説明

携帯通信端末、サーチ周期選択プログラム及びサーチ周期選択方法

【課題】電池の消耗を抑制しつつ、通信の即応性の向上をはかる携帯通信端末を提供する。
【解決手段】上記課題を解決するために本発明に係る携帯通信端末は、基地局のサーチを行うサーチ部と、前記サーチ部でサーチされた一つもしくは複数の基地局と通信を行う通信部と、実行中のアプリケーションプログラムが前記通信部を通じて通信を行う処理を含む通信アプリケーションであるか否かの判定を行う通信アプリケーション判定部と、実行中のアプリケーションプログラムが前記通信アプリケーション判定部によって前記通信アプリケーションであると判定された場合に、前記通信アプリケーションが実行されていないときと比較して短い第1の短い周期を選択し、当該第1の短い周期で前記サーチ部にサーチさせるサーチ周期選択部とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯通信端末、サーチ周期選択プログラム、サーチ周期選択方法に関し、特に通信可能な基地局をサーチする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯通信端末では、周辺にある基地局から発される電波を受信して、その電界強度を計測し、通信可能な基地局をサーチしている。その結果を利用して、圏外からの復帰及び新たな基地局へのハンドオーバー等を実現している。
ところで、携帯通信端末が基地局をサーチする処理は周期的に行われるが、この周期が長いと、移動中に通話を行おうとしても即座には通話できないことになり、使い勝手が悪くなる。このため、サーチは頻繁に行うことが要請されるのであるが、その場合は、他方において携帯通信端末に内蔵の電池の消耗が激しく、電池持続時間が短くなるという問題がある。
【0003】
そこで、特許文献1では、携帯通信端末の過去一定期間の発着信回数に応じて、基地局をサーチする周期(以下、「サーチ周期」という。)を変更する技術を開示している。
具体的には、発着信回数が多い期間にはサーチ周期を短く、逆に発着信回数が少ない期間にはサーチ周期を長くする。この結果、電池の消耗をある程度抑制しつつ、通信の即応性の向上をはかることができる。また、特許文献2では、サーチを行う携帯無線通信端末において、低消費電力化と受信性能とを両立する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−160303号公報
【特許文献2】特開2006−140912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記技術は、サーチ周期を過去の実情を参照して変更するという一見合理的な手法ではあるものの、反面、過去の発着信回数が少なく、サーチ周期を長く設定しているときに、一時的に他の多くの人から当の携帯通信端末に対して発呼やメール送信が増加したとすると、最大でサーチ周期の間、着呼や着信を待たねばならないこととなる。また、当の携帯通信端末から発呼やメール送信する場合も、迅速性にかけることとなるといった課題がある。特許文献2では、完全なサービスエリア外とならないと消費電力の削減ができないという課題を有する。
【0006】
本発明は係る問題に鑑みてなされたものであり、電池の消耗を抑制しつつ、通信の即応性の向上をはかる携帯通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明に係る携帯通信端末は、基地局のサーチを行うサーチ部と、前記サーチ部でサーチされた一つもしくは複数の基地局と通信を行う通信部と、実行中のアプリケーションプログラムが前記通信部を通じて通信を行う処理を含む通信アプリケーションであるか否かの判定を行う通信アプリケーション判定部と、実行中のアプリケーションプログラムが前記通信アプリケーション判定部によって前記通信アプリケーションであると判定された場合に、前記通信アプリケーションが実行されていないときと比較して短い第1の短い周期を選択し、当該第1の短い周期で前記サーチ部にサーチさせるサーチ周期選択部とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るサーチ周期選択プログラムは、基地局のサーチを行うサーチ部と、前記サーチ部でサーチされた一つもしくは複数の基地局と通信を行う通信部とを備える携帯通信端末のプロセッサに基地局をサーチする周期を選択させるためのサーチ周期選択処理を行わせるためのサーチ周期選択プログラムであって、前記サーチ周期選択処理は、実行中のアプリケーションプログラムが前記通信部を通じて通信を行う処理を含む通信アプリケーションであるか否かの判定を行う通信アプリケーション判定ステップと、実行中のアプリケーションプログラムが前記通信アプリケーション判定ステップによって前記通信アプリケーションであると判定された場合に、前記通信アプリケーションが実行されていないときと比較して短い第1の短い周期を選択し、当該第1の短い周期で前記サーチ部にサーチさせるサーチ周期選択ステップとを含む。
