説明

携帯電子機器、画面制御方法および画面制御プログラム

【課題】利用者がタッチパネルを操作して多様な処理を起動することを可能にする。
【解決手段】携帯電話端末(携帯電子機器)1は、表面に対する動作を検出するタッチパネル2と、タッチパネル2によってスイープ動作が検出された場合に、タッチパネル2に表示されている画面において実行可能な処理に対応するオブジェクトを、スイープ動作が検出された位置の近傍のうち、スイープ動作の進行方向を除いた位置に表示する主制御部10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電子機器、画面制御方法および画面制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、直感的な操作を可能にするとともに、キーボードのように物理的に大きな面積を必要とするデバイスを具備しない小型の携帯電子機器を実現するために、タッチパネルが広く利用されるようになっている。タッチパネルを備える携帯電子機器では、タッチパネルによって検出されるタップ等の動作に対して特定の処理が割り当てられている。例えば、表示されているアイコンに対するタップ動作がタッチパネルによって検出されると、アイコンに対応づけられた機能を起動する携帯電子機器が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−164794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、タッチパネルによって検出される動作は、タップ、フリック、スイープ等の数種類に過ぎない。このため、タッチパネルによって検出される操作に割り当てることができる処理の数は限定され、タッチパネルを備える携帯電子機器の利用者は、タッチパネルを操作して多様な処理を起動することができなかった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、利用者がタッチパネルを操作して多様な処理を起動することができる携帯電子機器、画面制御方法および画面制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、携帯電子機器であって、表面に対する動作を検出するタッチパネルと、前記タッチパネルによってスイープ動作が検出された場合に、前記タッチパネルに表示されている画面において実行可能な処理に対応するオブジェクトを、前記スイープ動作が検出された位置の近傍に表示する制御部とを備えることを特徴とする。
【0007】
ここで、前記制御部は、前記スイープ動作の進行方向を除いた位置に前記オブジェクトを表示させることが好ましい。
【0008】
また、前記制御部は、前記スイープ動作の進行方向が変化した場合に、変化後の進行方向に表示されている前記オブジェクトに対応する処理を実行することが好ましい。
【0009】
また、前記制御部は、前記スイープ動作の進行方向が変化した場合に、変化後の進行方向を除いた位置に前記オブジェクトが表示されるように、前記オブジェクトの表示位置を変更することが好ましい。
【0010】
また、前記制御部は、前記スイープ動作の進行方向が変化した際に検出された移動の加速度が閾値よりも高い場合に、変化後の進行方向に表示されている前記オブジェクトに対応する処理を実行することが好ましい。
【0011】
また、前記制御部は、前記タッチパネルに表示されている画面のスクロール方向以外の位置に前記オブジェクトを表示させることが好ましい。
【0012】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、表面に対する動作を検出するタッチパネルを備える携帯電子機器による画面制御方法であって、前記タッチパネルに対するスイープ動作を検出するステップと、前記タッチパネルに表示されている画面において実行可能な処理に対応するオブジェクトを、前記スイープ動作が検出された位置の近傍に表示するステップとを含むことを特徴とする。
【0013】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、画面制御プログラムであって、表面に対する動作を検出するタッチパネルを備える携帯電子機器に、前記タッチパネルに対するスイープ動作を検出するステップと、前記タッチパネルに表示されている画面において実行可能な処理に対応するオブジェクトを、前記スイープ動作が検出された位置の近傍に表示するステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る携帯電子機器、画面制御方法および画面制御プログラムは、利用者がタッチパネルを操作して多様な処理を起動することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、携帯電話端末の外観を示す正面図である。
