説明

携帯端末、非接触通信制御方法及びプログラム

【課題】 リーダライタと非接触ICカードのアンテナの両中心位置をユーザが容易且つ確実,迅速に合わせられるようにし、リーダライタとの間の非接触通信を確実に実行でき且つ通信時間の短縮化を図る。
【解決手段】
非接触通信を行う非接触ICカード42は携帯電話端末の第1の筐体31に設けられている。この第1の筐体31のカードアンテナ搭載面34には、カメラモジュール40も設けられている。第1の筐体31のカードアンテナ搭載面34に対して背面側となる筐体面には、サブディスプレイが設けられている。そして、非接触通信を行う際、カメラモジュール40にて撮影したカードリーダのアンテナ設置面の画像を、上記サブディスプレイに表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆる電子財布等に用いられる非接触ICカード機能を備えた携帯端末、当該携帯端末が非接触通信を行う際の非接触通信方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、いわゆる非接触ICカードは、利用者の使い勝手が良いこと、耐久性が優れていること、複数カードへの同時アクセスが可能であること、メンテナンス性が良いこと、などの利点を活かし、例えば電車の乗車券やプリペイドカード、いわゆる電子財布として普及しつつある。
【0003】
これらの非接触ICカードは、ネットワークに接続された専用の非接触ICカードリーダライタ(以下、単にリーダライタと表記する。)に近接した際に、内部に格納している種々のデータの書き込みや消去、更新等が当該リーダライタにより行われる。
【0004】
また最近は、携帯電話端末等の携帯端末にも非接触ICカード機能が搭載されており、その携帯電話端末の非接触ICカード機能を用いた電子決済も一般化しつつある。
【0005】
なお、特開2005−354300号の公開特許公報(特許文献1)には、非接触のICカード機能としての近距離無線通信手段が内蔵された携帯端末において、近距離無線通信手段に接続されたアンテナとは別に、測定用アンテナを設けて、その測定用アンテナでリーダライタからの電波の受信状況を測定し、リーダライタからの電波を受信した場合に、リーダライタが存在する方向を判断して、その判断したリーダライタが存在する方向を表示部で表示することにより、非接触ICカード機能が内蔵された携帯端末がリーダライタと良好に通信できるようにする技術が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2005−354300号公報(図4,図5,図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、携帯電話端末等の携帯端末に非接触ICカード機能を搭載する場合において、当該非接触ICカード機能のアンテナ(以下、ICカードアンテナと表記する。)は、一般に、携帯端末の筐体が有する複数の筐体面のうちの何れか一つの筐体面内(以下、ICカードアンテナ搭載面と表記する。)に設けられることになる。
【0008】
一方、ICカードアンテナ搭載面をリーダライタへ近づけた場合と、ICカードアンテナ搭載面の背面側の筐体面をリーダライタへ近づけた場合とでは、一般に、通信特性が大きく異なり、特に上記背面側の筐体面をリーダライタへ近づけた場合には通信特性が著しく劣化することになる。
【0009】
したがって、当該携帯端末とリーダライタとの間で非接触通信を行わせる場合、ユーザは、上記ICカードアンテナ搭載面側をリーダライタへ近づけるような動作を行う必要がある。但しその際、ユーザは、携帯端末を例えば手に持った状態でリーダライタにかざす動作を行うことになるため、当該ユーザからは、ICカードアンテナ搭載面に対して背面となる筐体面側しか見えないことになる。
【0010】
また、携帯電話端末等の場合、その構造上、ICカードアンテナ搭載面上におけるICカードアンテナの中心位置と、当該ICカードアンテナ搭載面の筐体中心位置とを一致させるような設計を行うことは難しく、通常はそれらの両中心位置は異なっている。
【0011】
このようなことから、従来の非接触ICカード機能を備えた携帯電話端末では、ユーザから見て、ICカードアンテナの中心位置を、リーダライタのアンテナ(以下、リーダライタアンテナと表記する。)の中心位置に合わせることが非常に難しくなってしまっている。
【0012】
ここで、非接触通信を行う場合において、ICカードアンテナの中心位置とリーダライタアンテナの中心位置とがずれると、通信の成功率が落ちることになる。したがって、当該通信の成功率を上げるためには、上記ICカードアンテナ搭載面をリーダライタへかざす際に、上記ICカードアンテナの中心位置とリーダライタアンテナの中心位置とを略々一致させるような位置合わせの動作が必要になる。
【0013】
また、上記非接触通信は、リーダライタからの搬送波を携帯端末が検出したことをトリガとして開始されるが、ICカードアンテナとリーダライタアンテナの両者の中心位置合わせが上手く行われないと、例えば、ICカードアンテナがリーダライタからの搬送波の検出に失敗して通信開始が遅れてしまったり、また、通信失敗によるリトライが発生して通信時間(通信完了までの時間)が長くなったり、最悪の場合、リトライを行っても通信が失敗してしまうというような事態が生じることになる。
【0014】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、リーダライタと非接触ICカードのアンテナの両中心位置をユーザが容易且つ確実,迅速に合わせられ、リーダライタとの間の非接触通信を確実に実行でき且つ通信時間の短縮化をも図ることが可能な携帯端末、非接触通信制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の携帯端末は、非接触通信を行う非接触ICカード部と、非接触ICカード部のアンテナ搭載面に対して略々垂直方向となる外部空間側を撮影可能なレンズを有し、少なくとも動画像を撮影するためのカメラ部と、カメラ部により撮影された動画像を表示可能であると共に、少なくとも非接触ICカードリーダライタのアンテナ設置面側に非接触ICカード部のアンテナをかざした時に、カメラ部により撮影された動画像を使用者が見ることのできる表示画面を備えた表示部とを有することにより、上述した課題を解決する。
【0016】
