説明

携帯端末装置、通信システム、サーバ、その制御方法及びプログラム

【課題】近距離無線通信を用いて目的とするソフトウェアを容易に取得できる携帯端末装置を提供する。
【解決手段】携帯端末装置1は、無線通信部2と、通信制御部3と、判定部4と、ソフトウェア取得部5とを備える。無線通信部2は、サーバ6との間で近距離無線通信を行う。通信制御部3は、所定の信号に応答して、無線通信部2を介して接続先をサーバ6とするペアリング動作を行う。判定部4は、ペアリングが確立すると、無線通信部2を介してサーバ6にアクセスし、サーバ6に目的とするソフトウェアが格納されているか否かを判定する。ソフトウェア取得部5は、判定部4が目的とするソフトウェアがサーバ6に格納されていると判定すると、無線通信部2を介してサーバ6から目的とするソフトウェアを受信して、記憶部7に記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末装置、通信システム、サーバ、その制御方法及びプログラムに関し、更に詳しくは、ソフトウェアの書換えを行う携帯端末装置、通信システム、サーバ、その制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機等に代表される携帯端末装置の機能の増加に伴って、携帯端末装置に搭載されるソフトウェアの規模が増大している。このような状況の下、携帯端末装置に搭載されるソフトウェアの開発では、リリースが一度のみということは稀であり、実際には、ソフトウェアのバージョンアップを実施しながら、動作確認を実行し、製品としての完成度を高めていくという手法を採用する傾向にある。ソフトウェアのバージョンアップを行う際には、個々の携帯端末装置に記憶されたソフトウェアを書き換えることになる。
【0003】
上記手法を採用すると、規模の大きなソフトウェアでは、書換えに要する時間及び工数が大きく、開発に要するコストが増大する。また、一般ユーザがソフトウェアのバージョンアップを行う際には、携帯端末装置を販売店等に持ち込んで更新後のソフトウェアを記憶したサーバと携帯端末装置とを接続してダウンロードする等、書換えに際して手間がかかっていた。
【0004】
特許文献1には、ファームウェアの自動書換えを可能とする通信端末が記載されている。通信端末は、通話等を行うための第1の無線通信手段と、第1の無線通信手段とは異なる通信方式で無線通信を行う第2の無線通信手段と、ファームウェアのプログラムを記憶する書き換え可能なプログラム記憶手段とを備えている。通信端末では、第2の無線通信手段が、近距離無線通信の規格であるBluetooth(登録商標)で近距離無線通信を行い、新たなファームウェアのプログラムを受信して、プログラム記憶手段に格納する。このため、通信端末は、通話等の本来の通信に影響を与えずにファームウェアの自動書換えを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−251749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術では、第2の無線通信手段で新たなファームウェアのプログラムを受信する前に、ファームウェアが更新可能である旨が電子メールやダイレクトメール等によって通知される必要がある。つまり、通信端末自体では、ファームウェアの更新が可能であるか否かは判定できないため、電子メールやダイレクトメール等を受信するというプロセスが必要となる。特許文献1には、電子メールやダイレクトメール等を通知するための具体的な構成は記載されていない。
【0007】
本発明は、近距離無線通信を用いて目的とするソフトウェアを容易に取得できる携帯端末装置、その制御方法及びプログラム、通信システムを提供すること、また、目的とするソフトウェアを携帯端末装置に提供できるサーバ、その制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、サーバとの間で近距離無線通信を行う無線通信部と、
所定の信号に応答して、前記無線通信部を介して接続先を前記サーバとするペアリング動作を行う通信制御部と、
前記ペアリングが確立すると、前記無線通信部を介して前記サーバにアクセスし、前記サーバに目的とするソフトウェアが格納されているか否かを判定する判定部と、
前記判定部が目的とするソフトウェアが前記サーバに格納されていると判定すると、前記無線通信部を介して前記サーバから目的とするソフトウェアを受信して、記憶部に記憶するソフトウェア取得部とを備える携帯端末装置を提供する。
【0009】
本発明は、上述の携帯端末装置と組み合わせて使用されるサーバを備える通信システムであって、
