説明

携帯端末装置

【課題】薄型化が可能で、かつ耐衝撃性の高い携帯端末装置を提供することを目的とする。
【解決手段】携帯端末装置は、筐体の一部を構成するケースと、筐体の一部を構成し、内側に凹部を有するカバーと、前記カバー内に収納されるとともに、周縁に切欠きの形成された、起立部を有する金属プレートと、前記切欠きに対応した相対向する辺上に突起を有し、かつ、前記凹部に対応した相対向する辺上に他の突起を有する回路基板と、を備え、前記回路基板は、前記突起を前記切欠きに係止させることで前記金属プレートに固定され、かつ、前記他の突起を前記凹部に係止させることで前記カバーに固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Digital Assistant)などの携帯端末装置に関し、特に薄型化を図った携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機に代表される携帯端末装置は、各種開発が進められており、装置の薄型化及び小型化を実現しつつ、作業性良く安価に組み立て可能とし、確実なシールド構造及び十分な強度の部品保護構造を得ることが求められている。
【0003】
例えば、筐体内に第一の回路基板と第二の回路基板とを備え、これらの回路基板の間には、回路基板を所定間隔に保持するとともにシールド機能を有するシールド部材が設けられた携帯端末装置が知られている。シールド部材は、弾性部材による枠体と、枠体の空間部に挿入されて配設される板金部材による箱体とを一体化させたもので構成され、係合爪によって第一及び第二の回路基板に装着固定される。なお、枠体は、ABS樹脂等の樹脂材料等を枠状に成形してなる弾性部材の表面に導電材料である導電性皮膜が施されており、枠で仕切られた空間部の内壁に嵌合用の突起が形成されている。このような構成により、キーボタンの押下操作時には、剛性の箱体により外部応力に抗して第二の回路基板及び回路部品の変形や歪みを保護することが可能であり、装置を薄型化しつつシールド機能と保護機能を十分に得られる(特許文献1)。
【0004】
また、シャーシに凹部を設け、この凹部に対し回路基板の端面に設けた突起部を係合させる回路基板のシールド構造も知られている(特許文献2)。逆に、シャーシに突起部を設け、この突起部に対し回路基板の端面に設けた凹部を係合させる回路基板の取り付け構造も知られている(特許文献3)。
【0005】
【特許文献1】特開2003−283176号公報
【特許文献2】実開昭54−175211号公報
【特許文献3】特開2001−251070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の携帯端末装置では、シールド部材に嵌合用の突起を形成するために、シールド部材の一部である枠体はABS樹脂等の樹脂材料等を枠状に成形したものを使用しており、強度を保つために一定の厚さが必要であり、これが薄型化の妨げになっていた。
そこで、シールド部材に嵌合用の突起を形成する代わりに、特許文献2、3のような回路基板のシールド構造又は回路基板の取り付け構造を採用して、シールド部材の薄型化を図ることもできる。しかし、シールド部材を薄型化することは、携帯端末装置の薄型化の点では好ましいが、シールド部材の厚さなどによっては、特許文献2、3のような構成だけでは、落下時に回路基板が破損するなどの強度の点で課題がある場合もあった。また、特許文献2、3のような構成を採用した場合でも、確実なシールド効果を得るためには、シールド部材と回路基板の間のグランド接続を確実にする必要がある。
【0007】
本発明は前記実情に鑑みてなされたもので、薄型化が可能で、かつ耐衝撃性の高い携帯端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の携帯端末装置は、筐体の一部を構成するケースと、筐体の一部を構成し、内側に凹部を有するカバーと、前記筐体内に収納されるとともに、周縁に切欠きの形成された、起立部を有する金属プレートと、前記切欠きに対応した相対向する辺上に突起を有し、かつ、前記凹部に対応した相対向する辺上に他の突起を有する回路基板と、を備え、前記回路基板は、前記突起を前記切欠きに係止させることで前記金属プレートに固定され、かつ、前記他の突起を前記凹部に係止させることで前記カバーに固定されることを特徴とする。