また、本発明の非接触通信制御方法は、非接触通信を行う非接触ICカード部のアンテナ搭載面に対して略々垂直方向となる外部空間側をカメラ部により撮影し、非接触ICカード部のアンテナ中心位置とカメラ部のレンズ中心位置との間の距離に応じたオフセットデータに基づいて、非接触ICカード部のアンテナ中心位置とカメラ部のレンズ中心位置との間の距離分の位置ズレを補正するためのトリミング位置を決定し、少なくとも非接触ICカードリーダライタのアンテナ設置面側に非接触ICカード部のアンテナをかざした時にカメラ部により撮影された動画像を使用者が見ることのできる表示部の表示画面に、カメラ部にて撮影された動画像からトリミング位置に応じて切り出した画像を表示し、使用者からの指示、若しくは、カメラ部により撮影された画像データを用いて非接触ICカードリーダライタのアンテナ設置面上に描かれている所定のマークのパターン認識を行ったパターン認識結果に基づいて、非接触通信の開始制御を行うことにより、上述した課題を解決する。
【0017】
また、本発明の非接触通信制御プログラムは、非接触通信を行う非接触ICカード部のアンテナ搭載面に対して略々垂直方向となる外部空間側をカメラ部により撮影するステップの機能と、非接触ICカード部のアンテナ中心位置とカメラ部のレンズ中心位置との間の距離に応じたオフセットデータに基づいて、非接触ICカード部のアンテナ中心位置とカメラ部のレンズ中心位置との間の距離分の位置ズレを補正するためのトリミング位置を決定するステップの機能と、少なくとも非接触ICカードリーダライタのアンテナ設置面側に非接触ICカード部のアンテナをかざした時にカメラ部により撮影された動画像を使用者が見ることのできる表示部の表示画面に、カメラ部にて撮影された動画像からトリミング位置に応じて切り出した画像を表示するステップの機能と、使用者からの指示、若しくは、カメラ部により撮影された画像データを用いて非接触ICカードリーダライタのアンテナ設置面上に描かれている所定のマークのパターン認識を行ったパターン認識結果に基づいて、非接触通信の開始制御を行うステップの機能を携帯端末に実行させることにより、上述した課題を解決する。
【0018】
すなわち、本発明によれば、非接触通信を行うに際し、非接触ICカードリーダライタのアンテナ設置面上に描かれている所定のマーク等をカメラ部により撮影して、その撮影画像を表示画面上に表示させることにより、ユーザに対して、リーダライタと非接触ICカードのアンテナの両中心位置を合わせる際の目標を示すようにしている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、非接触通信を行うに際し、非接触ICカードリーダライタのアンテナ設置面側を撮影した動画像を表示させることで、リーダライタと非接触ICカードのアンテナの両中心位置をユーザが容易且つ確実,迅速に合わせられるようになり、それによって、リーダライタとの間の非接触通信を確実に実行でき且つ通信時間の短縮化をも図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
【0021】
なお、以下の説明では、本発明の携帯端末、非接触通信制御方法及びプログラムが適用される一実施形態として、非接触ICカード機能とデジタルカメラ機能とを備えた携帯電話端末を例に挙げているが、勿論、ここで説明する内容はあくまで一例であり、本発明はこの例に限定されないことは言うまでもない。
【0022】
〔携帯電話端末の外観構成〕
図1〜図3には、本発明実施形態の携帯電話端末の概略的な外観構成例を示す。
【0023】
本実施の形態の携帯電話端末は、図1〜図3に示すように、第1の筐体31と第2の筐体32とヒンジ部(連結手段)33を有し、上記ヒンジ部33を介して第1の筐体31と第2の筐体32が折り重なるように二つ折り可能になされた、いわゆる折り畳み式の携帯電話端末である。なお、図1〜図3は、本実施形態の携帯電話端末を閉じた状態を示し、図1は当該閉じた状態の携帯電話端末を側面側から観た図を、図2は当該閉じた状態の携帯電話端末を第1の筐体31の正面側(第2の筐体32側からは背面側)から観た図を、図3は当該閉じた状態の携帯電話端末を第2の筐体32の正面側(第1の筐体31側からは背面側)から観た図を示している。これら図1〜図3において、通常の携帯電話端末が通常備えているその他の構成の図示及びその説明については省略する。
【0024】
図1〜図3に示すように、本実施形態の携帯電話端末は、例えば第1の筐体31の内部に非接触ICカード42を備えている。すなわち、本実施形態の場合、第1の筐体31が有する複数の筐体面のうち、当該端末を閉じた時に正面側として外部に露出することになる筐体面が、上記非接触ICカード42のアンテナ搭載面(カードアンテナ搭載面34)となされている。ここで、本実施形態の携帯電話端末において、上記非接触ICカード42のカードアンテナは、第1の筐体31の内部に設けられる他の構成要素の配置等の様々な理由から、当該第1の筐体31の長手方向の例えば一方の端部寄りに配置されているとする。したがって、非接触ICカード42のアンテナの中心位置41も、当該第1の筐体31の長手方向の一方の端部寄りとなっている。
【0025】
また本実施形態において、第1の筐体31にはカメラモジュール40も設けられている。当該カメラモジュール40は、動画像撮影機能と近接撮影機能(マクロ機能)を備えており、撮像素子及びその信号処理回路からなる撮像部と、上記撮像素子の撮像面上に被写体像を結像させるための上記レンズ系と、当該レンズ系のフォーカス機構部とからなる。ここで、本実施形態の携帯電話端末において、カメラモジュール40のレンズ系は、第1の筐体31のカードアンテナ搭載面43に対して光軸が略々垂直方向となるように配置されていると共に、当該第1の筐体31の長手方向の他方の端部寄りの位置に配されている。すなわち本実施形態の場合、カメラモジュール40のレンズ系は、図2に示すように、第1の筐体31のカードアンテナ搭載面43上において、上記非接触ICカード42のアンテナの中心位置41から或る距離Dだけ離れて配置されている。なお、カメラモジュール40のレンズ系は、必ずしも上記カードアンテナ搭載面43と同じ筐体面上に設けられていなくても良く、上記カードアンテナ搭載面43に対して略々垂直方向の外部空間を撮影可能な位置に設けられていれば良く、例えばヒンジ部33内など様々な場所に設けることが可能である。その他、カメラモジュール40のレンズ系は、フォーカス機構を備えていない所謂パンフォーカスレンズであっても良い。但し、パンフォーカスレンズであっても近接撮影は可能となされている。
【0026】
また、詳細については後述するが、本実施形態において、上記カメラモジュール40は、特に、リーダライタのアンテナ設置面上に描かれている所定のマーク(以下、ターゲットマークと表記する)を、非接触通信の際に撮影するために設けられている。上記所定のマーク(ターゲットマーク)は、リーダライタのアンテナ設置面上に必ず描かれており、ユーザが非接触ICカードをリーダライタにかざす際の目標となされるマークであり、非接触ICカードを利用した電子決済サービスシステム毎にマークのデザインが決められている。
