説明

携帯通信端末、電力増幅制御方法及びプログラム

【課題】第1通信方式での送信と第2通信方式での送信とが可能な携帯通信端末における温度上昇を適切に抑制することが可能な携帯通信端末を提供する。
【解決手段】携帯通信端末は、第1通信方式による送信信号の電力増幅用の第1増幅器と第2通信方式による送信信号の電力増幅用の第2増幅器とを備え、通信状況に応じて、第1上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第1増幅器に、第2上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第2増幅器に行わせるものであり、両通信方式による並行送信期間においては、前記第1上限電力値より小さい第3上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第1増幅器に行わせること、及び前記第2上限電力値より小さい第4上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第2増幅器に行わせることのうちの少なくともいずれかを行うよう制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信信号の電力増幅用の複数の増幅器を備える携帯電話機等の携帯通信端末に関し、特に、携帯通信端末の温度上昇抑制の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯通信端末内部の部品、特に、発熱量の大きい、送信信号の電力増幅用の増幅器(以下、「送信用増幅器」ともいう)の部品からの発熱により携帯通信端末の温度が上昇するという問題がある。
この問題の発生を抑制する技術として、例えば特許文献1の技術が知られている。
特許文献1の技術は、1つの送信用増幅器を備える携帯通信端末において、温度上昇によりこの送信用増幅器の増幅度が低下し、電力増幅の上限値(基地局より要求された値)が得られなくなる場合に、携帯通信端末の内部の温度に応じて、この上限値を低下させて、安定した送信電力を得るというものである。
【0003】
ところで、第1通信方式での送信に対応した送信用増幅器と、第2通信方式での送信に対応した送信用増幅器とを備える携帯通信端末が知られている。
このような2つの送信用増幅器を備える携帯通信端末では、1つの送信用増幅器を備えるものよりも、両送信用増幅器による総合的な発熱量が多くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−204587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の技術は、携帯通信端末が1つの送信用増幅器を備える場合のみを想定した技術であり、2つの送信用増幅器を備えるような場合にそのまま適用できない。
そこで、本発明は係る問題に鑑みてなされたものであり、第1通信方式での送信と第2通信方式での送信とが可能な携帯通信端末において、携帯通信端末の温度上昇を適切に抑制することが可能な携帯通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る携帯通信端末は、第1通信方式による送信信号の電力増幅用の第1増幅器と、第2通信方式による送信信号の電力増幅用の第2増幅器と、通信状況に応じて、第1上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第1増幅器に行わせ、第2上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第2増幅器に行わせる制御部とを備え、前記制御部は、前記第1通信方式による送信と前記第2通信方式による送信とを並行して行う期間に、前記第1上限電力値より小さい第3上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第1増幅器に行わせること、及び前記第2上限電力値より小さい第4上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第2増幅器に行わせることのうちの少なくともいずれかを行うよう制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記構成を備える本発明に係る携帯通信端末によれば、第1通信方式での送信と第2通信方式での送信とが可能な携帯通信端末において、携帯通信端末の温度上昇を適切に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態1に係る携帯電話機100の主要部の機能構成を示すブロック図
【図2】携帯電話機100の制御処理を示すフローチャート
【図3】実施の形態2に係る携帯電話機200の主要部の機能構成を示すブロック図
【図4】携帯電話機200の制御処理を示すフローチャート
【図5】実施の形態3に係る携帯電話機300の主要部の機能構成を示すブロック図
【図6】携帯電話機300の制御処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る携帯通信端末の一実施形態としての携帯電話機について説明する。
≪実施の形態1≫
<概要>
実施の形態1に係る携帯電話機は、CDMA(Code Division Multiple Access)2000方式の移動通信システム(以下、「CDMAシステム」ともいう)及びLTE(Long Term Evolution)方式の移動通信システム(以下、「LTEシステム」ともいう)の両システムに対応しており、並行送信も可能な端末である。
【0010】
両システムでの送信を並行して行うケースとしては、例えば、CDMAシステムを用いて移動しながら音声通話を行っている場合に、LTEシステムを用いて携帯電話機100の位置登録を行うことが考えられる。