この構成によれば、シールド部材として金属プレートを用い、金属プレートを薄くすることで、携帯端末装置の薄型化を図ることができる。また、回路基板を筐体の一部を構成するカバーと金属プレートとに係止させ、落下時などの衝撃を分散させることで、耐衝撃性の高い携帯端末装置を提供することができる。また、このような構成にすることにより、作業性良く安価に携帯端末装置を組み立てることもできる。
【0009】
また、本発明は、上記携帯端末装置において、前記筐体の側面に設けられたサイドキーを備え、前記カバーは、前記サイドキーの設けられた側の側面の内側に前記凹部を有し、前記金属プレートは、前記サイドキーの設けられた側面の反対側の前記起立部に前記切欠きの形成されたことを特徴とする。
この構成によれば、サイドキーを取り付ける部分の機械的強度を保ち、サイドキーが押下されたときに、回路基板までその力が伝わりにくくしつつ、筐体全体として、薄型化を図りつつも落下時などの衝撃に対する耐性の高い携帯端末装置を提供することができる。
【0010】
また、本発明は、上記携帯端末装置において、前記回路基板の主面に取り付けられたシャーシ枠と、前記回路基板と前記金属プレートの間に介挿されるシールド蓋と、を備え、前記シールド蓋は、前記シャーシ枠に弾性的に接触する切起し片を有することを特徴とする。
この構成によれば、シャーシ枠に弾性的に接触する切起し片を有するシールド蓋を用いることで、キーボタン(スイッチ部)の押下、衝撃などを受けた場合でも金属プレートと回路基板の間のグランド接続を確実にすることができるので、確実なシールド効果を得ることができ、衝撃に対する緩衝性を高めることができる。
【0011】
また、本発明は、上記携帯端末装置において、前記シャーシ枠は、前記回路基板上に、前記回路基板上の回路を囲むように起立せしめられることを特徴とする。
この構成によれば、回路基板上の回路を囲むように起立せしめられたシャーシ枠が、回路基板上の回路を囲むため、より確実に回路に対するシールド性能を発揮できるようにすることが可能となる。
【0012】
また、本発明は、上記携帯端末装置において、前記金属プレートは、孔を有することを特徴とする。
この構成によれば、金属プレートに孔が設けられているため、軽量化を図ることができる。
【0013】
また、本発明は、上記携帯端末装置において、前記金属プレートは、前記回路基板上に搭載される高周波回路に対向する位置を避けて孔を形成したことを特徴とする。
この構成によれば、高周波回路に対向する位置を避けて金属プレートに孔が設けられているため、高周波などによるノイズなどを低減し、シールド性能を発揮しつつ、軽量化を図ることができる。
【0014】
また、本発明は、上記携帯端末装置において、前記切起し片は、シャーシ枠の枠部分に対向する位置にそれぞれ形成され、前記シャーシ枠に弾性的に接触することを特徴とする。
この構成によれば、シャーシ枠に対応して設けられ、弾性的に接触する切起し片を用いているため、金属プレートに多少の反りや歪が存在しても、切起し片によりシャーシ枠に確実に接触し、シールド性能を発揮し、衝撃に対する緩衝性を高めることができる。
【0015】
また、本発明は、上記携帯端末装置において、前記シャーシ枠は前記回路基板の外縁近傍に配設された外枠部と、前記外枠部に接触するとともに前記外枠部で囲まれた領域を複数に分割する内枠部とで構成されることを特徴とする。
この構成によれば、複数に領域分割がなされているため回路基板上の回路同士のシールド性を高めることができる。また、より近い位置でシールドできるため、シールド性能自体も良好である。
【0016】
また、本発明は、上記携帯端末装置において、前記切起し片は、前記シャーシ枠の内枠部に対向する位置に配設され、前記内枠部に弾性的に接触されることを特徴とする。
この構成によれば、より良好な接触性を維持することができ、これによりシールド性能自体も良好となる。
【0017】
また、本発明は、上記携帯端末装置において、前記切起し片は、前記シールド蓋の周縁部では、中心に向かうV字状の形状に切り起こして形成されることを特徴とする。
この構成によれば、シールド蓋の周縁部では、中心に向かうV字状の形状に切り起こしているため、シールド蓋に反りや歪があったとしてもシャーシ枠の周縁部と切起し片とのより安定で、確実な電気的接触を得ることができる。
【0018】
また、本発明は、上記携帯端末装置において、前記切起し片は、前記シールド蓋の中心部では、外方に向かうV字状の形状に切り起こして形成されることを特徴とする。
