説明

携帯端末装置

【課題】携帯端末装置の操作性を向上する。
【解決手段】テンキー16を含む複数の第1の操作キーを有し、操作時に把持される本体部11と、本体部11にヒンジ部13を介して回転可能に接続されており、可動部内面25に設けられた表示部28と、前記可動部内面25の表示部28とヒンジ部13との間に設けられた第2の操作キーとを設けてなる可動部とを有する携帯端末装置であって、前記表示部28とヒンジ部13との間にくぼみ部41を設け、このくぼみ部41内にファンクションキーとしての機能を有する前記第2の操作キー40のみを設ける。また、可動部12の可動部外面26に背面表示部30を設け、この背面表示部30を可動部外面26中、第2の操作キー40に対応する位置より上方の位置で、かつ可動部内面25に設けられた表示部28に対応する位置に設けた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯端末装置に係り、特に本体部に対して可動部が回転することにより折りたたみ可能な構成とされた携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯端末装置の一種である携帯電話機は、種々の形態のものが提供されている。その中で、本体部に対して可動部が回動することにより、携帯時においては可動部を本体部に沿うよう折りたたむことができるタイプ(以下、折りたたみタイプという)の携帯電話機が広く用いられるようになってきている。
この折りたたみタイプの携帯電話機は、本体部にマイク,テンキー,カーソルキー,電源キー,通話機キー等が配設されると共に、可動部にスピーカ,液晶表示部(以下、LCD表示部という)等が配設されている。そして、この可動部はヒンジ部を介して本体部に回動可能に接続され、これにより可動部は本体部に対して折りたたみ可能な構成とされている。
【0003】
上記構成とされた折りたたみタイプの携帯電話機は、携帯時には折りたたむことにより自動的に各キーが可動部と本体部の間に挟まれた状態となり誤操作を防止できるという利点がある。また、折りたたみタイプの携帯電話機は、通話時においては可動部を本体部に対して開いた状態とすることにより、他のタイプの携帯電話(例えば、ストレートタイプ等)に比べて全体長が長くなる。このため、マイクの位置とスピーカの位置を離間させることが可能となり、よってマイクの位置を操作者(通話者)の口元近傍に、またスピーカを操作者の耳元近傍に位置させることができ通話がし易いという利点がある。これらの点より、折りたたみタイプの携帯電話機は、近年広く用いられるようになってきている。
【0004】
一方において、携帯電話機は多機能化が進み、これに伴いこれを操作するために用いる操作キーの数も増大する傾向にある。具体的には、上記したテンキー,カーソルキー等の従来から配置されている操作キーに加え、通話を行なうためのワンタッチ発信キーやメールのあて先登録を行なう登録キーが設けられたものが提供されるようになってきている。
通常、上記した折りたたみタイプの携帯電話機は、通話を行なう携帯電話の操作者は、一方の手の手のひらで本体部を把持し、親指操作により各種操作キーを操作する。このため、従来から存在するテンキー,カーソルキー等は、指操作が容易な本体部に全て配設された構成とされていた。
【0005】
しかしながら、上記のように携帯電話機の多機能化に伴い操作キーの数が増大すると、本体部だけでは全ての操作キーを配置することができなくなった。このため、従来では特許文献1に開示されるように、本体部ばかりではなく、可動部にも操作キーを配設することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−176476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した公報に開示された携帯電話機では、可動部のスピーカ近傍に操作キーが配設された構成とされていた。即ち、可動部に設けられた操作キーは、本体部から遠く離間した位置に配設されていた。
このため、本体部から遠く離間したスピーカ近傍に位置する操作キーを操作しようとした場合、本体部を把持したままの状態では操作ができない。このため、指が操作キーに届くよう本体部を持ち変えたり、或いは本体部を把持している手とは反対側の手を用い、両手を用いて操作キーを操作する必要があった。このように、従来の携帯電話機では、多数設けられた操作キーの操作性が悪いという問題点があった。
【0008】
