説明

携帯通信端末

【課題】効率的な探索を可能とする携帯通信端末を提供する。
【解決手段】携帯通信端末(被災端末1)は、外部通信装置(情報収集サーバ3)から送信される所定の送信許可情報を受信する通信部11と、所定の個人情報を記憶する記憶部12と、通信部11が所定の送信許可情報を受信したことを契機に、記憶部12に記憶された個人情報を通信部11により送信する制御行う制御部13と、から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯通信端末を探索するのに好適な、携帯通信端末、外部通信装置、情報収集システム及び情報収集システムにおける端末探索方法に関する。
【背景技術】
【0002】
災害発生時における連絡手段として、携帯電話等の携帯通信端末は、いつでもどこでも通信を可能にするツールとして極めて有効であり重宝されている。しかしながら、災害時には、基地局の故障やアクセスの集中等により、通信が出来ない状況も想定される。
この問題を解決するための技術として、従来、近距離無線通信手段を用いることにより、基地局が無い環境下や、災害や事故、輻輳等のために基地局が使えない環境下、あるいは遭難等により相手が意識不明で応答が出来ない環境であっても、携帯通信端末を所持する者同士が相手方の位置を探索することのできるシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−297201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した特許文献1に開示された技術によれば、探索者が被探索者(が持つ携帯通信端末)の識別情報を知っていることが前提となっているため、被探索者の識別情報を知らない第三者は、被探索者を探索することができず、したがって、効率的な探索ができるとはいい難い。
【0005】
本発明は上記した課題を解決するためになされたものであり、効率的な探索を可能とする携帯通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するために本発明の第1の観点の携帯通信端末は、外部通信装置から送信される所定の送信許可情報を受信する通信部と、所定の個人情報を記憶する記憶部と、前記通信部が前記所定の送信許可情報を受信したことを契機に、前記記憶部に記憶された個人情報を前記通信部により送信する制御を行う制御部と、を有する。
【0007】
好適には、前記通信部は、近距離無線通信を行なう近距離無線通信部を含み、
前記制御部は、前記通信部が前記所定の送信許可情報を受信したことを契機に前記記憶部に記憶された個人情報を前記近距離無線通信部により送信する制御を行うことを特徴とする。
【0008】
好適には、前記近距離無線通信部は、第1のコイルを有する外部通信端末が所定の距離範囲に近づいたときに前記第1のコイルと電磁結合される第2のコイルを有し、前記電磁結合により、前記記憶部に記憶された個人情報を前記外部通信端末へ送信する。
【0009】
好適には、電池と、前記電池からの電力を前記近距離通信部に給電する給電部と、を更に有し、前記制御部は、前記通信部が、前記所定の送信許可情報を受信したことを契機に前記給電部により前記電池の電力を前記近距離無線通信部へ給電する制御を行うと共に、前記近距離無線通信部を介し、前記記憶部に記憶された個人情報を前期外部通信端末へ送信する制御を行う。
【0010】
好適には、前記給電部によって給電される前記電池の電力に基づき所定の機能を実行する機能実行部を更に有し、前記制御部は、前記近距離無線通信部に宮殿する制御を行っているときは、前記給電部による前記機能実行部への給電を抑制する。
【0011】
また、本発明の第2の観点の携帯通信端末は、基地局を介して外部通信装置と通信を行う通信部と、外部通信端末との間で近距離無線通信を行なう近距離無線通信部と、所定の個人情報を記憶する記憶部と、前記通信部の異常を検知する異常検知部と、前記異常検知部が前記通信部の異常を検知したことを契機に、前記外部通信端末に、前記記憶部に記憶された個人情報を前記通信部により送信する制御を行う制御部と、を有する。
【0012】
また、本発明の第3の観点の外部通信装置は、携帯通信端末に呼び出し情報を送信する第1の情報送信部と、前記携帯通信端末からの前記呼び出し情報に対する返信を監視し、前記返信の無い携帯通信端末を特定する未返信端末特定部と、前記特定された携帯通信端末に対して所定の送信許可情報を送信する第2の情報送信部と、を有する。
【0013】