この構成によれば、シールド蓋の中心部では、外方に向かうV字状の形状に切り起こしているため、シールド蓋に反りや歪があったとしてもシャーシ枠の中心部と切起し片とのより安定で、確実な電気的接触を得ることができる。
【0019】
また、本発明は、上記携帯端末装置において、前記切起し片は、それぞれ先端近傍に小突起を有することを特徴とする。
この構成によれば、点接触により確実な接触状態を得ることができる。なおこの小突起は、パンチングにより形成すれば極めて容易にかつ材料の付加もなく形成することができる。
【0020】
また、本発明は、筐体と、前記筐体内に収納される金属プレートと、回路基板と、前記回路基板の主面に取り付けられたシャーシ枠と、前記回路基板と前記金属プレートの間に介挿されるシールド蓋と、を備え、前記シールド蓋は、前記シャーシ枠に弾性的に接触する切起し片を有することを特徴とする。
この構成によれば、シャーシ枠に弾性的に接触する切起し片を有するシールド蓋を用いることで、キーボタンの押下、衝撃などを受けた場合でも金属プレートと回路基板の間のグランド接続を確実にすることができるので、確実なシールド効果を得ることができ、衝撃に対する緩衝性を高めることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の携帯電子端末によれば、シールド部材として金属プレートを用い、金属プレートを薄くすることで、携帯端末装置の薄型化を図ることができる。また、回路基板を筐体の一部を構成するカバーと金属プレートとに係止させ、落下時などの衝撃を分散させることで、耐衝撃性の高い携帯端末装置を提供することができる。また、このような構成にすることにより、作業性良く安価に携帯端末装置を組み立てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1(a)および(b)は、本発明の実施の形態1の携帯端末装置としての携帯電話機10の全体概要図を示すものである。
本発明の実施の形態1の携帯電話機10は、図1に示すように、上部筐体2と下部筐体3とで構成され、上部筐体2と下部筐体3とがヒンジ4で結合されている。上部筐体2は、ヒンジ4又はヒンジ軸41を用いて、下部筐体3に対して図のX方向(縦方向)又はY方向(横方向)に回動することができる。上部筐体2には、筐体を折り畳んだ状態で下部筐体3と対向する面(図1(a)では下面)に液晶表示部21及び受話部22を設けている。下部筐体3には、筐体を折り畳んだ状態で上部筐体2と対向する面(図1では上面、表側の面)にキーボタン及び送話部を設けている。
【0023】
図2は、携帯電話機10の下部筐体3の分解斜視図(表側)である。図3は、図2とは逆側(裏側)から見た携帯電話機10下部筐体3の分解斜視図である。図2、3に示すように、携帯電話機10の下部筐体3は、ケース37とカバー31とで構成される。下部筐体3には、キーシート32、金属プレート33、シールド蓋34、回路基板35などが収められている。下部筐体3は、ケース37とカバー31とで構成され、これらを収納することで、作業性良く組み立てることができる。また、本実施の形態の携帯電話機10では、回路基板35の他にさらにサブ回路基板36も設けている。また、裏面側には、電池パック39、電池蓋38などを取り付けている。
【0024】
図4に、回路基板35、シールド蓋34、金属プレート33の拡大図を示す。図4に示すように、金属プレート33は、周縁に起立部331a、331bを有する。起立部331aには、切欠き332a、332b、332cが形成されている。この金属プレートは、厚さ0.3mm程度の金属板を打ち抜き加工し、折り曲げることで形成され、この金属プレート33で、下部筐体3の、高周波回路などを有する回路基板35をシールドする。
【0025】
回路基板35には、金属プレート33の起立部331aの切欠き332a、332b、332cに対応した相対向する辺上に突起351a、351b、351cを有する。そして、回路基板35は、突起351a、351b、351cを切欠き332a、332b、332cに係止させることで金属プレート33に固定される。
【0026】
さらに、回路基板35の主面には、図2及び図5に示すように、シールド蓋34が取り付けられる。そして、シールド蓋34は、回路基板35と金属プレート33の間に介挿される。シールド蓋34は、前記シャーシ枠に弾性的に接触する切起し片を有する。回路基板35と金属プレート33の間に、このようなシールド蓋34を入れることで、キーボタンの押下、衝撃などを受けた場合でもシールド部材である金属プレート33と回路基板35の間のグランド接続を確実にすることで、確実なシールド効果を得て、衝撃に対する緩衝性を高めるようにしている。なお、このシールド蓋34は、厚さ0.1mm程度の金属板を打ち抜き加工し、折り曲げることで形成できる。
