携帯端末装置およびプログラム
【課題】一方の表示部が他方の表示部の上に重なる閉状態においても、他方の表示部の実行画面を見たり、実行画面に対して操作したりできるようにする。
【解決手段】携帯電話機1は、第1ディスプレイ12および第2ディスプレイ22と、第1ディスプレイ12が配される第1キャビネット10と、第2ディスプレイ22が配される第2キャビネット20と、第1ディスプレイ12上に配された第1タッチセンサ13と、CPU100とを備える。CPU100は、第2ディスプレイ22上に第1ディスプレイ12が重なる閉状態において、第1タッチセンサ13を第2ディスプレイ22に対する入力を検出する検出部に切り替える切替操作を検出した場合に、第1タッチセンサ13により検出された第2ディスプレイ22に対する入力に基づいて第2ディスプレイ22を制御する。
【解決手段】携帯電話機1は、第1ディスプレイ12および第2ディスプレイ22と、第1ディスプレイ12が配される第1キャビネット10と、第2ディスプレイ22が配される第2キャビネット20と、第1ディスプレイ12上に配された第1タッチセンサ13と、CPU100とを備える。CPU100は、第2ディスプレイ22上に第1ディスプレイ12が重なる閉状態において、第1タッチセンサ13を第2ディスプレイ22に対する入力を検出する検出部に切り替える切替操作を検出した場合に、第1タッチセンサ13により検出された第2ディスプレイ22に対する入力に基づいて第2ディスプレイ22を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)、タブレットPC(Tablet PC)等の携帯端末装置および当該携帯端末装置に用いて好的なプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機等の携帯端末装置において、2つのディスプレイを備える構成が提案されている。かかる携帯端末装置において、2つのディスプレイが並ぶ開状態と、一方のディスプレイが他方のディスプレイの上に重なる閉状態とに切替え可能な構成が採られる(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記のように、携帯端末装置が2つのディスプレイを備える場合、2つのアプリケーションのそれぞれの実行画面が、2つのディスプレイにそれぞれ表示され得る。
【0004】
たとえば、各ディスプレイにおいて実行されるアプリケーションに対する操作は、各ディスプレイ上に配されたタッチセンサへの入力により行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−305262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、携帯端末装置が閉状態と開状態とに切替可能である場合、ユーザが移動する際には、携帯しやすいように、携帯端末装置が閉状態とされ得る。双方のディスプレイにおいてアプリケーションが実行されているときに閉状態とされた場合、下側のディスプレイにおいても、引き続きアプリケーションが実行され続ける。
【0007】
ユーザは、移動しながら携帯端末装置を使用する場合もある。この場合に、ユーザは、携帯端末装置が持ちにくくなるので開状態にはしたくないが、下側のディスプレイにおけるアプリケーションの実行画面を見たり、実行画面に対して操作したりしたい状況が生じ得る。
【0008】
たとえば、下側のディスプレイにウェブ画面を表示したまま、上側のディスプレイでは電子メールやメモ帳を起動して文書を作成するような場合に、ユーザは、時折、ウェブ画面の情報を参照したり、そのウェブ画面に対して、所定の操作、たとえば拡大や移動の操作を行ったりしたい状況が生じ得る。
【0009】
しかしながら、上記の構成では、閉状態では下側のディスプレイとタッチセンサは、上側のディスプレイにより隠れた状態となっているため、下側のディスプレイの実行画面を見たり、実行画面に対して操作したりできない。
【0010】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、2つの表示部を備える携帯端末装置において、一方の表示部が他方の表示部の上に重なる閉状態においても、他方の表示部の実行画面を見たり、実行画面に対して操作したりできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様に係る携帯端末装置は、第1表示部および第2表示部と、前記第1表示部が配される第1キャビネットと、前記第2表示部が配される第2キャビネットと、前記第1表示部上に配され、前記第1表示部に対する入力を検出する入力検出部と、前記入力検出部を前記第2表示部に対する入力を検出する検出部に切り替えるための切替操作を検出する切替検出部と、前記第1表示部および前記第2表示部を制御する制御部と、を備える。ここで、前記第1表示部および前記第1キャビネットは、前記第1表示部が前記第2表示部上に重なるように配置された場合に、前記第2表示部に表示された画像が前記第1表示部を通して見られるように構成される。そして、前記制御部は、前記第1表示部が前記第2表示部上に重なる状態にあるときに、前記切替操作がなされた場合に、前記入力検出部により検出された前記第2表示部に対する入力に基づいて前記2表示部を制御する。
【0012】
本態様に係る携帯端末装置において、前記切替操作の際に操作される切替操作部を、さらに備えるような構成とされ得る。この場合、前記切替検出部は、前記切替操作部が操作されることにより前記切替操作を検出する。
【0013】
本態様に係る携帯端末装置において、前記第1検出部は、感圧タイプのタッチセンサを含むような構成とされ得る。この場合、前記切替検出部は、前記タッチセンサに加えられる圧力に基づいて前記切替操作を検出する。
【0014】
本態様に係る携帯端末装置において、前記第1表示部は、透光性を有するような構成とされ得る。この場合、前記第1キャビネットは、前記第1表示部が前記第2表示部上に重なる状態において前記第1表示部と前記第2表示部とに挟まれる部位に前記第2表示部に表示された画像が通過する通過部を備える。
【0015】
上記構成とした場合、さらに、前記第1表示部は、透光性を有する有機ELディスプレイを含み、画像が表示された状態で、前記第1表示部の向こう側が透けて見えるような構成とされ得る。
【0016】
上記構成とした場合、さらに、前記制御部は、前記切替操作がなされた場合に、前記第1表示部の輝度を低下させて、または、前記第1表示部を消灯して、前記第1表示部における前記第2表示部の画像の透過度を増加させるような構成とされ得る。
【0017】
本発明の第2の態様に係るプログラムは、第1表示部および第2表示部と、前記第1表示部が配される第1キャビネットと、前記第2表示部が配される第2キャビネットと、前記第1表示部上に配され、前記第1表示部に対する入力を検出する入力検出部と、を備え、前記第1表示部および前記第1キャビネットが、前記第1表示部が前記第2表示部上に重なるように配置された場合に、前記第2表示部に表示された画像が前記第1表示部を通して見られるように構成された携帯端末装置のコンピュータに、前記入力検出部を前記第2表示部に対する入力を検出する検出部に切り替えるための切替操作を検出する機能と、前記第1表示部が前記第2表示部上に重なる状態にあるときに、前記切替操作がなされた場合に、前記入力検出部により検出された前記第2表示部に対する入力に基づいて前記2表示部を制御する機能と、を付与する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の携帯端末装置およびプログラムによれば、一方の表示部が他方の表示部の上に重なる閉状態においても、他方の表示部の実行画面を見たり、実行画面に対して操作したりできる。
【0019】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施の形態に係る、閉状態および開状態の携帯電話機の外観構成および内部構成を示す図である。
【図2】実施の形態に係る、チルト状態の携帯電話機の外観構成を示す図である。
【図3】実施の形態に係る、携帯電話機の、閉状態から開状態へ変形される様子を説明する図である。
【図4】実施の形態に係る、携帯電話機の全体構成を示すブロック図である。
【図5】実施の形態に係る、第1ディスプレイおよび第2ディスプレイにランチャー画面およびアプリケーションの実行画面が表示された状態を示す図である。
【図6】実施の形態に係る、閉状態において、第1タッチセンサへの操作がなされたときの制御処理動作を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態に係る、閉状態において、第1ディスプレイでメモ帳のアプリケーションが実行され、第2ディスプレイでウェブブラウザが実行されている場合に、各ディスプレイの実行画面に対して操作がなされたときの事例を説明するための図である。
【図8】実施の形態に係る、閉状態において、第1ディスプレイおよび第2ディスプレイで拡張現実のアプリケーションが実行されている場合に、各ディスプレイの実行画面に対して操作がなされたときの事例を説明するための図である。
【図9】実施の形態に係る、第1ディスプレイおよび第2ディスプレイで拡張現実のアプリケーションが実行されている場合に、閉状態から開状態に切り替えられたときの画面表示について説明するための図である。
【図10】実施の形態に係る、閉状態において、第1ディスプレイおよび第2ディスプレイで動画プレーヤのアプリケーションが実行されている場合に、各ディスプレイの実行画面に対して操作がなされたときの事例を説明するための図である。
【図11】変更例1および変更例2に係る、閉状態において、第1タッチセンサへの操作がなされたときの制御処理動作を示すフローチャートである。
【図12】その他の変更例に係る、閉状態において、第1タッチセンサへの操作がなされたときの制御処理動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態に係る携帯電話機について説明する。
【0022】
<携帯電話機の構成>
図1(a)〜(d)、図2(a)および(b)は、本実施の形態に係る携帯電話機1の構成を示す図である。図1(a)は、閉状態の携帯電話機1の構成を示す斜視図、図1(b)は、開状態の携帯電話機1の構成を示す斜視図である。図1(c)は、図1(a)の携帯電話機1を右側から見たときの内部透視図、図1(d)は、図1(b)の携帯電話機1を右側から見たときの内部透視図である。
【0023】
図2(a)は、チルト状態の携帯電話機1を、第1キャビネット10の手前側から見た斜視図、図2(b)は、チルト状態の携帯電話機1を、第1キャビネット10の奥側から見た斜視図である。
【0024】
図1を参照して、携帯電話機1は、第1キャビネット10と、第2キャビネット20と、これら第1および第2キャビネット10、20を連結する連結部30とで構成されている。
【0025】
以下、携帯電話機1に対する「右」、「左」、「上」、「下」、「手前」および「奥」の方向は、図1(a)および(b)に示すように設定される。X軸、Y軸およびZ軸の正方向は、それぞれ、上、左および手前方向に対応する。第1および第2キャビネット10、20の「前面」は、それぞれ第1および第2キャビネット10、20の手前側の面である。第1および第2キャビネット10、20の「背面」は、それぞれ第1および第2キャビネット10、20の奥側の面である。
【0026】
閉状態は、第1キャビネット10が、第2キャビネット20の前面に重ねられて配された状態である。開状態は、第1キャビネット10が、第2キャビネット20の上側に並べられた状態である。
【0027】
第1キャビネット10は、左右方向に長い平坦な直方体形状を有する。第1キャビネット10内には、第1タッチパネル11が配されている。第1タッチパネル11は、第1ディスプレイ12および第1タッチセンサ13を含む。
【0028】
第1ディスプレイ12は、透光性を有する有機ELディスプレイであり、透光性を有する有機ELパネルと、有機ELパネルを駆動するドライバ回路を備える(図示せず)。有機ELパネルは、有機EL層を挟む陽極および陰極がともに透明電極で構成されており、パネルの向こう側が透けて見える。ドライバ回路が、表示制御装置(後述)から受信する画面信号および制御信号に基づき、透明電極間に通電すると、有機EL層が発光し、有機ELパネルに画像が描画される。これによって、第1タッチパネル11の外面である第1表示面14を介して、ユーザは、描画された画像を閲覧できる。
【0029】
なお、第1ディスプレイ12には、画像が半透明な状態で表示される。第1ディスプレイ12の輝度が増加すると、表示された画像が濃くなるため、第1ディスプレイ12の透明度、即ち、第1ディスプレイ12における第1ディスプレイ12の向こう側の景色の透過度が低下する。反対に、第1ディスプレイ12の輝度が低下すると、表示された画像が薄くなるため、第1ディスプレイ12の透明度が増加する。
【0030】
第1タッチセンサ13は、長方形状の透明なシートであり、第1ディスプレイ12の上に重ねられて配されている。第1タッチセンサ13は、ユーザが第1表示面14に対して入力したとき、すなわち第1表示面14をタッチしたとき、タッチされた第1表示面14上の位置(入力位置)を検出する。第1タッチセンサ13は、検出した入力位置に応じた位置信号を出力する。
【0031】
なお、ユーザが第1表示面14を「タッチ」するとは、ユーザが指やペンなどの接触部材によって第1表示面14に触れることである。ユーザが接触部材によって第1表示面14を押したり、撫でたり、第1表示面14に図形や文字を描いたりする場合に「タッチ」が行われる。ユーザが第1表示面14を「タップ」するとは、接触部材や指が第1表示面14を弾くように、第1表示面14のある位置において接触部材や指をタッチさせ、短時間のうちにリリースさせる動作を言う。ユーザが第1表示面14を「スライド」するとは、ユーザが接触部材や指を、第1表示面14に接触したまま、第1表示面14に沿って動かす動作を言う。