【0027】
また、本実施形態の携帯電話端末の第2の筐体32には、サブディスプレイ50が設けられている。ここで本実施形態の携帯電話端末において、上記サブディスプレイ50は、第2の筐体32が有する複数の筐体面のうち、当該端末を閉じた時に正面側として外部に露出することになる筐体面35(以下、サブディスプレイ搭載面35とする。)上に設けられている。すなわち言い換えると、サブディスプレイ50は、当該端末が閉じられた状態の時の上記第1の筐体31のカードアンテナ搭載面に対して背面側に設けられている。本実施形態において、当該サブディスプレイ50には、上記カメラモジュール40により撮影中の動画像データをリアルタイムに表示可能となされている。なお、サブディスプレイ50は、必ずしも上記第2の筐体32のサブディスプレイ搭載面35上に設けられていなくても良く、リーダライタのアンテナ設置面側に上記非接触ICカード42のアンテナをかざした時に、上記カメラモジュール40により撮影された動画像をユーザが見ることのできるものであれば良く、例えばいわゆるフリーアングル機構を備えたディスプレイであっても良い。
【0028】
また、本実施形態の携帯電話端末において、例えばカメラモジュール40にレンズカバーが備えられており、上記リアルタイム動画像の撮影を行う際にレンズカバーが閉じているような場合には、レンズカバーを開ける旨のメッセージを上記サブディスプレイ50に表示しても良い。また、上記カメラモジュール40のレンズ系がパンフォーカスレンズ系となされており、別途マクロ切り替えスイッチが設けられており、上記リアルタイム動画像の撮影を行う際にマクロ切り替えスイッチがオフ(非マクロ側)になっているような場合には、マクロ切り替えスイッチをマクロ側へ切り替える旨のメッセージをサブディスプレイ50に表示しても良い。
【0029】
さらに、本実施形態の携帯電話端末は、例えば図1に示すような第1の筐体31の側面上、若しくは図3に示すような第2の筐体32の上記サブディスプレイ搭載面35上に、トリガボタン36を備えている。詳細については後述するが、当該トリガボタン36は、本実施形態の携帯電話端末がリーダライタと非接触通信を行うに際し、上記カメラモジュール40によるリアルタイム動画像撮影を開始させる指示をユーザが入力するため、若しくは、非接触通信の処理を開始させる指示をユーザが入力するための指示入力デバイスとして設けられている。なお、トリガボタン36は、上記第1の筐体31の側面と第2の筐体32の上記サブディスプレイ搭載面35の両方に設けても良いし、何れか一方にのみ設けても良い。
【0030】
〔携帯電話端末の内部構成〕
図4には、本発明実施形態の携帯電話端末の概略的な内部構成を示す。
【0031】
この図4において、通信アンテナ12は、例えば内蔵アンテナであり、通話やパケット通信のための信号電波の送受信を行う。通信回路11は、送受信信号の周波数変換、変調と復調等を行う。なお、パケット通信により送受信されるデータは、電子メールデータ、動画像や静止画の画像データ、音声データ、HTML(Hyper Text Markup Language)データ、プログラムデータ、その他の各種データである。ここで、上記通信アンテナ12及び通信回路11の受信データが通話音声のデータである場合、その通話音声のデータはデータラインを介して音声処理部22へ送られ、それ以外の受信データは、一旦、制御部10へ送られて適切に処理等された後、必要に応じて当該制御部10から各部へ送られる。
【0032】
音声処理部22は、上記通信アンテナ12及び通信回路11から通話音声の受信データが供給された時には、当該通話音声の受信データを復号化し、その復号化後の通話音声データをデータラインを介してスピーカ20へ送る。
【0033】
スピーカ20は、携帯電話端末に設けられている受話用のスピーカやリンガ(着信音や警告音)、音楽再生、アラーム音出力用のスピーカであり、ディジタル/アナログ変換器と増幅器を含み、通話音声やリンガ音,警告音,再生音楽のデータを、ディジタル/アナログ変換及び増幅した後、出力する。これにより、通話音声やリンガ音,再生音楽が得られることになる。
【0034】
マイクロホン21は、送話用のマイクロホンであり、アナログ/ディジタル変換器と増幅器を含む。このマイクロホン21を介して入力された通話音声信号は、増幅器により所定のレベルに増幅された後、アナログ/ディジタル変換器によりディジタル音声データに変換され、データラインを介して音声処理部22へ送られて符号化された後、データラインを介して通信回路11へ送られて変調、周波数変換等の各種処理を受け、通信アンテナ12から送信される。
【0035】
非接触ICカード部25は、データを蓄積するためのメモリと、そのメモリへのデータ書き込みや読み出し、携帯電話端末の制御部10との間でデータのやり取り等を管理するためのICカード制御回路等を備えており、ICカードアンテナ26を介してリーダライタとの間で非接触による信号の送受信を行う。
【0036】
表示部13は、液晶等からなるメインディスプレイ(図1〜図3では図示を省略している。)と、前記サブディスプレイ50と、それらを駆動するためのディスプレイ駆動回路とからなる。ディスプレイ駆動回路は、画像処理部23から供給された画像信号に基づいて、上記メインディスプレイやサブディスプレイ50を駆動する。これにより、メインディスプレイやサブディスプレイ50には、画像や文字等が表示される。なお、メインディスプレイは、第2の筐体32が有する複数の筐体面のうち、当該端末が閉じられている時には外部に露出せず、一方、当該端末を開いた時に外部に露出することになる筐体面上に設けられている。前述のサブディスプレイ50は、当該第2の筐体32のメインディスプレイが設けられている筐体面に対して背面側となる筐体面に設けられている。
【0037】
カメラ部24は、動画像撮影機能と近接撮影機能(マクロ機能)を備えたカメラモジュール(図1のカメラモジュール40)と、当該カメラモジュール40の動作を制御するカメラ制御回路とからなる。カメラモジュール40は、前述したように、撮像素子及びその信号処理回路からなる撮像部と、上記撮像素子の撮像面上に被写体像を結像させるためのレンズ系と、当該レンズ系のフォーカス機構部とからなり、第1の筐体31のアンテナ搭載面34側に設けられている。また前述したように、本実施形態の携帯電話端末において、カメラ部24は、特に、非接触通信を行う際に、リーダライタのアンテナ設置面上に描かれている所定のマーク(ターゲットマーク)を撮影するために設けられている。