【0009】
さらに、本発明に係るサーチ周期選択方法は、基地局のサーチを行うサーチ部と、前記サーチ部でサーチされた一つもしくは複数の基地局と通信を行う通信部と、を備える携帯通信端末におけるサーチ周期選択方法であって、実行中のアプリケーションプログラムが前記通信部を通じて通信を行う処理を含む通信アプリケーションであるか否かの判定を行う通信アプリケーション判定ステップと、実行中のアプリケーションプログラムが前記通信アプリケーション判定ステップによって前記通信アプリケーションであると判定された場合に、前記通信アプリケーションが実行されていないときと比較して短い第1の短い周期を選択し、当該第1の短い周期で前記サーチ部にサーチさせるサーチ周期選択ステップとを含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る携帯通信端末、サーチ周期選択プログラム及びサーチ周期選択方法は、電池の消耗を抑制しつつ、通信の即応性の向上をはかることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態としての携帯電話機の主要部の機能構成を表すブロック図である。
【図2】携帯電話機の有するサーチ周期と基地局をサーチするのに要する時間との関係を示した図である。
【図3】携帯電話機がサーチ周期を選択する際に用いる制御処理のフローチャートであり、図4へ続く。
【図4】携帯電話機がサーチ周期を選択する際に用いる制御処理のフローチャートであり、図3から続く。
【図5】携帯電話機が通信アプリケーションを起動したかを判定する際に用いる制御処理のフローチャートである。
【図6】携帯電話機のサーチ周期の選択方法の遷移を示す状態遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
以下、本発明に係る携帯通信端末の一実施形態である携帯電話機について説明する。
<概要>
携帯電話機は、通信を行う処理を含むアプリケーションプログラムを実行しているか否かと、ユーザ操作の有無に応じて複数あるサーチ周期の中から一つの周期を選択し、選択した周期で基地局をサーチするものである。
【0013】
特に、携帯電話機は、そのアプリケーションプログラム(以下「アプリケーション」という)内に通信を行う処理を含むアプリケーション(以下「通信アプリケーション」という。)を実行している場合には、複数あるサーチ周期の中から実行していないときよりも短い周期を選択する。逆に通信アプリケーションを実行していない場合には、複数あるサーチ周期の中から実行中のときよりも長い周期を選択する。携帯電話機は、選択した周期に従って基地局をサーチする。
【0014】
これにより、通信アプリケーションを実行中の場合には、通信可能な基地局の情報を短い周期で更新することで、発信の即応性を高めることができる。また、通信アプリケーションが実行中ではない場合には、基地局をサーチすることで生じる電力消費を抑制する。この結果、電池の消耗をある程度抑制しつつ、通信の即応性の向上をはかることができる。
【0015】
<構成>
以下、携帯電話機1000の構成について説明する。
図1は、携帯電話機1000の主要部の機能構成を表すブロック図である。
携帯電話機1000は、同図に示すように、通信部1100、サーチ部1200、記憶部1300、操作部1400、検知部1700、ディスプレイ1500、制御部1600を備える。
【0016】
なお、携帯電話機1000は、プロセッサ及びメモリを含んで構成されており、制御部1600の機能は上述のメモリに記憶されているプログラムを上述のプロセッサが実行することにより実現される。
通信部1100は、アンテナを介して基地局との間で電波の送受信を行う回路であり、受信信号を復調し制御部1600へ伝達する機能、及び制御部1600から伝達された信号を変調し送信する機能を有する。