また、従来の可動部に設けられた操作キーは、可動部の内面(折りたたんだ時に本体部と対峙する面)から突出するよう設けられていた。このため、通話時にスピーカに耳を当てると、これにより操作キーが誤操作されるおそれがあった。また、操作キーが上記の対峙面から突出することにより、可動部を折りたたんだ際、この突出した操作キーが本体部と当接して押圧され、これによっても誤操作が発生するおそれがあるという問題点があった。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、操作性を向上しうる携帯端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
請求項1記載の発明は、
テンキーを含む複数の第1の操作キーを有し、操作時に把持される本体部と、
該本体部にヒンジ部を介して回転可能に接続されており、可動部内面に設けられた表示部と、前記可動部内面の該表示部と前記ヒンジ部との間に設けられた第2の操作キーとを設けてなる可動部とを有する携帯端末装置であって、
前記表示部と前記ヒンジ部との間にくぼみ部を設け、該くぼみ部内にファンクションキーとしての機能を有する前記第2の操作キーのみを設け、
前記可動部の可動部外面に背面表示部を設け、該背面表示部を前記可動部外面中、前記第2の操作キーに対応する位置より上方の位置で、かつ前記可動部内面に設けられた該表示部に対応する位置に設けた、ことを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項2記載の発明は、
請求項1の携帯端末装置であって、
前記第2の操作キーはその上面が前記可動部内面より低くなるよう設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、操作キーが誤操作されることを防止することができると共に操作キーの操作性を良好とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の一実施例である携帯端末装置となる携帯電話機を示しており、(A)は可動部が開いた状態の正面図、(B)は可動部が開いた状態の側面図、(C)は可動部が開いた状態の背面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施例である携帯端末装置となる携帯電話機を示しており、(A)は可動部が折りたたみ状態の正面図、(B)は可動部が折りたたみ状態の側面図、(C)は可動部が折りたたみ状態の背面図である。
【図3】図3は、操作キー近傍を拡大して示す図である。
【図4】図4は、図3におけるA−A線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面と共に説明する。
図1乃至図3は、本発明の一実施例である携帯端末装置(以下、携帯端末装置という)を示している。まず、図1及び図2を用いて携帯電話機10の全体構成について説明する。携帯電話機10は、大略すると本体部11,可動部12,及びヒンジ部13等により構成されている。
【0015】
可動部12は、ヒンジ部13を介して本体部11に対して回動可能な構成とされている。図1に示す携帯電話機10は、可動部12が本体部11に対して開いた開位置に回動した状態を示している。この状態において、操作者は後述する各種操作キーを操作することにより、通話したり、また携帯電話機10の有する各種機能を実行する。また、図2に示す携帯電話機10は、可動部12が本体部11と対峙する折りたたみ位置まで回動された状態(以下、折りたたみ状態という)を示している。携帯電話機10は、この折りたたみ状態で携帯される。
【0016】
以下、携帯電話機10を構成する本体部11,可動部12,及びヒンジ部13の詳細について説明する。
本体部11は、折りたたみ状態において可動部12と対峙する本体部内面14にテンキー16,電源キー17,通話キー18,メニューキー19,電話帳キー20,及びカーソルキー21等の多数のキーが配置されている。また、本体部11のヒンジ部13から最も離間した位置には、マイク22が配設されている。更に、本体部11の側面部には、イヤホンジャック24が、また本体部11の本体部外面15には外部用スピーカ23が夫々配置されている。
【0017】
本体部11に配設された各種操作キー16〜21は、携帯電話機10としての基本的な操作キーであり、従来から設けられているものである。また、これらの操作キー16〜21は、図1(A)に示すように、本体部11の本体部内面14に高密度に配置されている。