このように、両システムでの送信を並行して行う場合に、この携帯電話機は、自機が備える、各システムで用いられる送信信号の電力増幅を行う各増幅器の上限電力値を、各増幅器における現在の送信電力値に基づいて、一方のシステムでの送信のみが行われている場合の上限電力値より低下させることで、両増幅器による発熱を抑制することができる。
【0011】
なお、以下では、CDMAシステムで用いられる周波数帯(例えば、800MHz帯)を「第1周波数帯」ともいうこととし、LTEシステムで用いられる周波数帯(例えば、2GHz帯)を「第2周波数帯」ともいうこととする。
<機能構成>
図1は、実施の形態1に係る携帯電話機100の主要部の機能構成を示すブロック図である。
【0012】
携帯電話機100は、同図に示すように、CDMAシステム用の各機能部とLTEシステム用の各機能部とを含み、記憶部101a、101b、通信制御部102a、102b、ベースバンド部103a、103b、無線部104a、104b、フィルタ105a、105b、増幅器106a、106b、アイソレータ107a、107b、デュプレクサ108a、108b、アンテナ109a、109b、受信回路110a、110b及び制御部111を備える。
【0013】
なお、携帯電話機100は、プロセッサ及びメモリを含んで構成されており、制御部111の機能は、上述のメモリに記憶されているプログラムを上述のプロセッサが実行することにより実現される。
ここで、記憶部101aは、CDMAシステム用の増幅器106aにおける現在の上限電力値を示す情報(以下、「上限値情報」という)を、記憶部101bは、LTEシステム用の増幅器106bにおける現在の上限電力値を示す上限値情報を、それぞれ記憶するためのメモリ領域である。
【0014】
通信制御部102aは、制御部111からの指示を受けて、CDMAシステムでの通信を制御する機能を有する。通信制御部102aは、特に、記憶部101aに記憶されている上限値情報が示す現在の上限電力値の範囲で、電力増幅を行うよう増幅器106aに指示する。
また、通信制御部102bは、制御部111の制御を受けて、LTEシステムでの通信を制御する機能を有する。通信制御部102bは、特に、記憶部101bに記憶されている上限値情報が示す現在の上限電力値の範囲で、電力増幅を行うよう増幅器106bに指示する。
【0015】
なお、LTEシステムでは、基本的にMIMO(Multiple Input Multiple Output)方式での通信が行われ、携帯電話機100のLTEシステムもMIMO方式による通信を行うものとする。
ベースバンド部103aは、通信制御部102aからベースバンド信号を受領してデジタル変調し、無線部104aにデジタル変調後の信号を送出する機能を有する。
【0016】
また、ベースバンド部103bは、通信制御部102bからベースバンド信号を受領してデジタル変調し、無線部104bにデジタル変調後の信号を送出する機能を有する。
なお、ベースバンド部103bからは、最終的にアンテナ109bから送信される各送信信号成分に対応するデジタル変調後の各信号成分が送出され、以降の無線部104b、フィルタ105b、増幅器106b、アイソレータ107b、デュプレクサ108bにおいて各成分について処理が行われるが、各成分についての処理を個別に説明する必要がない限り、各成分をまとめて信号と表現する。
【0017】
無線部104aはベースバンド部103aから、無線部104bはベースバンド部103bから、それぞれ受領したデジタル変調後の信号を無線信号に変換し、無線部104aはフィルタ105aを介して増幅器106aに、無線部104bはフィルタ105bを介して増幅器106bに送出する機能を有する。
フィルタ105aは、無線部104aと増幅器106aとの間に挿入され、無線部104aから受領した無線信号のうち、増幅器106aに対応する周波数帯(第1周波数帯であるものとする)の信号を通過させるバンドパスフィルタである。
【0018】
フィルタ105bは、無線部104bと増幅器106bとの間に挿入され、無線部104bから受領した無線信号のうち、増幅器106bに対応する周波数(第2周波数帯であるものとする)の信号を通過させるバンドパスフィルタである。
増幅器106aは、第1周波数帯の送信信号の電力増幅用の増幅器であり、フィルタ105aを介して受領した信号を、通信制御部102aからの指示に従って増幅する機能を有する。
【0019】
増幅器106bは、第2周波数帯の送信信号の電力増幅用の増幅器であり、フィルタ105bを介して受領した信号を、通信制御部102bからの指示に従って増幅する機能を有する。
アイソレータ107a、107bは、送信信号の逆流を防ぐ非可逆回路素子である。
デュプレクサ108aは、第1周波数帯用のアンテナ109aと接続し、デュプレクサ108bは、第2周波数帯用の4本のアンテナ109bと接続し、それぞれ送信経路と受信経路とを電気的に分離するための素子であり、この素子によって同時送受信が可能になる。
【0020】
受信回路110a、110bは、図示しない受信用増幅器等を含み、受信した信号を、受信回路110aは無線部104aへ、受信回路110bは無線部104bへそれぞれ送出する回路である。
制御部111は、携帯電話機100全体の制御を行うものであり、特に、各記憶部(101a、101b)の上限値情報を設定、つまり更新することで、両システムでの送信が並行して行われる期間において、各増幅器における現在の送信電力値に基づいて、いずれか一方のシステムでの送信のみを行う期間における上限電力値よりも低い上限電力値の範囲で各増幅器に送信信号の電力増幅を行わせる機能を有する。
【0021】
なお、制御部111は、CDMAシステムでの送信のみを行う期間においては、第1上限電力値(例えば、23dBm)を示すように記憶部101aの上限値情報を設定し、LTEシステムでの送信のみを行う期間においては、第2上限電力値(例えば、22dBm)を示すように記憶部101bの上限値情報を設定する。
<動作>
次に、上記構成を備える携帯電話機100の動作について、図2を用いて説明する。
【0022】
