説明

携帯端末装置による録音通知方法及び携帯端末装置及び通信システム

【課題】従来の音声記録システムでは、録音内容にセキュリティ上の問題があった。
【解決手段】システム制御部17は、通話相手端末との接続を行う。録音制御部は、接続がなされると音声入力コマンドによる録音開始指示の検出を行い、前記録音開始指示があると記憶装置に送受信音声の音声ファイルを作成する。文字化制御部10は、音声ファイルの音声データを文字化し、文字ファイル12を作成する。宛先送信部11は、文字ファイル12の文字データを予め決められた通知先に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯端末装置による録音通知方法及び携帯端末装置及び通信システムに関し、特に、録音の内容をリアルタイムに第3者に通知することにより録音内容のセキュリティを向上させた携帯端末装置による録音通知方法及び携帯端末装置及び通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機、PHS(Personal Handy phone system )等の携帯端末装置は、どこでも、だれとでも会話できる点で非常に便利である。しかし、会話内容をメモしようとすると、文房具等で他の媒体に記すか、ユーザが個人的に記憶するなど、手間・曖昧さ等を伴う場合が多い。
【0003】
そこで、上述の問題を解決させる音声記録システムが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0004】
この音声記録システムは、例えば、特許文献1に記載された方法では、ヘッドセット間の会話を常時、ヘッドセット内のメモリに自動的に録音できる仕組みを提供している。
【0005】
また、特許文献2に記載された方法では、携帯電話機に交換可能なメモリカードを装着して、相手の話と自分の話を記録し、後刻に会話の内容を確認できるようにしている。
【0006】
一方、最近では、携帯電話機を用いた犯罪が急増している。例えば、携帯電話機を用いたおれおれ詐欺や、無法な取り立て、脅迫、ゆすりなど、様々な犯罪が発生している。
【0007】
善良な市民が、これらの事件に巻き込まれたとき、会話の内容、状況は、犯人検挙や、追跡に重要な証拠となりうる。
【0008】
上述した音声記録システムでも、相手の話と自分の話を記録した結果を、しかるべき場所に出向き開示すれば、捜査に役立つことは間違いない。
【0009】
【特許文献1】特開2005−237017号公報(例えば、「0037」〜「0041」)
【特許文献2】特開2000−32169号公報(例えば、「0018」〜「0020」)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上述した従来の音声記録システムでは、録音内容にセキュリティ上の問題があった。
【0011】
なぜなら、録音した本人が拉致されたり、録音した端末が奪われたり、紛失したりした場合は、会話の証拠も開示できなくなるからである。
【0012】
本発明の目的は、携帯電話機による双方の会話を録音し、その結果を文字化して、リアルタイムに、予め登録しておいた相手先に送信することにより、録音内容のセキュリティを向上させた携帯端末装置による録音通知方法及び携帯端末装置及び通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は、通話相手端末との送受信音声を録音し、前記録音された音声を所定の通知先に通知することを特徴とする。
【0014】
この場合、前記通知先に通知する内容は、前記録音された音声を文字化したものであることを特徴とする。
【0015】
また、前記文字化したデータが一定の量になる毎に前記通知先にメール通知することを特徴とする。
【0016】
また、前記録音が開始されると、バイブレータを振動させることを特徴とする。
【0017】
次の発明は、通話相手端末と接続後、録音開始指示があると記憶装置に送受信音声の音声ファイルを作成し、前記音声ファイルの音声データを所定の通知先に通知することを特徴とする。
【0018】
この場合、前記録音開始指示は、音声入力のコマンドであることを特徴とする。
【0019】
また、前記通知先に通知する内容は、前記音声ファイルの音声データを文字化したものであることを特徴とする。
【0020】
また、前記音声ファイル作成の終了は、録音終了指示またはキーボタンによる通話終了時であることを特徴とする。