【0017】
サーチ部1200は、通信部1100を用いて外部の基地局のサーチを行う回路であり、制御部1600から通知された周期に応じて通信部1100を用いて基地局をサーチする機能を有する。この機能については、サーチ周期の説明と合わせて後述する。
記憶部1300は、HDD(Hard Disk Drive)やメモリ等の記憶媒体を含み、携帯電話機1000が動作上必要とする各種データ、プログラムを記憶している。また、各種データの一部として、携帯電話機1000の設計者によって指定された、メールを行うアプリケーションや、インターネットを閲覧するアプリケーションや、電話番号の入力に基づいて通話(発呼や着呼)を行うアプリケーション等の通信アプリケーションの識別子を記憶している。この識別子は、例えば通信アプリケーションの名称であり、「メール」や「インターネットブラウザ」等の通信を行うアプリケーション名である。
【0018】
操作部1400は、いわゆるテンキー等のキー群やボタン群を含むものであり、ユーザが行ったキー群やボタン群を用いた入力を受け付けて制御部1600へ伝達する機能を有する。なお、制御部1600へ入力が行われたことを伝達することが可能ならば、機械式のボタンでもよいし、タッチパネルやタッチパッド等に表示されたボタンであってもよいし、その他どの様な入力デバイスで実現してもよい。
【0019】
検知部1700は、光学式等のセンサを含んだ回路であり、折りたたみタイプの携帯電話機の場合は開閉操作、スライドタイプの携帯電話機の場合はスライド開閉操作を受け付けて制御部1600へ伝達する機能を有する。
ディスプレイ1500は、LCD(Liquid Crystal Display)により実現され、制御部1600からの指示を受けて文字等の画像を表示する機能を有する。ただし、LCDに限らずPDP(プラズマディスプレイパネル)や有機EL(Electro‐Luminescence)ディスプレイ等で実現してもよい。
【0020】
制御部1600は、一般的な携帯電話機が有する機能のほか、実行中のアプリケーションが通信アプリケーションであるかどうかの判定結果や、操作部1400からの入力に基づいてサーチ周期を複数段階の中から選択する機能を有する。制御部1600は、電界強度計測部1610、通信アプリケーション判定部1620、サーチ周期選択部1630、アプリケーション実行部1640を含んで構成される。なお、制御部1600は、全部または一部を1チップ又は複数チップの集積回路で実現してもよいし、コンピュータのプログラムで実現してもよい。
【0021】
電界強度計測部1610は、通信部1100を介して、基地局から送信される電波の電界強度を計測する機能を有する。電界強度計測部1610は、サーチ部1200がサーチする際に、基地局との電波の電界強度を計測するために用いられる。携帯電話機1000が発信するときには電界強度が大きい基地局が選択される。
通信アプリケーション判定部1620は、通信アプリケーションが起動されたか否かの判定処理(以下、「起動判定処理」という。)を行うことで、実行中のアプリケーションが通信アプリケーションであるか否かを判定する機能を有する。各アプリケーションは識別子をもち、通信アプリケーション判定部1620はその識別子を取得する機能も有する。通信アプリケーションであるか否かの判定は、実行中のアプリケーションの識別子と、記憶部1300に記憶してある通信アプリケーションの識別子が一致するか否かで行う。アプリケーションは、その識別子を取得するための関数やサブルーチンを含んでおり、通信アプリケーション判定部1620はその関数やサブルーチンを用いて識別子を取得する。
【0022】
サーチ周期選択部1630は、サーチ周期の選択処理(以下、「選択処理」という。)を行うことで、通信アプリケーションが実行中であるかどうか、実際に通信中であるかどうか、及び一定期間入力が無かったかによって、サーチ周期を複数の段階(以下、4段階とする)の中から選択する機能を有する。
アプリケーション実行部1640は、操作部1400からの入力等に基づいてアプリケーションを実行する機能を有する。
【0023】