【0038】
画像処理部23は、表示部13に表示される画像の処理を行う。また、画像処理部23は、制御部10による制御の元で内蔵メモリから読み出された圧縮符号化されている画像データや、インターネット等を介して取得した画像データ等を伸張復号化等し、その伸張復号後の画像データをデータラインを介して表示部13へ送って表示させる。また、詳細については後述するが、本実施形態の場合、画像処理部13は、上記カメラ部24により撮像中の動画像データをリアルタイムに表示部13へ送ってサブディスプレイ50に表示させることも行う。
【0039】
操作部14は、本実施形態の携帯電話端末の筐体上に設けられているテンキーや十字キー等の操作デバイスと、それら操作デバイスの操作に応じた操作信号を発生する操作信号発生器とからなる。なお本実施形態の携帯電話端末において、上記テンキーや十字キー等の操作デバイスは、第1の筐体31が有する複数の筐体面のうち、当該端末が閉じられている時には外部に露出せず、一方、当該端末を開いた時に外部に露出することになる筐体面上に設けられている。また、詳細については後述するが、本実施形態において、操作部14には、トリガボタン36(図1や図3のトリガボタン36)も含まれている。
【0040】
メモリ部16は、ROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)を含む。ROMは、OS(Operating System)、制御部10が各部を制御するための制御プログラムコード、各種の初期設定値、フォントデータ、辞書データ、着信音や警告音等の音データ、当該端末に搭載される各種のアプリケーション用のプログラムコード、当該端末の機器識別情報(ID)等を記憶している。このROMは、NAND型フラッシュメモリ(NAND-type flash memory)或いはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)のような書き換え可能なROMを含み、電子メールデータ、電話帳や電子メールアドレス帳のデータ、スケジュール帳のデータ、通信履歴等の様々なデータ、ユーザ辞書データ、静止画や動画データ、キー操作音等の音データ、その他、各種のユーザ設定値等を保存することも可能となされている。なお、詳細については後述するが、本実施形態の場合、メモリ部16は、上記リーダライタのアンテナ設置面に描かれているターゲットマークを当該端末にて認識する際に用いるターゲットマークパターン16のデータや、当該端末のICカードアンテナ搭載面34上におけるICカードアンテナの中心位置41に対する上記カメラモジュール40のレンズ系の位置のオフセット19のデータ(前記距離Dのデータ)、上記カメラ部24からのリアルタイム動画像撮影データと上記オフセット19のデータに基づいて、ユーザがICカードアンテナの中心位置41とカードリーダアンテナの中心位置との位置合わせを行えるようにすると同時に、非接触ICカード部25がリーダライタの通信可能エリア内であるか等をユーザに知らせるための通信可能エリア判定プログラム17(本発明にかかる非接触通信制御プログラム)なども記憶している。RAMは、制御部10が各種のデータ処理を行う際の作業領域として、随時データを格納する。
【0041】
制御部10は、CPUからなり、メモリ部16に記憶されているOSや各種プログラムに基づいて、当該端末の様々な制御を行う。詳細については後述するが、特に本実施形態の場合、制御部10は、上記操作部14のトリガボタン36からの押下操作信号に応じて、上記メモリ部16に記憶されている上記通信可能エリア判定プログラム17を実行し、本実施形態にかかる非接触通信動作の制御や、カメラ部24によるリアルタイム動画像撮影の制御、非接触通信による課金処理等を行う。
【0042】
その他、図4では図示を省略しているが、本実施形態の携帯電話端末は、外部メモリインターフェース、外部ケーブル用コネクタ、赤外線通信機能、個人認証機能、バイブレータ、バッテリ、電力制御機能、LED(発光ダイオード)など、一般的な携帯電話端末が備えている各構成要素についても備えている。なお、それら一般的な携帯電話端末が備えている回路構成やその他の構成の説明については省略する。
【0043】
〔非接触通信の開始及び実行時の動作説明〕
本実施形態の携帯電話端末がリーダライタと非接触通信を行う場合において、当該非接触通信の成功及び非接触通信に要する時間の短縮化のために重要な条件は、携帯電話端末に搭載されているICカードアンテナと、リーダライタのアンテナとの位置関係である。
【0044】
図5には、携帯電話端末とリーダライタが非接触通信を行える「通信可能エリア」と、携帯電話端末の非接触ICカード部25がリーダライタからの搬送波を検波可能となる「搬送波検出エリア」と、リーダライタのアンテナの「中心点(リーダライタ中心点)」との関係を示す。なお、「リーダライタ中心点」はターゲットマーク60が描かれている位置に相当する。
【0045】
この図5において、例えば携帯電話端末が「搬送波検出エリア」内に存在する時、当該携帯電話端末の非接触ICカード部25は、リーダライタの搬送波を検出可能となる。但し、「搬送波検出エリア」内に携帯電話端末が入っている場合であっても、リーダライタとの間の非接触通信の成功率は必ずしも100%になるわけではなく、したがって当該「搬送波検出エリア」内で非接触通信を開始したとしても通信に失敗することがある。なお、「搬送波検出エリア」内で非接触通信が失敗した場合には、通信のリトライが発生することになる。
【0046】
これに対し、携帯電話端末が「通信可能エリア」内に存在している時、特に、当該携帯電話端末のICカードアンテナ26の中心位置41が「通信可能エリア」内に存在し且つ「リーダライタ中心点」であるターゲットマークの位置と略々一致している時には、リーダライタとの間の非接触通信の成功率が略々100%に保障されている。
【0047】
したがって、携帯電話端末とリーダライタとの間の非接触通信を成功させ、通信のリトライ発生を無くして非接触通信の時間を短縮するためには、ユーザは、携帯電話端末のICカードアンテナ26の中心位置41を「通信可能エリア」内に入れ且つ「リーダライタ中心点(ターゲットマーク)」の位置と略々一致させることが必要となる。
【0048】