【0032】
第1キャビネット10の前面には、キー群15が配される。キー群15は、ホーム画面を第1表示面14に表示させるためのホームキー15H、アプリケーションの実行の際に第1表示面14に表示される実行画面をひとつ戻すためのバックキー15B、アプリケーションの起動のためのアイコンを含むアプリケーション起動画面(ランチャ画面)を第1表示面14に表示させるためのランチャキー15R等を含む。
【0033】
ホームキー15H、バックキー15Bおよびランチャキー15Rは、タッチキーである。指等により、ホームキー15H、バックキー15Bおよびランチャキー15Rのいずれかがタッチされると、キー入力回路(後述)が備えるタッチセンサ(図示せず)がこのタッチの操作を検出し、タッチされたキーに応じた信号を出力する。
【0034】
第2キャビネット20は、左右方向に長い平坦な直方体形状を有する。第2キャビネット20内には、第2タッチパネル21が配されている。第2タッチパネル21は、第2ディスプレイ22および第2タッチセンサ23を含む。
【0035】
第2ディスプレイ22は、液晶ディスプレイであり、液晶パネル、バックライトおよびこれらを駆動するドライバ回路を備える(図示せず)。ドライバ回路が、表示制御装置(後述)から受信する画面信号および制御信号に基づき液晶パネルおよびバックライトを駆動することにより、液晶パネルが画像を描画し、バックライトが点灯する。これによって、第2タッチパネル21の外面である第2表示面24を介して、ユーザは描画された画像を閲覧できる。
【0036】
第2タッチセンサ23は、長方形状の透明なシートであり、第2ディスプレイ22の上に重ねられて配されている。第2タッチセンサ23は、ユーザが第2表示面24をタッチしたとき、タッチされた第2表示面24上の位置を検出する。第2タッチセンサ23は、検出した位置に応じた信号を出力する。
【0037】
第2キャビネット20の前面および側面には、キー群25、26が配される。キー群25は、ホーム画面を第2表示面24に表示させるためのホームキー25H、アプリケーションの実行の際に第2表示面24に表示される実行画面をひとつ戻すためのバックキー25B、アプリケーション起動画面を第2表示面24に表示させるためのランチャキー25R等を含む。ホームキー25H、バックキー25Bおよびランチャキー25Rは、タッチキーである。指等により、ホームキー25H、バックキー25Bおよびランチャキー25Rのいずれかがタッチされると、キー入力回路(後述する)が備えるタッチセンサ(図示せず)がこのタッチの操作を検出し、タッチされたキーに応じた位置信号を出力する。
【0038】
キー群26は、第2キャビネット20の下側側面部に配された機能キー26F1、26F2、26F3を含む。機能キー26F1、26F2、26F3は、所定アプリケーションの起動、またはアプリケーションの実行時における音量調節その他の各種の機能のためのキーである。機能キー26F1、26F2、26F3が押下されると、キー入力回路がこの押下を検出し、押下されたキーに応じた信号を出力する。
【0039】
キー群26は、さらに、第2キャビネット20の右側側面部に配された切替キー26Cを含む。切替キー26Cは、閉状態において、第1タッチセンサ13を、第1ディスプレイ12(第1表示面14)に対する入力を検出する検出部から第2ディスプレイ22(第2表示面24)に対する入力を検出する検出部に切り替えるときにタッチされる。切替キー26Cは、タッチキーである。指等により、切替キー26Cがタッチされると、キー入力回路が備えるタッチセンサ(図示せず)がこのタッチの操作を検出し、切替信号を出力する。
【0040】
なお、切替キー26Cの配置位置は、第2キャビネット20の右側側面部でなくても良く、たとえば、左側側面部、前面部、後面部、背面部であっても良い。また、第1キャビネット10に、切替キー26Cが設けられても良い。
【0041】
図2(b)に示すように、第1キャビネット10の背面部には、開口部16が形成されている。携帯電話機1が閉状態にあるとき、開口部16を通じて第1ディスプレイ12と
第2ディスプレイ22が対面する。第1ディスプレイ12は、透光性を有するため、閉状態においても、ユーザは、第1ディスプレイ12および開口部16を通じて、携帯電話機1の手前側から第2ディスプレイ22表示された画像を見ることができる。
【0042】
図1(c)を参照して、閉状態において、第1および第2表示面14、24のうち第1表示面14のみが外部を臨む。第2表示面24は、第1キャビネット10の背後に配され、外部を臨まない。図1(d)を参照して、開状態において、第1および第2表示面14、24は、携帯電話機1の前面側から外部を臨む。
【0043】
図2(a)および(b)に示されるチルト状態において、第1キャビネット10が、第2キャビネット20の上側に並べられて配される。ただし、チルト状態での第1および第2キャビネット10、20の各前面は、開状態の場合と異なり、図2(a)および(b)に示される如く、所定の鈍角(たとえば百数十度)を有するよう配されている。
【0044】
連結部30は、中央フレーム31、第1右フレーム32、第1左フレーム33、第2右フレーム34および第2左フレーム35を有する。中央フレーム31は、左右に延びる形状を有する。中央フレーム31の右端は、第1右フレーム32の一端および第2右フレーム34の一端に接続する。中央フレーム31の左端は、第1左フレーム33の一端および第2左フレーム35の一端に接続する。
【0045】
第1右フレーム32および第1左フレーム33の他端には、それぞれ左右方向に延びる軸(図示せず)が配される。この軸が、第1キャビネット10の左右の側面部に配された溝部17により挟まれる。なお、図2(b)において、左側側面部の溝部17のみが描かれる。これらの軸が、溝部17に沿ってスライド移動可能に第1キャビネット10に保持されることにより、第1キャビネット10が、軸を中心に回転可能、且つ溝部17に沿って上下方向にスライド可能に、第1右フレーム32および第1左フレーム33により保持される。
【0046】
第2右フレーム34および第2左フレーム35は、第2キャビネット20を、左右方向を軸として回転可能に保持する。
【0047】
連結部30は、以下に図3(a)〜(f)を用いて説明するように、第1および第2キャビネット10、20を、開状態と閉状態とを、チルト状態を介して切り替え可能に保持する。ユーザは、手動で、携帯電話機1の配置状態を遷移させることができる。なお、閉状態が本発明の第1配置状態に相当し、開状態およびチルト状態が本発明の第2配置状態に相当する。
【0048】
図3(a)〜(f)は、携帯電話機1の画面状態が閉状態(図3(a))から、チルト状態(図3(d))を介して開状態(図3(f))へ遷移される過程を、携帯電話機1の右側から見て説明する図である。
【0049】
携帯電話機1が図3(a)のように閉状態にあるとき、第1キャビネット10が手前方向(図3(a)の破線矢印)へ移動されると、図3(b)に示す如く、第1キャビネット10の背面が、第2キャビネット20の前面から離れる。このとき、第1キャビネット10の移動に応じて、連結部30は、時計回りの方向へ回転(実線矢印)される。
【0050】
図3(b)に示される状態において、第1キャビネット10がさらに手前方向へ移動され、且つ第1表示面14が下側を向くように回転されると(破線矢印)、携帯電話機1の状態は、図3(c)の配置状態を介して、図3(d)のチルト状態に至る。チルト状態において、第1キャビネット10の背面の下側は、連結部30に当接する。
【0051】
第1キャビネット10の背面の下側が連結部30に当接した状態が保たれたまま、連結部30がさらに時計回りの方向(図3(d)の破線矢印)へ回転されると、携帯電話機1は、図3(e)に示される、第1表示面14と第2表示面24とが略一面状態になる状態に至る。
【0052】
図3(e)において、第1キャビネット10および第2キャビネット20との間には、間隙(数ミリメートル)が存在する。第1キャビネット10を、第2キャビネット20に対して下方向(一点鎖線矢印)へスライドさせると、図3(f)のように、携帯電話機1は開状態へと至る。このとき、第1キャビネット10の下側側面と、第2キャビネット20の上側側面とが、互いに接した状態となる。
【0053】
なお、携帯電話機1が図3(d)で示されるチルト状態にあるとき、すなわち第1右フレーム32および第1左フレーム33と第2キャビネット20とが所定の鈍角をなす状態にあるとき、連結部30は、連結部30の回転を弱く係止するための構造を有する。回転が弱く係止されるため、ユーザは、チルト状態を保ったまま携帯電話機1を使用することが可能であり、且つ、使用状態をチルト状態から開状態または閉状態へ、容易に変化させることができる。
【0054】
図4は、携帯電話機1の全体構成を示すブロック図である。本実施の形態の携帯電話機1は、上述した各構成要素の他、CPU100、メモリ200、カメラモジュール301、マイク302、音声エンコーダ303、キー入力回路304、通信モジュール305、第1表示制御装置306、第2表示制御装置307、第1VRAM308、第2VRAM309、音声デコーダ310、スピーカ311、開閉センサ312加速度センサ313、GPSモジュール314および電子コンパス316を備えている。
【0055】
カメラモジュール301は、第2キャビネット20に配されている。カメラモジュール301は、第2キャビネット20の背面部に設けられたレンズ窓(図示せず)を介して撮像し、カメラモジュール301が内蔵する映像エンコーダ(図示せず)によりデジタル撮像信号を生成する。カメラモジュール301は、生成した撮像信号をCPU100へ出力する。
【0056】
マイク302は、第1キャビネット10に配される。マイク302は、集音した音声を音声信号に変換して音声エンコーダ303へ出力する。音声エンコーダ303は、マイク302からのアナログの音声信号をデジタルの音声信号に変換し、変換されたデジタルの音声信号をCPU100へ出力する。
【0057】
キー入力回路304は、キー群15、25、26の各キーが押下されたときに、押下されたキーに応じた信号をCPU100へ出力する。
【0058】
通信モジュール305は、通話や通信のための電波を送受信するアンテナ(図示せず)を備える。通信モジュール305は、CPU100から入力される信号を無線信号に変換し、変換された無線信号を、アンテナを介して、基地局や他の通信装置等の通信先へ送信する。また、通信モジュール305は、アンテナを介して受信した無線信号をCPU100が利用できる形式の信号へ変換し、変換された信号をCPU100へ出力する。
【0059】
第1表示制御装置306および第2表示制御装置307は、それぞれ、第1ディスプレイ12および第2ディスプレイ22を制御する。第1表示制御装置306および第2表示制御装置307は、それぞれコントローラを有する。また、第1表示制御装置306はおよび第2表示制御装置307は、それぞれ、画面を記憶する第1VRAM308および第
2VRAM309を有する。
【0060】
第1表示制御装置306は、CPU100から入力する画像データに基づき画面表示のためのデータを生成し、生成した画面データを、CPU100から入力する制御信号にもとづいて、第1VRAM308に記憶させる。第1VRAM308は、複数の画面(たとえば数画面分)の画面データを記憶できる。第1表示制御装置306は、第1VRAM308に記憶された表示対象の画面データを、所定の時間間隔(たとえば、1秒に数10回程度)で、第1ディスプレイ12のドライバ回路へ出力する。
【0061】
第2表示制御装置307は、第1表示制御装置306と同様の構成がとられている。すなわち、第2表示制御装置307は、CPU100から入力する制御信号および画面データに基づき、第2VRAM309に複数の画面データを記憶させる。第2表示制御装置307は、第2VRAM309に記憶された表示対象の画面データを、所定の時間間隔(たとえば、1秒に数10回程度)で、第2ディスプレイ22のドライバ回路に出力する。
【0062】
音声デコーダ310は、CPU100からの音信号にデコード処理およびD/A変換を施し、変換された信号をスピーカ311に出力する。スピーカ311は、音声デコーダ310から入力する信号に基づき、音を出力する。
【0063】
開閉センサ312は、連結部30の第2キャビネット20に対する角度を検出する。開閉センサ312は、第2キャビネット20と連結部30がなす角度を検出する角度センサを備え、検出された角度に応じたデジタル信号を、CPU100へ出力する。CPU100は、開閉センサ312からの信号に基づき、現在、携帯電話機1の第1キャビネット10および第2キャビネット20の配置状態が、開状態、閉状態およびチルト状態の何れであるかを検出する処理を実行する。
【0064】
加速度センサ313は、第2キャビネット20に配され、携帯電話機1に加えられる加速度を検出する。加速度センサ313は3軸加速度センサであり、図1のX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の3方向に生じる加速度を検出する。加速度センサ313は、検出した加速度に応じた加速度信号をCPU100へ出力する。CPU100は、加速度センサ313からの加速度信号に基づき、携帯電話機1が、横向きおよび縦向きの何れの方向を向いているかを検出する。なお、使用状態がチルト状態であるとき、CPU100は、加速度センサ313が配された第2キャビネット20の向きを基準にして、携帯電話機1の向きが、横向きおよび縦向きの何れの方向を向いているかを検出する。
【0065】
GPSモジュール314は、上空にある複数のGPS衛星からの信号に基づいて、経度、緯度等の地理的な現在位置を測位し、その位置情報、即ち現在地情報をCPU100に出力する。
【0066】
電子コンパス315は、3軸タイプの電子コンパスであり、方位に応じた検出信号を出力する。CPU100は、電子コンパス315からの検出信号に基づいて、カメラモジュール301のレンズ窓が向く方位、即ち、カメラモジュール301が撮影している方位を検出する。