【0027】
図6は、回路基板35の主面にシールド蓋34を取り付けたものを金属プレート33に収めた様子を示す図である。図6に示すように、回路基板35は、突起351a、351b、351cを切欠き332a、332b、332cに係止させることで金属プレート33に固定されている。
【0028】
図7は、図6に示した、回路基板35の主面にシールド蓋34を取り付けたものを金属プレート33に収めたものを、さらにキーシート32とともにカバー31に収めた様子を示す。図7に示すように、カバー31は、内側に凹部311a、311bを有する。また、回路基板35は、前述した突起351a、351b、351cに加えて、その反対の辺に他の突起351d、351eを有する。この回路基板35の他の突起351d、351eは、カバー31の凹部311a、311bに対応した相対向する辺上に位置する。そして、回路基板35は、他の突起351d、351eを凹部311a、311bに係止させることでカバーに固定される。
【0029】
このような構成によれば、シールド部材として金属プレート33を用い、金属プレート33を薄くすることで、携帯端末装置10の薄型化を図ることができる。また、回路基板35を筐体の一部を構成するカバー31と金属プレート33とに係止させ、落下時などの衝撃を分散させることで、耐衝撃性の高い携帯電話機10を提供することができる。また、このような構成にすることにより、ネジなどを極力少なくすることができ、作業性良く安価に携帯電話機10を組み立てることができる。
【0030】
次に、突起351a、351b、351c及び切欠き332a、332b、332c、並びに、他の突起351d、351e及び凹部311a、311bとサイドキー322a、322bとの関係について、図2、図6、図7を参照して、説明する。
図2に示すように、サイドキー322a、322bは、キーシート32の伸長部に設けられている。キーシート32には、フレキシブル基板上にドーム状のスイッチ部321が設けられている。そして、サイドキー322a、322bは、金属プレート33の起立部331bに取り付けられる(図2及び図7に示すサイドキー取り付け位置422a、422b参照)。そして、カバー31のサイドキー取り付け位置522a、522b(図2参照)に収められる。
【0031】
金属プレート33の起立部331bは、サイドキー322a、322bを取り付けるために、サイドキーを取り付けない起立部331aよりも高さを高くしている。また、サイドキー322a、322bを取り付ける起立部331bは、サイドキー322a、322bが押下されることがあるので、この分の強度が必要である。そのため、サイドキー322a、322bを取り付ける起立部331bは、強度確保の点から、起立部331aの切欠き332a、332b、332cと同様の形状の切欠きを設けることは望ましくない。また、仮に、この部分に切欠きを設けた場合には、サイドキー322a、322bが押下されたときに、回路基板35までその力が伝わりやすくなるので、回路基板35の強度確保の点からはあまり有効ではない。
【0032】
そこで、サイドキー322a、322bが取り付けられる部分(サイドキー取り付け位置422a、422b)に対応する回路基板35の部分には、突起351a、351b、351cや他の突起351d、351eは設けていない。そして、サイドキー322a、322bが取り付けられる部分でない部分のうち、サイドキー322a、322bが取り付けられる側に対応する回路基板35の辺には、図2及び図7に示すように、カバー31の凹部311a、311bに係止させるための、他の突起351d、351eを設けている。他方、サイドキーが取り付けられない側に対応する回路基板35の辺には、図2及び図6に示すように、金属プレート33の切欠き332a、332b、332cに係止させるための、突起351a、351b、351cを設けて、落下時などの衝撃を分散させている。
【0033】
このように、下部筐体3の側面に設けられたサイドキー322a、322bを備える携帯電話機10において、カバー31は、サイドキー322a、322bの設けられた側の側面の内側に凹部311a、311bを有し、金属プレート33は、サイドキー322a、322bの設けられた側面の反対側の起立部331aに切欠き332a、332b、332cが形成されている。