【図2】図2は、待受画面の表示中に携帯電話端末が実行する画面制御の一例を示す図である。
【図3】図3は、画像閲覧画面の表示中に携帯電話端末が実行する画面制御の一例を示す図である。
【図4】図4は、携帯電話端末の機能的な構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、画面処理データの一例を示す図である。
【図6】図6は、除外方向データの一例を示す図である。
【図7】図7は、画面制御プログラムに基づいて主制御部が実行する処理手順を示すフロー図である。
【図8】図8は、スイープ動作の進行方向の変化に応じてシンボルに対応する処理を実行する例を示す図である。
【図9】図9は、画面制御プログラムに基づいて主制御部が実行する処理手順の変形例を示すフロー図である。
【図10】図10は、スイープ動作の進行方向の変化に応じてシンボルの表示位置を変更する例を示す図である。
【図11】図11は、画面制御プログラムに基づいて主制御部が実行する処理手順の他の変形例を示すフロー図である。
【図12】図12は、複数の指でスイープ動作が行われた場合にシンボルが表示される例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。以下においては、携帯電子機器として携帯電話端末を例として説明するが、本発明の適用対象は携帯電話端末に限定されるものではなく、タッチパネルを備える各種装置、例えば、PHS(Personal Handyphone System)、PDA、ポータブルナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ、ゲーム機等に対しても本発明は適用できる。
【0017】
(実施形態1)
まず、図1を参照しながら、本発明に係る携帯電子機器の一実施形態である携帯電話端末1の外観について説明する。図1は、携帯電話端末1の外観を示す正面図である。携帯電話端末1は、タッチパネル2と、ボタン3A、ボタン3Bおよびボタン3Cからなる入力部3を備える。タッチパネル2は、文字、図形、画像等を表示するとともに、指、スタイラス、ペン等(以下、単に「指」という)を用いてタッチパネル2に対して行われる各種動作を検出する。入力部3は、いずれかのボタンが押下された場合に、押下されたボタンに対応する機能を起動させる。
【0018】
次に、図2および図3を参照しながら、実行する処理の指定を受け付けるために携帯電話端末1が実行する画面制御の例について説明する。図2は、待受画面の表示中に携帯電話端末1が実行する画面制御の一例を示す図である。図3は、画像閲覧画面の表示中に携帯電話端末1が実行する画面制御の一例を示す図である。
【0019】
図2に示すステップS11では、アイコン21が配置された待受画面20がタッチパネル2に表示されている。待受画面とは、電話の発着信、または、アプリケーションプログラムの起動を待ち受けている状態の画面である。換言すると、待受画面は、携帯電話端末1が提供する各種機能画面へ画面が変わる前の画面である。なお、待受画面は、例えば、デスクトップ画面、ホーム画面、または、壁紙と呼ばれることもある。
【0020】
待受画面20に表示されるアイコン21は、それぞれ、特定の機能と対応づけられており、利用者がアイコン21に対してタップ動作を行うと、携帯電話端末1は、タップされたアイコン21に対応する機能を起動させる。なお、タップ動作とは、アイコン等を軽くたたくように、指をタッチパネルに接触させた後にすぐ離す動作をいう。
【0021】
また、図2に示す待受画面20の上方には、インジケータ22が表示されている。インジケータ22は、待受画面20のどのページが表示されているのかを示す。待受画面20は、11個のページからなり、ページ単位で水平方向にスクロールする。待受画面20のそれぞれのページには、異なるアイコン21を配置することができる。図2のステップS11では、水平に並んだ11個のインジケータ22のうち、右から6個目のインジケータ22が点灯している。これは、待受画面20を構成するページのうち、右から6番目のページが表示されていることを示している。なお、待受画面20を構成するページの数は、11個以外であってもよい。
【0022】