図2は、携帯電話機100の制御処理を示すフローチャートである。
同図に示す制御処理は、携帯電話機100の電源がONになると開始され、特に図示していないが、電源がOFFになると終了される。
まず、制御部111は、CDMAシステム及びLTEシステムの両システムで並行送信中であるかを判定する(ステップS1)。
【0023】
両システムで並行送信中である場合に(ステップS1:YES)、制御部111は、CDMAシステム側の増幅器106aにおける現在の送信電力値が所定値(以下、「第1基準電力値」ともいい、例えば10dBmであるものとする)以上であるかを判定する(ステップS2)。
第1基準電力値以上である場合に(ステップS2:YES)、制御部111は、第2上限電力値から所定値(例えば、1dB)低下させた値(以下、「第3上限電力値」ともいう)を示すように、記憶部101bの上限値情報を設定する(ステップS3)。また、第1基準電力値未満である場合に(ステップS2:NO)、制御部111は、第2上限電力値を示すように、記憶部101bの上限値情報を設定する(ステップS4)。
【0024】
ステップS3又はS4の処理を完了すると、制御部111は、LTEシステム側の増幅器106bにおける現在の送信電力値が所定値(以下、「第2基準電力値」ともいい、例えば10dBmであるものとする)以上であるかを判定する(ステップS5)。
第2基準電力値以上である場合に(ステップS5:YES)、制御部111は、第1上限電力値から所定値(例えば、1dB)低下させた値(以下、「第4上限電力値」ともいう)を示すように、記憶部101aの上限値情報を設定する(ステップS6)。また、第2基準電力値未満である場合には(ステップS5:NO)、制御部111は、第1上限電力値を示すように記憶部101aの上限値情報を設定する(ステップS7)。
【0025】
ステップS6又はS7の処理を完了すると、制御部111は、再びステップS1から処理を行う。
両システムで並行送信中でない場合、つまり片方のシステムでの送信のみが行われている場合及びいずれのシステムでも送信が行われていない場合には(ステップS1:NO)、制御部111は、第1上限電力値を示すように記憶部101aの上限値情報を設定し、第2上限電力値を示すように記憶部101bの上限値情報を設定し(ステップS8)、再びステップS1から処理を行う。
【0026】
≪実施の形態2≫
<概要>
実施の形態1では、携帯電話機100が、両システムでの送信が並行して行われる期間において、各増幅器(106a、106b)における現在の送信電力値に基づいて、増幅器106aの上限電力値を第3上限電力値に、増幅器106bの上限電力値を第4上限電力値に低下させる例を説明した。
【0027】
実施の形態2では、両システムでの送信が並行して行われる期間において、各増幅器周辺の温度に基づいて、各増幅器の上限電力値を低下させる例を、実施の形態1に係る携帯電話機100との相違点を中心に説明する。
<機能構成>
図3は、実施の形態2に係る携帯電話機200の主要部の機能構成を示すブロック図である。
【0028】
携帯電話機200は、同図に示すように、実施の形態1に係る携帯電話機100の制御部111に代えて制御部202を備え、更に測定部201を備える点で携帯電話機100と異なる。
ここで、測定部201は、サーミスタ等の温度測定用センサを含み、予め設定されている、サーミスタの温度が閾値T1になったときの電圧V1と、サーミスタの実際の電圧とを比較することで、この測定部201の配置位置での温度を測定する機能を有する。
【0029】
測定部201は、例えば、増幅器106a、106bに近い基板上であって、各増幅器から略等距離の位置や、基板上でない筐体内空間で、各増幅器の放射熱が伝わる部分又は対流による熱が伝わる部分に設けられる。
また、制御部202は、両システムでの送信が並行して行われる期間において、増幅器106aに第3上限電力値以下の範囲で、増幅器106bに第4上限電力値以下の範囲で送信信号の電力増幅を行わせるかどうかを、測定部201が測定した温度に基づいて決定する点で、実施の形態1に係る制御部111とは異なる。
【0030】
<動作>
次に、上記構成を備える携帯電話機200の動作について、図4を用いて説明する。
図4は、携帯電話機200の制御処理を示すフローチャートである。
同図に示す制御処理は、携帯電話機200の電源がONになると開始され、特に図示していないが、電源がOFFになると終了される。
【0031】
制御部202は、まず、実施の形態1に係る制御部111と同様に、CDMAシステム及びLTEシステムの両システムで並行送信中であるかを判定し(ステップS1)、両システムで並行送信中でない場合には(ステップS1:NO)、各記憶部の上限値情報を、第1及び第2上限電力値を示すように設定する処理を行い(ステップS8)、再びステップS1から処理を行う。
【0032】
また、両システムで並行送信中である場合に(ステップS1:YES)、制御部202は、測定部201が測定した温度が閾値T1以上であるか否かを判定し(ステップS11)、測定した温度が閾値T1未満である場合には(ステップS11:NO)、ステップS8の処理を行って、再びステップS1から処理を行う。
また、測定した温度が閾値T1以上である場合に(ステップS11:YES)、制御部202は、実施の形態1に係る制御部111のステップS3及びS6の処理と同様に、各記憶部の上限値情報を設定する(ステップS12)。
【0033】
即ち、制御部202は、第1上限電力値から所定値(例えば、1dB)低下させた値(第3上限電力値)を示すように、記憶部101aの上限値情報を設定する。また、制御部202は、第2上限電力値から所定値(例えば、1dB)低下させた値(第4上限電力値)を示すように、記憶部101bの上限値情報を設定する。
ステップS12の処理を完了すると、制御部202は、再びステップS1から処理を行う。
【0034】
≪実施の形態3≫
<概要>
実施の形態1及び2では、携帯電話機が、両システムでの送信が並行して行われる期間において、一定条件下で両増幅器の上限電力値を低下させる例を説明した。