前記サーバが、少なくとも1つのソフトウェアについて複数の版のソフトウェアを格納しており、前記携帯端末装置からの要求に応答して、前記複数の版のリストを送信する通信システムを提供する。
【0010】
また、本発明は、コンピュータが、所定の信号に応答して、無線通信部を介して接続先をサーバとするペアリング動作を実行するステップと、
コンピュータが、前記ペアリングが確立すると、前記無線通信部を介して前記サーバにアクセスし、前記サーバに目的とするソフトウェアが格納されているか否かを判定するステップと、
コンピュータが、前記判定ステップで目的とするソフトウェアが前記サーバに格納されていると判定されると、前記サーバから目的とするソフトウェアを受信して、記憶部に記憶するステップと、を有する携帯端末装置の制御方法を提供する。
【0011】
さらに、本発明は、コンピュータに、
所定の信号に応答して、無線通信部を介して接続先をサーバとするペアリング動作を実行する処理と、
前記ペアリングが確立すると、前記無線通信部を介して前記サーバにアクセスし、前記サーバに目的とするソフトウェアが格納されているか否かを判定する処理と、
前記判定ステップで目的とするソフトウェアが前記サーバに格納されていると判定されると、前記無線通信部を介して前記サーバから目的とするソフトウェアを受信して、記憶部に記憶する処理と、を実行させる携帯端末装置のためのプログラムを提供する。
【0012】
本発明は、携帯端末装置との近距離無線通信を行う無線通信部と、
携帯端末装置からのペアリング要求に応答して、前記無線通信部を介して前記携帯端末装置との間で無線通信を確立する通信制御部と、
前記携帯端末装置から、前記無線通信部を介してソフトウェアの提供要求を受信すると、記憶部から目的とするソフトウェアを読み出し、前記無線通信部を介して前記携帯端末装置に提供するソフトウェア提供部とを備えるサーバを提供する。
【0013】
また、本発明は、携帯端末装置からのペアリング要求に応答して、無線通信部を介して前記携帯端末装置との間で無線通信を確立するステップと、
前記携帯端末装置から、前記無線通信部を介してソフトウェアの提供要求を受信すると、記憶部から目的とするソフトウェアを読み出し、前記無線通信部を介して前記携帯端末装置に提供するステップと、を有するサーバの制御方法を提供する。
【0014】
さらに、本発明は、コンピュータに、
携帯端末装置からのペアリング要求に応答して、無線通信部を介して前記携帯端末装置との間で無線通信を確立する処理と、
前記携帯端末装置から、前記無線通信部を介してソフトウェアの提供要求を受信すると、記憶部から目的とするソフトウェアを読み出し、前記無線通信部を介して前記携帯端末装置に提供する処理と、を実行させるサーバのためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の携帯端末装置、その制御方法及びプログラム、通信システムでは、近距離無線通信を用いて目的とするソフトウェアを容易に取得できる。また、本発明のサーバ、その制御方法及びプログラムでは、目的とするソフトウェアを携帯端末装置に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)及び(b)は、本発明の携帯端末装置及びサーバの最小構成を示す図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る携帯端末装置及びサーバを含む通信システムを示す図。
【図3】(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態に係る携帯端末装置及びサーバの構成を示す図。
【図4】(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態に係る携帯端末装置及びサーバの動作を示すフローチャート。
【図5】比較例である携帯端末装置及びサーバを含む通信システムの構成を示す図。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る携帯端末装置及びサーバを含む通信システムを示す図。
【図7】(a)及び(b)は、本発明の第2の実施形態に係る携帯端末装置及びサーバの動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1(a)は、本発明の携帯端末装置の最小構成を示すブロック図である。携帯端末装置1は、最小構成として、無線通信部2と、通信制御部3と、判定部4と、ソフトウェア取得部5とを備える。無線通信部2は、サーバ6との間で近距離無線通信を行う。通信制御部3は、所定の信号に応答して、無線通信部2を介して接続先をサーバ6とするペアリング動作を行う。判定部4は、ペアリングが確立すると、無線通信部2を介してサーバ6にアクセスし、サーバ6に目的とするソフトウェア(以下、対象ソフトウェア)が格納されているか否かを判定する。ソフトウェア取得部5は、判定部4が対象ソフトウェアがサーバ6に格納されていると判定すると、無線通信部2を介してサーバ6から対象ソフトウェアを受信して、記憶部7に記憶する。