ここで、サーチ周期について説明する。図2は、4段階のサーチ周期について説明するための図である。図2中のTs(例えば2秒)は、通信部1100を駆動して基地局をサーチするために要する時間を表している。ただし、基地局をサーチするために要する時間は一定ではないが、図2においては平均的な時間としてTsという時間を用いている。4段階のサーチ周期は、図2(A)から(D)に示す周期T1(例えば5秒)、T2(例えば10秒)、T3(例えば30秒)、T4(例えば60秒)であり、それぞれT1<T2<T3<T4という大小関係にある。よって、携帯電話機1000のサーチ周期選択部1630がT1を選択している場合よりもT2を選択している場合のほうが、サーチ部1200が次に基地局をサーチするまでの休止期間が長くなる。従って、サーチ周期が長い場合、一定時間内における消費電力が少なく、省電力性に優れることになる。
【0024】
一方、サーチ周期が短い場合、一定時間内における基地局サーチ回数が多い。この結果、移動しながら用いる携帯電話機1000において、移動している最中に基地局ごとの電波の電界強度の大きさを取得することができる。従って、発信を実行するためのユーザによる操作があったときに、すぐに発信することができる。
ここで、サーチ部1200の機能について述べる。サーチ部1200は、制御部1600から最後に通知されたサーチ周期に基づいて、時間Tsをかけて繰り返し通信可能な基地局をサーチする。これらの結果、得られた通信可能な基地局と電波の電界強度の計測結果は記憶部1300に記憶され、通信アプリケーションが基地局に対し発信を行う際に用いられる。
【0025】
<動作>
以下、上述の構成を備える携帯電話機1000の動作について説明する。
図3から図5は、本実施形態に係る携帯電話機1000のサーチ周期選択部1630が行う選択処理を示すフローチャートである。この選択処理は、ユーザにより携帯電話機1000の電源が入れられたときに開始するものであり、図示しないが、電源が切られたときに終了するものである。
【0026】
図3と図4から説明を行う。まず、ユーザにより電源が入れられると、携帯電話機1000のサーチ周期選択部1630は、サーチ周期T4を選択し、サーチ部1200に通知する(図3のステップS301)。これにより、サーチ部1200は以後通知されたサーチ周期でサーチを行うことになる。
次に、サーチ周期選択部1630がユーザ操作を受け付けたかどうかを判定する(ステップS302)。具体的には、折りたたみタイプの携帯電話機である場合には開く操作、スライドタイプの携帯電話機である場合にはスライドして開く操作、画面がフェードアウトしている状態から待ち受け画面を出力する操作、及び入力操作を、操作部1400や検知部1700を介して制御部1600が受け付けたかを判定する。操作を受け付けていない場合(ステップS302:NO)、再びステップS302の処理を行う。操作を受け付けた場合(ステップS302:YES)、サーチ周期T3を選択し、サーチ部1200に通知する(ステップS303)。
【0027】
サーチ周期T3を選択し、サーチ部1200に通知した後(ステップS303)、通信アプリケーション判定部1620が行う起動判定処理によって、通信アプリケーションを起動したかどうかを判定する(ステップS304)。
ステップS304では、後述するように記憶部1300に通信アプリケーションとして識別子が登録されているアプリケーションを起動したかどうかを通信アプリケーション判定部1620が判定し、通信アプリケーション判定部1620が、起動している場合は起動FLAGを1に設定し、起動していない場合は起動FLAGを0に設定する。ここで、起動FLAGは、通信アプリケーション判定部1620が行った、通信アプリケーションが起動したかどうかの判定結果を、サーチ周期選択部1630が知得するために用いられる。
【0028】
ステップS304の後、起動FLAGの値をサーチ周期選択部1630が知得する(ステップS305)。起動FLAGが1の場合(ステップS305:1)、サーチ周期選択部1630がサーチ周期T2を選択し、サーチ部1200に通知する(図4のステップS401)。
ステップS401の後、通信アプリケーションの終了を受け付けたかを判定する(ステップS402)。通信アプリケーションの終了を受け付けていない場合(ステップS402:NO)、サーチ周期選択部1630が、前回操作から一定時間(例えば60秒)操作を受け付けなかったかを判定する(ステップS403)。この判定は、制御部1600によって、操作部1400からの操作を受け付けた時間を記憶部1300に記憶しておき、サーチ周期選択部1630が、それを用いて最後に操作を受け付けた時間からの経過時間を見ることによって行う。操作を受け付けてから一定時間が経過していない場合(ステップS403:NO)、サーチ周期選択部1630によって、通信アプリケーションが通信を開始したかを判定する(ステップS404)。