【0034】
この構成によれば、サイドキー322a、322bを取り付ける部分の金属プレート33の機械的強度を保ち、サイドキー322a、322bが押下されたときに、回路基板35までその力が伝わりにくくしつつ、下部筐体3全体として、薄型化を図りつつも落下時などの衝撃に対する耐性の高い携帯電話機10を提供することができる。
【0035】
なお、他の突起351eは、カバー31の凹部311bに係止させると同時に、金属プレート33の起立部331bの端部361にも係止させるようになっている。これは、サイドキー322bから比較的離れているからである。他方、サイドキー322aから比較的近い他の突起351dは、金属プレート33の起立部331bには係止させるようにはなっていない。
【0036】
なお、上述の構成において、回路基板35の突起351a、351b、351c及び金属プレート33の切欠き332a、332b、332cの代わりに、逆に、金属プレートに突起を設け、この突起に対し回路基板の端面に設けた凹部を係合させる構造にしてもよい。
【0037】
また、上述の構成において、回路基板35の他の突起351d、351e及びカバー31の凹部311a、311bの代わりに、逆に、カバーに突起を設け、この突起に対し回路基板の端面に設けた凹部を係合させる構造にしてもよい。
【0038】
次に、図2、図4、図5などを用いて、回路基板35、金属プレート33、シールド蓋34などについてさらに詳しく説明する。
回路基板35の主面には、携帯電話機10の送受信部などを含む高周波回路や、種々の信号処理を行うアナログ回路、ディジタル回路などが形成されている。この回路基板35の主面には、シャーシ枠352、353が取り付けられている。シャーシ枠352、353は、シャーシ外枠352と、シャーシ内枠353との部分に分けて考えることができる。シャーシ枠352、353は回路基板35の外縁近傍に配設された外枠部(シャーシ外枠352)と、外枠部(シャーシ外枠352)に接触するとともに外枠部(シャーシ外枠352)で囲まれた領域を複数に分割する内枠部(シャーシ内枠353)とで構成される。シャーシ外枠352は、回路基板35上に、回路基板35上の回路を囲むように起立せしめられている。
【0039】
この構成によれば、回路基板35上の回路を囲むように起立せしめられたシャーシ枠(シャーシ外枠352)が、回路基板35上の回路を囲むため、より確実に回路に対するシールド性能を発揮できるようにすることが可能となる。また、複数に領域分割がなされているため回路基板35上の回路同士のシールド性を高めることができる。また、より近い位置でシールドできるため、シールド性能自体も良好である。なお、ここでシャーシ枠351、352の形状はこの構造に限定されるものではなく、必要に応じて適宜変更可能である。
【0040】
シールド蓋34には、シャーシ枠352、353に弾性的に接触する切起し片341、342を有する。この切起し片341、342は、シャーシ枠の内枠部(シャーシ内枠353)に対向する位置に配設され、内枠部に弾性的に接触される。このうち、シールド蓋34の周縁部では、切起し片341は、中心に向かうV字状の形状に切り起こして形成される。他方、シールド蓋34の中心部では、切起し片は342、外方に向かうV字状の形状に切り起こして形成される。また、切起し片341、342は、それぞれ先端近傍に小突起Tを有する。
【0041】
この構成によれば、シャーシ枠352、353に弾性的に接触する切起し片341、342を有するシールド蓋34を用いることで、キーボタン(スイッチ部321)の押下、衝撃などを受けた場合でも金属プレート33と回路基板35の間のグランド接続を確実にすることができるので、確実なシールド効果を得ることができ、衝撃に対する緩衝性を高めることができる。また、シャーシ枠(シャーシ内枠353)に対応して設けられ、弾性的に接触する切起し片341、342を用いているため、金属プレート33に多少の反りや歪が存在しても、切起し片341、342によりシャーシ枠(シャーシ内枠353)に確実に接触し、シールド性能を発揮し、衝撃に対する緩衝性を高めることができる。また、シールド蓋34の周縁部では、中心に向かうV字状の形状に切り起こしているため(切起し片341)、シールド蓋に反りや歪があったとしてもシャーシ枠(シャーシ内枠353)の周縁部と切起し片341とのより安定で、確実な電気的接触を得ることができる。また、シールド蓋34の中心部では、外方に向かうV字状の形状に切り起こしているため(切起し片342)、シールド蓋34に反りや歪があったとしてもシャーシ枠(シャーシ内枠353)の中心部と切起し片342とのより安定で、確実な電気的接触を得ることができる。また、切起し片341、342は、それぞれ先端近傍に小突起Tを有するので、点接触により確実な接触状態を得ることができる。なおこの小突起Tは、パンチングにより形成すれば極めて容易にかつ材料の付加もなく形成することができる。