【0018】
携帯端末装置1では、サーバ6とのペアリングを確立した後に、サーバ6にアクセスし、対象ソフトウェアがサーバ6に格納されていると、無線通信部2を介して対象ソフトウェアを記憶部7に記憶する。携帯端末装置1は、対象ソフトウェアがサーバ6に格納されているか否かを判定した上で、近距離無線通信を用いて対象ソフトウェアを容易に取得できる。
【0019】
図1(b)は、本発明のサーバの最小構成を示すブロック図である。サーバ6は、最小構成として、無線通信部2Aと、通信制御部3Aと、ソフトウェア提供部5Aとを備える。無線通信部2Aは、携帯端末装置1との近距離無線通信を行う。通信制御部3Aは、携帯端末装置1からのペアリング要求に応答して、無線通信部2Aを介して携帯端末装置1との間で無線通信を確立する。ソフトウェア提供部5Aは、携帯端末装置1から、無線通信部2Aを介してソフトウェアの提供要求を受信すると、記憶部7Aから対象ソフトウェアを読み出し、無線通信部2Aを介して携帯端末装置1に提供する。
【0020】
サーバ6では、携帯端末装置1からソフトウェアの提供要求を受けて、記憶部7Aから対象ソフトウェアを読み出して、無線通信部2Aを介して携帯端末装置1に送信する。サーバ6は、携帯端末装置1からのソフトウェアの提供要求に応じて、近距離無線通信を用いて対象ソフトウェアを携帯端末装置1に提供する。また、記憶部7Aは、サーバ6内に配置しても、サーバ6の外部に配置してもよい。
【0021】
以下、図2〜図7を参照して、本発明の例示的な実施の形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る携帯端末装置及びサーバを含む通信システムの構成を示す図である。通信システム100は、携帯電話機等の複数の携帯端末装置10と、サーバ20とを有する。これら複数の携帯端末装置10とサーバ20との間では、例えばBluetooth規格によって定められた通信方式で、近距離無線通信が行われる。近距離無線通信で使用されるプロファイルとしては、例えば、パーソナルエリア・ネットワーク(PAN:Personal Area Networking)プロファイルが挙げられる。但し、プロファイルは、複数の携帯端末装置10とサーバ20とを同時に接続し、且つ通信が実施できるプロトコルであれば特に限定されない。
【0022】
携帯端末装置10は、図3(a)に示すように、無線送受信部11と、Bluetooth通信部12と、CPU13と、ROM14と、RAM15と、マイク16と、スピーカ17と、表示部18と、操作部19とを備える。
【0023】
無線送受信部11は、アンテナを介して無線信号を送受信し、通話等を行うために信号の復調及び変調を行う。Bluetooth通信部12は、アンテナを介してBluetooth規格によって定められた通信方式で無線信号を送受信し、サーバ20との間で近距離無線通信を行い、また、Bluetooth規格に従って信号の復調及び変調を行う。
【0024】
CPU13は、携帯端末装置10内の上記各部の動作を制御するものであり、例えば通信制御部13Aと、判定部13Bと、ソフトウェア取得部13Cとを有する。ROM14は、書換え可能なROM(例えば、フラッシュメモリ、EEPROM)であり、CPU13が実行する書換え対象となるソフトウェアを格納している。ROM14は、対象ソフトウェアの数だけ配置してもよい。RAM15は、CPU13の作業領域として用いられ、CPU13の実行に際して必要なデータを格納する。ここで、書換え対象のソフトウェアがバージョンアップされた対象ソフトウェアは、サーバ20に格納されていることを前提とする。なお、バージョンアップは、ソフトウェア開発に伴うものを想定しているため、携帯端末装置10のユーザとしては、バージョンアップ毎にソフトウェアの動作確認を行う開発者等が挙げられる。
【0025】
マイク16及びスピーカ17は、例えば通話時での音声の入力及び出力を行う。表示部18は、LCD(Liquid Crystal Display)等であって、各種情報を表示する。操作部19は、テンキー等の操作キーを含み、ユーザに押下されるとCPU13に指示信号を出力する。
【0026】