【0067】
メモリ200は、ROMおよびRAMを含む。メモリ200には、CPU100に制御機能を付与するための制御プログラムが記憶されている。制御プログラムは、通話、電子メール(以下、単に「メール」と言う。)、カメラ機能、ウェブブラウザ、音楽プレーヤ等の各種アプリケーションプログラム(以下、単に「アプリケーション」と言う。)を含む。また、制御プログラムは、後述する、閉状態において、第1タッチセンサ13への操作がなされたときの制御処理を実行するためのプログラムを含む。
【0068】
また、メモリ200は、アプリケーションの実行の際に一時的に利用または生成される各種のデータを記憶するワーキングメモリとしても使用される。
【0069】
メモリ200には、制御プログラムの他に、画像データ、通信モジュール305を介して外部から取り込んだ情報、および第1および第2タッチセンサ13、23により入力された情報等が、所定のファイル形式で保存される。
【0070】
CPU100は、キー入力回路304、各タッチセンサ13、23からの操作入力信号に基づき、制御プログラムに従って、カメラモジュール301、マイク302、通信モジュール305、第1および第2ディスプレイ12、22、スピーカ311等を動作させる。これにより、CPU100は、各種アプリケーションを実行する。
【0071】
<携帯電話機の機能>
図5(a)は、開状態において、第1ディスプレイ12(第1表示面14)および第2ディスプレイ22(第2表示面24)にランチャー画面が表示された状態を示す図である。図5(b)は、開状態において、第1表示面14および第2表示面24に、ランチャー画面での操作により起動されたアプリケーションの実行画面が表示された状態を示す図である。図5(c)は、閉状態において、第1表示面14に実行画面が表示され、第1表示面14を通じて第2表示面24の実行画面が見える状態を示す図である。なお、図5(a)、(b)、(c)では、携帯電話機1の構成が模式的に示されており、キー群15、25、26等、一部の構成が図示省略されている。以下、図9についても同様である。
【0072】
図5(a)に示すように、ランチャー画面には、各種のアプリケーションにそれぞれ対応するアイコンD1が表示されている。アプリケーションは、予め携帯電話機1備えられているアプリケーション以外にも、インターネットを通じたダウンロード等により入手可能であり、入手されたアプリケーションは、インストールにより携帯電話機1に追加される。
【0073】
ユーザは、複数のアイコンD1の中から、所望のアイコンD1を指などでタップすることにより、所望のアプリケーションを起動することができる。
【0074】
メモリ200には、各アイコンD1と表示面14、24上での各アイコンD1の位置とを対応付けるアイコン対応テーブル、および各アイコンD1と各アプリケーションとを対応付けるアプリ対応テーブルが記憶されている。CPU100は、アイコンD1がタップされると、タップされた位置に基づいて、アイコン対応テーブルを用いて、タップされたアイコンD1を特定する。さらに、アプリ対応テーブルを用いて、タップされたアイコンD1に対応するアプリケーションを特定し、そのアプリケーションを起動する。
【0075】
第1表示面14に表示されたアプリケーションA1に対応するアイコンD1がタップされると、アプリケーションの実行画面が第1表示面14に表示される。また、第2表示面24に表示されたアプリケーションA2に対応するアイコンD1がタップされると、アプリケーションA2の実行画面が第2表示面24に表示される(図5(b)参照)。
【0076】
さて、ユーザが移動する際には、携帯しやすいように、携帯電話機1が閉じられる。2つのアプリケーションA1、A2が実行された状態で、携帯電話機1が閉じられた場合、アプリケーションA1の実行画面は、第1表示面14に表示されたままとなるが、さらに、アプリケーションA2の実行画面も、第2表示面24に表示されたままとなる。上述の通り、第1ディスプレイ12は、実行画面が表示された状態においても向こう側が透けて見えるため、第1表示面14の実行画面の奥に第2表示面24の実行画面が映る状態とな
る(図5(c)参照)。
【0077】
ユーザは、移動しながら携帯電話機1を使用する場合もある。この場合に、ユーザは、携帯電話機1が持ちにくくなるので開状態にはしたくないが、下側の第2ディスプレイ22で表示されている実行画面に対し、所定の操作を行いたい状況が生じ得る。
【0078】
そこで、本実施の形態では、以下に説明するように、携帯電話機1を閉状態としたまま、ユーザが第2ディスプレイ22に表示された実行画面に対して所望の操作が行える構成とされている。
【0079】
図6は、閉状態において、第1タッチセンサ13への操作がなされたときの制御処理動作を示すフローチャートである。この制御処理は、閉状態において、第1ディスプレイ12および第2ディスプレイ22の双方にアプリケーションに係る実行画面が表示されているときに、CPU100により行われる。
【0080】
図6を参照して、CPU100は、第1タッチセンサ13に対して、タッチ、タップ、フリックなどの所定の操作がなされたか否かを監視する(S101)。所定の操作がなされたと判定すると(S101:YES)、CPU100は、切替キー26Cがタッチされているか否かを判定する(S102)。
【0081】
ユーザは、第1ディスプレイ12に表示された実行画面に対して操作を行いたい場合には、切替キー26Cにタッチすることなく、第1タッチセンサ13に対して所定の操作を行う。CPU100は、ステップS102において、切替キー26Cがタッチされていないと判定すると(S102:NO)、第1タッチセンサ13への操作は、第1ディスプレイ12の実行画面に対する操作であると判断し、第1タッチセンサ13への操作内容、即ち、タッチされた位置や操作の種別(タップ、フリック等)に応じて、第1ディスプレイ12の表示を制御する(S103)。即ち、CPU100は、第1ディスプレイ12の実行画面の内容を、操作内容に応じたものに変更する。
【0082】
一方、ユーザは、第2ディスプレイ22に表示された実行画面に対して操作を行いたい場合には、切替キー26Cにタッチしながら、第1タッチセンサ13に対して所定の操作を行う。CPU100は、ステップS102において、切替キー26Cがタッチされていると判定すると(S102:YES)、第1タッチセンサ13への操作は、第2ディスプレイ22の実行画面に対する操作であると判断し、第1タッチセンサ13への操作内容に応じて、第2ディスプレイ12の表示を制御する(S104)。即ち、CPU100は、第2ディスプレイ22の実行画面の内容を、操作内容に応じたものに変更する。
【0083】
このようにして、ユーザは、携帯電話機1が閉状態であっても、第2ディスプレイ22に表示された実行画面に対して、開状態と同様の操作を行い、その操作に基づく内容を確認することができる。
【0084】
図7は、閉状態において、第1ディスプレイ12でメモ帳のアプリケーションが実行され、第2ディスプレイ22でウェブブラウザが実行されている場合に、各ディスプレイ12、22の実行画面に対して操作がなされたときの事例を説明するための図である。
【0085】
図7(a)、(b)は、閉状態において、メモ帳のアプリケーションの文字入力画面が第1ディスプレイ12に表示され、地図のウェブ画面(地図画面)が第2ディスプレイ22に表示された状態を示す図である。図7(c)は、閉状態において、第1ディスプレイ12の文字入力画面に対して操作がなされたときの画面表示例を示す図であり、図7(d)は、第2ディスプレイ22の地図画面に対して操作がなされたときの画面表示例を示す
図である。
【0086】
なお、図7(b)、(c)、(d)では、各ディスプレイ12、22の実行画面を分かり易くするため、実際には重なっている2つのディスプレイ12、22が並べられて記載されている。以下、図8(b)、(c)、(d)および図10(b)、(c)、(d)においても同様である。
【0087】
携帯電話機1が閉じた状態において、図7(b)に示すように、第1ディスプレイ12にメモ帳のアプリケーションの文字入力画面が表示され、第2ディスプレイ22に地図画面が表示されている場合、図7(a)に示すように、第1ディスプレイ12に表示された文字入力画面の後方に第2ディスプレイ22に表示された地図画面が透けて見える。
【0088】
ユーザは、透けた地図画面を参照しながら文字入力画面において文書を作成できる。この場合、ユーザは、切替キー26Cにタッチすることなく文字入力画面に表わされたキーボードを操作する。これにより、図6のステップS101、S102、S103の処理がなされ、図7(c)に示すように、文字入力画面にキー操作に基づく文字が入力される。
【0089】
一方、文書作成中に、たとえば、地図画面において別の範囲を参照したくなった場合、ユーザは、切替キー26Cにタッチしながら、地図画面に表わされた移動キーを操作する。これにより、図6のステップS101、S102、S104の処理がなされ、図7(d)に示すように、地図画面が移動されて別の範囲の地図が表示される。
【0090】
このように、図7の事例では、閉状態において第1ディスプレイ12のアプリケーションを利用しているときに、閉状態のまま、第2ディスプレイ22のアプリケーションの実行画面を参照したり、その実行画面に対して操作したりできる。
【0091】
図8は、閉状態において、第1ディスプレイ12および第2ディスプレイ22で拡張現実のアプリケーションが実行されている場合に、各ディスプレイ12、22の実行画面に対して操作がなされたときの事例を説明するための図である。
【0092】
図8(a)、(b)は、閉状態において、カメラモジュール301で撮影された撮影画面が第2ディスプレイ22に表示され、撮影画面に関連する付加情報(アノテーション)からなる付加情報画面が第1ディスプレイ12に表示された状態を示す図である。図8(c)は、閉状態において、第1ディスプレイ12の付加情報画面に対して操作がなされたときの画面表示例を示す図であり、図8(d)は、第2ディスプレイ22の撮影画面に対して操作がなされたときの画面表示例を示す図である。
【0093】
携帯電話機1が閉じた状態において、拡張現実のアプリケーションが起動されると、カメラモジュール301が駆動される。さらに、GPSモジュール314から現在地情報が取得されるとともに、電子コンパス315を用いてカメラモジュール301が撮影している方位が検出される。現在地情報および方位情報が通信モジュール305を介して専用サーバーに送られ、これら情報に基づく付加情報が専用サーバーから送られてくる。たとえば、街角の風景が撮影されている場合、風景に含まれた建物に入居している各種店舗に関する付加情報が取得される。
【0094】
こうして、図8(b)に示すように、第2ディスプレイ22には、カメラモジュール301による撮影画面、たとえば、街角の風景が表示される。そして、第1ディスプレイ12には、撮影画面に関連する付加情報からなる付加情報画面が表示される。
【0095】
付加情報画面では、各建物に関連する付加情報が、各建物に対応する吹き出しの画像に
より表わされる。吹き出しの中には、ハイパーリンクが設定された文字列が含まれ得る。また、付加情報は、吹き出しよりも小さなアイコンの画像によっても表わされる。このとき、アイコンが、吹き出しと同様な位置に配置され、吹き出しに重なる場合には、図8(b)に示すように、アイコンが、第2ディスプレイ22において、撮影画面に合成されて表示される。
【0096】
図8(a)に示すように、第1ディスプレイ12に表示された付加情報画面の後方に第2ディスプレイ22に表示された撮影画面が透けて見える。付加情報画面内において、各吹き出しは、対応する建物に重なるように配置される。
【0097】
ユーザは、所望の風景をカメラモジュール301で撮影することにより、風景に重ねて付加情報を見ることができる。この場合に、ユーザが、切替キー26Cにタッチすることなく、第1タッチセンサ13において、吹き出し中のハイパーリンクが設定された文字列の位置にタッチすると、図6のステップS101、S102、S103の処理がなされ、ハイパーリンクに基づく実行画面が第1ディスプレイ12に表示される。たとえば、吹き出しに各種の店舗の情報が示されており、設定されたハイパーリンクが、それら店舗の1つであるC店のホームページのURLを参照するものである場合には、ウェブブラウザが起動され、図8(c)に示すように、第1ディスプレイ12にC店のホームページが表示される。
【0098】
一方、ユーザが、切替キー26Cにタッチしながら、第1タッチセンサ13において、アイコンの位置にタッチすると、図6のステップS101、S102、S104の処理がなされ、アイコンに基づく実行画面が第2ディスプレイ22に表示される。たとえば、図8(d)に示すように、建物内においてアイコンが位置する場所にある店舗に関する詳細情報が第2ディスプレイ22に表示される。
【0099】
なお、図8(a)に示す閉状態から携帯電話機1が開かれた場合、図9に示すように、第1ディスプレイ12には、閉状態のときよりも詳細な付加情報が表示される。ユーザは、携帯電話機1を開くことで、各建物内の各種店舗のより詳しい情報を知ることができる。
【0100】
このように、図8の事例では、付加情報を表すとともに操作の対象となるオブジェクト(吹き出し、アイコン等)が、撮影画面において同様な位置に存在する場合に、これらオブジェクトを第1ディスプレイ12と第2ディスプレイとにおいて重ねて配置できる。よって、閉状態において拡張現実のアプリケーションを実行する場合に、より多くの付加情報を、容易に操作できる状態で、撮影された風景に画面に合成することができる。
【0101】
図10は、閉状態において、第1ディスプレイ12および第2ディスプレイ22で動画プレーヤのアプリケーションが実行されている場合に、各ディスプレイ12、22の実行画面に対して操作がなされたときの事例を説明するための図である。
【0102】