【0042】
金属プレート33には、回路基板35上に搭載される高周波回路に対向する位置を避けて孔hを形成している。この構成によれば、金属プレート33に孔hが設けられているため、軽量化を図ることができる。また、前記金属プレート33は、回路基板35上に搭載される高周波回路に対向する位置を避けて孔hを形成している。この構成によれば、高周波回路に対向する位置を避けて金属プレート33に孔hが設けられているため、高周波などによるノイズなどを低減し、シールド性能を発揮しつつ、軽量化を図ることができる。なお、この孔hは設けなくてもよく、重量と強度にあわせて、孔hの密度も適宜調整してもよい。
【0043】
以上説明したように、本実施の形態の携帯電話機10によれば、シールド部材として金属プレート33を用い、金属プレート33を薄くすることで、携帯電話機10の薄型化を図ることができる。また、回路基板35を、筐体(下部筐体3)の一部を構成するカバー31と、金属プレート33とに係止させ、落下時などの衝撃を分散させることで、耐衝撃性の高い携帯電話機10を提供することができる。また、このような構成にすることにより、作業性良く安価に携帯電話機10を組み立てることもできる。
【0044】
また、本実施の形態の携帯電話機10によれば、サイドキー322a、322bを取り付ける部分の機械的強度を保ち、サイドキーが押下されたときに、回路基板35までその力が伝わりにくくしつつ、筐体(下部筐体3)全体として、薄型化を図りつつも落下時などの衝撃に対する耐性の高い携帯電話機10を提供することができる。
【0045】
さらに、本実施の形態の携帯電話機10によれば、シャーシ枠(シャーシ内枠353)に弾性的に接触する切起し片341、342を有するシールド蓋34を用いることで、キーボタン(スイッチ部321)の押下、衝撃などを受けた場合でも金属プレート33と回路基板35の間のグランド接続を確実にすることができるので、確実なシールド効果を得ることができ、衝撃に対する緩衝性を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の携帯端末装置は、シールド部材として金属プレートを用い、金属プレートを薄くすることで、携帯端末装置の薄型化を図ることができる。また、回路基板を筐体の一部を構成するカバーと金属プレートとに係止させ、落下時などの衝撃を分散させることで、耐衝撃性の高い携帯端末装置を提供することができる。また、このような構成にすることにより、作業性良く安価に携帯端末装置を組み立てることができる。これらのことから、本発明は、携帯電話機、PHS、PDA等を含む携帯端末装置への適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態1の携帯端末装置としての携帯電話機の全体概要図。(a)は上下筐体を閉じた状態を示す斜視図、(b)は上筐体を開いた状態(横開き状態)を示す斜視図
【図2】実施の形態1の携帯電話機の下部筐体の分解斜視図(表側から見た図)
【図3】実施の形態1の携帯電話機の下部筐体の分解斜視図(裏側から見た図)
【図4】本発明の実施の形態1に係る携帯電話機の回路基板、シールド蓋、金属プレートの拡大図(裏側から見た図)
【図5】本発明の実施の形態1に係る携帯電話機の金属プレート、回路基板とシールド蓋を組み立てたものの拡大図(表側から見た図)
【図6】本発明の実施の形態1に係る携帯電話機の回路基板の主面にシールド蓋を取り付けたものを金属プレートに収めた様子を示す図(裏側から見た図)
【図7】本発明の実施の形態1に係る携帯電話機の回路基板の主面にシールド蓋を取り付けたものを金属プレートに収めたものを、さらにキーシートとともにカバーに収めた様子を示す図(裏側から見た図)
【符号の説明】
【0048】
10 携帯電話機(携帯端末装置)
2 上部筐体
3 下部筐体
4 ヒンジ部
41 ヒンジ軸
30 下部筐体
31 カバー
32 キーシート