【0029】
通信アプリケーションが通信を開始していない場合(ステップS404:NO)、ステップS402へ戻る。通信アプリケーションが通信を開始した場合(ステップS404:YES)、サーチ周期選択部1630がサーチ周期T1を選択し、サーチ部1200に通知する(ステップS405)。
サーチ周期選択部1630がサーチ周期T1を選択し、サーチ部1200に通知した後、サーチ周期選択部1630によって、通信アプリケーションが通信を終了したかを判定する(ステップS406)。サーチ周期選択部1630が通信を終了していない場合(ステップS406:NO)、再びステップS406の処理を行う。通信アプリケーションが通信を終了した場合(ステップS406:YES)、ステップS401へ戻り、サーチ周期T2を選択し、サーチ部1200に通知する。
【0030】
図4のステップS402の説明に戻る。通信アプリケーションの終了を受け付けた場合(ステップS402:YES)、図3のステップS303に戻り、サーチ周期選択部1630がサーチ周期T3を選択し、サーチ部1200に通知する。通信アプリケーションの終了を受け付けておらず(ステップS402:NO)、サーチ周期選択部1630が前回操作から一定時間操作を受け付けなかった場合(ステップS403:YES)も、図3のステップS303に戻り、サーチ周期選択部1630がサーチ周期T3を選択し、サーチ部1200に通知する。
【0031】
その後、通信アプリケーション判定部1620が起動判定処理を行い(図3のステップS304)、起動FLAGの値を知得する(ステップS305)。起動FLAGが0である場合(ステップS305:0)は、サーチ周期選択部1630が通信アプリケーションの操作を受け付けたかどうかを判定する(ステップS306)。この判定は、以下のように行う。まず、制御部1600によって、操作部1400からの操作がどのアプリケーションに対するものであったかを認識し、そのアプリケーションを起動する。なお、制御部1600は実行したアプリケーションの識別子(名称等)を管理している。次に、サーチ周期選択部1630は、実行中のアプリケーションの識別子(名称等)と、記憶部1300に記憶されている通信アプリケーションの識別子とを比較し、通信アプリケーションに対する操作があったかを確認する。
【0032】
通信アプリケーションの操作を受け付けた場合(ステップS306:YES)、サーチ周期選択部1630がサーチ周期T2を選択し、サーチ部1200に通知する(図4のステップS401)。通信アプリケーションの操作を受け付けていない場合(図3のステップS306:NO)、サーチ周期選択部1630が前回の操作から一定時間(例えば60秒)操作を受け付けなかったかを判定する(ステップS307)。この判定も、図4のステップS403と同様に、制御部1600によって、操作部1400からの操作を受け付けた時間を記憶部1300に記憶しておき、サーチ周期選択部1630が、それを用いて最後に操作を受け付けた時間からの経過時間を見ることによって行う。
【0033】
前回操作から一定時間以内に操作を受け付けた場合(ステップS307:NO)、ステップS304に戻る。一定時間操作を受け付けなかった場合(ステップS307:YES)、通信アプリケーションを実行中かをサーチ周期選択部1630が判定する(ステップS308)。
通信アプリケーションを実行中の場合(ステップS308:YES)、ステップS304に戻る。通信アプリケーションを実行していない場合(ステップS308:NO)、ステップS301に戻り、サーチ周期選択部1630がサーチ周期T4を選択し、サーチ部1200に通知する。
【0034】
通信アプリケーション判定部1620が行う図3のステップS304の起動判定処理について、図5を用いて説明を行う。
まず、通信アプリケーション判定部1620がアプリケーションを起動しているかを判定する(ステップS501)。アプリケーションを起動していない場合(ステップS501:NO)、ステップS504へ進み、通信アプリケーション判定部1620が起動FLAGを0に設定し、終了する。アプリケーションを起動している場合(ステップS501:YES)、通信アプリケーション判定部1620が、アプリケーションから識別子を取得し、その識別子が記憶部1300に通信アプリケーションの識別子として登録されているかを判定する(ステップS502)。