一方、携帯電話端末とリーダライタとの間で非接触通信を行わせる場合において、上記「リーダライタ中心点」については、当該リーダライタのアンテナ設置面上に描かれているターゲットマーク60の存在により、ユーザから見てその位置が明確であるが、携帯電話端末のICカードアンテナ26の中心位置41については、ユーザからみてその位置が判り難い。つまり、携帯電話端末とリーダライタとの間で非接触通信を行わせる場合、ICカードアンテナ搭載面34はリーダライタ側へ向けられることになるため、ユーザからは、当該ICカードアンテナ26の中心位置41が「リーダライタ中心点」に正確に合っているのかを確認出来ない。
【0049】
このようなことから、本実施形態の携帯電話端末は、ユーザによるトリガボタン36の押下操作に応じて以下に説明する機能を実行することにより、リーダライタとICカードアンテナの両中心位置をユーザが容易且つ確実,迅速に合わせられるようにし、また、リーダライタとの間の非接触通信を確実に実行でき且つ通信時間の短縮化をも図ることを可能にしている。
【0050】
ここで、本実施形態の携帯電話端末は、ユーザがICカードアンテナ26の中心位置41と「リーダライタ中心点」とを合わせる際の補助を行い、ユーザからの指示を待って非接触通信を実行するマニュアルモード機能と、ICカードアンテナ26の中心位置41と「リーダライタ中心点」との一致を端末自身が判定し、それら位置が合った時に自動的に非接触通信を実行するオートモード機能とを備えている。
【0051】
〔マニュアルモード〕
先ず、マニュアルモードについて説明する。
【0052】
本実施形態の携帯電話端末は、ユーザによりトリガボタン36が短押し(後述する長押し時間よりも短い時間の押下操作)された時に、それをトリガとして制御部10がマニュアルモード用の通信可能エリア判定プログラム17を起動させる。そして、当該マニュアルモード用の通信可能エリア判定プログラム17が起動すると、制御部10は、先ず上記カメラ部24を制御してリアルタイム動画像の撮影を開始させると共に、そのリアルタイム動画像をサブディスプレイ50上に表示させる。
【0053】
ここで、前述したように、ICカードアンテナ搭載面34上におけるICカードアンテナの中心位置41と、上記カメラモジュール40のレンズ系の位置との間には、前記距離D分のオフセット19が存在している。このため、制御部10は、上記カメラ部24によるリアルタイム動画像の撮影開始に先立ち、上記距離D分のオフセット19のデータをメモリ部16から取得し、そのオフセット19のデータに基づいて、上記カメラ部24によるリアルタイム動画像から上記距離Dの位置ズレ分を補正するためのトリミング位置を決定する。そして、上記カメラ部24のリアルタイム動画像の撮影が開始されると、制御部10は、そのリアルタイム動画像から上記トリミング位置に応じた画像領域を切り出し(トリミングする)、そのトリミングされた動画像を上記サブディスプレイ50上に表示させる。
【0054】
次に、当該マニュアルモードの場合、ユーザは、サブディスプレイ50上に表示されているトリミング画像の略々中央に、リーダライタのターゲットマーク60が来るように携帯電話端末を移動させると共に、そのターゲットマーク60の画像の大きさが或る大きさ以上になるように、携帯電話端末をリーダライタへ近づける。なお、ターゲットマーク60の画像の大きさが上記或る大きさ以上になったか否かをユーザが判断するための補助として、サブディスプレイ50内に上記或る大きさを示す所定の枠画像を表示しても良い。
【0055】
すなわち本実施形態において、上記ターゲットマーク60が上記トリミング画像内の略々中央に存在した場合とは、ICカードアンテナ26の中心位置41が「リーダライタ中心点(ターゲットマーク)」の位置と略々一致したことを表しており、さらに、そのターゲットマーク60の画像の大きさが或る大きさ以上である場合とは、ICカードアンテナ26の中心位置41が上記リーダライタの「通信可能エリア」内に存在することを表している。図6には、トリミング画像61内の略々中央にターゲットマーク60が存在している場合の画像例を示し、図7には、トリミング画像61内からターゲットマーク60の一部が外れている場合の画像例を示している。
【0056】
そして、サブディスプレイ60上に表示されている動画像の略々中央にターゲットマーク60が位置し、且つ、そのターゲットマーク60の画像の大きさが或る大きさ以上になった時、ユーザは、トリガボタン36を再度押下する。なお、当該マニュアルモードにおいて、後述するオートモードで説明するパターン認識を行い、上記ターゲットマークと略々一致するパターンが上記トリミング画像内の略々中央に存在し、且つ、そのパターンの大きさが予め定めた大きさ以上である場合に、ユーザに対して、非接触通信の開始を求める旨のメッセージ(例えばトリガボタン36の押下を求めるメッセージ等)をサブディスプレイ50上に表示したり、所定の通知音を出力するようにしても良い。
【0057】
上述のように、上記ユーザによりトリガボタン36が再度押下された場合、制御部10は、上記非接触ICカード部25とリーダライタとの間の非接触通信を開始させる。
【0058】
以上のように、本実施形態によれば、マニュアルモードの場合に、ユーザは、サブディスプレイ50上の表示を見つつ携帯電話端末の位置を動かすことにより、リーダライタのターゲットマーク60とICカードアンテナの中心位置41とを迅速且つ容易に一致させることができ、また、リーダライタの「通信可能エリア」内に当該携帯電話端末を入れることができる。したがって、本実施形態の携帯電話端末によれば、リーダライタとの間の非接触通信を確実に実行でき且つ通信時間の短縮化を図ることが可能である。
【0059】
なお、上述の例では、トリガボタン36が押下されたことをトリガにしていたが、例えばトリガボタン36が押下され続けている間は非接触通信処理の開始を保留としておき、携帯電話端末が「通信可能エリア」内に入った後、トリガボタン36の押下が解除された時に非接触通信を開始するようにしても良い。
【0060】
〔オートモード〕
次に、オートモードについて説明する。
【0061】
本実施形態の携帯電話端末は、ユーザによりトリガボタン36が例えば一定時間以上押下(長押し)された時に、それをトリガとして制御部10がオートモード用の通信可能エリア判定プログラム17を起動させる。そして、当該オートモード用の通信可能エリア判定プログラム17が起動すると、制御部10は、先ず上記カメラ部24を制御してリアルタイム動画像の撮影を開始させると共に、そのリアルタイム動画像をサブディスプレイ50上に表示させる。
【0062】