【0021】
また、前記文字化したデータが一定の量になる毎に前記文字化したデータを前記通知先にメール通知することを特徴とする。
【0022】
また、前記録音開始指示があると、予め備えたバイブレータを振動させることを特徴とする。
【0023】
次の発明は、通話相手端末との通信時に録音開始指示の検出を行い前記録音開始指示があると予め有する記憶装置に送受信音声の音声ファイルを作成する録音制御部と、前記音声ファイルの音声データを予め決められた通知先に通知する宛先送信部とを含んで構成されることを特徴とする。
【0024】
この場合、前記録音開始指示は、音声入力のコマンドであることを特徴とする。
【0025】
また、前記音声ファイルの音声データを文字化する文字化制御部を有し、前記通知先に通知する内容は前記文字化したデータであることを特徴とする。
【0026】
また、前記音声ファイル作成の終了は、前記録音制御部が録音終了指示を検出するかまたはキーボタンによる通話終了時であることを特徴とする。
【0027】
また、前記宛先送信部は前記文字化したデータが一定の量になる毎に前記文字化したデータを前記通知先にメール通知することを特徴とする。
【0028】
また、前記録音制御部は、前記録音開始指示があると予め備えたバイブレータを振動させることを特徴とする。
【0029】
次の発明は、第1の携帯端末装置と、第2の携帯端末装置と、前記第1の携帯端末装置と前記第2の携帯端末装置とを接続するネットワークとを含む通信システムであって、前記第1の携帯端末装置は、前記第2の携帯端末装置との接続を行うシステム制御部と、前記接続がなされると録音開始指示の検出を行い前記録音開始指示があると予め有する記憶装置に送受信音声の音声ファイルを作成する録音制御部と、前記音声ファイルの音声データを予め決められた通知先に通知する宛先送信部を含んで構成されることを特徴とする。
【0030】
この場合、前記録音開始指示は、音声入力のコマンドであることを特徴とする。
【0031】
また、前記音声ファイルの音声データを文字化する文字化制御部を有し、前記通知先に通知する内容は前記文字化データであることを特徴とする。
【0032】
また、前記宛先送信部は前記文字化したデータが一定の量になる毎に前記文字化したデータを前記通知先にメール通知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明の携帯端末装置による録音通知方法及び携帯端末装置は、録音した内容のセキュリティを向上させる効果がある。
【0034】
なぜなら、携帯電話機による双方の会話中に、双方の会話を録音し、その結果を文字化して、リアルタイムに、予め登録しておいた相手先に送信するようにしたからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0036】
本発明の実施の形態は、携帯電話機による双方の会話を録音し、その結果を文字化して、リアルタイムに、予め登録しておいた相手先に送信することにより、録音内容のセキュリティを向上させものである。
【0037】
そのため、本発明の実施の形態においては、携帯電話機の録音開始の指示に、音声入力による録音制御コマンドを用いる。
【0038】
その理由は、会話録音が、セキュリティ目的であるため、操作が簡単でなければならず、また、必要性を感じたときにすぐに使用できなければならないからである。
【0039】
図1は本発明の一実施の形態を示す携帯電話機のブロック図である。
【0040】
図1を参照すると、本発明の一実施の形態の携帯電話機は、マイク1、アンテナ2、録音制御部3、送受信部4、音声符号化部5、音声復号部6、音声再生制御部7、スピーカ8を有している。さらに、携帯電話機は、音声ファイル9、文字化制御部10、宛先送信部11、文字ファイル12、文字再生制御部13、表示装置14、振動制御部15、バイブレータ16、システム制御部17を含んでなる。
【0041】
システム制御部17は、図示していないが、CPUが不揮発性メモリに格納されたOSやアプリケーションを実行することにより、装置全体を統括する。例えば、発呼、着呼などの呼処理あるいはデータ通信を統括し、必要に応じて各制御部を起動制御する。
【0042】
なお、システム制御部17は、音声の送受信と同時に、メールなどのパケットデータを送受信できるマルチアクセス制御機能を有するものとする。
【0043】