実施の形態3では、両システムでの送信が並行して行われる期間において、予め定められた優先順位に基づいて、優先順位の低いシステム側の増幅器の上限電力値のみを低下させる例を説明する。
【0035】
また、この実施の形態3では、優先順位の低いシステム側の増幅器の上限電力値を低下させ、所定時間後に測定部201で測定した温度に基づいて、その優先順位の低いシステムでの送信を停止する例についても説明する。
以下では、実施の形態2に係る携帯電話機200との相違点を中心に説明する。
<機能構成>
図5は、実施の形態3に係る携帯電話機300の主要部の機能構成を示すブロック図である。
【0036】
携帯電話機300は、同図に示すように、実施の形態2に係る携帯電話機200の制御部202に代えて制御部301を備える点で携帯電話機200と異なる。
制御部301は、両システムでの送信が並行して行われる期間において、予め設定されている優先順位に基づいて、いずれか一方の増幅器の上限電力値を低下させるようにした点で、実施の形態2に係る制御部202とは異なる。
【0037】
なお、この優先順位は、この例では、携帯電話機300の工場出荷時において、CDMAシステムの方が高く設定されており、ユーザ操作に基づいて変更可能であるものとする。
また、制御部301は、上述のように、いずれか一方の増幅器の上限電力値を低下させて、所定時間後に測定部201で測定した温度に基づいて、その優先順位の低いシステムでの送信を停止するよう、各通信制御部を制御する機能を有する。
【0038】
<動作>
次に、上記構成を備える携帯電話機300の動作について、図6を用いて説明する。
図6は、携帯電話機300の制御処理を示すフローチャートである。
同図に示す制御処理は、携帯電話機300の電源がONになると開始され、特に図示していないが、電源がOFFになると終了される。
【0039】
制御部301は、まず、実施の形態2に係る制御部202と同様に、CDMAシステム及びLTEシステムの両システムで並行送信中であるかを判定し(ステップS1)、両システムで並行送信中でない場合には(ステップS1:NO)、各記憶部の上限値情報を、第1及び第2上限電力値を示すように設定する処理を行い(ステップS8)、再びステップS1から処理を行う。
【0040】
また、両システムで並行送信中である場合に(ステップS1:YES)、制御部301は、両システムのうち、予め定められた優先順位が低いものがいずれであるかを判定する(ステップS21)。
LTEシステムの方がCDMAシステムより優先順位が低い場合に(ステップS21:LTE)、制御部301は、第1上限電力値を示すように記憶部101aの上限値情報を設定し、第2上限電力値から所定値(例えば、1dB)低下させた値(第4上限電力値)を示すように、記憶部101bの上限値情報を設定する(ステップS22)。
【0041】
また、CDMAシステムの方がLTEシステムより優先順位が低い場合(ステップS21:CDMA)、制御部301は、第2上限電力値を示すように記憶部101bの上限値情報を設定し、第1上限電力値から所定値(例えば、1dB)低下させた値(第3上限電力値)を示すように、記憶部101aの上限値情報を設定する(ステップS23)。
ステップS22又はS23の処理を完了すると、所定時間後に、制御部301は、実施の形態2に係る制御部202と同様に、測定部201が測定した温度が閾値T1以上であるか否かを判定する(ステップS25)。
【0042】
測定した温度が閾値T1未満である場合に(ステップS25:NO)、制御部301は、再びステップS1から処理を行う。また、測定した温度が閾値T1以上である場合に(ステップS25:YES)、制御部301は、優先順位が低い方のシステム側の通信制御部に信号送信を停止するよう指示し(ステップS24)、再びステップS1から処理を行う。
【0043】
≪補足≫
以上、本発明に係る携帯通信端末を、実施の形態1〜3に基づいて説明したが、以下のように変形することも可能であり、本発明は上述した各実施の形態で示した通りの携帯通信電話機に限られないことは勿論である。
(1)各実施の形態に係る携帯電話機では、図2、4、6に示すように、CDMAシステム及びLTEシステムの両システムで並行送信中でない場合に(ステップS1:NO)、必ずステップS8の処理が行われるものとして説明した。しかしながら、記憶部101aの上限値情報が第1上限電力値を示さない場合に限って、この上限値情報を第1上限電力値に設定し、記憶部101bの上限値情報が第2上限電力値を示さない場合に限って、この上限値情報を第2上限電力値に設定するようにしてもよい。
【0044】
(2)各実施の形態では、第1通信方式及び第2通信方式が、CDMA方式及びLTE方式であるものとして説明したが、これらは一例であり、第1通信方式及び第2通信方式は、他の通信方式であってもよい。
また、各実施の形態では、第1上限電力値と第2上限電力値とは異なる値であり、第1基準電力値と第2基準電力値とは同じ値であるものとして説明したが、第1上限電力値と第2上限電力値とは同じ値でもよいし、第1基準電力値と第2基準電力値とは異なる値でもよい。
【0045】
また、各実施の形態では、いずれのシステム用の増幅器の上限電力値も所定値(各実施の形態の例では1dB)ずつ低下させるものとして説明したが、この所定値は、システム毎に異なる値にしてもよい。例えば、優先順位の低いシステム側のこの所定値を、優先順位の高いシステム側のこの所定値よりも大きくするようにしてもよいし、ユーザが任意の値を設定できるようにしてもよい。
【0046】
(3)各実施の形態に係る携帯電話機では、図2、4、6に示すように、CDMAシステム及びLTEシステムの両システムで並行送信中である場合において、図2のステップS6又はS7の処理、図4のステップS12又はS8の処理、図6のステップS25又はS24の処理を完了した場合に、ステップS1と同様にCDMAシステム及びLTEシステムの両システムで並行送信中であるかの判定処理を行うようにし、両システムで並行送信中である間、この判定処理を繰り返し行い、両システムで並行送信中でなくなった場合に、ステップS8の処理に進むようにしてもよい。