図10(a)、(b)は、閉状態において、所定の動画の再生画面が第1ディスプレイ12に表示され、第1ディスプレイ12の動画の比較対象となる動画の再生画面が第2ディスプレイ22に表示された状態を示す図である。図10(c)は、閉状態において、第1ディスプレイ12の動画を再生する操作がなされたときの画面表示例を示す図であり、図10(d)は、第2ディスプレイ22の動画を再生する操作がなされたときの画面表示例を示す図である。
【0103】
携帯電話機1が閉じた状態において、図10(b)に示すように、第1ディスプレイ12に、所定の動画として、たとえば、ユーザのゴルフスイングが撮影された動画の再生画
面が表示され、第2ディスプレイ22に、比較対象となる画像として、たとえば、プロゴルファーのゴルフスイングが撮影された動画の再生画面が表示されている場合、図10(a)に示すように、第1ディスプレイ12に表示されたユーザの画像の後方に第2ディスプレイ22に表示されたプロゴルファーの画像透けて見える。再生画面には、再生ボタン、送りボタン、戻りボタン等で構成された操作バーが配置される。
【0104】
ユーザは、第1ディスプレイ12の動画、即ち、自分のゴルフスイングの動画を再生する場合には、切替キー26Cにタッチすることなく、第1ディスプレイ12の再生画面の再生ボタンを操作する。これにより、図6のステップS101、S102、S103の処理がなされ、図10(c)に示すように、自分のゴルフスイングの動画が再生される。
【0105】
一方、ユーザは、第2ディスプレイ22の動画、即ち、プロゴルファーのゴルフスイングの動画を再生する場合には、切替キー26Cにタッチしながら、第2ディスプレイ12の再生画面の再生ボタンを操作する。これにより、図6のステップS101、S102、S104の処理がなされ、図10(d)に示すように、プロゴルファーのゴルフスイングの動画が再生される。
【0106】
このように、図10に事例では、互いに比較される2つの動画が重なるように表示され、その状態でそれぞれの動画に対する操作が可能であるので、これら2つの動画、たとえば、ユーザのゴルフスイングの動画とプロゴルファーのゴルフスイングの動画とを、容易に比較、分析することができる。
【0107】
なお、互いに比較される動画としては、ゴルフスイングの他、たとえば、ユーザとプロ野球選手のバットスイングの動画等が考えられる。
【0108】
また、ユーザが、特定のキー、たとえば、機能キー26F1を押しながら、第1ディスプレイ12の再生ボタンを押した場合には、2つのディスプレイ12、22の動画が同時に再生されるようにしても良い。このようにすれば、ユーザは、2つの動画をより容易に比較、分析しやすくなる。
【0109】
<本実施の形態の効果>
以上、本実施の形態によれば、第1ディスプレイ12が透光性を有するディスプレイで構成され、閉状態において第1ディスプレイ12と第2ディスプレイ22との間に位置する第1キャビネット10の部位に開口部16が形成されている。さらに、切替キー26Cを操作することにより、第1タッチセンサ13が第2ディスプレイ22に対する入力の検出部として用いられる。これにより、ユーザは、閉状態でも、第2ディスプレイ22に表示された画像を、開口部16と第1ディスプレイ12を通じて見ることができ、また、第2ディスプレイ22の実行画面に対する操作を行うことができる。
【0110】
また、本実施の形態によれば、第1ディスプレイ12は、画像が表示された状態においても、ディスプレイの向こうが透けた状態となるので、第1ディスプレイ12に実行画面が表示されていても、第1ディスプレイ12を通じて第2ディスプレイ22の実行画面を見ることができる。
【0111】
さらに、本実施の形態によれば、図9および図10に示す事例のように、開状態でなければ、双方のディスプレイ12、22の実行画面を見たり、これら実行画面に対して操作したりできない従来の構成とは違い、図9および図10に示す事例のように、従来の構成では実現できない、新たな機能を実現できる。
【0112】
さらに、本実施の形態によれば、第1ディスプレイ12に有機ELディスプレイが用い
られているので、第1キャビネット10の薄型化を図ることができる。
【0113】
<変更例>
図11(a)、(b)は、それぞれ変更例1および変更例2に係る、閉状態において、第1タッチセンサ13への操作がなされたときの制御処理動作を示すフローチャートである。
【0114】
変更例1では、図6に示す上記実施の形態のステップS102とステップS104との間に、ステップS105の処理が追加される。即ち、CPU100は、第1タッチセンサ13への操作がなされたときに(S101:YES)、切替キー26Cがタッチされていると判定すると(S102:YES)、第1ディスプレイ12の輝度を低減させる。これにより、第1ディスプレイ12の実行画面が薄くなるので、後方の第2ディスプレイ22の実行画面が第1ディスプレイ12を通じて見やすくなる。
【0115】
一方、変更例2では、図6に示す上記実施の形態のステップS102とステップS104との間に、ステップS106の処理が追加される。即ち、CPU100は、第1タッチセンサ13への操作がなされたときに(S101:YES)、切替キー26Cがタッチされていると判定すると(S102:YES)、第1ディスプレイ12をオフする。これにより、第1ディスプレイ12の実行画面が消えるので、後方の第2ディスプレイ22の実行画面が第1ディスプレイ12を通じて見やすくなる。
【0116】
このように、変更例1および変更例2の構成とすれば、第2ディスプレイの実行画面に対して操作を行った後、その操作に基づく実行画面をより見やすくすることができる。
【0117】
なお、変更例1では、CPU100は、一旦、第1ディスプレイ12の輝度を低下させた後に、切替キー26Cが離されると、輝度を元に戻す。また、変更例2では、CPU100は、一旦、第1ディスプレイ12をオフした後に、切替キー26Cが離されると、再び第1ディスプレイ12をオンする。
【0118】
また、上記のように、第1タッチセンサ13が操作されたタイミングでなく、切替キー26Cがタッチされたタイミングで、CPU100が、第1ディスプレイ12の輝度を低下させる、あるいは、第1ディスプレイ12をオフするような構成とされても良い。この場合、第1タッチセンサ13が操作される前に、切替キー26Cが離されれば、CPU100は、第1ディスプレイ12の輝度を元に戻す、あるいは、第1ディスプレイ12をオンする。
【0119】
<その他>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施の形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施形態も上記の他に種々の変更が可能である。
【0120】
たとえば、上記実施の形態では、第1タッチセンサ13が、第1ディスプレイ12に対する入力の検出部として用いられるか第2ディスプレイ22に対する入力の検出部として用いられるかが、切替キー26Cへのタッチにより切り替えられる構成とされている。しかしながら、切替えのトリガーとなる操作は、これに限られない。たとえば、第1タッチセンサ13として、感圧式のタッチセンサが用いられた場合、図12に示すように、第1タッチセンサ13への操作が行われた際に、第1タッチセンサ13に加えられた圧力が検出される(S107)。そして、圧力が所定の閾値以下であれば(S107:NO)、CPU100は、第1タッチセンサ13への操作内容に応じて、第1ディスプレイ12の表示を制御する(S103)。一方、圧力が所定の閾値より大きければ(S107:YES)、CPU100は、第1タッチセンサ13への操作内容に応じて、第2ディスプレイ2
2の表示を制御する(S104)。
【0121】
ユーザは、手前にある第1ディスプレイ12の実行画面に対して操作するときには、第1タッチセンサ13に対して弱い力で操作し、奥にある第2ディスプレイ22の実行画面に対して操作するときには、第1タッチセンサ13に対して強い力で操作すればよいので、より直感的な操作を行うことができる。
【0122】
また、上記変更例1では、閉状態において、第2ディスプレイ22の実行画面に対して操作がなされる際に、第1ディスプレイ12の輝度を低下させる構成とされている。しかしながら、これに加えて、あるいは、これとは別に、閉状態において、第1ディスプレイ12の実行画面に対して操作がなされる際に、第1ディスプレイ12の輝度を増加させる構成とされても良い。この場合、たとえば、第1タッチセンサ13への操作がなされたときに、切替キー26Cがタッチされていなければ、CPU100は、第1ディスプレイ12の輝度を増加させる。その後、たとえば、切替キー26Cがタッチされると、CPU100は、第1ディスプレイ12の輝度を元に戻す。
【0123】
さらに、上記実施の形態では、第1ディスプレイ12として、透光性を有する有機ELディスプレイが用いられているが、透光性を有する液晶ディスプレイが用いられても良い。また、上記実施の形態では、第2ディスプレイ22として、液晶ディスプレイが用いられているが、有機ELディスプレイが用いられても良い。
【0124】
さらに、上記実施の形態では、第2ディスプレイ22に表示された画像を通過させるために、第1キャビネット10の背面部に開口部16が設けられている。しかしながら、第1キャビネット10の少なくとも背面部を透明な材料で形成するようにしても良い。
【0125】
さらに、上記実施の形態では、2つのディスプレイ12、22を備える携帯電話機1が示されている。しかしながら、本発明は、3つ、あるいは4つのディスプレイを備える携帯電話機に適用されても良い。この場合、閉じた状態で最も下になるディスプレイ以外のディスプレイが、透光性を有するディスプレイとされる。さらに、閉状態では、最も上のディスプレイ上に配されるタッチセンサが、その他のディスプレイに対する入力を検出する検出部として切り替えられる。たとえば、3つのディスプレイを備える携帯電話機では、第1切替キーおよび第2切替キーが設けられる。そして、第1切替キーが押された状態で、最も上のタッチセンサが操作されると、CPUは、その操作内容に応じて中間のディスプレイの表示を制御し、第2切替キーが押された状態で、最も上のタッチセンサが操作されると、CPUは、その操作内容に応じて最も下のディスプレイの表示を制御する。
【0126】
さらに、本発明の携帯端末装置は、携帯電話機に限られず、PDA(PersonalDigital Assistant)、タブレットPC(Tablet PC)等であってもよい。
【0127】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0128】
10 第1キャビネット
12 第1ディスプレイ(第1表示部)
13 第1タッチセンサ(入力検出部)
16 開口部(通過部)
20 第2キャビネット
22 第2ディスプレイ(第2表示部)
26C 切替キー(切替操作部)
100 CPU(制御部、切替検出部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)、タブレットPC(Tablet PC)等の携帯端末装置および当該携帯端末装置に用いて好的なプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機等の携帯端末装置において、2つのディスプレイを備える構成が提案されている。かかる携帯端末装置において、2つのディスプレイが並ぶ開状態と、一方のディスプレイが他方のディスプレイの上に重なる閉状態とに切替え可能な構成が採られる(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記のように、携帯端末装置が2つのディスプレイを備える場合、2つのアプリケーションのそれぞれの実行画面が、2つのディスプレイにそれぞれ表示され得る。
【0004】
たとえば、各ディスプレイにおいて実行されるアプリケーションに対する操作は、各ディスプレイ上に配されたタッチセンサへの入力により行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−305262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、携帯端末装置が閉状態と開状態とに切替可能である場合、ユーザが移動する際には、携帯しやすいように、携帯端末装置が閉状態とされ得る。双方のディスプレイにおいてアプリケーションが実行されているときに閉状態とされた場合、下側のディスプレイにおいても、引き続きアプリケーションが実行され続ける。
【0007】
ユーザは、移動しながら携帯端末装置を使用する場合もある。この場合に、ユーザは、携帯端末装置が持ちにくくなるので開状態にはしたくないが、下側のディスプレイにおけるアプリケーションの実行画面を見たり、実行画面に対して操作したりしたい状況が生じ得る。
【0008】
たとえば、下側のディスプレイにウェブ画面を表示したまま、上側のディスプレイでは電子メールやメモ帳を起動して文書を作成するような場合に、ユーザは、時折、ウェブ画面の情報を参照したり、そのウェブ画面に対して、所定の操作、たとえば拡大や移動の操作を行ったりしたい状況が生じ得る。
【0009】
しかしながら、上記の構成では、閉状態では下側のディスプレイとタッチセンサは、上側のディスプレイにより隠れた状態となっているため、下側のディスプレイの実行画面を見たり、実行画面に対して操作したりできない。