図1においては、システム制御部17は、発呼時に相手端末から応答信号を受信したとき、又は、着呼時にオフフックしたとき、会話可能状態になったとし録音制御部3を起動する。
【0044】
尚、呼処理の制御方法は、従来から知れられた技術と同じであるため、ここでは詳述しない。
【0045】
録音制御部3は、相手装置との通信時、たとえば相手装置との接続が確立し通話開始状態になったときにシステム制御部17から起動されると、マイク1からの入力音声を受信し、アナログ/ディジタル変換したのち、予め内部のメモリに登録された録音制御コマンドを検出する。録音制御部3は、録音制御コマンドが録音開始コマンドであれば、録音データとしてRAMに音声ファイル9を作成し、振動制御部15に起動を指示する。尚、RAMは、以下も同様であるが、不揮発性である。そして、録音制御部3は、録音制御コマンドが録音終了コマンドであれば、録音終了として音声ファイル9の作成を中止し、振動制御部15に起動停止を指示する。この録音制御部3の録音制御コマンド処理の詳細については、後述する。
【0046】
また、録音制御部3は、音声ファイル9を作成する際、自分と通話相手のそれぞれに対応した二つの音声ファイルを作成する。マイク1からの入力音が自分の音声として、後述する音声復号部6からの音声データを相手側の音声として録音する。そして、それぞれの音声ファイルには「タイムスタンプデータ」が会話音声の音声ブロックの開始点毎に入っており、再生時には二つの音声ファイルに記録された音声が同期して一連の会話の流れとなるように再生できるようになっている。
【0047】
また、必要があれば、二つのファイルを別々に再生させることもできる。詳細は後述する。
【0048】
音声符号化部5は、録音制御部3から渡される入力音声を所定の方法で符号化し、符号化音声データを送受信部4に出力する。
【0049】
振動制御部15は、録音制御部3から起動されると、予め定めれた振動パターンでバイブレータ16を振動させ、利用者に、会話の録音が開始されたことを通知する。
【0050】
送受信部4は、アンテナ2から音声信号を含む無線信号を受信し、復調、ベースバンド信号化を行い、音声データを音声復号部6に出力する。また、送受信部4は、音声符号化部5で符号化されたマイク1からの入力音声(音声データ)をフレーム化、変調し、アンテナ2から放出する。この送受信部4は、移動体通信の通信方式に応じた回路構成を有する。
【0051】
音声復号部6は、送受信部4からの音声データを復号し、録音制御部3に出力するとともに、復号した後ディジタル/アナログ変換してスピーカ8を介して出力する。
【0052】
音声ファイル9は、録音制御部3によりRAMに作成された録音データである。録音データは録音制御部3により作成されたもので、自分と通話相手のそれぞれに対応した二つの音声ファイルで構成される。それぞれの音声ファイルに、マイク1からの入力音が自分の音声として、音声復号部6からの出力音を相手側の音声として録音される。それぞれの音声ファイルには「タイムスタンプデータ」が会話音声の音声ブロックの開始点毎に入っており、再生時には二つの音声ファイルに記録された音声が同期して再生できるようになっている。
【0053】
なお、タイムスタンプデータは、それぞれの音声ファイルに自分と通話相手の会話音声が録音される際に、録音制御部3によって音声ブロックの開始点毎に付与される時刻データである。
【0054】
音声再生制御部7は、ユーザからの要求を受けて音声ファイルを再生し、スピーカ8から出力する。
【0055】
文字化制御部10は、音声ファイル9の音声データを音声認識技術を用いて文字化し、RAMに文字ファイル12を作成するとともに、宛先送信部11を起動する。文字化制御部10は、音声ファイル9と同様に、録音された自分の音声ファイルと相手の音声ファイルを別々に文字化してファイル作成する。
【0056】
また、文字化制御部10は、文字化された文字データが、一定量に達すれば宛先送信部11を起動する。
【0057】
文字ファイル12は、文字化制御部10によりRAMに作成された、録音データの文字化データである。音声ファイル9と同様に、録音された自分の音声ファイルと相手の音声ファイルを別々に文字化されたファイルからなる。
【0058】
宛先送信部11は、文字化制御部10から起動されると、文字ファイルのデータを、予め指定されたアドレスにリアルタイムにメール送信する。
【0059】
宛先送信部11の詳細動作については後述する。
【0060】
文字再生制御部13は、ユーザからの要求を受けて、文字ファイル12のデータを表示装置14に表示する。