CPU13内の通信制御部13Aは、操作部19からの指示信号、例えばサーバ20との間で近距離無線通信を確立することを要求する信号に応答して、Bluetooth通信部12を介してペアリング動作を行う。ここでのペアリング動作とは、近距離無線通信の接続先をサーバ20とするための動作をいう。また、判定部13Bは、サーバ20とのペアリング確立後に、Bluetooth通信部12を介してサーバ20に対象ソフトウェアが格納されているか否かを判定する。さらに、ソフトウェア取得部13Cは、判定部13Bで対象ソフトウェアがサーバ20に格納されていると判定されると、Bluetooth通信部12を介してサーバ20から対象ソフトウェアを受信して、ROM14に記憶されたソフトウェアを書き換える。
【0027】
サーバ20は、図3(b)に示すように、Bluetooth通信部21と、CPU22と、ROM23とを備える。Bluetooth通信部21は、携帯端末装置10との近距離無線通信を行う。CPU22は、サーバ20内のBluetooth通信部21及びROM23を制御するものであり、通信制御部24とソフトウェア提供部25とを有する。ROM23は、書換え可能なROMであり、対象ソフトウェアを格納する。また、サーバ20内の通信制御部24は、携帯端末装置10からのペアリング要求に応答してBluetooth通信部21を介して携帯端末装置10との間で近距離無線通信を確立する。さらに、ソフトウェア提供部25は、携帯端末装置10からBluetooth通信部21を介してソフトウェアの提供要求を受信すると、ROM23から対象ソフトウェアを読み出し、Bluetooth通信部21を介して携帯端末装置10に提供する。
【0028】
次に、図4(a)を参照して、携帯端末装置10の動作について説明する。まず、操作部19のキーの押下に伴い、CPU13は、表示部18を制御して、ソフトウェアの書換えを行うためのソフトウェア書換えONを示すメニューを表示する(ステップS10)。表示されたメニューがキーの押下により選択されると、CPU13は、ソフト書換え機能をONに設定する(ステップS11)。続いて、CPU13の通信制御部13Aは、Bluetooth通信部12を介して、サーバ20を接続先とするBluetoothによるペアリング動作を実行する(ステップS12)。
【0029】
次に、通信制御部13Aは、ステップS12のペアリング動作によりペアリングが確立したか否かを判定し(ステップS13)、ペアリングが確立されない場合には(N)、リトライ処理を実行する(ステップS14,S15)。ステップS14では、リトライ回数の上限値としてm回が予め設定されており、リトライ回数がm回以上になると(N)、通信制御部13Aは、異常終了としてフローを停止する(ステップS18)。このため、リトライ実行に伴うはまり込みを防止できる。一方、ステップS14でリトライ回数がm回未満であれば(Y)、通信制御部13Aは、ステップS15でリトライ処理を実行する。
【0030】
ステップS13でペアリングが確立されると(Y)、Bluetoothでの近距離無線通信が可能になる。続いて、CPU13の判定部13Bは、Bluetooth通信部12を介してサーバ20にアクセスし、サーバ20に対象ソフトウェアが格納されているか否かを判定する(ステップS16)。ここでの判定は、対象ソフトウェアがサーバ20に存在することを示すフラグを、サーバ20側に予め用意することで可能となる。一例として、判定部13Bは、指定するソフトウェアの該当するバージョンについて、フラグの値が「1」であれば、対象ソフトウェアがサーバ20に存在すると判定し、値が「0」であれば、存在しないと判定する。
【0031】
ステップS16で判定部13Bが、対象ソフトウェアがサーバ20に存在すると判定すると(Y)、CPU13のソフトウェア取得部13Cは、ソフトウェアの書換えを実行する(ステップS17)。ステップS17では、ソフトウェア取得部13Cが、Bluetooth通信部12を介してサーバ20から対象ソフトウェアを受信して、受信した対象ソフトウェアをROM14に記憶する。ステップS17でソフトウェア取得部13Cが、ソフトウェアの書換えを実行すると、フローを終了する(ステップS18)。また、ステップS16で判定部13Bが、対象ソフトウェアがサーバ20に存在しないと判定した場合も、フローを終了する。
【0032】
次に、図4(b)を参照して、サーバ20の動作を説明する。まず、サーバ20の通信制御部24は、上記ステップS12でのペアリング動作の実行に伴い、携帯端末装置10からのペアリング要求を示す信号を受信する(ステップS20)。続いて、サーバ20の通信制御部24は、ペアリング要求に応答して、サーバ20のBluetooth通信部21を介して携帯端末装置10との間でBluetoothによる近距離無線通信を確立する(ステップS21)。
【0033】