【0010】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、2つの表示部を備える携帯端末装置において、一方の表示部が他方の表示部の上に重なる閉状態においても、他方の表示部の実行画面を見たり、実行画面に対して操作したりできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様に係る携帯端末装置は、第1表示部および第2表示部と、前記第1表示部が配される第1キャビネットと、前記第2表示部が配される第2キャビネットと、前記第1表示部上に配され、前記第1表示部に対する入力を検出する入力検出部と、前記入力検出部を前記第2表示部に対する入力を検出する検出部に切り替えるための切替操作を検出する切替検出部と、前記第1表示部および前記第2表示部を制御する制御部と、を備える。ここで、前記第1表示部および前記第1キャビネットは、前記第1表示部が前記第2表示部上に重なるように配置された場合に、前記第2表示部に表示された画像が前記第1表示部を通して見られるように構成される。そして、前記制御部は、前記第1表示部が前記第2表示部上に重なる状態にあるときに、前記切替操作がなされた場合に、前記入力検出部により検出された前記第2表示部に対する入力に基づいて前記2表示部を制御する。
【0012】
本態様に係る携帯端末装置において、前記切替操作の際に操作される切替操作部を、さらに備えるような構成とされ得る。この場合、前記切替検出部は、前記切替操作部が操作されることにより前記切替操作を検出する。
【0013】
本態様に係る携帯端末装置において、前記第1検出部は、感圧タイプのタッチセンサを含むような構成とされ得る。この場合、前記切替検出部は、前記タッチセンサに加えられる圧力に基づいて前記切替操作を検出する。
【0014】
本態様に係る携帯端末装置において、前記第1表示部は、透光性を有するような構成とされ得る。この場合、前記第1キャビネットは、前記第1表示部が前記第2表示部上に重なる状態において前記第1表示部と前記第2表示部とに挟まれる部位に前記第2表示部に表示された画像が通過する通過部を備える。
【0015】
上記構成とした場合、さらに、前記第1表示部は、透光性を有する有機ELディスプレイを含み、画像が表示された状態で、前記第1表示部の向こう側が透けて見えるような構成とされ得る。
【0016】
上記構成とした場合、さらに、前記制御部は、前記切替操作がなされた場合に、前記第1表示部の輝度を低下させて、または、前記第1表示部を消灯して、前記第1表示部における前記第2表示部の画像の透過度を増加させるような構成とされ得る。
【0017】
本発明の第2の態様に係るプログラムは、第1表示部および第2表示部と、前記第1表示部が配される第1キャビネットと、前記第2表示部が配される第2キャビネットと、前記第1表示部上に配され、前記第1表示部に対する入力を検出する入力検出部と、を備え、前記第1表示部および前記第1キャビネットが、前記第1表示部が前記第2表示部上に重なるように配置された場合に、前記第2表示部に表示された画像が前記第1表示部を通して見られるように構成された携帯端末装置のコンピュータに、前記入力検出部を前記第2表示部に対する入力を検出する検出部に切り替えるための切替操作を検出する機能と、前記第1表示部が前記第2表示部上に重なる状態にあるときに、前記切替操作がなされた場合に、前記入力検出部により検出された前記第2表示部に対する入力に基づいて前記2表示部を制御する機能と、を付与する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の携帯端末装置およびプログラムによれば、一方の表示部が他方の表示部の上に重なる閉状態においても、他方の表示部の実行画面を見たり、実行画面に対して操作したりできる。
【0019】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施の形態に係る、閉状態および開状態の携帯電話機の外観構成および内部構成を示す図である。
【図2】実施の形態に係る、チルト状態の携帯電話機の外観構成を示す図である。
【図3】実施の形態に係る、携帯電話機の、閉状態から開状態へ変形される様子を説明する図である。
【図4】実施の形態に係る、携帯電話機の全体構成を示すブロック図である。
【図5】実施の形態に係る、第1ディスプレイおよび第2ディスプレイにランチャー画面およびアプリケーションの実行画面が表示された状態を示す図である。
【図6】実施の形態に係る、閉状態において、第1タッチセンサへの操作がなされたときの制御処理動作を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態に係る、閉状態において、第1ディスプレイでメモ帳のアプリケーションが実行され、第2ディスプレイでウェブブラウザが実行されている場合に、各ディスプレイの実行画面に対して操作がなされたときの事例を説明するための図である。
【図8】実施の形態に係る、閉状態において、第1ディスプレイおよび第2ディスプレイで拡張現実のアプリケーションが実行されている場合に、各ディスプレイの実行画面に対して操作がなされたときの事例を説明するための図である。
【図9】実施の形態に係る、第1ディスプレイおよび第2ディスプレイで拡張現実のアプリケーションが実行されている場合に、閉状態から開状態に切り替えられたときの画面表示について説明するための図である。
【図10】実施の形態に係る、閉状態において、第1ディスプレイおよび第2ディスプレイで動画プレーヤのアプリケーションが実行されている場合に、各ディスプレイの実行画面に対して操作がなされたときの事例を説明するための図である。
【図11】変更例1および変更例2に係る、閉状態において、第1タッチセンサへの操作がなされたときの制御処理動作を示すフローチャートである。
【図12】その他の変更例に係る、閉状態において、第1タッチセンサへの操作がなされたときの制御処理動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態に係る携帯電話機について説明する。
【0022】
<携帯電話機の構成>
図1(a)〜(d)、図2(a)および(b)は、本実施の形態に係る携帯電話機1の構成を示す図である。図1(a)は、閉状態の携帯電話機1の構成を示す斜視図、図1(b)は、開状態の携帯電話機1の構成を示す斜視図である。図1(c)は、図1(a)の携帯電話機1を右側から見たときの内部透視図、図1(d)は、図1(b)の携帯電話機1を右側から見たときの内部透視図である。
【0023】
図2(a)は、チルト状態の携帯電話機1を、第1キャビネット10の手前側から見た斜視図、図2(b)は、チルト状態の携帯電話機1を、第1キャビネット10の奥側から見た斜視図である。
【0024】
図1を参照して、携帯電話機1は、第1キャビネット10と、第2キャビネット20と、これら第1および第2キャビネット10、20を連結する連結部30とで構成されている。
【0025】
以下、携帯電話機1に対する「右」、「左」、「上」、「下」、「手前」および「奥」の方向は、図1(a)および(b)に示すように設定される。X軸、Y軸およびZ軸の正方向は、それぞれ、上、左および手前方向に対応する。第1および第2キャビネット10、20の「前面」は、それぞれ第1および第2キャビネット10、20の手前側の面である。第1および第2キャビネット10、20の「背面」は、それぞれ第1および第2キャビネット10、20の奥側の面である。
【0026】
閉状態は、第1キャビネット10が、第2キャビネット20の前面に重ねられて配された状態である。開状態は、第1キャビネット10が、第2キャビネット20の上側に並べられた状態である。
【0027】
第1キャビネット10は、左右方向に長い平坦な直方体形状を有する。第1キャビネット10内には、第1タッチパネル11が配されている。第1タッチパネル11は、第1ディスプレイ12および第1タッチセンサ13を含む。
【0028】
第1ディスプレイ12は、透光性を有する有機ELディスプレイであり、透光性を有する有機ELパネルと、有機ELパネルを駆動するドライバ回路を備える(図示せず)。有機ELパネルは、有機EL層を挟む陽極および陰極がともに透明電極で構成されており、パネルの向こう側が透けて見える。ドライバ回路が、表示制御装置(後述)から受信する画面信号および制御信号に基づき、透明電極間に通電すると、有機EL層が発光し、有機ELパネルに画像が描画される。これによって、第1タッチパネル11の外面である第1表示面14を介して、ユーザは、描画された画像を閲覧できる。
【0029】
なお、第1ディスプレイ12には、画像が半透明な状態で表示される。第1ディスプレイ12の輝度が増加すると、表示された画像が濃くなるため、第1ディスプレイ12の透明度、即ち、第1ディスプレイ12における第1ディスプレイ12の向こう側の景色の透過度が低下する。反対に、第1ディスプレイ12の輝度が低下すると、表示された画像が薄くなるため、第1ディスプレイ12の透明度が増加する。
【0030】
第1タッチセンサ13は、長方形状の透明なシートであり、第1ディスプレイ12の上に重ねられて配されている。第1タッチセンサ13は、ユーザが第1表示面14に対して入力したとき、すなわち第1表示面14をタッチしたとき、タッチされた第1表示面14上の位置(入力位置)を検出する。第1タッチセンサ13は、検出した入力位置に応じた位置信号を出力する。
【0031】
なお、ユーザが第1表示面14を「タッチ」するとは、ユーザが指やペンなどの接触部材によって第1表示面14に触れることである。ユーザが接触部材によって第1表示面14を押したり、撫でたり、第1表示面14に図形や文字を描いたりする場合に「タッチ」が行われる。ユーザが第1表示面14を「タップ」するとは、接触部材や指が第1表示面14を弾くように、第1表示面14のある位置において接触部材や指をタッチさせ、短時間のうちにリリースさせる動作を言う。ユーザが第1表示面14を「スライド」するとは、ユーザが接触部材や指を、第1表示面14に接触したまま、第1表示面14に沿って動かす動作を言う。
【0032】
第1キャビネット10の前面には、キー群15が配される。キー群15は、ホーム画面を第1表示面14に表示させるためのホームキー15H、アプリケーションの実行の際に第1表示面14に表示される実行画面をひとつ戻すためのバックキー15B、アプリケーションの起動のためのアイコンを含むアプリケーション起動画面(ランチャ画面)を第1表示面14に表示させるためのランチャキー15R等を含む。
【0033】
ホームキー15H、バックキー15Bおよびランチャキー15Rは、タッチキーである。指等により、ホームキー15H、バックキー15Bおよびランチャキー15Rのいずれかがタッチされると、キー入力回路(後述)が備えるタッチセンサ(図示せず)がこのタッチの操作を検出し、タッチされたキーに応じた信号を出力する。
【0034】
第2キャビネット20は、左右方向に長い平坦な直方体形状を有する。第2キャビネット20内には、第2タッチパネル21が配されている。第2タッチパネル21は、第2ディスプレイ22および第2タッチセンサ23を含む。
【0035】
第2ディスプレイ22は、液晶ディスプレイであり、液晶パネル、バックライトおよびこれらを駆動するドライバ回路を備える(図示せず)。ドライバ回路が、表示制御装置(後述)から受信する画面信号および制御信号に基づき液晶パネルおよびバックライトを駆動することにより、液晶パネルが画像を描画し、バックライトが点灯する。これによって、第2タッチパネル21の外面である第2表示面24を介して、ユーザは描画された画像を閲覧できる。
【0036】
第2タッチセンサ23は、長方形状の透明なシートであり、第2ディスプレイ22の上に重ねられて配されている。第2タッチセンサ23は、ユーザが第2表示面24をタッチしたとき、タッチされた第2表示面24上の位置を検出する。第2タッチセンサ23は、検出した位置に応じた信号を出力する。
【0037】
第2キャビネット20の前面および側面には、キー群25、26が配される。キー群25は、ホーム画面を第2表示面24に表示させるためのホームキー25H、アプリケーションの実行の際に第2表示面24に表示される実行画面をひとつ戻すためのバックキー25B、アプリケーション起動画面を第2表示面24に表示させるためのランチャキー25R等を含む。ホームキー25H、バックキー25Bおよびランチャキー25Rは、タッチキーである。指等により、ホームキー25H、バックキー25Bおよびランチャキー25Rのいずれかがタッチされると、キー入力回路(後述する)が備えるタッチセンサ(図示せず)がこのタッチの操作を検出し、タッチされたキーに応じた位置信号を出力する。
【0038】
キー群26は、第2キャビネット20の下側側面部に配された機能キー26F1、26F2、26F3を含む。機能キー26F1、26F2、26F3は、所定アプリケーションの起動、またはアプリケーションの実行時における音量調節その他の各種の機能のためのキーである。機能キー26F1、26F2、26F3が押下されると、キー入力回路がこの押下を検出し、押下されたキーに応じた信号を出力する。
【0039】
キー群26は、さらに、第2キャビネット20の右側側面部に配された切替キー26Cを含む。切替キー26Cは、閉状態において、第1タッチセンサ13を、第1ディスプレイ12(第1表示面14)に対する入力を検出する検出部から第2ディスプレイ22(第2表示面24)に対する入力を検出する検出部に切り替えるときにタッチされる。切替キー26Cは、タッチキーである。指等により、切替キー26Cがタッチされると、キー入力回路が備えるタッチセンサ(図示せず)がこのタッチの操作を検出し、切替信号を出力する。
【0040】
なお、切替キー26Cの配置位置は、第2キャビネット20の右側側面部でなくても良く、たとえば、左側側面部、前面部、後面部、背面部であっても良い。また、第1キャビネット10に、切替キー26Cが設けられても良い。
【0041】
図2(b)に示すように、第1キャビネット10の背面部には、開口部16が形成されている。携帯電話機1が閉状態にあるとき、開口部16を通じて第1ディスプレイ12と
第2ディスプレイ22が対面する。第1ディスプレイ12は、透光性を有するため、閉状態においても、ユーザは、第1ディスプレイ12および開口部16を通じて、携帯電話機1の手前側から第2ディスプレイ22表示された画像を見ることができる。
【0042】
図1(c)を参照して、閉状態において、第1および第2表示面14、24のうち第1表示面14のみが外部を臨む。第2表示面24は、第1キャビネット10の背後に配され、外部を臨まない。図1(d)を参照して、開状態において、第1および第2表示面14、24は、携帯電話機1の前面側から外部を臨む。