【0047】
(4)実施の形態1では、一定条件下でLTEシステム側の増幅器106bの上限電力値を低下させる処理と、一定条件下でCDMAシステム側の増幅器106aの上限電力値を低下させる処理との両方を行うものとして説明した。しかしながら、これらの処理のうちのいずれかのみを行うようにしてもよい。
即ち、図2のステップS2〜S4の処理群と、ステップS5〜S7の処理群とのうちのいずれかのみを行うようにしてもよい。
【0048】
図4に示す実施の形態2に係る携帯電話機200の制御処理についても同様に、ステップS12を、いずれかのシステムの上限電力値のみを低下させるように変形してもよい。
いずれのシステム側の増幅器の上限電力値を低下させるかは、ユーザが設定できるようにしてもよい。
また、実施の形態1では、CDMAシステム及びLTEシステムの両システムで並行送信中である場合に、一定条件下でLTEシステム側の増幅器106bの上限電力値を低下させる処理と一定条件下でCDMAシステム側の増幅器106aの上限電力値を低下させる処理とを行うものとして説明した。
【0049】
しかしながら、CDMAシステム及びLTEシステムの両システムで並行送信中である場合には、無条件で、LTEシステム側の増幅器106bの上限電力値を低下させる処理と、CDMAシステム側の増幅器106aの上限電力値を低下させる処理との少なくともいずれかの処理を行うようにしてもよい。
(5)実施の形態2に係る携帯電話機200は、1つの測定部を備え、各増幅器周辺の温度を測定するものとして説明したが、複数の測定部を備えるよう変形し、各増幅器それぞれの温度を測定し、各増幅器のうち、温度が閾値T1以上である増幅器の上限電力値を低下させるよう制御してもよい。
【0050】
また、同様に、実施の形態3に係る携帯電話機300についても、複数の測定部を備えるように変形し、図6のステップS22又はS23の処理の所定時間後に、優先順位が低い方の増幅器の温度を測定するようステップS11の処理を変形してもよい。
このように、複数の測定部を備えることで、1つの測定部を備える場合と比較し、よりきめ細かい制御が可能になる。
【0051】
なお、各増幅器間に断熱材を備えるようにし、各測定部が対応する増幅器の温度をより正確に測定できるようにしてもよい。
また、複数の測定部を備えるように変形した場合、温度の閾値T1を、システム毎に異なる値にしてもよい。例えば、システムの優先順位に基づいて、優先順位の高いシステムの方の温度の閾値をより高くするようにしてもよいし、ユーザが任意の温度を設定できるようにしてもよい。
【0052】
(6)実施の形態3に係る携帯電話機300は、CDMAシステム及びLTEシステムの両システムで並行送信中である場合に、予め定められた優先順位に基づいて、優先順位の低いシステム側の増幅器の上限電力値を低下させると共に、所定時間後に測定部201で測定した温度に基づいて、その優先順位の低いシステムでの送信を停止するものとして説明した。
【0053】
しかしながら、予め定められた優先順位に基づいて、優先順位の低いシステム側の増幅器の上限電力値を低下させる制御だけを行うようにしてもよい。つまり、図6のステップS11及びS24の処理を行わないようにし、ステップS22の処理を完了すると、再びステップS1から処理を行うよう変形してもよい。
(7)各実施の形態において説明した各構成要素のうち、全部又は一部を1チップ又は複数チップの集積回路で実現してもよいし、コンピュータのプログラムで実現してもよいし、その他どのような形態で実現してもよい。
【0054】
また、各実施の形態において説明した各構成要素は、携帯電話機が有するプロセッサと協働することにより、その機能を実現する。
(8)各実施の形態において説明した携帯電話機の制御処理(図2、4、6参照)をプロセッサに実行させるためのプログラムを、記録媒体に記録し又は各種通信路等を介して、流通させ頒布することもできる。このような記録媒体には、ICカード、ハードディスク、光ディスク、フレキシブルディスク、ROM、フラッシュメモリ等がある。流通、頒布されたプログラムは、機器におけるプロセッサで読み取り可能なメモリ等に格納されることにより利用に供され、そのプロセッサがそのプログラムを実行することにより各実施の形態で示した携帯電話機の各機能が実現される。
【0055】
(9)また、各実施の形態では、いずれのシステム用の増幅器の上限電力値を第1上限電力値及び第2上限電力値から所定値(各実施の形態の例では1dB)ずつ低下させるものとして説明したが、各上限値を段階的に下げていくとしてもよい。
すなわち、図2のステップS3又はS6の処理、図4のステップS12の処理、図6のステップS22又はS23の処理において、各記憶部に設定された現在の上限値から所定値ずつ低下させるものとしてもよい。この場合、上限電力値の急速な低下を抑制するために、例えば、図2のステップS6又はS7の処理、図4のステップS12又はS8の処理、図6のステップS25又はS24の処理の後に、一定時間待機するステップを追加してもよい。
【0056】
(10)各実施の形態に係る携帯電話機に、上記(1)〜(9)の一部又は全部の変形を組み合わせて適用してもよい。
(11)以下、更に本発明の一実施形態に係る携帯通信端末の構成及びその変形例と各効果について説明する。
(a)本発明の一実施形態に係る携帯通信端末は、第1通信方式による送信信号の電力増幅用の第1増幅器と、第2通信方式による送信信号の電力増幅用の第2増幅器と、通信状況に応じて、第1上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第1増幅器に行わせ、第2上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第2増幅器に行わせる制御部とを備え、前記制御部は、前記第1通信方式による送信と前記第2通信方式による送信とを並行して行う期間に、前記第1上限電力値より小さい第3上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第1増幅器に行わせること、及び前記第2上限電力値より小さい第4上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第2増幅器に行わせることのうちの少なくともいずれかを行うよう制御を行う。