【0061】
表示装置14は、携帯電話機のディスプレイである。
【0062】
図2は、本発明の一実施の形態を示す携帯電話機の動作フロー図である。
【0063】
ステップ1;システム制御部17は、送受信部4を経由して、発呼時に相手から応答信号を受信したとき、又は、着呼時にオフフックしたとき、通話開始状態になったと判断し、録音制御部3を起動する。
【0064】
なお、ステップ1の前提として、操作部の操作により、携帯電話機は、通話開始状態になると、会話音声の録音を行う録音モードが選択されているものとする。
【0065】
ステップ2;録音制御部3は、システム制御部17から起動されると、マイク1からの入力音声を受信し、予め登録された録音制御コマンドを検出する。この場合、録音制御部3は、会話冒頭部分の入力音声を音声分析し、あらかじめ録音制御部3内のメモリに記憶された録音制御コマンドと音声分析された会話冒頭部分の入力音声とを比較し、ほぼ一致していれば、その録音制御コマンドを検出する。
【0066】
ステップ2で、録音開始コマンドが検出された場合は、ステップ3、ステップ4に移行し、録音終了コマンドが検出された場合は、ステップ7に移行し、未検出の場合はステップ2を繰り返す。
【0067】
ステップ3;録音制御部3は、自分と通話相手のそれぞれに対応した二つの音声ファイルを音声ファイル9として作成する。
【0068】
ステップ4;録音制御部3は、振動制御部15に起動を指示する。振動制御部15は、録音制御部3から起動されると、予め定めれた振動パターンでバイブレータ16を振動させ、利用者に、会話の録音が開始されたことを通知する。
【0069】
ステップ5;システム制御部17で、ステップ3での音声ファイル9の作成が認識されると、文字化制御部10は、音声ファイル9の音声データを音声認識技術を用いて文字化し、RAMに文字ファイル12を作成するとともに、宛先送信部11を起動する。
【0070】
ステップ6;宛先送信部11は、文字化制御部10から起動されると、文字ファイルのデータを、予め指定されたアドレスにリアルタイムにメール送信する。
【0071】
ステップ7;録音制御部3は、コマンドが録音終了であれば、録音終了として音声ファイル9の作成を中止する。
【0072】
ステップ8;次に、録音制御部3は、振動制御部9に起動停止を指示する。
【0073】
次に、録音制御部3のコマンド処理について詳述する。
【0074】
録音制御部3は、上述したとおり、マイク1からの入力音声を受信し、予め登録された録音制御コマンドに対応する処理を行う。
【0075】
この録音制御コマンドには、録音開始用のコマンドと録音終了用のコマンドを設ける。
【0076】
ここで、コマンドは、マイク1で入力、かつ録音制御部3で検出できるものであり、言葉を表す音声データ、そのほかの音のデータであってもよい。言葉を表す音声データの場合、たとえば、以下のコマンドである。
【0077】
録音開始コマンド:例 「メモ開始」、「確認します」、「開始」、「いち」、「スタート」、「ピピ」
録音終了コマンド:例 「録音終了」、「以上です」、「終了」、「に」、「ストップ」、「ピー」
これらのコマンドは、図5に示すようにコマンドテーブルに予め保持されている。このコマンドテーブルは、ユーザが、自由に設定できるようにしておくことが望ましい。
【0078】
また、録音制御コマンドは如何なる言語、擬態語、楽器等によって生じる一定の音色を持つ音の音データで表されるコマンドであってもよい。
【0079】
図3は、録音制御部3の録音制御コマンド検出時の第1の処理方法を示す解説図である。なお、図3では、便宜上、音声の波形は、アナログ波形で示している。
【0080】
第1の処理方法では、録音制御コマンドを会話冒頭に付けることで、その部分は常にマスクされるように設定する。
【0081】
時刻T1〜T2の間は、会話冒頭の録音制御コマンドであり、録音制御部3は、この間で録音開始用のコマンド検出を行う。尚、T1〜T2、T3〜T4、…は、入力音声の有音部のブロックである(以降も同様である)。
【0082】
時刻T1〜T2の間のマイク1からの入力音声は、音声符号化部5には出力されず、通話相手にマスクされることになる(以降、マスク処理と称す)。
【0083】
コマンドが検出された場合、録音制御部3は、(1)の処理(図3参照)、即ち、録音処理(音声ファイル9の作成)、及び振動制御部15の起動を行う。
【0084】