ここで、ステップS12として、利用者がタッチパネル2に対してスイープ動作を開始したものとする。スイープ動作とは、指をタッチパネルに接触させたままで滑るように移動させる動作をいう。タッチパネル2によってスイープ動作が検出されると、携帯電話端末1は、ステップS13として、スイープ動作が検出された位置の近傍にシンボル23a〜23eを表示する。
【0023】
シンボル23a〜23eは、それぞれ、待受画面20の表示中に実行可能な処理に対応するオブジェクトである。「R」という文字を含むシンボル23aは、最も右のページまで待受画面20をスクロールさせる処理に対応する。「+3」という文字を含むシンボル23bは、3個分右のページまで待受画面20をスクロールさせる処理に対応する。「S」という文字を含むシンボル23cは、タップ動作によって複数のアイコン21を選択可能なセレクトモードを開始する処理に対応する。「−3」という文字を含むシンボル23dは、3個分左のページまで待受画面20をスクロールさせる処理に対応する。「L」という文字を含むシンボル23eは、最も左のページまで待受画面20をスクロールさせる処理に対応する。
【0024】
なお、図2に示した例では、シンボル23a〜23eが、それぞれに対応づけられた処理示す文字を含むこととしているが、文字の代わりに絵文字を含むこととしてもよい。
【0025】
携帯電話端末1は、シンボル23a〜23eを表示するに際して、スイープ動作の進行方向を除外してシンボル23a〜23eを配置する。ここで、スイープ動作の進行方向を除外してシンボル23を配置するということは、スイープ動作が検出された位置を基準としてスイープ動作の進行方向へ伸びる直線を仮想して、その直線から少なくとも数mm程度離してシンボル23を配置することを意味する。
【0026】
そして、スイープ動作がそのままの進行方向で継続されると、携帯電話端末1は、表示中の画面においてスイープ動作に対して割り当てられている処理を実行する。ステップS12では、右方向にスイープ動作が開始されており、待受画面20では、右方向のスイープ動作に対して、左のページへのスクロール処理が割り当てられている。そのため、スイープ動作がそのままの進行方向で継続されると、携帯電話端末1は、ステップS14のように、1個分左のページまで待受画面20をスクロールさせる。
【0027】
一方、シンボル23a〜23eが表示された後に、利用者がスイープ動作の進行方向を変更してシンボル23a〜23eのいずれかに指を接触させると、携帯電話端末1は、接触されたシンボル23に対応する処理を実行する。例えば、ステップS15のように、利用者がスイープ動作の進行方向を変更して指をシンボル23aに接触させると、携帯電話端末1は、ステップS16として、最も右のページまで待受画面20をスクロールさせる。
【0028】
このように、携帯電話端末1は、スイープ動作の検出を契機として、表示中の画面で実行可能な各種処理に対応するシンボル23を表示し、シンボル23のいずれかが選択されると、そのシンボル23に対応する処理を実行する。このため、利用者は、タッチパネル2を操作して携帯電話端末1に多様な処理を実行させることができる。
【0029】
また、携帯電話端末1は、シンボル23を表示するに際して、スイープ動作の進行方向を除外してシンボル23を配置する。このため、利用者は、表示中の画面においてスイープ動作に割り当てられている処理を起動したい場合に、シンボル23に指を接触させることなく、スイープ動作を行うことができる。
【0030】
なお、表示中の画面において特定の方向へのスイープ動作に対して何らかの処理が割り当てられている場合、携帯電話端末1は、その方向も除外してシンボル23を配置する。例えば、図2に示した待受画面20では、水平方向のスイープ動作に対してスクロール処理が割り当てられているため、携帯電話端末1は、検出されたスイープ動作の進行方向に関わらず、スイープ動作の検出位置の水平方向を除外してシンボル23を配置する。このように制御することにより、シンボル23が障害となって、表示中の画面においてスイープ動作に割り当てられている処理を起動することができなくなる事態の発生を抑止できる。
【0031】
スイープ動作の検出を契機として、表示中の画面で実行可能な各種処理に対応するシンボルを表示する制御は、待受画面20以外の画面が表示されている場合にも実行される。図3のステップS21では、タッチパネル2に画像閲覧画面30が表示されている。画像閲覧画面30は、利用者が画像データを閲覧するための画面である。
【0032】