【0057】
この携帯通信端末によれば、第1通信方式による送信と第2通信方式による送信とを並行して行う場合に、少なくとも一方の増幅器の上限電力値を、その増幅器に対応する通信方式による送信のみが行われている場合よりも低下させるので、両通信方式による送信を並行して行う場合にも携帯通信端末の温度上昇を適切に抑制できる。
(b)また、前記制御部は、前記第1増幅器において、予め定められた第1基準電力値以上の範囲での電力増幅が行われている場合には、前記第4上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第2増幅器に行わせるよう前記制御を行うこととしてもよい。
【0058】
通信状況が比較的悪い場合、通信状況が比較的良い場合と比較し、一般的には、増幅器の送信電力値を高くする必要がある。即ち、増幅器の送信電力値が比較的高い場合において、この増幅器の上限電力値を低下させたときには、一般的に、通信が維持できない可能性が高くなる。
この携帯通信端末によれば、第1基準電力値を適切に定めることで、第1通信方式による送信と第2通信方式による送信とを並行して行う場合に、第1増幅器の現在の送信電力値が比較的高い場合に、第2増幅器の上限電力値を低下させることで、第1増幅器に対応する通信方式による送信を維持しつつ、携帯通信端末の温度上昇を適切に抑制できる。
【0059】
(c)また、前記携帯通信端末は、更に温度を測定する測定部を備え、前記制御部は、前記測定部が測定した温度が閾値以上である場合に前記制御を行うこととしてもよい。
この携帯通信端末によれば、閾値を適切に設定することで、第1通信方式による送信と第2通信方式による送信とを並行して行う場合においても、自端末の温度が比較的低いときには、各増幅器の上限電力値を、各増幅器に対応する通信方式による送信のみが行われている場合の上限電力値のまま維持することができる。即ち、この携帯通信端末によれば、各通信方式による送信を適切に維持することができる。
【0060】
(d)また、前記制御部は、前記測定部が測定した温度が前記閾値以上であるかの判定を繰り返し行い、前記閾値以上であるとの判定を行う毎に、少なくともいずれか一方の増幅器における上限電力値を当該判定時よりも低下させるように前記制御を行うこととしてもよい。
この携帯通信端末によれば、閾値を適切に設定することで、第1通信方式による送信と第2通信方式による送信とを並行して行う場合において、自端末の温度が比較的高い間、少なくともいずれか一方の増幅器における上限電力値を徐々に低下させるため、携帯通信端末の温度上昇の抑制を優先しつつも、各通信方式による送信をなるべく維持することができる。
【0061】
(e)また、前記制御部は、更に前記判定の結果が、前記測定部が測定した温度が前記閾値以上である状態から前記閾値未満である状態に変化した場合に、前記制御を中止し、前記第1上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第1増幅器に行わせ、前記第2上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第2増幅器に行わせることとしてもよい。
この携帯通信端末によれば、少なくともいずれか一方の増幅器における上限電力値を徐々に低下させていった結果、自端末の温度が比較的低くなった場合に、各増幅器の上限電力値を、各増幅器に対応する通信方式による送信のみが行われている場合の上限電力値に戻すことができる。
【0062】
即ち、この携帯通信端末によれば、第1通信方式による送信と第2通信方式による送信とを並行して行う場合において、自端末の温度が比較的低い場合には、各通信方式による送信の維持を優先することができる。
(f)また、前記制御部は、予め定められた優先順位に基づいて、より優先順位の低い増幅器を、前記制御の対象の増幅器として特定することとしてもよい。
【0063】
この携帯通信端末によれば、第1通信方式による送信と第2通信方式による送信とを並行して行う場合において、より優先順位が低い増幅器、例えば比較的重要性が低い送信用の増幅器の上限電力値を低下させることができるので、重要性の高い送信を維持することができる。
(g)また、前記携帯通信端末は、更に温度を測定する測定部と、前記第1増幅器を含み、当該第1増幅器により増幅された前記第1通信方式による信号の送信を行う第1送信部と、前記第2増幅器を含み、前記第2増幅器により増幅された前記第2通信方式による信号の送信を行う第2送信部とを備え、前記制御部は、更に前記制御を行った後において、前記測定部が測定した温度が閾値以上である場合において、特定した前記制御の対象の増幅器が、前記第1増幅器であるときには、前記第1送信部による前記送信を停止し、前記第2増幅器であるときには、前記第2送信部による前記送信を停止させることとしてもよい。
【0064】
この携帯通信端末によれば、閾値を適切に設定することにより、第1通信方式による送信と第2通信方式による送信とを並行して行う場合において、より優先順位が低い増幅器の上限電力値を低下させた後においても、自端末の温度が比較的高いときに、この優先順位が低い増幅器に対応する通信方式による送信を停止することができる。
即ち、この携帯通信端末によれば、より重要性の高い送信をより確実に維持しつつ、携帯通信端末の温度上昇を抑制することができる。
【0065】