また、本発明の第4の観点の情報収集システムは、携帯通信端末に呼び出し情報を送信する第1の情報送信部と、前記携帯通信端末からの前記呼び出し情報に対する返信を監視し、前記返信の無い携帯通信端末を特定する未返信端末特定部と、前記特定された携帯通信端末に対して所定の送信許可情報を送信する第2の情報送信部と、を有する外部通信装置と、前記外部通信装置から送信される前記呼び出し情報と前記所定の送信許可情報をそれぞれ受信する通信部と、所定の個人情報を記憶する記憶部と、前記通信部が前記所定の送信許可情報を受信したことを契機に、前記記憶部に記憶された個人情報を前記通信部により送信する制御を行う制御部と、を有する携帯通信端末と、を有する。
【0014】
本発明の第5の観点の情報収集システムにおける端末探索方法は、複数の携帯通信端末と外部通信装置とが通信網を介して接続されて成る情報収集システムにおける端末探索方法であって、前記外部通信装置が、前記携帯通信端末に対して呼び出し情報を送信する第1のステップと、前記携帯通信端末が、前記呼び出し情報に対する応答情報を前記外部通信装置に返信する第2のステップと、前記外部通信装置が、前記携帯通信端末からの返信を監視し、前記返信の無い携帯通信端末を特定し、前記特定された携帯通信端末に対して所定の送信許可情報を送信する第3のステップと、前記携帯通信端末が、前記所定の送信許可情報を受信したことを契機に、内部に記憶してある個人情報を送信する第4のステップと、を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、効率的に、携帯通信端末を探索することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係る情報収集システムのシステム構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る携帯通信端末の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る携帯通信端末に搭載される無線チップの内部構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る携帯通信端末と、無線チップと、探索端末との電源系統の接続構成を説明するために引用した図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る外部通信装置の内部構成を機能展開して示したブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る外部通信装置の動作を説明するために引用したフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態に係る携帯通信端末の動作を説明するために引用したフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態に係る携帯通信端末の動作を説明するために引用したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に係る情報収集システムのシステム構成の一例を示す図である。
図1に示されるように、本発明の実施の形態に係る情報収集システムは、複数の携帯通信端末(以下、被災端末1という)と、外部通信装置(以下、情報収集サーバ3という)とが、IP(Internet Protocol)ネットワーク4等の通信網を介して接続され、構成される。また、外部通信端末(以下、探索端末2という)は、近距離無線通信インタフェースを備え、後述する近距離無線通信部を備える被災端末1に無線接続可能に構成される。上記した被災端末1、情報収集サーバ3、探索端末2の内部構成等についての詳細は後述する。
【0018】
図2は、図1に示す被災端末1の内部構成を示すブロック図である。図2に示されるように、被災端末1は、端末本体部10と、近距離無線通信部15と、電池16と、給電部17と、操作部18と、表示部19と、音声処理部20とにより構成される。
【0019】
端末本体部10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、機能実行部14と、異常検知部21とにより構成される。
通信部11は、基地局を介して情報収集サーバ3から送信される所定の呼び出し情報(ここでは登録要求情報)を受信したり、当該登録要求に対して所定の応答情報を情報収集サーバ3に返信したり、情報収集サーバ3が当該応答情報を受信しなかった場合に情報収集サーバ3から送信される所定の送信許可情報(ここでは、無線チップON信号)を受信したりする機能を持つ。
記憶部12は、機能実行部14が実行するアプリケーションプログラムの他、被災端末1の所有者の個人情報を記憶している。
【0020】
制御部13は、通信部11が所定の送信許可情報を受信したことを契機に、記憶部12に記憶された個人情報を通信部11により送信する機能を持つ。ここでいう個人情報とは、ユニークIDや、端末所有者の住所、氏名等をいう。