一方、可動部12は、折りたたみ状態において本体部11と対峙する可動部内面25に、液晶表示素子28(以下、LCD表示素子という),スピーカ31を有すると共に、上部にはアンテナ27が配設されている。また、図1(C)及び図2(A)に示されるように、可動部12の可動部外面26には背面液晶表示素子30(以下、背面LCDという)が設けられている。
【0018】
このように、可動部外面26に背面LCD30を設けることにより、携帯電話機10が折りたたみ状態とされていても、この背面LCD30により電話やメールが受信されたことを認知することが可能となる。また、可動部12の側部には、音量調整を行なうためのボリュームキー29が設けられている。
更に、本実施例に係る携帯電話機10は、可動部12に操作キー40を設けた構成とされている。この操作キー40は、例えば通話を行なうためのワンタッチ発信キーや、メールのあて先登録を行なう登録キー等であり、携帯電話機10の多機能化により設けられたキーである。
【0019】
ここで、操作キー40の配設位置に注目する。本実施例では、操作キー40は可動部12の可動部内面25に設けられている。また、操作キー40は、ヒンジ部13と、可動部12のLCD表示素子28の配設位置との間の位置に設けられている。即ち、操作キー40は、可動部内面25上で、本体部11に近い位置に配置された構成とされている。
このように、操作キー40を可動部12の可動部内面25に設けたことにより、折りたたみ状態では操作キー40も他の操作キー16〜21と同様に本体部11と可動部12との間に位置することとなる(図2(B)参照)。即ち、操作キー40は、本体部11と対峙した状態となる。
【0020】
よって、可動部12が折りたたみ位置にある状態では操作キー40を操作することは不可能となり、携帯時の携帯電話機10の不使用時に操作キー40が誤操作されることを確実に防止することができる。このように誤操作が防止されることにより、余分な電力の消費を抑制でき待ち受け時間の短縮を防止でき、また誤発信の防止を図ることもできる。
また上記したように、操作キー40は本体部11に近い位置(ヒンジ部13とLCD表示素子28の配設位置との間の位置)に設けられている。この操作キー40の配設位置は、操作者が本体部11を把持した際に指操作可能な範囲内にあるよう設定されている。
【0021】
操作者が携帯電話機10を操作する際、操作者は本体部11を片手で把持した状態で操作するのが一般的である。また、各操作キー16〜21の操作は、通常親指を用いて行なわれる。本実施例では、このように通常の携帯電話機10の把持状態(従来と同様の把持状態)において、可動部12上で操作者が指操作可能な範囲に操作キー40を設けたことを特徴としている。
【0022】
これにより、操作キー40を可動部12に設けても、操作者は本体部11を持ち変えることなく、また両手を用いることなく操作キーを操作でき、よって操作キー40の操作性を良好とすることができる。また、本実施例では頻繁に操作されるワンタッチ発信キーや登録キー、或いは各種機能設定を行なう設定キー等のファンクションキーを操作キー40としている。しかしながら、上記のように指操作可能な範囲に操作キー40を設けることにより、操作キー40を頻繁に操作しても、使用者に負担がかかること(例えば指が疲れる等)を防止できる。
【0023】
このように、本実施例によれば、携帯電話機10の多機能化により操作キーの数が増加しても、可動部12上で操作者の指操作可能な範囲内に操作キー40を設けることにより高い操作性を維持することができる。即ち、本実施例によれば、携帯電話機10の多機能化と高い操作性とを両立することが可能となる。
ここで、操作キー40と可動部内面25の高さ関係に注目し、以下説明する。図4は、図3におけるA−A線に沿う断面を示している。同図に示すように、操作キー40は、可動部内面25(可動部12)に形成されたくぼみ部41内に設けられている。
【0024】
また、複数(本実施例では3個)の操作キー40は、それぞれスイッチノブ42とスイッチ本体43とにより構成されている。スイッチ本体43は、可動部12内に配設された基板(図示せず)に配設されており、スイッチノブ42はその上部に配設されている。
また、くぼみ部41の底面41aには開口部45が形成されており、スイッチノブ42はこの開口部45よりくぼみ部41内に突出した構成とされている。そして、スイッチノブ42が押されることにより、スイッチ本体43はON/OFFの電気的な切り換えを行う構成とされている。尚、鍔部44は、スイッチノブ42が可動部内面25から離脱するのを防止するために設けられている。
【0025】