【0035】
通信アプリケーションとして識別子が登録されていない場合(ステップS502:NO)、ステップS504へ進み、通信アプリケーション判定部1620が起動FLAGを0に設定し、終了する。識別子が登録されている場合、ステップS503へ進み、通信アプリケーション判定部1620が起動FLAGを1に設定し、終了する。
図3から図5までのフローチャートを状態遷移図で表したものを図6に示す。図6では、サーチ周期がT1、T2、T3、T4である4つの状態をどの様に遷移するのかを示している。
<補足>
以上、本発明に係る携帯通信端末の実施形態として、例示した携帯通信端末を以下のように変形することも可能であり、本発明は上述の実施形態で示した通りの携帯通信端末に限られないことはもちろんである。
【0036】
(1)実施形態では、通信アプリケーション判定部1620は実行中のアプリケーションが通信アプリケーションであるか否かの判定を、アプリケーションの識別子が記憶部1300に記憶された通信アプリケーションの識別子と一致するか否かによって行ったが、これ以外の方法でもかまわない。
例えば、アプリケーション側で、通信を行うか否かを示す情報を有する構成にしておき、携帯電話機1000の通信アプリケーション判定部1620でその情報を取得できるようにしておく。例えば、アプリケーションが通信を行うかどうかのフラグを有し、外部アプリケーションから呼び出されて、そのフラグの値を取得するための関数やサブルーチンも含んでいる。こうすることで、通信アプリケーション判定部1620が、その関数やサブルーチンを用いて、アプリケーションが有しているフラグの値を取得し、そのフラグの値に基づいて通信アプリケーションであるか否かの判定を行うようにしてもよい。
【0037】
(2)実施形態では、通信アプリケーションを起動している場合のサーチ周期をT2、通信アプリケーションが通信を行っている場合のサーチ周期をT1とする構成を説明したが、通信アプリケーションの内容に応じてT2とT1を複数種類持つようにしてもよい。
例えば、音声通信を行う通信アプリケーションと、データ通信を行う通信アプリケーションによってT2をそれぞれT2_1とT2_2、T1をそれぞれT1_1とT1_2とし、違うサーチ周期で基地局をサーチさせても良い。
【0038】
また、実施形態では、4段階のサーチ周期を切り替える構成を説明したが、2段階でも3段階でも、あるいは5段階以上のサーチ周期を有する構成にしてもよい。
例えば、実施形態では、通信アプリケーションを起動させてから、操作をせずに時間が経過した場合には、サーチ周期をT2からT3に変化させた。これを、T2からT3の間に、サーチ周期の大小関係がT2<T3_d<T3_dd<T3となるように新たにサーチ周期T3_d、T3_ddを設ける。そして、通信アプリケーションを起動させてから通信をせずに経過した時間が長くなるにつれて段階的にT2からT3_d、T3_dからT3_ddへと変化させても良い。
【0039】
また、上記実施形態では、サーチ周期T3の状態から、通信アプリケーションが起動されたときに移行するサーチ周期T2と、サーチ周期T3の状態から、通信アプリケーションでのキー操作がされた時に移行するサーチ周期T2とを同じものとしたが、これら2つのサーチ周期T2を、それぞれT3より小さくなる、2つの異なる値のサーチ周期としてもよい。
【0040】
(3)実施形態では、サーチ周期がT3からT4に変化するのは、通信アプリケーションが実行中ではないときに、前回の操作から一定期間操作が行われなかったときとしていた。これを、通信アプリケーションの実行をしていても、前回操作から一定期間操作が行われなかったときには、サーチ周期をT3からT4に変化させるようにしてもよい。
この結果、携帯電話機1000を使用していない状態において、より電池の持続時間を長くすることができ、省電力性能を上げることができる。
【0041】
(4)実施形態において説明した選択処理(図3等参照)をCPUに実行させるためのプログラムを、記録媒体に記録し又は各種通信路等を介して、流通させ頒布することもできる。この様な記録媒体には、ICカード、光ディスク、フレキシブルディスク、ROM、フラッシュメモリ等がある。流通、頒布されたプログラムは、機器におけるCPUで読み取り可能なメモリ等に格納されることにより利用に供され、そのCPUがそのプログラムを実行することにより実施形態で示した携帯電話機1000の各機能が実現される。
