説明

携帯電子機器用ダンパ

【課題】仕様変更に容易に対応できる携帯電子機器用ダンパを提供する。
【解決手段】携帯電子機器を保持する面を有するダンパ10は、マトリックス状に配列された複数のダンパ要素20を含む。ダンパ要素20は相互に間隔をあけて配置され、ダンパ要素間には複数のダンパ要素を個別に分離可能に切断するためのミシン目25が予め設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は携帯電子機器用ダンパに関し、特に、使い勝手のよい携帯電子機器用ダンパに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のハードディスク装置などの外部記憶装置に用いられるダンパが、たとえば特開平11−242881(特許文献1)や特開2005−18835(特許文献2)に開示されている。図9は従来の携帯電子機器用のダンパの使用方法を示す図である。
【0003】
図9を参照して、携帯電子機器100の両底面および側面の所定の位置にはダンパ101が設けられ、携帯電子機器が落下等の衝撃を受けた場合に、電子機器の四隅の各面に装着されたダンパによって携帯用電子機器が受ける衝撃力を緩和している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−242881
【特許文献2】特開2005−18835
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の携帯電子機器のハードディスク(以下、「HDD」と省略する)を支持するダンパは上記のように構成されていた。ダンパはHDDに取付けられる箇所ごとにその位置に応じた耐衝撃性を有する必要があるため、形状や仕様の異なる複数のダンパを準備する必要があった。
【0006】
また、HDDは開発競争が激しく、年々高容量化が進んでいる。これに伴いパソコンなどは同じモデルであってもHDDを乗せ換えて新しいモデルとして売り出す機会も多い。この為パソコンメーカーではその都度ダンパメーカーとの仕様打合せを行いダンパの仕様変更を行ってきた。これがパソコンメーカーにとっては負担になるという問題もあった。
【0007】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、仕様変更に容易に対応できる携帯電子機器用ダンパを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は携帯電子機器を保持する面を有するダンパである。ダンパは、マトリックス状に配列された複数のダンパ要素を含み、ダンパ要素は相互に間隔をあけて連結され、ダンパ要素間には複数のダンパ要素を切断するための切断領域が予め設けられている。
【発明の効果】
【0009】
ダンパは複数のダンパ要素を含み、ダンパ要素は相互に間隔をあけて連結され、ダンパ要素間には複数のダンパ要素を切断するための切断領域が予め設けられている。ダンパ要素を所望の箇所で切断して所望の形のダンパを作成できるため、仕様変更に容易に対応できる携帯電子機器用ダンパを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の一実施の形態に係る携帯電子機器用ダンパを示す斜視図である。
【図2】図2(A)は図1において、矢印A−Aで示した断面図である。図2(B)は図2(A)において、矢印B−Bで示した部分の断面図である。
【図3】個々のダンパ要素を示す斜視図である。
【図4】HDDへのダンパの取り付け状態の一例を示す斜視図である。
【図5】ダンパ要素の他の例を示す斜視図である。
【図6】図6(A)はダンパの使用状態を示す斜視図である。図6(B)は図6(A)の展開図である。
【図7】ダンパの使用状態を示す斜視図である。
【図8】ダンパの使用状態を示す斜視図である。
【図9】従来のダンパの使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。図1はこの発明の第1の実施形態にかかる携帯電子機器用ダンパ(以下、「ダンパ」と省略する)を示す斜視図である。図2はダンパ10を示す図である。図2(A)は図1において、矢印A−Aで示した断面図である。図2(B)は図2(A)において、矢印B−Bで示した部分の断面図である。
【0012】
図1及び図2を参照して、この実施の形態に係るダンパ10は、マトリックス状に配列された、複数の同一形状のダンパ要素20を含む。ダンパ要素20は、全体として直方体状であり、その頂部には矩形の開口部24が設けられている。前記開口部24には有底凹部が構成されている。複数のダンパ要素20は相互に間隔をあけて連結されている。ダンパ要素の底部は所定の厚さを有している。隣接するダンパ要素20間は切断領域23となっている。隣接するダンパ要素20間は、中央に設けられたミシン目25に向かってテーパ状に厚さが薄くなっており、人の力で容易に個々のダンパ要素に分割可能である。1つのダンパ要素20を分離した状態を図3に示す。
【0013】
また、ダンパ要素20の間隔は1mm以下であるのが好ましい。
【0014】
なお、切断領域23にはミシン目25に限らず、人手で容易に分離可能であれば、間隔をあけて配列された貫通孔やミシン目のない薄肉部等の任意の切断手段が設けられてもよい。
【0015】
この実施の形態に係るダンパ10は以上のように構成されているため、ユーザがその使用するHDDのような携帯電子機器の使用箇所に応じて所望の形に形成しうる。その結果、高所や低所からの様々の所から落下を想定して、耐衝撃性を兼ね備える、任意の仕様に容易に対応できる。また、それぞれが同一形状のダンパ要素20で構成されているため、どのような形としても性能上の問題は生じない。
【0016】
次に、このダンパ10の構成材料について説明する。ダンパ10はたとえば、ゴムのような高分子弾性体製で単一材料によって形成されている。したがって、所定の衝撃吸収力を有する。また、ダンパ10は損失正接(Tanδ)が0.2以上のソリッド素材で構成されているのが好ましい。
【0017】
