作手段として単一の操作手段を備え、
前記操作手段による前記周波数変更操作は、前記操作手段による前記送信操作とは異なる操作として規定され、その操作は、前記単一の操作手段を複数回操作することであり、
前記送信制御手段は、前記周波数変更操作が行われた際に、前記周波数変更制御を行うことを特徴とする携帯機。
【請求項2】
前記送信制御手段は、前記周波数変更操作が行われた際に、前記周波数変更制御を行うとともに、該変更した送信周波数で前記操作信号を前記送信手段から送信させる送信制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の携帯機。
【請求項3】
前記通信制御装置と相互通信を行うべく該通信制御装置から送信される無線信号を受信する受信手段を備えるとともに、該相互通信時に当該携帯機から送信される送信信号を正常に受信したことを条件として前記通信制御装置から送信される通信成立信号を、前記受信手段によって受信した際に、該相互通信時に前記送信手段から送信した送信信号の周波数を周波数履歴情報として記録する記録手段を備え、
前記送信制御手段は、前記記録手段に記録された前記周波数履歴情報に基づき、変更可能な前記送信手段の周波数に対して優先順位を付与するとともに、周波数変更制御時には、優先順位の高い周波数から順に変更することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の携帯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−107500(P2012−107500A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−275636(P2011−275636)
【出願日】平成23年12月16日(2011.12.16)
【分割の表示】特願2006−235785(P2006−235785)の分割
【原出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】