振動制御部15の起動により、バイブレータ16は振動し、ユーザは、録音が開始されたことを知ることができる。
【0085】
バイブレータの振動パターンは、予めいくつか用意しておき、ユーザが選択できるようにしても良い。
【0086】
時刻T3以降のマイク1からの入力音声は、そのまま、音声符号化部5に出力される。
【0087】
図4は、録音制御部3の録音制御コマンド検出時の第2の処理方法を示す解説図である。なお、図4では、便宜上、音声の波形は、アナログ波形で示している。
【0088】
第2の処理方法では、マイク1からの入力音声を、録音制御部3の録音制御コマンド判定時間だけ、たとえば、レジスタ等で遅延させる。そして、録音制御部3は、入力音声に録音制御コマンドが含まれていれば上述のマスク処理を行い、同時にコマンド対応の処理を行う。録音制御部3は、入力音声に録音制御コマンドが含まれていなければ、遅延された入力音声を、音声符号化部5に出力する。
【0089】
図4において、時刻T1〜T2の間に録音制御コマンドが含まれていないとすると、入力音声は、録音制御部3の録音制御コマンド判定時間だけ遅延されて、音声符号化部5に出力される。
【0090】
時刻T3〜T4の間に録音開始コマンドが含まれていれば、録音制御部3は、上述のマスク処理を行い、(1)の処理(図4参照)、即ち、録音処理及び振動制御部15の起動を行う。
【0091】
以降、録音制御部3は、時刻T5〜T6、時刻T9〜T10は、時刻T1〜T2と同等の処理を行う。
【0092】
そして、時刻T7〜T8の間に録音終了コマンドが含まれていれば、録音制御部3は、上述のマスク処理を行い、(2)の処理(図4参照)、即ち、録音処理の終了及び振動制御部15の停止指示を行う。
【0093】
また、第3の処理方法として、第2の処理方法のように時間遅延を付加させなくても、通話中のバックグラウンドのノイズを制御コマンドに置き換える方法も考えられる。
【0094】
たとえば、通話中に話者が操作する機器から、ノイズたとえば高周波を音声と平行して出力し、録音制御部3は、音声データとともにこの高周波データを入力される。録音制御部3は、この高周波データの特徴、たとえば、時間的長さから、録音開始コマンドであるか、録音終了コマンドであるかを判断する方法が考えられる。
【0095】
この場合、機器は、高周波出力ボタンを押している時間だけ高周波を出力し、また、録音制御部3が認識できる高周波を出力するものでなければならない。
【0096】
上述した第1、第2の処理方法において、会話中に録音終了のつもりでない録音終了コマンドと同じ言葉が発言されても無視されるようにする必要がある。そのためには、録音終了コマンドを発声時には、予め定められたキーを押下するように決めておき、録音制御部3は、録音終了コマンドを検出したとき、このキーが押下されているときだけで録音終了を実施するようにすればよい。また、録音終了を音声制御コマンドではなく、キーボタンによる終了制御とする方法でもよい。すなわち、会話終了と同時に録音も終了させる。
【0097】
次に、宛先送信部11の詳細動作について説明する。
【0098】
図6は、宛先送信部11のブロック図である。
【0099】
宛先送信部11において、位置情報取得手段60は、GPSが携帯端末に具備されている場合には位置情報を取得し、GPSが携帯端末に具備されていない場合には通信基地局番号を取得する。
【0100】
送信文取得手段61は、文字化制御部10が録音された音声を一定量文字化するたびに、一定量単位の文字データを送信文データとして取得する。
【0101】
メール送信手段62は、取得した送信文データと、時間、位置情報とを基にメール情報を作成し、宛先保存部63に保存された宛先にメール送信する。宛先保存部63における宛先の選択方法は、優先順位に基づく選択でも良いし、全ての宛先に順次送付するようにしても良い。
【0102】
このようにして、会話内容が、ほぼリアルタイムに、所定の宛先にメール送信され、第三者の受信端末もしくはPC画面上には会話内容が時系列で表示されて、容易に確認することが可能となる。
【0103】
尚、通話中の、メール送信技術については、特開2006−109289に記載されているので、参照されたい。
【0104】
次に、録音された音声ファイル9、文字ファイル12の再生方法を説明する。
【0105】