ここで、ICカードアンテナ搭載面34上におけるICカードアンテナの中心位置41と、上記カメラモジュール40のレンズ系の位置との間には、前記距離D分のオフセット19が存在しているため、前述のマニュアルモードの場合と同様に、制御部10は、上記カメラ部24によるリアルタイム動画像の撮影開始に先立ち、上記距離D分のオフセット19のデータをメモリ部16から取得し、そのオフセット19のデータに基づいて、上記カメラ部24によるリアルタイム動画像から上記距離Dの位置ズレ分を補正するためのトリミング位置を決定する。そして、上記カメラ部24のリアルタイム動画像の撮影が開始されると、制御部10は、そのリアルタイム動画像から上記トリミング位置に応じた画像領域を切り出し(トリミングする)、そのトリミングされた動画像を上記サブディスプレイ50上に表示させる。
【0063】
次に、当該オートモードの場合、制御部10は、上記オフセット19分を考慮してトリミングされた動画像の略々中央に、メモリ部16に保存されているターゲットマークパターン18と略々一致するパターンが存在するか否かを検出するようなパターンマッチングを行う。そして、上記ターゲットマークパターン18と略々一致するパターンが、上記トリミング画像内の略々中央に存在する時には、更に、そのパターンの大きさが予め定めた大きさ以上であるかの大きさ判定を行う。
【0064】
すなわち当該オートモードにおいて、上記ターゲットマークパターン18と略々一致するパターンが上記トリミング画像内の略々中央に存在した場合とは、ICカードアンテナ26の中心位置41が「リーダライタ中心点(ターゲットマーク)」の位置と略々一致したことを表しており、さらに、そのパターンの大きさが予め定めた大きさ以上である場合とは、ICカードアンテナ26の中心位置41が上記リーダライタの「通信可能エリア」内に存在することを表している。
【0065】
そして、制御部10は、図6の画像例のように、上記ターゲットマークパターン18と略々一致するパターンが上記トリミング画像内の略々中央に存在し、且つ、そのパターンの大きさが予め定めた大きさ以上である場合には、サブディスプレイ50上にその旨を表示(或いは所定の通知音を出力)してユーザに対して非接触通信が可能であることを通知すると共に、上記非接触ICカード部25とリーダライタとの間の非接触通信を開始させる。
【0066】
これにより、本実施形態の携帯電話端末によれば、ユーザは、サブディスプレイ50上の表示を見つつ携帯電話端末の位置を動かすことにより、リーダライタのターゲットマーク60とICカードアンテナの中心位置41とを迅速且つ容易に一致させることができ、且つ、リーダライタの「通信可能エリア」内に携帯電話端末を入れることができる。そして、当該オートモードの場合、本実施形態の携帯電話端末では、リーダライタのターゲットマーク60とICカードアンテナの中心位置41とが略々一致し、且つ、リーダライタの「通信可能エリア」内に携帯電話端末が入った時に、リーダライタとの間の非接触通信を自動的に実行することができる。
【0067】
なお、ターゲットマークのデザインは電子決済サービスシステム毎に異なるデザインが採用されており、各電子決済サービスシステム毎に異なる非接触通信アプリケーションが使用され、また、課金処理もそれぞれ独立して行われている。このため、本実施形態の携帯電話端末は、上記ターゲットマークパターン18のパターン認識の際に、そのターゲットマークが何れの電子決済サービスシステムに対応しているのかを判定し、その判定結果に応じた非接触通信アプリケーションを起動させることも可能となされている。
【0068】
〔通信可能エリア判定プログラム実行時の制御部のフロー〕
図8と図9には、本実施形態の携帯電話端末において、トリガボタン36の押下操作に応じて制御部10が通信可能エリア判定プログラム17を起動させた後の処理の流れを示す。なお、図8には、トリガボタン36が短押しされて通信可能エリア判定プログラムがマニュアルモードで起動した時の制御部10における処理の流れを示し、図9には、トリガボタン36が長押しされて通信可能エリア判定プログラムがオートモードで起動した時の制御部10における処理の流れを示している。
【0069】
図8において、ステップS1の処理として、制御部10は、トリガボタン36から押下操作信号が供給されると、ステップS2の処理として、当該トリガボタン36の押下操作は長押しか否かを判定する。当該ステップS2にて、トリガボタン36の長押しであると判定した場合には、通信可能エリア判定プログラムをオートモードで起動させて図9に示すステップS20以降へ処理を進め、一方、長押しでない(短押しである)と判定した場合には、通信可能エリア判定プログラムをマニュアルモードで起動させてステップS3へ処理を進める。
【0070】
ステップS2にて長押しでない(短押しである)と判定されてステップS3の処理に進むと、制御部10は、非接触ICカード部25の状態が非動作状態になっていることを確認した後、ステップS4へ処理を進める。
【0071】
ステップS4の処理に進むと、制御部10は、ICカードアンテナ搭載面34上におけるICカードアンテナの中心位置41とカメラモジュール40のレンズ系の位置との間に存在する前記距離D分を補正するためのターゲットマーク位置補正用オフセット(19)の座標データ(x,y)をメモリ部16から取得する。
【0072】
次に、制御部10は、ステップS5へ処理を進め、非接触ICカード部25の機能を起動させた後、当該非接触ICカード部25を非接触通信の待機状態に設定する。
【0073】
次に、制御部10は、ステップS6へ処理を進め、カメラ部24を起動させ、リアルタイム動画像の撮影を開始させる。
【0074】
次に、制御部10は、ステップS7の処理として、上記オフセット19のデータを元に前述のトリミング位置を決定し、更に、ステップS8の処理として、当該トリミング位置に応じて切り出したトリミング画像をサブディスプレイ50に表示させる。
【0075】
そして、制御部10は、ステップS9からステップS12までのループ処理に移行する。
【0076】
当該ループ処理に移行すると、制御部10は、先ず、ステップS10の処理として、ユーザによりトリガボタン36が再度短押しされたか否か判定し、トリガボタン36が再度短押しされたと判定した時に、ステップS11の処理として、非接触ICカード部25の状態を動作状態に設定する。
【0077】
上記ステップS9〜ステップS12のループ処理を抜けると、制御部10は、ステップS13の処理として、非接触ICカード部25を制御し、リーダライタとの間の非接触通信処理を開始させる。
【0078】
そして、制御部10は、ステップS14の処理として、非接触ICカード部25を制御し、上記リーダライタと非接触通信を行うことにより発生した課金に関する処理を行わせた後、ステップS15の処理として、非接触ICカード部25を制御して、非接触通信処理を終了させる。
【0079】