次に、サーバ20のソフトウェア提供部25は、上記ステップS17でのソフトウェアの書換えの実行に伴い、携帯端末装置10からBluetooth通信部21を介してソフトウェアの提供要求を受信する(ステップS22)。続いて、サーバ20のソフトウェア提供部25は、サーバ20のROM23から対象ソフトウェアを読み出して(ステップS23)、Bluetooth通信部21を介して携帯端末装置10に対象ソフトウェアを提供する(ステップS24)。
【0034】
その後、携帯端末装置10では、上記ステップS17,18が実行される。更にその後で、サーバ20から携帯端末装置10に提供された対象ソフトウェアの動作確認が、開発者等により行われることになる。
【0035】
次に、図5を参照して、比較例である携帯端末装置及びサーバを含む通信システムについて説明する。通信システム200は、複数の携帯端末装置30と、サーバ31と、治具32とを備える。サーバ31は、対象ソフトウェアを格納し転送する。治具32は、複数の携帯端末装置30に格納された書換え対象となるソフトウェアを書き換えるために用いられる。治具32は、図示のように、複数の携帯端末装置30とケーブルを介して接続されている。なお、複数の携帯端末装置30と治具32とのケーブルによる接続は、人手により行われる。
【0036】
通信システム200では、対象ソフトウェアがサーバ31から治具32を介して携帯端末装置30に送信されることで、複数の携帯端末装置30の書換え対象となるソフトウェアを同時に書き換えることができる。しかし、この通信システム200には、以下に示す問題点がある。
【0037】
まず、複数の携帯端末装置30と治具32とをケーブルで物理的に接続する必要があるので、作業者に負担となり、更に作業時間も要し、また、ソフトウェアを書き換える回数が増えると、コネクタを破損する虞がある。また、電気的容量の制限等から治具32に接続可能な携帯端末装置30の数には、上限があるので、大量の携帯端末装置30のソフトウェアを書き換えるためには、図5に示す携帯端末装置30と治具32とからなる系を複数準備する必要がある。その結果、機材コストが上昇してしまう。
【0038】
これに対して、本実施形態の携帯端末装置10では、サーバ20とのペアリング確立後に、サーバ20にアクセスして、対象ソフトウェアがサーバ20に格納されているか否かを判定し、その上で、近距離無線通信を用いて対象ソフトウェアを取得できる。このため、携帯端末装置10は、対象ソフトウェアをサーバ20から容易に取得して、ソフトウェアを書き換えることができる。また、サーバ20は、携帯端末装置10からのソフトウェアの提供要求に応じて、対象ソフトウェアを携帯端末装置10に提供できる。
【0039】
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態に係る携帯端末装置及びサーバを含む通信システムを示す図である。通信システム100Aは、複数の携帯端末装置10A及びサーバ20Aに加えて、サーバ20AにLAN環境26を介して接続されたソフトコンパイル用マシン27を備えている点で、第1の実施形態で示した通信システム100と異なる。ソフトコンパイル用マシン27は、サーバ20Aから対象ソフトウェアを作成するための指令を受けると、対象ソフトウェアを作成する装置である。つまり、通信システム100Aは、サーバ20Aに対象ソフトウェアが格納されていない状況も想定している。以下、図7を参照して、携帯端末装置10A及びサーバ20Aの動作を説明する。
【0040】
図7(a)は、携帯端末装置10Aの動作を示すフローチャートである。携帯端末装置10Aの動作は、ステップS16Aで対象ソフトウェアがサーバ20Aに格納されていると判定されるまで(Y)、処理を繰り返し実行(ウェイト)している点で、図4(a)に示した上記携帯端末装置10の動作と異なる。なお、それ以外の処理及び構成は、同様であるので重複する説明を適宜省略する。
【0041】
ステップS16Aの処理では、図3(a)に示す判定部13Bが、対象ソフトウェアがサーバ20Aに格納されていないと判定すると(N)、ソフトウェア取得部13CがBluetooth通信部12を介してサーバ20Aに対象ソフトウェアを取得するように要求する。この要求を受けて、サーバ20Aは、図7(b)に示す各処理を実行する。
【0042】
サーバ20Aの動作は、図4(b)で示したステップS22で、対象ソフトウェアを取得する要求、即ちソフトウェアの提供要求を携帯端末装置10Aから受信した後に、ステップS30〜S33の処理が追加された点で、上記サーバ20の動作と異なる。ステップS30〜S33の処理は、携帯端末装置10AがステップS16Aでウェイティングしている間に実行される。
【0043】