ここで、ステップS22として、利用者がタッチパネル2の右下に指を接触させ、左上方向へスイープ動作を開始したものとする。画像閲覧画面30では右下から左上方向へのスイープ動作に対して次の画像データを表示する処理が割り当てられており、携帯電話端末1は、ステップS23に示すように、画像データが右下からめくれ上がり、その下から次の画像データが露出するように表示を制御する。
【0033】
また、携帯電話端末1は、スイープ動作の検出位置の近傍のうち、スイープ動作の進行方向を除外した位置にシンボル31a〜31eを表示する。
【0034】
シンボル31a〜31eは、それぞれ、画像閲覧画面30の表示中に実行可能な処理に対応する。「+5」という文字を含むシンボル31aは、5つ先の画像データを表示する処理に対応する。「−5」という文字を含むシンボル31bは、5つ前の画像データを表示する処理に対応する。「Zi」という文字を含むシンボル31cは、画像データを拡大表示する処理に対応する。「Zo」という文字を含むシンボル31dは、画像データを縮小表示する処理に対応する。「P」という文字を含むシンボル31eは、画像データの属性情報を表示する処理に対応する。
【0035】
そして、スイープ動作がそのままの進行方向で継続された場合、携帯電話端末1は、ステップS24のように、次の画像データを完全に表示させる。また、ステップS25のように、利用者がスイープ動作の進行方向を変更して指をシンボル31cに接触させた場合、携帯電話端末1は、ステップS26として、表示中の画像データを拡大する。
【0036】
次に、図4を参照しながら、携帯電話端末1の機能的な構成について説明する。図4は、携帯電話端末1の機能的な構成を示すブロック図である。図4に示すように携帯電話端末1は、タッチパネル2と、入力部3と、電源部5と、通信部6と、スピーカ7と、マイク8と、記憶部9と、主制御部10と、RAM(Random Access Memory)11とを有する。
【0037】
タッチパネル2は、表示部2Bと、表示部2Bに重畳されたタッチセンサ2Aとを有する。タッチセンサ2Aは、指を用いてタッチパネル2に対して行われた各種動作を、動作が行われた場所のタッチパネル2上での位置とともに検出する。タッチセンサ2Aによって検出される動作には、タップ動作やスイープ動作が含まれる。なお、タッチセンサ2Aは、感圧式、静電式等のいずれの検出方式を採用していてもよい。表示部2Bは、例えば、液晶ディスプレイ(LCD、Liquid Crystal Display)や、有機EL(Organic Electro−Luminescence)パネルなどで構成され、文字、図形、画像等を表示する。
【0038】
入力部3は、物理的なボタン等を通じて利用者の操作を受け付け、受け付けた操作に対応する信号を主制御部10へ送信する。電源部5は、蓄電池または外部電源から得られる電力を、主制御部10を含む携帯電話端末1の各機能部へ供給する。通信部6は、基地局によって割り当てられるチャネルを介し、基地局との間でCDMA方式などによる無線信号回線を確立し、基地局との間で電話通信及び情報通信を行う。スピーカ7は、電話通信における相手側の音声や着信音等を出力する。マイク8は、利用者等の音声を電気的な信号へ変換する。
【0039】
記憶部9は、例えば、不揮発性メモリや磁気記憶装置であり、主制御部10での処理に利用されるプログラムやデータを保存する。具体的には、記憶部9は、電子メール機能を実現するためのメールプログラム9Aや、WEBブラウジング機能を実現するためのブラウザプログラム9Bや、上述したような画面制御を実現するための画面制御プログラム9Cや、表示される画面において実行可能な処理が定義された画面処理データ9Dや、表示される画面毎にシンボルの配置を除外する方向が定義された除外方向データ9Eを記憶する。記憶部9には、その他に、携帯電話端末1の基本的な機能を実現するオペレーティングシステムプログラムや、氏名、電話番号、メールアドレス等が登録されたアドレス帳データ等の他のプログラムやデータも記憶される。
【0040】
ここで、画面処理データ9Dと除外方向データ9Eについて図面を参照しながら説明する。図5は、画面処理データ9Dの一例を示す図である。図5に示すように、画面処理データ9Dは、画面名、処理名、シンボル文字、呼び出し処理といった項目を有し、1つの画面名の値に対して、処理名、シンボル文字および呼び出し処理の値の組み合わせを複数格納できるように構成される。
【0041】
画面名の項目には、画面の名称が格納される。処理名の項目には、画面の表示中に実行可能な処理の名前が格納される。シンボル文字の項目には、画面の表示中にスイープ動作の検出を契機として表示されるシンボルに含められる文字が格納される。呼び出し処理の項目には、シンボルに対応する処理を実行するために内部的に呼び出される手続きが格納される。