【0042】
(5)以下、更に本発明の一実施形態に係る携帯通信端末の構成及びその変形例と効果について述べる。
(a)本発明の一実施形態に係る携帯通信端末は、基地局のサーチを行うサーチ部と、前記サーチ部でサーチされた一つもしくは複数の基地局と通信を行う通信部と、実行中のアプリケーションプログラムが前記通信部を通じて通信を行う処理を含む通信アプリケーションであるか否かの判定を行う通信アプリケーション判定部と、実行中のアプリケーションプログラムが前記通信アプリケーション判定部によって前記通信アプリケーションであると判定された場合に、前記通信アプリケーションが実行されていないときと比較して短い第1の短い周期を選択し、当該第1の短い周期で前記サーチ部にサーチさせるサーチ周期選択部とを備える。
【0043】
従ってこの携帯通信端末は、通信アプリケーションを実行している場合に、基地局をサーチする周期として、通信アプリケーションが実行されていないときと比較して短い第1の短い周期を選択することができるため、通信可能な基地局を認識できる可能性が高くなる。結果として、携帯通信端末のユーザが発信したいときにすぐに通信を行うことが可能になる。
【0044】
(b)ここで、前記サーチ周期選択部は、前記通信アプリケーションが実行中で、前記第1の短い周期を選択している場合において、一定時間ユーザによる操作がなされなかったときに、前記第1の短い周期と比較して長い周期を選択し、当該長い周期で前記サーチ部にサーチさせることとしてもよい。
これにより、通信アプリケーションが起動中であっても、一定時間操作がされなかった場合には、基地局をサーチする周期として第1の短い周期と比較して長い周期を選択することで、携帯電話の電池の持続時間を長くすることができる。即ち、省電力性能を上げることができる。
【0045】
(c)ここで、前記サーチ周期選択部は、前記通信アプリケーションが実行中で、前記長い周期を選択している場合において、操作が行われたときに、前記長い周期と比較して短い周期である第2の短い周期を選択し、当該第2の短い周期で前記サーチ部にサーチさせることとしてもよい。
これにより、通信アプリケーションを実行中で、一定時間操作がなされず長い周期が選択された後、ユーザが操作をした際に長い周期と比較して短い第2の短い周期を選択する。従って、発信を行う可能性が高くなったときに、すぐに基地局と通信できる可能性が増すため、ユーザによる発信要求に答えることできる可能性を高めることができる。
【0046】
(d)ここで、前記通信アプリケーションの識別情報を記憶している記憶部を備え、前記通信アプリケーション判定部は、前記記憶部に記憶されている前記通信アプリケーションの前記識別情報と実行中のアプリケーションプログラムの識別情報が一致する場合に当該アプリケーションプログラムを前記通信アプリケーションであると判定することとしてもよい。
【0047】
これにより、通信アプリケーションの識別情報を予め登録しておくことで、実行中のアプリケーションプログラムが通信アプリケーションであるかどうかを簡単に判別することができる。
(e)ここで、前記通信アプリケーション判定部は、前記アプリケーションプログラムから前記通信部を通じて通信を行うか否かを示す情報を取得し、前記アプリケーションプログラムから前記情報を得た場合に、当該情報が通信を行う旨の情報であったときは当該アプリケーションプログラムを前記通信アプリケーションであると判定することとしてもよい。
【0048】
これにより、アプリケーションプログラム側で通信を行うか否かを示す情報を有する構成にしておくことで、携帯通信端末側では、上述の識別情報のような情報を予め登録させることなく、通信アプリケーションであるか否かを判定することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の携帯通信端末における基地局をサーチする周期を変更する技術は、基地局を介した通信を行う場合に利用される。
【符号の説明】
【0050】
1000 携帯電話機
1100 通信部
1200 サーチ部
1300 記憶部
1400 操作部
1500 ディスプレイ
1600 制御部
1610 電界強度計測部
1620 通信アプリケーション判定部
1630 サーチ周期選択部