サーバ20Aは、ステップS22でソフトウェア提供要求を受信すると、例えば図3(b)に示すソフトウェア提供部25が、対象ソフトウェアがROM23に格納されているか否かを判定する(ステップS30)。ソフトウェア提供部25は、対象ソフトウェアがROM23に格納されていないと(N)、対象ソフトウェアの作成を指示する指令を、LAN環境26を介してソフトコンパイル用マシン27に送信する(ステップS31)。
【0044】
ソフトコンパイル用マシン27は、サーバ20Aからの指令に従い、対象ソフトウェアを作成し、この対象ソフトウェアをLAN環境26を介してサーバ20Aに転送する。続いて、サーバ20Aは、ソフトコンパイル用マシン27から転送された対象ソフトウェアを受信する(ステップS32)。受信した対象ソフトウェアは、ソフトウェア提供部25がROM23に格納する。また、ソフトコンパイル用マシン27は、対象ソフトウェアの転送を完了した後で、対象ソフトウェアがサーバ上に存在することを示すフラグを、サーバ20Aに送信する。
【0045】
サーバ20Aは、ソフトコンパイル用マシン27から送信されたフラグを受信し(ステップS33)、このフラグを携帯端末装置10Aから認識可能なフォーマットとする。この時点で、携帯端末装置10Aは、ステップS16Aの処理で対象ソフトウェアがサーバ上に存在することをフラグにより認識し、ウェイティングを終了して、ステップS17のソフトウェア書換え処理に移行する。なお、ステップS30で対象ソフトウェアがROM23に格納されていると(Y)、ステップS23へ移行する。
【0046】
サーバ20Aでは、携帯端末装置10AのステップS17の処理に伴い、ソフトウェア提供部25が、ソフトコンパイル用マシン27で作成された対象ソフトウェアをROM23から読み出す(ステップS23)。次に、ソフトウェア提供部25は、読み出した対象ソフトウェアを、Bluetooth通信部21を介して携帯端末装置10Aに提供する(ステップS24)。
【0047】
本実施形態では、第1の実施形態の効果に加えて、対象ソフトウェアがサーバ20Aに格納されていない場合であっても、対象ソフトウェアがソフトコンパイル用マシン27で自動的に作成される。このため、対象ソフトウェアを作業者等がサーバに格納する必要がなく、例えば、夜間等、作業者が少ないときであっても、人手を介さずにソフトウェアの書換えを実行できる。従って、ソフトウェアの開発段階での作業効率を高めることができる。
【0048】
上記各実施形態では、携帯端末装置10,10Aに搭載されるソフトウェアの開発段階でサーバ20,20Aを使用する例を示したが、これに限定されない。一例として、ソフトウェアが既に開発段階を経て製品として一般ユーザに提供可能であれば、一般ユーザからのサーバ20,20Aへのアクセスを可能としてもよい。このようにすれば、一般ユーザが、サーバ20,20Aを用いたソフトウェアの書換えを実行できるので、手間がかからない。
【0049】
また、上記各実施形態では、近距離無線通信としてBluetoothを例示したが、これに限らず、無線LANを利用してもよい。この場合でも、上記各実施形態と同様に、携帯端末装置10,10Aが、無線LANによる近距離無線通信の確立後に、対象ソフトウェアをサーバ20,20Aから取得できる。また、サーバ20,20Aも無線LANを用いて対象ソフトウェアを携帯端末装置10,10Aに提供できる。
【0050】
さらに、上記各実施形態では、サーバ20,20Aが、携帯端末装置10,10Aからのソフトウェアの提供要求を受けて、対象ソフトウェアを提供するようにしたが、これに限定されない。一例として、サーバ20,20Aが、少なくとも1つのソフトウェアについて複数の版(バージョン)のソフトウェアを格納しており、携帯端末装置10,10Aからソフトウェアの提供要求に応答して、複数の版のリストを携帯端末装置10,10Aに送信してもよい。このようにすれば、携帯端末装置10,10Aでは、リストを参照して、ソフトウェアの複数の版から目的とする版のソフトウェアを選択して、サーバ20,20Aに提供要求を行い、目的とする版のソフトウェアを取得できる。
【0051】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の携帯端末装置、通信システム、サーバ、その制御方法及びプログラムは、上記実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
1,10,10A:携帯端末装置
2,2A,12,21:無線通信部(Bluetooth通信部)
3,3A,13A,24:通信制御部
4,13B:判定部
5,13C:ソフトウェア取得部
5A,25:ソフトウェア提供部
6,20,20A:サーバ