【0042】
図6は、除外方向データ9Eの一例を示す図である。図6に示すように、除外方向データ9Eは、画面名、除外方向といった項目を有し、1つの画面名の値に対して、除外方向の値を1ないし複数格納できるように構成される。画面名の項目には、画面の名称が格納される。除外方向の項目には、画面の表示中にシンボルの配置が除外される方向、すなわち、その画面においてスイープ動作に何らかの処理が割り当てられている方向が格納される。なお、方向は、例えば、タッチパネル2の右方向に対する時計回りでの角度として格納される。
【0043】
主制御部10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、携帯電話端末1の動作を統括的に制御する。具体的には、主制御部10は、記憶部9に記憶されているデータを必要に応じて参照しつつ、記憶部9に記憶されているプログラムを実行して、タッチパネル2、通信部6等を制御することによって各種処理を実行する。主制御部10は、記憶部9に記憶されているプログラムや、処理を実行することによって取得/生成/加工されたデータを、一時的な記憶領域を提供するRAM11に必要に応じて展開する。なお、主制御部10が実行するプログラムや参照するデータは、通信部6による無線通信でサーバ装置からダウンロードすることとしてもよい。
【0044】
例えば、主制御部10は、メールプログラム9Aを実行することによって、電子メール機能を実現する。また、主制御部10は、画面制御プログラム9Cを実行することによって、上述したように、スイープ動作を契機とするシンボルの表示等の制御を実行する。
【0045】
次に、図7を参照しながら、画面制御プログラム9Cに基づいて主制御部10が実行する処理手順について説明する。なお、図7に示す処理手順は、スイープ動作が検出されるたびに実行される。
【0046】
図7は、画面制御プログラム9Cに基づいて主制御部10が実行する処理手順を示すフロー図である。図7に示すように、ステップS101として、タッチパネル2によってスイープ動作が検出されると、主制御部10は、ステップS102として、スイープ動作の進行方向を取得する。
【0047】
そして、主制御部10は、ステップS103として、表示中の画面において実行可能な処理に関する情報を画面処理データ9Dから取得し、実行可能な処理に対応するシンボルを検出位置の近傍に表示する。このとき、主制御部10は、ステップS102で取得した進行方向と、表示中の画面と対応づけて除外方向データ9Eに格納されている除外方向とを除外した位置にシンボルを配置する。
【0048】
続いて、主制御部10は、ステップS104として、タッチパネル2の新たな検出結果を取得する。そして、取得した検出結果が、利用者の指がいずれかのシンボルに接触したことを示している場合(ステップS105,Yes)、主制御部10は、ステップS106として、接触されたシンボルに対応する処理を実行する。そして、主制御部10は、ステップS107として、シンボルを消去して、スイープ動作の検出を契機とする処理手順を完了する。
【0049】
また、取得した検出結果が、利用者の指がタッチパネル2から離れたことを示している場合(ステップS105,No、かつ、ステップS108,Yes)、主制御部10は、ステップS107として、シンボルを消去して、スイープ動作の検出を契機とする処理手順を完了する。その他の検出結果が取得された場合(ステップS108,No)、主制御部10は、ステップS104以降を再実行する。
【0050】
上述してきたように、本実施形態では、スイープ動作の検出を契機として、表示中の画面で実行可能な処理に対応するシンボルを表示することとしたので、利用者は、タッチパネル2を操作して携帯電話端末1に多様な処理を実行させることができる。
【0051】
(実施形態2)
上述した実施形態1では利用者の指がシンボルに接触した場合にシンボルに対応する処理を実行することとしたが、スイープ動作の進行方向の変化に応じてシンボルに対応する処理を実行することとしてもよい。そこで、実施形態2では、スイープ動作の進行方向の変化に応じてシンボルに対応する処理を実行する例について説明することとする。
【0052】
図8は、スイープ動作の進行方向の変化に応じてシンボルに対応する処理を実行する例を示す図である。図8に示すステップS31では、アイコン21が配置された待受画面20がタッチパネル2に表示されている。そして、ステップS32として、利用者がタッチパネル2に対してスイープ動作を開始すると、携帯電話端末1は、ステップS33として、スイープ動作が検出された位置の近傍にシンボル23a〜23eを表示する。