また、ここでは開口部24は有底凹部に代えて、貫通孔でもよい。
【0018】
また、ダンパ10は材料としてゴムを用いているため、スポンジのように、一旦形が崩れると元に戻るのに時間がかかる、すなわち、屈曲戻りが悪く、繰り返し落下に弱いという問題は生じない。しかし、このようなスポンジ素材の問題が生じない場合はダンパ10をソリッド素材に代え、スポンジ素材でも構わない。
【0019】
次に、このダンパ要素の使用方法について説明する。図4は図1に示したダンパ要素を任意の形状にして、HDD30の一つの端面を覆った状態を示す図である。図4を参照して、HDDを構成する6面のうち、5面をシート状のダンパ10をミシン目25に沿って折り曲げることにより覆っている。
【0020】
次に、この発明の第2の実施形態について説明する。図5はこの実施の形態におけるダンパ40を示す斜視図である。図5(A)は全体構成を示す斜視図であり、図5(B)は図5(A)に示したダンパ40から1つのダンパ要素41を切出した状態を示す図である。
【0021】
上記第1の実施形態においては、それぞれのダンパ要素は矩形状の開口部24が一つだけ設けられていた。図5(A)を参照して、この実施の形態においては、1つのダンパ要素41は矩形状の開口部42を4つ含む。それぞれのダンパ要素41間の連結部の形態は先の実施の形態と同様であるので、その説明は省略する。
【0022】
このように、個々のダンパ要素の形状を任意の形状に設定することにより、必要な弾性特性を有するダンパを提供できる。
【0023】
なお、上記第1の実施形態においては、ダンパ要素の頂部に開口部を設けたときに開口部の形状として矩形を例にあげて説明したが、これに限らず、丸、三角形、多角形、楕円形等であってもよい。さらに、ダンパ要素に開口部がなくてもよい。
【0024】
また、上記第1の実施形態においては、開口部は一定の壁厚を有する壁で囲まれているが、この壁厚を下部に行くほど厚くなるようにしてもよい。
【0025】
次に、この発明の第3の実施形態について説明する。図6(A)はこの実施の形態におけるダンパ要素を有するダンパを所望の形に切断して、それを用いてHDDの一つのコーナを覆う場合の斜視図である。図6(B)その展開図である。
【0026】
図6を参照して、ここでは個々のダンパ要素は凹部を有することなく、逆に断面が台形状の凸条62が一定の長さにわたり、長手方向に平行に連結部61を介して複数連結された形状を有している。また、凸条62及び連結部61は図6に示した直角の方向に設けてもよい。
【0027】
次に、図6に示したダンパ要素の使用方法について説明する。図7は図6に示したダンパ要素を用いてHDDの対向する2端面を覆った状態を示す図である。図7(A)は2端面の全体を覆った状態を示す図であり、(B)は(A)から、一端面の一部を取外した状態を示す図である。図7を参照して、ダンパ要素を所望の形にしてHDDを保持することができるのが分かる。
【0028】
図8は図6に示したダンパ要素の使用方法の他の例を示す図である。ここでは、HDDの4つのコーナ部を図6に示したダンパ要素で保護している。図8(A)は4つのコーナ部の全体を覆った状態を示す図であり、図8(B)は図8(A)から、1つのコーナ部の一つの面におけるダンパ要素を外した状態を示す図である。図8を参照して、ダンパ要素を所望の形にしてHDDを保持することができるのが分かる。
【0029】
また、この形態のうち凸条を有する場合に凸条の断面が台形である場合を例にあげて説明したが、これに限らず、円形、三角形、矩形、多角形、楕円形等であってもよい。
【0030】
また、上記実施の形態においては、ダンパ要素の頂部に開口部を設けた場合と凸条を設けた場合を個別に説明したが、これに限らず、両者がともに設けられていてもよい。
【0031】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
この発明に係るダンパは、所望の形のダンパを形成できるため、ダンパとして、有利に利用されうる。また、仕様変更に容易に対応でき、開発リードタイムの短縮に寄与できる。
【符号の説明】
【0033】
10 ダンパ、20 ダンパ要素、23 切断領域、24 開口部、25 ミシン目、40 ダンパ、41 ダンパ要素、61 連結部、62 凸条。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電子機器を保持する面を有する高分子弾性体製のダンパであって、
マトリックス状に配列された複数のダンパ要素を含み、
前記ダンパ要素は相互に間隔をあけて連結され、
前記ダンパ要素間には前記複数のダンパ要素を個別に分離可能に切断するための切断領域が予め設けられている、携帯電子機器用ダンパ。
【請求項2】
前記切断領域はミシン目を含む、請求項1に記載の携帯電子機器用ダンパ。
【請求項3】
前記切断領域は前記ミシン目に向けて厚さが薄くなる領域を含む、請求項2に記載の携帯電子機器用ダンパ。
【請求項4】
前記ダンパ要素は損失正接が0.2以上のソリッド素材で構成されている、請求項1〜3のいずれかに記載の携帯電子機器用ダンパ。
【請求項5】
前記複数のダンパ要素はそれぞれ同一形状である、請求項1〜4のいずれかに記載の携帯電子機器用ダンパ。
【請求項6】
前記ダンパ要素は有底凹部である、請求項1〜5のいずれかに記載の携帯電子機器用ダンパ。
【請求項7】
前記ダンパ要素は貫通孔を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の携帯電子機器用ダンパ


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−123948(P2011−123948A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−280517(P2009−280517)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(000114710)ヤマウチ株式会社 (82)
【Fターム(参考)】