次に、制御部10は、ステップS16の処理として、非接触ICカード部25の状態が非動作状態に戻っていることを確認した後、ステップS17へ処理を進め、カメラ部25の機能を終了させる。
【0080】
その後、制御部10は、ステップS18の処理として、当該通信可能エリア判定プログラムを終了させる。
【0081】
また、前記ステップS2にて長押しであると判定されて通信可能エリア判定プログラムのオートモードが起動し、図9のステップS20以降の処理に進むと、制御部10は、先ず、ステップS21の処理として、前記距離D分を補正するためのターゲットマーク位置補正用オフセット(19)の座標データ(x,y)をメモリ部16から取得し、さらに、ステップS22の処理として、前述したトリミング画像内の略々中央にターゲットマークパターン19が存在することの判定に用いる際のターゲットマークパターンの位置とデータをメモリ部16から取得する。
【0082】
次に、制御部10は、ステップS23へ処理を進め、非接触ICカード部25の機能を起動させた後、当該非接触ICカード部25を非接触通信の待機状態に設定する。
【0083】
次に、制御部10は、ステップS24へ処理を進め、カメラ部24を起動させ、リアルタイム動画像の撮影を開始させる。
【0084】
次に、制御部10は、ステップS25の処理として、上記オフセット19のデータを元に前述のトリミング位置を決定し、更に、ステップS26の処理として、当該トリミング位置に応じて切り出したトリミング画像をサブディスプレイ50に表示させる。
【0085】
その後、制御部10は、非接触ICカード部25の状態が非動作状態になっていることを確認した後、ステップS28からステップS31までのループ処理に移行する。
【0086】
当該ループ処理に移行すると、制御部10は、先ず、ステップS29の処理として、前述のように、上記オフセット19分を考慮してトリミングされた動画像の略々中央に上記ターゲットマークパターン18と略々一致するパターンが存在するか否かを検出する位置合わせと、上記ターゲットマークパターン18と略々一致するパターンがトリミング画像内の略々中央に存在する時に、そのパターンの大きさが予め定めた大きさ以上であるかの大きさ判定を行う。
【0087】
そして、ターゲットマークパターン18と略々一致するパターンが存在し、且つ、その大きさが予め定めた大きさ以上である時、制御部10は、ステップS30の処理として、非接触ICカード部25の状態を動作状態に設定する。
【0088】
上記ステップS28〜ステップS31のループ処理を抜けると、制御部10は、ステップS32の処理として、非接触ICカード部25を制御し、リーダライタとの間の非接触通信処理を開始させる。
【0089】
そして、制御部10は、ステップS33の処理として、非接触ICカード部25を制御し、上記リーダライタと非接触通信を行うことにより発生した課金に関する処理を行わせた後、ステップS34の処理として、非接触ICカード部25を制御して、非接触通信処理を終了させる。
【0090】
次に、制御部10は、ステップS35の処理として、非接触ICカード部25の状態が非動作状態に戻っていることを確認した後、ステップS36へ処理を進め、カメラ部25の機能を終了させる。
【0091】
その後、制御部10は、ステップS37の処理として、当該通信可能エリア判定プログラムを終了させる。
【0092】
〔まとめ〕
以上説明したように、本発明実施形態の携帯電話端末によれば、カメラモジュール40をICカードアンテナ搭載面34と同一筐体面上に設けると共に、ICカードアンテナ搭載面34の背面側の筐体面にサブディスプレイ50を設け、上記カメラモジュール40によりリーダライタ側のターゲットマーク60のリアルタイム動画像を撮影し、カメラモジュール40の位置とICカードアンテナの中心位置41の位置のオフセット分を補正した状態の撮影動画像をサブディスプレイ50上に表示することにより、ユーザがリーダライタのターゲットマーク60とICカードアンテナの中心位置41とを迅速且つ容易に一致させられるようにしている。また、本実施形態の携帯電話端末によれば、リーダライタのターゲットマーク60とICカードアンテナの中心位置41とが略々一致してリーダライタの「通信可能エリア」内に携帯電話端末が入った時に、リーダライタとの間の非接触通信を開始できるため、無駄なリトライの発生を無くし、リーダライタとの間の非接触通信を確実に実行でき、通信の成功率の改善と通信時間の短縮化とを図ることができる。
【0093】
なお、上述した各実施形態の説明は、本発明の一例である。このため、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることはもちろんである。
【0094】
本発明の携帯端末は、上述した携帯電話端末に限らず、例えば一般的なデジタルカメラやデジタルビデオカメラ、カメラ機能を備えたPDA(Personal Digital Assistants)等の各種の携帯端末にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の実施形態の携帯電話端末が閉じられた状態の時に当該携帯電話端末を側面側から観た外観図である。
【図2】本発明の実施形態の携帯電話端末が閉じられた状態の時に当該携帯電話端末を第1の筐体の正面側から観た外観図である。
【図3】本発明の実施形態の携帯電話端末が閉じられた状態の時に当該携帯電話端末を第2の筐体の正面側から観た外観図である。
【図4】本発明の各実施形態の携帯電話端末の概略的な内部回路構成を示すブロック図である。
【図5】携帯電話端末とリーダライタが非接触通信を行う際の「通信可能エリア」と、携帯電話端末の非接触ICカード部がリーダライタからの搬送波を検波可能な「搬送波検出エリア」と、リーダライタのアンテナの中心位置との関係を示す図である。
【図6】トリミング画像内の略々中央にターゲットマークが存在している場合の画像例を示す図である。
【図7】トリミング画像内からターゲットマークの一部が外れている場合の画像例を示す図である。
【図8】トリガボタンが短押しされて通信可能エリア判定プログラムがマニュアルモードで起動した時の制御部における処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】トリガボタンが長押しされて通信可能エリア判定プログラムがオートモードで起動した時の制御部における処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0096】