【0053】
ここで、ステップS34のように、利用者がスイープ動作の進行方向をシンボル23bの方向へ変更したものとする。このように、スイープ動作の進行方向が変更され、新たな進行方向上にシンボルが表示されている場合、携帯電話端末1は、そのシンボルに対応する処理を実行する。図8の例の場合、携帯電話端末1は、ステップS35として、3個分右のページまで待受画面20をスクロールさせる。
【0054】
このように、スイープ動作の進行方向の変化に応じてシンボルに対応する処理を実行することにより、利用者は、実施形態1の場合よりも少ない操作量で、携帯電話端末1に多様な処理を実行させることができる。
【0055】
次に、図9を参照しながら、スイープ動作の進行方向の変化に応じてシンボルに対応する処理を実行する場合における主制御部10の処理手順について説明する。なお、図9に示す処理手順は、スイープ動作が検出されるたびに、画面制御プログラム9Cに基づいて実行される。
【0056】
図9は、画面制御プログラム9Cに基づいて主制御部10が実行する処理手順の変形例を示すフロー図である。図9に示すように、ステップS201として、タッチパネル2によってスイープ動作が検出されると、主制御部10は、ステップS202として、スイープ動作の進行方向を取得する。
【0057】
そして、主制御部10は、ステップS203として、表示中の画面において実行可能な処理に関する情報を画面処理データ9Dから取得し、実行可能な処理に対応するシンボルを検出位置の近傍に表示する。このとき、主制御部10は、ステップS202で取得した進行方向と、表示中の画面と対応づけて除外方向データ9Eに格納されている除外方向とを除外した位置にシンボルを配置する。
【0058】
続いて、主制御部10は、ステップS204として、タッチパネル2の新たな検出結果を取得する。そして、取得した検出結果が、利用者のスイープ動作の進行方向が変化したことを示している場合(ステップS205,Yes)、主制御部10は、ステップS206として、新たな進行方向上にシンボルが配置されているかを判定する。新たな進行方向上にシンボルが配置されていない場合(ステップS206,No)、主制御部10は、ステップS204以降を再実行する。
【0059】
新たな進行方向上にシンボルが配置されている場合(ステップS206,Yes)、主制御部10は、ステップS207として、進行方向上のシンボルに対応する処理を実行する。そして、主制御部10は、ステップS208として、シンボルを消去して、スイープ動作の検出を契機とする処理手順を完了する。
【0060】
また、取得した検出結果が、利用者の指がタッチパネル2から離れたことを示している場合(ステップS205,No、かつ、ステップS209,Yes)、主制御部10は、ステップS208として、シンボルを消去して、スイープ動作の検出を契機とする処理手順を完了する。その他の検出結果が取得された場合(ステップS209,No)、主制御部10は、ステップS204以降を再実行する。
【0061】
(実施形態3)
上述した実施形態1および2ではシンボルを固定的に表示することとしたが、スイープ動作の進行方向の変化に応じてシンボルの表示位置を変更することとしてもよい。そこで、実施形態3では、スイープ動作の進行方向の変化に応じてシンボルの表示位置を変更する例について説明することとする。
【0062】
図10は、スイープ動作の進行方向の変化に応じてシンボルの表示位置を変更する例を示す図である。図10に示すステップS41では、アイコン21が配置された待受画面20がタッチパネル2に表示されている。そして、ステップS42として、利用者がタッチパネル2に対してスイープ動作を開始すると、携帯電話端末1は、ステップS43として、スイープ動作が検出された位置の近傍にシンボル23a〜23eを表示する。
【0063】
ここで、利用者がスイープ動作の進行方向をシンボル23bの方向へ変更したものとする。進行方向が変化する際の指の移動の加速度が所定の閾値よりも低い場合、携帯電話端末1は、ステップS44のように、新たな進行方向を除外して、シンボル23a〜23eをスイープ動作の検出位置の近傍に配置し直す。
【0064】
このように、スイープ動作の進行方向が変化するたびに新たな進行方向を除外してシンボル23a〜23eを配置し直すことにより、利用者は、シンボル23a〜23eに邪魔されることなく、画面上に表示されている任意のオブジェクトに対する操作を行うことができる。ここでいう任意のオブジェクトに対する操作とは、例えば、アイコン21のいずれかを長押しして、アイコン21の長押しに対応づけられている処理を起動させる操作である。