(h)また、前記制御部は、前記第1通信方式による送信と前記第2通信方式による送信とを並行して行う期間においては、前記第3上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第1増幅器に行わせ、かつ前記第4上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第2増幅器に行わせるよう前記制御を行うこととしてもよい。
この携帯通信端末によれば、第1通信方式による送信と第2通信方式による送信とを並行して行う場合に、両増幅器の上限電力値を、その増幅器に対応する通信方式による送信のみが行われている場合よりもそれぞれ低下させるので、携帯通信端末の温度上昇をより適切に抑制できる。
【0066】
(i)また、前記制御部は、前記第1通信方式による送信と前記第2通信方式による送信とを並行して行っているかの判定を繰り返し行い、並行して行っているとの判定を行う毎に、少なくともいずれか一方の増幅器における上限電力値を当該判定時よりも低下させるように前記制御を行い、前記判定の結果が、並行して行っている状態から並行して行っていない状態に変化した場合に、前記制御を中止し、前記第1上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第1増幅器に行わせ、前記第2上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第2増幅器に行わせることとしてもよい。
【0067】
この携帯通信端末によれば、第1通信方式による送信と第2通信方式による送信とを並行して行う場合に、少なくともいずれか一方の増幅器における上限電力値を徐々に低下させるため、携帯通信端末の温度上昇の抑制を優先しつつも、各通信方式による送信をなるべく維持することができる。
また、この携帯通信端末は、第1通信方式による送信と第2通信方式による送信とを並行して行う状態から並行して行わない状態へと変化した場合に、各増幅器の上限電力値を、各増幅器に対応する通信方式による送信のみが行われている場合の上限電力値に戻す。
【0068】
従って、この携帯通信端末によれば、第1通信方式による送信と第2通信方式による送信とを並行して行わなくなった後に、通信状況が悪くなっても、現在行われている送信を維持できる可能性を高めることができる。
(12)本発明に係る携帯通信端末の第1増幅器及び第2増幅器は、例えば、各実施の形態に係る携帯電話機の増幅器106a、106bに相当し、本発明に係る携帯通信端末の制御部は、例えば、各実施の形態に係る携帯電話機の制御部(111、202、301)に相当し、発明に係る携帯通信端末の測定部は、例えば実施の形態2及び3に係る測定部201に相当する。
【0069】
また、本発明に係る携帯通信端末の第1送信部は、例えば、各実施の形態に係る携帯電話機の記憶部101a、通信制御部102a、ベースバンド部103a、無線部104a、フィルタ105a、増幅器106a、アイソレータ107a、デュプレクサ108a及びアンテナ109aに相当する。
また、本発明に係る携帯通信端末の第2送信部は、例えば、各実施の形態に係る携帯電話機の記憶部101b、通信制御部102b、ベースバンド部103b、無線部104b、フィルタ105b、増幅器106b、アイソレータ107b、デュプレクサ108b及びアンテナ109bに相当する。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明に係る携帯通信端末は、送信信号の電力増幅用の複数の増幅器を備える携帯通信端末の温度上昇を抑制するために利用される。
【符号の説明】
【0071】
100、200、300 携帯電話機
101a、101b 記憶部
102a、102b 通信制御部
103a、103b ベースバンド部
104a、104b 無線部
105a、105b フィルタ
106a、106b 増幅器
107a、107b アイソレータ
108a、108b デュプレクサ
109a、109b アンテナ
110a、110b 受信回路
111、202、301 制御部
201 測定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1通信方式による送信信号の電力増幅用の第1増幅器と、
第2通信方式による送信信号の電力増幅用の第2増幅器と、
通信状況に応じて、第1上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第1増幅器に行わせ、第2上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第2増幅器に行わせる制御部とを備え、
前記制御部は、
前記第1通信方式による送信と前記第2通信方式による送信とを並行して行う期間に、前記第1上限電力値より小さい第3上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第1増幅器に行わせること、及び前記第2上限電力値より小さい第4上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第2増幅器に行わせることのうちの少なくともいずれかを行うよう制御を行う
ことを特徴とする携帯通信端末。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1増幅器において、予め定められた第1基準電力値以上の範囲での電力増幅が行われている場合には、前記第4上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第2増幅器に行わせるよう前記制御を行う
ことを特徴とする請求項1記載の携帯通信端末。
【請求項3】
前記携帯通信端末は、更に
温度を測定する測定部を備え、
前記制御部は、
前記測定部が測定した温度が閾値以上である場合に前記制御を行う
ことを特徴とする請求項1記載の携帯通信端末。
【請求項4】
前記制御部は、
前記測定部が測定した温度が前記閾値以上であるかの判定を繰り返し行い、前記閾値以上であるとの判定を行う毎に、少なくともいずれか一方の増幅器における上限電力値を当該判定時よりも低下させるように前記制御を行う