また、制御部13は、記憶部12に格納されるプログラム(OS、アプリケーシンマネージャ、アプリ等)に基づいて処理を実行するコンピュータ(マイクロプロセッサ)を備えており、このプログラムにおいて指示された手順に従って上述した処理を実行する。すなわち、記憶部12に格納されるプログラムから命令コードを順次読み込んで処理を実行する。また、機能実行部14は、上述した各種処理の一部を、所定の実行環境(プラットフォーム)の元で動作するアプリケーションプログラムにより実行する。例えば、インターネットのWebサイトの閲覧や、待受けモードにおける画像の表示等の処理、また、ここでは、記憶部12に記憶された個人情報の送信処理を上記したアプリケーションプログラムによって実行する。すなわち、制御部13は、後述する操作部18からのキー入力等に応じて所定のイベントが発生すると、そのイベントに対応する所定のアプリケーションプログラムを起動して特定の処理を実行する。
【0021】
機能実行部14は、記憶部12に記憶されたアプリケーションプログラムに基づいて被災端末1が持つアプリケーションを実行する機能を持ち、ここでは、制御部13による制御のもと、給電部17によって給電される電池16の電力を用いて所定の機能を実行する。なお、制御部13は、通信部11が、記憶部12に記憶された個人情報を送信しているときは、給電部17による機能実行部14への給電を抑制する制御を行うことができる。
【0022】
異常検知部21は、制御部13による制御の下で、通信部11と電気的に接続されており、通信部11に対して所定の通信を行うことにより通信部11の自己診断を行い、その診断結果を制御部13に通知する機能を持つ。具体的には、異常検地部21は、所定の周期(例えば、1秒)で、または省電力モード(待ち受け中に所定時間連続して操作部18による操作がなかった場合に移行するモードで、例えば、表示部19を店頭するためのバックライトを消灯する等して電力消費を抑制するモード)に移行するのを契機として、通信部11に対して所定のテスト信号を送信する。そして、異常検知部21は、このテスト信号の送信後から一定時間経過するまでの間に応答信号が通信部11から返信された場合には、通信部11は正常であると判定し、逆に、応答信号が返信されない、あるいは応答信号とは異なる信号が返信された場合には通信部11は異常であると判定する。
なお、異常検知部15は、近距離無線通信部15がその機能を受け持つことも可能である。つまり、近距離無線通信部15が、通信部11と所定の通信を行うことにより、通信部11の事故診断を行うことも可能である。
【0023】
近距離無線通信部15は、近距離無線通信により探索端末2との間で通信を行なう。ここでは、近距離無線通信部15として、RFID(Radio Frequency Identify)等の無線チップ150を用いることとする。近距離無線通信としては、他に、無線LAN(Local Area Network)等が考えられる。なお、通信部11と近距離無線通信部15とを含めて通信部であると定義する。
【0024】
無線チップ150は、耐環境性に優れた特性を持つため、過酷な環境下でも通信機器としての機能を保持することが可能である。このため、被災端末1の通信部11が破損するような物理的な衝撃を被災端末1が受けた場合でも無線チップ150は、近距離無線通信可能な状態を維持することができる可能性が高い。
【0025】
ここで、無線チップ150の内部構成を図3に示す。図3中、図2に示されるブロックと同一番号が付されたブロックは、図2に示すブロックと同じとする。図3に示されるように、無線チップ150は、アンテナ151(第2のコイル)と、記憶部12から制御部13を介して取得される個人情報が記憶される不揮発性メモリ152と、外部から電力をうけて個人情報の送信を行なうICチップモジュール153とにより構成される。
ICチップモジュール153は、増幅器154と、分波器155と、信号処理部156とから構成され、分波器155は、不揮発性メモリ152に記憶された個人情報の送受信をアンテナ151との間で行い、信号処理部156は、不揮発性メモリ152に記憶される情報のリードライトを行なう。
【0026】
図4は、無線チップ150と、被災端末1の端末本体部10、および探索端末2との電源系統の接続構成の一例を示している。
図4に示されるように、無線チップ150は、端末本体部10とアンテナ100を含む給電部17を介して接続されており、また、探索端末2と第1のコイルとしてのアンテナ200を介してアンテナ151と電磁結合可能な構成になっている。この構成により、無線チップ150は、アンテナ200を有する探索端末2が所定の距離範囲に近づいたときに、アンテナ200と電磁結合されるアンテナ151との電磁結合により、不揮発性メモリ152に記憶された個人情報を探索端末2へ送信することができる。