音声ファイル9、文字ファイル12の再生は、操作部たとえば、メニューからの選択などにより、システム制御部17に通知される。システム制御部17は、操作部からの要求が音声ファイル9の再生であれば、音声再生制御部7を駆動して、音声ファイル9の音声データをスピーカ8から出力させる。また、操作部からの要求が文字ファイル12の再生であれば、文字再生制御部13を駆動して、文字ファイル12の文字データを表示装置14に表示させる。
【0106】
音声ファイル9の再生は、自分と通話相手のそれぞれに対応した二つの音声ファイルを、別々に再生することもでき、また、二つの音声ファイルを結合して再生することもできる。
【0107】
二つの音声ファイルを結合して再生する場合は、システム制御部17は、「タイムスタンプデータ」により時間的に同期させ、二人の音声が一連の会話の流れとなるように再生する。
【0108】
また、音声ファイル9、文字ファイル12を同時に再生するようにすることもできる。
【0109】
この場合も、システム制御部17は、音声と文字をタイムスタンプにより同期させ、時系列に再現する。
【0110】
図7は、再生例を示した図である。上段には、時刻とともに、自分の話した音声がスピーカ8から出力されるとともに、表示装置14には、変換された文字列が表示される。また、下段には、相手の話した内容が同様に再現される。
【0111】
以上説明したように、本発明の実施に形態の携帯端末装置による録音通知方法及び携帯端末装置は、録音した内容のセキュリティを向上させる効果がある。
【0112】
なぜなら、携帯電話機による送受信双方の会話中に、双方の会話を録音し、その結果を文字化して、予め登録しておいた相手先に送信するようにしたからである。
【0113】
また、本発明の実施に形態の携帯端末装置による録音通知方法及び携帯端末装置は、録音の操作性が向上する効果がある。
【0114】
その理由は、録音指示に音声入力による録音制御コマンドを用いるようにしたからである。
【0115】
さらに、本発明の実施に形態の携帯端末装置による録音通知方法及び携帯端末装置は、会話内容のメール送信にリアルタイム性を持たせることができる効果がある。
【0116】
なぜなら、会話文が文字化されるたびに、予め決められたまとまった単位でメール送信されるからである。
【0117】
尚、上述の実施の形態では、携帯電話機において録音音声のテキスト文字変換を行っているが、これをアプリケーションサーバで行うようにしても良い。これにより、携帯電話機における録音音声のテキスト文字変換の処理負荷が軽減できる。その際には、保存データは自分と録音を通知された第三者以外、再生できなくする必要がある。そのためには、データに暗号キーを組み込む必要がある。
【0118】
また、上述の実施の形態では、会話音声のテキスト文字変換を行って、通知先にメール送付しているが、会話音声のままメール送付するようにしても良い。
【0119】
これは、音声ファイル9の音声データをメールに添付して送り、受信側では、メール受信した音声データを再生して聞く方法である。
【0120】
また、相手側の携帯電話機は、上述した実施の形態と同じ構成のものであっても良いし、従来の携帯電話機であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明の一実施の形態を示す携帯電話機のブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態を示す携帯電話機の動作フロー図である。
【図3】図1の録音制御部の録音制御コマンド検出時の第1の処理方法を示す解説図である。
【図4】図1の録音制御部の録音制御コマンド検出時の第2の処理方法を示す解説図である。
【図5】コマンドテーブルの構成例を示す図である。
【図6】本発明の一実施の形態を示す宛先送信部のブロック図である。
【図7】録音ファイルと文字化ファイルの再生例を示した図である。
【符号の説明】
【0122】
1 マイク
2 アンテナ
3 録音制御部
4 送受信部
5 音声符号化部
6 音声復号部
7 音声再生制御部
8 スピーカ
9 音声ファイル
10 文字化制御部
11 宛先送信部
12 文字ファイル
13 文字再生制御部
14 表示装置
15 振動制御部
16 バイブレータ
17 システム制御部
60 位置情報取得手段
61 送信文取得手段
62 メール送信手段
63 宛先保存部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通話相手端末との送受信音声を録音し、前記録音された音声を所定の通知先に通知することを特徴とする携帯端末装置による録音通知方法。