33 金属プレート
34 シールド蓋
35 回路基板
36 サブ回路基板
37 ケース
38 電池蓋
39 電池パック
311a、311b 凹部
331a、331b 起立部
332a、332b、332c 切欠き
351a、351b、351c 突起
351d、351e 他の突起
361 端部
352 シャーシ外枠
353 シャーシ内枠
341、342 切起し片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の一部を構成するケースと、
筐体の一部を構成し、内側に凹部を有するカバーと、
前記筐体内に収納されるとともに、周縁に切欠きの形成された、起立部を有する金属プレートと、
前記切欠きに対応した相対向する辺上に突起を有し、かつ、前記凹部に対応した相対向する辺上に他の突起を有する回路基板と、
を備え、
前記回路基板は、前記突起を前記切欠きに係止させることで前記金属プレートに固定され、かつ、前記他の突起を前記凹部に係止させることで前記カバーに固定される携帯端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末であって、
前記筐体の側面に設けられたサイドキーを備え、
前記カバーは、前記サイドキーの設けられた側の側面の内側に前記凹部を有し、
前記金属プレートは、前記サイドキーの設けられた側面の反対側の前記起立部に前記切欠きの形成された携帯端末装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の携帯端末であって、
前記回路基板の主面に取り付けられたシャーシ枠と、
前記回路基板と前記金属プレートの間に介挿されるシールド蓋と、を備え、
前記シールド蓋は、前記シャーシ枠に弾性的に接触する切起し片を有する携帯端末装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の携帯端末であって、
前記シャーシ枠は、前記回路基板上に、前記回路基板上の回路を囲むように起立せしめられた携帯端末装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の携帯端末装置であって、
前記金属プレートは、孔を有する携帯端末装置。
【請求項6】
請求項5に記載の携帯端末装置あって、
前記金属プレートは、前記回路基板上に搭載される高周波回路に対向する位置を避けて孔を形成した携帯端末装置。
【請求項7】
請求項3に記載の携帯端末装置であって、
前記切起し片は、シャーシ枠の枠部分に対向する位置にそれぞれ形成され、前記シャーシ枠に弾性的に接触する、携帯端末装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の携帯端末装置であって、
前記シャーシ枠は前記回路基板の外縁近傍に配設された外枠部と、前記外枠部に接触するとともに前記外枠部で囲まれた領域を複数に分割する内枠部とで構成された携帯端末装置。
【請求項9】
請求項8に記載の携帯端末装置であって、
前記切起し片は、前記シャーシ枠の内枠部に対向する位置に配設され、前記内枠部に弾性的に接触される携帯端末装置。
【請求項10】
請求項9に記載の携帯端末装置であって、
前記切起し片は、前記シールド蓋の周縁部では、中心に向かうV字状の形状に切り起こして形成される携帯端末装置。
【請求項11】
請求項9または10に記載の携帯端末装置であって、
前記切起し片は、前記シールド蓋の中心部では、外方に向かうV字状の形状に切り起こして形成される携帯端末装置。
【請求項12】
請求項10または11に記載の携帯端末装置であって、
前記切起し片は、それぞれ先端近傍に小突起を有する携帯端末装置。
【請求項13】
筐体と、
前記筐体内に収納される金属プレートと、
回路基板と、
前記回路基板の主面に取り付けられたシャーシ枠と、
前記回路基板と前記金属プレートの間に介挿されるシールド蓋と、を備え、
前記シールド蓋は、前記シャーシ枠に弾性的に接触する切起し片を有する携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−100402(P2009−100402A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−272192(P2007−272192)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】