【0043】
図2(a)および(b)に示されるチルト状態において、第1キャビネット10が、第2キャビネット20の上側に並べられて配される。ただし、チルト状態での第1および第2キャビネット10、20の各前面は、開状態の場合と異なり、図2(a)および(b)に示される如く、所定の鈍角(たとえば百数十度)を有するよう配されている。
【0044】
連結部30は、中央フレーム31、第1右フレーム32、第1左フレーム33、第2右フレーム34および第2左フレーム35を有する。中央フレーム31は、左右に延びる形状を有する。中央フレーム31の右端は、第1右フレーム32の一端および第2右フレーム34の一端に接続する。中央フレーム31の左端は、第1左フレーム33の一端および第2左フレーム35の一端に接続する。
【0045】
第1右フレーム32および第1左フレーム33の他端には、それぞれ左右方向に延びる軸(図示せず)が配される。この軸が、第1キャビネット10の左右の側面部に配された溝部17により挟まれる。なお、図2(b)において、左側側面部の溝部17のみが描かれる。これらの軸が、溝部17に沿ってスライド移動可能に第1キャビネット10に保持されることにより、第1キャビネット10が、軸を中心に回転可能、且つ溝部17に沿って上下方向にスライド可能に、第1右フレーム32および第1左フレーム33により保持される。
【0046】
第2右フレーム34および第2左フレーム35は、第2キャビネット20を、左右方向を軸として回転可能に保持する。
【0047】
連結部30は、以下に図3(a)〜(f)を用いて説明するように、第1および第2キャビネット10、20を、開状態と閉状態とを、チルト状態を介して切り替え可能に保持する。ユーザは、手動で、携帯電話機1の配置状態を遷移させることができる。なお、閉状態が本発明の第1配置状態に相当し、開状態およびチルト状態が本発明の第2配置状態に相当する。
【0048】
図3(a)〜(f)は、携帯電話機1の画面状態が閉状態(図3(a))から、チルト状態(図3(d))を介して開状態(図3(f))へ遷移される過程を、携帯電話機1の右側から見て説明する図である。
【0049】
携帯電話機1が図3(a)のように閉状態にあるとき、第1キャビネット10が手前方向(図3(a)の破線矢印)へ移動されると、図3(b)に示す如く、第1キャビネット10の背面が、第2キャビネット20の前面から離れる。このとき、第1キャビネット10の移動に応じて、連結部30は、時計回りの方向へ回転(実線矢印)される。
【0050】
図3(b)に示される状態において、第1キャビネット10がさらに手前方向へ移動され、且つ第1表示面14が下側を向くように回転されると(破線矢印)、携帯電話機1の状態は、図3(c)の配置状態を介して、図3(d)のチルト状態に至る。チルト状態において、第1キャビネット10の背面の下側は、連結部30に当接する。
【0051】
第1キャビネット10の背面の下側が連結部30に当接した状態が保たれたまま、連結部30がさらに時計回りの方向(図3(d)の破線矢印)へ回転されると、携帯電話機1は、図3(e)に示される、第1表示面14と第2表示面24とが略一面状態になる状態に至る。
【0052】
図3(e)において、第1キャビネット10および第2キャビネット20との間には、間隙(数ミリメートル)が存在する。第1キャビネット10を、第2キャビネット20に対して下方向(一点鎖線矢印)へスライドさせると、図3(f)のように、携帯電話機1は開状態へと至る。このとき、第1キャビネット10の下側側面と、第2キャビネット20の上側側面とが、互いに接した状態となる。
【0053】
なお、携帯電話機1が図3(d)で示されるチルト状態にあるとき、すなわち第1右フレーム32および第1左フレーム33と第2キャビネット20とが所定の鈍角をなす状態にあるとき、連結部30は、連結部30の回転を弱く係止するための構造を有する。回転が弱く係止されるため、ユーザは、チルト状態を保ったまま携帯電話機1を使用することが可能であり、且つ、使用状態をチルト状態から開状態または閉状態へ、容易に変化させることができる。
【0054】
図4は、携帯電話機1の全体構成を示すブロック図である。本実施の形態の携帯電話機1は、上述した各構成要素の他、CPU100、メモリ200、カメラモジュール301、マイク302、音声エンコーダ303、キー入力回路304、通信モジュール305、第1表示制御装置306、第2表示制御装置307、第1VRAM308、第2VRAM309、音声デコーダ310、スピーカ311、開閉センサ312加速度センサ313、GPSモジュール314および電子コンパス316を備えている。
【0055】
カメラモジュール301は、第2キャビネット20に配されている。カメラモジュール301は、第2キャビネット20の背面部に設けられたレンズ窓(図示せず)を介して撮像し、カメラモジュール301が内蔵する映像エンコーダ(図示せず)によりデジタル撮像信号を生成する。カメラモジュール301は、生成した撮像信号をCPU100へ出力する。
【0056】
マイク302は、第1キャビネット10に配される。マイク302は、集音した音声を音声信号に変換して音声エンコーダ303へ出力する。音声エンコーダ303は、マイク302からのアナログの音声信号をデジタルの音声信号に変換し、変換されたデジタルの音声信号をCPU100へ出力する。
【0057】
キー入力回路304は、キー群15、25、26の各キーが押下されたときに、押下されたキーに応じた信号をCPU100へ出力する。
【0058】
通信モジュール305は、通話や通信のための電波を送受信するアンテナ(図示せず)を備える。通信モジュール305は、CPU100から入力される信号を無線信号に変換し、変換された無線信号を、アンテナを介して、基地局や他の通信装置等の通信先へ送信する。また、通信モジュール305は、アンテナを介して受信した無線信号をCPU100が利用できる形式の信号へ変換し、変換された信号をCPU100へ出力する。
【0059】
第1表示制御装置306および第2表示制御装置307は、それぞれ、第1ディスプレイ12および第2ディスプレイ22を制御する。第1表示制御装置306および第2表示制御装置307は、それぞれコントローラを有する。また、第1表示制御装置306はおよび第2表示制御装置307は、それぞれ、画面を記憶する第1VRAM308および第
2VRAM309を有する。
【0060】
第1表示制御装置306は、CPU100から入力する画像データに基づき画面表示のためのデータを生成し、生成した画面データを、CPU100から入力する制御信号にもとづいて、第1VRAM308に記憶させる。第1VRAM308は、複数の画面(たとえば数画面分)の画面データを記憶できる。第1表示制御装置306は、第1VRAM308に記憶された表示対象の画面データを、所定の時間間隔(たとえば、1秒に数10回程度)で、第1ディスプレイ12のドライバ回路へ出力する。
【0061】
第2表示制御装置307は、第1表示制御装置306と同様の構成がとられている。すなわち、第2表示制御装置307は、CPU100から入力する制御信号および画面データに基づき、第2VRAM309に複数の画面データを記憶させる。第2表示制御装置307は、第2VRAM309に記憶された表示対象の画面データを、所定の時間間隔(たとえば、1秒に数10回程度)で、第2ディスプレイ22のドライバ回路に出力する。
【0062】
音声デコーダ310は、CPU100からの音信号にデコード処理およびD/A変換を施し、変換された信号をスピーカ311に出力する。スピーカ311は、音声デコーダ310から入力する信号に基づき、音を出力する。
【0063】
開閉センサ312は、連結部30の第2キャビネット20に対する角度を検出する。開閉センサ312は、第2キャビネット20と連結部30がなす角度を検出する角度センサを備え、検出された角度に応じたデジタル信号を、CPU100へ出力する。CPU100は、開閉センサ312からの信号に基づき、現在、携帯電話機1の第1キャビネット10および第2キャビネット20の配置状態が、開状態、閉状態およびチルト状態の何れであるかを検出する処理を実行する。
【0064】
加速度センサ313は、第2キャビネット20に配され、携帯電話機1に加えられる加速度を検出する。加速度センサ313は3軸加速度センサであり、図1のX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の3方向に生じる加速度を検出する。加速度センサ313は、検出した加速度に応じた加速度信号をCPU100へ出力する。CPU100は、加速度センサ313からの加速度信号に基づき、携帯電話機1が、横向きおよび縦向きの何れの方向を向いているかを検出する。なお、使用状態がチルト状態であるとき、CPU100は、加速度センサ313が配された第2キャビネット20の向きを基準にして、携帯電話機1の向きが、横向きおよび縦向きの何れの方向を向いているかを検出する。
【0065】
GPSモジュール314は、上空にある複数のGPS衛星からの信号に基づいて、経度、緯度等の地理的な現在位置を測位し、その位置情報、即ち現在地情報をCPU100に出力する。
【0066】
電子コンパス315は、3軸タイプの電子コンパスであり、方位に応じた検出信号を出力する。CPU100は、電子コンパス315からの検出信号に基づいて、カメラモジュール301のレンズ窓が向く方位、即ち、カメラモジュール301が撮影している方位を検出する。
【0067】
メモリ200は、ROMおよびRAMを含む。メモリ200には、CPU100に制御機能を付与するための制御プログラムが記憶されている。制御プログラムは、通話、電子メール(以下、単に「メール」と言う。)、カメラ機能、ウェブブラウザ、音楽プレーヤ等の各種アプリケーションプログラム(以下、単に「アプリケーション」と言う。)を含む。また、制御プログラムは、後述する、閉状態において、第1タッチセンサ13への操作がなされたときの制御処理を実行するためのプログラムを含む。
【0068】
また、メモリ200は、アプリケーションの実行の際に一時的に利用または生成される各種のデータを記憶するワーキングメモリとしても使用される。
【0069】
メモリ200には、制御プログラムの他に、画像データ、通信モジュール305を介して外部から取り込んだ情報、および第1および第2タッチセンサ13、23により入力された情報等が、所定のファイル形式で保存される。
【0070】
CPU100は、キー入力回路304、各タッチセンサ13、23からの操作入力信号に基づき、制御プログラムに従って、カメラモジュール301、マイク302、通信モジュール305、第1および第2ディスプレイ12、22、スピーカ311等を動作させる。これにより、CPU100は、各種アプリケーションを実行する。
【0071】
<携帯電話機の機能>
図5(a)は、開状態において、第1ディスプレイ12(第1表示面14)および第2ディスプレイ22(第2表示面24)にランチャー画面が表示された状態を示す図である。図5(b)は、開状態において、第1表示面14および第2表示面24に、ランチャー画面での操作により起動されたアプリケーションの実行画面が表示された状態を示す図である。図5(c)は、閉状態において、第1表示面14に実行画面が表示され、第1表示面14を通じて第2表示面24の実行画面が見える状態を示す図である。なお、図5(a)、(b)、(c)では、携帯電話機1の構成が模式的に示されており、キー群15、25、26等、一部の構成が図示省略されている。以下、図9についても同様である。
【0072】
図5(a)に示すように、ランチャー画面には、各種のアプリケーションにそれぞれ対応するアイコンD1が表示されている。アプリケーションは、予め携帯電話機1備えられているアプリケーション以外にも、インターネットを通じたダウンロード等により入手可能であり、入手されたアプリケーションは、インストールにより携帯電話機1に追加される。
【0073】
ユーザは、複数のアイコンD1の中から、所望のアイコンD1を指などでタップすることにより、所望のアプリケーションを起動することができる。
【0074】
メモリ200には、各アイコンD1と表示面14、24上での各アイコンD1の位置とを対応付けるアイコン対応テーブル、および各アイコンD1と各アプリケーションとを対応付けるアプリ対応テーブルが記憶されている。CPU100は、アイコンD1がタップされると、タップされた位置に基づいて、アイコン対応テーブルを用いて、タップされたアイコンD1を特定する。さらに、アプリ対応テーブルを用いて、タップされたアイコンD1に対応するアプリケーションを特定し、そのアプリケーションを起動する。
【0075】
第1表示面14に表示されたアプリケーションA1に対応するアイコンD1がタップされると、アプリケーションの実行画面が第1表示面14に表示される。また、第2表示面24に表示されたアプリケーションA2に対応するアイコンD1がタップされると、アプリケーションA2の実行画面が第2表示面24に表示される(図5(b)参照)。
【0076】
さて、ユーザが移動する際には、携帯しやすいように、携帯電話機1が閉じられる。2つのアプリケーションA1、A2が実行された状態で、携帯電話機1が閉じられた場合、アプリケーションA1の実行画面は、第1表示面14に表示されたままとなるが、さらに、アプリケーションA2の実行画面も、第2表示面24に表示されたままとなる。上述の通り、第1ディスプレイ12は、実行画面が表示された状態においても向こう側が透けて見えるため、第1表示面14の実行画面の奥に第2表示面24の実行画面が映る状態とな
る(図5(c)参照)。
【0077】
ユーザは、移動しながら携帯電話機1を使用する場合もある。この場合に、ユーザは、携帯電話機1が持ちにくくなるので開状態にはしたくないが、下側の第2ディスプレイ22で表示されている実行画面に対し、所定の操作を行いたい状況が生じ得る。
【0078】
そこで、本実施の形態では、以下に説明するように、携帯電話機1を閉状態としたまま、ユーザが第2ディスプレイ22に表示された実行画面に対して所望の操作が行える構成とされている。