また、被災端末1は、制御部13による制御にしたがい、電池16によって供給される電力を無線チップ150に給電する給電部17を有しており、制御部13は、通信部11が、所定の送信許可情報を受信したことを契機に電池16の電力を無線チップ150へ給電し、当該無線チップ150により、給電部17によって給電された電力を用いて不揮発性メモリ152に記憶された個人情報を、能動的に探索端末2に対して送信することができる。なお、アンテナ151とアンテナ200との電磁結合可能な距離は、5m程度であり、また、給電部17によって給電される電力に基づいて被災端末1が探索端末2に対して能動的に個人情報を送信可能な距離は、数10m程度である。つまり、電力の給電があった方が無線チップ150は個人情報をより遠くに送信することができる。
【0027】
なお、探索端末2は、制御部210により、無線チップ150から読取った個人情報を、IP網等の通信網4を介して情報収集サーバ3へ、適宜送信が可能である。
【0028】
説明を図2に戻す。操作部18は、例えば、電源キー、通話キー、数字キー、文字キー、選択キー、決定キーなど、各種の操作内容が割り当てられたキーを有しており、これらのキーがユーザによって操作された場合に、その操作内容に対応する信号を生成し、これをユーザの指示として制御部13に出力する。
表示部19は、例えば、液晶表示パネルや有機EL(Electro-Luminescence)パネルなどの表示デバイスを有して構成されており、制御部13により生成される映像信号に応じた画像を表示する。例えば、発信時における発信相手の電話番号、着信時における着信相手の電話番号、受信メールや送信メールの内容、日付、時刻、電池残量、待ち受け画面等を表示する。
【0029】
また、音声処理部20は、スピーカ(SP)において出力される音声信号やマイクロフォン(MC)において入力される音声信号の処理を行う。すなわち、マイクロフォン(MC)から入力される音声を増幅し、アナログ−デジタル変換を行い、更に符号化等の信号処理を施し、デジタルの音声データに変換して制御部13に出力する。
また、制御部13から出力される音声データに復号化、デジタル−アナログ変換、増幅等の信号処理を施し、アナログの音声信号に変換してスピーカ(SP)に出力する。
【0030】
上記した被災端末1は、具体的には、CPUと、メモリを含む周辺LSIによって構成され、端末本体部10を構成する、制御部13と機能実行部14と異常検知部21のそれぞれが持つ機能は、CPUが記憶部12に記録されたプログラムを逐次読み出し、実行することにより実現されるものとする。
また、通信部11と、近距離無線通信部15と、操作部18と、表示部19と、音声処理部20が持つ機能は、CPUによりプログラマブルに制御される周辺LSIによって実現され、図示せぬ入出力ポートを介して制御部13が持つ機能を実現するCPUに接続される。なお、記憶部12は、メモリに割り付けられ記憶されるものとする。
【0031】
図5は、図1に示す情報収集サーバ3の内部構成を機能展開して示したブロック図である。図5に示されるように、情報収集サーバ3は、災害情報取得部30と、登録情報送信部31と、登録情報受信部32と、被災者情報格納部33と、位置情報受信部34と、端末位置情報格納部35と、未返信端末特定部36と、送信回数計数部37と、指示送信部38と、送信許可情報送信部39と、により構成される。
【0032】
災害情報取得部30は、災害発生時、および災害発生地域を特定して登録情報送信部31を起動させる機能を持つ。また、登録情報送信部31は、災害発生地域に位置登録されている被災端末1に対して安否情報等の応答情報の登録を促す登録要求情報を送信する第1の情報送信部としての機能を持つ。
【0033】
登録情報受信部32は、被災端末1から登録要求情報に対する応答として送信される応答情報を受信して被災者情報格納部33に格納する。また、位置情報受信部34は、被災端末1からGPS(Global Positioning System)等により測位され送信される被災端末1の現在位置情報を受信し、さらに端末位置情報格納部35へ格納する機能を持つ。
【0034】
非応答端末特定部36は、登録情報送信部31が登録要求情報を送信してから所定時間内における被災端末1からの応答を監視し、応答がない被災端末1を特定し、登録情報送信部31を起動させる機能を持つ。登録情報送信部31は、未返信端末特定部38により起動されると、当該特定された被災端末1に対して登録要求情報を再送する。
【0035】
送信回数計測部37は、被災端末1から応答が無い場合の登録情報送信部31による再送回数を監視して、所定回数を超えた場合に、指示送信部38および送信許可情報送信部39を起動させる。指示送信部38は、登録要求情報の再送を行い、送信許可情報送信部39は、被災端末1に対し、被災者端末1が持つ近距離無線通信部15をONさせる信号を送信する第2の情報送信部としての機能を持つ。