ことを特徴とする請求項3記載の携帯通信端末。
【請求項5】
前記制御部は、更に
前記判定の結果が、前記測定部が測定した温度が前記閾値以上である状態から前記閾値未満である状態に変化した場合に、前記制御を中止し、前記第1上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第1増幅器に行わせ、前記第2上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第2増幅器に行わせる
ことを特徴とする請求項4記載の携帯通信端末。
【請求項6】
前記制御部は、
予め定められた優先順位に基づいて、より優先順位の低い増幅器を、前記制御の対象の増幅器として特定する
ことを特徴とする請求項1記載の携帯通信端末。
【請求項7】
前記携帯通信端末は、更に
温度を測定する測定部と、
前記第1増幅器を含み、当該第1増幅器により増幅された前記第1通信方式による信号の送信を行う第1送信部と、
前記第2増幅器を含み、前記第2増幅器により増幅された前記第2通信方式による信号の送信を行う第2送信部とを備え、
前記制御部は、更に
前記制御を行った後において、前記測定部が測定した温度が閾値以上である場合において、特定した前記制御の対象の増幅器が、前記第1増幅器であるときには、前記第1送信部による前記送信を停止し、前記第2増幅器であるときには、前記第2送信部による前記送信を停止させる
ことを特徴とする請求項6記載の携帯通信端末。
【請求項8】
前記制御部は、
前記第1通信方式による送信と前記第2通信方式による送信とを並行して行う期間においては、前記第3上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第1増幅器に行わせ、かつ前記第4上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第2増幅器に行わせるよう前記制御を行う
ことを特徴とする請求項1記載の携帯通信端末。
【請求項9】
前記制御部は、
前記第1通信方式による送信と前記第2通信方式による送信とを並行して行っているかの判定を繰り返し行い、
並行して行っているとの判定を行う毎に、少なくともいずれか一方の増幅器における上限電力値を当該判定時よりも低下させるように前記制御を行い、
前記判定の結果が、並行して行っている状態から並行して行っていない状態に変化した場合に、前記制御を中止し、前記第1上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第1増幅器に行わせ、前記第2上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第2増幅器に行わせる
ことを特徴とする請求項1記載の携帯通信端末。
【請求項10】
第1通信方式による送信信号の電力増幅用の第1増幅器と、第2通信方式による送信信号の電力増幅用の第2増幅器とを備える携帯通信端末における電力増幅制御方法であって、
前記第1通信方式による送信を行い、前記第2通信方式による送信を行わない期間においては、第1上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第1増幅器に行わせる第1制御ステップと、
前記第2通信方式による送信を行い、前記第1通信方式による送信を行わない期間においては、第2上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第2増幅器に行わせる第2制御ステップと、
前記第1通信方式による送信と前記第2通信方式による送信とを並行して行う期間においては、前記第1上限電力値より小さい第3上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第1増幅器に行わせること、及び前記第2上限電力値より小さい第4上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第2増幅器に行わせることのうちの少なくともいずれかを行うよう制御する第3制御ステップとを含む
ことを特徴とする電力増幅制御方法。
【請求項11】
第1通信方式による送信信号の電力増幅用の第1増幅器と、第2通信方式による送信信号の電力増幅用の第2増幅器とを備える携帯通信端末におけるプロセッサに、電力増幅制御処理を行わせるためのプログラムであって、
前記電力増幅制御処理は、
前記第1通信方式による送信を行い、前記第2通信方式による送信を行わない期間においては、第1上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第1増幅器に行わせる第1制御ステップと、
前記第2通信方式による送信を行い、前記第1通信方式による送信を行わない期間においては、第2上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第2増幅器に行わせる第2制御ステップと、
前記第1通信方式による送信と前記第2通信方式による送信とを並行して行う期間においては、前記第1上限電力値より小さい第3上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第1増幅器に行わせること、及び前記第2上限電力値より小さい第4上限電力値以下の範囲での電力増幅を前記第2増幅器に行わせることのうちの少なくともいずれかを行うよう制御する第3制御ステップとを含む
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−222702(P2012−222702A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88536(P2011−88536)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】