【0079】
図6は、閉状態において、第1タッチセンサ13への操作がなされたときの制御処理動作を示すフローチャートである。この制御処理は、閉状態において、第1ディスプレイ12および第2ディスプレイ22の双方にアプリケーションに係る実行画面が表示されているときに、CPU100により行われる。
【0080】
図6を参照して、CPU100は、第1タッチセンサ13に対して、タッチ、タップ、フリックなどの所定の操作がなされたか否かを監視する(S101)。所定の操作がなされたと判定すると(S101:YES)、CPU100は、切替キー26Cがタッチされているか否かを判定する(S102)。
【0081】
ユーザは、第1ディスプレイ12に表示された実行画面に対して操作を行いたい場合には、切替キー26Cにタッチすることなく、第1タッチセンサ13に対して所定の操作を行う。CPU100は、ステップS102において、切替キー26Cがタッチされていないと判定すると(S102:NO)、第1タッチセンサ13への操作は、第1ディスプレイ12の実行画面に対する操作であると判断し、第1タッチセンサ13への操作内容、即ち、タッチされた位置や操作の種別(タップ、フリック等)に応じて、第1ディスプレイ12の表示を制御する(S103)。即ち、CPU100は、第1ディスプレイ12の実行画面の内容を、操作内容に応じたものに変更する。
【0082】
一方、ユーザは、第2ディスプレイ22に表示された実行画面に対して操作を行いたい場合には、切替キー26Cにタッチしながら、第1タッチセンサ13に対して所定の操作を行う。CPU100は、ステップS102において、切替キー26Cがタッチされていると判定すると(S102:YES)、第1タッチセンサ13への操作は、第2ディスプレイ22の実行画面に対する操作であると判断し、第1タッチセンサ13への操作内容に応じて、第2ディスプレイ12の表示を制御する(S104)。即ち、CPU100は、第2ディスプレイ22の実行画面の内容を、操作内容に応じたものに変更する。
【0083】
このようにして、ユーザは、携帯電話機1が閉状態であっても、第2ディスプレイ22に表示された実行画面に対して、開状態と同様の操作を行い、その操作に基づく内容を確認することができる。
【0084】
図7は、閉状態において、第1ディスプレイ12でメモ帳のアプリケーションが実行され、第2ディスプレイ22でウェブブラウザが実行されている場合に、各ディスプレイ12、22の実行画面に対して操作がなされたときの事例を説明するための図である。
【0085】
図7(a)、(b)は、閉状態において、メモ帳のアプリケーションの文字入力画面が第1ディスプレイ12に表示され、地図のウェブ画面(地図画面)が第2ディスプレイ22に表示された状態を示す図である。図7(c)は、閉状態において、第1ディスプレイ12の文字入力画面に対して操作がなされたときの画面表示例を示す図であり、図7(d)は、第2ディスプレイ22の地図画面に対して操作がなされたときの画面表示例を示す
図である。
【0086】
なお、図7(b)、(c)、(d)では、各ディスプレイ12、22の実行画面を分かり易くするため、実際には重なっている2つのディスプレイ12、22が並べられて記載されている。以下、図8(b)、(c)、(d)および図10(b)、(c)、(d)においても同様である。
【0087】
携帯電話機1が閉じた状態において、図7(b)に示すように、第1ディスプレイ12にメモ帳のアプリケーションの文字入力画面が表示され、第2ディスプレイ22に地図画面が表示されている場合、図7(a)に示すように、第1ディスプレイ12に表示された文字入力画面の後方に第2ディスプレイ22に表示された地図画面が透けて見える。
【0088】
ユーザは、透けた地図画面を参照しながら文字入力画面において文書を作成できる。この場合、ユーザは、切替キー26Cにタッチすることなく文字入力画面に表わされたキーボードを操作する。これにより、図6のステップS101、S102、S103の処理がなされ、図7(c)に示すように、文字入力画面にキー操作に基づく文字が入力される。
【0089】
一方、文書作成中に、たとえば、地図画面において別の範囲を参照したくなった場合、ユーザは、切替キー26Cにタッチしながら、地図画面に表わされた移動キーを操作する。これにより、図6のステップS101、S102、S104の処理がなされ、図7(d)に示すように、地図画面が移動されて別の範囲の地図が表示される。
【0090】
このように、図7の事例では、閉状態において第1ディスプレイ12のアプリケーションを利用しているときに、閉状態のまま、第2ディスプレイ22のアプリケーションの実行画面を参照したり、その実行画面に対して操作したりできる。
【0091】
図8は、閉状態において、第1ディスプレイ12および第2ディスプレイ22で拡張現実のアプリケーションが実行されている場合に、各ディスプレイ12、22の実行画面に対して操作がなされたときの事例を説明するための図である。
【0092】
図8(a)、(b)は、閉状態において、カメラモジュール301で撮影された撮影画面が第2ディスプレイ22に表示され、撮影画面に関連する付加情報(アノテーション)からなる付加情報画面が第1ディスプレイ12に表示された状態を示す図である。図8(c)は、閉状態において、第1ディスプレイ12の付加情報画面に対して操作がなされたときの画面表示例を示す図であり、図8(d)は、第2ディスプレイ22の撮影画面に対して操作がなされたときの画面表示例を示す図である。
【0093】
携帯電話機1が閉じた状態において、拡張現実のアプリケーションが起動されると、カメラモジュール301が駆動される。さらに、GPSモジュール314から現在地情報が取得されるとともに、電子コンパス315を用いてカメラモジュール301が撮影している方位が検出される。現在地情報および方位情報が通信モジュール305を介して専用サーバーに送られ、これら情報に基づく付加情報が専用サーバーから送られてくる。たとえば、街角の風景が撮影されている場合、風景に含まれた建物に入居している各種店舗に関する付加情報が取得される。
【0094】
こうして、図8(b)に示すように、第2ディスプレイ22には、カメラモジュール301による撮影画面、たとえば、街角の風景が表示される。そして、第1ディスプレイ12には、撮影画面に関連する付加情報からなる付加情報画面が表示される。
【0095】
付加情報画面では、各建物に関連する付加情報が、各建物に対応する吹き出しの画像に
より表わされる。吹き出しの中には、ハイパーリンクが設定された文字列が含まれ得る。また、付加情報は、吹き出しよりも小さなアイコンの画像によっても表わされる。このとき、アイコンが、吹き出しと同様な位置に配置され、吹き出しに重なる場合には、図8(b)に示すように、アイコンが、第2ディスプレイ22において、撮影画面に合成されて表示される。
【0096】
図8(a)に示すように、第1ディスプレイ12に表示された付加情報画面の後方に第2ディスプレイ22に表示された撮影画面が透けて見える。付加情報画面内において、各吹き出しは、対応する建物に重なるように配置される。
【0097】
ユーザは、所望の風景をカメラモジュール301で撮影することにより、風景に重ねて付加情報を見ることができる。この場合に、ユーザが、切替キー26Cにタッチすることなく、第1タッチセンサ13において、吹き出し中のハイパーリンクが設定された文字列の位置にタッチすると、図6のステップS101、S102、S103の処理がなされ、ハイパーリンクに基づく実行画面が第1ディスプレイ12に表示される。たとえば、吹き出しに各種の店舗の情報が示されており、設定されたハイパーリンクが、それら店舗の1つであるC店のホームページのURLを参照するものである場合には、ウェブブラウザが起動され、図8(c)に示すように、第1ディスプレイ12にC店のホームページが表示される。
【0098】
一方、ユーザが、切替キー26Cにタッチしながら、第1タッチセンサ13において、アイコンの位置にタッチすると、図6のステップS101、S102、S104の処理がなされ、アイコンに基づく実行画面が第2ディスプレイ22に表示される。たとえば、図8(d)に示すように、建物内においてアイコンが位置する場所にある店舗に関する詳細情報が第2ディスプレイ22に表示される。
【0099】
なお、図8(a)に示す閉状態から携帯電話機1が開かれた場合、図9に示すように、第1ディスプレイ12には、閉状態のときよりも詳細な付加情報が表示される。ユーザは、携帯電話機1を開くことで、各建物内の各種店舗のより詳しい情報を知ることができる。
【0100】
このように、図8の事例では、付加情報を表すとともに操作の対象となるオブジェクト(吹き出し、アイコン等)が、撮影画面において同様な位置に存在する場合に、これらオブジェクトを第1ディスプレイ12と第2ディスプレイとにおいて重ねて配置できる。よって、閉状態において拡張現実のアプリケーションを実行する場合に、より多くの付加情報を、容易に操作できる状態で、撮影された風景に画面に合成することができる。
【0101】
図10は、閉状態において、第1ディスプレイ12および第2ディスプレイ22で動画プレーヤのアプリケーションが実行されている場合に、各ディスプレイ12、22の実行画面に対して操作がなされたときの事例を説明するための図である。
【0102】
図10(a)、(b)は、閉状態において、所定の動画の再生画面が第1ディスプレイ12に表示され、第1ディスプレイ12の動画の比較対象となる動画の再生画面が第2ディスプレイ22に表示された状態を示す図である。図10(c)は、閉状態において、第1ディスプレイ12の動画を再生する操作がなされたときの画面表示例を示す図であり、図10(d)は、第2ディスプレイ22の動画を再生する操作がなされたときの画面表示例を示す図である。
【0103】
携帯電話機1が閉じた状態において、図10(b)に示すように、第1ディスプレイ12に、所定の動画として、たとえば、ユーザのゴルフスイングが撮影された動画の再生画
面が表示され、第2ディスプレイ22に、比較対象となる画像として、たとえば、プロゴルファーのゴルフスイングが撮影された動画の再生画面が表示されている場合、図10(a)に示すように、第1ディスプレイ12に表示されたユーザの画像の後方に第2ディスプレイ22に表示されたプロゴルファーの画像透けて見える。再生画面には、再生ボタン、送りボタン、戻りボタン等で構成された操作バーが配置される。
【0104】
ユーザは、第1ディスプレイ12の動画、即ち、自分のゴルフスイングの動画を再生する場合には、切替キー26Cにタッチすることなく、第1ディスプレイ12の再生画面の再生ボタンを操作する。これにより、図6のステップS101、S102、S103の処理がなされ、図10(c)に示すように、自分のゴルフスイングの動画が再生される。
【0105】
一方、ユーザは、第2ディスプレイ22の動画、即ち、プロゴルファーのゴルフスイングの動画を再生する場合には、切替キー26Cにタッチしながら、第2ディスプレイ12の再生画面の再生ボタンを操作する。これにより、図6のステップS101、S102、S104の処理がなされ、図10(d)に示すように、プロゴルファーのゴルフスイングの動画が再生される。
【0106】
このように、図10に事例では、互いに比較される2つの動画が重なるように表示され、その状態でそれぞれの動画に対する操作が可能であるので、これら2つの動画、たとえば、ユーザのゴルフスイングの動画とプロゴルファーのゴルフスイングの動画とを、容易に比較、分析することができる。
【0107】
なお、互いに比較される動画としては、ゴルフスイングの他、たとえば、ユーザとプロ野球選手のバットスイングの動画等が考えられる。
【0108】
また、ユーザが、特定のキー、たとえば、機能キー26F1を押しながら、第1ディスプレイ12の再生ボタンを押した場合には、2つのディスプレイ12、22の動画が同時に再生されるようにしても良い。このようにすれば、ユーザは、2つの動画をより容易に比較、分析しやすくなる。
【0109】
<本実施の形態の効果>
以上、本実施の形態によれば、第1ディスプレイ12が透光性を有するディスプレイで構成され、閉状態において第1ディスプレイ12と第2ディスプレイ22との間に位置する第1キャビネット10の部位に開口部16が形成されている。さらに、切替キー26Cを操作することにより、第1タッチセンサ13が第2ディスプレイ22に対する入力の検出部として用いられる。これにより、ユーザは、閉状態でも、第2ディスプレイ22に表示された画像を、開口部16と第1ディスプレイ12を通じて見ることができ、また、第2ディスプレイ22の実行画面に対する操作を行うことができる。
【0110】
また、本実施の形態によれば、第1ディスプレイ12は、画像が表示された状態においても、ディスプレイの向こうが透けた状態となるので、第1ディスプレイ12に実行画面が表示されていても、第1ディスプレイ12を通じて第2ディスプレイ22の実行画面を見ることができる。
【0111】
さらに、本実施の形態によれば、図9および図10に示す事例のように、開状態でなければ、双方のディスプレイ12、22の実行画面を見たり、これら実行画面に対して操作したりできない従来の構成とは違い、図9および図10に示す事例のように、従来の構成では実現できない、新たな機能を実現できる。
【0112】
さらに、本実施の形態によれば、第1ディスプレイ12に有機ELディスプレイが用い
られているので、第1キャビネット10の薄型化を図ることができる。
【0113】
<変更例>
図11(a)、(b)は、それぞれ変更例1および変更例2に係る、閉状態において、第1タッチセンサ13への操作がなされたときの制御処理動作を示すフローチャートである。
【0114】
変更例1では、図6に示す上記実施の形態のステップS102とステップS104との間に、ステップS105の処理が追加される。即ち、CPU100は、第1タッチセンサ13への操作がなされたときに(S101:YES)、切替キー26Cがタッチされていると判定すると(S102:YES)、第1ディスプレイ12の輝度を低減させる。これにより、第1ディスプレイ12の実行画面が薄くなるので、後方の第2ディスプレイ22の実行画面が第1ディスプレイ12を通じて見やすくなる。