【0036】
以下、図1〜図5に示す本発明の実施の形態の動作について説明するが、上記したように、無線チップ150は、給電部17の給電により、能動的に動作するモードと、探索端末2のアンテナ200とアンテナ151との電磁結合により受動的に動作するモードの2種類の動作モードを持ち、また、無線チップ150が内蔵する不揮発性メモリ152には、記憶部12に記憶されていた個人情報と同じ個人情報が記憶されていることを前提に説明する。したがって、通常状態においては個人情報の流出を回避する意味で無線チップ150が持つ機能はOFF設定されている。
このため、災害発生時は、無線チップ150が持つ機能をOFF設定してからON設定に切り替える必要がある。
【0037】
(実施例1)
図6は、本発明の実施例1に係る情報収集サーバ3の災害発生時における動作を示すフローチャートであり、図7は、そのときの本発明の実施例1に係る被災端末1の動作を示すフローチャートである。
以下、図6、図7に示すフローチャートを参照しながら、本発明の情報収集システムの動作について詳細に説明する。
【0038】
図6及び図7に示されるように、情報収集サーバ3では、災害発生時、まず、オペレータ等の第三者が災害発生地域を特定してその位置情報を登録する(S601)。一方、位置情報受信部34は、被災端末1から送信されてくる現在位置情報を受信しており(S602)、受信した現在位置情報を端末位置情報格納部35へ格納する(S603)。次に、災害情報取得部30は、ステップS601で特定された災害発生地域と、端末位置情報格納部35に格納された被災端末1の現在位置情報とを比較参照することで、位置登録されている被災端末1を特定し(S604)、登録要求送信部31を起動する。
【0039】
そして、登録要求送信部31は、同地域に位置登録されている被災端末1に対して安否情報等の応答情報の登録を促す登録要求情報を送信する(S605)。このことをうけて被災端末1は、通信部11を介してこの登録要求情報を受信し(S702)、安否情報等の応答情報を記憶部12に記憶された登録情報を要求のあった情報収集サーバ3へ送信する(S703)。
ここで、被災端末1から送信される応答情報は、情報収集サーバ3の登録情報受信部32で受信され、被災者情報格納部33に格納される(S606)。
【0040】
このとき、非応答端末特定部36は、登録要求情報を送信してから所定時間内における被災端末1からの応答を監視しており(S607)、応答のない被災端末1を特定する(S608)。そして、送信回数計測部37が登録要求情報を被災端末1に送信した回数を計数し(S609)、その結果、当該回数が記憶部12に記憶されたあらかじめ定められた所定回数(ここでは2回とする)を超えた場合には指示送信部38を介して登録要求情報の再送を指示し、併せて、送信許可情報送信部39を起動して被災端末1が持つ無線チップの機能をOFFからONに切り替えるための送信許可情報を被災端末1に送信する(S610)。逆に、送信回数計数部37により計数された回数が記憶部12に記憶されたあらかじめ定められた所定回数を超えていない場合には、登録要求送信部31を起動し、起動された登録要求送信部31は、特定された被災端末1に対して登録要求情報を再送する(S605)。ここで、被災端末1から応答があった場合は(S705)、登録情報受信部32を介し、その応答情報を被災者情報格納部33に格納する(S606)。また、GPS等による位置情報は位置情報受信部34を介して、端末位置情報格納部35に格納される(S607)。
【0041】
さて、ステップS610にて制御情報送信部39から送信された登録情報および制御情報を受信した被災端末1は、搭載された無線チップ150が持つきのうを OFFからONに設定するように切り替え(S707)、不揮発性メモリ152に記憶されている個人情報を探索端末2に送信可能状態とする。ここでいう送信可能状態とは、被災端末1に備えられたアンテナ151に対して探索端末2のアンテナ200が電磁結合可能な距離範囲(所定の距離範囲)に近づいて電磁結合された場合に、無線チップ150の不揮発性メモリ152に記憶されている個人情報を、当該電磁結合により探索端末2へ送信(S708)することができる状態をいう。
【0042】