1640 アプリケーション実行部
1700 検知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局のサーチを行うサーチ部と、
前記サーチ部でサーチされた一つもしくは複数の基地局と通信を行う通信部と、
実行中のアプリケーションプログラムが前記通信部を通じて通信を行う処理を含む通信アプリケーションであるか否かの判定を行う通信アプリケーション判定部と、
実行中のアプリケーションプログラムが前記通信アプリケーション判定部によって前記通信アプリケーションであると判定された場合に、前記通信アプリケーションが実行されていないときと比較して短い第1の短い周期を選択し、当該第1の短い周期で前記サーチ部にサーチさせるサーチ周期選択部とを備える
ことを特徴とする携帯通信端末。
【請求項2】
前記サーチ周期選択部は、前記通信アプリケーションが実行中で、前記第1の短い周期を選択している場合において、一定時間ユーザによる操作がなされなかったときに、前記第1の短い周期と比較して長い周期を選択し、当該長い周期で前記サーチ部にサーチさせる
ことを特徴とする請求項1記載の携帯通信端末。
【請求項3】
前記サーチ周期選択部は、前記通信アプリケーションが実行中で、前記長い周期を選択している場合において、操作が行われたときに、前記長い周期と比較して短い周期である第2の短い周期を選択し、当該第2の短い周期で前記サーチ部にサーチさせる
ことを特徴とする請求項2記載の携帯通信端末。
【請求項4】
前記通信アプリケーションの識別情報を記憶している記憶部を備え、
前記通信アプリケーション判定部は、前記記憶部に記憶されている前記通信アプリケーションの前記識別情報と実行中のアプリケーションプログラムの識別情報が一致する場合に当該アプリケーションプログラムを前記通信アプリケーションであると判定する
ことを特徴とする請求項1記載の携帯通信端末。
【請求項5】
前記通信アプリケーション判定部は、前記アプリケーションプログラムから前記通信部を通じて通信を行うか否かを示す情報を取得し、前記アプリケーションプログラムから前記情報を得た場合に、当該情報が通信を行う旨の情報であったときは当該アプリケーションプログラムを前記通信アプリケーションであると判定する
ことを特徴とする請求項1記載の携帯通信端末。
【請求項6】
基地局のサーチを行うサーチ部と、
前記サーチ部でサーチされた一つもしくは複数の基地局と通信を行う通信部と
を備える携帯通信端末のプロセッサに基地局をサーチする周期を選択させるためのサーチ周期選択処理を行わせるためのサーチ周期選択プログラムであって、
前記サーチ周期選択処理は、
実行中のアプリケーションプログラムが前記通信部を通じて通信を行う処理を含む通信アプリケーションであるか否かの判定を行う通信アプリケーション判定ステップと、
実行中のアプリケーションプログラムが前記通信アプリケーション判定ステップによって前記通信アプリケーションであると判定された場合に、前記通信アプリケーションが実行されていないときと比較して短い第1の短い周期を選択し、当該第1の短い周期で前記サーチ部にサーチさせるサーチ周期選択ステップとを含む
ことを特徴とするサーチ周期選択プログラム。
【請求項7】
基地局のサーチを行うサーチ部と、
前記サーチ部でサーチされた一つもしくは複数の基地局と通信を行う通信部と、
を備える携帯通信端末におけるサーチ周期選択方法であって、
実行中のアプリケーションプログラムが前記通信部を通じて通信を行う処理を含む通信アプリケーションであるか否かの判定を行う通信アプリケーション判定ステップと、
実行中のアプリケーションプログラムが前記通信アプリケーション判定ステップによって前記通信アプリケーションであると判定された場合に、前記通信アプリケーションが実行されていないときと比較して短い第1の短い周期を選択し、当該第1の短い周期で前記サーチ部にサーチさせるサーチ周期選択ステップとを含む
ことを特徴とするサーチ周期選択方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−95062(P2012−95062A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240231(P2010−240231)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】