【0065】
一方、進行方向が変化する際の指の移動の加速度が所定の閾値よりも高い場合、携帯電話端末1は、ステップS45として、シンボル23a〜23eを移動させることなく、進行方向上のシンボル23bに対応する処理を実行する。具体的には、携帯電話端末1は、ステップS46のように、3個分右のページまで待受画面20をスクロールさせる。
【0066】
このように、指をいずれかのシンボルの方向へ急加速度で向けることにより、利用者は、シンボルを移動させずに、シンボルに対応する処理を起動することができる。
【0067】
次に、図11を参照しながら、スイープ動作の進行方向の変化に応じてシンボルの表示位置を変更する場合における主制御部10の処理手順について説明する。なお、図11に示す処理手順は、スイープ動作が検出されるたびに、画面制御プログラム9Cに基づいて実行される。
【0068】
図11は、画面制御プログラム9Cに基づいて主制御部10が実行する処理手順の他の変形例を示すフロー図である。図11に示すように、ステップS301として、タッチパネル2によってスイープ動作が検出されると、主制御部10は、ステップS302として、スイープ動作の進行方向を取得する。
【0069】
そして、主制御部10は、ステップS303として、表示中の画面において実行可能な処理に関する情報を画面処理データ9Dから取得し、実行可能な処理に対応するシンボルを検出位置の近傍に表示する。このとき、主制御部10は、ステップS302で取得した進行方向と、表示中の画面と対応づけて除外方向データ9Eに格納されている除外方向とを除外した位置にシンボルを配置する。
【0070】
続いて、主制御部10は、ステップS304として、タッチパネル2の新たな検出結果を取得する。そして、取得した検出結果が、利用者のスイープ動作の進行方向が変化したことを示している場合(ステップS305,Yes)、主制御部10は、ステップS306として、新たな進行方向上にシンボルが配置されているかを判定する。新たな進行方向上にシンボルが配置されていない場合(ステップS306,No)、主制御部10は、ステップS304以降を再実行する。
【0071】
新たな進行方向上にシンボルが配置されている場合(ステップS306,Yes)、主制御部10は、ステップS307として、進行方向の変更時における指の移動の加速度が所定の閾値よりも高かったかを判定する。加速度が閾値よりも高くなかった場合(ステップS307,No)、主制御部10は、ステップS308として、検出位置の近傍のうち、除外方向と新たな進行方向とを除外した位置へシンボルを再配置する。そして、主制御部10は、ステップS304以降を再実行する。
【0072】
一方、加速度が閾値よりも高かった場合(ステップS307,Yes)、主制御部10は、ステップS309として、新たな進行方向上のシンボルに対応する処理を実行する。そして、主制御部10は、ステップS310として、シンボルを消去して、スイープ動作の検出を契機とする処理手順を完了する。
【0073】
また、取得した検出結果が、利用者の指がタッチパネル2から離れたことを示している場合(ステップS305,No、かつ、ステップS311,Yes)、主制御部10は、ステップS310として、シンボルを消去して、スイープ動作の検出を契機とする処理手順を完了する。その他の検出結果が取得された場合(ステップS311,No)、主制御部10は、ステップS304以降を再実行する。
【0074】
なお、上記の各実施形態で示した本発明の態様は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更することができる。例えば、画面制御プログラム9Cは、複数のモジュールに分割されていてもよいし、他のプログラムと統合されていてもよい。
【0075】
また、上記の実施形態では、スイープ動作の検出を契機としてシンボルを表示させた後、指がタッチパネル2から離れた場合にシンボルを消去することとしたが、指がタッチパネル2から離れた場合にシンボルを表示させたままにしてもよい。この場合、シンボルがタップされた場合はタップされたシンボルに対応する処理を実行し、シンボル以外がタップされた場合はシンボルを消去することとしてもよい。
【0076】
また、上記の実施形態では一本の指でスイープ動作が行われた場合にシンボルを表示することとしたが、複数の指でスイープ動作が行われた場合にもシンボルを表示することとしてもよい。図12を参照しながら説明する。図12は、複数の指でスイープ動作が行われた場合にシンボルが表示される例を示す図である。図12のステップS51では、タッチパネル2に画像閲覧画面30が表示されている。