また、ステップS610にて制御情報送信部39から送信された制御情報を受信した被災端末1は、無線チップ150の機能をONにするための情報を制御部がアンテナ100を介してアンテナ151に対して送信することにより、無線チップ150が持つきのうを OFFからONに設定するための信号をアンテナ151に送信して無線チップ150が持つ機能を切り替える。また、併せて、もしくはその代わりに、通信部11から記憶部12に記憶されている個人情報を特定の外部通信端末に対しても送信するようにしてもよい。ここで、特定の外部通信端末とは、通信部11を介して記憶部12にあらかじめ定められた特定の携帯通信端末、例えば、被災端末1の所有者の家族が所有する携帯通信端末であり、被災端末1の通信部11から送信される個人情報を受信可能に構成される。このように、近距離無線通信のみならず、通信部11を介して特定の外部通信端末にも個人情報を更新することで、特定の外部通信端末の所有者は、被災端末1が情報収集サーバ3の未返信端末特定部36により特定された対象となっていることを知ることができ、例えば、災害等により、被災端末1の所有者が連絡不可能状態にあることを迅速に知ることができる。なお、この特定の外部通信端末には、情報収集サーバ3も含むものとする。この場合、情報収集サーバ3は、未返信端末特定部36により特定された対象となっているすべての被災端末1から個人情報が一斉に送信されるため、当該個人情報を一括管理することができる。
【0043】
このように上記した実施の形態1によれば、情報収集サーバ3の制御情報送信部39から制御情報を受信した被災端末1は、無線チップ150が持つ機能をOFFからONに自動的に設定し、不揮発性メモリ152に記憶されている個人情報を探索端末2に送信可能状態にすることができるため、無線チップ150と電磁結合可能な状態にある探索端末2は、被災端末1の識別情報を知らずとも無線チップ150から不揮発性メモリ152に記憶されている被災端末1の個人情報を受信することができるため、好適に被災端末1を探索することができると共に、被災端末1の所有者の個人情報を知ることができる。
【0044】
また、被災端末1は、無線チップ150経由だけでなく、通信部11経由でも、記憶部12に記憶された被災端末1の個人情報をあらかじめ定められた特定の外部通信端末に対して送信することができる構成になっているため、より好適に被災端末1を探索することができる。特に、被災端末1が、探索端末2と電磁結合可能な状態になく、個人情報を探索端末2に対して近距離無線通信により、送信することができない場合であっても、被災端末1は、特定の外部通信端末1に対して個人情報を送信することができるため、その個人情報を受信した当該特定の外部通信端末の所有者は、受信した個人情報を手がかりに、被災端末1の所有者を探索することができる。
さらに、被災端末1は、制御情報を受信したことを契機に個人情報を送信可能に構成されているため、制御情報を受信しなかった被災端末1は、個人情報を送信しないこととなる。つまり、登録要求情報を受信した全ての被災端末1が先に個人情報が送信してしまうということはなく、個人情報漏洩防止という観点からも本発明に係る被災端末1は優れているということがいえる。
【0045】
なお、被災端末1の制御部13は、ステップS611で情報収集サーバ3の制御 情報送信部39から送信された制御情報を受信した際、無線チップ150をONにすると共に、あわせて、給電部17により電池16からの電力を無線150に給電する制御を行ってもよい。こうすることで、無線チップ150は、給電部17を介して電池から給電される電力を用いて、無線チップ150から能動的に個人情報を探索端末2に対して送信することができるため、探索端末2は、より好適に、つまり、電磁結合可能な距離範囲にない場合であっても、無線チップ150が能動的に個人情報を送信可能な距離範囲内にあれば、被災端末1を探索することができる。
【0046】
また、制御部13は、このように、給電部17を介して電池16からの電力を無線チップ150に給電している際には、機能実行部14に対しては給電部17を介して電池16からの電力を給電しないように抑制することとする。このようにすることで、無線チップ150が能動的に個人情報を探索端末2に対して送信可能状態にある場合、あるいは送信している場合における機能実行部14によるアプリケーションの実行が抑制され、電池16の無駄な電力消費を好適に抑制することができる。
また、被災端末1は、通信部11にて異常が発生した場合に限り、被災端末1の不揮発性メモリ152に記憶された個人情報を、無線チップ150を介して探索端末2に対して送信可能に構成されるため、当該個人情報の漏洩を好適に抑制することができる。
【0047】
(実施例2)
図8は、本発明の実施例2に係る携帯通信端末(被災端末1)の災害発生時における処理手順を示すフローチャートである。
以下、図8に示すフローチャートを参照しながら、図1、図2に示す被災端末1の動作について詳細に説明する。
【0048】
図8のフローチャートに示されるように、被災端末1は、前述したように、所定の周期で、あるいは被災端末1が省電力モードに移行した場合には、異常検知部21が通信部11との間で所定のプロトコルにしたがう所定の通信を行なうことにより自己診断を行ない、通信部11が正常に動作するか否かを判定する(S801)。ここで、正常に動作すると判定された場合、被災端末1は、待受け状態に遷移し(S802)、情報収集サーバ3からの制御信号の受信を待って(S803)、無線チップ150の機能ON準備状態になる(S804)。