【0115】
一方、変更例2では、図6に示す上記実施の形態のステップS102とステップS104との間に、ステップS106の処理が追加される。即ち、CPU100は、第1タッチセンサ13への操作がなされたときに(S101:YES)、切替キー26Cがタッチされていると判定すると(S102:YES)、第1ディスプレイ12をオフする。これにより、第1ディスプレイ12の実行画面が消えるので、後方の第2ディスプレイ22の実行画面が第1ディスプレイ12を通じて見やすくなる。
【0116】
このように、変更例1および変更例2の構成とすれば、第2ディスプレイの実行画面に対して操作を行った後、その操作に基づく実行画面をより見やすくすることができる。
【0117】
なお、変更例1では、CPU100は、一旦、第1ディスプレイ12の輝度を低下させた後に、切替キー26Cが離されると、輝度を元に戻す。また、変更例2では、CPU100は、一旦、第1ディスプレイ12をオフした後に、切替キー26Cが離されると、再び第1ディスプレイ12をオンする。
【0118】
また、上記のように、第1タッチセンサ13が操作されたタイミングでなく、切替キー26Cがタッチされたタイミングで、CPU100が、第1ディスプレイ12の輝度を低下させる、あるいは、第1ディスプレイ12をオフするような構成とされても良い。この場合、第1タッチセンサ13が操作される前に、切替キー26Cが離されれば、CPU100は、第1ディスプレイ12の輝度を元に戻す、あるいは、第1ディスプレイ12をオンする。
【0119】
<その他>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施の形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施形態も上記の他に種々の変更が可能である。
【0120】
たとえば、上記実施の形態では、第1タッチセンサ13が、第1ディスプレイ12に対する入力の検出部として用いられるか第2ディスプレイ22に対する入力の検出部として用いられるかが、切替キー26Cへのタッチにより切り替えられる構成とされている。しかしながら、切替えのトリガーとなる操作は、これに限られない。たとえば、第1タッチセンサ13として、感圧式のタッチセンサが用いられた場合、図12に示すように、第1タッチセンサ13への操作が行われた際に、第1タッチセンサ13に加えられた圧力が検出される(S107)。そして、圧力が所定の閾値以下であれば(S107:NO)、CPU100は、第1タッチセンサ13への操作内容に応じて、第1ディスプレイ12の表示を制御する(S103)。一方、圧力が所定の閾値より大きければ(S107:YES)、CPU100は、第1タッチセンサ13への操作内容に応じて、第2ディスプレイ2
2の表示を制御する(S104)。
【0121】
ユーザは、手前にある第1ディスプレイ12の実行画面に対して操作するときには、第1タッチセンサ13に対して弱い力で操作し、奥にある第2ディスプレイ22の実行画面に対して操作するときには、第1タッチセンサ13に対して強い力で操作すればよいので、より直感的な操作を行うことができる。
【0122】
また、上記変更例1では、閉状態において、第2ディスプレイ22の実行画面に対して操作がなされる際に、第1ディスプレイ12の輝度を低下させる構成とされている。しかしながら、これに加えて、あるいは、これとは別に、閉状態において、第1ディスプレイ12の実行画面に対して操作がなされる際に、第1ディスプレイ12の輝度を増加させる構成とされても良い。この場合、たとえば、第1タッチセンサ13への操作がなされたときに、切替キー26Cがタッチされていなければ、CPU100は、第1ディスプレイ12の輝度を増加させる。その後、たとえば、切替キー26Cがタッチされると、CPU100は、第1ディスプレイ12の輝度を元に戻す。
【0123】
さらに、上記実施の形態では、第1ディスプレイ12として、透光性を有する有機ELディスプレイが用いられているが、透光性を有する液晶ディスプレイが用いられても良い。また、上記実施の形態では、第2ディスプレイ22として、液晶ディスプレイが用いられているが、有機ELディスプレイが用いられても良い。
【0124】
さらに、上記実施の形態では、第2ディスプレイ22に表示された画像を通過させるために、第1キャビネット10の背面部に開口部16が設けられている。しかしながら、第1キャビネット10の少なくとも背面部を透明な材料で形成するようにしても良い。
【0125】
さらに、上記実施の形態では、2つのディスプレイ12、22を備える携帯電話機1が示されている。しかしながら、本発明は、3つ、あるいは4つのディスプレイを備える携帯電話機に適用されても良い。この場合、閉じた状態で最も下になるディスプレイ以外のディスプレイが、透光性を有するディスプレイとされる。さらに、閉状態では、最も上のディスプレイ上に配されるタッチセンサが、その他のディスプレイに対する入力を検出する検出部として切り替えられる。たとえば、3つのディスプレイを備える携帯電話機では、第1切替キーおよび第2切替キーが設けられる。そして、第1切替キーが押された状態で、最も上のタッチセンサが操作されると、CPUは、その操作内容に応じて中間のディスプレイの表示を制御し、第2切替キーが押された状態で、最も上のタッチセンサが操作されると、CPUは、その操作内容に応じて最も下のディスプレイの表示を制御する。
【0126】
さらに、本発明の携帯端末装置は、携帯電話機に限られず、PDA(PersonalDigital Assistant)、タブレットPC(Tablet PC)等であってもよい。
【0127】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0128】
10 第1キャビネット
12 第1ディスプレイ(第1表示部)
13 第1タッチセンサ(入力検出部)
16 開口部(通過部)
20 第2キャビネット
22 第2ディスプレイ(第2表示部)
26C 切替キー(切替操作部)
100 CPU(制御部、切替検出部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1表示部および第2表示部と、
前記第1表示部が配される第1キャビネットと、
前記第2表示部が配される第2キャビネットと、
前記第1表示部上に配され、前記第1表示部に対する入力を検出する入力検出部と、
前記入力検出部を前記第2表示部に対する入力を検出する検出部に切り替えるための切替操作を検出する切替検出部と、
前記第1表示部および前記第2表示部を制御する制御部と、を備え、
前記第1表示部および前記第1キャビネットは、前記第1表示部が前記第2表示部上に重なるように配置された場合に、前記第2表示部に表示された画像が前記第1表示部を通して見られるように構成され、
前記制御部は、前記第1表示部が前記第2表示部上に重なる状態にあるときに、前記切替操作がなされた場合に、前記入力検出部により検出された前記第2表示部に対する入力に基づいて前記2表示部を制御する、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末装置において、
前記切替操作の際に操作される切替操作部を、さらに備え、
前記切替検出部は、前記切替操作部が操作されることにより前記切替操作を検出する、ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項3】
請求項1に記載の携帯端末装置において、
前記第1検出部は、感圧タイプのタッチセンサを含み、
前記切替検出部は、前記タッチセンサに加えられる圧力に基づいて前記切替操作を検出する、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載の携帯端末装置において、
前記第1表示部は、透光性を有し、
前記第1キャビネットは、前記第1表示部が前記第2表示部上に重なる状態において前記第1表示部と前記第2表示部とに挟まれる部位に前記第2表示部に表示された画像が通過する通過部を備える、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項5】
請求項4に記載の携帯端末装置において、
前記第1表示部は、透光性を有する有機ELディスプレイを含み、画像が表示された状態で、前記第1表示部の向こう側が透けて見える、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項6】
請求項5に記載の携帯端末装置において、
前記制御部は、前記切替操作がなされた場合に、前記第1表示部の輝度を低下させて、または、前記第1表示部を消灯して、前記第1表示部における前記第2表示部の画像の透過度を増加させる、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項7】
第1表示部および第2表示部と、
前記第1表示部が配される第1キャビネットと、
前記第2表示部が配される第2キャビネットと、
前記第1表示部上に配され、前記第1表示部に対する入力を検出する入力検出部と、を
備え、
前記第1表示部および前記第1キャビネットが、前記第1表示部が前記第2表示部上に重なるように配置された場合に、前記第2表示部に表示された画像が前記第1表示部を通して見られるように構成された携帯端末装置のコンピュータに、
前記入力検出部を前記第2表示部に対する入力を検出する検出部に切り替えるための切替操作を検出する機能と、
前記第1表示部が前記第2表示部上に重なる状態にあるときに、前記切替操作がなされた場合に、前記入力検出部により検出された前記第2表示部に対する入力に基づいて前記2表示部を制御する機能と、
を付与するプログラム。
【請求項1】
第1表示部および第2表示部と、
前記第1表示部が配される第1キャビネットと、
前記第2表示部が配される第2キャビネットと、
前記第1表示部上に配され、前記第1表示部に対する入力を検出する入力検出部と、
前記入力検出部を前記第2表示部に対する入力を検出する検出部に切り替えるための切替操作を検出する切替検出部と、
前記第1表示部および前記第2表示部を制御する制御部と、を備え、
前記第1表示部および前記第1キャビネットは、前記第1表示部が前記第2表示部上に重なるように配置された場合に、前記第2表示部に表示された画像が前記第1表示部を通して見られるように構成され、
前記制御部は、前記第1表示部が前記第2表示部上に重なる状態にあるときに、前記切替操作がなされた場合に、前記入力検出部により検出された前記第2表示部に対する入力に基づいて前記2表示部を制御する、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末装置において、
前記切替操作の際に操作される切替操作部を、さらに備え、
前記切替検出部は、前記切替操作部が操作されることにより前記切替操作を検出する、ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項3】
請求項1に記載の携帯端末装置において、
前記第1検出部は、感圧タイプのタッチセンサを含み、
前記切替検出部は、前記タッチセンサに加えられる圧力に基づいて前記切替操作を検出する、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載の携帯端末装置において、
前記第1表示部は、透光性を有し、
前記第1キャビネットは、前記第1表示部が前記第2表示部上に重なる状態において前記第1表示部と前記第2表示部とに挟まれる部位に前記第2表示部に表示された画像が通過する通過部を備える、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項5】
請求項4に記載の携帯端末装置において、
前記第1表示部は、透光性を有する有機ELディスプレイを含み、画像が表示された状態で、前記第1表示部の向こう側が透けて見える、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項6】
請求項5に記載の携帯端末装置において、
前記制御部は、前記切替操作がなされた場合に、前記第1表示部の輝度を低下させて、または、前記第1表示部を消灯して、前記第1表示部における前記第2表示部の画像の透過度を増加させる、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項7】
第1表示部および第2表示部と、
前記第1表示部が配される第1キャビネットと、
前記第2表示部が配される第2キャビネットと、
前記第1表示部上に配され、前記第1表示部に対する入力を検出する入力検出部と、を
備え、
前記第1表示部および前記第1キャビネットが、前記第1表示部が前記第2表示部上に重なるように配置された場合に、前記第2表示部に表示された画像が前記第1表示部を通して見られるように構成された携帯端末装置のコンピュータに、
前記入力検出部を前記第2表示部に対する入力を検出する検出部に切り替えるための切替操作を検出する機能と、
前記第1表示部が前記第2表示部上に重なる状態にあるときに、前記切替操作がなされた場合に、前記入力検出部により検出された前記第2表示部に対する入力に基づいて前記2表示部を制御する機能と、
を付与するプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−26961(P2013−26961A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162054(P2011−162054)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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