上記構成において、くぼみ部41の可動部内面25からの深さh1と、くぼみ部41の底面41aからのスイッチノブ42の突出量h2に注目する。本実施例では、図4に示されるように、くぼみ部41の深さ(h1)がスイッチノブ42(操作キー40)の突出量(h1)に対して大きくなるよう設定されている(h1>h2)。
この構成とすることにより、図2に示すように可動部12を折りたたみ位置まで回動させても、操作キー40が本体部11と干渉することを防止できる。よって、可動部12の折りたたみ動作により、または折りたたみ状態中(即ち、携帯電話機10の不使用時や携帯時)に操作キー40が誤操作されることを防止できる。従って、これによっても余分な電力の消費を抑制でき待ち受け時間の短縮を防止できると共に、誤発信の防止を図ることができる。また、本体部11と可動部12との間に、操作キー40による間隙がなくなるため、携帯電話機10の薄型化を図ることができる。
【0026】
尚、本実施例では操作キーとして、通話を行なうためのワンタッチ発信キーや、メールのあて先登録を行なう登録キーを例に挙げて説明したが、他のキーを可動部12の指操作可能な範囲に設けた構成としてもよい。この際、可動部12に設けるキーは、必ずしも多機能化により新設された操作キーに限定されものではなく、従来からある操作キーを可動部12に設け、新設された操作キーを本体部11に配設する構成としてもよい。
【0027】
以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
テンキーを含む複数の第1の操作キーを有し、操作時に把持される本体部と、
該本体部にヒンジ部を介して回転可能に接続されており、可動部内面に設けられた表示部と前記可動部内面の該表示部と前記ヒンジ部との間に設けられた第2の操作キーとを設けてなる可動部とを有する携帯端末装置であって、
前記表示部と前記ヒンジ部間にくぼみ部を設け、該くぼみ部内にワンタッチで発信する機能を有する前記第2の操作キーのみを設け、
前記可動部の可動部外面に背面表示部を設け、該背面表示部を前記可動部外面中、前記第2の操作キーに対応する位置より上方の位置で、かつ前記可動部内面に設けられた表示部に対応する位置に設けたことを特徴とする携帯端末装置。
【0028】
(付記2)
付記1の携帯端末装置であって、
前記第2の操作キーはその上面が前記可動部内面より低くなるよう設けられていることを特徴とする携帯端末装置。
【符号の説明】
【0029】
10 携帯電話機
11 本体部
12 可動部
13 ヒンジ部
14 本体部内面
15 本体部外面
16 テンキー
21 カーソルキー
22 マイク
23 外部用スピーカ
24 イヤホンジャック
25 可動部内面
26 可動部外面
28 LCD表示素子
40 操作キー
41 くぼみ部
41a 底面
42 スイッチノブ
43 スイッチ本体
44 鍔部
45 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テンキーを含む複数の第1の操作キーを有し、操作時に把持される本体部と、
該本体部にヒンジ部を介して回転可能に接続されており、可動部内面に設けられた表示部と、前記可動部内面の該表示部と前記ヒンジ部との間に設けられた第2の操作キーとを設けてなる可動部とを有する携帯端末装置であって、
前記表示部と前記ヒンジ部との間にくぼみ部を設け、該くぼみ部内にファンクションキーとしての機能を有する前記第2の操作キーのみを設け、
前記可動部の可動部外面に背面表示部を設け、該背面表示部を前記可動部外面中、前記第2の操作キーに対応する位置より上方の位置で、かつ前記可動部内面に設けられた該表示部に対応する位置に設けた、
ことを特徴とする、携帯端末装置。
【請求項2】
請求項1の携帯端末装置であって、
前記第2の操作キーはその上面が前記可動部内面より低くなるよう設けられている、
ことを特徴とする、携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−74863(P2010−74863A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298905(P2009−298905)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【分割の表示】特願2007−33519(P2007−33519)の分割
【原出願日】平成14年8月13日(2002.8.13)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】