7,7A,14,23:記憶部(ROM)
11:無線送受信部
13,22:CPU
15:RAM
16:マイク
17:スピーカ
18:表示部
19:操作部
26:LAN環境
27:ソフトコンパイル用マシン
100,100A:通信システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバとの間で近距離無線通信を行う無線通信部と、
所定の信号に応答して、前記無線通信部を介して接続先を前記サーバとするペアリング動作を行う通信制御部と、
前記ペアリングが確立すると、前記無線通信部を介して前記サーバにアクセスし、前記サーバに目的とするソフトウェアが格納されているか否かを判定する判定部と、
前記判定部が目的とするソフトウェアが前記サーバに格納されていると判定すると、前記無線通信部を介して前記サーバから目的とするソフトウェアを受信して、記憶部に記憶するソフトウェア取得部とを備える携帯端末装置。
【請求項2】
前記近距離無線通信が、Bluetooth又は無線LANである、請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記ソフトウェア取得部は、前記判定部が目的とするソフトウェアが前記サーバに格納されていないと判定すると、前記無線通信部を介して前記サーバに目的とするソフトウェアを取得するように要求する、請求項1又は2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一に記載の携帯端末装置と組み合わせて使用されるサーバを備える通信システムであって、
前記サーバが、少なくとも1つのソフトウェアについて複数の版のソフトウェアを格納しており、前記携帯端末装置からの要求に応答して、前記複数の版のリストを送信する通信システム。
【請求項5】
前記サーバが、目的とするソフトウェアが自身の記憶部内に格納されていないと、通信回線を介して目的とするソフトウェアを取得する、請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
コンピュータが、所定の信号に応答して、無線通信部を介して接続先をサーバとするペアリング動作を実行するステップと、
コンピュータが、前記ペアリングが確立すると、前記無線通信部を介して前記サーバにアクセスし、前記サーバに目的とするソフトウェアが格納されているか否かを判定するステップと、
コンピュータが、前記判定ステップで目的とするソフトウェアが前記サーバに格納されていると判定されると、前記サーバから目的とするソフトウェアを受信して、記憶部に記憶するステップと、を有する携帯端末装置の制御方法。
【請求項7】
コンピュータに、
所定の信号に応答して、無線通信部を介して接続先をサーバとするペアリング動作を実行する処理と、
前記ペアリングが確立すると、前記無線通信部を介して前記サーバにアクセスし、前記サーバに目的とするソフトウェアが格納されているか否かを判定する処理と、
前記判定ステップで目的とするソフトウェアが前記サーバに格納されていると判定されると、前記無線通信部を介して前記サーバから目的とするソフトウェアを受信して、記憶部に記憶する処理と、を実行させる携帯端末装置のためのプログラム。
【請求項8】
携帯端末装置との近距離無線通信を行う無線通信部と、
前記携帯端末装置からのペアリング要求に応答して、前記無線通信部を介して前記携帯端末装置との間で無線通信を確立する通信制御部と、
前記携帯端末装置から、前記無線通信部を介してソフトウェアの提供要求を受信すると、記憶部から目的とするソフトウェアを読み出し、前記無線通信部を介して前記携帯端末装置に提供するソフトウェア提供部とを備えるサーバ。
【請求項9】
携帯端末装置からのペアリング要求に応答して、無線通信部を介して前記携帯端末装置との間で無線通信を確立するステップと、
前記携帯端末装置から、前記無線通信部を介してソフトウェアの提供要求を受信すると、記憶部から目的とするソフトウェアを読み出し、前記無線通信部を介して前記携帯端末装置に提供するステップと、を有するサーバの制御方法。
【請求項10】
コンピュータに、
携帯端末装置からのペアリング要求に応答して、無線通信部を介して前記携帯端末装置との間で無線通信を確立する処理と、
前記携帯端末装置から、前記無線通信部を介してソフトウェアの提供要求を受信すると、記憶部から目的とするソフトウェアを読み出し、前記無線通信部を介して前記携帯端末装置に提供する処理と、を実行させるサーバのためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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