【0077】
ここで、ステップS52として、利用者がタッチパネル2に2本の指を接触させ、それぞれの指が遠ざかるようにスイープ動作を行っている。このような動作はピンチ動作とも呼ばれ、画像閲覧画面30ではこのような動作に対して画像データを拡大表示する処理が対応づけられている。携帯電話端末1は、このように複数の指でスイープ動作が行われた場合、ステップS53のように、表示中の画面で実行可能な処理に対応するシンボル31a、31bおよび31cをそれぞれのスイープ動作の進行方向を除外した位置に表示する。そして、携帯電話端末1は、どちらかの指によってシンボルが接触された場合等には、シンボルに対応する処理を実行し、スイープ動作がそのまま継続された場合には、表示中の画像データを拡大させる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上のように、本発明に係る携帯電子機器、画面制御方法および画面制御プログラムは、利用者がタッチパネルを操作して多様な処理を起動することが必要な場合に適している。
【符号の説明】
【0079】
1 携帯電話端末
2 タッチパネル
2A タッチセンサ
2B 表示部
3 入力部
5 電源部
6 通信部
7 スピーカ
8 マイク
9 記憶部
9A メールプログラム
9B ブラウザプログラム
9C 画面制御プログラム
9D 画面処理データ
9E 除外方向データ
10 主制御部
11 RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に対する動作を検出するタッチパネルと、
前記タッチパネルによってスイープ動作が検出された場合に、前記タッチパネルに表示されている画面において実行可能な処理に対応するオブジェクトを、前記スイープ動作が検出された位置の近傍に表示する制御部と
を備えることを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記スイープ動作の進行方向を除いた位置に前記オブジェクトを表示させることを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記スイープ動作の進行方向が変化した場合に、変化後の進行方向に表示されている前記オブジェクトに対応する処理を実行することを特徴とする請求項2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記制御部は、前記スイープ動作の進行方向が変化した場合に、変化後の進行方向を除いた位置に前記オブジェクトが表示されるように、前記オブジェクトの表示位置を変更することを特徴とする請求項2に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記制御部は、前記スイープ動作の進行方向が変化した際に検出された移動の加速度が閾値よりも高い場合に、変化後の進行方向に表示されている前記オブジェクトに対応する処理を実行することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
前記制御部は、前記タッチパネルに表示されている画面のスクロール方向以外の位置に前記オブジェクトを表示させることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項7】
表面に対する動作を検出するタッチパネルを備える携帯電子機器による画面制御方法であって、
前記タッチパネルに対するスイープ動作を検出するステップと、
前記タッチパネルに表示されている画面において実行可能な処理に対応するオブジェクトを、前記スイープ動作が検出された位置の近傍に表示するステップと
を含むことを特徴とする画面制御方法。
【請求項8】
表面に対する動作を検出するタッチパネルを備える携帯電子機器に、
前記タッチパネルに対するスイープ動作を検出するステップと、
前記タッチパネルに表示されている画面において実行可能な処理に対応するオブジェクトを、前記スイープ動作が検出された位置の近傍に表示するステップと
を含むことを特徴とする画面制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−113664(P2012−113664A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264396(P2010−264396)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】