一方、通信部11の異常が検知された場合、無線チップ150の機能ONとし、異常検知部21は、制御部13経由で給電部17を制御し、電池16から無線チップ150に電力を供給させるための制御を行なう。ここでは、制御部13が、電池16の残容量を閾値と比較し、残容量が閾値以上あることを前提に(S805)、無線チップ150への電源供給を開始し(S806)、このことにより、無線チップ150が能動的に個人情報を送信することを実現する(S807)。
【0049】
この場合の無線チップの通信距離は数十mに及ぶことから、探索端末2は、好適に被災端末1を探索することかできるという効果が期待できる。このとき、被災端末1は、探索端末2からの通信開始信号の到来を所定時間待ち(S808、S809)、無線チップ150が所定時間以内にこの通信開始信号を受信した場合には、探索端末2に対して同期信号を送信して通信を確立する(S810)。通信確立後は、探索端末2は、被災端末1の無線チップ150(不揮発性メモリ152)に記憶された個人情報を読み出し、情報収集サーバ3の登録情報受信部32を経て被災者情報格納部33の被災者情報を更新する。
なお、電池電圧が閾値に満たない場合は、電池16の電圧を供給できないため、無線チップ150への電源供給を停止し(S811)、このことにより、無線チップ150は、停止状態となる(S812)。但し、停止状態であっても、探索端末2のアンテナ200が、被災端末1のアンテナ100と電磁結合可能な距離範囲内に近づいたならば、無線チップ150は、不揮発性メモリ152に記憶された個人情報を探索端末2ら送信することができる。
【0050】
上記した実施例2によれば、被災端末1が自己診断を行ない、通信部11の異常が検知されたときに、被災端末1に搭載された無線チップ150が持つ機能を有効にすることで、被災端末1の識別情報を知らなくても効率的に被災端末1の探索、ひいては被災端末1の所有者の探索が可能であり、かつ、被災端末1からの通信が確立されない場合にも端末探索システムとして破綻することがないという効果が得られる。
また、 また、被災端末1は、通信部11にて異常が発生した場合に限り、被災端末1の不揮発性メモリ152に記憶された個人情報を、無線チップ150を介して探索端末2に対して送信可能に構成されるため、当該個人情報の漏洩を好適に抑制することができる。
【0051】
(実施例3)
上記したように、無線チップ150が停止状態となっても、探索端末2から電力の供給を受けた場合、すなわち、図4に示されるように、探索端末2コイル200を被災端末1のアンテナ151に近づけることによる電磁結合によって生成される電磁波により無線チップ150に電力が供給され、無線チップ150がから不揮発性メモリに記憶した個人情報を送信可能に構成することができる。
すなわち、上記した実施例1、実施例2のいずれによっても、探索端末2が、被災端末1と通信が可能な距離にある場合には、被災端末1に搭載された無線チップ150の機能を有効にすることができる。
【0052】
なお、上記した本発明の実施の形態に係る携帯通信端末によれば、被災端末1として携帯電話のみ例示したが、他に、PDA(Personal Digital Assistants)、PC(Personal Computer)、ゲーム機に適用しても同様の効果が得られる。
また、本発明の携帯通信端末(被災端末1)、あるいは外部通信装置(情報収集サーバ3)が持つ各構成ブロックの機能は、全てをソフトウェアによって実現しても、あるいはその少なくとも一部をハードウエアで実現してもよい。例えば、被災端末1においては、制御部13における処理や、通信部11、機能実行部14、音声処理部20、異常検知部21におけるデータ処理は、1または複数のプログラムによりコンピュータ上で実現してもよく、また、その少なくとも一部をハードウエアで実現してもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…被災端末(携帯通信端末)、2…探索端末(外部通信端末)、3…安否情報収集サーバ(外部通信装置)、4…IP網(通信網)、10…端末本体部、11…通信部、12…記憶部、13…制御部、14…機能実行部、15…近距離無線通信部、16…電池、17…給電部、18…操作部、19…表示部、20…音声処理部、21…異常検知部、100…アンテナ(第2のコイル)、150…無線チップ、151…アンテナ、152…不揮発性メモリ(記憶部)、153…ICチップ、154…増幅器、155…分波器、156…信号処理部、200…アンテナ(第1のコイル)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部通信装置から送信される所定の送信許可情報を受信する通信部と、