【請求項2】
前記通知先に通知する内容は、前記録音された音声を文字化したものであることを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置による録音通知方法。
【請求項3】
前記文字化したデータが一定の量になる毎に前記通知先にメール通知することを特徴とする請求項2記載の携帯端末装置による録音通知方法。
【請求項4】
前記録音が開始されると、バイブレータを振動させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の携帯端末装置による録音通知方法。
【請求項5】
通話相手端末と接続後、録音開始指示があると記憶装置に送受信音声の音声ファイルを作成し、前記音声ファイルの音声データを所定の通知先に通知することを特徴とする携帯端末装置による録音通知方法。
【請求項6】
前記録音開始指示は、音声入力のコマンドであることを特徴とする請求公5記載の携帯端末装置による録音通知方法。
【請求項7】
前記通知先に通知する内容は、前記音声ファイルの音声データを文字化したものであることを特徴とする請求項5記載の携帯端末装置による録音通知方法。
【請求項8】
前記音声ファイル作成の終了は、録音終了指示またはキーボタンによる通話終了時であることを特徴とする請求項5記載の携帯端末装置による録音通知方法。
【請求項9】
前記文字化したデータが一定の量になる毎に前記文字化したデータを前記通知先にメール通知することを特徴とする請求項7記載の携帯端末装置による録音通知方法。
【請求項10】
前記録音開始指示があると、予め備えたバイブレータを振動させることを特徴とする請求項5または6記載の携帯端末装置による録音通知方法。
【請求項11】
通話相手端末との通信時に録音開始指示の検出を行い前記録音開始指示があると予め有する記憶装置に送受信音声の音声ファイルを作成する録音制御部と、前記音声ファイルの音声データを予め決められた通知先に通知する宛先送信部とを含んで構成されることを特徴とする携帯端末装置。
【請求項12】
前記録音開始指示は、音声入力のコマンドであることを特徴とする請求項11記載の携帯端末装置。
【請求項13】
前記音声ファイルの音声データを文字化する文字化制御部を有し、前記通知先に通知する内容は前記文字化したデータであることを特徴とする請求項11記載の携帯端末装置。
【請求項14】
前記音声ファイル作成の終了は、前記録音制御部が録音終了指示を検出するかまたはキーボタンによる通話終了時であることを特徴とする請求項11記載の携帯端末装置。
【請求項15】
前記宛先送信部は前記文字化したデータが一定の量になる毎に前記文字化したデータを前記通知先にメール通知することを特徴とする請求項13記載の携帯端末装置。
【請求項16】
前記録音制御部は、前記録音開始指示があると予め備えたバイブレータを振動させることを特徴とする請求項11記載の携帯端末装置。
【請求項17】
第1の携帯端末装置と、第2の携帯端末装置と、前記第1の携帯端末装置と前記第2の携帯端末装置とを接続するネットワークとを含む通信システムであって、前記第1の携帯端末装置は、前記第2の携帯端末装置との接続を行うシステム制御部と、前記接続がなされると録音開始指示の検出を行い前記録音開始指示があると予め有する記憶装置に送受信音声の音声ファイルを作成する録音制御部と、前記音声ファイルの音声データを予め決められた通知先に通知する宛先送信部を含んで構成されることを特徴とする通信システム。
【請求項18】
前記録音開始指示は、音声入力のコマンドであることを特徴とする請求項17記載の通信システム。
【請求項19】
前記音声ファイルの音声データを文字化する文字化制御部を有し、前記通知先に通知する内容は前記文字化データであることを特徴とする請求項17記載の通信システム。
【請求項20】
前記宛先送信部は前記文字化したデータが一定の量になる毎に前記文字化したデータを前記通知先にメール通知することを特徴とする請求項19記載の通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−60776(P2008−60776A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−233418(P2006−233418)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】