10 制御部、11 通信回路、12 通信用のアンテナ、13 表示部、14 操作部、16 メモリ部、17 通信可能エリア判定プログラム、18 ターゲットマークパターン、19 オフセット、20 スピーカ、21 マイクロホン、22 音声信号処理部、23 画像信号処理部、24 カメラ部、25 非接触ICカード部、26 ICカードアンテナ、31 第1の筐体、32 第2の筐体、33 ヒンジ部、34 カードアンテナ搭載面、35 サブディスプレイ搭載面、36 トリガボタン、40 カメラモジュール、41 ICカードアンテナの中心位置、42 非接触ICカード、60 ターゲットマーク 61 トリミング画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触通信を行う非接触ICカード部と、
上記非接触ICカード部のアンテナ搭載面に対して略々垂直方向となる外部空間側を撮影可能なレンズを有し、少なくとも動画像を撮影するためのカメラ部と、
上記カメラ部により撮影された動画像を表示可能であると共に、少なくとも非接触ICカードリーダライタのアンテナ設置面側に上記非接触ICカード部のアンテナをかざした時に、上記カメラ部により撮影された動画像を使用者が見ることのできる表示画面を備えた表示部と、
を有することを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
上記カメラ部による撮影開始の指示、若しくは、上記非接触通信開始の指示をユーザが入力するための指示操作入力ボタンを筐体上に備えたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
上記カメラ部のレンズは、上記非接触ICカード部のアンテナ搭載面と同一筐体面上に設けられており、
上記表示部の表示画面は、上記非接触ICカード部のアンテナ搭載面に対して相対応する背面側の筐体面上に設けられており、
上記指示操作入力ボタンは、上記非接触ICカード部のアンテナ搭載面に対して略々垂直関係を有する側面がわの筐体面上、若しくは、上記表示部の表示画面と同一筐体面上の、少なくとも何れかに設けられていることを特徴とする請求項2記載の携帯端末。
【請求項4】
上記非接触ICカード部のアンテナ中心位置と、上記カメラ部のレンズ中心位置との間の距離に応じたオフセットデータを保持するオフセット保持部と、
上記オフセット保持部に保持されている上記オフセットデータに基づいて、上記非接触ICカード部のアンテナ中心位置と上記カメラ部のレンズ中心位置との間の距離分の位置ズレを補正するためのトリミング位置を決定し、上記カメラ部により撮影された動画像から、上記トリミング位置に応じた画像領域を切り出して上記表示部の表示画面上に表示させる制御部とを有することを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項5】
上記カメラ部により撮影された画像データから、非接触ICカードリーダライタのアンテナ設置面上に描かれている所定のマークのパターン認識を行い、そのパターン認識結果に基づいて、使用者に所定の通知を行うことを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項6】
上記カメラ部により撮影された画像データから、非接触ICカードリーダライタのアンテナ設置面上に描かれている所定のマークのパターン認識を行い、そのパターン認識結果に基づいて、上記非接触通信の開始制御を行うことを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項7】
上記カメラ部により撮影された画像データから、非接触ICカードリーダライタのアンテナ設置面上に描かれている所定のマークのパターン認識を行い、そのパターン認識結果に基づいて、上記非接触通信に使用するアプリケーションの切り替え制御を行うことを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項8】
非接触通信を行う非接触ICカード部のアンテナ搭載面に対して略々垂直方向となる外部空間側をカメラ部により撮影し、
上記非接触ICカード部のアンテナ中心位置と上記カメラ部のレンズ中心位置との間の距離に応じたオフセットデータに基づいて、上記非接触ICカード部のアンテナ中心位置と上記カメラ部のレンズ中心位置との間の距離分の位置ズレを補正するためのトリミング位置を決定し、
少なくとも非接触ICカードリーダライタのアンテナ設置面側に上記非接触ICカード部のアンテナをかざした時に上記カメラ部により撮影された動画像を使用者が見ることのできる表示部の表示画面に、上記カメラ部にて撮影された動画像から上記トリミング位置に応じて切り出した画像を表示し、
使用者からの指示、若しくは、上記カメラ部により撮影された画像データを用いて非接触ICカードリーダライタのアンテナ設置面上に描かれている所定のマークのパターン認識を行ったパターン認識結果に基づいて、非接触通信の開始制御を行う、
ことを特徴とする非接触通信制御方法。
【請求項9】
非接触通信を行う非接触ICカード部のアンテナ搭載面に対して略々垂直方向となる外部空間側をカメラ部により撮影するステップの機能と、
上記非接触ICカード部のアンテナ中心位置と上記カメラ部のレンズ中心位置との間の距離に応じたオフセットデータに基づいて、上記非接触ICカード部のアンテナ中心位置と上記カメラ部のレンズ中心位置との間の距離分の位置ズレを補正するためのトリミング位置を決定するステップの機能と、
少なくとも非接触ICカードリーダライタのアンテナ設置面側に上記非接触ICカード部のアンテナをかざした時に上記カメラ部により撮影された動画像を使用者が見ることのできる表示部の表示画面に、上記カメラ部にて撮影された動画像から上記トリミング位置に応じて切り出した画像を表示するステップの機能と、
使用者からの指示、若しくは、上記カメラ部により撮影された画像データを用いて非接触ICカードリーダライタのアンテナ設置面上に描かれている所定のマークのパターン認識を行ったパターン認識結果に基づいて、非接触通信の開始制御を行うステップの機能を、
携帯端末に実行させることを特徴とする非接触通信制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−300579(P2007−300579A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−128990(P2006−128990)
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【出願人】(501431073)ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社 (810)
【Fターム(参考)】