所定の個人情報を記憶する記憶部と、
前記通信部が前記所定の送信許可情報を受信したことを契機に、前記記憶部に記憶された個人情報を前記通信部により送信する制御を行う制御部と、
を有することを特徴とする携帯通信端末。
【請求項2】
前記通信部は、近距離無線通信を行なう近距離無線通信部を含み、
前記制御部は、前記通信部が前記所定の送信許可情報を受信したことを契機に前記記憶部に記憶された個人情報を前記近距離無線通信部により送信する制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の携帯通信端末。
【請求項3】
前記近距離無線通信部は、
第1のコイルを有する外部通信端末が所定の距離範囲に近づいたときに前記第1のコイルと電磁結合される第2のコイルを有し、前記電磁結合により、前記記憶部に記憶された個人情報を前記外部通信端末へ送信する
ことを特徴とする請求項2に記載の携帯通信端末。
【請求項4】
電池と、
前記電池からの電力を前記近距離通信部に給電する給電部と、を更に有し、
前記制御部は、
前記通信部が、前記所定の送信許可情報を受信したことを契機に前記給電部により前記電池の電力を前記近距離無線通信部へ給電する制御を行うと共に、前記近距離無線通信部を介し、前記記憶部に記憶された個人情報を前期外部通信端末へ送信する制御を行う、
ことを特徴とする請求項3に記載の携帯通信端末。
【請求項5】
前記給電部によって給電される前記電池の電力に基づき所定の機能を実行する機能実行部を更に有し、
前記制御部は、
前記近距離無線通信部に宮殿する制御を行っているときは、前記給電部による前記機能実行部への給電を抑制する、
ことを特徴とする請求項4に記載の携帯通信端末。
【請求項6】
基地局を介して外部通信装置と通信を行う通信部と、
外部通信端末との間で近距離無線通信を行なう近距離無線通信部と、
所定の個人情報を記憶する記憶部と、
前記通信部の異常を検知する異常検知部と、
前記異常検知部が前記通信部の異常を検知したことを契機に、前記外部通信端末に、前記記憶部に記憶された個人情報を前記通信部により送信する制御を行う制御部と、
を有することを特徴とする携帯通信端末。
【請求項7】
携帯通信端末に呼び出し情報を送信する第1の情報送信部と、
前記携帯通信端末からの前記呼び出し情報に対する返信を監視し、前記返信の無い携帯通信端末を特定する未返信端末特定部と、
前記特定された携帯通信端末に対して所定の送信許可情報を送信する第2の情報送信部と、
を有することを特徴とする外部通信装置。
【請求項8】
携帯通信端末に呼び出し情報を送信する第1の情報送信部と、前記携帯通信端末からの前記呼び出し情報に対する返信を監視し、前記返信の無い携帯通信端末を特定する未返信端末特定部と、前記特定された携帯通信端末に対して所定の送信許可情報を送信する第2の情報送信部と、を有する外部通信装置と、
前記外部通信装置から送信される前記呼び出し情報と前記所定の送信許可情報をそれぞれ受信する通信部と、所定の個人情報を記憶する記憶部と、前記通信部が前記所定の送信許可情報を受信したことを契機に、前記記憶部に記憶された個人情報を前記通信部により送信する制御を行う制御部とを有する携帯通信端末と、
を有することを特徴とする情報収集システム。
【請求項9】
複数の携帯通信端末と外部通信装置とが通信網を介して接続されて成る情報収集システムにおける端末探索方法であって、
前記外部通信装置が、前記携帯通信端末に対して呼び出し情報を送信する第1のステップと、
前記携帯通信端末が、前記呼び出し情報に対する応答情報を前記外部通信装置に返信する第2のステップと、
前記外部通信装置が、前記携帯通信端末からの返信を監視し、前記返信の無い携帯通信端末を特定し、前記特定された携帯通信端末に対して所定の送信許可情報を送信する第3のステップと、
前記携帯通信端末が、前記所定の送信許可情報を受信したことを契機に、内部に記憶してある個人情報を送信する第4のステップと、
を有することを特徴とする情報収集システムにおける端末探索方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−124918(P2012−124918A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−8147(P2012−8147)
【出願日】平成24年1月18日(2012.1.18)
【分割の表示】特願2006−295011(P2006−295011)の分割
【原出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】